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JP2004066519A - 意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板及びその製造方法 - Google Patents

意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板及びその製造方法 Download PDF

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JP2004066519A
JP2004066519A JP2002225883A JP2002225883A JP2004066519A JP 2004066519 A JP2004066519 A JP 2004066519A JP 2002225883 A JP2002225883 A JP 2002225883A JP 2002225883 A JP2002225883 A JP 2002225883A JP 2004066519 A JP2004066519 A JP 2004066519A
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Kunio Hoshi
星 国男
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

【課題】均一で、意匠性、耐傷付き性に優れた凹凸模様を有する塗膜が形成されたプレコート鋼板、及び上記塗膜をを効率的に鋼板表面に形成することができる意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板の製造方法を提供することである。
【解決手段】鋼板表面に、基体樹脂、硬化剤及びアルキルビニルエーテルを含む塗料組成物からなる、平均乾燥膜厚2〜30μmの凹凸塗膜が形成されている意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、意匠性に優れる凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、建材や家庭用電気製品等の各種被塗装物に、意匠性のある凹凸模様(意匠性凹凸模様)を施して消費者の需要を喚起し、その高級志向やニーズの多様化に応えることが行われている。かかる各種被塗装物に施される意匠性凹凸模様は、該被塗装物に美観を与えるのみではなく、製造時、輸送時、加工成形時等に生じる傷を目立ちにくくするといった機能等も有するため、その需要は年々高まっている。
【0003】
かかる意匠性凹凸模様を施す手段としては、結合剤に用いられる樹脂に対する相溶性の悪いシリコーンオイルやビニル系消泡剤等の添加剤を配合した塗料を塗布する方法や、発泡剤を配合した塗料を塗布する方法、あるいは、塗膜をエンボス加工する方法等が知られている。しかし、シリコーンオイルが添加されている塗料を用いると、オーブン汚染やコンタミネーション等の問題を引き起こす場合がある。また、これらの方法では、凹凸模様を均一に形成することが難しいなど所望の凹凸模様塗膜を形成することが困難であった。同様に、エンボス加工を利用する方法においては、薄膜に適用することができず、さらに生産工程が増加するため生産効率が悪いといった問題があった。
【0004】
また、特開昭48−71432号公報、特開昭50−84404号公報、特開昭55−157357号公報、特開平7−265785号公報等には、塗膜表面に凹凸模様を形成するために、塗料中にCa、Si、Al、ポリエチレン樹脂、及び塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体等の微粒子を添加する方法が提案されている。ここで、塗膜を均一に形成するためにはロール塗装によるのが生産性等の面からも好ましいが、これらの微粒子を塗料中に添加する方法は上記ロール塗装に適していないため、均一で薄い塗膜を形成するのが困難であった。
【0005】
さらに、特開平7−213993号公報、特開平10−226014号公報等には、特定の樹脂を添加して塗膜表面に凹凸模様を形成する方法が提案されている。このなかでも、特開平10−226014号公報には、塗料中に熱溶融性のビーズを添加して、他の樹脂との表面張力の差によって表面にユズ肌状の凹凸模様が形成された塗装金属板が提案されているが、かかる方法では高光沢性を付与することができず、さらに焼付条件によって意匠感に影響を与えるといった問題があった。
【0006】
また、特開平6−287482号公報には、ビニル系重合体消泡剤を加えた混合物をベースとするハンマートーン塗料が提案されている。しかし、かかるハンマートーン塗料に耐傷付き性を付与するには、傷付き防止剤としてフッ素樹脂粉末を塗料中に添加する必要がある。
【0007】
その他、特開昭50−51134号公報、特開昭56−762号公報、特開昭56−163162号公報、特開昭62−114685号公報、特開平2−91163号公報、特開平3−161081号公報、特開平10−279842号公報、特開平6−343919号公報等にも、それぞれ塗膜表面に凹凸模様を形成する方法が提案されているが、どれも薄い塗膜に均一な凹凸模様を形成できるものではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、均一で、意匠性、耐傷付き性に優れた凹凸模様を有する塗膜が形成されたプレコート鋼板、及び上記塗膜をを効率的に鋼板表面に形成することができる意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板の製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明は、
