JP2004109709A - ズームレンズ鏡胴、及びカメラ - Google Patents
ズームレンズ鏡胴、及びカメラ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004109709A JP2004109709A JP2002274141A JP2002274141A JP2004109709A JP 2004109709 A JP2004109709 A JP 2004109709A JP 2002274141 A JP2002274141 A JP 2002274141A JP 2002274141 A JP2002274141 A JP 2002274141A JP 2004109709 A JP2004109709 A JP 2004109709A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cam ring
- driving
- zoom lens
- lens barrel
- photographing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 230000003287 optical effect Effects 0.000 claims abstract description 58
- 230000007246 mechanism Effects 0.000 claims abstract description 17
- 230000008878 coupling Effects 0.000 claims abstract description 5
- 238000010168 coupling process Methods 0.000 claims abstract description 5
- 238000005859 coupling reaction Methods 0.000 claims abstract description 5
- 241001433879 Camarea Species 0.000 abstract description 6
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 5
- 238000003384 imaging method Methods 0.000 description 5
- 230000001105 regulatory effect Effects 0.000 description 5
- 229910052709 silver Inorganic materials 0.000 description 4
- 239000004332 silver Substances 0.000 description 4
- -1 silver halide Chemical class 0.000 description 4
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 3
- 238000006073 displacement reaction Methods 0.000 description 3
- 238000000034 method Methods 0.000 description 2
- 230000002093 peripheral effect Effects 0.000 description 2
- 238000013459 approach Methods 0.000 description 1
- 230000008859 change Effects 0.000 description 1
- 230000008602 contraction Effects 0.000 description 1
- 239000013013 elastic material Substances 0.000 description 1
- 230000006872 improvement Effects 0.000 description 1
- 230000007704 transition Effects 0.000 description 1
Images
Landscapes
- Lens Barrels (AREA)
Abstract
【課題】カム環に形成された第2のカム領域を延長形成せずにマクロ撮影を行うことができるズームレンズ鏡胴の提供。
【解決手段】光軸方向に夫々独立移動可能な複数の撮影レンズ11、12を有する撮影光学系2と、各撮影レンズを光軸方向へ独立移動させる作動機構3と、を備えたズームレンズ鏡胴1において、作動機構は各撮影レンズを光軸方向のみに移動させる固定筒21と、この固定筒により回転自在に支持され且つ各撮影レンズを回転可能に支持する複数のカム溝を有したカム環31と、カム環に回転駆動力を与える駆動手段51と、を備え、カム環は、連結弾性体45を介して連結された複数のカム環片32、33から成り、各カム環片が支持した各撮影レンズ間の光軸方向位置関係を、各カム環片により定めた軌道とは異なる関係に設定した。
【選択図】 図1
【解決手段】光軸方向に夫々独立移動可能な複数の撮影レンズ11、12を有する撮影光学系2と、各撮影レンズを光軸方向へ独立移動させる作動機構3と、を備えたズームレンズ鏡胴1において、作動機構は各撮影レンズを光軸方向のみに移動させる固定筒21と、この固定筒により回転自在に支持され且つ各撮影レンズを回転可能に支持する複数のカム溝を有したカム環31と、カム環に回転駆動力を与える駆動手段51と、を備え、カム環は、連結弾性体45を介して連結された複数のカム環片32、33から成り、各カム環片が支持した各撮影レンズ間の光軸方向位置関係を、各カム環片により定めた軌道とは異なる関係に設定した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は複数組のレンズを光軸方向へ個別に進退させることにより焦点距離を異ならせるようにしたズームレンズ鏡胴の改良に関し、特に広角と望遠撮影を可能とするズーム機能の他に、至近距離の被写体を対象とするマクロ撮影を可能にする小型カメラなどに好適なレンズ鏡胴、及びそれを用いたカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、撮影レンズの焦点距離が最短であるときの広角状態と、最長であるときの望遠状態とを選択的に切り替えることができるズームレンズ鏡胴等の可変焦点装置を備えたカメラが普及している。この種のカメラとしては、例えばデジタルカメラ、ビデオカメラ、銀塩カメラ等が知られている。
ズームレンズ鏡胴は、例えば、光軸を中心として回転自在に支持された円筒状のカム環の内部に光軸方向に沿って複数組の撮影レンズを夫々光軸方向へ独立して進退自在に支持した構成を備えている。具体的には、例えば、各撮影レンズ(群)を支持する各レンズ枠の外周から外径方向へ突設させたカムフォロアを、カム部材の内周面に形成した光軸と斜行する複数のカム溝(螺旋溝)内に夫々係合させることにより、カム部材の回転に伴って各レンズ枠が光軸方向へ移動するように構成されている。
ところで、この種の可変焦点装置を備えたカメラに対するユーザーのニーズは多岐に渡ってきており、最近では広角と望遠機能の他に、マクロ撮影機能の追加が求められている。一方、カメラ形状の小型化と、高倍率化が強く求められており、このニーズに答えるためにズームレンズ鏡胴の小型化、高倍率化を更に促進する必要があり、その結果、高度な部品精度と組立精度が求められている。
従来、マクロ撮影機能を有するカメラにおけるズームレンズの構成は種々提供されている。一般的にはワイド端もしくはテレ端からレンズ群の一部または全部を繰り出し、通常の被写界領域に位置する被写体の撮影距離よりも更に近距離の被写体を撮影できるようにしたマクロ撮影機能を有するレンズ鏡胴が知られている。
これに対して、例えば実用新案登録第2540388号公報や、特許第3253360号公報には、通常撮影範囲の撮影が可能であり、かつ従来の一般カメラでは困難であった至近距離のマクロ撮影機能を有するレンズ鏡胴、およびカメラが開示されている。これらの従来例では、ズーム光学系のレンズ群を移動させる第1のカム領域と、この第1のカム領域の一端を延長形成したマクロ撮影を目的とする第2のカム領域とをカム環に設置することによりマクロ撮影を可能としている。
【特許文献1】実用新案登録第2540388号公報
【特許文献2】特許第3253360号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のような延長構造のカム領域をレンズ鏡胴に付与することにより、カム環のみならずレンズ鏡胴全体が大型化することは明白である。カム環の径を小型化しようとすると、カムの回転角に対する変位量が大きくなり、作動が重くなる為、ズームの駆動力が非常に大きくなるという不具合が発生する。
即ち、図5(a)は従来一般的にズームレンズ鏡胴に使用されるカム手法によるカム環の展開図である。このようにズーム領域100とは別に特別なマクロ領域101を設けることで近距離撮影を可能としている。従って、マクロ領域101に相当する分だけカム溝101a、101bを長く取らなければならなくなり、カム環を大型化する原因になる。
図5(b)は(a)のカム環を、本発明のカム環と同様のサイズに小型化した模式図である。カム環片を小型化することにより、カム曲線の描く角度が増大する。特にカム溝100a、101aによって支持される撮影レンズが通過するカム曲線は角度が大きくなり、ズーミング動作における力量が増大し、正確な位置に止まりづらく、不具合をもたらすことがわかる。
本発明はこのような欠点、および不具合を解決する為になされたものであり、マクロ撮影が可能な小型のズームレンズ鏡胴を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、請求項1の発明は、焦点距離変倍のために光軸方向に夫々独立移動可能な複数の撮影レンズを有する撮影光学系と、各撮影レンズを光軸方向へ独立移動させる作動機構と、を備えたズームレンズ鏡胴において、前記各撮影レンズは、夫々レンズ本体と、レンズ本体外周を支持するレンズ枠と、を備え、前記作動機構は、各撮影レンズを光軸方向のみに移動させる固定筒と、この固定筒により回転自在に支持され且つ前記各撮影レンズを回転可能に支持する複数のカム溝を有したカム環と、該カム環に回転駆動力を与える駆動手段と、を備え、前記カム環は、連結弾性体を介して連結された複数のカム環片から成り、各カム環片が支持した各撮影レンズ間の光軸方向位置関係を、前記各カム環片により定めた軌道とは異なる関係に設定したことを特徴とする。
