JP2004100397A - 産業車両の走行操作装置 - Google Patents
産業車両の走行操作装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004100397A JP2004100397A JP2002267359A JP2002267359A JP2004100397A JP 2004100397 A JP2004100397 A JP 2004100397A JP 2002267359 A JP2002267359 A JP 2002267359A JP 2002267359 A JP2002267359 A JP 2002267359A JP 2004100397 A JP2004100397 A JP 2004100397A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- traveling
- travel
- levers
- lever
- industrial vehicle
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 238000011144 upstream manufacturing Methods 0.000 description 25
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 19
- 238000001514 detection method Methods 0.000 description 11
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 6
- 230000007257 malfunction Effects 0.000 description 6
- 230000007935 neutral effect Effects 0.000 description 4
- 230000008859 change Effects 0.000 description 3
- 230000000994 depressogenic effect Effects 0.000 description 3
- 239000002131 composite material Substances 0.000 description 2
- 238000010276 construction Methods 0.000 description 2
- 230000009471 action Effects 0.000 description 1
- 230000007423 decrease Effects 0.000 description 1
- 238000000034 method Methods 0.000 description 1
- 230000008569 process Effects 0.000 description 1
- 230000004044 response Effects 0.000 description 1
Images
Landscapes
- Mechanical Control Devices (AREA)
- Component Parts Of Construction Machinery (AREA)
- Arrangement Or Mounting Of Control Devices For Change-Speed Gearing (AREA)
Abstract
【課題】前方視界、乗降性、操作性の良い産業車両の走行操作装置を提供する。
【解決手段】運転席(1)の左右に作業機(75)を操作する左右1対の作業機レバー(4,5)を設け、この左右作業機レバーそれぞれの近傍に左右の走行装置(73,74)を操作する走行操作レバー(20,21)を設ける。左右の走行装置をそれぞれ操作する左右の走行ペダル(6,7)をさらに設けた方が好ましい。各走行操作レバーは、左右の走行装置をそれぞれ独立して制御可能な異なる操作系統をそれぞれ有する2つの走行レバー(20a,20b)(21a,21b)からなる。同側の走行装置を、前記左右の走行操作レバーそれぞれの走行レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つで共に操作したときに、いずれか一つの操作による該走行装置作動を優先し、他の操作による作動を停止させる制御手段(8,8a)を備える。
【選択図】 図2
【解決手段】運転席(1)の左右に作業機(75)を操作する左右1対の作業機レバー(4,5)を設け、この左右作業機レバーそれぞれの近傍に左右の走行装置(73,74)を操作する走行操作レバー(20,21)を設ける。左右の走行装置をそれぞれ操作する左右の走行ペダル(6,7)をさらに設けた方が好ましい。各走行操作レバーは、左右の走行装置をそれぞれ独立して制御可能な異なる操作系統をそれぞれ有する2つの走行レバー(20a,20b)(21a,21b)からなる。同側の走行装置を、前記左右の走行操作レバーそれぞれの走行レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つで共に操作したときに、いずれか一つの操作による該走行装置作動を優先し、他の操作による作動を停止させる制御手段(8,8a)を備える。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業車両の走行操作装置に関し、特には、運転席で作業機操作と走行操作とを行う産業車両の走行操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、産業車両例えば油圧ショベルの、前方視界の向上、乗降の容易化を目的とした走行レバーの配置については、各種の提案がなされている。その一例として特許文献1及び特許文献2に開示されたものがある。
【0003】
図14は産業車両の一例の、油圧ショベル70の側面図である。なお、以下の説明では、左右は車両の前進方向を向いたときの前後方向に対する左右を表すものとする。
図14において、車体71の上部には上部旋回体72が搭載され、その左右には左、右走行装置73,74がそれぞれ設けられている。上部旋回体72には、作業機75と、運転室76と、エンジン等の動力源77とが搭載されている。左、右走行装置73,74は、それぞれに設けられた左、右走行油圧モータ10,18により駆動される。
【0004】
図15は、特許文献1に開示された、例えば上記油圧ショベル70などの建設機械の走行操作装置80を示す運転室76の正面図である。図15において、シート82の左右には左、右コンソールボックス83,84が設けられている。左コンソールボックス83には第1作業機レバー85、及び前記左走行装置73を操作する左走行レバー86が設けられ、右コンソールボックス84には第2作業機レバー87、及び前記右走行装置74を操作する右走行レバー88が設けられている。これにより、前方視界の向上及び乗降の容易化を図っている。
【0005】
図16は、特許文献2に開示された、上記油圧ショベル70などの建設機械の操作レバー90を示す運転室76の平面図である。図16において、運転席92の左右には左、右作業機レバー93,94がそれぞれ設けられている。右作業機レバー94の近傍には、前記左右の走行装置73,74をそれぞれ操作する左、右走行レバー95,96が設けられている。また、運転席92の前方には、左右の走行装置73,74をそれぞれ操作する左、右走行ペダル97,98が設けられている。これにより、前方視界の向上及び乗降の容易化を図っている。
【0006】
【特許文献1】
実開平4−135831号公報(第4−5頁、第1図)
【特許文献2】
実公平5−42126号公報(第2−3頁、第2図)
【特許文献3】
実開平5−96160号公報
【特許文献4】
特開平6−108495号公報
【特許文献5】
特開平7−32901号公報
【特許文献6】
特開平8−13544号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の走行操作装置の構成においては、以下のような問題点がある。
特許文献1に開示されたものにおいては、シート82の左側に第1作業機レバー85と左走行装置73を操作する左走行レバー86、右側に第2作業機レバー87と右走行装置74を操作する右走行レバー88をそれぞれ設けた。そのため、作業機操作と走行操作の複合操作を行う場合、一側の作業機レバーと他側の走行レバー、あるいは同一側の作業機レバーと走行レバーとしか同時操作を行うことができず、複合操作の操作内容が限定される(つまり、左右いずれか一側の走行装置しか複合操作できない)という問題がある。また、同一側の作業機レバーと走行レバーとを同時操作する場合に、運転者は体をねじるような無理な姿勢にならなければならず、操作性が良くないという問題もある。
また特許文献1に開示されたものにおいては、右作業機レバー94の近傍に左右の走行装置73,74を操作する2本の走行レバー95,96を設けている。そのため、右作業機レバー94と走行レバー95又は96とを同時操作する場合、無理な姿勢になって操作性が良くないという問題がある。また、左、右作業機レバー93,94と走行ペダル97,98とで複合操作を行う場合、走行ペダル97,98での走行の微操作が困難であるという問題もある。
【0008】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたものであり、前方視界が良く、乗降が容易で、かつ操作性の良い産業車両の走行操作装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、第1発明は、産業車両の走行操作装置において、車体の左右に設けられた走行装置と、前記車体に設けられた作業機と、運転席の左右に配置され、前記作業機を操作する作業機レバーとを有し、前記左右の走行装置を操作する走行操作レバーを前記左右の作業機レバーそれぞれの近傍に設けた構成としている。
【0010】
第1発明によると、左右の作業機レバーそれぞれの近傍に、左右の走行装置を操作可能な走行操作レバーをそれぞれ設けたため、作業機操作と走行操作との複合操作が必要な場合、無理な姿勢をとることなく必要な作業機レバーと走行操作レバーとの同時操作を容易に行うことができ、車両の操作性が向上する。また、運転者の前方に走行レバーが無いため、前方視界も良く、乗降も容易である。
【0011】
第2発明は、第1発明において、前記左右の走行装置をそれぞれ操作する左右の走行ペダルをさらに設けた構成としている。
【0012】
第2発明によると、走行操作レバーに加えて走行ペダルを設けたため、両手で作業機レバー操作を行っていても走行操作との複合操作が可能となり、操作性を向上できる。
【0013】
第3発明は、第1又は第2発明において、前記各走行操作レバーは、前記左右の走行装置をそれぞれ独立して制御可能な異なる操作系統をそれぞれ有する2つの走行レバーからなる構成としている。
【0014】
第3発明によると、左右の走行操作レバーの少なくともいずれか一つは左右の走行装置をそれぞれ操作する左右の走行レバーで構成しているため、その左右の走行レバーでは、従来と同様に左右の走行装置を左右独立して操作可能となる。この構成は従来の2つの走行レバーの形態と同一であるため、運転者に違和感がなく、操作性が良い。
【0015】
第4発明は、第3発明において、前記左右の走行装置の内、同側の走行装置を、前記左右の走行操作レバーをなすそれぞれの走行レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つで共に操作したときに、いずれか一つの操作による該走行装置の作動を優先し、他の操作による作動を停止させる制御手段を備えた構成としている。
【0016】
第4発明によると、例えば運転者が誤って左右の走行操作レバーをなすそれぞれの走行レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つで、同側の走行装置を共に操作しても、いずれか一つの操作による該走行装置の作動を優先し、他の操作による作動を停止させる。このため、運転者の予期しない方向に走行するなどの誤作動の畏れが無いので、安定した走行操作が確実にできる。
【0017】
第5発明は、第3発明において、前記左右の走行装置の内、同側の走行装置を、前記左右の走行操作レバーをなすそれぞれの走行レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つで共に操作したときに、先行して操作した方の操作による該走行装置の作動を優先し、他の操作による作動は行わない制御手段を備えた構成としている。
【0018】
第5発明によると、例えば運転者が誤って左右の走行操作レバーをなすそれぞれの走行レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つで、同側の走行装置を共に操作しても、先行して操作した方の操作による該走行装置の作動を優先し、他の操作を無視する、つまりその操作による作動は行わないようにする。このため、上記同様誤作動の畏れが無いので、安定した走行操作が確実にできる。
【0019】
第6発明は、第3発明において、前記左右の走行装置の内、同側の走行装置を、前記左右の走行操作レバーをなすそれぞれの走行レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つで共に操作したときに、全ての操作による該走行装置の作動を停止させる制御手段を備えた構成としている。
【0020】
第6発明によると、例えば運転者が誤って左右の走行操作レバーをなすそれぞれの走行レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つで、同側の走行装置を共に操作しても、全ての操作による該走行装置の作動を停止させるため、誤作動の畏れが無く、操作系統が混乱することはないので、安定した走行操作が確実にできる。
【0021】
第7発明は、第1又は第2発明において、前記走行操作レバーがモノレバー式である構成としている。
【0022】
第7発明によると、左右の走行装置を操作する場合、従来のように2つの走行レバーで操作する必要が無く、操作性が向上する。
【0023】
第8発明は、第1、第2又は第3発明において、前記左右の走行操作レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つを共に操作したときに、先行して操作した方の操作による該走行装置の作動を優先し、他の操作による作動は行わない制御手段を有する構成としている。
【0024】
第8発明によると、例えば運転者が左右の走行操作レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つを共に操作した場合、先行して操作していた方の操作による走行装置の作動を優先して継続し、後から操作した方による作動は行わないようにするため、運転者の予期しない方向に走行するなどの誤作動の畏れが無いので、安定した走行操作が確実にできる。
【0025】
第9発明は、第1、第2発明において、前記左右それぞれの作業機レバー及び走行操作レバーが、一つの操作レバーで兼用した構成としている。
【0026】
第9発明によると、一つの操作レバーで作業機レバーと走行操作レバーを兼用するため、例えば作業機操作、走行操作を行う場合、作業機レバーと走行操作レバーとを持ち替える手間がかからないので、操作性を向上できる。また、複合操作も容易にできる。
【0027】
第10発明は、第9発明において、前記各操作レバーに設けられ、走行操作及び作業機操作を選択的に切り換える切換信号を出力する切換スイッチと、前記各切換スイッチの切換信号に基づき、走行操作及び作業機操作を切り換える制御装置とを備えた構成としている。
【0028】
第10発明によると、各操作レバーで走行操作と作業機操作を選択的に切り換えるとき、該操作レバーに設けた切換スイッチで容易に切り換えることができる。そのため、例えば作業機と走行との複合操作を行う場合でも、該操作レバーを握ったままで走行操作と作業機操作を切り換えることができ、操作が容易で、操作性を向上できる。
【0029】
第11発明は、第10発明において、前記制御装置は、該左右の操作レバーの前記切換スイッチから共に走行操作選択の切換信号を入力したとき、左操作レバーが左走行装置を操作可能とし、かつ右操作レバーが右走行装置を操作可能とするように、操作系統を制御する構成としている。
【0030】
第11発明によると、左右操作レバーのそれぞれの切換スイッチで走行操作を選択した場合、左右の操作レバーによる走行操作が、従来の一般的な2本走行レバーの操作形態と同一となるので、運転者に違和感を与えることが無く、操作性が良好である。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して詳述する。なお、本実施形態においては、適用機例として図14に示した油圧ショベル70を挙げて説明する。
