JP2004096665A - 画像処理装置、画像検査装置、およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】撮像画像や基準画像に暈かし処理を施し比較して撮像画像の良否を判定する画像検査装置において、単純な手法を採用しつつ実処理時間を低減することができるようにする。
【解決手段】カメラヘッド102は、画像の暈け量が測定可能なテストパッチが形成された原稿を撮像する。濃度プロファイル抽出演算処理部152は、この撮像画像の一部にあるテストパッチ部分の濃度プロファイルを抽出する。分散決定部156は、抽出された濃度プロファイルに基づいて濃度プロファイルの分散(画像濃度の変化に依存した広がり)を求める。この求められた分散を参照して、ガウスフィルタ処理部190は撮像画像に対して、ガウスフィルタ処理部214は基準画像に対して、それぞれガウスフィルタを適用して暈かし処理を施す。
【選択図】 図2
【解決手段】カメラヘッド102は、画像の暈け量が測定可能なテストパッチが形成された原稿を撮像する。濃度プロファイル抽出演算処理部152は、この撮像画像の一部にあるテストパッチ部分の濃度プロファイルを抽出する。分散決定部156は、抽出された濃度プロファイルに基づいて濃度プロファイルの分散(画像濃度の変化に依存した広がり)を求める。この求められた分散を参照して、ガウスフィルタ処理部190は撮像画像に対して、ガウスフィルタ処理部214は基準画像に対して、それぞれガウスフィルタを適用して暈かし処理を施す。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、処理対象画像に対して暈かし処理を施す画像処理装置、この画像処理装置の仕組みを利用して、所定の撮像装置により読み取った画像と基準画像とを比較することにより画像検査をする装置、並びに電子計算機を利用してソフトウェアで前記装置を実現するために好適なプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
原稿の画像を読み取る画像読取装置、いわゆるスキャナ装置が種々の分野で利用されている。たとえば単体で使用されることもあれば、複写装置などに組み込まれて使用されることもある。あるいは、読み取った画像と検査用の基準画像とを比較して画像欠陥などを検査する画像検査装置に利用されることもある。
【0003】
画像読取装置としては、たとえば原稿載置台としてのプラテンガラスの上に原稿を置き、その下をラインセンサが走査して読み取るフラットベッド型イメージスキャナ、使用者がイメージセンサを手で走査して原稿を読み取るハンディ型イメージスキャナ、あるいは、原稿と撮像デバイス(センサ)との間にある程度の距離を置いて、原稿を間接的に読み取る間接型イメージスキャナ(非接触型イメージスキャナともいわれる)などがある。間接型イメージスキャナは、読み取る対象物に大きさや平面度の制約が少ないという利点を有する。
【0004】
間接型イメージスキャナの一例としては、たとえば、斜め上方からエリアセンサなどの撮像デバイスで印刷画像を読み取って正面から見た画像に変換する方式のものが提案されている。この方式では、斜め上方から撮影するために、画像が略台形状に歪む(画像の幾何学歪みという)問題や、原稿の手前と奥とで焦点がずれて画像のボケ度合いに場所による差、つまりボケ特性の場所依存性が生じ、画質が低下する問題がある。
【0005】
この幾何学歪みやボケ特性の場所依存性を補正するために、一般的には、平均値フィルタやガウスフィルタが用いられる。たとえば特開2001−319221号では、幾何学歪みやボケ特性の場所依存性を補正するために、撮像画像の濃度変化に対して、フィルタサイズを変更したフィルタリング処理が提案されている。この方式では、斜めから撮影したマスタパターン画像を、所定領域に対して評価値を算出し、その評価値に応じてフィルタサイズを変更して、処理領域に対してフィルタリング処理を行なうことにより、全領域の焦点状態を擬似的に揃えた状態を作り出している。
【0006】
また、特開平5−225388号には、文字認識装置や統合オフィスオートメーション機器において、画像輪郭のぼやけやエッジ部鮮明度の低下を起こさずに、ノイズを除去する手法が提案されている。この手法では、フィルタ各々は、ガウスフィルタの特性を持ち、各画素についてガウスフィルタの分散σを算出している。各画素に対する分散σは、周辺画素の画像濃度に定数を加えたものの変化分に反比例することを特徴としている。それにより、ノイズは除去し、線幅を細くした画像処理が可能となり、精度の高い文字認識ができるようになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開2001−319221号のような方法では、フィルタリング処理は注目画素と周辺画素の濃度平均による平均値フィルタを用いており、より高い精度で焦点状態を揃えるためには、フィルタサイズとフィルタ行列の値といった2つのパラメータをより正確に決定する必要があり、処理が複雑になるといった問題が存在する。
【0008】
一方、特開平5−225388号の方法では、ガウスフィルタの分散σを計算するという比較的単純な手法を利用してはいるが、実際には、各画素に対し多くの演算処理によってガウスフィルタの分散σを計算しているため、全画素に対して処理を行なうには多大な時間が掛かるという問題がある。つまり、基本的処理は簡単であっても実処理時間が掛かるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、比較的単純な手法を採用しつつ実処理時間を低減することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、本発明の画像処理装置の仕組みを利用して撮像画像と基準画像とを比較することにより画像検査をする装置を提供することを目的とする。また、本発明は、電子計算機を利用してソフトウェアで画像処理装置や画像検査装置を実現するために好適なプログラムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係る画像処理装置は、画像の暈け量が測定可能なテストパッチが形成された原稿を所定の撮像装置により撮像して得た撮像画像に基づいて、撮像画像のテストパッチ部分の濃度プロファイルを求める濃度プロファイル抽出演算処理部と、濃度プロファイル抽出演算処理部が求めた濃度プロファイルに基づいて濃度プロファイルの分散(画像濃度の変化に依存した広がり)を求める分散決定部と、分散決定部により求められた分散に基づいて所定の処理対象画像に対してガウスフィルタを適用した処理を施すなど、予め定められたフィルタ処理を施すフィルタ処理部とを備えた。
【0012】
また従属項に記載された発明は、本発明に係る画像処理装置のさらなる有利な具体例を規定する。
【0013】
本発明に係る画像処理装置を利用して画像検査装置を構成する場合、フィルタ処理部の処理対象画像は、撮像装置により読み取られた撮像画像および検査用の基準画像のうちの少なくとも一方であればよい。撮像画像と検査用の基準画像とを比較することにより撮像画像の良否を検査する画像検査処理部は、フィルタ処理部によりフィルタ処理が施された処理済画像を利用して比較を行なうことで、撮像画像の良否を検査する。
【0014】
さらに、本発明に係るプログラムは、本発明に係る画像処理装置やこの画像処理装置を利用した画像検査装置を、電子計算機を用いてソフトウェアで実現するために好適なものである。なお、プログラムは、コンピュータ読取り可能な記憶媒体に格納されて提供されてもよいし、有線あるいは無線による通信手段を介して配信されてもよい。
【0015】
【作用】
上記構成の画像処理装置においては、画像の暈け量が測定可能なテストパッチが形成された原稿を用意し、これを撮像装置で読み取る。濃度プロファイル抽出演算処理部は、この撮像画像のテストパッチ部分の濃度プロファイルを求める。つまり、画像全体の各画素に対してではなく、テストパッチ部分という必要な部分を対象とし濃度プロファイル抽出処理をする。
【0016】
また、分散決定部は、濃度プロファイル抽出演算処理部が求めた濃度プロファイルに基づいて濃度プロファイルのガウスフィルタの分散を求める。ここで、分散決定部により求められた分散は、処理対象としたテストパッチの存在している画像位置における暈け具合を示すことになる。この分散を求める処理は、比較的単純な手法であるのはいうまでもない。
【0017】
フィルタ処理部は、分散決定部により求められた分散に基づいて、撮像画像や検査用の基準画像を処理対象画像としてフィルタ処理を施す。たとえば、求められた分散が表す暈け具合を補正するような鮮鋭度改善処理を撮像画像に適用してもよい。また、基準の暈け具合と一致するように鮮鋭度改善処理や平滑化処理を撮像画像に適用してもよい。こうすることで、たとえば画像全体に亘って焦点状態を擬似的に揃えた状態を作り出す。また、求められた分散が表す撮像画像の暈け具合と同じになるように、検査用の基準画像の鮮鋭度を低下させてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る画像処理装置の一実施形態を備えた画像検査装置を示す概略図である。ここで、図1(A)は、カメラヘッドの設置状態を示す図、図1(B)は、プリントエンジンの一例を示す図である。
【0020】
図1(A)に示すように、画像検査装置5は、画像読取装置の一例である画像読取部100、画像読取部100で読み取った画像に欠陥があるか否かを検査する画像検査処理部200、画像読取部100で読み取った画像や画像検査処理部200で検査用に使用する基準画像あるいはデータ処理中の中途データを格納するデータ格納部300、および画像読取部100で読み取られた画像を所定の記録媒体に出力するプリンタ部500を備えている。
【0021】
プリンタ部500は、排出口582および排紙トレイ584を有し、筐体内にはプリントエンジンが配されている。原稿設置台としての機能を有する排紙トレイ584は、原稿(印刷済みの用紙)Pと下地(ここでは排紙トレイの色)の判別ができるような色が付いている。
【0022】
画像読取部100は、用紙Pの画像を読み取るカメラヘッド102を有している。カメラヘッド102は、撮影レンズ104、CCD撮像素子106、および読取信号処理部108を有している。このカメラヘッド102は、図示しない支持部材により、排紙トレイ584上に排出されたPに対する撮影レンズ104の向きが調整可能に支持されかつ排出口582の上部に排紙トレイ584の全体を撮影範囲にできるように設置されており、画像を斜め上から撮影して撮像画像を取得する。
【0023】
プリンタ部500は、画像読取部100の各種機能とともに動作可能であって、画像検査装置5をデジタル印刷システムとして稼働させるためのラスタ出力スキャン(ROS;Raster Output Scanner)ベースのプリントエンジン570を備える。
【0024】
プリントエンジン570は、電子写真プロセスを利用して画像を所定の記録媒体に記録するものである。このプリントエンジン570は、クライアント端末から入力された印刷データに基づいて可視画像を所定の記録媒体上に形成する印刷装置(プリンタ)として機能するようになっている。
【0025】
すなわち、図1(B)に示すように、プリントエンジン570は、画像読取部100との間のインターフェース(IOTコントローラ)の機能を有するとともに、画像読取部100から出力された画像データD10に対してプリント出力用の所定の処理をするプリント出力処理部572と、光ビームを発するレーザ光源574と、プリント出力処理部572から出力されたデータに従ってレーザ光源574を制御すなわち変調するレーザ駆動部576と、レーザ光源574から発せられた光ビームを感光性部材579に向けて反射させるポリゴンミラー(回転多面鏡)578とを有する。
【0026】
プリント出力処理部572は、画像データD10に対して、周知技術に従って、複数好ましくは最低3つの分解色を表すデータを生成しレンダリング(ラスタデータに展開)する。たとえばデータD10が表すYCrCb表色系から最低3つ(好ましくは4つ)、たとえばCMY表色系あるいはCMYK表色系へのマッピングをし、プリント出力用に色分解されたラスタデータを生成する。またプリント出力処理部572は、このようなラスタデータ化の処理に際して、カラー画像のCMY成分を減色するアンダーカラー除去(UCR)、あるいは減色されたCMY成分を部分的にK成分と交換するグレー成分交換(GCR)をする。さらにプリント出力処理部572は、出力データ(CMYKなど)に応答して作成される出力画像のトナー像を調整するために、色分解の直線化または同様の処理をすることもある。
【0027】
この構成により、プリントエンジン570は、レーザ光源574が発生する光ビームをポリゴンミラー578上の複数の面で反射させて感光性部材579を露光し、スキャン走査によって感光性部材579上に潜像を形成する。潜像が形成されると、当該技術分野で公知の多数の方法のうち任意の方法に従って像を現像し、画像読取部100にて読み取られたカラー画像を可視像として出力する。なお、カラー画像を可視像として出力する際には、画像を表すデータは最低3つ(好ましくは4つ)の色分解データ(たとえばC,M,Y,Kなど)を含み、各色は別個の画像面として、または輝度−クロミナンス形式で処理される。
【0028】
図2は、図1に示した画像検査装置5の詳細(第1実施形態)を示すブロック図である。第1実施形態の画像検査装置5は、画像を撮影して撮像画像を取得する画像読取部100と画像検査処理部200とデータ格納部300と、画像検査装置5の各部を制御する制御部320とを備える。
【0029】
画像読取部100は、カメラヘッド102によって取得された撮像画像に対して所定の処理を施す撮像画像処理部110を備えている。撮像画像処理部110は、カメラヘッド102にて読み取られた撮像画像の照度むらやセンサ画素特性ばらつきを補正するシェーディング補正部132および撮影レンズの歪曲収差補正や幾何変換処理などの処理を行なう幾何変換部(透視変換部ともいう)134を有する前処理部130を備える。
【0030】
シェーディング補正部132が行なうシェーディング補正は、撮影領域の照度むらやCD撮像素子106の各画素の特性ばらつきなどを補正する処理である。たとえば、カメラヘッド102は、予め白紙を撮影して白基準DW[i,j]としてデータ格納部300に保存しておく。i,jは画素位置を表わす。次にシェーディング補正部132は、撮影画像D[i,j]に対し式(1)に基づき補正する。
【数1】
【0031】
ここで、“n”は、補正後のビット分解能で、8ビット分解能ならn=8となり、“0〜255”階調の値をとる。ここでは、全画素について白基準データを保持する方法を述べたが、たとえば簡易的には、撮影された画像全体のピーク値を白基準DWとする方法や、ラインごとのピーク値DW[j]を白基準とする方法などが適用可能である。
【0032】
幾何変換部134が行なう幾何変換処理とは、矩形状の原稿をカメラヘッド102により撮影して得た撮像画像の形状を元の矩形状に戻す処理である。たとえば、矩形である原稿を任意のチルト角で撮影すると、撮像画像は台形状に変形される。幾何変換部134は、この台形画像を元のように矩形状の画像に戻し、処理済の撮像画像をデータ格納部300に格納する。
【0033】
なお、カメラヘッド102により読み取られた撮像画像と検査用の基準画像との誤差をより小さくするための誤差補正を施す仕組みとして、たとえば本願出願人が特願2001−334163号にて提案したような補正係数算出部および画像補正処理部を設けてもよい。補正係数算出部および画像補正処理部は、カメラヘッド102により取得された撮像画像に対して、先鋭度を向上させるための強調処理(シャープネス処理)やノイズ除去処理を施す(詳細説明は割愛する)。
【0034】
また、撮像画像処理部110は、撮像画像内のテストパッチ部分から濃度プロファイルを抽出し、この抽出した濃度プロファイルに基づいてガウス関数の分散σを求める分散算出処理部150と、分散算出処理部150により求められた分散σに基づいて、処理対象画像である撮像画像に対してガウスフィルタ処理を行なうガウスフィルタ処理部190とを備える。
【0035】
分散算出処理部150は、カメラヘッド102により得られた撮像画像(幾何変換処理済みの撮像画像)をデータ格納部300から読み出し、この画像に対して、画像内のある一部から濃度プロファイルを抽出し、この抽出した部分に対して所定の演算処理を施す濃度プロファイル抽出演算処理部152と、濃度プロファイル抽出演算処理部152により処理されたデータに基づいてガウス関数の分散σを算出する分散決定部156とを有する。分散決定部156は、決定したσを一旦データ格納部300に格納する。
【0036】
ガウスフィルタ処理部190は、カメラヘッド102により得られた撮像画像(幾何変換処理済みの撮像画像)をデータ格納部300から読み出し、この画像に対して、分散決定部156により決定された分散σに基づいてガウスフィルタ処理を行なう。たとえば、求められた分散が表す暈け具合を補正するような鮮鋭度改善処理を撮像画像に適用したり、基準の暈け具合と一致するように鮮鋭度改善処理や平滑化処理(暈かし処理)を撮像画像に適用する。
【0037】
画像検査処理部200は、本願出願人が特願2001−334163号にて提案したように、データ格納部300に格納してある画像検査の基準となる基準画像(元画像データ)をカメラヘッド102にて取得された撮像画像と同じように解像度変換しかつ暈かし処理(平滑化処理)をすることで両画像を比較する際の誤差を少なくする基準画像処理部210と、基準画像処理部210から出力された基準画像に基づいて撮像画像の良否を検査する画像検査部230とを備える。
【0038】
基準画像処理部210は、データ格納部300から読み出した基準画像に対して、たとえば線形補間法などを用いて解像度変換処理を施す解像度変換部212と、解像度変換処理が施された基準画像に対して高周波成分を低減させる暈かし処理を施すガウスフィルタ処理部214とを有する。ガウスフィルタ処理部214は、解像度変換部212により解像度変換が施された基準画像に対して、分散決定部156により決定された分散σに基づいてガウスフィルタ処理を行なう。たとえば、求められた分散が表す撮像画像の暈け具合と同じになるように、検査用の基準画像の鮮鋭度を低下させる。
