JP2004116258A - 浴室 - Google Patents
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Abstract
【課題】滑り止め効果を維持しつつ、表面に残った水分を迅速に除去することが容易な床パネルを供えた浴室を提供する。
【解決手段】少なくとも、浴槽洗い場側立面23側部、またはカウンター6の前面側立面下部のいずれかに、洗い場2の床パネル5と連続する排水溝7を具備し、洗い場の床パネル上面には多数の面状凸部40を近接して設けることにより上面流路41、42を形成するとともに、排水溝の洗い場側立面24には、成形の際にアンダーカット部が生じることのない形状に立面流路50を形成し、立面流路はその一端側を上面流路に通じるとともに、他端側は前記排水溝洗い場側立面の下半部にまで達するように設ける。
【選択図】 図5
【解決手段】少なくとも、浴槽洗い場側立面23側部、またはカウンター6の前面側立面下部のいずれかに、洗い場2の床パネル5と連続する排水溝7を具備し、洗い場の床パネル上面には多数の面状凸部40を近接して設けることにより上面流路41、42を形成するとともに、排水溝の洗い場側立面24には、成形の際にアンダーカット部が生じることのない形状に立面流路50を形成し、立面流路はその一端側を上面流路に通じるとともに、他端側は前記排水溝洗い場側立面の下半部にまで達するように設ける。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水の乾燥が早められた床パネルを備えた浴室に関する。
【0002】
【従来の技術】
浴室は、幼児や老人も使用するので、床が滑りにくい安全な構造を持つことが要求されている。また、浴室を清潔に保つため、浴室の内部表面はなるべく早く乾燥することが望ましい。浴室の床パネル表面に関し、特許文献1には、先端面に滑り防止用の凹凸を有した多数の突部が互いに近接して突出し、突部の間の床パネル本体の上面は平滑面であって隣接する突部の間に水を流す流水部を形成し、突部の先端面は床パネル本体の上面の勾配方向に長くかつ長手方向の両端部が中間部よりも幅狭となる形状を有し、突部の両側縁はそれぞれ曲線であって隣り合う突部の側縁は互いに異なる形状の曲線であることを特徴とする浴室用床パンが開示され、この床パネルは、どの向きに踏んでも滑らないという効果を奏することが説明されている。
【0003】
一方、特許文献2では、表面に滑り止め用の凸部と、これら凸部の間に排水口又は流し溝に連続する流路が形成され、少なくとも該流路の上に水玉の表面張力を破壊する凹凸形状部が重ねて形成されていることを特徴とする浴室用床パネルが開示されている。この特許文献2に開示された浴室用床パネルによれば、たとえ前夜の使用により表面に水が残ったとしても翌日には確実に乾燥しているという効果が得られるものとされている。
【特許文献1】
特開平6−93745号公報
【特許文献2】
特開2002−54295号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に開示された浴室用床パネルの構造によれば、どの方向に踏んでも滑らないという効果は奏せられるものの、床パネル表面に残った水分を除去するという面では、さほどの効果は認められていない。また、特許文献2に開示された浴室用床パネルの構造によれば、床パネル表面に形成される水玉を破壊することにより、水分は翌日に確実に乾燥するとはいうものの、床パネル表面には一定量の水が残る構造であり、この残った水は蒸発によってのみ床表面から除去されるので、残った水分を全て蒸発させるためには所定の時間を待たざるを得ないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、滑り止め効果を維持しつつ、表面に残った水分を迅速に除去することが容易な床パネルを備えた浴室を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本願発明者らは、上記従来の技術では、床パネル上の水分の蒸発に長時間を要していることに注目し、蒸発させるべき床パネル上面残水の量を極力少なくすることによって、全体としての乾燥時間を大幅に短縮することが可能であるという着想を得た。このため、床パネル上面の水分をできるだけ多く排水溝に導くことができるように流路の構造に工夫を凝らし、かつこの流路の構造は、プレス成型の際に容易な工程により生産可能なものとした。
【0007】
以下、本発明について具体的に説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0008】
本発明の浴室(1)は、少なくとも浴槽洗い場側立面(23)側部、またはカウンター(6)の前面側立面下部のいずれかに洗い場(2)の床パネル(5)に連続するパネルとして構成される排水溝(7、7a)を具備し、洗い場の床パネル上面には多数の面状凸部(40、40a、40b、40c)を近接して設けることにより凸部に対応する凹部が上面流路(41、42、43、44)として形成され、排水溝の洗い場側立面(24)にはその一端側が上面流路に通じるとともに、他端側は排水溝洗い場側立面の下半部(24L)にまで達する立面流路(50)が設けられ、立面流路の形状はパネル成形の際にアンダーカット部が生じないように形成されていることを特徴とするものである。ここに「アンダーカット」とは、成形品を型から取り出すときに、支障となる型または成形品の凸凹部をいう。
【0009】