これによれば、マクロ撮影を行うために第2のカム領域を延長形成せずにマクロ撮影を行うことができる。具体的には、複数ある移動レンズ群のふるまいを司るカム環を分割し、各々のカム環片同士を連結弾性体で繋ぐ。これにより、通常撮影時には任意のカム環片に原動回転力を与えることにより、連結弾性体を通して各々のカム環片に回転力が伝わり、各移動レンズ群はズーム動作を行うことができる。マクロ撮影時には、原動回転力を与えられているカム環片以外のカム環片の回転動作を制限する。この状態でカム環片に原動回転力を与えると、カム環片同士を繋いでいる連結弾性体が伸び、各移動レンズ群の相対位置関係を通常撮影時とは異なる関係に設定することができる。そこで、この相対位置関係を、マクロ撮影を行う上で好ましい関係に設定する。この結果、本発明におけるレンズ鏡胴は、カム環を大型化することなく、なおかつカムの回転角に対する変位量を大きくすることなく、マクロ撮影機構を盛り込むことができる。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1において、前記カム環は、各撮影レンズを夫々支持して回転方向へ独立移動する複数のカム環片と、各カム環片間を連結して回転方向への相対移動を規制する前記連結弾性体と、を備え、前記複数のカム環片のうちの一つは前記駆動手段によって直接駆動される駆動側カム環片であり、他のカム環片は前記連結弾性体により連結された従動カム環片であり、前記従動カム環片と前記固定筒との間には前記連結弾性体による相対回転規制力を解除する解除手段を備えていることを特徴とする。
カム環は、2つ以上の複数個のカム環片に分割することができ、各カム環片間を連結弾性体によって連結することにより通常撮影時の相対回転を規制する。一方、一つのカム環片を駆動用とし、他の従動カム環片を解除手段により回転禁止することによって、駆動側のカム環片を回転可能にし、該駆動側カム環片により支持された撮影レンズのみを被写体側へ移動させてマクロ撮影可能な状態に移行させることができる。従って、カム溝を延長することによるカム環の大型化を招かずに、マクロ撮影を実現できる。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記駆動手段から前記駆動側カム環片に対して一定以上の駆動力を付与したときに前記解除手段が作動して前記連結弾性体による相対回転規制力を解除すると共に、前記従動カム環片の逆方向への回転を禁止することを特徴とする。
常時(通常撮影時)においては連結弾性体との協働によって複数のカム環片が相対回転することを阻止する解除手段は、マクロ撮影を行うために駆動側カム環片が支持した撮影レンズを被写体側へ移動させる場合に作動して、従動カム環片の回転を阻止しつつ、駆動側カム環片を相対回転させて保持した撮影レンズをマクロ撮影に適した位置に移動させる。従って、カム溝を延長することによるカム環の大型化を招かずに、マクロ撮影を実現できる。
請求項4の発明は、請求項1又は2において、前記カム環は、前記駆動側カム環片と前記従動カム環片とに2分割され、両カム環片により夫々支持された撮影レンズの光軸方向相対位置関係を、前記カム環で定めた軌道とは異なる関係に設定することを特徴とする。
カム環は、例えば2個のカム環片に分割することができ、大型化を招くことなく、広角、望遠の通常撮影の他に、マクロ撮影を実現できる。
【0006】
請求項5の発明は、焦点距離変倍のために光軸方向に夫々独立移動可能な複数の撮影レンズを有する撮影光学系と、この撮影光学系の外径側に配置されて各撮影レンズを光軸方向へ独立移動させる作動機構と、を備えたズームレンズ鏡胴において、前記各撮影レンズは、夫々レンズ本体と、レンズ本体外周を支持するレンズ枠と、を備え、前記作動機構は、各撮影レンズを光軸方向のみに移動させる固定筒と、この固定筒により回転自在に支持され且つ前記各レンズ枠のピンが夫々遊嵌する複数のカム溝を有したカム環と、該カム環に回転駆動力を与える駆動手段と、を備え、前記カム環は、各撮影レンズを夫々支持して回転方向へ独立移動する複数のカム環片と、各カム環片間を連結して回転方向への相対移動を規制する連結弾性体と、を備え、前記複数のカム環片のうちの一つは前記駆動手段によって直接駆動される駆動側カム環片であり、他のカム環片は前記連結弾性体により連結された従動カム環片であり、前記従動カム環片と前記固定筒との間には前記連結弾性体による相対回転規制力を解除する解除手段を備え、前記駆動手段から前記駆動側カム環片に対して一定以上の駆動力を付与したときに前記解除手段が作動して前記連結弾性体による相対回転規制力を解除することを特徴とする。
これによれば、請求項1乃至4に記載された全ての作用効果を奏することができる。
請求項6の発明は、請求項1乃至5において、前記解除手段は、前記固定筒又は前記従動カム環片の何れか一方に固定された突起と、他方に配置されて該突起の移動経路に進退可能であり且つ常時においては該突起と係合可能な位置にある弾性部材と、から成り、前記駆動手段から前記駆動側カム環片に対して伝達される駆動力が前記弾性部材の弾性力を越えた場合に、前記突起が前記弾性部材を一旦退避させて乗り越えることにより、前記駆動手段が前記と逆方向へ駆動側カム環片を駆動したときに前記従動カム環片を前記固定筒に固定しつつ前記連結弾性体を拡開させる方向へ前記駆動カム環片を相対的に回転させることを特徴とする。
解除手段を構成する突起と弾性部材は、固定筒、従動カム環片の何れに設けてもよい。弾性部材の退避方向、変形方向は、径方向であってもよく、光軸方向であってもよい。解除手段は、解除動作がなされていない状態では、連結弾性体との協働により、各カム環片が相対回転することを阻止して通常撮影モードを維持するが、解除動作が行われた場合には相対回転を許容して駆動側カム環片の逆転によりマクロ撮影可能な状態に移行させることができる。なお、連結弾性体による相対回転を阻止する機能、とは、厳密な意味で相対回転を絶対的に阻止する場合ばかりでなく、連結弾性体が通常撮影に影響を与えない範囲内で僅かに伸縮する範囲での相対回転阻止を含むものである。
【0007】
請求項7の発明は、請求項6において、前記駆動手段が前記と逆方向へ駆動側カム環片を駆動したときに前記従動カム環片を前記固定筒に固定しつつ前記連結弾性体を拡開させる方向へ前記駆動カム環片を相対的に回転させることにより、前記撮影光学系はマクロ撮影モードに移行することを特徴とする。
通常撮影モードからマクロ撮影モードに移行するためには、このような操作を実施すればよく、簡単にマクロ撮影モードとの間の相互移行が可能となる。
請求項8の発明は、請求項1乃至7において、前記弾性部材は、前記突起と係合可能な初期位置から径方向、或いは光軸方向へ弾性的に退避することが可能な構成を有していることを特徴とする。
弾性部材の構成は格別限定されるものではなく、常時においては突起の移動経路に位置して突起の移動を阻止している一方で、一定以上の駆動力が加わった場合には弾性的に突起の移動経路から退避し、その後すぐに原形に復帰する機能を有していればよい。
請求項9の発明は、請求項1乃至8において、前記連結弾性体は、コイルバネ、板バネ、或いはゴムから成ることを特徴とする。
連結弾性体の構成も格別限定するものではないが、複数のカム環片間を連結して一定の駆動力の範囲内では相対回転が発生しないように保持する機能を有していればよい。
請求項10の発明は、請求項1乃至9において、前記連結弾性体により相対回転を規制された駆動側カム環片と従動カム環片との相対位置関係を保つのに必要とされる力は、解除手段を解除するのに要する力よりも弱いことを特徴とする。解除手段が解除動作する程度に強い駆動力が駆動側カム環片に加わった時にのみ連結弾性体による相対回転規制力が解除されて、マクロ撮影への移行が可能となる。
請求項11の発明は、請求項1乃至10において、前記駆動手段は、正逆回転可能なステップモータからなることを特徴とする。
駆動手段にも限定はないが、ステップモータによれば、回転量を任意自在にコントロールできるので、高い精度のマクロ撮影を実現できる。
請求項12の発明に係るカメラは、請求項1乃至11の何れか一項に記載のズームレンズ鏡胴を有することを特徴とする。
これによれば、上記全ての請求項が奏する作用効果を備えたカメラを実現できる。カメラとしては、銀塩カメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ等に適用可能である。また、望遠鏡にも適用可能である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るズームレンズ鏡胴の縦断面図であり、図の左方向が被写体側で右方向が結像面側である。また、図2(a)(b)及び(c)は、図1の鏡胴の広角(ワイド)状態、望遠(テレ)状態、及び近距離(マクロ)状態における各カム環(各カム溝)とピンとの位置関係を示す展開図である。また、図3(a)及び(b)は通常撮影状態とマクロ撮影状態における各構成要素の位置関係及び動作を説明するための断面図である。
この実施形態に係るズームレンズ鏡胴1は、焦点距離変倍のために光軸方向に夫々独立移動可能な複数の撮影レンズ11、12を有する撮影光学系2と、この撮影光学系2の外径側に配置されて各撮影レンズ11、12を光軸方向へ独立移動させる作動機構3と、を備えている。つまり、このズームレンズ鏡胴1は、マクロ撮影が可能な2群構成から成る。
第1及び第2の撮影レンズ11、12は、夫々レンズ本体11a、12aと、レンズ本体11a、12aの各外周を夫々支持するレンズ枠11b、12bと、を備え、各レンズ枠11b、12bの外周面からは外径方向へ向けて少なくとも一つのピン(カムフォロア)11c、12cが突設されている。
作動機構3は、各撮影レンズ11、12を光軸方向のみに移動させるための固定手段であって図示しないカメラのボディに固定される固定筒21と、この固定筒21の外径側に同軸状に配置され、且つ固定筒21により回転自在に支持され且つ各レンズ枠のピン11c、12cが夫々遊嵌する複数のカム溝を有したカム環31と、カム環31に回転駆動力を与える駆動手段51と、を備えている。
