JP2004037233A - 蓄積性蛍光体パネルおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄積性蛍光体パネルおよびその製造方法において、蓄積性蛍光体層上に2つの防湿層を積層して保護層を形成するとともに、この蓄積性蛍光体層から放射線像が読み取られる際の画質の劣化を抑制する。
【解決手段】支持基板10と、蓄積性蛍光体層20と、第1の防湿層30と、第2の防湿層40とをこの順に積層するにあたり、第1の防湿層30と第2の防湿層40との間を減圧して、第1の防湿層30と第2の防湿層40とを密着させて積層する。
【選択図】 図1
【解決手段】支持基板10と、蓄積性蛍光体層20と、第1の防湿層30と、第2の防湿層40とをこの順に積層するにあたり、第1の防湿層30と第2の防湿層40との間を減圧して、第1の防湿層30と第2の防湿層40とを密着させて積層する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄積性蛍光体パネルおよびその製造方法に関し、詳しくは、防湿層を備えた蓄積性蛍光体パネルおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、X線等の放射線を照射するとこの放射線エネルギの一部を蓄積し、その後、可視光等の励起光を照射すると蓄積された放射線エネルギに応じて輝尽発光を示す蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)を利用して、人体等の被写体の放射線像を蓄積性蛍光体層に一旦潜像として記録し、この蓄積性蛍光体層にレーザ光等の励起光を照射して輝尽発光光を生じせしめ、この輝尽発光光を光電的に検出して被写体の放射線像を表す画像信号を取得する放射線画像記録装置および放射線画像読取装置等からなる放射線画像記録再生システムがCR(ComputedRadiography)としてが知られている。
【0003】
上記放射線画像記録再生システムに使用される記録媒体として、支持基板上に蓄積性蛍光体層を積層して形成した蓄積性蛍光体パネルが知られている。上記蓄積性蛍光体パネルは、この蓄積性蛍光体パネルから放射線像が読み取られた後、消去光が照射されて蓄積性蛍光体層に残存している放射線エネルギが放出されると再び放射線像の記録が可能となり、放射線像の記録および読取りに繰り返して使用される。
【0004】
上記蓄積性蛍光体パネルは、長期間に亘る多数回の放射線像の記録および読取りに使用されるので、外部からの物理的および化学的な刺激によって劣化しないように保護する必要があり、支持基板に積層された積性蛍光体層上には保護層が積層されている。
【0005】
また、蓄積性蛍光体層には蒸着やスパッタリング等の手法を用いて蓄積性蛍光体を密度高く充填して形成したものがあり、このようにして形成された蓄積性蛍光体層は水分を吸収しやすく吸湿によって放射線像を記録再生する特性が劣化するので、保護層として防湿性の高い材料であるガラス板を採用している蓄積性蛍光体パネルも知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記蓄積性蛍光体パネルには、取り扱い上破損しやすい、すなわち、耐衝撃性に問題のあるガラス板からなる保護層を他の破損し難い素材に変更して、蓄積性蛍光体パネルの取り扱いをより容易にしたいという要請がある。そのため、耐衝撃性を有する素材を使用して、かつ所定の防湿性能が保たれるように、蓄積性蛍光体層上に防湿フィルムを2重に積層したり、あるいは蒸着、スパッタリング、CVD等の手法によって蓄積性蛍光体層上に防湿膜を形成し、その上にさらに防湿フィルムを積層して、高い防湿性能を有する保護層を形成する検討が行なわれている。
【0007】
しかしながら、防湿フィルムや蒸着された防湿膜等からなる第1の防湿層に、フィルム状の第2の防湿層を積層しようとすると、2つの防湿層の間に空気溜りが生じて、上記2つの防湿層からなる保護層が光学的に均一な特性を有する平行平板からなる層とみなすことができないことがある。すなわち、外気と蓄積性蛍光体層との間の光路中に上記空気溜りの影響による光学的な乱れが生じ、蓄積性蛍光体層から発生した輝尽発光光が上記保護層中で屈折あるいは散乱され、所定の光路から外れてこの保護層から射出され、輝尽発光光の検出によって読み取られた上記放射線像の画質が劣化するという問題がある。
【0008】
