JP2004121165A - 膵幹様細胞の分化誘導方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】糖尿病患者を治療するためのインスリン産生細胞の移植に用いる細胞を調製するために、膵幹様細胞を安定、容易、かつ、安価にインスリン産生細胞に分化誘導させる方法、およびその方法によって見出された細胞培養中に安定で、かつ、長期保存安定性がよい、安価な非タンパク性の化合物を提供すること
【解決手段】膵幹様細胞を、非タンパク性の受容体アゴニスト、非タンパク性の受容体アンタゴニストおよびそれらの類縁体からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物が添加された培地で培養して、膵幹様細胞をインスリン産生細胞に分化誘導する方法および前記の細胞の分化を検出することからなる膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法。
【選択図】 選択図なし。
【解決手段】膵幹様細胞を、非タンパク性の受容体アゴニスト、非タンパク性の受容体アンタゴニストおよびそれらの類縁体からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物が添加された培地で培養して、膵幹様細胞をインスリン産生細胞に分化誘導する方法および前記の細胞の分化を検出することからなる膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法。
【選択図】 選択図なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、膵幹様細胞からインスリン産生細胞に分化誘導させる方法、膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法、、およびスクリーニングにより得られる膵幹様細胞分化誘導物質に関する。さらに詳しくは、膵幹様細胞からインスリン産生細胞に分化誘導させる際に、安価な非タンパク性の化合物を用いることによって、優れた分化誘導能を有する非タンパク性の化合物を取得する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病は、日本のみならず世界的に広がっている深刻な疾病である。1997年に旧厚生省が行った調査では、「糖尿病が強く疑われる人」約690万人、この値に「糖尿病の可能性を否定できない人」680万人を加えると、約1370万人がリスク群と推定されている。WHOの推定する全世界の糖尿病人口は、2000年で1億5千万人あまりであり、2025年では約3億人に達すると予測されている。
【0003】
近年、糖尿病の根治的治療法として、膵島移植が注目を浴びるようになってきている。膵島移植は、生理的な血糖コントロールを可能とし、手技も簡単で、ハイリスク例にも応用できる優れた糖尿病治療法として期待されている。膵島移植は糖代謝の改善による糖尿病性二次病変の進行阻止または改善を目的としているが、強化インスリン療法やインスリン持続皮下注入療法でも血糖コントロールの難しいインスリン依存型糖尿病(IDDM)は、まさに膵島移植の良い適応であると考えられている。
【0004】
膵島移植は、局所麻酔で可能なほどで、手術侵襲が極めて小さいため、糖尿病患者にとってより安全であり、血管吻合の必要がないため、血管病変の進行により膵(臓器)移植の適応外になった患者でも実施可能である。また、門脈循環にインスリンが放出されるため生理学的にも有利である。さらに、分離膵島の凍結保存によるいわゆるバンキング(banking)も可能である等膵(臓器)移植と比較して多くの利点を有している。
【0005】
また、インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)臨床の実際では、積極的にインスリン療法が用いられている。これは、インスリンを投与することにより、患者自身の膵島β細胞を休息させ、それによりβ細胞の機能が回復してくるのを待つという考え方からであり、近年積極的に導入され好結果が報告されている。このことは、NIDDMにおいても、膵島移植によって治療可能であることを示しており、NIDDM例のβ細胞機能が低下してきている時期に膵島を移植すれば、再びβ細胞機能が回復し、NIDDMの悪化を防止できる可能性も考えられている。
【0006】
実験的医療の段階から始まった膵島移植は、当初成績が芳しくなかったが、1999年3月よりカナダのエドモントンにあるアルバータ大学において、新しい画期的なエドモントンプロトコール(Edmonton Protocol)が実施され、膵島移植施行7例全例が insulin independentとなったということが報告され(非特許文献1参照。)、このプロトコール(protocol)による多施設共同トライアルも準備されている。
【0007】
このように、膵島移植の臨床研究までに発展した理由としては、大動物膵よりの大量膵島分離法の研究がなされ、1984年Ricordiらは独自の自動膵島分離装置を考案しブタ、ヒト膵よりの大量膵島分離に成功したことが大きい。しかしながら、臓器ドナー不足からくる移植用膵島細胞の絶対的不足が指摘されている。
そこで、幹細胞を大量に取得しインスリン産生細胞に分化させるという試みがなされている。インスリン産生細胞に分化させる方法としては、サイトカイン類や成長因子類による刺激による分化方法が試みられているが、今、なお、満足のいくものがないのが現状である。
【0008】
例えば、非特許文献2および特許文献1には、グルカゴンライクペプチド−1(GLP−1)やエキセンディン−4(Exendin−4)のようなタンパク性の物質を膵幹様細胞であるAR42J細胞に作用させて、インスリンを産生させる細胞に分化させることが報告されている。しかしながら、GLP−1やExendin−4は、アミノ酸残基が10個以上結合したペプチドタンパクであり、そのため細胞培養中に分解したり、長期保存安定性が悪く、さらに調製のために非常にコストがかかるという欠点があった。
【0009】
したがって、これらの欠点を解消するために、サイトカイン類や成長因子類の代替物質として、細胞培養中でも安定で長期保存性がよく、かつ、安価に作製できるものとして非タンパク性の化合物を利用することが考えられる。
膵幹細胞の分化を促進する非タンパク性の化合物としては、非特許文献3に、ラット膵腫瘍細胞AR42J−B13に対して、植物や微生物の二次代謝産物や既知の伝達阻害剤を添加した結果、HGFとビンカアルカロイドである非タンパク性の化合物のコノフィリンを併用することによって、該細胞が形態変化を起こし、インスリンを発現することが報告されている。
【0010】
細胞の分化や増殖は、細胞への刺激が細胞に存在する受容体に作用することによって誘導されると考えられるが、上記の報告では、試験された生理活性物質は、植物や微生物の二次代謝産物や既知のシグナル伝達物質阻害剤である、との記載があるのみで、受容体への作用を有するアゴニストやアンタゴニストやそれを示唆する記載は一切ない。また、コノフィリンは、市販品として安価に入手することができないという問題点があった。
【0011】
すなわち、これまで膵幹様細胞を安定、容易、かつ、安価にインスリン産生細胞に分化誘導する優れた方法はなく、さらに、膵幹様細胞をインスリン産生細胞に分化誘導させるための物質で、細胞培養中に安定で、かつ、長期保存安定性がよい、安価な非タンパク性の化合物はなかった。
【0012】
【非特許文献1】
Shapiro AM,Lakey JRT,Ryan EA,Korbutt GS,Toth E,Warnock GL,Kneteman NM,Rajotte RV: N Eng J Med
,343,230−238(2000)
【非特許文献2】
Jie Zhou,Xiaolin Wang,Marco A.Pineyro,and Josephine M.Egan: Di
abetes,48,2358−2366(1999)
【特許文献1】
特公表2002−522068号公報
【非特許文献3】
廣木彩乃、小島至、畠山裕康、武井泉、梅澤一夫、第44回日本糖尿病学会学術集会、Vol.44,S−213,Supplement1
,2001.