カム環31は、各撮影レンズ11、12の各ピン11c、12cを夫々カム溝内に遊嵌支持して回転方向へ独立移動する複数のカム環片32、33と、各カム環片32、33間を連結して通常撮影時(マクロ撮影時以外)における相対回転を規制する連結弾性体45と、を備えている。連結弾性体45は、コイルバネ、板バネ、或いはゴムから構成することができる。
この例では、カム環31は2分割されており、2つのカム環片32、33のうちの一方は駆動手段51によって直接駆動される駆動側カム環片32であり、他のカム環片は連結弾性体45により連結された従動カム環片33であり、従動カム環片33と固定筒21との間には連結弾性体45による相対回転規制力を解除する解除手段41が配置されている。
【0009】
図2に示すように駆動側カム環片32と、従動カム環片33の対向し合う辺には夫々段差状の切欠き32a、33aが形成され、切欠き32a、33a内の光軸と平行な2つの辺間には連結弾性体45が回転方向に伸縮可能に配置されている。図2(a)(b)の如き広角、望遠の通常ズーム時には、解除手段41が作用して固定筒21を介して両カム環片32、33間の相対回転(特に、両カム環片が離間する方向への相対回転)を規制しているので、連結弾性体45は伸縮せずに両カム環片32、33間を、一定の周方向間隔を維持しつつ連結している。このため、マクロ撮影以外の撮影モードにおいては、両カム環片32、33は常に一定の位置関係を維持しつつ一体回転する。一方、図2(c)に示したマクロ撮影モードにおいては解除手段41が連結弾性体45による両カム片32、33の連結状態を解除しているので、図示した如く両カム環片32、33は連結弾性体45の規制力に抗して相対回転(連結弾性体45が延びる方向)が可能となる。
なお、広角、望遠を示している図2(a)及び(b)の場合に、各ピン11c、12cが各カム溝33b、32bの上下端部から少し離間した位置にある理由は、仮に各ピンを各カム溝の上端、下端に接触させた場合にはその位置精度はカム溝の上端、下端の加工精度に影響され、高い精度を確保することができないからであり、位置精度は別の方法によって確保するようにしている。一方、図2(c)のマクロ撮影時において、ピン11cがカム溝33bの上端部に更に接近しているのは、従動カム環片33がマクロ方向(図2(c)の下方)へ回転することによってそれまで弾性部材25によって回転を阻止されていた突起36が弾性部材25を越えてマクロ状態に入ったためであり、突起36が弾性部材25を乗り越えた分だけピン11cの位置がカム溝33bの上端部に接近している。
両カム環片32、33は、夫々斜行するカム溝32b、33bを備えており、各カム溝32b、33b内には、夫々カムフォロアとしての第1及び第2のピン11c、12cが遊嵌する。また、駆動側カム環片33の一端外周には従動ギヤ44が形成されている。
固定筒21は、軸方向へ直線状に延びるスリット状の直進ガイド21a、21bを備え、この直進ガイド21a、21b内には各レンズ枠11b、12bから延びる各ピン11c、12cが遊嵌して、各撮影レンズ11、12を光軸方向のみへ進退可能に規制している。従って、カム環31が回転することにより、カム溝32b、33bと直進ガイド21a、21bに同時に嵌合した各ピン11c、12cは、各カム溝32b、33bからの駆動力を受けて光軸方向へのみ進退することができる。従って、各ピン11c、12cと一体化された各レンズ本体11a、12aが夫々独立して光軸方向へ移動することにより変倍が行われる。
駆動手段51は、ステップモータその他のモータ52と、モータ52からの駆動力を減速して伝達するギヤトレイン53と、を備えている。ギヤトレイン53のうちの最終ギヤは、駆動側カム環片32の一端外周に形成された従動ギヤ44と噛合することにより回転駆動力をカム環31に伝達して任意の方向に、任意の角度だけ回転させる。
【0010】
この実施形態の特徴的な構成の一つは、駆動手段51から駆動側カム環片32に対して一定以上の回転駆動力を付与したときに解除手段41が作動して連結弾性体45による相対回転規制力を解除し、両カム環片32、33間の相対回転を許容する一方で、その後は従動カム環片33を解除手段41が固定筒21に固定する一方で、駆動側カム環片32をそれまでと逆方向へ回転駆動させることを許容した点にある。つまり、解除手段41が解除動作した結果、各カム環片32、33が支持した各撮影レンズ11、12間の光軸方向位置関係を、各カム環片32、33により予め定めた軌道とは異なる関係に設定した点が特徴的である。
この解除手段41は、固定筒21側の凹所22、凹所22内に配置された弾性材23、及び弾性材23によって外径方向に突出入自在に支持された係止片24から成る弾性部材25と、カム環片31(従動カム環片33)の内面適所に突設された突起36と、から成り、弾性部材25を構成する係止片24は突起36の周方向移動経路内に進退(突出入)可能であり、常時においては突起36の移動経路と干渉する位置に係止片24は位置している。
なお、この例では、固定筒21側に弾性部材25(凹所22、弾性材23、係止片24)を設け、従動カム環片31側に突起36を設けたが、これを逆にして固定筒21側に突起36を設け、従動カム環片31側に弾性部材25を設けてもよい。
また、この例では、弾性部材25は、径方向へ突出入(進退)することによって、突起36と係合したり、係合解除するように構成されているが、弾性部材25を光軸方向へ弾性的に進退(変形、傾倒)可能に支持することによって突起36と係合したり、係合解除するように構成してもよい。
また、連結弾性体45により相対回転を規制された駆動側カム環片32と従動カム環片33との相対位置関係を保つのに必要とされる規制力は、解除手段41を解除するために駆動手段51から伝達される力よりも弱くなるように設定されている。従って、駆動手段51からの回転駆動力が解除手段41を解除動作させるに足る力以上となった場合には、連結弾性体45の規制力は維持することができなくなり、両カム環32、33は相対回転が可能な状態となる。
具体的には、駆動手段51から駆動側カム環片32に対して伝達される駆動力が弾性部材25の弾性力(弾性材23の弾性力)を越えた場合に、突起36が弾性部材25(係止片24)を押圧して一旦凹所22内へ退避させて弾性部材25を乗り越えることにより、その後駆動手段51が前記と逆方向へ駆動側カム環片32を回転駆動したときに、従動カム環片33を固定筒21に固定しつつ連結弾性体45を拡開させる方向へ駆動カム環片32を相対的に回転させることができ、図2(c)に示したマクロ状態に移行することができる。つまり、突起36が弾性部材25を弾性変形させて乗り越えた後は、弾性部材25は原位置に復帰するため、弾性部材25を備えた従動カム環片33は突起36に邪魔されて逆方向への回転が阻止される一方で、弾性部材25を有しない駆動側カム環片32は逆方向への回転が可能となる。
【0011】
次に、本発明の実施形態例の動作について説明する。
第1の撮影レンズ11と第2の撮影レンズ12の光軸方向間隔が図2(a)の状態にあるときに、レンズ鏡胴1は広角(Wide)撮影状態にある。前述のようにカム環片32、33が回転することによって、各カム溝32b、33bの軌跡に沿って第1の撮影レンズ11と第2の撮影レンズ12が光軸上を移動する。この動作により変倍が行われ、第1の撮影レンズ11と第2の撮影レンズ12の光軸上間隔が図2(b)の状態になった時に本実施例のレンズ鏡胴1は望遠(Tele)撮影状態になる。
マクロ撮影は、第1の撮影レンズ11と第2の撮影レンズ12の光軸上間隔をカム溝33b、32bの軌跡とは異なる間隔にすることで達成する。即ち、マクロ撮影を行うには、まず望遠端から広角端に変倍する方向にカム環片33、32を回転させる。図3(a)に示すように、通常の撮影状態では、従動カム環片33が広角端以遠に進むことができないように突起36を解除手段41(弾性部材25)が抑えており、弾性材23からの径方向へのバネ力量Yを超える力量を突起36から弾性部材25(係止片24)に付与しなければ、従動カム環片33側に設けた突起36は弾性部材25を変形させて乗り越えることができない。ここで、マクロ撮影状態に入るために、モータ52の回転駆動力を両カム環32、33に伝達して突起36から弾性部材25に力量Pを伝達する。力量Pの、光軸方向に向かう力量PYは、バネ力量Yを超える力量とする。これより突起36から弾性部材25に伝達された力量Pによって弾性部材25は突起36の移動経路から退避し(押し下げられ)、突起36が弾性部材25を乗り越えることができ、その際の移動分だけ従動カム環片33が固定筒21に対して相対回転することとなる(図2(c))。
次に、駆動モータ52の回転方向を、カム環33、32が広角端から望遠端に向かう方向(図2(c)の上方向)に切り替える。この時、突起36は、弾性部材25を一度乗り越えて弾性部材25の反対側に位置しているので、力量Pと同じかそれ以上の力量を付与しないと従動カム環片33は通常撮影状態に戻ることができない。従って、突起36が弾性部材25を乗り越えない程度の駆動力にてカム環31が回転駆動される場合には、従動カム環片33は上記逆転方向へは回転せず、固定筒21により係止された状態となる。
従動カム環片33とカム環片32を繋ぐ連結弾性体45は、突起36が弾性部材25を乗り越えられない任意の力量Q(0<Q<P)で伸縮可能であるように構成する。つまり、連結弾性体45は、突起36が弾性部材25を乗り越えるのに必要な力Pよりも小さな力Qで伸縮可能である。この時、駆動モータ52から駆動側カム環片32に力量Qに相当する駆動力を与えると、突起36が弾性部材25を乗り越えられない為に従動カム環片33により支持された第1の撮影レンズ11はその場に留まり、連結弾性体45が伸びることで、駆動側カム環片32により支持された第2の撮影レンズ12が第1の撮影レンズ11に対して単独で回転し、カム溝32bに沿って光軸上を被写体方向に移動する。
この際、第2の撮影レンズ12が単独で光軸上を被写体方向に移動したことにより、本実施例のレンズ系は、第2の撮影レンズ12が移動した量aに従って、無限遠よりも近距離の距離Aにピントが合ったマクロ撮影状態となる。
【0012】
次に、図4に基づいて本発明のメリットについて説明する。