【0039】
図3は、第1実施形態の濃度プロファイル抽出演算処理部152の詳細を示すブロック図である。図示するように、濃度プロファイル抽出演算処理部152は、暈かし量が測定可能な原稿および原稿を斜め上方からカメラヘッド102により撮影して取得した入力画像もしくは入力画像を幾何変換部134で幾何補正した画像に対して画像内のある一部から濃度プロファイルを抽出する濃度プロファイル抽出部402を有する。
【0040】
また、濃度プロファイル抽出演算処理部152は、濃度プロファイル抽出部402で抽出した濃度プロファイルから予め定められた定数(原稿の下地部分に対応する)を減算する下地除去処理部404と、下地除去処理部404で算出した下地成分減算後の濃度プロファイルから実質的に有効な濃度プロファイル(以下有効濃度プロファイルともいう)の開始位置を決定するプロファイル開始位置決定部406と、有効濃度プロファイル部の全面積を算出する全面積算出処理部408とを有する。
【0041】
ここで、実質的に有効な濃度プロファイルとは、濃度プロファイル抽出部402が抽出した濃度プロファイルのうち、テストパッチと原稿の下地成分とで形成される濃度プロファイルの高濃度側と低濃度側との変化部分を意味する。
【0042】
さらに、濃度プロファイル抽出演算処理部152は、有効濃度プロファイルがガウス分布に従うものとして、全面積算出処理部408で算出した全面積から設定値Ssigma を算出する設定値算出処理部410と、有効濃度プロファイルの開始位置からの累積面積を算出する累積面積算出処理部412と、累積面積算出処理部412による累積面積が設定値Ssigma と等しくなったか否かを判定する、すなわち累積面積算出処理部412により算出された累積面積と設定値算出処理部410により算出された設定値Ssigma とが等しくなる位置を特定する累積面積判定部414とを有する。
【0043】
この濃度プロファイル抽出演算処理部152の後段に設けられている分散決定部156は、累積面積判定部414によって設定値Ssigma と等しくなったと判定された位置をガウス関数の分散σとして決定する。
【0044】
図4は、幾何変換部134の作用を説明する図である。ここで、図4(A)は、カメラヘッド102が取得する印刷画像の撮影状態を示している。カメラヘッド102が撮影対象とする原稿としては、このカメラヘッド102にて取得した画像の暈け量が測定可能なように、単一色(好ましくは白地原稿に対して黒色)の矩形状のテストパッチが多数配されている矩形状のものを使用する。
【0045】
本実施形態では、カメラヘッド102は、多数の矩形状のテストパッチが印刷された矩形状の原稿を任意のチルト角で撮影するので、カメラヘッド102により撮影された撮像画像は、図4(B)に示すように、台形画像に変形されて取得される。この台形画像を表す画像データは、一旦データ格納部300に蓄えられる。幾何変換部134は、図4(B)に示すような台形に変形した画像をデータ格納部300から読み出し、図4(C)に示すように、矩形状の画像に戻す。
【0046】
図5は、第1実施形態の濃度プロファイル抽出演算処理部152の濃度プロファイル抽出部402の作用を説明する図である。ここで、図5(A)は、幾何変換部134による幾何変換処理後の画像データから濃度プロファイルを抽出する部分を示す図、図5(B)は、1つのテストパッチについての濃度プロファイル抽出方向の一例を示す図、図5(C)は、図5(B)に例示した抽出方向に対する濃度プロファイルの一例を示す図である。
【0047】
濃度プロファイルの抽出に際しては、たとえば、横方向(主走査方向x)、縦方向(副走査方向y)、斜め方向の少なくとも一方向から濃度プロファイルの抽出を行なう。図5(B)に示した例では、画像の縦方向(副走査方向y)に行なう例を示している。
【0048】
濃度プロファイル抽出部402は、撮像画像に含まれる多数のテストパッチの何れか1つに着目して濃度プロファイルをn個抽出して、抽出開始の座標をp1、抽出終了の座標をpnとする。濃度階調値は“0〜255”の256段階の値をとり、“0”のときは白、“255”のときは黒を表し、階調値が増加するに従い黒色を強めていく。図5(C)では、図5(B)の(qi,p1)から(qi,pn)までを抽出した濃度プロファイルを表している。
【0049】
図5(C)において、階調値D(qi,pn)’の値は、原稿の下地部分を示すことになり、テストパッチ部分の濃度として有効な部分は、階調値D(qi,pn)’以上の部分となる。下地除去処理部404は、このテストパッチ部分の濃度として有効な部分を抽出する。また、濃度プロファイルとして実際に必要な情報(抽出すべき部分)は、原稿の黒色部から白色部(下地部)に変化する部分である。プロファイル開始位置決定部406は、この濃度プロファイルとして必要な部分(有効濃度プロファイル)を抽出する。
【0050】
図6は、濃度プロファイル抽出演算処理部152の下地除去処理部404およびプロファイル開始位置決定部406の作用を説明する図である。下地除去処理部404は、式(2)に示すように、濃度プロファイル抽出部402が抽出した濃度プロファイルの各々の階調値D(qi,p1)’,D(qi,p2)’,…,D(qi,pn)’から、(qi,pn)における階調値D(qi,pn)’を減じて、差分データD(qi,p1),D(qi,p2),…,D(qi,pn)を算出する。
【数2】
【0051】
差分データD(qi,p1),D(qi,p2),…,D(qi,pn)の濃度プロファイルを図6(A)に示す。この図6(A)に示す濃度プロファイルは、当然に、図5(C)に示す濃度プロファイルにおける階調値D(qi,pn)’以下の部分を除去したものとなる。なお、下地部分(qi,pn)が濃度プロファイル抽出終了位置となる。
【0052】
そして、濃度プロファイルとして必要な情報(抽出すべき部分)は、原稿の黒色部から白色部(下地部)に変化する部分であるので、プロファイル開始位置決定部406は、原稿の黒色部(つまりテストパッチ部分)から白色部(つまり下地部分)に変化する開始ポイントを、有効濃度プロファイル開始位置として特定する。
【0053】
図5(C)に示すように濃度プロファイル抽出処理を行ない、さらに図6(A)に示すように下地部分を除去した濃度プロファイルから、有効濃度プロファイルを抽出した結果を図6(B)に示す。この例では、有効濃度プロファイルは、(qi,pi)から(qi,pn)までの(n−i)個となる。
【0054】
図7は、濃度プロファイル抽出演算処理部152の全面積算出処理部408、設定値算出処理部410、および累積面積算出処理部412の作用を説明する図である。
【0055】
全面積算出処理部408は、有効濃度プロファイルD(qi,pi)〜D(qi,pn)の全面積算出を行なう。本実施形態では、式(3)に従って台形近似による面積算出を行なうことで全面積Sallを求める。有効濃度プロファイル部の全面積を算出した結果Sallの一例を図7(A)に示す。
【数3】
【0056】
本実施形態の設定値算出処理部410は、式(4)に示すように、全面積算出処理部408にて取得された全面積Sallの68.3%を設定値Ssigma とする設定値算出処理を行なう。有効濃度プロファイル部の設定値を算出した結果Ssigma の一例を図7(B)に示す。
【数4】
【0057】
累積面積算出処理部412は、設定値算出処理部410にて決定された有効濃度プロファイルの開始位置からの累積面積を算出する。有効濃度プロファイル部の累積面積を算出した結果の一例を図7(C)に示す。
【0058】
図8は、第1実施形態の撮像画像処理部110における処理手順を示すフローチャートである。第1実施形態の画像検査装置5においては、プリンタ部500が待機状態にあるとき、カメラヘッド102は制御部320の指示により、排紙トレイ584上を定期的に撮影し、その画像を出力する。
【0059】
制御部320は、基準画像の一例であるデータ格納部300に格納してある排紙トレイ584の画像とカメラヘッド102により取得された撮像画像とを比較し、原稿が排紙トレイ584上にあるか否かを判断し、原稿が排紙トレイ584上にある場合には画像検査可能のフラグをオフにしてそのまま待機状態を続ける一方、排紙トレイ584上に原稿がない場合には画像検査可能のフラグをオンにして待機状態を続ける。
【0060】
そして、制御部320は、待機状態においてプリントジョブを受け取ると、画像検査可能のフラグを判定する。そして、画像検査可能のフラグがオフの場合、制御部320は、プリントエンジン570に通常のプリント処理をさせ、待機状態へ戻る。一方、画像検査可能のフラグがオンの場合、制御部320は、プリントジョブのN枚目(最初は当然に1枚目)について、画像検査を以下のように実行する。すなわち、制御部320は、先ずN枚目(最初は当然に1枚目)のプリント処理をプリントエンジン570に開始させ、展開後の画像データをプリントエンジン570のプリント出力処理部572へ送出するとともに、データ格納部300に格納する。そして、最後の画像データのレンダリング処理が終了すると、プリント出力処理部572からの1枚目処理完了の信号を待ち、完了信号がくると規定の時間後にカメラヘッド102へ撮影開始トリガ信号を送出する(S100)。
【0061】
カメラヘッド102は、トリガ信号に同期してシャッタを切る(撮影する)が、このとき排紙トレイ584上に原稿が出力された直後となっている(S102)。カメラヘッド102は、矩形状の原稿を撮影し得た台形状の撮像画像をデータ格納部300に格納する。撮像画像処理部110の前処理部130は、カメラヘッド102により撮影された撮像画像に対して前処理を施す。すなわち、シェーディング補正部132は、カメラヘッド102により撮影された撮像画像をデータ格納部300から読み出し、シェーディング補正を行ない、処理済の画像データをデータ格納部300に格納する(S104)。
【0062】
次に、制御部320は、シェーディング補正部132によりシェーディング補正された撮像画像に対して幾何変換(透視変換)処理を行なうかどうかを決定する(S106)。幾何変換処理を行なう場合(S106−YES)、制御部320は、幾何変換部134に対して幾何変換処理を指示する。この指示受けた幾何変換部134は、シェーディング補正された撮像画像をデータ格納部300から読み出し、この撮影画像からエッジ検出などによって台形の原稿領域を抽出し、台形の斜辺から幾何変換処理前の補正係数を算出し、実際に台形の原稿領域を矩形に幾何変換処理する(S108)。
【0063】
濃度プロファイル抽出演算処理部152の濃度プロファイル抽出部402は、この幾何変換処理後の画像データから濃度プロファイル抽出処理を行なう(S112)。一方、幾何変換処理を行なわない場合は、濃度プロファイル抽出演算処理部152に対して直ちに処理を行なうよう指示する(S106−NO)。この指示を受けた濃度プロファイル抽出演算処理部152は、濃度プロファイル抽出部402にて、シェーディング補正後の画像データから濃度プロファイル抽出処理を行なう(S112)。
【0064】
プリントジョブが複数枚(N枚)の場合、前処理(S104〜108)に続いて、制御部320は、その複数枚(N枚)が全て完了するまで前記の処理と並行して残りのプリント処理を進行させる。複数枚(N枚)が全て完了すると、制御部320は、待機状態へ戻る。このようにして、カメラヘッド102により撮像され前処理部130により前処理が施された全ての撮像画像は、デジタル信号に変換されてデータ格納部300へ格納される。
【0065】
濃度プロファイル抽出部402は、たとえば図6(A)に示す有効濃度プロファイル抽出処理を行なう。その結果、有効濃度プロファイルは(qi,pi)から(qi,pn)までの(n−i)個となる。図6(A)の濃度プロファイルから有効濃度プロファイルを抽出した結果は図6(B)に示す通りである。
【0066】
濃度プロファイル抽出部402にて濃度プロファイルが抽出されると、次に、濃度プロファイル抽出演算処理部152の下地除去処理部404は、定数減残処理を行なう(S114)。次に、プロファイル開始位置決定部406は、有効濃度プロファイル開始位置決定処理を行なうサブルーチンに入る(S120)。
【0067】
プロファイル開始位置決定部406にて有効濃度プロファイルの開始位置が設定されると、次に濃度プロファイル抽出演算処理部152の全面積算出処理部408は、図7(A)に示すように、有効濃度プロファイルD(qi,pi)〜D(qi,pn)の全面積算出を行なう(S122)。次に、設定値算出処理部410は、図7(B)に示すように、全面積算出処理部408にて取得された全面積Sallの68.3%を設定値Ssigma とする設定値算出処理を行なう(S124)。
【0068】
次に、濃度プロファイル抽出演算処理部152の累積面積算出処理部412は、有効濃度プロファイルの開始位置D(qi,pi)〜D(qi,pn)からの累積面積を算出する累積面積算出処理(S126)を行なう。そして、累積面積判定部414は、累積面積算出処理部412による累積面積が設定値と等しくなったか否かを判定する累積面積判定処理を行なう(S128)。次に、分散決定部156は、累積面積判定部414の判定結果に基づいてガウス関数の分散σを決定する分散決定処理を行ない、決定した分散σをデータ格納部300に蓄える(S130)。
【0069】
なお、上記説明では、設定値Ssigma は全面積の68.3%と設定して、累積面積が設定値と等しくなる座標(qi,px)を分散σとしたが、分散σの決定方法はこの例に限らない。たとえば、Ssigma を全面積の95.4%に設定し、累積面積が設定値と等しくなる座標(qi,px)を分散2σとすることから分散σを決定してもよい。また、Ssigma を全面積の99.7%に設定し、累積面積が設定値となった座標(qi,px)を分散3σとすることから分散σを決定してもよい。
【0070】
次に、ガウスフィルタ処理部190は、カメラヘッド102により得られた撮像画像(幾何変換処理済みの撮像画像)をデータ格納部300から読み出し、処理対象画像の全座標(x,y)に対して、ステップS130にて分散決定部156により決定された分散σをガウスフィルタに適用してガウスフィルタ処理を行なう(S132)。この分散σを適用したガウスフィルタ処理は、たとえば、特開平5−225388号などに示されているように、公知の技術であるので、その詳細な説明を割愛する。
【0071】
ここで、処理対象画像は、たとえば、分散σを決定するために使用したテストパッチ部分やその近傍とすることが好ましい。なお、任意の位置の1つのテストパッチに基づいて決定した分散σを適用して、画像全体に対してガウスフィルタ処理を行なうことで、画像全面に一様に暈かし処理を施してもよい。ただし、この場合は、元々の撮像画像は、位置によって焦点状態が異なり、画像の暈け具合が位置によって異なっているので、全領域の焦点状態を擬似的に揃えるために暈かし処理を施すという点では、暈かし処理の精度が劣る。
【0072】
画像の全領域に亘って暈かし処理の精度を向上させる(全領域の焦点状態を擬似的に揃える精度を高める)には、たとえば、矩形画像の頂点近傍の4点と中央部など複数の位置のテストパッチを利用して、それぞれの位置にて個別に分散σを決定し、それぞれの位置に対応する分散σを適用して画像の全領域にガウスフィルタ処理を施すのが好ましい。図4に示す原稿上のテストパッチの全てについて分散σを決定して適用すれば非常によい。ただし、上述した濃度プロファイルの算出処理や分散σの決定処理(S112〜S130)を各位置のテストパッチについて行なう必要があるので、その分だけ処理時間が掛かることになる。
【0073】
ただしこの場合においても、画像全体の各画素に対し多くの演算処理によってガウスフィルタの分散σを計算するのではなく、テストパッチ部分という必要な部分を対象として抽出された濃度プロファイルに基づいて分散を求める(つまり画像の一部を対象として分散を求める)ので、特開平5−225388号の方法よりは処理時間が掛からない。
【0074】
画像検査装置5のガウスフィルタ処理部214は、ガウスフィルタ処理部190における撮像画像に対する暈かし処理と並行して、分散決定部156にて決定された分散σを適用して基準画像に対しても暈かし処理を加える。
【0075】
次に、位置合わせ処理部232は、基準画像処理部210のガウスフィルタ処理部214にて暈かし処理が施された基準画像と画像読取部100のガウスフィルタ処理部190により暈かし処理が施された撮像画像の位置合わせ処理を開始する。たとえば、位置合わせ処理部232は、基準画像をテンプレートとして撮像画像内を走査しながら、正規化相互相関係数を逐次計算し、最も相関係数の高い場所が位置の合った部分と見なす、いわゆるテンプレートマッチングで位置合わせを行なう。
【0076】
次に、欠陥異常検出処理部234は、位置が合った部分での正規化相互相関係数が判定指標値を下回る場合、その部分に画像欠陥が存在すると見なして欠陥異常検出処理を行なう。たとえば、プリント出力すなわち撮像画像に黒点などの欠陥パターンがあると、その欠陥を含む場所で正規化相互相関係数が明らかに低下するので、欠陥が存在することが容易に判定できる。位置合わせ処理部232および欠陥異常検出処理部234は、以上の処理を基準画像の全面について行ない、完了後には再び待機状態へ戻る。
【0077】
欠陥異常検出処理部234が画像欠陥を検出した場合には、画像検査装置5は、所定の表示デバイスあるいは音声信号発生器(たとえばスピーカ)などの図示しないユーザインタフェース上で警告を発したり、プリント管理ソフトウェアなどを利用して、通信網を通してプリントしようとしているクライアント端末(たとえばパソコン)へ警告を発したり、さらにはリモート保守システムなどを介して通信網を通してプリンタの保守業者へ通知する。
【0078】
図9は、プロファイル開始位置決定部406における作用の詳細を説明する図である。ここで、図9(A)は、処理手順(ステップS120のサブルーチン)の一例を示すフローチャート、図9(B)は、テストパッチの濃度プロファイルを抽出する一部の拡大図である。
