JP2004027093A - 熱可塑性樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】十分な耐候性を有すると同時に、成形時に樹脂の金型付着が生じない熱可塑性樹脂組成物及びその成型品を提供すること。
【解決手段】本発明は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、(a)数平均分子量が50,000〜200,000であるアクリルポリマーの分子鎖に紫外線吸収ユニットをグラフト重合して得られた紫外線吸収剤であって、前記紫外線吸収ユニットの含有割合が、紫外線吸収剤の全質量に対して40〜90質量%である高分子型紫外線吸収剤0.05〜2.0質量部と、(b)安定剤0.01〜2.0質量部と、さらに必要に応じて(c)蛍光増白剤、及び(d)離型剤を含有してなる熱可塑性樹脂組成物である。熱可塑性樹脂としてはポリカーボネート樹脂が特に好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、(a)数平均分子量が50,000〜200,000であるアクリルポリマーの分子鎖に紫外線吸収ユニットをグラフト重合して得られた紫外線吸収剤であって、前記紫外線吸収ユニットの含有割合が、紫外線吸収剤の全質量に対して40〜90質量%である高分子型紫外線吸収剤0.05〜2.0質量部と、(b)安定剤0.01〜2.0質量部と、さらに必要に応じて(c)蛍光増白剤、及び(d)離型剤を含有してなる熱可塑性樹脂組成物である。熱可塑性樹脂としてはポリカーボネート樹脂が特に好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物、特にポリカーボネート樹脂組成物及びそれから得られる成形品に関し、さらに詳しくは、十分な耐候性を有し、かつ成形時に金型付着が少なく良好な成形品を得ることができる熱可塑性樹脂組成物、特にポリカーボネート樹脂組成物及びそれから得られる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃特性や耐熱性に優れ、様々な分野において幅広く利用されているが、耐候性の面でやや問題を有しており、通常の太陽光源だけでなく、高圧水銀ランプやメタルハライドランプの光を照射した場合でも、有害な黄色変化等を起こすことがある。
【0003】
このため、従来ではポリカーボネート樹脂に種々の光安定剤が単独あるいは複数種含有された樹脂組成物の形として使用されており、またそのような種々の組成物が提案されている。例えば、特開平7−196904号公報には、ポリカーボネート樹脂にベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤とクマリン化合物及びナフタルイミド化合物から選ばれる蛍光増白剤が添加されたポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。また、特開平10−176103号公報には、ポリカーボネート樹脂にトリアジン化合物からなる紫外線吸収剤とクマリン化合物及びナフタルイミド化合物から選ばれる蛍光増白剤が添加されたポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。しかしながら、これらは未だ十分な耐候性を有しているとはいえず、より一層の改善が切望されている。
【0004】
また、特開平9−143447号公報には、ガラス瓶等の紫外線吸収剤としてではあるが、特定のラジカル重合が可能なベンゾフェノン系モノマー又はベンゾトリアゾール系モノマーとシリコーンマクロマーとビニル化合物モノマーを含む混合物を共重合して得られる高分子型の紫外線吸収剤が提案されている。しかし、この高分子型の紫外線吸収剤はポリカーボネート樹脂に対して十分な相溶性がなく、そのために樹脂中に均一に分散することができず、樹脂成形品にした場合に全体が一様な耐候性能が得られないという問題があった。
一方、従来から広く使用されているベンゾフェノン系やベゾトリアゾール系の、いわゆる低分子量の一般的な紫外線吸収剤は、その添加量を増やせば耐候性能を向上させることはできるが、成形時に樹脂の金型付着が著しくなり、大量生産する場合の生産性が低下するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記状況に鑑みなされたもので、長期間日光に暴露したり、高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどの光を照射した場合でも十分な耐候性を有すると同時に、成形時に樹脂の金型付着が生じない熱可塑性樹脂組成物及びその成型品を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、種々検討を重ねた結果、熱可塑性樹脂、特にポリカーボネート樹脂に、特定の高分子型の紫外線吸収剤及び安定剤を含有した樹脂組成物が十分な耐候性を有し、かつ成形加工時に金型付着を起こさないことを見出し、これら知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
1.熱可塑性樹脂100質量部に対し、(a)数平均分子量が50,000〜200,000であるアクリルポリマーの分子鎖に紫外線吸収ユニットをグラフト重合して得られた紫外線吸収剤であって、前記紫外線吸収ユニットの含有割合が、紫外線吸収剤の全質量に対して40〜90質量%である高分子型紫外線吸収剤0.05〜2.0質量部と、(b)安定剤0.01〜2.0質量部とを含有してなる熱可塑性樹脂組成物。
2.熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂である前記1記載の熱可塑性樹脂組成物。
3.前記高分子型紫外線吸収剤の紫外線吸収ユニットが、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、シアノアクリレート化合物及びトリアジン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
4.(b)安定剤が、酸化防止剤、ラジカル捕足剤及び酸中和剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
5.さらに(c)蛍光増白剤を含有してなる前記1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
6.さらに(d)離型剤を含有してなる前記1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
7.前記1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂等が挙げられるが、ポリカーボネート樹脂を使用した場合に本発明の効果が十分に発揮されて特に好ましい。このポリカーボネート樹脂としては、その化学構造や製造法については特に制限はなく種々のものを用いることができる。例えば、二価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネート樹脂が好適に用いられる。
【0009】
この二価フェノールとしては、種々のものが用いられるが、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコールなどが好適なものとして挙げられる。これら二価フェノールの中でも、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕が好ましい。そして、これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
