JP2004090929A - 断熱性紙製容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上端に口縁部を有する胴部と、該胴部の内壁面下端付近に係止された底板部とからなる容器本体と、該容器本体の胴部の外壁面側に装着された筒状胴巻とからなる紙製断熱容器において、前記胴部は胴部上方に周回方向に連続した外向きの段部が形成されており、前記筒状胴巻の下端部には、胴巻の半径方向内方から上方へ向けて折り曲げれるか又は内側へカールされた複数個の折曲片が該下端部の内周に沿って所定の間隔で設けられており、前記筒状胴巻が前記胴部に装着されたとき、前記胴部と前記筒状胴巻との間に所定の空隙を確実に形成し、かつ、前記筒状胴巻の下端部に連通する通気孔を形成することにより、空隙中の空気が加熱された場合、通気孔を通じて外気と熱交換が容易に行われ、筒状胴巻の外表面の断熱効果が一層優れたものとなる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は断熱性紙製容器に関する。更に詳細には、本発明は容器本体胴部の外壁面上に胴巻部材が、前記容器胴部外壁面と前記胴巻部材の内壁面との間に断熱空隙を形成するように、接合された断熱性紙製容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より高温液体の充填用断熱性容器は幾種類か実用に供されてきた。例えば、このような目的のために、発泡ポリスチロール製の断熱性容器が使用されてきた。これは発泡ポリスチロール原料をモールド内に注型し、その後、熱と圧力を加えて原料を発泡させ、成型容器を型から取り出すことによって製造される。このようにして得られた断熱性容器は断熱性の点では非常に優れている。しかし、製造コストの点からは決して経済的であるとは言えない。また、発泡ポリスチロール容器内に熱湯を注入すると容器本体から微量の環境ホルモンが溶出し、人体に悪影響を与えることが報告されている。しかも、石油資源の節約あるいは廃棄物の焼却処理の点からも再検討が必要な容器である。更に、発泡スチロール製断熱性容器の外表面は平滑ではないので、印刷適性に劣るという欠点もあった。
【0003】
特に、即席麺又は即席スープなどの容器として、廃棄性の点から各種紙製容器が提案され、使用されている。このような目的に使用される断熱性紙製容器の種類としては、外壁面上に低融点の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートして加熱発泡させた断熱層を有する特殊断熱容器(特許第3014629号公報参照)や、このような特殊断熱容器の外壁面に紙製胴巻を密着させた断熱容器(特開平11−268781号公報参照)と、紙単独の2重構成又は3重構成の容器が一般的である。
【0004】
紙製の二重カップは例えば、特許第3291262号公報、特開2000−103476号公報、特開2000−103477号公報及び特開2000−128253号公報などに記載されている。これらの二重カップでは、紙製容器本体の外面に紙製胴巻を配設し、容器本体外面と胴巻との間に空隙を設けることにより断熱効果を発揮するように構成されている。しかし、実際に90℃以上の熱湯を容器本体内に注入し、胴巻を素手で把持すると、熱すぎて容器を持つことが困難であった。
【0005】
三重カップは断熱性に優れているが、製造工程が複雑であり、生産性に限界があるばかりか、コスト的にも割高である。従って、三重カップよりもコストダウンを図れ、しかも三重カップに近い断熱性を有する断熱性紙製容器の開発が強く求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は二重構造であるにも拘わらず安価、かつ容易に製造することができ、しかも熱湯を注いだ場合でも素手で持続的に把持できる優れた断熱性を示す紙製容器を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、上端に口縁部を有する胴部と、該胴部の内壁面下端付近に係止された底板部とからなる容器本体と、該容器本体の胴部の外壁面側に装着された筒状胴巻とからなる紙製断熱容器において、