【0079】
プロファイル開始位置決定部406は、先ず、式(5)に従って、2画素離れた部分の階調差Dsub1を算出する(S200)。
【数5】
【0080】
階調差Dsub1が設定値FX1未満の場合、プロファイル開始位置決定部406は、(qi,pi)が濃度プロファイル抽出終了位置(qi,pn)であるかどうかを判定する(S202)。そして、濃度プロファイル抽出終了位置でなければ、式(6)に従って、piを1画素ずらして階調差Dsub2を算出する(S204)。
【数6】
【0081】
(qi,pi−1)が濃度プロファイル抽出終了位置の場合、有効濃度プロファイルは抽出不可能となるので、プロファイル開始位置決定部406は、エラー処理を実行する(S206)。
【0082】
一方、階調差Dsub1が設定値FX1以上の場合、プロファイル開始位置決定部406は、式(7)に従って、D(qi,pi−1)とその1画素隣りの階調値D(qi,pi)の階調差Dsub3を算出する(S210)。
【数7】
【0083】
Dsub3が設定値FX2以上の場合、D(qi,pi−2)とその1画素隣の階調値D(qi,pi−1)の階調差を算出する(S212)。ここで、設定値FX1と設定値FX2の関係は、(設定値FX1)>(設定値FX2)である。Dsub3が設定値FX2未満の場合、プロファイル開始位置決定部406は、(qi,pi)を有効濃度プロファイルの開始位置に設定し、サブルーチンから抜ける(S214)。
【0084】
図10は、累積面積算出処理部412における有効濃度プロファイルD(qi,pi)〜D(qi,pn)の累積面積算出処理(S126)、累積面積判定部414における累積面積判定処理(S128)、および分散決定部156における分散決定処理(S130)の手順の詳細例を示すフローチャートである。
【0085】
最初に、累積面積算出処理部412は、式(8)に従って、D(qi,pi)とD(qi,pi+1)間の面積S(i)を算出する(S300)(図7(C)も参照)。
【数8】
【0086】
次に、累積面積判定部414は、式(9)に従って、Ssigma とS(i)の差S(ri)を算出する(S302)。
【数9】
【0087】
次に、累積面積判定部414は、第1の累積面積判定処理を行なう(S304)。この結果を受けて、分散決定部156は、累積面積判定部414にて算出されたS(ri)がS(ri)=0の場合、(qi,pi+1)を分散σに決定する(S306)。
【0088】
一方、S(ri)≠0の場合、累積面積判定部414は、第2の累積面積判定処理を行なう(S310)。そして、算出したS(ri)がS(ri)>0の場合、累積面積は設定値に満たしていないので、累積面積判定部414は、iに“1”を加算し(S312)、式(10)に従って、D(qi,pi)とD(qi,pi+2)間の面積S(i+1)を算出する。
【数10】
【0089】
そして、累積面積判定部414は、S(ri)の場合と同様に、式(11)に従って、Ssigma とS(i+1)の差S(ri+1)を算出する。
【0090】
【数11】
算出したS(ri+1)がS(ri+1)<0であれば、累積面積がSsigma となる座標(qi,px)が(qi,pi+1)と(qi,pi+2)間に存在することになり、式(12)の関係が成立する。ただし、D(qi,px)は、式(13)で表される。
【数12】
【数13】
【0091】
式(12)をpxについて算出すると、以下の式(14)が得られる(S314)。
【数14】
【0092】
この結果を受けて、分散決定部156は、累積面積判定部414によって設定値と等しくなったと判定された位置pxをガウス関数の分散σとして決定し、データ格納部300に蓄える(S316)。
【0093】
以上説明したように、第1実施形態の撮像画像処理部110の処理によれば、分散算出処理部150にて、撮像画像の濃度プロファイルを直接抽出してガウスフィルタの分散σを算出しているので、処理対象画像に対して実際の撮像画像の暈けに近くなり、ガウスフィルタ処理部190にてガウスフィルタ処理による暈かし処理を行なうと高精度な暈かし処理を行なうことが可能となる。
【0094】
また、画像全体の各画素を処理対象とするのではなく、テストパッチ部分という必要な部分を対象として抽出された濃度プロファイルに基づいて分散を求めるので、画像全体の各画素を処理対象として分散を求める手法(たとえば特開平5−225388号の手法)よりも、処理時間が掛からない。
【0095】
また、画像の全領域に亘って暈かし処理の精度を向上させる(全領域の焦点状態を擬似的に揃える精度を高める)場合であっても、画像中の複数位置についてテストパッチ部分を対象として分散を求め、その位置ごとにそれぞれの位置の分散を利用してフィルタリング処理(前例ではガウスフィルタ処理)を施すだけでよく、特開2001−319221号のように、フィルタサイズとフィルタ行列の値といった2つのパラメータを正確に決定する必要はなく、暈かし処理のためのフィルタリング処理も簡単なものとなる。
【0096】
なお、上記第1実施形態では、縦方向(y;副走査方向)に走査して濃度プロファイルを抽出するようにしていたが、その方向は必ずしも縦方向に限らない。たとえば、横方向(x;主走査方向)でもよいし、斜め方向でもかまわない。
【0097】
図11は、画像検査装置5の第2実施形態を示すブロック図である。分散算出処理部150が、濃度プロファイル抽出演算処理部152と分散決定部156との間に濃度プロファイル抽出数判定部154を備えている点と、分散決定部156にて決定された2点以上の分散σに対して補間処理を行なう補間処理部158を備えている点とが、第1実施形態の構成と異なる。
【0098】
この第2実施形態の分散算出処理部150においては、濃度プロファイル抽出演算処理部152は、2個以上の濃度プロファイルをある一定方向(本例では縦方向)に抽出し、それぞれについて有効濃度プロファイルの開始位置を決定する。分散決定部156は、2個以上の濃度プロファイルのそれぞれについて、ガウス関数の分散σを決定する。そして、補間処理部158は、2個以上の濃度プロファイル抽出からそれぞれ算出された分散σ1、分散σ2,…,分散σnを補間処理する。これらの結果を受けて、ガウスフィルタ処理部190は、画像の全座標(x,y)に対して、より高精度なガウスフィルタ処理を適用できる暈かし処理を行なう。
【0099】
図12は、第2実施形態の濃度プロファイル抽出演算処理部152の作用を説明する図である。ここで、図12(A)は、濃度プロファイル抽出部402の作用を説明する図であって、濃度プロファイルを抽出する部分と方向を示す図である。また、図12(B)は、図12(A)に例示した抽出方向に対する濃度プロファイルの一例を示す図、図12(C)は、図12(B)に例示した抽出方向で有効濃度プロファイルを抽出した一例を示す図である。
【0100】
この第2実施形態における分散算出処理部150の基本的な作用は、図5に示したものと同じであり、複数位置のテストパッチ部分の濃度プロファイルを抽出する点が異なるだけである。ただし、この第2実施形態では、抽出開始のy座標値が変わった場合、濃度プロファイルも変化するが、抽出開始のx座標値が変わっても、濃度プロファイルの変化はないものと仮定する。それにより、抽出開始のx座標に対しては、任意の1点xiについて考えればよいものとする。
【0101】
たとえば、図12(A)に示すように、濃度プロファイル抽出演算処理部152は、(a),(b),(c)の3部分を対象として、抽出開始座標をそれぞれ(xi,y1),(xi,y2),(xi,y3)とする。つまり、本例では、(a),(b),(c)の3部分について濃度プロファイルの算出処理や分散σの決定処理(S112〜S130)を行なう。一方、(xi,y4),(xi,y5)の2つは、濃度プロファイルの算出処理や分散σvの決定処理(S112〜S130)の対象外とする。(a),(b),(c)の3部分をそれぞれ抽出した縦方向の濃度プロファイルの一例を図12(B)に、有効濃度プロファイルと算出した分散σv1,分散σv2,分散σv3を図12(C)に示す。
【0102】
図13は、補間処理部158の作用を説明する図である。補間処理部158は、2点以上に亘って算出された分散σviの補間処理を行なう。分散σvと濃度プロファイル抽出開始のy座標を図13に示す。抽出開始のy座標がy1(抽出部分(a))のときは分散σv1、y2(抽出部分(b))のときは分散σv2、y3(抽出部分(c))のときは分散σv3とする。補間処理部158は、補間直線で示すように1次式で、(y1,分散σv1),(y2,分散σv2),(y3,分散σv3)の補間処理を行なうことで、たとえば図12(A)にて示した処理対象外の2箇所のテストパッチ部分について(y4,分散σv4),(y5,分散σv5)を求めるなど、画像の全座標(x,y)と分散σvの関係を算出する。なお、1次式で補間できない場合、多項式による補間を行なってもよい。
【0103】
図14は、第2実施形態の撮像画像処理部110における処理手順を示すフローチャートである。撮影開始の命令が発行された後、前処理を行なうまでの手順は第1実施形態と同じである(S100〜S108)。
【0104】
前処理が終わると、分散算出処理部150の濃度プロファイル抽出演算処理部152は先ず、濃度プロファイル抽出回数が予め定められている設定値FX10を超えるか否かを判定する(S110)。なお、この例では、(a),(b),(c)の3部分についてステップS112〜S130の処理を行なうため、設定値FX10を“3”にする。
【0105】
(濃度プロファイル抽出回数)<(設定値FX10)の場合、濃度プロファイル抽出演算処理部152は、濃度プロファイルの抽出(S112)、定数減算処理(S114)、有効濃度プロファイル開始位置決定処理(S120)、有効濃度プロファイルの全面積算出処理(S122)、設定値算出処理(S124)、有効濃度プロファイルの累積面積算出処理(S126)、累積面積の判定処理(S128)を行ない、縦方向のガウス関数の分散σviを決定し(S130)、濃度プロファイル抽出回数に“1”を加算し(S132)、ステップS110に戻る。これにより、図12(B)に示すように、(a),(b),(c)の3部分をそれぞれ縦方向に抽出した濃度プロファイルが取得され、図12(C)に示すように、縦方向についての有効濃度プロファイルと分散σv1,分散σv2,分散σv3が取得される。
【0106】
(濃度プロファイル抽出回数)≧(設定値FX1)の場合、分散算出処理部150の補間処理部158は、図13に示すように、2点以上算出した分散σviの補間処理を行ない(S134)、画像の全座標(x,y)と分散σvの関係を算出する(S136)。
【0107】
次に、ガウスフィルタ処理部190やガウスフィルタ処理部214は、処理対象画像の全座標(x,y)に対して、ステップS136で決定した分散σvをガウスフィルタに適用してガウスフィルタ処理を行なう(S170)。
【0108】
以上説明したように、第2実施形態の撮像画像処理部110の処理によれば、分散算出処理部150にて、3個の濃度プロファイル抽出からガウスフィルタの分散σ1,分散σ2,分散σ3をそれぞれ算出して補間処理を行ない、処理対象画像の全画素(x,y)に対するガウスフィルタの分散σvを算出するようにしたので、第1実施形態の構成よりも、処理時間を削減することができる。
【0109】
すなわち、第1実施形態では、画像の全領域に亘って暈かし処理の精度を向上させる(全領域の焦点状態を擬似的に揃える精度を高める)には、濃度プロファイルの算出処理や分散σvの決定処理(S112〜S130)を複数位置のテストパッチにて個別に行なう必要があるので、その分だけ処理時間が掛かることになるのに対して、第2実施形態では、濃度プロファイルの算出処理や分散σvの決定処理(S112〜S130)の対象となるテストパッチの数を削減しこの削減分を補間処理にて求めるようにしたので、濃度プロファイルの算出処理や分散σvの決定処理の対象となるテストパッチの数を削減した分だけ、トータルの処理時間を削減することができる。
【0110】
なお、上記第2実施形態では、縦方向(y;副走査方向)に走査して濃度プロファイルを抽出するようにしていたが、その方向は必ずしも縦方向に限らない。たとえば、横方向(x;主走査方向)でもよいし、斜め方向でもかまわない。
【0111】
図15は、画像検査装置5の第3実施形態を示すブロック図である。この第3実施形態は、撮像画像処理部110が、撮像画像の縦方向(副走査方向)に上述したと同様の濃度プロファイル抽出処理から分散決定処理まで(S112〜S130)を行なう第1の分散算出処理部150と、撮像画像の横方向(主走査方向)に上述したと同様の濃度プロファイル抽出処理から分散決定処理まで(S112〜S130)を行なう第2の分散算出処理部170とを備えている点において、第2実施形態の構成と異なる。第2の分散算出処理部170内の構成要素は第1の分散算出処理部150内の構成要素と同じである。
【0112】
この第3実施形態の分散算出処理部150,170においては、先ず濃度プロファイル抽出演算処理部152は、2個以上の濃度プロファイルを“縦方向”に抽出し、それぞれについて有効濃度プロファイルの開始位置を決定する。そして、補間処理部158は、2個以上の縦方向の濃度プロファイル抽出からそれぞれ算出された分散σv1,分散σv2,…,分散σvnを補間処理する。一方、濃度プロファイル抽出演算処理部172は、2個以上の濃度プロファイルを“横方向”に抽出し、それぞれについて有効濃度プロファイルの開始位置を決定する。そして、補間処理部178は、2個以上の横方向の濃度プロファイル抽出からそれぞれ算出された分散σh1,分散σh2,…,分散σhnを補間処理する。これらの結果を受けて、ガウスフィルタ処理部190は、画像の全座標(x,y)に対してガウスフィルタ処理を適用する。
【0113】
つまり、この第3実施形態では、縦方向と横方向に対して2個以上の濃度プロファイル抽出を行ない、縦方向の濃度プロファイル抽出から算出した分散σviと、横方向の濃度プロファイル抽出から算出した分散σhiを用いて補間処理することで、第2実施形態よりも高精度なガウスフィルタ処理を適用した暈かし処理を行なう。
【0114】
図16は、第3実施形態の濃度プロファイル抽出演算処理部152,172の作用を説明する図である。ここで、図16(A)は、濃度プロファイル抽出部402の作用を説明する図であって、濃度プロファイルを抽出する部分と方向を示す図である。また、図16(B)は、図16(A)に例示した抽出方向に対する濃度プロファイルの一例を示す図、図16(C)は、図16(B)に例示した抽出方向で有効濃度プロファイルを抽出した一例を示す図である。
【0115】
この第3実施形態における分散算出処理部150,170の基本的な作用は、図12に示したものと同じである。異なるのは、第2実施形態が、複数の濃度プロファイルを“縦方向”に抽出するのに対して、この第3実施形態は、複数の濃度プロファイルを、“縦方向と横方向”とにそれぞれ別個に抽出する点に特徴を有する。
【0116】
また、この第3実施形態では、濃度プロファイル抽出演算処理部152において、複数の濃度プロファイルを“縦方向”に抽出するに際しては、第2実施形態と同様に、抽出開始のy座標値が変わった場合には縦方向の濃度プロファイルも変化するが、抽出開始のx座標値が変わっても、縦方向の濃度プロファイルの変化はないものと仮定し、抽出開始のx座標に対しては、任意の1点xiについて考えればよいものとする(図12を参照)。
【0117】
一方、図16(A)に示すように、濃度プロファイル抽出演算処理部172において、複数の濃度プロファイルを“横方向”に抽出するに際しては、抽出開始のy座標値が変わった場合横方向の濃度プロファイルも変化するが、抽出開始のx座標値が変わっても、横方向の濃度プロファイルの変化はないものと仮定し、縦方向についてと同様に、抽出開始のx座標に対しては、任意の1点xiについて考えればよいものとする。
【0118】
たとえば、濃度プロファイル抽出演算処理部172は、(a),(b),(c)の3部分(縦方向の対象部分と同じでよい)を対象として、抽出開始座標をそれぞれ(xi,y1),(xi,y2),(xi,y3)とする。つまり、“横方向”についても、縦方向の処理(S112〜S130)と同様に、(a),(b),(c)の3部分について濃度プロファイルの算出処理や分散σhの決定処理を行なう。ここでも、(xi,y4),(xi,y5)の2つは、濃度プロファイルの算出処理や分散σhの決定処理の対象外とする。(a),(b),(c)の3部分をそれぞれ抽出した横方向の濃度プロファイルの一例を図16(B)に、有効濃度プロファイルと算出した分散σh1,分散σh2,分散σh3を図16(C)に示す。
【0119】
図17は、第3実施形態の補間処理部158,178の作用を説明する図である。補間処理部158,178は、第2実施形態と同様に、2点以上に亘って算出された分散σiの補間処理を行なう。ただし、第3実施形態では、縦方向についての分散σviが分散決定部156にて求められ、横方向についての分散σhiが分散決定部176にて求められているので、補間処理部158,178は、それぞれの方向について補間処理を別個に行なう。縦方向についての分散σvと濃度プロファイル抽出開始のy座標を図17(A)に示す。ここで、図17(A)に示したものは、縦方向についてのみ処理する第2実施形態の図13と同じであるのはいうまでもない。補間処理部158が行なう縦方向についての補間処理は、図13についての説明と同様であるので説明を割愛する。
【0120】
横方向についての分散σhと濃度プロファイル抽出開始のy座標を図17(B)に示す。抽出開始のy座標がy1(抽出部分(a))のときは分散σh1、y2(抽出部分(b))のときは分散σh2、y3(抽出部分(c))のときは分散σh3とする。補間処理部178は、補間直線で示すように1次式で、(y1,分散σh1),(y2,分散σh2),(y3,分散σh3)を1次式で補間処理を行なうことで、たとえば図16(A)にて示した処理対象外の2箇所のテストパッチ部分について(y4,分散σh4),(y5,分散σh5)を求めるなど、画像の全座標(x,y)と分散σhの関係を算出する。なお、縦方向と同様に、1次式で補間できない場合、多項式による補間を行なってもよい。
