JP2004046703A - Icカード、並びにicカードに使用されるインレットシート用支持体とコアシート - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱加圧プレスにより熱融着可能であり、各層間の接着性に優れたICカード、及びICカードに用いられるインレットシート用支持体とコアシートを提供すること。
【解決手段】ICカードは、アンテナを接続したICチップが搭載されたインレットシートの両面にコアシートを配置し、加熱加圧プレスにより形成されたICカードであって、インレットシートの支持体が最外層を有する積層体であり、この支持体の最外層と、コアシートのインレットシート側の最外層とが同種類の樹脂組成物から形成されて成る。ここで、同種類の樹脂組成物は、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂組成物であることが好ましい。インレットシート用支持体およびコアシートは、ICカードに用いられるシートであり、これらの最外層が同種類の樹脂組成物から形成されて成る。
【選択図】 図1
【解決手段】ICカードは、アンテナを接続したICチップが搭載されたインレットシートの両面にコアシートを配置し、加熱加圧プレスにより形成されたICカードであって、インレットシートの支持体が最外層を有する積層体であり、この支持体の最外層と、コアシートのインレットシート側の最外層とが同種類の樹脂組成物から形成されて成る。ここで、同種類の樹脂組成物は、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂組成物であることが好ましい。インレットシート用支持体およびコアシートは、ICカードに用いられるシートであり、これらの最外層が同種類の樹脂組成物から形成されて成る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ICカードに用いられるインレットシート用支持体とコアシート、及びそれらを用いて製造されるICカードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ICカードは、現在広く利用されている磁気カードに比べ、大量のデータを扱うことができ、また、セキュリティが高いといわれており、次世代のカードとして注目を集め、急速に普及しつつある。
ICカードには、リーダライタとの接点が表面に露出している接触式ICカードと露出していない非接触式ICカードがある。接触式ICカードは、ICチップに記録された情報を読み取るリーダライタとの接点がカード表面に露出しており、非接触式ICカードは、カードにアンテナコイル及びICチップが内蔵されていて、カードが磁界中を通過する時にアンテナコイルに発生した誘導電流で、ICチップに記録されている情報の読み取りや、書き換えが行われる。
【0003】
例えば、非接触式ICカードは、接着剤を用いてICチップ等をカードの内部に埋めこんだり、2枚のコアシートの間にICチップ等を挟み込み、加熱圧着することにより形成される。
ここでICチップ等は、ICチップにアンテナコイル(導線)を接続したものをそのまま使用してもよいが、プラスチックシートにICチップや回路を搭載した、いわゆるインレットシートを使用してもよい。インレットシートは、例えば、▲1▼回路となる巻き線コイルを支持体に熱や超音波によって埋め込んだり、▲2▼導電ペーストを用いて支持体上に回路パターンを印刷したり、▲3▼銅やアルミニウム等の金属薄膜を支持体にラミネートした後、エッチング等によって回路パターンを形成することにより得られる。▲1▼の方法によると、信頼性は高いが、量産しにくく、コストが高くなる。また、▲2▼の方法によると、断線の恐れがあり、信頼性にかける。そのため、▲3▼の方法が、用いられることが多い。
なお、本発明においては、アンテナ回路を形成した支持体にICチップやコンデンサ等の電子部品を実装したシートをインレットシートと称すことにする。
インレットシートの支持体としては、通常、耐熱性に優れ、エッチング工程の熱によって寸法変化や波打ちが生じにくい材料である、ポリエチレンテレフタレートのシートやポリイミド系シートが用いられている。
しかし、これらのシートは、コアシートの材料として一般的に用いられているポリエチレンテレフタレートや非結晶性のポリエステル等と熱融着しない。そのため、これらの材料からなるコアシートを使用する場合には、接着剤や接着フィルムを用いてカードを作成しなければならず、この工程を余分に行ったり、そのために余分な材料を必要とするため、コストアップに繋がる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、加熱加圧プレスにより熱融着可能であり、各層間の接着性に優れたICカード、及びICカードに用いられるインレットシート用支持体とコアシートを提供すること。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のICカードは、アンテナを接続したICチップが搭載されたインレットシートの両面にコアシートを配置し、加熱加圧プレスにより形成されたICカードであって、前記インレットシートの支持体が最外層を有する積層体であり、該最外層と、前記コアシートのインレットシート側の最外層とが同種類の樹脂組成物から形成されて成ることを特徴とする。
ここで、前記支持体の最外層及び前記コアシートの最外層は、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂組成物から形成されて成ることができる。
また、前記コアシートのインレットシート側の最外層表面の十点平均粗さRzと、前記インレットシートの支持体の最外層の厚さtとが、下記式(1)を満たす関係にあることが好ましい。
t ≧ Rz/2 ……(1)
【0006】
本発明のインレットシート用支持体は、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂組成物から形成されて成る最外層を有する積層体であることを特徴とする。
ここで、中層及び最外層を有するインレットシート用支持体であって、前記中層がポリカーボネート系樹脂組成物から形成されて成ることができる。
【0007】
本発明のICカード用コアシートは、少なくとも一方の最外層が、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂組成物から形成されて成ることを特徴とする。
また、中層及び最外層を有するICカード用コアシートであって、前記中層がポリカーボネート系樹脂組成物から形成されて成ることができる。
また、前記最外層の表面は、所定の十点平均粗さを有することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のICカードは、アンテナ回路を接続したICチップが搭載されたインレットシートの両面にコアシートを配置し、加熱加圧プレスして形成されたものである。ただし、インレットシートの支持体の最外層と、この最外層と接する、コアシートのインレットシート側の最外層とが同種類の樹脂組成物から形成されている。本発明において、同種類の樹脂組成物とは、主成分の基本的な骨格が同一である化合物であることを意味するが、例えば、共重合体などの場合には、主モノマーが同一であれば、副モノマーとしての共重合成分が異なるものも含まれる。
【0009】
以下に図面を用いて、本発明を具体的に説明する。図1は本発明の一実施形態に係るICカードの層構成を示す断面図であり、(a)は、ICカードを形成する前の状態の層構成を示し、(b)は加熱加圧プレスにより熱融着して形成された後のICカードの層構成を示す。図1(a)において、インレットシート1の上下にコアシート2、2’が配置されており、インレットシート1は、支持体5の表面に、ICチップ3を接続したアンテナ回路4を有する。支持体5は中層6と最外層7、7’とからなり、最外層7、7’を形成する樹脂組成物は、コアシート2、2’の最外層8、8’を形成する樹脂組成物と同種類の樹脂組成物である。ここでは、インレットシート1の支持体5の最外層7と最外層7’を同種類の樹脂組成物から形成されるものとしたが、異なる樹脂組成物から形成されるものとしてもよく、その場合には、最外層7、7’とそれぞれ接触するコアシートの最外層8、8’は、接触する層と同種類の樹脂組成物からなる層となる。すなわち、支持体の最外層7とコアシートの最外層8とが同種類の樹脂組成物からなる層であり、支持体の最外層7’とコアシートの最外層8’とが同種類の樹脂組成物からなる層となる。コアシート2は、中層9と最外層8とからなり、コアシート2’は、中層9’と最外層8’とからなる。