前記容器本体の胴部は、その上方寄り部分を半径方向外方へ拡径することにより形成された段部を有し、該段部から前記上端までの第1の側壁部分は第1のテーパを有し、該段部から前記下端までの第2の側壁部分は第2のテーパを有し、前記第1のテーパは前記第2のテーパと同一であるか、又は異なり、
前記筒状胴巻は前記胴部の第1の側壁部分の第1のテーパと大体同じテーパを有し、前記筒状胴巻の下端部には、胴巻の半径方向内方から上方へ向けて折り曲げるか又は内側にカールされた複数個の折曲片が該下端部の内周に沿って所定の間隔で設けられており、前記筒状胴巻が前記胴部に装着されたとき、前記筒状胴巻の上端寄り内壁面を前記胴部の第1の側壁部の外壁面に密着し、かつ、前記筒状胴巻の下端部に、前記胴部と筒状胴巻との間に形成された空隙と連通する通気孔を形成することを特徴とする断熱性紙製容器により解決される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の断熱性紙製容器を具体的に説明する。
【0009】
図1は本発明の断熱性紙製容器の一例の部分拡大断面図である。図1に示されるように、本発明の断熱性紙製容器1は、本質的に、容器本体10と筒状胴巻30とからなる。容器本体10は胴部12と底板部14とからなる。胴部12及び底板部14は何れも紙16から形成されているが、容器本体1の内部には液体が充填されるので、胴部12及び底板部14ともその内壁面側には熱可塑性合成樹脂フィルム18(例えば、ポリエチレン,ポリスチレン,ナイロン,ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートなど)がラミネートされている。熱可塑性合成樹脂フィルムの代わりに、アルミ箔をラミネートすることもできる。このような耐液体浸透性の紙製カップ自体は当業者に周知である。
【0010】
図1に示されるように、容器本体10の胴部12の外壁面に胴巻30を装着させ、固定することにより、容器本体10の胴部12の外壁面と筒状胴巻30の内壁面との間に空隙40が形成され、この空隙40の存在により本発明の容器1に断熱性が付与され、更に、筒状胴巻の下端部34に、前記胴部と筒状胴巻との間に形成された空隙40と連通する通気孔54(図4参照)を形成することにより、空隙40中の空気が加熱された場合、通気孔54を通じて外気と熱交換が容易に行われ、筒状胴巻30の外表面の断熱効果が一層優れたものとなる。
【0011】
図1に示されるように、容器本体10の胴部12の上端には、胴部材の上方を容器外方へ向けてカールすることにより形成された口縁部3が存在する。更に、胴部12の上方寄り部分を半径方向外方へ拡径することにより形成された段部9を有し、該段部から前記上端までの第1の側壁部分5は第1のテーパを有し、該段部から前記下端までの第2の側壁部分7は第2のテーパを有する。第1のテーパと第2のテーパは異なっていても良く、あるいは同一であることもできる。
【0012】
図2は筒状胴巻30を製造する工程図である。先ず(A)において、ロール原紙(図示されていない)などから、筒状胴巻30を構成するためのブランク40を打ち抜く。この際、ブランク40の下端縁42が所定の間隔で櫛歯状に切り欠かれ、櫛歯44が形成されるように打ち抜く。この櫛歯44の形状は図示された矩形状に限定されず、例えば、図3(A)又は(B)に示されるような形状であることもできる。次いで、図2(B)に示すように、この櫛歯部分44をブランクの上端縁48に向けて折り曲げて、折曲片46を形成する。折曲片46の形態は図示されたものに限定されない。例えば、略U字状、略円弧状に丸めたり、渦巻き状にカールされた形態の折曲片も使用できる。次いで、図2(C)に示すように、折曲片46が内側に来るように、ブランク40を丸め、その両側縁50,50を若干オーバーラップするように重ね合わせて接合させ、サイドシーム52を形成し、筒状胴巻30を完成させる。
【0013】