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、糖尿病患者を治療するためのインスリン産生細胞の移植に用いる細胞を調製するために、膵幹様細胞を安定、容易、かつ、安価にインスリン産生細胞に分化誘導させる方法、およびその方法によって見出された、細胞培養中において安定で、かつ、長期保存安定性がよい、安価な非タンパク性の化合物を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、膵幹様細胞に非タンパク性の受容体アゴニスト、非タンパク性の受容体アンタゴニストおよびその類縁体からなる群から選ばれる化合物を添加した後、この細胞の分化を検出することによって、膵幹様細胞を分化させる物質を見出せることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1) 膵幹様細胞を、非タンパク性の受容体アゴニスト、非タンパク性の受容体アンタゴニストおよびそれらの類縁体からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物が添加された培地で培養して、膵幹様細胞をインスリン産生細胞に分化誘導する方法。
(2) 成長因子が、さらに、添加された培地で培養する(1)に記載の膵幹様細胞をインスリン産生細胞に分化誘導する方法。
(3) 膵幹様細胞がAR42J細胞株である(1)または(2)に記載の膵幹様細胞をインスリン産生細胞に分化誘導する方法。
(4) 成長因子がHGFである(2)または(3)に記載の膵幹様細胞をインスリン産生細胞に分化誘導する方法。
(5) 非タンパク性の受容体アゴニスト、非タンパク性の受容体アンタゴニストおよびそれらの類縁体からなる群から選ばれる化合物がパクリタキセルである(1)〜(4)のいずれか1つに記載の膵幹様細胞をインスリン産生細胞に分化誘導する方法。
【0016】
(6) 膵幹様細胞を、非タンパク性の受容体アゴニスト、非タンパク性の受容体アンタゴニストおよびそれらの類縁体からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物が添加された培地で培養して、前記の細胞の分化を検出することからなる膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法。
(7) 成長因子が、さらに、添加された培地で培養する(6)に記載の膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法。
(8) 膵幹様細胞がAR42J細胞株である(6)または(7)に記載の膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法。
(9) 成長因子がHGFである(7)または(8)に記載の膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法。
(10) 細胞の分化を、細胞の形態変化により検出する(6)〜(9)のいずれか1つに記載の膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法。
【0017】
(11) 細胞の分化を、細胞内に産生されたインスリンの分析により検出する(6)〜(9)のいずれか1つに記載の膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法。
(12) (6)〜(11)のいずれか1つに記載された膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法によって得られる膵幹様細胞分化誘導物質。
(13) (12)に記載の膵幹様細胞分化誘導物質をリード物質として用いて合成された前記膵幹様細胞分化誘導物質の誘導体。
(14) (12)に記載の膵幹様細胞分化誘導物質を膵幹様細胞分化誘導剤として使用する方法。
(15) (13)に記載の膵幹様細胞分化誘導物質の誘導体を膵幹様細胞分化誘導剤として使用する方法。
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の分化誘導方法は、膵幹様細胞を、非タンパク性の受容体アゴニスト、非タンパク性の受容体アンタゴニストおよびそれらの類縁体からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物(以下、受容体化合物、と略す)が添加された培地で培養することが必要である。インスリン産生細胞等の特定の細胞に効率よく分化させることを考慮すると、膵幹様細胞を、前記の化合物と、さらに成長因子が添加された培地で培養することが好ましい。
【0019】
膵幹様細胞とは、膵臓を形成する細胞に分化する能力を有した幹細胞のことを指し、胚性幹細胞(ES細胞)、成体幹細胞、胎児組織由来幹細胞、それらを癌化させた継代可能な細胞株等が挙げられる。
本発明の方法においては、上記の膵幹様細胞のいずれも用いることができるが、インスリン産生型の細胞に分化させる化合物のスクリーニングを実施することを考慮すると、好ましくは成体幹細胞および胎児組織由来の幹細胞、より好ましくは膵臓由来の幹細胞である。また、大量のスクリーニングを実施することを考慮すると、膵臓由来の細胞で癌化させた継代可能な細胞株が最も好ましい。
【0020】
癌化させた継代可能な細胞株としては、ラット膵腫瘍から樹立されたAR42J細胞株(Mashima H, Ohnishi H, Wakabayashi K, Mine T, Miyagawa J, Hanafusa T, Seno M, Yamada H and Kojima I:J Clin Invest 97:1647−1654,1996)、マウスの膵管や膵島から樹立した細胞株であるIM D−1, IM I−1細胞株(Sharma A, Taneja M, Rietz P, Weitekamp J and Bonner−Weir S: Diabetes 50,S42−43,2001)等が挙げられる。
受容体化合物、または受容体化合物と成長因子が添加された培地を用いて、インスリン産生細胞へと分化させるのに用いる膵幹様細胞としては、細胞培養の簡便さを考慮すると、AR42J細胞株が好ましく、より好ましくはAR42J細胞株からサブクローニングされたAR42J−B13株である。
【0021】
成長因子とは、一般的には、細胞・組織・臓器・個体を問わず、数・重量・体積等を増加させる作用を持つ物質のことをいい、その細胞に対する働きとしては、形態を変化させ、肥大化させたり、細胞分裂を促進させたりする働きがある。成長因子の具体例としては、上皮増殖因子(EGF;epidermal growth factor)、トランスフォーミング グロースファクターα(TGF−α;transforming growth factor−α)、アンフィレグリン(amphiregulin)、シュワンノーマデライブド グロースファクター(SDGF;Schwannoma−derived growth factor)、ヘパリン−バインディング EGF−ライク グロースファクター(HB−EGF;heparin binding EGF−like growth factor)、ベータセルリン(betacellulin)、ニューレグリンズ(neuregulins)、血小板由来増殖因子(PDGF;platelet−derived growth factor)、ヘパリン−バインディング グロースファクター−1(HBGF−1;heparin binding growth factor−1)、ヘパリン−バインディング グロースファクター−2(HBGF−2;heparin binding growth factor−2)、int−2、hst−1/K−fgf、FGF−5、FGF.6/hst−2、ケラチノサイト グロースファクター(KGF;keratinocyte growth factor)、アンドロゲンインデュースド グロースファクター(AIGF;androgen−induced growth factor)、ファイブロブラスト グロースファクター−9(FGF−9、ファイブロブラスト グロースファクター−1,2(FGF−1,2;fibroblastgrowth factor−1,2)、インスリン−ライク グロースファクターI,II(IGF−I,II;insulin−like growth factor−I,II)、インスリン(insulin)、インスリン−ライク グロースファクター(IGFBP;insulin−like growth factor binding protein)、肝細胞増殖因子(HGF;hepatocytegrowth factor)、血管内皮増殖因子(VEGF;vascular endothelial growth factor)、胎盤由来増殖因子(PIGF;plasenta growth factor)、神経成長因子(NGF;nerve growth factor)、ミッドカイン(midkine)、プレイオトロフィン(pleiotrophin)等が挙げられる。
【0022】
本発明の方法において、細胞の増殖能を高めた上で分化の状態を調べることを考慮すると、上記成長因子を用いることが好ましい。その際、上記成長因子のいずれも用いることができるが、インスリン産生細胞に効率よく分化させることを考慮するとベータセルリン(betacellulin)やHGFを用いることが好ましく、より好ましくはHGFである。
本発明に用いられる、非タンパク性の受容体アゴニスト、非タンパク性の受容体アンタゴニストおよびその類縁体について、説明する。
【0023】
非タンパク性の化合物とは、アミノ酸がペプチド結合によって繋がったアミノ酸残基10個以上のペプチドやタンパク質を除く化合物のことをいう。したがって、例えば、インスリンやアルブミンは、アミノ酸残基10個以上からなるペプチドおよびタンパク質であるので、タンパク性の化合物である。一方、細胞接着性のペプチドであるRGDペプチドは、R(アルギニン残基)、G(グリシン残基)およびD(アスパラギン酸残基)の3つのアミノ酸残基、すなわち10個未満のアミノ酸残基からペプチドであるので、非タンパク性の化合物である。当然のことながら、アミノ酸残基を含まない化合物も非タンパク性の化合物である。
【0024】
受容体は、レセプターとも呼ばれ、細胞に存在し、外来性の物質または物理的刺激を認識して、細胞に応答を誘起する構造体のことをいう。