【0121】
図18は、第3実施形態の撮像画像処理部110における処理手順を示すフローチャートである。撮影開始の命令が発行された後、前処理を行なうまでの手順は第1実施形態と同じである(S100〜S108)。
【0122】
前処理が終わると、縦方向についての機能部分である分散算出処理部150の濃度プロファイル抽出演算処理部152は、第2実施形態の処理手順(図14)と同様に、縦方向濃度プロファイル抽出回数判定処理(S110)、縦方向の濃度プロファイルの抽出(S112)、定数減算処理(S114)、有効濃度プロファイル開始位置決定処理(S120)、有効濃度プロファイルの全面積算出処理(S122)、設定値算出処理(S124)、有効濃度プロファイルの累積面積算出処理(S126)、累積面積の判定処理(S128)を行ない、縦方向のガウス関数の分散σviを決定し(S130)、濃度プロファイル抽出回数に“1”を加算し(S132)、ステップS110に戻る。
【0123】
これにより、図12(B)に示すように、(a),(b),(c)の3部分をそれぞれ縦方向に抽出した濃度プロファイルが取得され、図12(C)に示すように、縦方向についての有効濃度プロファイルと分散σv1,分散σv2,分散σv3が取得される。
【0124】
次に、分散算出処理部150の補間処理部158は、図13に示すように、縦方向について2点以上算出した分散σviの補間処理を行ない(S134)、画像の全座標(x,y)と縦方向分散σvの関係を算出する(S136)。
【0125】
以上のようにして分散算出処理部150にて縦方向についての処理が完了すると、横方向についての機能部分である分散算出処理部170の濃度プロファイル抽出演算処理部172は、濃度プロファイル抽出演算処理部152における処理と同様にして、横方向濃度プロファイル抽出回数判定処理(S140)、縦方向の濃度プロファイルの抽出(S142)、定数減算処理(S144)、有効濃度プロファイル開始位置決定処理(S150)、有効濃度プロファイルの全面積算出処理(S152)、設定値算出処理(S154)、有効濃度プロファイルの累積面積算出処理(S156)、累積面積の判定処理(S158)を行ない、横方向のガウス関数の分散σhiを決定し(S160)、濃度プロファイル抽出回数に“1”を加算し(S162)、ステップS140に戻る。
【0126】
これにより、図16(B)に示すように、(a),(b),(c)の3部分をそれぞれ横方向に抽出した濃度プロファイルが取得され、図16(C)に示すように、横方向についての有効濃度プロファイルと分散σh1,分散σh2,分散σh3が取得される。
【0127】
次に、分散算出処理部170の補間処理部178は、図17に示すように、横方向について2点以上算出した分散σhiの補間処理を行ない(S164)、画像の全座標(x,y)と横方向分散σhの関係を算出する(S166)。
【0128】
次に、ガウスフィルタ処理部190は、処理対象画像の全座標(x,y)に対して、縦方向と横方向のそれぞれについてガウスフィルタ処理を行なう(S170)。すなわち、先ず、処理対象画像の全座標(x,y)に対して、ステップS136で決定した縦方向分散σvをガウスフィルタに適用して縦方向に対するガウスフィルタ処理を行なう(S172)。さらに、処理対象画像の全座標(x,y)に対して、ステップS166で決定した横方向分散σhをガウスフィルタに適用して横方向に対するガウスフィルタ処理を行なう(S174)。
【0129】
以上説明したように、第3実施形態の撮像画像処理部110の処理によれば、分散算出処理部150にて、3個の濃度プロファイル抽出から縦方向のガウスフィルタ分散σv1,分散σv2,分散σv3と、横方向のガウスフィルタ分散σh1,分散σh2,分散σh3をそれぞれ算出して縦方向と横方向に独立に補間処理を行ない、処理対象画像の全画素(x,y)に対するガウスフィルタの縦方向分散σvと横方向分散σhをそれぞれ算出するようにしたので、第2実施形態と同様に処理時間を削減する効果が得られることに加えて、より高精度な暈かし処理を行なうことが可能となる。この結果、位置合わせおよび正規化相互相関による画像欠陥検出の際に、基準画像と撮像画像との位置合わせ精度が向上し、画像欠陥検出精度の良好な画像検査装置を実現することができる。
【0130】
なお、上記第3実施形態では、最初に縦方向(y;副走査方向)について濃度プロファイルの算出処理や分散σの決定処理(S112〜S130)を行ない、その後、横縦方向(x;主走査方向)について濃度プロファイルの算出処理や分散σの決定処理(S142〜S160)を行なうようにしていたが、これとは逆に、横方向の処理を行なった後に縦方向の処理を行なうようにしてもよい。また、縦方向と横方向の組合せに限らず、斜め方向の処理を組み合わせてもよい。この場合、縦方向および横方向の何れか一方と斜め方向の組合せにしてもよいし、これらの全てを組み合わせて、縦方向、横方向、および斜め方向の各々について、濃度プロファイルの算出処理や分散σの決定処理を行なうようにしてもよい。勿論、処理順序は不問である。
【0131】
図19は、CPUやメモリを利用して、ソフトウェア的に画像検査装置5を構成する、すなわち電子計算機(コンピュータ)を用いて構成する場合のハードウェア構成の一例を示した図である。
【0132】
画像検査装置5を構成するコンピュータシステム900は、CPU902、ROM(Read Only Memory)904、RAM906、および通信I/F(インターフェース)908を備える。RAM906は、撮像画像データを格納する領域を含んでいる。
【0133】
また、たとえばメモリ読出部907、ハードディスク装置914、フレキシブルディスク(FD)ドライブ916、あるいはCD−ROM(Compact Disk ROM)ドライブ918などの、記憶媒体からデータを読み出したり記録したりするための記録・読取装置を備えてもよい。画像データは、データバスを通じて各ハードウェア間をやり取りされる。
【0134】
ハードディスク装置914、FDドライブ916、あるいはCD−ROMドライブ918は、たとえば、CPU902にソフトウェア処理をさせるためのプログラムデータを登録するなどのために利用される。また、ハードディスク装置914は、処理対象画像データを格納する領域を含んでいる。
【0135】
通信I/F908は、インターネットなどの通信網との間の通信データの受け渡しを仲介する。またコンピュータシステム900は、カメラヘッド102との間のインターフェース(IOTコントローラ)の機能をなすカメラI/F部930と、プリントエンジン570との間のインターフェースの機能をなすIOTコントローラ932とを備える。カメラI/F部930は、カメラヘッド102からの出力データをアナログデジタル変換してRAM906もしくはハードディスク装置914へ格納する。
【0136】
なお、上記実施形態で示した撮像画像処理部110や画像画像検査処理部200の各機能部分の全ての処理をソフトウェアで行なうのではなく、これら機能部分の一部をハードウェアにて処理回路940として設けてもよい。
【0137】
このような構成のコンピュータシステム900は、上記実施形態に示した画像検査装置5の基本的な構成および動作と同様とすることができる。また、上述した処理をコンピュータに実行させるプログラムは、CD−ROM922などの記録媒体を通じて配布される。あるいは、プログラムは、CD−ROM922ではなくFD920に格納されてもよい。また、MOドライブを設け、MOに前記プログラムを格納してもよく、またフラッシュメモリなどの不揮発性の半導体メモリカード924など、その他の記録媒体に前記プログラムを格納してもよい。
【0138】
さらに、他のサーバなどからインターネットなどの通信網を経由して前記プログラムをダウンロードして取得したり、あるいは更新したりしてもよい。なお、記録媒体としては、FD920やCD−ROM922などの他にも、DVDなどの光学記録媒体、MDなどの磁気記録媒体、PDなどの光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、ICカードやミニチュアーカードなどの半導体メモリを用いることができる。
【0139】
記録媒体の一例としてのFD920やCD−ROM922などには、上記実施形態で説明した画像検査装置5における処理の一部または全ての機能を格納することができる。したがって、以下のプログラムや当該プログラムを格納した記憶媒体を提供することができる。たとえば、画像読取部100用のプログラム、すなわちRAM906などにインストールされるソフトウェアは、上記実施形態に示された画像読取部100と同様に、前処理部130(シェーディング補正部132や幾何変換部134)、分散算出処理部150,170(内部の濃度プロファイル抽出演算処理部152,172、濃度プロファイル抽出数判定部154,174、補間処理部158,178など)、あるいはガウスフィルタ処理部190,214の各機能部をソフトウェアとして備える。
【0140】
また、基準画像処理部210や画像検査部230用のプログラム、すなわちRAM906などにインストールされるソフトウェアは、上記実施形態に示された基準画像処理部210や画像検査部230と同様に、解像度変換部212、ガウスフィルタ処理部214、位置合わせ処理部232、あるいは欠陥異常検出処理部234などの各機能部をソフトウェアとして備える。
【0141】
このようなソフトウェアは、たとえばプリンタドライバやディスプレイドライバ、画像処理ソフトウェア、あるいは画像検査用アプリケーションソフトなどとして、CD−ROMやFDなどの可搬型の記憶媒体に格納され、あるいはネットワークを介して配布されてもよい。
【0142】
そしてたとえば画像読取部100や画像検査装置5をコンピュータにより構成する場合、CD−ROMドライブ918は、CD−ROM922からデータまたはプログラムを読み取ってCPU902に渡す。そしてソフトウェアはCD−ROM922からハードディスク装置914にインストールされる。ハードディスク装置914は、FDドライブ916またはCD−ROMドライブ918によって読み出されたデータまたはプログラムや、CPU902がプログラムを実行することにより作成されたデータを記憶するとともに、記憶したデータまたはプログラムを読み取ってCPU902に渡す。
【0143】
ハードディスク装置914に格納されたソフトウェアは、RAM906に読み出された後にCPU902により実行される。たとえばCPU902は、記録媒体の一例であるROM904およびRAM906に格納されたプログラムに基づいて上記の処理を実行することにより、暈け具合を判定するためのテストパッチを撮像した撮像画像から濃度プロファイルを抽出し、この抽出した濃度プロファイルに基づいてガウス関数の分散σを決定し、決定された分散σを参照してガウスフィルタ処理をすることで、高精度な暈かし処理を行なうための機能をソフトウェア的に実現することができる。これにより、基準画像と撮像画像との位置合わせ精度や画像欠陥検出精度をソフトウェア的に向上させることができる。
【0144】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0145】
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0146】
たとえば、上記実施形態では、分散算出処理部にて求められた分散に基づいて(参照して)ガウスフィルタ処理部にてガウスフィルタを適用していたが、フィルタリング処理はガウスフィルタ以外のものを適用してもかまわない。また、処理方向は、暈かし方向だけでなく鮮鋭度アップの方向の適用でもかまわない。ガウスフィルタ以外のものを適用する場合においても、分散算出処理部にて求められた分散を参照して、フィルタサイズやフィルタ行列の値などのフィルタのパラメータを変更することで、フィルタ特性を適宜切り替えるものであればよい。
【0147】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、撮像画像のテストパッチ部分の濃度プロファイルを抽出してガウスフィルタの分散を算出しているので、処理対象画像に対して実際の撮像画像の暈けに近くなり、所定のフィルタリング処理により暈かし処理を行なうと高精度な暈かし処理を行なうことが可能となる。
【0148】
また、画像全体の各画素を処理対象とするのではなく、テストパッチ部分という必要な部分を対象として抽出された濃度プロファイルに基づいて分散を求めるので、画像全体の各画素を処理対象として分散を求める手法よりも、処理時間が掛からない。
【0149】
また、画像の全領域に亘って暈かし処理の精度を向上させる場合であっても、画像中の複数位置についてテストパッチ部分を対象として分散を求め、その位置ごとに各位置の分散を利用してフィルタリング処理を施すだけでよく暈かし処理のためのフィルタリング処理も簡単なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像処理装置の一実施形態を備えた画像検査装置を示す概略図である。
【図2】図1に示した画像検査装置の詳細(第1実施形態)を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態の濃度プロファイル抽出演算処理部の詳細を示すブロック図である。
【図4】幾何変換部の作用を説明する図である。
【図5】第1実施形態の濃度プロファイル抽出演算処理部の濃度プロファイル抽出部の作用を説明する図である。
【図6】濃度プロファイル抽出演算処理部およびプロファイル開始位置決定部の作用を説明する図である。
【図7】濃度プロファイル抽出演算処理部、設定値算出処理部、および累積面積算出処理部の作用を説明する図である。
【図8】第1実施形態の撮像画像処理部における処理手順を示すフローチャートである。
【図9】プロファイル開始位置決定部における作用の詳細を説明する図である。
【図10】累積面積算出処理部、累積面積判定部、および分散決定部における処理手順の詳細例を示すフローチャートである。
【図11】画像検査装置の第2実施形態を示すブロック図である。
【図12】第2実施形態の濃度プロファイル抽出演算処理部の作用を説明する図である。
【図13】第2実施形態の補間処理部の作用を説明する図である。
【図14】第2実施形態の撮像画像処理部における処理手順を示すフローチャートである。
【図15】画像検査装置の第3実施形態を示すブロック図である。
【図16】第3実施形態の濃度プロファイル抽出演算処理部の作用を説明する図である。
【図17】第3実施形態の補間処理部の作用を説明する図である。
【図18】第3実施形態の撮像画像処理部における処理手順を示すフローチャートである。
【図19】電子計算機を用いて画像検査装置を構成する場合のハードウェア構成の一例を示した図である。
【符号の説明】
5…画像検査装置、100…画像読取部、102…カメラヘッド、104…撮影レンズ、106…CCD撮像素子、110…撮像画像処理部、130…前処理部、132…シェーディング補正部、134…幾何変換部、150…分散算出処理部、152…濃度プロファイル抽出演算処理部、154…濃度プロファイル抽出数判定部、156…分散決定部、158…補間処理部、170…分散算出処理部、172…濃度プロファイル抽出演算処理部、174…濃度プロファイル抽出数判定部、176…ガウスフィルタσ算出部、178…補間処理部、190…ガウスフィルタ処理部、200…画像画像検査処理部、210…基準画像処理部、212…解像度変換部、214…ガウスフィルタ処理部、230…画像検査部、232…位置合わせ処理部、234…欠陥異常検出処理部、300…データ格納部、320…制御部、402…濃度プロファイル抽出部、404…下地除去処理部、406…プロファイル開始位置決定部、408…全面積算出処理部、410…設定値算出処理部、412…累積面積算出処理部、414…累積面積判定部、500…プリンタ部、570…プリントエンジン
【発明の属する技術分野】
本発明は、処理対象画像に対して暈かし処理を施す画像処理装置、この画像処理装置の仕組みを利用して、所定の撮像装置により読み取った画像と基準画像とを比較することにより画像検査をする装置、並びに電子計算機を利用してソフトウェアで前記装置を実現するために好適なプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
原稿の画像を読み取る画像読取装置、いわゆるスキャナ装置が種々の分野で利用されている。たとえば単体で使用されることもあれば、複写装置などに組み込まれて使用されることもある。あるいは、読み取った画像と検査用の基準画像とを比較して画像欠陥などを検査する画像検査装置に利用されることもある。
【0003】
画像読取装置としては、たとえば原稿載置台としてのプラテンガラスの上に原稿を置き、その下をラインセンサが走査して読み取るフラットベッド型イメージスキャナ、使用者がイメージセンサを手で走査して原稿を読み取るハンディ型イメージスキャナ、あるいは、原稿と撮像デバイス(センサ)との間にある程度の距離を置いて、原稿を間接的に読み取る間接型イメージスキャナ(非接触型イメージスキャナともいわれる)などがある。間接型イメージスキャナは、読み取る対象物に大きさや平面度の制約が少ないという利点を有する。
【0004】
間接型イメージスキャナの一例としては、たとえば、斜め上方からエリアセンサなどの撮像デバイスで印刷画像を読み取って正面から見た画像に変換する方式のものが提案されている。この方式では、斜め上方から撮影するために、画像が略台形状に歪む(画像の幾何学歪みという)問題や、原稿の手前と奥とで焦点がずれて画像のボケ度合いに場所による差、つまりボケ特性の場所依存性が生じ、画質が低下する問題がある。
【0005】
この幾何学歪みやボケ特性の場所依存性を補正するために、一般的には、平均値フィルタやガウスフィルタが用いられる。たとえば特開2001−319221号では、幾何学歪みやボケ特性の場所依存性を補正するために、撮像画像の濃度変化に対して、フィルタサイズを変更したフィルタリング処理が提案されている。この方式では、斜めから撮影したマスタパターン画像を、所定領域に対して評価値を算出し、その評価値に応じてフィルタサイズを変更して、処理領域に対してフィルタリング処理を行なうことにより、全領域の焦点状態を擬似的に揃えた状態を作り出している。