【0010】
また、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、またはハロホルメートなどを用いることができる。さらに具体的には、ホスゲン、二価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどである。
【0011】
そして、このポリカーボネート樹脂の化学構造は、その分子鎖が線状構造または環状構造もしくは分岐構造を有しているものを用いることができる。このうち、分岐構造を有するポリカーボネート樹脂としては、分岐剤として、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログルシン、トリメリット酸、イサチンビス(o−クレゾール)などを用いて製造したものが好ましく用いられる。また、このポリカーボネート樹脂として、テレフタル酸などの2官能性カルボン酸、またはそのエステル形成誘導体などのエステル前駆体を用いて製造されたポリエステル−カーボネート樹脂を用いることもできる。さらに、これら種々の化学構造を有するポリカーボネート樹脂の混合物を用いることもできる。
【0012】
また、これらポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、通常10,000〜50,000、好ましくは13,000〜35,000、さらに好ましくは15,000〜25,000である。この粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、[η]=1.23×10−5Mv0.83の式により算出した値である。このようなポリカーボネート樹脂の分子量の調節には、フェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−ドデシルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−クミルフェノールなどが用いられる。
【0013】
さらに、このポリカーボネート樹脂として、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を用いることもできる。この共重合体は、例えば、ポリカーボネートオリゴマーと、末端に反応性基を有するポリオルガノシロキサンとを、塩化メチレンなどの溶媒に溶解させ、これに二価フェノールの水酸化ナトリウム水溶液を加え、トリエチルアミンなどの触媒を用いて界面重縮合反応することにより製造することができる。この場合のポリオルガノシロキサン構造部分としては、ポリジメチルシロキサン構造、ポリジエチレンシロキサン構造、ポリメチルフェニルシロキサン構造、ポリジフェニルシロキサン構造を有するものが好適に用いられる。
【0014】
また、このポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体としては、そのポリカーボネート部分の重合度が3〜100であり、ポリオルガノシロキサン部分の重合度が2〜500程度であるものが好適に用いられる。また、このポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体におけるポリオルガノシロキサン部分の含有割合としては、0.5〜30質量%、好ましくは1〜20質量%であるものが好適である。さらに、このポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の粘度平均分子量は、5,000〜100,000、好ましくは10,000〜30,000であるものが好適に用いられる。
【0015】
次いで、前記熱可塑性樹脂に配合する(a)、(b)成分について順次説明する。
(a)高分子型紫外線吸収剤
本発明に使用する高分子型紫外線吸収剤は、アクリルポリマーのポリマー鎖に紫外線の吸収能を有する紫外線吸収ユニットをグラフト重合により導入した構造のものである。このアクリルポリマーを構成するアクリルモノマーとしては、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸アルキルエステル、メタアクリル酸アルキルエステル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、これらのアクリルモノマーと共重合性の二重結合を有するビニル化合物との共重合ポリマー等が挙げられる。この共重合性ビニル化合物としては、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;酢酸ビニル、エチルビニル、2−エチルヘキシルビニル等のアルキルビニルエステル;スチレン、無水マレイン酸などが挙げられる。これらのアクリルポリマーの数平均分子量は、50,000〜200,000のものであり、100,000〜200,000のものが好ましい。
【0016】
このアクリルポリマーに導入する紫外線吸収ユニットとしては、紫外線吸収能を有する化合物であればよいが、例えばベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、及びトリアジン系化合物が挙げられる。これらの化合物をグラフト重合によりアクリルポリマーのポリマー鎖に導入する。この場合、アクリルポリマーに導入された紫外線吸収ユニットの割合は、高分子型紫外線吸収剤の全質量に対して40〜90質量%であり、好ましくは50〜80質量%である。
【0017】
紫外線吸収ユニットとして導入するベンゾトリアゾール系化合物として、具体的には、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス〔4−メチル−6−(ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕等を挙げることができる。
【0018】
同じくベンゾフェノン系化合物として、具体的には、例えば2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−エトキシ−ベンゾフェノン等を挙げることができる。
【0019】
同じくトリアジン系化合物として、具体的には、例えば2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノール、2−(4,6−ビス−2,4−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノール等を挙げることができる。
【0020】
同じくシアノアクリレート系化合物として、具体的には、例えば、2−エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、1,3−ビス−〔2’−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリロイルオキシ〕−2,2−ビス−〔(2−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ〕メチルプロパン等を挙げることができる。
【0021】
本発明の樹脂組成物のうち、上記(a)成分の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し0.05〜2.0質量部であり、好ましくは0.1〜1.0質量部である。この含有量が0.05質量部未満であると、所望の耐候性を得ることが難しく、2.0質量部を超えると、紫外線の吸収剤の種類によっては着色が著しく使用できないものもあるので好ましくない。
