JP2004047049A - 磁気ストライプ転写装置および磁気カードの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気ストライプを被転写基材へ熱転写する際に、被転写基材の反りやうねりを抑制することができる磁気ストライプ転写装置および磁気カードの製造方法を提供すること。
【解決手段】カード基材2を上面で支持する下プレス板27と、下プレス板27に対向配置される上プレス板28とを備え、上プレス板28の下面には、磁気ストライプ3を支持したキャリアテープ5A〜5Cを加熱プレスして磁気ストライプ3をカード基材2上へ転写する転写バー34A〜34Cを設ける。転写バー34A〜34Cは、カード基材2上の磁気ストライプ3の転写部位を局所的に加熱プレスし、従来のようなカード基材2への前面加熱プレスに比べて、転写後のカード基材2の反りやうねりを抑制する。
【選択図】 図2
【解決手段】カード基材2を上面で支持する下プレス板27と、下プレス板27に対向配置される上プレス板28とを備え、上プレス板28の下面には、磁気ストライプ3を支持したキャリアテープ5A〜5Cを加熱プレスして磁気ストライプ3をカード基材2上へ転写する転写バー34A〜34Cを設ける。転写バー34A〜34Cは、カード基材2上の磁気ストライプ3の転写部位を局所的に加熱プレスし、従来のようなカード基材2への前面加熱プレスに比べて、転写後のカード基材2の反りやうねりを抑制する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば磁気ストライプ付きカードの製造に好適な磁気ストライプ転写装置および磁気カードの製造方法に関し、更に詳しくは、キャリアテープに支持された磁気ストライプを被転写基材へ熱転写する際の被転写基材の反りやうねりを抑制することができる磁気ストライプ転写装置および磁気カードの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、磁気ストライプ付きカードの製造においては、磁気ストライプを支持したキャリアテープをカード基材に加熱加圧し、磁気ストライプをカード基材へ転写する工法が公知となっている。カード基材への磁気ストライプの熱転写工程には、磁気ストライプ転写装置が用いられる。従来の磁気ストライプ転写装置としては、例えば下記特許文献1に開示されているような熱プレス方式と、例えば下記特許文献2に開示されているようなホットローラ方式とが知られている。
【0003】
図11は、従来の熱プレス方式の磁気ストライプ転写装置1の構成の一例を示している。磁気ストライプが転写される被転写基材としてのカード基材2は、例えば所定寸法のカードが9面取れる枚葉サイズのカード外装シートで構成されている。図12に示すように、磁気ストライプ3は、例えばOPP(延伸ポリプロピレン)やPET(ポリエチレンテレフタレート)等からなるキャリアテープ5によって支持されており、磁気ストライプ3の裏面にはホットメルト系の接着層4が設けられている。
【0004】
従来の磁気ストライプ転写装置1は、カード基材2を上面で支持する下プレス板7と、下プレス板7の上方に対向配置される上プレス板8とを備えている。上プレス板8の下面には、カード基材2上に配置されたキャリアテープ5(磁気ストライプ3)を圧接しヒータ10の熱によって接着層4を溶融して磁気ストライプ3をカード基材2上へ転写する鏡面板9が設けられている。カード基材2への磁気ストライプ3の転写は、接着層4による磁気ストライプ3の接着後、キャリアテープ5を磁気ストライプ3から分離(剥離)させることによって完了する。
【0005】
一方、図13は、従来のホットローラ方式の磁気ストライプ転写装置の構成の一例を示している。この磁気ストライプ転写装置11は、カード基材2とキャリアテープ5とを積層状態で狭圧する一対の加熱加圧ローラ12a,12bと、その下流側に配置される一対の冷却ローラ13a,13bとを備えている。加熱加圧ローラ12bと冷却ローラ13bとは無端ベルト14を介して互いに同期して回転される。この磁気ストライプ転写装置11では、加熱加圧ローラ12a,12bと冷却ローラ13a,13bとの間にカード基材2およびキャリアテープ5を送り込むことによって、磁気ストライプ3がカード基材2へ連続的に転写される。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−99678号公報
【特許文献2】
特開平11−219522号公報
【特許文献3】
特開2001−233542号公報
【特許文献4】
特開平9−283471号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の磁気ストライプ転写装置1,11においては、カード基材2上へ磁気ストライプ3を転写する際、カード基材2の全面が加熱プレス作用を受けるために、磁気ストライプ3の転写後にはカード基材2に反り(カール)やうねりが生じるという問題がある(図14A)。
【0008】
カード基材2の反りやうねりは、後工程におけるカード内層シート材等との積層プレス時において大体は消失されるが、このとき、外装シート(カード基材2)に描かれた印刷絵柄に歪み等が生じ、所望とするカード外観品質が得られない場合がある。また、枚葉サイズからカード一枚サイズへの打ち抜きプレス時(図14B参照)に、外装シート(カード基材2)の歪みが原因で所定の絵柄ピッチでの打ち抜きができない場合もある。
【0009】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、キャリアテープに支持された磁気ストライプを被転写基材へ熱転写する際に、被転写基材の反りやうねりを抑制することができる磁気ストライプ転写装置および磁気カードの製造方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するに当たり、本発明の磁気ストライプ転写装置は、被転写基材を上面で支持する下プレス板と、下プレス板の上面に支持された被転写基材およびその上に配置されたキャリアテープに対向して配置される上プレス板とを備え、当該上プレス板が、被転写基材上の磁気ストライプの転写部位を局所的に加熱プレスする転写部を有することを特徴としている。
【0011】
すなわち本発明では、磁気ストライプの被転写基材上への転写を、従来のように被転写基材全面に対する加熱プレス作用に依るのではなく、被転写基材上の磁気ストライプ転写部位に対する局所的な加熱プレスとすることによって、被転写基材の反りやうねりを抑制するようにしている。
【0012】
これにより、被転写基材の反りやうねりを大きく抑えることができるので、例えば絵柄印刷が施されたカード外装シートを被転写基材として用いた場合でも、印刷歪みをなくしてカード外観品質の向上を図れるとともに、枚葉サイズからカード一枚サイズへの打ち抜き時にも所定の絵柄ピッチでの打ち抜きが可能となる。
【0013】
被転写基材上の磁気ストライプ転写部位を局所的に加熱プレスするためには、上プレス板の下面に対してキャリアテープの延在方向に関して平行な突状の転写部を一体形成したり、あるいは、平面的な上プレス板下面に転写バーを別途設ける等の構成が適用可能である。
【0014】
なお、本発明は、磁気ストライプの熱転写時に被転写基材の全面的なプレス作用を伴う構成を排除するものではない。例えば、上プレス板の下面を全体的に平面としながら、磁気ストライプの転写部位に対応する領域のみ転写温度以上に維持した材料で構成し、他の領域は断熱材料で構成するようにしてもよい。
【0015】
一方、以上の課題を解決するに当たり、本発明の磁気カードの製造方法は、被転写基材を下プレス板上に載置する工程と、下プレス板とこれに対向配置される上プレス板との間に、磁気ストライプを支持するキャリアテープを配置する工程と、上プレス板が、キャリアテープを介して、被転写基材上の磁気ストライプの転写部位を局所的に加熱プレスし、磁気ストライプを被転写基材上へ転写する工程とを有することを特徴としている。
【0016】
以上の工程を経ることにより、磁気ストライプの熱転写時、被転写基材が全面的に加熱プレスされることはないので、磁気ストライプ貼り付け後の被転写基材の反りやうねりが効果的に抑制される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態による磁気ストライプ転写装置の全体を示している。本実施の形態の磁気ストライプ転写装置21は、主として、被転写基材であるカード基材2の上面に磁気ストライプを加熱プレスによって熱転写する熱転写機構23と、熱転写機構23へ向けて、磁気ストライプを支持したキャリアテープ5を供給する供給リール24A,24B,24Cと、キャリアテープ5を回収する巻取リール25A,25B,25Cとを備えている。
【0019】
熱転写機構23は、カード基材2を上面で支持する下プレス板27と、下プレス板27の上方に対向配置される上プレス板28とを備えた熱プレス方式で構成されている。これら下プレス板27と上プレス板28との間にカード基材2とキャリアテープ5(磁気ストライプ)とが配置された後、プレス板27,28による加熱プレス作用で磁気ストライプがカード基材2上へ熱転写されるようになっている。
【0020】
本実施の形態のカード基材2は、ポリカーボネート(PC)やポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の公知のプラスチックシートでなるが、勿論、これ以外にも例えば塩化ビニルやアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)等の他の樹脂材料も適用可能である。
【0021】
また、磁気ストライプ3は、図12を参照して説明したように、OPPやPET等からなるキャリアテープ5に支持された磁気テープでなり、磁気ストライプ3の裏面にはホットメルト系の接着層4が設けられた構成となっている。
【0022】
カード基材2は、所定の絵柄や文字等が印刷されたカード外装シート材として形成され、カード一枚サイズが3行3列で計9面取れる枚葉サイズ(A4)となっている。したがって、この熱転写機構23では、後述する供給リール24A〜24Cと巻取リール25A〜25Cとの間で、3本のキャリアテープ5(5A〜5C、図2参照)が並行してカード基材2の上方に懸架されている。
【0023】
図2および図3は、熱転写機構23の詳細を示している。キャリアテープ5(磁気ストライプ3)の延在方向において対向する下プレス板27の2辺の所定部位には、下プレス板27の上面に鏡面板30を介して載置されたカード基材2の両縁部をクランプする複数のクランパ29が設けられている。なお、クランパ29の配置位置は任意であるが、キャリアテープ5の直下位置は避けるようにする。
