JP2004083818A - 熱収縮性フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】指紋付着による白化がなく、透明性及び熱収縮特性に優れた熱収縮性フィルムを提供する。
【解決手段】脂環式構造を含有してなる繰り返し単位を有し、かつ該繰り返し単位の10重量%以上がノルボルナン構造を有しないものである脂環式構造含有重合体樹脂(A)と、メタロセン重合触媒を用いて製造された0.900〜0.935g/cm3の範囲の密度を有し、かつ85〜125℃の範囲の融点を有する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)とを含んでなり、前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)との比率(重量比)が、A/Bで96/4〜50/50であるベースフィルムを少なくとも一方向に一軸延伸してなる層を少なくとも一層有することを特徴とする熱収縮性フィルム。
【選択図】なし
【解決手段】脂環式構造を含有してなる繰り返し単位を有し、かつ該繰り返し単位の10重量%以上がノルボルナン構造を有しないものである脂環式構造含有重合体樹脂(A)と、メタロセン重合触媒を用いて製造された0.900〜0.935g/cm3の範囲の密度を有し、かつ85〜125℃の範囲の融点を有する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)とを含んでなり、前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)との比率(重量比)が、A/Bで96/4〜50/50であるベースフィルムを少なくとも一方向に一軸延伸してなる層を少なくとも一層有することを特徴とする熱収縮性フィルム。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱収縮性フィルムに関し、さらに詳しくは指紋付着による白化がなく、透明性及び熱収縮特性に優れた熱収縮性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保護の観点から、包装分野においても廃棄焼却時に有害ガスを発生させるような、塩化ビニルをはじめとするハロゲンを含有する樹脂を別の材料に切り替えることが要求されている。このため、包装材料の主流はポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系材料からなる熱収縮性フィルムとなっている。熱収縮性フィルムとは被包装体を一旦おおまかに包み、次に例えば熱風トンネル等の方法で加熱処理を行うことによりフィルム自体に生じる収縮力を利用して収縮させ、被包装体に対して密着するように包装を行う収縮包装用フィルムである。食品業界や医薬品業界においては、広範囲に使用されている。被包装材料の種類、形状、使用方法等の観点から、包装材料に要求される特性も、より一層の耐熱性、防湿性、耐薬品性、透明性、機械強度などが要求されている。
【0003】
一方、ノルボルネン系重合体などに代表される脂環式構造含有重合体は、耐熱性、透明性、防湿性、耐薬品性等の特性において優れているために、上記食品包装や医薬品包装の分野において好適であることは従来から知られている。
【0004】
特開平8−165357号公報には、ノルボルネン系単量体の付加または開環重合体またはそれらのグラフト変性物から選ばれる樹脂を二軸延伸してなる熱収縮性シートやフィルム、及び当該重合体にさらに軟質重合体を配合した樹脂からなる熱収縮性シートやフィルムが開示されている。
また、本出願人は、特開2000−143829号公報において、脂環式構造を含有してなる繰り返し単位を有し、該繰り返し単位の10重量%以上がノルボルナン環を有しないものである脂環式構造含有重合体樹脂からなるシートまたはフィルムを延伸してなる層を少なくとも有することを特徴とする熱収縮性シートまたはフィルムを提案している。
【0005】
特開2000−202951号公報には、密度が0.94g/cm3未満のポリオレフィン系樹脂からなる層を中間層とし、この中間層の表裏面に、それぞれ特定の構造で表される環状オレフィン化合物及びエチレンからなる環状オレフィン系重合体、又は、特定の構造で表される環状オレフィン化合物を開環重合してなる重合体若しくはその水素添加物を主成分とする環状オレフィン系樹脂70〜90重量%と、結晶性ポリオレフィン系樹脂30〜10重量%との組成物からなる表面層及び裏面層を設けて積層体を形成し、この積層体を少なくとも一軸方向に3〜6倍延伸した熱収縮性ポリオレフィン系積層フィルムが開示されている。
【0006】
特開2001−162725号公報には、少なくとも3層からなる熱収縮性ポリオレフィン系フィルムにおいて、両表面層はガラス転移温度が50℃〜75℃の環状オレフィン系共重合樹脂、中間層はポリプロピレン系共重合樹脂を主成分とする樹脂組成物から構成されており、かつ該フイルムの厚み全体に対し、両表面層の合計の厚みが10〜40%、中間層の厚みが60〜90%であり、該フイルムは、100℃のグリセリン浴に30秒間浸漬した時の主収縮方向の熱収縮率が40%以上、主収縮方向に直交する方向の熱収縮率が15%以下であることを特徴とする熱収縮性ポリオレフィン系フィルムが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの公報に記載されている熱収縮フィルムを用いて包装すると、指紋などの油脂分が付着している部分が熱収縮時白化してしまう問題があることがわかり、さらなる改良が求められている。
従って、本発明の目的は、指紋付着による白化がなく、かつ透明性及び熱収縮特性に優れた熱収縮性フィルムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の脂環式構造含有重合体樹脂と特定の方法で製造された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とからなる組成物を用いることにより、上記目的を達成することができることを見出し、この知見に基づいてさらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
【0009】
かくして本発明によれば、
(1)脂環式構造を含有してなる繰り返し単位を有し、かつ該繰り返し単位の10重量%以上がノルボルナン構造を有しないものである脂環式構造含有重合体樹脂(A)と、メタロセン重合触媒を用いて製造された0.900〜0.935g/cm3の範囲の密度を有し、かつ85〜125℃の範囲の融点を有する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)とを含んでなり、前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)との比率(重量比)が、A/Bで96/4〜50/50であるベースフィルムを少なくとも一方向に一軸延伸してなる層を少なくとも一層有することを特徴とする熱収縮性フィルム、
(2)前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)の、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で規定される分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.0である前記(1)記載の熱収縮性フィルム、
(3)前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)が、ノルボルネン系開環重合体又はその水素添加物である前記(1)記載の熱収縮性フィルム。
(4)前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)のガラス転移温度が50〜90℃である前記(1)記載の熱収縮性フィルム、
がそれぞれ提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の熱収縮性フィルムは、脂環式構造を含有してなる繰り返し単位を有し、かつ該繰り返し単位の10重量%以上がノルボルナン構造を有しないものである脂環式構造含有重合体樹脂(A)と、メタロセン重合触媒を用いて製造された0.900〜0.935g/cm3の範囲の密度を有し、かつ85〜125℃の範囲の融点を有する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)とを含んでなり、前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)との比率(重量比)が、A/Bで96/4〜50/50であるベースフィルムを少なくとも一方向に一軸延伸してなる層を少なくとも一層有することを特徴とするものである。
【0011】
本発明の熱収縮性フィルムに使用する脂環式構造含有重合体とは、主鎖及び/又は側鎖に脂環式構造を有するものであり、機械強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有するものが好ましい。
【0012】
重合体の脂環式構造としては、飽和環状炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和環状炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられるが、機械強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が最も好ましい。脂環式構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械強度、耐熱性、及びフィルムの成形性の特性が高度にバランスされ、好適である。本発明に使用される脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合がこの範囲にあるとフィルムの透明性および耐熱性の観点から好ましい。
【0013】
本発明に使用する脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を含有してなる構造のうち、ノルボルナン環を有さない脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合は、10重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。ノルボルナン環を有さない脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合の多い方が特に熱収縮後の防湿性、機械強度に優れ好ましい。こうした脂環式構造含有重合体の具体例としては、例えば、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体、及び(1)〜(4)の水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系重合体水素添加物、ビニル脂環式炭化水素重合体及びその水素添加物が好ましい。