例えば、代表的な受容体としては、アドレナージック(Adrenergic)受容体、ドパミン(Dopamine)受容体、ムスカリン(Muscarine)受容体、ギャバ(GABA)受容体、グリシン(Glycine)受容体、オピエート(Opiate)受容体、グルタメート(Glutamate)受容体、ヒスタミン(Histamine)受容体、セロトニン(Serotonin)受容体、ニコチニック(Nicotinic)受容体、アンジオテンシンII(AngiotensinII)受容体、エンドセリン(Endothelin)受容体、プロスタグランジン(Prostaglandin)受容体、ATPおよびアデノシン(Adenosine)受容体、LPS受容体等が挙げられる。
【0025】
受容体アゴニストとは、受容体(レセプター)との結合により受容体の構造変化をもたらし、ついで種々の生理作用を示す物質のことをいう。受容体アゴニストとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
Adrenergic受容体に作用するものとして、エピネフリン(epinephrine)、ノルエピネフリン(norepinephrine)、フェニルエピネフリン(phenylephrine),メトキサミン(methoxamine),クロニジン(clonidine),アプラクロニジン(apraclonidine),グアンファシン(guanfacine),イソプロテレノール(isoproterenol),ドブタミン(dobutamine),サルブタノール(salbutamol),ターブタリン(terbutaline),CL316,CL243等が挙げられる。
【0026】
ドパミン(Dopamine)受容体に作用するものとしては、SKF−38393,SCH23390,ブタクラモル(butaclamol),フルペンティキソール(flupenthixol),ハロペリドール(haloperidol),クインピロール(quinpirole),アモモルフィン(amomorphine),アポモルフィン(apomorphine),LY−141865,スピペロン(spiperone),スルピリド(sulpiride),TL99,ペルゴリド(pergolide)等が挙げられる。
【0027】
ムスカリン(Muscarine)受容体に作用するものとしては、Ach,ムスカリン(muscarine),オキソトレモリン(oxotremorine),ベサネコール(bethanechol)等が挙げられる。ギャバ(GABA)受容体に作用するものとしては、ムスキモル(muscimol),バクロフェン(baclofen)等が挙げられる。
グリシン(Glycine)受容体に作用するものとしては、タウリン(taurine),ベータアラニン(β−alanine)等が挙げられる。
【0028】
オピエート(Opiate)受容体に作用するものとしては、モルフィン(morphine),D−アラニル−D−ロイシル−エンケファリン(D−Ala−D−leu−enkephalin),メトケパミド(metkepamid),ロイシル−エンケファリン(leu−enkephalin),ディノルフィン(dynorphin),ケタサイクラゾシン(ketacyclazocine),N−アリルノルメタゾシン(N−allylnormetazocine),フェンサイクリディン(phencyclidine),ナロルフィン(nalorphine),ベータエンドルフィン(β−endorphin)等が挙げられる。
【0029】
グルタメート(Glutamate)受容体に作用するものとしては、NMDA(N−メチル−D−2−アミノ−5−D−アスパルテート;N−methyl−D−2−amino−5−D−aspartate),AMPA(α−アミノ−3−ハイドロキシ−5−メチルイソキサゾール−4−プロピオネート; α−amino−3−hydroxy−5−methylisoxazole−4−propionate),クインスカレート(quisqalate),イボテネート(ibotenate),カイネート(kainate),ドモイックアシッド(domoic acid),ACPD等が挙げられる。
【0030】
ヒスタミン(Histamine)受容体に作用するものとしては、ヒスタミン(histamine),α−メチルヒスタミン(α−methylhistamine)等が挙げられる。
セロトニン(Serotonin)受容体に作用するものとしては、8−OH−DPAT,5−CT,イプサピロン(ipsapirone),CP93129,スマトリプタン(sumatriptan),α−メチル−5−HT(α−methyl−5−HT),m−クロロフェニル−ビグアニド(m−chlorophenyl−biguanide),シサプリド(cisapride),5−メトキシトリプタミン(5−methoxytryptamine)等が挙げられる。
ニコチニック(Nicotinic)受容体に作用するものとしては、Ach,ニコチン(nicotine),カルバミルコリン(carbamylcholine)等が挙げられる。
【0031】
アンジオテンシンII(AngiotensinII)受容体に作用するものとしては、アンジオテンシンII(angiotensinII),CGP42112等が挙げられる。
エンドセリン(Endothelin)受容体に作用するものとしては、エンドセリン−1(endothelin−1),エンドセリン−2(endothelin−2),エンドセリン−3(enndothelin−3)等が挙げられる。
プロスタグランジン(Prostaglandin)受容体に作用するものとしては、プロスタグランジンD2(PGD2),プロスタグランジンE2(PGE2),プロスタグランジンF2α(PGF2α)、プロスタグランジンI2(PGI2),トロンボキサンA2(TXA2)等が挙げられる。
【0032】
ATPおよびアデノシン(Adenosine)受容体に作用するものとしては、2−クロロ−シクロ−ペンチルアデノシン(2−chloro−cyclo−pentyladenosine),CGS−21680,NECA,APNEA,2−MeSATP,UTP等が挙げられる。
LPS受容体に作用するものとしては、パクリタキセル(タキソール(登録商標)、ブリストルマイヤーズスクイブ社製)等が上げられる。
受容体アンタゴニストとは、受容体(レセプター)に結合してアゴニストの効果を阻害するが、それ自体は受容体(レセプター)と結合しても阻害効果を発揮できない物質のことをいう。受容体アンタゴニストとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0033】
アドレナージック(Adrenergic)受容体に作用するものとして、プラゾシン(prazosin),ブナゾシン(bunazosin),イダゾキサン(idazoxan),ピペロキサン(piperoxane),ヨヒンビン(yohimbin),ラウウォールシン(rauwolscine),アテノロール(atenolol),メトプロノロール(metopronolol),エスモロール(esmolol),アセブトロール(acebutolol),ブトキサミン(butoxamine),SR59230,SR58894等が挙げられる。
【0034】
ドパミン(Dopamine)受容体に作用するものとしては、フルペンチキソール(flupentixol),フェノチアジン(phenothiazines),チオキサンテン(thioxanthenes),SCH23390,フルフェナジン(fluphenazine),スルピリド(sulpiride),フェノチアジン(phenothiazines),ドンペリドン(domperidone),ハロペリドール(haloperidol),スピペロン(spiperone),ブチロフェノン(butyrophenones),AJ76,UH232,クロザピン(clozapine)等が挙げられる。
ムスカリン(Muscarine)受容体に作用するものとしては、QNB,アトロピン(atropine),ピレンゼピン(pirenzepine),メトクトラミン(methoctramine),ヘキサハイドロシラディフェニドール(hexahydrosiladifenidol),ヒンバシン(himbacine),4−DAMP等が挙げられる。
【0035】
ギャバ(GABA)受容体に作用するものとしては、ビククリン(bicuculline),ピクロトキシン(picrotoxin)等が挙げられる。
グリシン(Glycine)受容体に作用するものとしては、ストリキニーネ(strychinine)等が挙げられる。
オピエート(Opiate)受容体に作用するものとしては、ナロキサン(naloxane)等が挙げられる。
グルタメート(Glutamate)受容体に作用するものとしては、MK−801,D−AP5(フォスフォノバレレート;phosphonovalerate),DPP,CNQX,γ−D−グルタミル−タウリン(γ−D−glutamyl−taurine),γ−D−グルタミル−アミノチル−スルフォネート(γ−D−glutamyl−aminothyl−sulfonate),MCPG等が挙げられる。
【0036】
ヒスタミン(Histamine)受容体に作用するものとしては、ディフェンハイドラミン(diphenhydramine),ピリルアミン(pyrilamine),ブリムアミド(burimamide),メチアミド(metiamide),シメチジン(cimetidine),チオペルアミド(thioperamide)等が挙げられる。
セロトニン(Serotonin)受容体に作用するものとしては、シアノピンドロール(cyanopindolol),WAY100635,メチオセピン(methiothepin),ミアンセリン(mianserin),リタンセリン(ritanserin),ケタンセリン(ketanserin),SB204741,メテルゴリン(metergoline),メスラージン(mesulergine),トロピセトロン(tropisetron),オンダンセトロン(ondansetron),グラニセトロン(granisetron),SB204070,クロザピネン(clozapinene)等が挙げられる。
【0037】
ニコチニック(Nicotinic)受容体に作用するものとしては、α−ブンガロトキシン(α−bungarotoxin)等が挙げられる。
アンジオテンシンII(AngiotensinII)受容体に作用するものとしては、イソサルタン(iosartan),カンデサルタン(candesartan)等が挙げられる。
プロスタグランジン(Prostaglandin)受容体に作用するものとしては、SC−19220,AH6809等が挙げられる。
ATPおよびアデノシン(Adenosine)受容体に作用するものとしては、DPDCPX,8−シクロペンチル−テオフィリン(8−cyclopentyl−theophyline),CP−66713等が挙げられる。
