JP2004109899A - 複合位相差光学素子及びその製造方法、液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】薄型化及び低コスト化を実現しつつ、同時に、液晶の光学特性の変化を効果的に補償することのできる複合位相差光学素子、その製造方法及び該複合位相差光学素子を備えた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有し、且つ、基材として使用可能な厚さの第1の位相差フィルム12と、この第1の位相差フィルム12に重ねて設けられ、フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有する第2の位相差フィルム14とを有してなる複合位相差光学素子10とした。
【選択図】 図1
【解決手段】フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有し、且つ、基材として使用可能な厚さの第1の位相差フィルム12と、この第1の位相差フィルム12に重ねて設けられ、フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有する第2の位相差フィルム14とを有してなる複合位相差光学素子10とした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複合位相差光学素子、その製造方法及び液晶表示装置に関し、特に、薄型化及び低コスト化を実現しつつ、同時に、液晶の光学特性の変化を効果的に補償することのできる複合位相差光学素子、その製造方法及び該複合位相差光学素子を用いた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8は、一般的な液晶表示装置の構造の一例を示す斜視図である。
【0003】
液晶表示装置100は、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル104と、を備えている。偏光板102A、102Bは所定の方向の振動面を有する直線偏光のみを選択的に通過させるように構成されており、該所定の方向が相互に直角となるように対向してクロスニコル状に配置されている。液晶セル104は多数のセルを有して構成され、偏光板102A、102Bの間に配置されている。
【0004】
例えば、負の誘電異方性を有するネマチック液晶が液晶セル104に封止されたVA方式の場合、入射側の偏光板102Aを透過した直線偏光は駆動状態のセルを透過する際、位相シフトされて直交する直線偏光となり出射側の偏光板102Bを透過し、出射される。一方、セルが非駆動状態である場合、入射側の偏光板102Aを透過した直線偏光は位相シフトされることなくセルを透過し、出射側の偏光板102Bで遮断される。尚、セルが非駆動状態で出射側の偏光板から光を出射し、駆動状態で光を遮断するように構成された液晶表示装置も存在する。液晶セル104の駆動電圧を各セル毎に適宜制御することにより、出射側の偏光板102B側に所望の画像を表示することができる。
【0005】
一方、液晶セル104は複屈折性を有しており、厚さ方向の屈折率と面方向の屈折率とが異なる。このため、偏光板102Aを透過した直線偏光のうち法線から傾斜した方向に入射する光は液晶セル104を透過する際に位相差が生じて楕円偏光となる。尚、位相差の大きさは液晶セル104内に封入された液晶分子の屈折率異方性、セル厚及び透過光の波長にも影響される。
【0006】
従って、例えばあるセルが非駆動状態で、本来直線偏光をそのまま透過させ、出射側の偏光板102Bで遮断すべき場合であっても、法線から傾斜した方向に透過する光の一部が出射側の偏光板102Bから洩れてしまうことがある。
【0007】
このため、液晶表示装置100は、正面から観察される画像に対し、法線から傾斜した方向から観察される画像の表示品位(コントラスト等)が悪化しやすいという視角依存性の問題を有している。
【0008】
このような液晶表示装置の視角依存性を改善するために、様々な技術が開発されている。その一手段として、例えば特許文献1に示されるように、コレステリック規則性の分子構造を有し、複屈折性を示す位相差層を液晶セルと偏光板との間に配設することにより光学補償を行うようにした技術が提案されており、特許文献1の実施例には、ガラス基板上に高分子膜を成膜し、該高分子膜によって視角補償を行う技術が開示されている。
【0009】
又、特許文献2には、液晶ポリマーよりなる光学的異方性層を三酢酸セルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が提案されている。
【0010】
更に、特許文献3には、熱可塑性高分子からなる1軸配向した位相差フィルム上に高分子液晶を成膜し複合位相差層フィルムを製造する方法が提案されている。
【0011】
【特許文献1】
特開平3−67219号公報(実施例2)
【0012】
【特許文献2】
特開2000−155215号公報
【0013】
【特許文献3】
特開平6−148429号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1〜3を含め、従来の液晶を用いた位相差光学素子は、位相差層を成膜する場合に、ガラス基板、フィルム等の基材が別に必要となるため、その分、位相差光学素子、ひいては液晶表示装置全体の厚さが厚くなったり、コスト高になってしまうといった問題があった。
【0015】
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであって、薄型化及び低コスト化を実現しつつ、同時に、液晶の光学特性の変化を効果的に補償することのできる複合位相差光学素子、その製造方法及び該複合位相差光学素子を備えた液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有し、且つ、基材として使用可能な厚さの第1の位相差フィルムと、この第1の位相差フィルムに重ねて設けられ、フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有する第2の位相差フィルムとを有してなる複合位相差光学素子とすることにより、上記課題を解決したものである。
【0017】
本発明によれば、第1の位相差フィルムを光学補償を行なう位相差フィルムとしてだけでなく、基材としても使用可能であるため、別の基材を用意する必要が無く、複合位相差光学素子の薄型化及び低コスト化が可能である。
【0018】
なお、前記第2の位相差フィルムを、プレーナー配向されたコレステリック規則性の液晶分子構造を有し、且つ、選択反射波長が400nm以下である少なくとも1つの層で構成してもよい。
【0019】
又、フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有し、且つ、基材として使用可能な厚さの第1の位相差フィルムと、この第1の位相差フィルムに重ねて設けられ、フィルムの面内方向が実質的に光軸であり正の1軸性を有する第2の位相差フィルムとを有してなる複合位相差光学素子としてもよく、この場合には、前記第2の位相差層を、面内に配向されたネマチック規則性の液晶分子構造を有する少なくとも1つの層で構成してもよい。
【0020】
更に、フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有し、且つ、基材として使用可能な厚さの第1の位相差フィルムと、この第1の位相差フィルムに重ねて設けられ、フィルムの面内方向が実質的に光軸であり正の1軸性を有する第2の位相差フィルムと、この第2の位相差フィルムに重ねて設けられ、フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有する第3の位相差フィルムとを有してなる複合位相差光学素子としてもよく、前記第2の位相差フィルムを、面内に配向されたネマチック規則性の液晶分子構造を有する少なくとも1つの層とするか、前記第3の位相差フィルムを、プレーナー配向されたコレステリック規則性の液晶分子構造を有し、且つ、選択反射波長が400nm以下である少なくとも1つの層としてもよい。
【0021】
又、上記位相差フィルムの配置を変えてもよく、例えば、前記第2の位相差フィルムを、前記第1の位相差フィルムと前記第3の位相差フィルムとの間に設けてもよく、又、前記第3の位相差フィルムを、前記第1の位相差フィルムと前記第2の位相差フィルムとの間に設けてもよい。
【0022】
なお、前記第1の位相差フィルムの厚さを約10μm〜200μmとするのが好ましく、又、40μm〜100μmとするのがより好ましい。
【0023】
又、前記第1の位相差層は、その表面及び該表面に設けられた配向膜の一方による配向規制力を有する三酢酸セルロースとしてもよい。
【0024】
上記複合位相差光学素子は、材料として液晶モノマー又は液晶オリゴマーを用いることができ、例えば、2層の複合位相差光学素子は、コレステリック規制力を有する重合性モノマー又はオリゴマーを含む液晶分子を、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上にコーティングする工程と、前記液晶分子を、前記配向規制力によって配向させた状態で、3次元架橋して選択反射波長が400nm以下である第2の位相差層を形成する工程と、を含んでなる製造方法や、ネマチック規則性を有する重合性モノマー又はオリゴマーを含む液晶分子を、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上にコーティングする工程と、前記液晶分子を、前記配向膜の配向規制力によって配向させた状態で、3次元架橋して第2の位相差層を形成する工程と、を含んでなる製造方法によって製造可能である。
【0025】