【0024】
上プレス板28には、本発明の「第1の加熱源」として複数の第1ヒータ31が埋設されており、これにより上プレス板28が所定温度(例えば105℃)に加熱される。上プレス板28の下面には、金属製の支持板33を介して、例えば鋼でなる3本の転写バー34A,34B,34Cがキャリアテープ5の延在方向に沿って互いに平行に取り付けられている。
【0025】
転写バー34A〜34Cは、キャリアテープ5A〜5Cを介して、下プレス板27の上面に支持されたカード基材2を加熱プレスし、磁気ストライプ3をカード基材2上へ転写する本発明の「転写部」として構成される。各々の転写バー34A〜34Cはそれぞれ同一の構成を有し、その延在長さは図3に示すようにカード基材2に対する転写長さよりも例えば10〜50mm大きい。また、転写バー34A〜34Cの幅Dは図4に示すように磁気ストライプ3の幅dよりも例えば0.2mm程度大きく形成されている。
【0026】
カード基材2に対する磁気ストライプ3の熱転写では、カード基材2の両端部において磁気ストライプ3が適正に転写されていることが重要である。磁気ストライプ3が適正に転写される条件の一つとして転写温度が挙げられるが、この転写温度を転写バー34A〜34Cの両端部においても適正に得ることができるように、本実施の形態では図2および図3に示すように、転写バー34A〜34Cの両端部に対し、本発明の「第2の加熱源」として第2ヒータ32,32をそれぞれ埋設している。この場合、第2ヒータ32の設定温度は第1ヒータ31の設定温度よりも高く設定される。
【0027】
これにより、第1ヒータ31のみでは転写バー34A〜34Cの中央部側とその両端部側とで温度分布(両端部側の温度<中央部側の温度)が生じてしまうという問題を上記第2ヒータ32,32によって解消し、転写バー34A〜34Cの両端部においても所定の転写温度を確保するようにしている。
【0028】
また、第2ヒータ32は、上プレス板28に埋設される第1ヒータ31とは独立して温度調整可能であり、第1ヒータ31とは異なる設定温度によって転写バー34A〜34Cの両端部を所定温度(例えば135℃)に加熱する。第2ヒータ32の加熱温度を第1ヒータ31の加熱温度よりも高くしたのは、上述のように、カード基材2の両端部における磁気ストライプ3の熱転写を確実なものとするためである。
【0029】
一方、第2ヒータ32,32からの熱が転写バー34A〜34Cの中央部側に伝わると、磁気ストライプ3の熱転写時、カード基材2を必要以上に加熱することになり、反りやうねりを誘発することになる。
【0030】
そこで、本実施の形態では、転写バー34A〜34Cの両端近傍であって、第2ヒータ32,32の埋設位置よりも内方側に、転写バー34A〜34Cの両端部とその中央部側との間における熱移動を抑制するための伝熱抑制手段として貫通孔35,35をそれぞれ設けている。これにより、転写バー34A〜34Cの両端部のみ高温に維持してカード基材2の両端部における磁気ストライプ3の熱転写を確実なものとしながら、カード基材2の内央部における高温転写を回避してカード基材2の反りやうねりを抑制するようにしている。
【0031】
なお、貫通孔35,35の形状は円形に限らず、多角形状や長孔状のものでもよい。また、貫通孔35,35内に断熱材を充填したり、貫通孔の個数を増加させる等、更なる断熱性の向上を図るようにしてもよい。
また勿論、第2ヒータ32による転写バー34A〜34C中央部側の過熱が問題とならない場合は、上記貫通孔35を設けないで転写バー34A〜34Cを構成してもよい。
【0032】
また、支持板33下面の、転写バー34A〜34Cが取り付けられない領域は、断熱材36で被覆されている(図2)。これにより、上プレス板28側からカード基材2側への熱輻射が抑制され、カード基材2の反りやうねりの抑止効果が得られる。なお、断熱材36は板状に限らず、テープ状やブロック状など何れの形態でも適用可能である。
更に、必要に応じて、下プレス板27を一定温度に保つための冷却機能を当該下プレス板27に設けてもよい。
【0033】
以上のように構成される熱転写機構23は、図1に示すように、3組の供給リール24A〜24Cと巻取リール25A〜25Cとの間に配置されている。供給リール24A〜24Cはそれぞれ、磁気ストライプ3を支持したキャリアテープ5A〜5Cを巻装している。供給リール24A〜24Cから繰り出されたキャリアテープ5A〜5Cは、下プレス板27と上プレス板28との間を通って、対応する巻取リール25A〜25Cに巻き取られるようになっている。
【0034】
供給リール24A〜24Cはそれぞれ、供給モータ37A,37B,37Cの回転軸38A,38B,38Cに固定されることによって回転可能とされる。供給モータ37A〜37Cは、取付架台40A,40B,40Cに対して回転軸38A〜38Cの軸方向に平行に相対移動可能な可動ステージ39A,39B,39C上に設置されている。取付架台40A〜40Cには、可動ステージ39A〜39Cを進退させるための送りモータ41A,41B,41Cが設置されている。送りモータ41A〜41Cは例えばパルスモータあるいはステッピングモータで構成され、送りモータ41A〜41Cの回転運動を直進運動に変換するボールネジユニット42A,42B,42Cによって、可動ステージ39A〜39Cの進退量を調整するようにしている。
【0035】
同様に、巻取リール25A〜25Cはそれぞれ、巻取モータ44A,44B,44Cの回転軸45A,45B,45Cに固定されることによって回転可能とされる。巻取モータ44A〜44Cは、取付架台47A,47B,47Cに対して回転軸45A〜45Cの軸方向に沿って相対移動可能な可動ステージ46A,46B,46C上に設置されている。取付架台47A〜47Cには、可動ステージ46A〜46Cを進退させるための送りモータ48A,48B,48Cが設置されている。送りモータ48A〜48Cは例えばパルスモータあるいはステッピングモータで構成され、送りモータ48A〜48Cの回転運動を直進運動に変換するボールネジユニット49A,49B,49Cによって、可動ステージ46A〜46Cの進退量を調整するようにしている。
【0036】
送りモータ41A〜41C,48A〜48Cは、コントローラ50からの制御信号に基づいて駆動されるようになっている。コントローラ50は、供給リール24A〜24Cと巻取リール25A〜25Cとの間に懸架されたキャリアテープ5A〜5Cの下プレス板27に対する相対位置を検出する検出センサ51A,51B,51C,52A,52B,52Cの出力に基づいて、キャリアテープ5A〜5Cの基準位置からのずれ量を演算し、当該ずれ量をキャンセルするような補正パルス信号(制御信号)を送りモータ41A〜41C,48A〜48Cへ供給するように構成されている。
【0037】
検出センサ51A〜51C,52A〜52Cは、本発明の「検出手段」に対応し、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラ等の撮像装置で構成されている。検出センサ51A〜51C,52A〜52Cは、下プレス板27に関してその供給リール24A〜24C側および巻取リール25A〜25C側にそれぞれ設けられ、キャリアテープ5A〜5Cを下方から撮像することによって、キャリアテープ5A〜5Cの幅方向のエッジ部を検出する。テープエッジ部の検出により、テープ幅方向のずれ量だけでなく、テープの直進性あるいは平行度も検出できる。なお、検出センサ51A〜51C,52A〜52Cは、下プレス板27に対して相対位置を規制して配置されているものとする。
【0038】
コントローラ50は、配線57を介して検出センサ51A〜51C,52A〜52Cから検出信号(画像信号)が供給されて、キャリアテープ5A〜5Cの基準位置からのずれ量を算出する。そして、当該ずれ量がゼロ又は所定の基準範囲となるように補正パルス信号を生成し、配線58を介して送りモータ41A〜41C及び/又は48A〜48Cへ供給する。送りモータは、供給された補正パルス信号に基づいて、供給リール24A〜24C及び/又は巻取リール25A〜25Cを進退させる。
【0039】
なお、これらコントローラ50および送りモータ41A〜41C,48A〜48C等によって本発明の「制御手段」が構成され、また、送りモータ41A〜41C,48A〜48Cとボールネジユニット42A〜42C,49A〜49Cとによって本発明の「送り機構」が構成される。
【0040】
一方、下プレス板27の供給リール24A〜24C側および巻取リール25A〜25C側には、当該熱転写機構23によってカード基材2上に貼り付けられた磁気ストライプ3からキャリアテープ5A〜5Cを分離させるためのテープ剥がし機構がそれぞれ配置されている。
【0041】
本実施の形態のテープ剥がし機構は、図2および図3に示すように、下プレス板27の供給リール24A〜24C側および巻取リール25A〜25C側にそれぞれ配置され、キャリアテープ5A〜5C(磁気ストライプ3)の延在方向に対して直交するロッド部材54,55を備えている。ロッド部材54,55は、断面が略円形で、図3に示すように下プレス板27の側方に待機する第1の位置と、図5Bに示すように下プレス板27上のカード基材2の上面と対向する第2の位置との間を移動可能とされる。
【0042】
なお詳述せずとも、ロッド部材54,55を上記第1,第2の位置の間で進退駆動させるための駆動源としては、例えばエアシリンダを用いることができる。この場合、ロッド部材54,55は、これを挟むように対向配置された一対の側壁の内面に形成された溝にその両端部を係合させることによって支持するようにし、当該溝を上記第1の位置と第2の位置との間の移動経路に対応して形成するようにすれば、当該溝によってロッド部材54の移動ガイド作用を行わせることができる。
なお、ロッド部材54,55を上記第1の位置と第2の位置との間で移動させることができる構成であれば何れの構成も適用可能であり、例えばスライド式あるいはロータリー式のシリンダ装置や、カム機構、モーターその他の駆動機構によってロッド部材54,55の駆動手段を構成するようにしてもよい。
【0043】
次に、以上のように構成される本実施の形態の磁気ストライプ転写装置21の作用および、本実施の形態の磁気カードの製造方法について説明する。
【0044】
カード基材2は、下プレス板27の上面に載置され、下プレス板27に対して位置決めされる。位置決め方法としては、例えば、下プレス板27の上面に立設した位置決めピンに対し、カード基材2の周縁に穿設した位置決め孔を嵌入させる等の方法が挙げられる。この後、クランパ29のクランプ作用によってカード基材2が下プレス板27の上面に支持される。
【0045】