なお、上記問題は、第1の防湿層上に空気以外の気体を介在させて第2の防湿層を積層する場合等においても共通する問題である。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、2つの防湿層を積層して保護層を形成しても、放射線像が読み取られる際の画質の劣化を抑制することができる蓄積性蛍光体パネルおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の蓄積性蛍光体パネルは、支持基板と、蓄積性蛍光体層と、第1の防湿層とをこの順に積層してなる蓄積性蛍光体パネルであって、第1の防湿層上に積層された第2の防湿層を備え、第1の防湿層と第2の防湿層との間が減圧され、第1の防湿層と第2の防湿層とが密着して積層されていることを特徴とするものである。
【0011】
前記第2の防湿層は、防湿処理が施された樹脂製のフィルムからなるものとすることができる。また、前記第1の防湿層は、蓄積性蛍光体層上に蒸着されて形成されているものとすることができる。
【0012】
本発明の蓄積性蛍光体パネルの製造方法は、支持基板と、蓄積性蛍光体層と、第1の防湿層とをこの順に積層する蓄積性蛍光体パネルの製造方法であって、第1の防湿層上に第2の防湿層を、該第1の防湿層と第2の防湿層との間を減圧し密着させて積層することを特徴とするものである。
【0013】
【発明の効果】
本発明の蓄積性蛍光体パネルおよびその製造方法によれば、第1の防湿層上に第2の防湿層を、第1の防湿層と第2の防湿層との間を減圧し密着させて積層するようにしたので、2つの防湿層を積層して保護層を形成しても、放射線像が読み取られる際の画質の劣化を抑制することができる。
【0014】
すなわち、第1の防湿層と第2の防湿層との間の減圧により、これら2つの防湿層の間に存在する気体の量を少なくすることができ、2つの防湿層の間に生じる空気溜りの数や大きさが減少され、上記2つの防湿層からなる保護層を光学的により均一な特性を有する層とすることができるので、放射線像が読み取られる際の画質の劣化を抑制することができる。
【0015】
また、第2の防湿層を、防湿処理が施された樹脂製のフィルムからなるものとすれば、樹脂製のフィルムは高い耐衝撃性を有するので蓄積性蛍光体パネルの取り扱いをより容易にすることができる。
【0016】
また、第1の防湿層が蓄積性蛍光体層上に蒸着されて形成されたものとすれば、蓄積性蛍光体層の全面を防湿層で確実に封止することができ、蓄積性蛍光体層を防湿する効果をより確実に奏することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態による蓄積性蛍光体パネルの概略構成を示す図であって、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)の1b−1b断面を示す図である。また、図2はマスキングされた支持基板上に蓄積性蛍光体を蒸着する様子を示す側面の断面図、図3は蓄積性蛍光体層の表面に第1の防湿層を形成する様子を示す側面の断面図、図4は支持基板の周縁部を介して第1の防湿層を第2の防湿層で覆った様子を示す図であって、図4(a)は平面図、図4(b)は図4(a)の4b−4b断面を示す図である。また、図5は密封空間内を減圧し第1の防湿層の上面に第2の防湿層を密着させて積層した様子を示す図であって、図5(a)は平面図、図5(b)は図5(a)の5b−5b断面を示す図である。また、図6は第1の防湿層と第2の防湿層との間を減圧しないでこれらの層を積層した場合の輝尽発光光の光路を側面から示す図、図7は接着層の側面を防湿フィルムで封止した様子を示す側面の断面図である。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施の形態による蓄積性蛍光体パネルは、支持基板10と、蓄積性蛍光体層20と、第1の防湿層30とをこの順に積層してなるものである。この蓄積性蛍光体パネルは、さらに、第1の防湿層30上に積層された第2の防湿層40を備え、第1の防湿層30と第2の防湿層40との間が減圧されて、上記第1の防湿層30と第2の防湿層40とが密着して積層されている。なお、第2の防湿層40は防湿処理が施された厚さ1mm以下の樹脂製のフィルムからなるものであり、第1の防湿層30は蓄積性蛍光体層20上に形成された薄膜からなるものである。
【0019】
上記各層の積層について、より詳しく説明する。
【0020】
