JP2004047228A - 異方性導電フィルム及び電極付き基板の接着方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極付き基板同士を接着した場合にフィルム面方向の絶縁特性に優れたものとなる異方性導電フィルム及び電極付き基板の接着方法を提供する。
【解決手段】導電性粒子6及び絶縁性粒子7がそれぞれ接着剤樹脂組成物層中に分散された異方性導電フィルム本体5aと絶縁性粒子含有層5bとを有した異方性導電フィルム5により電極付き基板同士を接着する。絶縁性粒子7の平均粒径は導電性粒子6の平均粒径の90%以下である。絶縁性粒子7が電極3,3間及び電極4,4間に介在することにより、フィルム面方向の絶縁特性が向上する。
【選択図】 図1
【解決手段】導電性粒子6及び絶縁性粒子7がそれぞれ接着剤樹脂組成物層中に分散された異方性導電フィルム本体5aと絶縁性粒子含有層5bとを有した異方性導電フィルム5により電極付き基板同士を接着する。絶縁性粒子7の平均粒径は導電性粒子6の平均粒径の90%以下である。絶縁性粒子7が電極3,3間及び電極4,4間に介在することにより、フィルム面方向の絶縁特性が向上する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚み方向にのみ導電性を有する異方性導電フィルムと、この異方性導電フィルムを用いた電極付き基板の接着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
異方性導電フィルムは、導電性粒子が分散された接着剤樹脂組成物を成膜したものであり、厚さ方向に加圧することにより厚さ方向に導電性が付与される。この異方性導電フィルムは、例えば、相対峙する回路間に介装し、回路間を加圧、加熱することにより回路間を導電性粒子を介して接続すると共に、これら回路間を接着固定する目的に使用される。
【0003】
この異方性導電フィルムは、フレキシブルプリント基板(FPC)やTABと液晶パネルのガラス基板上に形成されたITO(スズインジウム酸化物)等の電極とを接続する場合をはじめとして、種々の電極間に異方性導電膜を形成し、それにより該電極間を接着すると共に電気的に接合する場合に使用されている。
【0004】
従来の異方性導電フィルムは、一般にエポキシ系又はフェノール系樹脂と硬化剤を主成分とする接着剤に導電性粒子を分散させたもので構成され、中でも使用上の便宜等の点から接着剤としては1液型の熱硬化型のものが主流になっている。また、異方性導電フィルムとしては、高温高湿下でも安定した接続信頼性が得られるようにするため、種々の方法により接着強度の強化が図られているが、従来のエポキシ系又はフェノール系樹脂を用いた異方性導電フィルムは、接着力が低く、作業性が悪く、耐湿耐熱性に問題があった。
【0005】
このような点から、本出願人は、先にポリビニルアルコールをアセタール化して得られるポリアセタール化樹脂を主成分とする熱又は光硬化性接着剤からなる異方性導電フィルム(特開平10−338860号公報)、アクリル系モノマー及び/又はメタクリル系モノマーを重合して得られる(メタ)アクリル系樹脂を主成分とする熱又は光硬化性接着剤からなる異方性導電フィルム(特開平10−338844号公報)、溶剤に可溶なポリエステル不飽和化合物を主成分とした異方性導電フィルム(特開2001−202831号)などを提案した。
【0006】
ところで、異方性導電フィルムを、FPCと液晶パネルの基板上に形成されたITO端子との接続に使用する場合、次のような理由から、異方性導電フィルムに対して、ITOとシリカ(SiOX)との両方に対して高い接着力を有することが要求される。即ち、液晶パネルのITO端子はガラス基板上にITOを蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD法等により付着させて成膜されるが、近年、この基板の軽量化や薄肉化を目的として基板の構成材料がポリイミドやPET(ポリエチレンテレフタレート)に変更されるようになってきた。
【0007】
この場合、ITOをポリイミドやPET等の樹脂基板に付着性良く成膜するために、ITOの成膜に先立ち、基板表面全体をSiOX(SiO2)膜で被覆し、このSiOX被覆膜上にITO膜を成膜し、その後、エッチング等により端子部分のITOのみを残して他の部分のITOを除去することにより、ITO端子が形成される。従って、この基板表面はSiOX膜上にITO端子が形成されたものとなることから、このような基板の接着に用いられる異方性導電フィルムには、ITOとSiOXとの両方に高い接着力を発揮することが要求される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
近年、電極パターンが一段と微細化してきており、異方性導電フィルムのフィルム面方向の絶縁特性の向上が必要となってきている。即ち、異方性導電フィルムは、導電性粒子によって厚み方向の導通を確保するものであるが、FPC等の電極パターンが微細になってくると、導電性粒子が隣接するFPC等の電極同士を導通する可能性がある。
【0009】
本発明は、電極付き基板同士を接着した場合のフィルム面方向の絶縁特性に優れており、微細電極パターンにも十分に対応することができる異方性導電フィルムと、この異方性導電フィルムを用いた電極付き基板同士の接着方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の異方性導電フィルムは、導電性粒子が分散された熱硬化性又は光硬化性の接着剤樹脂組成物を成膜してなる異方性導電フィルム本体と、該異方性導電フィルム本体に積層された、絶縁性粒子が分散された熱硬化性又は光硬化性の接着剤樹脂組成物よりなる絶縁性粒子含有層とを有するものである。
【0011】
また、本発明の電極付き基板の接着方法は、この異方性導電フィルムを用いて電極付き基板同士を接着するものである。
【0012】
かかる本発明の異方性導電フィルムと、この異方性導電フィルムを用いた電極付き基板の接着方法によると、基板同士を接着している異方性導電フィルム内において絶縁性粒子が導電性粒子同士の間に介在するため、フィルム面方向の絶縁特性が高いものとなる。特に、フィルム面方向に隣接する電極の間にこの絶縁性粒子が多く集まり、該電極間の絶縁抵抗が十分に高いものとなる。
【0013】
図1(a),(b)は本発明の異方性導電フィルムを用いて基板同士を接着した状態を示す模式的な断面図であり、図2(a),(b)は従来の異方性導電フィルムを用いて基板同士を接着した状態を示す模式的な断面図である。
【0014】
図1(a),(b)において、各基板1,2に電極3,4が設けられている。本発明の異方性導電フィルム5は、導電性粒子6を含む異方性導電フィルム本体5aと、それよりも小径の絶縁性粒子7を含む絶縁性粒子含有層5bとを有する。従来の異方性導電フィルム8は導電性粒子6のみを含む。
【0015】
図2(a),(b)の通り、従来の異方性導電フィルム8により基板1,2同士を接着した場合、電極3,4がファインピッチのものであり電極3,3同士及び電極4,4同士の間の間隔が小さいと、相互に接近した導電性粒子6(特に符号6’,6’’を付した粒子)により電極3,3同士あるいは電極4,4同士が導通するおそれがある。
【0016】
これに対し、図1(a),(b)に示す通り本発明例にあっては、基板1,2同士を接着すると、絶縁性粒子含有層5bと異方性導電フィルム本体5aとが混ざり合い、導電性粒子6同士の間に小径の絶縁性粒子7が侵入し、導電性粒子6相互が離間するようになる。即ち、粒子6’,6’’も離間する。これにより隣接する電極3,3同士あるいは電極4,4同士の導通が遮断される。
【0017】
本発明では、絶縁性粒子が導電性粒子よりも小径であることが好ましい。
【0018】
また、本発明では、異方性導電フィルム本体よりも絶縁性粒子含有層の流動性が高いことが好ましい。この場合、図1(b)のように異方性導電フィルム本体5aと絶縁性粒子含有層5bとが混ざり合うときに、流動性の高い絶縁性粒子含有層5bが電極3,3間及び電極4,4間に多く流れ込み、この部分での絶縁性粒子の存在比が高くなり、電極3,3間及び電極4,4間の絶縁抵抗が十分に高くなる。
【0019】
なお、本発明の異方性導電フィルムを構成する樹脂組成物のベース樹脂としては、ポリビニルアルコールをアセタール化して得られるポリアセタール化樹脂及び/又はこのポリアセタール化樹脂の側鎖に脂肪族不飽和基を導入してなる変性ポリアセタール化樹脂、或いは溶剤に可溶なポリエステル不飽和化合物が好適である。このベース樹脂を含む異方性導電フィルムは、ITOとSiOXとの双方に対して高い接着性を有する。
【0020】
本発明においては、ポリアセタール化樹脂又は変性ポリアセタール化樹脂に対しリン酸(メタ)アクリレートを配合してもよく、これにより、樹脂基材に対する密着性や、ITOとSiOXとに対する接着性がさらに向上する。
【0021】
本発明では、導電性粒子の平均粒径が0.1〜10μmであり、絶縁性粒子の平均粒径が該導電性粒子の平均粒径よりも小さく且つ1nm以上であることが好ましく、特に絶縁性粒子の平均粒径が導電性粒子の粒径の90%以下であることが好ましい。
【0022】
この絶縁性粒子は、金属酸化物又は合成樹脂よりなることが好ましい。
【0023】
異方性導電フィルム本体における導電性粒子の配合量は接着剤樹脂組成物に対して0.1〜15容量%であることが好ましい。絶縁性粒子含有層における絶縁性粒子の配合量は接着剤樹脂組成物に対して0.1〜15容量%であることが好ましい。また、絶縁性粒子の配合体積量V2と導電性粒子の配合体積量V1との比V2/V1が0.01〜10であることが好ましい。
【0024】
なお、本発明の異方性導電フィルムのベース樹脂がポリアセタール化樹脂又は変性ポリアセタール化樹脂に対しメラミン系樹脂、リン酸(メタ)アクリレート又はアルキド樹脂を配合したものである場合、或は上記ポリエステル不飽和化合物よりなる場合、更に下記の特長を有する。
1) 耐湿耐熱性に優れ、高温高湿下で長時間保持した後においても、異方性導電フィルムの特性を有効に発揮し、耐久性に優れている。
