JP2004064864A - エレベータの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インバータを構成するスイッチング素子の熱破壊に対する適切な保護動作を実施することのできるエレベータの制御装置を提供する。
【解決手段】エレベータを駆動する電動機に駆動電力を供給するインバータ部をPWM制御手段によって制御するに当たり、インバータ部の出力電流値とスイッチング素子の熱破壊耐量に対応する時間との関係を示す熱破壊耐量関数を記憶する関数記憶手段と、インバータの出力電流位相角の相電流比率を演算する演算手段と、モータロック状態を判定する判定手段と、モータロック状態と判定されたとき、相電流及び相電流比率に基づいて最大の相電流を求めると共に、最大の相電流に対応する熱破壊時間を熱破壊耐量関数に従って求め、この熱破壊時間の経過後に異常信号を発生する温度異常判定手段と、温度異常判定手段より異常信号が出力されたとき、電動機を保護シーケンス運転に切り替える保護シーケンス手段とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】エレベータを駆動する電動機に駆動電力を供給するインバータ部をPWM制御手段によって制御するに当たり、インバータ部の出力電流値とスイッチング素子の熱破壊耐量に対応する時間との関係を示す熱破壊耐量関数を記憶する関数記憶手段と、インバータの出力電流位相角の相電流比率を演算する演算手段と、モータロック状態を判定する判定手段と、モータロック状態と判定されたとき、相電流及び相電流比率に基づいて最大の相電流を求めると共に、最大の相電流に対応する熱破壊時間を熱破壊耐量関数に従って求め、この熱破壊時間の経過後に異常信号を発生する温度異常判定手段と、温度異常判定手段より異常信号が出力されたとき、電動機を保護シーケンス運転に切り替える保護シーケンス手段とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗りかごを駆動する永久磁石電動機を、電力変換装置によって制御するエレベータの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
永久磁石同期電動機(Permanent Magnet Synchronus Motor 以下、PMSMと略記する)は、誘導電動機と比較すると、同じ出力に対して小形に製作できるので、近年、エレベータシステムの駆動部に使用されるようになってきた。
【0003】
PMSMの速度制御において、モータ駆動部の速度検出器からの出力信号が何等かの原因によって断たれてしまった場合、モータロック状態に陥ってしまう。この状態ではインバータの出力電流の周波数は0[Hz]となり、インバータを構成するスイッチング素子の接合部の温度が急激に上昇し、熱破壊を起こす可能性が高くなる。
【0004】
また、インバータ装置に使用するU,V,W相の各スイッチング素子を単一の冷却器の一表面部に並べて実装している場合にモータロックが発生すると、各相の電流分担がその位相によって異なるため、冷却器への熱源集中の偏りが大きくなり、スイッチング素子が熱破壊を起こすまでの時間がばらつく結果となる。
【0005】
例えば、特開平7−222478号公報には、冷却フィンの温度を検出し、素子の温度上昇を検出して発熱の増大を防止することが記載されているが、より多くの要因、すなわち、インバータの出力電流、位相角、通電時間、冷却器に対するスイッチング素子の実装状態等をも考慮したスイッチング素子熱破壊保護システムの開発が強く望まれていた。
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、インバータを構成するスイッチング素子の熱破壊に対する適切な保護動作を実施することのできるエレベータの制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、
エレベータを駆動する電動機と、ブリッジ接続された複数のスイッチング素子をオン、オフ制御して電動機に駆動電力を供給するインバータ部と、電動機の少なくとも2つの相電流を検出する電流検出手段と、電動機の速度を検出する速度検出手段と、速度検出手段の検出値に基づいてインバータ部の出力電流位相角を演算する電流位相角演算手段と、エレベータの運転パターンに対応する速度基準、検出された電動機の相電流及び速度、並びに演算されたインバータの出力電流位相角に基づいてインバータ部を制御するPWM制御手段とを備えたエレベータの制御装置において、
インバータ部の出力電流値とスイッチング素子の熱破壊耐量に対応する時間との関係を示す熱破壊耐量関数を記憶する関数記憶手段と、
電流位相角演算手段で演算されたインバータの出力電流位相角に基づいて相電流比率を演算する演算手段と、
速度検出手段の検出信号に基づいてモータロック状態を判定する判定手段と、判定手段によってモータロック状態と判定されたとき、電流検出手段によって検出された相電流及び演算手段により演算された相電流比率に基づいて最大の相電流を求めると共に、熱破壊耐量関数に従って最大の相電流に対応する熱破壊時間を求め、この熱破壊時間の経過後に異常信号を発生する温度異常判定手段と、温度異常判定手段より異常信号が出力されたとき、電動機を保護シーケンス運転に切り替える保護シーケンス手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のエレベータの制御装置において、
インバータ部を構成するスイッチング素子が単一の冷却器上に相毎に並べて実装されているとき、モータロック状態と判定されたときの出力電流位相角に応じて変化する熱源集中による冷却器に対する印加熱量の偏りに対応させて、複数種類の熱破壊耐量関数を関数記憶手段に記憶させ、温度異常判定部はモータロック状態と判定された電流位相角に対応する適切な熱破壊耐量関数を選択して異常信号を発生することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載のエレベータの制御装置において、
インバータ部の出力電流値に基づいて、スイッチング素子の発生損失を演算するスイッチング素子発生損失演算手段と、
演算されたスイッチング素子の発生損失、インバータ部の連続通電時間、及び、スイッチング素子の特性に基づいて、冷却器のスイッチング素子取付面の温度上昇値を演算する冷却器温度上昇演算手段と、
演算されたスイッチング素子の発生損失、及び、スイッチング素子の接合部とケースとの間の熱伝達特性にケースに対する接合部の温度上昇値を演算する接合部温度上昇演算手段と、
インバータ部の周囲温度を入力する温度条件入力手段と、
演算された冷却器のスイッチング素子取付面の温度上昇値、接合部の温度上昇値、及び、入力されたインバータ部の周囲温度に基づいて、スイッチング素子の接合部の温度を演算する接合部温度演算手段と、
演算されたスイッチング素子の接合部の温度とスイッチング素子の接合部定格温度とに基づいて、熱破壊耐量関数を作成する熱破壊保護関数作成部と、
を備え、熱破壊耐量関数を記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエレベータの制御装置において、保護シーケンス手段は、冷却器に対する熱源バランスが均等なときにインバータの出力電流を相対的に高い値に制限し、冷却器に対する熱源バランスが偏ったときにインバータの出力電流相対的に低い値に制限することを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエレベータの制御装置において、インバータ部の前段に、交流を直流に変換すると共に、直流出力電圧が可変のコンバータ部を備え、保護シーケンス手段は、コンバータの出力電圧を低下させて電動機を保護シーケンス運転に切り替えることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエレベータの制御装置において、保護シーケンス手段は、熱源が集中した相のスイッチング素子がオン状態を継続するPWM制御信号を生成することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係るエレベータの制御装置の第1の実施形態の概略構成図である。同図において、商用の三相交流電源101にコンバータ部102が接続されている。このコンバータ部102はそれぞれ還流用のダイオードが逆並列接続されたスイッチング素子がブリッジ接続され、その交流側に三相交流電源101を接続して各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって、その直流側から電圧制御された直流電力を出力するものである。コンバータ部102の直流側に直流リンク部としての平滑コンデンサ103が接続されると共に、インバータ部104の直流側が接続されている。インバータ部104はそれぞれ還流用のダイオードが逆並列接続されたスイッチング素子がブリッジ接続され、これらのスイッチング素子をオン、オフ制御することによって可変電圧可変周波数の三相交流電力に変換する。そして、このインバータ部104の交流側に、エレベータを駆動するPMSMでなる電動機105が接続されている。この電動機105に速度検出手段としてのパルスエンコーダ106が直結されている。