供給リール24A〜24Cに巻装されたキャリアテープ5A〜5Cの一端部は、巻取リール25A〜25Cのリールハブに固定されている。本実施の形態では、供給リール24A〜24Cは供給モータ44A〜44Cによってキャリアテープ5A〜5Cを巻き取る方向にトルクがかけられ、常時、キャリアテープ5A〜5Cにはバックテンションが付与されている。
【0046】
一方、上プレス板28に関しては、第1ヒータ31および第2ヒータ32をともに動作させて、上プレス板28を例えば105℃に、転写バー34A〜34Cの両端部を例えば135℃にそれぞれ加熱する。上プレス板28と下プレス板27との間に配置されるカード基材2およびキャリアテープ5A〜5Cは、互いに所定の隙間をおいて対向している。なお、キャリアテープ5A〜5Cは、カード基材2の上に直に積層されていてもよい。
【0047】
図6は、カード基材2に対するキャリアテープ5A〜5Cの位置補正工程を説明する工程フロー図である。
【0048】
まず、コントローラ50に対し、カード基材2(すなわち下プレス板27および上プレス板28)に対する3本のキャリアテープ5A〜5Cのそれぞれの基準位置が設定される(ステップS1)。次に、供給リール24A〜24Cと巻取リール25A〜25Cとの間に懸架されたキャリアテープ5A〜5Cの位置、ここではそのエッジ位置を検出センサ51A〜51C,52A〜52Cによってそれぞれ検出し、その出力信号をコントローラ50へ供給する(ステップS2)。
【0049】
コントローラ50は、検出センサ51A〜51C,52A〜52Cの出力信号(画像信号)を処理して、各キャリアテープ5A〜5Cのエッジ位置と、設定された基準位置とを比較し、検出したエッジ位置が基準位置上にあるか否かを判定する(ステップS3)。検出センサ51A〜51C,52A〜52CがCCDカメラで構成されているので、高精度なテープ位置検出が可能である。なお、この基準位置に一定の適合範囲をもたせるようにしてもよい。
【0050】
キャリアテープ5A〜5Cのエッジ位置が基準位置にあると判断されると、後述する熱転写工程が行われる(ステップS4)。一方、キャリアテープ5A〜5Cのエッジ位置が基準位置上にないと判断された場合には、以下のような操作でキャリアテープ5A〜5Cの位置補正制御が行われる(ステップS5,S6)。
【0051】
一例として、供給リール24Aと巻取リール25Aとにより支持されるキャリアテープ5Aのエッジ位置が基準位置上にないと判断された場合について説明する。
【0052】
コントローラ50は、検出センサ51A,52Aの出力信号に基づいてキャリアテープ5Aのエッジ位置と基準位置との間のずれ量を算出する。位置ずれ量の算出は、検出センサ51Aおよび52Aの双方の出力に対して行われる。コントローラ50は、算出した位置ずれ量に相当する補正パルス信号を生成し(ステップS5)、生成した補正パルス信号を制御信号として送りモータ41A(48A)へ供給する。送りモータ41A(48A)は、供給された制御信号に対応する角度だけ回転し、ボールネジユニット42A(49A)を介して可動ステージ39A(46A)および供給リール24A(巻取リール25A)を進退させる。これにより、カード基材2に対する磁気ストライプ3(キャリアテープ5A)の転写位置が補正される(ステップS6)。
【0053】
磁気ストライプ3の転写位置の補正がされた後は、再度、検出センサ51A,52Aによるキャリアテープ5Aのエッジ検出が行われ(ステップS2)、検出したエッジ位置が基準位置上にあることが確認されることによって、当該転写位置の補正作業が完了する。なお、エッジ位置の再度の検出の結果、基準位置上にないと判断されると、再び上記と同様な方法で転写位置の補正作業が行われる。
【0054】
以上の操作は、他のキャリアテープ5B,5Cに対しても同様に行われる。このような磁気ストライプ転写位置補正工程を経ることによって、供給リール24A〜24Cと巻取リール25A〜25Cとの間に懸架されるキャリアテープ5A〜5Cの走行ぶれや蛇行等の影響による転写位置のずれが回避され(基準値に対し、±0.05mm以内)、カード基材2に対する磁気ストライプ3の適正な転写作用が確保される。これにより、歩留まり向上にも大きく貢献でき、従来比で30%以上も歩留まりが向上したことが確認されている。
【0055】
次に、熱転写機構部23における磁気ストライプ3の転写作用について説明する。
【0056】
図2を参照して、下プレス板27上のカード基材2に対するキャリアテープ5A〜5Cの位置補正が行われた後、上プレス板28が図中矢印で示すように下降することによって、カード基材2およびキャリアテープ5A〜5Cが上プレス板28と下プレス板28との間で狭圧される。磁気ストライプ3は、転写バー34A〜34Cの加熱プレス作用によって、裏面の接着層4が溶融してカード基材2の表面に接着されると同時に、カード基材2の表面に埋め込まれる。このとき、キャリアテープ5A〜5Cは、供給リール24A〜24Cからのバックトルク作用によって一定の張力が加えられた状態でプレスされるので、テープ皺等の発生が防止される。
【0057】
本実施の形態では、キャリアテープ5A〜5Cをカード基材2上へ加熱プレスする転写部が、カード基材2上の磁気ストライプ3の転写部位を局所的に加熱プレスする転写バー34A〜34Cで構成されているので、カード基材2の全面が加熱プレスされる場合に比べて、カード基材2の反りやうねりの発生が抑制される。
【0058】
また、上プレス板28下面の転写バー34A〜34Cが設けられていない領域を断熱材36で被覆しているので、当該領域からカード基材2への熱輻射を抑えることができ、これによってもカード基材2の反りやうねりの発生を抑制することができる。
【0059】
さらに、本実施の形態では、転写バー34A〜34Cの両端部に第2ヒータ32,32を埋設しているので、カード基材2の両端部においても磁気ストライプ3に対して十分な転写熱を与えることができ、特に、転写バー34A〜34Cには熱絶縁用の貫通孔35,35を設けているので、転写バー34A〜34Cの内央部側の過熱が抑制され、これによりカード基材2の反りやうねりを抑えることができる。
本実施の形態の構成によって、磁気ストライプ3転写後のカード基材2の反りが、従来の約50%以下に軽減されたことが確認されている。
また、第1,第2ヒータ31,32の設定温度を各種カード基材に対し最適化することで更に反りを低減させることができ、各種カード基材で実施確認した結果では磁気ストライプ3の貼付品質を確保しながら従来の約20%にまで反りが軽減されたことが確認されている。
更に、第1,第2ヒータ31,32の温度設定をより高精度に制御したり、設置位置の最適化の検討を行うことによって、カード基材の反り量が更に改善されるものと期待できる。
【0060】
所定のプレス時間が経過して上プレス板28が上昇すると、図3に示す待機位置(第1の位置)に待機していたロッド部材54,55が、カード基材2に向かって図5Aに示すように斜めに上昇したテープ剥がし開始位置へ移動する。これにより、カード基材2上に貼り付けられた3本のキャリアテープ5A〜5Cは同時にカード基材2の両端側から上方へ引き剥がされ、磁気ストライプ3との分離が開始される。なお、このとき磁気ストライプ3は、カード基材2の両端部で切離され、キャリアテープのみが引き剥がされる。
【0061】
そして、ロッド部材54,55が互いに接近するように更に内方へ移動し、図5Bに示すようにカード基材2の上面と対向する第2の位置をとる。キャリアテープ5A〜5Cには一定の張力が加えられているため、ロッド部材54,55が上記第2の位置まで移動する間に、カード基材2上の磁気ストライプ3とキャリアテープ5A〜5Cとが完全に分離される。
【0062】
このとき、ロッド部材54,55は断面が略円形を呈しているので、第2位置への移動時におけるキャリアテープ5(接着層4)との間の摺動抵抗が低減され、これにより磁気ストライプ3の損傷が防止される。
【0063】
以上のようにして、カード基材2に対する磁気ストライプ3の転写工程が完了する。この後、キャリアテープ5A〜5Cが巻取リール25A〜25Cにそれぞれ所定長だけ巻き取られ、次なる転写工程に備えて磁気ストライプ面が下プレス板27上に繰り出される。
【0064】
また、ロッド部材54,55が図3に示す待機位置へ戻り、クランパ29によるクランプ作用が解除されて、磁気ストライプ3が貼り付けられたカード基材2が下プレス板27から取り出される。この磁気ストライプライプ付きのカード基材2は、他のカード構成基材との丁合い積層後、本プレスされて所望とする磁気カードが作製されることになる。
【0065】
以上の説明から明らかなように、本実施の形態の磁気ストライプ転写装置21によれば、カード基材2上への磁気ストライプ3の転写時におけるカード基材2の反りやうねりを効果的に抑制することができるので、その後の本プレス工程においてカード基材2に印刷されている絵柄や文字等の歪みをなくし、したがって、外観品質の優れた磁気カードを得ることができる。また、印刷歪みを防止できることから、枚葉サイズからカード一枚サイズへ所定の絵柄ピッチでの打ち抜きが可能となり、生産性の向上を図ることができる。
【0066】
(第2の実施の形態)
図7及び図8は本発明の第2の実施の形態を示している。なお、図において上述の第1の実施の形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
【0067】
上述の第1の実施の形態では、加熱プレス後、カード基材2上へ貼り付けられた磁気ストライプ3からキャリアテープ5A〜5Cを分離させるためのテープ剥がし工程を、キャリアテープ5A〜5Cに一定のテープ張力を加えた状態で行うようにした。しかし、加熱プレス作用によりキャリアテープ5が物性的に変化していたり、また、キャリアテープ5と磁気ストライプ3との間の剥離強度が大きい場合には、上述の動作ではキャリアテープそのものがカード基材2の縁部(エッジ)で分断されてしまう可能性がある。
【0068】
そこで、本実施の形態では、以下に述べるような工程を経て磁気ストライプをカード基材上へ転写するようにしている。
【0069】
まず、上述したように転写バー34A〜34Cでキャリアテープ5とカード基材2とを熱プレスする。その後、供給リールを送り方向に所定量回動させると共に、巻取リールを反巻取方向へ所定量回動させることによって、キャリアテープ5に弛みを形成する。そして、上プレス板28を上昇させると共に、テープ剥がし機構を構成するロッド部材54,55を動作させてキャリアテープ5を剥離する(図7、図8A,B)。最後に、供給リール及び巻取リールを回転させてキャリアテープに一定の張力を印加し、当該テープ張力でもってキャリアテープ5を磁気ストライプから完全分離させる(図8C)。
【0070】