筒状胴巻30は容器本体10の胴部12の第1の側壁部分5と大体同じテーパを有する。また、胴巻30の上端部の内径は前記第1の側壁部分5の上側外径と略同一か又は僅かだけ小さいことが好ましい。これにより、胴巻30の上端部32を胴部12のカール部3の下端に当接させるようにして、胴巻30を胴部12に装着すると、胴巻30の上方寄り部分の内壁面が胴部12の第1の側壁部分5の外壁面と隙間無く密着することができる。必要に応じて、筒状胴巻30と容器本体10の第1の側壁部5との接触界面に接着剤を塗布し、両部材の接合強度を一層高めることもできる。一方、胴巻30の折曲片46の下端内径は前記胴部12の下端部20の外径と略同一か又は僅かだけ小さいことが好ましい。また、前記と同様に、必要に応じて、筒状胴巻30の折曲片46と容器本体10の第2の側壁部7との接触界面に接着剤を塗布し、両部材の接合強度を一層高めることもできる。このような構成により、図1に示されているように、胴巻30を容器胴部12の外壁面側にしっかりと装着させることができる。胴巻30の下端部34の内径が容器胴部12の下端部20の外径よりも大きいと、胴巻30の下端部34と容器本体10の胴部12の下端部20との間が密着せず、「ブラブラ」した状態になり審美性を損なう恐れがある。胴巻30の高さは、胴巻30を胴部12に装着固定させたときに、胴巻30の下端部34が胴部12の下端部20と“面一致”になるように選択される。しかし、胴巻30の下端部34が胴部12の下端部20よりも上側にある、いわゆる“寸足らず”であることもできる。
【0014】
図4は、図1に示された容器1の底面図である。筒状胴巻30は内側に折り曲げられるか又はカールされた折曲片46を断続的に有するので、容器本体10に筒状胴巻30を装着すると、折曲片46の存在しない箇所には、容器本体10の胴部12と筒状胴巻30との間に形成された断熱空隙40に連通する通気孔54が形成される。この通気孔54を通して、断熱空隙40内の高温空気が低温外気と換気され、断熱効果が顕著に向上するという利点がある。
【0015】
筒状胴巻30は本質的に紙製である。この筒状胴巻30を構成する原紙としては、バージンパルプから生成された通常の厚紙などを使用することもできるが、古紙を80%以上含有し、坪量が270g/cm2〜500g/cm2の範囲内のコートボール紙を使用することが好ましい。このような高古紙含有率の再生紙を使用すると、資源リサイクルの観点から好ましいばかりか、同程度の坪量のバージンパルプ紙に比べてコストを大幅に低減することが出来る。また、このような再生紙は印刷美粧性の点でも優れている。但し、坪量が270g/cm2未満では、胴巻としての十分な剛度が発揮されず、容器1を手で把持したときに、胴巻30が大きく凹むので好ましくない。一方、坪量が500g/cm2超の場合、胴巻として必要な剛度を超えるばかりか加工作業性も著しく低下するので不経済である。
【0016】
この容器本体10は常用のカップ製造装置により容易に組み立てることができる。例えば、先ず、ロール紙から容器胴部用原紙を繰り出し、この原紙の片側にポリエチレンなどの熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートする。底板用原紙の片側にも同様に熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートする。容器胴部用原紙から容器胴部用ブランクを打ち抜き、底板部用原紙から底板部用ブランクを打ち抜く。容器胴部用原紙から容器胴部用ブランクの他に底板部用ブランクも同時に打ち抜くこともできる。これらのブランクを用いて、常用のカップ成形機で、容器胴部用ブランクはフィルムラミネート面が容器内側に向くように、また、底板部はフィルムラミネート面が容器内側に向くようにして、容器に組み立てる。
【0017】
容器本体10を形成する紙素材については特に限定されない。容器本体10は内側になり、直接人の手に持つ側にはならないので、とりたてて丈夫な紙を使用する必要はない。一般的な指標として、容器本体用としては150g/m2 〜350g/m2 の範囲内の坪量を有する紙が好ましい。胴部12の段部9を“しごき加工法”により形成するため、加工作業性の点から、あまり強い紙では成形し難くなるので好ましくない。従って、容器本体、特に胴部用の紙には、密度が低く、多少柔らかめの伸びの良い紙を使用することが好ましい。
【0018】