<1> 鋼板表面に、基体樹脂、硬化剤及び下記成分Aを含む塗料組成物により、平均乾燥膜厚2〜30μmの凹凸塗膜が形成されていることを特徴とする意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板である。
成分A:前記基体樹脂と前記硬化剤との合計100質量部に対して、0.01〜20質量部の量のアルキルビニルエーテル化合物
【0010】
<2> 前記凹凸塗膜をプライマーとし、該プライマー表面に上塗り塗膜が形成されていることを特徴とする<1>に記載の意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板である。
【0011】
<3> 前記上塗り塗膜が、前記成分Aを含む塗料組成物により形成される凹凸塗膜であることを特徴とする<2>に記載の意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板である。
【0012】
<4> 前記プライマー及び上塗り塗膜に含まれる成分Aのうち、どちらか一方を、成分Aの代わりに下記成分Bとしたことを特徴とする<3>に記載の意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板である。
成分B:前記基体樹脂と前記硬化剤との合計100質量部に対して、0.01〜20質量部の量のポリエステル及び/またはポリエーテル変性ポリシロキサン化合物
【0013】
<5> 鋼板表面にプライマー塗膜が形成され、その表面に前記成分Aを含む塗料組成物により、凹凸塗膜である上塗り塗膜が形成されていることを特徴とする<1>に記載の意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板である。
【0014】
<6> 鋼板表面に、基体樹脂、硬化剤、及び下記成分Aを含む塗料組成物をロール塗装することにより凹凸塗膜を形成する凹凸塗膜形成工程と、前記凹凸塗膜を加熱硬化させて平均乾燥膜厚が2〜30μmの凹凸塗膜とする加熱硬化工程と、を含むことを特徴とする意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板の製造方法である。
成分A:前記基体樹脂と前記硬化剤との合計100質量部に対して、0.01〜20質量部の量のアルキルビニルエーテル化合物
【0015】
<7> 前記加熱硬化工程の終了後に、上塗り塗膜を形成する上塗り工程を含み、凹凸塗膜であるプライマー表面に、平均乾燥膜厚が5〜20μmの上塗り塗膜が形成されることを特徴とする<6>に記載の意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板の製造方法である。
【0016】
<8> 前記上塗り工程が、前記成分Aを含む塗料組成物をロール塗装することにより凹凸塗膜を形成する工程であることを特徴とする<7>に記載の意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板の製造方法である。
【0017】
<9> 前記凹凸塗膜形成工程及び前記上塗り工程のうち、いずれか一方が、前記成分Aの代わりに下記成分Bを含む塗料組成物をロール塗装することにより凹凸塗膜を形成する工程であることを特徴とする<8>に記載の意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板の製造方法である。
成分B:前記基体樹脂と前記硬化剤との合計100質量部に対して、0.01〜20質量部の量のポリエステル及び/またはポリエーテル変性ポリシロキサン化合物
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板及びその製造方法について詳細に説明する。
<意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板>
本発明の意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板は、鋼板表面に、基体樹脂、硬化剤及び下記成分Aを含む塗料組成物により、平均乾燥膜厚2〜30μmの凹凸塗膜が形成されていることを特徴とする。
【0019】
(鋼板)
本発明に用いられる塗膜形成対象である被塗装物の鋼板(基材)としては、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、銅、真鍮、鉄板、ステンレス鋼板等の金属材料を挙げることができる。これらの中では、亜鉛メッキ鋼板、ステンレス鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板等を好ましく用いることができる。また、前記鋼板としては、すでに樹脂等からなる塗膜が表面に形成されたプレコート鋼板を用いることもできる。また、前記鋼板には必要に応じてその表面に前処理を施すことができ、該前処理としては、例えば水洗、湯洗、酸洗、アルカリ脱脂、研削、研磨、クロメート処理、リン酸塩処理、複合酸化被膜処理等を単独で、あるいはこれらを組み合せて行うことができる。
【0020】
(塗料組成物)
本発明に用いられる塗料組成物は、基体樹脂、硬化剤、及び成分A(または成分B)を含むものである。
−基体樹脂−
基体樹脂としては、薄膜として前記鋼板表面に形成できるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、あるいはこれらの混合物、共重合体等を用いることができる。これらの中では、塗料作製容易性、塗装容易性、基材接着性、塗膜耐傷性、耐候性等の観点からポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
【0021】
上記ポリエステル樹脂としては、特に公知のオイルフリー型のポリエステル樹脂であって、水酸基価5〜60mgKOH/g、数平均分子量1000〜20000のものを好ましく用いることができる。