図4には、第1及び第2の撮影レンズ(群)11、12の他に第3の撮影レンズ群を備えた光学系を示している。第1及び第2の撮影レンズ11、12は上記した実施形態の作動機構3によって、マクロ撮影時に第1の撮影レンズ11に対する第2の撮影レンズ12の光軸方向位置を被写体側へ移動させることが可能となっている。まず、図4(a)の状態において、遠い距離にある物体(被写体)に対するピントが結像面(フィルム面、CCD面)に合っているとする。その後、(b)のように物体が接近してきた場合にはピントの位置は結像面よりも後方へ移動する。このピント位置を結像面に合致させるためには、(c)のように凸レンズとしての第2の撮影レンズ12を物体側へ移動させればよい。勿論、第3の撮影レンズ13を物体方向へ移動させることによっても、近距離に位置する物体にピントを合わせることができるが、第3の撮影レンズ13の可動範囲に限界がある場合には、撮影できる物体の距離に限界が生じる。そこで、本発明の作動機構3によって、第2の撮影レンズ12を物体側へ移動可能に構成することによって、より近距離に位置する物体に対するピント合わせを行うことが可能となる。
つまり、図4(b)の状態から、第2の撮影レンズ12を物体側へ移動させることにより、ピントの位置は結像面よりも前方へ移動し、物体が近距離にきたときに初めて結像面にピントが合う。更に物体が近くに寄ってきたときには、今度は第3の撮影レンズ13を物体側へ移動することにより、結像面にピントを合わせることが可能となる。
このように、全体繰り出しによるフォーカシング方式のレンズ系を有した本発明のズームレンズ鏡胴においては、通常撮影状態では、撮影できる最至近距離Bはレンズ系の繰り出し量で制限されてしまうが、マクロ撮影状態においては、レンズ系がピントを合わせることができる最至近距離を第2の撮影レンズの移動量aによって、より近い距離Cに設定することが可能になる。
このように、第2の撮影レンズ12を単独で光軸上物体方向に移動するように構成したことにより、通常撮影状態における無限遠から距離Bまでの撮影可能距離を、距離Aから、距離Bよりも近い距離Cに設定することができた。
これに加えて、本発明によれば、レンズ鏡筒の小型化を図ることができる。即ち、図5にて説明した如く、カム環片を小型化すればカム曲線の描く角度が増大し、ズーミング動作における力量が増大し、正確な位置に止まりづらく、不具合をもたらす。本発明では、ズーム領域とは別にマクロ領域を延長形成する必要が無いので、カム環片は通常の大きさで収まる。さらに、無理な力量がズームピンにかかることなくズーミング動作が行われるので、前述のような不具合が発生する恐れは極めて小さくなる。
なお、本発明のズームレンズ鏡胴1は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、銀塩カメラ等に適用することができる。
【0013】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明によれば、カム環に形成された第2のカム領域を延長形成せずにマクロ撮影を行うことができる。具体的には、複数ある移動レンズ支持するカム環を複数に分割し、各々のカム環片同士を連結弾性体で繋いだ。これにより、マクロ撮影時には、原動回転力を与えられているカム環片以外のカム環片の回転動作を制限し、この状態でカム環片に原動回転力を与えることにより、連結弾性体が伸び、各移動レンズ群の相対位置関係を通常撮影時とは異なる関係に設定することができる。この結果、本発明におけるレンズ鏡胴は、カム環を大型化することなく、なおかつカムの回転角に対する変位量を大きくすることなく、マクロ撮影機構を盛り込むことができる。
請求項2の発明によれば、2つ以上の複数個のカム環片間を連結弾性体によって連結することにより通常撮影時の相対回転を規制する。一方、一つのカム環片を駆動用とし、他の従動カム環片を解除手段により回転禁止することによって、駆動側のカム環片を回転可能にし、該駆動側カム環片により支持された撮影レンズのみを被写体側へ移動させてマクロ撮影可能な状態に移行させることができる。
請求項3の発明によれば、解除手段は、マクロ撮影時に作動して、従動カム環片の回転を阻止しつつ、駆動側カム環片を相対回転させて保持した撮影レンズをマクロ撮影に適した位置に移動させる。従って、カム溝を延長することによるカム環の大型化を招かずに、マクロ撮影を実現できる。
請求項4の発明によれば、大型化を招くことなく、広角、望遠の通常撮影の他に、マクロ撮影を実現できる。
請求項5の発明によれば、請求項1乃至4に記載された全ての作用効果を奏することができる。
請求項6の発明によれば、解除手段を構成する突起と弾性部材は、固定筒、従動カム環片の何れかに設けられる。弾性部材の退避方向、変形方向は、径方向であってもよく、光軸方向であってもよい。
請求項7の発明によれば、通常撮影モードとマクロ撮影モードとの相互移行を、簡単に行うことが可能となる。
請求項8の発明では、弾性部材の構成は格別限定されるものではなく、常時においては突起の移動経路に位置して突起の移動を阻止している一方で、一定以上の駆動力が加わった場合には弾性的に突起の移動経路から退避し、その後すぐに原形に復帰する機能を有していればよい。
請求項9の発明では、連結弾性体の構成も格別限定するものではないが、複数のカム環片間を連結して一定の駆動力の範囲内では相対回転が発生しないように保持する機能を有していればよい。
請求項10の発明では、解除手段が解除動作する程度に強い駆動力が駆動側カム環片に加わった時にのみ連結弾性体による相対回転規制力が解除されて、マクロ撮影への移行が可能となる。
請求項11の発明では、駆動手段に限定はないが、ステップモータによれば、回転量を任意自在にコントロールできるので、高い精度のマクロ撮影を実現できる。
請求項12の発明によれば、上記全ての請求項が奏する作用効果を備えたカメラを実現できる。カメラとしては、銀塩カメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ等に適用可能である。また、望遠鏡にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るズームレンズ鏡胴の縦断面図。
【図2】(a)(b)及び(c)は、図1の鏡胴の広角(ワイド)状態、望遠(テレ)状態、及び近距離(マクロ)状態における各カム環(各カム溝)とピンとの位置関係を示す展開図。
【図3】(a)及び(b)は通常撮影状態とマクロ撮影状態における各構成要素の位置関係及び動作を説明するための断面図。
【図4】(a)(b)及び(c)は本発明のメリットを説明する図。
【図5】(a)及び(b)は従来例の欠点を説明する図。
【符号の説明】
1 ズームレンズ鏡胴、2 撮影光学系、3 作動機構、11、12撮影レンズ、11a、12a レンズ本体、11b、12b レンズ枠、11c、12cピン(カムフォロア)、21 固定筒、21a、21b 直進ガイド、22 凹所、23 弾性材、24 係止片、25 弾性部材、31 カム環、32、33 カム環片、32a、33a 切欠き、32b、33b カム溝、36 突起、41 解除手段、44 従動ギヤ、45 連結弾性体、51 駆動手段、52
モータ、53 ギヤトレイン。
【発明の属する技術分野】
本発明は複数組のレンズを光軸方向へ個別に進退させることにより焦点距離を異ならせるようにしたズームレンズ鏡胴の改良に関し、特に広角と望遠撮影を可能とするズーム機能の他に、至近距離の被写体を対象とするマクロ撮影を可能にする小型カメラなどに好適なレンズ鏡胴、及びそれを用いたカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、撮影レンズの焦点距離が最短であるときの広角状態と、最長であるときの望遠状態とを選択的に切り替えることができるズームレンズ鏡胴等の可変焦点装置を備えたカメラが普及している。この種のカメラとしては、例えばデジタルカメラ、ビデオカメラ、銀塩カメラ等が知られている。
ズームレンズ鏡胴は、例えば、光軸を中心として回転自在に支持された円筒状のカム環の内部に光軸方向に沿って複数組の撮影レンズを夫々光軸方向へ独立して進退自在に支持した構成を備えている。具体的には、例えば、各撮影レンズ(群)を支持する各レンズ枠の外周から外径方向へ突設させたカムフォロアを、カム部材の内周面に形成した光軸と斜行する複数のカム溝(螺旋溝)内に夫々係合させることにより、カム部材の回転に伴って各レンズ枠が光軸方向へ移動するように構成されている。
ところで、この種の可変焦点装置を備えたカメラに対するユーザーのニーズは多岐に渡ってきており、最近では広角と望遠機能の他に、マクロ撮影機能の追加が求められている。一方、カメラ形状の小型化と、高倍率化が強く求められており、このニーズに答えるためにズームレンズ鏡胴の小型化、高倍率化を更に促進する必要があり、その結果、高度な部品精度と組立精度が求められている。
従来、マクロ撮影機能を有するカメラにおけるズームレンズの構成は種々提供されている。一般的にはワイド端もしくはテレ端からレンズ群の一部または全部を繰り出し、通常の被写界領域に位置する被写体の撮影距離よりも更に近距離の被写体を撮影できるようにしたマクロ撮影機能を有するレンズ鏡胴が知られている。
これに対して、例えば実用新案登録第2540388号公報や、特許第3253360号公報には、通常撮影範囲の撮影が可能であり、かつ従来の一般カメラでは困難であった至近距離のマクロ撮影機能を有するレンズ鏡胴、およびカメラが開示されている。これらの従来例では、ズーム光学系のレンズ群を移動させる第1のカム領域と、この第1のカム領域の一端を延長形成したマクロ撮影を目的とする第2のカム領域とをカム環に設置することによりマクロ撮影を可能としている。
【特許文献1】実用新案登録第2540388号公報
【特許文献2】特許第3253360号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のような延長構造のカム領域をレンズ鏡胴に付与することにより、カム環のみならずレンズ鏡胴全体が大型化することは明白である。カム環の径を小型化しようとすると、カムの回転角に対する変位量が大きくなり、作動が重くなる為、ズームの駆動力が非常に大きくなるという不具合が発生する。
即ち、図5(a)は従来一般的にズームレンズ鏡胴に使用されるカム手法によるカム環の展開図である。このようにズーム領域100とは別に特別なマクロ領域101を設けることで近距離撮影を可能としている。従って、マクロ領域101に相当する分だけカム溝101a、101bを長く取らなければならなくなり、カム環を大型化する原因になる。