図5は容器本体10の胴部12の上方側に段部9を形成する処理方法の一例を説明する模式図である。図5(a)に示されるように、胴部12と底板部14が一体的に接合され、かつ容器口縁部が成型された状態の容器本体10を雌金型90内に挿入する。この雌金型90の上部は第1のテーパで半径方向外方へ向かって拡開する第1の内壁部94aが成形されている。一方、この雌金型90内に嵌入される雄金型92が雌金型90の上部に配置される。雄金型92は回転可能で、しかも、上下方向に進退可能に構成されている。雄金型92の下方部分は雌金型90の第1の内壁部94aに対応する傾斜外壁部94bが成形されている。図5(b)に示されるように、雄金型92を下降させ、容器胴部12を雌金型90に狭圧しながら回転させ、容器胴部12の上方を“しごき”加工する。容器胴部12の内壁面側にはポリエチレンフィルム(図示されていない)などがラミネートされているが、基本的にはポリエチレンフィルムは紙に比べて伸び率が高いので、余程のことがなければ“しごき”加工で切れることはない。しかし、一般的に、ポリエチレンフィルムなどが切れてしまわないような“しごき”加工を行うように細心の注意を払うべきである。“しごき”加工が完了したら、図5(c)に示されるように、雄金型92を上昇させ、胴部12の上方に段部9を有する容器本体10を雌金型90から取り出す。
【0019】
図6は、本発明の断熱性紙製容器の製造装置の一例の模式的構成図である。間欠回転(公転)するマンドレル70の外周面上にカップ状の自転可能な金型71が複数個(図6の実施例では8個)設けられている。常用の容器製造方法及び装置を用いて予め形成された紙製容器本体10は先ずチューブ72により空気圧送され、金型71に装着される。図示されていないが、各金型には空気吹出孔と空気吸引孔の両方が配設されており、次のステーションに移るまでの間、容器本体は吸引圧力により金型71に固定されている。その後、必要に応じて、容器本体10の外壁面の所定箇所(例えば、図1における第1の側壁部分5及び/又は下端部20付近の外壁面)に、接着剤アプリケーター80を用いて接着剤を塗布する。接着剤は感圧性又は感熱性など任意の公知慣用の接着剤を適宜選択して使用することができる。このような目的に使用できる接着剤は例えば、酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル・アクリルコポリマー、その他のアクリル系コポリマー及びその他のビニル系コポリマーなどのエマルジョンからなる水性接着剤などである。図示された形態以外の塗布方法も使用できる。このような塗布方法は当業者に公知である。
【0020】
筒状胴巻30は例えば、ブランクストッカー81からブランク82を一枚毎に胴巻形成機83に供給し、ブランク82を胴巻形成機83の金型に巻き付け、ブランクの直線状片の一方に接着剤を塗布し、両方の直線状片を重ね合わせ、接合させてサイドシーム52を形成することにより作製できる。その後、胴巻30の下端部の櫛歯44を半径方向内方に、かつ、胴巻の上端部に向けて折り曲げるか又はカールさせることにより折曲片46を形成する。筒状胴巻30は底板がないので空気圧送はできない。このため、サクションアーム84を用いて胴巻の外周側壁を吸着することにより搬送する。胴巻のブランクは原紙から打ち抜きながら胴巻形成機83に供給することもできる。
【0021】
胴巻形成機83で形成された筒状胴巻30はサクションアーム84により吸着され、容器本体10の胴部外側に被せられる。サクションアーム84自体はあくまでも筒状胴巻の搬送手段なので、容器本体10の外側に被せられた筒状胴巻30は容器本体の口縁部には達することができない。このため、容器本体10の外側に筒状胴巻30を被せたら、マンドレル70を間欠送りし、有底の押圧治具85を筒状胴巻30の外側から被せ、この押圧治具85をマンドレル70に向かって押圧することにより筒状胴巻30を容器本体10の口縁部3の下端面に当接させ、筒状胴巻30を容器本体10の第1の側壁部分5の外壁面上に密着させる。容器本体10の所定箇所に接着剤が使用されていれば、この接着剤を介して容器本体と筒状胴巻とが接着される。その後、押圧治具85を抜脱し、本発明の断熱性紙製容器1が完成する。最後に、金型の空気吹出孔から空気が噴射されて完成容器1は金型から離型され、更に吸引搬送用チューブ86により吸引搬送されて製品ストッカー(図示せず)に蓄積される。吸引搬送用チューブ86を使用せず、金型から離型されたその場でストックすることもできる。
【0022】