【0022】
次に、(b)成分の安定剤は、樹脂組成物の酸化劣化、ラジカル反応等の化学反応による劣化を防止するために添加されるものであり、酸化防止剤、ラジカル捕足剤、酸中和剤から選ばれるものを使用する。その添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し0.01〜2.0質量部であり、好ましくは0.02〜1.5質量部である。この含有量が0.01質量部未満であると、やはり樹脂の耐候性が十分ではなく、2.0質量部を超えると、耐熱水性及び耐加水分解性が低下したり、成形時の金型付着性が悪くなる場合があり好ましくない。
【0023】
酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤やフェノール系酸化防止剤が特に好適に用いられる。このリン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルノニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)フルオロホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジブチルハイドロジェンホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、4,4’−イソプロピリデンジフェノールトリデシルホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェノールテトラデシルホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェノールペンタデシルホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリル−ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、3,4,5,6−ジベンゾ−1,2−オキサホスフィン−2−オキシドなどが挙げられる。
【0024】
また、フェノール系酸化防止剤としては、例えば、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などのヒンダードフェノール類が挙げられる。
【0025】
ラジカル捕足剤としては、N,N,N’,N’−テトラエチル−p−フェニレンジアミン、α,α−ジフェニル−β−ピクリルヒドラジル、p,p’−ジフルオルジフェニルアミン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート等のアミン化合物やトコフェノール及びその誘導体等が挙げられる。
【0026】
酸中和剤としては、エポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどが挙げられる。
【0027】
更に必要に応じて、(c)成分として、熱可塑性樹脂の色調を白色或いは青白色に改善することを目的として蛍光増白剤を添加する。このような蛍光増白剤蛍光増白剤は、光線の紫外部のエネルギーを吸収し、可視部に放射する作用するものであれば、特に限定されないが、ベンゾオキサゾリル系化合物又はクマリン系化合物が好ましい。しかし、これらの化合物の構造の中に硫黄原子を含まないものが好ましい。
【0028】
好ましいベンゾオキサゾリル系化合物として、具体的には、4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)−4’−(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン、4,4’−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン、4,4’−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)フラン等を挙げることができる。
【0029】
好ましいクマリン系化合物として、3−フェニル−7−アミノ−クマリン、3−フェニル−7−(イミノ−1’,3’,5’−トリアジン−2’−ジエチルアミノ−4’−クロロ)−クマリン、3−フェニル−7−(イミノ−1’,3’,5’−トリアジン−2’−ジエチルアミノ−4’−メトキシ)−クマリン、3−フェニル−7−ナフトトリアゾール−クマリン、4−メチル−7−ヒドロキシ−クマリン等を挙げることができる。
【0030】
本発明の樹脂組成物のうち、上記(c)成分の蛍光増白剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し0〜1.0質量部、好ましくは0.001〜0.1質量部である。この含有量が1.0質量部を超えると、増白剤自体の色が黄色系の色を呈しているため、青系の綺麗な発色が得られない場合があり好ましくない。
【0031】
更に必要に応じて、(d)成分として、樹脂の成形時の金型からの離形性をよくするために離形剤を添加することができる。このような離形剤としては、例えば、モノグリセリンステアレート、ポリエチレンテトラステアレート等が挙げられる。この(d)成分の離経型の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し0〜1.0量部、好ましくは0.1〜1.0質量部である。
【0032】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記の各成分の他に、成形品に要求される特性に応じて、その他の樹脂やその組成物に用いられている添加剤の適宜量を含有させることができる。このような添加剤としては、例えば、帯電防止剤、可塑剤、抗菌剤、相溶化剤、着色剤(染料、顔料)などが挙げられる。
【0033】
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法については、熱可塑性樹脂とともに、前記の(a)〜(d)成分および必要に応じて用いられるその他の各種添加剤成分を、成形品の要求特性に見合う配合割合において配合し、混練すればよい。ここで用いる混合機や混練機としては、通常用いられている機器、例えばリボンブレンダー、ドラムタンブラーなどで予備混合して、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダなどによることができる。混練の際の加熱温度は、通常240〜300℃の範囲で適宜選択される。この溶融混練成形としては、押出成形機、特にベント式の押出成形機の使用が好ましい。なお、熱可塑性樹脂、特にポリカーボネート樹脂は、その他の樹脂と、予め溶融混練、すなわちマスターバッチとして添加することもできる。
【0034】
本発明の熱可塑性樹脂組成物、特にポリカーボネート樹脂組成物は、上記の溶融混練成形機、あるいは、得られたペレットを原料として、射出成形法,射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、発泡成形法などにより、各種の成形品を製造することができる。この場合、前記各成分を溶融混練してペレット状の成形原料を製造し、ついで、このペレットを用いて射出成形や、射出圧縮成形による射出成形品を製造する方法が、特に好適である。また、この射出成形法として、ガス注入成形法を採用すると、引けがなく外観に優れるとともに、軽量化された成形品を得ることができる。