図5(b)は(a)のカム環を、本発明のカム環と同様のサイズに小型化した模式図である。カム環片を小型化することにより、カム曲線の描く角度が増大する。特にカム溝100a、101aによって支持される撮影レンズが通過するカム曲線は角度が大きくなり、ズーミング動作における力量が増大し、正確な位置に止まりづらく、不具合をもたらすことがわかる。
本発明はこのような欠点、および不具合を解決する為になされたものであり、マクロ撮影が可能な小型のズームレンズ鏡胴を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、請求項1の発明は、焦点距離変倍のために光軸方向に夫々独立移動可能な複数の撮影レンズを有する撮影光学系と、各撮影レンズを光軸方向へ独立移動させる作動機構と、を備えたズームレンズ鏡胴において、前記各撮影レンズは、夫々レンズ本体と、レンズ本体外周を支持するレンズ枠と、を備え、前記作動機構は、各撮影レンズを光軸方向のみに移動させる固定筒と、この固定筒により回転自在に支持され且つ前記各撮影レンズを回転可能に支持する複数のカム溝を有したカム環と、該カム環に回転駆動力を与える駆動手段と、を備え、前記カム環は、連結弾性体を介して連結された複数のカム環片から成り、各カム環片が支持した各撮影レンズ間の光軸方向位置関係を、前記各カム環片により定めた軌道とは異なる関係に設定したことを特徴とする。
これによれば、マクロ撮影を行うために第2のカム領域を延長形成せずにマクロ撮影を行うことができる。具体的には、複数ある移動レンズ群のふるまいを司るカム環を分割し、各々のカム環片同士を連結弾性体で繋ぐ。これにより、通常撮影時には任意のカム環片に原動回転力を与えることにより、連結弾性体を通して各々のカム環片に回転力が伝わり、各移動レンズ群はズーム動作を行うことができる。マクロ撮影時には、原動回転力を与えられているカム環片以外のカム環片の回転動作を制限する。この状態でカム環片に原動回転力を与えると、カム環片同士を繋いでいる連結弾性体が伸び、各移動レンズ群の相対位置関係を通常撮影時とは異なる関係に設定することができる。そこで、この相対位置関係を、マクロ撮影を行う上で好ましい関係に設定する。この結果、本発明におけるレンズ鏡胴は、カム環を大型化することなく、なおかつカムの回転角に対する変位量を大きくすることなく、マクロ撮影機構を盛り込むことができる。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1において、前記カム環は、各撮影レンズを夫々支持して回転方向へ独立移動する複数のカム環片と、各カム環片間を連結して回転方向への相対移動を規制する前記連結弾性体と、を備え、前記複数のカム環片のうちの一つは前記駆動手段によって直接駆動される駆動側カム環片であり、他のカム環片は前記連結弾性体により連結された従動カム環片であり、前記従動カム環片と前記固定筒との間には前記連結弾性体による相対回転規制力を解除する解除手段を備えていることを特徴とする。
カム環は、2つ以上の複数個のカム環片に分割することができ、各カム環片間を連結弾性体によって連結することにより通常撮影時の相対回転を規制する。一方、一つのカム環片を駆動用とし、他の従動カム環片を解除手段により回転禁止することによって、駆動側のカム環片を回転可能にし、該駆動側カム環片により支持された撮影レンズのみを被写体側へ移動させてマクロ撮影可能な状態に移行させることができる。従って、カム溝を延長することによるカム環の大型化を招かずに、マクロ撮影を実現できる。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記駆動手段から前記駆動側カム環片に対して一定以上の駆動力を付与したときに前記解除手段が作動して前記連結弾性体による相対回転規制力を解除すると共に、前記従動カム環片の逆方向への回転を禁止することを特徴とする。
常時(通常撮影時)においては連結弾性体との協働によって複数のカム環片が相対回転することを阻止する解除手段は、マクロ撮影を行うために駆動側カム環片が支持した撮影レンズを被写体側へ移動させる場合に作動して、従動カム環片の回転を阻止しつつ、駆動側カム環片を相対回転させて保持した撮影レンズをマクロ撮影に適した位置に移動させる。従って、カム溝を延長することによるカム環の大型化を招かずに、マクロ撮影を実現できる。
請求項4の発明は、請求項1又は2において、前記カム環は、前記駆動側カム環片と前記従動カム環片とに2分割され、両カム環片により夫々支持された撮影レンズの光軸方向相対位置関係を、前記カム環で定めた軌道とは異なる関係に設定することを特徴とする。
カム環は、例えば2個のカム環片に分割することができ、大型化を招くことなく、広角、望遠の通常撮影の他に、マクロ撮影を実現できる。
【0006】
請求項5の発明は、焦点距離変倍のために光軸方向に夫々独立移動可能な複数の撮影レンズを有する撮影光学系と、この撮影光学系の外径側に配置されて各撮影レンズを光軸方向へ独立移動させる作動機構と、を備えたズームレンズ鏡胴において、前記各撮影レンズは、夫々レンズ本体と、レンズ本体外周を支持するレンズ枠と、を備え、前記作動機構は、各撮影レンズを光軸方向のみに移動させる固定筒と、この固定筒により回転自在に支持され且つ前記各レンズ枠のピンが夫々遊嵌する複数のカム溝を有したカム環と、該カム環に回転駆動力を与える駆動手段と、を備え、前記カム環は、各撮影レンズを夫々支持して回転方向へ独立移動する複数のカム環片と、各カム環片間を連結して回転方向への相対移動を規制する連結弾性体と、を備え、前記複数のカム環片のうちの一つは前記駆動手段によって直接駆動される駆動側カム環片であり、他のカム環片は前記連結弾性体により連結された従動カム環片であり、前記従動カム環片と前記固定筒との間には前記連結弾性体による相対回転規制力を解除する解除手段を備え、前記駆動手段から前記駆動側カム環片に対して一定以上の駆動力を付与したときに前記解除手段が作動して前記連結弾性体による相対回転規制力を解除することを特徴とする。
これによれば、請求項1乃至4に記載された全ての作用効果を奏することができる。
請求項6の発明は、請求項1乃至5において、前記解除手段は、前記固定筒又は前記従動カム環片の何れか一方に固定された突起と、他方に配置されて該突起の移動経路に進退可能であり且つ常時においては該突起と係合可能な位置にある弾性部材と、から成り、前記駆動手段から前記駆動側カム環片に対して伝達される駆動力が前記弾性部材の弾性力を越えた場合に、前記突起が前記弾性部材を一旦退避させて乗り越えることにより、前記駆動手段が前記と逆方向へ駆動側カム環片を駆動したときに前記従動カム環片を前記固定筒に固定しつつ前記連結弾性体を拡開させる方向へ前記駆動カム環片を相対的に回転させることを特徴とする。
解除手段を構成する突起と弾性部材は、固定筒、従動カム環片の何れに設けてもよい。弾性部材の退避方向、変形方向は、径方向であってもよく、光軸方向であってもよい。解除手段は、解除動作がなされていない状態では、連結弾性体との協働により、各カム環片が相対回転することを阻止して通常撮影モードを維持するが、解除動作が行われた場合には相対回転を許容して駆動側カム環片の逆転によりマクロ撮影可能な状態に移行させることができる。なお、連結弾性体による相対回転を阻止する機能、とは、厳密な意味で相対回転を絶対的に阻止する場合ばかりでなく、連結弾性体が通常撮影に影響を与えない範囲内で僅かに伸縮する範囲での相対回転阻止を含むものである。
【0007】
請求項7の発明は、請求項6において、前記駆動手段が前記と逆方向へ駆動側カム環片を駆動したときに前記従動カム環片を前記固定筒に固定しつつ前記連結弾性体を拡開させる方向へ前記駆動カム環片を相対的に回転させることにより、前記撮影光学系はマクロ撮影モードに移行することを特徴とする。
通常撮影モードからマクロ撮影モードに移行するためには、このような操作を実施すればよく、簡単にマクロ撮影モードとの間の相互移行が可能となる。
請求項8の発明は、請求項1乃至7において、前記弾性部材は、前記突起と係合可能な初期位置から径方向、或いは光軸方向へ弾性的に退避することが可能な構成を有していることを特徴とする。
弾性部材の構成は格別限定されるものではなく、常時においては突起の移動経路に位置して突起の移動を阻止している一方で、一定以上の駆動力が加わった場合には弾性的に突起の移動経路から退避し、その後すぐに原形に復帰する機能を有していればよい。
請求項9の発明は、請求項1乃至8において、前記連結弾性体は、コイルバネ、板バネ、或いはゴムから成ることを特徴とする。
連結弾性体の構成も格別限定するものではないが、複数のカム環片間を連結して一定の駆動力の範囲内では相対回転が発生しないように保持する機能を有していればよい。
請求項10の発明は、請求項1乃至9において、前記連結弾性体により相対回転を規制された駆動側カム環片と従動カム環片との相対位置関係を保つのに必要とされる力は、解除手段を解除するのに要する力よりも弱いことを特徴とする。解除手段が解除動作する程度に強い駆動力が駆動側カム環片に加わった時にのみ連結弾性体による相対回転規制力が解除されて、マクロ撮影への移行が可能となる。
請求項11の発明は、請求項1乃至10において、前記駆動手段は、正逆回転可能なステップモータからなることを特徴とする。
駆動手段にも限定はないが、ステップモータによれば、回転量を任意自在にコントロールできるので、高い精度のマクロ撮影を実現できる。
請求項12の発明に係るカメラは、請求項1乃至11の何れか一項に記載のズームレンズ鏡胴を有することを特徴とする。
これによれば、上記全ての請求項が奏する作用効果を備えたカメラを実現できる。カメラとしては、銀塩カメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ等に適用可能である。また、望遠鏡にも適用可能である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るズームレンズ鏡胴の縦断面図であり、図の左方向が被写体側で右方向が結像面側である。また、図2(a)(b)及び(c)は、図1の鏡胴の広角(ワイド)状態、望遠(テレ)状態、及び近距離(マクロ)状態における各カム環(各カム溝)とピンとの位置関係を示す展開図である。また、図3(a)及び(b)は通常撮影状態とマクロ撮影状態における各構成要素の位置関係及び動作を説明するための断面図である。