図2は、図1に示した蓄積性蛍光体パネルを上下逆転させて蓄積性蛍光体層20が蒸着によって形成される様子を側面から示したものであり、この図2に示すように、まず始めに、支持基板10上の周縁部11の全周囲に亘ってマスキング12を施し、この支持基板10上のマスキング12に囲まれた中央部に蒸着あるいはスパッタリングによって厚さ500μmの蓄積性蛍光体層20を形成する。
【0021】
次に、図3に示すように、マスキング12を外した後、この支持基板10上に形成された蓄積性蛍光体層20の上面21および側面22に、蒸着、スパッタリング、あるいはCVDによって厚さ1μm以下の透明な第1の防湿層30を形成する。
【0022】
より具体的には、上記第1の防湿層30は、例えば、波長400nmから800nmの光に対して透明な無機材料をアモルファス結晶構造となるよう真空蒸着またはスパッタして形成される。
【0023】
その後、図4に示すように、支持基板10上の周縁部11の全周に亘って接着剤を塗布して接着層51を形成し、この接着層51を介して支持基板10上に上記第2の防湿層40を接着して、表面に第1の防湿層30が形成されている蓄積性蛍光体層20を支持基板10と第2の防湿層40との間に密封する。これにより、上記第1の防湿層30と第2の防湿層40との間に密封空間61が形成される。
【0024】
ここで、支持基板10上の周縁部11の接着層51に第2の防湿層40を接着する際に、注射器56の注射針52の先端部53を外部62から接着層51中を通して密封空間61内に挿入しておく。なお、注射器56は、注射針52と、注射針52に接続されているピストン54と、ピストン54に嵌合するシリンダ55とからなる。
【0025】
次に、図5に示すように、ピストン54に嵌合するシリンダ55をピストン54から引いて、注射針52を通して密封空間61中の気体を抜き取りこの密封空間61内を減圧し、上記第1の防湿層30の上面21に第2の防湿層40を密着させ積層する。
【0026】
上記のように密封空間61中を減圧し、上記第1の防湿層30の上面21に第2の防湿層40を密着させて積層することにより、第1の防湿層30の上面21と第2の防湿層40との間の空気溜りの数や大きさが減少され、蓄積性蛍光体層20から、第1の防湿層30および第2の防湿層40からなる保護層を通して外部62に至るまでの光路が光学的により均質になる。これにより、放射線像の読み取りにおける画質の劣化を抑制することができる。
【0027】
すなわち、第1の防湿層30と第2の防湿層40との間を減圧しないで積層した場合には、図6に示すように、励起光Leの照射により蓄積性蛍光体層20から発生し、第1の防湿層30と第2の防湿層40とを通して外部62に向けて光路Lk1の方向に射出されるはずの輝尽発光光が、第1の防湿層30と第2の防湿層40との間に生じた気体溜り63によって光路が乱されて光路Lk2の方向に射出されてしまい、放射線像の読み取りにおける画質が劣化してしまうことがある。
【0028】
なお、注射針52は、第1の防湿層と第2の防湿層との間が減圧された後に接着層51から抜き取られ、この注射針52により形成された接着層51中の孔は、この孔への外部からの圧力と接着層51自身の接着力によって閉じられる。
【0029】
また、防湿処理が施された樹脂製のフィルムからなる第2の防湿層の採用により従来のガラスからなる保護層等に比して耐衝撃性を高めることができ、取り扱いが容易になるとともに、上記第1の防湿層と第2の防湿層とからなる2層構成の保護層の採用により、従来のガラスからなる保護層等に比して防湿性能の低下を抑制することができる。
【0030】
なお、第2の防湿層は、必ずしも防湿処理が施された樹脂製のフィルムからなるものとしなくても、上記放射線像が読み取られる際の画質の劣化を抑制する効果を得ることができる。また、この第2の防湿層は厚さ1mmを越えるものであってもよい。
【0031】
さらに、蓄積性蛍光体層は蒸着によって形成する場合に限らず、どのような手法を用いて形成するようにしてもよい。例えば、蓄積性蛍光体層が、支持基板上に蓄積性蛍光体を塗布して形成されたものであってもよい。
【0032】
ここで、図7に示すように、支持基板10上に接着された第2の防湿層40の周縁部41から、支持基板10の周縁部11に亘って防湿フィルム59を配設し、接着層51が外気と触れる領域となるこの接着層51の側面51Sを封止するようにすれば、側面51Sから接着層51中を通して密封空間61内へ侵入する湿気をより少なく抑えることができ、蓄積性蛍光体層20の吸湿による劣化をより確実に防止することができる。