【0014】
上記のコンバータ部102及びインバータ部104を制御する制御部として、エレベータ制御マイコン107を備えている。この場合、三相交流電源101から三相交流電力を入力する経路の2つの相に電流検出器108A及び108Bが設けられ、さらに、インバータ部104から電動機105に可変電圧可変周波数の三相交流電力を供給する経路の2つの相に電流検出器109A及び109Bが設けられている。エレベータ制御マイコン107は電流検出器108A,108B,109A,109B及びパルスエンコーダ106の各出力信号に基づいてコンバータ部102及びインバータ部104を制御する構成になっている。
【0015】
エレベータ制御マイコン107は、エレベータ運転パターンの演算手段(本発明に直接的に関係しないのでその詳細な説明を省略する)、PWM信号を出力する電流制御演算部、出力周波数及びトルクを制御する速度制御演算部、出力電流及び及び速度のアナログ値を検出するアナログ信号検出手段及び保護シーケンス判定処理手段を含み、これに従って、コンバータ部102及びインバータ部104を制御する。すなわち、三相交流電源101の三相交流電圧がコンバータ部102によって振幅が制御された脈流に変換され、平滑コンデンサ103によって平滑された直流電力がインバータ部104に加えられ、さらに、インバータ部104からエレベータの運転パターンに従って電圧及び周波数が制御された交流電力が電動機105に供給される。
【0016】
図2は図1に示したエレベータの制御装置のうち、インバータ部104から電動機105に供給される三相の各相電流IU,IV,IWの波形図であり、電動機105の駆動中にその速度信号をフィードバックするラインに断線が発生したり、機械的な要因によって電動機105がロック状態に陥ったりした場合、所定のインバータ出力電流指令値に対する各相の電流比率の関係を説明するための説明図である。同図において、U相の電流IUが正の最大値を示す時刻から負の最大値を示す時刻を経過してゼロになるまでの電気角で270°の区間を30°毎に区切った時刻(1)〜(10)における電流指令(I0)を1として、各相の電流比率を表すと次のようになる。
【0017】
(1),(7)…IU:IV:IW=(1.0):(0.5):(0.5)
(2),(8)…IU:IV:IW=(0.86):(0):(0.86)
(3),(9)…IU:IV:IW=(0.5):(0.5):(1.0)
(4),(10)…IU:IV:IW=(0):(0.86):(0.86)
(5) …IU:IV:IW=(0.5):(1.0):(0.5)
(6) …IU:IV:IW=(0.86):(0.86):(0)
従って、モータロック状態におけるインバータ部104を構成するスイッチング素子の過熱異常に対する保護に関しては、電流指令値と時間だけでなく、固定位相角に対する電流比率を考慮しないと、スイッチング素子の破壊に至る時間が大きく異なり、無駄をなくした適切な保護ができないことが分かる。
【0018】
図3は電動機105の電流を制御するために、エレベータ制御マイコン107にその機能を持たせた電流制御演算部の構成を示すブロック図である。詳細を後述する速度制御演算部が、ここではd軸電流基準Idc及びq軸電流基準Iqcを出力する電流基準発生器301として表されている。これらの電流基準Idc及びIqcがそれぞれ減算器302A及び302Bによって、フィードバックされた実電流信号Idf及びIqfと比較され、それぞれの差分がPIコントローラ303A及び303Bに加えられる。
【0019】
PIコントローラ303Aは差分(Idc−Idf)に対してPI演算を実行して直交回転座標系における電圧指令信号Vdを演算し、PIコントローラ303Bは(Iqc−Iqf)に対してPI演算を実行して直交回転座標系における電圧指令信号Vqを演算してそれぞれ逆dq変換器304に加える。逆dq変換器304は、電流位相角演算手段としての一次周波数角発生器310から出力される電気角θeに基づき、回転座標系における電圧指令信号Vd,Vqを直交静止座標系の電圧指令信号Vx,Vyに変換する。2相/3相変換器305は直交静止座標系の電圧指令信号Vx,Vyを静止座標系の電圧指令信号Vu,Vv,Vwに変換して、PWM回路308に加える。PWM回路308は電圧指令信号Vu,Vv,Vwに基づいてPWMインバータ309に対するゲート信号を生成する。
【0020】
一方、PWMインバータ309から電動機105に供給される三相交流電力のうち、U相の電流が電流検出器109Aで検出され、W相の電流が電流検出器109Bで検出され、静止座標系の電流信号Iuf及びIwfが3相/2相変換器306に加えられる。3相/2相変換器306は静止座標系の電流信号Iuf及びIwfを直交静止座標系の電流信号Ix及びIyに変換する。dq変換器307は電流信号Ix及びIyを、一次周波数角発生器310から出力される電気角θeに基づき、直交回転座標系の実電流信号Idf及びIqfに変換し、前述の減算器302A及び302Bにそれぞれ減算入力として加える。
【0021】
電流比率・分担演算器311は、一次周波数角発生器310から出力される電気角θe、電流検出器109A及び109Bからそれぞれ出力される電流検出信号Iuf及びIwfに基づいて、例えば、図2に示した如く、U,V,W各相の電流比率及び電流値を演算するものである。このように、電流制御演算部にU,V,W各相の電流比率及び電流値を演算する電流比率・分担演算器311を追設することによって、モータロック状態の各相の電流比率をエレベータ制御マイコン107上にて把握することが可能となる。なお、モータロック状態の判定については、次に図4に示した速度制御演算部と併せて説明する。
【0022】
図4はエレベータ制御マイコン107にその機能を持たせた速度制御演算部の構成を示すブロック図である。ここで、速度基準発生器412は速度指令値Frrefを決定するもので、減算器401はこの速度指令値Frrefとフィードバックされたモータ実速度信号Frとを比較してその差分を演算する。モータロック状態判定部兼モータ実速度演算器411は、パルスエンコーダ106から出力されるパルス信号に基づいてモータ実速度を演算し、実速度信号Frを出力すると共に、モータロック状態を検出する機能を有している。一次角周波数演算器310はモータロック状態判定部兼モータ実速度演算器411から出力されるモータ実速度信号Frに基づき一次周波数角値(電気角)θeを演算して、図3にに示した電流制御演算部を表す電流制御系404に加える。
【0023】
一方、減算器401から出力された速度指令値Frrefと実速度信号Frとの差分(Frref−Fr)は、PIコントローラ402によってPI演算が施され、トルク指令値Tm、すなわち、q軸電流基準Iqcを出力して電流制御系404に加え、d軸電流指令発生器409は直交回転座標系のd軸電流基準Idcを出力して電流制御系404に加える。電動機105によって駆動される綱車にはロープが巻き掛けられ、このロープの一端に乗りかご407が結合され、その他端に釣合錘408が結合されている。この図4に示した速度制御演算部は、モータロック状態判定部兼モータ実速度演算器411を設けたことによって、パルスエンコーダ106から出力されるパルス信号に基づいて、モータロック状態の把握を可能にしている。