この実施形態に係るズームレンズ鏡胴1は、焦点距離変倍のために光軸方向に夫々独立移動可能な複数の撮影レンズ11、12を有する撮影光学系2と、この撮影光学系2の外径側に配置されて各撮影レンズ11、12を光軸方向へ独立移動させる作動機構3と、を備えている。つまり、このズームレンズ鏡胴1は、マクロ撮影が可能な2群構成から成る。
第1及び第2の撮影レンズ11、12は、夫々レンズ本体11a、12aと、レンズ本体11a、12aの各外周を夫々支持するレンズ枠11b、12bと、を備え、各レンズ枠11b、12bの外周面からは外径方向へ向けて少なくとも一つのピン(カムフォロア)11c、12cが突設されている。
作動機構3は、各撮影レンズ11、12を光軸方向のみに移動させるための固定手段であって図示しないカメラのボディに固定される固定筒21と、この固定筒21の外径側に同軸状に配置され、且つ固定筒21により回転自在に支持され且つ各レンズ枠のピン11c、12cが夫々遊嵌する複数のカム溝を有したカム環31と、カム環31に回転駆動力を与える駆動手段51と、を備えている。
カム環31は、各撮影レンズ11、12の各ピン11c、12cを夫々カム溝内に遊嵌支持して回転方向へ独立移動する複数のカム環片32、33と、各カム環片32、33間を連結して通常撮影時(マクロ撮影時以外)における相対回転を規制する連結弾性体45と、を備えている。連結弾性体45は、コイルバネ、板バネ、或いはゴムから構成することができる。
この例では、カム環31は2分割されており、2つのカム環片32、33のうちの一方は駆動手段51によって直接駆動される駆動側カム環片32であり、他のカム環片は連結弾性体45により連結された従動カム環片33であり、従動カム環片33と固定筒21との間には連結弾性体45による相対回転規制力を解除する解除手段41が配置されている。
【0009】
図2に示すように駆動側カム環片32と、従動カム環片33の対向し合う辺には夫々段差状の切欠き32a、33aが形成され、切欠き32a、33a内の光軸と平行な2つの辺間には連結弾性体45が回転方向に伸縮可能に配置されている。図2(a)(b)の如き広角、望遠の通常ズーム時には、解除手段41が作用して固定筒21を介して両カム環片32、33間の相対回転(特に、両カム環片が離間する方向への相対回転)を規制しているので、連結弾性体45は伸縮せずに両カム環片32、33間を、一定の周方向間隔を維持しつつ連結している。このため、マクロ撮影以外の撮影モードにおいては、両カム環片32、33は常に一定の位置関係を維持しつつ一体回転する。一方、図2(c)に示したマクロ撮影モードにおいては解除手段41が連結弾性体45による両カム片32、33の連結状態を解除しているので、図示した如く両カム環片32、33は連結弾性体45の規制力に抗して相対回転(連結弾性体45が延びる方向)が可能となる。
なお、広角、望遠を示している図2(a)及び(b)の場合に、各ピン11c、12cが各カム溝33b、32bの上下端部から少し離間した位置にある理由は、仮に各ピンを各カム溝の上端、下端に接触させた場合にはその位置精度はカム溝の上端、下端の加工精度に影響され、高い精度を確保することができないからであり、位置精度は別の方法によって確保するようにしている。一方、図2(c)のマクロ撮影時において、ピン11cがカム溝33bの上端部に更に接近しているのは、従動カム環片33がマクロ方向(図2(c)の下方)へ回転することによってそれまで弾性部材25によって回転を阻止されていた突起36が弾性部材25を越えてマクロ状態に入ったためであり、突起36が弾性部材25を乗り越えた分だけピン11cの位置がカム溝33bの上端部に接近している。
両カム環片32、33は、夫々斜行するカム溝32b、33bを備えており、各カム溝32b、33b内には、夫々カムフォロアとしての第1及び第2のピン11c、12cが遊嵌する。また、駆動側カム環片33の一端外周には従動ギヤ44が形成されている。
固定筒21は、軸方向へ直線状に延びるスリット状の直進ガイド21a、21bを備え、この直進ガイド21a、21b内には各レンズ枠11b、12bから延びる各ピン11c、12cが遊嵌して、各撮影レンズ11、12を光軸方向のみへ進退可能に規制している。従って、カム環31が回転することにより、カム溝32b、33bと直進ガイド21a、21bに同時に嵌合した各ピン11c、12cは、各カム溝32b、33bからの駆動力を受けて光軸方向へのみ進退することができる。従って、各ピン11c、12cと一体化された各レンズ本体11a、12aが夫々独立して光軸方向へ移動することにより変倍が行われる。
駆動手段51は、ステップモータその他のモータ52と、モータ52からの駆動力を減速して伝達するギヤトレイン53と、を備えている。ギヤトレイン53のうちの最終ギヤは、駆動側カム環片32の一端外周に形成された従動ギヤ44と噛合することにより回転駆動力をカム環31に伝達して任意の方向に、任意の角度だけ回転させる。
【0010】
この実施形態の特徴的な構成の一つは、駆動手段51から駆動側カム環片32に対して一定以上の回転駆動力を付与したときに解除手段41が作動して連結弾性体45による相対回転規制力を解除し、両カム環片32、33間の相対回転を許容する一方で、その後は従動カム環片33を解除手段41が固定筒21に固定する一方で、駆動側カム環片32をそれまでと逆方向へ回転駆動させることを許容した点にある。つまり、解除手段41が解除動作した結果、各カム環片32、33が支持した各撮影レンズ11、12間の光軸方向位置関係を、各カム環片32、33により予め定めた軌道とは異なる関係に設定した点が特徴的である。
この解除手段41は、固定筒21側の凹所22、凹所22内に配置された弾性材23、及び弾性材23によって外径方向に突出入自在に支持された係止片24から成る弾性部材25と、カム環片31(従動カム環片33)の内面適所に突設された突起36と、から成り、弾性部材25を構成する係止片24は突起36の周方向移動経路内に進退(突出入)可能であり、常時においては突起36の移動経路と干渉する位置に係止片24は位置している。
なお、この例では、固定筒21側に弾性部材25(凹所22、弾性材23、係止片24)を設け、従動カム環片31側に突起36を設けたが、これを逆にして固定筒21側に突起36を設け、従動カム環片31側に弾性部材25を設けてもよい。
また、この例では、弾性部材25は、径方向へ突出入(進退)することによって、突起36と係合したり、係合解除するように構成されているが、弾性部材25を光軸方向へ弾性的に進退(変形、傾倒)可能に支持することによって突起36と係合したり、係合解除するように構成してもよい。
また、連結弾性体45により相対回転を規制された駆動側カム環片32と従動カム環片33との相対位置関係を保つのに必要とされる規制力は、解除手段41を解除するために駆動手段51から伝達される力よりも弱くなるように設定されている。従って、駆動手段51からの回転駆動力が解除手段41を解除動作させるに足る力以上となった場合には、連結弾性体45の規制力は維持することができなくなり、両カム環32、33は相対回転が可能な状態となる。
具体的には、駆動手段51から駆動側カム環片32に対して伝達される駆動力が弾性部材25の弾性力(弾性材23の弾性力)を越えた場合に、突起36が弾性部材25(係止片24)を押圧して一旦凹所22内へ退避させて弾性部材25を乗り越えることにより、その後駆動手段51が前記と逆方向へ駆動側カム環片32を回転駆動したときに、従動カム環片33を固定筒21に固定しつつ連結弾性体45を拡開させる方向へ駆動カム環片32を相対的に回転させることができ、図2(c)に示したマクロ状態に移行することができる。つまり、突起36が弾性部材25を弾性変形させて乗り越えた後は、弾性部材25は原位置に復帰するため、弾性部材25を備えた従動カム環片33は突起36に邪魔されて逆方向への回転が阻止される一方で、弾性部材25を有しない駆動側カム環片32は逆方向への回転が可能となる。
【0011】
次に、本発明の実施形態例の動作について説明する。
第1の撮影レンズ11と第2の撮影レンズ12の光軸方向間隔が図2(a)の状態にあるときに、レンズ鏡胴1は広角(Wide)撮影状態にある。前述のようにカム環片32、33が回転することによって、各カム溝32b、33bの軌跡に沿って第1の撮影レンズ11と第2の撮影レンズ12が光軸上を移動する。この動作により変倍が行われ、第1の撮影レンズ11と第2の撮影レンズ12の光軸上間隔が図2(b)の状態になった時に本実施例のレンズ鏡胴1は望遠(Tele)撮影状態になる。
マクロ撮影は、第1の撮影レンズ11と第2の撮影レンズ12の光軸上間隔をカム溝33b、32bの軌跡とは異なる間隔にすることで達成する。即ち、マクロ撮影を行うには、まず望遠端から広角端に変倍する方向にカム環片33、32を回転させる。図3(a)に示すように、通常の撮影状態では、従動カム環片33が広角端以遠に進むことができないように突起36を解除手段41(弾性部材25)が抑えており、弾性材23からの径方向へのバネ力量Yを超える力量を突起36から弾性部材25(係止片24)に付与しなければ、従動カム環片33側に設けた突起36は弾性部材25を変形させて乗り越えることができない。ここで、マクロ撮影状態に入るために、モータ52の回転駆動力を両カム環32、33に伝達して突起36から弾性部材25に力量Pを伝達する。力量Pの、光軸方向に向かう力量PYは、バネ力量Yを超える力量とする。これより突起36から弾性部材25に伝達された力量Pによって弾性部材25は突起36の移動経路から退避し(押し下げられ)、突起36が弾性部材25を乗り越えることができ、その際の移動分だけ従動カム環片33が固定筒21に対して相対回転することとなる(図2(c))。
次に、駆動モータ52の回転方向を、カム環33、32が広角端から望遠端に向かう方向(図2(c)の上方向)に切り替える。この時、突起36は、弾性部材25を一度乗り越えて弾性部材25の反対側に位置しているので、力量Pと同じかそれ以上の力量を付与しないと従動カム環片33は通常撮影状態に戻ることができない。従って、突起36が弾性部材25を乗り越えない程度の駆動力にてカム環31が回転駆動される場合には、従動カム環片33は上記逆転方向へは回転せず、固定筒21により係止された状態となる。