本実施の形態では、上述のように、キャリアテープ5のテープ張力を解除した状態でテープ剥がし動作を行うようにしているので、キャリアテープ5の剥離角度が、テープ張力があるときの剥離角度に比べて大きくなる(図8B,図5A)。これにより、テープ剥がし時におけるキャリアテープ5に作用する引張り応力の低減が図られ、キャリアテープ5の分断を回避できるようになる。
【0071】
なお、この例では、例えばスライド式あるいはロータリー式のシリンダ装置や、カム機構、モーターその他の駆動機構を介してロッド部材54,55を上記第1の位置と第2の位置との間で移動させることによって、テープ剥がし動作を行うようにしている。
また、ロッド部材54,55の移動速度や移動経路、キャリアテープ5の剥離角度等は任意に設定できる。特に、キャリアテープ5の剥離角度θ(図8B)は90°以上が好ましく、130°以上が最も好ましい。
【0072】
本発明者らは、磁気ストライプに対する剥離強度が異なる2つのキャリアテープを同一条件でカード基材に転写し、テープ張力を作用させた状態でキャリアテープを剥離したときと、テープ張力を解除した状態でキャリアテープを剥離したときとで、当該キャリアテープの分断の有無を調べた。
実験には、厚さ23μm、剥離強度290mNのPET製キャリアテープ(サンプル1)と、厚さ16μm、剥離強度20mNのPET製キャリアテープ(サンプル2)を用いた。
実験の結果、テープ張力を作用させた状態では、剥離強度の高いサンプル1では分断が起こったものの、剥離強度の低いサンプル2に関しては分断は起こらなかった。一方、テープ張力を解除した状態では、サンプル1及びサンプル2ともにキャリアテープの分断は起こらなかった。
【0073】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0074】
例えば以上の実施の形態では、磁気カード用の磁気ストライプ転写装置を例に挙げて説明したが、磁気カード用だけでなく、ICカードや身分証明書、クレジットカード等、磁気ストライプを記録担体として利用したカード用磁気ストライプ転写装置とすることも勿論可能である。
【0075】
また、以上の第1の実施の形態では、検出センサ51A〜51C,52A〜52CをCCDカメラで構成したが、これに代えて、キャリアテープを挟んで発光素子および受光素子を互いに対向配置し、キャリアテープのずれ量に対応した受光量に基づいて、基準位置からのずれ量を算出するようにしてもよい。
【0076】
また、以上の各実施の形態では、一枚のカード基材2に対して3本の磁気ストライプ3を同時に熱転写する例について説明したが、勿論、転写バー34A〜34Cは3本に限られず、1本や2本あるいは4本以上にする等、カード基材2の大きさに応じて適宜変更可能である。
【0077】
一方、被転写基材上の磁気ストライプ転写部位を局所的に加熱プレスする転写部の構成は上述の実施の形態で説明した構成に限らない。
【0078】
例えば図9は、上プレス板28の下面に、被転写基材2上の3列の磁気ストライプ転写部位に対応して、ヒータ65により加熱される金属製の3列の熱転写部64A,64B,64Cを設けるとともに、これら熱転写部64A〜64Cが設けられていない領域には、熱転写部64A〜64Cの下面と面一に断熱部63を設けた構成を示している。この構成によれば、被転写基材2全面をプレスしながらも、キャリアテープ5(磁気ストライプ3)のみ転写熱を付与して磁気ストライプ3を被転写基材2上へ貼り付けることができるので、被転写基材の転写熱による反りやうねりを抑制することができる。
【0079】
また、転写部の他の構成例としては、例えば図10Aに示すように、上プレス板28に取り付けられた金属製の支持板74の下面に一体的に突状に形成したリブ74A,74B,74Cで構成することも可能である。この場合、リブ74A〜74Cはそれぞれ連続的である必要はなく、例えば図10Bに示すように、途中に設けた欠落部に断熱体75A,75B,75Cをそれぞれ配置してもよい。なお、断熱体75A〜75Cは、第2ヒータ72(第2の加熱源)による熱がリブ74A〜74Cの内央部へ伝わるのを抑制する伝熱抑制手段として機能する。
【0080】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の磁気ストライプ転写装置によれば、被転写基材を上面で支持する下プレス板と、下プレス板の上面に支持された被転写基材およびその上に配置されたキャリアテープに対向して配置される上プレス板とを備え、当該上プレス板が、被転写基材上の磁気ストライプの転写部位を局所的に加熱プレスする転写部を有しているので、被転写基材上への磁気ストライプの転写時における当該被転写基材の反りやうねりを効果的に抑制することができる。
【0081】
これにより、例えば絵柄印刷が施されたカード外装シートを被転写基材として用いた場合でも、印刷歪みをなくしてカード外観品質の向上を図れるとともに、枚葉サイズからカード一枚サイズへの打ち抜き時にも所定の絵柄ピッチでの打ち抜きが可能となるので生産性の向上を図ることができる。
【0082】
また、本発明の磁気カードの製造方法によれば、上プレス板が、キャリアテープを介して、被転写基材上の磁気ストライプ転写部位を局所的に加熱プレスすることによって、磁気ストライプを被転写基材上へ貼着するようにしているので、被転写基材の反りやうねりを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施の形態による磁気ストライプ転写装置の概要を示す全体斜視図である。
【図2】
本発明の実施の形態による磁気ストライプ転写装置の要部であって、磁気ストライプをカード基材へ熱転写する熱転写機構の斜視図である。
【図3】
本発明の実施の形態による要部の作用を説明する側断面図であって、磁気ストライプをカード基材へ加熱加圧した状態を示している。
【図4】
本発明に実施の形態におけるキャリアテープのテープ幅dと、本発明に係る転写バーの幅Dとの関係を説明する図である。
【図5】
本発明の実施の形態による要部の作用を説明する側断面図であって、Aはカード基材へ加熱加圧したキャリアテープの磁気ストライプからの分離が開始された状態を示し、Bは当該キャリアテープが磁気ストライプと完全に分離された状態を示している。
【図6】
本発明の実施の形態による磁気ストライプ転写装置における磁気ストライプ転写位置補正工程を説明する工程フロー図である。
【図7】
本発明の第2の実施の形態による磁気ストライプ転写装置の要部の斜視図である。
【図8】
本発明の第2の実施の形態におけるテープ剥がし工程を説明する要部の概略側面図である。
【図9】
本発明の実施の形態の変形例を説明する要部の斜視図である。
【図10】
本発明の他の実施の形態の変形例を説明する上プレス板の斜視図であり、Aは上方から見た図、Bは下方から見た図である。
【図11】
従来の磁気ストライプ転写装置の構成を説明する斜視図である。
【図12】
キャリアテープおよびこれに支持された磁気ストライプの関係を説明する側断面図である。
【図13】
従来の他の磁気ストライプ転写装置の構成を説明する斜視図である。
【図14】
従来の磁気ストライプ転写装置によって磁気ストライプが転写されたカード基材の態様を説明する斜視図であって、Aは各種のカード構成基材との本プレス前の状態を示し、Bは本プレス後のカード打ち抜き工程を示している。
【符号の説明】
2…カード基材(被転写基材)、3…磁気ストライプ、5…キャリアテープ、21…磁気ストライプ転写装置、23…熱転写機構、24A〜24C…供給リール、25A〜25C…巻取リール、27…下プレス板、28…上プレス板、31…第1ヒータ(第1の加熱源)、32…第2ヒータ(第2の加熱源)、34A〜34C…転写バー(転写部)、35…貫通孔(伝熱抑制手段)、36…断熱材、39A〜39C,46A〜46C…可動ステージ、41A〜41C,48A〜48C…送りモータ(送り機構)、50…コントローラ(制御手段)、51A〜51C,52A〜52C…検出センサ(検出手段)、54,55…ロッド部材。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば磁気ストライプ付きカードの製造に好適な磁気ストライプ転写装置および磁気カードの製造方法に関し、更に詳しくは、キャリアテープに支持された磁気ストライプを被転写基材へ熱転写する際の被転写基材の反りやうねりを抑制することができる磁気ストライプ転写装置および磁気カードの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、磁気ストライプ付きカードの製造においては、磁気ストライプを支持したキャリアテープをカード基材に加熱加圧し、磁気ストライプをカード基材へ転写する工法が公知となっている。カード基材への磁気ストライプの熱転写工程には、磁気ストライプ転写装置が用いられる。従来の磁気ストライプ転写装置としては、例えば下記特許文献1に開示されているような熱プレス方式と、例えば下記特許文献2に開示されているようなホットローラ方式とが知られている。
【0003】
図11は、従来の熱プレス方式の磁気ストライプ転写装置1の構成の一例を示している。磁気ストライプが転写される被転写基材としてのカード基材2は、例えば所定寸法のカードが9面取れる枚葉サイズのカード外装シートで構成されている。図12に示すように、磁気ストライプ3は、例えばOPP(延伸ポリプロピレン)やPET(ポリエチレンテレフタレート)等からなるキャリアテープ5によって支持されており、磁気ストライプ3の裏面にはホットメルト系の接着層4が設けられている。
【0004】
従来の磁気ストライプ転写装置1は、カード基材2を上面で支持する下プレス板7と、下プレス板7の上方に対向配置される上プレス板8とを備えている。上プレス板8の下面には、カード基材2上に配置されたキャリアテープ5(磁気ストライプ3)を圧接しヒータ10の熱によって接着層4を溶融して磁気ストライプ3をカード基材2上へ転写する鏡面板9が設けられている。カード基材2への磁気ストライプ3の転写は、接着層4による磁気ストライプ3の接着後、キャリアテープ5を磁気ストライプ3から分離(剥離)させることによって完了する。
【0005】
一方、図13は、従来のホットローラ方式の磁気ストライプ転写装置の構成の一例を示している。この磁気ストライプ転写装置11は、カード基材2とキャリアテープ5とを積層状態で狭圧する一対の加熱加圧ローラ12a,12bと、その下流側に配置される一対の冷却ローラ13a,13bとを備えている。加熱加圧ローラ12bと冷却ローラ13bとは無端ベルト14を介して互いに同期して回転される。この磁気ストライプ転写装置11では、加熱加圧ローラ12a,12bと冷却ローラ13a,13bとの間にカード基材2およびキャリアテープ5を送り込むことによって、磁気ストライプ3がカード基材2へ連続的に転写される。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−99678号公報
