JP2004083576A - Hiv感受性株に対して活性をもち、ヌクレオシド系ならびに非ヌクレオシド系の逆転写酵素阻害剤、およびプロテアーゼ阻害剤に対し抵抗性のhiv株に対して活性をもつ抗レトロウイルス治療薬を得るための、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体の使用 - Google Patents
Hiv感受性株に対して活性をもち、ヌクレオシド系ならびに非ヌクレオシド系の逆転写酵素阻害剤、およびプロテアーゼ阻害剤に対し抵抗性のhiv株に対して活性をもつ抗レトロウイルス治療薬を得るための、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体の使用 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】薬理および治療分野に関係し、特に、HIV感受性株に対して活性があり、また、現行の抗HIV療法に抵抗を持つHIV株に対して活性を持つ抗レトロウイルス薬を得るためにクロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体の使用方法の提供。
【解決手段】抗レトロウイルス治療薬、特に、既知の治療法に対して感受性および/または抵抗性のレトロウイルス株が原因となるHIV感染症の治療における薬剤を得るための、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。該4アミノ−キノリン酸誘導体は、クロロキンおよび/またはヒドロキシクロロキンであり、その薬剤は、一日に一回または数回経口投与することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】抗レトロウイルス治療薬、特に、既知の治療法に対して感受性および/または抵抗性のレトロウイルス株が原因となるHIV感染症の治療における薬剤を得るための、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。該4アミノ−キノリン酸誘導体は、クロロキンおよび/またはヒドロキシクロロキンであり、その薬剤は、一日に一回または数回経口投与することができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薬理および治療分野に関係し、特に、HIV感受性株に対して活性があり、また、現行の抗HIV療法に抵抗をもつHIV株に対して活性をもつ抗レトロウイルス薬を得るためにクロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体を使用することに関する。
【0002】
【従来の技術】
HIVに対するクロロキンの活性は、最初Tsai(1990)によって記述され、この物質が、転写後過程に介入することによって、リンパ球系由来の細胞の連続培養においてHIV複製サイクルを阻害することが実証された。これらのインビトロにおける結果は、その後いくつかの研究において確認されており、それらの研究では、ヒドロキシクロロキンを使用するか、長期間クロロキンで治療した患者の血漿内で達成可能な濃度と同じ濃度のクロロキンで培養細胞を処理すると、HIV複製サイクルの阻害が観察された(Sperber,1993;Chiang,1996)。
【0003】
PBMC、ならびに、Tリンパ球(CEM)および単球(U−937)に由来する連続継代細胞系を用いて行われたSperber(1993)の研究は、ヒドロキシクロロキンが、初代細胞系(PBMC)においても、単球−リンパ球由来の連続継代細胞系(U−937;CEM)においてもHIV−1の複製を阻害する(>75%)ことを明確に示した。ヒドロキシクロロキンを、ウイルス複製を阻害するのに適した濃度で使用しても、細胞培養において毒性作用は見られなかった。その上、ヒドロキシクロロキンは、感染性ウイルス粒子の産生をほぼ完全に阻害する。事実、ヒドロキシクロロキンで処理した培養細胞から得られたウイルス調製物は、標的として用いられるCEMにほとんど感染しない。
【0004】
インビトロの実験で、Boelaertら(1999)は、ddI(ジダノシン(didanosine))とHU(ヒドロキシウレア)を併せたものにヒドロキシクロロキンを加えると、HIV複製を阻害する特別な作用がもたらされることを示した。
【0005】
AZTとHUを併せたものにヒドロキシクロロキンを加えたときにインビトロで得られる付加的な効果について、Boelaertら(2001)により、実質的に類似した結果が報告されている。
【0006】
Lange(1994)は、7から15マイクロMの血漿内ヒドロキシクロロキン濃度では、18〜24ヶ月間という長期間でも、網膜症を誘発することはほとんどなかった。
【0007】
ヒドロキシクロロキンの抗レトロウイルス作用を評価するのに適した最初の臨床実験は、Sperberら(1995)によって行われた。
【0008】
細胞1mm3当たりT CD4+の数が200〜500個であるという特徴をもつ40人の無症状のHIV−1陽性患者を観察し、二重盲検無作為化法を用いて解析を行った。ヒドロキシクロロキン(800mg/日)かプラセボの投与を8週間受けさせるため、患者を無作為にグループ化した。本実験の最後には、HIV−RNAの量が、ヒドロキシクロロキンで処理したグループでは減少し、プラセボで処理したグループでは基底値と較べて増加していた。ヒドロキシクロロキンで処理したグループではネガティブな現象は観察されなかった。
【0009】
細胞1mm3当たりCD4の数が200〜500個であるという特徴をもつ38人のHIV+患者に対して実施された別の予備的臨床実験(Sperberら、1997)では、800mg/日のヒドロキシクロロキン投与が、対照(プラセボ)を代表するグループに比べて、ヒドロキシクロロキンを投与された患者グループにおける血漿内HIV−RNAの有意な減少を決定づけた。
【0010】
これらの予備的観察結果は、次に、細胞1mm3当たりCD4の数が200〜500個であるという特徴をもつ72人の無発症患者において、ヒドロキシクロロキンとAZTの有効性の比較を目的とする第2の16週間の無作為試験をもたらした。
【0011】
患者は、800mg/日のヒドロキシクロロキン(n=35)と500mg/日のAZT(n=37)を投与を受けるよう無作為抽出された。すべての患者が16週間の試験を完了し、ヒドロキシクロロキンを投与されたグループおよびAZTを投与されたグループのどちらにおいても、ネガティブな現象は見られなかった。
【0012】
両グループの患者とも、実験開始から16週間後にはHIV−RNA、血清p24、および血漿内感染性ウイルス力価が有意な低下を示した。この実験では、全体的なデータ解析結果は、血漿内のウイルス血の低下については、AZTの方が、有効性が高いことを示していたが、8人の患者は、AZTによる治療の終了時に血漿内ウイルス血の上昇を示した。このような偶然の結果は、AZTによる治療中に、該薬剤に抵抗性をもつウイルス変異体が出現したことを示唆するものであった。
【0013】
これに対し、ヒドロキシクロロキンの抗ウイルス活性はより長く続くことが分かり、この薬剤による試験を受けた患者で、8週目および16週目に血漿内ウイルス血の上昇を示すものは一人もいなかった。これらの実験データは、ヒドロキシクロロキンに対する抵抗性の出現が、比較的生じにくい現象であることを示しているのかもしれない。
【0014】
最近になって(Patonら、2002)、ヒドロキシクロロキン(400mg/日)+HU+ddIを併用したものの抗ウイルス活性がインビボで評価された。すなわち、血漿内ウイルスが1ml当たり10,000コピーよりも多く、T CD4+細胞の数が150/mmcよりも多い、HIV−1無症候性感染患者22人において、実験を48週間行った。この治療法は、十分に耐えられるものであり、実験期間中、血漿内HIV−RNAが対数で1.3減少する結果となった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、該実験および観察は、HIV感染症におけるクロロキンおよび/またはヒドロキシクロロキン、および、一般的には4アミノ−キノリン酸誘導体の使用について治療適応を規定することも、提供することもなかった。該実験は、現行の抗AIDS療法に不完全または完全に耐性をもつウイルス株を全く無視していた。
【0016】
