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JP2004099499A - 抗微生物剤 - Google Patents

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JP2004099499A
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bacteria
antibacterial
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cinnamoylpiperidine
antimicrobial
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JP2002262456A
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Kazuyuki Sakagami
坂上 和之
Hisakatsu Iwabuchi
岩渕 久克
Kiyokuto Tsun
鍾 旭東
Chiyoki Yugawa
湯川 千代樹
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San Ei Gen FFI Inc
Original Assignee
San Ei Gen FFI Inc
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Abstract

【課題】新規な抗微生物剤を提供することを目的とする。
【解決手段】有効成分として下式の
【化1】
Figure 2004099499

1−シンナモイルピペリジンを用いる。また、1−シンナモイルピペリジンを有効成分とする抗微生物剤を用いて対象物を処理することによって、当該対象物を抗微生物処理する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、抗菌作用及び防カビ作用を有する抗微生物剤に関する。さらに本発明は、当該抗微生物剤の抗菌作用及び防カビ作用を利用した抗微生物処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
古くから、私たちの身の回りの製品には、保存、消毒及び防カビ等を目的として多くの抗菌性化合物が使用されている。さらに1990年代半ばに生じた抗菌・防カビ製品ブームに後押しされて、現在では多種多様の抗菌性化合物及び抗菌製品が開発されている。
【0003】
21世紀は安全とともに快適さが求められる時代といわれている。このため、抗菌性化合物の利用の目的は、従来からの、材料の腐朽防止、劣化防止、腐食防止、食品や各種製品の変敗防止や保存性向上等に加えて、院内感染(メチシリン耐性黄色ぶどう球菌やバンコマイシン耐性腸球菌など)や食中毒(病原性大腸菌0−157やサルモネラ菌など)の予防及びレジオネラ菌増殖抑制などを目的とした感染防止、環境汚染防止などの衛生向上、並びに快適な生活やメンテナンス軽減を目的とした悪臭防止、美観向上、及び清潔感向上へと広がりつつある。そして、その用途も、食品(保存料、日持ち向上剤、鮮度保持剤などとしての使用)、家庭用品(ブラシ製品、文房具、靴中敷きなどの雑貨品、家具等のインテリア、壁・床・天井などの被覆材料、トイレ・風呂場・キッチンなど水回り設備や水回り用品などの抗菌・防カビ用途)、生活資材(繊維製品、皮革・紙製品、衣類、包装材料、包装容器などの抗菌・防カビ用途)、土建・塗料(固定構造物、建築物の内外装材料などの抗菌・防カビ用途)、機械・器具(電気・家電製品、機械、乗り物、光学器械、医療・福祉・衛生用器具などの抗菌・防カビ用途)、水処理(用水処理、廃水処理、汚泥処理など)、分離用具(除菌のための濾過装置、濾過材、濾過機材など)、並びにその他、医療用途(医薬品など)、畜産・漁業用途(飼料添加物や畜産・漁業用の医薬品など)、及び農業用途(農薬など)等と多岐に亘っている。
【0004】
従来公知の抗菌性化合物は、大きくわけて有機化合物(合成系及び天然系)、有機金属化合物、無機化合物(銀や銅などの金属を含む)、及び動植物・発酵生産物などに分類することができる。近年、抗菌・防カビ処理のニーズが増える一方で、人体や環境に対する安全性を求める声も高まっている。このため、合成系の有機化合物よりも、食経験的に安全性が確認されているキトサン、茶カテキン、及びカラシ抽出物などの天然系有機化合物や動植物・発酵生産物、並びに低毒性の無機化合物(金属を含む)を利用した抗菌・防カビ剤が多く用いられるようになっている。
【0005】