【0032】
図1は第1実施形態の走行操作装置のレバー配置を示す運転席の側面図であり、図2はその平面図である。図1、図2において、運転室76に配置された運転席1の両袖に設けられた左、右コンソールボックス2,3の上面、前端部には、それぞれ左、右作業機レバー4,5が設けられている。左、右コンソールボックス2,3の上面の、左、右作業機レバー4,5の後方近傍には、それぞれ左、右走行操作レバー20,21が設けられている。また、運転席1の前方には左、右走行ペダル6,7が配置されている。左走行操作レバー20は、左走行装置73を操作する左L走行レバー20aと、右走行装置74を操作する左R走行レバー20bとからなり、また右走行操作レバー21は、左走行装置73を操作する右L走行レバー21aと、右走行装置74を操作する右R走行レバー21bとからなっている。
【0033】
次に作動について説明する。左、右作業機操作レバー4,5を操作すると、作業機75は所定の作動を行う。図14に示す油圧ショベル70の場合、例えば、左作業機レバー4を操作してアーム及び旋回の動作を制御し、右作業機レバー5を操作してブーム及びバケットの動作を制御する。左L、右L走行レバー20a,21a及び左走行ペダル6は左走行装置73を操作し、左R、右R走行レバー20b,21b及び右走行ペダル7は右走行装置74を操作する。作業中、作業機と走行との複合操作が必要になった場合、作業内容によって、例えば左作業機レバー4を使用する場合には右走行操作レバー21を使用し、右作業機レバー5を使用する場合には左走行操作レバー20を使用することができる。
【0034】
図3は、上記を達成するための第1実施形態の走行操作系統図であり、右走行操作レバー21の作動を優先させる制御手段8を備えた例を示している。図3において、左走行操作レバー20を構成する左L、R走行レバー20a,20bと、右走行操作レバー21を構成する右L、R走行レバー21a,21bとの下部には、それぞれレバー操作によって作動するパイロット弁14が設けられており、これらのパイロット弁14には図示しないパイロットポンプからパイロット油が供給されている。左右のL、R走行レバー20a,20b,21a,21bはそれぞれ前後方向に傾動操作可能であり、前方向操作は前進、後方向操作は後進である。
【0035】
左L走行レバー20aのパイロット弁14に接続する第1F、R回路22f,22rには、パイロット式の第1切換弁30が設けられている。第1切換弁30の下流の第1F回路22fは、パイロット式の第2切換弁32Aを介して、左走行油圧モータ10を制御する左操作弁11の前進側パイロットシリンダ11fに接続している。また、右L走行レバー21aのパイロット弁14に接続する第3R回路24rは、第3切換弁32Bを介して前記左操作弁11の後進側パイロットシリンダ11rに接続している。この左操作弁11は前進位置Aと、中立位置Bと、後進位置Cとを有し、油圧ポンプ12と左走行油圧モータ10との間に介装されている。尚、13はオイルタンクである。
【0036】
右L走行レバー21aのパイロット弁14に接続する第3F回路24fは、第1F回路22fの、第1切換弁30と第2切換弁32Aとの間の接続点Pに接続している。また、第1切換弁30の下流側の第1R回路22rは、第3R回路24rの、第3切換弁32B上流側の接続点Qに接続している。この接続点Qのさらに上流側に設けられた、第3F回路24fと第3R回路24rとを接続する接続回路15にはシャトル弁16が介装されており、その下流で、かつ前記接続点Pの上流、及びその下流で、かつ前記接続点Qの上流には、それぞれ一方向弁17,17が設けられている。この一方向弁17は、上流側に向かう流れを阻止している。前記シャトル弁16の出力ポートは、第1切換弁30のパイロットシリンダ31に接続している。
【0037】
第1切換弁30は位置Dと位置Eとの2位置を有する方向切換弁であり、位置Dでは第1F,R回路22f,22rは開き、位置Eではパイロット弁14側の両回路をオイルタンク13に接続される。この第1切換弁30は、通常位置Dに付勢されている。
【0038】
第2切換弁32A及び第3切換弁32Bは位置Fと位置Gとの2位置を有する方向切換弁であり、第2切換弁32Aは、位置Fでは第1F回路22fと第3F回路24fとの合流回路を閉じると共に、左操作弁11の前進側パイロットシリンダ11fに接続された回路をオイルタンク13に開放し、位置Gでは第1F回路22fと第3F回路24fとの合流回路を開き、左操作弁11の前進側パイロットシリンダ11fに接続する。また、第3切換弁32Bは、位置Fでは第1R回路22rと第3R回路24rとの合流回路を閉じると共に、左操作弁11の後進側パイロットシリンダ11rに接続された回路をオイルタンク13に開放し、位置Gでは第1R回路22rと第3R回路24rとの合流回路を開き、左操作弁11の後進側パイロットシリンダ11rに接続する。これらの第2切換弁32A及び第3切換弁32Bは、通常位置Fに付勢されている。
【0039】
前記第2切換弁32A及び第3切換弁32Bは、それぞれ2個のパイロットシリンダ31a,31bを備えている。第2切換弁32Aのパイロットシリンダ31a,31bは、それぞれ第1切換弁30より上流側の第1F回路22f、及び一方向弁17より上流側の第3F回路24fに接続している。また第3切換弁32Bのパイロットシリンダ31a,31bは、それぞれ第1切換弁30より上流側の第1R回路22r、及び一方向弁17より上流側の第3R回路24rに接続している。
【0040】
これらのシャトル弁16、一方向弁17,17、第1切換弁30、第2切換弁32A及び第3切換弁32Bを用いて制御手段8を構成している。
【0041】
左、右走行操作レバー20,21の、左R、右R走行レバー20b,21bのパイロット弁14,14にそれぞれ接続する第2F、R回路23f,23rと、第4F、R回路25f,25rとは、図示しない右走行油圧モータの右操作弁に接続しているが、その回路は前述した左走行油圧モータ用の左操作弁のものと同一なので、ここでの図示及び説明は省略する。なお、以降の走行操作系統図においても同様である。
【0042】
次に作動について、図3に基づいて説明する。図3において、左L走行レバー20aを前方向に傾動させると、第1F回路22fからのパイロット圧により、第2切換弁32Aは位置Fから位置Gに切り換わり、第1F回路22fを開く。これにより、左操作弁11の前進側パイロットシリンダ11fにパイロット圧が加わって、左操作弁11は前進位置Aに切り換わり、このパイロット圧に応じて左走行油圧モータ10を所定の回転数で前進回転させる。また、左L走行レバー20aを後方向に傾動させると、第1R回路22rからのパイロット圧により、第3切換弁32Bは位置Fから位置Gに切り換わり、第3R回路24rを開く。これにより、パイロット圧が第1R回路22rから第3R回路24rを経て、左操作弁11の後進側パイロットシリンダ11rに加わって、左操作弁11は後進位置Cに切り換わり、このパイロット圧に応じて左走行油圧モータ10を所定の回転数で後進回転させる。この後、左L走行レバー20aを中立に戻すと、前記第1F回路22f又は第1R回路22rのパイロット圧は低下し、第2切換弁32A又は第3切換弁32Bは位置Gから位置Fに切り換わる。その結果、左操作弁11の前進側パイロットシリンダ11f又は後進側パイロットシリンダ11rはオイルタンク13と連通し、左操作弁11は中立位置Bとなり、左走行油圧モータ10の回転は停止する。
【0043】
右L走行レバー21aを操作した場合には、シャトル弁16から第1切換弁30のパイロットシリンダ31にパイロット圧が加わり、第1切換弁30は位置Dから位置Eに切り換わり、第1F、R回路22f,22rをオイルタンク13に連通させる。したがって、右L走行レバー21aの操作中には、左L走行レバー20aの操作による作動は禁止される。また、左L走行レバー20aの操作中に右L走行レバー21aを操作すると、第1切換弁30は位置Dから位置Eに切り換わり、左L走行レバー20aの操作によるパイロット油の入力は停止され、右L走行レバー21aの操作により左走行油圧モータ10は回転することとなる。すなわち、本走行操作系統では右走行操作レバー21が常に優先する。
【0044】
第1実施形態の産業車両の走行操作装置は、上記のような構成としたため、以下のような効果がある。
運転者の前方に走行レバーが無いため、前方視界も良く、乗降も容易である。
左右走行装置をそれぞれ操作する左右の走行レバーの操作形態は、従来の2本走行レバーと同一となり、運転者に違和感を与えることなく、操作性が良い。
運転席左右いずれか一側の走行操作レバーで左右の走行装置を操作できるため、走行と作業機との複合操作の内容が広くなる。即ち、組み合わせ可能な走行操作の種類(左右走行装置単独、及び同時)と、作業機の種類(ブーム、アーム、バケット、旋回)とが多くなる。従って、従来のように左右片側にのみ左走行レバーと右走行レバーを設けた構成に比して、操作性を向上できる。
複合操作する作業機の種類に応じて、左作業機レバーと右走行操作レバー、右作業機レバーと左走行操作レバーを同時操作すればよいので、作業機と走行との複合操作が無理な姿勢をとることなく容易に行え、よって操作性を向上できる。
例えば運転者が誤って左右の走行操作レバーそれぞれの走行レバーで、同一操作系統を(つまり左右同側の走行装置を)共に操作しても、優先順位の高い方の(上記例では右の)走行操作レバーの操作による該走行装置の作動を優先し、他方の操作による作動は、先行で作動していた場合には停止させ、後から操作した場合には作動させない(停止させる)ようにする。そのため、運転者の予期しない方向に走行するというような誤作動が無く、また、どの操作でどう作動するかが予め分かっているので操作の混乱が生じることもなく、安定した走行操作を確実に行うことができる。
【0045】
なお、第1実施形態の構成においては、右走行操作レバー21の操作を優先しているが、左走行操作レバー20の操作を優先させるようにしても構わない。
【0046】
図4は、第2実施形態の走行操作系統図である。第2実施形態は、第1実施形態のものにさらに左、右走行ペダル6,7を設けた例であり、左、右走行ペダル6,7の作動を最優先とし、右走行操作レバー21を次に優先させる制御手段8aを備えた例を示している。なお、以下では、第1実施形態のものと同一構成には同一符号を付して説明は省略し、異なる部分についてのみ詳細に説明する。また、図4においては、左操作弁11への接続、左走行油圧モータ10、及び油圧ポンプ12等は第1実施形態のものと同一であるため省略してある。なお、以降の走行操作系統図も同様である。
【0047】
図4において、第1F回路22fには、第1切換弁30の下流にパイロット式の第4切換弁33Aが設けられている。第4切換弁33Aは、パイロットシリンダ31が3個であること以外は第1実施形態の第2切換弁32Aと同一構成である。第3F回路24fと第3R回路24rとを接続する第1の接続回路15に介装された第1のシャトル弁16の出力ポートと、第1切換弁30のパイロットシリンダ31とを接続する回路16aには第2切換弁32Aが設けられ、前記第1のシャトル弁16の出力ポートとこの第2切換弁32Aとの間の回路16aには一方向弁17Aが設けられている。また、前記第1の接続回路15よりも上流の第3F、R回路24f,24rには第7切換弁30Aが設けられており、第3R回路24r上の一方向弁17と図示しない左操作弁11の後進側パイロットシリンダ11r(図3参照)との間には第5切換弁33Bが設けられている。第7切換弁30Aは第1切換弁30と同一構成であり、また第5切換弁33Bは、パイロットシリンダ31が3個であること以外は第1実施形態の第3切換弁32Bと同一構成である。
【0048】
また、左、右走行ペダル6,7の下部には、それぞれパイロット弁14,14が設けられている。左、右走行ペダル6,7は前後方向に揺動可能に構成され、それぞれ前方に踏み込むとその対応する左、右走行装置を前進させ、後方に踏み込むと後進させる。左走行ペダル6のパイロット弁14に接続する第5F回路26f及び第5R回路26rは、第1F回路22fと第3F回路24fとを接続する前記接続点P、及び第1R回路22rと第3R回路24rとを接続する前記接続点Qにそれぞれ接続している。第5F回路26fと第5R回路26rとを接続する第2の接続回路15Aには第2のシャトル弁16Aが設けられ、第5F回路26fの第2の接続回路15Aの接続点と前記接続点Pとの間、及び第5R回路26rの第2の接続回路15Aの接続点と前記接続点Qとの間にはそれぞれ一方向弁17,17が設けられている。
【0049】
第2切換弁32Aのパイロットシリンダ31a、31bは、それぞれ第1、第2のシャトル弁16,16Aの出力ポートに接続している。また、第7切換弁30Aのパイロットシリンダ31は、第2のシャトル弁16Aの出力ポートに接続している。さらに、この第2のシャトル弁16Aの出力ポートは、一方向弁17Bを介して前記回路16aの一方向弁17Aの下流側に接続している。これらの一方向弁17A,17Bは、下流側から上流側への流れを阻止するように接続されている。
【0050】
第4切換弁33Aの3個のパイロットシリンダ31,31,31は、それぞれ第1切換弁30よりも上流側の第1F回路22f、第7切換弁30Aよりも上流側の第3F回路24f、及び前記一方向弁17よりも上流側の第5F回路26fに接続している。また、第5切換弁33Bの3個のパイロットシリンダ31,31,31は、それぞれ第1切換弁30よりも上流側の第1R回路22r、第7切換弁30Aよりも上流側の第3R回路24r、及び前記一方向弁17よりも上流側の第5R回路26rに接続している。
【0051】
上記のように、第1、第2のシャトル弁16,16A、複数の一方向弁17A,17B,17、第1切換弁30、第2切換弁32A、第4切換弁33A、第5切換弁33B、及び第7切換弁30A等を用いて制御手段8aを構成している。
【0052】
次に、本実施形態の作動について、第1実施形態と異なるところを説明する。左走行ペダル6を前方向に踏み込んで揺動させると、第5F回路26fのパイロット油は第1F回路22fに介装された第4切換弁33Aを位置Fから位置Gに切り換え、第1F回路22fを開く。そのため、第5F回路26fのパイロット油は第1F回路22fを通って図示しない左操作弁11の前進側パイロットシリンダ11f(図3参照)に加えられ、左走行油圧モータ10は前進回転する。また、第5F回路26fのパイロット油は、第2のシャトル弁16Aから第3F,R回路24f,24rに介装された第7切換弁30Aのパイロットシリンダ31に流入し、この第7切換弁30Aを位置Dから位置Eに切り換えて、右L走行レバー21aによる左操作弁11の作動を停止する。これと同時に、前記パイロット油は、第2切換弁32Aのパイロットシリンダ31bに流入して、この第2切換弁32Aを位置Fから位置Gに切り換え、これにより一方向弁17B、回路16a及び第2切換弁32Aを経由して、第1F,R回路22f,22rに介装された第1切換弁30のパイロットシリンダ31に流入し、この第1切換弁30を位置Dから位置Eに切り換えて左L走行レバー20aによる左操作弁11の作動を停止する。また、左走行ペダル6を後方向に揺動させると、左走行油圧モータ10は後進回転すると共に、右L走行レバー21a及び左L走行レバー20aによる左操作弁11の作動を停止する。すなわち、左走行ペダル6による操作を最優先して左操作弁11を作動させる。左走行ペダル6を操作しない場合には、第1実施形態のものと同様に、右L走行レバー21aによる操作を優先して左操作弁11を作動させる。
【0053】
本実施形態の走行操作装置によると、運転者が左右の走行操作レバーそれぞれの走行レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つで、同一操作系統を(つまり左右同側の走行装置を)共に操作したときには、優先順位の高い方(本例では、走行ペダルが優先順位第1位、右走行操作レバーが第2位としている)の操作による該走行装置の作動を優先し、他の操作による作動を停止させる。すなわち、他の操作による作動は、先行で操作していた場合には停止させ、同時又は後からの操作の場合には作動させない(つまり、停止させておく)。このため、運転者の予期しない方向に走行するというような誤作動が無く、また、どの操作でどう作動するかが予め分かっているので操作の混乱が生じることもなく、安定した走行操作を確実に行うことができる。
【0054】
なお、本実施形態においては、走行ペダルを最優先にしているが、本発明はこれに限定されず、走行ペダル以外の、左右いずれかの走行操作レバーを最優先にしたり、またはこれらの優先順位を適宜変更してもよい。