【0014】
(1)ノルボルネン系重合体
本発明に用いるノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系モノマーの開環重合体及びノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、ならびにこれらの水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体及びノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物が最も好ましい。
【0015】
ノルボルネン系モノマーとしては、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、トリシクロ〔4.3.01,6.12,5〕デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、7,8−ベンゾトリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3−エン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう:慣用名メタノテトラヒドロフルオレン)及びその誘導体、テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)及びその誘導体、などが挙げられる。
【0016】
置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基などが例示でき、上記ノルボルネン系モノマーは、これらを2種以上有していてもよい。具体的には、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
これらのノルボルネン系モノマーは、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0017】
これらノルボルネン系モノマーの開環重合体、またはノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体は、モノマー成分を、公知の開環重合触媒の存在下で重合して得ることができる。開環重合触媒としては、例えば、ルテニウム、オスミウムなどの金属のハロゲン化物と、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物、及び還元剤とからなる触媒、あるいは、チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いることができる。
ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体などを挙げることができる。
【0018】
ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素化物は、通常、上記開環重合体の重合溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を水素化することにより得ることができる。
【0019】
ノルボルネン系モノマーの付加重合体、またはノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加(共)重合体は、これらのモノマーを、公知の付加重合触媒、例えば、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いて(共)重合させて得ることができる。
【0020】
ノルボルネン系モノマーと付加共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン、及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン、及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが用いられる。これらの中でも、α−オレフィン、特にエチレンが好ましい。
【0021】
これらの、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとを共重合する場合は、共重合体中のノルボルネン系モノマー由来の構造単位と共重合可能なその他のモノマー由来の構造単位との割合が、重量比で通常30:70〜99:1、好ましくは50:50〜97:3、より好ましくは70:30〜95:5の範囲となるように適宜選択される。
【0022】
(2)単環の環状オレフィン系重合体
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体の付加重合体を用いることができる。
【0023】
(3)環状共役ジエン系重合体
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−または1,4−付加重合した重合体及びその水素化物などを用いることができる。
【0024】
(4)ビニル脂環式炭化水素重合体
ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環部分の水素化物;などが挙げられ、ビニル脂環式炭化水素重合体やビニル芳香族系単量体と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体などの共重合体及びその水素化物など、いずれでもよい。ブロック共重合体としては、ジブロック、トリブロック、またはそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合体などが挙げられ、特に制限はない。
【0025】
脂環式構造含有重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常5,000〜500,000、好ましくは8,000〜250,000、より好ましくは10,000〜200,000の範囲であるときに、樹脂の機械的強度及び成形加工性とが高度にバランスされて好適である。
【0026】
脂環式構造含有重合体樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃〜90℃の範囲である。脂環式構造含有重合体樹脂のTgを前記範囲にすることにより、高温下での使用においても変形や応力が生じることがなく耐久性に優れた熱収縮性フィルムを得ることができる。脂環式構造含有重合体樹脂のTgが前記下限温度を下回ると耐熱性の点で問題となる傾向があり、逆に上記上限温度を超えると成形時の延伸が不可能となる可能性がある。
【0027】
本発明の熱収縮性フィルムに使用する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)は、メタロセン重合触媒を用いて製造された0.900〜0.935g/cm3の範囲の密度を有し、かつ85〜125℃の範囲の融点を有するものである。
【0028】
本発明において、前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度は、0.900〜0.935g/cm3の範囲にある。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度が、この範囲を外れるとフィルムの透明性や熱収縮性に問題となる傾向がある。前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度は、0.910〜0.935g/cm3の範囲にあるのが好ましい。
【0029】
本発明において、前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点は、85〜125℃の範囲にある。前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点が、この範囲を外れるとフィルムの透明性や熱収縮性に問題となる傾向がある。前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点は、90〜125℃の範囲にあるのが好ましい。
【0030】
本発明において、前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で規定される分子量分布(Mw/Mn)が、好ましくは1.0〜3.0、さらに好ましくは1.5〜3.0である。分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲であることにより、熱収縮性が良好となる。
【0031】
本発明に使用するメタロセン重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、エチレン単独重合体であっても良く、また、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体であっても良い。炭素数3〜10のα−オレフィンの具体例としては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセンー1、4−メチル−1−ペンテン、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1などが挙げられる。これらのα−オレフィンは1種を単独で使用しても良く、また、2種以上を併用しても良い。
【0032】
エチレンとα−オレフィンとの共重合体はランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であっても良い。共重合体中のエチレンの含有量は、通常、共重合体全体に対して90モル%以上、好ましくは、93〜99.9モル%である。エチレンの量が90モル%以上にすることにより、機械的強度を向上させることができる。又、本発明の目的を阻害しなければ、酢酸ビニル、マレイン酸、ビニルアルコール、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどを共重合体全体の10モル%以下の範囲で、共重合していても良い。
【0033】
本発明の熱収縮性フィルムに使用する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、メタロセン重合触媒を用いて公知の製造法で得ることができる。例えば、エチレンやα−オレフィンを原料モノマーとして、メタロセン化合物と有機アルミニウム化合物及び/又はイオン性化合物の組合せからなる触媒系を用い、不活性ガス中での流動床式気相重合あるいは攪拌式気相重合、不活性溶媒中でのスラリー重合、モノマーを溶媒とするバルク重合などで製造される。