HIV感染症の治療に使用されている薬剤で今までに知られているものは、主に2つのクラス(ヌクレオシド系ならびに非ヌクレオシド系の逆転写酵素阻害剤、およびプロテアーゼ阻害剤)に属するが、これらの作用機序は、逆転写酵素およびプロテアーゼという2種類のウイルス酵素の阻害に帰することができ、そのため、ウイルスゲノムにおいて、クラス内またはクラス間における交差耐性をもたらす変異を容易に選択する。これらの薬剤には、さらに、高価である、投与法が複雑だという特徴、およびあまり知られていない慢性毒性という特徴をもつなどの短所がある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の主な目的は、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および、一般的には4アミノ−キノリン酸誘導体を使用して、感染の標的となるすべての細胞においてHIVウイルス複製を長期的に阻害する活性を示すことができ、また、この文脈上から、同等の有効性をもって、現行の抗レトロウイルス治療に感受性であるにせよ抵抗性であるにせよ、HIV株の複製を阻害することができる抗レトロウイルス治療用薬剤を得ることを提案することである。
【0018】
別の目的は、4アミノ−キノリン酸誘導体、特に、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンを使用して、化学療法用の廉価で経口投与可能な薬剤であって、ごく僅かな割合でしか、抵抗性のウイルス変異体を選択することはなく、また、この感染症を治療するために使用される他の薬剤に対して何ら活性を示さないものを得ることを提案することである。
【0019】
最後の点に関し、更なる目的は、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および、他の4アミノ−キノリン酸誘導体を使用して、ウイルス粒子の成熟(ウイルスのペリカプシド(pericapsid)であるgp120のグリコシル化部位における構造的変化)を阻害することができ、そのために、これまでに知られている薬剤の機序とは基本的に異なる新規の機序によって特徴づけられ、また、このため、それらの薬剤と一緒になって付加的または協働的な活性をもつ薬剤を得ることを提案することである。
【0020】
上記の目的は、請求の範囲の記載にしたがって達成される。
【0021】
ヒドロキシクロロキン、クロロキン、および4アミノ−キノリン酸の抗レトロウイルス活性は、実験用ウイルス株に限定されるものではなく、単球およびリンパ球の培養物中のX4、R5、X4/R5などの臨床分離株に対し、HIV−1のサブタイプCに対し、また、HIV−2およびHIV−1の既知のサブタイプすべて(A−O)に対しても観察することができる。HIV−1のサブタイプCおよびHIV−2に対する阻害効果が、これらのウイルスのアフリカにおける広範な拡散を考えると、特に関心の対象となる。
【0022】
ヒドロキシクロロキン、クロロキン、および、一般的に4アミノ−キノリン酸誘導体は、細胞の中で酸性小胞レベルにおいて何らかの変化を誘導し、その結果、タンパク質の翻訳後修飾によって生じる必須酵素に何らかの機能障害を生じさせることのできる弱塩基である。
【0023】
実際、弱塩基は、酸性小胞のpHを上昇させることによって、酸性加水分解酵素など、さまざまな酵素を分解し、したがって、新たに形成されたウイルスタンパク質の構造修飾を阻害する。酸性小胞において、pHの上昇は、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体の量に依存し、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体で処理した培養を何回も継代した後に得られるウイルスは感染性がない(Chiangら、1996)。クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体は、既知の抗レトロウイルス化学治療薬(ヌクレオシド系および非ヌクレオシド系の逆転写酵素阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤)の作用とは全く異なる作用(gp120のグリコシル化部位の変化)を示すため、既知の抗レトロウイルス化学治療薬すべてと組み合わせて使用することができる。
【0024】
実際、Boelaertら(1999、2001)のインビトロ実験は、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンをAZT、ddI、HUと併用したときのHIV−1複製に対する付加的効果を強調した。
【0025】
クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体は長い間使われているため、毒性をもつという側面がよく知られている。CQ、HCQ、および4アミノ−キノリン酸誘導体のインビボでの毒性を眼のレベル(網膜黄斑症)で観察することができ、毎日の投薬量よりも累積投薬量に比例しているかもしれない。クロロキンによって引き起こされる網膜黄斑症には2つの段階があるが、それらは、殆どの場合においてディスクロミエ(dischromie)と視野の変化によって特徴づけられる早発で可逆的な段階と、視野の喪失が起こる晩期の不可逆的な段階である。
【0026】
しかしながら、この物質による治療を受けている人々に定期的に、専門家でなくても簡単に行うことができる色覚検査を受けさせることで、この最後の作用が起こるのを回避することは可能である。ディスクロミエが生じたら、黄斑症が上記不可逆的段階に進展するのを防止するために直ちに薬剤の使用を一時停止する必要がある。しかし、本報告書で提案されている投薬量、および記載されたすべての臨床上の予防措置を考えれば、不可逆的な網膜黄斑症の発生はほとんどないことを強調する広範な科学文献が存在することを考慮すべきであろう。さらに、CQおよびHCQは、大抵、マラリアの予防過程で妊娠した女性に日常的に投与されている。この投薬量では、CQおよびHCQは十分に受容されて、母親と胎児の両方にとって安全だと考えることができる。
【0027】
第三世界におけるAIDSの劇的な拡散は、低コストという特徴をもつ治療法に対する科学界の関心を集めた。なぜなら、この疫病に冒された国々の大多数は、現在最も有効で、2種類のヌクレオシド系RT阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤の組み合わせ、または、2種類のヌクレオシド系RT阻害剤および1種類の非ヌクレオシド系RT阻害剤(HAART)に基づく高価な抗ウイルス療法を持続することはできない。
【0028】
このため、および他の応用場面にとっても、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体は優れた特徴をもつと考えられる。なぜなら、抗HIV治療において今まで使用されてきた化学治療薬の機序に関して全く異なった抗ウイルス機序をもつからである。
【0029】
クロロキンおよびヒドロキシクロロキンは、gp120のグルコシル化の阻害剤として働き、gp120のグリコシル化部位のいくつかはHIV感染において基本的な役割を演じているが、このことは、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンを使用して産生されたHIVの感染性が非常に低下することを説明しているかもしれない。
【0030】
クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体は新規の抗HIV作用を示すため、これらを、HAARTによる治療を受けた患者の60〜70%を代表する、ウイルス免疫学的に不全であるという特徴をもつ患者において、ヌクレオシド系および非ヌクレオシド系の逆転写酵素およびウイルスプロテアーゼの阻害剤に抵抗性をもつHIV株の複製を効果的に制御するためには奨めることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
治療に対して感受性であるもの(抗レトロウイルス治療を受けたことのない患者から分離されたもの)も、抵抗性であるものも、本技術革新を生み出した本研究において使用されたHIV−1の株は、遺伝子型および表現型によって特徴を調べ、以下に記載したヌクレオシド系および非ヌクレオシド系の逆転写酵素およびプロテアーゼの阻害剤に対する抵抗性を評価した。
ヌクレオシド系阻害剤:a)ジドブジン(AZT);b)ジダノシン(ddI);c)ラミブジン(3TC);d)スタブジン(d4T);およびe)アバカビル(ABC)。
非ヌクレオシド系阻害剤:a)ネビラピン(NVP);b)エファビレンツ(EFV)。
プロテアーゼ阻害剤:a)サキナビル(SQV);b)インディナビル(IDV);c)ネルフィナビル(NFV)。
【0032】
臨床的に分離された耐性株は、AIDS臨床試験グループ(AIDS Clinical Trials Group:ACTG)により標準化されたプロトコールを用いて観察された、ウイルス免疫学的不全という特徴を持つ患者から得た。