【0024】
図5はエレベータ制御マイコン107にその機能を持たせた保護シーケンス判定処理を実行する機能ブロック図である。この図5では、図3に示した電流制御演算部がアナログ検出回路部501及び電流制御系演算部507として表され、図4に示した速度制御演算部が速度制御演算部502、速度指令演算部503及び速度制御演算部508として表されている。そして、速度制御演算部502と電流制御系演算部507との間に、温度異常判定関数記憶部505を付帯する温度異常判定部504を新たに設け、さらに、温度異常判定部504と速度制御演算部508との間に保護シーケンス部506を新たに設けている。
【0025】
ここで、温度異常判定関数記憶部505はインバータに使用したスイッチング素子の熱破壊耐量(過熱異常)を通電時間として、この通電時間と出力電流値との関数式を熱破壊耐量関数として記憶している。温度異常判定部504はモータロック状態におけるスイッチング素子の過熱異常判定を行うもので、図3に示した電流比率・分担演算器311で演算されたU,V,W各相の電流比率及び検出電流値と、図4に示したモータロック状態判定部兼モータ実速度演算器411におけるモータロック状態であるか否かの判定結果とに基づき、モータロック状態であると判定した場合にはその判定時刻からの経過時間を演算すると共に、その経過時間と温度異常判定関数記憶部505の温度異常判定関数によって求められる最大の相電流に対応する時間とが一致したとき、温度異常を判定する処理を実行する。保護シーケンス部506は温度異常判定部504にて温度異常と判定された場合に、エレベータ保護モードシーケンスを実行する。
【0026】
図6は温度異常判定関数記憶部505に記憶されている熱破壊耐量関数で、出力電流周波数が0(Hz)であるf0時に、出力電流値Iと時間tとが略反比例する関係にある。
【0027】
かくして、本発明の第1の実施形態によれば、図1に示したエレベータ制御マイコン107に、図3を用いて説明した電流制御系演算部、図4を用いて説明した速度制御演算部の各機能、及び、図5を用いて説明した保護シーケンス判定処理機能を持たせたことにより、モータロック状態におけるU,V,Wの相毎の出力電流分担、並びに0(Hz)になった時点からの通電時間の演算を行い、図6に示した熱破壊耐量関数と比較することによって、各相毎の温度異常検出が可能となり、モータロック状態においても、スイッチング素子の熱破壊に至るまでの時間を適切に判断することのできるエレベータの制御装置を提供することができる。
【0028】
なお、上記第1の実施形態によれば、電流比率・分担演算器311に対して電流検出器109Aで検出したU相電流と、電流検出器109Bで検出したW相電流の両方を用いて各相の電流分担を演算しているが、一次周波数角発生器310の電流位相角θeと、上記U相電流及びW相電流のいずれか一方とを用いて電流分担を検出することができ、これによって最大の相電流を演算することができる。
【0029】
図7(a)〜(f)はU,V,W各相のスイッチング素子を単一の冷却器10上に実装した状態で、図2に示した固定位相角(1)〜(10)におけるU,V,W各相の電流分担に伴うスイッチング素子の発生損失とそのときの冷却器10に対する熱量印加状態を表している。スイッチング素子が図7に示したように冷却器10に実装されている場合、冷却器10に対する印加熱量バランスにより、冷却器性能、すなわち、熱抵抗が大きく左右される。いま、各相から発生する損失が均等である、異常のない状態の冷却器10の熱抵抗を100%として説明すると、モータロック状態において、固定位相角(2),(5),(8)においては冷却器10の素子取付面に対する印加熱量のバランスがとれているため、冷却器性能は略100%発揮される。しかし、固定位相角(1),(3),(7),(9)においては若干のバランス偏りがあるため、冷却性能は50%程度にまで低下する。また、固定位相角(4),(6),(10)においては印加熱量が図面の右又は左に大きく偏るため、冷却性能は30%にまで低下する。
【0030】
本発明に係るエレベータの制御装置の第2の実施形態はこれら冷却器印加熱量の偏りに対処するべく、図8に示したように、時間に対応して変化する3種類の熱破壊耐量関数R1,R2,R3を図5の温度異常判定関数記憶部505に記憶させ、温度異常判定部504が固定位相角(1)〜(10)のいずれにおいてモータロックが発生したかを判定し、冷却抵抗が適切な熱破壊耐量関数に従って通電時間を演算して異常温度判定の信号を出力する。この結果、冷却器印加熱量の偏りをも考慮した、スイッチング素子の熱破壊に対する適切な保護動作を実現することができる。
【0031】
図9は本発明に係るエレベータの制御装置の第3の実施形態の構成を示すブロック図である。これは図5に示す温度異常判定関数記憶部505が熱破壊耐量関数を作成するものである。同図において、スイッチング素子発生損失演算部701は、検出された出力電流値と、適用素子データ入力部711で入力された適用素子の特性データ(Ic−Eon、Ic−Eoff、Ic−Vce(sat)、If、Vf、If−Err)に基づいて出力周波数が0(Hz)時のスイッチング素子の発生損失を演算し、ケース−接合部ジャンクション温度上昇値演算部706及び冷却器温度上昇演算部707に加えるものである。適用素子データ入力部702は適用素子の特性データのうち、接合部とケースと間の熱抵抗値及び熱時定数を入力し、これらの特性データをケース−接合部ジャンクション温度上昇値演算部706に加えるものである。もう一つの適用冷却データ入力部704は適用素子の特性データのうち、冷却器熱抵抗及び熱時定数でなる適用冷却器性能データを入力し、冷却器温度上昇演算部707に加えるものである。連続通電時間演算部705はインバータに対する連続通電時間を演算し、その結果を冷却器温度上昇演算部707に加えるものである。
【0032】
ケース−接合部ジャンクション温度上昇値演算部706は、スイッチング素子発生損失演算部701で演算されたスイッチング素子の発生損失と、適用素子データ入力部702で入力された接合部−ケース間の熱抵抗等の適用素子特性データとに基づき、接合部の温度上昇値の演算を行うもので、演算結果をスイッチング素子接合部温度演算部708に加える。冷却器温度上昇演算部707は、スイッチング素子発生損失演算部701で演算されたスイッチング素子の発生損失と、適用冷却データ入力部704で入力された適用冷却器性能データと、連続通電時間演算部705で演算された連続通電時間とに基づいて、図10に示すように、連続通電時間に対応する冷却器10の素子取付面の温度上昇値を演算するもので、演算結果をスイッチング素子接合部温度演算部708に加える。
【0033】
スイッチング素子接合部温度演算部708は、ケース−接合部ジャンクション温度上昇値演算部706で演算された接合部の温度上昇値と、冷却器温度上昇演算部707で演算された冷却器10の素子取付面の温度上昇値と、制御装置使用温度条件入力部709で入力された制御装置使用温度条件の最大値とに基づいて、スイッチング素子の接合部の温度を演算するものである。図11はその演算結果を示しており、連続使用時間を横軸にして、冷却器10の素子取付面の温度上昇値と接合部自体の温度上昇値とを加算して得られるスイッチング素子の接合部の温度上昇値を縦軸にして表したものである。このスイッチング素子接合部温度演算部708の演算結果はスイッチング素子熱破壊保護関数作成部710に加えられる。スイッチング素子熱破壊保護関数作成部710は、スイッチング素子接合部温度演算部708で演算された素子接合温度値が、適用素子データ入力部703で入力される接合部の定格温度になる点をプロットし、図6に示すように、モータロックが発生してからの経過時間と出力電流値との関係を示す熱破壊耐量関数を作成する。このスイッチング素子熱破壊保護関数作成部710で作成された熱破壊耐量関数を図5に示した温度異常判定関数記憶部505に記憶させることにより、モータロック状態における出力電流値、通電時間に依存性のある素子温度異常判定関数を作成することができる。
【0034】