上記水酸基価が5mgKOH/g未満であると、模様のパターンやトーン(凹凸観)を制御し難く、凹凸が小さくなって意匠性が低下するとともに、十分な硬度が得られず耐傷付き性が悪化してしまう場合がある。。また、上記水酸基価が60mgKOH/gを越えると、意匠性、耐傷付き性に劣るとともに、加工性も悪化し、後加工を行う被塗装物には不適となる場合がある。なお、上記水酸基価としては、20〜50mgKOH/gの範囲であることが好ましい。
【0022】
また、上記数平均分子量が1000未満であると、模様のパターン(柄)やトーン(凹凸観)を制御し難く凹凸が小さくなり、意匠観が劣るとともに、十分な硬度が得られず耐傷付き性が悪化し、さらに加工性も悪化してしまう場合がある。また、上記数平均分子量が20000を越えても意匠性、耐傷付き性が劣ってしまう場合がある。なお、上記数平均分子量としては、2000〜15000の範囲であることが好ましい。
さらに、上記ポリエステル樹脂としては、ガラス転移温度(Tg)が0〜60℃の範囲、さらには10〜40℃の範囲にあるものが好ましく、また、酸価が1〜12の範囲、さらには2〜10の範囲にあるものが好ましい。
【0023】
前記ポリエステル樹脂としては、例えば、多価アルコールと多塩基酸とから合成(エステル縮合反応による合成)されるものが好ましい。具体的には、例えば、多価アルコール成分としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネート(BASHPH)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ジメチルヒダントイン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリカプロラクトンポリオール、グリセリン、ソルビトール、アンニトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアネート、1,9−ノナンジオール等が挙げられ、これらの多価アルコールの二種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0024】
また、多塩基酸としてはフタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、トリメット酸、無水トリメット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アジビン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、無水コハク酸、乳酸、ドテセニルコハク酸、ドテセニル無水コハク酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、無水エンド酸等が挙げられ、これら多塩基酸の二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ポリエステル樹脂の変性剤として、例えば、長鎖モノエポキシド(商品名:カージュラE、シェル(株)社製)、あるいはAOEX24(ダイセル(株)社製)等を用いてもよい。
【0025】
−硬化剤−
本発明に用いられる硬化剤としては、前記基体樹脂を硬化させることができるものであれば特に制限されるものではないが、上記ポリエステル樹脂等に好適に用いられる架橋剤として、メラミン樹脂、ポリイソシアネートを挙げることができる。
【0026】
上記メラミン樹脂としては、加熱硬化時に、低温、短時間で上記のポリエステル樹脂と硬化するものであればよく、通常の加熱乾燥型塗料に使用されるメラミン樹脂を好適に用いることができる。上記メラミン樹脂としては、例えば、アルコキシメチルメラミン樹脂を用いることができる。具体的には、アルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基等を用いたメチル化メラミン樹脂、エチル化メラミン樹脂、n−ブチル化メラミン樹脂、イソブチル化メラミン樹脂等が挙げられる。
【0027】
上記メラミン樹脂の平均重合度は質量平均重合度として1.1〜3の範囲であることが好ましい。上記平均重合度が1.1未満であると、耐汚染性が低下する場合がある。一方、上記平均重合度が3を越えると、加工性が低下する場合がある。前記平均重合度は1.1〜2.6の範囲であることが好ましい。
【0028】
また、前記ポリイソシアネートとしては、例えば、非黄変型のヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等の脂肪族多官能イソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環肪族多官能イソシアネート、及びジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)や水添MDI等のポリイソシアネート化合物の官能基を、部分ブロックまたは完全ブロックしたものを好ましく用いることができる。
【0029】
部分ブロックまたは完全ブロックするためのブロック剤としては、例えば、アセトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム系のブロック剤のほか、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、メタノール等のブロック剤が挙げられる。また、芳香族モノアルコール、ヒドロキシ第3級アミン、フェノール、クレゾールや、ラクタム系のブロック剤を用いることもできる。
前記オキシム系のブロック剤、または上記のオキシム系以外のブロック剤を用いることにより、塗膜の黄変を防止することができる。
【0030】
前記メラミン樹脂と、上記ポリイソシアネートとを併用する場合、加工性、耐汚染性の点から、メラミン樹脂(M)とポリイソシアネート(I)との固形分質量比(M)/(I)は、5/95〜95/5の範囲であることが好ましい。(M)/(I)が5/95未満、または、(M)/(I)が95/5を超えると、両者を併用する効果がでない。なお、(M)/(I)の範囲は、6/4〜4/6の範囲であることが好ましい。