本発明にかかる浴室によれば、洗い場の床パネル上面には多数の面状凸部が近接して設けられているので、浴室使用者がどの方法に向いても滑ることがおき難い安全な浴室を構成することができる。
【0010】
また、上面流路と立面流路とが通じており、立面流路は排水溝の下半部にまで達するように設けられているので、床パネル上面に残留する水は、上面流路から立面流路を経て速やかに排水溝へと導かれる。したがって、床パネル上面と、排水溝との境界付近に水が残留することがなく、床パネル上面の水分の大半が迅速に除去され、床パネル上に残る水分の量が少ないので、極めて短時間内に床パネル上面の全体を乾燥させることが可能となる。
【0011】
また上面流路の形状にアンダーカット部がない。アンダーカット部がない形状は、例えば立面流路を、排水溝の長さ方向に対して略直交する方向に形成することにより達成することができる。このように、本発明にかかる浴室の上面流路の形状にはアンダーカット部がないので、平面部だけに溝を形成した従来の床パネルと同じ程度の費用で同じ型を作ることができる。なお、床パネルは、SMC、BMC成形等の方法によりプレス成型される。「SMC成形」とは、シート状の成形材料を圧縮成形機、金型を使用して成形する方法をいう。主として、強化繊維プラスチック(FRP)によって、大型成形品を生産するのに採用される。また、「BMC成形(バルクモールディングコンパウンド成形)」とは、チョップドストランドを主体として強化繊維基材と、マトリックスをあらかじめ混練した塊状の成形材料BMCを用い、加熱した金型へチャージして型締を行ない成形する方法をいう。
【0012】
上記のように立面流路の形状として、アンダーカット部を生じない構成をとることにより、単純な形状の安価な金型を使用することが可能となり、生産性の向上や、コストダウンに資することが容易となる。また、このような金型の使用により成型中の故障の発生も少ないという利点がある。
【0013】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0015】
図1は、浴室全体を表す平面図である。図2は、図1におけるII−II線に沿った断面の概略を示す図である。以下に図1および図2を参照しつつ本発明の一実施形態である浴室1について説明する。浴室1は、いわゆるユニットバスとして形成されている。略直方体のユニットバスを構成する6面のうち、周囲に立設されている4面の壁のうち2つの断面21、22の下部が図2に示されている。一方、断面21、22の上部、および天井は図示が省略されている。図1に示される平面視によれば、浴室1は、洗い場2と浴槽エリア3とに二分されている。洗い場2はその側面21の一部が開口されており、浴室出入口4が設けられている。
【0016】
浴室1を使用する者は、浴室出入口4に設けられたドア4aを浴室内部側に押し開いて、浴室内部の洗い場2に入ることができる。洗い場2は底面が床パネル5として構成されている。洗い場2の長手方向の一端側にカウンター6が設けられており、カウンター6には、必要に応じて鏡や石鹸置き場などが備えられ、使用者の便宜が図られている。
【0017】
浴槽エリア3には、バスタブ11が備えられている。バスタブ11の底部には排水口12が設けられ、使用時にはバス栓12aがはめ込まれ、湯がバスタブ11内に貯湯される。浴槽エリア3内のバスタブ11側部には水栓14a、および湯栓14bが設けられ、これらを操作することにより、蛇口13からバスタブ11内に所望の温度の湯を注ぎ込むことができる。なお、湯の供給は不図示の給湯器によっているが、本願発明に直接の関係を持たないのでその説明は省略する。
【0018】
浴槽エリア3と洗い場2との間には排水溝7が設けられている。また、洗い場2のカウンター6が設けられている辺の端部にも排水溝7aが設けられている(図1の平面視においては、排水溝7aはカウンター6の下側の隠れた位置にあるため2点鎖線で示されている。)。さらに排水溝7および、7aの一端側には排水トラップ8が設けられ、その上部はトラップカバーにて覆われている。
【0019】
バスタブ11からオーバーフローされた湯は排水溝7を経て、排水トラップ8より不図示の排水システムへと排出される。一方、洗い場2の床パネル5には、浴室出入り口4から排水トラップ8の方向にわずかな傾斜がつけられている。すなわち、図1の上下方向では上方が高く下方が低くなるように、洗い場2のカウンター6が設けられている辺に対向する辺からカウンター6が設けられている辺に向かって傾斜が設けられている。また、左右方向では、左側が高く右側が低くなるように、洗い場2の浴槽エリア3に隣接する辺に対向する側から浴槽エリア3に隣接する辺に向かって、傾斜が設けられている。(左右方向に関して、図2のA−B間では、AからBへと次第に低くなる傾斜が付けられている。)したがって、洗い場2において、使用者が洗い流した湯は、床パネル5の傾斜に沿って排水溝7、7aへと流れ、排水トラップ8から排水システムへと排出される。
【0020】
本実施形態において、好ましい傾斜の勾配は1/30〜1/60、より好ましくは1/40〜1/50である。勾配がこれより急峻になると、浴室としての快適さが失われる。また勾配がこれより緩やかであると、排水性能が不十分になる。
【0021】
排水溝7、7aは、断面略「U」字型に形成されている。浴室1はユニットバスとして形成されているので、床パネル5、排水溝7、7a、およびバスタブ11は一体として連続的に形成されている。したがって、排水溝7の洗い場側立面24の上端は、床パネル5の端部に連続して設けられている。一方、浴槽洗い場側立面23の下部が、排水溝7の浴槽側立面となっている。