なお、図9に示した熱破壊耐量関数を作成する手段は、図8に示した冷却器印加熱量の偏りを考慮したものではないが、冷却器温度上昇演算部707の前段に図3に示した電流比率・分担演算器311を接続し、時間に対応して変化する3種類の冷却器温度上昇値を演算するすることによって、図8に示したように、3種類の熱破壊耐量関数を温度異常判定関数記憶部505に記憶させることができる。
【0035】
これによって、冷却器印加熱量の偏りをも考慮した、スイッチング素子の熱破壊に対する適切な保護動作を実現することができる。
【0036】
図12は本発明に係るエレベータの制御装置の第4の実施形態のスイッチング素子の熱破壊に対する保護シーケンスを示した線図である。これは、図7を用いて説明したように、冷却器10に対する熱源バランスが均等である区間Aと、冷却器10に対する熱源バランスが偏った区間Bとで、出力電流のリミット値を異ならせるもので、区間Aよりも区間Bの出力電流リミット値を低減することを示している。このように、熱源バランスが偏った場合に出力電流を低く制限することによって、スイッチング素子の発生損失が下がるため、接合部の温度上昇が抑制され、スイッチング素子が熱破壊に至るまでの時間が延びる。その結果、モータロック状態の要因によっては、インバータの停止制御を行わなくとも、モータロック状態を抜け出せる場合が出てくる。
【0037】
図13は本発明に係るエレベータの制御装置の第5の実施形態のスイッチング素子の熱破壊に対する保護シーケンスを示した線図である。モータロック状態においては、モータの端子間に発生する誘起電圧は0(V)であるため、コンバータ部102の直流リンク電圧設定値(平滑コンデンサ103の両端間電圧)を下げてもモータに電力を供給することが可能であるため問題はない。また、一般的に、各スイッチングの1周期に発生する損失は次式で表すことができる。
【0038】
PSW=V×I …(1)
ただし、
V:直流電圧
I:出力電流値
である。
【0039】
従って、直流電流を下げることによって、スイッチング素子で発生する損失を抑制することが可能となる。図5に示す温度異常判定部504でモータロック状態と判定され、各相の電流比率の影響により、冷却器10に対して熱源集中が偏った場合には、図13に示すように直流電圧を変更する。すなわち、時刻t0からt1まで熱源バランスが均等であれば直流電圧を高い値に保持し、時刻t1で熱源バランスが偏ったと判定した場合直流電圧を下げ、電圧が降下した時刻t2以降、値の低い値に保持する。これによつて第4の実施形態と同様に接合部の温度上昇及び冷却器10の温度上昇が抑制されることとなる。
【0040】
図14は本発明に係るエレベータの制御装置の第6の実施形態のPWM制御の波形生成状態を示したものである。周知の如く、スイッチング素子に対するオン、オフ信号を生成する場合、電流分担の一番多いU相に着目すると、図14(a)に示すように正弦波信号が三角波信号よりも大きくなる区間でオンになり、小さくなる区間でオフとなる制御信号が生成される。ここで、冷却器10に対する熱源バランスが偏った場合には、図3に示すPWM回路308により、図14(b)に示すように正弦波Vuの代わりに三角波の振幅に等しい一定レベルの基準値を用いて、常時オン状態にすることにより、スイッチングロスPswを0とする。
【0041】
各スイッチングの1周期に発生する損失PLOSSの種類としては、ターンオン、ターンオフ時に発生するスイッチングロスPSWと、オン期間中に発生する導通損失PONで下記のように表すことができる。
【0042】
PLOSS=PSW+PON …(2)
ただし、
PSW:ターンオン、ターンオフ時に発生する損失
PON:オン中に発生する導電損失
である。
【0043】
従って、スイッチングロスPSWを0とすることによって、電流集中の発生している相に発生している損失を低減することが可能となる。この結果、第4の実施形態と同様にジャンクションの温度上昇及び冷却器の温度上昇が抑制されることとなる。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明によって明らかなように、本発明によれば、インバータを構成するスイッチング素子の熱破壊に対する適切な保護動作を実施することのできるエレベータの制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエレベータの制御装置の第1の実施形態の概略構成図。
【図2】本発明の原理を説明するために、インバータ部から電動機に供給される所定の電気角毎の電流比率の関係を示した波形図。
【図3】図1に示した第1の実施形態を構成する電流制御演算部の詳細な構成を示すブロック図。
【図4】図1に示した第1の実施形態を構成する速度制御演算部の詳細な構成を示すブロック図。
【図5】図1に示した第1の実施形態を構成する保護シーケンス判定処理部の詳細な構成を示すブロック図。
【図6】図5に示した温度異常判定関数記憶部の熱破壊耐量関数を表す時間と出力電流との関係を示す線図。
【図7】本発明の原理を説明するために、各相のスイッチング素子を単一の冷却器上に実装した状態でのスイッチング素子の発生損失を示した図。
【図8】本発明に係るエレベータの制御装置の第2の実施形態を説明するために、3種類の熱破壊耐量関数を表す時間と出力電流との関係を示した線図。
【図9】本発明に係るエレベータの制御装置の第3の実施形態を構成する温度異常判定関数記憶部の詳細な構成を示すブロック図。
【図10】図9に示した第3の実施形態の動作を説明するために、時間と冷却器取付面の温度との関係を示した線図。
【図11】図9に示した第3の実施形態の動作を説明するために、時間とスイッチング素子接合部の温度との関係を示した線図。
【図12】本発明に係るエレベータの制御装置の第4の実施形態を説明するために、熱源バランス状態と出力電流リミット値との関係を示した線図。
【図13】本発明に係るエレベータの制御装置の第5の実施形態を説明するために、時間と直流電圧との関係を示した線図。
【図14】本発明に係るエレベータの制御装置の第6の実施形態を説明するちために、PWM制御の波形生成状態を示した図。
【符号の説明】
102 コンバータ部
103 平滑コンデンサ
104 インバータ部
105 電動機
107 エレベータ制御マイコン
301 電流基準発生器
304 逆dq変換器
305 2相/3相変換器
306 3相/2相変換器
307 dq変換器
308 PWM回路
309 PWMインバータ
310 一次周波数角発生器
404 電流制御系
409 d軸電流指令発生器
411 モータロック状態判定部兼モータ実速度演算器
412 速度基準発生器
504 温度異常判定部
505 温度異常判定関数記憶部
506 保護シーケンス部
701 スイッチング素子発生損失演算部
706 ケース−接合部ジャンクション温度上昇値演算部
707 冷却器温度上昇演算部
708 スイッチング素子接合部温度演算部
710 スイッチング素子熱破壊保護関数作成部
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗りかごを駆動する永久磁石電動機を、電力変換装置によって制御するエレベータの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
永久磁石同期電動機(Permanent Magnet Synchronus Motor 以下、PMSMと略記する)は、誘導電動機と比較すると、同じ出力に対して小形に製作できるので、近年、エレベータシステムの駆動部に使用されるようになってきた。
【0003】
PMSMの速度制御において、モータ駆動部の速度検出器からの出力信号が何等かの原因によって断たれてしまった場合、モータロック状態に陥ってしまう。この状態ではインバータの出力電流の周波数は0[Hz]となり、インバータを構成するスイッチング素子の接合部の温度が急激に上昇し、熱破壊を起こす可能性が高くなる。
【0004】
また、インバータ装置に使用するU,V,W相の各スイッチング素子を単一の冷却器の一表面部に並べて実装している場合にモータロックが発生すると、各相の電流分担がその位相によって異なるため、冷却器への熱源集中の偏りが大きくなり、スイッチング素子が熱破壊を起こすまでの時間がばらつく結果となる。