又、3層の複合位相差光学素子は、ネマチック規則性を有する重合性モノマー又はオリゴマーを含む液晶分子を、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上にコーティングする工程と、該液晶分子を、前記配向膜の配向規制力によって配向させた状態で、3次元架橋して第2の位相差層を形成する工程と、該第2の位相差層上に、コレステリック規則性を有する、他の重合性モノマー又はオリゴマーを含む液晶分子を直接コーティングする工程と、該他の液晶分子を、前記3次元架橋した第2の位相差層表面の配向規制力を用いて配向してから、3次元架橋させて選択反射波長が400nm以下である第3の位相差層を形成する工程と、を含んでなる製造方法や、コレステリック規則性を有する重合性モノマー又はオリゴマーを含む液晶分子を、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上にコーティングする工程と、該液晶分子を、前記配向膜の配向規制力によって配向させた状態で、3次元架橋して選択反射波長が400nm以下である第2の位相差層を形成する工程と、該第2の位相差層上に、ネマチック規則性を有する、他の重合性モノマー又はオリゴマーを含む液晶分子を直接コーティングする工程と、該他の液晶分子を、前記3次元架橋した第2の位相差層表面の配向規制力を用いて配向してから、3次元架橋させて第3の位相差層を形成する工程と、を含んでなることを特徴とする複合位相差光学素子の製造方法によって、製造可能である。
【0026】
更に、上記複合位相差光学素子は、材料として液晶ポリマーを用いることもでき、例えば、2層の複合位相差光学素子は、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上に、コレステリック規則性を有する液晶ポリマーをコーティングする工程と、該液晶ポリマーを前記配向膜の配向規制力によって配向させた後、冷却によりガラス状態にして選択反射波長が400nm以下である第2の位相差層を形成する工程と、を含んでなる製造方法や、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上に、ネマチック規則性を有する液晶ポリマーをコーティングする工程と、該液晶ポリマーを前記配向膜の配向規制力によって配向させた後、冷却によりガラス状態にして第2の位相差層を形成する工程と、を含んでなる製造方法で製造可能である。
【0027】
又、3層の複合位相差光学素子は、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上に、ネマチック規則性を有する液晶ポリマーをコーティングする工程と、該液晶ポリマーを前記配向膜の配向規制力によって配向させた後、冷却によりガラス状態にして第2の位相差層を形成する工程と、該第2の位相差層上に、コレステリック規則性を有する他の液晶ポリマーを直接コーティングする工程と、該他の液晶ポリマーを前記ガラス状態にした第2の位相差層表面の配向規制力を用いて配向させた後、冷却によりガラス状態にして選択反射波長が400nm以下である第3の位相差層を形成する工程と、を含んでなる製造方法や、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上に、コレステリック規則性を有する液晶ポリマーをコーティングする工程と、該液晶ポリマーを前記配向膜の配向規制力によって配向させた後、冷却によりガラス状態にして選択反射波長が400nm以下である第2の位相差層を形成する工程と、該第2の位相差層上に、ネマチック規則性を有する他の液晶ポリマーを直接コーティングする工程と、該他の液晶ポリマーを前記ガラス状態にした第2の位相差層表面の配向規制力を用いて配向させた後、冷却によりガラス状態にして第3の位相差層を形成する工程と、を含んでなる製造方法で製造可能である。
【0028】
上記製造方法においては、前記三酢酸セルロースフィルム上に配向膜をあらかじめ成膜しておいてもよく、又、前記重合性モノマー又はオリゴマーを含む液晶分子、又は、前記液晶ポリマーをコーティングし、配向する際に、隣接する他の位相差層の表面に、更に配向膜を積層することで、前記位相差層の配向を行なってもよい。
【0029】
なお、上記複合位相差光学素子を、液晶セルと偏光板との間に配置し、液晶セルの法線方向以外の方向の偏光状態を補償する液晶表示装置としてもよい。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態の例に係る複合位相差光学素子10を示したものであり、該複合位相差光学素子10は、第1の位相差フィルム(以下、単に第1位相差フィルムと称す。)12と、この第1の位相差フィルム12に重ねて設けられた第2の位相差フィルム(以下、単に第2位相差フィルムと称す。)14とから構成されている。
【0032】
第1位相差フィルム12は、フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有し、且つ、基材として使用可能な厚さを有している。なお、この例では、第1位相差フィルム12の材料として、三酢酸セルロース(TAC)を用いている。
【0033】
同様に、前記第2位相差フィルム14も、フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有している。
【0034】
即ち、第1、第2位相差フィルム12、14は、それぞれ複屈折性を有しており、厚さ方向の屈折率と面方向の屈折率とが異なる。従って、法線から傾斜した方向の直線偏光には位相差を生じさせて楕円偏光とし、逆に法線から傾斜した方向の楕円偏光を直線偏光にすることも可能である。尚、法線の方向に透過する直線偏光には位相差を生じさせることなく直線偏光としてそのまま透過させる。
【0035】
又、第2位相差フィルム14は、プレーナー配向されたコレステリック規則性の液晶分子構造を有し、且つ、選択反射波長が400nm以下であるように構成されている。
【0036】
ここで、「液晶分子」という用語は、一般的には液体の流動性及び結晶の異方性を兼ね備えた状態の分子という意義で用いられるが、本明細書においては、流動性及び異方性を有する状態から該異方性を保持しつつ固化された分子についても便宜上、「液晶分子」という用語を用いることとする。
【0037】
尚、第2位相差フィルム(コレステリック位相差フィルム)14の選択反射波長を400nm以下であるように構成したのは、液晶分子の螺旋構造による選択反射によって着色が生じることを防止するためである。
【0038】
以下、第2位相差フィルム14の選択反射波長について簡単に説明する。
【0039】
コレステリック規則性を有する位相差フィルムは一般的に、液晶のプレーナー配列のヘリカル軸に沿って入射した自然光の右旋及び左旋の2つの円偏光のうちの一方を選択的に反射する性質を有している。
【0040】
この現象は、円偏光2色性として知られ、液晶分子の螺旋構造における旋回方向を適宜選択すると、該旋回方向と同一の旋光方向を持つ円偏光が選択的に反射される。
【0041】
この場合の最大旋光偏光光散乱は、次の(1)式の選択波長λ0で生じる。
【0042】
λ0=nav・p …(1)
pは液晶分子の螺旋構造におけるヘリカルピッチ、navはヘリカル軸に直交する平面内の平均屈折率である。
【0043】
Δλ=Δn・p …(2)
Δλは波長バンド幅、Δnは複屈折値である。
【0044】
即ち、コレステリック規則性を有する位相差フィルムは、選択波長λ0を中心とした波長バンド幅Δλの範囲の光の右旋又は左旋の円偏光成分の一方を反射し、他方の円偏光成分及び他の波長領域の光(無偏光)を透過させる。尚、反射された右旋又は左旋円偏光は、通常の反射と異なり、位相が反転することなくそのまま反射される。
【0045】
可視光線の波長バンドは約400〜800nmであるので、選択反射波長が400nm以下であるように第2位相差フィルム14を構成することにより、可視光線の反射による着色を防止することができ、且つ、ヘリカル軸に対して斜めに入射した光に対して、位相シフト作用を発現させることができる。
【0046】
このように、2つの第1、第2位相差フィルム12,14を併用することにより、液晶の光学特性の変化を効果的に補償することができる。
【0047】
しかも、第1位相差フィルム12は、光学補償を行う位相差フィルムとしてだけでなく、基材としても使用可能であるため、別の基材を用意する必要が無く、複合位相差光学素子10の薄型化及び低コスト化が可能である。
【0048】
なお、より高い効果を得るには、前記第1位相差フィルム12の厚さを約10μm〜200μmとするのが好ましく、又、40μm〜100μmとするのがより好ましい。
【0049】
次に、図2を用いて、本発明の実施の形態の第2例に係る複合位相差光学素子20について説明する。
【0050】
該複合位相差光学素子20は、第1位相差フィルム22と、この第1位相差フィルム22に重ねて設けられた第2位相差フィルム24とから構成されている。
【0051】
該第1位相差フィルム22は、前記複合位相差光学素子10の第1位相差フィルム12と同じであり、フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有し、且つ、基材として使用可能な厚さを有している。
【0052】
一方、前記第2位相差フィルム24は、ネマチック規則性の液晶分子構造を有しており、フィルムの面内方向が実質的に光軸であり正の1軸性を有するフィルムである。
【0053】
即ち、第2位相差フィルム(ネマチック位相差フィルム)24は、複屈折性を有しているが、ダイレクターの方向の屈折率と、ダイレクターに垂直な方向の屈折率とが異なる。従って、面に沿う方向でも、ダイレクターの方向の屈折率と、ダイレクターに垂直な方向の屈折率とは異なる。又、面に沿うダイレクターに垂直な方向の屈折率と厚さ方向の屈折率とが等しい。
【0054】
このように、複屈折の態様が方向的に異なる第1、第2位相差フィルム22,24を併用することによっても、上記複合位相差光学素子10と同様の効果を得ることができる。
【0055】
次に、図3を用いて、本発明の実施の形態の第3例に係る複合位相差光学素子30について説明する。
【0056】