2) リペア性が良好である。
3) 透明性が良好である。
4) 従来品に比べ、安定して高い接着性を発揮する。
5) 透明なポリマーを原料としたフィルムを使用することにより、電極位置決めの際の光透過性がよく、作業性が良好となる。
6) エポキシ系等の従来品は、150℃以上の加熱が必要であったが、本発明によれば、130℃以下、特に100℃以下で硬化接着も可能であり、またUV硬化性とすることもできるため、更に低温での硬化接着も可能である。
7) 従来用いられているエポキシ系、フェノール系の異方性導電フィルムは、粘着性がなく、フィルムが電極に粘着力で仮止めしにくく、剥がれ易く、作業性が悪いが、本発明の異方性導電フィルムは、仮止め時の粘着力が高いため、作業性が良好である。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0026】
本発明において、異方性導電フィルム本体及び絶縁性粒子含有層の接着剤組成物のベース樹脂としては、ポリビニルアルコールをアセタール化して得られるポリアセタール化樹脂及び/又はこのポリアセタール化樹脂の側鎖に脂肪族不飽和基を導入してなる変性ポリアセタール化樹脂あるいは上記ポリエステル不飽和化合物が好適である。
【0027】
ポリアセタール化樹脂としては、アセタール基の割合が30モル%以上であるものが好ましい。アセタール基の割合が30モル%より少ないと耐湿性が悪くなる恐れが生じる。このポリアセタール化樹脂としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等が挙げられるが、特にはポリビニルブチラールが好ましい。このようなポリアセタール化樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば電気化学工業社製「デンカPVB3000−1」「デンカPVB2000−L」などを用いることができる。
【0028】
変性ポリアセタール化樹脂としても、変性ポリビニルブチラールが好ましい。
【0029】
このポリビニルブチラール樹脂は、下記式(1)に示すように、ビニルブチラール単位A、ビニルアルコール単位B及び酢酸ビニル単位Cから構成されている。上記脂肪族不飽和基はこれら単位A,B,Cのいずれの側鎖に導入されていてもよいが、ポリビニルアルコール単位Bの側鎖に導入されているものが好ましい。脂肪族不飽和基としては、例えばビニル基、アリル基、メタアクリル基、アクリル基等が好適である。
【0030】
このポリビニルアルコール単位Bの側鎖への脂肪族不飽和基の導入は、該側鎖水酸基を酸変性することによって行うことが好ましく、この酸変性に用いる酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、ステアリル酸、マレイン酸、フタル酸などが挙げられ、下記式(2)に示すように脂肪族不飽和結合を導入することができる。
【0031】
【化1】
(式中、Rは水素原子又はアルキル基、R’はアルケニル基等の脂肪族不飽和基又はこれを含有する基を示す。)
【0032】
なお、上記式(1)において、ビニルアルコール単位Bは好ましくは3〜70モル%、より好ましくは5〜50モル%、更に好ましくは5〜30モル%であり、3モル%より少ないと酸変性の反応性が悪く、70モル%より多いと耐熱性、耐湿性が劣る場合が生じる。
【0033】
本発明においては、異方性導電フィルムの接着性の向上のために上記ポリアセタール化樹脂又は変性ポリアセタール化樹脂にリン酸(メタ)アクリレートを配合してもよい。
【0034】
リン酸(メタ)アクリレートとしては、リン酸アクリレート及び/又はリン酸メタクリレートが用いられる。即ち、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートとの総称である。リン酸アクリレート、リン酸メタクリレートとしては、例えば、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどの1種又は2種以上が挙げられる。このようなリン酸化合物は、前記ベース樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部、特に0.5〜2重量部配合するのが好ましい。このリン酸化合物の配合量が0.1重量部未満では、十分な接着性の改善効果が得られず、10重量部を超えると導通信頼性が悪化する。
【0035】
異方性導電フィルムの接着性の向上のために上記ポリアセタール化樹脂又は変性ポリアセタール化樹脂にメラミン系樹脂を配合してもよい。
【0036】
メラミン系樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、イソブチル化メラミン樹脂、n−ブチル化メラミン樹脂等のブチル化メラミン樹脂、メチル化メラミン樹脂、等の1種又は2種以上が挙げられる。このようなメラミン系樹脂は、前記ベース樹脂100重量部に対して1〜200重量部、特に1〜100重量部配合するのが好ましい。このメラミン系樹脂の配合量が1重量部未満では、十分な接着性の改善効果が得られず、200重量部を超えると導通信頼性が悪化する。
【0037】
異方性導電フィルムの接着性の向上のために上記ポリアセタール化樹脂又は変性ポリアセタール化樹脂にアルキド樹脂を配合してもよい。
【0038】
アルキド樹脂としては、純粋アルキド樹脂、変性アルキド樹脂のいずれでも良いが、オイルフリー、或いは短油性ないし中油性のものが好ましい。このようなアルキド樹脂は、前記ベース樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部、特に0.5〜5重量部配合するのが好ましい。この配合量が0.01重量部未満ではメラミン系樹脂との併用による十分な接着性の向上効果が得られず、10重量部を超えると導電信頼性が悪化する。
【0039】
なお、メラミン系樹脂と、リン酸(メタ)アクリレートと、アルキド樹脂との併用による優れた接着性の向上効果を得るために、メラミン系樹脂と、リン酸(メタ)アクリレートと、アルキド樹脂との配合比をメラミン系樹脂:リン酸(メタ)アクリレート:アルキド樹脂=1:0.01〜10:0.01〜10(重量比)とするのが好ましい。
【0040】
ポリアセタール化樹脂又は変性ポリアセタール化樹脂組成物には、接着層への気泡の混入を防止してより一層高い導電性と接着力を確保するために尿素系樹脂を配合することが好ましく、この尿素系樹脂としては、尿素樹脂、ブチル化尿素系樹脂等を用いることができる。なお、同様の目的でフェノール樹脂、ブチル化ベンゾグアナミン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0041】
尿素系樹脂等の気泡混入防止のための樹脂は、ベース樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部、特に0.5〜5重量部とするのが好ましい。この配合量が0.01重量部未満では、十分な気泡混入防止効果を得ることができず、10重量部を超えると導通信頼性が悪化する。
【0042】
本発明において、ベース樹脂は、溶剤(ここで、溶剤とは例えば、アセトン、MEK、酢酸エチル、酢酸セロソルブ、ジオキサン、THF、ベンゼン、シクロヘキサノン、ソルベッソ100等の有機溶剤を指す。)に可溶なポリエステル不飽和化合物であってもよい。
【0043】
このポリエステル不飽和化合物は、多塩基酸と多価アルコールとを反応させることによって得られる不飽和ポリエステルと、溶剤に可溶な飽和共重合ポリエステルに(メタ)アクリロキシ基を導入した化合物などのラジカル反応硬化性のポリエステル不飽和化合物である。即ち、このポリエステル不飽和化合物とは
▲1▼ 不飽和ポリエステル化合物
▲2▼ 飽和ポリエステルに(メタ)アクリロキシ基及び/又はメタクリロキシ基を導入した化合物
の2種類である。
【0044】
ここで、溶剤に可溶な飽和共重合ポリエステルとしては、テレフタル酸とエチレングリコール及び/又は1,4−ブタンジオールを主たる構成成分とし、全酸成分の5〜50モル%のフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン酸等の酸成分及び/又は全アルコール成分の5〜50モル%の量で1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール等のアルコール成分を1種又は2種以上で共重合したものである。
【0045】
このような飽和共重合ポリエステルへの(メタ)アクリロキシ基の導入方法としては、
(1) イソシアネートアルキル(メタ)アクリレートを前記飽和共重合ポリエステルの水酸基と反応させる方法、
(2) アルキル(メタ)アクリレートと前記飽和共重合ポリエステルの水酸基とのエステル交換反応による方法、
(3) ジイソシアネート化合物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応によるイソシアナートアルキル(メタ)アクリレートを前記飽和共重合ポリエステルの水酸基と反応させる方法
を採用することができる。
【0046】
ベース樹脂がこのポリエステル不飽和化合物よりなる場合であっても、前述のリン酸(メタ)アクリレートを前述の範囲で配合してもよい。
【0047】
本発明において、接着剤を構成する樹脂組成物のベース樹脂は、非イオン系界面活性剤が配合されてもよい。この非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸ポリオキシエチレンエステル、脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステル、脂肪酸ショ糖エステル、アルキルポリグルコキシド、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸モノグリセリド、アルキルモノグリセリルエーテル、脂肪酸プロピレングリコールエステル等が例示される。この非イオン系界面活性剤の配合量はベース樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部、特に0.1〜1重量部が好ましい。