【0034】
本発明の熱収縮性フィルムに使用する脂環式構造含有重合体樹脂(A)とメタロセン重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)との比率(重量比)は、A/Bで96/4〜50/50、好ましくは90/10〜55/45である。前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)とメタロセン重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)との比率(重量比)が、A/Bで96/4より大きいと耐指紋付着白化性が悪くなる傾向にあり、50/50より小さいと透明性、熱収縮性が劣る傾向がある。
【0035】
本発明の熱収縮性フィルムに使用する前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)には、それぞれ、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機物充填材、無機物充填材、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止材、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマーなどの公知の添加剤を発明の効果が損なわれない範囲で添加することができる。
【0036】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、有機ホスファイト系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などが挙げられる。光安定剤としては、ヒンダードアミン系安定剤が挙げられる。紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0037】
帯電防止剤としては、ノニオン系帯電防止剤、カチオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤がある。分散剤としてはビスアミド系分散剤、ワックス系分散剤、有機金属塩系分散剤が挙げられる。
【0038】
難燃剤としては、リン酸系難燃剤、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、マグネシウムの炭酸塩、赤リン等が挙げられる。ブロッキング防止剤としては、シリカ、天然ゼオライト、合成ゼオライト、カオリン、タルク、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、溶融シリカ、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ハドロタルサイト系等の微粒子が挙げられる。スリップ剤としては、ラウリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの高級脂肪酸アミドが好適である。添加できるその他の樹脂としては、石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂やこれらの水素添加誘導体などがある。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体とこの水添物のスチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体とこの水添物のスチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体、エチレンプロピレンゴム、アイオノマーなどがある。
【0039】
本発明の熱収縮性フィルムを得るためには、脂環式構造含有重合体樹脂(A)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)、及び/又は他の添加剤を混合した後、ベースフィルム得、これを少なくとも一方向に一軸延伸する。
【0040】
本発明の熱収縮性フィルムに使用する前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)、及び/又は他の添加剤との混合方法としては、公知の方法が適用できる。例えば、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー、コニカルブレンダーなどで各成分を同時に混合する方法である。混合後、更に一軸押出機、二軸押出機、ニーダーなどにより溶融混練した後、造粒あるいは粉砕する方法などを用いることもできる。
【0041】
本発明の熱収縮性フィルムに使用するベースフィルムは、脂環式構造含有重合体樹脂(A)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)とを含んでなる。
本発明においては、前記ベースフィルムの厚さは、通常50〜500μm、好ましくは50〜300μmである。
本発明においては、前記ベースフィルムを得る方法としては、特に限定されず、例えば、Tダイ法、インフレーション法、プレス成形法など公知の方法が挙げられる。
【0042】
本発明の熱収縮性フィルムは、前記ベースフィルムを少なくとも一方向に一軸延伸して得られる。
延伸は、ロール方式、テンター方式、及びチューブ方式のいずれの方式で行うこともできる。具体的には、ベースフィルムを形成している脂環式構造含有重合体樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも0〜60℃、好ましくは10〜40℃高い温度に加熱する。次いで、この加熱したベースフィルムを幅方向(横方向;TD方向)に一軸延伸する。その際の延伸倍率は特に限定されないが、好ましくは1.2〜10.0倍、さらに好ましくは2.0〜6.0倍である。なお、必要に応じて、例えば長さ方向(縦方向;MD方向)にも、低い延伸倍率(例えば1.5倍以下)で延伸処理を施すことができる。本発明におけるベースフィルムには、このように、一方向のみ延伸された一軸延伸フィルム、及び主に一方向に延伸され、且つ該方向と直交する方向に若干延伸された二軸延伸フィルムが含まれる。
【0043】
本発明において、熱収縮性フィルムの厚さは好ましくは5〜400μmの範囲、さらに好ましくは8〜150μmの範囲である。厚さが5μm未満の場合フィルムに裂けが生じたり、逆に400μmを超えると透明性が劣り内容物が判別できなくなる恐れがある。
【0044】
本発明において、熱収縮性フィルムは、フィルムを構成する脂環式構造重合体樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも20℃低い温度から80℃高い温度の範囲内、例えば60〜120℃の範囲の温度雰囲気下に保持した場合に熱収縮が起こり、その際の熱収縮率は30〜90%、好ましくは35〜80%である。熱収縮率が上記範囲にあると、該フィルムの被包装体への密着性およびフィルムの諸物性が高度にバランスされて好適である。
【0045】
本発明の熱収縮性フィルムは、脂環式構造含有重合体樹脂(A)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)、及び/又は他の添加剤を含んでなる単層フィルムでもよく、必要に応じて他の樹脂からなるフィルムを積層した積層フィルムでもよい。他の樹脂からなるフィルムを積層する場合には、前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)からなるベースフィルムが最外層及び最内層となるように積層することが好ましい。
【0046】
他の樹脂としては、低密度又は高密度ポリエチレン系結晶性樹脂、ポリプロピレン系結晶性樹脂、ポリエステル系結晶性樹脂、ポリアミド系結晶性樹脂、フッ素系結晶性樹脂及び、その他の結晶性樹脂が挙げられる。これらの中でも、フィルムの防湿性、機械強度等のバランスの観点からポリエチレン系結晶性樹脂およびポリプロピレン系結晶性樹脂が好ましい。
積層フィルムとする場合、密着性向上のため接着剤を使用してもよい。この際、使用できる接着剤の具体例としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂接着剤、ポリビニルエーテル、アクリル樹脂、酢酸ビニルーエチレン共重合体などの熱可塑性樹脂接着剤、ポリアミド樹脂系ホットメルト接着剤、ニトリルゴムなどのゴム系接着剤などが挙げられる。
【0047】
本発明において、前記ベースフィルムを延伸してなる層に更に他の樹脂からなる層を積層して熱収縮性フィルムを構成する場合は、▲1▼脂環式構造含有重合体樹脂(A)及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)からなる層に対し他の樹脂からなる層を積層した積層フィルムをまず成形した後に延伸処理を行い熱収縮性シートまたはフィルムを得る方法、▲2▼脂環式構造含有重合体樹脂(A)及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)からなる層を延伸してなる層に対し、他の樹脂からなる層(好ましくは延伸してある)を積層して熱収縮性フィルムを得る方法等がある。積層の方法としては、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等の共押出による成形方法、ドライラミネーション等のフィルムラミネーション成形方法、及び基材樹脂フィルムに対して樹脂溶液をコーティングするようなコーティング成形方法などの公知の方法を適宜利用することができる。
【0048】
本発明の熱収縮性フィルムによって、被包装体を収縮包装する方法は特に限定はない。一般的な方法としては、当該フィルムによって被包装体を大まかに包み、次に熱風トンネル(以下、シュリンクトンネルという)を通して加熱するとフィルム自体に収縮力があらわれて収縮し、シートやフィルムが被包装体に密着して包装されるような方法が用いられる。
【0049】
本発明の熱収縮性フィルムには、熱収縮後に印刷加工を施してもよい。印刷加工の方法は特に限定されず公知の方法を使用すればよく、例えば、凸版印刷、凹版印刷、平板印刷が挙げられる。印刷に適用される印刷インキの種類は、前記印刷の方法により適宜最適なものを選択して使用すればよいが、例えば、凸版インキ、フレキソインキ、ドライオフセットインキ、グラビアインキ、グラビアオフセットインキ、オフセットインキ、スクリーンインキ等が挙げられる。
【0050】