図3中の(A)は、本発明の実施の形態の第3例に係る複合位相差光学素子30を示したものであり、該複合位相差光学素子30は、第1位相差フィルム32と、この第1位相差フィルム32に重ねて設けられた第2位相差フィルム34と、この第2位相差フィルム34に重ねて設けられた第3の位相差フィルム(以下、単に第3位相差フィルムと称す。)36とから構成されている。
【0057】
なお、第1位相差フィルム32は、前記第1位相差フィルム12(22)と、第2位相差フィルム34は、前記複合位相差光学素子10の第2位相差フィルム14と、第3位相差フィルム36は、前記複合位相差光学素子20の第2位相差フィルムとそれぞれ同じであるため、説明は省略する。
【0058】
このように、第1、第2、第3位相差フィルム32,34、36を併用することによって、光学補償効果を更に高めることができる。
【0059】
尚、上記実施の形態の第3例に係る複合位相差光学素子30においては、第2位相差フィルム34をコレステリック位相差フィルム、第3位相差フィルム36をネマチック位相差フィルムとしたが、本発明はこれに限定されない。従って、例えば、図3中の(B)に示すように、第2位相差フィルム44をネマチック位相差フィルム、第3位相差フィルム46をコレステリック位相差フィルムとしてもよい。更に、前記第1〜第3位相差フィルムは、他の液晶分子構造を有するものであってもよい。
【0060】
次に、前記複合位相差光学素子30を用いて、コレステリック位相差層34及びネマチック位相差層36の材料及び製造方法について説明する。
【0061】
コレステリック位相差層34及びネマチック位相差層36は、材料として液晶性モノマー又は液晶性オリゴマーを用いて3次元架橋したり、材料として液晶ポリマーを用いてガラス状態に固化することにより製造することができる。
【0062】
ここで、3次元架橋とは、重合性モノマー又はオリゴマー分子が互いに3次元的に重合し網目(ネットワーク)構造になっていることを意味する。このような状態になっていると、液晶分子をコレステリック構造、ネマチック構造の状態に保持したままで光学的に固定し、常温で安定したフィルム状の光学膜として構成することができるので、取扱性を向上させることができる。
【0063】
まず、位相差層の材料とし液晶性モノマー又は液晶性オリゴマーを用いる場合について説明する。
【0064】
重合性モノマー分子(又は重合性オリゴマー分子)を所定の温度で液晶相にするとネマチック液晶になる。又、これに任意のカイラル剤を添加すれば、カイラルネマチック液晶(コレステリック液晶)となる。
【0065】
尚、重合性モノマー分子(又は重合性オリゴマー分子)は、溶媒に溶かしたコーティング液としてもよいが、この場合は、紫外線や電子線照射を照射して3次元架橋させる前に溶媒を蒸発させるための乾燥工程が必要となる。
【0066】
3次元架橋可能なモノマー分子としては、例えば特開平7−258638号公報や特表平10−508882号公報で開示されているような、液晶性モノマー及びキラル化合物の混合物がある。より具体的な例を示すと、例えば一般化学式(1)〜(11)に示されるような液晶性モノマーを用いることができる。尚、一般化学式(11)で示される液晶性モノマーの場合、Xは2〜5(整数)であることが望ましい。
【0067】
【化1】
【0068】
【化2】
【0069】
【化3】
【0070】
【化4】
【0071】
【化5】
【0072】
【化6】
【0073】
【化7】
【0074】
【化8】
【0075】
【化9】
【0076】
【化10】
【0077】
【化11】
【0078】
又、カイラル剤としては、例えば一般化学式(12)〜(14)に示されるようなカイラル剤を用いることができる。尚、一般化学式(12)、(13)で示されるカイラル剤の場合、Xは2〜12(整数)であることが望ましく、又、一般化学式(14)で示されるカイラル剤の場合、Xが2〜5(整数)であることが望ましい。
【0079】
【化12】
【0080】
【化13】
【0081】
【化14】
【0082】
又、オリゴマー分子を用いる場合は、特開昭57−165480号公報で開示されているようなコレステリック相を有する環式オルガノポリシロキ酸化合物等が望ましい。
【0083】
まず、コレステリック位相差層形成工程について説明する。
【0084】
この実施の形態の例では、重合性モノマー分子又は重合性オリゴマー分子に、カイラル剤を数%〜10%程度入れることによりコレステリック液晶を得る。尚、カイラル剤の種類を変えてカイラルパワーを変えるか、あるいは、カイラル剤の濃度を変化させることにより、コレステリック液晶の選択反射波長帯域を調整することができる。
【0085】
最初に、図4(A)に示されるように、TACフィルム32上に配向膜17を形成しておき、その上に、図4(B)に示されるように、重合性モノマー分子(又は重合性オリゴマー分子)18をコーティングし、配向膜17の配向規制力によって配向(このとき、コーティングされた重合性モノマー分子等はコレステリック液晶層を構成している)させる。なお、コーティング液に溶媒を含む場合は、コーティング工程後に溶媒を除去するための乾燥工程が含まれる。又、前記TACフィルム32は、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされている。
【0086】
次に、上記配向状態のままで、図4(C)に示されるように、重合性モノマー分子(又は重合性オリゴマー分子)18を、予め添加しておいた光開始材と外部から照射した紫外線によって重合を開始させるか、又は電子線で直接重合を開始させて、3次元架橋(ポリマー化)させることにより、コレステリック位相差層34を得る。
【0087】
配向膜17の配向規制力の方向を同配向膜17の膜上の全範囲で実質的に一致させておけば、これと接触する側の表面34Aにおける液晶分子のダイレクターの方向を、該面内で実質的に一致させることができる。
【0088】
なお、配向膜17は、従来知られている方法で作成する。例えば、前述のようにTACフィルム32上にPI(ポリイミド)又はPVA(ポリビニルアルコール)を成膜し、ラビングする方法、TACフィルム32上に光配向膜となる高分子化合物を成膜し、偏光UV(紫外線)を照射する方法、延伸したPET(ポリエチレンテレフタレート)等のフィルムを用いる方法等がある。
【0089】
次に、ネマチック位相差層形成工程について説明する。
【0090】
まず、図4(D)に示されるように、所定の温度でネマチック構造の液晶相とした重合性モノマー分子(又は重合性オリゴマー分子)19を別途用意し、これをコレステリック位相差層34の上に直接コーティングし、該コーティングした液晶の厚さ方向の一方の表面における液晶分子のダイレクターの方向を、前記3次元架橋させたコレステリック位相差層34の表面の配向規制力によって規制する(このとき、コーティングされた重合性モノマー分子等はネマチック液晶層を構成している)。この状態で、図4(E)に示されるように、前述と同様の紫外線照射又は電子線単独照射によって3次元架橋させて固化させ、ネマチック位相差層36を得る。なお、コーティング液に溶媒を含む場合は、コーティング工程後に溶媒を除去するための乾燥工程が含まれる。
【0091】
これにより、複合位相差光学素子30が完成する。
【0092】
本発明の実施形態の例に係る複合位相差光学素子30の製造方法によれば、複合位相差光学素子30の製造が容易となる。しかも、第2位相差フィルム34の表面34Bが有する配向規制力を用いて第3位相差フィルム36の液晶分子を配向させることができるため、生産性の向上が可能である。なお、表面34B自体の配向規制力が弱い場合は、ラビングしても良い。
【0093】
なお、図5に示すように、ネマチック位相差フィルム36と隣接するコレステリック位相差フィルム34の表面34Bに、更に、配向膜17Aを積層することで、ネマチック位相差層36の配向を行っても、同様の効果を得ることができる。
【0094】
次に、図6を参照して位相差層の材料としてポリマー(高分子)液晶を用いる場合について説明する。
【0095】
まず、コレステリック位相差層形成工程について説明する。
【0096】
この材料としては、液晶ポリマーそれ自体にカイラル能を有しているコレステリック液晶ポリマーそのものを用いてもよいし、ネマチック系液晶ポリマーとコレステリック系液晶ポリマーの混合物を用いてもよい。
【0097】
例えば、液晶を呈するメソゲン基を主鎖、側鎖、あるいは主鎖及び側鎖の位置に導入した高分子、コレステリル基を側鎖に導入した高分子コレステリック液晶や、例えば、特開平9−133810号公報で開示されているような液晶性高分子、特開平11−293252号公報で開示されているような液晶性高分子を用いる。
【0098】
このような液晶ポリマーは、温度によって状態が変わり、例えばガラス転移温度が90℃、アイソトロピック転移温度が200℃である場合は、90℃〜200℃の間でコレステリック液晶状態を呈し、これを室温まで冷却すればコレステリック構造を保持したままガラス状態で固化させることができる。
【0099】
尚、予め液晶ポリマーを溶媒に溶かしておいてコーティング液としてもよいが、この場合は冷却前に溶媒を蒸発させるための乾燥工程が必要となる。
【0100】
又、コレステリック構造に起因する選択反射波長帯域を調整するためには、コレステリック液晶ポリマー分子の場合は、液晶分子中のカイラルパワーを公知の方法で調整すればよい。又、ネマチック系液晶ポリマーとコレステリック系液晶ポリマーの混合物を用いる場合は、その混合比を調整すればよい。
【0101】
まず、図6(A)に示されるように、前述と同様に、TACフィルム32上に配向膜17を形成しておく。
【0102】
次に、図6(B)に示されるように、配向膜17上に、コレステリック系液晶ポリマー層52をコーティングし、配向膜17の配向規制力によって液晶分子を配向させる(このときコレステリック液晶層が形成される)。
【0103】
この状態でコレステリック系液晶ポリマー層52を冷却して液晶分子をガラス状態に固化させれば、図6(C)に示されるように、コレステリック位相差層34を得ることができる。
【0104】