しかし、無機化合物は、安全性が高い、耐熱性に優れている、持続性がある、抗菌スペクトルが広い、及び微生物が耐性を取得しにくい等といった長所を有するものの、抗菌・防カビ活性が低いという短所を有する。また、天然系有機化合物や動植物・発酵生産物も同様に、安全性は高いものの、抗菌・防カビ活性が低いという短所を有する。このため、多量に使用したり抗菌性向上助剤と併用するなどの工夫がなされているが、コスト高になったり、臭い付着や変色など対象物への悪影響が、使用上の制約となっている。
【0006】
そこで、抗菌・防カビ活性が高く、しかも人体及び環境に対して安全性の高い抗菌性化合物の開発が求められている。
【0007】
なお、本発明が対象とする1−シンナモイルピペリジンは、従来公知の化合物であり(CAS RN:5422−81−1)、その合成方法も特開昭61−205221号公報(実施例12)、及びVoraender, Herrmann, JLACBF, Justus Liebigs Ann. Chem., 320 (1902),91によって公知になっている。1−シンナモイルピペリジンは、従来より抗けいれん作用を有するケイヒ酸アミドの構造活性相関作用の知見に基づいて、同じく抗けいれん作用、中枢神経鎮静作用としての用途が検討されているが(Beijing Yixueyuan Xuebao, Vol.17,  No.3, pp.225−8, (1985); Beijing YixueyuanXuebao, Vol.14, No.1, pp.65−70, (1982); Yao Hsueh Hsueh Pao, Vol.15, No.4, pp.198−205, (1980); Pei−ching I Hsueh Yuan Hsueh Pao, Vol.12, No.2, pp.83−91, (1980))、抗菌作用及び防カビ作用については知られていなかった。また、特開昭57−146563公報には、本発明が対象とする1−シンナモイルピペリジンに類似する化合物として、N−トランス−フエルロイルチラミン、N−5−(4−ヒドロキシフェニル)−2E,4E−ペンタジエノイルピペリジン、N−トランス−フエルロイルピペリジン、N−5−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2E,4E−ペンタジエノイルピペリジン、及びN−5−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2E−ペンテノイルピペリジンに、酸化防止作用があることが記載されているが、抗菌作用及び防カビ作用については一切記載されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、新規な抗微生物剤を提供することを目的とする。さらに本発明は当該抗微生物剤を利用した対象物の抗微生物処理方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を達成するための手段】
本発明者らは、上記課題の解決を求めて鋭意研究を重ねていたところ、1−シンナモイルピペリジンに優れた抗菌性及び防カビ性があることを見いだし、さらに当該化合物は無味で殆ど臭いがなくしかも白色であることから、各種製品の抗菌剤並びに防カビ剤として有効に利用できることを確信した。本発明はかかる知見に基づいて完成されたものである。
【0010】
すなわち、本発明は下記(1)〜(3)に掲げるものである:
(1)1−シンナモイルピペリジンを有効成分として含有する抗微生物剤。
(2)抗微生物作用を必要とする製品であって、上記(1)に記載の抗微生物剤を含有する製品。
(3)1−シンナモイルピペリジンを用いて対象物を処理することを特徴とする当該対象物の抗微生物処理方法。
【0011】
なお、本発明において、抗微生物剤とは抗菌剤と防カビ剤を包括的に意味するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、下式で示される1−シンナモイルピペリジンを有効成分として含有する抗微生物である。
【0013】
【化1】
Figure 2004099499
【0014】
当該1−シンナモイルピペリジンは、従来公知の方法で製造することができる。例えば特開昭61−205221号公報の記載(実施例12)に従って、ルテニウムとホスフィンとを含む金属錯化合物触媒の存在下で、シンナモニトリル、ピペリジン及び水を加熱反応させる方法を用いてもよいし、またVoraender, Herrmann, JLACBF, Justus Liebigs Ann. Chem., 320 (1902), 91の記載に従って、シンナモイルクロライドとピペリジンをベンゼン反応溶媒中で冷却攪拌することによって反応させる方法を用いてもよい。なお、ここで反応溶媒としては、上記文献に従ってベンゼンを用いてもよいが、クロロホルムや他の有機溶媒を使用することもできる。上記反応によって生成した1−シンナモイルピペリジンは、反応溶媒からクロロホルムで抽出し、再結晶することによって単離、精製することができ、白色の針状の結晶として取得することができる。