アンテナ回路4は、支持体5の表面に金属箔が熱融着により接合された後、金属箔の一部がエッチング等により除去されて回路パターンが形成される。使用される金属箔としては、アルミ箔、銅箔、金箔、銀箔、亜鉛箔、ニッケル箔、スズ箔、合金箔等が挙げられる。
【0010】
本実施形態においては、2枚のコアシートの間にインレットシートを挟み込んで加熱加圧プレスしてICカードを形成する状態を示したが、コアシート2,2’の外側に、さらにオーバーシートを重ねて加熱加圧プレスすることによりICカードを形成してもよい。
また、ここでは、2層構成のコアシート2,2’を示したが、両面に最外層を有する3層構成のコアシートを用いてもよい。この場合には、上述したように、インレットシート側の最外層が同種類の樹脂組成物から形成されていれば、他方の最外層については特に限定されるものではない。
【0011】
図1(a)のコアシート/インレットシート/コアシートを加熱加圧プレスすると、図1(b)に示すICカード10が得られる。図1(b)において、ICチップ3を接続したアンテナ回路4は、インレットシートの支持体の最外層7とコアシートの最外層8とが溶融接着し、この中に埋め込まれた状態になっている。このように、コアシートとインレットシートの接触する層同士を同種類の樹脂組成物から形成された層とすることにより、強固に接着させることができる。しかも、接着層や接着剤を必要としないので、そのための材料費を削減することができ、かつ、そのための工程も削除することができるので、コストダウンと生産性の向上を図ることができる。
【0012】
インレットシート用支持体の最外層の厚さt(μm)と、JIS B0601に基づいて測定されたコアシートの表面の十点平均粗さRz(μm)は、下記式(1)で示す関係を満たすように設定されることが好ましい。
t ≧ Rz/2 ……(1)
このように設定されることによって、支持体の最外層がコアシート表面の凸凹を容易に埋め込むことができ、層間の接着強度を向上させることができる。
インレットシート用支持体の最外層の厚さt(μm)と、コアシートの表面の十点平均粗さRz(μm)が、下記式(2)で示す関係を満たすように設定されていると、さらに接着強度を飛躍的に向上させることができる。
t ≧ Rz ……(2)
例えば、図1(a)、(b)において、支持体5の最外層7の厚さt(μm)が、コアシート2の最外層8の表面の十点平均粗さRz(μm)と式(1)又は式(2)の関係を満たすことにより、上述の効果が得られるのである。
【0013】
本発明のインレットシートの支持体の最外層及びコアシートの最外層は、同種類の樹脂組成物から形成された層であり、例えば、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂組成物から形成されることが好ましい。最外層に、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂組成物から形成されたシートを用いると、低温での熱融着が可能になるので、プレス加工が容易になり、また、プレス加工時にカード部材(ICチップ、アンテナ回路、カード基材)へ与える負荷を低減することができるからである。なお、ここで実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル形樹脂組成物とは、主成分が実質的に非結晶性の芳香族ポリエステルであることを意味する。
実質的に非結晶性の芳香族ポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分との脱水縮合体をいい、その中でも結晶性が低く、プレス融着等の実用上行われる熱加工を行っても結晶化による白濁や融着不良を起さないものをいう。なお、本発明においては、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステルに類似するもの、例えば、PC(ポリカーボネート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等も含まれる。
【0014】
本発明に好ましく用いられる芳香族ジカルボン酸成分の代表的なものとしてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられるが、テレフタル酸の一部を他のジカルボン酸で置換してもよい。他のジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ネオペンチル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、p−オキシ安息香酸などが挙げられる。なお、用いられる他のジカルボン酸成分は、一種でも二種以上の混合物であってもよく、また、置換される他のジカルボン酸の量も適宜選択することができる。
【0015】
本発明に好ましく用いられるジオール成分の代表的なものとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられるが、エチレングリコールの一部を他のジオール成分で置換してもよい。他のジオール成分としては、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロール、メトキシポリアルキレングリコールなどが挙げられる。なお、用いられる他のジオール成分は、一種でも二種以上の混合物であってもよく、また、置換される他のジオールの量も適宜選択することができる。
【0016】
本発明に用いられる芳香族ポリエステル系樹脂としては、具体的には、テレフタル酸とエチレングリコールとを縮合重合させたポリエチレンテレフタレートがコストの観点から好ましいが、テレフタル酸以外の他のジカルボン酸成分及び/又はエチレングリコール以外の他のジオール成分を含んだ共重合ポリエステルを使用することができる。
【0017】
共重合ポリエステルとしては、ジカルボン酸成分の60モル%以上がテレフタル酸であり、残りのジカルボン酸成分が他のジカルボン酸成分で置換されたジカルボン酸成分と、ジオール成分の60モル%以上がエチレングリコールで、残りのジオール成分が他のジオール成分で置換されたジオール成分とを縮合重合させた共重合ポリエステルが挙げられる。本発明における芳香族ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレートと上記の共重合ポリエステルとの混合物であってもよい。ただし、共重合ポリエステルを使用する場合には、共重合成分の選択や含有量等によっては、シートのガラス転移温度や引張り弾性率の変化が大きいので注意を要する。
【0018】
特に好適に使用できる共重合ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートにおけるエチレングリコールの約30モル%を、1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換した実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル樹脂が好ましく、例えば、イーストマンケミカル社製の商品名「PETG」を商業的に入手することができる。
【0019】
インレットシートの支持体は、中層と外層とを有する積層体である。従来のインレットシートの支持体は単層シートであり、例えば支持体の材料としてPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等のような熱可塑性樹脂を用いた場合には、高温での加工が必要であり、作業性が悪かった。また、APET(アモルファスPET)、PVC(ポリ塩化ビニル)等のような熱可塑性樹脂を用いた場合には、支持体表面にアンテナ回路を形成するために行われるエッチング工程で熱が加わり、支持体が収縮したり、波打ちを生じたりした。ところが本発明のように支持体を積層体とすることによって、これらの問題を解決することができる。例えば最外層に比較的熱変形温度の低い樹脂を用い、中層に比較的熱変形温度の高い樹脂を用いることによって、熱融着性と耐熱性の両方の特性を満足することができる。