【0048】
本発明においては、異方性導電フィルムの物性(機械的強度、接着性、光学的特性、耐熱性、耐湿性、耐候性、架橋速度等)の改良や調節のために、樹脂組成物にアクリロキシ基、メタクリロキシ基又はエポキシ基を有する反応性化合物(モノマー)を配合することが好ましい。この反応性化合物としては、アクリル酸又はメタクリル酸誘導体、例えばそのエステル及びアミドが最も一般的であり、エステル残基としてはメチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリルのようなアルキル基のほかに、シクロヘキシル基、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。また、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコールとのエステルも同様に用いられる。アミドとしては、ダイアセトンアクリルアミドが代表的である。多官能架橋助剤としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル等が挙げられる。また、エポキシ基含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノール(EO)5グリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテル等が挙げられる。また、エポキシ基を含有するポリマーをアロイ化することによって同様の効果を得ることができる。
【0049】
これらの反応性化合物は1種又は2種以上の混合物として、前記ベース樹脂100重量部に対し、通常0.5〜80重量部、好ましくは0.5〜70重量部添加して用いられる。この配合量が80重量部を超えると接着剤の調製時の作業性や成膜性を低下させることがある。
【0050】
本発明においては、樹脂組成物の熱硬化のための硬化剤として有機過酸化物を配合するが、この有機過酸化物としては、70℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであればいずれも使用可能であるが、半減期10時間の分解温度が50℃以上のものが好ましく、成膜温度、調製条件、硬化(貼り合わせ)温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性を考慮して選択される。
【0051】
使用可能な有機過酸化物としては、例えば2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4’−ビス (t−ブチルパーオキシ)バレレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、クロロヘキサノンパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クミルパーオキシオクトエート、サクシニックアシッドパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、m−トルオイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。これらの有機過酸化物は1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。
【0052】
このような有機過酸化物はベース樹脂100重量部に対して好ましくは0.1〜10重量部配合される。
【0053】
また、本発明においては、樹脂組成物の光硬化のために、光によってラジカルを発生する光増感剤を配合するが、この光増感剤(光重合開始剤)としては、ラジカル光重合開始剤が好適に用いられる。ラジカル光重合開始剤のうち、水素引き抜き型開始剤としてベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、4−(ジエチルアミノ)安息香酸エチル等が使用可能である。また、ラジカル光重合開始剤のうち、分子内開裂型開始剤としてベンゾインエーテル、ベンゾイルプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α―ヒドロキシアルキルフェノン型として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アルキルフェニルグリオキシレート、ジエトキシアセトフェノンが、また、α―アミノアルキルフェノン型として、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1が、またアシルフォスフィンオキサイド等が用いられる。これらの光増感剤は1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。
【0054】
このような光増感剤はベース樹脂100重量部に対して好ましくは0.1〜10重量部配合される。
【0055】
本発明に係る樹脂組成物には、接着促進剤としてシランカップリング剤を添加することが好ましい。シランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等の1種又は2種以上の混合物が用いられる。
【0056】
これらのシランカップリング剤の添加量は、ベース樹脂100重量部に対し通常0.01〜5重量部で充分である。
【0057】
また、本発明に係る樹脂組成物には、加工性や貼り合わせ性等の向上の目的で炭化水素樹脂を添加することができる。この場合、添加される炭化水素樹脂は天然樹脂系、合成樹脂系のいずれでもよい。天然樹脂系では、ロジン、ロジン誘導体、テルペン系樹脂が好適に用いられる。ロジンではガム系樹脂、トール油系樹脂、ウッド系樹脂を用いることができる。ロジン誘導体としてはロジンをそれぞれ水素化、不均一化、重合、エステル化、金属塩化したものを用いることができる。テルペン系樹脂ではα−ピネン、β−ピネン等のテルペン系樹脂の他、テルペンフェノール樹脂を用いることができる。また、その他の天然樹脂としてダンマル、コバル、シェラックを用いてもよい。一方、合成樹脂系では石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂が好適に用いられる。石油系樹脂では脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、水素化石油樹脂、純モノマー系石油樹脂、クマロンインデン樹脂を用いることができる。フェノール系樹脂ではアルキルフェノール樹脂、変性フェノール樹脂を用いることができる。キシレン系樹脂ではキシレン樹脂、変性キシレン樹脂を用いることができる。
【0058】
このような炭化水素樹脂の添加量は適宜選択されるが、ベース樹脂100重量部に対して1〜200重量部が好ましく、更に好ましくは5〜150重量部である。
【0059】
以上の添加剤のほか、本発明に係る樹脂組成物には、老化防止剤、紫外線吸収剤、染料、加工助剤等を本発明の目的に支障をきたさない範囲で用いてもよい。
【0060】
異方性導電フィルム本体に配合される導電性粒子としては、電気的に良好な導体であれば良く、種々のものを使用することができる。例えば、銅、銀、ニッケル等の金属ないし合金粉末、このような金属又は合金で被覆された樹脂又はセラミック粉体等を使用することができる。また、その形状についても特に制限はなく、りん片状、樹枝状、粒状、ペレット状等の任意の形状をとることができる。
【0061】
なお、導電性粒子は、弾性率が1.0×107〜1.0×1010Paであるものが好ましい。即ち、プラスチックフィルムを基材とする液晶フィルムなどの被接着体の接続で異方性導電フィルムを使用する場合、導電性粒子として弾性率の高いものを用いると、被接着体にクラックが生じるなどの破壊や圧着後の粒子の弾性変形回復によるスプリングバックなどが発生し、安定した導通性能を得ることができない恐れがあるため、上記弾性率範囲の導電性粒子を用いることが推奨される。これにより、被接着体の破壊を防止し、圧着後の粒子の弾性変形回復によるスプリングバックの発生を抑制し、導電性粒子の接触面積を広くすることが可能になって、より安定した信頼性の高い導通性能を得ることができる。なお、弾性率が1.0×107Paより小さいと、粒子自身の損傷が生じ、導通特性が低下する場合があり、1.0×1010Paより大きいと、スプリングバックの発生が生じる恐れがある。このような導電性粒子としては、上記のような弾性率を有するプラスチック粒子の表面を前述の金属又は合金で被覆したものが好適に用いられる。
【0062】
異方性導電フィルム本体において、このような導電性粒子の配合量は、前記接着剤樹脂組成物に対して0.1〜15容量%特に1〜10容量%であることが好ましい。また、この導電性粒子の平均粒径は0.1〜100μm特に0.1〜10μmであることが好ましい。
【0063】
絶縁性粒子含有層に配合される絶縁性粒子としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、あるいはポリスチレン、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂よりなるものが効果的である。
【0064】
この絶縁性粒子の平均粒径は導電性粒子の粒径よりも小さいことが好ましい。絶縁性粒子の平均粒径は、導電性粒子の平均粒径の90%以下であることが好ましく、その下限は1nm以上特に2nm以上であることが望ましい。
【0065】
なお、導電性粒子及び絶縁性粒子の粒子形状は図1の球状に限定されるものではなく、針状であってもよい。
【0066】
絶縁性粒子含有層における絶縁性粒子の配合量は、該絶縁性粒子含有層の接着剤樹脂組成物に対して0.1〜15容量%特に1〜10容量%であることが好ましい。
【0067】