【0006】
また、特開平5−225388号には、文字認識装置や統合オフィスオートメーション機器において、画像輪郭のぼやけやエッジ部鮮明度の低下を起こさずに、ノイズを除去する手法が提案されている。この手法では、フィルタ各々は、ガウスフィルタの特性を持ち、各画素についてガウスフィルタの分散σを算出している。各画素に対する分散σは、周辺画素の画像濃度に定数を加えたものの変化分に反比例することを特徴としている。それにより、ノイズは除去し、線幅を細くした画像処理が可能となり、精度の高い文字認識ができるようになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開2001−319221号のような方法では、フィルタリング処理は注目画素と周辺画素の濃度平均による平均値フィルタを用いており、より高い精度で焦点状態を揃えるためには、フィルタサイズとフィルタ行列の値といった2つのパラメータをより正確に決定する必要があり、処理が複雑になるといった問題が存在する。
【0008】
一方、特開平5−225388号の方法では、ガウスフィルタの分散σを計算するという比較的単純な手法を利用してはいるが、実際には、各画素に対し多くの演算処理によってガウスフィルタの分散σを計算しているため、全画素に対して処理を行なうには多大な時間が掛かるという問題がある。つまり、基本的処理は簡単であっても実処理時間が掛かるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、比較的単純な手法を採用しつつ実処理時間を低減することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、本発明の画像処理装置の仕組みを利用して撮像画像と基準画像とを比較することにより画像検査をする装置を提供することを目的とする。また、本発明は、電子計算機を利用してソフトウェアで画像処理装置や画像検査装置を実現するために好適なプログラムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係る画像処理装置は、画像の暈け量が測定可能なテストパッチが形成された原稿を所定の撮像装置により撮像して得た撮像画像に基づいて、撮像画像のテストパッチ部分の濃度プロファイルを求める濃度プロファイル抽出演算処理部と、濃度プロファイル抽出演算処理部が求めた濃度プロファイルに基づいて濃度プロファイルの分散(画像濃度の変化に依存した広がり)を求める分散決定部と、分散決定部により求められた分散に基づいて所定の処理対象画像に対してガウスフィルタを適用した処理を施すなど、予め定められたフィルタ処理を施すフィルタ処理部とを備えた。
【0012】
また従属項に記載された発明は、本発明に係る画像処理装置のさらなる有利な具体例を規定する。
【0013】
本発明に係る画像処理装置を利用して画像検査装置を構成する場合、フィルタ処理部の処理対象画像は、撮像装置により読み取られた撮像画像および検査用の基準画像のうちの少なくとも一方であればよい。撮像画像と検査用の基準画像とを比較することにより撮像画像の良否を検査する画像検査処理部は、フィルタ処理部によりフィルタ処理が施された処理済画像を利用して比較を行なうことで、撮像画像の良否を検査する。
【0014】
さらに、本発明に係るプログラムは、本発明に係る画像処理装置やこの画像処理装置を利用した画像検査装置を、電子計算機を用いてソフトウェアで実現するために好適なものである。なお、プログラムは、コンピュータ読取り可能な記憶媒体に格納されて提供されてもよいし、有線あるいは無線による通信手段を介して配信されてもよい。
【0015】
【作用】
上記構成の画像処理装置においては、画像の暈け量が測定可能なテストパッチが形成された原稿を用意し、これを撮像装置で読み取る。濃度プロファイル抽出演算処理部は、この撮像画像のテストパッチ部分の濃度プロファイルを求める。つまり、画像全体の各画素に対してではなく、テストパッチ部分という必要な部分を対象とし濃度プロファイル抽出処理をする。
【0016】
また、分散決定部は、濃度プロファイル抽出演算処理部が求めた濃度プロファイルに基づいて濃度プロファイルのガウスフィルタの分散を求める。ここで、分散決定部により求められた分散は、処理対象としたテストパッチの存在している画像位置における暈け具合を示すことになる。この分散を求める処理は、比較的単純な手法であるのはいうまでもない。
【0017】
フィルタ処理部は、分散決定部により求められた分散に基づいて、撮像画像や検査用の基準画像を処理対象画像としてフィルタ処理を施す。たとえば、求められた分散が表す暈け具合を補正するような鮮鋭度改善処理を撮像画像に適用してもよい。また、基準の暈け具合と一致するように鮮鋭度改善処理や平滑化処理を撮像画像に適用してもよい。こうすることで、たとえば画像全体に亘って焦点状態を擬似的に揃えた状態を作り出す。また、求められた分散が表す撮像画像の暈け具合と同じになるように、検査用の基準画像の鮮鋭度を低下させてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る画像処理装置の一実施形態を備えた画像検査装置を示す概略図である。ここで、図1(A)は、カメラヘッドの設置状態を示す図、図1(B)は、プリントエンジンの一例を示す図である。
【0020】
図1(A)に示すように、画像検査装置5は、画像読取装置の一例である画像読取部100、画像読取部100で読み取った画像に欠陥があるか否かを検査する画像検査処理部200、画像読取部100で読み取った画像や画像検査処理部200で検査用に使用する基準画像あるいはデータ処理中の中途データを格納するデータ格納部300、および画像読取部100で読み取られた画像を所定の記録媒体に出力するプリンタ部500を備えている。
【0021】
プリンタ部500は、排出口582および排紙トレイ584を有し、筐体内にはプリントエンジンが配されている。原稿設置台としての機能を有する排紙トレイ584は、原稿(印刷済みの用紙)Pと下地(ここでは排紙トレイの色)の判別ができるような色が付いている。
【0022】
画像読取部100は、用紙Pの画像を読み取るカメラヘッド102を有している。カメラヘッド102は、撮影レンズ104、CCD撮像素子106、および読取信号処理部108を有している。このカメラヘッド102は、図示しない支持部材により、排紙トレイ584上に排出されたPに対する撮影レンズ104の向きが調整可能に支持されかつ排出口582の上部に排紙トレイ584の全体を撮影範囲にできるように設置されており、画像を斜め上から撮影して撮像画像を取得する。
【0023】
プリンタ部500は、画像読取部100の各種機能とともに動作可能であって、画像検査装置5をデジタル印刷システムとして稼働させるためのラスタ出力スキャン(ROS;Raster Output Scanner)ベースのプリントエンジン570を備える。
【0024】
プリントエンジン570は、電子写真プロセスを利用して画像を所定の記録媒体に記録するものである。このプリントエンジン570は、クライアント端末から入力された印刷データに基づいて可視画像を所定の記録媒体上に形成する印刷装置(プリンタ)として機能するようになっている。
【0025】
すなわち、図1(B)に示すように、プリントエンジン570は、画像読取部100との間のインターフェース(IOTコントローラ)の機能を有するとともに、画像読取部100から出力された画像データD10に対してプリント出力用の所定の処理をするプリント出力処理部572と、光ビームを発するレーザ光源574と、プリント出力処理部572から出力されたデータに従ってレーザ光源574を制御すなわち変調するレーザ駆動部576と、レーザ光源574から発せられた光ビームを感光性部材579に向けて反射させるポリゴンミラー(回転多面鏡)578とを有する。
【0026】
プリント出力処理部572は、画像データD10に対して、周知技術に従って、複数好ましくは最低3つの分解色を表すデータを生成しレンダリング(ラスタデータに展開)する。たとえばデータD10が表すYCrCb表色系から最低3つ(好ましくは4つ)、たとえばCMY表色系あるいはCMYK表色系へのマッピングをし、プリント出力用に色分解されたラスタデータを生成する。またプリント出力処理部572は、このようなラスタデータ化の処理に際して、カラー画像のCMY成分を減色するアンダーカラー除去(UCR)、あるいは減色されたCMY成分を部分的にK成分と交換するグレー成分交換(GCR)をする。さらにプリント出力処理部572は、出力データ(CMYKなど)に応答して作成される出力画像のトナー像を調整するために、色分解の直線化または同様の処理をすることもある。
【0027】
この構成により、プリントエンジン570は、レーザ光源574が発生する光ビームをポリゴンミラー578上の複数の面で反射させて感光性部材579を露光し、スキャン走査によって感光性部材579上に潜像を形成する。潜像が形成されると、当該技術分野で公知の多数の方法のうち任意の方法に従って像を現像し、画像読取部100にて読み取られたカラー画像を可視像として出力する。なお、カラー画像を可視像として出力する際には、画像を表すデータは最低3つ(好ましくは4つ)の色分解データ(たとえばC,M,Y,Kなど)を含み、各色は別個の画像面として、または輝度−クロミナンス形式で処理される。
【0028】
図2は、図1に示した画像検査装置5の詳細(第1実施形態)を示すブロック図である。第1実施形態の画像検査装置5は、画像を撮影して撮像画像を取得する画像読取部100と画像検査処理部200とデータ格納部300と、画像検査装置5の各部を制御する制御部320とを備える。
【0029】
画像読取部100は、カメラヘッド102によって取得された撮像画像に対して所定の処理を施す撮像画像処理部110を備えている。撮像画像処理部110は、カメラヘッド102にて読み取られた撮像画像の照度むらやセンサ画素特性ばらつきを補正するシェーディング補正部132および撮影レンズの歪曲収差補正や幾何変換処理などの処理を行なう幾何変換部(透視変換部ともいう)134を有する前処理部130を備える。
【0030】
シェーディング補正部132が行なうシェーディング補正は、撮影領域の照度むらやCD撮像素子106の各画素の特性ばらつきなどを補正する処理である。たとえば、カメラヘッド102は、予め白紙を撮影して白基準DW[i,j]としてデータ格納部300に保存しておく。i,jは画素位置を表わす。次にシェーディング補正部132は、撮影画像D[i,j]に対し式(1)に基づき補正する。
【数1】
【0031】
ここで、“n”は、補正後のビット分解能で、8ビット分解能ならn=8となり、“0〜255”階調の値をとる。ここでは、全画素について白基準データを保持する方法を述べたが、たとえば簡易的には、撮影された画像全体のピーク値を白基準DWとする方法や、ラインごとのピーク値DW[j]を白基準とする方法などが適用可能である。
【0032】
幾何変換部134が行なう幾何変換処理とは、矩形状の原稿をカメラヘッド102により撮影して得た撮像画像の形状を元の矩形状に戻す処理である。たとえば、矩形である原稿を任意のチルト角で撮影すると、撮像画像は台形状に変形される。幾何変換部134は、この台形画像を元のように矩形状の画像に戻し、処理済の撮像画像をデータ格納部300に格納する。
【0033】
なお、カメラヘッド102により読み取られた撮像画像と検査用の基準画像との誤差をより小さくするための誤差補正を施す仕組みとして、たとえば本願出願人が特願2001−334163号にて提案したような補正係数算出部および画像補正処理部を設けてもよい。補正係数算出部および画像補正処理部は、カメラヘッド102により取得された撮像画像に対して、先鋭度を向上させるための強調処理(シャープネス処理)やノイズ除去処理を施す(詳細説明は割愛する)。
【0034】
また、撮像画像処理部110は、撮像画像内のテストパッチ部分から濃度プロファイルを抽出し、この抽出した濃度プロファイルに基づいてガウス関数の分散σを求める分散算出処理部150と、分散算出処理部150により求められた分散σに基づいて、処理対象画像である撮像画像に対してガウスフィルタ処理を行なうガウスフィルタ処理部190とを備える。
【0035】
分散算出処理部150は、カメラヘッド102により得られた撮像画像(幾何変換処理済みの撮像画像)をデータ格納部300から読み出し、この画像に対して、画像内のある一部から濃度プロファイルを抽出し、この抽出した部分に対して所定の演算処理を施す濃度プロファイル抽出演算処理部152と、濃度プロファイル抽出演算処理部152により処理されたデータに基づいてガウス関数の分散σを算出する分散決定部156とを有する。分散決定部156は、決定したσを一旦データ格納部300に格納する。
【0036】
ガウスフィルタ処理部190は、カメラヘッド102により得られた撮像画像(幾何変換処理済みの撮像画像)をデータ格納部300から読み出し、この画像に対して、分散決定部156により決定された分散σに基づいてガウスフィルタ処理を行なう。たとえば、求められた分散が表す暈け具合を補正するような鮮鋭度改善処理を撮像画像に適用したり、基準の暈け具合と一致するように鮮鋭度改善処理や平滑化処理(暈かし処理)を撮像画像に適用する。
【0037】
画像検査処理部200は、本願出願人が特願2001−334163号にて提案したように、データ格納部300に格納してある画像検査の基準となる基準画像(元画像データ)をカメラヘッド102にて取得された撮像画像と同じように解像度変換しかつ暈かし処理(平滑化処理)をすることで両画像を比較する際の誤差を少なくする基準画像処理部210と、基準画像処理部210から出力された基準画像に基づいて撮像画像の良否を検査する画像検査部230とを備える。
【0038】
基準画像処理部210は、データ格納部300から読み出した基準画像に対して、たとえば線形補間法などを用いて解像度変換処理を施す解像度変換部212と、解像度変換処理が施された基準画像に対して高周波成分を低減させる暈かし処理を施すガウスフィルタ処理部214とを有する。ガウスフィルタ処理部214は、解像度変換部212により解像度変換が施された基準画像に対して、分散決定部156により決定された分散σに基づいてガウスフィルタ処理を行なう。たとえば、求められた分散が表す撮像画像の暈け具合と同じになるように、検査用の基準画像の鮮鋭度を低下させる。
【0039】
図3は、第1実施形態の濃度プロファイル抽出演算処理部152の詳細を示すブロック図である。図示するように、濃度プロファイル抽出演算処理部152は、暈かし量が測定可能な原稿および原稿を斜め上方からカメラヘッド102により撮影して取得した入力画像もしくは入力画像を幾何変換部134で幾何補正した画像に対して画像内のある一部から濃度プロファイルを抽出する濃度プロファイル抽出部402を有する。
【0040】
また、濃度プロファイル抽出演算処理部152は、濃度プロファイル抽出部402で抽出した濃度プロファイルから予め定められた定数(原稿の下地部分に対応する)を減算する下地除去処理部404と、下地除去処理部404で算出した下地成分減算後の濃度プロファイルから実質的に有効な濃度プロファイル(以下有効濃度プロファイルともいう)の開始位置を決定するプロファイル開始位置決定部406と、有効濃度プロファイル部の全面積を算出する全面積算出処理部408とを有する。
【0041】
ここで、実質的に有効な濃度プロファイルとは、濃度プロファイル抽出部402が抽出した濃度プロファイルのうち、テストパッチと原稿の下地成分とで形成される濃度プロファイルの高濃度側と低濃度側との変化部分を意味する。
【0042】
さらに、濃度プロファイル抽出演算処理部152は、有効濃度プロファイルがガウス分布に従うものとして、全面積算出処理部408で算出した全面積から設定値Ssigma を算出する設定値算出処理部410と、有効濃度プロファイルの開始位置からの累積面積を算出する累積面積算出処理部412と、累積面積算出処理部412による累積面積が設定値Ssigma と等しくなったか否かを判定する、すなわち累積面積算出処理部412により算出された累積面積と設定値算出処理部410により算出された設定値Ssigma とが等しくなる位置を特定する累積面積判定部414とを有する。
【0043】
この濃度プロファイル抽出演算処理部152の後段に設けられている分散決定部156は、累積面積判定部414によって設定値Ssigma と等しくなったと判定された位置をガウス関数の分散σとして決定する。
【0044】
図4は、幾何変換部134の作用を説明する図である。ここで、図4(A)は、カメラヘッド102が取得する印刷画像の撮影状態を示している。カメラヘッド102が撮影対象とする原稿としては、このカメラヘッド102にて取得した画像の暈け量が測定可能なように、単一色(好ましくは白地原稿に対して黒色)の矩形状のテストパッチが多数配されている矩形状のものを使用する。
【0045】
本実施形態では、カメラヘッド102は、多数の矩形状のテストパッチが印刷された矩形状の原稿を任意のチルト角で撮影するので、カメラヘッド102により撮影された撮像画像は、図4(B)に示すように、台形画像に変形されて取得される。この台形画像を表す画像データは、一旦データ格納部300に蓄えられる。幾何変換部134は、図4(B)に示すような台形に変形した画像をデータ格納部300から読み出し、図4(C)に示すように、矩形状の画像に戻す。
【0046】
図5は、第1実施形態の濃度プロファイル抽出演算処理部152の濃度プロファイル抽出部402の作用を説明する図である。ここで、図5(A)は、幾何変換部134による幾何変換処理後の画像データから濃度プロファイルを抽出する部分を示す図、図5(B)は、1つのテストパッチについての濃度プロファイル抽出方向の一例を示す図、図5(C)は、図5(B)に例示した抽出方向に対する濃度プロファイルの一例を示す図である。
【0047】