【0031】
本発明における塗料組成物中のポリエステル樹脂(X)と、架橋剤であるメラミン樹脂、及び/または、ポリイソシアネート(Y)との質量比(X/Y)は、40/60〜95/5の範囲であることが好ましい。上記質量比が40/60未満であると、加工性が低下する場合がある。一方、上記質量比が95/5を越えると、塗膜の硬化が十分でなくなり、良好な硬化塗膜が得られない場合がある。
【0032】
−成分A(成分B)−
本発明においては、前記塗料組成物中に下記成分Aが含まれる必要がある。
成分A:前記基体樹脂と前記硬化剤との合計100質量部に対して、0.01〜20質量部の量のアルキルビニルエーテル化合物
上記アルキルビニルエーテル化合物を添加することにより、塗膜の模様のパターンやトーン(凹凸観)を容易に制御することができ、意匠性を向上させることができるとともに、耐傷性(耐傷つき性)をも付与することができる。
【0033】
上記アルキルビニルエーテル化合物としては、数平均分子量が10000〜100000の範囲のアルキルビニルエーテル化合物であることが好ましい。また、上記アルキルビニルエーテル化合物としては、前記ポリエステル樹脂やメラミン樹脂、ポリイソシアネートとの相溶性が低いものが好ましい。具体的には、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルブチルエーテル、ポリビニルプロピルエーテルが好ましく、中でもポリビニルブチルエーテルがより好ましい。
【0034】
前記アルキルビニルエーテル化合物の市販品としては、SERDAS MOM(林化成社製/Huls Group);BYK051、BYK052、BYK053(ビッグケミー・ジャパン(株)社製);フローレンAC1190、フローレンAC303、フローレンAC2000、フローレンAC900(共栄社化学製)等が挙げられ、その中でもSERDAS MOMが特に好ましい。
【0035】
また、上記アルキルビニルエーテル化合物の含有量は、前記ポリエステル樹脂、メラミン樹脂及び/またはポリイソシアネートの合計量100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲である。上記アルキルビニルエーテル化合物が、0.01質量部未満であると、凹凸が小さくなるため意匠感が乏しくなり、20質量部を越えると、同様に意匠感がなくなる。上記含有量としては、0.1〜10質量部の範囲であることが好ましい。
【0036】
本発明における塗料組成物には、前記成分Aに代えて下記成分Bを含ませることもできる。
成分B:前記基体樹脂と前記硬化剤との合計100質量部に対して、0.01〜20質量部の量のポリエステル及び/またはポリエーテル変性ポリシロキサン化合物
上記ポリエステル及び/またはポリエーテル変性ポリシロキサン化合物を添加することにより、例えば、成分Bを含む塗膜表面に塗装される塗料のはじき性をコントロールすることができる。
【0037】
前記ポリエステル及び/またはポリエーテル変性シロキサン化合物としては、例えば、ポリエステル化合物またはポリエーテル化合物を、ジメチルシロキサン等のシロキサン化合物で変性したものを挙げることができる。
また、その分子量としては、数平均分子量で500〜10000の範囲であることが好ましい。上記分子量が500未満であると、塗膜の焼付時に熱分解してしまうことがあり、上記分子量が10000を超えると、ポリエステル樹脂との相溶性が悪くなる場合がある。
【0038】
具体的には、市販品として、例えば、ビッグケミー・ジャパン(株)社製のBYK−306、BYK−370等が挙げられる。
【0039】
前記ポリエステル及び/またはポリエーテル変性シロキサン化合物の含有量としては、前記基体樹脂と前記硬化剤との合計100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲であることが好ましく、0.1〜10質量部の範囲であることがより好ましい。
前記含有量が0.01質量部未満であると、例えば、成分Bを含む塗膜表面に塗装される塗料、即ちはじき凹凸塗膜形成用の塗料のはじき性を十分に制御できず、完全な海島構造が得られなかったり、所望のパターンやトーン(凹凸観)の意匠模様が形成できず、耐傷性(耐傷付き性)も悪化する場合がある。また、前記含有量が20質量部を超えると、耐傷性は維持できるものの、上記同様所望のパターンやトーン(凹凸観)の意匠模様を形成が困難となる場合がある。
【0040】
−その他の成分−
本発明に用いられる塗料組成物には、上記成分のほか、必要に応じて、例えば防錆顔料、着色顔料等を添加することができる。
【0041】
前記防錆顔料は、耐食性を塗膜に付与するために添加される。該防錆顔料としては、例えば、ストロンチウムクロメートやジンククロメート等のクロムタイプ、リンモリブデン酸やリンバナジウム酸、カルシウムシリケート、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム等のノンクロムタイプが挙げられる。また、該防錆顔料の添加量としては、前記塗料組成物の全固形分の1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることより好ましい。
【0042】
前記着色顔料としては、クリヤー、エナメル等を含む色相付与の目的を達成できれば、どのようなタイプのものでも使用することができ、例えば、アルミペースト、パール、酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ、シリカ、マイカ、炭酸カルシウム、亜鉛華、酸化鉄、黄鉛、酸化クロム、群青、その他各種顔料が挙げられる。着色顔料の添加量は、本発明の効果を損なわなければ特に制限はないが、粘度、塗装作業性などを勘案して決定する必要がある。通常、前記塗料組成物の全固形分の1〜50質量%の範囲で添加するのが好ましい。