絶縁性粒子含有層における絶縁性粒子の配合体積量V2と、異方性導電フィルム本体における導電性粒子の配合体積量V1との比(即ち、異方性導電フィルム全体における絶縁性粒子と導電性粒子の体積比)V2/V1は0.01〜10特に0.05〜5が好ましい。
【0068】
本発明の異方性導電フィルムは、このような導電性粒子を接着剤樹脂組成物に分散させた異方性導電フィルム本体と、絶縁性粒子を接着剤樹脂組成物中に分散させてなる絶縁性粒子含有層とを積層したものである。なお、異方性導電フィルム本体が熱硬化性接着剤樹脂組成物よりなる場合、絶縁性粒子含有層も熱硬化性接着剤樹脂組成物よりなることが好ましく、異方性導電フィルム本体が光硬化性接着剤樹脂組成物よりなる場合、絶縁性粒子含有層も光硬化性接着剤樹脂組成物よりなることが好ましい。
【0069】
絶縁性粒子含有層は異方性導電フィルム本体の一方の面にのみ積層されてもよく、双方の面に積層されてもよい。
【0070】
異方性導電フィルム本体の厚さは10〜60μm特に15〜50μm程度が好ましい。絶縁性粒子含有層の厚さ(2層の場合は合計厚さ)は10〜50μm特に15〜30μm程度が好ましい。
【0071】
異方性導電フィルム本体及び絶縁性粒子含有層のいずれにおいても、接着剤樹脂組成物は、メルトインデックス(MFR)が1〜3000、特に1〜1000、とりわけ1〜800であることが好ましく、また、70℃における流動性が105Pa・s以下であることが好ましく、従って、このようなMFR及び流動性が得られるように配合を選定することが望ましい。
【0072】
本発明では、絶縁性粒子含有層の流動性が異方性導電フィルム本体よりも高いことが好ましく、特に、電極付き基板の接着工程において、常に絶縁性粒子含有層の流動性が異方性導電フィルム本体よりも高いことが好ましい。このように流動性を設定すると、電極付き基板の接着工程において絶縁性粒子含有層が前記図1(b)の電極3,3及び電極4,4間の間隙部に流れ込み易くなり、絶縁性粒子が電極3,3間及び電極4,4間に偏在しやすくなる。これにより電極3,3間及び電極4,4間の絶縁抵抗が十分に高いものとなる。
【0073】
本発明の異方性導電フィルムの異方性導電フィルム本体と絶縁性粒子含有層は、前記接着剤樹脂組成物と、導電性粒子又は絶縁性粒子とを所定の配合で均一に混合し、押出機、ロール等で混練した後、カレンダーロール、Tダイ押出、インフレーション等の成膜法により所定の形状に成膜することにより製造される。異方性導電フィルム本体と絶縁性粒子含有層とが共押出しされることにより異方性導電フィルムが成膜されてもよく、別個に成膜され積層されて異方性導電フィルムとされてもよい。
【0074】
成膜法は、接着剤樹脂組成物と導電性粒子又は絶縁性粒子を溶媒に溶解ないし分散させ、セパレーターの表面に塗付した後、溶媒を蒸発させることによっても成膜することができる。この場合、異方性導電フィルム本体及び絶縁体粒子含有層のうちの一方を成膜した後、他方をその上に成膜してもよい。もちろん、両者を別個に成膜した後に積層してもよい。
【0075】
なお、成膜に際しては、ブロッキング防止、被着体との圧着を容易にするため等の目的で、エンボス加工を施してもよい。
【0076】
このようにして得られた異方性導電フィルムによって被着体同士を接着するには、例えば、熱プレスによる貼り合わせ法や、押出機、カレンダーによる直接ラミネート法、フィルムラミネーターによる加熱圧着法等の各種の手法を用いることができる。
【0077】
本発明の異方性導電フィルムにおける硬化条件としては、熱硬化の場合は、用いる有機過酸化物の種類に依存するが、通常70〜170℃、好ましくは70〜150℃で、通常10秒〜120分、好ましくは20秒〜60分である。
【0078】
光増感剤を用いる光硬化の場合は、光源として紫外〜可視領域に発光する多くのものが採用でき、例えば超高圧、高圧、低圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、マーキュリーハロゲンランプ、カーボンアーク灯、白熱灯、レーザー光等が挙げられる。照射時間は、ランプの種類、光源の強さによって一概には決められないが、数十秒〜数十分程度である。
【0079】
また、硬化促進のために、予め積層体を40〜120℃に加温し、これに紫外線を照射しても良い。
【0080】
この接着時には、接着方向に1〜4MPa特に2〜3MPa程度の圧力を加えることが好ましい。
【0081】
なお、本発明の異方性導電フィルムは、フィルム厚さ方向に10Ω以下、特に5Ω以下の導電性を有し、面方向の抵抗は106Ω以上、特に109Ω以上であることが好ましい。
【0082】
本発明の異方性導電フィルムは、例えばFPCやTABと液晶パネルのガラス基板上のITO端子との接続など、種々の端子間の接続に使用されるなど従来の異方性導電フィルムと同様の用途に用いられ、硬化時に架橋構造が形成されると共に、高い接着性、特に金属との優れた密着性と、優れた耐久性、耐熱性が得られる。
【0083】
特に、本発明の異方性導電フィルムは、ベース樹脂を上記の通り選定した場合、ITOとSiOXとの両方に対して高い接着性を有し、且つSiOXに対して著しく高い接着性を有し、上記端子間の接続にきわめて好適である。
【0084】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0085】
比較例1
ポリビニルブチラール(電気化学工業社製「デンカPVB3000−1」)のトルエン25重量%溶液を調製し、ポリビニルブチラール100重量部に対して表1に示す成分を表1に示す量で混合し、これをバーコーターによりセパレーターであるポリテレフタル酸エチレン上に塗布し、幅5mm、厚さ21μmのフィルムを得た。
【0086】
このフィルムを、PET樹脂基板にSiOX膜を介してITO端子を形成した基板(ITO基板)と、ポリイミド基板に銅箔をパターニングした基板(FPC基板)との接着用として、セパレーターを剥離してモニターで位置決めをし、130℃で20秒間、3MPaにおいて加熱圧着した。得られたサンプルについて、引張試験機による90°剥離試験(50mm/min)により接着力を測定すると共に、デジタルマルチメータにより厚み方向の導通抵抗を測定し、超高抵抗測定器によりフィルム面方向の絶縁抵抗を測定し、結果を表1に示した。
【0087】
【表1】
【0088】
なお、表1中の*1〜*8は次の通りである。
*1:ベンゾイルパーオキサイド
*2:大日本化学工業社製ブチル化メラミン樹脂「スーパーベッカミンL125−60」
*3:共栄化学社製リン酸メタクリレート「P2M」
*4:ポリエチレングリコールジアクリレート
*5:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
*6:積水化学社製金粒子Au205(平均粒径5μm)。
接着剤樹脂組成物樹脂に対する容量%は4%である。
*7:日本アエロジル社製シリカ系粒子RY200(平均粒径12nm)。
ベース樹脂に対する容量%は3%である。
*8:積水化学社製ジビニルベンゼンを主成分とする架橋重合物の粒子SP203(平均粒径3μm)。
接着剤樹脂組成物樹脂に対する容量%は3%である。
【0089】
実施例1
比較例1と同配合にて厚さ5μmの異方性導電フィルム本体を成膜した。また、絶縁体粒子含有層については、接着剤樹脂組成物を比較例1と同一配合とし、導電性粒子の代りに絶縁性粒子を表1に示す量だけ配合した他は同様にして表1に示す厚さにて成膜し、これを上記異方性導電フィルム本体と積層して異方性導電フィルムとした。この異方性導電フィルムを用いて比較例1と同様に基板を接着した。なお、異方性導電フィルム本体をITO基板側とした。同様にして行った測定結果を表1に示す。
【0090】
実施例2
絶縁性粒子を上記*8のものとし、異方性導電フィルム本体及び絶縁性粒子含有層の厚さを表1の通りとした他は実施例1と同様にして異方性導電フィルムを成膜した。そして、異方性導電フィルム本体をFPC側とした他は実施例1と同様にしてITO基板とFPC基板とを接着し、同様の測定を行い、結果を表1に示した。
【0091】
実施例3
絶縁性粒子含有層を8μm厚の2層とし、これを6μm厚の異方性導電フィルム本体の両面に積層した他は実施例2と同様にして異方性導電フィルムを成膜した。その他は実施例2と同様にしてITO基板とFPC基板とを接着し、同様の測定を行い、結果を表1に示した。
【0092】
表1より、本発明の異方性導電フィルムはフィルム面方向の絶縁特性に優れることがわかる。
【0093】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、電極付き基板同士を接着した場合にフィルム面方向の絶縁特性に優れたものとなる異方性導電フィルム及び電極付き基板の接着方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明例の異方性導電フィルムによる接着構造を示す模式的な断面図である。
【図2】従来例の異方性導電フィルムによる接着構造を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
1,2 基板
3,4 電極
5,8 異方性導電フィルム
5a 異方性導電フィルム本体
5b 絶縁性粒子含有層
6 導電性粒子
7 絶縁性粒子
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚み方向にのみ導電性を有する異方性導電フィルムと、この異方性導電フィルムを用いた電極付き基板の接着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
異方性導電フィルムは、導電性粒子が分散された接着剤樹脂組成物を成膜したものであり、厚さ方向に加圧することにより厚さ方向に導電性が付与される。この異方性導電フィルムは、例えば、相対峙する回路間に介装し、回路間を加圧、加熱することにより回路間を導電性粒子を介して接続すると共に、これら回路間を接着固定する目的に使用される。
【0003】