【0033】
なお、密封空間内を減圧する方式は、上記実施の形態のように、注射器で密封空間中の気体を抜き取ってこの密封空間内を減圧する方式に限らずどのような方式であってもよい。密封空間内を減圧する方式は、例えば図8に示すように、支持基板10にこの支持基板10の厚さ方向に貫通する通気孔19を配設し、この通気孔19を通して支持基板10の下面17側から密封空間61中の気体を抜き取った後、通気孔19の封止部16に下面17側から目くら栓18を挿入して密封空間16を封止する方式とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による蓄積性蛍光体パネルの概略構成を示す平面図および側面の断面図
【図2】マスキングされた支持基板上に蓄積性蛍光体を蒸着する様子を示す側面の断面図
【図3】蓄積性蛍光体層の表面に第1の防湿層を形成する様子を示す側面の断面図
【図4】支持基板の周縁部を介して第1の防湿層を第2の防湿層で覆った様子を示す平面図および側面の断面図
【図5】密封空間内を減圧し第1の防湿層の上面に第2の防湿層を密着させ積層した様子を示す平面図および側面の断面図
【図6】第1の防湿層と第2の防湿層との間を減圧しないでこれらの層を積層した場合の輝尽発光光の光路を側面から示す図
【図7】接着層の側面を防湿フィルムで封止した様子を示す側面の断面図
【図8】支持基板に通気孔を配した蓄積性蛍光体パネルの概略構成を示す側面の断面図
【符号の説明】
10 支持基板
20 蓄積性蛍光体層
30 第1の防湿層
40 第2の防湿層
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄積性蛍光体パネルおよびその製造方法に関し、詳しくは、防湿層を備えた蓄積性蛍光体パネルおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、X線等の放射線を照射するとこの放射線エネルギの一部を蓄積し、その後、可視光等の励起光を照射すると蓄積された放射線エネルギに応じて輝尽発光を示す蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)を利用して、人体等の被写体の放射線像を蓄積性蛍光体層に一旦潜像として記録し、この蓄積性蛍光体層にレーザ光等の励起光を照射して輝尽発光光を生じせしめ、この輝尽発光光を光電的に検出して被写体の放射線像を表す画像信号を取得する放射線画像記録装置および放射線画像読取装置等からなる放射線画像記録再生システムがCR(ComputedRadiography)としてが知られている。
【0003】
上記放射線画像記録再生システムに使用される記録媒体として、支持基板上に蓄積性蛍光体層を積層して形成した蓄積性蛍光体パネルが知られている。上記蓄積性蛍光体パネルは、この蓄積性蛍光体パネルから放射線像が読み取られた後、消去光が照射されて蓄積性蛍光体層に残存している放射線エネルギが放出されると再び放射線像の記録が可能となり、放射線像の記録および読取りに繰り返して使用される。
【0004】
上記蓄積性蛍光体パネルは、長期間に亘る多数回の放射線像の記録および読取りに使用されるので、外部からの物理的および化学的な刺激によって劣化しないように保護する必要があり、支持基板に積層された積性蛍光体層上には保護層が積層されている。
【0005】
また、蓄積性蛍光体層には蒸着やスパッタリング等の手法を用いて蓄積性蛍光体を密度高く充填して形成したものがあり、このようにして形成された蓄積性蛍光体層は水分を吸収しやすく吸湿によって放射線像を記録再生する特性が劣化するので、保護層として防湿性の高い材料であるガラス板を採用している蓄積性蛍光体パネルも知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記蓄積性蛍光体パネルには、取り扱い上破損しやすい、すなわち、耐衝撃性に問題のあるガラス板からなる保護層を他の破損し難い素材に変更して、蓄積性蛍光体パネルの取り扱いをより容易にしたいという要請がある。そのため、耐衝撃性を有する素材を使用して、かつ所定の防湿性能が保たれるように、蓄積性蛍光体層上に防湿フィルムを2重に積層したり、あるいは蒸着、スパッタリング、CVD等の手法によって蓄積性蛍光体層上に防湿膜を形成し、その上にさらに防湿フィルムを積層して、高い防湿性能を有する保護層を形成する検討が行なわれている。