【0022】
図3は図1における破線に囲まれたIIIで示される床パネル5の上面部分を拡大して示す図であり、図4は図3において破線に囲まれたIVで示される床パネル5上面の部分をさらに拡大して示す図である。また、図5は、浴室1のパネルにおいて、洗い場2から排水溝7を経てバスタブ11の洗い場側立面23の下部に至る部分をカットして示す斜視図である。(a)は斜め左上45°付近の視点からの斜視図であり、(b)は正面やや上方からの斜視図である。さらに、図6は図3におけるVI−VI線に沿った断面の概略を示す図である。以下に、図3〜図6を参照しつつ、床パネル5、および排水溝7の排水構造について説明する。
【0023】
床パネル5の上面には、碁盤の目状に多数の縦上面流路41、41、41、…と横上面流路42、42、42、…とが形成されている。これらの縦横方向に形成された上面流路に囲まれるようにして、多数の矩形を呈する面状の凸部40、40、40、…も形成されている。さらにそれぞれの面状の凸部40において、凸部40を平面視において斜め方向に分断するように、斜行流路43、44が設けられている。斜行流路43、44により面状凸部40は、3つのエリア40a、40b、40cに分割されている。また、斜行流路43、44の両端は、縦上面流路41、41、41、…、横上面流路42、42、42、…、または他の斜行流路のいずれかに通じている。このような斜行流路43、44による面状凸部40の分断の方向は、一定ではなくランダムに配列されている。
【0024】
図5(a)を参照して、縦上面流路41、41、41、…は、床パネル5から排水溝7にいたる面のうち、床パネル5が形成する平面の部分にのみ形成されている。
【0025】
一方、横上面流路42、42、42、…は、床パネル5から排水溝7にいたる曲面にかけて連続的に形成され、排水溝7において立面流路50、50、50、…を構成している。床パネル5の横上面流路42、42、42、…から排水溝7に連続して設けられた立面流路50、50、50、…の先端は、排水溝7の洗い場側立面24の下半部24Lにまで達している。ここに、排水溝7の洗い場側立面24の下半部とは、床パネル5上面(平面部)の高さHと、排水溝7底面の高さ(平面がないときは最低部の高さ)Lとの平均高さMより下方に位置する排水溝7の洗い場側立面をいうものとする(図6参照)。
【0026】
本実施形態において、斜行流路43、44により仕切られる3つのエリア40a、40b、40cからなる面状凸部40の形状は必ずしも正方形である必要はなく、菱形や長方形の方形でもよく、また、例えば三角形、五角形以上の多角形であってもよい。
【0027】
床パネル5上に水玉を発生させず、残水を素早く排水溝に導くという観点から、また、面状凸部40の一辺の長さを、5mm〜15mm、より好ましくは、8mm〜12mmとするとよい。また、同様な観点から、3つのエリア40a、40b、40cの形状は三角形、四角形、五角形等の多角形であり、一辺の長さを3mm〜10mmとすることが好ましい。
【0028】
また、流路41、42、43、44に関しても、床パネル5上に水玉を発生させず、残水を素早く排水溝に導くという観点から、その幅は、底部において0.6mm〜2.0mm、より好ましくは0.8mm〜1.0mmとするとよい。同様に、流路の深さに関しては、0.6mm〜1.2mm、より好ましくは0.7mm〜0.9mmとすることが望ましい。さらに流路の深さ、および幅をほぼ一定に形成することが、残水を素早く排水溝7に導く上から好ましい。
【0029】
上記のように床パネル5および排水溝7の流路41、42、43、44、50が形成されている浴室1は、以下の特徴を有するものである。すなわち、床パネル5の上面に多数の面状凸部40が形成されており、さらにこの面状凸部のそれぞれは流路により面状凸部40が有する四辺とは異なる方向に分断され、かつその分断の方向が各面状凸部においてランダムに配列されているので、どの方向に対しても滑りにくく、かつ水玉が形成され難い構造の床面となっている。また、床パネル5の上面に縦横、斜め方向に形成された流路41、42、43、44は、排水溝7の洗い場側立面24の下半部24Lにまで延設された立面流路50に通じているので、床パネル5上の水分は、床パネル5につけられた適度な傾斜と相俟って、これらの流路41、42、43、44、50によって、素早く排水溝7へと導かれ、床パネル5上の残水が極めて少ない。したがって残水が蒸発に要する時間を短縮することが容易となり、床パネル5の素早い乾燥を実現することができる。
【0030】
図7は、図6に示される断面の部分(以下において「パネル80」という。)をプレス成型する際の、型抜き工程を示す概略断面図である。パネル80のプレス成型は、上型60と下型70との間に、例えばFRP等の所定材料を充填し、圧縮の後、上型60と下型70とを上下方向に引き離し、製品としてのパネル80を得ることができる。この上型60と下型70とを上下方向に引き離す際に、パネル80の形状にいわゆるアンダーカット部があると、製品と型との分離がうまく行かないので、通常アンダーカット部がある場合には、この部分の型を別体(スライドコア)で構成して、型の開閉のたびにこのスライドコアを移動させてから製品を取り出さなければならない。したがってアンダーカット部があると、複雑で高価な金型、手間のかかる工程を必要とし、また成型中の故障の発生も多いものである。
【0031】