【0035】
本発明の熱可塑性樹脂組成物のうち、特にポリカーボネート樹脂組成物を原料として得られる成形品は耐候性に優れると同時に透明性が優れるので、自動車のヘッドランプレンズ、照明灯カバー、事務用機器や種々の電気・電子製品のハウジングとして、或いは光デイスクカートリッジなどのような事務用機器や種々の電気・電子製品の部品材料として有用である。
【0036】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、実施例と比較例における配合割合を表す値は質量基準である。
【0037】
実施例1〜8および比較例1〜8:
ポリカーボネート樹脂を樹脂成分とし、第1表に示す配合割合(ポリカーボネート樹脂100質量部に対する質量部)でその他の各成分を混合し、50mm単軸押出し機(NVC50)にて280℃で溶融混練してペレット化した。次に、得られたペレットを、45トン射出成形機(東芝機械社製,IS45PV)を用いて射出成形して30×40mmで厚み2mmの試験片を得た。得られた各試験片について耐候性及び金型付着性を下記の要領で評価した。その結果を第1表に示す。
【0038】
(i)原材料
使用した原材料は以下の通りである。
ポリカーボネート樹脂:
ビスフェノールAを原料とし、JIS K 7210に準拠〔温度300℃、荷重11.77N〕した条件下に測定したメルトフローレート(MFR)が10g/10分であり、かつ粘度平均分子量が21,600であるポリカーボネート樹脂〔出光石油化学社製:タフロンFN2200〕。
【0039】
(a)高分子型紫外線吸収剤:
a−1:アクリル鎖の数平均分子量が50,000で、紫外線吸収ユニットがベンゾトリアゾール化合物であり、その含有率が50%である紫外線吸収剤,[一方社油脂社製、XL−795]。
a−2:アクリル鎖の数平均分子量が50,000で、紫外線吸収ユニットがベンゾトリアゾール化合物であり、その含有率が70%である紫外線吸収剤[一方社油脂社製、XL−7952]。
a−3:アクリル鎖の数平均分子量が100,000で、紫外線吸収ユニットがベンゾトリアゾール化合物であり、その含有率が50%である紫外線吸収剤[一方社油脂社製、XL−796]。
a−4:アクリル鎖の数平均分子量が100,000で、紫外線吸収ユニットがベンゾトリアゾール化合物であり、その含有率が70%である紫外線吸収剤[一方社油脂社製、XL−7962]。
a−5:2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、[ケミプロ化成社製、Kemisorb 79]。
a−6:2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシフェノール、[チバスペシャリテイケミカルス社製、
Tinuvin 1577]
a−7:アクリル鎖の数平均分子量が10,000で、紫外線吸収ユニットがベンゾトリアゾール化合物であり、その含有率が50%である紫外線吸収剤[一方社油脂社製、XL−794]。
a−8:アクリル鎖の数平均分子量が50,000で、紫外線吸収ユニットがベンゾトリアゾール化合物であり、その含有率が30%である紫外線吸収剤[一方社油脂社製、XL−7951]。
【0040】
(b)安定剤:
b−1:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、[チバスペシャリテイケミカルス社製、Irgnox 1076]
b−2:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト[チバスペシャリテイケミカルス社製、Irgafos 168]
【0041】
(c)蛍光増白剤:
c−1:4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)−4’−(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン、[クラリアント社製、ホスタルクス KS−N]
c−2:2,5−ビス(5’−t−ブチルベンゾオキサゾール−2−イル)チオフェン、[チバスペシャリテイケミカルス社製、Uvitex OB]
(d)離形剤:
d−1:ポリエチレンテトラステアレート、[理研ビタミン社製、リケスター EW−440A]
【0042】
(ii)耐候性の評価:
アトラス社製のキセノンウェザーメーターC165(出力6.5kw)におけるブラックパネル上で、各試験片を温度63℃にて500時間暴露した後、JIS K 7103に準拠して、色差計により暴露処理の前後の各試験片のYI(イエローインデックス)の測定を行い、暴露処理前の値を初期YI、暴露処理後の値を500時間後YI、その差をΔYIとした。
【0043】
(iii)金型付着性の評価:
試験用成形金型を用い、成形温度280℃、金型温度80℃として、各試験片の樹脂組成物の成形を300ショット行った。この300ショットの成形の終了後の金型内部の状態を目視観察した。
これらの評価結果を第1表及び第2表に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
これらの結果から、紫外線吸収剤の添加量を同じにした場合には、本発明の高分子型紫外線吸収剤を使用した樹脂組成物は従来の低分子量の紫外線吸収剤を使用したものに比べて耐候性に優れている(実施例1,3と比較例1)。高分子型紫外線吸収剤の場合でも、紫外線吸収ユニットの含有率を同一にした場合には、本発明の分子量の大きいもの(a−3)は、分子量の小さいもの(a−7)に比べて著しく耐候性(ΔYI)が改善される(実施例5,6と比較例5,6)。また、本発明の高分子型紫外線吸収剤を使用した樹脂組成物の場合には、紫外線吸収剤の添加量を増やしても初期YIは増加せず、耐候性のみが向上するが(実施例1と2、実施例5と6)、一方、従来の低分子量の紫外線吸収剤を使用した場合には、その添加量を増やすと耐候性(ΔYI)は向上するが、初期YIそのものの値が大きく、また初期YIが増加する(比較例1と比較例3)。
金型付着性については、本発明の場合はいずれの実施例においても成形時に金型への付着が見られず、良好な金型付着性を示す。一方、従来の低分子量の紫外線吸収剤を使用した場合は、成形時に金型への付着が生じ、金型付着性が劣る(比較例1〜比較例4)。高分子形紫外線吸収剤を使用した場合でも、アクリルポリマーの数平均分子量が10,000の場合には、金型付着性は良好であるが、耐候性が従来の低分子量の紫外線吸収剤を使用した場合と同程度であり、良好な耐候性が得られない。
【0047】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物、特にポリカーボネート樹脂組成物は、透明性が高く、日光や紫外線等に対して安定で耐候性に優れており、しかも金型によって種々の製品に成形する際に金型への付着が無く、成形性に優れるという効果を有する。したがって、自動車のヘッドランプレンズや種々の事務用機器、電気電子製品のハウジング、光デイスクカートリッジ等の電子部品等の成形品として有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物、特にポリカーボネート樹脂組成物及びそれから得られる成形品に関し、さらに詳しくは、十分な耐候性を有し、かつ成形時に金型付着が少なく良好な成形品を得ることができる熱可塑性樹脂組成物、特にポリカーボネート樹脂組成物及びそれから得られる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃特性や耐熱性に優れ、様々な分野において幅広く利用されているが、耐候性の面でやや問題を有しており、通常の太陽光源だけでなく、高圧水銀ランプやメタルハライドランプの光を照射した場合でも、有害な黄色変化等を起こすことがある。