【0015】
本発明が対象とする微生物としては、特に細菌類及び真菌類を挙げることができる。より具体的には、細菌類としては、バシラス属に属する芽胞形成グラム陽性桿菌(例えば、Bacillus cereus, Bacillus subtilis)、ブドウ球菌属に属するグラム陽性球菌(例えば、Staphylococcus aureus)またはミクロコッカス属に属するグラム陽性球菌(例えば、Micrococcus luteus)、ラクトバチルス属に属する無芽胞グラム陽性嫌気性桿菌(例えば、Lactobacillus brevis や Lactobacillus plantarumといった乳酸菌)(以上、グラム陽性菌);並びにシュードモナス属に属するグラム陰性好気性桿菌(例えばPseudomonas aeruginosaといった緑膿菌)、腸内細菌科に属するグラム陰性通性嫌気性桿菌〔例えばEscherichia coli[大腸菌]、およびProteus属に属する腸内細菌(例えばProteus vulgaris)〕(以上、グラム陰性菌)を挙げることができる。
【0016】
また、真菌類としては、麹カビ(Aspeugillus属に属する菌[例えば、Aspeugillus niger])、毛カビ(Mucor属に属する菌[例えば、Mucor recemensus f.sp.spharosporous])及び黒色真菌(Cladosporium属に属する菌[例えば、Cladosporium colocasiae])などの糸状菌、並びにカンジダ属に属する菌(例えば、Candida utilis)、ピキア属に属する菌(例えば、Pichia anomala)、及びサッカロミセス属に属する菌(例えば、Saccharomyces cerevisiae)等の酵母菌を挙げることができる。
【0017】
本明細書でいう「抗微生物作用」とは、少なくとも上記細菌類及び真菌類の増殖を抑制する作用を意味する。ゆえに、本発明の「抗微生物剤」とは、対象物またはその表面における上記細菌類及び真菌類の増殖を抑制する目的で使用され、当該所期の効果を奏する物質を意味する。また本発明の「抗微生物処理」とは、対象物またはその表面における上記細菌類及び真菌類の増殖を抑制する目的で行われ、当該所期の効果を奏する処理を意味する。
【0018】
本発明の抗微生物剤は、1−シンナモイルピペリジンを有効成分として含有するものであればよく、1−シンナモイルピペリジン単独からなるものであっても、また少なくとも上記細菌類及び真菌類の増殖を抑制する作用を有することを限度として、他の成分を含有するものであってもよい。他の成分としては、抗微生物剤の適用対象物や用途によって異なり、規定することはできないが、一例として、例えば食品に用いる場合には通常食品衛生上許容される担体や添加剤を、また医薬用途、医薬部外用途、または香粧品用途に用いる場合には薬学上許容される担体や添加剤などを挙げることができる。
【0019】
また、本発明の抗微生物剤の形態も、少なくとも上記細菌類及び真菌類の増殖を抑制する作用を有することを限度として特に制限されず、抗微生物剤の適用対象物や用途に応じて適宜選択調製することができる。例えば、錠剤、顆粒状、及び粉末状等の固形物の形態、液状や乳液状などの液体の形態、及びペースト状等の半固形物の形態を挙げることができる。なお、粉末状の固形物への調製は、例えは、1−シンナモイルピペリジンを含水アルコールに溶解して、これに必要に応じてデキストリン、シクロデキストリンまたは糖アルコールなどの賦形剤を加え、凍結乾燥、噴霧乾燥または凍結粉砕などの手法を用いて粉末化する方法を例示することができる。
【0020】
本発明の抗微生物剤は、少なくとも上記細菌類及び真菌類の増殖を抑制することが求められる対象物の抗菌及び防カビ処理(抗微生物処理)に好適に使用することができる。かかる対象物としては、(1)上記細菌類または上記真菌類が増殖することによって生じる変質(変敗、腐敗)や劣化の防止が求められるもの―例えば、食品、香粧品、医薬品、医薬部外品、飼料、その他、木材、油及び化学物質などの各種工業用材料−、(2) 上記細菌類または上記真菌類が増殖することによって生じる汚れや悪臭発生の防止が求められるもの―例えば、家庭用品(ブラシ製品、文房具、靴中敷きなどの雑貨品、家具等のインテリア、壁・床・天井などの被覆材料、トイレ・風呂場・キッチンなど水回り設備や水回り用品)、生活資材(寝具やタオルなどの繊維製品、皮革・紙製品、衣類など)、機械・器具(電気・家電製品、精密機械、乗り物など)、水(用水、廃水、汚泥など)−、(3)上記細菌類または上記真菌類が増殖することによって生じる疾病(食中毒や感染症)発生の予防が求められるものまたは予防に有効なもの−例えば、食品、家庭用品(家具等のインテリア、壁・床・天井などの被覆材料)、機械・器具(医療・福祉・衛生用器具など)、生活資材(寝具やタオルなどの繊維製品、皮革・紙製品、衣類、包装材料、包装容器)、建築物の内外装材料など−、を挙げることができる。