【特許文献2】
特開平11−219522号公報
【特許文献3】
特開2001−233542号公報
【特許文献4】
特開平9−283471号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の磁気ストライプ転写装置1,11においては、カード基材2上へ磁気ストライプ3を転写する際、カード基材2の全面が加熱プレス作用を受けるために、磁気ストライプ3の転写後にはカード基材2に反り(カール)やうねりが生じるという問題がある(図14A)。
【0008】
カード基材2の反りやうねりは、後工程におけるカード内層シート材等との積層プレス時において大体は消失されるが、このとき、外装シート(カード基材2)に描かれた印刷絵柄に歪み等が生じ、所望とするカード外観品質が得られない場合がある。また、枚葉サイズからカード一枚サイズへの打ち抜きプレス時(図14B参照)に、外装シート(カード基材2)の歪みが原因で所定の絵柄ピッチでの打ち抜きができない場合もある。
【0009】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、キャリアテープに支持された磁気ストライプを被転写基材へ熱転写する際に、被転写基材の反りやうねりを抑制することができる磁気ストライプ転写装置および磁気カードの製造方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するに当たり、本発明の磁気ストライプ転写装置は、被転写基材を上面で支持する下プレス板と、下プレス板の上面に支持された被転写基材およびその上に配置されたキャリアテープに対向して配置される上プレス板とを備え、当該上プレス板が、被転写基材上の磁気ストライプの転写部位を局所的に加熱プレスする転写部を有することを特徴としている。
【0011】
すなわち本発明では、磁気ストライプの被転写基材上への転写を、従来のように被転写基材全面に対する加熱プレス作用に依るのではなく、被転写基材上の磁気ストライプ転写部位に対する局所的な加熱プレスとすることによって、被転写基材の反りやうねりを抑制するようにしている。
【0012】
これにより、被転写基材の反りやうねりを大きく抑えることができるので、例えば絵柄印刷が施されたカード外装シートを被転写基材として用いた場合でも、印刷歪みをなくしてカード外観品質の向上を図れるとともに、枚葉サイズからカード一枚サイズへの打ち抜き時にも所定の絵柄ピッチでの打ち抜きが可能となる。
【0013】
被転写基材上の磁気ストライプ転写部位を局所的に加熱プレスするためには、上プレス板の下面に対してキャリアテープの延在方向に関して平行な突状の転写部を一体形成したり、あるいは、平面的な上プレス板下面に転写バーを別途設ける等の構成が適用可能である。
【0014】
なお、本発明は、磁気ストライプの熱転写時に被転写基材の全面的なプレス作用を伴う構成を排除するものではない。例えば、上プレス板の下面を全体的に平面としながら、磁気ストライプの転写部位に対応する領域のみ転写温度以上に維持した材料で構成し、他の領域は断熱材料で構成するようにしてもよい。
【0015】
一方、以上の課題を解決するに当たり、本発明の磁気カードの製造方法は、被転写基材を下プレス板上に載置する工程と、下プレス板とこれに対向配置される上プレス板との間に、磁気ストライプを支持するキャリアテープを配置する工程と、上プレス板が、キャリアテープを介して、被転写基材上の磁気ストライプの転写部位を局所的に加熱プレスし、磁気ストライプを被転写基材上へ転写する工程とを有することを特徴としている。
【0016】
以上の工程を経ることにより、磁気ストライプの熱転写時、被転写基材が全面的に加熱プレスされることはないので、磁気ストライプ貼り付け後の被転写基材の反りやうねりが効果的に抑制される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態による磁気ストライプ転写装置の全体を示している。本実施の形態の磁気ストライプ転写装置21は、主として、被転写基材であるカード基材2の上面に磁気ストライプを加熱プレスによって熱転写する熱転写機構23と、熱転写機構23へ向けて、磁気ストライプを支持したキャリアテープ5を供給する供給リール24A,24B,24Cと、キャリアテープ5を回収する巻取リール25A,25B,25Cとを備えている。
【0019】
熱転写機構23は、カード基材2を上面で支持する下プレス板27と、下プレス板27の上方に対向配置される上プレス板28とを備えた熱プレス方式で構成されている。これら下プレス板27と上プレス板28との間にカード基材2とキャリアテープ5(磁気ストライプ)とが配置された後、プレス板27,28による加熱プレス作用で磁気ストライプがカード基材2上へ熱転写されるようになっている。
【0020】
本実施の形態のカード基材2は、ポリカーボネート(PC)やポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の公知のプラスチックシートでなるが、勿論、これ以外にも例えば塩化ビニルやアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)等の他の樹脂材料も適用可能である。
【0021】
また、磁気ストライプ3は、図12を参照して説明したように、OPPやPET等からなるキャリアテープ5に支持された磁気テープでなり、磁気ストライプ3の裏面にはホットメルト系の接着層4が設けられた構成となっている。
【0022】
カード基材2は、所定の絵柄や文字等が印刷されたカード外装シート材として形成され、カード一枚サイズが3行3列で計9面取れる枚葉サイズ(A4)となっている。したがって、この熱転写機構23では、後述する供給リール24A〜24Cと巻取リール25A〜25Cとの間で、3本のキャリアテープ5(5A〜5C、図2参照)が並行してカード基材2の上方に懸架されている。
【0023】
図2および図3は、熱転写機構23の詳細を示している。キャリアテープ5(磁気ストライプ3)の延在方向において対向する下プレス板27の2辺の所定部位には、下プレス板27の上面に鏡面板30を介して載置されたカード基材2の両縁部をクランプする複数のクランパ29が設けられている。なお、クランパ29の配置位置は任意であるが、キャリアテープ5の直下位置は避けるようにする。
【0024】
上プレス板28には、本発明の「第1の加熱源」として複数の第1ヒータ31が埋設されており、これにより上プレス板28が所定温度(例えば105℃)に加熱される。上プレス板28の下面には、金属製の支持板33を介して、例えば鋼でなる3本の転写バー34A,34B,34Cがキャリアテープ5の延在方向に沿って互いに平行に取り付けられている。
【0025】
転写バー34A〜34Cは、キャリアテープ5A〜5Cを介して、下プレス板27の上面に支持されたカード基材2を加熱プレスし、磁気ストライプ3をカード基材2上へ転写する本発明の「転写部」として構成される。各々の転写バー34A〜34Cはそれぞれ同一の構成を有し、その延在長さは図3に示すようにカード基材2に対する転写長さよりも例えば10〜50mm大きい。また、転写バー34A〜34Cの幅Dは図4に示すように磁気ストライプ3の幅dよりも例えば0.2mm程度大きく形成されている。
【0026】
カード基材2に対する磁気ストライプ3の熱転写では、カード基材2の両端部において磁気ストライプ3が適正に転写されていることが重要である。磁気ストライプ3が適正に転写される条件の一つとして転写温度が挙げられるが、この転写温度を転写バー34A〜34Cの両端部においても適正に得ることができるように、本実施の形態では図2および図3に示すように、転写バー34A〜34Cの両端部に対し、本発明の「第2の加熱源」として第2ヒータ32,32をそれぞれ埋設している。この場合、第2ヒータ32の設定温度は第1ヒータ31の設定温度よりも高く設定される。
【0027】
これにより、第1ヒータ31のみでは転写バー34A〜34Cの中央部側とその両端部側とで温度分布(両端部側の温度<中央部側の温度)が生じてしまうという問題を上記第2ヒータ32,32によって解消し、転写バー34A〜34Cの両端部においても所定の転写温度を確保するようにしている。
【0028】
また、第2ヒータ32は、上プレス板28に埋設される第1ヒータ31とは独立して温度調整可能であり、第1ヒータ31とは異なる設定温度によって転写バー34A〜34Cの両端部を所定温度(例えば135℃)に加熱する。第2ヒータ32の加熱温度を第1ヒータ31の加熱温度よりも高くしたのは、上述のように、カード基材2の両端部における磁気ストライプ3の熱転写を確実なものとするためである。
【0029】
一方、第2ヒータ32,32からの熱が転写バー34A〜34Cの中央部側に伝わると、磁気ストライプ3の熱転写時、カード基材2を必要以上に加熱することになり、反りやうねりを誘発することになる。
【0030】
そこで、本実施の形態では、転写バー34A〜34Cの両端近傍であって、第2ヒータ32,32の埋設位置よりも内方側に、転写バー34A〜34Cの両端部とその中央部側との間における熱移動を抑制するための伝熱抑制手段として貫通孔35,35をそれぞれ設けている。これにより、転写バー34A〜34Cの両端部のみ高温に維持してカード基材2の両端部における磁気ストライプ3の熱転写を確実なものとしながら、カード基材2の内央部における高温転写を回避してカード基材2の反りやうねりを抑制するようにしている。
【0031】
なお、貫通孔35,35の形状は円形に限らず、多角形状や長孔状のものでもよい。また、貫通孔35,35内に断熱材を充填したり、貫通孔の個数を増加させる等、更なる断熱性の向上を図るようにしてもよい。
また勿論、第2ヒータ32による転写バー34A〜34C中央部側の過熱が問題とならない場合は、上記貫通孔35を設けないで転写バー34A〜34Cを構成してもよい。
【0032】
また、支持板33下面の、転写バー34A〜34Cが取り付けられない領域は、断熱材36で被覆されている(図2)。これにより、上プレス板28側からカード基材2側への熱輻射が抑制され、カード基材2の反りやうねりの抑止効果が得られる。なお、断熱材36は板状に限らず、テープ状やブロック状など何れの形態でも適用可能である。
更に、必要に応じて、下プレス板27を一定温度に保つための冷却機能を当該下プレス板27に設けてもよい。
【0033】