最外層を形成する材料として、熱変形温度が低い樹脂である、上述したような実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂を用いることにより低温融着性を確保することができる。中層を形成する材料は、最外層を形成する材料より熱変形温度が高く、かつ、最外層と良好な積層体を形成することができるものであれば、特に限定されないが、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂としてはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、ポリイミド等、あるいはAPET(アモルファスPET)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン)、PVC(塩化ビニル)、ポリマーアロイ等が挙げられる。本発明においては、ポリカーボネート系樹脂を使用することが特に好ましい。ポリカーボネート系樹脂を用いると耐熱性を向上させることができるからである。例えば、最外層に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂組成物を用い、中層にポリカーボネート系樹脂組成物を用いることにより、低温融着が可能で、かつ耐熱性に優れた支持体を実現することができる。
【0020】
本発明においてポリカーボネート系樹脂組成物とは、主成分がポリカーボネート系樹脂である樹脂組成物を意味する。ここで、ポリカーボネート系樹脂には、ポリカーボネートに類似するもの、例えば、PETG、PBT等も含まれる。ポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノールとアセトンから合成されるビスフェノールAから界面重合法、エステル交換法、ピリジン法等によって製造されるもの、ビスフェノールAとジカルボン酸誘導体、例えばテレ(イソ)フタル酸ジクロリド等との共重合体により得られるポリエステルカーボネート、ビスフェノールAの誘導体、例えばテトラメチルビスフェノールA等の重合により得られるものを例示することができる。
【0021】
インレットシートを構成する支持体は透明、半透明又は不透明のいずれでもよく、また色は無色、有色又は白色のいずれでもよい。これらのフィルムを使用用途によって使い分けることができる。半透明フィルム及び不透明なフィルムは通常、樹脂の中に無機顔料や有機顔料を配合したものがある。配合される無機顔料の代表的なものとしては、単独或いは複数混合で酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカなどがあり、有機顔料はフィルム樹脂の種類によって色々なものが用いられているが、基本的にはフィルム樹脂とは相溶しない種類で可視光線を乱反射する大きさと屈折率をもつ樹脂が選ばれるのが好ましい。透明フィルムも透明性を損なわない量の顔料を配合しているものもある。フィルム中には上記顔料以外にも可塑剤、帯電防止剤等、各種添加剤が配合されている。支持体表面は、接合加工の脱気のためにエンボス加工等を行なうことも好ましい。
【0022】
コアシートは、アンテナ回路やICチップ等の凹凸を吸収することができる材料であることが好ましく、加熱加圧プレスにより変形するものが好ましい。コアシートは単層でも良いが、その場合にはインレットシートの最外層と同種類の樹脂組成物から形成されていることが必要である。本発明においては2層以上の積層体とすることが好ましく、表裏の最外層と中層の3層積層体とすることが好ましい。本発明においては、コアシートにおいて最外層以外の層を中層と称すことにする。コアシートの中層を構成する材料としては、例えば、加熱加圧によって変形する熱可塑性樹脂が好ましく使用される。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、非結晶性ポリエステル系樹脂、結晶性ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、PC樹脂等の汎用プラスチックが挙げられる。また、コアシートの材料として、耐熱性が良好なエンジニアリングプラスチックを使用することもできる。エンジニアリングプラスチックとしては、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、これらの1種類又は2種類以上を主成分とするフィルムやシートが好ましく使用される。ただし、コアシートの最外層と良好な積層体を形成する必要があるため、最外層との接着性に優れたものであることが必要である。本発明においては、インレットシートの支持体と同様に、最外層として実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂を用い、中層としてポリカーボネート系樹脂を用いた3層構成の積層体であることが好ましい。かかる構成のコアシートは耐熱性と熱融着性を有し、カードを高温で保持した場合でもアンテナ回路やICチップの浮き上がり現象を防止することができる。
また、コアシートは透明、半透明又は不透明のいずれでもよく、白色や有彩色に着色されていてもよい。使用用途に応じて、適宜設計されることが好ましい。半透明フィルム及び不透明なフィルムとする場合には、インレットシートの支持体と同様に、樹脂の中に無機顔料や有機顔料を配合することができる。透明フィルムとする場合にも支持体の場合と同様に透明性を損なわない量の顔料を配合することができる。コアシート中には上記顔料以外にも可塑剤、帯電防止剤等、各種添加剤を配合することができる。またコアシートの表面は、接合加工の脱気のためにエンボス加工等が施されていることが好ましい。
【0023】
オーバーシートは、従来からICカード等のオーバーシートとして一般的に使用されているものを用いることができるが、加熱加圧によってコアシートと接着することができるものであることが好ましい。例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、結晶性ポリエステル系樹脂、非結晶性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、耐熱性アクリル樹脂、生分解性樹脂等が挙げられる。ただし、コアシートのオーバーシート側の最外層との接着性を考慮して選択する必要がある。また、オーバーシートは、単層でも2層以上の積層体でもよい。
必要に応じて、オーバーシートに着色剤、滑剤、フィラー、衝撃改良剤等の添加剤を含有させたり、物性を改良するための異種ポリマーをブレンドしたりすることができる。特にクレジットカードのようにエンボッサーで文字刻印されるカードの場合には、タルクのような板状フィラー、あるいはポリブチレンテレフタレートのような引張強度を低下させるポリマーをシートにブレンドすることが好ましい。
【0024】
コアシート及びインレット用支持体は2層以上の積層体である。積層体の形成方法としては、例えば、各層の樹脂組成物を共押出して積層する共押出法、各層をフィルム状に形成し、これをラミネートする押出ラミネート法、2層を共押出法で形成し、これに別途形成したフィルムをラミネートする方法、熱圧着法等があるが、本発明においては、生産性、コストの面から共押出法により形成されることが好ましい。具体的には、各層の樹脂組成物を、必要に応じてペレット状にして、Tダイを共有連結した3層Tダイ共押出し機の各ホッパーにそれぞれ投入し、温度200℃〜280℃の範囲で溶融して共押出しした後、冷却ロール等で冷却固化して3層積層体を形成することができる。なお、積層体は、上記方法に限定されることなく公知の方法によって形成されてもよく、例えば、積層方法が記載されている、特開平10−71763号公報の第(6)頁〜第(7)頁を参照されたい。
【0025】