濃度プロファイルの抽出に際しては、たとえば、横方向(主走査方向x)、縦方向(副走査方向y)、斜め方向の少なくとも一方向から濃度プロファイルの抽出を行なう。図5(B)に示した例では、画像の縦方向(副走査方向y)に行なう例を示している。
【0048】
濃度プロファイル抽出部402は、撮像画像に含まれる多数のテストパッチの何れか1つに着目して濃度プロファイルをn個抽出して、抽出開始の座標をp1、抽出終了の座標をpnとする。濃度階調値は“0〜255”の256段階の値をとり、“0”のときは白、“255”のときは黒を表し、階調値が増加するに従い黒色を強めていく。図5(C)では、図5(B)の(qi,p1)から(qi,pn)までを抽出した濃度プロファイルを表している。
【0049】
図5(C)において、階調値D(qi,pn)’の値は、原稿の下地部分を示すことになり、テストパッチ部分の濃度として有効な部分は、階調値D(qi,pn)’以上の部分となる。下地除去処理部404は、このテストパッチ部分の濃度として有効な部分を抽出する。また、濃度プロファイルとして実際に必要な情報(抽出すべき部分)は、原稿の黒色部から白色部(下地部)に変化する部分である。プロファイル開始位置決定部406は、この濃度プロファイルとして必要な部分(有効濃度プロファイル)を抽出する。
【0050】
図6は、濃度プロファイル抽出演算処理部152の下地除去処理部404およびプロファイル開始位置決定部406の作用を説明する図である。下地除去処理部404は、式(2)に示すように、濃度プロファイル抽出部402が抽出した濃度プロファイルの各々の階調値D(qi,p1)’,D(qi,p2)’,…,D(qi,pn)’から、(qi,pn)における階調値D(qi,pn)’を減じて、差分データD(qi,p1),D(qi,p2),…,D(qi,pn)を算出する。
【数2】
【0051】
差分データD(qi,p1),D(qi,p2),…,D(qi,pn)の濃度プロファイルを図6(A)に示す。この図6(A)に示す濃度プロファイルは、当然に、図5(C)に示す濃度プロファイルにおける階調値D(qi,pn)’以下の部分を除去したものとなる。なお、下地部分(qi,pn)が濃度プロファイル抽出終了位置となる。
【0052】
そして、濃度プロファイルとして必要な情報(抽出すべき部分)は、原稿の黒色部から白色部(下地部)に変化する部分であるので、プロファイル開始位置決定部406は、原稿の黒色部(つまりテストパッチ部分)から白色部(つまり下地部分)に変化する開始ポイントを、有効濃度プロファイル開始位置として特定する。
【0053】
図5(C)に示すように濃度プロファイル抽出処理を行ない、さらに図6(A)に示すように下地部分を除去した濃度プロファイルから、有効濃度プロファイルを抽出した結果を図6(B)に示す。この例では、有効濃度プロファイルは、(qi,pi)から(qi,pn)までの(n−i)個となる。
【0054】
図7は、濃度プロファイル抽出演算処理部152の全面積算出処理部408、設定値算出処理部410、および累積面積算出処理部412の作用を説明する図である。
【0055】
全面積算出処理部408は、有効濃度プロファイルD(qi,pi)〜D(qi,pn)の全面積算出を行なう。本実施形態では、式(3)に従って台形近似による面積算出を行なうことで全面積Sallを求める。有効濃度プロファイル部の全面積を算出した結果Sallの一例を図7(A)に示す。
【数3】
【0056】
本実施形態の設定値算出処理部410は、式(4)に示すように、全面積算出処理部408にて取得された全面積Sallの68.3%を設定値Ssigma とする設定値算出処理を行なう。有効濃度プロファイル部の設定値を算出した結果Ssigma の一例を図7(B)に示す。
【数4】
【0057】
累積面積算出処理部412は、設定値算出処理部410にて決定された有効濃度プロファイルの開始位置からの累積面積を算出する。有効濃度プロファイル部の累積面積を算出した結果の一例を図7(C)に示す。
【0058】
図8は、第1実施形態の撮像画像処理部110における処理手順を示すフローチャートである。第1実施形態の画像検査装置5においては、プリンタ部500が待機状態にあるとき、カメラヘッド102は制御部320の指示により、排紙トレイ584上を定期的に撮影し、その画像を出力する。
【0059】
制御部320は、基準画像の一例であるデータ格納部300に格納してある排紙トレイ584の画像とカメラヘッド102により取得された撮像画像とを比較し、原稿が排紙トレイ584上にあるか否かを判断し、原稿が排紙トレイ584上にある場合には画像検査可能のフラグをオフにしてそのまま待機状態を続ける一方、排紙トレイ584上に原稿がない場合には画像検査可能のフラグをオンにして待機状態を続ける。
【0060】
そして、制御部320は、待機状態においてプリントジョブを受け取ると、画像検査可能のフラグを判定する。そして、画像検査可能のフラグがオフの場合、制御部320は、プリントエンジン570に通常のプリント処理をさせ、待機状態へ戻る。一方、画像検査可能のフラグがオンの場合、制御部320は、プリントジョブのN枚目(最初は当然に1枚目)について、画像検査を以下のように実行する。すなわち、制御部320は、先ずN枚目(最初は当然に1枚目)のプリント処理をプリントエンジン570に開始させ、展開後の画像データをプリントエンジン570のプリント出力処理部572へ送出するとともに、データ格納部300に格納する。そして、最後の画像データのレンダリング処理が終了すると、プリント出力処理部572からの1枚目処理完了の信号を待ち、完了信号がくると規定の時間後にカメラヘッド102へ撮影開始トリガ信号を送出する(S100)。
【0061】
カメラヘッド102は、トリガ信号に同期してシャッタを切る(撮影する)が、このとき排紙トレイ584上に原稿が出力された直後となっている(S102)。カメラヘッド102は、矩形状の原稿を撮影し得た台形状の撮像画像をデータ格納部300に格納する。撮像画像処理部110の前処理部130は、カメラヘッド102により撮影された撮像画像に対して前処理を施す。すなわち、シェーディング補正部132は、カメラヘッド102により撮影された撮像画像をデータ格納部300から読み出し、シェーディング補正を行ない、処理済の画像データをデータ格納部300に格納する(S104)。
【0062】
次に、制御部320は、シェーディング補正部132によりシェーディング補正された撮像画像に対して幾何変換(透視変換)処理を行なうかどうかを決定する(S106)。幾何変換処理を行なう場合(S106−YES)、制御部320は、幾何変換部134に対して幾何変換処理を指示する。この指示受けた幾何変換部134は、シェーディング補正された撮像画像をデータ格納部300から読み出し、この撮影画像からエッジ検出などによって台形の原稿領域を抽出し、台形の斜辺から幾何変換処理前の補正係数を算出し、実際に台形の原稿領域を矩形に幾何変換処理する(S108)。
【0063】
濃度プロファイル抽出演算処理部152の濃度プロファイル抽出部402は、この幾何変換処理後の画像データから濃度プロファイル抽出処理を行なう(S112)。一方、幾何変換処理を行なわない場合は、濃度プロファイル抽出演算処理部152に対して直ちに処理を行なうよう指示する(S106−NO)。この指示を受けた濃度プロファイル抽出演算処理部152は、濃度プロファイル抽出部402にて、シェーディング補正後の画像データから濃度プロファイル抽出処理を行なう(S112)。
【0064】
プリントジョブが複数枚(N枚)の場合、前処理(S104〜108)に続いて、制御部320は、その複数枚(N枚)が全て完了するまで前記の処理と並行して残りのプリント処理を進行させる。複数枚(N枚)が全て完了すると、制御部320は、待機状態へ戻る。このようにして、カメラヘッド102により撮像され前処理部130により前処理が施された全ての撮像画像は、デジタル信号に変換されてデータ格納部300へ格納される。
【0065】
濃度プロファイル抽出部402は、たとえば図6(A)に示す有効濃度プロファイル抽出処理を行なう。その結果、有効濃度プロファイルは(qi,pi)から(qi,pn)までの(n−i)個となる。図6(A)の濃度プロファイルから有効濃度プロファイルを抽出した結果は図6(B)に示す通りである。
【0066】
濃度プロファイル抽出部402にて濃度プロファイルが抽出されると、次に、濃度プロファイル抽出演算処理部152の下地除去処理部404は、定数減残処理を行なう(S114)。次に、プロファイル開始位置決定部406は、有効濃度プロファイル開始位置決定処理を行なうサブルーチンに入る(S120)。
【0067】
プロファイル開始位置決定部406にて有効濃度プロファイルの開始位置が設定されると、次に濃度プロファイル抽出演算処理部152の全面積算出処理部408は、図7(A)に示すように、有効濃度プロファイルD(qi,pi)〜D(qi,pn)の全面積算出を行なう(S122)。次に、設定値算出処理部410は、図7(B)に示すように、全面積算出処理部408にて取得された全面積Sallの68.3%を設定値Ssigma とする設定値算出処理を行なう(S124)。
【0068】
次に、濃度プロファイル抽出演算処理部152の累積面積算出処理部412は、有効濃度プロファイルの開始位置D(qi,pi)〜D(qi,pn)からの累積面積を算出する累積面積算出処理(S126)を行なう。そして、累積面積判定部414は、累積面積算出処理部412による累積面積が設定値と等しくなったか否かを判定する累積面積判定処理を行なう(S128)。次に、分散決定部156は、累積面積判定部414の判定結果に基づいてガウス関数の分散σを決定する分散決定処理を行ない、決定した分散σをデータ格納部300に蓄える(S130)。
【0069】
なお、上記説明では、設定値Ssigma は全面積の68.3%と設定して、累積面積が設定値と等しくなる座標(qi,px)を分散σとしたが、分散σの決定方法はこの例に限らない。たとえば、Ssigma を全面積の95.4%に設定し、累積面積が設定値と等しくなる座標(qi,px)を分散2σとすることから分散σを決定してもよい。また、Ssigma を全面積の99.7%に設定し、累積面積が設定値となった座標(qi,px)を分散3σとすることから分散σを決定してもよい。
【0070】
次に、ガウスフィルタ処理部190は、カメラヘッド102により得られた撮像画像(幾何変換処理済みの撮像画像)をデータ格納部300から読み出し、処理対象画像の全座標(x,y)に対して、ステップS130にて分散決定部156により決定された分散σをガウスフィルタに適用してガウスフィルタ処理を行なう(S132)。この分散σを適用したガウスフィルタ処理は、たとえば、特開平5−225388号などに示されているように、公知の技術であるので、その詳細な説明を割愛する。
【0071】
ここで、処理対象画像は、たとえば、分散σを決定するために使用したテストパッチ部分やその近傍とすることが好ましい。なお、任意の位置の1つのテストパッチに基づいて決定した分散σを適用して、画像全体に対してガウスフィルタ処理を行なうことで、画像全面に一様に暈かし処理を施してもよい。ただし、この場合は、元々の撮像画像は、位置によって焦点状態が異なり、画像の暈け具合が位置によって異なっているので、全領域の焦点状態を擬似的に揃えるために暈かし処理を施すという点では、暈かし処理の精度が劣る。
【0072】
画像の全領域に亘って暈かし処理の精度を向上させる(全領域の焦点状態を擬似的に揃える精度を高める)には、たとえば、矩形画像の頂点近傍の4点と中央部など複数の位置のテストパッチを利用して、それぞれの位置にて個別に分散σを決定し、それぞれの位置に対応する分散σを適用して画像の全領域にガウスフィルタ処理を施すのが好ましい。図4に示す原稿上のテストパッチの全てについて分散σを決定して適用すれば非常によい。ただし、上述した濃度プロファイルの算出処理や分散σの決定処理(S112〜S130)を各位置のテストパッチについて行なう必要があるので、その分だけ処理時間が掛かることになる。
【0073】
ただしこの場合においても、画像全体の各画素に対し多くの演算処理によってガウスフィルタの分散σを計算するのではなく、テストパッチ部分という必要な部分を対象として抽出された濃度プロファイルに基づいて分散を求める(つまり画像の一部を対象として分散を求める)ので、特開平5−225388号の方法よりは処理時間が掛からない。
【0074】
画像検査装置5のガウスフィルタ処理部214は、ガウスフィルタ処理部190における撮像画像に対する暈かし処理と並行して、分散決定部156にて決定された分散σを適用して基準画像に対しても暈かし処理を加える。
【0075】
次に、位置合わせ処理部232は、基準画像処理部210のガウスフィルタ処理部214にて暈かし処理が施された基準画像と画像読取部100のガウスフィルタ処理部190により暈かし処理が施された撮像画像の位置合わせ処理を開始する。たとえば、位置合わせ処理部232は、基準画像をテンプレートとして撮像画像内を走査しながら、正規化相互相関係数を逐次計算し、最も相関係数の高い場所が位置の合った部分と見なす、いわゆるテンプレートマッチングで位置合わせを行なう。
【0076】
次に、欠陥異常検出処理部234は、位置が合った部分での正規化相互相関係数が判定指標値を下回る場合、その部分に画像欠陥が存在すると見なして欠陥異常検出処理を行なう。たとえば、プリント出力すなわち撮像画像に黒点などの欠陥パターンがあると、その欠陥を含む場所で正規化相互相関係数が明らかに低下するので、欠陥が存在することが容易に判定できる。位置合わせ処理部232および欠陥異常検出処理部234は、以上の処理を基準画像の全面について行ない、完了後には再び待機状態へ戻る。
【0077】
欠陥異常検出処理部234が画像欠陥を検出した場合には、画像検査装置5は、所定の表示デバイスあるいは音声信号発生器(たとえばスピーカ)などの図示しないユーザインタフェース上で警告を発したり、プリント管理ソフトウェアなどを利用して、通信網を通してプリントしようとしているクライアント端末(たとえばパソコン)へ警告を発したり、さらにはリモート保守システムなどを介して通信網を通してプリンタの保守業者へ通知する。
【0078】
図9は、プロファイル開始位置決定部406における作用の詳細を説明する図である。ここで、図9(A)は、処理手順(ステップS120のサブルーチン)の一例を示すフローチャート、図9(B)は、テストパッチの濃度プロファイルを抽出する一部の拡大図である。
【0079】
プロファイル開始位置決定部406は、先ず、式(5)に従って、2画素離れた部分の階調差Dsub1を算出する(S200)。
【数5】
【0080】
階調差Dsub1が設定値FX1未満の場合、プロファイル開始位置決定部406は、(qi,pi)が濃度プロファイル抽出終了位置(qi,pn)であるかどうかを判定する(S202)。そして、濃度プロファイル抽出終了位置でなければ、式(6)に従って、piを1画素ずらして階調差Dsub2を算出する(S204)。
【数6】
【0081】
(qi,pi−1)が濃度プロファイル抽出終了位置の場合、有効濃度プロファイルは抽出不可能となるので、プロファイル開始位置決定部406は、エラー処理を実行する(S206)。
【0082】
一方、階調差Dsub1が設定値FX1以上の場合、プロファイル開始位置決定部406は、式(7)に従って、D(qi,pi−1)とその1画素隣りの階調値D(qi,pi)の階調差Dsub3を算出する(S210)。
【数7】
【0083】
Dsub3が設定値FX2以上の場合、D(qi,pi−2)とその1画素隣の階調値D(qi,pi−1)の階調差を算出する(S212)。ここで、設定値FX1と設定値FX2の関係は、(設定値FX1)>(設定値FX2)である。Dsub3が設定値FX2未満の場合、プロファイル開始位置決定部406は、(qi,pi)を有効濃度プロファイルの開始位置に設定し、サブルーチンから抜ける(S214)。
【0084】
図10は、累積面積算出処理部412における有効濃度プロファイルD(qi,pi)〜D(qi,pn)の累積面積算出処理(S126)、累積面積判定部414における累積面積判定処理(S128)、および分散決定部156における分散決定処理(S130)の手順の詳細例を示すフローチャートである。
【0085】
最初に、累積面積算出処理部412は、式(8)に従って、D(qi,pi)とD(qi,pi+1)間の面積S(i)を算出する(S300)(図7(C)も参照)。
【数8】
【0086】
次に、累積面積判定部414は、式(9)に従って、Ssigma とS(i)の差S(ri)を算出する(S302)。
【数9】
【0087】
次に、累積面積判定部414は、第1の累積面積判定処理を行なう(S304)。この結果を受けて、分散決定部156は、累積面積判定部414にて算出されたS(ri)がS(ri)=0の場合、(qi,pi+1)を分散σに決定する(S306)。
【0088】
一方、S(ri)≠0の場合、累積面積判定部414は、第2の累積面積判定処理を行なう(S310)。そして、算出したS(ri)がS(ri)>0の場合、累積面積は設定値に満たしていないので、累積面積判定部414は、iに“1”を加算し(S312)、式(10)に従って、D(qi,pi)とD(qi,pi+2)間の面積S(i+1)を算出する。
【数10】
【0089】
そして、累積面積判定部414は、S(ri)の場合と同様に、式(11)に従って、Ssigma とS(i+1)の差S(ri+1)を算出する。
【0090】
【数11】
算出したS(ri+1)がS(ri+1)<0であれば、累積面積がSsigma となる座標(qi,px)が(qi,pi+1)と(qi,pi+2)間に存在することになり、式(12)の関係が成立する。ただし、D(qi,px)は、式(13)で表される。
【数12】
【数13】
【0091】
式(12)をpxについて算出すると、以下の式(14)が得られる(S314)。
【数14】
【0092】
この結果を受けて、分散決定部156は、累積面積判定部414によって設定値と等しくなったと判定された位置pxをガウス関数の分散σとして決定し、データ格納部300に蓄える(S316)。