【0043】
−溶剤−
本発明における塗料組成物は、前記各成分を適当な溶剤に溶解または分散させて作製される。上記塗料組成物に用いることができる溶剤としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等、通常の塗料用の溶剤を使用することができる。また、前記溶剤は、蒸発速度の小さい溶剤を併用し、溶剤が急速に揮発しないようにしたものが好ましく、該蒸発速度の小さい溶剤としては、例えば、セロソルブ、ブチルセロソルブ、シクロヘキサノン、イソホロン、等が挙げられる。
前記溶剤への塗膜構成成分の含有量は、塗装性及び本発明の効果を損ねない範囲で任意調整可能であるが、通常塗料組成物中30〜70質量%の範囲となるように配合するのが好ましい。
【0044】
(意匠性凹凸塗膜)
−塗膜構成−
本発明における意匠性凹凸塗膜は、前記各成分を含む塗料組成物を用いて、後述する製造方法により鋼板表面に形成されるものである。上記意匠性凹凸塗膜は、鋼板表面に前記塗料組成物を単層として形成してもよいし、鋼板表面に予めプライマーを塗膜として形成し、その表面に上塗り塗膜を形成してもよい。
【0045】
前記鋼板表面にプライマー塗膜を形成し、その表面に上塗り塗膜を形成する場合の好ましい構成としては、プライマーとして本発明における成分Aを含む塗料組成物により凹凸塗膜を形成し、その表面に通常の上塗り塗膜を形成した構成を挙げることができる。また、これとは逆に通常のプライマー塗膜を形成し、その表面に、本発明における成分Aを含む塗料組成物により凹凸塗膜を形成してもよい。
【0046】
前記プライマーとして凹凸塗膜を形成し、その表面に通常の上塗り塗膜を形成した構成の場合には、例えば、前記成分Aを含む塗料組成物により凹凸塗膜を形成すれば、ノンシリコーンタイプの添加剤でハンマートーン調、ユズ肌外観、耐傷つき性を付与することができる。すなわち、プライマーに用いる樹脂のタイプ、膜厚により、ハジキのトーンを変えることができ、また、塗装した瞬間にウエット状態で凹凸が形成されるため、溶融ビーズによる凹凸塗料を用いた塗装と異なり、加熱硬化条件による意匠性への影響を受けない。さらに、このような構成では、高光沢を付与することも可能であり、従来のシリコーンを使用したハンマートーン塗料での問題であったオーブン汚染、コンタミ等も発生することがない。
【0047】
一方、プライマーとして通常の塗膜を形成し、その表面に凹凸塗膜である上塗り塗膜を形成した構成の場合には、上塗りの凹凸により、今までにない新規意匠性、超耐傷つき性を付与することができる。すなわち、骨材を使用していないので、ごつごつしておらず、今までにないレザー調の手触り感を得ることができ、塗膜そのものに凹凸が付くことにより、塗膜の耐傷つき性が大幅に向上する。また、上塗りの樹脂のタイプ、膜厚により、ハジキのトーンを変えることができ、上塗り塗膜をクリアー、エナメル、メタリック、パール等にすることにより、種々のバリエーションを有する意匠とすることが可能となる。
【0048】
さらに、本発明においては、前記鋼板表面に前記成分Aを含む塗料組成物により凹凸塗膜を形成し、その表面にさらに前記成分Aを含む塗料組成物により凹凸塗膜を形成する構成も好ましい構成として挙げることができる。
このような構成とした場合には、プライマー及び上塗り塗膜のいずれか一方を凹凸塗膜とした場合に比べ、より意匠のバリエーションを広げることができる。
【0049】
上記いずれの構成であっても、プライマー及び上塗り塗膜のうち、少なくとも一方を成分Aを含む塗料組成物により形成された凹凸塗膜とすることにより、本発明の均一で、意匠性、耐傷性に優れた意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板を得ることができる。
【0050】
そして、前記のようにプライマーと上塗り塗膜とで凹凸塗膜を積層した構成の場合には、プライマー及び上塗り塗膜に含まれる成分Aのうち、どちらか一方を成分Bとした、互いに含まれる成分が異なる複合塗膜とすることも好ましい構成として挙げることができる。このようにすることにより、双方の塗膜に成分Aが含まれる場合に比べ、例えば、上塗り塗膜を完全に海島構造としたり、トーンを大きくしたりすることができる。すなわち、プライマーに成分Bが含まれる場合には、シリコーンの種類や上塗りの樹脂タイプ、膜厚により、ハジキのトーンを変えることができ、また、前記のように上塗り塗膜をクリアー、メタリック、パール等にすることでさらに意匠のバリエーションを広げることができる。
【0051】
なお、前記通常のプライマー塗膜、通常の上塗り塗膜とは、前記凹凸塗膜に適合する既存のものであれば特に制限されるものではなく、例えば、プライマーとしてエポキシ樹脂、プライマーまたは上塗りとしてポリエステル樹脂等を主成分とするものが挙げられる。また、上記塗膜に含まれる架橋剤としては、メラミン、イソシアネート化合物等が挙げられる。
【0052】
また、前記凹凸塗膜とは、表面に凹凸を有する塗膜であり、当該凹凸は、本発明における成分A、成分Bの添加により、塗膜をはじかせることにより形成される、例えばユズ肌のような滑らかな凹凸のことである。
【0053】
−膜厚−
本発明の意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板においては、上記凹凸塗膜の膜厚は平均乾燥膜厚で2〜30μmの範囲であることが必要である。
前記膜厚が2μm未満であると、凹凸が小さくなることがあり、前記膜厚が30μmを超えると、同じく凹凸が小さくなることがある。前記意匠性凹凸塗膜の膜厚としては、5〜15μmの範囲であることが好ましく、5〜10μmの範囲であることがより好ましい。
【0054】
また、前記のように凹凸塗膜の表面に、さらに上塗り塗膜が形成される場合は、当該上塗り塗膜の膜厚は平均乾燥膜厚で5〜20μmの範囲であることが好ましい。
前記膜厚が5μm未満であると、耐久性が劣ることがあり、前記膜厚が20μmを超えると、凹凸が小さくなることがある。