本発明においては、まず、コアシートとICチップ等を搭載したインレットシートに、必要に応じてオーバーシートを重ねて、加熱加圧プレスすることによりカード用積層体を形成し、次に、カード用積層体をカード形状に打ち抜いて、ICカードを製造することができる。
【0026】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
【0027】
(実施例1)
インレットシート及びコアシートの作成において、非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂として、イーストマンケミカル社製の「PETG6763」(以下、PETGと記す)を用い、ポリカーボネート系樹脂として、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製の「ノバレックス7022」(以下、PCと記す)を用いた。
《コアシートの作成》
Tダイ共押出法により、PETG/PC/PETGの3層構成の積層体を得た。ただし、外層と中層の各層の厚さは、PETG/PC/PETG=20μm/160μm/20μmであり、コアシートの総厚さは200μmであった。また、コアシートの表面には、十点平均粗さが15.8μmになるように表面処理が施されていた。
《インレットシートの作成》
支持体として、Tダイ共押出法により、PETG/PC/PETGの3層構成の積層体を得た。ただし、各層の厚さは、PETG/PC/PETG=8μm/84μm/8μmであり、支持体の総厚さは100μmであった。次に、得られた支持体上にアルミニウム箔をラミネートした後、一部をエッチングにより除去し、アンテナ回路を形成した。次に、アンテナ回路にICチップを接続して、ICチップとアンテナ回路が搭載されたインレットシートを作成した。
《ICカードの作成》
得られたコアシート、ICチップ等を搭載したインレットシート、およびオーバーシートとして、厚さ125μmの三菱樹脂(株)製の「ディアフィクス PA−C」をそれぞれ300mm角に切断し、オーバーシート/コアシート/インレットシート/コアシート/オーバーシートの順に重ねた。これを、各シートがずれないようにクロムメッキ板の間に挟み込み、プレス温度130℃、面圧15kgf/cm2で10分間、加熱加圧プレスして溶融一体化した後、冷却して積層体を得た。得られた積層体をカード状に打ち抜き、ICカードを作成した。得られたICカードについて、接着強度の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0028】
(接着強度の評価)
得られたICカードについて、JIS X6305に基づいて、コアシートとインレットシートの間の接着強度を測定し、評価を行った。ただし、評価基準は、層間の接着強度が13N/cm以上であり、非常に良好であるものを記号「◎」、接着強度が9N/cm以上、13N/cm未満であり、良好なものを記号「○」、接着強度が6N/cm以上、9N/cm未満であり、使用可能なレベルのものを記号「△」、接着強度が6N/cm未満であり、使用不可なものを記号「×」で示した。
【0029】
(実施例2)
インレットシートの支持体の各層の厚さを、PETG/PC/PETG=10μm/80μm/10μmにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして、コアシートとインレットシートを作成し、また、これらを用いてICカードを作成した。得られたICカードについて、実施例1と同様にして、接着強度の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0030】
(実施例3)
インレットシートの支持体の各層の厚さを、PETG/PC/PETG=16μm/68μm/16μmにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして、コアシートとインレットシートを作成し、また、これらを用いてICカードを作成した。得られたICカードについて、実施例1と同様にして、接着強度の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0031】
(実施例4)
インレットシートの支持体の各層の厚さを、PETG/PC/PETG=20μm/60μm/20μmにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして、コアシートとインレットシートを作成し、また、これらを用いてICカードを作成した。得られたICカードについて、実施例1と同様にして、接着強度の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0032】
(実施例5)
インレットシートの支持体の各層の厚さを、PETG/PC/PETG=30μm/40μm/30μmにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして、コアシートとインレットシートを作成し、また、これらを用いてICカードを作成した。得られたICカードについて、実施例1と同様にして、接着強度の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0033】
(実施例6)
インレットシートの支持体の各層の厚さを、PETG/PC/PETG=7μm/86μm/7μmにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして、コアシートとインレットシートを作成し、また、これらを用いてICカードを作成した。得られたICカードについて、実施例1と同様にして、接着強度の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0034】
(比較例1)
インレットシートを、延伸PETシートである三菱化学ポリエステルフィルム(株)製の「ダイアホイル T100」、表1ではPETと記す)厚さ100μmに変更した以外は実施例1と同様にして、コアシートとインレットシートを作成し、また、これらを用いてICカードを作成した。得られたICカードについて、実施例1と同様にして、接着強度の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
表1から明らかなように、実施例1〜6と比較例1とを比べると、コアシートの最外層とインレットシートの支持体の最外層が、同種類の樹脂組成物から形成されている実施例1〜6のICカードは、層間の接着強度が向上していることが分かった。また、実施例1〜5と実施例6を比べると、コアシート表面の十点平均粗さ(Rz)と支持体の最外層の厚さ(t)が下記式(1)の関係を満たす実施例1〜5のICカードは、実施例6のICカードより、層間の接着強度が大きいことが分かった。また、実施例1〜2と実施例3〜5を比べると、コアシート表面の十点平均粗さ(Rz)と支持体の最外層の厚さ(t)が下記式(2)の関係を満たす実施例3〜5のICカードは、実施例1〜2のICカードより接着強度が大きく、層間の接着強度が飛躍的に向上していることが分かった。
t ≧ Rz/2 ……(1)
t ≧ Rz ……(2)
【0037】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、熱プレスによる製造が可能であり、各層間の接着性が良好なICカード、及びこのICカードに用いられるインレットシート用支持体とコアシートを提供することができる。また、これらのシートを用いてICカードを作成すれば、従来のものより低いプレス温度でICカードを作成することができるので、ICチップへの負荷を減らすことができる。さらに、接着層や接着剤を必要としないので、コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るICカードの層構成を示す断面図であり、(a)は、ICカードを作成する前の状態を示し、(b)はICカードを形成した後の状態を示す。
【符号の説明】
1 インレットシート
2、2’ コアシート
3 ICチップ
4 アンテナ回路
5 支持体
6、9、9’ 中層
7、7’、8、8’ 最外層
10 ICカード
【発明の属する技術分野】