従動カム環片33とカム環片32を繋ぐ連結弾性体45は、突起36が弾性部材25を乗り越えられない任意の力量Q(0<Q<P)で伸縮可能であるように構成する。つまり、連結弾性体45は、突起36が弾性部材25を乗り越えるのに必要な力Pよりも小さな力Qで伸縮可能である。この時、駆動モータ52から駆動側カム環片32に力量Qに相当する駆動力を与えると、突起36が弾性部材25を乗り越えられない為に従動カム環片33により支持された第1の撮影レンズ11はその場に留まり、連結弾性体45が伸びることで、駆動側カム環片32により支持された第2の撮影レンズ12が第1の撮影レンズ11に対して単独で回転し、カム溝32bに沿って光軸上を被写体方向に移動する。
この際、第2の撮影レンズ12が単独で光軸上を被写体方向に移動したことにより、本実施例のレンズ系は、第2の撮影レンズ12が移動した量aに従って、無限遠よりも近距離の距離Aにピントが合ったマクロ撮影状態となる。
【0012】
次に、図4に基づいて本発明のメリットについて説明する。
図4には、第1及び第2の撮影レンズ(群)11、12の他に第3の撮影レンズ群を備えた光学系を示している。第1及び第2の撮影レンズ11、12は上記した実施形態の作動機構3によって、マクロ撮影時に第1の撮影レンズ11に対する第2の撮影レンズ12の光軸方向位置を被写体側へ移動させることが可能となっている。まず、図4(a)の状態において、遠い距離にある物体(被写体)に対するピントが結像面(フィルム面、CCD面)に合っているとする。その後、(b)のように物体が接近してきた場合にはピントの位置は結像面よりも後方へ移動する。このピント位置を結像面に合致させるためには、(c)のように凸レンズとしての第2の撮影レンズ12を物体側へ移動させればよい。勿論、第3の撮影レンズ13を物体方向へ移動させることによっても、近距離に位置する物体にピントを合わせることができるが、第3の撮影レンズ13の可動範囲に限界がある場合には、撮影できる物体の距離に限界が生じる。そこで、本発明の作動機構3によって、第2の撮影レンズ12を物体側へ移動可能に構成することによって、より近距離に位置する物体に対するピント合わせを行うことが可能となる。
つまり、図4(b)の状態から、第2の撮影レンズ12を物体側へ移動させることにより、ピントの位置は結像面よりも前方へ移動し、物体が近距離にきたときに初めて結像面にピントが合う。更に物体が近くに寄ってきたときには、今度は第3の撮影レンズ13を物体側へ移動することにより、結像面にピントを合わせることが可能となる。
このように、全体繰り出しによるフォーカシング方式のレンズ系を有した本発明のズームレンズ鏡胴においては、通常撮影状態では、撮影できる最至近距離Bはレンズ系の繰り出し量で制限されてしまうが、マクロ撮影状態においては、レンズ系がピントを合わせることができる最至近距離を第2の撮影レンズの移動量aによって、より近い距離Cに設定することが可能になる。
このように、第2の撮影レンズ12を単独で光軸上物体方向に移動するように構成したことにより、通常撮影状態における無限遠から距離Bまでの撮影可能距離を、距離Aから、距離Bよりも近い距離Cに設定することができた。
これに加えて、本発明によれば、レンズ鏡筒の小型化を図ることができる。即ち、図5にて説明した如く、カム環片を小型化すればカム曲線の描く角度が増大し、ズーミング動作における力量が増大し、正確な位置に止まりづらく、不具合をもたらす。本発明では、ズーム領域とは別にマクロ領域を延長形成する必要が無いので、カム環片は通常の大きさで収まる。さらに、無理な力量がズームピンにかかることなくズーミング動作が行われるので、前述のような不具合が発生する恐れは極めて小さくなる。
なお、本発明のズームレンズ鏡胴1は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、銀塩カメラ等に適用することができる。
【0013】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明によれば、カム環に形成された第2のカム領域を延長形成せずにマクロ撮影を行うことができる。具体的には、複数ある移動レンズ支持するカム環を複数に分割し、各々のカム環片同士を連結弾性体で繋いだ。これにより、マクロ撮影時には、原動回転力を与えられているカム環片以外のカム環片の回転動作を制限し、この状態でカム環片に原動回転力を与えることにより、連結弾性体が伸び、各移動レンズ群の相対位置関係を通常撮影時とは異なる関係に設定することができる。この結果、本発明におけるレンズ鏡胴は、カム環を大型化することなく、なおかつカムの回転角に対する変位量を大きくすることなく、マクロ撮影機構を盛り込むことができる。
請求項2の発明によれば、2つ以上の複数個のカム環片間を連結弾性体によって連結することにより通常撮影時の相対回転を規制する。一方、一つのカム環片を駆動用とし、他の従動カム環片を解除手段により回転禁止することによって、駆動側のカム環片を回転可能にし、該駆動側カム環片により支持された撮影レンズのみを被写体側へ移動させてマクロ撮影可能な状態に移行させることができる。
請求項3の発明によれば、解除手段は、マクロ撮影時に作動して、従動カム環片の回転を阻止しつつ、駆動側カム環片を相対回転させて保持した撮影レンズをマクロ撮影に適した位置に移動させる。従って、カム溝を延長することによるカム環の大型化を招かずに、マクロ撮影を実現できる。
請求項4の発明によれば、大型化を招くことなく、広角、望遠の通常撮影の他に、マクロ撮影を実現できる。
請求項5の発明によれば、請求項1乃至4に記載された全ての作用効果を奏することができる。
請求項6の発明によれば、解除手段を構成する突起と弾性部材は、固定筒、従動カム環片の何れかに設けられる。弾性部材の退避方向、変形方向は、径方向であってもよく、光軸方向であってもよい。
請求項7の発明によれば、通常撮影モードとマクロ撮影モードとの相互移行を、簡単に行うことが可能となる。
請求項8の発明では、弾性部材の構成は格別限定されるものではなく、常時においては突起の移動経路に位置して突起の移動を阻止している一方で、一定以上の駆動力が加わった場合には弾性的に突起の移動経路から退避し、その後すぐに原形に復帰する機能を有していればよい。
請求項9の発明では、連結弾性体の構成も格別限定するものではないが、複数のカム環片間を連結して一定の駆動力の範囲内では相対回転が発生しないように保持する機能を有していればよい。
請求項10の発明では、解除手段が解除動作する程度に強い駆動力が駆動側カム環片に加わった時にのみ連結弾性体による相対回転規制力が解除されて、マクロ撮影への移行が可能となる。
請求項11の発明では、駆動手段に限定はないが、ステップモータによれば、回転量を任意自在にコントロールできるので、高い精度のマクロ撮影を実現できる。
請求項12の発明によれば、上記全ての請求項が奏する作用効果を備えたカメラを実現できる。カメラとしては、銀塩カメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ等に適用可能である。また、望遠鏡にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るズームレンズ鏡胴の縦断面図。
【図2】(a)(b)及び(c)は、図1の鏡胴の広角(ワイド)状態、望遠(テレ)状態、及び近距離(マクロ)状態における各カム環(各カム溝)とピンとの位置関係を示す展開図。
【図3】(a)及び(b)は通常撮影状態とマクロ撮影状態における各構成要素の位置関係及び動作を説明するための断面図。
【図4】(a)(b)及び(c)は本発明のメリットを説明する図。
【図5】(a)及び(b)は従来例の欠点を説明する図。
【符号の説明】
1 ズームレンズ鏡胴、2 撮影光学系、3 作動機構、11、12撮影レンズ、11a、12a レンズ本体、11b、12b レンズ枠、11c、12cピン(カムフォロア)、21 固定筒、21a、21b 直進ガイド、22 凹所、23 弾性材、24 係止片、25 弾性部材、31 カム環、32、33 カム環片、32a、33a 切欠き、32b、33b カム溝、36 突起、41 解除手段、44 従動ギヤ、45 連結弾性体、51 駆動手段、52
モータ、53 ギヤトレイン。
Claims (12)
- 焦点距離変倍のために光軸方向に夫々独立移動可能な複数の撮影レンズを有する撮影光学系と、各撮影レンズを光軸方向へ独立移動させる作動機構と、を備えたズームレンズ鏡胴において、
前記各撮影レンズは、夫々レンズ本体と、レンズ本体外周を支持するレンズ枠と、を備え、
前記作動機構は、各撮影レンズを光軸方向のみに移動させる固定筒と、この固定筒により回転自在に支持され且つ前記各撮影レンズを回転可能に支持する複数のカム溝を有したカム環と、該カム環に回転駆動力を与える駆動手段と、を備え、
前記カム環は、連結弾性体を介して連結された複数のカム環片から成り、
各カム環片が支持した各撮影レンズ間の光軸方向位置関係を、前記各カム環片により定めた軌道とは異なる関係に設定したことを特徴とするズームレンズ鏡胴。 - 前記カム環は、各撮影レンズを夫々支持して回転方向へ独立移動する複数のカム環片と、各カム環片間を連結して回転方向への相対移動を規制する前記連結弾性体と、を備え、前記複数のカム環片のうちの一つは前記駆動手段によって直接駆動される駆動側カム環片であり、他のカム環片は前記連結弾性体により連結された従動カム環片であり、前記従動カム環片と前記固定筒との間には前記連結弾性体による相対回転規制力を解除する解除手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ鏡胴。
- 前記駆動手段から前記駆動側カム環片に対して一定以上の駆動力を付与したときに前記解除手段が作動して前記連結弾性体による相対回転規制力を解除すると共に、前記従動カム環片の逆方向への回転を禁止することを特徴とする請求項1又は2に記載のズームレンズ鏡胴。
- 前記カム環は、前記駆動側カム環片と前記従動カム環片とに2分割され、両カム環片により夫々支持された撮影レンズの光軸方向相対位置関係を、前記カム環で定めた軌道とは異なる関係に設定することを特徴とする請求項1、2又は3の何れか一項に記載のズームレンズ鏡胴。