【0038】
本発明に使用される受容体化合物は、2種類以上の化合物を自ら合成し、揃えて使用してもよく、市販で入手できる化合物を揃えて使用してもよく、また、化合物ライブラリーとして市販されているものを用いてもよい。例えば、市販の化合物ライブラリーとしては、LOPACTM(Research Biochemical International社製)等が挙げられる。
ここでいう化合物ライブラリーとは、少なくとも2種類以上の化合物の集団のことである。化合物は、化合物単体またはそれらの化合物が、プレート、ビーズ、ピン、平板、繊維、膜等の担体に物理的吸着や化学的結合による方法で結合されているものを使用してもよい。
細胞の分化とは、細胞が成熟、すなわち、もとの非特殊細胞より、性質または機能がより特殊化した状態になる過程をいう。例えば、受精した卵細胞は一定の順序を経て分裂増加しながら、種々の特殊の機能を有する器官や臓器を形成する細胞に変化する。成長は、同一の単位の増幅の繰り返しの過程であるが、分化は、これらの単位が異なった方向、より特殊な機能へ変化する過程をいう。
【0039】
分化は、細胞が目で見える変化をきたす前に始まっているもので、この化学的変化による分化の状態を不可視性(invisible)または化学分化(chemodifferentiation)と呼ぶ。すべての細胞に共通した能力ないし特徴から、最終的には全く特殊な細胞となるが、これは遺伝的な影響のほかホルモン等の影響を受けている。化学的には、細胞内のタンパク合成等がなんらかの引き金で顕性となり、その後、その細胞に備わった遺伝的な能力ないし潜在力が続発し続けるものと考えられている。
【0040】
例えば、AR42J細胞株の場合、HGFとアクチビンの添加によって、インスリン産生細胞へと分化することが知られている(Mashima H, Shibata H, Mine T and Kojima I: Endocrinology 137:3969−3976,1996)。この際、AR42J細胞の形態は、球状から紡錘状に形態変化する。したがって、この細胞が分化したか否かを検出する方法としては、顕微鏡による目視観察が簡単である。さらに、ある特定の細胞に分化したか否かを検出するためには、例えば、細胞内に産生された特定のタンパク質を検出する方法が挙げられる。例えば、AR42J細胞内に産生されたインスリンは、蛍光抗体により染色し、蛍光顕微鏡で観察することによって検出することができる。
【0041】
以上述べたように、本発明は、膵幹細胞を安定、かつ、安価にインスリン産生細胞に分化誘導させることができる。また、本発明の方法によってスクリーニングされた化合物は、膵幹様細胞の分化誘導剤として使用できる。当然のことながら、その膵幹様細胞の誘導効果をさらに向上させた誘導体を合成するためのリード化合物として使用することができる。これらの化合物およびその誘導体は、膵幹様細胞を分化させる際に、化合物単体としても使用できる。また、その化合物を細胞培養用プラスチックシャーレ、ビーズおよび繊維、布、不織布、発泡体等のような多孔質基材に吸着させたり、あるいは化学的に結合させて固定化して使用することもできる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。
【0043】
【実施例1】
AR42J−B13細胞(群馬大学生体調節研究所小島至教授より供与をうけた)を、HEPES−NaOH(20mM)(Sigma社製)、5mMのNaHCO3(Sigma社製)、ペニシリンーストレプトマイシン(米国、GIBCO−BRL社製)、および10%のFCS(GIBCO−BRL社製)を含むDMEM培地(pH7.4)(Sigma社製)で培養した。
その後、1×105個/mlの濃度の上記細胞200μlの細胞懸濁液をFalconTM96穴プレート(Becton Dickinson社製)の各ウェルに播種した。
【0044】
続いて、化合物ライブラリー「LOPACTM」(Research Biochemical International社製)に含まれる非タンパク性の化合物を、終濃度4.4μg/mlになるように上記細胞培養液で希釈した溶液5μlのみを添加したものと、100pMのHGF(Genzyme/Techne社製)を22μlと化合物ライブラリー「LOPACTM」に含まれる非タンパク性の化合物を4〜5μg/mlになるように上記細胞培養液で希釈した溶液5μlを添加したもの、また、比較のために、100pMのHGFを22μlと上記化合物の代わりに終濃度2nMのActivin A(Genzyme/Techne社製)を22μlを添加したものおよび何も添加しなかったものを5%CO2条件下、2日間培養した。
【0045】
その後、光学顕微鏡にて細胞の形態を観察した。AR42J−B13細胞の光学顕微鏡写真結果を図1〜4に示す。
図1は、HGF、Activin A、およびパクリタキセルのいずれも添加しないで培養したコントロールのAR42J−B13細胞の光学顕微鏡写真を示す。AR42J−B13細胞は、丸い形状を保ったままであり、細胞の形態変化は認められない。図2は、HGF(100pM)とActivin A(2nM)を添加した場合のAR42J−B13細胞の光学顕微鏡写真を示す。AR42J−B13細胞は、紡錘状になり形態変化したことが認められる。図3は、HGF(100pM)とパクリタキセル(4.4μg/ml)を添加した場合のAR42J−B13細胞の光学顕微鏡写真を示す。AR42J−B13細胞は、突起状のものを出し形態変化したものがあることが認められる。図4は、パクリタキセル(4.4μg/ml) のみを添加した場合のAR42J−B13細胞の光学顕微鏡写真を示す。AR42J−B13細胞は、突起状のものを出し形態変化したものがあることが認められる。すなわち、HGF存在下においても、非存在下においてもパクリタキセルを添加したものは、細胞が形態変化したことが認められる。
【0046】
【実施例2】
実施例1でAR42J細胞株を形態変化させた化合物(パクリタキセル)がインスリンを産生しているかを確認するために、以下の操作を行った。FalconTM6穴プレート(Becton Dickinson社製)に滅菌済みカバーグラス(Matsunami Glass Ind.,LTD.社製)を入れ、1×105個/mlの濃度の上記細胞2mlの細胞懸濁液を加え、5%CO2条件下、1日間培養した。この後100pMのHGFを220μlと上記非タンパク性の化合物50μlを添加し、5%CO2条件下、3日間培養した。細胞が接着したカバーグラスを6穴プレートに移し、3%パラホルムアルデヒド 1.5mlを入れ、40分間接触させ、細胞を固定した。
【0047】
この細胞をPBS(−)で2回洗浄した後に、1.5mlの50mMグリシン溶液(和光純薬社製)を入れ、シェイカー(IWAKI SHAKER SHK−50、Iwaki Glass Co.,LTD.社製)を用いて3分間撹拌した。この操作を2回繰り返した後に、1.5mlの0.1% TritonX−100溶液(ナカライテスク社製)を入れ、シェイカーを用いて5分間撹拌した。その後、この細胞をPBS(−)で2回洗浄した後に、ブロックエースTM(雪印乳業社製)と40分間接触させた。
このカバーグラスに1μg/mlの濃度の抗インスリン−マウスモノクローナル抗体(Neo Markers社製)30μlを滴下し、60分間接触させた。1.5mlの0.1% Tween20溶液(BIO−RAD社製)を入れ、シェイカーを用いて5分間撹拌した。
【0048】
この細胞をPBS(−)で2回洗浄した後に、4μg/mlの濃度の蛍光標識された二次抗体Alexa FluorTM568 goat anti−mouse IgG(H+L)(Molecular Probes社製)30μlを滴下し、遮光下60分間接触させた。その後、1.5mlの0.1% Tween20溶液(BIO−RAD社製)を入れ、シェイカーを用いて5分間撹拌した。この細胞をPBS(−)で2回洗浄した後に、スライドグラスにPerma FluorTM Aqueous Mounting Medium(IMMUNONTM,Thermo Shandon社製)を1滴滴下し、カバーグラスを接着させた。マニキュアでカバーグラスの周囲を塗り固定した後に、共焦点レーザー走査顕微鏡 LSM−410(カールツアイス社製)にて観察した。その際のAR42J−B13細胞の共焦点レーザー走査顕微鏡写真を図5〜7に示す。
【0049】
図5は、HGF(100pM)とActivin A(2nM)を添加した場合のAR42J−B13細胞の共焦点レーザー走査顕微鏡写真を示す。AR42J−B13細胞は、赤い蛍光発色が認められ、細胞内にインスリンが産生されたことが認められる。図6は、HGF(100pM)とパクリタキセル(4.4μg/ml)を添加した場合のAR42J−B13細胞の共焦点レーザー走査顕微鏡写真を示す。AR42J−B13細胞は、赤い蛍光発色が認められ、細胞内にインスリンが産生されたことが認められる。図7は、パクリタキセル(4.4μg/ml)のみを添加した場合のAR42J−B13細胞の共焦点レーザー走査顕微鏡写真を示す。AR42J−B13細胞は、赤い蛍光発色が認められ、細胞内にインスリンが産生されたことが認められる。なお、HGF、ActivinA、およびパクリタキセルのいずれも添加しなかったコントロールのAR42J−B13細胞は、赤い蛍光発色は認められなかった。
以上のことから、HGF存在下においても、非存在下においてもパクリタキセルを添加したものは、細胞内に発現したインスリンの蛍光抗体による発色が認められ、AR42J−B13細胞はパクリタキセルによってインスリン産生細胞へと分化することが確認された。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、膵幹様細胞を、安定、容易、かつ、安価にインスリン産生細胞に分化誘導させる非タンパク性の化合物を取得することができる。得られた化合物は、糖尿病患者を治療するためのインスリン産生細胞の移植に用いる細胞を調製するために有効に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】AR42J−B13細胞の光学顕微鏡写真(コントロール(未添加))。
【図2】AR42J−B13細胞の光学顕微鏡写真(HGF(100pM)とActivin A(2nM)を添加)。
【図3】AR42J−B13細胞の光学顕微鏡写真(HGF(100pM)とパクリタキセル(4.4μg/ml)を添加)。
【図4】AR42J−B13細胞の光学顕微鏡写真(パクリタキセル(4.4μg/ml) のみ添加)。