印刷インキは少なくとも、色料(顔料、染料等が挙げられる)、ビヒクル(油脂、樹脂、及び溶剤との混合物で、油脂としては乾性油、半乾性油、不乾性油、加工油等;樹脂としては一般的な天然樹脂、合成樹脂;溶剤としては炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、水系溶剤が挙げられる)及び補助剤(コンパウンド類、ドライヤー類、その他分散剤、反応剤、消泡剤等の添加剤)から構成され、印刷される本発明の熱収縮性フィルム中の脂環式構造含有重合体樹脂の種類、使用目的に応じて、印刷インキの種類及び組成は適宜選択される。また、印刷インキを使用する前に本発明の熱収縮性フィルムに対しインクの密着性を高める目的で表面処理を施しておいてもよく、表面処理の方法としては、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、火炎処理、エンボス加工処理、サンドマット加工処理、梨地加工処理等が挙げられる。
【0051】
本発明の熱収縮性フィルムは、指紋付着による白化がなく、透明性及び熱収縮特性に優れている。このような特性から本発明の熱収縮性フィルムは、食品、薬品、及び器具、文具、ノートなど雑貨類の保存・運搬用の熱収縮性包装材料;キャップ、栓等の開封防止用シール包装材料;ボトル、容器等の熱収縮性ラベル材料に適している。
また、本発明の熱収縮性フィルムは、耐熱温度が高く、透明性且つ収縮性も良好なため耐熱のポリエチレンテレフタレート(PET)ボトルなどのラベルに好適である。
【0052】
【実施例】
本発明を、参考例、及び実施例を示しながら、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
本実施例における評価は、以下の方法によって行う。
(1)分子量
テトラヒドロフラン(THF)を溶媒にして、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求める。
(2)ガラス転移温度(Tg)
JIS−K7121に基づいて、示差走査熱量分析法(DSC)で測定する。(3)水素添加率
重合体の主鎖及び芳香環の水素添加率は、1H−NMRを測定し算出する。
(4)フィルムの厚み
マイクロゲージを用いて測定する。
【0053】
(5)耐指紋付着白化性
熱収縮性フィルムを、縦100mm×横100mmの大きさに切り取り、5人に軽く指紋を付着させた。その後90℃の湯浴に10秒間浸漬し、目視によりフィルムの白化の有無を以下の3段階で評価する。
○:いずれも白化が無い
△:1〜2サンプルが白化する
×:3〜5サンプルが白化する
(6)熱収縮性
熱収縮性フィルムを、縦100mm×横100mmの大きさに切り取り、90℃の湯浴に10秒間浸漬する。熱収縮性は、TD方向について、浸漬前後の長さの変化割合(%)(=(浸漬前のTD方向のフィルム長さ−浸漬後のTD方向のフィルム長さ)/(浸漬前のTD方向のフィルム長さ)×100)を算出し、以下の3段階で評価する。
○:50%以上
△:30%以上50%未満
×:30%未満
(7) 透明性
熱収縮性フィルムをJIS K6714に準じヘイズメーターで測定し、以下の3段階で評価する。
○:10未満
△:10以上30以下
×:30より大
【0054】
(参考例1)
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500部に、1−ヘキセン0.82部、ジブチルエーテル0.15部、及びトリイソブチルアルミニウム0.30部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、トリシクロ〔4.3.01,6.12,5〕デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン、以下、「DCP」と略記する。)160部と、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン(ノルボルネン、以下、「NB」と略す。)40部と、六塩化タングステン(0.7%トルエン溶液)80部とを、2時間かけて連続的に添加し重合した。重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06部とイソプロピルアルコール0.52部を加えて重合触媒を不活性化し重合反応を停止させた。
【0055】
次いで、得られた開環重合体を含有する反応溶液100部に対して、シクロヘキサン270部を加え、さらに水素添加触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学社製)5部を加え、水素により5MPaに加圧して撹拌しながら温度200℃まで加温した後、4時間反応させ、DCPD/NB開環共重合体水素添加物を20%含有する反応溶液を得た。濾過により水素化触媒を除去した後、前記水素添加物100部あたり0.1部のヒンダードフェノール系酸化防止剤(吉富製薬社製;トミノックスTT)を、得られた溶液に添加して溶解させた。次いで、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所製)を用いて、温度270℃、圧力1kPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を除去しつつ水素化物を溶融状態で押出機からストランド状に押出し、冷却後ペレット化してペレットを回収した。この開環共重合体水素添加物の、重量平均分子量(Mw)は35,000、水素添加率は99.8%、Tgは70℃、比重は1.01であった。
【0056】
(実施例1)
参考例1で得られたペレット70部とメタロセン重合触媒を用いて製造された密度0.918g/cm3、融点116℃、分子量分布(Mw/Mn)2.8の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE−1)30部とを、ブレンダーで混合したのち搬送しスクリュー径50mmφ、圧縮比2.5、L/D=30のスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有するハンガーマニホールドタイプのTダイ式フィルム溶融押出し成形機を使用し、ダイリップを0.5mm、溶融樹脂温度を220℃、Tダイの幅300mm、キャストロール温度60℃、冷却ロール温度50℃の条件で、厚さ100μmのフィルム1を得た。
得られたフィルム1を雰囲気温度90℃の条件で、テンダー延伸機を用いて、横方向(TD方向)に5倍延伸して厚さ20μmの熱収縮性フィルム1を得た。得られた熱収縮性フィルム1の測定結果及び評価結果を表1に示す。
【0057】
(実施例2)
メタロセン重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂として、密度0.931g/cm3、融点123℃、分子量分布(Mw/Mn)2.8のもの(LLDPE−2)を用いる他は、実施例1と同様にしてフィルム2を得、これを延伸して熱収縮性フィルム2を得た。得られた熱収縮性フィルム1の測定結果及び評価結果を表1に示す。
【0058】
(比較例1)
参考例1で得られたペレット97部とメタロセン重合触媒を用いて製造された密度0.918g/cm3、融点116℃、分子量分布(Mw/Mn)2.8の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE−1)3部を用いる他は、実施例1と同様にしてフィルム3を得、これを延伸して熱収縮性フィルム3を得た。得られた熱収縮性フィルム3の測定結果及び評価結果を表1に示す。
【0059】
(比較例2)
参考例1で得られたペレット40部とメタロセン重合触媒を用いて製造された密度0.918g/cm3、融点116℃、分子量分布(Mw/Mn)2.8の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE−1)60部を用いる他は、実施例1と同様にしてフィルム4を得、これを延伸して熱収縮性フィルム4を得た。得られた熱収縮性フィルム4の測定結果及び評価結果を表1に示す。
【0060】
(比較例3)
参考例1で得られたペレット70部とメタロセン重合触媒を用いて製造された密度0.937g/cm3、融点126℃、分子量分布(Mw/Mn)2.8の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE−3)30部を用いる他は、実施例1と同様にしてフィルム5を得、これを延伸して熱収縮性フィルム5を得た。得られた熱収縮性フィルム5の測定結果及び評価結果を表1に示す。
【0061】
(比較例4)
参考例1で得られたペレット70部とチーグラー重合触媒を用いて製造された密度0.931g/cm3、融点123℃、分子量分布(Mw/Mn)3.3の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE−4)30部を用いる他は、実施例1と同様にしてフィルム6を得、これを延伸して熱収縮性フィルム6を得た。得られた熱収縮性フィルム6の測定結果及び評価結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
表1の結果から以下のことがわかる。実施例に示すように、本発明の脂環式構造を含有してなる繰り返し単位を有し、かつ該繰り返し単位の10重量%以上がノルボルナン構造を有しないものである脂環式構造含有重合体樹脂(A)と、メタロセン重合触媒を用いて製造された0.900〜0.935g/cm3の範囲の密度を有し、かつ85〜125℃の範囲の融点を有する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)とを含んでなり、前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)との比率(重量比)が、A/Bで96/4〜50/50であるベースフィルムを少なくとも一方向に一軸延伸してなる層を少なくとも一層有することを特徴とする熱収縮性フィルムは、耐指紋付着白化性、熱収縮性及び透明性に優れている。
一方、メタロセン重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレンの配合量が少ないもの(比較例1)は、熱収縮性及び透明性には優れるが、耐指紋付着白化性に劣る。逆にメタロセン重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレンの配合量が多いもの(比較例2)、メタロセン重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレンでも密度及び融点が大きいもの(比較例3)、及び分子量分布(Mw/Mn)の大きい直鎖状低密度ポリエチレンを使用したもの(比較例4)は、耐指紋付着白化性、熱収縮性及び透明性に劣る。
【0064】
【発明の効果】