【0055】
次に、図5により第3実施形態を説明する。図5は第3実施形態の走行操作系統図であり、左右の走行操作レバーを共に操作した場合に、左右の走行操作レバーの作動を停止させる制御手段8bを備えた例を示している。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付して、以下での説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0056】
図5において、第1F、R回路22f,22rには上流から、両回路22f,22r間を第1のシャトル弁16を介して接続する第1の接続回路15、一方向弁17,17、及び第1切換弁30が設けられている。また、第3F、R回路24f,24rには上流から、両回路24f,24r間を第2のシャトル弁16Aを介して接続する第2の接続回路15A、一方向弁17,17、及び第7切換弁30Aが設けられている。
【0057】
第1の接続回路15に設けられた第1のシャトル弁16の出力ポートは、第7切換弁30Aのパイロットシリンダ31に接続しており、第2の接続回路15Aに設けられた第2のシャトル弁16Aの出力ポートは、第1切換弁30のパイロットシリンダ31に接続している。また、第1切換弁30よりも下流側の第1F回路22fは第7切換弁30Aよりも下流側の第3F回路24fに接続点Pで接続され、第1切換弁30よりも下流側の第1R回路22rは第7切換弁30Aよりも下流側の第3R回路24rに接続点Qで接続されている。そして、第1切換弁30及び第7切換弁30Aの第1のドレーン回路35,35にはそれぞれ絞り36,36が設けられている。さらに、図示しない左操作弁11に接続する、前記接続点P,Qよりも下流側の第3F,R回路24f,24rにはそれぞれオイルタンク13に接続する第2のドレーン回路35A,35Aが設けられ、この第2のドレーン回路35A,35Aにはそれぞれ絞り36A,36Aが設けられている。
【0058】
上記のように、第1のシャトル弁16、第2のシャトル弁16A、複数の一方向弁17、第1切換弁30、第7切換弁30A、第1のドレーン回路35の絞り36、及び第2のドレーン回路35Aの絞り36Aなどを用いて制御手段8bを構成している。
【0059】
次に、第3実施形態の作動について説明する。右L走行レバー21aは操作しない状態で、左L走行レバー20aを前後に操作した場合、第1F、R回路22f,22rのパイロット油は第3F、R回路24f,24rを経て図示しない左操作弁11のパイロットシリンダに作用する。この時、パイロット油は、第3F、R回路24f,24rにそれぞれ設けられた第2のドレーン回路35A,35Aからオイルタンク13にドレーンするが、絞り36Aがあるため所定の圧力は残留し、左操作弁11を作動させて左走行油圧モータ10(図3参照)を回転させる。同時に、第3F、R回路24f,24rに設けられた第7切換弁30Aのパイロットシリンダ31は、上記パイロット油を第1のシャトル弁16を経由して受け、この第7切換弁30Aは位置Dから位置Eに切り換わる。これにより、右L走行レバー21aの操作による左操作弁11の作動ができないようにする。同様にして、左L走行レバー20aは操作しない状態で、右L走行レバー21aを操作した場合には、第3F、R回路24f,24rのパイロット油は図示しない左操作弁11に作用し、左走行油圧モータ10を回転させる。この場合、第1F、R回路22f,22rに設けられた第1切換弁30は位置Dから位置Eに切り換わる。
【0060】
左L走行レバー20aと右L走行レバー21aとを共に操作した場合には、パイロット油はそれぞれ第1のシャトル弁16及び第2のシャトル弁16Aを経由して第1切換弁30及び第7切換弁30Aのパイロットシリンダ31,31に加わり、これにより第1切換弁30及び第7切換弁30Aは位置Dから位置Eに切り換わり、第1F、R回路22f,22r及び第3F、R回路24f,24rのパイロット油は第1のドレーン回路35,35を介してオイルタンク13にドレーンされる。しかしながら、この第1のドレーン回路35,35には絞り36,36が設けられているため、第1のシャトル弁16及び第2のシャトル弁16Aの回路圧は高く維持され、第1切換弁30及び第7切換弁30Aは位置Eを保持する。したがって、左L走行レバー20a、右L走行レバー21aは共に作動しない。この時、図示しない左操作弁11に接続した第3F、R回路24f,24rのパイロット油は、第3F、R回路24f,24rに設けられた第2のドレーン回路35A,35Aの絞り36A,36Aを通ってドレーンされるので、左操作弁11は中立位置Bに戻って左油圧走行モータ10は停止する。
【0061】
以上のように本実施形態の走行操作装置によると、運転者が誤って左右の走行操作レバーそれぞれの走行レバーで、同一操作系統(同一走行モータの制御系統)を、換言すると左右同側の走行装置を共に操作しても、制御手段は両方の操作による該走行装置の作動を停止させるため、運転者の予期しない方向へ車両が走行することはなく、安定した操作が確実にできる。
【0062】
なお、本実施形態では走行ペダルの無い構成で説明したが、上記構成にさらに走行ペダルを備えた構成の場合でも同様に、左右の走行操作レバーそれぞれの走行レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つ(すなわち、左右の走行操作レバー、左走行操作レバーと走行ペダル、右走行操作レバーと走行ペダル、又は左、右走行操作レバーと走行ペダル)で、同一操作系統を共に操作したときに、全ての操作による該走行装置の作動を停止させるように構成することができる。この場合にも、上記同様の作用及び効果が得られる。
【0063】
次に、図6に示す走行操作系統図により、第4実施形態を説明する。図6は、先行して操作された走行操作レバーによる作動を優先させる制御手段8cを備えた例を示している。なお、ここでは前述の第1〜第3実施形態のものと同一の構成要素には同一符号を付して説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0064】
図6において、第1F、R回路22f,22rには上流から、第1切換弁30と、両回路22f,22r間を第1のシャトル弁16を介して接続した第1の接続回路15と、両回路22f,22rにそれぞれ介装された一方向弁17,17とが直列に設けられている。また、第3F、R回路24f,24rには、上流から、第7切換弁30Aと、両回路24f,24r間を第2のシャトル弁16Aを介して接続した第2の接続回路15Aと、両回路24f,24rにそれぞれ介装された一方向弁17,17とが直列に設けられている。そして、第1F回路22fの一方向弁17の下流と、第3F回路24fの一方向弁17の下流とは、接続点Pで接続し、第1R回路22rの一方向弁17の下流と、第3R回路24rの一方向弁17の下流とは、接続点Qで接続している。さらに、前記接続点Pと図示しない左操作弁11の前進側パイロットシリンダ11f(図3参照)との間には第2切換弁32Aが設けられており、前記接続点Qと図示しない左操作弁11の後進側パイロットシリンダ11r(図3参照)との間には第3切換弁32Bが設けられている。
【0065】
第1のシャトル弁16の出力ポートは、第7切換弁30Aのパイロットシリンダ31に接続され、第2のシャトル弁16Aの出力ポートは、第1切換弁30のパイロットシリンダ31に接続されている。第2切換弁32Aの2個のパイロットシリンダ31,31は、第1F回路22fの一方向弁17の上流側、及び第3F回路24fの一方向弁17の上流側にそれぞれ接続している。また、第3切換弁32Bの2個のパイロットシリンダ31,31は、第1R回路22rの一方向弁17の上流側、及び第3R回路24rの一方向弁17の上流側にそれぞれ接続している。
上記のように、これらの第1のシャトル弁16、第2のシャトル弁16A、複数の一方向弁17、第1切換弁30、第2切換弁32A、第3切換弁32B、及び第7切換弁30Aをそれぞれ用いて制御手段8cを構成している。
【0066】
以下に、作動について説明する。最初に左L走行レバー20aを操作すると、第1F、R回路22f,22rのパイロット圧により第7切換弁30Aは位置Dから位置Eに切り換えられ、右L走行レバー21aの操作による左操作弁11の作動は停止される。同時に、左L走行レバー20aの前進又は後進の操作方向にそれぞれ対応する第2切換弁32A又は第3切換弁32Bは、位置Fから位置Gに切り換えられ、左操作弁11は前進位置A又は後進位置Cに切り換えられる。この状態で右L走行レバー21aを操作しても、作動しない。すなわち、先行した左L走行レバー20aの操作中は、右L走行レバー21aの操作は無視される。反対に、先行して右L走行レバー21aを操作すると、この後の左L走行レバー20aの操作は無視され、左操作弁11は右L走行レバー21aの操作による作動が維持される。
【0067】
本実施形態の走行操作装置によると、運転者が一方の走行操作レバー(1対の走行レバー)で左右走行装置のいずれか一側を操作した後、他方の走行操作レバー(1対の走行レバー)で同一操作系統(同側走行装置)を操作したときに、制御手段は前記先行した操作による該走行装置の作動を優先し、つまり作動を継続し、他方の操作を無視する、つまりその操作による作動は行わない。このため、操作系統が混乱することはなく、安定した走行操作が確実に行える。
【0068】
なお、上記第4実施形態では走行ペダルを備えた構成については説明を省いたが、第2実施形態と同じく上記構成にさらに左右1対の走行ペダルを備えた構成についても、先行操作を優先させる技術思想は適用可能である。すなわち、左右の走行操作レバー(それぞれ1対の走行レバーからなる)及び走行ペダルの少なくともいずれか2つを共に操作して、同一操作系統(同側走行装置)を操作したときには、先行した操作による該走行装置の作動を優先し、他方の操作を無視するように構成できる。この場合の作用、効果は、本実施形態と同様である。
【0069】
なお、以上説明した構成の内、左右の走行操作レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つを共に操作した場合に、左右の走行操作レバー及び走行ペダルに優先順位を付けて、常に優先順位の高い方の操作を優先させるようにした制御手段8,8aと、すべての操作による作動を停止させる制御手段8bと、先行して操作されている方の操作を優先する制御手段8cとを、必要に応じて複合的に用いるようにしてもよい。例えば、走行ペダルを優先順位第1位とし、左右の走行操作レバーは共に優先順位第2で、かつ先行で操作した方を優先するようにしても構わない。
【0070】
次に、図7に示す走行操作系統図により第5実施形態を説明する。本例は、各走行操作レバー又は走行ペダルを左右セットで先行操作により優先させる制御手段8dを備えた例を示している。本実施形態の制御回路は図6に示した第4実施形態の制御回路と基本的に同じであるが、その主に異なる点は、左、右走行ペダル6,7が追加されていることと、前記第1切換弁30及び第7切換弁30Aの代わりに、3つの第6切換弁34が、左走行操作レバー20の第1F、R回路22f,22r及び第2F、R回路23f,23r、右走行操作レバー21の第3F、R回路24f,24r及び第4F、R回路25f,25r、左、右走行ペダル6,7の第5F、R回路26f,26r及び第6F、R回路27f,27rのそれぞれの回路上に、介装されていることである。詳細説明は省略するが、本走行操作系統では、3個の第6切換弁34、3個の第2切換弁32A、4個の第4切換弁33A、及び9個のシャトル弁16等を用いて制御手段8dを構成している。
【0071】
上記構成によると、左走行操作レバー20は左L、R走行レバー20a,20bの左右セットを、右走行操作レバー21は右L、R走行レバー21a,21bの左右セットを、また走行ペダルは左、右走行ペダル6,7の左右セットをそれぞれ有している。そして、これらの左右セットのうち、いずれか先行して操作したセットを優先してその操作により左右の走行装置を作動させ、他のセットを後から操作してもその操作を無視する、つまり左右の走行装置を作動させないようにしている。このため、運転者の予期しない方向に走行するなどの誤作動が無く、操作が混乱することもなく、安定した走行操作が確実にできる。
【0072】
図8は第6実施形態の走行操作系統図であり、第5実施形態と同様に左走行操作レバー、右走行操作レバー、走行ペダルをそれぞれの左右セットで先行優先させるようにした制御手段8eが、制御装置を用いて構成された例である。
図8において、左走行操作レバー20、右走行操作レバー21及び左、右走行ペダル6,7の近傍にはそれぞれ操作量検出手段40を設ける。この操作量検出手段40は、例えばレバーやペダルの操作角を検出する角度検出器、パイロット弁14の下流の油圧を検出する油圧計、またはパイロット弁14の下流の流量を検出する流量計等、走行操作レバーや走行ペダルの操作を検出可能なものである。
【0073】
左走行操作レバー20の第1F、R回路22f,22r、第2F、R回路23f,23rのセットと、右走行操作レバー21の第3F、R回路24f,24r、第4F、R回路25f,25rのセットと、左、右走行ペダル6,7の第5F、R回路26f,26r、第6F、R回路27f,27rのセットとには、それぞれ第1電磁切換弁41が設けられている。第1電磁切換弁41は位置Hと位置Jとを有し、位置Hではそれぞれの回路を開き、位置Jではそれぞれの回路をオイルタンク13に連通するようになっている。第1電磁切換弁41は、通常位置Hに付勢されている。
【0074】
第1F回路22fと、第3F回路24fと、第5F回路26fとは合流し、第1R回路22rと、第3R回路24rと、第5R回路26rとは合流してそれぞれ図示しない左操作弁11(図3参照)に接続する。また、第2F回路23fと、第4F回路25fと、第6F回路27fとは合流し、第2R回路23rと、第4R回路25rと、第6R回路27rとは合流してそれぞれ図示しない右操作弁に接続する。制御装置43は前記それぞれの操作量検出手段40から検出信号を入力し、これらの検出信号に基づいて、先行して操作されているセットの左右走行レバー又は走行ペダルに対応する第1電磁切換弁41のソレノイド部42にのみ開口指令信号を出力するようになっている。
上記のように、操作量検出手段40、第1電磁切換弁41及び制御装置43等を用いて制御手段8dを構成している。
【0075】
次に、作動について説明する。他に先行して左走行操作レバー20を操作すると、制御装置43は左走行操作レバー20部に設けられた操作量検出手段40,40からの検出信号を入力し、右走行操作レバー21の第3F、R回路24f,24r、第4F、R回路25f,25r、及び左、右走行ペダル6,7の第5F、R回路26f,26r、第6F、R回路27f,27rにそれぞれ設けられた第1電磁切換弁41,41に閉口指令信号を出力して位置Hから位置Jに切り換える。その結果、右走行操作レバー21及び左、右走行ペダル6,7の操作による左右走行装置の作動は停止となる。同様にして、右走行操作レバー21の先行操作中は、左走行操作レバー20及び左、右走行ペダル6,7による作動は停止となり、左、右走行ペダル6,7の先行操作中は、左走行操作レバー20及び右走行操作レバー21による作動は停止となる。すなわち、いずれか先行した1セットの操作による走行操作装置の作動が優先して行われる。
【0076】
本実施形態によると、第5実施形態と同様の効果が得られると共に、制御装置を用いて構成したので、第5実施形態に比して制御手段の構成が簡単になり、油圧配管の本数が減るので、より安いコストで製作できる。
【0077】
なお、第5実施形態及び第6実施形態では、左走行操作レバー、右走行操作レバー、走行ペダルをそれぞれの左右セットで先行して操作されたものを優先させたが、それぞれの左右セットで優先順位を付けて、優先順位の高い方の操作を左右セットで優先させる、又は、少なくともいずれか2セットが操作されたときには全ての操作を無視する、つまり作動を停止させるようにしても構わない。
また、第6実施形態のごとく制御装置を用いて、左右の走行操作レバーや走行ペダルの操作に対応してパイロット回路を切り換える構成は、前記第1〜第4実施形態に示した油圧回路にも適用可能である。この場合、制御装置は、前記第1〜第4実施形態の場合と同様に、左右の走行操作レバーそれぞれの走行レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つで、同一操作系統(同側走行装置)を操作したとき、該操作系統に係る操作について、優先順位による優先、先行優先、及び全て作動停止などの制御処理を行うように構成する。
【0078】
ここで、操作レバーの配置、構成に関する他の実施形態を説明する。