この異方性導電フィルムは、フレキシブルプリント基板(FPC)やTABと液晶パネルのガラス基板上に形成されたITO(スズインジウム酸化物)等の電極とを接続する場合をはじめとして、種々の電極間に異方性導電膜を形成し、それにより該電極間を接着すると共に電気的に接合する場合に使用されている。
【0004】
従来の異方性導電フィルムは、一般にエポキシ系又はフェノール系樹脂と硬化剤を主成分とする接着剤に導電性粒子を分散させたもので構成され、中でも使用上の便宜等の点から接着剤としては1液型の熱硬化型のものが主流になっている。また、異方性導電フィルムとしては、高温高湿下でも安定した接続信頼性が得られるようにするため、種々の方法により接着強度の強化が図られているが、従来のエポキシ系又はフェノール系樹脂を用いた異方性導電フィルムは、接着力が低く、作業性が悪く、耐湿耐熱性に問題があった。
【0005】
このような点から、本出願人は、先にポリビニルアルコールをアセタール化して得られるポリアセタール化樹脂を主成分とする熱又は光硬化性接着剤からなる異方性導電フィルム(特開平10−338860号公報)、アクリル系モノマー及び/又はメタクリル系モノマーを重合して得られる(メタ)アクリル系樹脂を主成分とする熱又は光硬化性接着剤からなる異方性導電フィルム(特開平10−338844号公報)、溶剤に可溶なポリエステル不飽和化合物を主成分とした異方性導電フィルム(特開2001−202831号)などを提案した。
【0006】
ところで、異方性導電フィルムを、FPCと液晶パネルの基板上に形成されたITO端子との接続に使用する場合、次のような理由から、異方性導電フィルムに対して、ITOとシリカ(SiOX)との両方に対して高い接着力を有することが要求される。即ち、液晶パネルのITO端子はガラス基板上にITOを蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD法等により付着させて成膜されるが、近年、この基板の軽量化や薄肉化を目的として基板の構成材料がポリイミドやPET(ポリエチレンテレフタレート)に変更されるようになってきた。
【0007】
この場合、ITOをポリイミドやPET等の樹脂基板に付着性良く成膜するために、ITOの成膜に先立ち、基板表面全体をSiOX(SiO2)膜で被覆し、このSiOX被覆膜上にITO膜を成膜し、その後、エッチング等により端子部分のITOのみを残して他の部分のITOを除去することにより、ITO端子が形成される。従って、この基板表面はSiOX膜上にITO端子が形成されたものとなることから、このような基板の接着に用いられる異方性導電フィルムには、ITOとSiOXとの両方に高い接着力を発揮することが要求される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
近年、電極パターンが一段と微細化してきており、異方性導電フィルムのフィルム面方向の絶縁特性の向上が必要となってきている。即ち、異方性導電フィルムは、導電性粒子によって厚み方向の導通を確保するものであるが、FPC等の電極パターンが微細になってくると、導電性粒子が隣接するFPC等の電極同士を導通する可能性がある。
【0009】
本発明は、電極付き基板同士を接着した場合のフィルム面方向の絶縁特性に優れており、微細電極パターンにも十分に対応することができる異方性導電フィルムと、この異方性導電フィルムを用いた電極付き基板同士の接着方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の異方性導電フィルムは、導電性粒子が分散された熱硬化性又は光硬化性の接着剤樹脂組成物を成膜してなる異方性導電フィルム本体と、該異方性導電フィルム本体に積層された、絶縁性粒子が分散された熱硬化性又は光硬化性の接着剤樹脂組成物よりなる絶縁性粒子含有層とを有するものである。
【0011】
また、本発明の電極付き基板の接着方法は、この異方性導電フィルムを用いて電極付き基板同士を接着するものである。
【0012】
かかる本発明の異方性導電フィルムと、この異方性導電フィルムを用いた電極付き基板の接着方法によると、基板同士を接着している異方性導電フィルム内において絶縁性粒子が導電性粒子同士の間に介在するため、フィルム面方向の絶縁特性が高いものとなる。特に、フィルム面方向に隣接する電極の間にこの絶縁性粒子が多く集まり、該電極間の絶縁抵抗が十分に高いものとなる。
【0013】
図1(a),(b)は本発明の異方性導電フィルムを用いて基板同士を接着した状態を示す模式的な断面図であり、図2(a),(b)は従来の異方性導電フィルムを用いて基板同士を接着した状態を示す模式的な断面図である。
【0014】
図1(a),(b)において、各基板1,2に電極3,4が設けられている。本発明の異方性導電フィルム5は、導電性粒子6を含む異方性導電フィルム本体5aと、それよりも小径の絶縁性粒子7を含む絶縁性粒子含有層5bとを有する。従来の異方性導電フィルム8は導電性粒子6のみを含む。
【0015】
図2(a),(b)の通り、従来の異方性導電フィルム8により基板1,2同士を接着した場合、電極3,4がファインピッチのものであり電極3,3同士及び電極4,4同士の間の間隔が小さいと、相互に接近した導電性粒子6(特に符号6’,6’’を付した粒子)により電極3,3同士あるいは電極4,4同士が導通するおそれがある。
【0016】
これに対し、図1(a),(b)に示す通り本発明例にあっては、基板1,2同士を接着すると、絶縁性粒子含有層5bと異方性導電フィルム本体5aとが混ざり合い、導電性粒子6同士の間に小径の絶縁性粒子7が侵入し、導電性粒子6相互が離間するようになる。即ち、粒子6’,6’’も離間する。これにより隣接する電極3,3同士あるいは電極4,4同士の導通が遮断される。
【0017】
本発明では、絶縁性粒子が導電性粒子よりも小径であることが好ましい。
【0018】
また、本発明では、異方性導電フィルム本体よりも絶縁性粒子含有層の流動性が高いことが好ましい。この場合、図1(b)のように異方性導電フィルム本体5aと絶縁性粒子含有層5bとが混ざり合うときに、流動性の高い絶縁性粒子含有層5bが電極3,3間及び電極4,4間に多く流れ込み、この部分での絶縁性粒子の存在比が高くなり、電極3,3間及び電極4,4間の絶縁抵抗が十分に高くなる。
【0019】
なお、本発明の異方性導電フィルムを構成する樹脂組成物のベース樹脂としては、ポリビニルアルコールをアセタール化して得られるポリアセタール化樹脂及び/又はこのポリアセタール化樹脂の側鎖に脂肪族不飽和基を導入してなる変性ポリアセタール化樹脂、或いは溶剤に可溶なポリエステル不飽和化合物が好適である。このベース樹脂を含む異方性導電フィルムは、ITOとSiOXとの双方に対して高い接着性を有する。
【0020】
本発明においては、ポリアセタール化樹脂又は変性ポリアセタール化樹脂に対しリン酸(メタ)アクリレートを配合してもよく、これにより、樹脂基材に対する密着性や、ITOとSiOXとに対する接着性がさらに向上する。
【0021】
本発明では、導電性粒子の平均粒径が0.1〜10μmであり、絶縁性粒子の平均粒径が該導電性粒子の平均粒径よりも小さく且つ1nm以上であることが好ましく、特に絶縁性粒子の平均粒径が導電性粒子の粒径の90%以下であることが好ましい。
【0022】
この絶縁性粒子は、金属酸化物又は合成樹脂よりなることが好ましい。
【0023】
異方性導電フィルム本体における導電性粒子の配合量は接着剤樹脂組成物に対して0.1〜15容量%であることが好ましい。絶縁性粒子含有層における絶縁性粒子の配合量は接着剤樹脂組成物に対して0.1〜15容量%であることが好ましい。また、絶縁性粒子の配合体積量V2と導電性粒子の配合体積量V1との比V2/V1が0.01〜10であることが好ましい。
【0024】
なお、本発明の異方性導電フィルムのベース樹脂がポリアセタール化樹脂又は変性ポリアセタール化樹脂に対しメラミン系樹脂、リン酸(メタ)アクリレート又はアルキド樹脂を配合したものである場合、或は上記ポリエステル不飽和化合物よりなる場合、更に下記の特長を有する。
1) 耐湿耐熱性に優れ、高温高湿下で長時間保持した後においても、異方性導電フィルムの特性を有効に発揮し、耐久性に優れている。
2) リペア性が良好である。
3) 透明性が良好である。
4) 従来品に比べ、安定して高い接着性を発揮する。
5) 透明なポリマーを原料としたフィルムを使用することにより、電極位置決めの際の光透過性がよく、作業性が良好となる。
6) エポキシ系等の従来品は、150℃以上の加熱が必要であったが、本発明によれば、130℃以下、特に100℃以下で硬化接着も可能であり、またUV硬化性とすることもできるため、更に低温での硬化接着も可能である。
7) 従来用いられているエポキシ系、フェノール系の異方性導電フィルムは、粘着性がなく、フィルムが電極に粘着力で仮止めしにくく、剥がれ易く、作業性が悪いが、本発明の異方性導電フィルムは、仮止め時の粘着力が高いため、作業性が良好である。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0026】
本発明において、異方性導電フィルム本体及び絶縁性粒子含有層の接着剤組成物のベース樹脂としては、ポリビニルアルコールをアセタール化して得られるポリアセタール化樹脂及び/又はこのポリアセタール化樹脂の側鎖に脂肪族不飽和基を導入してなる変性ポリアセタール化樹脂あるいは上記ポリエステル不飽和化合物が好適である。
【0027】
ポリアセタール化樹脂としては、アセタール基の割合が30モル%以上であるものが好ましい。アセタール基の割合が30モル%より少ないと耐湿性が悪くなる恐れが生じる。このポリアセタール化樹脂としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等が挙げられるが、特にはポリビニルブチラールが好ましい。このようなポリアセタール化樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば電気化学工業社製「デンカPVB3000−1」「デンカPVB2000−L」などを用いることができる。
【0028】