本発明の熱収縮性フィルムは、指紋付着による白化がなく、かつ透明性及び熱収縮特性に優れているので、食品、薬品、及び器具、文具、ノートなど雑貨類の保存・運搬用の熱収縮性包装材料;キャップ、栓等の開封防止用シール包装材料;ボトル、容器等の熱収縮性ラベル材料に有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱収縮性フィルムに関し、さらに詳しくは指紋付着による白化がなく、透明性及び熱収縮特性に優れた熱収縮性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保護の観点から、包装分野においても廃棄焼却時に有害ガスを発生させるような、塩化ビニルをはじめとするハロゲンを含有する樹脂を別の材料に切り替えることが要求されている。このため、包装材料の主流はポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系材料からなる熱収縮性フィルムとなっている。熱収縮性フィルムとは被包装体を一旦おおまかに包み、次に例えば熱風トンネル等の方法で加熱処理を行うことによりフィルム自体に生じる収縮力を利用して収縮させ、被包装体に対して密着するように包装を行う収縮包装用フィルムである。食品業界や医薬品業界においては、広範囲に使用されている。被包装材料の種類、形状、使用方法等の観点から、包装材料に要求される特性も、より一層の耐熱性、防湿性、耐薬品性、透明性、機械強度などが要求されている。
【0003】
一方、ノルボルネン系重合体などに代表される脂環式構造含有重合体は、耐熱性、透明性、防湿性、耐薬品性等の特性において優れているために、上記食品包装や医薬品包装の分野において好適であることは従来から知られている。
【0004】
特開平8−165357号公報には、ノルボルネン系単量体の付加または開環重合体またはそれらのグラフト変性物から選ばれる樹脂を二軸延伸してなる熱収縮性シートやフィルム、及び当該重合体にさらに軟質重合体を配合した樹脂からなる熱収縮性シートやフィルムが開示されている。
また、本出願人は、特開2000−143829号公報において、脂環式構造を含有してなる繰り返し単位を有し、該繰り返し単位の10重量%以上がノルボルナン環を有しないものである脂環式構造含有重合体樹脂からなるシートまたはフィルムを延伸してなる層を少なくとも有することを特徴とする熱収縮性シートまたはフィルムを提案している。
【0005】
特開2000−202951号公報には、密度が0.94g/cm3未満のポリオレフィン系樹脂からなる層を中間層とし、この中間層の表裏面に、それぞれ特定の構造で表される環状オレフィン化合物及びエチレンからなる環状オレフィン系重合体、又は、特定の構造で表される環状オレフィン化合物を開環重合してなる重合体若しくはその水素添加物を主成分とする環状オレフィン系樹脂70〜90重量%と、結晶性ポリオレフィン系樹脂30〜10重量%との組成物からなる表面層及び裏面層を設けて積層体を形成し、この積層体を少なくとも一軸方向に3〜6倍延伸した熱収縮性ポリオレフィン系積層フィルムが開示されている。
【0006】
特開2001−162725号公報には、少なくとも3層からなる熱収縮性ポリオレフィン系フィルムにおいて、両表面層はガラス転移温度が50℃〜75℃の環状オレフィン系共重合樹脂、中間層はポリプロピレン系共重合樹脂を主成分とする樹脂組成物から構成されており、かつ該フイルムの厚み全体に対し、両表面層の合計の厚みが10〜40%、中間層の厚みが60〜90%であり、該フイルムは、100℃のグリセリン浴に30秒間浸漬した時の主収縮方向の熱収縮率が40%以上、主収縮方向に直交する方向の熱収縮率が15%以下であることを特徴とする熱収縮性ポリオレフィン系フィルムが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの公報に記載されている熱収縮フィルムを用いて包装すると、指紋などの油脂分が付着している部分が熱収縮時白化してしまう問題があることがわかり、さらなる改良が求められている。
従って、本発明の目的は、指紋付着による白化がなく、かつ透明性及び熱収縮特性に優れた熱収縮性フィルムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の脂環式構造含有重合体樹脂と特定の方法で製造された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とからなる組成物を用いることにより、上記目的を達成することができることを見出し、この知見に基づいてさらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
【0009】
かくして本発明によれば、
(1)脂環式構造を含有してなる繰り返し単位を有し、かつ該繰り返し単位の10重量%以上がノルボルナン構造を有しないものである脂環式構造含有重合体樹脂(A)と、メタロセン重合触媒を用いて製造された0.900〜0.935g/cm3の範囲の密度を有し、かつ85〜125℃の範囲の融点を有する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)とを含んでなり、前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)との比率(重量比)が、A/Bで96/4〜50/50であるベースフィルムを少なくとも一方向に一軸延伸してなる層を少なくとも一層有することを特徴とする熱収縮性フィルム、
(2)前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)の、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で規定される分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.0である前記(1)記載の熱収縮性フィルム、
(3)前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)が、ノルボルネン系開環重合体又はその水素添加物である前記(1)記載の熱収縮性フィルム。
(4)前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)のガラス転移温度が50〜90℃である前記(1)記載の熱収縮性フィルム、
がそれぞれ提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の熱収縮性フィルムは、脂環式構造を含有してなる繰り返し単位を有し、かつ該繰り返し単位の10重量%以上がノルボルナン構造を有しないものである脂環式構造含有重合体樹脂(A)と、メタロセン重合触媒を用いて製造された0.900〜0.935g/cm3の範囲の密度を有し、かつ85〜125℃の範囲の融点を有する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)とを含んでなり、前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)との比率(重量比)が、A/Bで96/4〜50/50であるベースフィルムを少なくとも一方向に一軸延伸してなる層を少なくとも一層有することを特徴とするものである。
【0011】
本発明の熱収縮性フィルムに使用する脂環式構造含有重合体とは、主鎖及び/又は側鎖に脂環式構造を有するものであり、機械強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有するものが好ましい。
【0012】
重合体の脂環式構造としては、飽和環状炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和環状炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられるが、機械強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が最も好ましい。脂環式構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械強度、耐熱性、及びフィルムの成形性の特性が高度にバランスされ、好適である。本発明に使用される脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合がこの範囲にあるとフィルムの透明性および耐熱性の観点から好ましい。
【0013】
本発明に使用する脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を含有してなる構造のうち、ノルボルナン環を有さない脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合は、10重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。ノルボルナン環を有さない脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合の多い方が特に熱収縮後の防湿性、機械強度に優れ好ましい。こうした脂環式構造含有重合体の具体例としては、例えば、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体、及び(1)〜(4)の水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系重合体水素添加物、ビニル脂環式炭化水素重合体及びその水素添加物が好ましい。
【0014】
(1)ノルボルネン系重合体
本発明に用いるノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系モノマーの開環重合体及びノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、ならびにこれらの水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体及びノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物が最も好ましい。
【0015】
ノルボルネン系モノマーとしては、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、トリシクロ〔4.3.01,6.12,5〕デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、7,8−ベンゾトリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3−エン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう:慣用名メタノテトラヒドロフルオレン)及びその誘導体、テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)及びその誘導体、などが挙げられる。