【0033】
患者のすべてがHAART療法で失敗していた(2種類のヌクレオシド系阻害剤+非ヌクレオシド系、および/またはプロテアーゼ阻害剤)
【0034】
ウイルス学的な不全は、少なくとも12週間の治療期間中に、HIV−RNAの血漿内濃度が最下点において0.5対数コピー/mL増加するか、または10.000コピー数/mLよりも増加すると定義された。
【0035】
患者は、HAART療法を24ヶ月間受けていた。
【0036】
健康なドナーから得られたPBMCを培養して、異なったレベルのウイルス免疫学的不全にある、HIV感染症患者から得られた同数のPBMCと共培養した。
【0037】
共培養液の上清を4日毎に検査して、p24の産生を確認し、前後関係上分離した。
【0038】
単離されたウイルス株のすべてを滴定するため、ReedとMuenchの方法を用い、上記プロトコールにしたがって、50%の培養細胞に感染する用量(TCDI 50)を計算した。
【0039】
ダイレクトシーケンシング法とジデオキシヌクレオチド連鎖終結法により、市販されているキット(HIV遺伝子型判定装置−アプライドバイオシステム社(Applied Biosystems)、自動シーケンサーABI−PRISM310遺伝子解析装置(アプライドバイオシステム社)を用いて、逆転写酵素遺伝子およびプロテアーゼ遺伝子の遺伝子型を決定した。
【0040】
ヌクレオシド系阻害剤、非ヌクレオシド系阻害剤、およびプロテアーゼ阻害剤の表現型を調べるために、配列解析によって遺伝子型を確認した後、ヒトPBMCと、AIDS臨床試験グループにより標準化されたプロトコールの使用を考慮する方法を利用した。
【0041】
クロロキンおよびヒドロキシクロロキンに対するウイルス株の感受性をインビトロで測定するために、強度に感染した細胞におけるp24抗原の産生を測定するという特徴をもつACGTのプロトコールを使用した。
【0042】
96ウェルマイクロプレートの中に感染度0.1 MOIを用いて調製した培養細胞で、化学治療薬に対するウイルス株の感受性を判定した。
【0043】
市販されているELISA検査を用いて、7日後に感染培養細胞の上清(さまざまな濃度の化学治療薬の存在下または不在下で)をp24の産生について調べた。
【0044】
調べたクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの濃度は、0.5から15μMであった。同時に、0から50μMまでのさまざまな濃度のクロロキンおよびヒドロキシクロロキンとともに非感染細胞をインキュベートして、化合物の毒性を評価した。
【0045】
感染4日後、細胞培地の半分を、対応する希釈度のクロロキンおよびヒドロキシクロロキンを含む培地と置き換えた。感染7日後に、この培養物のp24の濃度と、感染させたが、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンで処理しなかった対照のp24の濃度を比較して、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンによって誘発されたHIV複製の阻害の割合を決定した。
【0046】
したがって、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンのE.C.50は、p24の産生を50%阻害する化学治療薬濃度を表し、この値は、直線および非直線回帰解析法を用いて計算した(非直線回帰の有意性はR2>0.95であった)。
【0047】
同一実験条件において、および同じ日に、同じようなクロロキンおよびヒドロキシクロロキン濃度を用いて、感染培養細胞の生死を評価し、これをI.C.50と表した。
【0048】
I.C.50(阻害濃度)は、感染がないときに、50%の割合で培養細胞の生存力を阻害する化学治療薬の濃度を示している。
【0049】
表現型は、次の関係の数値を示している。
E.C.50 単離されたウイルス
E.C.50 HIV−IIIBウイルス
【0050】
本発明において、化学治療薬に対する抵抗性は、表現型試験において、この関係の数値によって定義される。
E.C.50 単離されたウイルス
E.C.50 HIV−IIIBウイルス>6
【0051】
SI(選抜指数)は、次の関係の数値を示している。
I.C.50 培養細胞
E.C.50 単離されたウイルス
【0052】
S.I.は、I.C.50(細胞の生存力を50%阻害する用量)が、化学治療薬のE.C.50よりも高かった回数を示す。
【0053】
【表1】
RT遺伝子内にAZTに対する遺伝子型および表現形質上の抵抗性を誘導する変異をもつことを特徴とするHIVの臨床分離株に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの効果。
ウイルスの野生型と較べて、薬剤濃度がウイルスE.C.50よりも高かった回数
【0054】
【表2】
RT遺伝子内にddIに対する遺伝子型および表現形質上の抵抗性を誘導する変異をもつことを特徴とするHIVの臨床分離株に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの効果。
ウイルスの野生型と較べて、薬剤濃度がE.C.50よりも高かった回数
【0055】
【表3】
RT遺伝子内に3TCに対する遺伝子型および表現形質上の抵抗性を誘導する変異をもつことを特徴とするHIV−1の臨床分離株に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの効果。
*ウイルスの野生型と較べて、薬剤濃度がE.C.50よりも高かった回数
【0056】
【表4】
RT遺伝子内にd4Tに対する遺伝子型および表現形質上の抵抗性を誘導する変異をもつことを特徴とするHIV−1の臨床分離株に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの効果。
*ウイルスの野生型と較べて、薬剤濃度がE.C.50よりも高かった回数
【0057】
【表5】
RT遺伝子内にABCに対する遺伝子型および表現形質上の抵抗性を誘導する変異をもつことを特徴とするHIV−1の臨床分離株に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの効果。
*ウイルスの野生型と較べて、薬剤濃度がE.C.50よりも高かった回数
【0058】
【表6】
NVPに対し遺伝子型上および表現形質上抵抗性であるHIV−1株のウイルス複製に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの活性。
*ウイルスの野生型と較べて、薬剤濃度がE.C.50よりも高かった回数
【0059】
【表7】
EFVに対し遺伝子型上および表現形質上抵抗性のHIV−1株のウイルス複製に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの効果。
ウイルスの野生型と較べて、薬剤濃度がE.C.50よりも高かった回数
【0060】
【表8】
プロテアーゼ遺伝子内にSQVに対する遺伝子型および表現形質上の抵抗性を誘導する変異を有することを特徴とするHIV−1の臨床分離株のウイルス複製に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの効果。
ウイルスの野生型と較べて、薬剤濃度がE.C.50よりも高かった回数
【0061】
【表9】
プロテアーゼ遺伝子内にIDVに対する遺伝子型および表現形質上の抵抗性を誘導する変異を有することを特徴とするHIV−1の臨床分離株のウイルス複製に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの効果。
ウイルスの野生型と較べて、薬剤濃度がE.C.50よりも高かった回数
【0062】
【表10】
プロテアーゼ遺伝子内にNFVに対する遺伝子型および表現形質上の抵抗性を誘導する変異を有することを特徴とするHIV−1の臨床分離株のウイルス複製に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの効果。
ウイルスの野生型と較べて、薬剤濃度がE.C.50よりも高かった回数
【0063】
【表11】
治療を受けたことのない患者から単離され、PBMCの中で培養されたHIV−1臨床分離株のウイルス複製に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの効果。
【0064】
実施された実験のいずれにおいて、抗レトロウイルス治療に対して感受性のHIV−1ウイルスに対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンのE.C.50は1.5〜3.5μMであった。
【0065】