【図5】AR42J−B13細胞の共焦点レーザー走査顕微鏡写真(HGF(100pM)とActivin A(2nM)を添加)。
【図6】AR42J−B13細胞の共焦点レーザー走査顕微鏡写真(HGF(100pM)とパクリタキセル(4.4μg/ml)を添加)。
【図7】AR42J−B13細胞の共焦点レーザー走査顕微鏡写真(パクリタキセル(4.4μg/ml)のみ添加)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、膵幹様細胞からインスリン産生細胞に分化誘導させる方法、膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法、、およびスクリーニングにより得られる膵幹様細胞分化誘導物質に関する。さらに詳しくは、膵幹様細胞からインスリン産生細胞に分化誘導させる際に、安価な非タンパク性の化合物を用いることによって、優れた分化誘導能を有する非タンパク性の化合物を取得する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病は、日本のみならず世界的に広がっている深刻な疾病である。1997年に旧厚生省が行った調査では、「糖尿病が強く疑われる人」約690万人、この値に「糖尿病の可能性を否定できない人」680万人を加えると、約1370万人がリスク群と推定されている。WHOの推定する全世界の糖尿病人口は、2000年で1億5千万人あまりであり、2025年では約3億人に達すると予測されている。
【0003】
近年、糖尿病の根治的治療法として、膵島移植が注目を浴びるようになってきている。膵島移植は、生理的な血糖コントロールを可能とし、手技も簡単で、ハイリスク例にも応用できる優れた糖尿病治療法として期待されている。膵島移植は糖代謝の改善による糖尿病性二次病変の進行阻止または改善を目的としているが、強化インスリン療法やインスリン持続皮下注入療法でも血糖コントロールの難しいインスリン依存型糖尿病(IDDM)は、まさに膵島移植の良い適応であると考えられている。
【0004】
膵島移植は、局所麻酔で可能なほどで、手術侵襲が極めて小さいため、糖尿病患者にとってより安全であり、血管吻合の必要がないため、血管病変の進行により膵(臓器)移植の適応外になった患者でも実施可能である。また、門脈循環にインスリンが放出されるため生理学的にも有利である。さらに、分離膵島の凍結保存によるいわゆるバンキング(banking)も可能である等膵(臓器)移植と比較して多くの利点を有している。
【0005】
また、インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)臨床の実際では、積極的にインスリン療法が用いられている。これは、インスリンを投与することにより、患者自身の膵島β細胞を休息させ、それによりβ細胞の機能が回復してくるのを待つという考え方からであり、近年積極的に導入され好結果が報告されている。このことは、NIDDMにおいても、膵島移植によって治療可能であることを示しており、NIDDM例のβ細胞機能が低下してきている時期に膵島を移植すれば、再びβ細胞機能が回復し、NIDDMの悪化を防止できる可能性も考えられている。
【0006】
実験的医療の段階から始まった膵島移植は、当初成績が芳しくなかったが、1999年3月よりカナダのエドモントンにあるアルバータ大学において、新しい画期的なエドモントンプロトコール(Edmonton Protocol)が実施され、膵島移植施行7例全例が insulin independentとなったということが報告され(非特許文献1参照。)、このプロトコール(protocol)による多施設共同トライアルも準備されている。
【0007】
このように、膵島移植の臨床研究までに発展した理由としては、大動物膵よりの大量膵島分離法の研究がなされ、1984年Ricordiらは独自の自動膵島分離装置を考案しブタ、ヒト膵よりの大量膵島分離に成功したことが大きい。しかしながら、臓器ドナー不足からくる移植用膵島細胞の絶対的不足が指摘されている。
そこで、幹細胞を大量に取得しインスリン産生細胞に分化させるという試みがなされている。インスリン産生細胞に分化させる方法としては、サイトカイン類や成長因子類による刺激による分化方法が試みられているが、今、なお、満足のいくものがないのが現状である。
【0008】
例えば、非特許文献2および特許文献1には、グルカゴンライクペプチド−1(GLP−1)やエキセンディン−4(Exendin−4)のようなタンパク性の物質を膵幹様細胞であるAR42J細胞に作用させて、インスリンを産生させる細胞に分化させることが報告されている。しかしながら、GLP−1やExendin−4は、アミノ酸残基が10個以上結合したペプチドタンパクであり、そのため細胞培養中に分解したり、長期保存安定性が悪く、さらに調製のために非常にコストがかかるという欠点があった。
【0009】
したがって、これらの欠点を解消するために、サイトカイン類や成長因子類の代替物質として、細胞培養中でも安定で長期保存性がよく、かつ、安価に作製できるものとして非タンパク性の化合物を利用することが考えられる。
膵幹細胞の分化を促進する非タンパク性の化合物としては、非特許文献3に、ラット膵腫瘍細胞AR42J−B13に対して、植物や微生物の二次代謝産物や既知の伝達阻害剤を添加した結果、HGFとビンカアルカロイドである非タンパク性の化合物のコノフィリンを併用することによって、該細胞が形態変化を起こし、インスリンを発現することが報告されている。
【0010】
細胞の分化や増殖は、細胞への刺激が細胞に存在する受容体に作用することによって誘導されると考えられるが、上記の報告では、試験された生理活性物質は、植物や微生物の二次代謝産物や既知のシグナル伝達物質阻害剤である、との記載があるのみで、受容体への作用を有するアゴニストやアンタゴニストやそれを示唆する記載は一切ない。また、コノフィリンは、市販品として安価に入手することができないという問題点があった。
【0011】
すなわち、これまで膵幹様細胞を安定、容易、かつ、安価にインスリン産生細胞に分化誘導する優れた方法はなく、さらに、膵幹様細胞をインスリン産生細胞に分化誘導させるための物質で、細胞培養中に安定で、かつ、長期保存安定性がよい、安価な非タンパク性の化合物はなかった。
【0012】
【非特許文献1】
Shapiro AM,Lakey JRT,Ryan EA,Korbutt GS,Toth E,Warnock GL,Kneteman NM,Rajotte RV: N Eng J Med
,343,230−238(2000)
【非特許文献2】
Jie Zhou,Xiaolin Wang,Marco A.Pineyro,and Josephine M.Egan: Di
abetes,48,2358−2366(1999)
【特許文献1】
特公表2002−522068号公報
【非特許文献3】
廣木彩乃、小島至、畠山裕康、武井泉、梅澤一夫、第44回日本糖尿病学会学術集会、Vol.44,S−213,Supplement1
,2001.
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、糖尿病患者を治療するためのインスリン産生細胞の移植に用いる細胞を調製するために、膵幹様細胞を安定、容易、かつ、安価にインスリン産生細胞に分化誘導させる方法、およびその方法によって見出された、細胞培養中において安定で、かつ、長期保存安定性がよい、安価な非タンパク性の化合物を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、膵幹様細胞に非タンパク性の受容体アゴニスト、非タンパク性の受容体アンタゴニストおよびその類縁体からなる群から選ばれる化合物を添加した後、この細胞の分化を検出することによって、膵幹様細胞を分化させる物質を見出せることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1) 膵幹様細胞を、非タンパク性の受容体アゴニスト、非タンパク性の受容体アンタゴニストおよびそれらの類縁体からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物が添加された培地で培養して、膵幹様細胞をインスリン産生細胞に分化誘導する方法。
(2) 成長因子が、さらに、添加された培地で培養する(1)に記載の膵幹様細胞をインスリン産生細胞に分化誘導する方法。
(3) 膵幹様細胞がAR42J細胞株である(1)または(2)に記載の膵幹様細胞をインスリン産生細胞に分化誘導する方法。
(4) 成長因子がHGFである(2)または(3)に記載の膵幹様細胞をインスリン産生細胞に分化誘導する方法。
(5) 非タンパク性の受容体アゴニスト、非タンパク性の受容体アンタゴニストおよびそれらの類縁体からなる群から選ばれる化合物がパクリタキセルである(1)〜(4)のいずれか1つに記載の膵幹様細胞をインスリン産生細胞に分化誘導する方法。
【0016】
(6) 膵幹様細胞を、非タンパク性の受容体アゴニスト、非タンパク性の受容体アンタゴニストおよびそれらの類縁体からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物が添加された培地で培養して、前記の細胞の分化を検出することからなる膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法。
(7) 成長因子が、さらに、添加された培地で培養する(6)に記載の膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法。
(8) 膵幹様細胞がAR42J細胞株である(6)または(7)に記載の膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法。
(9) 成長因子がHGFである(7)または(8)に記載の膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法。
(10) 細胞の分化を、細胞の形態変化により検出する(6)〜(9)のいずれか1つに記載の膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法。
【0017】
(11) 細胞の分化を、細胞内に産生されたインスリンの分析により検出する(6)〜(9)のいずれか1つに記載の膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法。
(12) (6)〜(11)のいずれか1つに記載された膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法によって得られる膵幹様細胞分化誘導物質。