【0003】
このため、従来ではポリカーボネート樹脂に種々の光安定剤が単独あるいは複数種含有された樹脂組成物の形として使用されており、またそのような種々の組成物が提案されている。例えば、特開平7−196904号公報には、ポリカーボネート樹脂にベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤とクマリン化合物及びナフタルイミド化合物から選ばれる蛍光増白剤が添加されたポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。また、特開平10−176103号公報には、ポリカーボネート樹脂にトリアジン化合物からなる紫外線吸収剤とクマリン化合物及びナフタルイミド化合物から選ばれる蛍光増白剤が添加されたポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。しかしながら、これらは未だ十分な耐候性を有しているとはいえず、より一層の改善が切望されている。
【0004】
また、特開平9−143447号公報には、ガラス瓶等の紫外線吸収剤としてではあるが、特定のラジカル重合が可能なベンゾフェノン系モノマー又はベンゾトリアゾール系モノマーとシリコーンマクロマーとビニル化合物モノマーを含む混合物を共重合して得られる高分子型の紫外線吸収剤が提案されている。しかし、この高分子型の紫外線吸収剤はポリカーボネート樹脂に対して十分な相溶性がなく、そのために樹脂中に均一に分散することができず、樹脂成形品にした場合に全体が一様な耐候性能が得られないという問題があった。
一方、従来から広く使用されているベンゾフェノン系やベゾトリアゾール系の、いわゆる低分子量の一般的な紫外線吸収剤は、その添加量を増やせば耐候性能を向上させることはできるが、成形時に樹脂の金型付着が著しくなり、大量生産する場合の生産性が低下するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記状況に鑑みなされたもので、長期間日光に暴露したり、高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどの光を照射した場合でも十分な耐候性を有すると同時に、成形時に樹脂の金型付着が生じない熱可塑性樹脂組成物及びその成型品を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、種々検討を重ねた結果、熱可塑性樹脂、特にポリカーボネート樹脂に、特定の高分子型の紫外線吸収剤及び安定剤を含有した樹脂組成物が十分な耐候性を有し、かつ成形加工時に金型付着を起こさないことを見出し、これら知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
1.熱可塑性樹脂100質量部に対し、(a)数平均分子量が50,000〜200,000であるアクリルポリマーの分子鎖に紫外線吸収ユニットをグラフト重合して得られた紫外線吸収剤であって、前記紫外線吸収ユニットの含有割合が、紫外線吸収剤の全質量に対して40〜90質量%である高分子型紫外線吸収剤0.05〜2.0質量部と、(b)安定剤0.01〜2.0質量部とを含有してなる熱可塑性樹脂組成物。
2.熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂である前記1記載の熱可塑性樹脂組成物。
3.前記高分子型紫外線吸収剤の紫外線吸収ユニットが、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、シアノアクリレート化合物及びトリアジン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
4.(b)安定剤が、酸化防止剤、ラジカル捕足剤及び酸中和剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
5.さらに(c)蛍光増白剤を含有してなる前記1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
6.さらに(d)離型剤を含有してなる前記1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
7.前記1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂等が挙げられるが、ポリカーボネート樹脂を使用した場合に本発明の効果が十分に発揮されて特に好ましい。このポリカーボネート樹脂としては、その化学構造や製造法については特に制限はなく種々のものを用いることができる。例えば、二価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネート樹脂が好適に用いられる。
【0009】
この二価フェノールとしては、種々のものが用いられるが、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコールなどが好適なものとして挙げられる。これら二価フェノールの中でも、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕が好ましい。そして、これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
【0010】
また、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、またはハロホルメートなどを用いることができる。さらに具体的には、ホスゲン、二価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどである。
【0011】
そして、このポリカーボネート樹脂の化学構造は、その分子鎖が線状構造または環状構造もしくは分岐構造を有しているものを用いることができる。このうち、分岐構造を有するポリカーボネート樹脂としては、分岐剤として、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログルシン、トリメリット酸、イサチンビス(o−クレゾール)などを用いて製造したものが好ましく用いられる。また、このポリカーボネート樹脂として、テレフタル酸などの2官能性カルボン酸、またはそのエステル形成誘導体などのエステル前駆体を用いて製造されたポリエステル−カーボネート樹脂を用いることもできる。さらに、これら種々の化学構造を有するポリカーボネート樹脂の混合物を用いることもできる。
【0012】
また、これらポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、通常10,000〜50,000、好ましくは13,000〜35,000、さらに好ましくは15,000〜25,000である。この粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、[η]=1.23×10−5Mv0.83の式により算出した値である。このようなポリカーボネート樹脂の分子量の調節には、フェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−ドデシルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−クミルフェノールなどが用いられる。