本発明は、ICカードに用いられるインレットシート用支持体とコアシート、及びそれらを用いて製造されるICカードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ICカードは、現在広く利用されている磁気カードに比べ、大量のデータを扱うことができ、また、セキュリティが高いといわれており、次世代のカードとして注目を集め、急速に普及しつつある。
ICカードには、リーダライタとの接点が表面に露出している接触式ICカードと露出していない非接触式ICカードがある。接触式ICカードは、ICチップに記録された情報を読み取るリーダライタとの接点がカード表面に露出しており、非接触式ICカードは、カードにアンテナコイル及びICチップが内蔵されていて、カードが磁界中を通過する時にアンテナコイルに発生した誘導電流で、ICチップに記録されている情報の読み取りや、書き換えが行われる。
【0003】
例えば、非接触式ICカードは、接着剤を用いてICチップ等をカードの内部に埋めこんだり、2枚のコアシートの間にICチップ等を挟み込み、加熱圧着することにより形成される。
ここでICチップ等は、ICチップにアンテナコイル(導線)を接続したものをそのまま使用してもよいが、プラスチックシートにICチップや回路を搭載した、いわゆるインレットシートを使用してもよい。インレットシートは、例えば、▲1▼回路となる巻き線コイルを支持体に熱や超音波によって埋め込んだり、▲2▼導電ペーストを用いて支持体上に回路パターンを印刷したり、▲3▼銅やアルミニウム等の金属薄膜を支持体にラミネートした後、エッチング等によって回路パターンを形成することにより得られる。▲1▼の方法によると、信頼性は高いが、量産しにくく、コストが高くなる。また、▲2▼の方法によると、断線の恐れがあり、信頼性にかける。そのため、▲3▼の方法が、用いられることが多い。
なお、本発明においては、アンテナ回路を形成した支持体にICチップやコンデンサ等の電子部品を実装したシートをインレットシートと称すことにする。
インレットシートの支持体としては、通常、耐熱性に優れ、エッチング工程の熱によって寸法変化や波打ちが生じにくい材料である、ポリエチレンテレフタレートのシートやポリイミド系シートが用いられている。
しかし、これらのシートは、コアシートの材料として一般的に用いられているポリエチレンテレフタレートや非結晶性のポリエステル等と熱融着しない。そのため、これらの材料からなるコアシートを使用する場合には、接着剤や接着フィルムを用いてカードを作成しなければならず、この工程を余分に行ったり、そのために余分な材料を必要とするため、コストアップに繋がる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、加熱加圧プレスにより熱融着可能であり、各層間の接着性に優れたICカード、及びICカードに用いられるインレットシート用支持体とコアシートを提供すること。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のICカードは、アンテナを接続したICチップが搭載されたインレットシートの両面にコアシートを配置し、加熱加圧プレスにより形成されたICカードであって、前記インレットシートの支持体が最外層を有する積層体であり、該最外層と、前記コアシートのインレットシート側の最外層とが同種類の樹脂組成物から形成されて成ることを特徴とする。
ここで、前記支持体の最外層及び前記コアシートの最外層は、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂組成物から形成されて成ることができる。
また、前記コアシートのインレットシート側の最外層表面の十点平均粗さRzと、前記インレットシートの支持体の最外層の厚さtとが、下記式(1)を満たす関係にあることが好ましい。
t ≧ Rz/2 ……(1)
【0006】
本発明のインレットシート用支持体は、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂組成物から形成されて成る最外層を有する積層体であることを特徴とする。
ここで、中層及び最外層を有するインレットシート用支持体であって、前記中層がポリカーボネート系樹脂組成物から形成されて成ることができる。
【0007】
本発明のICカード用コアシートは、少なくとも一方の最外層が、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂組成物から形成されて成ることを特徴とする。
また、中層及び最外層を有するICカード用コアシートであって、前記中層がポリカーボネート系樹脂組成物から形成されて成ることができる。
また、前記最外層の表面は、所定の十点平均粗さを有することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のICカードは、アンテナ回路を接続したICチップが搭載されたインレットシートの両面にコアシートを配置し、加熱加圧プレスして形成されたものである。ただし、インレットシートの支持体の最外層と、この最外層と接する、コアシートのインレットシート側の最外層とが同種類の樹脂組成物から形成されている。本発明において、同種類の樹脂組成物とは、主成分の基本的な骨格が同一である化合物であることを意味するが、例えば、共重合体などの場合には、主モノマーが同一であれば、副モノマーとしての共重合成分が異なるものも含まれる。
【0009】
以下に図面を用いて、本発明を具体的に説明する。図1は本発明の一実施形態に係るICカードの層構成を示す断面図であり、(a)は、ICカードを形成する前の状態の層構成を示し、(b)は加熱加圧プレスにより熱融着して形成された後のICカードの層構成を示す。図1(a)において、インレットシート1の上下にコアシート2、2’が配置されており、インレットシート1は、支持体5の表面に、ICチップ3を接続したアンテナ回路4を有する。支持体5は中層6と最外層7、7’とからなり、最外層7、7’を形成する樹脂組成物は、コアシート2、2’の最外層8、8’を形成する樹脂組成物と同種類の樹脂組成物である。ここでは、インレットシート1の支持体5の最外層7と最外層7’を同種類の樹脂組成物から形成されるものとしたが、異なる樹脂組成物から形成されるものとしてもよく、その場合には、最外層7、7’とそれぞれ接触するコアシートの最外層8、8’は、接触する層と同種類の樹脂組成物からなる層となる。すなわち、支持体の最外層7とコアシートの最外層8とが同種類の樹脂組成物からなる層であり、支持体の最外層7’とコアシートの最外層8’とが同種類の樹脂組成物からなる層となる。コアシート2は、中層9と最外層8とからなり、コアシート2’は、中層9’と最外層8’とからなる。
アンテナ回路4は、支持体5の表面に金属箔が熱融着により接合された後、金属箔の一部がエッチング等により除去されて回路パターンが形成される。使用される金属箔としては、アルミ箔、銅箔、金箔、銀箔、亜鉛箔、ニッケル箔、スズ箔、合金箔等が挙げられる。
【0010】
本実施形態においては、2枚のコアシートの間にインレットシートを挟み込んで加熱加圧プレスしてICカードを形成する状態を示したが、コアシート2,2’の外側に、さらにオーバーシートを重ねて加熱加圧プレスすることによりICカードを形成してもよい。
また、ここでは、2層構成のコアシート2,2’を示したが、両面に最外層を有する3層構成のコアシートを用いてもよい。この場合には、上述したように、インレットシート側の最外層が同種類の樹脂組成物から形成されていれば、他方の最外層については特に限定されるものではない。
【0011】
図1(a)のコアシート/インレットシート/コアシートを加熱加圧プレスすると、図1(b)に示すICカード10が得られる。図1(b)において、ICチップ3を接続したアンテナ回路4は、インレットシートの支持体の最外層7とコアシートの最外層8とが溶融接着し、この中に埋め込まれた状態になっている。このように、コアシートとインレットシートの接触する層同士を同種類の樹脂組成物から形成された層とすることにより、強固に接着させることができる。しかも、接着層や接着剤を必要としないので、そのための材料費を削減することができ、かつ、そのための工程も削除することができるので、コストダウンと生産性の向上を図ることができる。