図9は、操作レバーの配置の他の実施形態を示す運転席の斜視図である。図9において、運転席1の左右に配置された左、右コンソールボックス2,3に設けられた左、右作業機レバー4,5の後方近傍に左走行モノレバー50及び右走行モノレバー51が設けられている。左走行モノレバー50及び右走行モノレバー51は、いずれか片方のモノレバーを前後左右に傾けることにより左、右走行装置73,74の前後進及び左右操向を操作可能となっている。従って、左右の走行装置を操作する場合、走行レバーを持ち替える必要が無く、操作性が向上する。
【0079】
なお、上記走行モノレバーによる走行操作方式における走行操作系統は、前述の第1実施形態から第6実施形態に示したものが適用可能である。
【0080】
図10は、操作レバーの配置の他の実施形態を示す運転席の斜視図である。図10において、運転席1の左右に配置された左、右コンソールボックス2,3の前端部には、先端部にそれぞれ切換スイッチ54を備えた左操作レバー52及び右操作レバー53がそれぞれ設けられている。左操作レバー52及び右操作レバー53はモノレバー式であり、切換スイッチ54により同一レバーでの作業機操作と走行操作との切換が可能となっている。
【0081】
本実施形態によれば、1つの操作レバーで走行操作と作業機操作とを選択的に切り換えて操作することができる。このため、操作レバーの持ち替えが不要となり、操作の容易化、操作性の向上が図れる。なお、切換スイッチ54は、操作レバーの先端部以外の個所、例えば把持部の側面等に取付けてもよい。
【0082】
図11は第7実施形態の走行操作系統図であり、図10で示したような操作レバーを切換スイッチにより作業機用と走行用とに切換可能なものの例を示す。図11において、前後左右に傾動操作可能なモノレバー式の左操作レバー52に設けられた2個のパイロット弁14,14に接続する第1F、R回路22f,22r、第2F、R回路23f,23rには第2電磁切換弁44Aが設けられている。また、モノレバー式の右操作レバー53に設けられた2個のパイロット弁14,14に接続する第3F、R回路24f,24r、第4F、R回路25f,25rには第2電磁切換弁44Bが設けられている。更に、左操作レバー52の前後の傾動操作に第1F、R回路22f,22r、左右の傾動操作に第2F、R回路23f,23rが対応し、右操作レバー53の前後の傾動操作に第3F、R回路24f,24r、左右の傾動操作に第4F、R回路25f,25rがそれぞれ対応すると仮定する。
【0083】
2つの第2電磁切換弁44A,44Bは位置Kと位置Lとを有し、通常は位置Kに付勢されている。位置Kでは、第1F、R回路22f,22rは図示しない作業機のアーム動作操作弁に、そして第2F、R回路23f,23rは図示しない上部旋回体の旋回動作操作弁にそれぞれ接続する。また、第3F、R回路24f,24rは図示しない作業機のブーム動作操作弁に、第4F、R回路25f,25rは図示しない作業機のバケット動作操作弁にそれぞれ接続する。次に、位置Lでは、第1F,R回路22f,22r、第2F,R回路23f,23r、第3F,R回路24f,24r、第4F,R回路25f,25rは図示しない左右走行油圧モータ10,18(図14参照)の操作弁にそれぞれ接続する。2つの第2電磁切換弁44A,44Bとこの左右走行油圧モータ10,18との間には、第3電磁切換弁45が設けられている。
【0084】
この第3電磁切換弁45は位置Mと位置Nとを有し、通常は位置Mに付勢されている。位置Mでは、第1F回路22fと第3F回路24fとが合流して前記左走行油圧モータ10用の左操作弁11の前進側パイロットシリンダに接続し、第1R回路22rと第3R回路24rとが合流して前記左操作弁11の後進側パイロットシリンダに接続し、また第2F回路23fと第4F回路25fとが合流して前記右走行油圧モータ18用の右操作弁の前進側パイロットシリンダに接続し、第2R回路23rと第4R回路25rとが合流して前記右操作弁の後進側パイロットシリンダに接続する。また、位置Nでは、第1F,R回路22f,22rが左操作弁11に接続し、第3F,R回路24f,24rが前記右操作弁に接続し、そして第2F,R回路23f,23r及び第4F,R回路25f,25rはオイルタンク13に連通する。
【0085】
制御装置43は、左右操作レバー52,53に設けられた切換スイッチ54,54からそれぞれの切換信号を入力し、これらの切換信号に基づいて、2つの第2電磁切換弁44A,44B及び第3電磁切換弁45の各ソレノイド部42,42,42に対応する指令信号を出力する。
【0086】
次に、作動について説明する。制御装置43は、左右操作レバー52,53の切換スイッチ54,54から作業機操作の選択信号を入力した場合には、両方の第2電磁切換弁44A,44Bに指令信号を出力して位置Kに切換えると共に、第3電磁切換弁45に指令信号を出力して位置Mにする。その結果、左右操作レバー52,53を操作すると、それぞれ対応する作業機が作動する。
【0087】
左操作レバー52の切換スイッチ54のみが走行操作に切り換えられた場合、制御装置43は第1F,R回路22f,22r、第2F,R回路23f,23rに設けられた第2電磁切換弁44Aのみを位置Lに切り換える。その結果、左操作レバー52は走行操作可能になる。同様に、右操作レバー53の切換スイッチ54のみが走行操作に切り換えられた場合、制御装置43は第3F,R回路24f,24r、第4F,R回路25f,25rに設けられた第2電磁切換弁44Bのみを位置Lに切り換えるので、右操作レバー53は走行操作可能になる。
【0088】
左、右操作レバー52,53の切換スイッチ54,54を共に走行操作に切り換えた場合、制御装置43は両方の第2電磁切換弁44A,44Bを位置Lに切り換えると共に、第3電磁切換弁45に指令信号を出力して位置Nに切り換える。その結果、左操作レバー52は左走行油圧モータ10を制御可能となり、右操作レバー53は右走行油圧モータ18を制御可能となる。
【0089】
本実施形態では上記のような構成としたため、1つの操作レバーで走行操作と作業機操作とを選択的に切り換えることができる。そのため、例えば作業機と走行との複合操作を行う場合、作業機レバーと走行操作レバーとで持ち替える必要は無く、操作が容易となり、操作性が向上する。また、左右両方の操作レバーの切換スイッチで同時に走行操作切換信号を出力した場合、左右の操作レバーによる走行操作は、従来の一般的な走行レバーの操作形態と同一となり、運転者に違和感を与えることが無く、操作性は良好である。なお、この場合、左操作レバー52の前後方向操作で第1F,R回路22f,22rのパイロット弁14が作動し、右操作レバー53の前後方向操作で第3F,R回路24f,24rのパイロット弁14が作動するように構成する方が、従来の操作方向と全く同一となるので好ましいことは言うまでもない。
【0090】
また、左、右走行ペダル6,7を追加することもできる。例えば、本実施形態の構成に加えて第6実施形態の構成を複合することが可能であり、第6実施形態の左、右走行ペダル6,7の第1電磁切換弁41の下流の回路と本実施形態の第3電磁切換弁45の下流の回路とを適宜接続し、第6実施形態のその他の第1電磁切換弁41,41を本実施形態の2つの第2電磁切換弁44A,44Bと第3電磁切換弁45との間の回路に設置し、切換スイッチ54,54の切換信号を左、右走行操作レバー20,21のそれぞれの操作量検出手段40の検出信号の代わりに用い、第6実施形態の制御装置43の機能を本実施形態の制御装置43に持たせればよい。
【0091】
更に、本実施形態の2つの第2電磁切換弁44A,44Bが位置Kのとき、第1F,R回路22f,22rは作業機のアーム動作操作弁、第2F,R回路23f,23rは上部旋回体の旋回動作操作弁、第3F,R回路24f,24rは作業機のブーム動作操作弁、第4F,R回路25f,25rは作業機のバケット動作操作弁に接続するようになっているが、この組合せに限られるものではなく、各F,R回路をどの操作弁に接続するか任意に決定することができる。
【0092】
次に、図12,13に示す走行操作系統図により、第8の実施形態について説明する。本実施形態は、第1〜7の実施形態に関し、油圧配管である第1F,R回路22f,22r等やその油圧配管に設置された第1切換弁30等を廃止し、左操作弁11等をパイロット式から電磁式に変更し、電気回路により走行操作を実現するものである。図12は、第1〜6の実施形態に対応し、図13は第7実施形態に対応する。
【0093】
まず、図12において、左、右走行操作レバー20,21及び左、右走行ペダル6,7にそれぞれ設置された操作量検出手段40から入力した検出信号により、制御装置43が左右走行操作レバー及び左右走行ペダルの操作状況(操作方向、操作角、等)を認識し、その情報を基に電磁式の左、右操作弁11,11Aに指令信号を出力する。これにより、左、右走行油圧モータ10,10Aを回転又は停止させる。制御装置43は、第1〜6の実施形態で説明した操作のいずれか、あるいはそれらの操作を適宜複合したものについて制御処理を行うように構成する。
【0094】
図13において、左、右操作レバー52,53及び左、右走行ペダル6,7にそれぞれ設置された操作量検出手段40及び切換スイッチ54からそれぞれ入力した検出信号及び切換信号により、制御装置43が左右操作レバー及び左右走行ペダルの操作状況(操作方向、操作角、等)を認識し、その情報を基に電磁式の左、右操作弁11,11A、又は図示しない旋回、アーム、ブーム、バケット動作操作弁に指令信号を出力する。これにより、左、右走行油圧モータ10,10Aを回転又は停止させ、あるいは旋回等の動作を行う。制御装置43は、第7実施形態で説明した操作について制御処理を行うように構成する。また、旋回、アーム、ブーム、バケット動作操作弁は、電磁式に限らず、例えば指令信号を伝達する電気回路を途中で油圧回路に変換することでパイロット式とすることもできる。
【0095】
本実施形態によれば、制御装置を用いるので、操作制御の自由度が大きくなり、必要に応じて最適な操作を実施することができる。例えば、図13の左、右操作レバー52,53で左右の走行装置をそれぞれの1つのレバーで操作する場合に、レバーの前後の傾動操作を左の走行装置に、左右の傾動操作を右の走行装置にそれぞれ対応させてもよいし、作業者の感覚に合うように前後の傾動操作を車両の前後進に、左右の傾動操作を車両の左右への旋回動作にそれぞれ対応するようにしてもよい。
【0096】
以上説明したように、本発明によると以下の効果が得られる。
(1)運転席左右の作業機レバーそれぞれの近傍に、左右走行装置を操作する走行操作レバーを設けたため、作業機と走行との複合操作内容が広くなるので、操作性を向上できる。また、上記左右の走行操作レバーに加えて、運転席の前方下方に左右1対の走行ペダルを設けたので、この走行ペダルと左右作業機レバーとの同時操作が可能となり、さらに複合操作内容が広くなるので、操作性を向上できる。
(2)作業機と走行との複合操作が楽な姿勢で容易に行えるので、操作性を向上できる。
【0097】
(3)左右の走行操作レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つを共に操作した場合、又は、左右の走行操作レバーそれぞれを構成する左右1対の走行レバー及び前記走行ペダルの少なくともいずれか2つで同側走行装置を共に操作した場合には、優先順位に従って操作を優先させる、又は先行した操作を優先させる、又は全ての操作による作動を停止させるようにしたため、誤作動が無く、操作の混乱も無いので、安定した操作ができる。
(4)走行操作レバー及び作業機レバーを1つの操作レバーで兼用し、走行操作と作業機操作を選択的に切り換えるようにすると、左右1本の操作レバーで走行と作業機の複合操作が容易に可能となり、持ち替える手間がかからないため、操作性が良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の運転席の側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】第1実施形態の走行操作系統図である。
【図4】第2実施形態の走行操作系統図である。
【図5】第3実施形態の走行操作系統図である。
【図6】第4実施形態の走行操作系統図である。
【図7】第5実施形態の走行操作系統図である。
【図8】第6実施形態の走行操作系統図である。
【図9】操作レバー配置の他の実施形態を示す運転席の斜視図である。
【図10】操作レバー配置の他の実施形態を示す運転席の斜視図である。
【図11】第7実施形態の走行操作系統図である。
【図12】第8実施形態の走行操作系統図である。
【図13】第8実施形態の他の走行操作系統図である。
【図14】油圧ショベルの側面図である。
【図15】従来の走行操作装置を示すキャビンの正面図である。
【図16】従来の操作レバーの配置を示すキャビンの平面図である。
【符号の説明】
1…運転席、4…左作業機レバー、5…右作業機レバー、6…左走行ペダル、7…右走行ペダル、8,8a,8b,8c,8d,8e…制御手段、10…左走行油圧モータ、11…左操作弁、13…オイルタンク、14…パイロット弁、16…シャトル弁、17…一方向弁、18…右走行油圧モータ、20…左走行操作レバー、20a…左L走行レバー、20b…左R走行レバー、21…右走行操作レバー、21a…右L走行レバー、21b…右R走行レバー、22f,22r…第1F、R回路、24f,24r…第3F、R回路、26f,26r…第5F、R、回路、30…第1切換弁、30A…第7切換弁、32A…第2切換弁、32B…第3切換弁、33A…第4切換弁、33B…第5切換弁、34…第6切換弁、36…絞り、40…操作量検出手段、41…第1電磁切換弁、43…制御装置、44A,44B…第2電磁切換弁、45…第3電磁切換弁、50…左走行モノレバー、51…右走行モノレバー、52…左操作レバー、53…右操作レバー、54…切換スイッチ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業車両の走行操作装置に関し、特には、運転席で作業機操作と走行操作とを行う産業車両の走行操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、産業車両例えば油圧ショベルの、前方視界の向上、乗降の容易化を目的とした走行レバーの配置については、各種の提案がなされている。その一例として特許文献1及び特許文献2に開示されたものがある。
【0003】
図14は産業車両の一例の、油圧ショベル70の側面図である。なお、以下の説明では、左右は車両の前進方向を向いたときの前後方向に対する左右を表すものとする。
図14において、車体71の上部には上部旋回体72が搭載され、その左右には左、右走行装置73,74がそれぞれ設けられている。上部旋回体72には、作業機75と、運転室76と、エンジン等の動力源77とが搭載されている。左、右走行装置73,74は、それぞれに設けられた左、右走行油圧モータ10,18により駆動される。
【0004】
図15は、特許文献1に開示された、例えば上記油圧ショベル70などの建設機械の走行操作装置80を示す運転室76の正面図である。図15において、シート82の左右には左、右コンソールボックス83,84が設けられている。左コンソールボックス83には第1作業機レバー85、及び前記左走行装置73を操作する左走行レバー86が設けられ、右コンソールボックス84には第2作業機レバー87、及び前記右走行装置74を操作する右走行レバー88が設けられている。これにより、前方視界の向上及び乗降の容易化を図っている。
【0005】
図16は、特許文献2に開示された、上記油圧ショベル70などの建設機械の操作レバー90を示す運転室76の平面図である。図16において、運転席92の左右には左、右作業機レバー93,94がそれぞれ設けられている。右作業機レバー94の近傍には、前記左右の走行装置73,74をそれぞれ操作する左、右走行レバー95,96が設けられている。また、運転席92の前方には、左右の走行装置73,74をそれぞれ操作する左、右走行ペダル97,98が設けられている。これにより、前方視界の向上及び乗降の容易化を図っている。
【0006】
【特許文献1】
実開平4−135831号公報(第4−5頁、第1図)
【特許文献2】
実公平5−42126号公報(第2−3頁、第2図)
【特許文献3】
実開平5−96160号公報
【特許文献4】
特開平6−108495号公報
【特許文献5】
特開平7−32901号公報
【特許文献6】
特開平8−13544号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の走行操作装置の構成においては、以下のような問題点がある。