以上のように構成される熱転写機構23は、図1に示すように、3組の供給リール24A〜24Cと巻取リール25A〜25Cとの間に配置されている。供給リール24A〜24Cはそれぞれ、磁気ストライプ3を支持したキャリアテープ5A〜5Cを巻装している。供給リール24A〜24Cから繰り出されたキャリアテープ5A〜5Cは、下プレス板27と上プレス板28との間を通って、対応する巻取リール25A〜25Cに巻き取られるようになっている。
【0034】
供給リール24A〜24Cはそれぞれ、供給モータ37A,37B,37Cの回転軸38A,38B,38Cに固定されることによって回転可能とされる。供給モータ37A〜37Cは、取付架台40A,40B,40Cに対して回転軸38A〜38Cの軸方向に平行に相対移動可能な可動ステージ39A,39B,39C上に設置されている。取付架台40A〜40Cには、可動ステージ39A〜39Cを進退させるための送りモータ41A,41B,41Cが設置されている。送りモータ41A〜41Cは例えばパルスモータあるいはステッピングモータで構成され、送りモータ41A〜41Cの回転運動を直進運動に変換するボールネジユニット42A,42B,42Cによって、可動ステージ39A〜39Cの進退量を調整するようにしている。
【0035】
同様に、巻取リール25A〜25Cはそれぞれ、巻取モータ44A,44B,44Cの回転軸45A,45B,45Cに固定されることによって回転可能とされる。巻取モータ44A〜44Cは、取付架台47A,47B,47Cに対して回転軸45A〜45Cの軸方向に沿って相対移動可能な可動ステージ46A,46B,46C上に設置されている。取付架台47A〜47Cには、可動ステージ46A〜46Cを進退させるための送りモータ48A,48B,48Cが設置されている。送りモータ48A〜48Cは例えばパルスモータあるいはステッピングモータで構成され、送りモータ48A〜48Cの回転運動を直進運動に変換するボールネジユニット49A,49B,49Cによって、可動ステージ46A〜46Cの進退量を調整するようにしている。
【0036】
送りモータ41A〜41C,48A〜48Cは、コントローラ50からの制御信号に基づいて駆動されるようになっている。コントローラ50は、供給リール24A〜24Cと巻取リール25A〜25Cとの間に懸架されたキャリアテープ5A〜5Cの下プレス板27に対する相対位置を検出する検出センサ51A,51B,51C,52A,52B,52Cの出力に基づいて、キャリアテープ5A〜5Cの基準位置からのずれ量を演算し、当該ずれ量をキャンセルするような補正パルス信号(制御信号)を送りモータ41A〜41C,48A〜48Cへ供給するように構成されている。
【0037】
検出センサ51A〜51C,52A〜52Cは、本発明の「検出手段」に対応し、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラ等の撮像装置で構成されている。検出センサ51A〜51C,52A〜52Cは、下プレス板27に関してその供給リール24A〜24C側および巻取リール25A〜25C側にそれぞれ設けられ、キャリアテープ5A〜5Cを下方から撮像することによって、キャリアテープ5A〜5Cの幅方向のエッジ部を検出する。テープエッジ部の検出により、テープ幅方向のずれ量だけでなく、テープの直進性あるいは平行度も検出できる。なお、検出センサ51A〜51C,52A〜52Cは、下プレス板27に対して相対位置を規制して配置されているものとする。
【0038】
コントローラ50は、配線57を介して検出センサ51A〜51C,52A〜52Cから検出信号(画像信号)が供給されて、キャリアテープ5A〜5Cの基準位置からのずれ量を算出する。そして、当該ずれ量がゼロ又は所定の基準範囲となるように補正パルス信号を生成し、配線58を介して送りモータ41A〜41C及び/又は48A〜48Cへ供給する。送りモータは、供給された補正パルス信号に基づいて、供給リール24A〜24C及び/又は巻取リール25A〜25Cを進退させる。
【0039】
なお、これらコントローラ50および送りモータ41A〜41C,48A〜48C等によって本発明の「制御手段」が構成され、また、送りモータ41A〜41C,48A〜48Cとボールネジユニット42A〜42C,49A〜49Cとによって本発明の「送り機構」が構成される。
【0040】
一方、下プレス板27の供給リール24A〜24C側および巻取リール25A〜25C側には、当該熱転写機構23によってカード基材2上に貼り付けられた磁気ストライプ3からキャリアテープ5A〜5Cを分離させるためのテープ剥がし機構がそれぞれ配置されている。
【0041】
本実施の形態のテープ剥がし機構は、図2および図3に示すように、下プレス板27の供給リール24A〜24C側および巻取リール25A〜25C側にそれぞれ配置され、キャリアテープ5A〜5C(磁気ストライプ3)の延在方向に対して直交するロッド部材54,55を備えている。ロッド部材54,55は、断面が略円形で、図3に示すように下プレス板27の側方に待機する第1の位置と、図5Bに示すように下プレス板27上のカード基材2の上面と対向する第2の位置との間を移動可能とされる。
【0042】
なお詳述せずとも、ロッド部材54,55を上記第1,第2の位置の間で進退駆動させるための駆動源としては、例えばエアシリンダを用いることができる。この場合、ロッド部材54,55は、これを挟むように対向配置された一対の側壁の内面に形成された溝にその両端部を係合させることによって支持するようにし、当該溝を上記第1の位置と第2の位置との間の移動経路に対応して形成するようにすれば、当該溝によってロッド部材54の移動ガイド作用を行わせることができる。
なお、ロッド部材54,55を上記第1の位置と第2の位置との間で移動させることができる構成であれば何れの構成も適用可能であり、例えばスライド式あるいはロータリー式のシリンダ装置や、カム機構、モーターその他の駆動機構によってロッド部材54,55の駆動手段を構成するようにしてもよい。
【0043】
次に、以上のように構成される本実施の形態の磁気ストライプ転写装置21の作用および、本実施の形態の磁気カードの製造方法について説明する。
【0044】
カード基材2は、下プレス板27の上面に載置され、下プレス板27に対して位置決めされる。位置決め方法としては、例えば、下プレス板27の上面に立設した位置決めピンに対し、カード基材2の周縁に穿設した位置決め孔を嵌入させる等の方法が挙げられる。この後、クランパ29のクランプ作用によってカード基材2が下プレス板27の上面に支持される。
【0045】
供給リール24A〜24Cに巻装されたキャリアテープ5A〜5Cの一端部は、巻取リール25A〜25Cのリールハブに固定されている。本実施の形態では、供給リール24A〜24Cは供給モータ44A〜44Cによってキャリアテープ5A〜5Cを巻き取る方向にトルクがかけられ、常時、キャリアテープ5A〜5Cにはバックテンションが付与されている。
【0046】
一方、上プレス板28に関しては、第1ヒータ31および第2ヒータ32をともに動作させて、上プレス板28を例えば105℃に、転写バー34A〜34Cの両端部を例えば135℃にそれぞれ加熱する。上プレス板28と下プレス板27との間に配置されるカード基材2およびキャリアテープ5A〜5Cは、互いに所定の隙間をおいて対向している。なお、キャリアテープ5A〜5Cは、カード基材2の上に直に積層されていてもよい。
【0047】
図6は、カード基材2に対するキャリアテープ5A〜5Cの位置補正工程を説明する工程フロー図である。
【0048】
まず、コントローラ50に対し、カード基材2(すなわち下プレス板27および上プレス板28)に対する3本のキャリアテープ5A〜5Cのそれぞれの基準位置が設定される(ステップS1)。次に、供給リール24A〜24Cと巻取リール25A〜25Cとの間に懸架されたキャリアテープ5A〜5Cの位置、ここではそのエッジ位置を検出センサ51A〜51C,52A〜52Cによってそれぞれ検出し、その出力信号をコントローラ50へ供給する(ステップS2)。
【0049】
コントローラ50は、検出センサ51A〜51C,52A〜52Cの出力信号(画像信号)を処理して、各キャリアテープ5A〜5Cのエッジ位置と、設定された基準位置とを比較し、検出したエッジ位置が基準位置上にあるか否かを判定する(ステップS3)。検出センサ51A〜51C,52A〜52CがCCDカメラで構成されているので、高精度なテープ位置検出が可能である。なお、この基準位置に一定の適合範囲をもたせるようにしてもよい。
【0050】
キャリアテープ5A〜5Cのエッジ位置が基準位置にあると判断されると、後述する熱転写工程が行われる(ステップS4)。一方、キャリアテープ5A〜5Cのエッジ位置が基準位置上にないと判断された場合には、以下のような操作でキャリアテープ5A〜5Cの位置補正制御が行われる(ステップS5,S6)。
【0051】
一例として、供給リール24Aと巻取リール25Aとにより支持されるキャリアテープ5Aのエッジ位置が基準位置上にないと判断された場合について説明する。
【0052】
コントローラ50は、検出センサ51A,52Aの出力信号に基づいてキャリアテープ5Aのエッジ位置と基準位置との間のずれ量を算出する。位置ずれ量の算出は、検出センサ51Aおよび52Aの双方の出力に対して行われる。コントローラ50は、算出した位置ずれ量に相当する補正パルス信号を生成し(ステップS5)、生成した補正パルス信号を制御信号として送りモータ41A(48A)へ供給する。送りモータ41A(48A)は、供給された制御信号に対応する角度だけ回転し、ボールネジユニット42A(49A)を介して可動ステージ39A(46A)および供給リール24A(巻取リール25A)を進退させる。これにより、カード基材2に対する磁気ストライプ3(キャリアテープ5A)の転写位置が補正される(ステップS6)。
【0053】
磁気ストライプ3の転写位置の補正がされた後は、再度、検出センサ51A,52Aによるキャリアテープ5Aのエッジ検出が行われ(ステップS2)、検出したエッジ位置が基準位置上にあることが確認されることによって、当該転写位置の補正作業が完了する。なお、エッジ位置の再度の検出の結果、基準位置上にないと判断されると、再び上記と同様な方法で転写位置の補正作業が行われる。
【0054】
以上の操作は、他のキャリアテープ5B,5Cに対しても同様に行われる。このような磁気ストライプ転写位置補正工程を経ることによって、供給リール24A〜24Cと巻取リール25A〜25Cとの間に懸架されるキャリアテープ5A〜5Cの走行ぶれや蛇行等の影響による転写位置のずれが回避され(基準値に対し、±0.05mm以内)、カード基材2に対する磁気ストライプ3の適正な転写作用が確保される。これにより、歩留まり向上にも大きく貢献でき、従来比で30%以上も歩留まりが向上したことが確認されている。