【0012】
インレットシート用支持体の最外層の厚さt(μm)と、JIS B0601に基づいて測定されたコアシートの表面の十点平均粗さRz(μm)は、下記式(1)で示す関係を満たすように設定されることが好ましい。
t ≧ Rz/2 ……(1)
このように設定されることによって、支持体の最外層がコアシート表面の凸凹を容易に埋め込むことができ、層間の接着強度を向上させることができる。
インレットシート用支持体の最外層の厚さt(μm)と、コアシートの表面の十点平均粗さRz(μm)が、下記式(2)で示す関係を満たすように設定されていると、さらに接着強度を飛躍的に向上させることができる。
t ≧ Rz ……(2)
例えば、図1(a)、(b)において、支持体5の最外層7の厚さt(μm)が、コアシート2の最外層8の表面の十点平均粗さRz(μm)と式(1)又は式(2)の関係を満たすことにより、上述の効果が得られるのである。
【0013】
本発明のインレットシートの支持体の最外層及びコアシートの最外層は、同種類の樹脂組成物から形成された層であり、例えば、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂組成物から形成されることが好ましい。最外層に、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂組成物から形成されたシートを用いると、低温での熱融着が可能になるので、プレス加工が容易になり、また、プレス加工時にカード部材(ICチップ、アンテナ回路、カード基材)へ与える負荷を低減することができるからである。なお、ここで実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル形樹脂組成物とは、主成分が実質的に非結晶性の芳香族ポリエステルであることを意味する。
実質的に非結晶性の芳香族ポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分との脱水縮合体をいい、その中でも結晶性が低く、プレス融着等の実用上行われる熱加工を行っても結晶化による白濁や融着不良を起さないものをいう。なお、本発明においては、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステルに類似するもの、例えば、PC(ポリカーボネート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等も含まれる。
【0014】
本発明に好ましく用いられる芳香族ジカルボン酸成分の代表的なものとしてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられるが、テレフタル酸の一部を他のジカルボン酸で置換してもよい。他のジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ネオペンチル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、p−オキシ安息香酸などが挙げられる。なお、用いられる他のジカルボン酸成分は、一種でも二種以上の混合物であってもよく、また、置換される他のジカルボン酸の量も適宜選択することができる。
【0015】
本発明に好ましく用いられるジオール成分の代表的なものとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられるが、エチレングリコールの一部を他のジオール成分で置換してもよい。他のジオール成分としては、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロール、メトキシポリアルキレングリコールなどが挙げられる。なお、用いられる他のジオール成分は、一種でも二種以上の混合物であってもよく、また、置換される他のジオールの量も適宜選択することができる。
【0016】
本発明に用いられる芳香族ポリエステル系樹脂としては、具体的には、テレフタル酸とエチレングリコールとを縮合重合させたポリエチレンテレフタレートがコストの観点から好ましいが、テレフタル酸以外の他のジカルボン酸成分及び/又はエチレングリコール以外の他のジオール成分を含んだ共重合ポリエステルを使用することができる。
【0017】
共重合ポリエステルとしては、ジカルボン酸成分の60モル%以上がテレフタル酸であり、残りのジカルボン酸成分が他のジカルボン酸成分で置換されたジカルボン酸成分と、ジオール成分の60モル%以上がエチレングリコールで、残りのジオール成分が他のジオール成分で置換されたジオール成分とを縮合重合させた共重合ポリエステルが挙げられる。本発明における芳香族ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレートと上記の共重合ポリエステルとの混合物であってもよい。ただし、共重合ポリエステルを使用する場合には、共重合成分の選択や含有量等によっては、シートのガラス転移温度や引張り弾性率の変化が大きいので注意を要する。
【0018】
特に好適に使用できる共重合ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートにおけるエチレングリコールの約30モル%を、1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換した実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル樹脂が好ましく、例えば、イーストマンケミカル社製の商品名「PETG」を商業的に入手することができる。
【0019】
インレットシートの支持体は、中層と外層とを有する積層体である。従来のインレットシートの支持体は単層シートであり、例えば支持体の材料としてPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等のような熱可塑性樹脂を用いた場合には、高温での加工が必要であり、作業性が悪かった。また、APET(アモルファスPET)、PVC(ポリ塩化ビニル)等のような熱可塑性樹脂を用いた場合には、支持体表面にアンテナ回路を形成するために行われるエッチング工程で熱が加わり、支持体が収縮したり、波打ちを生じたりした。ところが本発明のように支持体を積層体とすることによって、これらの問題を解決することができる。例えば最外層に比較的熱変形温度の低い樹脂を用い、中層に比較的熱変形温度の高い樹脂を用いることによって、熱融着性と耐熱性の両方の特性を満足することができる。
最外層を形成する材料として、熱変形温度が低い樹脂である、上述したような実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂を用いることにより低温融着性を確保することができる。中層を形成する材料は、最外層を形成する材料より熱変形温度が高く、かつ、最外層と良好な積層体を形成することができるものであれば、特に限定されないが、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂としてはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、ポリイミド等、あるいはAPET(アモルファスPET)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン)、PVC(塩化ビニル)、ポリマーアロイ等が挙げられる。本発明においては、ポリカーボネート系樹脂を使用することが特に好ましい。ポリカーボネート系樹脂を用いると耐熱性を向上させることができるからである。例えば、最外層に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂組成物を用い、中層にポリカーボネート系樹脂組成物を用いることにより、低温融着が可能で、かつ耐熱性に優れた支持体を実現することができる。
【0020】