【0007】
しかしながら、防湿フィルムや蒸着された防湿膜等からなる第1の防湿層に、フィルム状の第2の防湿層を積層しようとすると、2つの防湿層の間に空気溜りが生じて、上記2つの防湿層からなる保護層が光学的に均一な特性を有する平行平板からなる層とみなすことができないことがある。すなわち、外気と蓄積性蛍光体層との間の光路中に上記空気溜りの影響による光学的な乱れが生じ、蓄積性蛍光体層から発生した輝尽発光光が上記保護層中で屈折あるいは散乱され、所定の光路から外れてこの保護層から射出され、輝尽発光光の検出によって読み取られた上記放射線像の画質が劣化するという問題がある。
【0008】
なお、上記問題は、第1の防湿層上に空気以外の気体を介在させて第2の防湿層を積層する場合等においても共通する問題である。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、2つの防湿層を積層して保護層を形成しても、放射線像が読み取られる際の画質の劣化を抑制することができる蓄積性蛍光体パネルおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の蓄積性蛍光体パネルは、支持基板と、蓄積性蛍光体層と、第1の防湿層とをこの順に積層してなる蓄積性蛍光体パネルであって、第1の防湿層上に積層された第2の防湿層を備え、第1の防湿層と第2の防湿層との間が減圧され、第1の防湿層と第2の防湿層とが密着して積層されていることを特徴とするものである。
【0011】
前記第2の防湿層は、防湿処理が施された樹脂製のフィルムからなるものとすることができる。また、前記第1の防湿層は、蓄積性蛍光体層上に蒸着されて形成されているものとすることができる。
【0012】
本発明の蓄積性蛍光体パネルの製造方法は、支持基板と、蓄積性蛍光体層と、第1の防湿層とをこの順に積層する蓄積性蛍光体パネルの製造方法であって、第1の防湿層上に第2の防湿層を、該第1の防湿層と第2の防湿層との間を減圧し密着させて積層することを特徴とするものである。
【0013】
【発明の効果】
本発明の蓄積性蛍光体パネルおよびその製造方法によれば、第1の防湿層上に第2の防湿層を、第1の防湿層と第2の防湿層との間を減圧し密着させて積層するようにしたので、2つの防湿層を積層して保護層を形成しても、放射線像が読み取られる際の画質の劣化を抑制することができる。
【0014】
すなわち、第1の防湿層と第2の防湿層との間の減圧により、これら2つの防湿層の間に存在する気体の量を少なくすることができ、2つの防湿層の間に生じる空気溜りの数や大きさが減少され、上記2つの防湿層からなる保護層を光学的により均一な特性を有する層とすることができるので、放射線像が読み取られる際の画質の劣化を抑制することができる。
【0015】
また、第2の防湿層を、防湿処理が施された樹脂製のフィルムからなるものとすれば、樹脂製のフィルムは高い耐衝撃性を有するので蓄積性蛍光体パネルの取り扱いをより容易にすることができる。
【0016】
また、第1の防湿層が蓄積性蛍光体層上に蒸着されて形成されたものとすれば、蓄積性蛍光体層の全面を防湿層で確実に封止することができ、蓄積性蛍光体層を防湿する効果をより確実に奏することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態による蓄積性蛍光体パネルの概略構成を示す図であって、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)の1b−1b断面を示す図である。また、図2はマスキングされた支持基板上に蓄積性蛍光体を蒸着する様子を示す側面の断面図、図3は蓄積性蛍光体層の表面に第1の防湿層を形成する様子を示す側面の断面図、図4は支持基板の周縁部を介して第1の防湿層を第2の防湿層で覆った様子を示す図であって、図4(a)は平面図、図4(b)は図4(a)の4b−4b断面を示す図である。また、図5は密封空間内を減圧し第1の防湿層の上面に第2の防湿層を密着させて積層した様子を示す図であって、図5(a)は平面図、図5(b)は図5(a)の5b−5b断面を示す図である。また、図6は第1の防湿層と第2の防湿層との間を減圧しないでこれらの層を積層した場合の輝尽発光光の光路を側面から示す図、図7は接着層の側面を防湿フィルムで封止した様子を示す側面の断面図である。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施の形態による蓄積性蛍光体パネルは、支持基板10と、蓄積性蛍光体層20と、第1の防湿層30とをこの順に積層してなるものである。この蓄積性蛍光体パネルは、さらに、第1の防湿層30上に積層された第2の防湿層40を備え、第1の防湿層30と第2の防湿層40との間が減圧されて、上記第1の防湿層30と第2の防湿層40とが密着して積層されている。なお、第2の防湿層40は防湿処理が施された厚さ1mm以下の樹脂製のフィルムからなるものであり、第1の防湿層30は蓄積性蛍光体層20上に形成された薄膜からなるものである。