変性ポリアセタール化樹脂としても、変性ポリビニルブチラールが好ましい。
【0029】
このポリビニルブチラール樹脂は、下記式(1)に示すように、ビニルブチラール単位A、ビニルアルコール単位B及び酢酸ビニル単位Cから構成されている。上記脂肪族不飽和基はこれら単位A,B,Cのいずれの側鎖に導入されていてもよいが、ポリビニルアルコール単位Bの側鎖に導入されているものが好ましい。脂肪族不飽和基としては、例えばビニル基、アリル基、メタアクリル基、アクリル基等が好適である。
【0030】
このポリビニルアルコール単位Bの側鎖への脂肪族不飽和基の導入は、該側鎖水酸基を酸変性することによって行うことが好ましく、この酸変性に用いる酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、ステアリル酸、マレイン酸、フタル酸などが挙げられ、下記式(2)に示すように脂肪族不飽和結合を導入することができる。
【0031】
【化1】
(式中、Rは水素原子又はアルキル基、R’はアルケニル基等の脂肪族不飽和基又はこれを含有する基を示す。)
【0032】
なお、上記式(1)において、ビニルアルコール単位Bは好ましくは3〜70モル%、より好ましくは5〜50モル%、更に好ましくは5〜30モル%であり、3モル%より少ないと酸変性の反応性が悪く、70モル%より多いと耐熱性、耐湿性が劣る場合が生じる。
【0033】
本発明においては、異方性導電フィルムの接着性の向上のために上記ポリアセタール化樹脂又は変性ポリアセタール化樹脂にリン酸(メタ)アクリレートを配合してもよい。
【0034】
リン酸(メタ)アクリレートとしては、リン酸アクリレート及び/又はリン酸メタクリレートが用いられる。即ち、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートとの総称である。リン酸アクリレート、リン酸メタクリレートとしては、例えば、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどの1種又は2種以上が挙げられる。このようなリン酸化合物は、前記ベース樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部、特に0.5〜2重量部配合するのが好ましい。このリン酸化合物の配合量が0.1重量部未満では、十分な接着性の改善効果が得られず、10重量部を超えると導通信頼性が悪化する。
【0035】
異方性導電フィルムの接着性の向上のために上記ポリアセタール化樹脂又は変性ポリアセタール化樹脂にメラミン系樹脂を配合してもよい。
【0036】
メラミン系樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、イソブチル化メラミン樹脂、n−ブチル化メラミン樹脂等のブチル化メラミン樹脂、メチル化メラミン樹脂、等の1種又は2種以上が挙げられる。このようなメラミン系樹脂は、前記ベース樹脂100重量部に対して1〜200重量部、特に1〜100重量部配合するのが好ましい。このメラミン系樹脂の配合量が1重量部未満では、十分な接着性の改善効果が得られず、200重量部を超えると導通信頼性が悪化する。
【0037】
異方性導電フィルムの接着性の向上のために上記ポリアセタール化樹脂又は変性ポリアセタール化樹脂にアルキド樹脂を配合してもよい。
【0038】
アルキド樹脂としては、純粋アルキド樹脂、変性アルキド樹脂のいずれでも良いが、オイルフリー、或いは短油性ないし中油性のものが好ましい。このようなアルキド樹脂は、前記ベース樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部、特に0.5〜5重量部配合するのが好ましい。この配合量が0.01重量部未満ではメラミン系樹脂との併用による十分な接着性の向上効果が得られず、10重量部を超えると導電信頼性が悪化する。
【0039】
なお、メラミン系樹脂と、リン酸(メタ)アクリレートと、アルキド樹脂との併用による優れた接着性の向上効果を得るために、メラミン系樹脂と、リン酸(メタ)アクリレートと、アルキド樹脂との配合比をメラミン系樹脂:リン酸(メタ)アクリレート:アルキド樹脂=1:0.01〜10:0.01〜10(重量比)とするのが好ましい。
【0040】
ポリアセタール化樹脂又は変性ポリアセタール化樹脂組成物には、接着層への気泡の混入を防止してより一層高い導電性と接着力を確保するために尿素系樹脂を配合することが好ましく、この尿素系樹脂としては、尿素樹脂、ブチル化尿素系樹脂等を用いることができる。なお、同様の目的でフェノール樹脂、ブチル化ベンゾグアナミン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0041】
尿素系樹脂等の気泡混入防止のための樹脂は、ベース樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部、特に0.5〜5重量部とするのが好ましい。この配合量が0.01重量部未満では、十分な気泡混入防止効果を得ることができず、10重量部を超えると導通信頼性が悪化する。
【0042】
本発明において、ベース樹脂は、溶剤(ここで、溶剤とは例えば、アセトン、MEK、酢酸エチル、酢酸セロソルブ、ジオキサン、THF、ベンゼン、シクロヘキサノン、ソルベッソ100等の有機溶剤を指す。)に可溶なポリエステル不飽和化合物であってもよい。
【0043】
このポリエステル不飽和化合物は、多塩基酸と多価アルコールとを反応させることによって得られる不飽和ポリエステルと、溶剤に可溶な飽和共重合ポリエステルに(メタ)アクリロキシ基を導入した化合物などのラジカル反応硬化性のポリエステル不飽和化合物である。即ち、このポリエステル不飽和化合物とは
▲1▼ 不飽和ポリエステル化合物
▲2▼ 飽和ポリエステルに(メタ)アクリロキシ基及び/又はメタクリロキシ基を導入した化合物
の2種類である。
【0044】
ここで、溶剤に可溶な飽和共重合ポリエステルとしては、テレフタル酸とエチレングリコール及び/又は1,4−ブタンジオールを主たる構成成分とし、全酸成分の5〜50モル%のフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン酸等の酸成分及び/又は全アルコール成分の5〜50モル%の量で1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール等のアルコール成分を1種又は2種以上で共重合したものである。
【0045】
このような飽和共重合ポリエステルへの(メタ)アクリロキシ基の導入方法としては、
(1) イソシアネートアルキル(メタ)アクリレートを前記飽和共重合ポリエステルの水酸基と反応させる方法、
(2) アルキル(メタ)アクリレートと前記飽和共重合ポリエステルの水酸基とのエステル交換反応による方法、
(3) ジイソシアネート化合物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応によるイソシアナートアルキル(メタ)アクリレートを前記飽和共重合ポリエステルの水酸基と反応させる方法
を採用することができる。
【0046】
ベース樹脂がこのポリエステル不飽和化合物よりなる場合であっても、前述のリン酸(メタ)アクリレートを前述の範囲で配合してもよい。
【0047】
本発明において、接着剤を構成する樹脂組成物のベース樹脂は、非イオン系界面活性剤が配合されてもよい。この非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸ポリオキシエチレンエステル、脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステル、脂肪酸ショ糖エステル、アルキルポリグルコキシド、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸モノグリセリド、アルキルモノグリセリルエーテル、脂肪酸プロピレングリコールエステル等が例示される。この非イオン系界面活性剤の配合量はベース樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部、特に0.1〜1重量部が好ましい。
【0048】
本発明においては、異方性導電フィルムの物性(機械的強度、接着性、光学的特性、耐熱性、耐湿性、耐候性、架橋速度等)の改良や調節のために、樹脂組成物にアクリロキシ基、メタクリロキシ基又はエポキシ基を有する反応性化合物(モノマー)を配合することが好ましい。この反応性化合物としては、アクリル酸又はメタクリル酸誘導体、例えばそのエステル及びアミドが最も一般的であり、エステル残基としてはメチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリルのようなアルキル基のほかに、シクロヘキシル基、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。また、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコールとのエステルも同様に用いられる。アミドとしては、ダイアセトンアクリルアミドが代表的である。多官能架橋助剤としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル等が挙げられる。また、エポキシ基含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノール(EO)5グリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテル等が挙げられる。また、エポキシ基を含有するポリマーをアロイ化することによって同様の効果を得ることができる。
【0049】
これらの反応性化合物は1種又は2種以上の混合物として、前記ベース樹脂100重量部に対し、通常0.5〜80重量部、好ましくは0.5〜70重量部添加して用いられる。この配合量が80重量部を超えると接着剤の調製時の作業性や成膜性を低下させることがある。