逆転写酵素およびプロテアーゼ双方の阻害剤に対し抵抗性をもつウイルスに対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンのE.C.50は1.5〜3.5μMであった。
【0066】
本発明は、抗レトロウイルス治療に対する薬剤を得るために、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用を提供するものである。
【0067】
特に、該薬剤は、クロロキンもしくはヒドロキシクロロキン、またはその併用剤を用いて実施される。
【0068】
この療法は、該薬剤を一日に一回以上経口投与することを想定しているが、該薬剤は、抗レトロウイルス作用を示す他の薬剤と併用して投与することも可能である。
【0069】
本薬剤によって、平均的な成人男性で、経口量当たり約200から約400mg/日のクロロキン投与、または、平均的な成人男性で、経口量当たり約200から約600mg/日のヒドロキシクロロキン投与が可能である。
【0070】
クロロキンのみに基づく抗レトロウイルス治療を想定すると、その投与量の範囲は、平均的な成人男性で、経口量当たり約300から約400mg/日であり、一方、ヒドロキシクロロキンのみに基づく抗レトロウイルス治療を想定すると、この最後の投与量の範囲は、平均的な成人男性で、経口量当たり約400から約600mg/日である。本薬剤は、平均的な成人男性において、該4アミノ−キノリン酸誘導体の平均血漿内濃度を約7〜15μM/mLに等しくすることができる。該被験者の血漿には、HAART療法に失敗した後に臨床的に見られるウイルス株の90%に相当する、調査した抵抗性株のすべてでウイルス複製を50%阻害するために必要な濃度よりも2〜10倍高い濃度のクロロキンおよびヒドロキシクロロキンが存在する。
【0071】
これらの結果は、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンが、HAART療法に現在使用されている他の抗レトロウイルス薬の作用とは全く異なる抗ウイルス作用をもつと考えると説明することができる。
【0072】
抗レトロウイルス療法で知られている薬剤を、クロロキンまたはヒドロキシクロロキンと併用して投与することに基づいた治療法を考えると、その投与量は、平均的な成人男性で、それぞれ経口量当たり約200から400、および約200から600mg/日の範囲である。
【0073】
本発明は、本治療法が、レトロウイルス感染症、特に、既知の治療法に対し感受性、不完全感受性、および抵抗性のウイルス株によって生じるHIV感染症を治療するためのものであると規定している。
【0074】
クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体によって誘導される、gp120のグリコシル化部位の変化によって、以前調べられたように、HIV複製の減少およびHIV感染力の低下が決まる。このことは、本発明のもとである研究で解析したところ、ヌクレオシド系および非ヌクレオシド系両方の逆転写酵素阻害剤、およびプロテアーゼ阻害剤に対し抵抗性を有するウイルスに対して、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンがもつ優れた抗レトロウイルス活性を説明できる。
【0075】
本発明は、以下の図表12および13に例示した、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンに由来する化合物の治療への使用を紹介するものである。
【0076】
【表12】
クロロキンから得られる化合物:
【0077】
【表13】
ヒドロキシクロロキンから得られる化合物:
【0078】
特に、本発明は、クロロキン、ヒドロキシクロロキンの使用、および、表12および13に、特異的かつ多様な抗レトロウイルス活性をもつ、右手型か左手型の化合物またはラセミ化合物として例示したような、これら2つのものの誘導体を治療に使用することを提供する。
【0079】
本発明は、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンに由来する化合物を、純粋なまま、または、それらとは異なるものと、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンとを可能な組み合わせにして、上記例示した投薬量と同様の量を投与すること提供する。
【0080】
本発明の主な利点は、抗レトロウイルス治療において、経口投与されたとき最適に吸収されるという特徴、およびインビボでの薬物動態学、薬力学、および毒性が完全に分かっているという特徴をもつ薬剤を調製することによって、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体を使用することについての正確な情報を提供することである。
【0081】
本発明者らのデータの解析結果は、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体が、ヌクレオシド系および非ヌクレオシド系の逆転写酵素阻害剤、およびプロテアーゼ阻害剤に対して感受性および抵抗性のHIV株の複製を、前後関係にしたがい十分な有効性をもって制御することができる化学治療薬であることを明確に示している。
【0082】
クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体は、HIV複製過程における別の段階、正確にいえば、ウイルス粒子の成熟(ウイルスのペリカプシドであるgp120のグリコシル化部位における構造的変化)を阻害する。
【0083】
クロロキンおよびヒドロキシクロロキンは、マラリアの治療および予防に使用され、また、リウマチ疾患に対して、この場合は50年以上前から、例えば、関節リウマチの期間と同じ期間(600mg/日のヒドロキシクロロキンによる、16〜18ヶ月間にわたる毎日の治療)使用されてきたため、急性および慢性の毒性の特徴について、既知のあらゆる抗レトロウイルス薬と較べてもずっと詳しく知られている。
【0084】
さらなる利点は、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンが広く利用可能であって、抗HIV活性をもつ化学治療薬の中で最も安価であること、および、ウイルス複製に有利に働く炎症誘発性サイトカインであるIL−1およびIL−6の合成を阻害する作用をもつことである。
【0085】
さらに、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンは、AIDSに相関した日和見感染病原体に対してインビボおよびインビトロで活性を示す。
【0086】
以上の記載は、例示のためのものであり、限定的なものではない。したがって、上記したような、また、請求の範囲に記載されたような製剤法または投薬量を変更したものも本発明の範囲に含まれる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、薬理および治療分野に関係し、特に、HIV感受性株に対して活性があり、また、現行の抗HIV療法に抵抗をもつHIV株に対して活性をもつ抗レトロウイルス薬を得るためにクロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体を使用することに関する。
【0002】
【従来の技術】
HIVに対するクロロキンの活性は、最初Tsai(1990)によって記述され、この物質が、転写後過程に介入することによって、リンパ球系由来の細胞の連続培養においてHIV複製サイクルを阻害することが実証された。これらのインビトロにおける結果は、その後いくつかの研究において確認されており、それらの研究では、ヒドロキシクロロキンを使用するか、長期間クロロキンで治療した患者の血漿内で達成可能な濃度と同じ濃度のクロロキンで培養細胞を処理すると、HIV複製サイクルの阻害が観察された(Sperber,1993;Chiang,1996)。
【0003】
PBMC、ならびに、Tリンパ球(CEM)および単球(U−937)に由来する連続継代細胞系を用いて行われたSperber(1993)の研究は、ヒドロキシクロロキンが、初代細胞系(PBMC)においても、単球−リンパ球由来の連続継代細胞系(U−937;CEM)においてもHIV−1の複製を阻害する(>75%)ことを明確に示した。ヒドロキシクロロキンを、ウイルス複製を阻害するのに適した濃度で使用しても、細胞培養において毒性作用は見られなかった。その上、ヒドロキシクロロキンは、感染性ウイルス粒子の産生をほぼ完全に阻害する。事実、ヒドロキシクロロキンで処理した培養細胞から得られたウイルス調製物は、標的として用いられるCEMにほとんど感染しない。
【0004】