【0016】
置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基などが例示でき、上記ノルボルネン系モノマーは、これらを2種以上有していてもよい。具体的には、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
これらのノルボルネン系モノマーは、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0017】
これらノルボルネン系モノマーの開環重合体、またはノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体は、モノマー成分を、公知の開環重合触媒の存在下で重合して得ることができる。開環重合触媒としては、例えば、ルテニウム、オスミウムなどの金属のハロゲン化物と、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物、及び還元剤とからなる触媒、あるいは、チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いることができる。
ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体などを挙げることができる。
【0018】
ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素化物は、通常、上記開環重合体の重合溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を水素化することにより得ることができる。
【0019】
ノルボルネン系モノマーの付加重合体、またはノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加(共)重合体は、これらのモノマーを、公知の付加重合触媒、例えば、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いて(共)重合させて得ることができる。
【0020】
ノルボルネン系モノマーと付加共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン、及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン、及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが用いられる。これらの中でも、α−オレフィン、特にエチレンが好ましい。
【0021】
これらの、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとを共重合する場合は、共重合体中のノルボルネン系モノマー由来の構造単位と共重合可能なその他のモノマー由来の構造単位との割合が、重量比で通常30:70〜99:1、好ましくは50:50〜97:3、より好ましくは70:30〜95:5の範囲となるように適宜選択される。
【0022】
(2)単環の環状オレフィン系重合体
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体の付加重合体を用いることができる。
【0023】
(3)環状共役ジエン系重合体
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−または1,4−付加重合した重合体及びその水素化物などを用いることができる。
【0024】
(4)ビニル脂環式炭化水素重合体
ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環部分の水素化物;などが挙げられ、ビニル脂環式炭化水素重合体やビニル芳香族系単量体と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体などの共重合体及びその水素化物など、いずれでもよい。ブロック共重合体としては、ジブロック、トリブロック、またはそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合体などが挙げられ、特に制限はない。
【0025】
脂環式構造含有重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常5,000〜500,000、好ましくは8,000〜250,000、より好ましくは10,000〜200,000の範囲であるときに、樹脂の機械的強度及び成形加工性とが高度にバランスされて好適である。
【0026】
脂環式構造含有重合体樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃〜90℃の範囲である。脂環式構造含有重合体樹脂のTgを前記範囲にすることにより、高温下での使用においても変形や応力が生じることがなく耐久性に優れた熱収縮性フィルムを得ることができる。脂環式構造含有重合体樹脂のTgが前記下限温度を下回ると耐熱性の点で問題となる傾向があり、逆に上記上限温度を超えると成形時の延伸が不可能となる可能性がある。
【0027】
本発明の熱収縮性フィルムに使用する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)は、メタロセン重合触媒を用いて製造された0.900〜0.935g/cm3の範囲の密度を有し、かつ85〜125℃の範囲の融点を有するものである。
【0028】
本発明において、前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度は、0.900〜0.935g/cm3の範囲にある。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度が、この範囲を外れるとフィルムの透明性や熱収縮性に問題となる傾向がある。前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度は、0.910〜0.935g/cm3の範囲にあるのが好ましい。
【0029】
本発明において、前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点は、85〜125℃の範囲にある。前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点が、この範囲を外れるとフィルムの透明性や熱収縮性に問題となる傾向がある。前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点は、90〜125℃の範囲にあるのが好ましい。
【0030】
本発明において、前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で規定される分子量分布(Mw/Mn)が、好ましくは1.0〜3.0、さらに好ましくは1.5〜3.0である。分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲であることにより、熱収縮性が良好となる。
【0031】
本発明に使用するメタロセン重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、エチレン単独重合体であっても良く、また、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体であっても良い。炭素数3〜10のα−オレフィンの具体例としては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセンー1、4−メチル−1−ペンテン、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1などが挙げられる。これらのα−オレフィンは1種を単独で使用しても良く、また、2種以上を併用しても良い。
【0032】
エチレンとα−オレフィンとの共重合体はランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であっても良い。共重合体中のエチレンの含有量は、通常、共重合体全体に対して90モル%以上、好ましくは、93〜99.9モル%である。エチレンの量が90モル%以上にすることにより、機械的強度を向上させることができる。又、本発明の目的を阻害しなければ、酢酸ビニル、マレイン酸、ビニルアルコール、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどを共重合体全体の10モル%以下の範囲で、共重合していても良い。
【0033】
本発明の熱収縮性フィルムに使用する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、メタロセン重合触媒を用いて公知の製造法で得ることができる。例えば、エチレンやα−オレフィンを原料モノマーとして、メタロセン化合物と有機アルミニウム化合物及び/又はイオン性化合物の組合せからなる触媒系を用い、不活性ガス中での流動床式気相重合あるいは攪拌式気相重合、不活性溶媒中でのスラリー重合、モノマーを溶媒とするバルク重合などで製造される。
【0034】
本発明の熱収縮性フィルムに使用する脂環式構造含有重合体樹脂(A)とメタロセン重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)との比率(重量比)は、A/Bで96/4〜50/50、好ましくは90/10〜55/45である。前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)とメタロセン重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)との比率(重量比)が、A/Bで96/4より大きいと耐指紋付着白化性が悪くなる傾向にあり、50/50より小さいと透明性、熱収縮性が劣る傾向がある。
【0035】
本発明の熱収縮性フィルムに使用する前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)には、それぞれ、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機物充填材、無機物充填材、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止材、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマーなどの公知の添加剤を発明の効果が損なわれない範囲で添加することができる。