【0019】
上記各層の積層について、より詳しく説明する。
【0020】
図2は、図1に示した蓄積性蛍光体パネルを上下逆転させて蓄積性蛍光体層20が蒸着によって形成される様子を側面から示したものであり、この図2に示すように、まず始めに、支持基板10上の周縁部11の全周囲に亘ってマスキング12を施し、この支持基板10上のマスキング12に囲まれた中央部に蒸着あるいはスパッタリングによって厚さ500μmの蓄積性蛍光体層20を形成する。
【0021】
次に、図3に示すように、マスキング12を外した後、この支持基板10上に形成された蓄積性蛍光体層20の上面21および側面22に、蒸着、スパッタリング、あるいはCVDによって厚さ1μm以下の透明な第1の防湿層30を形成する。
【0022】
より具体的には、上記第1の防湿層30は、例えば、波長400nmから800nmの光に対して透明な無機材料をアモルファス結晶構造となるよう真空蒸着またはスパッタして形成される。
【0023】
その後、図4に示すように、支持基板10上の周縁部11の全周に亘って接着剤を塗布して接着層51を形成し、この接着層51を介して支持基板10上に上記第2の防湿層40を接着して、表面に第1の防湿層30が形成されている蓄積性蛍光体層20を支持基板10と第2の防湿層40との間に密封する。これにより、上記第1の防湿層30と第2の防湿層40との間に密封空間61が形成される。
【0024】
ここで、支持基板10上の周縁部11の接着層51に第2の防湿層40を接着する際に、注射器56の注射針52の先端部53を外部62から接着層51中を通して密封空間61内に挿入しておく。なお、注射器56は、注射針52と、注射針52に接続されているピストン54と、ピストン54に嵌合するシリンダ55とからなる。
【0025】
次に、図5に示すように、ピストン54に嵌合するシリンダ55をピストン54から引いて、注射針52を通して密封空間61中の気体を抜き取りこの密封空間61内を減圧し、上記第1の防湿層30の上面21に第2の防湿層40を密着させ積層する。
【0026】
上記のように密封空間61中を減圧し、上記第1の防湿層30の上面21に第2の防湿層40を密着させて積層することにより、第1の防湿層30の上面21と第2の防湿層40との間の空気溜りの数や大きさが減少され、蓄積性蛍光体層20から、第1の防湿層30および第2の防湿層40からなる保護層を通して外部62に至るまでの光路が光学的により均質になる。これにより、放射線像の読み取りにおける画質の劣化を抑制することができる。
【0027】
すなわち、第1の防湿層30と第2の防湿層40との間を減圧しないで積層した場合には、図6に示すように、励起光Leの照射により蓄積性蛍光体層20から発生し、第1の防湿層30と第2の防湿層40とを通して外部62に向けて光路Lk1の方向に射出されるはずの輝尽発光光が、第1の防湿層30と第2の防湿層40との間に生じた気体溜り63によって光路が乱されて光路Lk2の方向に射出されてしまい、放射線像の読み取りにおける画質が劣化してしまうことがある。
【0028】
なお、注射針52は、第1の防湿層と第2の防湿層との間が減圧された後に接着層51から抜き取られ、この注射針52により形成された接着層51中の孔は、この孔への外部からの圧力と接着層51自身の接着力によって閉じられる。
【0029】
また、防湿処理が施された樹脂製のフィルムからなる第2の防湿層の採用により従来のガラスからなる保護層等に比して耐衝撃性を高めることができ、取り扱いが容易になるとともに、上記第1の防湿層と第2の防湿層とからなる2層構成の保護層の採用により、従来のガラスからなる保護層等に比して防湿性能の低下を抑制することができる。
【0030】
なお、第2の防湿層は、必ずしも防湿処理が施された樹脂製のフィルムからなるものとしなくても、上記放射線像が読み取られる際の画質の劣化を抑制する効果を得ることができる。また、この第2の防湿層は厚さ1mmを越えるものであってもよい。