【実施例】
以下、具体例により本発明の断熱性紙製容器の効果を実証する。
【0023】
実施例1
図5及び図6に示す手順に従って本発明の断熱性紙製容器を製造した。製造した容器は概ね図1に示されるような形状の容器である。この容器は容量が250mlであり、容器本体には坪量が250g/m2 の紙(バージンパルプ100%,密度0.84g/cm3)を、また筒状胴巻には坪量が310g/m2 の紙(古紙含有率80%,密度0.83g/cm3)を使用した。容器本体用の紙には片側に厚さ20μmのポリエチレンフィルムがラミネートされていた。筒状胴巻の下端には通気孔が形成されていた。
【0024】
比較例1
筒状胴巻用のブランクの下端部に櫛歯状の切り込みを設けることなく、図5及び図6に示す手順に従って対照用の断熱性紙製容器を製造した。対照用の断熱性紙製容器は紙製容器本体及び筒状胴巻とも実施例1で使用した材料と同じ材料を使用して製造した。従って、比較例1の断熱性紙製容器は、筒状胴巻の下端に通気孔が形成されていない点で、実施例1の断熱性紙製容器と異なる。
【0025】
断熱性試験(1)
本発明の容器及び対照用容器に95℃の熱湯を容器容量の9分目まで充填し、断熱効果を測定した。温度の測定はJIS P8111に定められた規格に従い、23℃,相対湿度50%の室内で行った。容器外表面(すなわち、胴巻外表面)における温度測定は、容器の全体高さを3等分した上から1/3の箇所で行った。測定結果を図7に示す。図7において、下側の折線グラフは本発明の容器における測定結果であり、上側の折線グラフは対照容器における測定結果である。図示された結果から明らかなように、比較例の断熱性紙製容器は熱湯注入後30秒経過時点で約67℃であるのに対して、本発明の断熱性紙製容器は約60℃であり、7℃も低い。更に、5分間経過時点では、比較例の断熱性紙製容器が約61℃であるのに対し、本発明の断熱性紙製容器は約58℃であり、3℃も低い。従って、これらの実験データから、筒状胴巻の下端部に、容器本体と筒状胴巻との間の断熱空隙に連通する通気孔を有する本発明の容器が優れた断熱性を発揮することが理解できる。特に、本発明の容器は95℃の熱湯を注入後30秒経過時点の外表面温度を60℃に断熱することができ、この温度であれば、熱すぎて容器を指で把持できないということはない。すなわち、本発明の容器は熱湯注入直後から指で把持できる。これに対して、比較例の容器の場合、容器外表面温度が「熱すぎない」と感じられる60℃に達するのに、5分間以上もの時間を要する。すなわち、比較例の容器の場合、熱湯注入後暫く放置してからでなければ、指で把持することができない。従って、本発明の容器は比較例の容器に比べて使用感の点でも申し分がない。
【0026】
断熱性試験(2)
実施例1で作製された容器及び比較例1で作製された容器の他に、特開平11−268781号公報に記載されているような、容器本体外壁面上に低融点の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートして加熱発泡させた断熱層の外壁面に紙製胴巻を密着させた断熱容器、特許第3014629号公報に記載されているような、容器本体外壁面上に低融点の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートして加熱発泡させた断熱層を有する特殊断熱容器及び筒状胴巻を有しない容器本体だけからなる厚紙容器を用いて、その断熱性を比較した。容器は全て同じ容量のものを使用した。容器内に熱湯を注ぎ込み、容器内の熱湯が86.5℃のときの容器外壁面上の温度を測定した。結果を図8に示す。図示されているように、容器を素手で把持することのできる境界温度61℃未満にまで断熱する事が出来た容器は本発明の容器だけであり、筒状胴巻30の下端34に設けられた通気孔54が断熱のために絶大な効果を発揮していることが理解できる。
【0027】