尚、前述と同様に、配向膜17の全範囲において配向規制力の方向を実質的に一致させておけば、これと接触する液晶分子のダイレクターの方向を、面内で実質的に一致させることができる。
【0105】
次に、ネマチック位相差層形成工程について説明する。
【0106】
この材料としては、ネマチック系液晶ポリマーを用いる。例えば、上記特開平11−293252号公報で開示されているようなネマチック配向性の液晶ポリマー等を用いる。
【0107】
このような液晶ポリマーは、温度によって状態が変わり、所定の温度範囲でネマチック液晶状態を呈し、これを室温まで冷却すればネマチック構造を保持したままガラス状態で固化させることができる。
【0108】
まず、図6(D)に示されるように、ネマチック系液晶ポリマー54を別途用意し、これをコレステリック位相差層34の表面34B上に直接コーティングし、該コーティングした液晶の厚さ方向の一方の表面における液晶分子のダイレクターの方向を、前記固化させたコレステリック位相差層34の表面34Bの配向規制力によって規制する。この状態で、図6(E)に示されるように、冷却して液晶分子をガラス状態に固化させ、ネマチック位相差層36を得る。
【0109】
これにより、複合位相差光学素子30が完成する。
【0110】
なお、上記実施の形態の例においては、TACフィルム32上に配向膜17を設けたが、本発明はこれに限定されず、配向膜17を設ける代わりに、一方の表面に実質的に配向規制力を備えたTACフィルムを使用してもよい。
【0111】
又、上記実施の形態の例において、いずれの場合も最初にコレステリック位相差層34を形成し、次にネマチック位相差層36を形成して、コレステリック位相差層34の表面の配向規制力によりネマチック位相差層36のダイレクターの方向を規制しているが、本発明はこれに限定されるものでなく、最初にネマチック位相差層36を形成し、次にコレステリック位相差層34を形成してネマチック位相差層36の表面の配向規制力によりコレステリック位相差層34のダイレクターの方向を規制してもよい。
【0112】
更に、TACフィルム32上に、コレステリック位相差層34又はネマチック位相差層36のいずれか1層のみを積層してもよい。
【0113】
次に、図7を参照して、本発明の液晶表示装置の実施の形態の例について説明する。
【0114】
この実施の形態の例に係る液晶表示装置60は、前記図8に示される従来の液晶表示装置100に対して、光出射側の偏光板102Bと液晶セル104との間に、前記実施の形態の例に係る位相差光学素子10を配設したものである。他の構成については前記液晶表示装置100と同様であるので説明を省略する。
【0115】
このように、本発明の実施形態に係る複合位相差光学素子10で液晶セル104の位相差を補償することにより、液晶表示装置100の薄型化及び低コスト化を実現しつつ、同時に、液晶セル104の光学特性の変化を効果的に補償することのできる。
【0116】
又、光学的補償の態様により、複合位相差光学素子10を光入射側の偏光板102Aと液晶セル104との間に配設してもよく、液晶セル104の両側に配設してもよい。このように複合位相差光学素子10を液晶セル104の両側に配設すれば、より理想的な光学補償が可能になる。なお、液晶セル104の片側又は両側に位相差光学素子10を複数配設してもよい。
【0117】
又、前記実施の形態の例において、液晶表示装置60は光が厚さ方向の一方側から他方側に透過する透過型であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明に係る位相差光学素子は反射型、又は半透過型の液晶表示装置にも適用可能である。
【0118】
【発明の効果】
本発明によれば、薄型化及び低コスト化を実現しつつ、同時に、液晶の光学特性の変化を効果的に補償することのできる複合位相差光学素子、その製造方法及び該複合位相差光学素子を備えた液晶表示装置を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の例に係る複合位相差光学素子を模式的に示す斜視図
【図2】同実施の形態の第2例に係る複合位相差光学素子を模式的に示す斜視図
【図3】同実施の形態の第3例に係る複合位相差光学素子を模式的に示す斜視図
【図4】同実施の形態の例に係る複合位相差光学素子の製造工程を示す略示断面図
【図5】同複合位相差光学素子の他の製造工程を示す略示断面図
【図6】同複合位相差光学素子の他の製造工程を示す略示断面図
【図7】本発明の実施の形態の例に係る液晶表示装置を示す略示断面図
【図8】従来の液晶表示装置を示す略示分解斜視図
【符号の説明】
10、20、30、40…複合位相差光学素子
12、22、32、42…第1位相差フィルム
14、24、34、44・・・第2位相差フィルム
36、46・・・第3位相差フィルム
34A、34B、36A、36B…表面
17…配向膜
17A…第2の配向膜
18、19…重合性モノマー分子(重合性オリゴマー分子)
52、54…液晶ポリマー層
60、100…液晶表示装置
102A、102B…偏光板
104…液晶セル
【発明の属する技術分野】
この発明は、複合位相差光学素子、その製造方法及び液晶表示装置に関し、特に、薄型化及び低コスト化を実現しつつ、同時に、液晶の光学特性の変化を効果的に補償することのできる複合位相差光学素子、その製造方法及び該複合位相差光学素子を用いた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8は、一般的な液晶表示装置の構造の一例を示す斜視図である。
【0003】
液晶表示装置100は、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル104と、を備えている。偏光板102A、102Bは所定の方向の振動面を有する直線偏光のみを選択的に通過させるように構成されており、該所定の方向が相互に直角となるように対向してクロスニコル状に配置されている。液晶セル104は多数のセルを有して構成され、偏光板102A、102Bの間に配置されている。
【0004】
例えば、負の誘電異方性を有するネマチック液晶が液晶セル104に封止されたVA方式の場合、入射側の偏光板102Aを透過した直線偏光は駆動状態のセルを透過する際、位相シフトされて直交する直線偏光となり出射側の偏光板102Bを透過し、出射される。一方、セルが非駆動状態である場合、入射側の偏光板102Aを透過した直線偏光は位相シフトされることなくセルを透過し、出射側の偏光板102Bで遮断される。尚、セルが非駆動状態で出射側の偏光板から光を出射し、駆動状態で光を遮断するように構成された液晶表示装置も存在する。液晶セル104の駆動電圧を各セル毎に適宜制御することにより、出射側の偏光板102B側に所望の画像を表示することができる。
【0005】
一方、液晶セル104は複屈折性を有しており、厚さ方向の屈折率と面方向の屈折率とが異なる。このため、偏光板102Aを透過した直線偏光のうち法線から傾斜した方向に入射する光は液晶セル104を透過する際に位相差が生じて楕円偏光となる。尚、位相差の大きさは液晶セル104内に封入された液晶分子の屈折率異方性、セル厚及び透過光の波長にも影響される。
【0006】
従って、例えばあるセルが非駆動状態で、本来直線偏光をそのまま透過させ、出射側の偏光板102Bで遮断すべき場合であっても、法線から傾斜した方向に透過する光の一部が出射側の偏光板102Bから洩れてしまうことがある。
【0007】
このため、液晶表示装置100は、正面から観察される画像に対し、法線から傾斜した方向から観察される画像の表示品位(コントラスト等)が悪化しやすいという視角依存性の問題を有している。
【0008】
このような液晶表示装置の視角依存性を改善するために、様々な技術が開発されている。その一手段として、例えば特許文献1に示されるように、コレステリック規則性の分子構造を有し、複屈折性を示す位相差層を液晶セルと偏光板との間に配設することにより光学補償を行うようにした技術が提案されており、特許文献1の実施例には、ガラス基板上に高分子膜を成膜し、該高分子膜によって視角補償を行う技術が開示されている。
【0009】
又、特許文献2には、液晶ポリマーよりなる光学的異方性層を三酢酸セルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が提案されている。
【0010】
更に、特許文献3には、熱可塑性高分子からなる1軸配向した位相差フィルム上に高分子液晶を成膜し複合位相差層フィルムを製造する方法が提案されている。
【0011】
【特許文献1】
特開平3−67219号公報(実施例2)
【0012】
【特許文献2】
特開2000−155215号公報
【0013】
【特許文献3】
特開平6−148429号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1〜3を含め、従来の液晶を用いた位相差光学素子は、位相差層を成膜する場合に、ガラス基板、フィルム等の基材が別に必要となるため、その分、位相差光学素子、ひいては液晶表示装置全体の厚さが厚くなったり、コスト高になってしまうといった問題があった。
【0015】
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであって、薄型化及び低コスト化を実現しつつ、同時に、液晶の光学特性の変化を効果的に補償することのできる複合位相差光学素子、その製造方法及び該複合位相差光学素子を備えた液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有し、且つ、基材として使用可能な厚さの第1の位相差フィルムと、この第1の位相差フィルムに重ねて設けられ、フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有する第2の位相差フィルムとを有してなる複合位相差光学素子とすることにより、上記課題を解決したものである。
【0017】
本発明によれば、第1の位相差フィルムを光学補償を行なう位相差フィルムとしてだけでなく、基材としても使用可能であるため、別の基材を用意する必要が無く、複合位相差光学素子の薄型化及び低コスト化が可能である。