- 焦点距離変倍のために光軸方向に夫々独立移動可能な複数の撮影レンズを有する撮影光学系と、この撮影光学系の外径側に配置されて各撮影レンズを光軸方向へ独立移動させる作動機構と、を備えたズームレンズ鏡胴において、
前記各撮影レンズは、夫々レンズ本体と、レンズ本体外周を支持するレンズ枠と、を備え、
前記作動機構は、各撮影レンズを光軸方向のみに移動させる固定筒と、この固定筒により回転自在に支持され且つ前記各レンズ枠のピンが夫々遊嵌する複数のカム溝を有したカム環と、該カム環に回転駆動力を与える駆動手段と、を備え、前記カム環は、各撮影レンズを夫々支持して回転方向へ独立移動する複数のカム環片と、各カム環片間を連結して回転方向への相対移動を規制する連結弾性体と、を備え、前記複数のカム環片のうちの一つは前記駆動手段によって直接駆動される駆動側カム環片であり、他のカム環片は前記連結弾性体により連結された従動カム環片であり、前記従動カム環片と前記固定筒との間には前記連結弾性体による相対回転規制力を解除する解除手段を備え、
前記駆動手段から前記駆動側カム環片に対して一定以上の駆動力を付与したときに前記解除手段が作動して前記連結弾性体による相対回転規制力を解除することを特徴とするズームレンズ鏡胴。 - 前記解除手段は、前記固定筒又は前記従動カム環片の何れか一方に固定された突起と、他方に配置されて該突起の移動経路に進退可能であり且つ常時においては該突起と係合可能な位置にある弾性部材と、から成り、
前記駆動手段から前記駆動側カム環片に対して伝達される駆動力が前記弾性部材の弾性力を越えた場合に、前記突起が前記弾性部材を一旦退避させて乗り越えることにより、前記駆動手段が前記と逆方向へ駆動側カム環片を駆動したときに前記従動カム環片を前記固定筒に固定しつつ前記連結弾性体を拡開させる方向へ前記駆動カム環片を相対的に回転させることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のズームレンズ鏡胴。 - 前記駆動手段が前記と逆方向へ駆動側カム環片を駆動したときに前記従動カム環片を前記固定筒に固定しつつ前記連結弾性体を拡開させる方向へ前記駆動カム環片を相対的に回転させることにより、前記撮影光学系はマクロ撮影モードに移行することを特徴とする請求項6に記載のズームレンズ鏡胴。
- 前記弾性部材は、前記突起と係合可能な初期位置から径方向、或いは光軸方向へ弾性的に退避することが可能な構成を有していることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載のズームレンズ鏡胴。
- 前記連結弾性体は、コイルバネ、板バネ、或いはゴムから成ることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載のズームレンズ鏡胴。
- 前記連結弾性体により相対回転を規制された駆動側カム環片と従動カム環片との相対位置関係を保つのに必要とされる力は、解除手段を解除するのに要する力よりも弱いことを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載のズームレンズ鏡胴。
- 前記駆動手段は、正逆回転可能なステップモーターからなることを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載のズームレンズ鏡胴。
- 請求項1乃至11の何れか一項に記載のズームレンズ鏡胴を有することを特徴とするカメラ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002274141A JP2004109709A (ja) | 2002-09-19 | 2002-09-19 | ズームレンズ鏡胴、及びカメラ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002274141A JP2004109709A (ja) | 2002-09-19 | 2002-09-19 | ズームレンズ鏡胴、及びカメラ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004109709A true JP2004109709A (ja) | 2004-04-08 |
Family
ID=32270703
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002274141A Pending JP2004109709A (ja) | 2002-09-19 | 2002-09-19 | ズームレンズ鏡胴、及びカメラ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004109709A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7230773B2 (en) | 2004-08-31 | 2007-06-12 | Pentax Corporation | Drive mechanism of a zoom lens |
JP2007219435A (ja) * | 2006-02-20 | 2007-08-30 | Canon Inc | レンズ装置および撮像装置 |
CN110910757A (zh) * | 2019-12-06 | 2020-03-24 | 江苏盐西新城教育产业项目开发有限公司 | 一种护眼曲面显示屏的对焦结构 |
CN114928683A (zh) * | 2021-02-11 | 2022-08-19 | 宁波舜宇光电信息有限公司 | 可伸缩摄像模组及电子设备 |
CN115542506A (zh) * | 2022-03-01 | 2022-12-30 | 荣耀终端有限公司 | 光学调节结构及摄像设备 |
-
2002
- 2002-09-19 JP JP2002274141A patent/JP2004109709A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7230773B2 (en) | 2004-08-31 | 2007-06-12 | Pentax Corporation | Drive mechanism of a zoom lens |
JP2007219435A (ja) * | 2006-02-20 | 2007-08-30 | Canon Inc | レンズ装置および撮像装置 |
US8004774B2 (en) | 2006-02-20 | 2011-08-23 | Canon Kabushiki Kaisha | Lens apparatus and image-pickup apparatus |
CN110910757A (zh) * | 2019-12-06 | 2020-03-24 | 江苏盐西新城教育产业项目开发有限公司 | 一种护眼曲面显示屏的对焦结构 |
CN114928683A (zh) * | 2021-02-11 | 2022-08-19 | 宁波舜宇光电信息有限公司 | 可伸缩摄像模组及电子设备 |
CN114928683B (zh) * | 2021-02-11 | 2023-06-20 | 宁波舜宇光电信息有限公司 | 可伸缩摄像模组及电子设备 |
CN115542506A (zh) * | 2022-03-01 | 2022-12-30 | 荣耀终端有限公司 | 光学调节结构及摄像设备 |
CN115542506B (zh) * | 2022-03-01 | 2023-08-08 | 荣耀终端有限公司 | 光学调节结构及摄像设备 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5450242A (en) | Zoom lens barrel | |
US7773871B2 (en) | Retractable photographic lens | |
JPH11174305A (ja) | ズームレンズ鏡筒 | |
JP2005266345A (ja) | 沈胴式レンズ鏡筒及び沈胴式レンズ鏡筒を備えたカメラ | |
US20100002309A1 (en) | Lens barrel and image pickup apparatus | |
JPS63271306A (ja) | ズ−ムレンズ付沈胴式カメラ | |
JP2004109709A (ja) | ズームレンズ鏡胴、及びカメラ | |
JP3253360B2 (ja) | レンズ鏡筒 | |
JPS61284717A (ja) | 変倍光学系 | |
JP2002214667A (ja) | レンズ鏡筒および撮影装置 | |
JP4392905B2 (ja) | レンズ鏡筒および光学機器 | |
US6906871B2 (en) | Cam mechanism for lens barrel | |
JP4581209B2 (ja) | レンズ鏡胴 | |
JPH08211271A (ja) | レンズ鏡筒及びそれを用いた光学機器 | |
US6603609B2 (en) | Zoom lens barrel having variable fully-open aperture value function | |
US5764937A (en) | Drive mechanism for collapsing a lens barrel into the body of a camera | |
WO2005033761A1 (ja) | レンズ鏡筒 | |
US6839187B2 (en) | Lens distance-varying mechanism, and step-zoom lens incorporating the same | |
JPS62109012A (ja) | ズ−ムレンズ | |
JP2003043336A (ja) | ズームレンズ鏡胴 | |
JP4454755B2 (ja) | 光学ファインダー装置、撮影レンズユニットおよびカメラ | |
JP4076838B2 (ja) | レンズ鏡筒の回転伝達機構及び回転伝達機構 | |
JP3548312B2 (ja) | カメラ | |
JP2569529B2 (ja) | 近接撮影装置 | |
JP2003270509A (ja) | ズームレンズ鏡胴およびそのズームレンズ鏡胴を備えた撮像装置 |