特許文献1に開示されたものにおいては、シート82の左側に第1作業機レバー85と左走行装置73を操作する左走行レバー86、右側に第2作業機レバー87と右走行装置74を操作する右走行レバー88をそれぞれ設けた。そのため、作業機操作と走行操作の複合操作を行う場合、一側の作業機レバーと他側の走行レバー、あるいは同一側の作業機レバーと走行レバーとしか同時操作を行うことができず、複合操作の操作内容が限定される(つまり、左右いずれか一側の走行装置しか複合操作できない)という問題がある。また、同一側の作業機レバーと走行レバーとを同時操作する場合に、運転者は体をねじるような無理な姿勢にならなければならず、操作性が良くないという問題もある。
また特許文献1に開示されたものにおいては、右作業機レバー94の近傍に左右の走行装置73,74を操作する2本の走行レバー95,96を設けている。そのため、右作業機レバー94と走行レバー95又は96とを同時操作する場合、無理な姿勢になって操作性が良くないという問題がある。また、左、右作業機レバー93,94と走行ペダル97,98とで複合操作を行う場合、走行ペダル97,98での走行の微操作が困難であるという問題もある。
【0008】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたものであり、前方視界が良く、乗降が容易で、かつ操作性の良い産業車両の走行操作装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、第1発明は、産業車両の走行操作装置において、車体の左右に設けられた走行装置と、前記車体に設けられた作業機と、運転席の左右に配置され、前記作業機を操作する作業機レバーとを有し、前記左右の走行装置を操作する走行操作レバーを前記左右の作業機レバーそれぞれの近傍に設けた構成としている。
【0010】
第1発明によると、左右の作業機レバーそれぞれの近傍に、左右の走行装置を操作可能な走行操作レバーをそれぞれ設けたため、作業機操作と走行操作との複合操作が必要な場合、無理な姿勢をとることなく必要な作業機レバーと走行操作レバーとの同時操作を容易に行うことができ、車両の操作性が向上する。また、運転者の前方に走行レバーが無いため、前方視界も良く、乗降も容易である。
【0011】
第2発明は、第1発明において、前記左右の走行装置をそれぞれ操作する左右の走行ペダルをさらに設けた構成としている。
【0012】
第2発明によると、走行操作レバーに加えて走行ペダルを設けたため、両手で作業機レバー操作を行っていても走行操作との複合操作が可能となり、操作性を向上できる。
【0013】
第3発明は、第1又は第2発明において、前記各走行操作レバーは、前記左右の走行装置をそれぞれ独立して制御可能な異なる操作系統をそれぞれ有する2つの走行レバーからなる構成としている。
【0014】
第3発明によると、左右の走行操作レバーの少なくともいずれか一つは左右の走行装置をそれぞれ操作する左右の走行レバーで構成しているため、その左右の走行レバーでは、従来と同様に左右の走行装置を左右独立して操作可能となる。この構成は従来の2つの走行レバーの形態と同一であるため、運転者に違和感がなく、操作性が良い。
【0015】
第4発明は、第3発明において、前記左右の走行装置の内、同側の走行装置を、前記左右の走行操作レバーをなすそれぞれの走行レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つで共に操作したときに、いずれか一つの操作による該走行装置の作動を優先し、他の操作による作動を停止させる制御手段を備えた構成としている。
【0016】
第4発明によると、例えば運転者が誤って左右の走行操作レバーをなすそれぞれの走行レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つで、同側の走行装置を共に操作しても、いずれか一つの操作による該走行装置の作動を優先し、他の操作による作動を停止させる。このため、運転者の予期しない方向に走行するなどの誤作動の畏れが無いので、安定した走行操作が確実にできる。
【0017】
第5発明は、第3発明において、前記左右の走行装置の内、同側の走行装置を、前記左右の走行操作レバーをなすそれぞれの走行レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つで共に操作したときに、先行して操作した方の操作による該走行装置の作動を優先し、他の操作による作動は行わない制御手段を備えた構成としている。
【0018】
第5発明によると、例えば運転者が誤って左右の走行操作レバーをなすそれぞれの走行レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つで、同側の走行装置を共に操作しても、先行して操作した方の操作による該走行装置の作動を優先し、他の操作を無視する、つまりその操作による作動は行わないようにする。このため、上記同様誤作動の畏れが無いので、安定した走行操作が確実にできる。
【0019】
第6発明は、第3発明において、前記左右の走行装置の内、同側の走行装置を、前記左右の走行操作レバーをなすそれぞれの走行レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つで共に操作したときに、全ての操作による該走行装置の作動を停止させる制御手段を備えた構成としている。
【0020】
第6発明によると、例えば運転者が誤って左右の走行操作レバーをなすそれぞれの走行レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つで、同側の走行装置を共に操作しても、全ての操作による該走行装置の作動を停止させるため、誤作動の畏れが無く、操作系統が混乱することはないので、安定した走行操作が確実にできる。
【0021】
第7発明は、第1又は第2発明において、前記走行操作レバーがモノレバー式である構成としている。
【0022】
第7発明によると、左右の走行装置を操作する場合、従来のように2つの走行レバーで操作する必要が無く、操作性が向上する。
【0023】
第8発明は、第1、第2又は第3発明において、前記左右の走行操作レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つを共に操作したときに、先行して操作した方の操作による該走行装置の作動を優先し、他の操作による作動は行わない制御手段を有する構成としている。
【0024】
第8発明によると、例えば運転者が左右の走行操作レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つを共に操作した場合、先行して操作していた方の操作による走行装置の作動を優先して継続し、後から操作した方による作動は行わないようにするため、運転者の予期しない方向に走行するなどの誤作動の畏れが無いので、安定した走行操作が確実にできる。
【0025】
第9発明は、第1、第2発明において、前記左右それぞれの作業機レバー及び走行操作レバーが、一つの操作レバーで兼用した構成としている。
【0026】
第9発明によると、一つの操作レバーで作業機レバーと走行操作レバーを兼用するため、例えば作業機操作、走行操作を行う場合、作業機レバーと走行操作レバーとを持ち替える手間がかからないので、操作性を向上できる。また、複合操作も容易にできる。
【0027】
第10発明は、第9発明において、前記各操作レバーに設けられ、走行操作及び作業機操作を選択的に切り換える切換信号を出力する切換スイッチと、前記各切換スイッチの切換信号に基づき、走行操作及び作業機操作を切り換える制御装置とを備えた構成としている。
【0028】
第10発明によると、各操作レバーで走行操作と作業機操作を選択的に切り換えるとき、該操作レバーに設けた切換スイッチで容易に切り換えることができる。そのため、例えば作業機と走行との複合操作を行う場合でも、該操作レバーを握ったままで走行操作と作業機操作を切り換えることができ、操作が容易で、操作性を向上できる。
【0029】
第11発明は、第10発明において、前記制御装置は、該左右の操作レバーの前記切換スイッチから共に走行操作選択の切換信号を入力したとき、左操作レバーが左走行装置を操作可能とし、かつ右操作レバーが右走行装置を操作可能とするように、操作系統を制御する構成としている。
【0030】
第11発明によると、左右操作レバーのそれぞれの切換スイッチで走行操作を選択した場合、左右の操作レバーによる走行操作が、従来の一般的な2本走行レバーの操作形態と同一となるので、運転者に違和感を与えることが無く、操作性が良好である。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して詳述する。なお、本実施形態においては、適用機例として図14に示した油圧ショベル70を挙げて説明する。
【0032】
図1は第1実施形態の走行操作装置のレバー配置を示す運転席の側面図であり、図2はその平面図である。図1、図2において、運転室76に配置された運転席1の両袖に設けられた左、右コンソールボックス2,3の上面、前端部には、それぞれ左、右作業機レバー4,5が設けられている。左、右コンソールボックス2,3の上面の、左、右作業機レバー4,5の後方近傍には、それぞれ左、右走行操作レバー20,21が設けられている。また、運転席1の前方には左、右走行ペダル6,7が配置されている。左走行操作レバー20は、左走行装置73を操作する左L走行レバー20aと、右走行装置74を操作する左R走行レバー20bとからなり、また右走行操作レバー21は、左走行装置73を操作する右L走行レバー21aと、右走行装置74を操作する右R走行レバー21bとからなっている。
【0033】
次に作動について説明する。左、右作業機操作レバー4,5を操作すると、作業機75は所定の作動を行う。図14に示す油圧ショベル70の場合、例えば、左作業機レバー4を操作してアーム及び旋回の動作を制御し、右作業機レバー5を操作してブーム及びバケットの動作を制御する。左L、右L走行レバー20a,21a及び左走行ペダル6は左走行装置73を操作し、左R、右R走行レバー20b,21b及び右走行ペダル7は右走行装置74を操作する。作業中、作業機と走行との複合操作が必要になった場合、作業内容によって、例えば左作業機レバー4を使用する場合には右走行操作レバー21を使用し、右作業機レバー5を使用する場合には左走行操作レバー20を使用することができる。
【0034】
図3は、上記を達成するための第1実施形態の走行操作系統図であり、右走行操作レバー21の作動を優先させる制御手段8を備えた例を示している。図3において、左走行操作レバー20を構成する左L、R走行レバー20a,20bと、右走行操作レバー21を構成する右L、R走行レバー21a,21bとの下部には、それぞれレバー操作によって作動するパイロット弁14が設けられており、これらのパイロット弁14には図示しないパイロットポンプからパイロット油が供給されている。左右のL、R走行レバー20a,20b,21a,21bはそれぞれ前後方向に傾動操作可能であり、前方向操作は前進、後方向操作は後進である。
【0035】
左L走行レバー20aのパイロット弁14に接続する第1F、R回路22f,22rには、パイロット式の第1切換弁30が設けられている。第1切換弁30の下流の第1F回路22fは、パイロット式の第2切換弁32Aを介して、左走行油圧モータ10を制御する左操作弁11の前進側パイロットシリンダ11fに接続している。また、右L走行レバー21aのパイロット弁14に接続する第3R回路24rは、第3切換弁32Bを介して前記左操作弁11の後進側パイロットシリンダ11rに接続している。この左操作弁11は前進位置Aと、中立位置Bと、後進位置Cとを有し、油圧ポンプ12と左走行油圧モータ10との間に介装されている。尚、13はオイルタンクである。
【0036】
右L走行レバー21aのパイロット弁14に接続する第3F回路24fは、第1F回路22fの、第1切換弁30と第2切換弁32Aとの間の接続点Pに接続している。また、第1切換弁30の下流側の第1R回路22rは、第3R回路24rの、第3切換弁32B上流側の接続点Qに接続している。この接続点Qのさらに上流側に設けられた、第3F回路24fと第3R回路24rとを接続する接続回路15にはシャトル弁16が介装されており、その下流で、かつ前記接続点Pの上流、及びその下流で、かつ前記接続点Qの上流には、それぞれ一方向弁17,17が設けられている。この一方向弁17は、上流側に向かう流れを阻止している。前記シャトル弁16の出力ポートは、第1切換弁30のパイロットシリンダ31に接続している。
【0037】
第1切換弁30は位置Dと位置Eとの2位置を有する方向切換弁であり、位置Dでは第1F,R回路22f,22rは開き、位置Eではパイロット弁14側の両回路をオイルタンク13に接続される。この第1切換弁30は、通常位置Dに付勢されている。
【0038】
第2切換弁32A及び第3切換弁32Bは位置Fと位置Gとの2位置を有する方向切換弁であり、第2切換弁32Aは、位置Fでは第1F回路22fと第3F回路24fとの合流回路を閉じると共に、左操作弁11の前進側パイロットシリンダ11fに接続された回路をオイルタンク13に開放し、位置Gでは第1F回路22fと第3F回路24fとの合流回路を開き、左操作弁11の前進側パイロットシリンダ11fに接続する。また、第3切換弁32Bは、位置Fでは第1R回路22rと第3R回路24rとの合流回路を閉じると共に、左操作弁11の後進側パイロットシリンダ11rに接続された回路をオイルタンク13に開放し、位置Gでは第1R回路22rと第3R回路24rとの合流回路を開き、左操作弁11の後進側パイロットシリンダ11rに接続する。これらの第2切換弁32A及び第3切換弁32Bは、通常位置Fに付勢されている。
【0039】
前記第2切換弁32A及び第3切換弁32Bは、それぞれ2個のパイロットシリンダ31a,31bを備えている。第2切換弁32Aのパイロットシリンダ31a,31bは、それぞれ第1切換弁30より上流側の第1F回路22f、及び一方向弁17より上流側の第3F回路24fに接続している。また第3切換弁32Bのパイロットシリンダ31a,31bは、それぞれ第1切換弁30より上流側の第1R回路22r、及び一方向弁17より上流側の第3R回路24rに接続している。
【0040】
これらのシャトル弁16、一方向弁17,17、第1切換弁30、第2切換弁32A及び第3切換弁32Bを用いて制御手段8を構成している。
【0041】
左、右走行操作レバー20,21の、左R、右R走行レバー20b,21bのパイロット弁14,14にそれぞれ接続する第2F、R回路23f,23rと、第4F、R回路25f,25rとは、図示しない右走行油圧モータの右操作弁に接続しているが、その回路は前述した左走行油圧モータ用の左操作弁のものと同一なので、ここでの図示及び説明は省略する。なお、以降の走行操作系統図においても同様である。
【0042】
次に作動について、図3に基づいて説明する。図3において、左L走行レバー20aを前方向に傾動させると、第1F回路22fからのパイロット圧により、第2切換弁32Aは位置Fから位置Gに切り換わり、第1F回路22fを開く。これにより、左操作弁11の前進側パイロットシリンダ11fにパイロット圧が加わって、左操作弁11は前進位置Aに切り換わり、このパイロット圧に応じて左走行油圧モータ10を所定の回転数で前進回転させる。また、左L走行レバー20aを後方向に傾動させると、第1R回路22rからのパイロット圧により、第3切換弁32Bは位置Fから位置Gに切り換わり、第3R回路24rを開く。これにより、パイロット圧が第1R回路22rから第3R回路24rを経て、左操作弁11の後進側パイロットシリンダ11rに加わって、左操作弁11は後進位置Cに切り換わり、このパイロット圧に応じて左走行油圧モータ10を所定の回転数で後進回転させる。この後、左L走行レバー20aを中立に戻すと、前記第1F回路22f又は第1R回路22rのパイロット圧は低下し、第2切換弁32A又は第3切換弁32Bは位置Gから位置Fに切り換わる。その結果、左操作弁11の前進側パイロットシリンダ11f又は後進側パイロットシリンダ11rはオイルタンク13と連通し、左操作弁11は中立位置Bとなり、左走行油圧モータ10の回転は停止する。
【0043】
右L走行レバー21aを操作した場合には、シャトル弁16から第1切換弁30のパイロットシリンダ31にパイロット圧が加わり、第1切換弁30は位置Dから位置Eに切り換わり、第1F、R回路22f,22rをオイルタンク13に連通させる。したがって、右L走行レバー21aの操作中には、左L走行レバー20aの操作による作動は禁止される。また、左L走行レバー20aの操作中に右L走行レバー21aを操作すると、第1切換弁30は位置Dから位置Eに切り換わり、左L走行レバー20aの操作によるパイロット油の入力は停止され、右L走行レバー21aの操作により左走行油圧モータ10は回転することとなる。すなわち、本走行操作系統では右走行操作レバー21が常に優先する。