【0018】
なお、前記第2の位相差フィルムを、プレーナー配向されたコレステリック規則性の液晶分子構造を有し、且つ、選択反射波長が400nm以下である少なくとも1つの層で構成してもよい。
【0019】
又、フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有し、且つ、基材として使用可能な厚さの第1の位相差フィルムと、この第1の位相差フィルムに重ねて設けられ、フィルムの面内方向が実質的に光軸であり正の1軸性を有する第2の位相差フィルムとを有してなる複合位相差光学素子としてもよく、この場合には、前記第2の位相差層を、面内に配向されたネマチック規則性の液晶分子構造を有する少なくとも1つの層で構成してもよい。
【0020】
更に、フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有し、且つ、基材として使用可能な厚さの第1の位相差フィルムと、この第1の位相差フィルムに重ねて設けられ、フィルムの面内方向が実質的に光軸であり正の1軸性を有する第2の位相差フィルムと、この第2の位相差フィルムに重ねて設けられ、フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有する第3の位相差フィルムとを有してなる複合位相差光学素子としてもよく、前記第2の位相差フィルムを、面内に配向されたネマチック規則性の液晶分子構造を有する少なくとも1つの層とするか、前記第3の位相差フィルムを、プレーナー配向されたコレステリック規則性の液晶分子構造を有し、且つ、選択反射波長が400nm以下である少なくとも1つの層としてもよい。
【0021】
又、上記位相差フィルムの配置を変えてもよく、例えば、前記第2の位相差フィルムを、前記第1の位相差フィルムと前記第3の位相差フィルムとの間に設けてもよく、又、前記第3の位相差フィルムを、前記第1の位相差フィルムと前記第2の位相差フィルムとの間に設けてもよい。
【0022】
なお、前記第1の位相差フィルムの厚さを約10μm〜200μmとするのが好ましく、又、40μm〜100μmとするのがより好ましい。
【0023】
又、前記第1の位相差層は、その表面及び該表面に設けられた配向膜の一方による配向規制力を有する三酢酸セルロースとしてもよい。
【0024】
上記複合位相差光学素子は、材料として液晶モノマー又は液晶オリゴマーを用いることができ、例えば、2層の複合位相差光学素子は、コレステリック規制力を有する重合性モノマー又はオリゴマーを含む液晶分子を、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上にコーティングする工程と、前記液晶分子を、前記配向規制力によって配向させた状態で、3次元架橋して選択反射波長が400nm以下である第2の位相差層を形成する工程と、を含んでなる製造方法や、ネマチック規則性を有する重合性モノマー又はオリゴマーを含む液晶分子を、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上にコーティングする工程と、前記液晶分子を、前記配向膜の配向規制力によって配向させた状態で、3次元架橋して第2の位相差層を形成する工程と、を含んでなる製造方法によって製造可能である。
【0025】
又、3層の複合位相差光学素子は、ネマチック規則性を有する重合性モノマー又はオリゴマーを含む液晶分子を、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上にコーティングする工程と、該液晶分子を、前記配向膜の配向規制力によって配向させた状態で、3次元架橋して第2の位相差層を形成する工程と、該第2の位相差層上に、コレステリック規則性を有する、他の重合性モノマー又はオリゴマーを含む液晶分子を直接コーティングする工程と、該他の液晶分子を、前記3次元架橋した第2の位相差層表面の配向規制力を用いて配向してから、3次元架橋させて選択反射波長が400nm以下である第3の位相差層を形成する工程と、を含んでなる製造方法や、コレステリック規則性を有する重合性モノマー又はオリゴマーを含む液晶分子を、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上にコーティングする工程と、該液晶分子を、前記配向膜の配向規制力によって配向させた状態で、3次元架橋して選択反射波長が400nm以下である第2の位相差層を形成する工程と、該第2の位相差層上に、ネマチック規則性を有する、他の重合性モノマー又はオリゴマーを含む液晶分子を直接コーティングする工程と、該他の液晶分子を、前記3次元架橋した第2の位相差層表面の配向規制力を用いて配向してから、3次元架橋させて第3の位相差層を形成する工程と、を含んでなることを特徴とする複合位相差光学素子の製造方法によって、製造可能である。
【0026】
更に、上記複合位相差光学素子は、材料として液晶ポリマーを用いることもでき、例えば、2層の複合位相差光学素子は、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上に、コレステリック規則性を有する液晶ポリマーをコーティングする工程と、該液晶ポリマーを前記配向膜の配向規制力によって配向させた後、冷却によりガラス状態にして選択反射波長が400nm以下である第2の位相差層を形成する工程と、を含んでなる製造方法や、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上に、ネマチック規則性を有する液晶ポリマーをコーティングする工程と、該液晶ポリマーを前記配向膜の配向規制力によって配向させた後、冷却によりガラス状態にして第2の位相差層を形成する工程と、を含んでなる製造方法で製造可能である。
【0027】
又、3層の複合位相差光学素子は、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上に、ネマチック規則性を有する液晶ポリマーをコーティングする工程と、該液晶ポリマーを前記配向膜の配向規制力によって配向させた後、冷却によりガラス状態にして第2の位相差層を形成する工程と、該第2の位相差層上に、コレステリック規則性を有する他の液晶ポリマーを直接コーティングする工程と、該他の液晶ポリマーを前記ガラス状態にした第2の位相差層表面の配向規制力を用いて配向させた後、冷却によりガラス状態にして選択反射波長が400nm以下である第3の位相差層を形成する工程と、を含んでなる製造方法や、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上に、コレステリック規則性を有する液晶ポリマーをコーティングする工程と、該液晶ポリマーを前記配向膜の配向規制力によって配向させた後、冷却によりガラス状態にして選択反射波長が400nm以下である第2の位相差層を形成する工程と、該第2の位相差層上に、ネマチック規則性を有する他の液晶ポリマーを直接コーティングする工程と、該他の液晶ポリマーを前記ガラス状態にした第2の位相差層表面の配向規制力を用いて配向させた後、冷却によりガラス状態にして第3の位相差層を形成する工程と、を含んでなる製造方法で製造可能である。
【0028】
上記製造方法においては、前記三酢酸セルロースフィルム上に配向膜をあらかじめ成膜しておいてもよく、又、前記重合性モノマー又はオリゴマーを含む液晶分子、又は、前記液晶ポリマーをコーティングし、配向する際に、隣接する他の位相差層の表面に、更に配向膜を積層することで、前記位相差層の配向を行なってもよい。
【0029】
なお、上記複合位相差光学素子を、液晶セルと偏光板との間に配置し、液晶セルの法線方向以外の方向の偏光状態を補償する液晶表示装置としてもよい。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態の例に係る複合位相差光学素子10を示したものであり、該複合位相差光学素子10は、第1の位相差フィルム(以下、単に第1位相差フィルムと称す。)12と、この第1の位相差フィルム12に重ねて設けられた第2の位相差フィルム(以下、単に第2位相差フィルムと称す。)14とから構成されている。
【0032】
第1位相差フィルム12は、フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有し、且つ、基材として使用可能な厚さを有している。なお、この例では、第1位相差フィルム12の材料として、三酢酸セルロース(TAC)を用いている。
【0033】
同様に、前記第2位相差フィルム14も、フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有している。
【0034】
即ち、第1、第2位相差フィルム12、14は、それぞれ複屈折性を有しており、厚さ方向の屈折率と面方向の屈折率とが異なる。従って、法線から傾斜した方向の直線偏光には位相差を生じさせて楕円偏光とし、逆に法線から傾斜した方向の楕円偏光を直線偏光にすることも可能である。尚、法線の方向に透過する直線偏光には位相差を生じさせることなく直線偏光としてそのまま透過させる。
【0035】
又、第2位相差フィルム14は、プレーナー配向されたコレステリック規則性の液晶分子構造を有し、且つ、選択反射波長が400nm以下であるように構成されている。
【0036】
ここで、「液晶分子」という用語は、一般的には液体の流動性及び結晶の異方性を兼ね備えた状態の分子という意義で用いられるが、本明細書においては、流動性及び異方性を有する状態から該異方性を保持しつつ固化された分子についても便宜上、「液晶分子」という用語を用いることとする。
【0037】
尚、第2位相差フィルム(コレステリック位相差フィルム)14の選択反射波長を400nm以下であるように構成したのは、液晶分子の螺旋構造による選択反射によって着色が生じることを防止するためである。
【0038】
以下、第2位相差フィルム14の選択反射波長について簡単に説明する。
【0039】