しかし、本実施形態にかかる浴室1においては、アンダーカット部が出やすい立面部の流路として、正面視で垂直方向にのみ立面流路50、50、50、…を形成し、横方向に流路を設けることはしなかったので、アンダーカットを出さずに、排水溝洗い場側立面の下半部24Lまで流路を形成することが可能となった。したがって、パネルをSMC、MBC等の材料によりプレス成型する際に、単純な形状の安価な金型を使用することが可能となり、生産性の向上や、コストダウンに資することが容易となる。また、このような金型の使用により成型中の故障の発生も少ないという利点がある。
【0032】
本実施形態の浴室1を製造する際の、抜き勾配(型抜きの方向に対する製品立面部の角度)は、3°以上、とすることが望ましい。抜き勾配をこれ以下にすると、型抜きの際に型と製品との間に大きな摩擦が生じ、製品表面に傷が発生する場合があるので好ましくない。
【0033】
【実施例】
<1> 試験方法
勾配を変えることができる装置に、パネルを固定して、パネル中央部よりやや水上側(排水溝と反対側)に所定量の水を注いだ。このときの水の流れを目視にて観察した。また、パネル表面が完全に乾燥するまでの時間を計測した。
【0034】
<2> 試験条件
勾配は1/60に設定した。注いだ水の量は100ccであった。乾燥時の周囲温度は30℃、湿度60%であった。
【0035】
<3> 評価対象パネル
パネルA:上記本発明実施形態にかかるもの。
パネルB:パネルAで、立面流路が形成されていないもの。
【0036】
<4> 評価結果
パネルAでは、面状凸部により水玉が形成されず、縦横流路、および斜行流路へと水が流れ込み、面状凸部には水が残らない状態で全ての水が排水溝へと滞りなく排水された。また、パネル上に濡れた状態で残った少量の水分は、1時間で全量が蒸発し、パネル上面は乾燥状態となった。
【0037】
一方、パネルBは、上面に水玉は形成されなかったものの、パネルの排水溝際に明らかな水残りが認められた。この水残りは、1時間経過しても全てが蒸発することはなく、一部が残っていた。パネルBでは、立面流路が形成されていないため、床パネルの傾斜及び平面流路により床パネル上の水は床パネルと排水溝立面とが連続される曲面の床パネル端部に導かれ、そこで水の表面張力により一定の大きさの水滴になる。この水滴が所定の大きさを超えると表面張力が曲面の傾斜に抗しきれなくなって、水滴は排水溝へと落ち込んでゆく。したがって、床パネル上の水分が少なくなってくると、もはや床パネル端部に形成された水滴は、曲面の傾斜に沿って排水溝側へと落ち込むほどには大きくなりえず、中途半端な大きさのまま床パネル端部において水滴となって残ってしまう。上記1時間後の水残りは、この残水が全部蒸発せずに残ったため観察されたものと認められる。
【0038】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う浴室もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【0039】
例えば以下に示す変形例は本願発明の技術的範囲に属するものと解釈されるべきものである。
【0040】
<変形例> 上記実施形態においては、浴室をユニットバスとして構成した例を説明したが、本発明においては、床パネルと排水溝とが一体に形成されていれば足り、バスタブ、側壁、出入り口、天井等は別体に形成してもよい。
【0041】
また、床パネルおよび排水溝を形成する材料として、SMC、BMCを例にあげたが本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、ステンレス鋼等の金属材料により構成することも可能である。
【0042】
さらに、排水溝は、浴槽側とカウンター側の両方に設けられた例を示したが、これらのうちいずれか一方だけに設けてもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明にかかる浴室によれば、洗い場の床パネル上面には多数の面状凸部が近接して設けられているので、浴室使用者がどの方法に向いても滑ることがおき難い安全な浴室を構成することができる。
【0044】
また、上面流路と立面流路とが通じており、立面流路は排水溝の下半部にまで達するように設けられているので、床パネル上面に残留する水は、上面流路から立面流路を経て速やかに排水溝へと導かれる。したがって、床パネル上面と、排水溝との境界付近に水が残留することがなく、床パネル上面の水分の大半が迅速に除去され、床パネル上に残る水分の量が少ないので、極めて短時間内に床パネル上面を乾燥させることが可能となる。
【0045】
また上面流路の形状にアンダーカット部がないので、床パネルをSMC、BMC等の材料によりプレス成型する際に、単純な形状の安価な金型を使用することが可能となり、生産性の向上や、コストダウンに資することが容易となる。また、このような金型の使用により、平面部だけに溝を形成した従来のものと同程度の費用で同じ型を作ることができ、成型中の故障の発生も少ないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】浴室全体を表す平面図である。
【図2】図1におけるII−II線に沿った断面の概略を示す図である。
【図3】図1における破線に囲まれたIIIで示される部分を拡大して示す図である。
【図4】図3における破線に囲まれたIVで示される部分を拡大して示す図である。
【図5】浴室の、洗い場から排水溝を経て浴槽の洗い場側立面の下部に至る部分をカットして示す斜視図である。(a)は斜め左上45°付近の視点からの斜視図であり、(b)は正面やや上方からの斜視図である。