インビトロの実験で、Boelaertら(1999)は、ddI(ジダノシン(didanosine))とHU(ヒドロキシウレア)を併せたものにヒドロキシクロロキンを加えると、HIV複製を阻害する特別な作用がもたらされることを示した。
【0005】
AZTとHUを併せたものにヒドロキシクロロキンを加えたときにインビトロで得られる付加的な効果について、Boelaertら(2001)により、実質的に類似した結果が報告されている。
【0006】
Lange(1994)は、7から15マイクロMの血漿内ヒドロキシクロロキン濃度では、18〜24ヶ月間という長期間でも、網膜症を誘発することはほとんどなかった。
【0007】
ヒドロキシクロロキンの抗レトロウイルス作用を評価するのに適した最初の臨床実験は、Sperberら(1995)によって行われた。
【0008】
細胞1mm3当たりT CD4+の数が200〜500個であるという特徴をもつ40人の無症状のHIV−1陽性患者を観察し、二重盲検無作為化法を用いて解析を行った。ヒドロキシクロロキン(800mg/日)かプラセボの投与を8週間受けさせるため、患者を無作為にグループ化した。本実験の最後には、HIV−RNAの量が、ヒドロキシクロロキンで処理したグループでは減少し、プラセボで処理したグループでは基底値と較べて増加していた。ヒドロキシクロロキンで処理したグループではネガティブな現象は観察されなかった。
【0009】
細胞1mm3当たりCD4の数が200〜500個であるという特徴をもつ38人のHIV+患者に対して実施された別の予備的臨床実験(Sperberら、1997)では、800mg/日のヒドロキシクロロキン投与が、対照(プラセボ)を代表するグループに比べて、ヒドロキシクロロキンを投与された患者グループにおける血漿内HIV−RNAの有意な減少を決定づけた。
【0010】
これらの予備的観察結果は、次に、細胞1mm3当たりCD4の数が200〜500個であるという特徴をもつ72人の無発症患者において、ヒドロキシクロロキンとAZTの有効性の比較を目的とする第2の16週間の無作為試験をもたらした。
【0011】
患者は、800mg/日のヒドロキシクロロキン(n=35)と500mg/日のAZT(n=37)を投与を受けるよう無作為抽出された。すべての患者が16週間の試験を完了し、ヒドロキシクロロキンを投与されたグループおよびAZTを投与されたグループのどちらにおいても、ネガティブな現象は見られなかった。
【0012】
両グループの患者とも、実験開始から16週間後にはHIV−RNA、血清p24、および血漿内感染性ウイルス力価が有意な低下を示した。この実験では、全体的なデータ解析結果は、血漿内のウイルス血の低下については、AZTの方が、有効性が高いことを示していたが、8人の患者は、AZTによる治療の終了時に血漿内ウイルス血の上昇を示した。このような偶然の結果は、AZTによる治療中に、該薬剤に抵抗性をもつウイルス変異体が出現したことを示唆するものであった。
【0013】
これに対し、ヒドロキシクロロキンの抗ウイルス活性はより長く続くことが分かり、この薬剤による試験を受けた患者で、8週目および16週目に血漿内ウイルス血の上昇を示すものは一人もいなかった。これらの実験データは、ヒドロキシクロロキンに対する抵抗性の出現が、比較的生じにくい現象であることを示しているのかもしれない。
【0014】
最近になって(Patonら、2002)、ヒドロキシクロロキン(400mg/日)+HU+ddIを併用したものの抗ウイルス活性がインビボで評価された。すなわち、血漿内ウイルスが1ml当たり10,000コピーよりも多く、T CD4+細胞の数が150/mmcよりも多い、HIV−1無症候性感染患者22人において、実験を48週間行った。この治療法は、十分に耐えられるものであり、実験期間中、血漿内HIV−RNAが対数で1.3減少する結果となった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、該実験および観察は、HIV感染症におけるクロロキンおよび/またはヒドロキシクロロキン、および、一般的には4アミノ−キノリン酸誘導体の使用について治療適応を規定することも、提供することもなかった。該実験は、現行の抗AIDS療法に不完全または完全に耐性をもつウイルス株を全く無視していた。
【0016】
HIV感染症の治療に使用されている薬剤で今までに知られているものは、主に2つのクラス(ヌクレオシド系ならびに非ヌクレオシド系の逆転写酵素阻害剤、およびプロテアーゼ阻害剤)に属するが、これらの作用機序は、逆転写酵素およびプロテアーゼという2種類のウイルス酵素の阻害に帰することができ、そのため、ウイルスゲノムにおいて、クラス内またはクラス間における交差耐性をもたらす変異を容易に選択する。これらの薬剤には、さらに、高価である、投与法が複雑だという特徴、およびあまり知られていない慢性毒性という特徴をもつなどの短所がある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の主な目的は、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および、一般的には4アミノ−キノリン酸誘導体を使用して、感染の標的となるすべての細胞においてHIVウイルス複製を長期的に阻害する活性を示すことができ、また、この文脈上から、同等の有効性をもって、現行の抗レトロウイルス治療に感受性であるにせよ抵抗性であるにせよ、HIV株の複製を阻害することができる抗レトロウイルス治療用薬剤を得ることを提案することである。
【0018】
別の目的は、4アミノ−キノリン酸誘導体、特に、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンを使用して、化学療法用の廉価で経口投与可能な薬剤であって、ごく僅かな割合でしか、抵抗性のウイルス変異体を選択することはなく、また、この感染症を治療するために使用される他の薬剤に対して何ら活性を示さないものを得ることを提案することである。
【0019】
最後の点に関し、更なる目的は、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および、他の4アミノ−キノリン酸誘導体を使用して、ウイルス粒子の成熟(ウイルスのペリカプシド(pericapsid)であるgp120のグリコシル化部位における構造的変化)を阻害することができ、そのために、これまでに知られている薬剤の機序とは基本的に異なる新規の機序によって特徴づけられ、また、このため、それらの薬剤と一緒になって付加的または協働的な活性をもつ薬剤を得ることを提案することである。
【0020】
上記の目的は、請求の範囲の記載にしたがって達成される。
【0021】
ヒドロキシクロロキン、クロロキン、および4アミノ−キノリン酸の抗レトロウイルス活性は、実験用ウイルス株に限定されるものではなく、単球およびリンパ球の培養物中のX4、R5、X4/R5などの臨床分離株に対し、HIV−1のサブタイプCに対し、また、HIV−2およびHIV−1の既知のサブタイプすべて(A−O)に対しても観察することができる。HIV−1のサブタイプCおよびHIV−2に対する阻害効果が、これらのウイルスのアフリカにおける広範な拡散を考えると、特に関心の対象となる。
【0022】
ヒドロキシクロロキン、クロロキン、および、一般的に4アミノ−キノリン酸誘導体は、細胞の中で酸性小胞レベルにおいて何らかの変化を誘導し、その結果、タンパク質の翻訳後修飾によって生じる必須酵素に何らかの機能障害を生じさせることのできる弱塩基である。
【0023】
実際、弱塩基は、酸性小胞のpHを上昇させることによって、酸性加水分解酵素など、さまざまな酵素を分解し、したがって、新たに形成されたウイルスタンパク質の構造修飾を阻害する。酸性小胞において、pHの上昇は、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体の量に依存し、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体で処理した培養を何回も継代した後に得られるウイルスは感染性がない(Chiangら、1996)。クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体は、既知の抗レトロウイルス化学治療薬(ヌクレオシド系および非ヌクレオシド系の逆転写酵素阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤)の作用とは全く異なる作用(gp120のグリコシル化部位の変化)を示すため、既知の抗レトロウイルス化学治療薬すべてと組み合わせて使用することができる。
【0024】