【0013】
さらに、このポリカーボネート樹脂として、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を用いることもできる。この共重合体は、例えば、ポリカーボネートオリゴマーと、末端に反応性基を有するポリオルガノシロキサンとを、塩化メチレンなどの溶媒に溶解させ、これに二価フェノールの水酸化ナトリウム水溶液を加え、トリエチルアミンなどの触媒を用いて界面重縮合反応することにより製造することができる。この場合のポリオルガノシロキサン構造部分としては、ポリジメチルシロキサン構造、ポリジエチレンシロキサン構造、ポリメチルフェニルシロキサン構造、ポリジフェニルシロキサン構造を有するものが好適に用いられる。
【0014】
また、このポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体としては、そのポリカーボネート部分の重合度が3〜100であり、ポリオルガノシロキサン部分の重合度が2〜500程度であるものが好適に用いられる。また、このポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体におけるポリオルガノシロキサン部分の含有割合としては、0.5〜30質量%、好ましくは1〜20質量%であるものが好適である。さらに、このポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の粘度平均分子量は、5,000〜100,000、好ましくは10,000〜30,000であるものが好適に用いられる。
【0015】
次いで、前記熱可塑性樹脂に配合する(a)、(b)成分について順次説明する。
(a)高分子型紫外線吸収剤
本発明に使用する高分子型紫外線吸収剤は、アクリルポリマーのポリマー鎖に紫外線の吸収能を有する紫外線吸収ユニットをグラフト重合により導入した構造のものである。このアクリルポリマーを構成するアクリルモノマーとしては、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸アルキルエステル、メタアクリル酸アルキルエステル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、これらのアクリルモノマーと共重合性の二重結合を有するビニル化合物との共重合ポリマー等が挙げられる。この共重合性ビニル化合物としては、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;酢酸ビニル、エチルビニル、2−エチルヘキシルビニル等のアルキルビニルエステル;スチレン、無水マレイン酸などが挙げられる。これらのアクリルポリマーの数平均分子量は、50,000〜200,000のものであり、100,000〜200,000のものが好ましい。
【0016】
このアクリルポリマーに導入する紫外線吸収ユニットとしては、紫外線吸収能を有する化合物であればよいが、例えばベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、及びトリアジン系化合物が挙げられる。これらの化合物をグラフト重合によりアクリルポリマーのポリマー鎖に導入する。この場合、アクリルポリマーに導入された紫外線吸収ユニットの割合は、高分子型紫外線吸収剤の全質量に対して40〜90質量%であり、好ましくは50〜80質量%である。
【0017】
紫外線吸収ユニットとして導入するベンゾトリアゾール系化合物として、具体的には、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス〔4−メチル−6−(ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕等を挙げることができる。
【0018】
同じくベンゾフェノン系化合物として、具体的には、例えば2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−エトキシ−ベンゾフェノン等を挙げることができる。
【0019】
同じくトリアジン系化合物として、具体的には、例えば2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノール、2−(4,6−ビス−2,4−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノール等を挙げることができる。
【0020】
同じくシアノアクリレート系化合物として、具体的には、例えば、2−エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、1,3−ビス−〔2’−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリロイルオキシ〕−2,2−ビス−〔(2−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ〕メチルプロパン等を挙げることができる。
【0021】
本発明の樹脂組成物のうち、上記(a)成分の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し0.05〜2.0質量部であり、好ましくは0.1〜1.0質量部である。この含有量が0.05質量部未満であると、所望の耐候性を得ることが難しく、2.0質量部を超えると、紫外線の吸収剤の種類によっては着色が著しく使用できないものもあるので好ましくない。
【0022】
次に、(b)成分の安定剤は、樹脂組成物の酸化劣化、ラジカル反応等の化学反応による劣化を防止するために添加されるものであり、酸化防止剤、ラジカル捕足剤、酸中和剤から選ばれるものを使用する。その添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し0.01〜2.0質量部であり、好ましくは0.02〜1.5質量部である。この含有量が0.01質量部未満であると、やはり樹脂の耐候性が十分ではなく、2.0質量部を超えると、耐熱水性及び耐加水分解性が低下したり、成形時の金型付着性が悪くなる場合があり好ましくない。
【0023】
酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤やフェノール系酸化防止剤が特に好適に用いられる。このリン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルノニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)フルオロホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジブチルハイドロジェンホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、4,4’−イソプロピリデンジフェノールトリデシルホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェノールテトラデシルホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェノールペンタデシルホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリル−ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、3,4,5,6−ジベンゾ−1,2−オキサホスフィン−2−オキシドなどが挙げられる。