なお、本明細書でいう「平均乾燥膜厚」とは、塗膜を剥がして、1m当りの乾燥塗膜量を測定し、その質量を乾燥塗膜比重で割って算出した平均膜厚をいう。
【0055】
<意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板の製造方法>
本発明の意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板の製造方法は、鋼板表面に、基体樹脂、硬化剤、及び下記成分Aを含む塗料組成物をロール塗装することにより凹凸塗膜を形成する凹凸膜形成工程と、前記凹凸塗膜を加熱硬化させて平均乾燥膜厚が2〜30μmの凹凸塗膜とする加熱硬化工程と、を含むことを特徴とする。
また、必要に応じて、プライマー塗装工程、上塗り工程等を設けてもよい。以下、各工程ごとに説明する。
【0056】
(凹凸塗膜形成工程)
本発明においては、凹凸塗膜を前記の塗料組成物をロール塗装することによって、レザー状の凹凸模様を有する塗膜面を形成することができる。本発明によれば、被塗装物に美観や、耐傷付き性(傷がつきにくい)及び耐指紋性(指紋等がつきにくい)を付与することができ、さらに、骨材を使用していないためごつごつしないレザー調の触感を与えることができる。また、ロール塗装によるため、均一な薄厚の凹凸塗膜を効率よく形成することができる。上記凹凸模様のトーンは、樹脂、膜厚等を調整することによって適宜変更することができる。
【0057】
本発明の意匠性凹凸塗膜の形成されたプレコート鋼板の製造方法においては、凹凸塗膜はロール塗装によって形成される。該ロール塗装は、通常塗膜を形成するのに利用されるロール塗装であれば制限なく用いることができる。例えば、2本若しくは3本のロールからなるロールコータを用いて、ナチュラルまたはリバース塗装方式等によって塗装することができる。
【0058】
(プライマー塗装工程)
前記凹凸塗膜形成工程により得られた凹凸塗膜は、そのまま単層として用いてもよいし、後述するように上記凹凸塗膜をプライマーとして用いてもよい。また、本発明においては、前記凹凸塗膜形成工程に先立ってプライマー塗装工程を設けることもできる。この場合、上記プライマー塗装工程において、鋼板(基材)表面にプライマー塗膜を形成した後、該プライマー塗膜表面に、前記凹凸塗膜を形成する。上記プライマー塗膜の塗料(以下、「プライマー塗料」という場合がある。)は、上記凹凸塗膜に適合するものであればよく、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等を主成分とするものが挙げられる。また、該プライマー塗料に含まれる架橋剤としては、メラミン、イソシアネート化合物等が挙げられる。また、プライマー塗料に用いることができる溶剤としては、前記凹凸塗膜形成用の塗料に用いたものと同様のものが挙げられ、さらに必要に応じて、上述の防錆顔料、着色顔料等を添加してもよい。なお、意匠性、耐傷付き性の観点から、上記プライマー塗料は、ポリエステル樹脂を主成分とするものが好ましい。
【0059】
また、塗装の方法としては、特に制限はなく、前記ロール塗装のほか、例えば、カーテンフローコート、スプレー塗装、静電塗装、浸漬塗装等の通常の塗装方法を適宜適用することができるが、均一な塗布面を効率よく形成する観点から、ロール塗装が好ましい。
【0060】
(上塗り工程)
本発明においては、前記凹凸塗膜形成工程と後述する加熱硬化工程との間に、上塗り塗膜を形成する上塗り工程を含むことが好ましい。当該上塗り工程では、前記凹凸塗膜であるプライマー塗膜表面に、上塗り塗膜形成用塗料(以下、「上塗り塗料」という場合がある。)を塗装して上塗り塗膜が形成され、例えば、該上塗り塗膜にクリヤー顔料やエナメル顔料等を用いることによって高光沢性を付与することができる。上記上塗り塗料は、前記プライマー塗料同様、凹凸塗膜であるプライマー塗膜に適合するものであればよく、例えば、ポリエステル樹脂等を主成分とするものが挙げられる。また、該上塗り塗料に含まれる架橋剤としては、メラミン、イソシアネート化合物等が挙げられる。また、上塗り塗料に用いることができる溶剤としては、前記プライマー塗料同様、凹凸塗膜形成に用いるものと同様のものが挙げられ、さらに必要に応じて、上述の防錆顔料、着色顔料等を添加してもよい。なお、意匠性、耐傷付き性の観点から、上記上塗り塗料は、ポリエステル樹脂を主成分とするものが好ましい。
【0061】
また、既述の如く、本発明の意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板では、凹凸塗膜であるプライマー塗膜の表面に、さらに凹凸塗膜である上塗り塗膜を形成することもできる。そして、この場合には前記上塗り工程も、前記凹凸塗膜形成工程と同様に、成分Aを含む塗料組成物を塗装することにより凹凸塗膜を形成する工程となる。
【0062】
塗装の方法としては、前記プライマー塗装工程と同様に、特に制限はなく、前記ロール塗装のほか、例えば、カーテンフローコート、スプレー塗装、静電塗装、浸漬塗装等の通常の塗装方法を適宜適用することができる。但し、上記上塗り工程が凹凸塗膜を形成する工程である場合には、ロール塗装で行われることが好ましい。
【0063】
(加熱硬化工程)
本発明においては、前記凹凸塗膜形成工程後、必要に応じてセッティングを施した後、加熱硬化させる。該加熱硬化は、熱風炉、誘導加熱炉、近赤外線炉、遠赤外線炉、エネルギー線硬化炉等で行うことができる。本発明における上記加熱硬化工程は、前記凹凸塗膜を加熱硬化させ、塗膜の膜厚を平均乾燥膜厚で2〜30μmとするために必要な工程である。
【0064】
上記加熱硬化工程は、乾燥塗膜の膜厚が上記範囲となれば特に制限されるものではないが、塗装後最高到達板温度が150〜240℃になるように約10〜60秒間行うのが好ましい。
【0065】