実際、Boelaertら(1999、2001)のインビトロ実験は、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンをAZT、ddI、HUと併用したときのHIV−1複製に対する付加的効果を強調した。
【0025】
クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体は長い間使われているため、毒性をもつという側面がよく知られている。CQ、HCQ、および4アミノ−キノリン酸誘導体のインビボでの毒性を眼のレベル(網膜黄斑症)で観察することができ、毎日の投薬量よりも累積投薬量に比例しているかもしれない。クロロキンによって引き起こされる網膜黄斑症には2つの段階があるが、それらは、殆どの場合においてディスクロミエ(dischromie)と視野の変化によって特徴づけられる早発で可逆的な段階と、視野の喪失が起こる晩期の不可逆的な段階である。
【0026】
しかしながら、この物質による治療を受けている人々に定期的に、専門家でなくても簡単に行うことができる色覚検査を受けさせることで、この最後の作用が起こるのを回避することは可能である。ディスクロミエが生じたら、黄斑症が上記不可逆的段階に進展するのを防止するために直ちに薬剤の使用を一時停止する必要がある。しかし、本報告書で提案されている投薬量、および記載されたすべての臨床上の予防措置を考えれば、不可逆的な網膜黄斑症の発生はほとんどないことを強調する広範な科学文献が存在することを考慮すべきであろう。さらに、CQおよびHCQは、大抵、マラリアの予防過程で妊娠した女性に日常的に投与されている。この投薬量では、CQおよびHCQは十分に受容されて、母親と胎児の両方にとって安全だと考えることができる。
【0027】
第三世界におけるAIDSの劇的な拡散は、低コストという特徴をもつ治療法に対する科学界の関心を集めた。なぜなら、この疫病に冒された国々の大多数は、現在最も有効で、2種類のヌクレオシド系RT阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤の組み合わせ、または、2種類のヌクレオシド系RT阻害剤および1種類の非ヌクレオシド系RT阻害剤(HAART)に基づく高価な抗ウイルス療法を持続することはできない。
【0028】
このため、および他の応用場面にとっても、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体は優れた特徴をもつと考えられる。なぜなら、抗HIV治療において今まで使用されてきた化学治療薬の機序に関して全く異なった抗ウイルス機序をもつからである。
【0029】
クロロキンおよびヒドロキシクロロキンは、gp120のグルコシル化の阻害剤として働き、gp120のグリコシル化部位のいくつかはHIV感染において基本的な役割を演じているが、このことは、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンを使用して産生されたHIVの感染性が非常に低下することを説明しているかもしれない。
【0030】
クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体は新規の抗HIV作用を示すため、これらを、HAARTによる治療を受けた患者の60〜70%を代表する、ウイルス免疫学的に不全であるという特徴をもつ患者において、ヌクレオシド系および非ヌクレオシド系の逆転写酵素およびウイルスプロテアーゼの阻害剤に抵抗性をもつHIV株の複製を効果的に制御するためには奨めることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
治療に対して感受性であるもの(抗レトロウイルス治療を受けたことのない患者から分離されたもの)も、抵抗性であるものも、本技術革新を生み出した本研究において使用されたHIV−1の株は、遺伝子型および表現型によって特徴を調べ、以下に記載したヌクレオシド系および非ヌクレオシド系の逆転写酵素およびプロテアーゼの阻害剤に対する抵抗性を評価した。
ヌクレオシド系阻害剤:a)ジドブジン(AZT);b)ジダノシン(ddI);c)ラミブジン(3TC);d)スタブジン(d4T);およびe)アバカビル(ABC)。
非ヌクレオシド系阻害剤:a)ネビラピン(NVP);b)エファビレンツ(EFV)。
プロテアーゼ阻害剤:a)サキナビル(SQV);b)インディナビル(IDV);c)ネルフィナビル(NFV)。
【0032】
臨床的に分離された耐性株は、AIDS臨床試験グループ(AIDS Clinical Trials Group:ACTG)により標準化されたプロトコールを用いて観察された、ウイルス免疫学的不全という特徴を持つ患者から得た。
【0033】
患者のすべてがHAART療法で失敗していた(2種類のヌクレオシド系阻害剤+非ヌクレオシド系、および/またはプロテアーゼ阻害剤)
【0034】
ウイルス学的な不全は、少なくとも12週間の治療期間中に、HIV−RNAの血漿内濃度が最下点において0.5対数コピー/mL増加するか、または10.000コピー数/mLよりも増加すると定義された。
【0035】
患者は、HAART療法を24ヶ月間受けていた。
【0036】
健康なドナーから得られたPBMCを培養して、異なったレベルのウイルス免疫学的不全にある、HIV感染症患者から得られた同数のPBMCと共培養した。
【0037】
共培養液の上清を4日毎に検査して、p24の産生を確認し、前後関係上分離した。
【0038】
単離されたウイルス株のすべてを滴定するため、ReedとMuenchの方法を用い、上記プロトコールにしたがって、50%の培養細胞に感染する用量(TCDI 50)を計算した。
【0039】
ダイレクトシーケンシング法とジデオキシヌクレオチド連鎖終結法により、市販されているキット(HIV遺伝子型判定装置−アプライドバイオシステム社(Applied Biosystems)、自動シーケンサーABI−PRISM310遺伝子解析装置(アプライドバイオシステム社)を用いて、逆転写酵素遺伝子およびプロテアーゼ遺伝子の遺伝子型を決定した。
【0040】
ヌクレオシド系阻害剤、非ヌクレオシド系阻害剤、およびプロテアーゼ阻害剤の表現型を調べるために、配列解析によって遺伝子型を確認した後、ヒトPBMCと、AIDS臨床試験グループにより標準化されたプロトコールの使用を考慮する方法を利用した。
【0041】
クロロキンおよびヒドロキシクロロキンに対するウイルス株の感受性をインビトロで測定するために、強度に感染した細胞におけるp24抗原の産生を測定するという特徴をもつACGTのプロトコールを使用した。
【0042】
96ウェルマイクロプレートの中に感染度0.1 MOIを用いて調製した培養細胞で、化学治療薬に対するウイルス株の感受性を判定した。
【0043】
市販されているELISA検査を用いて、7日後に感染培養細胞の上清(さまざまな濃度の化学治療薬の存在下または不在下で)をp24の産生について調べた。
【0044】
調べたクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの濃度は、0.5から15μMであった。同時に、0から50μMまでのさまざまな濃度のクロロキンおよびヒドロキシクロロキンとともに非感染細胞をインキュベートして、化合物の毒性を評価した。
【0045】
感染4日後、細胞培地の半分を、対応する希釈度のクロロキンおよびヒドロキシクロロキンを含む培地と置き換えた。感染7日後に、この培養物のp24の濃度と、感染させたが、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンで処理しなかった対照のp24の濃度を比較して、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンによって誘発されたHIV複製の阻害の割合を決定した。
【0046】
したがって、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンのE.C.50は、p24の産生を50%阻害する化学治療薬濃度を表し、この値は、直線および非直線回帰解析法を用いて計算した(非直線回帰の有意性はR2>0.95であった)。
【0047】
同一実験条件において、および同じ日に、同じようなクロロキンおよびヒドロキシクロロキン濃度を用いて、感染培養細胞の生死を評価し、これをI.C.50と表した。
【0048】
I.C.50(阻害濃度)は、感染がないときに、50%の割合で培養細胞の生存力を阻害する化学治療薬の濃度を示している。
【0049】
表現型は、次の関係の数値を示している。
E.C.50 単離されたウイルス
E.C.50 HIV−IIIBウイルス
【0050】
本発明において、化学治療薬に対する抵抗性は、表現型試験において、この関係の数値によって定義される。