コレステリック規則性を有する位相差フィルムは一般的に、液晶のプレーナー配列のヘリカル軸に沿って入射した自然光の右旋及び左旋の2つの円偏光のうちの一方を選択的に反射する性質を有している。
【0040】
この現象は、円偏光2色性として知られ、液晶分子の螺旋構造における旋回方向を適宜選択すると、該旋回方向と同一の旋光方向を持つ円偏光が選択的に反射される。
【0041】
この場合の最大旋光偏光光散乱は、次の(1)式の選択波長λ0で生じる。
【0042】
λ0=nav・p …(1)
pは液晶分子の螺旋構造におけるヘリカルピッチ、navはヘリカル軸に直交する平面内の平均屈折率である。
【0043】
Δλ=Δn・p …(2)
Δλは波長バンド幅、Δnは複屈折値である。
【0044】
即ち、コレステリック規則性を有する位相差フィルムは、選択波長λ0を中心とした波長バンド幅Δλの範囲の光の右旋又は左旋の円偏光成分の一方を反射し、他方の円偏光成分及び他の波長領域の光(無偏光)を透過させる。尚、反射された右旋又は左旋円偏光は、通常の反射と異なり、位相が反転することなくそのまま反射される。
【0045】
可視光線の波長バンドは約400〜800nmであるので、選択反射波長が400nm以下であるように第2位相差フィルム14を構成することにより、可視光線の反射による着色を防止することができ、且つ、ヘリカル軸に対して斜めに入射した光に対して、位相シフト作用を発現させることができる。
【0046】
このように、2つの第1、第2位相差フィルム12,14を併用することにより、液晶の光学特性の変化を効果的に補償することができる。
【0047】
しかも、第1位相差フィルム12は、光学補償を行う位相差フィルムとしてだけでなく、基材としても使用可能であるため、別の基材を用意する必要が無く、複合位相差光学素子10の薄型化及び低コスト化が可能である。
【0048】
なお、より高い効果を得るには、前記第1位相差フィルム12の厚さを約10μm〜200μmとするのが好ましく、又、40μm〜100μmとするのがより好ましい。
【0049】
次に、図2を用いて、本発明の実施の形態の第2例に係る複合位相差光学素子20について説明する。
【0050】
該複合位相差光学素子20は、第1位相差フィルム22と、この第1位相差フィルム22に重ねて設けられた第2位相差フィルム24とから構成されている。
【0051】
該第1位相差フィルム22は、前記複合位相差光学素子10の第1位相差フィルム12と同じであり、フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有し、且つ、基材として使用可能な厚さを有している。
【0052】
一方、前記第2位相差フィルム24は、ネマチック規則性の液晶分子構造を有しており、フィルムの面内方向が実質的に光軸であり正の1軸性を有するフィルムである。
【0053】
即ち、第2位相差フィルム(ネマチック位相差フィルム)24は、複屈折性を有しているが、ダイレクターの方向の屈折率と、ダイレクターに垂直な方向の屈折率とが異なる。従って、面に沿う方向でも、ダイレクターの方向の屈折率と、ダイレクターに垂直な方向の屈折率とは異なる。又、面に沿うダイレクターに垂直な方向の屈折率と厚さ方向の屈折率とが等しい。
【0054】
このように、複屈折の態様が方向的に異なる第1、第2位相差フィルム22,24を併用することによっても、上記複合位相差光学素子10と同様の効果を得ることができる。
【0055】
次に、図3を用いて、本発明の実施の形態の第3例に係る複合位相差光学素子30について説明する。
【0056】
図3中の(A)は、本発明の実施の形態の第3例に係る複合位相差光学素子30を示したものであり、該複合位相差光学素子30は、第1位相差フィルム32と、この第1位相差フィルム32に重ねて設けられた第2位相差フィルム34と、この第2位相差フィルム34に重ねて設けられた第3の位相差フィルム(以下、単に第3位相差フィルムと称す。)36とから構成されている。
【0057】
なお、第1位相差フィルム32は、前記第1位相差フィルム12(22)と、第2位相差フィルム34は、前記複合位相差光学素子10の第2位相差フィルム14と、第3位相差フィルム36は、前記複合位相差光学素子20の第2位相差フィルムとそれぞれ同じであるため、説明は省略する。
【0058】
このように、第1、第2、第3位相差フィルム32,34、36を併用することによって、光学補償効果を更に高めることができる。
【0059】
尚、上記実施の形態の第3例に係る複合位相差光学素子30においては、第2位相差フィルム34をコレステリック位相差フィルム、第3位相差フィルム36をネマチック位相差フィルムとしたが、本発明はこれに限定されない。従って、例えば、図3中の(B)に示すように、第2位相差フィルム44をネマチック位相差フィルム、第3位相差フィルム46をコレステリック位相差フィルムとしてもよい。更に、前記第1〜第3位相差フィルムは、他の液晶分子構造を有するものであってもよい。
【0060】
次に、前記複合位相差光学素子30を用いて、コレステリック位相差層34及びネマチック位相差層36の材料及び製造方法について説明する。
【0061】
コレステリック位相差層34及びネマチック位相差層36は、材料として液晶性モノマー又は液晶性オリゴマーを用いて3次元架橋したり、材料として液晶ポリマーを用いてガラス状態に固化することにより製造することができる。
【0062】
ここで、3次元架橋とは、重合性モノマー又はオリゴマー分子が互いに3次元的に重合し網目(ネットワーク)構造になっていることを意味する。このような状態になっていると、液晶分子をコレステリック構造、ネマチック構造の状態に保持したままで光学的に固定し、常温で安定したフィルム状の光学膜として構成することができるので、取扱性を向上させることができる。
【0063】
まず、位相差層の材料とし液晶性モノマー又は液晶性オリゴマーを用いる場合について説明する。
【0064】
重合性モノマー分子(又は重合性オリゴマー分子)を所定の温度で液晶相にするとネマチック液晶になる。又、これに任意のカイラル剤を添加すれば、カイラルネマチック液晶(コレステリック液晶)となる。
【0065】
尚、重合性モノマー分子(又は重合性オリゴマー分子)は、溶媒に溶かしたコーティング液としてもよいが、この場合は、紫外線や電子線照射を照射して3次元架橋させる前に溶媒を蒸発させるための乾燥工程が必要となる。
【0066】
3次元架橋可能なモノマー分子としては、例えば特開平7−258638号公報や特表平10−508882号公報で開示されているような、液晶性モノマー及びキラル化合物の混合物がある。より具体的な例を示すと、例えば一般化学式(1)〜(11)に示されるような液晶性モノマーを用いることができる。尚、一般化学式(11)で示される液晶性モノマーの場合、Xは2〜5(整数)であることが望ましい。
【0067】
【化1】
【0068】
【化2】
【0069】
【化3】
【0070】
【化4】
【0071】
【化5】
【0072】
【化6】
【0073】
【化7】
【0074】
【化8】
【0075】
【化9】
【0076】
【化10】
【0077】
【化11】
【0078】
又、カイラル剤としては、例えば一般化学式(12)〜(14)に示されるようなカイラル剤を用いることができる。尚、一般化学式(12)、(13)で示されるカイラル剤の場合、Xは2〜12(整数)であることが望ましく、又、一般化学式(14)で示されるカイラル剤の場合、Xが2〜5(整数)であることが望ましい。
【0079】
【化12】
【0080】
【化13】
【0081】
【化14】
【0082】
又、オリゴマー分子を用いる場合は、特開昭57−165480号公報で開示されているようなコレステリック相を有する環式オルガノポリシロキ酸化合物等が望ましい。
【0083】
まず、コレステリック位相差層形成工程について説明する。
【0084】
この実施の形態の例では、重合性モノマー分子又は重合性オリゴマー分子に、カイラル剤を数%〜10%程度入れることによりコレステリック液晶を得る。尚、カイラル剤の種類を変えてカイラルパワーを変えるか、あるいは、カイラル剤の濃度を変化させることにより、コレステリック液晶の選択反射波長帯域を調整することができる。
【0085】
最初に、図4(A)に示されるように、TACフィルム32上に配向膜17を形成しておき、その上に、図4(B)に示されるように、重合性モノマー分子(又は重合性オリゴマー分子)18をコーティングし、配向膜17の配向規制力によって配向(このとき、コーティングされた重合性モノマー分子等はコレステリック液晶層を構成している)させる。なお、コーティング液に溶媒を含む場合は、コーティング工程後に溶媒を除去するための乾燥工程が含まれる。又、前記TACフィルム32は、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされている。
【0086】
次に、上記配向状態のままで、図4(C)に示されるように、重合性モノマー分子(又は重合性オリゴマー分子)18を、予め添加しておいた光開始材と外部から照射した紫外線によって重合を開始させるか、又は電子線で直接重合を開始させて、3次元架橋(ポリマー化)させることにより、コレステリック位相差層34を得る。
【0087】
配向膜17の配向規制力の方向を同配向膜17の膜上の全範囲で実質的に一致させておけば、これと接触する側の表面34Aにおける液晶分子のダイレクターの方向を、該面内で実質的に一致させることができる。
【0088】
なお、配向膜17は、従来知られている方法で作成する。例えば、前述のようにTACフィルム32上にPI(ポリイミド)又はPVA(ポリビニルアルコール)を成膜し、ラビングする方法、TACフィルム32上に光配向膜となる高分子化合物を成膜し、偏光UV(紫外線)を照射する方法、延伸したPET(ポリエチレンテレフタレート)等のフィルムを用いる方法等がある。
【0089】
次に、ネマチック位相差層形成工程について説明する。
【0090】