【図6】図3におけるVI−VI線に沿った断面の概略を示す図である。
【図7】プレス成型における型抜きの工程の概略を示す断面図である。
【符号の説明】
1 浴室
2 洗い場
5 床パネル
6 カウンター
7、7a 排水溝
23 浴槽洗い場側立面
24 排水溝の洗い場側立面
24L 排水溝の洗い場側立面下半部
41、42、43、44 上面流路
50 立面流路
【発明の属する技術分野】
本発明は、水の乾燥が早められた床パネルを備えた浴室に関する。
【0002】
【従来の技術】
浴室は、幼児や老人も使用するので、床が滑りにくい安全な構造を持つことが要求されている。また、浴室を清潔に保つため、浴室の内部表面はなるべく早く乾燥することが望ましい。浴室の床パネル表面に関し、特許文献1には、先端面に滑り防止用の凹凸を有した多数の突部が互いに近接して突出し、突部の間の床パネル本体の上面は平滑面であって隣接する突部の間に水を流す流水部を形成し、突部の先端面は床パネル本体の上面の勾配方向に長くかつ長手方向の両端部が中間部よりも幅狭となる形状を有し、突部の両側縁はそれぞれ曲線であって隣り合う突部の側縁は互いに異なる形状の曲線であることを特徴とする浴室用床パンが開示され、この床パネルは、どの向きに踏んでも滑らないという効果を奏することが説明されている。
【0003】
一方、特許文献2では、表面に滑り止め用の凸部と、これら凸部の間に排水口又は流し溝に連続する流路が形成され、少なくとも該流路の上に水玉の表面張力を破壊する凹凸形状部が重ねて形成されていることを特徴とする浴室用床パネルが開示されている。この特許文献2に開示された浴室用床パネルによれば、たとえ前夜の使用により表面に水が残ったとしても翌日には確実に乾燥しているという効果が得られるものとされている。
【特許文献1】
特開平6−93745号公報
【特許文献2】
特開2002−54295号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に開示された浴室用床パネルの構造によれば、どの方向に踏んでも滑らないという効果は奏せられるものの、床パネル表面に残った水分を除去するという面では、さほどの効果は認められていない。また、特許文献2に開示された浴室用床パネルの構造によれば、床パネル表面に形成される水玉を破壊することにより、水分は翌日に確実に乾燥するとはいうものの、床パネル表面には一定量の水が残る構造であり、この残った水は蒸発によってのみ床表面から除去されるので、残った水分を全て蒸発させるためには所定の時間を待たざるを得ないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、滑り止め効果を維持しつつ、表面に残った水分を迅速に除去することが容易な床パネルを備えた浴室を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本願発明者らは、上記従来の技術では、床パネル上の水分の蒸発に長時間を要していることに注目し、蒸発させるべき床パネル上面残水の量を極力少なくすることによって、全体としての乾燥時間を大幅に短縮することが可能であるという着想を得た。このため、床パネル上面の水分をできるだけ多く排水溝に導くことができるように流路の構造に工夫を凝らし、かつこの流路の構造は、プレス成型の際に容易な工程により生産可能なものとした。
【0007】
以下、本発明について具体的に説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0008】
本発明の浴室(1)は、少なくとも浴槽洗い場側立面(23)側部、またはカウンター(6)の前面側立面下部のいずれかに洗い場(2)の床パネル(5)に連続するパネルとして構成される排水溝(7、7a)を具備し、洗い場の床パネル上面には多数の面状凸部(40、40a、40b、40c)を近接して設けることにより凸部に対応する凹部が上面流路(41、42、43、44)として形成され、排水溝の洗い場側立面(24)にはその一端側が上面流路に通じるとともに、他端側は排水溝洗い場側立面の下半部(24L)にまで達する立面流路(50)が設けられ、立面流路の形状はパネル成形の際にアンダーカット部が生じないように形成されていることを特徴とするものである。ここに「アンダーカット」とは、成形品を型から取り出すときに、支障となる型または成形品の凸凹部をいう。
【0009】
本発明にかかる浴室によれば、洗い場の床パネル上面には多数の面状凸部が近接して設けられているので、浴室使用者がどの方法に向いても滑ることがおき難い安全な浴室を構成することができる。
【0010】
また、上面流路と立面流路とが通じており、立面流路は排水溝の下半部にまで達するように設けられているので、床パネル上面に残留する水は、上面流路から立面流路を経て速やかに排水溝へと導かれる。したがって、床パネル上面と、排水溝との境界付近に水が残留することがなく、床パネル上面の水分の大半が迅速に除去され、床パネル上に残る水分の量が少ないので、極めて短時間内に床パネル上面の全体を乾燥させることが可能となる。
【0011】
また上面流路の形状にアンダーカット部がない。アンダーカット部がない形状は、例えば立面流路を、排水溝の長さ方向に対して略直交する方向に形成することにより達成することができる。このように、本発明にかかる浴室の上面流路の形状にはアンダーカット部がないので、平面部だけに溝を形成した従来の床パネルと同じ程度の費用で同じ型を作ることができる。なお、床パネルは、SMC、BMC成形等の方法によりプレス成型される。「SMC成形」とは、シート状の成形材料を圧縮成形機、金型を使用して成形する方法をいう。主として、強化繊維プラスチック(FRP)によって、大型成形品を生産するのに採用される。また、「BMC成形(バルクモールディングコンパウンド成形)」とは、チョップドストランドを主体として強化繊維基材と、マトリックスをあらかじめ混練した塊状の成形材料BMCを用い、加熱した金型へチャージして型締を行ない成形する方法をいう。