【0055】
次に、熱転写機構部23における磁気ストライプ3の転写作用について説明する。
【0056】
図2を参照して、下プレス板27上のカード基材2に対するキャリアテープ5A〜5Cの位置補正が行われた後、上プレス板28が図中矢印で示すように下降することによって、カード基材2およびキャリアテープ5A〜5Cが上プレス板28と下プレス板28との間で狭圧される。磁気ストライプ3は、転写バー34A〜34Cの加熱プレス作用によって、裏面の接着層4が溶融してカード基材2の表面に接着されると同時に、カード基材2の表面に埋め込まれる。このとき、キャリアテープ5A〜5Cは、供給リール24A〜24Cからのバックトルク作用によって一定の張力が加えられた状態でプレスされるので、テープ皺等の発生が防止される。
【0057】
本実施の形態では、キャリアテープ5A〜5Cをカード基材2上へ加熱プレスする転写部が、カード基材2上の磁気ストライプ3の転写部位を局所的に加熱プレスする転写バー34A〜34Cで構成されているので、カード基材2の全面が加熱プレスされる場合に比べて、カード基材2の反りやうねりの発生が抑制される。
【0058】
また、上プレス板28下面の転写バー34A〜34Cが設けられていない領域を断熱材36で被覆しているので、当該領域からカード基材2への熱輻射を抑えることができ、これによってもカード基材2の反りやうねりの発生を抑制することができる。
【0059】
さらに、本実施の形態では、転写バー34A〜34Cの両端部に第2ヒータ32,32を埋設しているので、カード基材2の両端部においても磁気ストライプ3に対して十分な転写熱を与えることができ、特に、転写バー34A〜34Cには熱絶縁用の貫通孔35,35を設けているので、転写バー34A〜34Cの内央部側の過熱が抑制され、これによりカード基材2の反りやうねりを抑えることができる。
本実施の形態の構成によって、磁気ストライプ3転写後のカード基材2の反りが、従来の約50%以下に軽減されたことが確認されている。
また、第1,第2ヒータ31,32の設定温度を各種カード基材に対し最適化することで更に反りを低減させることができ、各種カード基材で実施確認した結果では磁気ストライプ3の貼付品質を確保しながら従来の約20%にまで反りが軽減されたことが確認されている。
更に、第1,第2ヒータ31,32の温度設定をより高精度に制御したり、設置位置の最適化の検討を行うことによって、カード基材の反り量が更に改善されるものと期待できる。
【0060】
所定のプレス時間が経過して上プレス板28が上昇すると、図3に示す待機位置(第1の位置)に待機していたロッド部材54,55が、カード基材2に向かって図5Aに示すように斜めに上昇したテープ剥がし開始位置へ移動する。これにより、カード基材2上に貼り付けられた3本のキャリアテープ5A〜5Cは同時にカード基材2の両端側から上方へ引き剥がされ、磁気ストライプ3との分離が開始される。なお、このとき磁気ストライプ3は、カード基材2の両端部で切離され、キャリアテープのみが引き剥がされる。
【0061】
そして、ロッド部材54,55が互いに接近するように更に内方へ移動し、図5Bに示すようにカード基材2の上面と対向する第2の位置をとる。キャリアテープ5A〜5Cには一定の張力が加えられているため、ロッド部材54,55が上記第2の位置まで移動する間に、カード基材2上の磁気ストライプ3とキャリアテープ5A〜5Cとが完全に分離される。
【0062】
このとき、ロッド部材54,55は断面が略円形を呈しているので、第2位置への移動時におけるキャリアテープ5(接着層4)との間の摺動抵抗が低減され、これにより磁気ストライプ3の損傷が防止される。
【0063】
以上のようにして、カード基材2に対する磁気ストライプ3の転写工程が完了する。この後、キャリアテープ5A〜5Cが巻取リール25A〜25Cにそれぞれ所定長だけ巻き取られ、次なる転写工程に備えて磁気ストライプ面が下プレス板27上に繰り出される。
【0064】
また、ロッド部材54,55が図3に示す待機位置へ戻り、クランパ29によるクランプ作用が解除されて、磁気ストライプ3が貼り付けられたカード基材2が下プレス板27から取り出される。この磁気ストライプライプ付きのカード基材2は、他のカード構成基材との丁合い積層後、本プレスされて所望とする磁気カードが作製されることになる。
【0065】
以上の説明から明らかなように、本実施の形態の磁気ストライプ転写装置21によれば、カード基材2上への磁気ストライプ3の転写時におけるカード基材2の反りやうねりを効果的に抑制することができるので、その後の本プレス工程においてカード基材2に印刷されている絵柄や文字等の歪みをなくし、したがって、外観品質の優れた磁気カードを得ることができる。また、印刷歪みを防止できることから、枚葉サイズからカード一枚サイズへ所定の絵柄ピッチでの打ち抜きが可能となり、生産性の向上を図ることができる。
【0066】
(第2の実施の形態)
図7及び図8は本発明の第2の実施の形態を示している。なお、図において上述の第1の実施の形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
【0067】
上述の第1の実施の形態では、加熱プレス後、カード基材2上へ貼り付けられた磁気ストライプ3からキャリアテープ5A〜5Cを分離させるためのテープ剥がし工程を、キャリアテープ5A〜5Cに一定のテープ張力を加えた状態で行うようにした。しかし、加熱プレス作用によりキャリアテープ5が物性的に変化していたり、また、キャリアテープ5と磁気ストライプ3との間の剥離強度が大きい場合には、上述の動作ではキャリアテープそのものがカード基材2の縁部(エッジ)で分断されてしまう可能性がある。
【0068】
そこで、本実施の形態では、以下に述べるような工程を経て磁気ストライプをカード基材上へ転写するようにしている。
【0069】
まず、上述したように転写バー34A〜34Cでキャリアテープ5とカード基材2とを熱プレスする。その後、供給リールを送り方向に所定量回動させると共に、巻取リールを反巻取方向へ所定量回動させることによって、キャリアテープ5に弛みを形成する。そして、上プレス板28を上昇させると共に、テープ剥がし機構を構成するロッド部材54,55を動作させてキャリアテープ5を剥離する(図7、図8A,B)。最後に、供給リール及び巻取リールを回転させてキャリアテープに一定の張力を印加し、当該テープ張力でもってキャリアテープ5を磁気ストライプから完全分離させる(図8C)。
【0070】
本実施の形態では、上述のように、キャリアテープ5のテープ張力を解除した状態でテープ剥がし動作を行うようにしているので、キャリアテープ5の剥離角度が、テープ張力があるときの剥離角度に比べて大きくなる(図8B,図5A)。これにより、テープ剥がし時におけるキャリアテープ5に作用する引張り応力の低減が図られ、キャリアテープ5の分断を回避できるようになる。
【0071】
なお、この例では、例えばスライド式あるいはロータリー式のシリンダ装置や、カム機構、モーターその他の駆動機構を介してロッド部材54,55を上記第1の位置と第2の位置との間で移動させることによって、テープ剥がし動作を行うようにしている。
また、ロッド部材54,55の移動速度や移動経路、キャリアテープ5の剥離角度等は任意に設定できる。特に、キャリアテープ5の剥離角度θ(図8B)は90°以上が好ましく、130°以上が最も好ましい。
【0072】
本発明者らは、磁気ストライプに対する剥離強度が異なる2つのキャリアテープを同一条件でカード基材に転写し、テープ張力を作用させた状態でキャリアテープを剥離したときと、テープ張力を解除した状態でキャリアテープを剥離したときとで、当該キャリアテープの分断の有無を調べた。
実験には、厚さ23μm、剥離強度290mNのPET製キャリアテープ(サンプル1)と、厚さ16μm、剥離強度20mNのPET製キャリアテープ(サンプル2)を用いた。
実験の結果、テープ張力を作用させた状態では、剥離強度の高いサンプル1では分断が起こったものの、剥離強度の低いサンプル2に関しては分断は起こらなかった。一方、テープ張力を解除した状態では、サンプル1及びサンプル2ともにキャリアテープの分断は起こらなかった。
【0073】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0074】
例えば以上の実施の形態では、磁気カード用の磁気ストライプ転写装置を例に挙げて説明したが、磁気カード用だけでなく、ICカードや身分証明書、クレジットカード等、磁気ストライプを記録担体として利用したカード用磁気ストライプ転写装置とすることも勿論可能である。
【0075】
また、以上の第1の実施の形態では、検出センサ51A〜51C,52A〜52CをCCDカメラで構成したが、これに代えて、キャリアテープを挟んで発光素子および受光素子を互いに対向配置し、キャリアテープのずれ量に対応した受光量に基づいて、基準位置からのずれ量を算出するようにしてもよい。
【0076】
また、以上の各実施の形態では、一枚のカード基材2に対して3本の磁気ストライプ3を同時に熱転写する例について説明したが、勿論、転写バー34A〜34Cは3本に限られず、1本や2本あるいは4本以上にする等、カード基材2の大きさに応じて適宜変更可能である。
【0077】
一方、被転写基材上の磁気ストライプ転写部位を局所的に加熱プレスする転写部の構成は上述の実施の形態で説明した構成に限らない。
【0078】
例えば図9は、上プレス板28の下面に、被転写基材2上の3列の磁気ストライプ転写部位に対応して、ヒータ65により加熱される金属製の3列の熱転写部64A,64B,64Cを設けるとともに、これら熱転写部64A〜64Cが設けられていない領域には、熱転写部64A〜64Cの下面と面一に断熱部63を設けた構成を示している。この構成によれば、被転写基材2全面をプレスしながらも、キャリアテープ5(磁気ストライプ3)のみ転写熱を付与して磁気ストライプ3を被転写基材2上へ貼り付けることができるので、被転写基材の転写熱による反りやうねりを抑制することができる。
【0079】
また、転写部の他の構成例としては、例えば図10Aに示すように、上プレス板28に取り付けられた金属製の支持板74の下面に一体的に突状に形成したリブ74A,74B,74Cで構成することも可能である。この場合、リブ74A〜74Cはそれぞれ連続的である必要はなく、例えば図10Bに示すように、途中に設けた欠落部に断熱体75A,75B,75Cをそれぞれ配置してもよい。なお、断熱体75A〜75Cは、第2ヒータ72(第2の加熱源)による熱がリブ74A〜74Cの内央部へ伝わるのを抑制する伝熱抑制手段として機能する。