本発明においてポリカーボネート系樹脂組成物とは、主成分がポリカーボネート系樹脂である樹脂組成物を意味する。ここで、ポリカーボネート系樹脂には、ポリカーボネートに類似するもの、例えば、PETG、PBT等も含まれる。ポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノールとアセトンから合成されるビスフェノールAから界面重合法、エステル交換法、ピリジン法等によって製造されるもの、ビスフェノールAとジカルボン酸誘導体、例えばテレ(イソ)フタル酸ジクロリド等との共重合体により得られるポリエステルカーボネート、ビスフェノールAの誘導体、例えばテトラメチルビスフェノールA等の重合により得られるものを例示することができる。
【0021】
インレットシートを構成する支持体は透明、半透明又は不透明のいずれでもよく、また色は無色、有色又は白色のいずれでもよい。これらのフィルムを使用用途によって使い分けることができる。半透明フィルム及び不透明なフィルムは通常、樹脂の中に無機顔料や有機顔料を配合したものがある。配合される無機顔料の代表的なものとしては、単独或いは複数混合で酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカなどがあり、有機顔料はフィルム樹脂の種類によって色々なものが用いられているが、基本的にはフィルム樹脂とは相溶しない種類で可視光線を乱反射する大きさと屈折率をもつ樹脂が選ばれるのが好ましい。透明フィルムも透明性を損なわない量の顔料を配合しているものもある。フィルム中には上記顔料以外にも可塑剤、帯電防止剤等、各種添加剤が配合されている。支持体表面は、接合加工の脱気のためにエンボス加工等を行なうことも好ましい。
【0022】
コアシートは、アンテナ回路やICチップ等の凹凸を吸収することができる材料であることが好ましく、加熱加圧プレスにより変形するものが好ましい。コアシートは単層でも良いが、その場合にはインレットシートの最外層と同種類の樹脂組成物から形成されていることが必要である。本発明においては2層以上の積層体とすることが好ましく、表裏の最外層と中層の3層積層体とすることが好ましい。本発明においては、コアシートにおいて最外層以外の層を中層と称すことにする。コアシートの中層を構成する材料としては、例えば、加熱加圧によって変形する熱可塑性樹脂が好ましく使用される。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、非結晶性ポリエステル系樹脂、結晶性ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、PC樹脂等の汎用プラスチックが挙げられる。また、コアシートの材料として、耐熱性が良好なエンジニアリングプラスチックを使用することもできる。エンジニアリングプラスチックとしては、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、これらの1種類又は2種類以上を主成分とするフィルムやシートが好ましく使用される。ただし、コアシートの最外層と良好な積層体を形成する必要があるため、最外層との接着性に優れたものであることが必要である。本発明においては、インレットシートの支持体と同様に、最外層として実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂を用い、中層としてポリカーボネート系樹脂を用いた3層構成の積層体であることが好ましい。かかる構成のコアシートは耐熱性と熱融着性を有し、カードを高温で保持した場合でもアンテナ回路やICチップの浮き上がり現象を防止することができる。
また、コアシートは透明、半透明又は不透明のいずれでもよく、白色や有彩色に着色されていてもよい。使用用途に応じて、適宜設計されることが好ましい。半透明フィルム及び不透明なフィルムとする場合には、インレットシートの支持体と同様に、樹脂の中に無機顔料や有機顔料を配合することができる。透明フィルムとする場合にも支持体の場合と同様に透明性を損なわない量の顔料を配合することができる。コアシート中には上記顔料以外にも可塑剤、帯電防止剤等、各種添加剤を配合することができる。またコアシートの表面は、接合加工の脱気のためにエンボス加工等が施されていることが好ましい。
【0023】
オーバーシートは、従来からICカード等のオーバーシートとして一般的に使用されているものを用いることができるが、加熱加圧によってコアシートと接着することができるものであることが好ましい。例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、結晶性ポリエステル系樹脂、非結晶性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、耐熱性アクリル樹脂、生分解性樹脂等が挙げられる。ただし、コアシートのオーバーシート側の最外層との接着性を考慮して選択する必要がある。また、オーバーシートは、単層でも2層以上の積層体でもよい。
必要に応じて、オーバーシートに着色剤、滑剤、フィラー、衝撃改良剤等の添加剤を含有させたり、物性を改良するための異種ポリマーをブレンドしたりすることができる。特にクレジットカードのようにエンボッサーで文字刻印されるカードの場合には、タルクのような板状フィラー、あるいはポリブチレンテレフタレートのような引張強度を低下させるポリマーをシートにブレンドすることが好ましい。
【0024】
コアシート及びインレット用支持体は2層以上の積層体である。積層体の形成方法としては、例えば、各層の樹脂組成物を共押出して積層する共押出法、各層をフィルム状に形成し、これをラミネートする押出ラミネート法、2層を共押出法で形成し、これに別途形成したフィルムをラミネートする方法、熱圧着法等があるが、本発明においては、生産性、コストの面から共押出法により形成されることが好ましい。具体的には、各層の樹脂組成物を、必要に応じてペレット状にして、Tダイを共有連結した3層Tダイ共押出し機の各ホッパーにそれぞれ投入し、温度200℃〜280℃の範囲で溶融して共押出しした後、冷却ロール等で冷却固化して3層積層体を形成することができる。なお、積層体は、上記方法に限定されることなく公知の方法によって形成されてもよく、例えば、積層方法が記載されている、特開平10−71763号公報の第(6)頁〜第(7)頁を参照されたい。
【0025】
本発明においては、まず、コアシートとICチップ等を搭載したインレットシートに、必要に応じてオーバーシートを重ねて、加熱加圧プレスすることによりカード用積層体を形成し、次に、カード用積層体をカード形状に打ち抜いて、ICカードを製造することができる。
【0026】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
【0027】
(実施例1)
インレットシート及びコアシートの作成において、非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂として、イーストマンケミカル社製の「PETG6763」(以下、PETGと記す)を用い、ポリカーボネート系樹脂として、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製の「ノバレックス7022」(以下、PCと記す)を用いた。
《コアシートの作成》
Tダイ共押出法により、PETG/PC/PETGの3層構成の積層体を得た。ただし、外層と中層の各層の厚さは、PETG/PC/PETG=20μm/160μm/20μmであり、コアシートの総厚さは200μmであった。また、コアシートの表面には、十点平均粗さが15.8μmになるように表面処理が施されていた。
《インレットシートの作成》
支持体として、Tダイ共押出法により、PETG/PC/PETGの3層構成の積層体を得た。ただし、各層の厚さは、PETG/PC/PETG=8μm/84μm/8μmであり、支持体の総厚さは100μmであった。次に、得られた支持体上にアルミニウム箔をラミネートした後、一部をエッチングにより除去し、アンテナ回路を形成した。次に、アンテナ回路にICチップを接続して、ICチップとアンテナ回路が搭載されたインレットシートを作成した。
《ICカードの作成》