【0012】
上記のように立面流路の形状として、アンダーカット部を生じない構成をとることにより、単純な形状の安価な金型を使用することが可能となり、生産性の向上や、コストダウンに資することが容易となる。また、このような金型の使用により成型中の故障の発生も少ないという利点がある。
【0013】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0015】
図1は、浴室全体を表す平面図である。図2は、図1におけるII−II線に沿った断面の概略を示す図である。以下に図1および図2を参照しつつ本発明の一実施形態である浴室1について説明する。浴室1は、いわゆるユニットバスとして形成されている。略直方体のユニットバスを構成する6面のうち、周囲に立設されている4面の壁のうち2つの断面21、22の下部が図2に示されている。一方、断面21、22の上部、および天井は図示が省略されている。図1に示される平面視によれば、浴室1は、洗い場2と浴槽エリア3とに二分されている。洗い場2はその側面21の一部が開口されており、浴室出入口4が設けられている。
【0016】
浴室1を使用する者は、浴室出入口4に設けられたドア4aを浴室内部側に押し開いて、浴室内部の洗い場2に入ることができる。洗い場2は底面が床パネル5として構成されている。洗い場2の長手方向の一端側にカウンター6が設けられており、カウンター6には、必要に応じて鏡や石鹸置き場などが備えられ、使用者の便宜が図られている。
【0017】
浴槽エリア3には、バスタブ11が備えられている。バスタブ11の底部には排水口12が設けられ、使用時にはバス栓12aがはめ込まれ、湯がバスタブ11内に貯湯される。浴槽エリア3内のバスタブ11側部には水栓14a、および湯栓14bが設けられ、これらを操作することにより、蛇口13からバスタブ11内に所望の温度の湯を注ぎ込むことができる。なお、湯の供給は不図示の給湯器によっているが、本願発明に直接の関係を持たないのでその説明は省略する。
【0018】
浴槽エリア3と洗い場2との間には排水溝7が設けられている。また、洗い場2のカウンター6が設けられている辺の端部にも排水溝7aが設けられている(図1の平面視においては、排水溝7aはカウンター6の下側の隠れた位置にあるため2点鎖線で示されている。)。さらに排水溝7および、7aの一端側には排水トラップ8が設けられ、その上部はトラップカバーにて覆われている。
【0019】
バスタブ11からオーバーフローされた湯は排水溝7を経て、排水トラップ8より不図示の排水システムへと排出される。一方、洗い場2の床パネル5には、浴室出入り口4から排水トラップ8の方向にわずかな傾斜がつけられている。すなわち、図1の上下方向では上方が高く下方が低くなるように、洗い場2のカウンター6が設けられている辺に対向する辺からカウンター6が設けられている辺に向かって傾斜が設けられている。また、左右方向では、左側が高く右側が低くなるように、洗い場2の浴槽エリア3に隣接する辺に対向する側から浴槽エリア3に隣接する辺に向かって、傾斜が設けられている。(左右方向に関して、図2のA−B間では、AからBへと次第に低くなる傾斜が付けられている。)したがって、洗い場2において、使用者が洗い流した湯は、床パネル5の傾斜に沿って排水溝7、7aへと流れ、排水トラップ8から排水システムへと排出される。
【0020】
本実施形態において、好ましい傾斜の勾配は1/30〜1/60、より好ましくは1/40〜1/50である。勾配がこれより急峻になると、浴室としての快適さが失われる。また勾配がこれより緩やかであると、排水性能が不十分になる。
【0021】
排水溝7、7aは、断面略「U」字型に形成されている。浴室1はユニットバスとして形成されているので、床パネル5、排水溝7、7a、およびバスタブ11は一体として連続的に形成されている。したがって、排水溝7の洗い場側立面24の上端は、床パネル5の端部に連続して設けられている。一方、浴槽洗い場側立面23の下部が、排水溝7の浴槽側立面となっている。
【0022】
図3は図1における破線に囲まれたIIIで示される床パネル5の上面部分を拡大して示す図であり、図4は図3において破線に囲まれたIVで示される床パネル5上面の部分をさらに拡大して示す図である。また、図5は、浴室1のパネルにおいて、洗い場2から排水溝7を経てバスタブ11の洗い場側立面23の下部に至る部分をカットして示す斜視図である。(a)は斜め左上45°付近の視点からの斜視図であり、(b)は正面やや上方からの斜視図である。さらに、図6は図3におけるVI−VI線に沿った断面の概略を示す図である。以下に、図3〜図6を参照しつつ、床パネル5、および排水溝7の排水構造について説明する。
【0023】
床パネル5の上面には、碁盤の目状に多数の縦上面流路41、41、41、…と横上面流路42、42、42、…とが形成されている。これらの縦横方向に形成された上面流路に囲まれるようにして、多数の矩形を呈する面状の凸部40、40、40、…も形成されている。さらにそれぞれの面状の凸部40において、凸部40を平面視において斜め方向に分断するように、斜行流路43、44が設けられている。斜行流路43、44により面状凸部40は、3つのエリア40a、40b、40cに分割されている。また、斜行流路43、44の両端は、縦上面流路41、41、41、…、横上面流路42、42、42、…、または他の斜行流路のいずれかに通じている。このような斜行流路43、44による面状凸部40の分断の方向は、一定ではなくランダムに配列されている。