E.C.50 単離されたウイルス
E.C.50 HIV−IIIBウイルス>6
【0051】
SI(選抜指数)は、次の関係の数値を示している。
I.C.50 培養細胞
E.C.50 単離されたウイルス
【0052】
S.I.は、I.C.50(細胞の生存力を50%阻害する用量)が、化学治療薬のE.C.50よりも高かった回数を示す。
【0053】
【表1】
RT遺伝子内にAZTに対する遺伝子型および表現形質上の抵抗性を誘導する変異をもつことを特徴とするHIVの臨床分離株に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの効果。
ウイルスの野生型と較べて、薬剤濃度がウイルスE.C.50よりも高かった回数
【0054】
【表2】
RT遺伝子内にddIに対する遺伝子型および表現形質上の抵抗性を誘導する変異をもつことを特徴とするHIVの臨床分離株に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの効果。
ウイルスの野生型と較べて、薬剤濃度がE.C.50よりも高かった回数
【0055】
【表3】
RT遺伝子内に3TCに対する遺伝子型および表現形質上の抵抗性を誘導する変異をもつことを特徴とするHIV−1の臨床分離株に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの効果。
*ウイルスの野生型と較べて、薬剤濃度がE.C.50よりも高かった回数
【0056】
【表4】
RT遺伝子内にd4Tに対する遺伝子型および表現形質上の抵抗性を誘導する変異をもつことを特徴とするHIV−1の臨床分離株に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの効果。
*ウイルスの野生型と較べて、薬剤濃度がE.C.50よりも高かった回数
【0057】
【表5】
RT遺伝子内にABCに対する遺伝子型および表現形質上の抵抗性を誘導する変異をもつことを特徴とするHIV−1の臨床分離株に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの効果。
*ウイルスの野生型と較べて、薬剤濃度がE.C.50よりも高かった回数
【0058】
【表6】
NVPに対し遺伝子型上および表現形質上抵抗性であるHIV−1株のウイルス複製に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの活性。
*ウイルスの野生型と較べて、薬剤濃度がE.C.50よりも高かった回数
【0059】
【表7】
EFVに対し遺伝子型上および表現形質上抵抗性のHIV−1株のウイルス複製に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの効果。
ウイルスの野生型と較べて、薬剤濃度がE.C.50よりも高かった回数
【0060】
【表8】
プロテアーゼ遺伝子内にSQVに対する遺伝子型および表現形質上の抵抗性を誘導する変異を有することを特徴とするHIV−1の臨床分離株のウイルス複製に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの効果。
ウイルスの野生型と較べて、薬剤濃度がE.C.50よりも高かった回数
【0061】
【表9】
プロテアーゼ遺伝子内にIDVに対する遺伝子型および表現形質上の抵抗性を誘導する変異を有することを特徴とするHIV−1の臨床分離株のウイルス複製に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの効果。
ウイルスの野生型と較べて、薬剤濃度がE.C.50よりも高かった回数
【0062】
【表10】
プロテアーゼ遺伝子内にNFVに対する遺伝子型および表現形質上の抵抗性を誘導する変異を有することを特徴とするHIV−1の臨床分離株のウイルス複製に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの効果。
ウイルスの野生型と較べて、薬剤濃度がE.C.50よりも高かった回数
【0063】
【表11】
治療を受けたことのない患者から単離され、PBMCの中で培養されたHIV−1臨床分離株のウイルス複製に対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの効果。
【0064】
実施された実験のいずれにおいて、抗レトロウイルス治療に対して感受性のHIV−1ウイルスに対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンのE.C.50は1.5〜3.5μMであった。
【0065】
逆転写酵素およびプロテアーゼ双方の阻害剤に対し抵抗性をもつウイルスに対するクロロキンおよびヒドロキシクロロキンのE.C.50は1.5〜3.5μMであった。
【0066】
本発明は、抗レトロウイルス治療に対する薬剤を得るために、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用を提供するものである。
【0067】
特に、該薬剤は、クロロキンもしくはヒドロキシクロロキン、またはその併用剤を用いて実施される。
【0068】
この療法は、該薬剤を一日に一回以上経口投与することを想定しているが、該薬剤は、抗レトロウイルス作用を示す他の薬剤と併用して投与することも可能である。
【0069】
本薬剤によって、平均的な成人男性で、経口量当たり約200から約400mg/日のクロロキン投与、または、平均的な成人男性で、経口量当たり約200から約600mg/日のヒドロキシクロロキン投与が可能である。
【0070】
クロロキンのみに基づく抗レトロウイルス治療を想定すると、その投与量の範囲は、平均的な成人男性で、経口量当たり約300から約400mg/日であり、一方、ヒドロキシクロロキンのみに基づく抗レトロウイルス治療を想定すると、この最後の投与量の範囲は、平均的な成人男性で、経口量当たり約400から約600mg/日である。本薬剤は、平均的な成人男性において、該4アミノ−キノリン酸誘導体の平均血漿内濃度を約7〜15μM/mLに等しくすることができる。該被験者の血漿には、HAART療法に失敗した後に臨床的に見られるウイルス株の90%に相当する、調査した抵抗性株のすべてでウイルス複製を50%阻害するために必要な濃度よりも2〜10倍高い濃度のクロロキンおよびヒドロキシクロロキンが存在する。
【0071】
これらの結果は、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンが、HAART療法に現在使用されている他の抗レトロウイルス薬の作用とは全く異なる抗ウイルス作用をもつと考えると説明することができる。
【0072】
抗レトロウイルス療法で知られている薬剤を、クロロキンまたはヒドロキシクロロキンと併用して投与することに基づいた治療法を考えると、その投与量は、平均的な成人男性で、それぞれ経口量当たり約200から400、および約200から600mg/日の範囲である。
【0073】
本発明は、本治療法が、レトロウイルス感染症、特に、既知の治療法に対し感受性、不完全感受性、および抵抗性のウイルス株によって生じるHIV感染症を治療するためのものであると規定している。
【0074】
クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体によって誘導される、gp120のグリコシル化部位の変化によって、以前調べられたように、HIV複製の減少およびHIV感染力の低下が決まる。このことは、本発明のもとである研究で解析したところ、ヌクレオシド系および非ヌクレオシド系両方の逆転写酵素阻害剤、およびプロテアーゼ阻害剤に対し抵抗性を有するウイルスに対して、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンがもつ優れた抗レトロウイルス活性を説明できる。
【0075】
本発明は、以下の図表12および13に例示した、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンに由来する化合物の治療への使用を紹介するものである。
【0076】
【表12】
クロロキンから得られる化合物:
【0077】
【表13】
ヒドロキシクロロキンから得られる化合物:
【0078】
特に、本発明は、クロロキン、ヒドロキシクロロキンの使用、および、表12および13に、特異的かつ多様な抗レトロウイルス活性をもつ、右手型か左手型の化合物またはラセミ化合物として例示したような、これら2つのものの誘導体を治療に使用することを提供する。
【0079】