【0005】
例えば、特開平7−222478号公報には、冷却フィンの温度を検出し、素子の温度上昇を検出して発熱の増大を防止することが記載されているが、より多くの要因、すなわち、インバータの出力電流、位相角、通電時間、冷却器に対するスイッチング素子の実装状態等をも考慮したスイッチング素子熱破壊保護システムの開発が強く望まれていた。
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、インバータを構成するスイッチング素子の熱破壊に対する適切な保護動作を実施することのできるエレベータの制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、
エレベータを駆動する電動機と、ブリッジ接続された複数のスイッチング素子をオン、オフ制御して電動機に駆動電力を供給するインバータ部と、電動機の少なくとも2つの相電流を検出する電流検出手段と、電動機の速度を検出する速度検出手段と、速度検出手段の検出値に基づいてインバータ部の出力電流位相角を演算する電流位相角演算手段と、エレベータの運転パターンに対応する速度基準、検出された電動機の相電流及び速度、並びに演算されたインバータの出力電流位相角に基づいてインバータ部を制御するPWM制御手段とを備えたエレベータの制御装置において、
インバータ部の出力電流値とスイッチング素子の熱破壊耐量に対応する時間との関係を示す熱破壊耐量関数を記憶する関数記憶手段と、
電流位相角演算手段で演算されたインバータの出力電流位相角に基づいて相電流比率を演算する演算手段と、
速度検出手段の検出信号に基づいてモータロック状態を判定する判定手段と、判定手段によってモータロック状態と判定されたとき、電流検出手段によって検出された相電流及び演算手段により演算された相電流比率に基づいて最大の相電流を求めると共に、熱破壊耐量関数に従って最大の相電流に対応する熱破壊時間を求め、この熱破壊時間の経過後に異常信号を発生する温度異常判定手段と、温度異常判定手段より異常信号が出力されたとき、電動機を保護シーケンス運転に切り替える保護シーケンス手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のエレベータの制御装置において、
インバータ部を構成するスイッチング素子が単一の冷却器上に相毎に並べて実装されているとき、モータロック状態と判定されたときの出力電流位相角に応じて変化する熱源集中による冷却器に対する印加熱量の偏りに対応させて、複数種類の熱破壊耐量関数を関数記憶手段に記憶させ、温度異常判定部はモータロック状態と判定された電流位相角に対応する適切な熱破壊耐量関数を選択して異常信号を発生することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載のエレベータの制御装置において、
インバータ部の出力電流値に基づいて、スイッチング素子の発生損失を演算するスイッチング素子発生損失演算手段と、
演算されたスイッチング素子の発生損失、インバータ部の連続通電時間、及び、スイッチング素子の特性に基づいて、冷却器のスイッチング素子取付面の温度上昇値を演算する冷却器温度上昇演算手段と、
演算されたスイッチング素子の発生損失、及び、スイッチング素子の接合部とケースとの間の熱伝達特性にケースに対する接合部の温度上昇値を演算する接合部温度上昇演算手段と、
インバータ部の周囲温度を入力する温度条件入力手段と、
演算された冷却器のスイッチング素子取付面の温度上昇値、接合部の温度上昇値、及び、入力されたインバータ部の周囲温度に基づいて、スイッチング素子の接合部の温度を演算する接合部温度演算手段と、
演算されたスイッチング素子の接合部の温度とスイッチング素子の接合部定格温度とに基づいて、熱破壊耐量関数を作成する熱破壊保護関数作成部と、
を備え、熱破壊耐量関数を記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエレベータの制御装置において、保護シーケンス手段は、冷却器に対する熱源バランスが均等なときにインバータの出力電流を相対的に高い値に制限し、冷却器に対する熱源バランスが偏ったときにインバータの出力電流相対的に低い値に制限することを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエレベータの制御装置において、インバータ部の前段に、交流を直流に変換すると共に、直流出力電圧が可変のコンバータ部を備え、保護シーケンス手段は、コンバータの出力電圧を低下させて電動機を保護シーケンス運転に切り替えることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエレベータの制御装置において、保護シーケンス手段は、熱源が集中した相のスイッチング素子がオン状態を継続するPWM制御信号を生成することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係るエレベータの制御装置の第1の実施形態の概略構成図である。同図において、商用の三相交流電源101にコンバータ部102が接続されている。このコンバータ部102はそれぞれ還流用のダイオードが逆並列接続されたスイッチング素子がブリッジ接続され、その交流側に三相交流電源101を接続して各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって、その直流側から電圧制御された直流電力を出力するものである。コンバータ部102の直流側に直流リンク部としての平滑コンデンサ103が接続されると共に、インバータ部104の直流側が接続されている。インバータ部104はそれぞれ還流用のダイオードが逆並列接続されたスイッチング素子がブリッジ接続され、これらのスイッチング素子をオン、オフ制御することによって可変電圧可変周波数の三相交流電力に変換する。そして、このインバータ部104の交流側に、エレベータを駆動するPMSMでなる電動機105が接続されている。この電動機105に速度検出手段としてのパルスエンコーダ106が直結されている。
【0014】
上記のコンバータ部102及びインバータ部104を制御する制御部として、エレベータ制御マイコン107を備えている。この場合、三相交流電源101から三相交流電力を入力する経路の2つの相に電流検出器108A及び108Bが設けられ、さらに、インバータ部104から電動機105に可変電圧可変周波数の三相交流電力を供給する経路の2つの相に電流検出器109A及び109Bが設けられている。エレベータ制御マイコン107は電流検出器108A,108B,109A,109B及びパルスエンコーダ106の各出力信号に基づいてコンバータ部102及びインバータ部104を制御する構成になっている。
【0015】
エレベータ制御マイコン107は、エレベータ運転パターンの演算手段(本発明に直接的に関係しないのでその詳細な説明を省略する)、PWM信号を出力する電流制御演算部、出力周波数及びトルクを制御する速度制御演算部、出力電流及び及び速度のアナログ値を検出するアナログ信号検出手段及び保護シーケンス判定処理手段を含み、これに従って、コンバータ部102及びインバータ部104を制御する。すなわち、三相交流電源101の三相交流電圧がコンバータ部102によって振幅が制御された脈流に変換され、平滑コンデンサ103によって平滑された直流電力がインバータ部104に加えられ、さらに、インバータ部104からエレベータの運転パターンに従って電圧及び周波数が制御された交流電力が電動機105に供給される。
【0016】
図2は図1に示したエレベータの制御装置のうち、インバータ部104から電動機105に供給される三相の各相電流IU,IV,IWの波形図であり、電動機105の駆動中にその速度信号をフィードバックするラインに断線が発生したり、機械的な要因によって電動機105がロック状態に陥ったりした場合、所定のインバータ出力電流指令値に対する各相の電流比率の関係を説明するための説明図である。同図において、U相の電流IUが正の最大値を示す時刻から負の最大値を示す時刻を経過してゼロになるまでの電気角で270°の区間を30°毎に区切った時刻(1)〜(10)における電流指令(I0)を1として、各相の電流比率を表すと次のようになる。