【0024】
図5(a)を参照して、縦上面流路41、41、41、…は、床パネル5から排水溝7にいたる面のうち、床パネル5が形成する平面の部分にのみ形成されている。
【0025】
一方、横上面流路42、42、42、…は、床パネル5から排水溝7にいたる曲面にかけて連続的に形成され、排水溝7において立面流路50、50、50、…を構成している。床パネル5の横上面流路42、42、42、…から排水溝7に連続して設けられた立面流路50、50、50、…の先端は、排水溝7の洗い場側立面24の下半部24Lにまで達している。ここに、排水溝7の洗い場側立面24の下半部とは、床パネル5上面(平面部)の高さHと、排水溝7底面の高さ(平面がないときは最低部の高さ)Lとの平均高さMより下方に位置する排水溝7の洗い場側立面をいうものとする(図6参照)。
【0026】
本実施形態において、斜行流路43、44により仕切られる3つのエリア40a、40b、40cからなる面状凸部40の形状は必ずしも正方形である必要はなく、菱形や長方形の方形でもよく、また、例えば三角形、五角形以上の多角形であってもよい。
【0027】
床パネル5上に水玉を発生させず、残水を素早く排水溝に導くという観点から、また、面状凸部40の一辺の長さを、5mm〜15mm、より好ましくは、8mm〜12mmとするとよい。また、同様な観点から、3つのエリア40a、40b、40cの形状は三角形、四角形、五角形等の多角形であり、一辺の長さを3mm〜10mmとすることが好ましい。
【0028】
また、流路41、42、43、44に関しても、床パネル5上に水玉を発生させず、残水を素早く排水溝に導くという観点から、その幅は、底部において0.6mm〜2.0mm、より好ましくは0.8mm〜1.0mmとするとよい。同様に、流路の深さに関しては、0.6mm〜1.2mm、より好ましくは0.7mm〜0.9mmとすることが望ましい。さらに流路の深さ、および幅をほぼ一定に形成することが、残水を素早く排水溝7に導く上から好ましい。
【0029】
上記のように床パネル5および排水溝7の流路41、42、43、44、50が形成されている浴室1は、以下の特徴を有するものである。すなわち、床パネル5の上面に多数の面状凸部40が形成されており、さらにこの面状凸部のそれぞれは流路により面状凸部40が有する四辺とは異なる方向に分断され、かつその分断の方向が各面状凸部においてランダムに配列されているので、どの方向に対しても滑りにくく、かつ水玉が形成され難い構造の床面となっている。また、床パネル5の上面に縦横、斜め方向に形成された流路41、42、43、44は、排水溝7の洗い場側立面24の下半部24Lにまで延設された立面流路50に通じているので、床パネル5上の水分は、床パネル5につけられた適度な傾斜と相俟って、これらの流路41、42、43、44、50によって、素早く排水溝7へと導かれ、床パネル5上の残水が極めて少ない。したがって残水が蒸発に要する時間を短縮することが容易となり、床パネル5の素早い乾燥を実現することができる。
【0030】
図7は、図6に示される断面の部分(以下において「パネル80」という。)をプレス成型する際の、型抜き工程を示す概略断面図である。パネル80のプレス成型は、上型60と下型70との間に、例えばFRP等の所定材料を充填し、圧縮の後、上型60と下型70とを上下方向に引き離し、製品としてのパネル80を得ることができる。この上型60と下型70とを上下方向に引き離す際に、パネル80の形状にいわゆるアンダーカット部があると、製品と型との分離がうまく行かないので、通常アンダーカット部がある場合には、この部分の型を別体(スライドコア)で構成して、型の開閉のたびにこのスライドコアを移動させてから製品を取り出さなければならない。したがってアンダーカット部があると、複雑で高価な金型、手間のかかる工程を必要とし、また成型中の故障の発生も多いものである。
【0031】
しかし、本実施形態にかかる浴室1においては、アンダーカット部が出やすい立面部の流路として、正面視で垂直方向にのみ立面流路50、50、50、…を形成し、横方向に流路を設けることはしなかったので、アンダーカットを出さずに、排水溝洗い場側立面の下半部24Lまで流路を形成することが可能となった。したがって、パネルをSMC、MBC等の材料によりプレス成型する際に、単純な形状の安価な金型を使用することが可能となり、生産性の向上や、コストダウンに資することが容易となる。また、このような金型の使用により成型中の故障の発生も少ないという利点がある。
【0032】
本実施形態の浴室1を製造する際の、抜き勾配(型抜きの方向に対する製品立面部の角度)は、3°以上、とすることが望ましい。抜き勾配をこれ以下にすると、型抜きの際に型と製品との間に大きな摩擦が生じ、製品表面に傷が発生する場合があるので好ましくない。
【0033】
【実施例】
<1> 試験方法
勾配を変えることができる装置に、パネルを固定して、パネル中央部よりやや水上側(排水溝と反対側)に所定量の水を注いだ。このときの水の流れを目視にて観察した。また、パネル表面が完全に乾燥するまでの時間を計測した。
【0034】
<2> 試験条件