【0044】
第1実施形態の産業車両の走行操作装置は、上記のような構成としたため、以下のような効果がある。
運転者の前方に走行レバーが無いため、前方視界も良く、乗降も容易である。
左右走行装置をそれぞれ操作する左右の走行レバーの操作形態は、従来の2本走行レバーと同一となり、運転者に違和感を与えることなく、操作性が良い。
運転席左右いずれか一側の走行操作レバーで左右の走行装置を操作できるため、走行と作業機との複合操作の内容が広くなる。即ち、組み合わせ可能な走行操作の種類(左右走行装置単独、及び同時)と、作業機の種類(ブーム、アーム、バケット、旋回)とが多くなる。従って、従来のように左右片側にのみ左走行レバーと右走行レバーを設けた構成に比して、操作性を向上できる。
複合操作する作業機の種類に応じて、左作業機レバーと右走行操作レバー、右作業機レバーと左走行操作レバーを同時操作すればよいので、作業機と走行との複合操作が無理な姿勢をとることなく容易に行え、よって操作性を向上できる。
例えば運転者が誤って左右の走行操作レバーそれぞれの走行レバーで、同一操作系統を(つまり左右同側の走行装置を)共に操作しても、優先順位の高い方の(上記例では右の)走行操作レバーの操作による該走行装置の作動を優先し、他方の操作による作動は、先行で作動していた場合には停止させ、後から操作した場合には作動させない(停止させる)ようにする。そのため、運転者の予期しない方向に走行するというような誤作動が無く、また、どの操作でどう作動するかが予め分かっているので操作の混乱が生じることもなく、安定した走行操作を確実に行うことができる。
【0045】
なお、第1実施形態の構成においては、右走行操作レバー21の操作を優先しているが、左走行操作レバー20の操作を優先させるようにしても構わない。
【0046】
図4は、第2実施形態の走行操作系統図である。第2実施形態は、第1実施形態のものにさらに左、右走行ペダル6,7を設けた例であり、左、右走行ペダル6,7の作動を最優先とし、右走行操作レバー21を次に優先させる制御手段8aを備えた例を示している。なお、以下では、第1実施形態のものと同一構成には同一符号を付して説明は省略し、異なる部分についてのみ詳細に説明する。また、図4においては、左操作弁11への接続、左走行油圧モータ10、及び油圧ポンプ12等は第1実施形態のものと同一であるため省略してある。なお、以降の走行操作系統図も同様である。
【0047】
図4において、第1F回路22fには、第1切換弁30の下流にパイロット式の第4切換弁33Aが設けられている。第4切換弁33Aは、パイロットシリンダ31が3個であること以外は第1実施形態の第2切換弁32Aと同一構成である。第3F回路24fと第3R回路24rとを接続する第1の接続回路15に介装された第1のシャトル弁16の出力ポートと、第1切換弁30のパイロットシリンダ31とを接続する回路16aには第2切換弁32Aが設けられ、前記第1のシャトル弁16の出力ポートとこの第2切換弁32Aとの間の回路16aには一方向弁17Aが設けられている。また、前記第1の接続回路15よりも上流の第3F、R回路24f,24rには第7切換弁30Aが設けられており、第3R回路24r上の一方向弁17と図示しない左操作弁11の後進側パイロットシリンダ11r(図3参照)との間には第5切換弁33Bが設けられている。第7切換弁30Aは第1切換弁30と同一構成であり、また第5切換弁33Bは、パイロットシリンダ31が3個であること以外は第1実施形態の第3切換弁32Bと同一構成である。
【0048】
また、左、右走行ペダル6,7の下部には、それぞれパイロット弁14,14が設けられている。左、右走行ペダル6,7は前後方向に揺動可能に構成され、それぞれ前方に踏み込むとその対応する左、右走行装置を前進させ、後方に踏み込むと後進させる。左走行ペダル6のパイロット弁14に接続する第5F回路26f及び第5R回路26rは、第1F回路22fと第3F回路24fとを接続する前記接続点P、及び第1R回路22rと第3R回路24rとを接続する前記接続点Qにそれぞれ接続している。第5F回路26fと第5R回路26rとを接続する第2の接続回路15Aには第2のシャトル弁16Aが設けられ、第5F回路26fの第2の接続回路15Aの接続点と前記接続点Pとの間、及び第5R回路26rの第2の接続回路15Aの接続点と前記接続点Qとの間にはそれぞれ一方向弁17,17が設けられている。
【0049】
第2切換弁32Aのパイロットシリンダ31a、31bは、それぞれ第1、第2のシャトル弁16,16Aの出力ポートに接続している。また、第7切換弁30Aのパイロットシリンダ31は、第2のシャトル弁16Aの出力ポートに接続している。さらに、この第2のシャトル弁16Aの出力ポートは、一方向弁17Bを介して前記回路16aの一方向弁17Aの下流側に接続している。これらの一方向弁17A,17Bは、下流側から上流側への流れを阻止するように接続されている。
【0050】
第4切換弁33Aの3個のパイロットシリンダ31,31,31は、それぞれ第1切換弁30よりも上流側の第1F回路22f、第7切換弁30Aよりも上流側の第3F回路24f、及び前記一方向弁17よりも上流側の第5F回路26fに接続している。また、第5切換弁33Bの3個のパイロットシリンダ31,31,31は、それぞれ第1切換弁30よりも上流側の第1R回路22r、第7切換弁30Aよりも上流側の第3R回路24r、及び前記一方向弁17よりも上流側の第5R回路26rに接続している。
【0051】
上記のように、第1、第2のシャトル弁16,16A、複数の一方向弁17A,17B,17、第1切換弁30、第2切換弁32A、第4切換弁33A、第5切換弁33B、及び第7切換弁30A等を用いて制御手段8aを構成している。
【0052】
次に、本実施形態の作動について、第1実施形態と異なるところを説明する。左走行ペダル6を前方向に踏み込んで揺動させると、第5F回路26fのパイロット油は第1F回路22fに介装された第4切換弁33Aを位置Fから位置Gに切り換え、第1F回路22fを開く。そのため、第5F回路26fのパイロット油は第1F回路22fを通って図示しない左操作弁11の前進側パイロットシリンダ11f(図3参照)に加えられ、左走行油圧モータ10は前進回転する。また、第5F回路26fのパイロット油は、第2のシャトル弁16Aから第3F,R回路24f,24rに介装された第7切換弁30Aのパイロットシリンダ31に流入し、この第7切換弁30Aを位置Dから位置Eに切り換えて、右L走行レバー21aによる左操作弁11の作動を停止する。これと同時に、前記パイロット油は、第2切換弁32Aのパイロットシリンダ31bに流入して、この第2切換弁32Aを位置Fから位置Gに切り換え、これにより一方向弁17B、回路16a及び第2切換弁32Aを経由して、第1F,R回路22f,22rに介装された第1切換弁30のパイロットシリンダ31に流入し、この第1切換弁30を位置Dから位置Eに切り換えて左L走行レバー20aによる左操作弁11の作動を停止する。また、左走行ペダル6を後方向に揺動させると、左走行油圧モータ10は後進回転すると共に、右L走行レバー21a及び左L走行レバー20aによる左操作弁11の作動を停止する。すなわち、左走行ペダル6による操作を最優先して左操作弁11を作動させる。左走行ペダル6を操作しない場合には、第1実施形態のものと同様に、右L走行レバー21aによる操作を優先して左操作弁11を作動させる。
【0053】
本実施形態の走行操作装置によると、運転者が左右の走行操作レバーそれぞれの走行レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つで、同一操作系統を(つまり左右同側の走行装置を)共に操作したときには、優先順位の高い方(本例では、走行ペダルが優先順位第1位、右走行操作レバーが第2位としている)の操作による該走行装置の作動を優先し、他の操作による作動を停止させる。すなわち、他の操作による作動は、先行で操作していた場合には停止させ、同時又は後からの操作の場合には作動させない(つまり、停止させておく)。このため、運転者の予期しない方向に走行するというような誤作動が無く、また、どの操作でどう作動するかが予め分かっているので操作の混乱が生じることもなく、安定した走行操作を確実に行うことができる。
【0054】
なお、本実施形態においては、走行ペダルを最優先にしているが、本発明はこれに限定されず、走行ペダル以外の、左右いずれかの走行操作レバーを最優先にしたり、またはこれらの優先順位を適宜変更してもよい。
【0055】
次に、図5により第3実施形態を説明する。図5は第3実施形態の走行操作系統図であり、左右の走行操作レバーを共に操作した場合に、左右の走行操作レバーの作動を停止させる制御手段8bを備えた例を示している。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付して、以下での説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0056】
図5において、第1F、R回路22f,22rには上流から、両回路22f,22r間を第1のシャトル弁16を介して接続する第1の接続回路15、一方向弁17,17、及び第1切換弁30が設けられている。また、第3F、R回路24f,24rには上流から、両回路24f,24r間を第2のシャトル弁16Aを介して接続する第2の接続回路15A、一方向弁17,17、及び第7切換弁30Aが設けられている。
【0057】
第1の接続回路15に設けられた第1のシャトル弁16の出力ポートは、第7切換弁30Aのパイロットシリンダ31に接続しており、第2の接続回路15Aに設けられた第2のシャトル弁16Aの出力ポートは、第1切換弁30のパイロットシリンダ31に接続している。また、第1切換弁30よりも下流側の第1F回路22fは第7切換弁30Aよりも下流側の第3F回路24fに接続点Pで接続され、第1切換弁30よりも下流側の第1R回路22rは第7切換弁30Aよりも下流側の第3R回路24rに接続点Qで接続されている。そして、第1切換弁30及び第7切換弁30Aの第1のドレーン回路35,35にはそれぞれ絞り36,36が設けられている。さらに、図示しない左操作弁11に接続する、前記接続点P,Qよりも下流側の第3F,R回路24f,24rにはそれぞれオイルタンク13に接続する第2のドレーン回路35A,35Aが設けられ、この第2のドレーン回路35A,35Aにはそれぞれ絞り36A,36Aが設けられている。
【0058】
上記のように、第1のシャトル弁16、第2のシャトル弁16A、複数の一方向弁17、第1切換弁30、第7切換弁30A、第1のドレーン回路35の絞り36、及び第2のドレーン回路35Aの絞り36Aなどを用いて制御手段8bを構成している。
【0059】
次に、第3実施形態の作動について説明する。右L走行レバー21aは操作しない状態で、左L走行レバー20aを前後に操作した場合、第1F、R回路22f,22rのパイロット油は第3F、R回路24f,24rを経て図示しない左操作弁11のパイロットシリンダに作用する。この時、パイロット油は、第3F、R回路24f,24rにそれぞれ設けられた第2のドレーン回路35A,35Aからオイルタンク13にドレーンするが、絞り36Aがあるため所定の圧力は残留し、左操作弁11を作動させて左走行油圧モータ10(図3参照)を回転させる。同時に、第3F、R回路24f,24rに設けられた第7切換弁30Aのパイロットシリンダ31は、上記パイロット油を第1のシャトル弁16を経由して受け、この第7切換弁30Aは位置Dから位置Eに切り換わる。これにより、右L走行レバー21aの操作による左操作弁11の作動ができないようにする。同様にして、左L走行レバー20aは操作しない状態で、右L走行レバー21aを操作した場合には、第3F、R回路24f,24rのパイロット油は図示しない左操作弁11に作用し、左走行油圧モータ10を回転させる。この場合、第1F、R回路22f,22rに設けられた第1切換弁30は位置Dから位置Eに切り換わる。
【0060】
左L走行レバー20aと右L走行レバー21aとを共に操作した場合には、パイロット油はそれぞれ第1のシャトル弁16及び第2のシャトル弁16Aを経由して第1切換弁30及び第7切換弁30Aのパイロットシリンダ31,31に加わり、これにより第1切換弁30及び第7切換弁30Aは位置Dから位置Eに切り換わり、第1F、R回路22f,22r及び第3F、R回路24f,24rのパイロット油は第1のドレーン回路35,35を介してオイルタンク13にドレーンされる。しかしながら、この第1のドレーン回路35,35には絞り36,36が設けられているため、第1のシャトル弁16及び第2のシャトル弁16Aの回路圧は高く維持され、第1切換弁30及び第7切換弁30Aは位置Eを保持する。したがって、左L走行レバー20a、右L走行レバー21aは共に作動しない。この時、図示しない左操作弁11に接続した第3F、R回路24f,24rのパイロット油は、第3F、R回路24f,24rに設けられた第2のドレーン回路35A,35Aの絞り36A,36Aを通ってドレーンされるので、左操作弁11は中立位置Bに戻って左油圧走行モータ10は停止する。
【0061】
以上のように本実施形態の走行操作装置によると、運転者が誤って左右の走行操作レバーそれぞれの走行レバーで、同一操作系統(同一走行モータの制御系統)を、換言すると左右同側の走行装置を共に操作しても、制御手段は両方の操作による該走行装置の作動を停止させるため、運転者の予期しない方向へ車両が走行することはなく、安定した操作が確実にできる。
【0062】
なお、本実施形態では走行ペダルの無い構成で説明したが、上記構成にさらに走行ペダルを備えた構成の場合でも同様に、左右の走行操作レバーそれぞれの走行レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つ(すなわち、左右の走行操作レバー、左走行操作レバーと走行ペダル、右走行操作レバーと走行ペダル、又は左、右走行操作レバーと走行ペダル)で、同一操作系統を共に操作したときに、全ての操作による該走行装置の作動を停止させるように構成することができる。この場合にも、上記同様の作用及び効果が得られる。
【0063】
次に、図6に示す走行操作系統図により、第4実施形態を説明する。図6は、先行して操作された走行操作レバーによる作動を優先させる制御手段8cを備えた例を示している。なお、ここでは前述の第1〜第3実施形態のものと同一の構成要素には同一符号を付して説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0064】
図6において、第1F、R回路22f,22rには上流から、第1切換弁30と、両回路22f,22r間を第1のシャトル弁16を介して接続した第1の接続回路15と、両回路22f,22rにそれぞれ介装された一方向弁17,17とが直列に設けられている。また、第3F、R回路24f,24rには、上流から、第7切換弁30Aと、両回路24f,24r間を第2のシャトル弁16Aを介して接続した第2の接続回路15Aと、両回路24f,24rにそれぞれ介装された一方向弁17,17とが直列に設けられている。そして、第1F回路22fの一方向弁17の下流と、第3F回路24fの一方向弁17の下流とは、接続点Pで接続し、第1R回路22rの一方向弁17の下流と、第3R回路24rの一方向弁17の下流とは、接続点Qで接続している。さらに、前記接続点Pと図示しない左操作弁11の前進側パイロットシリンダ11f(図3参照)との間には第2切換弁32Aが設けられており、前記接続点Qと図示しない左操作弁11の後進側パイロットシリンダ11r(図3参照)との間には第3切換弁32Bが設けられている。
【0065】
第1のシャトル弁16の出力ポートは、第7切換弁30Aのパイロットシリンダ31に接続され、第2のシャトル弁16Aの出力ポートは、第1切換弁30のパイロットシリンダ31に接続されている。第2切換弁32Aの2個のパイロットシリンダ31,31は、第1F回路22fの一方向弁17の上流側、及び第3F回路24fの一方向弁17の上流側にそれぞれ接続している。また、第3切換弁32Bの2個のパイロットシリンダ31,31は、第1R回路22rの一方向弁17の上流側、及び第3R回路24rの一方向弁17の上流側にそれぞれ接続している。
上記のように、これらの第1のシャトル弁16、第2のシャトル弁16A、複数の一方向弁17、第1切換弁30、第2切換弁32A、第3切換弁32B、及び第7切換弁30Aをそれぞれ用いて制御手段8cを構成している。
【0066】