まず、図4(D)に示されるように、所定の温度でネマチック構造の液晶相とした重合性モノマー分子(又は重合性オリゴマー分子)19を別途用意し、これをコレステリック位相差層34の上に直接コーティングし、該コーティングした液晶の厚さ方向の一方の表面における液晶分子のダイレクターの方向を、前記3次元架橋させたコレステリック位相差層34の表面の配向規制力によって規制する(このとき、コーティングされた重合性モノマー分子等はネマチック液晶層を構成している)。この状態で、図4(E)に示されるように、前述と同様の紫外線照射又は電子線単独照射によって3次元架橋させて固化させ、ネマチック位相差層36を得る。なお、コーティング液に溶媒を含む場合は、コーティング工程後に溶媒を除去するための乾燥工程が含まれる。
【0091】
これにより、複合位相差光学素子30が完成する。
【0092】
本発明の実施形態の例に係る複合位相差光学素子30の製造方法によれば、複合位相差光学素子30の製造が容易となる。しかも、第2位相差フィルム34の表面34Bが有する配向規制力を用いて第3位相差フィルム36の液晶分子を配向させることができるため、生産性の向上が可能である。なお、表面34B自体の配向規制力が弱い場合は、ラビングしても良い。
【0093】
なお、図5に示すように、ネマチック位相差フィルム36と隣接するコレステリック位相差フィルム34の表面34Bに、更に、配向膜17Aを積層することで、ネマチック位相差層36の配向を行っても、同様の効果を得ることができる。
【0094】
次に、図6を参照して位相差層の材料としてポリマー(高分子)液晶を用いる場合について説明する。
【0095】
まず、コレステリック位相差層形成工程について説明する。
【0096】
この材料としては、液晶ポリマーそれ自体にカイラル能を有しているコレステリック液晶ポリマーそのものを用いてもよいし、ネマチック系液晶ポリマーとコレステリック系液晶ポリマーの混合物を用いてもよい。
【0097】
例えば、液晶を呈するメソゲン基を主鎖、側鎖、あるいは主鎖及び側鎖の位置に導入した高分子、コレステリル基を側鎖に導入した高分子コレステリック液晶や、例えば、特開平9−133810号公報で開示されているような液晶性高分子、特開平11−293252号公報で開示されているような液晶性高分子を用いる。
【0098】
このような液晶ポリマーは、温度によって状態が変わり、例えばガラス転移温度が90℃、アイソトロピック転移温度が200℃である場合は、90℃〜200℃の間でコレステリック液晶状態を呈し、これを室温まで冷却すればコレステリック構造を保持したままガラス状態で固化させることができる。
【0099】
尚、予め液晶ポリマーを溶媒に溶かしておいてコーティング液としてもよいが、この場合は冷却前に溶媒を蒸発させるための乾燥工程が必要となる。
【0100】
又、コレステリック構造に起因する選択反射波長帯域を調整するためには、コレステリック液晶ポリマー分子の場合は、液晶分子中のカイラルパワーを公知の方法で調整すればよい。又、ネマチック系液晶ポリマーとコレステリック系液晶ポリマーの混合物を用いる場合は、その混合比を調整すればよい。
【0101】
まず、図6(A)に示されるように、前述と同様に、TACフィルム32上に配向膜17を形成しておく。
【0102】
次に、図6(B)に示されるように、配向膜17上に、コレステリック系液晶ポリマー層52をコーティングし、配向膜17の配向規制力によって液晶分子を配向させる(このときコレステリック液晶層が形成される)。
【0103】
この状態でコレステリック系液晶ポリマー層52を冷却して液晶分子をガラス状態に固化させれば、図6(C)に示されるように、コレステリック位相差層34を得ることができる。
【0104】
尚、前述と同様に、配向膜17の全範囲において配向規制力の方向を実質的に一致させておけば、これと接触する液晶分子のダイレクターの方向を、面内で実質的に一致させることができる。
【0105】
次に、ネマチック位相差層形成工程について説明する。
【0106】
この材料としては、ネマチック系液晶ポリマーを用いる。例えば、上記特開平11−293252号公報で開示されているようなネマチック配向性の液晶ポリマー等を用いる。
【0107】
このような液晶ポリマーは、温度によって状態が変わり、所定の温度範囲でネマチック液晶状態を呈し、これを室温まで冷却すればネマチック構造を保持したままガラス状態で固化させることができる。
【0108】
まず、図6(D)に示されるように、ネマチック系液晶ポリマー54を別途用意し、これをコレステリック位相差層34の表面34B上に直接コーティングし、該コーティングした液晶の厚さ方向の一方の表面における液晶分子のダイレクターの方向を、前記固化させたコレステリック位相差層34の表面34Bの配向規制力によって規制する。この状態で、図6(E)に示されるように、冷却して液晶分子をガラス状態に固化させ、ネマチック位相差層36を得る。
【0109】
これにより、複合位相差光学素子30が完成する。
【0110】
なお、上記実施の形態の例においては、TACフィルム32上に配向膜17を設けたが、本発明はこれに限定されず、配向膜17を設ける代わりに、一方の表面に実質的に配向規制力を備えたTACフィルムを使用してもよい。
【0111】
又、上記実施の形態の例において、いずれの場合も最初にコレステリック位相差層34を形成し、次にネマチック位相差層36を形成して、コレステリック位相差層34の表面の配向規制力によりネマチック位相差層36のダイレクターの方向を規制しているが、本発明はこれに限定されるものでなく、最初にネマチック位相差層36を形成し、次にコレステリック位相差層34を形成してネマチック位相差層36の表面の配向規制力によりコレステリック位相差層34のダイレクターの方向を規制してもよい。
【0112】
更に、TACフィルム32上に、コレステリック位相差層34又はネマチック位相差層36のいずれか1層のみを積層してもよい。
【0113】
次に、図7を参照して、本発明の液晶表示装置の実施の形態の例について説明する。
【0114】
この実施の形態の例に係る液晶表示装置60は、前記図8に示される従来の液晶表示装置100に対して、光出射側の偏光板102Bと液晶セル104との間に、前記実施の形態の例に係る位相差光学素子10を配設したものである。他の構成については前記液晶表示装置100と同様であるので説明を省略する。
【0115】
このように、本発明の実施形態に係る複合位相差光学素子10で液晶セル104の位相差を補償することにより、液晶表示装置100の薄型化及び低コスト化を実現しつつ、同時に、液晶セル104の光学特性の変化を効果的に補償することのできる。
【0116】
又、光学的補償の態様により、複合位相差光学素子10を光入射側の偏光板102Aと液晶セル104との間に配設してもよく、液晶セル104の両側に配設してもよい。このように複合位相差光学素子10を液晶セル104の両側に配設すれば、より理想的な光学補償が可能になる。なお、液晶セル104の片側又は両側に位相差光学素子10を複数配設してもよい。
【0117】
又、前記実施の形態の例において、液晶表示装置60は光が厚さ方向の一方側から他方側に透過する透過型であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明に係る位相差光学素子は反射型、又は半透過型の液晶表示装置にも適用可能である。
【0118】
【発明の効果】
本発明によれば、薄型化及び低コスト化を実現しつつ、同時に、液晶の光学特性の変化を効果的に補償することのできる複合位相差光学素子、その製造方法及び該複合位相差光学素子を備えた液晶表示装置を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の例に係る複合位相差光学素子を模式的に示す斜視図
【図2】同実施の形態の第2例に係る複合位相差光学素子を模式的に示す斜視図
【図3】同実施の形態の第3例に係る複合位相差光学素子を模式的に示す斜視図
【図4】同実施の形態の例に係る複合位相差光学素子の製造工程を示す略示断面図
【図5】同複合位相差光学素子の他の製造工程を示す略示断面図
【図6】同複合位相差光学素子の他の製造工程を示す略示断面図
【図7】本発明の実施の形態の例に係る液晶表示装置を示す略示断面図
【図8】従来の液晶表示装置を示す略示分解斜視図
【符号の説明】
10、20、30、40…複合位相差光学素子
12、22、32、42…第1位相差フィルム
14、24、34、44・・・第2位相差フィルム
36、46・・・第3位相差フィルム
34A、34B、36A、36B…表面
17…配向膜
17A…第2の配向膜
18、19…重合性モノマー分子(重合性オリゴマー分子)
52、54…液晶ポリマー層
60、100…液晶表示装置
102A、102B…偏光板
104…液晶セル
Claims (23)
- フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有し、且つ、基材として使用可能な厚さの第1の位相差フィルムと、この第1の位相差フィルムに重ねて設けられ、フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有する第2の位相差フィルムとを有してなる
ことを特徴とする複合位相差光学素子。 - 請求項1において、
前記第2の位相差フィルムが、プレーナー配向されたコレステリック規則性の液晶分子構造を有し、且つ、選択反射波長が400nm以下である少なくとも1つの層からなる
ことを特徴とする複合位相差光学素子。 - フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有し、且つ、基材として使用可能な厚さの第1の位相差フィルムと、この第1の位相差フィルムに重ねて設けられ、フィルムの面内方向が実質的に光軸であり正の1軸性を有する第2の位相差フィルムとを有してなる
ことを特徴とする複合位相差光学素子。 - 請求項3において、
前記第2の位相差フィルムが、面内に配向されたネマチック規則性の液晶分子構造を有する少なくとも1つの層からなる