(13) (12)に記載の膵幹様細胞分化誘導物質をリード物質として用いて合成された前記膵幹様細胞分化誘導物質の誘導体。
(14) (12)に記載の膵幹様細胞分化誘導物質を膵幹様細胞分化誘導剤として使用する方法。
(15) (13)に記載の膵幹様細胞分化誘導物質の誘導体を膵幹様細胞分化誘導剤として使用する方法。
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の分化誘導方法は、膵幹様細胞を、非タンパク性の受容体アゴニスト、非タンパク性の受容体アンタゴニストおよびそれらの類縁体からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物(以下、受容体化合物、と略す)が添加された培地で培養することが必要である。インスリン産生細胞等の特定の細胞に効率よく分化させることを考慮すると、膵幹様細胞を、前記の化合物と、さらに成長因子が添加された培地で培養することが好ましい。
【0019】
膵幹様細胞とは、膵臓を形成する細胞に分化する能力を有した幹細胞のことを指し、胚性幹細胞(ES細胞)、成体幹細胞、胎児組織由来幹細胞、それらを癌化させた継代可能な細胞株等が挙げられる。
本発明の方法においては、上記の膵幹様細胞のいずれも用いることができるが、インスリン産生型の細胞に分化させる化合物のスクリーニングを実施することを考慮すると、好ましくは成体幹細胞および胎児組織由来の幹細胞、より好ましくは膵臓由来の幹細胞である。また、大量のスクリーニングを実施することを考慮すると、膵臓由来の細胞で癌化させた継代可能な細胞株が最も好ましい。
【0020】
癌化させた継代可能な細胞株としては、ラット膵腫瘍から樹立されたAR42J細胞株(Mashima H, Ohnishi H, Wakabayashi K, Mine T, Miyagawa J, Hanafusa T, Seno M, Yamada H and Kojima I:J Clin Invest 97:1647−1654,1996)、マウスの膵管や膵島から樹立した細胞株であるIM D−1, IM I−1細胞株(Sharma A, Taneja M, Rietz P, Weitekamp J and Bonner−Weir S: Diabetes 50,S42−43,2001)等が挙げられる。
受容体化合物、または受容体化合物と成長因子が添加された培地を用いて、インスリン産生細胞へと分化させるのに用いる膵幹様細胞としては、細胞培養の簡便さを考慮すると、AR42J細胞株が好ましく、より好ましくはAR42J細胞株からサブクローニングされたAR42J−B13株である。
【0021】
成長因子とは、一般的には、細胞・組織・臓器・個体を問わず、数・重量・体積等を増加させる作用を持つ物質のことをいい、その細胞に対する働きとしては、形態を変化させ、肥大化させたり、細胞分裂を促進させたりする働きがある。成長因子の具体例としては、上皮増殖因子(EGF;epidermal growth factor)、トランスフォーミング グロースファクターα(TGF−α;transforming growth factor−α)、アンフィレグリン(amphiregulin)、シュワンノーマデライブド グロースファクター(SDGF;Schwannoma−derived growth factor)、ヘパリン−バインディング EGF−ライク グロースファクター(HB−EGF;heparin binding EGF−like growth factor)、ベータセルリン(betacellulin)、ニューレグリンズ(neuregulins)、血小板由来増殖因子(PDGF;platelet−derived growth factor)、ヘパリン−バインディング グロースファクター−1(HBGF−1;heparin binding growth factor−1)、ヘパリン−バインディング グロースファクター−2(HBGF−2;heparin binding growth factor−2)、int−2、hst−1/K−fgf、FGF−5、FGF.6/hst−2、ケラチノサイト グロースファクター(KGF;keratinocyte growth factor)、アンドロゲンインデュースド グロースファクター(AIGF;androgen−induced growth factor)、ファイブロブラスト グロースファクター−9(FGF−9、ファイブロブラスト グロースファクター−1,2(FGF−1,2;fibroblastgrowth factor−1,2)、インスリン−ライク グロースファクターI,II(IGF−I,II;insulin−like growth factor−I,II)、インスリン(insulin)、インスリン−ライク グロースファクター(IGFBP;insulin−like growth factor binding protein)、肝細胞増殖因子(HGF;hepatocytegrowth factor)、血管内皮増殖因子(VEGF;vascular endothelial growth factor)、胎盤由来増殖因子(PIGF;plasenta growth factor)、神経成長因子(NGF;nerve growth factor)、ミッドカイン(midkine)、プレイオトロフィン(pleiotrophin)等が挙げられる。
【0022】
本発明の方法において、細胞の増殖能を高めた上で分化の状態を調べることを考慮すると、上記成長因子を用いることが好ましい。その際、上記成長因子のいずれも用いることができるが、インスリン産生細胞に効率よく分化させることを考慮するとベータセルリン(betacellulin)やHGFを用いることが好ましく、より好ましくはHGFである。
本発明に用いられる、非タンパク性の受容体アゴニスト、非タンパク性の受容体アンタゴニストおよびその類縁体について、説明する。
【0023】
非タンパク性の化合物とは、アミノ酸がペプチド結合によって繋がったアミノ酸残基10個以上のペプチドやタンパク質を除く化合物のことをいう。したがって、例えば、インスリンやアルブミンは、アミノ酸残基10個以上からなるペプチドおよびタンパク質であるので、タンパク性の化合物である。一方、細胞接着性のペプチドであるRGDペプチドは、R(アルギニン残基)、G(グリシン残基)およびD(アスパラギン酸残基)の3つのアミノ酸残基、すなわち10個未満のアミノ酸残基からペプチドであるので、非タンパク性の化合物である。当然のことながら、アミノ酸残基を含まない化合物も非タンパク性の化合物である。
【0024】
受容体は、レセプターとも呼ばれ、細胞に存在し、外来性の物質または物理的刺激を認識して、細胞に応答を誘起する構造体のことをいう。
例えば、代表的な受容体としては、アドレナージック(Adrenergic)受容体、ドパミン(Dopamine)受容体、ムスカリン(Muscarine)受容体、ギャバ(GABA)受容体、グリシン(Glycine)受容体、オピエート(Opiate)受容体、グルタメート(Glutamate)受容体、ヒスタミン(Histamine)受容体、セロトニン(Serotonin)受容体、ニコチニック(Nicotinic)受容体、アンジオテンシンII(AngiotensinII)受容体、エンドセリン(Endothelin)受容体、プロスタグランジン(Prostaglandin)受容体、ATPおよびアデノシン(Adenosine)受容体、LPS受容体等が挙げられる。
【0025】
受容体アゴニストとは、受容体(レセプター)との結合により受容体の構造変化をもたらし、ついで種々の生理作用を示す物質のことをいう。受容体アゴニストとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
Adrenergic受容体に作用するものとして、エピネフリン(epinephrine)、ノルエピネフリン(norepinephrine)、フェニルエピネフリン(phenylephrine),メトキサミン(methoxamine),クロニジン(clonidine),アプラクロニジン(apraclonidine),グアンファシン(guanfacine),イソプロテレノール(isoproterenol),ドブタミン(dobutamine),サルブタノール(salbutamol),ターブタリン(terbutaline),CL316,CL243等が挙げられる。
【0026】
ドパミン(Dopamine)受容体に作用するものとしては、SKF−38393,SCH23390,ブタクラモル(butaclamol),フルペンティキソール(flupenthixol),ハロペリドール(haloperidol),クインピロール(quinpirole),アモモルフィン(amomorphine),アポモルフィン(apomorphine),LY−141865,スピペロン(spiperone),スルピリド(sulpiride),TL99,ペルゴリド(pergolide)等が挙げられる。
【0027】
ムスカリン(Muscarine)受容体に作用するものとしては、Ach,ムスカリン(muscarine),オキソトレモリン(oxotremorine),ベサネコール(bethanechol)等が挙げられる。ギャバ(GABA)受容体に作用するものとしては、ムスキモル(muscimol),バクロフェン(baclofen)等が挙げられる。
グリシン(Glycine)受容体に作用するものとしては、タウリン(taurine),ベータアラニン(β−alanine)等が挙げられる。
【0028】
オピエート(Opiate)受容体に作用するものとしては、モルフィン(morphine),D−アラニル−D−ロイシル−エンケファリン(D−Ala−D−leu−enkephalin),メトケパミド(metkepamid),ロイシル−エンケファリン(leu−enkephalin),ディノルフィン(dynorphin),ケタサイクラゾシン(ketacyclazocine),N−アリルノルメタゾシン(N−allylnormetazocine),フェンサイクリディン(phencyclidine),ナロルフィン(nalorphine),ベータエンドルフィン(β−endorphin)等が挙げられる。
【0029】