【0031】
さらに、蓄積性蛍光体層は蒸着によって形成する場合に限らず、どのような手法を用いて形成するようにしてもよい。例えば、蓄積性蛍光体層が、支持基板上に蓄積性蛍光体を塗布して形成されたものであってもよい。
【0032】
ここで、図7に示すように、支持基板10上に接着された第2の防湿層40の周縁部41から、支持基板10の周縁部11に亘って防湿フィルム59を配設し、接着層51が外気と触れる領域となるこの接着層51の側面51Sを封止するようにすれば、側面51Sから接着層51中を通して密封空間61内へ侵入する湿気をより少なく抑えることができ、蓄積性蛍光体層20の吸湿による劣化をより確実に防止することができる。
【0033】
なお、密封空間内を減圧する方式は、上記実施の形態のように、注射器で密封空間中の気体を抜き取ってこの密封空間内を減圧する方式に限らずどのような方式であってもよい。密封空間内を減圧する方式は、例えば図8に示すように、支持基板10にこの支持基板10の厚さ方向に貫通する通気孔19を配設し、この通気孔19を通して支持基板10の下面17側から密封空間61中の気体を抜き取った後、通気孔19の封止部16に下面17側から目くら栓18を挿入して密封空間16を封止する方式とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による蓄積性蛍光体パネルの概略構成を示す平面図および側面の断面図
【図2】マスキングされた支持基板上に蓄積性蛍光体を蒸着する様子を示す側面の断面図
【図3】蓄積性蛍光体層の表面に第1の防湿層を形成する様子を示す側面の断面図
【図4】支持基板の周縁部を介して第1の防湿層を第2の防湿層で覆った様子を示す平面図および側面の断面図
【図5】密封空間内を減圧し第1の防湿層の上面に第2の防湿層を密着させ積層した様子を示す平面図および側面の断面図
【図6】第1の防湿層と第2の防湿層との間を減圧しないでこれらの層を積層した場合の輝尽発光光の光路を側面から示す図
【図7】接着層の側面を防湿フィルムで封止した様子を示す側面の断面図
【図8】支持基板に通気孔を配した蓄積性蛍光体パネルの概略構成を示す側面の断面図
【符号の説明】
10 支持基板
20 蓄積性蛍光体層
30 第1の防湿層
40 第2の防湿層
Claims (4)
- 支持基板と、蓄積性蛍光体層と、第1の防湿層とをこの順に積層してなる蓄積性蛍光体パネルであって、
前記第1の防湿層上に積層された第2の防湿層を備え、前記第1の防湿層と第2の防湿層との間が減圧されて、該第1の防湿層と第2の防湿層とが密着して積層されていることを特徴とする蓄積性蛍光体パネル。 - 前記第2の防湿層が、防湿処理が施された樹脂製のフィルムからなるものであることを特徴とする請求項1記載の蓄積性蛍光体パネル。
- 前記第1の防湿層が前記蓄積性蛍光体層上に蒸着されて形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の蓄積性蛍光体パネル。
- 支持基板と、蓄積性蛍光体層と、第1の防湿層とをこの順に積層する蓄積性蛍光体パネルの製造方法であって、
前記第1の防湿層上に第2の防湿層を、該第1の防湿層と第2の防湿層との間を減圧し密着させて積層することを特徴とする蓄積性蛍光体パネルの製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2002194304A JP2004037233A (ja) | 2002-07-03 | 2002-07-03 | 蓄積性蛍光体パネルおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006010388A (ja) * | 2004-06-23 | 2006-01-12 | Konica Minolta Medical & Graphic Inc | 放射線画像変換パネル |
JP2008082852A (ja) * | 2006-09-27 | 2008-04-10 | Toshiba Corp | 放射線検出装置 |
-
2002
- 2002-07-03 JP JP2002194304A patent/JP2004037233A/ja not_active Withdrawn
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