【0093】
以上説明したように、第1実施形態の撮像画像処理部110の処理によれば、分散算出処理部150にて、撮像画像の濃度プロファイルを直接抽出してガウスフィルタの分散σを算出しているので、処理対象画像に対して実際の撮像画像の暈けに近くなり、ガウスフィルタ処理部190にてガウスフィルタ処理による暈かし処理を行なうと高精度な暈かし処理を行なうことが可能となる。
【0094】
また、画像全体の各画素を処理対象とするのではなく、テストパッチ部分という必要な部分を対象として抽出された濃度プロファイルに基づいて分散を求めるので、画像全体の各画素を処理対象として分散を求める手法(たとえば特開平5−225388号の手法)よりも、処理時間が掛からない。
【0095】
また、画像の全領域に亘って暈かし処理の精度を向上させる(全領域の焦点状態を擬似的に揃える精度を高める)場合であっても、画像中の複数位置についてテストパッチ部分を対象として分散を求め、その位置ごとにそれぞれの位置の分散を利用してフィルタリング処理(前例ではガウスフィルタ処理)を施すだけでよく、特開2001−319221号のように、フィルタサイズとフィルタ行列の値といった2つのパラメータを正確に決定する必要はなく、暈かし処理のためのフィルタリング処理も簡単なものとなる。
【0096】
なお、上記第1実施形態では、縦方向(y;副走査方向)に走査して濃度プロファイルを抽出するようにしていたが、その方向は必ずしも縦方向に限らない。たとえば、横方向(x;主走査方向)でもよいし、斜め方向でもかまわない。
【0097】
図11は、画像検査装置5の第2実施形態を示すブロック図である。分散算出処理部150が、濃度プロファイル抽出演算処理部152と分散決定部156との間に濃度プロファイル抽出数判定部154を備えている点と、分散決定部156にて決定された2点以上の分散σに対して補間処理を行なう補間処理部158を備えている点とが、第1実施形態の構成と異なる。
【0098】
この第2実施形態の分散算出処理部150においては、濃度プロファイル抽出演算処理部152は、2個以上の濃度プロファイルをある一定方向(本例では縦方向)に抽出し、それぞれについて有効濃度プロファイルの開始位置を決定する。分散決定部156は、2個以上の濃度プロファイルのそれぞれについて、ガウス関数の分散σを決定する。そして、補間処理部158は、2個以上の濃度プロファイル抽出からそれぞれ算出された分散σ1、分散σ2,…,分散σnを補間処理する。これらの結果を受けて、ガウスフィルタ処理部190は、画像の全座標(x,y)に対して、より高精度なガウスフィルタ処理を適用できる暈かし処理を行なう。
【0099】
図12は、第2実施形態の濃度プロファイル抽出演算処理部152の作用を説明する図である。ここで、図12(A)は、濃度プロファイル抽出部402の作用を説明する図であって、濃度プロファイルを抽出する部分と方向を示す図である。また、図12(B)は、図12(A)に例示した抽出方向に対する濃度プロファイルの一例を示す図、図12(C)は、図12(B)に例示した抽出方向で有効濃度プロファイルを抽出した一例を示す図である。
【0100】
この第2実施形態における分散算出処理部150の基本的な作用は、図5に示したものと同じであり、複数位置のテストパッチ部分の濃度プロファイルを抽出する点が異なるだけである。ただし、この第2実施形態では、抽出開始のy座標値が変わった場合、濃度プロファイルも変化するが、抽出開始のx座標値が変わっても、濃度プロファイルの変化はないものと仮定する。それにより、抽出開始のx座標に対しては、任意の1点xiについて考えればよいものとする。
【0101】
たとえば、図12(A)に示すように、濃度プロファイル抽出演算処理部152は、(a),(b),(c)の3部分を対象として、抽出開始座標をそれぞれ(xi,y1),(xi,y2),(xi,y3)とする。つまり、本例では、(a),(b),(c)の3部分について濃度プロファイルの算出処理や分散σの決定処理(S112〜S130)を行なう。一方、(xi,y4),(xi,y5)の2つは、濃度プロファイルの算出処理や分散σvの決定処理(S112〜S130)の対象外とする。(a),(b),(c)の3部分をそれぞれ抽出した縦方向の濃度プロファイルの一例を図12(B)に、有効濃度プロファイルと算出した分散σv1,分散σv2,分散σv3を図12(C)に示す。
【0102】
図13は、補間処理部158の作用を説明する図である。補間処理部158は、2点以上に亘って算出された分散σviの補間処理を行なう。分散σvと濃度プロファイル抽出開始のy座標を図13に示す。抽出開始のy座標がy1(抽出部分(a))のときは分散σv1、y2(抽出部分(b))のときは分散σv2、y3(抽出部分(c))のときは分散σv3とする。補間処理部158は、補間直線で示すように1次式で、(y1,分散σv1),(y2,分散σv2),(y3,分散σv3)の補間処理を行なうことで、たとえば図12(A)にて示した処理対象外の2箇所のテストパッチ部分について(y4,分散σv4),(y5,分散σv5)を求めるなど、画像の全座標(x,y)と分散σvの関係を算出する。なお、1次式で補間できない場合、多項式による補間を行なってもよい。
【0103】
図14は、第2実施形態の撮像画像処理部110における処理手順を示すフローチャートである。撮影開始の命令が発行された後、前処理を行なうまでの手順は第1実施形態と同じである(S100〜S108)。
【0104】
前処理が終わると、分散算出処理部150の濃度プロファイル抽出演算処理部152は先ず、濃度プロファイル抽出回数が予め定められている設定値FX10を超えるか否かを判定する(S110)。なお、この例では、(a),(b),(c)の3部分についてステップS112〜S130の処理を行なうため、設定値FX10を“3”にする。
【0105】
(濃度プロファイル抽出回数)<(設定値FX10)の場合、濃度プロファイル抽出演算処理部152は、濃度プロファイルの抽出(S112)、定数減算処理(S114)、有効濃度プロファイル開始位置決定処理(S120)、有効濃度プロファイルの全面積算出処理(S122)、設定値算出処理(S124)、有効濃度プロファイルの累積面積算出処理(S126)、累積面積の判定処理(S128)を行ない、縦方向のガウス関数の分散σviを決定し(S130)、濃度プロファイル抽出回数に“1”を加算し(S132)、ステップS110に戻る。これにより、図12(B)に示すように、(a),(b),(c)の3部分をそれぞれ縦方向に抽出した濃度プロファイルが取得され、図12(C)に示すように、縦方向についての有効濃度プロファイルと分散σv1,分散σv2,分散σv3が取得される。
【0106】
(濃度プロファイル抽出回数)≧(設定値FX1)の場合、分散算出処理部150の補間処理部158は、図13に示すように、2点以上算出した分散σviの補間処理を行ない(S134)、画像の全座標(x,y)と分散σvの関係を算出する(S136)。
【0107】
次に、ガウスフィルタ処理部190やガウスフィルタ処理部214は、処理対象画像の全座標(x,y)に対して、ステップS136で決定した分散σvをガウスフィルタに適用してガウスフィルタ処理を行なう(S170)。
【0108】
以上説明したように、第2実施形態の撮像画像処理部110の処理によれば、分散算出処理部150にて、3個の濃度プロファイル抽出からガウスフィルタの分散σ1,分散σ2,分散σ3をそれぞれ算出して補間処理を行ない、処理対象画像の全画素(x,y)に対するガウスフィルタの分散σvを算出するようにしたので、第1実施形態の構成よりも、処理時間を削減することができる。
【0109】
すなわち、第1実施形態では、画像の全領域に亘って暈かし処理の精度を向上させる(全領域の焦点状態を擬似的に揃える精度を高める)には、濃度プロファイルの算出処理や分散σvの決定処理(S112〜S130)を複数位置のテストパッチにて個別に行なう必要があるので、その分だけ処理時間が掛かることになるのに対して、第2実施形態では、濃度プロファイルの算出処理や分散σvの決定処理(S112〜S130)の対象となるテストパッチの数を削減しこの削減分を補間処理にて求めるようにしたので、濃度プロファイルの算出処理や分散σvの決定処理の対象となるテストパッチの数を削減した分だけ、トータルの処理時間を削減することができる。
【0110】
なお、上記第2実施形態では、縦方向(y;副走査方向)に走査して濃度プロファイルを抽出するようにしていたが、その方向は必ずしも縦方向に限らない。たとえば、横方向(x;主走査方向)でもよいし、斜め方向でもかまわない。
【0111】
図15は、画像検査装置5の第3実施形態を示すブロック図である。この第3実施形態は、撮像画像処理部110が、撮像画像の縦方向(副走査方向)に上述したと同様の濃度プロファイル抽出処理から分散決定処理まで(S112〜S130)を行なう第1の分散算出処理部150と、撮像画像の横方向(主走査方向)に上述したと同様の濃度プロファイル抽出処理から分散決定処理まで(S112〜S130)を行なう第2の分散算出処理部170とを備えている点において、第2実施形態の構成と異なる。第2の分散算出処理部170内の構成要素は第1の分散算出処理部150内の構成要素と同じである。
【0112】
この第3実施形態の分散算出処理部150,170においては、先ず濃度プロファイル抽出演算処理部152は、2個以上の濃度プロファイルを“縦方向”に抽出し、それぞれについて有効濃度プロファイルの開始位置を決定する。そして、補間処理部158は、2個以上の縦方向の濃度プロファイル抽出からそれぞれ算出された分散σv1,分散σv2,…,分散σvnを補間処理する。一方、濃度プロファイル抽出演算処理部172は、2個以上の濃度プロファイルを“横方向”に抽出し、それぞれについて有効濃度プロファイルの開始位置を決定する。そして、補間処理部178は、2個以上の横方向の濃度プロファイル抽出からそれぞれ算出された分散σh1,分散σh2,…,分散σhnを補間処理する。これらの結果を受けて、ガウスフィルタ処理部190は、画像の全座標(x,y)に対してガウスフィルタ処理を適用する。
【0113】
つまり、この第3実施形態では、縦方向と横方向に対して2個以上の濃度プロファイル抽出を行ない、縦方向の濃度プロファイル抽出から算出した分散σviと、横方向の濃度プロファイル抽出から算出した分散σhiを用いて補間処理することで、第2実施形態よりも高精度なガウスフィルタ処理を適用した暈かし処理を行なう。
【0114】
図16は、第3実施形態の濃度プロファイル抽出演算処理部152,172の作用を説明する図である。ここで、図16(A)は、濃度プロファイル抽出部402の作用を説明する図であって、濃度プロファイルを抽出する部分と方向を示す図である。また、図16(B)は、図16(A)に例示した抽出方向に対する濃度プロファイルの一例を示す図、図16(C)は、図16(B)に例示した抽出方向で有効濃度プロファイルを抽出した一例を示す図である。
【0115】
この第3実施形態における分散算出処理部150,170の基本的な作用は、図12に示したものと同じである。異なるのは、第2実施形態が、複数の濃度プロファイルを“縦方向”に抽出するのに対して、この第3実施形態は、複数の濃度プロファイルを、“縦方向と横方向”とにそれぞれ別個に抽出する点に特徴を有する。
【0116】
また、この第3実施形態では、濃度プロファイル抽出演算処理部152において、複数の濃度プロファイルを“縦方向”に抽出するに際しては、第2実施形態と同様に、抽出開始のy座標値が変わった場合には縦方向の濃度プロファイルも変化するが、抽出開始のx座標値が変わっても、縦方向の濃度プロファイルの変化はないものと仮定し、抽出開始のx座標に対しては、任意の1点xiについて考えればよいものとする(図12を参照)。
【0117】
一方、図16(A)に示すように、濃度プロファイル抽出演算処理部172において、複数の濃度プロファイルを“横方向”に抽出するに際しては、抽出開始のy座標値が変わった場合横方向の濃度プロファイルも変化するが、抽出開始のx座標値が変わっても、横方向の濃度プロファイルの変化はないものと仮定し、縦方向についてと同様に、抽出開始のx座標に対しては、任意の1点xiについて考えればよいものとする。
【0118】
たとえば、濃度プロファイル抽出演算処理部172は、(a),(b),(c)の3部分(縦方向の対象部分と同じでよい)を対象として、抽出開始座標をそれぞれ(xi,y1),(xi,y2),(xi,y3)とする。つまり、“横方向”についても、縦方向の処理(S112〜S130)と同様に、(a),(b),(c)の3部分について濃度プロファイルの算出処理や分散σhの決定処理を行なう。ここでも、(xi,y4),(xi,y5)の2つは、濃度プロファイルの算出処理や分散σhの決定処理の対象外とする。(a),(b),(c)の3部分をそれぞれ抽出した横方向の濃度プロファイルの一例を図16(B)に、有効濃度プロファイルと算出した分散σh1,分散σh2,分散σh3を図16(C)に示す。
【0119】
図17は、第3実施形態の補間処理部158,178の作用を説明する図である。補間処理部158,178は、第2実施形態と同様に、2点以上に亘って算出された分散σiの補間処理を行なう。ただし、第3実施形態では、縦方向についての分散σviが分散決定部156にて求められ、横方向についての分散σhiが分散決定部176にて求められているので、補間処理部158,178は、それぞれの方向について補間処理を別個に行なう。縦方向についての分散σvと濃度プロファイル抽出開始のy座標を図17(A)に示す。ここで、図17(A)に示したものは、縦方向についてのみ処理する第2実施形態の図13と同じであるのはいうまでもない。補間処理部158が行なう縦方向についての補間処理は、図13についての説明と同様であるので説明を割愛する。
【0120】
横方向についての分散σhと濃度プロファイル抽出開始のy座標を図17(B)に示す。抽出開始のy座標がy1(抽出部分(a))のときは分散σh1、y2(抽出部分(b))のときは分散σh2、y3(抽出部分(c))のときは分散σh3とする。補間処理部178は、補間直線で示すように1次式で、(y1,分散σh1),(y2,分散σh2),(y3,分散σh3)を1次式で補間処理を行なうことで、たとえば図16(A)にて示した処理対象外の2箇所のテストパッチ部分について(y4,分散σh4),(y5,分散σh5)を求めるなど、画像の全座標(x,y)と分散σhの関係を算出する。なお、縦方向と同様に、1次式で補間できない場合、多項式による補間を行なってもよい。
【0121】
図18は、第3実施形態の撮像画像処理部110における処理手順を示すフローチャートである。撮影開始の命令が発行された後、前処理を行なうまでの手順は第1実施形態と同じである(S100〜S108)。
【0122】
前処理が終わると、縦方向についての機能部分である分散算出処理部150の濃度プロファイル抽出演算処理部152は、第2実施形態の処理手順(図14)と同様に、縦方向濃度プロファイル抽出回数判定処理(S110)、縦方向の濃度プロファイルの抽出(S112)、定数減算処理(S114)、有効濃度プロファイル開始位置決定処理(S120)、有効濃度プロファイルの全面積算出処理(S122)、設定値算出処理(S124)、有効濃度プロファイルの累積面積算出処理(S126)、累積面積の判定処理(S128)を行ない、縦方向のガウス関数の分散σviを決定し(S130)、濃度プロファイル抽出回数に“1”を加算し(S132)、ステップS110に戻る。
【0123】
これにより、図12(B)に示すように、(a),(b),(c)の3部分をそれぞれ縦方向に抽出した濃度プロファイルが取得され、図12(C)に示すように、縦方向についての有効濃度プロファイルと分散σv1,分散σv2,分散σv3が取得される。
【0124】
次に、分散算出処理部150の補間処理部158は、図13に示すように、縦方向について2点以上算出した分散σviの補間処理を行ない(S134)、画像の全座標(x,y)と縦方向分散σvの関係を算出する(S136)。
【0125】
以上のようにして分散算出処理部150にて縦方向についての処理が完了すると、横方向についての機能部分である分散算出処理部170の濃度プロファイル抽出演算処理部172は、濃度プロファイル抽出演算処理部152における処理と同様にして、横方向濃度プロファイル抽出回数判定処理(S140)、縦方向の濃度プロファイルの抽出(S142)、定数減算処理(S144)、有効濃度プロファイル開始位置決定処理(S150)、有効濃度プロファイルの全面積算出処理(S152)、設定値算出処理(S154)、有効濃度プロファイルの累積面積算出処理(S156)、累積面積の判定処理(S158)を行ない、横方向のガウス関数の分散σhiを決定し(S160)、濃度プロファイル抽出回数に“1”を加算し(S162)、ステップS140に戻る。
【0126】
これにより、図16(B)に示すように、(a),(b),(c)の3部分をそれぞれ横方向に抽出した濃度プロファイルが取得され、図16(C)に示すように、横方向についての有効濃度プロファイルと分散σh1,分散σh2,分散σh3が取得される。
【0127】
次に、分散算出処理部170の補間処理部178は、図17に示すように、横方向について2点以上算出した分散σhiの補間処理を行ない(S164)、画像の全座標(x,y)と横方向分散σhの関係を算出する(S166)。
【0128】
次に、ガウスフィルタ処理部190は、処理対象画像の全座標(x,y)に対して、縦方向と横方向のそれぞれについてガウスフィルタ処理を行なう(S170)。すなわち、先ず、処理対象画像の全座標(x,y)に対して、ステップS136で決定した縦方向分散σvをガウスフィルタに適用して縦方向に対するガウスフィルタ処理を行なう(S172)。さらに、処理対象画像の全座標(x,y)に対して、ステップS166で決定した横方向分散σhをガウスフィルタに適用して横方向に対するガウスフィルタ処理を行なう(S174)。
【0129】