以下に、作動について説明する。最初に左L走行レバー20aを操作すると、第1F、R回路22f,22rのパイロット圧により第7切換弁30Aは位置Dから位置Eに切り換えられ、右L走行レバー21aの操作による左操作弁11の作動は停止される。同時に、左L走行レバー20aの前進又は後進の操作方向にそれぞれ対応する第2切換弁32A又は第3切換弁32Bは、位置Fから位置Gに切り換えられ、左操作弁11は前進位置A又は後進位置Cに切り換えられる。この状態で右L走行レバー21aを操作しても、作動しない。すなわち、先行した左L走行レバー20aの操作中は、右L走行レバー21aの操作は無視される。反対に、先行して右L走行レバー21aを操作すると、この後の左L走行レバー20aの操作は無視され、左操作弁11は右L走行レバー21aの操作による作動が維持される。
【0067】
本実施形態の走行操作装置によると、運転者が一方の走行操作レバー(1対の走行レバー)で左右走行装置のいずれか一側を操作した後、他方の走行操作レバー(1対の走行レバー)で同一操作系統(同側走行装置)を操作したときに、制御手段は前記先行した操作による該走行装置の作動を優先し、つまり作動を継続し、他方の操作を無視する、つまりその操作による作動は行わない。このため、操作系統が混乱することはなく、安定した走行操作が確実に行える。
【0068】
なお、上記第4実施形態では走行ペダルを備えた構成については説明を省いたが、第2実施形態と同じく上記構成にさらに左右1対の走行ペダルを備えた構成についても、先行操作を優先させる技術思想は適用可能である。すなわち、左右の走行操作レバー(それぞれ1対の走行レバーからなる)及び走行ペダルの少なくともいずれか2つを共に操作して、同一操作系統(同側走行装置)を操作したときには、先行した操作による該走行装置の作動を優先し、他方の操作を無視するように構成できる。この場合の作用、効果は、本実施形態と同様である。
【0069】
なお、以上説明した構成の内、左右の走行操作レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つを共に操作した場合に、左右の走行操作レバー及び走行ペダルに優先順位を付けて、常に優先順位の高い方の操作を優先させるようにした制御手段8,8aと、すべての操作による作動を停止させる制御手段8bと、先行して操作されている方の操作を優先する制御手段8cとを、必要に応じて複合的に用いるようにしてもよい。例えば、走行ペダルを優先順位第1位とし、左右の走行操作レバーは共に優先順位第2で、かつ先行で操作した方を優先するようにしても構わない。
【0070】
次に、図7に示す走行操作系統図により第5実施形態を説明する。本例は、各走行操作レバー又は走行ペダルを左右セットで先行操作により優先させる制御手段8dを備えた例を示している。本実施形態の制御回路は図6に示した第4実施形態の制御回路と基本的に同じであるが、その主に異なる点は、左、右走行ペダル6,7が追加されていることと、前記第1切換弁30及び第7切換弁30Aの代わりに、3つの第6切換弁34が、左走行操作レバー20の第1F、R回路22f,22r及び第2F、R回路23f,23r、右走行操作レバー21の第3F、R回路24f,24r及び第4F、R回路25f,25r、左、右走行ペダル6,7の第5F、R回路26f,26r及び第6F、R回路27f,27rのそれぞれの回路上に、介装されていることである。詳細説明は省略するが、本走行操作系統では、3個の第6切換弁34、3個の第2切換弁32A、4個の第4切換弁33A、及び9個のシャトル弁16等を用いて制御手段8dを構成している。
【0071】
上記構成によると、左走行操作レバー20は左L、R走行レバー20a,20bの左右セットを、右走行操作レバー21は右L、R走行レバー21a,21bの左右セットを、また走行ペダルは左、右走行ペダル6,7の左右セットをそれぞれ有している。そして、これらの左右セットのうち、いずれか先行して操作したセットを優先してその操作により左右の走行装置を作動させ、他のセットを後から操作してもその操作を無視する、つまり左右の走行装置を作動させないようにしている。このため、運転者の予期しない方向に走行するなどの誤作動が無く、操作が混乱することもなく、安定した走行操作が確実にできる。
【0072】
図8は第6実施形態の走行操作系統図であり、第5実施形態と同様に左走行操作レバー、右走行操作レバー、走行ペダルをそれぞれの左右セットで先行優先させるようにした制御手段8eが、制御装置を用いて構成された例である。
図8において、左走行操作レバー20、右走行操作レバー21及び左、右走行ペダル6,7の近傍にはそれぞれ操作量検出手段40を設ける。この操作量検出手段40は、例えばレバーやペダルの操作角を検出する角度検出器、パイロット弁14の下流の油圧を検出する油圧計、またはパイロット弁14の下流の流量を検出する流量計等、走行操作レバーや走行ペダルの操作を検出可能なものである。
【0073】
左走行操作レバー20の第1F、R回路22f,22r、第2F、R回路23f,23rのセットと、右走行操作レバー21の第3F、R回路24f,24r、第4F、R回路25f,25rのセットと、左、右走行ペダル6,7の第5F、R回路26f,26r、第6F、R回路27f,27rのセットとには、それぞれ第1電磁切換弁41が設けられている。第1電磁切換弁41は位置Hと位置Jとを有し、位置Hではそれぞれの回路を開き、位置Jではそれぞれの回路をオイルタンク13に連通するようになっている。第1電磁切換弁41は、通常位置Hに付勢されている。
【0074】
第1F回路22fと、第3F回路24fと、第5F回路26fとは合流し、第1R回路22rと、第3R回路24rと、第5R回路26rとは合流してそれぞれ図示しない左操作弁11(図3参照)に接続する。また、第2F回路23fと、第4F回路25fと、第6F回路27fとは合流し、第2R回路23rと、第4R回路25rと、第6R回路27rとは合流してそれぞれ図示しない右操作弁に接続する。制御装置43は前記それぞれの操作量検出手段40から検出信号を入力し、これらの検出信号に基づいて、先行して操作されているセットの左右走行レバー又は走行ペダルに対応する第1電磁切換弁41のソレノイド部42にのみ開口指令信号を出力するようになっている。
上記のように、操作量検出手段40、第1電磁切換弁41及び制御装置43等を用いて制御手段8dを構成している。
【0075】
次に、作動について説明する。他に先行して左走行操作レバー20を操作すると、制御装置43は左走行操作レバー20部に設けられた操作量検出手段40,40からの検出信号を入力し、右走行操作レバー21の第3F、R回路24f,24r、第4F、R回路25f,25r、及び左、右走行ペダル6,7の第5F、R回路26f,26r、第6F、R回路27f,27rにそれぞれ設けられた第1電磁切換弁41,41に閉口指令信号を出力して位置Hから位置Jに切り換える。その結果、右走行操作レバー21及び左、右走行ペダル6,7の操作による左右走行装置の作動は停止となる。同様にして、右走行操作レバー21の先行操作中は、左走行操作レバー20及び左、右走行ペダル6,7による作動は停止となり、左、右走行ペダル6,7の先行操作中は、左走行操作レバー20及び右走行操作レバー21による作動は停止となる。すなわち、いずれか先行した1セットの操作による走行操作装置の作動が優先して行われる。
【0076】
本実施形態によると、第5実施形態と同様の効果が得られると共に、制御装置を用いて構成したので、第5実施形態に比して制御手段の構成が簡単になり、油圧配管の本数が減るので、より安いコストで製作できる。
【0077】
なお、第5実施形態及び第6実施形態では、左走行操作レバー、右走行操作レバー、走行ペダルをそれぞれの左右セットで先行して操作されたものを優先させたが、それぞれの左右セットで優先順位を付けて、優先順位の高い方の操作を左右セットで優先させる、又は、少なくともいずれか2セットが操作されたときには全ての操作を無視する、つまり作動を停止させるようにしても構わない。
また、第6実施形態のごとく制御装置を用いて、左右の走行操作レバーや走行ペダルの操作に対応してパイロット回路を切り換える構成は、前記第1〜第4実施形態に示した油圧回路にも適用可能である。この場合、制御装置は、前記第1〜第4実施形態の場合と同様に、左右の走行操作レバーそれぞれの走行レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つで、同一操作系統(同側走行装置)を操作したとき、該操作系統に係る操作について、優先順位による優先、先行優先、及び全て作動停止などの制御処理を行うように構成する。
【0078】
ここで、操作レバーの配置、構成に関する他の実施形態を説明する。
図9は、操作レバーの配置の他の実施形態を示す運転席の斜視図である。図9において、運転席1の左右に配置された左、右コンソールボックス2,3に設けられた左、右作業機レバー4,5の後方近傍に左走行モノレバー50及び右走行モノレバー51が設けられている。左走行モノレバー50及び右走行モノレバー51は、いずれか片方のモノレバーを前後左右に傾けることにより左、右走行装置73,74の前後進及び左右操向を操作可能となっている。従って、左右の走行装置を操作する場合、走行レバーを持ち替える必要が無く、操作性が向上する。
【0079】
なお、上記走行モノレバーによる走行操作方式における走行操作系統は、前述の第1実施形態から第6実施形態に示したものが適用可能である。
【0080】
図10は、操作レバーの配置の他の実施形態を示す運転席の斜視図である。図10において、運転席1の左右に配置された左、右コンソールボックス2,3の前端部には、先端部にそれぞれ切換スイッチ54を備えた左操作レバー52及び右操作レバー53がそれぞれ設けられている。左操作レバー52及び右操作レバー53はモノレバー式であり、切換スイッチ54により同一レバーでの作業機操作と走行操作との切換が可能となっている。
【0081】
本実施形態によれば、1つの操作レバーで走行操作と作業機操作とを選択的に切り換えて操作することができる。このため、操作レバーの持ち替えが不要となり、操作の容易化、操作性の向上が図れる。なお、切換スイッチ54は、操作レバーの先端部以外の個所、例えば把持部の側面等に取付けてもよい。
【0082】
図11は第7実施形態の走行操作系統図であり、図10で示したような操作レバーを切換スイッチにより作業機用と走行用とに切換可能なものの例を示す。図11において、前後左右に傾動操作可能なモノレバー式の左操作レバー52に設けられた2個のパイロット弁14,14に接続する第1F、R回路22f,22r、第2F、R回路23f,23rには第2電磁切換弁44Aが設けられている。また、モノレバー式の右操作レバー53に設けられた2個のパイロット弁14,14に接続する第3F、R回路24f,24r、第4F、R回路25f,25rには第2電磁切換弁44Bが設けられている。更に、左操作レバー52の前後の傾動操作に第1F、R回路22f,22r、左右の傾動操作に第2F、R回路23f,23rが対応し、右操作レバー53の前後の傾動操作に第3F、R回路24f,24r、左右の傾動操作に第4F、R回路25f,25rがそれぞれ対応すると仮定する。
【0083】
2つの第2電磁切換弁44A,44Bは位置Kと位置Lとを有し、通常は位置Kに付勢されている。位置Kでは、第1F、R回路22f,22rは図示しない作業機のアーム動作操作弁に、そして第2F、R回路23f,23rは図示しない上部旋回体の旋回動作操作弁にそれぞれ接続する。また、第3F、R回路24f,24rは図示しない作業機のブーム動作操作弁に、第4F、R回路25f,25rは図示しない作業機のバケット動作操作弁にそれぞれ接続する。次に、位置Lでは、第1F,R回路22f,22r、第2F,R回路23f,23r、第3F,R回路24f,24r、第4F,R回路25f,25rは図示しない左右走行油圧モータ10,18(図14参照)の操作弁にそれぞれ接続する。2つの第2電磁切換弁44A,44Bとこの左右走行油圧モータ10,18との間には、第3電磁切換弁45が設けられている。
【0084】
この第3電磁切換弁45は位置Mと位置Nとを有し、通常は位置Mに付勢されている。位置Mでは、第1F回路22fと第3F回路24fとが合流して前記左走行油圧モータ10用の左操作弁11の前進側パイロットシリンダに接続し、第1R回路22rと第3R回路24rとが合流して前記左操作弁11の後進側パイロットシリンダに接続し、また第2F回路23fと第4F回路25fとが合流して前記右走行油圧モータ18用の右操作弁の前進側パイロットシリンダに接続し、第2R回路23rと第4R回路25rとが合流して前記右操作弁の後進側パイロットシリンダに接続する。また、位置Nでは、第1F,R回路22f,22rが左操作弁11に接続し、第3F,R回路24f,24rが前記右操作弁に接続し、そして第2F,R回路23f,23r及び第4F,R回路25f,25rはオイルタンク13に連通する。
【0085】
制御装置43は、左右操作レバー52,53に設けられた切換スイッチ54,54からそれぞれの切換信号を入力し、これらの切換信号に基づいて、2つの第2電磁切換弁44A,44B及び第3電磁切換弁45の各ソレノイド部42,42,42に対応する指令信号を出力する。
【0086】
次に、作動について説明する。制御装置43は、左右操作レバー52,53の切換スイッチ54,54から作業機操作の選択信号を入力した場合には、両方の第2電磁切換弁44A,44Bに指令信号を出力して位置Kに切換えると共に、第3電磁切換弁45に指令信号を出力して位置Mにする。その結果、左右操作レバー52,53を操作すると、それぞれ対応する作業機が作動する。
【0087】
左操作レバー52の切換スイッチ54のみが走行操作に切り換えられた場合、制御装置43は第1F,R回路22f,22r、第2F,R回路23f,23rに設けられた第2電磁切換弁44Aのみを位置Lに切り換える。その結果、左操作レバー52は走行操作可能になる。同様に、右操作レバー53の切換スイッチ54のみが走行操作に切り換えられた場合、制御装置43は第3F,R回路24f,24r、第4F,R回路25f,25rに設けられた第2電磁切換弁44Bのみを位置Lに切り換えるので、右操作レバー53は走行操作可能になる。
【0088】
左、右操作レバー52,53の切換スイッチ54,54を共に走行操作に切り換えた場合、制御装置43は両方の第2電磁切換弁44A,44Bを位置Lに切り換えると共に、第3電磁切換弁45に指令信号を出力して位置Nに切り換える。その結果、左操作レバー52は左走行油圧モータ10を制御可能となり、右操作レバー53は右走行油圧モータ18を制御可能となる。
【0089】
本実施形態では上記のような構成としたため、1つの操作レバーで走行操作と作業機操作とを選択的に切り換えることができる。そのため、例えば作業機と走行との複合操作を行う場合、作業機レバーと走行操作レバーとで持ち替える必要は無く、操作が容易となり、操作性が向上する。また、左右両方の操作レバーの切換スイッチで同時に走行操作切換信号を出力した場合、左右の操作レバーによる走行操作は、従来の一般的な走行レバーの操作形態と同一となり、運転者に違和感を与えることが無く、操作性は良好である。なお、この場合、左操作レバー52の前後方向操作で第1F,R回路22f,22rのパイロット弁14が作動し、右操作レバー53の前後方向操作で第3F,R回路24f,24rのパイロット弁14が作動するように構成する方が、従来の操作方向と全く同一となるので好ましいことは言うまでもない。
【0090】
また、左、右走行ペダル6,7を追加することもできる。例えば、本実施形態の構成に加えて第6実施形態の構成を複合することが可能であり、第6実施形態の左、右走行ペダル6,7の第1電磁切換弁41の下流の回路と本実施形態の第3電磁切換弁45の下流の回路とを適宜接続し、第6実施形態のその他の第1電磁切換弁41,41を本実施形態の2つの第2電磁切換弁44A,44Bと第3電磁切換弁45との間の回路に設置し、切換スイッチ54,54の切換信号を左、右走行操作レバー20,21のそれぞれの操作量検出手段40の検出信号の代わりに用い、第6実施形態の制御装置43の機能を本実施形態の制御装置43に持たせればよい。
【0091】
更に、本実施形態の2つの第2電磁切換弁44A,44Bが位置Kのとき、第1F,R回路22f,22rは作業機のアーム動作操作弁、第2F,R回路23f,23rは上部旋回体の旋回動作操作弁、第3F,R回路24f,24rは作業機のブーム動作操作弁、第4F,R回路25f,25rは作業機のバケット動作操作弁に接続するようになっているが、この組合せに限られるものではなく、各F,R回路をどの操作弁に接続するか任意に決定することができる。
【0092】
次に、図12,13に示す走行操作系統図により、第8の実施形態について説明する。本実施形態は、第1〜7の実施形態に関し、油圧配管である第1F,R回路22f,22r等やその油圧配管に設置された第1切換弁30等を廃止し、左操作弁11等をパイロット式から電磁式に変更し、電気回路により走行操作を実現するものである。図12は、第1〜6の実施形態に対応し、図13は第7実施形態に対応する。