なお、上記加熱硬化工程は、前記凹凸塗膜形成工程の後、少なくとも1回は行う必要があるが、例えば、前記のようにプライマー塗装工程の後や、凹凸塗膜工程と上塗り工程との間等にも行い、複数回行うこととしてもよい。
【0066】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜12、比較例1及び2>
(プライマー塗装工程)
亜鉛メッキ鋼板(JIS G3302;厚さ0.5mm;サイズ20×30mm)からなり、クロメート処理(ロールコータによって、皮膜クロム量20mg/mになるように「サーフコートNRC300(日本ペイント(株)社製)」で処理)を施した鋼板(基材)表面に下記の条件に従って、下記組成のプライマー塗料をロールコータによって塗装し、プライマー塗膜を形成した。
【0067】
−プライマー塗料組成−
・ポリエステル樹脂:50質量部
・メラミン:10質量部
・シクロヘキサン:40質量部
上記各成分を、ディスパーにて5分間混合し、プライマー形成用塗料を得た。
【0068】
−ロール塗装条件−
ナチュラルリバース2本ロールを用い、アプリケーターロールの線速を84m/min、ピックアップロールの線速を21m/minとし、ラインスピード70m/minにて行った。
【0069】
−加熱硬化条件−
加熱オーブンにて、前記鋼板の最高到達温度が215℃となった状態で、40秒間加熱硬化を行った。
【0070】
(凹凸塗膜形成工程)
次いで、上記加熱硬化したプライマー塗膜表面に、ロールコータによって下記条件のもと、表1または表2に示す組成の凹凸塗膜形成用塗料(塗料組成物)を塗装し、凹凸塗膜を形成した。なお、上記各塗料は、表に示した各成分を、ディスパーにて5分間混合して塗料とした。
【0071】
−ロール塗装条件−
前記同様、ナチュラルリバース2本ロールを用い、アプリケーターロールの線速を84m/min、ピックアップロールの線速を21m/minとし、ラインスピード70m/minにて行った。
【0072】
(加熱硬化工程)
上記凹凸塗膜を形成した後、下記の条件で加熱硬化し意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板を作製した。
【0073】
−加熱硬化条件−
加熱オーブンにて、前記鋼板の最高到達温度が215℃となった状態で、40秒間加熱硬化を行った。
【0074】
(評価)
(1)平均乾燥膜厚
前記鋼板表面に形成した凹凸塗膜の平均乾燥膜厚は、別途プライマーなしの鋼板表面に表1、2に示した各塗料を用いて実施例1と同様の条件により凹凸塗膜を形成し、その塗膜を剥がして、1m当たりの乾燥塗膜質量を測定し、その質量を乾燥塗膜比重で割って算出した。
【0075】
(2)塗膜外観(意匠性)
作製された意匠性凹凸塗膜表面を目視によって観察し、以下の基準に従って評価した。なお、◎及び○が本発明の効果として好ましい評価である。
◎:意匠感が従来のものと比較して優れており、目的とする意匠感を形成できた。
○:意匠感が従来のものと同程度であり、意匠感がやや小さかった。
△:意匠感が従来のものよりやや劣っており、意匠感が小さかった。
×:意匠感が従来のものより劣っており、意匠感がなかった。
【0076】
(3)鉛筆傷硬度(耐傷付き性)
20℃の室内にて、JIS D0202に基づいて試験を行った。硬度としては、Hより硬いものが本発明の効果として好ましいものである。
【0077】
(4)碁盤目密着性
20℃の室内にて、まず、作製した意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板を試験片として、JIS K5600−5−6(碁盤目試験)の方法に準じてカッターナイフにて碁盤目を各試験片の塗膜面(表面)に作り、試験片の碁盤目を作った箇所に対応する裏面からエリクセン試験機にて6.0mm押し出す。その後、エリクセン試験機から取り出し、上記碁盤目表面にセロハン粘着テープを十分に付着させ、直ちにセロハンテープを塗膜面と直角方向に瞬間的に引き剥がし、該塗膜面を観察した。塗膜が剥れないで残った碁盤目の数が100のものが本発明の効果として好ましい評価であり、99以下のものは不適とした。
【0078】
(5)加工性
20℃の室内にて、作製したプレコート鋼板を各試験片として、その塗膜面を外側にし、その内側に試験片と同一の未塗装の被塗装板1枚(1T)〜6枚(6T)をはさみ込み、万力で締め付けて180度密着折り曲げした。この折り曲げ部の先端を10倍ルーペで観察し、クラックフリーとなる加工レベルを示した。1T〜4Tのレベルが本発明の効果として好ましいものである。
【0079】
(6)耐傷付き性
20℃の室内にて、表面性試験機器HEIDON−14S(神東科学(株)社製)を用いて、作製したプレコート鋼板を試験片とし、その塗膜面に0.5mmRのサファイア針をあて、100gの加重をかけて、塗膜面を移動速度100mm/min、移動幅10cmにて1回擦りつけた。試験後の塗膜面を観察し、下記の基準に従って評価した。◎及び○が本発明の効果として好ましいものである。なお、△は、凹凸模様を付加していない被塗装物に、上記試験を行った時と同等の耐傷付き性である。
◎:塗膜面に傷は全くつかなかった。
○:塗膜面にわずかな傷が認められた。
△:塗膜面に傷が認められた。
×:塗膜膜が削られてしまった。
以上の評価結果を表1及び表2に示す。
【0080】
【表1】
Figure 2004066519
【0081】
【表2】
Figure 2004066519
【0082】
<実施例13〜28、比較例3及び4>
凹凸塗膜形成工程において、下記組成の凹凸塗膜形成塗料(塗料組成物)によりプライマーを形成し、加熱硬化後、表3、表4に示す組成の凹凸塗膜を形成する上塗り工程を行う以外は実施例1と同様にして、意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板の作製、及び評価を行った。
【0083】
−凹凸塗膜(プライマー)形成塗料の組成−
・ポリエステル樹脂:80質量部
・メラミン:20質量部
・ポリエステル変性ポリシロキサン化合物:0〜25質量部