グルタメート(Glutamate)受容体に作用するものとしては、NMDA(N−メチル−D−2−アミノ−5−D−アスパルテート;N−methyl−D−2−amino−5−D−aspartate),AMPA(α−アミノ−3−ハイドロキシ−5−メチルイソキサゾール−4−プロピオネート; α−amino−3−hydroxy−5−methylisoxazole−4−propionate),クインスカレート(quisqalate),イボテネート(ibotenate),カイネート(kainate),ドモイックアシッド(domoic acid),ACPD等が挙げられる。
【0030】
ヒスタミン(Histamine)受容体に作用するものとしては、ヒスタミン(histamine),α−メチルヒスタミン(α−methylhistamine)等が挙げられる。
セロトニン(Serotonin)受容体に作用するものとしては、8−OH−DPAT,5−CT,イプサピロン(ipsapirone),CP93129,スマトリプタン(sumatriptan),α−メチル−5−HT(α−methyl−5−HT),m−クロロフェニル−ビグアニド(m−chlorophenyl−biguanide),シサプリド(cisapride),5−メトキシトリプタミン(5−methoxytryptamine)等が挙げられる。
ニコチニック(Nicotinic)受容体に作用するものとしては、Ach,ニコチン(nicotine),カルバミルコリン(carbamylcholine)等が挙げられる。
【0031】
アンジオテンシンII(AngiotensinII)受容体に作用するものとしては、アンジオテンシンII(angiotensinII),CGP42112等が挙げられる。
エンドセリン(Endothelin)受容体に作用するものとしては、エンドセリン−1(endothelin−1),エンドセリン−2(endothelin−2),エンドセリン−3(enndothelin−3)等が挙げられる。
プロスタグランジン(Prostaglandin)受容体に作用するものとしては、プロスタグランジンD2(PGD2),プロスタグランジンE2(PGE2),プロスタグランジンF2α(PGF2α)、プロスタグランジンI2(PGI2),トロンボキサンA2(TXA2)等が挙げられる。
【0032】
ATPおよびアデノシン(Adenosine)受容体に作用するものとしては、2−クロロ−シクロ−ペンチルアデノシン(2−chloro−cyclo−pentyladenosine),CGS−21680,NECA,APNEA,2−MeSATP,UTP等が挙げられる。
LPS受容体に作用するものとしては、パクリタキセル(タキソール(登録商標)、ブリストルマイヤーズスクイブ社製)等が上げられる。
受容体アンタゴニストとは、受容体(レセプター)に結合してアゴニストの効果を阻害するが、それ自体は受容体(レセプター)と結合しても阻害効果を発揮できない物質のことをいう。受容体アンタゴニストとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0033】
アドレナージック(Adrenergic)受容体に作用するものとして、プラゾシン(prazosin),ブナゾシン(bunazosin),イダゾキサン(idazoxan),ピペロキサン(piperoxane),ヨヒンビン(yohimbin),ラウウォールシン(rauwolscine),アテノロール(atenolol),メトプロノロール(metopronolol),エスモロール(esmolol),アセブトロール(acebutolol),ブトキサミン(butoxamine),SR59230,SR58894等が挙げられる。
【0034】
ドパミン(Dopamine)受容体に作用するものとしては、フルペンチキソール(flupentixol),フェノチアジン(phenothiazines),チオキサンテン(thioxanthenes),SCH23390,フルフェナジン(fluphenazine),スルピリド(sulpiride),フェノチアジン(phenothiazines),ドンペリドン(domperidone),ハロペリドール(haloperidol),スピペロン(spiperone),ブチロフェノン(butyrophenones),AJ76,UH232,クロザピン(clozapine)等が挙げられる。
ムスカリン(Muscarine)受容体に作用するものとしては、QNB,アトロピン(atropine),ピレンゼピン(pirenzepine),メトクトラミン(methoctramine),ヘキサハイドロシラディフェニドール(hexahydrosiladifenidol),ヒンバシン(himbacine),4−DAMP等が挙げられる。
【0035】
ギャバ(GABA)受容体に作用するものとしては、ビククリン(bicuculline),ピクロトキシン(picrotoxin)等が挙げられる。
グリシン(Glycine)受容体に作用するものとしては、ストリキニーネ(strychinine)等が挙げられる。
オピエート(Opiate)受容体に作用するものとしては、ナロキサン(naloxane)等が挙げられる。
グルタメート(Glutamate)受容体に作用するものとしては、MK−801,D−AP5(フォスフォノバレレート;phosphonovalerate),DPP,CNQX,γ−D−グルタミル−タウリン(γ−D−glutamyl−taurine),γ−D−グルタミル−アミノチル−スルフォネート(γ−D−glutamyl−aminothyl−sulfonate),MCPG等が挙げられる。
【0036】
ヒスタミン(Histamine)受容体に作用するものとしては、ディフェンハイドラミン(diphenhydramine),ピリルアミン(pyrilamine),ブリムアミド(burimamide),メチアミド(metiamide),シメチジン(cimetidine),チオペルアミド(thioperamide)等が挙げられる。
セロトニン(Serotonin)受容体に作用するものとしては、シアノピンドロール(cyanopindolol),WAY100635,メチオセピン(methiothepin),ミアンセリン(mianserin),リタンセリン(ritanserin),ケタンセリン(ketanserin),SB204741,メテルゴリン(metergoline),メスラージン(mesulergine),トロピセトロン(tropisetron),オンダンセトロン(ondansetron),グラニセトロン(granisetron),SB204070,クロザピネン(clozapinene)等が挙げられる。
【0037】
ニコチニック(Nicotinic)受容体に作用するものとしては、α−ブンガロトキシン(α−bungarotoxin)等が挙げられる。
アンジオテンシンII(AngiotensinII)受容体に作用するものとしては、イソサルタン(iosartan),カンデサルタン(candesartan)等が挙げられる。
プロスタグランジン(Prostaglandin)受容体に作用するものとしては、SC−19220,AH6809等が挙げられる。
ATPおよびアデノシン(Adenosine)受容体に作用するものとしては、DPDCPX,8−シクロペンチル−テオフィリン(8−cyclopentyl−theophyline),CP−66713等が挙げられる。
【0038】
本発明に使用される受容体化合物は、2種類以上の化合物を自ら合成し、揃えて使用してもよく、市販で入手できる化合物を揃えて使用してもよく、また、化合物ライブラリーとして市販されているものを用いてもよい。例えば、市販の化合物ライブラリーとしては、LOPACTM(Research Biochemical International社製)等が挙げられる。
ここでいう化合物ライブラリーとは、少なくとも2種類以上の化合物の集団のことである。化合物は、化合物単体またはそれらの化合物が、プレート、ビーズ、ピン、平板、繊維、膜等の担体に物理的吸着や化学的結合による方法で結合されているものを使用してもよい。
細胞の分化とは、細胞が成熟、すなわち、もとの非特殊細胞より、性質または機能がより特殊化した状態になる過程をいう。例えば、受精した卵細胞は一定の順序を経て分裂増加しながら、種々の特殊の機能を有する器官や臓器を形成する細胞に変化する。成長は、同一の単位の増幅の繰り返しの過程であるが、分化は、これらの単位が異なった方向、より特殊な機能へ変化する過程をいう。
【0039】
分化は、細胞が目で見える変化をきたす前に始まっているもので、この化学的変化による分化の状態を不可視性(invisible)または化学分化(chemodifferentiation)と呼ぶ。すべての細胞に共通した能力ないし特徴から、最終的には全く特殊な細胞となるが、これは遺伝的な影響のほかホルモン等の影響を受けている。化学的には、細胞内のタンパク合成等がなんらかの引き金で顕性となり、その後、その細胞に備わった遺伝的な能力ないし潜在力が続発し続けるものと考えられている。
【0040】
例えば、AR42J細胞株の場合、HGFとアクチビンの添加によって、インスリン産生細胞へと分化することが知られている(Mashima H, Shibata H, Mine T and Kojima I: Endocrinology 137:3969−3976,1996)。この際、AR42J細胞の形態は、球状から紡錘状に形態変化する。したがって、この細胞が分化したか否かを検出する方法としては、顕微鏡による目視観察が簡単である。さらに、ある特定の細胞に分化したか否かを検出するためには、例えば、細胞内に産生された特定のタンパク質を検出する方法が挙げられる。例えば、AR42J細胞内に産生されたインスリンは、蛍光抗体により染色し、蛍光顕微鏡で観察することによって検出することができる。
【0041】
以上述べたように、本発明は、膵幹細胞を安定、かつ、安価にインスリン産生細胞に分化誘導させることができる。また、本発明の方法によってスクリーニングされた化合物は、膵幹様細胞の分化誘導剤として使用できる。当然のことながら、その膵幹様細胞の誘導効果をさらに向上させた誘導体を合成するためのリード化合物として使用することができる。これらの化合物およびその誘導体は、膵幹様細胞を分化させる際に、化合物単体としても使用できる。また、その化合物を細胞培養用プラスチックシャーレ、ビーズおよび繊維、布、不織布、発泡体等のような多孔質基材に吸着させたり、あるいは化学的に結合させて固定化して使用することもできる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。
【0043】
【実施例1】
AR42J−B13細胞(群馬大学生体調節研究所小島至教授より供与をうけた)を、HEPES−NaOH(20mM)(Sigma社製)、5mMのNaHCO3(Sigma社製)、ペニシリンーストレプトマイシン(米国、GIBCO−BRL社製)、および10%のFCS(GIBCO−BRL社製)を含むDMEM培地(pH7.4)(Sigma社製)で培養した。