【0036】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、有機ホスファイト系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などが挙げられる。光安定剤としては、ヒンダードアミン系安定剤が挙げられる。紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0037】
帯電防止剤としては、ノニオン系帯電防止剤、カチオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤がある。分散剤としてはビスアミド系分散剤、ワックス系分散剤、有機金属塩系分散剤が挙げられる。
【0038】
難燃剤としては、リン酸系難燃剤、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、マグネシウムの炭酸塩、赤リン等が挙げられる。ブロッキング防止剤としては、シリカ、天然ゼオライト、合成ゼオライト、カオリン、タルク、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、溶融シリカ、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ハドロタルサイト系等の微粒子が挙げられる。スリップ剤としては、ラウリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの高級脂肪酸アミドが好適である。添加できるその他の樹脂としては、石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂やこれらの水素添加誘導体などがある。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体とこの水添物のスチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体とこの水添物のスチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体、エチレンプロピレンゴム、アイオノマーなどがある。
【0039】
本発明の熱収縮性フィルムを得るためには、脂環式構造含有重合体樹脂(A)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)、及び/又は他の添加剤を混合した後、ベースフィルム得、これを少なくとも一方向に一軸延伸する。
【0040】
本発明の熱収縮性フィルムに使用する前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)、及び/又は他の添加剤との混合方法としては、公知の方法が適用できる。例えば、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー、コニカルブレンダーなどで各成分を同時に混合する方法である。混合後、更に一軸押出機、二軸押出機、ニーダーなどにより溶融混練した後、造粒あるいは粉砕する方法などを用いることもできる。
【0041】
本発明の熱収縮性フィルムに使用するベースフィルムは、脂環式構造含有重合体樹脂(A)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)とを含んでなる。
本発明においては、前記ベースフィルムの厚さは、通常50〜500μm、好ましくは50〜300μmである。
本発明においては、前記ベースフィルムを得る方法としては、特に限定されず、例えば、Tダイ法、インフレーション法、プレス成形法など公知の方法が挙げられる。
【0042】
本発明の熱収縮性フィルムは、前記ベースフィルムを少なくとも一方向に一軸延伸して得られる。
延伸は、ロール方式、テンター方式、及びチューブ方式のいずれの方式で行うこともできる。具体的には、ベースフィルムを形成している脂環式構造含有重合体樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも0〜60℃、好ましくは10〜40℃高い温度に加熱する。次いで、この加熱したベースフィルムを幅方向(横方向;TD方向)に一軸延伸する。その際の延伸倍率は特に限定されないが、好ましくは1.2〜10.0倍、さらに好ましくは2.0〜6.0倍である。なお、必要に応じて、例えば長さ方向(縦方向;MD方向)にも、低い延伸倍率(例えば1.5倍以下)で延伸処理を施すことができる。本発明におけるベースフィルムには、このように、一方向のみ延伸された一軸延伸フィルム、及び主に一方向に延伸され、且つ該方向と直交する方向に若干延伸された二軸延伸フィルムが含まれる。
【0043】
本発明において、熱収縮性フィルムの厚さは好ましくは5〜400μmの範囲、さらに好ましくは8〜150μmの範囲である。厚さが5μm未満の場合フィルムに裂けが生じたり、逆に400μmを超えると透明性が劣り内容物が判別できなくなる恐れがある。
【0044】
本発明において、熱収縮性フィルムは、フィルムを構成する脂環式構造重合体樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも20℃低い温度から80℃高い温度の範囲内、例えば60〜120℃の範囲の温度雰囲気下に保持した場合に熱収縮が起こり、その際の熱収縮率は30〜90%、好ましくは35〜80%である。熱収縮率が上記範囲にあると、該フィルムの被包装体への密着性およびフィルムの諸物性が高度にバランスされて好適である。
【0045】
本発明の熱収縮性フィルムは、脂環式構造含有重合体樹脂(A)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)、及び/又は他の添加剤を含んでなる単層フィルムでもよく、必要に応じて他の樹脂からなるフィルムを積層した積層フィルムでもよい。他の樹脂からなるフィルムを積層する場合には、前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)からなるベースフィルムが最外層及び最内層となるように積層することが好ましい。
【0046】
他の樹脂としては、低密度又は高密度ポリエチレン系結晶性樹脂、ポリプロピレン系結晶性樹脂、ポリエステル系結晶性樹脂、ポリアミド系結晶性樹脂、フッ素系結晶性樹脂及び、その他の結晶性樹脂が挙げられる。これらの中でも、フィルムの防湿性、機械強度等のバランスの観点からポリエチレン系結晶性樹脂およびポリプロピレン系結晶性樹脂が好ましい。
積層フィルムとする場合、密着性向上のため接着剤を使用してもよい。この際、使用できる接着剤の具体例としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂接着剤、ポリビニルエーテル、アクリル樹脂、酢酸ビニルーエチレン共重合体などの熱可塑性樹脂接着剤、ポリアミド樹脂系ホットメルト接着剤、ニトリルゴムなどのゴム系接着剤などが挙げられる。
【0047】
本発明において、前記ベースフィルムを延伸してなる層に更に他の樹脂からなる層を積層して熱収縮性フィルムを構成する場合は、▲1▼脂環式構造含有重合体樹脂(A)及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)からなる層に対し他の樹脂からなる層を積層した積層フィルムをまず成形した後に延伸処理を行い熱収縮性シートまたはフィルムを得る方法、▲2▼脂環式構造含有重合体樹脂(A)及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)からなる層を延伸してなる層に対し、他の樹脂からなる層(好ましくは延伸してある)を積層して熱収縮性フィルムを得る方法等がある。積層の方法としては、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等の共押出による成形方法、ドライラミネーション等のフィルムラミネーション成形方法、及び基材樹脂フィルムに対して樹脂溶液をコーティングするようなコーティング成形方法などの公知の方法を適宜利用することができる。
【0048】
本発明の熱収縮性フィルムによって、被包装体を収縮包装する方法は特に限定はない。一般的な方法としては、当該フィルムによって被包装体を大まかに包み、次に熱風トンネル(以下、シュリンクトンネルという)を通して加熱するとフィルム自体に収縮力があらわれて収縮し、シートやフィルムが被包装体に密着して包装されるような方法が用いられる。
【0049】
本発明の熱収縮性フィルムには、熱収縮後に印刷加工を施してもよい。印刷加工の方法は特に限定されず公知の方法を使用すればよく、例えば、凸版印刷、凹版印刷、平板印刷が挙げられる。印刷に適用される印刷インキの種類は、前記印刷の方法により適宜最適なものを選択して使用すればよいが、例えば、凸版インキ、フレキソインキ、ドライオフセットインキ、グラビアインキ、グラビアオフセットインキ、オフセットインキ、スクリーンインキ等が挙げられる。
【0050】
印刷インキは少なくとも、色料(顔料、染料等が挙げられる)、ビヒクル(油脂、樹脂、及び溶剤との混合物で、油脂としては乾性油、半乾性油、不乾性油、加工油等;樹脂としては一般的な天然樹脂、合成樹脂;溶剤としては炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、水系溶剤が挙げられる)及び補助剤(コンパウンド類、ドライヤー類、その他分散剤、反応剤、消泡剤等の添加剤)から構成され、印刷される本発明の熱収縮性フィルム中の脂環式構造含有重合体樹脂の種類、使用目的に応じて、印刷インキの種類及び組成は適宜選択される。また、印刷インキを使用する前に本発明の熱収縮性フィルムに対しインクの密着性を高める目的で表面処理を施しておいてもよく、表面処理の方法としては、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、火炎処理、エンボス加工処理、サンドマット加工処理、梨地加工処理等が挙げられる。
【0051】
本発明の熱収縮性フィルムは、指紋付着による白化がなく、透明性及び熱収縮特性に優れている。このような特性から本発明の熱収縮性フィルムは、食品、薬品、及び器具、文具、ノートなど雑貨類の保存・運搬用の熱収縮性包装材料;キャップ、栓等の開封防止用シール包装材料;ボトル、容器等の熱収縮性ラベル材料に適している。
また、本発明の熱収縮性フィルムは、耐熱温度が高く、透明性且つ収縮性も良好なため耐熱のポリエチレンテレフタレート(PET)ボトルなどのラベルに好適である。
【0052】
【実施例】
本発明を、参考例、及び実施例を示しながら、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
本実施例における評価は、以下の方法によって行う。
(1)分子量
テトラヒドロフラン(THF)を溶媒にして、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求める。
(2)ガラス転移温度(Tg)