得られたコアシート、ICチップ等を搭載したインレットシート、およびオーバーシートとして、厚さ125μmの三菱樹脂(株)製の「ディアフィクス PA−C」をそれぞれ300mm角に切断し、オーバーシート/コアシート/インレットシート/コアシート/オーバーシートの順に重ねた。これを、各シートがずれないようにクロムメッキ板の間に挟み込み、プレス温度130℃、面圧15kgf/cm2で10分間、加熱加圧プレスして溶融一体化した後、冷却して積層体を得た。得られた積層体をカード状に打ち抜き、ICカードを作成した。得られたICカードについて、接着強度の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0028】
(接着強度の評価)
得られたICカードについて、JIS X6305に基づいて、コアシートとインレットシートの間の接着強度を測定し、評価を行った。ただし、評価基準は、層間の接着強度が13N/cm以上であり、非常に良好であるものを記号「◎」、接着強度が9N/cm以上、13N/cm未満であり、良好なものを記号「○」、接着強度が6N/cm以上、9N/cm未満であり、使用可能なレベルのものを記号「△」、接着強度が6N/cm未満であり、使用不可なものを記号「×」で示した。
【0029】
(実施例2)
インレットシートの支持体の各層の厚さを、PETG/PC/PETG=10μm/80μm/10μmにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして、コアシートとインレットシートを作成し、また、これらを用いてICカードを作成した。得られたICカードについて、実施例1と同様にして、接着強度の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0030】
(実施例3)
インレットシートの支持体の各層の厚さを、PETG/PC/PETG=16μm/68μm/16μmにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして、コアシートとインレットシートを作成し、また、これらを用いてICカードを作成した。得られたICカードについて、実施例1と同様にして、接着強度の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0031】
(実施例4)
インレットシートの支持体の各層の厚さを、PETG/PC/PETG=20μm/60μm/20μmにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして、コアシートとインレットシートを作成し、また、これらを用いてICカードを作成した。得られたICカードについて、実施例1と同様にして、接着強度の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0032】
(実施例5)
インレットシートの支持体の各層の厚さを、PETG/PC/PETG=30μm/40μm/30μmにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして、コアシートとインレットシートを作成し、また、これらを用いてICカードを作成した。得られたICカードについて、実施例1と同様にして、接着強度の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0033】
(実施例6)
インレットシートの支持体の各層の厚さを、PETG/PC/PETG=7μm/86μm/7μmにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして、コアシートとインレットシートを作成し、また、これらを用いてICカードを作成した。得られたICカードについて、実施例1と同様にして、接着強度の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0034】
(比較例1)
インレットシートを、延伸PETシートである三菱化学ポリエステルフィルム(株)製の「ダイアホイル T100」、表1ではPETと記す)厚さ100μmに変更した以外は実施例1と同様にして、コアシートとインレットシートを作成し、また、これらを用いてICカードを作成した。得られたICカードについて、実施例1と同様にして、接着強度の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
表1から明らかなように、実施例1〜6と比較例1とを比べると、コアシートの最外層とインレットシートの支持体の最外層が、同種類の樹脂組成物から形成されている実施例1〜6のICカードは、層間の接着強度が向上していることが分かった。また、実施例1〜5と実施例6を比べると、コアシート表面の十点平均粗さ(Rz)と支持体の最外層の厚さ(t)が下記式(1)の関係を満たす実施例1〜5のICカードは、実施例6のICカードより、層間の接着強度が大きいことが分かった。また、実施例1〜2と実施例3〜5を比べると、コアシート表面の十点平均粗さ(Rz)と支持体の最外層の厚さ(t)が下記式(2)の関係を満たす実施例3〜5のICカードは、実施例1〜2のICカードより接着強度が大きく、層間の接着強度が飛躍的に向上していることが分かった。
t ≧ Rz/2 ……(1)
t ≧ Rz ……(2)
【0037】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、熱プレスによる製造が可能であり、各層間の接着性が良好なICカード、及びこのICカードに用いられるインレットシート用支持体とコアシートを提供することができる。また、これらのシートを用いてICカードを作成すれば、従来のものより低いプレス温度でICカードを作成することができるので、ICチップへの負荷を減らすことができる。さらに、接着層や接着剤を必要としないので、コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るICカードの層構成を示す断面図であり、(a)は、ICカードを作成する前の状態を示し、(b)はICカードを形成した後の状態を示す。
【符号の説明】
1 インレットシート
2、2’ コアシート
3 ICチップ
4 アンテナ回路
5 支持体
6、9、9’ 中層
7、7’、8、8’ 最外層
10 ICカード
Claims (8)
- アンテナを接続したICチップが搭載されたインレットシートの両面にコアシートを配置し、加熱加圧プレスにより形成されたICカードであって、前記インレットシートの支持体が最外層を有する積層体であり、該最外層と、前記コアシートのインレットシート側の最外層とが同種類の樹脂組成物から形成されて成ることを特徴とするICカード。
- 前記支持体の最外層及び前記コアシートの最外層が、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂組成物から形成されて成ることを特徴とする請求項1記載のICカード。
- 前記コアシートのインレットシート側の最外層表面の十点平均粗さRzと、前記インレットシートの支持体の最外層の厚さtとが、下記式(1)を満たす関係にあることを特徴とする請求項1又は2記載のICカード。
t ≧ Rz/2 ……(1) - 実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂組成物から形成されて成る最外層を有する積層体であることを特徴とするインレットシート用支持体。
- 中層及び最外層を有するインレットシート用支持体であって、前記中層がポリカーボネート系樹脂組成物から形成されて成ることを特徴とする請求項4記載のインレットシート用支持体。
- 少なくとも一方の最外層が、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂組成物から形成されて成ることを特徴とするICカード用コアシート。
- 中層及び最外層を有するICカード用コアシートであって、前記中層がポリカーボネート系樹脂組成物から形成されて成ることを特徴とする請求項6記載のICカード用コアシート。
- 前記最外層の表面が、所定の十点平均粗さを有することを特徴とする請求項6又は7記載のICカード用コアシート。
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