【0024】
また、フェノール系酸化防止剤としては、例えば、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などのヒンダードフェノール類が挙げられる。
【0025】
ラジカル捕足剤としては、N,N,N’,N’−テトラエチル−p−フェニレンジアミン、α,α−ジフェニル−β−ピクリルヒドラジル、p,p’−ジフルオルジフェニルアミン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート等のアミン化合物やトコフェノール及びその誘導体等が挙げられる。
【0026】
酸中和剤としては、エポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどが挙げられる。
【0027】
更に必要に応じて、(c)成分として、熱可塑性樹脂の色調を白色或いは青白色に改善することを目的として蛍光増白剤を添加する。このような蛍光増白剤蛍光増白剤は、光線の紫外部のエネルギーを吸収し、可視部に放射する作用するものであれば、特に限定されないが、ベンゾオキサゾリル系化合物又はクマリン系化合物が好ましい。しかし、これらの化合物の構造の中に硫黄原子を含まないものが好ましい。
【0028】
好ましいベンゾオキサゾリル系化合物として、具体的には、4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)−4’−(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン、4,4’−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン、4,4’−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)フラン等を挙げることができる。
【0029】
好ましいクマリン系化合物として、3−フェニル−7−アミノ−クマリン、3−フェニル−7−(イミノ−1’,3’,5’−トリアジン−2’−ジエチルアミノ−4’−クロロ)−クマリン、3−フェニル−7−(イミノ−1’,3’,5’−トリアジン−2’−ジエチルアミノ−4’−メトキシ)−クマリン、3−フェニル−7−ナフトトリアゾール−クマリン、4−メチル−7−ヒドロキシ−クマリン等を挙げることができる。
【0030】
本発明の樹脂組成物のうち、上記(c)成分の蛍光増白剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し0〜1.0質量部、好ましくは0.001〜0.1質量部である。この含有量が1.0質量部を超えると、増白剤自体の色が黄色系の色を呈しているため、青系の綺麗な発色が得られない場合があり好ましくない。
【0031】
更に必要に応じて、(d)成分として、樹脂の成形時の金型からの離形性をよくするために離形剤を添加することができる。このような離形剤としては、例えば、モノグリセリンステアレート、ポリエチレンテトラステアレート等が挙げられる。この(d)成分の離経型の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し0〜1.0量部、好ましくは0.1〜1.0質量部である。
【0032】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記の各成分の他に、成形品に要求される特性に応じて、その他の樹脂やその組成物に用いられている添加剤の適宜量を含有させることができる。このような添加剤としては、例えば、帯電防止剤、可塑剤、抗菌剤、相溶化剤、着色剤(染料、顔料)などが挙げられる。
【0033】
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法については、熱可塑性樹脂とともに、前記の(a)〜(d)成分および必要に応じて用いられるその他の各種添加剤成分を、成形品の要求特性に見合う配合割合において配合し、混練すればよい。ここで用いる混合機や混練機としては、通常用いられている機器、例えばリボンブレンダー、ドラムタンブラーなどで予備混合して、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダなどによることができる。混練の際の加熱温度は、通常240〜300℃の範囲で適宜選択される。この溶融混練成形としては、押出成形機、特にベント式の押出成形機の使用が好ましい。なお、熱可塑性樹脂、特にポリカーボネート樹脂は、その他の樹脂と、予め溶融混練、すなわちマスターバッチとして添加することもできる。
【0034】
本発明の熱可塑性樹脂組成物、特にポリカーボネート樹脂組成物は、上記の溶融混練成形機、あるいは、得られたペレットを原料として、射出成形法,射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、発泡成形法などにより、各種の成形品を製造することができる。この場合、前記各成分を溶融混練してペレット状の成形原料を製造し、ついで、このペレットを用いて射出成形や、射出圧縮成形による射出成形品を製造する方法が、特に好適である。また、この射出成形法として、ガス注入成形法を採用すると、引けがなく外観に優れるとともに、軽量化された成形品を得ることができる。
【0035】
本発明の熱可塑性樹脂組成物のうち、特にポリカーボネート樹脂組成物を原料として得られる成形品は耐候性に優れると同時に透明性が優れるので、自動車のヘッドランプレンズ、照明灯カバー、事務用機器や種々の電気・電子製品のハウジングとして、或いは光デイスクカートリッジなどのような事務用機器や種々の電気・電子製品の部品材料として有用である。
【0036】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、実施例と比較例における配合割合を表す値は質量基準である。
【0037】
実施例1〜8および比較例1〜8:
ポリカーボネート樹脂を樹脂成分とし、第1表に示す配合割合(ポリカーボネート樹脂100質量部に対する質量部)でその他の各成分を混合し、50mm単軸押出し機(NVC50)にて280℃で溶融混練してペレット化した。次に、得られたペレットを、45トン射出成形機(東芝機械社製,IS45PV)を用いて射出成形して30×40mmで厚み2mmの試験片を得た。得られた各試験片について耐候性及び金型付着性を下記の要領で評価した。その結果を第1表に示す。
【0038】
(i)原材料
使用した原材料は以下の通りである。
ポリカーボネート樹脂:
ビスフェノールAを原料とし、JIS K 7210に準拠〔温度300℃、荷重11.77N〕した条件下に測定したメルトフローレート(MFR)が10g/10分であり、かつ粘度平均分子量が21,600であるポリカーボネート樹脂〔出光石油化学社製:タフロンFN2200〕。
【0039】
(a)高分子型紫外線吸収剤:
a−1:アクリル鎖の数平均分子量が50,000で、紫外線吸収ユニットがベンゾトリアゾール化合物であり、その含有率が50%である紫外線吸収剤,[一方社油脂社製、XL−795]。
a−2:アクリル鎖の数平均分子量が50,000で、紫外線吸収ユニットがベンゾトリアゾール化合物であり、その含有率が70%である紫外線吸収剤[一方社油脂社製、XL−7952]。
a−3:アクリル鎖の数平均分子量が100,000で、紫外線吸収ユニットがベンゾトリアゾール化合物であり、その含有率が50%である紫外線吸収剤[一方社油脂社製、XL−796]。