本発明は、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンに由来する化合物を、純粋なまま、または、それらとは異なるものと、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンとを可能な組み合わせにして、上記例示した投薬量と同様の量を投与すること提供する。
【0080】
本発明の主な利点は、抗レトロウイルス治療において、経口投与されたとき最適に吸収されるという特徴、およびインビボでの薬物動態学、薬力学、および毒性が完全に分かっているという特徴をもつ薬剤を調製することによって、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体を使用することについての正確な情報を提供することである。
【0081】
本発明者らのデータの解析結果は、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体が、ヌクレオシド系および非ヌクレオシド系の逆転写酵素阻害剤、およびプロテアーゼ阻害剤に対して感受性および抵抗性のHIV株の複製を、前後関係にしたがい十分な有効性をもって制御することができる化学治療薬であることを明確に示している。
【0082】
クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および4アミノ−キノリン酸誘導体は、HIV複製過程における別の段階、正確にいえば、ウイルス粒子の成熟(ウイルスのペリカプシドであるgp120のグリコシル化部位における構造的変化)を阻害する。
【0083】
クロロキンおよびヒドロキシクロロキンは、マラリアの治療および予防に使用され、また、リウマチ疾患に対して、この場合は50年以上前から、例えば、関節リウマチの期間と同じ期間(600mg/日のヒドロキシクロロキンによる、16〜18ヶ月間にわたる毎日の治療)使用されてきたため、急性および慢性の毒性の特徴について、既知のあらゆる抗レトロウイルス薬と較べてもずっと詳しく知られている。
【0084】
さらなる利点は、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンが広く利用可能であって、抗HIV活性をもつ化学治療薬の中で最も安価であること、および、ウイルス複製に有利に働く炎症誘発性サイトカインであるIL−1およびIL−6の合成を阻害する作用をもつことである。
【0085】
さらに、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンは、AIDSに相関した日和見感染病原体に対してインビボおよびインビトロで活性を示す。
【0086】
以上の記載は、例示のためのものであり、限定的なものではない。したがって、上記したような、また、請求の範囲に記載されたような製剤法または投薬量を変更したものも本発明の範囲に含まれる。
Claims (21)
- 薬剤が抗レトロウイルス治療のためのものであるという特徴をもつ該薬剤を得るための、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。
- 誘導体がクロロキンであるという特徴をもつ、請求項1に記載された、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。
- 誘導体がヒドロキシクロロキンであるという特徴をもつ、請求項1に記載された、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。
- クロロキンに由来する少なくとも一種類の化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載された、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。
- ヒドロキシクロロキンに由来する少なくとも一種類の化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載された、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。
- 誘導体が左手型化合物であることを特徴とする、請求項1に記載された、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。
- 誘導体が右手型化合物であることを特徴とする、請求項1に記載された、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。
- 誘導体がラセミ化合物であることを特徴とする、請求項1に記載された、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。
- 薬剤を一日に一回から数回投与することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載された、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。
- 薬剤が、経口投与用製剤に含まれていることを特徴とする、請求項9に記載された、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。
- 薬剤が、抗レトロウイルス作用を示す他の薬剤と併用して投与することができることを特徴とする、請求項1に記載された、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。
- 薬剤が、平均的な成人男性において、経口量当たり約200から約400mg/日のクロロキンの投与を可能にすることを特徴とする、請求項2に記載された、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。
- クロロキンのみに基づく抗レトロウイルス治療を想定すると、投与量が、平均的な成人男性において、経口量当たり約300から400mg/日であることを特徴とする、請求項12に記載された、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。
- クロロキンと併用して、抗レトロウイルス治療用の既知の薬剤を投与することに基づく治療を想定すると、クロロキンの投与量が、平均的な成人男性において、経口量当たり約200から400mg/日であることを特徴とする、請求項12に記載された、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。
- 薬剤が、平均的な成人男性において、経口量当たり約200から約600mg/日のヒドロキシクロロキンの投与を可能にすることを特徴とする、請求項3に記載された、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。
- ヒドロキシクロロキンのみに基づく抗レトロウイルス治療を想定すると、投与量が、平均的な成人男性において、経口量当たり約400から600mg/日であることを特徴とする、請求項15に記載された、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。
- ヒドロキシクロロキンと併用して、抗レトロウイルス治療用の既知の薬剤を投与することに基づく治療を想定すると、ヒドロキシクロロキンの投与量が、平均的な成人男性において、経口量当たり約200から600mg/日であることを特徴とする、請求項15に記載された、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。
- 薬剤が、クロロキンおよび/またはヒドロキシクロロキンに由来する一種類以上の化合物の投与を、平均的な成人男性において、経口量当たり約100から約700mg/日の範囲内で行えることを特徴とする、請求項4および5に記載された、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。
- 薬剤が、4アミノ−キノリン酸誘導体の平均的血漿内濃度を約7〜15μM/mLにできることを特徴とする、請求項1に記載された、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。
- 治療が、HIV感染症を治療するためのものであることを特徴とする、前記請求項いずれかに記載された、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。
- 治療が、既知の治療法に対し不完全または完全に抵抗性であるHIV感染症を治療するためのものであることを特徴とする、前記請求項いずれかに記載された、少なくとも一種類の4アミノ−キノリン酸誘導体の使用。
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