JIS−K7121に基づいて、示差走査熱量分析法(DSC)で測定する。(3)水素添加率
重合体の主鎖及び芳香環の水素添加率は、1H−NMRを測定し算出する。
(4)フィルムの厚み
マイクロゲージを用いて測定する。
【0053】
(5)耐指紋付着白化性
熱収縮性フィルムを、縦100mm×横100mmの大きさに切り取り、5人に軽く指紋を付着させた。その後90℃の湯浴に10秒間浸漬し、目視によりフィルムの白化の有無を以下の3段階で評価する。
○:いずれも白化が無い
△:1〜2サンプルが白化する
×:3〜5サンプルが白化する
(6)熱収縮性
熱収縮性フィルムを、縦100mm×横100mmの大きさに切り取り、90℃の湯浴に10秒間浸漬する。熱収縮性は、TD方向について、浸漬前後の長さの変化割合(%)(=(浸漬前のTD方向のフィルム長さ−浸漬後のTD方向のフィルム長さ)/(浸漬前のTD方向のフィルム長さ)×100)を算出し、以下の3段階で評価する。
○:50%以上
△:30%以上50%未満
×:30%未満
(7) 透明性
熱収縮性フィルムをJIS K6714に準じヘイズメーターで測定し、以下の3段階で評価する。
○:10未満
△:10以上30以下
×:30より大
【0054】
(参考例1)
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500部に、1−ヘキセン0.82部、ジブチルエーテル0.15部、及びトリイソブチルアルミニウム0.30部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、トリシクロ〔4.3.01,6.12,5〕デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン、以下、「DCP」と略記する。)160部と、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン(ノルボルネン、以下、「NB」と略す。)40部と、六塩化タングステン(0.7%トルエン溶液)80部とを、2時間かけて連続的に添加し重合した。重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06部とイソプロピルアルコール0.52部を加えて重合触媒を不活性化し重合反応を停止させた。
【0055】
次いで、得られた開環重合体を含有する反応溶液100部に対して、シクロヘキサン270部を加え、さらに水素添加触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学社製)5部を加え、水素により5MPaに加圧して撹拌しながら温度200℃まで加温した後、4時間反応させ、DCPD/NB開環共重合体水素添加物を20%含有する反応溶液を得た。濾過により水素化触媒を除去した後、前記水素添加物100部あたり0.1部のヒンダードフェノール系酸化防止剤(吉富製薬社製;トミノックスTT)を、得られた溶液に添加して溶解させた。次いで、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所製)を用いて、温度270℃、圧力1kPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を除去しつつ水素化物を溶融状態で押出機からストランド状に押出し、冷却後ペレット化してペレットを回収した。この開環共重合体水素添加物の、重量平均分子量(Mw)は35,000、水素添加率は99.8%、Tgは70℃、比重は1.01であった。
【0056】
(実施例1)
参考例1で得られたペレット70部とメタロセン重合触媒を用いて製造された密度0.918g/cm3、融点116℃、分子量分布(Mw/Mn)2.8の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE−1)30部とを、ブレンダーで混合したのち搬送しスクリュー径50mmφ、圧縮比2.5、L/D=30のスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有するハンガーマニホールドタイプのTダイ式フィルム溶融押出し成形機を使用し、ダイリップを0.5mm、溶融樹脂温度を220℃、Tダイの幅300mm、キャストロール温度60℃、冷却ロール温度50℃の条件で、厚さ100μmのフィルム1を得た。
得られたフィルム1を雰囲気温度90℃の条件で、テンダー延伸機を用いて、横方向(TD方向)に5倍延伸して厚さ20μmの熱収縮性フィルム1を得た。得られた熱収縮性フィルム1の測定結果及び評価結果を表1に示す。
【0057】
(実施例2)
メタロセン重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂として、密度0.931g/cm3、融点123℃、分子量分布(Mw/Mn)2.8のもの(LLDPE−2)を用いる他は、実施例1と同様にしてフィルム2を得、これを延伸して熱収縮性フィルム2を得た。得られた熱収縮性フィルム1の測定結果及び評価結果を表1に示す。
【0058】
(比較例1)
参考例1で得られたペレット97部とメタロセン重合触媒を用いて製造された密度0.918g/cm3、融点116℃、分子量分布(Mw/Mn)2.8の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE−1)3部を用いる他は、実施例1と同様にしてフィルム3を得、これを延伸して熱収縮性フィルム3を得た。得られた熱収縮性フィルム3の測定結果及び評価結果を表1に示す。
【0059】
(比較例2)
参考例1で得られたペレット40部とメタロセン重合触媒を用いて製造された密度0.918g/cm3、融点116℃、分子量分布(Mw/Mn)2.8の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE−1)60部を用いる他は、実施例1と同様にしてフィルム4を得、これを延伸して熱収縮性フィルム4を得た。得られた熱収縮性フィルム4の測定結果及び評価結果を表1に示す。
【0060】
(比較例3)
参考例1で得られたペレット70部とメタロセン重合触媒を用いて製造された密度0.937g/cm3、融点126℃、分子量分布(Mw/Mn)2.8の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE−3)30部を用いる他は、実施例1と同様にしてフィルム5を得、これを延伸して熱収縮性フィルム5を得た。得られた熱収縮性フィルム5の測定結果及び評価結果を表1に示す。
【0061】
(比較例4)
参考例1で得られたペレット70部とチーグラー重合触媒を用いて製造された密度0.931g/cm3、融点123℃、分子量分布(Mw/Mn)3.3の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE−4)30部を用いる他は、実施例1と同様にしてフィルム6を得、これを延伸して熱収縮性フィルム6を得た。得られた熱収縮性フィルム6の測定結果及び評価結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
表1の結果から以下のことがわかる。実施例に示すように、本発明の脂環式構造を含有してなる繰り返し単位を有し、かつ該繰り返し単位の10重量%以上がノルボルナン構造を有しないものである脂環式構造含有重合体樹脂(A)と、メタロセン重合触媒を用いて製造された0.900〜0.935g/cm3の範囲の密度を有し、かつ85〜125℃の範囲の融点を有する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)とを含んでなり、前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)との比率(重量比)が、A/Bで96/4〜50/50であるベースフィルムを少なくとも一方向に一軸延伸してなる層を少なくとも一層有することを特徴とする熱収縮性フィルムは、耐指紋付着白化性、熱収縮性及び透明性に優れている。
一方、メタロセン重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレンの配合量が少ないもの(比較例1)は、熱収縮性及び透明性には優れるが、耐指紋付着白化性に劣る。逆にメタロセン重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレンの配合量が多いもの(比較例2)、メタロセン重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレンでも密度及び融点が大きいもの(比較例3)、及び分子量分布(Mw/Mn)の大きい直鎖状低密度ポリエチレンを使用したもの(比較例4)は、耐指紋付着白化性、熱収縮性及び透明性に劣る。
【0064】
【発明の効果】
本発明の熱収縮性フィルムは、指紋付着による白化がなく、かつ透明性及び熱収縮特性に優れているので、食品、薬品、及び器具、文具、ノートなど雑貨類の保存・運搬用の熱収縮性包装材料;キャップ、栓等の開封防止用シール包装材料;ボトル、容器等の熱収縮性ラベル材料に有用である。
Claims (4)
- 脂環式構造を含有してなる繰り返し単位を有し、かつ該繰り返し単位の10重量%以上がノルボルナン構造を有しないものである脂環式構造含有重合体樹脂(A)と、メタロセン重合触媒を用いて製造された0.900〜0.935g/cm3の範囲の密度を有し、かつ85〜125℃の範囲の融点を有する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)とを含んでなり、前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)との比率(重量比)が、A/Bで96/4〜50/50であるベースフィルムを少なくとも一方向に一軸延伸してなる層を少なくとも一層有することを特徴とする熱収縮性フィルム。
- 前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B)の、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で規定される分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.0である請求項1記載の熱収縮性フィルム。
- 前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)が、ノルボルネン系開環重合体水素添加物である請求項1記載の熱収縮性フィルム。
- 前記脂環式構造含有重合体樹脂(A)のガラス転移温度が50〜90℃である請求項1に記載の熱収縮性フィルム。
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