a−4:アクリル鎖の数平均分子量が100,000で、紫外線吸収ユニットがベンゾトリアゾール化合物であり、その含有率が70%である紫外線吸収剤[一方社油脂社製、XL−7962]。
a−5:2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、[ケミプロ化成社製、Kemisorb 79]。
a−6:2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシフェノール、[チバスペシャリテイケミカルス社製、
Tinuvin 1577]
a−7:アクリル鎖の数平均分子量が10,000で、紫外線吸収ユニットがベンゾトリアゾール化合物であり、その含有率が50%である紫外線吸収剤[一方社油脂社製、XL−794]。
a−8:アクリル鎖の数平均分子量が50,000で、紫外線吸収ユニットがベンゾトリアゾール化合物であり、その含有率が30%である紫外線吸収剤[一方社油脂社製、XL−7951]。
【0040】
(b)安定剤:
b−1:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、[チバスペシャリテイケミカルス社製、Irgnox 1076]
b−2:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト[チバスペシャリテイケミカルス社製、Irgafos 168]
【0041】
(c)蛍光増白剤:
c−1:4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)−4’−(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン、[クラリアント社製、ホスタルクス KS−N]
c−2:2,5−ビス(5’−t−ブチルベンゾオキサゾール−2−イル)チオフェン、[チバスペシャリテイケミカルス社製、Uvitex OB]
(d)離形剤:
d−1:ポリエチレンテトラステアレート、[理研ビタミン社製、リケスター EW−440A]
【0042】
(ii)耐候性の評価:
アトラス社製のキセノンウェザーメーターC165(出力6.5kw)におけるブラックパネル上で、各試験片を温度63℃にて500時間暴露した後、JIS K 7103に準拠して、色差計により暴露処理の前後の各試験片のYI(イエローインデックス)の測定を行い、暴露処理前の値を初期YI、暴露処理後の値を500時間後YI、その差をΔYIとした。
【0043】
(iii)金型付着性の評価:
試験用成形金型を用い、成形温度280℃、金型温度80℃として、各試験片の樹脂組成物の成形を300ショット行った。この300ショットの成形の終了後の金型内部の状態を目視観察した。
これらの評価結果を第1表及び第2表に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
これらの結果から、紫外線吸収剤の添加量を同じにした場合には、本発明の高分子型紫外線吸収剤を使用した樹脂組成物は従来の低分子量の紫外線吸収剤を使用したものに比べて耐候性に優れている(実施例1,3と比較例1)。高分子型紫外線吸収剤の場合でも、紫外線吸収ユニットの含有率を同一にした場合には、本発明の分子量の大きいもの(a−3)は、分子量の小さいもの(a−7)に比べて著しく耐候性(ΔYI)が改善される(実施例5,6と比較例5,6)。また、本発明の高分子型紫外線吸収剤を使用した樹脂組成物の場合には、紫外線吸収剤の添加量を増やしても初期YIは増加せず、耐候性のみが向上するが(実施例1と2、実施例5と6)、一方、従来の低分子量の紫外線吸収剤を使用した場合には、その添加量を増やすと耐候性(ΔYI)は向上するが、初期YIそのものの値が大きく、また初期YIが増加する(比較例1と比較例3)。
金型付着性については、本発明の場合はいずれの実施例においても成形時に金型への付着が見られず、良好な金型付着性を示す。一方、従来の低分子量の紫外線吸収剤を使用した場合は、成形時に金型への付着が生じ、金型付着性が劣る(比較例1〜比較例4)。高分子形紫外線吸収剤を使用した場合でも、アクリルポリマーの数平均分子量が10,000の場合には、金型付着性は良好であるが、耐候性が従来の低分子量の紫外線吸収剤を使用した場合と同程度であり、良好な耐候性が得られない。
【0047】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物、特にポリカーボネート樹脂組成物は、透明性が高く、日光や紫外線等に対して安定で耐候性に優れており、しかも金型によって種々の製品に成形する際に金型への付着が無く、成形性に優れるという効果を有する。したがって、自動車のヘッドランプレンズや種々の事務用機器、電気電子製品のハウジング、光デイスクカートリッジ等の電子部品等の成形品として有用である。
Claims (7)
- 熱可塑性樹脂100質量部に対し、(a)数平均分子量が50,000〜200,000であるアクリルポリマーの分子鎖に紫外線吸収ユニットをグラフト重合して得られた紫外線吸収剤であって、前記紫外線吸収ユニットの含有割合が、紫外線吸収剤の全質量に対して40〜90質量%である高分子型紫外線吸収剤0.05〜2.0質量部と、(b)安定剤0.01〜2.0質量部とを含有してなる熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記高分子型紫外線吸収剤の紫外線吸収ユニットが、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、シアノアクリレート化合物及びトリアジン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (b)安定剤が、酸化防止剤、ラジカル捕足剤及び酸中和剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- さらに(c)蛍光増白剤を含有してなる請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- さらに(d)離型剤を含有してなる請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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JP2002187856A JP2004027093A (ja) | 2002-06-27 | 2002-06-27 | 熱可塑性樹脂組成物及びその成形品 |
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JP2009036797A (ja) * | 2007-07-31 | 2009-02-19 | Nitto Denko Corp | 光学フィルム、偏光板、および画像表示装置 |
JP2015007248A (ja) * | 2014-09-02 | 2015-01-15 | 帝人株式会社 | ポリカーボネート樹脂ペレット |
-
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- 2002-06-27 JP JP2002187856A patent/JP2004027093A/ja active Pending
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