【0017】
(1),(7)…IU:IV:IW=(1.0):(0.5):(0.5)
(2),(8)…IU:IV:IW=(0.86):(0):(0.86)
(3),(9)…IU:IV:IW=(0.5):(0.5):(1.0)
(4),(10)…IU:IV:IW=(0):(0.86):(0.86)
(5) …IU:IV:IW=(0.5):(1.0):(0.5)
(6) …IU:IV:IW=(0.86):(0.86):(0)
従って、モータロック状態におけるインバータ部104を構成するスイッチング素子の過熱異常に対する保護に関しては、電流指令値と時間だけでなく、固定位相角に対する電流比率を考慮しないと、スイッチング素子の破壊に至る時間が大きく異なり、無駄をなくした適切な保護ができないことが分かる。
【0018】
図3は電動機105の電流を制御するために、エレベータ制御マイコン107にその機能を持たせた電流制御演算部の構成を示すブロック図である。詳細を後述する速度制御演算部が、ここではd軸電流基準Idc及びq軸電流基準Iqcを出力する電流基準発生器301として表されている。これらの電流基準Idc及びIqcがそれぞれ減算器302A及び302Bによって、フィードバックされた実電流信号Idf及びIqfと比較され、それぞれの差分がPIコントローラ303A及び303Bに加えられる。
【0019】
PIコントローラ303Aは差分(Idc−Idf)に対してPI演算を実行して直交回転座標系における電圧指令信号Vdを演算し、PIコントローラ303Bは(Iqc−Iqf)に対してPI演算を実行して直交回転座標系における電圧指令信号Vqを演算してそれぞれ逆dq変換器304に加える。逆dq変換器304は、電流位相角演算手段としての一次周波数角発生器310から出力される電気角θeに基づき、回転座標系における電圧指令信号Vd,Vqを直交静止座標系の電圧指令信号Vx,Vyに変換する。2相/3相変換器305は直交静止座標系の電圧指令信号Vx,Vyを静止座標系の電圧指令信号Vu,Vv,Vwに変換して、PWM回路308に加える。PWM回路308は電圧指令信号Vu,Vv,Vwに基づいてPWMインバータ309に対するゲート信号を生成する。
【0020】
一方、PWMインバータ309から電動機105に供給される三相交流電力のうち、U相の電流が電流検出器109Aで検出され、W相の電流が電流検出器109Bで検出され、静止座標系の電流信号Iuf及びIwfが3相/2相変換器306に加えられる。3相/2相変換器306は静止座標系の電流信号Iuf及びIwfを直交静止座標系の電流信号Ix及びIyに変換する。dq変換器307は電流信号Ix及びIyを、一次周波数角発生器310から出力される電気角θeに基づき、直交回転座標系の実電流信号Idf及びIqfに変換し、前述の減算器302A及び302Bにそれぞれ減算入力として加える。
【0021】
電流比率・分担演算器311は、一次周波数角発生器310から出力される電気角θe、電流検出器109A及び109Bからそれぞれ出力される電流検出信号Iuf及びIwfに基づいて、例えば、図2に示した如く、U,V,W各相の電流比率及び電流値を演算するものである。このように、電流制御演算部にU,V,W各相の電流比率及び電流値を演算する電流比率・分担演算器311を追設することによって、モータロック状態の各相の電流比率をエレベータ制御マイコン107上にて把握することが可能となる。なお、モータロック状態の判定については、次に図4に示した速度制御演算部と併せて説明する。
【0022】
図4はエレベータ制御マイコン107にその機能を持たせた速度制御演算部の構成を示すブロック図である。ここで、速度基準発生器412は速度指令値Frrefを決定するもので、減算器401はこの速度指令値Frrefとフィードバックされたモータ実速度信号Frとを比較してその差分を演算する。モータロック状態判定部兼モータ実速度演算器411は、パルスエンコーダ106から出力されるパルス信号に基づいてモータ実速度を演算し、実速度信号Frを出力すると共に、モータロック状態を検出する機能を有している。一次角周波数演算器310はモータロック状態判定部兼モータ実速度演算器411から出力されるモータ実速度信号Frに基づき一次周波数角値(電気角)θeを演算して、図3にに示した電流制御演算部を表す電流制御系404に加える。
【0023】
一方、減算器401から出力された速度指令値Frrefと実速度信号Frとの差分(Frref−Fr)は、PIコントローラ402によってPI演算が施され、トルク指令値Tm、すなわち、q軸電流基準Iqcを出力して電流制御系404に加え、d軸電流指令発生器409は直交回転座標系のd軸電流基準Idcを出力して電流制御系404に加える。電動機105によって駆動される綱車にはロープが巻き掛けられ、このロープの一端に乗りかご407が結合され、その他端に釣合錘408が結合されている。この図4に示した速度制御演算部は、モータロック状態判定部兼モータ実速度演算器411を設けたことによって、パルスエンコーダ106から出力されるパルス信号に基づいて、モータロック状態の把握を可能にしている。
【0024】
図5はエレベータ制御マイコン107にその機能を持たせた保護シーケンス判定処理を実行する機能ブロック図である。この図5では、図3に示した電流制御演算部がアナログ検出回路部501及び電流制御系演算部507として表され、図4に示した速度制御演算部が速度制御演算部502、速度指令演算部503及び速度制御演算部508として表されている。そして、速度制御演算部502と電流制御系演算部507との間に、温度異常判定関数記憶部505を付帯する温度異常判定部504を新たに設け、さらに、温度異常判定部504と速度制御演算部508との間に保護シーケンス部506を新たに設けている。
【0025】
ここで、温度異常判定関数記憶部505はインバータに使用したスイッチング素子の熱破壊耐量(過熱異常)を通電時間として、この通電時間と出力電流値との関数式を熱破壊耐量関数として記憶している。温度異常判定部504はモータロック状態におけるスイッチング素子の過熱異常判定を行うもので、図3に示した電流比率・分担演算器311で演算されたU,V,W各相の電流比率及び検出電流値と、図4に示したモータロック状態判定部兼モータ実速度演算器411におけるモータロック状態であるか否かの判定結果とに基づき、モータロック状態であると判定した場合にはその判定時刻からの経過時間を演算すると共に、その経過時間と温度異常判定関数記憶部505の温度異常判定関数によって求められる最大の相電流に対応する時間とが一致したとき、温度異常を判定する処理を実行する。保護シーケンス部506は温度異常判定部504にて温度異常と判定された場合に、エレベータ保護モードシーケンスを実行する。
【0026】
図6は温度異常判定関数記憶部505に記憶されている熱破壊耐量関数で、出力電流周波数が0(Hz)であるf0時に、出力電流値Iと時間tとが略反比例する関係にある。
【0027】
かくして、本発明の第1の実施形態によれば、図1に示したエレベータ制御マイコン107に、図3を用いて説明した電流制御系演算部、図4を用いて説明した速度制御演算部の各機能、及び、図5を用いて説明した保護シーケンス判定処理機能を持たせたことにより、モータロック状態におけるU,V,Wの相毎の出力電流分担、並びに0(Hz)になった時点からの通電時間の演算を行い、図6に示した熱破壊耐量関数と比較することによって、各相毎の温度異常検出が可能となり、モータロック状態においても、スイッチング素子の熱破壊に至るまでの時間を適切に判断することのできるエレベータの制御装置を提供することができる。
【0028】
なお、上記第1の実施形態によれば、電流比率・分担演算器311に対して電流検出器109Aで検出したU相電流と、電流検出器109Bで検出したW相電流の両方を用いて各相の電流分担を演算しているが、一次周波数角発生器310の電流位相角θeと、上記U相電流及びW相電流のいずれか一方とを用いて電流分担を検出することができ、これによって最大の相電流を演算することができる。
【0029】