【0080】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の磁気ストライプ転写装置によれば、被転写基材を上面で支持する下プレス板と、下プレス板の上面に支持された被転写基材およびその上に配置されたキャリアテープに対向して配置される上プレス板とを備え、当該上プレス板が、被転写基材上の磁気ストライプの転写部位を局所的に加熱プレスする転写部を有しているので、被転写基材上への磁気ストライプの転写時における当該被転写基材の反りやうねりを効果的に抑制することができる。
【0081】
これにより、例えば絵柄印刷が施されたカード外装シートを被転写基材として用いた場合でも、印刷歪みをなくしてカード外観品質の向上を図れるとともに、枚葉サイズからカード一枚サイズへの打ち抜き時にも所定の絵柄ピッチでの打ち抜きが可能となるので生産性の向上を図ることができる。
【0082】
また、本発明の磁気カードの製造方法によれば、上プレス板が、キャリアテープを介して、被転写基材上の磁気ストライプ転写部位を局所的に加熱プレスすることによって、磁気ストライプを被転写基材上へ貼着するようにしているので、被転写基材の反りやうねりを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施の形態による磁気ストライプ転写装置の概要を示す全体斜視図である。
【図2】
本発明の実施の形態による磁気ストライプ転写装置の要部であって、磁気ストライプをカード基材へ熱転写する熱転写機構の斜視図である。
【図3】
本発明の実施の形態による要部の作用を説明する側断面図であって、磁気ストライプをカード基材へ加熱加圧した状態を示している。
【図4】
本発明に実施の形態におけるキャリアテープのテープ幅dと、本発明に係る転写バーの幅Dとの関係を説明する図である。
【図5】
本発明の実施の形態による要部の作用を説明する側断面図であって、Aはカード基材へ加熱加圧したキャリアテープの磁気ストライプからの分離が開始された状態を示し、Bは当該キャリアテープが磁気ストライプと完全に分離された状態を示している。
【図6】
本発明の実施の形態による磁気ストライプ転写装置における磁気ストライプ転写位置補正工程を説明する工程フロー図である。
【図7】
本発明の第2の実施の形態による磁気ストライプ転写装置の要部の斜視図である。
【図8】
本発明の第2の実施の形態におけるテープ剥がし工程を説明する要部の概略側面図である。
【図9】
本発明の実施の形態の変形例を説明する要部の斜視図である。
【図10】
本発明の他の実施の形態の変形例を説明する上プレス板の斜視図であり、Aは上方から見た図、Bは下方から見た図である。
【図11】
従来の磁気ストライプ転写装置の構成を説明する斜視図である。
【図12】
キャリアテープおよびこれに支持された磁気ストライプの関係を説明する側断面図である。
【図13】
従来の他の磁気ストライプ転写装置の構成を説明する斜視図である。
【図14】
従来の磁気ストライプ転写装置によって磁気ストライプが転写されたカード基材の態様を説明する斜視図であって、Aは各種のカード構成基材との本プレス前の状態を示し、Bは本プレス後のカード打ち抜き工程を示している。
【符号の説明】
2…カード基材(被転写基材)、3…磁気ストライプ、5…キャリアテープ、21…磁気ストライプ転写装置、23…熱転写機構、24A〜24C…供給リール、25A〜25C…巻取リール、27…下プレス板、28…上プレス板、31…第1ヒータ(第1の加熱源)、32…第2ヒータ(第2の加熱源)、34A〜34C…転写バー(転写部)、35…貫通孔(伝熱抑制手段)、36…断熱材、39A〜39C,46A〜46C…可動ステージ、41A〜41C,48A〜48C…送りモータ(送り機構)、50…コントローラ(制御手段)、51A〜51C,52A〜52C…検出センサ(検出手段)、54,55…ロッド部材。
Claims (21)
- 磁気ストライプを支持したキャリアテープを被転写基材上へ加熱プレスし、前記磁気ストライプを前記被転写基材へ転写する磁気ストライプ転写装置において、
前記被転写基材を上面で支持する下プレス板と、
前記下プレス板の上面に支持された被転写基材およびその上に配置された前記キャリアテープに対向して配置される上プレス板とを備え、
前記上プレス板が、前記被転写基材上の前記磁気ストライプの転写部位を局所的に加熱プレスする転写部を有する
ことを特徴とする磁気ストライプ転写装置。 - 前記転写部が、前記キャリアテープの延在方向に関して平行な突状を呈する
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気ストライプ転写装置。 - 前記転写部が、前記上プレス板の下面に設けられた転写バーでなる
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気ストライプ転写装置。 - 前記上プレス板を加熱する第1の加熱源と、前記転写部の両端部を加熱する第2の加熱源とが、それぞれ独立して設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気ストライプ転写装置。 - 前記第2の加熱源の設定温度が、前記第1の加熱源の設定温度よりも高い温度に維持されている
ことを特徴とする請求項4に記載の磁気ストライプ転写装置。 - 前記第2の加熱源が、前記転写部の両端部に埋設された一対のヒータでなる
ことを特徴とする請求項4に記載の磁気ストライプ転写装置。 - 前記転写部の両端のヒータ埋設部と前記転写部の中央部との間に、これらの間の伝熱を抑えるための伝熱抑制手段がそれぞれ設けられる
ことを特徴とする請求項6に記載の磁気ストライプ転写装置。 - 前記伝熱抑制手段が、転写部を貫通する貫通孔でなる
ことを特徴とする請求項7に記載の磁気ストライプ転写装置。 - 前記転写部が、前記上プレス板の下面に複数並列して設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気ストライプ転写装置。 - 前記転写部が設けられていない前記上プレス板の下面領域が、前記下プレス板上の被転写基材に対する熱輻射を抑えるための断熱材で被覆されている
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気ストライプ転写装置。 - 前記下プレス板が、前記キャリアテープを巻装した供給リールと、前記キャリアテープを巻き取る巻取リールとの間に配置されており、前記下プレス板に関して前記供給リール側および巻取リール側に、前記被転写基材上へ貼り付けられた磁気ストライプから前記キャリアテープを分離させるためのテープ剥がし機構がそれぞれ配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気ストライプ転写装置。 - 前記各テープ剥がし機構が、前記キャリアテープの延在方向に対して直交するロッド状の部材をそれぞれ備えており、前記各ロッド状の部材が、前記下プレス板の側方で待機する第1の位置と、前記下プレス板上の被転写基材上面と対向する第2の位置との間を移動可能とされる
ことを特徴とする請求項11に記載の磁気ストライプ転写装置。 - 前記供給リールおよび前記巻取リールがそれぞれ、これらの回転軸方向に進退可能な可動ステージ上に設置されており、前記下プレス板に対する前記キャリアテープの相対位置を検出する検出手段の出力を受ける制御手段によって、前記可動ステージの進退量が調整される
ことを特徴とする請求項11に記載の磁気ストライプ転写装置。 - 前記検出手段が、前記下プレス板に関して前記供給リール側および前記巻取リール側にそれぞれ設置され前記キャリアテープを撮像する撮像装置でなる
ことを特徴とする請求項13に記載の磁気ストライプ転写装置。 - 前記制御手段が、前記検出手段の出力に基づいて前記キャリアテープの位置ずれ量を算出するコントローラと、前記コントローラからの制御信号を受けて前記可動ステージを位置調整する送り機構とを有する
ことを特徴とする請求項13に記載の磁気ストライプ転写装置。 - 被転写基材上に磁気ストライプが貼着されてなる磁気カードの製造方法であって、
前記被転写基材を下プレス板上に載置する工程と、
前記下プレス板とこれに対向配置される上プレス板との間に、前記磁気ストライプを支持するキャリアテープを配置する工程と、
前記上プレス板が、前記キャリアテープを介して、前記被転写基材上の前記磁気ストライプの転写部位を局所的に加熱プレスし、前記磁気ストライプを前記被転写基材上へ転写する工程とを有する
ことを特徴とする磁気カードの製造方法。 - 前記上プレス板には、前記被転写基材上の前記磁気ストライプの転写部位を局所的に加熱プレスする転写バーが設けられており、
前記転写バーの両端部の温度を前記転写バーの中央部の温度よりも高くして、前記被転写基材を加熱プレスする
ことを特徴とする請求項16に記載の磁気カードの製造方法。 - 前記加熱プレス後、前記被転写基材上へ貼り付けられた磁気ストライプから前記キャリアテープを分離させるためのテープ剥がし工程が、前記キャリアテープのテープ張力を解除した状態で行われる
ことを特徴とする請求項16に記載の磁気カードの製造方法。 - 前記下プレス板と前記上プレス板との間に前記キャリアテープを配置する工程には、前記キャリアテープを前記被転写基材上の転写部位へ位置合わせする工程が含まれる
ことを特徴とする請求項16に記載の磁気カードの製造方法。 - 前記キャリアテープの位置合わせが、前記キャリアテープの位置に基づいて行われる
ことを特徴とする請求項19に記載の磁気カードの製造方法。 - 前記被転写基材が、その面内で複数枚のカードを取ることができる大きさを有し、当該被転写基材に対して、互いに並列して配置された複数本の前記キャリアテープが同時に加熱プレスされる
ことを特徴とする請求項16に記載の磁気カードの製造方法。
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JP2010155705A (ja) * | 2008-12-26 | 2010-07-15 | Kao Corp | 部材の搬送軌道の制御方法および装置 |
CN103886354A (zh) * | 2014-03-14 | 2014-06-25 | 罗后帅 | 一种自动裱膜点焊机的点切磁条机构 |
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-
2003
- 2003-05-08 JP JP2003130790A patent/JP2004047049A/ja active Pending
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