【0050】
本発明においては、樹脂組成物の熱硬化のための硬化剤として有機過酸化物を配合するが、この有機過酸化物としては、70℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであればいずれも使用可能であるが、半減期10時間の分解温度が50℃以上のものが好ましく、成膜温度、調製条件、硬化(貼り合わせ)温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性を考慮して選択される。
【0051】
使用可能な有機過酸化物としては、例えば2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4’−ビス (t−ブチルパーオキシ)バレレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、クロロヘキサノンパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クミルパーオキシオクトエート、サクシニックアシッドパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、m−トルオイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。これらの有機過酸化物は1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。
【0052】
このような有機過酸化物はベース樹脂100重量部に対して好ましくは0.1〜10重量部配合される。
【0053】
また、本発明においては、樹脂組成物の光硬化のために、光によってラジカルを発生する光増感剤を配合するが、この光増感剤(光重合開始剤)としては、ラジカル光重合開始剤が好適に用いられる。ラジカル光重合開始剤のうち、水素引き抜き型開始剤としてベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、4−(ジエチルアミノ)安息香酸エチル等が使用可能である。また、ラジカル光重合開始剤のうち、分子内開裂型開始剤としてベンゾインエーテル、ベンゾイルプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α―ヒドロキシアルキルフェノン型として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アルキルフェニルグリオキシレート、ジエトキシアセトフェノンが、また、α―アミノアルキルフェノン型として、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1が、またアシルフォスフィンオキサイド等が用いられる。これらの光増感剤は1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。
【0054】
このような光増感剤はベース樹脂100重量部に対して好ましくは0.1〜10重量部配合される。
【0055】
本発明に係る樹脂組成物には、接着促進剤としてシランカップリング剤を添加することが好ましい。シランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等の1種又は2種以上の混合物が用いられる。
【0056】
これらのシランカップリング剤の添加量は、ベース樹脂100重量部に対し通常0.01〜5重量部で充分である。
【0057】
また、本発明に係る樹脂組成物には、加工性や貼り合わせ性等の向上の目的で炭化水素樹脂を添加することができる。この場合、添加される炭化水素樹脂は天然樹脂系、合成樹脂系のいずれでもよい。天然樹脂系では、ロジン、ロジン誘導体、テルペン系樹脂が好適に用いられる。ロジンではガム系樹脂、トール油系樹脂、ウッド系樹脂を用いることができる。ロジン誘導体としてはロジンをそれぞれ水素化、不均一化、重合、エステル化、金属塩化したものを用いることができる。テルペン系樹脂ではα−ピネン、β−ピネン等のテルペン系樹脂の他、テルペンフェノール樹脂を用いることができる。また、その他の天然樹脂としてダンマル、コバル、シェラックを用いてもよい。一方、合成樹脂系では石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂が好適に用いられる。石油系樹脂では脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、水素化石油樹脂、純モノマー系石油樹脂、クマロンインデン樹脂を用いることができる。フェノール系樹脂ではアルキルフェノール樹脂、変性フェノール樹脂を用いることができる。キシレン系樹脂ではキシレン樹脂、変性キシレン樹脂を用いることができる。
【0058】
このような炭化水素樹脂の添加量は適宜選択されるが、ベース樹脂100重量部に対して1〜200重量部が好ましく、更に好ましくは5〜150重量部である。
【0059】
以上の添加剤のほか、本発明に係る樹脂組成物には、老化防止剤、紫外線吸収剤、染料、加工助剤等を本発明の目的に支障をきたさない範囲で用いてもよい。
【0060】
異方性導電フィルム本体に配合される導電性粒子としては、電気的に良好な導体であれば良く、種々のものを使用することができる。例えば、銅、銀、ニッケル等の金属ないし合金粉末、このような金属又は合金で被覆された樹脂又はセラミック粉体等を使用することができる。また、その形状についても特に制限はなく、りん片状、樹枝状、粒状、ペレット状等の任意の形状をとることができる。
【0061】
なお、導電性粒子は、弾性率が1.0×107〜1.0×1010Paであるものが好ましい。即ち、プラスチックフィルムを基材とする液晶フィルムなどの被接着体の接続で異方性導電フィルムを使用する場合、導電性粒子として弾性率の高いものを用いると、被接着体にクラックが生じるなどの破壊や圧着後の粒子の弾性変形回復によるスプリングバックなどが発生し、安定した導通性能を得ることができない恐れがあるため、上記弾性率範囲の導電性粒子を用いることが推奨される。これにより、被接着体の破壊を防止し、圧着後の粒子の弾性変形回復によるスプリングバックの発生を抑制し、導電性粒子の接触面積を広くすることが可能になって、より安定した信頼性の高い導通性能を得ることができる。なお、弾性率が1.0×107Paより小さいと、粒子自身の損傷が生じ、導通特性が低下する場合があり、1.0×1010Paより大きいと、スプリングバックの発生が生じる恐れがある。このような導電性粒子としては、上記のような弾性率を有するプラスチック粒子の表面を前述の金属又は合金で被覆したものが好適に用いられる。
【0062】
異方性導電フィルム本体において、このような導電性粒子の配合量は、前記接着剤樹脂組成物に対して0.1〜15容量%特に1〜10容量%であることが好ましい。また、この導電性粒子の平均粒径は0.1〜100μm特に0.1〜10μmであることが好ましい。
【0063】
絶縁性粒子含有層に配合される絶縁性粒子としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、あるいはポリスチレン、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂よりなるものが効果的である。
【0064】
この絶縁性粒子の平均粒径は導電性粒子の粒径よりも小さいことが好ましい。絶縁性粒子の平均粒径は、導電性粒子の平均粒径の90%以下であることが好ましく、その下限は1nm以上特に2nm以上であることが望ましい。
【0065】
なお、導電性粒子及び絶縁性粒子の粒子形状は図1の球状に限定されるものではなく、針状であってもよい。
【0066】
絶縁性粒子含有層における絶縁性粒子の配合量は、該絶縁性粒子含有層の接着剤樹脂組成物に対して0.1〜15容量%特に1〜10容量%であることが好ましい。
【0067】
絶縁性粒子含有層における絶縁性粒子の配合体積量V2と、異方性導電フィルム本体における導電性粒子の配合体積量V1との比(即ち、異方性導電フィルム全体における絶縁性粒子と導電性粒子の体積比)V2/V1は0.01〜10特に0.05〜5が好ましい。
【0068】
本発明の異方性導電フィルムは、このような導電性粒子を接着剤樹脂組成物に分散させた異方性導電フィルム本体と、絶縁性粒子を接着剤樹脂組成物中に分散させてなる絶縁性粒子含有層とを積層したものである。なお、異方性導電フィルム本体が熱硬化性接着剤樹脂組成物よりなる場合、絶縁性粒子含有層も熱硬化性接着剤樹脂組成物よりなることが好ましく、異方性導電フィルム本体が光硬化性接着剤樹脂組成物よりなる場合、絶縁性粒子含有層も光硬化性接着剤樹脂組成物よりなることが好ましい。
【0069】
絶縁性粒子含有層は異方性導電フィルム本体の一方の面にのみ積層されてもよく、双方の面に積層されてもよい。
【0070】
異方性導電フィルム本体の厚さは10〜60μm特に15〜50μm程度が好ましい。絶縁性粒子含有層の厚さ(2層の場合は合計厚さ)は10〜50μm特に15〜30μm程度が好ましい。
【0071】
異方性導電フィルム本体及び絶縁性粒子含有層のいずれにおいても、接着剤樹脂組成物は、メルトインデックス(MFR)が1〜3000、特に1〜1000、とりわけ1〜800であることが好ましく、また、70℃における流動性が105Pa・s以下であることが好ましく、従って、このようなMFR及び流動性が得られるように配合を選定することが望ましい。
【0072】
本発明では、絶縁性粒子含有層の流動性が異方性導電フィルム本体よりも高いことが好ましく、特に、電極付き基板の接着工程において、常に絶縁性粒子含有層の流動性が異方性導電フィルム本体よりも高いことが好ましい。このように流動性を設定すると、電極付き基板の接着工程において絶縁性粒子含有層が前記図1(b)の電極3,3及び電極4,4間の間隙部に流れ込み易くなり、絶縁性粒子が電極3,3間及び電極4,4間に偏在しやすくなる。これにより電極3,3間及び電極4,4間の絶縁抵抗が十分に高いものとなる。
【0073】