図7(a)〜(f)はU,V,W各相のスイッチング素子を単一の冷却器10上に実装した状態で、図2に示した固定位相角(1)〜(10)におけるU,V,W各相の電流分担に伴うスイッチング素子の発生損失とそのときの冷却器10に対する熱量印加状態を表している。スイッチング素子が図7に示したように冷却器10に実装されている場合、冷却器10に対する印加熱量バランスにより、冷却器性能、すなわち、熱抵抗が大きく左右される。いま、各相から発生する損失が均等である、異常のない状態の冷却器10の熱抵抗を100%として説明すると、モータロック状態において、固定位相角(2),(5),(8)においては冷却器10の素子取付面に対する印加熱量のバランスがとれているため、冷却器性能は略100%発揮される。しかし、固定位相角(1),(3),(7),(9)においては若干のバランス偏りがあるため、冷却性能は50%程度にまで低下する。また、固定位相角(4),(6),(10)においては印加熱量が図面の右又は左に大きく偏るため、冷却性能は30%にまで低下する。
【0030】
本発明に係るエレベータの制御装置の第2の実施形態はこれら冷却器印加熱量の偏りに対処するべく、図8に示したように、時間に対応して変化する3種類の熱破壊耐量関数R1,R2,R3を図5の温度異常判定関数記憶部505に記憶させ、温度異常判定部504が固定位相角(1)〜(10)のいずれにおいてモータロックが発生したかを判定し、冷却抵抗が適切な熱破壊耐量関数に従って通電時間を演算して異常温度判定の信号を出力する。この結果、冷却器印加熱量の偏りをも考慮した、スイッチング素子の熱破壊に対する適切な保護動作を実現することができる。
【0031】
図9は本発明に係るエレベータの制御装置の第3の実施形態の構成を示すブロック図である。これは図5に示す温度異常判定関数記憶部505が熱破壊耐量関数を作成するものである。同図において、スイッチング素子発生損失演算部701は、検出された出力電流値と、適用素子データ入力部711で入力された適用素子の特性データ(Ic−Eon、Ic−Eoff、Ic−Vce(sat)、If、Vf、If−Err)に基づいて出力周波数が0(Hz)時のスイッチング素子の発生損失を演算し、ケース−接合部ジャンクション温度上昇値演算部706及び冷却器温度上昇演算部707に加えるものである。適用素子データ入力部702は適用素子の特性データのうち、接合部とケースと間の熱抵抗値及び熱時定数を入力し、これらの特性データをケース−接合部ジャンクション温度上昇値演算部706に加えるものである。もう一つの適用冷却データ入力部704は適用素子の特性データのうち、冷却器熱抵抗及び熱時定数でなる適用冷却器性能データを入力し、冷却器温度上昇演算部707に加えるものである。連続通電時間演算部705はインバータに対する連続通電時間を演算し、その結果を冷却器温度上昇演算部707に加えるものである。
【0032】
ケース−接合部ジャンクション温度上昇値演算部706は、スイッチング素子発生損失演算部701で演算されたスイッチング素子の発生損失と、適用素子データ入力部702で入力された接合部−ケース間の熱抵抗等の適用素子特性データとに基づき、接合部の温度上昇値の演算を行うもので、演算結果をスイッチング素子接合部温度演算部708に加える。冷却器温度上昇演算部707は、スイッチング素子発生損失演算部701で演算されたスイッチング素子の発生損失と、適用冷却データ入力部704で入力された適用冷却器性能データと、連続通電時間演算部705で演算された連続通電時間とに基づいて、図10に示すように、連続通電時間に対応する冷却器10の素子取付面の温度上昇値を演算するもので、演算結果をスイッチング素子接合部温度演算部708に加える。
【0033】
スイッチング素子接合部温度演算部708は、ケース−接合部ジャンクション温度上昇値演算部706で演算された接合部の温度上昇値と、冷却器温度上昇演算部707で演算された冷却器10の素子取付面の温度上昇値と、制御装置使用温度条件入力部709で入力された制御装置使用温度条件の最大値とに基づいて、スイッチング素子の接合部の温度を演算するものである。図11はその演算結果を示しており、連続使用時間を横軸にして、冷却器10の素子取付面の温度上昇値と接合部自体の温度上昇値とを加算して得られるスイッチング素子の接合部の温度上昇値を縦軸にして表したものである。このスイッチング素子接合部温度演算部708の演算結果はスイッチング素子熱破壊保護関数作成部710に加えられる。スイッチング素子熱破壊保護関数作成部710は、スイッチング素子接合部温度演算部708で演算された素子接合温度値が、適用素子データ入力部703で入力される接合部の定格温度になる点をプロットし、図6に示すように、モータロックが発生してからの経過時間と出力電流値との関係を示す熱破壊耐量関数を作成する。このスイッチング素子熱破壊保護関数作成部710で作成された熱破壊耐量関数を図5に示した温度異常判定関数記憶部505に記憶させることにより、モータロック状態における出力電流値、通電時間に依存性のある素子温度異常判定関数を作成することができる。
【0034】
なお、図9に示した熱破壊耐量関数を作成する手段は、図8に示した冷却器印加熱量の偏りを考慮したものではないが、冷却器温度上昇演算部707の前段に図3に示した電流比率・分担演算器311を接続し、時間に対応して変化する3種類の冷却器温度上昇値を演算するすることによって、図8に示したように、3種類の熱破壊耐量関数を温度異常判定関数記憶部505に記憶させることができる。
【0035】
これによって、冷却器印加熱量の偏りをも考慮した、スイッチング素子の熱破壊に対する適切な保護動作を実現することができる。
【0036】
図12は本発明に係るエレベータの制御装置の第4の実施形態のスイッチング素子の熱破壊に対する保護シーケンスを示した線図である。これは、図7を用いて説明したように、冷却器10に対する熱源バランスが均等である区間Aと、冷却器10に対する熱源バランスが偏った区間Bとで、出力電流のリミット値を異ならせるもので、区間Aよりも区間Bの出力電流リミット値を低減することを示している。このように、熱源バランスが偏った場合に出力電流を低く制限することによって、スイッチング素子の発生損失が下がるため、接合部の温度上昇が抑制され、スイッチング素子が熱破壊に至るまでの時間が延びる。その結果、モータロック状態の要因によっては、インバータの停止制御を行わなくとも、モータロック状態を抜け出せる場合が出てくる。
【0037】
図13は本発明に係るエレベータの制御装置の第5の実施形態のスイッチング素子の熱破壊に対する保護シーケンスを示した線図である。モータロック状態においては、モータの端子間に発生する誘起電圧は0(V)であるため、コンバータ部102の直流リンク電圧設定値(平滑コンデンサ103の両端間電圧)を下げてもモータに電力を供給することが可能であるため問題はない。また、一般的に、各スイッチングの1周期に発生する損失は次式で表すことができる。
【0038】
PSW=V×I …(1)
ただし、
V:直流電圧
I:出力電流値
である。
【0039】
従って、直流電流を下げることによって、スイッチング素子で発生する損失を抑制することが可能となる。図5に示す温度異常判定部504でモータロック状態と判定され、各相の電流比率の影響により、冷却器10に対して熱源集中が偏った場合には、図13に示すように直流電圧を変更する。すなわち、時刻t0からt1まで熱源バランスが均等であれば直流電圧を高い値に保持し、時刻t1で熱源バランスが偏ったと判定した場合直流電圧を下げ、電圧が降下した時刻t2以降、値の低い値に保持する。これによつて第4の実施形態と同様に接合部の温度上昇及び冷却器10の温度上昇が抑制されることとなる。
【0040】
図14は本発明に係るエレベータの制御装置の第6の実施形態のPWM制御の波形生成状態を示したものである。周知の如く、スイッチング素子に対するオン、オフ信号を生成する場合、電流分担の一番多いU相に着目すると、図14(a)に示すように正弦波信号が三角波信号よりも大きくなる区間でオンになり、小さくなる区間でオフとなる制御信号が生成される。ここで、冷却器10に対する熱源バランスが偏った場合には、図3に示すPWM回路308により、図14(b)に示すように正弦波Vuの代わりに三角波の振幅に等しい一定レベルの基準値を用いて、常時オン状態にすることにより、スイッチングロスPswを0とする。