以上説明したように、第3実施形態の撮像画像処理部110の処理によれば、分散算出処理部150にて、3個の濃度プロファイル抽出から縦方向のガウスフィルタ分散σv1,分散σv2,分散σv3と、横方向のガウスフィルタ分散σh1,分散σh2,分散σh3をそれぞれ算出して縦方向と横方向に独立に補間処理を行ない、処理対象画像の全画素(x,y)に対するガウスフィルタの縦方向分散σvと横方向分散σhをそれぞれ算出するようにしたので、第2実施形態と同様に処理時間を削減する効果が得られることに加えて、より高精度な暈かし処理を行なうことが可能となる。この結果、位置合わせおよび正規化相互相関による画像欠陥検出の際に、基準画像と撮像画像との位置合わせ精度が向上し、画像欠陥検出精度の良好な画像検査装置を実現することができる。
【0130】
なお、上記第3実施形態では、最初に縦方向(y;副走査方向)について濃度プロファイルの算出処理や分散σの決定処理(S112〜S130)を行ない、その後、横縦方向(x;主走査方向)について濃度プロファイルの算出処理や分散σの決定処理(S142〜S160)を行なうようにしていたが、これとは逆に、横方向の処理を行なった後に縦方向の処理を行なうようにしてもよい。また、縦方向と横方向の組合せに限らず、斜め方向の処理を組み合わせてもよい。この場合、縦方向および横方向の何れか一方と斜め方向の組合せにしてもよいし、これらの全てを組み合わせて、縦方向、横方向、および斜め方向の各々について、濃度プロファイルの算出処理や分散σの決定処理を行なうようにしてもよい。勿論、処理順序は不問である。
【0131】
図19は、CPUやメモリを利用して、ソフトウェア的に画像検査装置5を構成する、すなわち電子計算機(コンピュータ)を用いて構成する場合のハードウェア構成の一例を示した図である。
【0132】
画像検査装置5を構成するコンピュータシステム900は、CPU902、ROM(Read Only Memory)904、RAM906、および通信I/F(インターフェース)908を備える。RAM906は、撮像画像データを格納する領域を含んでいる。
【0133】
また、たとえばメモリ読出部907、ハードディスク装置914、フレキシブルディスク(FD)ドライブ916、あるいはCD−ROM(Compact Disk ROM)ドライブ918などの、記憶媒体からデータを読み出したり記録したりするための記録・読取装置を備えてもよい。画像データは、データバスを通じて各ハードウェア間をやり取りされる。
【0134】
ハードディスク装置914、FDドライブ916、あるいはCD−ROMドライブ918は、たとえば、CPU902にソフトウェア処理をさせるためのプログラムデータを登録するなどのために利用される。また、ハードディスク装置914は、処理対象画像データを格納する領域を含んでいる。
【0135】
通信I/F908は、インターネットなどの通信網との間の通信データの受け渡しを仲介する。またコンピュータシステム900は、カメラヘッド102との間のインターフェース(IOTコントローラ)の機能をなすカメラI/F部930と、プリントエンジン570との間のインターフェースの機能をなすIOTコントローラ932とを備える。カメラI/F部930は、カメラヘッド102からの出力データをアナログデジタル変換してRAM906もしくはハードディスク装置914へ格納する。
【0136】
なお、上記実施形態で示した撮像画像処理部110や画像画像検査処理部200の各機能部分の全ての処理をソフトウェアで行なうのではなく、これら機能部分の一部をハードウェアにて処理回路940として設けてもよい。
【0137】
このような構成のコンピュータシステム900は、上記実施形態に示した画像検査装置5の基本的な構成および動作と同様とすることができる。また、上述した処理をコンピュータに実行させるプログラムは、CD−ROM922などの記録媒体を通じて配布される。あるいは、プログラムは、CD−ROM922ではなくFD920に格納されてもよい。また、MOドライブを設け、MOに前記プログラムを格納してもよく、またフラッシュメモリなどの不揮発性の半導体メモリカード924など、その他の記録媒体に前記プログラムを格納してもよい。
【0138】
さらに、他のサーバなどからインターネットなどの通信網を経由して前記プログラムをダウンロードして取得したり、あるいは更新したりしてもよい。なお、記録媒体としては、FD920やCD−ROM922などの他にも、DVDなどの光学記録媒体、MDなどの磁気記録媒体、PDなどの光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、ICカードやミニチュアーカードなどの半導体メモリを用いることができる。
【0139】
記録媒体の一例としてのFD920やCD−ROM922などには、上記実施形態で説明した画像検査装置5における処理の一部または全ての機能を格納することができる。したがって、以下のプログラムや当該プログラムを格納した記憶媒体を提供することができる。たとえば、画像読取部100用のプログラム、すなわちRAM906などにインストールされるソフトウェアは、上記実施形態に示された画像読取部100と同様に、前処理部130(シェーディング補正部132や幾何変換部134)、分散算出処理部150,170(内部の濃度プロファイル抽出演算処理部152,172、濃度プロファイル抽出数判定部154,174、補間処理部158,178など)、あるいはガウスフィルタ処理部190,214の各機能部をソフトウェアとして備える。
【0140】
また、基準画像処理部210や画像検査部230用のプログラム、すなわちRAM906などにインストールされるソフトウェアは、上記実施形態に示された基準画像処理部210や画像検査部230と同様に、解像度変換部212、ガウスフィルタ処理部214、位置合わせ処理部232、あるいは欠陥異常検出処理部234などの各機能部をソフトウェアとして備える。
【0141】
このようなソフトウェアは、たとえばプリンタドライバやディスプレイドライバ、画像処理ソフトウェア、あるいは画像検査用アプリケーションソフトなどとして、CD−ROMやFDなどの可搬型の記憶媒体に格納され、あるいはネットワークを介して配布されてもよい。
【0142】
そしてたとえば画像読取部100や画像検査装置5をコンピュータにより構成する場合、CD−ROMドライブ918は、CD−ROM922からデータまたはプログラムを読み取ってCPU902に渡す。そしてソフトウェアはCD−ROM922からハードディスク装置914にインストールされる。ハードディスク装置914は、FDドライブ916またはCD−ROMドライブ918によって読み出されたデータまたはプログラムや、CPU902がプログラムを実行することにより作成されたデータを記憶するとともに、記憶したデータまたはプログラムを読み取ってCPU902に渡す。
【0143】
ハードディスク装置914に格納されたソフトウェアは、RAM906に読み出された後にCPU902により実行される。たとえばCPU902は、記録媒体の一例であるROM904およびRAM906に格納されたプログラムに基づいて上記の処理を実行することにより、暈け具合を判定するためのテストパッチを撮像した撮像画像から濃度プロファイルを抽出し、この抽出した濃度プロファイルに基づいてガウス関数の分散σを決定し、決定された分散σを参照してガウスフィルタ処理をすることで、高精度な暈かし処理を行なうための機能をソフトウェア的に実現することができる。これにより、基準画像と撮像画像との位置合わせ精度や画像欠陥検出精度をソフトウェア的に向上させることができる。
【0144】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0145】
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0146】
たとえば、上記実施形態では、分散算出処理部にて求められた分散に基づいて(参照して)ガウスフィルタ処理部にてガウスフィルタを適用していたが、フィルタリング処理はガウスフィルタ以外のものを適用してもかまわない。また、処理方向は、暈かし方向だけでなく鮮鋭度アップの方向の適用でもかまわない。ガウスフィルタ以外のものを適用する場合においても、分散算出処理部にて求められた分散を参照して、フィルタサイズやフィルタ行列の値などのフィルタのパラメータを変更することで、フィルタ特性を適宜切り替えるものであればよい。
【0147】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、撮像画像のテストパッチ部分の濃度プロファイルを抽出してガウスフィルタの分散を算出しているので、処理対象画像に対して実際の撮像画像の暈けに近くなり、所定のフィルタリング処理により暈かし処理を行なうと高精度な暈かし処理を行なうことが可能となる。
【0148】
また、画像全体の各画素を処理対象とするのではなく、テストパッチ部分という必要な部分を対象として抽出された濃度プロファイルに基づいて分散を求めるので、画像全体の各画素を処理対象として分散を求める手法よりも、処理時間が掛からない。
【0149】
また、画像の全領域に亘って暈かし処理の精度を向上させる場合であっても、画像中の複数位置についてテストパッチ部分を対象として分散を求め、その位置ごとに各位置の分散を利用してフィルタリング処理を施すだけでよく暈かし処理のためのフィルタリング処理も簡単なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像処理装置の一実施形態を備えた画像検査装置を示す概略図である。
【図2】図1に示した画像検査装置の詳細(第1実施形態)を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態の濃度プロファイル抽出演算処理部の詳細を示すブロック図である。
【図4】幾何変換部の作用を説明する図である。
【図5】第1実施形態の濃度プロファイル抽出演算処理部の濃度プロファイル抽出部の作用を説明する図である。
【図6】濃度プロファイル抽出演算処理部およびプロファイル開始位置決定部の作用を説明する図である。
【図7】濃度プロファイル抽出演算処理部、設定値算出処理部、および累積面積算出処理部の作用を説明する図である。
【図8】第1実施形態の撮像画像処理部における処理手順を示すフローチャートである。
【図9】プロファイル開始位置決定部における作用の詳細を説明する図である。
【図10】累積面積算出処理部、累積面積判定部、および分散決定部における処理手順の詳細例を示すフローチャートである。
【図11】画像検査装置の第2実施形態を示すブロック図である。
【図12】第2実施形態の濃度プロファイル抽出演算処理部の作用を説明する図である。
【図13】第2実施形態の補間処理部の作用を説明する図である。
【図14】第2実施形態の撮像画像処理部における処理手順を示すフローチャートである。
【図15】画像検査装置の第3実施形態を示すブロック図である。
【図16】第3実施形態の濃度プロファイル抽出演算処理部の作用を説明する図である。
【図17】第3実施形態の補間処理部の作用を説明する図である。
【図18】第3実施形態の撮像画像処理部における処理手順を示すフローチャートである。
【図19】電子計算機を用いて画像検査装置を構成する場合のハードウェア構成の一例を示した図である。
【符号の説明】
5…画像検査装置、100…画像読取部、102…カメラヘッド、104…撮影レンズ、106…CCD撮像素子、110…撮像画像処理部、130…前処理部、132…シェーディング補正部、134…幾何変換部、150…分散算出処理部、152…濃度プロファイル抽出演算処理部、154…濃度プロファイル抽出数判定部、156…分散決定部、158…補間処理部、170…分散算出処理部、172…濃度プロファイル抽出演算処理部、174…濃度プロファイル抽出数判定部、176…ガウスフィルタσ算出部、178…補間処理部、190…ガウスフィルタ処理部、200…画像画像検査処理部、210…基準画像処理部、212…解像度変換部、214…ガウスフィルタ処理部、230…画像検査部、232…位置合わせ処理部、234…欠陥異常検出処理部、300…データ格納部、320…制御部、402…濃度プロファイル抽出部、404…下地除去処理部、406…プロファイル開始位置決定部、408…全面積算出処理部、410…設定値算出処理部、412…累積面積算出処理部、414…累積面積判定部、500…プリンタ部、570…プリントエンジン
Claims (11)
- 画像の暈け量が測定可能なテストパッチが形成された原稿を所定の撮像装置により撮像して得た撮像画像に基づいて前記撮像画像の前記テストパッチ部分の濃度プロファイルを求める濃度プロファイル抽出演算処理部と、前記濃度プロファイル抽出演算処理部が求めた前記濃度プロファイルに基づいて前記濃度プロファイルの分散を求める分散決定部と、
前記分散決定部により求められた前記分散に基づいて、所定の処理対象画像に対して予め定められたフィルタ処理を施すフィルタ処理部と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。 - 前記フィルタ処理部は、前記予め定められたフィルタ処理として、ガウスフィルタを適用した処理を行なうことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記濃度プロファイル抽出演算処理部は、
前記テストパッチ部分の濃度プロファイルを抽出する濃度プロファイル抽出部と、
前記濃度プロファイル抽出部により抽出された前記濃度プロファイルから前記原稿の下地成分を低減する下地除去処理部と、
前記下地除去処理部により求められた下地成分低減後の濃度プロファイルから、前記テストパッチ部分の実質的に有効な濃度プロファイルの開始位置を決定するプロファイル開始位置決定部と
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。 - 前記プロファイル開始位置決定部は、前記濃度プロファイル抽出部が抽出した前記濃度プロファイルのうち、前記テストパッチと前記原稿の下地成分とで形成される前記濃度プロファイルの高濃度側と低濃度側との変化部分を前記実質的に有効な濃度プロファイルとすることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
- 前記濃度プロファイル抽出演算処理部は、前記プロファイル開始位置決定部により決定された前記実質的に有効な濃度プロファイルの開始位置を参照して、前記実質的に有効な濃度プロファイルの全面積を算出する全面積算出処理部と、前記全面積算出処理部により算出された全面積に基づいて設定値を算出する設定値算出処理部と、前記プロファイル開始位置決定部により決定された前記実質的に有効な濃度プロファイルの開始位置からの累積面積を算出する累積面積算出処理部と、前記累積面積算出処理部により算出された前記累積面積と前記設定値算出処理部により算出された前記設定値とが等しくなる位置を特定する累積面積判定部とを有し、
前記分散決定部は、前記累積面積判定部によって特定された前記位置を前記分散として決定する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。 - 前記濃度プロファイル抽出演算処理部は、それぞれ異なる位置に配された前記テストパッチ部分の濃度プロファイルをそれぞれ求めるものであり、
前記分散決定部は、前記濃度プロファイル抽出演算処理部が求めた前記それぞれ異なる位置に配された前記テストパッチ部分の濃度プロファイルに基づいて前記濃度プロファイルの分散をそれぞれ求めるものであり、
前記分散決定部が求めた前記それぞれ異なる位置に配された前記テストパッチ部分の前記分散に基づいて補間処理を行なうことで、前記濃度プロファイルを求めたテストパッチ部分以外について前記分散を求める補間処理部をさらに備えたことを特徴とする請求項1から5のうちの何れか1項に記載の画像処理装置。 - 前記濃度プロファイル抽出演算処理部は、前記原稿の縦方向、横方向、および斜め方向のうちの少なくとも一方向について、前記濃度プロファイルを抽出することを特徴とする請求項1から6のうちの何れか1項に記載の画像処理装置。
- 請求項1から7のうちの何れか1項に記載の画像処理装置と、
原稿を前記撮像装置により光学的に読み取って得られた撮像画像と検査用の基準画像とを比較することにより前記撮像画像の良否を検査する画像検査処理部とを備え、
前記画像処理装置の前記フィルタ処理部は、前記撮像装置により読み取られた前記撮像画像を前記所定の処理対象画像として前記フィルタ処理を施し、
前記画像検査処理部は、前記フィルタ処理部により前記フィルタ処理が施された前記撮像画像と前記基準画像とを比較する
ことを特徴とする画像検査装置。 - 請求項1から7のうちの何れか1項に記載の画像処理装置と、
原稿を前記撮像装置により光学的に読み取って得られた撮像画像と検査用の基準画像とを比較することにより前記撮像画像の良否を検査する画像検査処理部とを備え、
前記画像処理装置の前記フィルタ処理部は、前記基準画像を前記所定の処理対象画像として前記フィルタ処理を施し、
前記画像検査処理部は、前記フィルタ処理部により前記フィルタ処理が施された前記基準画像と前記撮像画像とを比較する
ことを特徴とする画像検査装置。 - 前記画像処理装置の前記フィルタ処理部は、前記撮像装置により読み取られた前記撮像画像を前記所定の処理対象画像として前記フィルタ処理を施し、
前記画像検査処理部は、ともに前記フィルタ処理部により前記フィルタ処理が施された前記基準画像と前記撮像画像とを比較する
ことを特徴とする請求項9に記載の画像検査装置。 - コンピュータを、
画像の暈け量が測定可能なテストパッチが形成された原稿を所定の撮像装置により撮像して得た撮像画像に基づいて、前記撮像画像の前記テストパッチ部分の濃度プロファイルを求める濃度プロファイル抽出演算処理部と、
前記濃度プロファイル抽出演算処理部が求めた前記濃度プロファイルに基づいて前記濃度プロファイルの分散を求める分散決定部と
して機能させることを特徴とするプログラム。
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2002
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