次いで、JIS P8111に定められた方法に従い、23℃,相対湿度50%の室内でカップ剛度(カップを横から押したときに圧潰に耐える強度)を測定した。筒状胴巻を有しない容器本体のみのカップ剛度は210gfであるのに対し、本発明の容器のカップ剛度は500gfであった。これらの結果から明らかなように、本発明の容器は、筒状胴巻も含めた容器全体としての強度が通常の容器本体のみからなる容器に比べて約2.4倍も高い。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、二重構造にも拘わらず、安価で、かつ容易に製造することができ、しかも熱湯を注いだ場合でも、注入直後から素手で持続して把持できる優れた断熱性を示す紙製容器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の断熱性紙製容器の一例の概要断面図である。
【図2】筒状胴巻30を製造する工程図である。
【図3】筒状胴巻30のためのブランクの別の実施態様を示す部分平面図である。
【図4】図1に示された容器の底面図である。
【図5】図1に示された容器本体胴部上方寄りに段部9を形成する際の加工処理工程の一例を示す模式的断面図であり、(a)は容器本体が収容された雌金型内に回転可能な雄金型が嵌入されようとしている状態を示し、(b)は雄金型が回転しながら雌金型内の容器本体の上部を“しごき”加工して、段部9を形成している状態を示し、(c)は“しごき”加工が完了し雄金型が雌金型から分離された状態を示す。
【図6】本発明の断熱性紙製容器の製造装置の一例を示す模式図である。
【図7】本発明の実施例の断熱性紙製容器と比較例の断熱性紙製容器の断熱効果を示す特性図である。
【図8】本発明の実施例の断熱性紙製容器と比較例の断熱性紙製容器の他に、既存の他の容器との断熱性の相違を示す特性図である。
【符号の説明】
1 本発明の断熱性紙製容器
5 第1の側壁部
7 第2の側壁部
9 段部
10 容器本体
12 胴部
14 底板部
16 紙
18 ポリエチレンラミネートフィルム
20 胴部下端部
30 筒状胴巻
32 筒状胴巻上端部
34 筒状胴巻下端部
40 断熱空隙
Claims (6)
- 上端に口縁部を有する胴部と、該胴部の内壁面下端付近に係止された底板部とからなる容器本体と、該容器本体の胴部の外壁面側に装着された筒状胴巻とからなる紙製断熱容器において、
前記容器本体の胴部は、その上方寄り部分を半径方向外方へ拡径することにより形成された段部を有し、該段部から前記上端までの第1の側壁部分は第1のテーパを有し、該段部から前記下端までの第2の側壁部分は第2のテーパを有し、前記第1のテーパは前記第2のテーパと同一であるか、又は異なり、
前記筒状胴巻は前記胴部の第1の側壁部分の第1のテーパと大体同じテーパを有し、前記筒状胴巻の下端部には、胴巻の半径方向内方から上方へ向けて折り曲げるか又は内側へカールされた複数個の折曲片が該下端部の内周に沿って所定の間隔で設けられており、前記筒状胴巻が前記胴部に装着されたとき、前記筒状胴巻の上端寄り内壁面を前記胴部の第1の側壁部の外壁面に密着し、かつ、前記筒状胴巻の下端部に、前記胴部と筒状胴巻との間に形成された空隙と連通する通気孔を形成することを特徴とする断熱性紙製容器。 - 前記筒状胴巻が古紙含有率80%以上で、坪量が270g/cm2〜500g/cm2の範囲内の再生紙から形成されている、
ことを特徴とする請求項に記載の断熱性紙製容器。 - 前記筒状胴巻の上端部が前記容器本体胴部の口縁部下部に当接し、前記筒状胴巻の下端部が前記容器本体胴部の下端部と面一致である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の断熱性紙製容器。 - 前記筒状胴巻の上端部が前記容器本体胴部の口縁部下部に当接し、前記筒状胴巻の下端部が前記容器本体胴部の下端部よりも上側に位置に存在する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の断熱性紙製容器。 - 前記筒状胴巻の上方内壁面が前記容器本体胴部の第1の側壁部分に接着接合されている、
ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の断熱性紙製容器。 - 前記筒状胴巻の下端部折曲片が前記容器本体胴部の下端部外壁面に接着接合されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の断熱性紙製容器。
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