【0041】
各スイッチングの1周期に発生する損失PLOSSの種類としては、ターンオン、ターンオフ時に発生するスイッチングロスPSWと、オン期間中に発生する導通損失PONで下記のように表すことができる。
【0042】
PLOSS=PSW+PON …(2)
ただし、
PSW:ターンオン、ターンオフ時に発生する損失
PON:オン中に発生する導電損失
である。
【0043】
従って、スイッチングロスPSWを0とすることによって、電流集中の発生している相に発生している損失を低減することが可能となる。この結果、第4の実施形態と同様にジャンクションの温度上昇及び冷却器の温度上昇が抑制されることとなる。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明によって明らかなように、本発明によれば、インバータを構成するスイッチング素子の熱破壊に対する適切な保護動作を実施することのできるエレベータの制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエレベータの制御装置の第1の実施形態の概略構成図。
【図2】本発明の原理を説明するために、インバータ部から電動機に供給される所定の電気角毎の電流比率の関係を示した波形図。
【図3】図1に示した第1の実施形態を構成する電流制御演算部の詳細な構成を示すブロック図。
【図4】図1に示した第1の実施形態を構成する速度制御演算部の詳細な構成を示すブロック図。
【図5】図1に示した第1の実施形態を構成する保護シーケンス判定処理部の詳細な構成を示すブロック図。
【図6】図5に示した温度異常判定関数記憶部の熱破壊耐量関数を表す時間と出力電流との関係を示す線図。
【図7】本発明の原理を説明するために、各相のスイッチング素子を単一の冷却器上に実装した状態でのスイッチング素子の発生損失を示した図。
【図8】本発明に係るエレベータの制御装置の第2の実施形態を説明するために、3種類の熱破壊耐量関数を表す時間と出力電流との関係を示した線図。
【図9】本発明に係るエレベータの制御装置の第3の実施形態を構成する温度異常判定関数記憶部の詳細な構成を示すブロック図。
【図10】図9に示した第3の実施形態の動作を説明するために、時間と冷却器取付面の温度との関係を示した線図。
【図11】図9に示した第3の実施形態の動作を説明するために、時間とスイッチング素子接合部の温度との関係を示した線図。
【図12】本発明に係るエレベータの制御装置の第4の実施形態を説明するために、熱源バランス状態と出力電流リミット値との関係を示した線図。
【図13】本発明に係るエレベータの制御装置の第5の実施形態を説明するために、時間と直流電圧との関係を示した線図。
【図14】本発明に係るエレベータの制御装置の第6の実施形態を説明するちために、PWM制御の波形生成状態を示した図。
【符号の説明】
102 コンバータ部
103 平滑コンデンサ
104 インバータ部
105 電動機
107 エレベータ制御マイコン
301 電流基準発生器
304 逆dq変換器
305 2相/3相変換器
306 3相/2相変換器
307 dq変換器
308 PWM回路
309 PWMインバータ
310 一次周波数角発生器
404 電流制御系
409 d軸電流指令発生器
411 モータロック状態判定部兼モータ実速度演算器
412 速度基準発生器
504 温度異常判定部
505 温度異常判定関数記憶部
506 保護シーケンス部
701 スイッチング素子発生損失演算部
706 ケース−接合部ジャンクション温度上昇値演算部
707 冷却器温度上昇演算部
708 スイッチング素子接合部温度演算部
710 スイッチング素子熱破壊保護関数作成部
Claims (6)
- エレベータを駆動する電動機と、ブリッジ接続された複数のスイッチング素子をオン、オフ制御して前記電動機に駆動電力を供給するインバータ部と、前記電動機の少なくとも2つの相電流を検出する電流検出手段と、前記電動機の速度を検出する速度検出手段と、前記速度検出手段の検出値に基づいて前記インバータ部の出力電流位相角を演算する電流位相角演算手段と、前記エレベータの運転パターンに対応する速度基準、検出された前記電動機の相電流及び速度、並びに演算された前記インバータの出力電流位相角に基づいて前記インバータ部を制御するPWM制御手段とを備えたエレベータの制御装置において、
前記インバータ部の出力電流値と前記スイッチング素子の熱破壊耐量に対応する時間との関係を示す熱破壊耐量関数を記憶する関数記憶手段と、
前記電流位相角演算手段で演算された前記インバータの出力電流位相角に基づいて相電流比率を演算する演算手段と、
前記速度検出手段の検出信号に基づいてモータロック状態を判定する判定手段と、
前記判定手段によってモータロック状態と判定されたとき、前記電流検出手段によって検出された相電流及び前記演算手段により演算された相電流比率に基づいて最大の相電流を求めると共に、前記熱破壊耐量関数に従って前記最大の相電流に対応する熱破壊時間を求め、この熱破壊時間の経過後に異常信号を発生する温度異常判定手段と、
前記温度異常判定手段より異常信号が出力されたとき、前記電動機を保護シーケンス運転に切り替える保護シーケンス手段と、
を備えたことを特徴とするエレベータの制御装置。 - 前記インバータ部を構成するスイッチング素子が単一の冷却器上に相毎に並べて実装されているとき、モータロック状態と判定されたときの出力電流位相角に応じて変化する熱源集中による冷却器に対する印加熱量の偏りに対応させて、複数種類の熱破壊耐量関数を前記関数記憶手段に記憶させ、前記温度異常判定部はモータロック状態と判定された電流位相角に対応する適切な熱破壊耐量関数を選択して異常信号を発生することを特徴とする請求項1に記載のエレベータの制御装置。
- 前記インバータ部の出力電流値に基づいて、前記スイッチング素子の発生損失を演算するスイッチング素子発生損失演算手段と、
演算された前記スイッチング素子の発生損失、前記インバータ部の連続通電時間、及び、前記スイッチング素子の特性に基づいて、前記冷却器のスイッチング素子取付面の温度上昇値を演算する冷却器温度上昇演算手段と、
演算された前記スイッチング素子の発生損失、及び、前記スイッチング素子の接合部とケースとの間の熱伝達特性に前記ケースに対する前記接合部の温度上昇値を演算する接合部温度上昇演算手段と、
前記インバータ部の周囲温度を入力する温度条件入力手段と、
演算された前記冷却器のスイッチング素子取付面の温度上昇値、前記接合部の温度上昇値、及び、入力された前記インバータ部の周囲温度に基づいて、前記スイッチング素子の接合部の温度を演算する接合部温度演算手段と、
演算された前記スイッチング素子の接合部の温度と前記スイッチング素子の接合部定格温度とに基づいて、前記熱破壊耐量関数を作成する熱破壊保護関数作成部と、
を備え、前記熱破壊耐量関数を前記記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータの制御装置。 - 前記保護シーケンス手段は、前記冷却器に対する熱源バランスが均等なときに前記インバータの出力電流を相対的に高い値に制限し、前記冷却器に対する熱源バランスが偏ったときに前記インバータの出力電流相対的に低い値に制限することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエレベータの制御装置。
- 前記インバータ部の前段に、交流を直流に変換すると共に、直流出力電圧が可変のコンバータ部を備え、前記保護シーケンス手段は、前記コンバータの出力電圧を低下させて前記電動機を保護シーケンス運転に切り替えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエレベータの制御装置。
- 前記保護シーケンス手段は、熱源が集中した相のスイッチング素子がオン状態を継続するPWM制御信号を生成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエレベータの制御装置。
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