【0021】
本発明の抗微生物剤は、例えば該抗微生物剤を上記対象物に添加混合するか、対象物の表面に塗布若しくは噴霧するか、または対象物を抗微生物剤含有溶液中に浸漬するかなど、各種の処理方法を施すことによって用いられ、斯くして当該対象物に対してその抗微生物作用を発揮することができる。なお、対象物への添加配合は、対象物(製品)の製造過程で行われてもよいし、また最終製品に対して行われても良い。このように抗微生物処理された対象物は、対象物そのものまたはその表面における微生物(細菌類、真菌類)の増殖が抑制され、抗微生物作用を有することができる。
【0022】
本発明の抗微生物剤の対象物への適用量は、対象物の種類や用途によって種々異なり、一概に規定することができないが、本発明の抗微生物剤を対象物(製品)の一成分として配合して用いる場合を例にすると、最終製品中の1−シンナモイルピペリジンの濃度が0.1μg/ml以上、好ましくは0.5μg/ml以上となるような割合を挙げることができる。好ましくは0.5〜10μg/mlの範囲である。また、本発明の抗微生物剤を対象物の表面に塗布若しくは噴霧して用いる場合は、当該塗布液または噴霧液中の1−シンナモイルピペリジンの濃度として、10μg/ml以上、好ましくは20μg/ml以上を挙げることができる。好ましくは20〜100μg/mlの範囲である。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の内容を以下の実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0024】
参考例1  1−シンナモイルピペリジンの合成
30mlの容量の反応器に磁気攪拌子を入れ、アルゴンで置換した。これにシンナモニトリル1.3 g (10 mmol), ピペリジン1.3 g (15 mmol), 水(20 mmol), RuH(PPh(0.3mmol), ジメトキシエタン(DME、2.5ml)を加え密封した。
【0025】
この溶液を160℃で24時間攪拌して反応させ、次いで反応液をエーテルで抽出し、エーテル層を洗浄して濃縮し、得られた残渣をヘキサンを用いて再結晶して、1−シンナモイルピペリジン1.7gを白色の針状の結晶として取得した(収率57%)。次いで、そのMS及びNMRスペクトルを測定して、当該結晶物が1−シンナモイルピペリジンであることを確認した。
【0026】
H−NMR (CDCl, 400MHz):δ1.58〜1.71 (m 6H, CH×3); 3.58〜3.66 (m 4H,CH×2); 6.91 (d 1H, CH, J=15.6 Hz);7.31〜7.52 (m 5H, CH×5); 7.64 (d 1H, CH, J=15.6 Hz)
13C−NMR (CDCl, 400MHz):δ24.9; 26.9; 27.0; 43.6; 47.3; 118.0; 127.9; 129.0 ; 129.7; 135.7; 142.3; 165.6。
【0027】
実施例1  抗菌・防カビ試験
参考例1に記載する方法で取得した1−シンナモイルピペリジンを用いて、下記の抗菌・防カビ試験を行った。具体的には、細菌類として、バシラス菌(枯草菌)(Bacillus cereus, Bacillus subtilis)、ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、ミクロコッカス菌(Micrococcus luteus)、乳酸菌(Lactobacillus brevis, Lactobacillus plantarum)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、及び腸内細菌(Escherichia coli[大腸菌],Proteus vulgaris)を用い、真菌類としては、麹カビ(Aspeugillus属[Aspeugillus niger])、毛カビ(Mucor属[Mucor recemensus f.sp.spharosporous])及び黒色真菌(Cladosporium属[Cladosporium colocasiae])のカビ類、並びにカンジダ菌(Candida属[Candida utilis])、ピキア菌(Pichia属[Pichia anomala])、サッカロミセス菌(Saccharomyces 属[Saccharomyces cerevisiae])の酵母菌を用いた。