ことを特徴とする複合位相差光学素子。 - フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有し、且つ、基材として使用可能な厚さの第1の位相差フィルムと、この第1の位相差フィルムに重ねて設けられ、フィルムの面内方向が実質的に光軸であり正の1軸性を有する第2の位相差フィルムと、この第2の位相差フィルムに重ねて設けられ、フィルムの面に立てた法線方向が実質的に光軸であり負の1軸性を有する第3の位相差フィルムとを有してなる
ことを特徴とする複合位相差光学素子。 - 請求項5において、
前記第2の位相差フィルムが、面内に配向されたネマチック規則性の液晶分子構造を有する少なくとも1つの層からなる
ことを特徴とする複合位相差光学素子。 - 請求項5又は6において、
前記第3の位相差フィルムが、プレーナー配向されたコレステリック規則性の液晶分子構造を有し、且つ、選択反射波長が400nm以下である少なくとも1つの層からなる
ことを特徴とする複合位相差光学素子。 - 請求項5乃至7のいずれかにおいて、
前記第2の位相差フィルムを、前記第1の位相差フィルムと前記第3の位相差フィルムとの間に設けた
ことを特徴とする複合位相差光学素子。 - 請求項5乃至7のいずれかにおいて、
前記第3の位相差フィルムを、前記第1の位相差フィルムと前記第2の位相差フィルムとの間に設けた
ことを特徴とする複合位相差光学素子。 - 請求項1乃至9のいずれかにおいて、
前記第1の位相差フィルムの厚さを約10μm〜200μmとした
ことを特徴とする複合位相差光学素子。 - 請求項1乃至10のいずれかにおいて、
前記第1の位相差層は、その表面及び該表面に設けられた配向膜の一方による配向規制力を有する三酢酸セルロースからなる
ことを特徴とする複合位相差光学素子。 - コレステリック規制力を有する重合性モノマー又はオリゴマーを含む液晶分子を、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上にコーティングする工程と、前記液晶分子を、前記配向規制力によって配向させた状態で、3次元架橋して選択反射波長が400nm以下である第2の位相差層を形成する工程と、を含んでなる
ことを特徴とする複合位相差光学素子の製造方法。 - ネマチック規則性を有する重合性モノマー又はオリゴマーを含む液晶分子を、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上にコーティングする工程と、前記液晶分子を、前記配向膜の配向規制力によって配向させた状態で、3次元架橋して第2の位相差層を形成する工程と、を含んでなる
ことを特徴とする複合位相差光学素子の製造方法。 - ネマチック規則性を有する重合性モノマー又はオリゴマーを含む液晶分子を、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上にコーティングする工程と、該液晶分子を、前記配向膜の配向規制力によって配向させた状態で、3次元架橋して第2の位相差層を形成する工程と、該第2の位相差層上に、コレステリック規則性を有する、他の重合性モノマー又はオリゴマーを含む液晶分子を直接コーティングする工程と、該他の液晶分子を、前記3次元架橋した第2の位相差層表面の配向規制力を用いて配向してから、3次元架橋させて選択反射波長が400nm以下である第3の位相差層を形成する工程と、を含んでなる
ことを特徴とする複合位相差光学素子の製造方法。 - コレステリック規則性を有する重合性モノマー又はオリゴマーを含む液晶分子を、配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上にコーティングする工程と、該液晶分子を、前記配向膜の配向規制力によって配向させた状態で、3次元架橋して選択反射波長が400nm以下である第2の位相差層を形成する工程と、該第2の位相差層上に、ネマチック規則性を有する、他の重合性モノマー又はオリゴマーを含む液晶分子を直接コーティングする工程と、該他の液晶分子を、前記3次元架橋した第2の位相差層表面の配向規制力を用いて配向してから、3次元架橋させて第3の位相差層を形成する工程と、を含んでなる
ことを特徴とする複合位相差光学素子の製造方法。 - 配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上に、コレステリック規則性を有する液晶ポリマーをコーティングする工程と、該液晶ポリマーを前記配向膜の配向規制力によって配向させた後、冷却によりガラス状態にして選択反射波長が400nm以下である第2の位相差層を形成する工程と、を含んでなる
ことを特徴とする複合位相差光学素子の製造方法。 - 配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上に、ネマチック規則性を有する液晶ポリマーをコーティングする工程と、該液晶ポリマーを前記配向膜の配向規制力によって配向させた後、冷却によりガラス状態にして第2の位相差層を形成する工程と、を含んでなる
ことを特徴とする複合位相差光学素子の製造方法。 - 配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上に、ネマチック規則性を有する液晶ポリマーをコーティングする工程と、該液晶ポリマーを前記配向膜の配向規制力によって配向させた後、冷却によりガラス状態にして第2の位相差層を形成する工程と、該第2の位相差層上に、コレステリック規則性を有する他の液晶ポリマーを直接コーティングする工程と、該他の液晶ポリマーを前記ガラス状態にした第2の位相差層表面の配向規制力を用いて配向させた後、冷却によりガラス状態にして選択反射波長が400nm以下である第3の位相差層を形成する工程と、を含んでなる
ことを特徴とする複合位相差光学素子の製造方法。 - 配向規制力の方向が膜上の全範囲で実質的に同一とされた第1の位相差層であり、且つ、一方の表面に実質的に配向規制力が備えられた三酢酸セルロースフィルム上に、コレステリック規則性を有する液晶ポリマーをコーティングする工程と、該液晶ポリマーを前記配向膜の配向規制力によって配向させた後、冷却によりガラス状態にして選択反射波長が400nm以下である第2の位相差層を形成する工程と、該第2の位相差層上に、ネマチック規則性を有する他の液晶ポリマーを直接コーティングする工程と、該他の液晶ポリマーを前記ガラス状態にした第2の位相差層表面の配向規制力を用いて配向させた後、冷却によりガラス状態にして第3の位相差層を形成する工程と、を含んでなる
ことを特徴とする複合位相差光学素子の製造方法。 - 請求項12乃至19のいずれかにおいて、
前記三酢酸セルロースフィルム上にあらかじめ配向膜を成膜しておく
ことを特徴とする複合位相差光学素子の製造方法。 - 請求項12乃至15のいずれかにおいて、
前記重合性モノマー又はオリゴマーを含む液晶分子をコーティングし、配向する際に、隣接する他の位相差層の表面に、更に配向膜を積層することで、前記位相差層の配向を行なう
ことを特徴とする複合位相差光学素子の製造方法。 - 請求項16乃至19のいずれかにおいて、
前記液晶ポリマーをコーティングし、配向する際に、隣接する他の位相差層の表面に、更に配向膜を積層することで、前記位相差層の配向を行なうことを特徴とする複合位相差光学素子の製造方法。 - 請求項1乃至22のいずれかに記載の複合位相差光学素子を液晶セルと偏光板との間に配置し、該液晶セルの法線方向以外の方向の偏光状態を補償する
ことを特徴とする液晶表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002275761A JP2004109899A (ja) | 2002-09-20 | 2002-09-20 | 複合位相差光学素子及びその製造方法、液晶表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002275761A JP2004109899A (ja) | 2002-09-20 | 2002-09-20 | 複合位相差光学素子及びその製造方法、液晶表示装置 |
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ID=32271862
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002275761A Withdrawn JP2004109899A (ja) | 2002-09-20 | 2002-09-20 | 複合位相差光学素子及びその製造方法、液晶表示装置 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004109899A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009276761A (ja) * | 2008-04-17 | 2009-11-26 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 複合位相差板およびその製造方法 |
KR101230811B1 (ko) * | 2004-07-07 | 2013-02-06 | 메르크 파텐트 게엠베하 | 이축 필름 ⅱ |
US8730435B2 (en) | 2009-07-17 | 2014-05-20 | Jnc Corporation | Liquid crystal display device having retardation film formed of liquid crystalline polyimide having photoreactive group |
CN118534694A (zh) * | 2024-07-26 | 2024-08-23 | 成都瑞波科材料科技有限公司 | 相位差膜、显示器件以及相位差膜的制备方法 |
-
2002
- 2002-09-20 JP JP2002275761A patent/JP2004109899A/ja not_active Withdrawn
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