【0084】
作製された意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板について、前記実施例1〜12、比較例1、2と同様の評価を行った。
以上の評価結果を表3及び表4に示す。
【0085】
【表3】
Figure 2004066519
【0086】
【表4】
Figure 2004066519
【0087】
上記表1及び2の結果から、本発明に規定するプライマー塗装工程と凹凸塗膜形成工程を行った実施例1〜12では、生産上の不都合を伴うことなく、比較例1及び2に比べ、連続的な凹凸観のある意匠性に優れた所望の意匠模様を得ることができ、耐傷つき性、耐指紋性にも優れていた。
一方、表3及び4の結果から、凹凸塗膜形成工程で、ポリエステル変性ポリシロキサン化合物を含むプライマーを形成した後、さらに凹凸塗膜である上塗り塗膜を形成した実施例13〜28では、前記効果に加え、独立した海島構造の凹凸模様パターンやトーン(凹凸観)が制御された所望の意匠模様を得ることができた。
【0088】
【発明の効果】
本発明によれば、海島構造の凹凸パターンやトーン(凹凸観)を自由に制御して色々なバリエーションの意匠性凹凸模様が得られ、かつ指紋が付き難く塗膜の耐傷性(耐傷付き性)にも優れた意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板、及び当該プレコート鋼板を形成し得る製造方法を提供することができる。

Claims (9)

  1. 鋼板表面に、基体樹脂、硬化剤及び下記成分Aを含む塗料組成物により、平均乾燥膜厚2〜30μmの凹凸塗膜が形成されていることを特徴とする意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板。
    成分A:前記基体樹脂と前記硬化剤との合計100質量部に対して、0.01〜20質量部の量のアルキルビニルエーテル化合物
  2. 前記凹凸塗膜をプライマーとし、該プライマー表面に上塗り塗膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板。
  3. 前記上塗り塗膜が、前記成分Aを含む塗料組成物により形成された凹凸塗膜であることを特徴とする請求項2に記載の意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板。
  4. 前記プライマー及び上塗り塗膜に含まれる成分Aのうち、どちらか一方を、成分Aの代わりに下記成分Bとしたことを特徴とする請求項3に記載の意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板。
    成分B:前記基体樹脂と前記硬化剤との合計100質量部に対して、0.01〜20質量部の量のポリエステル及び/またはポリエーテル変性ポリシロキサン化合物
  5. 鋼板表面にプライマー塗膜が形成され、その表面に前記成分Aを含む塗料組成物により、凹凸塗膜である上塗り塗膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板。
  6. 鋼板表面に、基体樹脂、硬化剤、及び下記成分Aを含む塗料組成物をロール塗装することにより凹凸塗膜を形成する凹凸塗膜形成工程と、前記凹凸塗膜を加熱硬化させて平均乾燥膜厚が2〜30μmの凹凸塗膜とする加熱硬化工程と、を含むことを特徴とする意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板の製造方法。
    成分A:前記基体樹脂と前記硬化剤との合計100質量部に対して、0.01〜20質量部の量のアルキルビニルエーテル化合物
  7. 前記加熱硬化工程の終了後に、上塗り塗膜を形成する上塗り工程を含み、凹凸塗膜であるプライマー表面に、平均乾燥膜厚が5〜20μmの上塗り塗膜が形成されることを特徴とする請求項6に記載の意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板の製造方法。
  8. 前記上塗り工程が、前記成分Aを含む塗料組成物をロール塗装することにより凹凸塗膜を形成する工程であることを特徴とする請求項7に記載の意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板の製造方法。
  9. 前記凹凸塗膜形成工程及び前記上塗り工程のうち、いずれか一方が、前記成分Aの代わりに下記成分Bを含む塗料組成物をロール塗装することにより凹凸塗膜を形成する工程であることを特徴とする請求項8に記載の意匠性凹凸塗膜が形成されたプレコート鋼板の製造方法。
    成分B:前記基体樹脂と前記硬化剤との合計100質量部に対して、0.01〜20質量部の量のポリエステル及び/またはポリエーテル変性ポリシロキサン化合物
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005298722A (ja) * 2004-04-14 2005-10-27 Nikko Kagaku Kenkyusho:Kk 重合体溶液、艶消し塗料及び化粧シート
JP2008094013A (ja) * 2006-10-13 2008-04-24 Nippon Steel & Sumikin Coated Sheet Corp 意匠性に優れた塗装金属板とその製造方法
JP2009068250A (ja) * 2007-09-13 2009-04-02 Panasonic Electric Works Co Ltd ハンマートーン塗装建築板
JP2009248458A (ja) * 2008-04-07 2009-10-29 Nippon Steel & Sumikin Coated Sheet Corp 意匠性に優れた塗装金属板とその製造方法

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