本発明の異方性導電フィルムの異方性導電フィルム本体と絶縁性粒子含有層は、前記接着剤樹脂組成物と、導電性粒子又は絶縁性粒子とを所定の配合で均一に混合し、押出機、ロール等で混練した後、カレンダーロール、Tダイ押出、インフレーション等の成膜法により所定の形状に成膜することにより製造される。異方性導電フィルム本体と絶縁性粒子含有層とが共押出しされることにより異方性導電フィルムが成膜されてもよく、別個に成膜され積層されて異方性導電フィルムとされてもよい。
【0074】
成膜法は、接着剤樹脂組成物と導電性粒子又は絶縁性粒子を溶媒に溶解ないし分散させ、セパレーターの表面に塗付した後、溶媒を蒸発させることによっても成膜することができる。この場合、異方性導電フィルム本体及び絶縁体粒子含有層のうちの一方を成膜した後、他方をその上に成膜してもよい。もちろん、両者を別個に成膜した後に積層してもよい。
【0075】
なお、成膜に際しては、ブロッキング防止、被着体との圧着を容易にするため等の目的で、エンボス加工を施してもよい。
【0076】
このようにして得られた異方性導電フィルムによって被着体同士を接着するには、例えば、熱プレスによる貼り合わせ法や、押出機、カレンダーによる直接ラミネート法、フィルムラミネーターによる加熱圧着法等の各種の手法を用いることができる。
【0077】
本発明の異方性導電フィルムにおける硬化条件としては、熱硬化の場合は、用いる有機過酸化物の種類に依存するが、通常70〜170℃、好ましくは70〜150℃で、通常10秒〜120分、好ましくは20秒〜60分である。
【0078】
光増感剤を用いる光硬化の場合は、光源として紫外〜可視領域に発光する多くのものが採用でき、例えば超高圧、高圧、低圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、マーキュリーハロゲンランプ、カーボンアーク灯、白熱灯、レーザー光等が挙げられる。照射時間は、ランプの種類、光源の強さによって一概には決められないが、数十秒〜数十分程度である。
【0079】
また、硬化促進のために、予め積層体を40〜120℃に加温し、これに紫外線を照射しても良い。
【0080】
この接着時には、接着方向に1〜4MPa特に2〜3MPa程度の圧力を加えることが好ましい。
【0081】
なお、本発明の異方性導電フィルムは、フィルム厚さ方向に10Ω以下、特に5Ω以下の導電性を有し、面方向の抵抗は106Ω以上、特に109Ω以上であることが好ましい。
【0082】
本発明の異方性導電フィルムは、例えばFPCやTABと液晶パネルのガラス基板上のITO端子との接続など、種々の端子間の接続に使用されるなど従来の異方性導電フィルムと同様の用途に用いられ、硬化時に架橋構造が形成されると共に、高い接着性、特に金属との優れた密着性と、優れた耐久性、耐熱性が得られる。
【0083】
特に、本発明の異方性導電フィルムは、ベース樹脂を上記の通り選定した場合、ITOとSiOXとの両方に対して高い接着性を有し、且つSiOXに対して著しく高い接着性を有し、上記端子間の接続にきわめて好適である。
【0084】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0085】
比較例1
ポリビニルブチラール(電気化学工業社製「デンカPVB3000−1」)のトルエン25重量%溶液を調製し、ポリビニルブチラール100重量部に対して表1に示す成分を表1に示す量で混合し、これをバーコーターによりセパレーターであるポリテレフタル酸エチレン上に塗布し、幅5mm、厚さ21μmのフィルムを得た。
【0086】
このフィルムを、PET樹脂基板にSiOX膜を介してITO端子を形成した基板(ITO基板)と、ポリイミド基板に銅箔をパターニングした基板(FPC基板)との接着用として、セパレーターを剥離してモニターで位置決めをし、130℃で20秒間、3MPaにおいて加熱圧着した。得られたサンプルについて、引張試験機による90°剥離試験(50mm/min)により接着力を測定すると共に、デジタルマルチメータにより厚み方向の導通抵抗を測定し、超高抵抗測定器によりフィルム面方向の絶縁抵抗を測定し、結果を表1に示した。
【0087】
【表1】
【0088】
なお、表1中の*1〜*8は次の通りである。
*1:ベンゾイルパーオキサイド
*2:大日本化学工業社製ブチル化メラミン樹脂「スーパーベッカミンL125−60」
*3:共栄化学社製リン酸メタクリレート「P2M」
*4:ポリエチレングリコールジアクリレート
*5:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
*6:積水化学社製金粒子Au205(平均粒径5μm)。
接着剤樹脂組成物樹脂に対する容量%は4%である。
*7:日本アエロジル社製シリカ系粒子RY200(平均粒径12nm)。
ベース樹脂に対する容量%は3%である。
*8:積水化学社製ジビニルベンゼンを主成分とする架橋重合物の粒子SP203(平均粒径3μm)。
接着剤樹脂組成物樹脂に対する容量%は3%である。
【0089】
実施例1
比較例1と同配合にて厚さ5μmの異方性導電フィルム本体を成膜した。また、絶縁体粒子含有層については、接着剤樹脂組成物を比較例1と同一配合とし、導電性粒子の代りに絶縁性粒子を表1に示す量だけ配合した他は同様にして表1に示す厚さにて成膜し、これを上記異方性導電フィルム本体と積層して異方性導電フィルムとした。この異方性導電フィルムを用いて比較例1と同様に基板を接着した。なお、異方性導電フィルム本体をITO基板側とした。同様にして行った測定結果を表1に示す。
【0090】
実施例2
絶縁性粒子を上記*8のものとし、異方性導電フィルム本体及び絶縁性粒子含有層の厚さを表1の通りとした他は実施例1と同様にして異方性導電フィルムを成膜した。そして、異方性導電フィルム本体をFPC側とした他は実施例1と同様にしてITO基板とFPC基板とを接着し、同様の測定を行い、結果を表1に示した。
【0091】
実施例3
絶縁性粒子含有層を8μm厚の2層とし、これを6μm厚の異方性導電フィルム本体の両面に積層した他は実施例2と同様にして異方性導電フィルムを成膜した。その他は実施例2と同様にしてITO基板とFPC基板とを接着し、同様の測定を行い、結果を表1に示した。
【0092】
表1より、本発明の異方性導電フィルムはフィルム面方向の絶縁特性に優れることがわかる。
【0093】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、電極付き基板同士を接着した場合にフィルム面方向の絶縁特性に優れたものとなる異方性導電フィルム及び電極付き基板の接着方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明例の異方性導電フィルムによる接着構造を示す模式的な断面図である。
【図2】従来例の異方性導電フィルムによる接着構造を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
1,2 基板
3,4 電極
5,8 異方性導電フィルム
5a 異方性導電フィルム本体
5b 絶縁性粒子含有層
6 導電性粒子
7 絶縁性粒子
Claims (13)
- 導電性粒子が分散された熱硬化性又は光硬化性の接着剤樹脂組成物を成膜してなる異方性導電フィルム本体と、
該異方性導電フィルム本体に積層された、絶縁性粒子が分散された熱硬化性又は光硬化性の接着剤樹脂組成物よりなる絶縁性粒子含有層と
を有する異方性導電フィルム。 - 請求項1において、該絶縁性粒子が該導電性粒子よりも小径であることを特徴とする異方性導電フィルム。
- 請求項2において、導電性粒子の平均粒径が0.1〜10μmであり、絶縁性粒子の平均粒径が該導電性粒子の平均粒径よりも小さく且つ1nm以上であることを特徴とする異方性導電フィルム。
- 請求項2又は3において、絶縁性粒子の平均粒径が導電性粒子の粒径の90%以下であることを特徴とする異方性導電フィルム。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、該絶縁性粒子が金属酸化物又は合成樹脂よりなることを特徴とする異方性導電フィルム。
- 請求項1ないし5のいずれか1項において、該接着剤樹脂組成物がベース樹脂として、ポリビニルアルコールをアセタール化して得られるポリアセタール化樹脂及び/又はこのポリアセタール化樹脂の側鎖に脂肪族不飽和基を導入してなる変性ポリアセタール化樹脂を含むことを特徴とする異方性導電フィルム。
- 請求項6において、該樹脂組成物がベース樹脂100重量部に対してリン酸(メタ)アクリレートを0.1〜10重量部含有することを特徴とする異方性導電フィルム。
- 請求項1ないし5のいずれか1項において、該ベース樹脂が溶剤に可溶なポリエステル不飽和化合物を主成分とすることを特徴とする異方性導電フィルム。
- 請求項1ないし8のいずれか1項において、該樹脂組成物がベース樹脂100重量部に対して有機過酸化物又は光増感剤を0.1〜10重量部含有することを特徴とする異方性導電フィルム。
- 請求項1ないし9のいずれか1項において、絶縁性粒子含有層における絶縁性粒子の配合量が接着剤樹脂組成物に対して0.1〜15容量%であることを特徴とする異方性導電フィルム。
- 請求項9又は10において、絶縁性粒子含有層における該絶縁性粒子の配合体積量V2と異方性導電フィルム本体における導電性粒子の配合体積量V1との比V2/V1が0.01〜10であることを特徴とする異方性導電フィルム。
- 電極付き基板同士の間に異方性導電フィルムを介在させ、これらの電極付き基板同士を加圧すると共に該異方性導電フィルムを硬化処理する電極付き基板の接着方法において、
該異方性導電フィルムが請求項1ないし11のいずれか1項に記載の異方性導電フィルムであることを特徴とする電極付き基板の接着方法。 - 請求項12において、一方の電極付き基板はフレキシブルプリント基板であることを特徴とする電極付き基板の接着方法。
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