【0093】
まず、図12において、左、右走行操作レバー20,21及び左、右走行ペダル6,7にそれぞれ設置された操作量検出手段40から入力した検出信号により、制御装置43が左右走行操作レバー及び左右走行ペダルの操作状況(操作方向、操作角、等)を認識し、その情報を基に電磁式の左、右操作弁11,11Aに指令信号を出力する。これにより、左、右走行油圧モータ10,10Aを回転又は停止させる。制御装置43は、第1〜6の実施形態で説明した操作のいずれか、あるいはそれらの操作を適宜複合したものについて制御処理を行うように構成する。
【0094】
図13において、左、右操作レバー52,53及び左、右走行ペダル6,7にそれぞれ設置された操作量検出手段40及び切換スイッチ54からそれぞれ入力した検出信号及び切換信号により、制御装置43が左右操作レバー及び左右走行ペダルの操作状況(操作方向、操作角、等)を認識し、その情報を基に電磁式の左、右操作弁11,11A、又は図示しない旋回、アーム、ブーム、バケット動作操作弁に指令信号を出力する。これにより、左、右走行油圧モータ10,10Aを回転又は停止させ、あるいは旋回等の動作を行う。制御装置43は、第7実施形態で説明した操作について制御処理を行うように構成する。また、旋回、アーム、ブーム、バケット動作操作弁は、電磁式に限らず、例えば指令信号を伝達する電気回路を途中で油圧回路に変換することでパイロット式とすることもできる。
【0095】
本実施形態によれば、制御装置を用いるので、操作制御の自由度が大きくなり、必要に応じて最適な操作を実施することができる。例えば、図13の左、右操作レバー52,53で左右の走行装置をそれぞれの1つのレバーで操作する場合に、レバーの前後の傾動操作を左の走行装置に、左右の傾動操作を右の走行装置にそれぞれ対応させてもよいし、作業者の感覚に合うように前後の傾動操作を車両の前後進に、左右の傾動操作を車両の左右への旋回動作にそれぞれ対応するようにしてもよい。
【0096】
以上説明したように、本発明によると以下の効果が得られる。
(1)運転席左右の作業機レバーそれぞれの近傍に、左右走行装置を操作する走行操作レバーを設けたため、作業機と走行との複合操作内容が広くなるので、操作性を向上できる。また、上記左右の走行操作レバーに加えて、運転席の前方下方に左右1対の走行ペダルを設けたので、この走行ペダルと左右作業機レバーとの同時操作が可能となり、さらに複合操作内容が広くなるので、操作性を向上できる。
(2)作業機と走行との複合操作が楽な姿勢で容易に行えるので、操作性を向上できる。
【0097】
(3)左右の走行操作レバー及び走行ペダルの少なくともいずれか2つを共に操作した場合、又は、左右の走行操作レバーそれぞれを構成する左右1対の走行レバー及び前記走行ペダルの少なくともいずれか2つで同側走行装置を共に操作した場合には、優先順位に従って操作を優先させる、又は先行した操作を優先させる、又は全ての操作による作動を停止させるようにしたため、誤作動が無く、操作の混乱も無いので、安定した操作ができる。
(4)走行操作レバー及び作業機レバーを1つの操作レバーで兼用し、走行操作と作業機操作を選択的に切り換えるようにすると、左右1本の操作レバーで走行と作業機の複合操作が容易に可能となり、持ち替える手間がかからないため、操作性が良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の運転席の側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】第1実施形態の走行操作系統図である。
【図4】第2実施形態の走行操作系統図である。
【図5】第3実施形態の走行操作系統図である。
【図6】第4実施形態の走行操作系統図である。
【図7】第5実施形態の走行操作系統図である。
【図8】第6実施形態の走行操作系統図である。
【図9】操作レバー配置の他の実施形態を示す運転席の斜視図である。
【図10】操作レバー配置の他の実施形態を示す運転席の斜視図である。
【図11】第7実施形態の走行操作系統図である。
【図12】第8実施形態の走行操作系統図である。
【図13】第8実施形態の他の走行操作系統図である。
【図14】油圧ショベルの側面図である。
【図15】従来の走行操作装置を示すキャビンの正面図である。
【図16】従来の操作レバーの配置を示すキャビンの平面図である。
【符号の説明】
1…運転席、4…左作業機レバー、5…右作業機レバー、6…左走行ペダル、7…右走行ペダル、8,8a,8b,8c,8d,8e…制御手段、10…左走行油圧モータ、11…左操作弁、13…オイルタンク、14…パイロット弁、16…シャトル弁、17…一方向弁、18…右走行油圧モータ、20…左走行操作レバー、20a…左L走行レバー、20b…左R走行レバー、21…右走行操作レバー、21a…右L走行レバー、21b…右R走行レバー、22f,22r…第1F、R回路、24f,24r…第3F、R回路、26f,26r…第5F、R、回路、30…第1切換弁、30A…第7切換弁、32A…第2切換弁、32B…第3切換弁、33A…第4切換弁、33B…第5切換弁、34…第6切換弁、36…絞り、40…操作量検出手段、41…第1電磁切換弁、43…制御装置、44A,44B…第2電磁切換弁、45…第3電磁切換弁、50…左走行モノレバー、51…右走行モノレバー、52…左操作レバー、53…右操作レバー、54…切換スイッチ。
Claims (11)
- 産業車両の走行操作装置において、
車体(71)の左右に設けられた走行装置(73,74)と、
前記車体(71)に設けられた作業機(75)と、
運転席(1)の左右に配置され、前記作業機(75)を操作する作業機レバー(4,5)とを有し、
前記左右の走行装置(73,74)を操作する走行操作レバー(20,21)を前記左右の作業機レバー(4,5)それぞれの近傍に設けた
ことを特徴とする産業車両の走行操作装置。 - 請求項1記載の産業車両の走行操作装置において、
前記左右の走行装置(73,74)をそれぞれ操作する左右の走行ペダル(6,7)をさらに設けた
ことを特徴とする産業車両の走行操作装置。 - 請求項1又は2記載の産業車両の走行操作装置において、
前記各走行操作レバー(20,21)は、前記左右の走行装置(73,74)をそれぞれ独立して制御可能な異なる操作系統をそれぞれ有する2つの走行レバー(20a,20b)(21a,21b)からなる
ことを特徴とする産業車両の走行操作装置。 - 請求項3記載の産業車両の走行操作装置において、
前記左右の走行装置(73,74)の内、同側の走行装置(73,74)を、前記左右の走行操作レバー(20,21) をなすそれぞれの走行レバー(20a,20b)(21a,21b)及び走行ペダル(6,7)の少なくともいずれか2つで共に操作したときに、いずれか一つの操作による該走行装置(73,74)の作動を優先し、他の操作による作動を停止させる制御手段(8,8a)を備えた
ことを特徴とする産業車両の走行操作装置。 - 請求項3記載の産業車両の走行操作装置において、
前記左右の走行装置(73,74)の内、同側の走行装置(73,74)を、前記左右の走行操作レバー(20,21) をなすそれぞれの走行レバー(20a,20b)(21a,21b)及び走行ペダル(6,7)の少なくともいずれか2つで共に操作したときに、先行して操作した方の操作による該走行装置(73,74)の作動を優先し、他の操作による作動は行わない制御手段(8c,8d,8e)を備えた
ことを特徴とする産業車両の走行操作装置。 - 請求項3記載の産業車両の走行操作装置において、
前記左右の走行装置(73,74)の内、同側の走行装置(73,74)を、前記左右の走行操作レバー(20,21) をなすそれぞれの走行レバー(20a,20b)(21a,21b)及び走行ペダル(6,7)の少なくともいずれか2つで共に操作したときに、全ての操作による該走行装置(73,74)の作動を停止させる制御手段(8b)を備えた
ことを特徴とする産業車両の走行操作装置。 - 請求項1又は2記載の産業車両の走行操作装置において、
前記走行操作レバー(20,21)がモノレバー式である
ことを特徴とする産業車両の走行操作装置。 - 請求項1,2又は3記載の産業車両の走行操作装置において、
前記左右の走行操作レバー(20,21)及び走行ペダル(6,7)の少なくともいずれか2つを共に操作したときに、先行して操作した方の操作による該走行装置(73,74)の作動を優先し、他の操作による作動は行わない制御手段(8d,8e)を有する
ことを特徴とする産業車両の走行操作装置。 - 請求項1又は2記載の産業車両の走行操作装置において、
前記左右それぞれの作業機レバー(4,5) 及び走行操作レバー(20,21)が、一つの操作レバー(52,53)で兼用した
ことを特徴とする産業車両の走行操作装置。 - 請求項9記載の産業車両の走行操作装置において、
前記各操作レバー(52,53)に設けられ、走行操作及び作業機操作を選択的に切り換える切換信号を出力する切換スイッチ(54)と、
前記各切換スイッチ(54)の切換信号に基づき、走行操作及び作業機操作を切り換える制御装置(43)とを備えた
ことを特徴とする産業車両の走行操作装置。 - 請求項10記載の産業車両の走行操作装置において、
前記制御装置(43)は、該左右の操作レバー(52,53)の前記切換スイッチ(54,54)から共に走行操作選択の切換信号を入力したとき、左操作レバー(52)が左走行装置を操作可能とし、かつ右操作レバー(53)が右走行装置を操作可能とするように、操作系統を制御する
ことを特徴とする産業車両の走行操作装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002267359A JP2004100397A (ja) | 2002-09-12 | 2002-09-12 | 産業車両の走行操作装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002267359A JP2004100397A (ja) | 2002-09-12 | 2002-09-12 | 産業車両の走行操作装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004100397A true JP2004100397A (ja) | 2004-04-02 |
Family
ID=32265907
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002267359A Pending JP2004100397A (ja) | 2002-09-12 | 2002-09-12 | 産業車両の走行操作装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004100397A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007063634A1 (ja) | 2005-12-02 | 2007-06-07 | Shin Caterpillar Mitsubishi Ltd. | 作業機械 |
WO2007069375A1 (ja) | 2005-12-12 | 2007-06-21 | Shin Caterpillar Mitsubishi Ltd. | 作業機械 |
WO2014123264A1 (ko) * | 2013-02-08 | 2014-08-14 | 볼보 컨스트럭션 이큅먼트 에이비 | 건설기계의 주행 제어방법 |
WO2015004249A1 (en) | 2013-07-12 | 2015-01-15 | Caterpillar Sarl | Pilot circuit for working vehicle |
JP2015025360A (ja) * | 2014-11-05 | 2015-02-05 | ヤンマー株式会社 | 作業車両 |
JP2020158270A (ja) * | 2019-03-27 | 2020-10-01 | 株式会社加藤製作所 | 建設機械の操作装置 |
-
2002
- 2002-09-12 JP JP2002267359A patent/JP2004100397A/ja active Pending
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007063634A1 (ja) | 2005-12-02 | 2007-06-07 | Shin Caterpillar Mitsubishi Ltd. | 作業機械 |
US7854291B2 (en) | 2005-12-02 | 2010-12-21 | Caterpillar S.A.R.L. | Work machine |
WO2007069375A1 (ja) | 2005-12-12 | 2007-06-21 | Shin Caterpillar Mitsubishi Ltd. | 作業機械 |
US8028787B2 (en) | 2005-12-12 | 2011-10-04 | Caterpillar S.A.R.L. | Work machine |
WO2014123264A1 (ko) * | 2013-02-08 | 2014-08-14 | 볼보 컨스트럭션 이큅먼트 에이비 | 건설기계의 주행 제어방법 |
WO2015004249A1 (en) | 2013-07-12 | 2015-01-15 | Caterpillar Sarl | Pilot circuit for working vehicle |
JP2015025360A (ja) * | 2014-11-05 | 2015-02-05 | ヤンマー株式会社 | 作業車両 |
JP2020158270A (ja) * | 2019-03-27 | 2020-10-01 | 株式会社加藤製作所 | 建設機械の操作装置 |
JP7297491B2 (ja) | 2019-03-27 | 2023-06-26 | 株式会社加藤製作所 | 建設機械の操作装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2002022969A1 (fr) | Circuit hydraulique de vehicule servant a realiser des operations d'excavation et de pivotement | |
US20160146227A1 (en) | Pilot Circuit for Working Vehicle | |
JP2001088734A (ja) | 作業車両の操向制御装置 | |
JP2004100397A (ja) | 産業車両の走行操作装置 | |
US8251162B2 (en) | Traveling and turning device for construction machine | |
JPH06306892A (ja) | 建設機械の走行制御装置 | |
EP1650359A2 (en) | Multiple mode operational system for work vehicle braking or propulsion | |
JPH09165788A (ja) | 建設機械のコントロールレバー制御回路 | |
JP2007230518A (ja) | トラクタの操作部 | |
JP2003301805A (ja) | 建設機械の操作装置 | |
JP3785333B2 (ja) | 土木建設機械の操作装置 | |
JP2000273914A (ja) | クローラ式走行機体の走行用油圧回路 | |
JP2006077427A (ja) | ホイール式油圧ショベル | |
JP3125899B2 (ja) | 建設機械の走行操作装置 | |
JP2006131110A (ja) | 操向装置 | |
JPH115558A (ja) | クローラ式走行機体の走行用操作装置 | |
JP2013249886A (ja) | 建設機械 | |
JP3583582B2 (ja) | 建設機械の走行操作装置 | |
JPH0649633Y2 (ja) | 油圧ショベルの油圧回路 | |
JP2000272532A (ja) | クローラ式走行機体の走行用操作装置 | |
JPH0730774Y2 (ja) | 建設機械の走行用操作レバー装置 | |
JP6871669B2 (ja) | 建設機械における走行制御装置 | |
JP6518301B2 (ja) | 建設機械の油圧システム | |
JPH07259138A (ja) | 建設機械の走行制御装置 | |
JP2023082487A (ja) | 油圧システムおよび作業車両 |