【0028】
<抗菌・防カビ試験方法>
各種菌は、予め、被検菌(グラム陽性菌、陰性菌)(表1中、1)〜7))はニュートリエントブロスを用い、被検菌(乳酸菌)(表1中、8)〜9))はMRS培地を用いてそれぞれ35℃で1日間の前培養を行った。また被検菌(カビ、酵母)(表1中、10)〜15))はMRS培地で25℃で1日間の前培養を行った。次いで各菌前培養に使用した培地と同じ組成成分に1−シンナモイルピペリジンを系列希釈して配合して調製した培地(1−シンナモイルピペリジン添加配合濃度;0.25、0.5、1、2、4、8、16μg/ml培地)に、上記の前培養した各種菌を10〜10個/mlとなるように添加(1ml/シャーレ)した。次いで、被検菌(グラム陽性菌、陰性菌)(表1中、1)〜7))は35℃で、被検菌(乳酸菌)(表1中、8)〜9))は嫌気ジャー内35℃で、及び被検菌(カビ、酵母)(表1中、10)〜15))は25℃で、それぞれ24〜96時間培養し、各種菌の生育状況を調べ、最小阻止濃度(MIC)を求めた。なお、菌の生育を阻害するために必要な1−シンナモイルピペリジンの培地濃度(μg/ml)を、最小生育阻止濃度とした。結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 2004099499
【0030】
表1の結果からわかるように、1−シンナモイルピペリジンは広い範囲の細菌類及び真菌類に対して増殖/生育抑制効果を示した。上記各種の細菌類及び真菌類に対する最小生育阻止濃度は0.5〜8μg/ml、特にEscherichia coli及びSaccharomyces cerevisiae以外の細菌類及び真菌類に対する最小生育阻止濃度は0.5〜4μg/mlと、従来使用されている抗微生物剤の最小生育阻止濃度(通常10〜10,000μg/ml)に比して、有意に低く、高い抗菌作用及び防カビ作用を有することが判明した。
【0031】
このことから、1−シンナモイルピペリジンは、食品、医薬品、医薬部外品及び香粧品等の保存料として、また家庭用品(歯ブラシ等の歯磨き製品、文房具、靴中敷きなどの雑貨品、家具等のインテリア、壁・床・天井などの被覆材料、トイレ・風呂場・キッチンなど水回り設備や用品)、生活資材(繊維製品、皮革・紙製品、衣類、包装材料、包装容器)、土建・塗料(固定構造物、建築物の内外装材料)、機械・器具(電気・家電製品、機械、乗り物、光学器械、医療・福祉・衛生用器具)などの各種製品の抗微生物剤(抗菌・防カビ剤)の有効成分として、また水(用水、廃水)や汚泥の抗微生物処理剤に有効に利用できると考えられる。
【0032】
上記実施例で、1−シンナモイルピペリジンの増殖抑制効果が確認された微生物は、特に食品の変質に関連する食品微生物〔バチルス菌、ミクロコッカス菌、シュードモナス菌、腸内細菌及び乳酸菌などの細菌類;糸状菌(毛カビ、麹カビ)及び酵母菌〕としてよく知られているものである。また、本発明者らは1−シンナモイルピペリジンが食経験のある植物に含まれる天然系有機化合物であることを確認している。これらのことから、1−シンナモイルピペリジンは安全性が高く、特に食品中における微生物増殖を抑制し、変質(変敗、腐敗)を予防する食品用の抗微生物剤(保存料、鮮度保持剤、日持ち向上剤)の有効成分として好適に使用することができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、新たに見いだされた1−シンナモイルピペリジンの抗菌・防カビ作用に基づいて、新規な抗微生物剤(抗菌・防カビ剤)を提供することができる。1−シンナモイルピペリジンは、従来使用されている抗微生物剤に比して有意に優れた抗菌作用及び防カビ作用を有しており、安全性も高く、またその結晶は無味で殆ど臭いがなく白色を有している。また広い抗菌スペクトルを有している。このため、1−シンナモイルピペリジンを有効成分とする本発明の抗微生物剤は抗微生物処理を目的として各種の製品に広く利用することができる。

Claims (3)

  1. 1−シンナモイルピペリジンを有効成分として含有する抗微生物剤。
  2. 請求項1に記載の抗微生物剤を含有する、抗微生物作用を必要とする製品。
  3. 1−シンナモイルピペリジンを用いて対象物を処理することを特徴とする当該対象物の抗微生物処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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