勾配は1/60に設定した。注いだ水の量は100ccであった。乾燥時の周囲温度は30℃、湿度60%であった。
【0035】
<3> 評価対象パネル
パネルA:上記本発明実施形態にかかるもの。
パネルB:パネルAで、立面流路が形成されていないもの。
【0036】
<4> 評価結果
パネルAでは、面状凸部により水玉が形成されず、縦横流路、および斜行流路へと水が流れ込み、面状凸部には水が残らない状態で全ての水が排水溝へと滞りなく排水された。また、パネル上に濡れた状態で残った少量の水分は、1時間で全量が蒸発し、パネル上面は乾燥状態となった。
【0037】
一方、パネルBは、上面に水玉は形成されなかったものの、パネルの排水溝際に明らかな水残りが認められた。この水残りは、1時間経過しても全てが蒸発することはなく、一部が残っていた。パネルBでは、立面流路が形成されていないため、床パネルの傾斜及び平面流路により床パネル上の水は床パネルと排水溝立面とが連続される曲面の床パネル端部に導かれ、そこで水の表面張力により一定の大きさの水滴になる。この水滴が所定の大きさを超えると表面張力が曲面の傾斜に抗しきれなくなって、水滴は排水溝へと落ち込んでゆく。したがって、床パネル上の水分が少なくなってくると、もはや床パネル端部に形成された水滴は、曲面の傾斜に沿って排水溝側へと落ち込むほどには大きくなりえず、中途半端な大きさのまま床パネル端部において水滴となって残ってしまう。上記1時間後の水残りは、この残水が全部蒸発せずに残ったため観察されたものと認められる。
【0038】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う浴室もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【0039】
例えば以下に示す変形例は本願発明の技術的範囲に属するものと解釈されるべきものである。
【0040】
<変形例> 上記実施形態においては、浴室をユニットバスとして構成した例を説明したが、本発明においては、床パネルと排水溝とが一体に形成されていれば足り、バスタブ、側壁、出入り口、天井等は別体に形成してもよい。
【0041】
また、床パネルおよび排水溝を形成する材料として、SMC、BMCを例にあげたが本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、ステンレス鋼等の金属材料により構成することも可能である。
【0042】
さらに、排水溝は、浴槽側とカウンター側の両方に設けられた例を示したが、これらのうちいずれか一方だけに設けてもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明にかかる浴室によれば、洗い場の床パネル上面には多数の面状凸部が近接して設けられているので、浴室使用者がどの方法に向いても滑ることがおき難い安全な浴室を構成することができる。
【0044】
また、上面流路と立面流路とが通じており、立面流路は排水溝の下半部にまで達するように設けられているので、床パネル上面に残留する水は、上面流路から立面流路を経て速やかに排水溝へと導かれる。したがって、床パネル上面と、排水溝との境界付近に水が残留することがなく、床パネル上面の水分の大半が迅速に除去され、床パネル上に残る水分の量が少ないので、極めて短時間内に床パネル上面を乾燥させることが可能となる。
【0045】
また上面流路の形状にアンダーカット部がないので、床パネルをSMC、BMC等の材料によりプレス成型する際に、単純な形状の安価な金型を使用することが可能となり、生産性の向上や、コストダウンに資することが容易となる。また、このような金型の使用により、平面部だけに溝を形成した従来のものと同程度の費用で同じ型を作ることができ、成型中の故障の発生も少ないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】浴室全体を表す平面図である。
【図2】図1におけるII−II線に沿った断面の概略を示す図である。
【図3】図1における破線に囲まれたIIIで示される部分を拡大して示す図である。
【図4】図3における破線に囲まれたIVで示される部分を拡大して示す図である。
【図5】浴室の、洗い場から排水溝を経て浴槽の洗い場側立面の下部に至る部分をカットして示す斜視図である。(a)は斜め左上45°付近の視点からの斜視図であり、(b)は正面やや上方からの斜視図である。
【図6】図3におけるVI−VI線に沿った断面の概略を示す図である。
【図7】プレス成型における型抜きの工程の概略を示す断面図である。
【符号の説明】
1 浴室
2 洗い場
5 床パネル
6 カウンター
7、7a 排水溝
23 浴槽洗い場側立面
24 排水溝の洗い場側立面
24L 排水溝の洗い場側立面下半部
41、42、43、44 上面流路
50 立面流路
Claims (1)
- 少なくとも浴槽洗い場側立面側部、またはカウンターの前面側立面下部のいずれかに、洗い場の床パネルに連続するパネルとして構成される排水溝を具備し、
前記洗い場の床パネル上面には多数の面状凸部を近接して設けることにより前記凸部に対応する凹部が上面流路として形成され、
前記排水溝の前記洗い場側立面には、その一端側が前記上面流路に通じるとともに、他端側は前記排水溝洗い場側立面の下半部にまで達する立面流路が設けられ、
前記立面流路の形状は、前記パネル成形の際にアンダーカット部が生じないように形成されている
ことを特徴とする浴室。
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