その後、1×105個/mlの濃度の上記細胞200μlの細胞懸濁液をFalconTM96穴プレート(Becton Dickinson社製)の各ウェルに播種した。
【0044】
続いて、化合物ライブラリー「LOPACTM」(Research Biochemical International社製)に含まれる非タンパク性の化合物を、終濃度4.4μg/mlになるように上記細胞培養液で希釈した溶液5μlのみを添加したものと、100pMのHGF(Genzyme/Techne社製)を22μlと化合物ライブラリー「LOPACTM」に含まれる非タンパク性の化合物を4〜5μg/mlになるように上記細胞培養液で希釈した溶液5μlを添加したもの、また、比較のために、100pMのHGFを22μlと上記化合物の代わりに終濃度2nMのActivin A(Genzyme/Techne社製)を22μlを添加したものおよび何も添加しなかったものを5%CO2条件下、2日間培養した。
【0045】
その後、光学顕微鏡にて細胞の形態を観察した。AR42J−B13細胞の光学顕微鏡写真結果を図1〜4に示す。
図1は、HGF、Activin A、およびパクリタキセルのいずれも添加しないで培養したコントロールのAR42J−B13細胞の光学顕微鏡写真を示す。AR42J−B13細胞は、丸い形状を保ったままであり、細胞の形態変化は認められない。図2は、HGF(100pM)とActivin A(2nM)を添加した場合のAR42J−B13細胞の光学顕微鏡写真を示す。AR42J−B13細胞は、紡錘状になり形態変化したことが認められる。図3は、HGF(100pM)とパクリタキセル(4.4μg/ml)を添加した場合のAR42J−B13細胞の光学顕微鏡写真を示す。AR42J−B13細胞は、突起状のものを出し形態変化したものがあることが認められる。図4は、パクリタキセル(4.4μg/ml) のみを添加した場合のAR42J−B13細胞の光学顕微鏡写真を示す。AR42J−B13細胞は、突起状のものを出し形態変化したものがあることが認められる。すなわち、HGF存在下においても、非存在下においてもパクリタキセルを添加したものは、細胞が形態変化したことが認められる。
【0046】
【実施例2】
実施例1でAR42J細胞株を形態変化させた化合物(パクリタキセル)がインスリンを産生しているかを確認するために、以下の操作を行った。FalconTM6穴プレート(Becton Dickinson社製)に滅菌済みカバーグラス(Matsunami Glass Ind.,LTD.社製)を入れ、1×105個/mlの濃度の上記細胞2mlの細胞懸濁液を加え、5%CO2条件下、1日間培養した。この後100pMのHGFを220μlと上記非タンパク性の化合物50μlを添加し、5%CO2条件下、3日間培養した。細胞が接着したカバーグラスを6穴プレートに移し、3%パラホルムアルデヒド 1.5mlを入れ、40分間接触させ、細胞を固定した。
【0047】
この細胞をPBS(−)で2回洗浄した後に、1.5mlの50mMグリシン溶液(和光純薬社製)を入れ、シェイカー(IWAKI SHAKER SHK−50、Iwaki Glass Co.,LTD.社製)を用いて3分間撹拌した。この操作を2回繰り返した後に、1.5mlの0.1% TritonX−100溶液(ナカライテスク社製)を入れ、シェイカーを用いて5分間撹拌した。その後、この細胞をPBS(−)で2回洗浄した後に、ブロックエースTM(雪印乳業社製)と40分間接触させた。
このカバーグラスに1μg/mlの濃度の抗インスリン−マウスモノクローナル抗体(Neo Markers社製)30μlを滴下し、60分間接触させた。1.5mlの0.1% Tween20溶液(BIO−RAD社製)を入れ、シェイカーを用いて5分間撹拌した。
【0048】
この細胞をPBS(−)で2回洗浄した後に、4μg/mlの濃度の蛍光標識された二次抗体Alexa FluorTM568 goat anti−mouse IgG(H+L)(Molecular Probes社製)30μlを滴下し、遮光下60分間接触させた。その後、1.5mlの0.1% Tween20溶液(BIO−RAD社製)を入れ、シェイカーを用いて5分間撹拌した。この細胞をPBS(−)で2回洗浄した後に、スライドグラスにPerma FluorTM Aqueous Mounting Medium(IMMUNONTM,Thermo Shandon社製)を1滴滴下し、カバーグラスを接着させた。マニキュアでカバーグラスの周囲を塗り固定した後に、共焦点レーザー走査顕微鏡 LSM−410(カールツアイス社製)にて観察した。その際のAR42J−B13細胞の共焦点レーザー走査顕微鏡写真を図5〜7に示す。
【0049】
図5は、HGF(100pM)とActivin A(2nM)を添加した場合のAR42J−B13細胞の共焦点レーザー走査顕微鏡写真を示す。AR42J−B13細胞は、赤い蛍光発色が認められ、細胞内にインスリンが産生されたことが認められる。図6は、HGF(100pM)とパクリタキセル(4.4μg/ml)を添加した場合のAR42J−B13細胞の共焦点レーザー走査顕微鏡写真を示す。AR42J−B13細胞は、赤い蛍光発色が認められ、細胞内にインスリンが産生されたことが認められる。図7は、パクリタキセル(4.4μg/ml)のみを添加した場合のAR42J−B13細胞の共焦点レーザー走査顕微鏡写真を示す。AR42J−B13細胞は、赤い蛍光発色が認められ、細胞内にインスリンが産生されたことが認められる。なお、HGF、ActivinA、およびパクリタキセルのいずれも添加しなかったコントロールのAR42J−B13細胞は、赤い蛍光発色は認められなかった。
以上のことから、HGF存在下においても、非存在下においてもパクリタキセルを添加したものは、細胞内に発現したインスリンの蛍光抗体による発色が認められ、AR42J−B13細胞はパクリタキセルによってインスリン産生細胞へと分化することが確認された。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、膵幹様細胞を、安定、容易、かつ、安価にインスリン産生細胞に分化誘導させる非タンパク性の化合物を取得することができる。得られた化合物は、糖尿病患者を治療するためのインスリン産生細胞の移植に用いる細胞を調製するために有効に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】AR42J−B13細胞の光学顕微鏡写真(コントロール(未添加))。
【図2】AR42J−B13細胞の光学顕微鏡写真(HGF(100pM)とActivin A(2nM)を添加)。
【図3】AR42J−B13細胞の光学顕微鏡写真(HGF(100pM)とパクリタキセル(4.4μg/ml)を添加)。
【図4】AR42J−B13細胞の光学顕微鏡写真(パクリタキセル(4.4μg/ml) のみ添加)。
【図5】AR42J−B13細胞の共焦点レーザー走査顕微鏡写真(HGF(100pM)とActivin A(2nM)を添加)。
【図6】AR42J−B13細胞の共焦点レーザー走査顕微鏡写真(HGF(100pM)とパクリタキセル(4.4μg/ml)を添加)。
【図7】AR42J−B13細胞の共焦点レーザー走査顕微鏡写真(パクリタキセル(4.4μg/ml)のみ添加)。
Claims (15)
- 膵幹様細胞を、非タンパク性の受容体アゴニスト、非タンパク性の受容体アンタゴニストおよびそれらの類縁体からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物が添加された培地で培養して、膵幹様細胞をインスリン産生細胞に分化誘導する方法。
- 成長因子が、さらに、添加された培地で培養する請求項1記載の膵幹様細胞をインスリン産生細胞に分化誘導する方法。
- 膵幹様細胞がAR42J細胞株である請求項1または2記載の膵幹様細胞をインスリン産生細胞に分化誘導する方法。
- 成長因子がHGFである請求項2または3記載の膵幹様細胞をインスリン産生細胞に分化誘導する方法。
- 非タンパク性の受容体アゴニスト、非タンパク性の受容体アンタゴニストおよびそれらの類縁体からなる群から選ばれる化合物がパクリタキセルである請求項1〜4のいずれか1項に記載の膵幹様細胞をインスリン産生細胞に分化誘導する方法。
- 膵幹様細胞を、非タンパク性の受容体アゴニスト、非タンパク性の受容体アンタゴニストおよびそれらの類縁体からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物が添加された培地で培養して、前記の細胞の分化を検出することからなる膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法。
- 成長因子が、さらに、添加された培地で培養する請求項6記載の膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法。
- 膵幹様細胞がAR42J細胞株である請求項6または7記載の膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法。
- 成長因子がHGFである請求項7または8記載の膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法。
- 細胞の分化を、細胞の形態変化により検出する請求項6〜9のいずれか1項に記載の膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法。
- 細胞の分化を、細胞内に産生されたインスリンの分析により検出する請求項6〜9のいずれか1項に記載の膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法。
- 請求項6〜11のいずれか1項に記載された膵幹様細胞分化誘導物質のスクリーニング方法によって得られる膵幹様細胞分化誘導物質。
- 請求項12記載の膵幹様細胞分化誘導物質をリード物質として用いて合成された前記膵幹様細胞分化誘導物質の誘導体。
- 請求項12記載の膵幹様細胞分化誘導物質を膵幹様細胞分化誘導剤として使用する方法。
- 請求項13記載の膵幹様細胞分化誘導物質の誘導体を膵幹様細胞分化誘導剤として使用する方法。
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2002
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