JP2004023067A - 圧電素子の製造方法および圧電素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】微小な半田量を用いるだけで、熱的な負荷をかけずに圧電素子の陽極部と陰極部に対して配線基板を電気的に確実に接続することができる圧電素子の製造方法および圧電素子を提供すること。
【解決手段】配線基板40,41,42に形成されているスルーホール内に半田59Aを配置する半田配置ステップと、スルーホール内に配置された半田59Aを局所加熱して半田59Aを溶融することで陽極部16,18と配線基板40,41,42の導体部50,51,52とを電気的に接続し、スルーホール内に配置された半田59Aを局所加熱して半田59Aを溶融することで陰極部20と配線基板40,41,42の導体部50,51,52とを電気的に接続する接続ステップとを含む。
【選択図】 図1
【解決手段】配線基板40,41,42に形成されているスルーホール内に半田59Aを配置する半田配置ステップと、スルーホール内に配置された半田59Aを局所加熱して半田59Aを溶融することで陽極部16,18と配線基板40,41,42の導体部50,51,52とを電気的に接続し、スルーホール内に配置された半田59Aを局所加熱して半田59Aを溶融することで陰極部20と配線基板40,41,42の導体部50,51,52とを電気的に接続する接続ステップとを含む。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電素子の製造方法および圧電素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば電子機器に用いられるマイクロアクチュエータのひとつとして、圧電素子がある。この圧電素子は、マイクロアクチュエータとして用いることにより、電子機器の小型化に寄与するものである。
圧電素子の材料特性の1つにキューリー点がある。キューリー点とは素子が特性を失ってしまう限界温度を示す。キューリー点は圧電素子の種類により異なるが、140℃〜300℃のものが多い。そして、圧電素子を加工して組立てをするために熱を加えなければならない場合、圧電素子の特性に影響を与えないためには、加熱温度はキューリー点より更に数10℃低い温度にする必要がある。
【0003】
図11は、一般的な圧電素子を示している。この圧電素子は圧電アクチュエーターとも呼んでいるが、複数枚の圧電セラミックプレート1000,1001の間には、陰極用の陰極プレート1003が挟まれている。圧電セラミックプレート1000の面には、陽極用の金属メッキ1004が施されており、圧電セラミックプレート1001の面には陽極用の金属メッキ1005が施されている。
【0004】
もし陽極用に金属プレートを使うと、この部分の延び縮みができなくなり、圧電素子が曲がらなくなってしまうので、陽極にはメッキ処理などの曲げ、延びに対して柔軟な電極の構造が必要である。
ここで陽極と陰極の両極間に電圧を加えると、圧電セラミックプレート1000,1001の内部に電界が発生し、図11(A)の状態から図11(B)に示すように、片方の圧電セラミックプレート1001が縮み、もう一方の圧電セラミックプレート1000が延びるため、圧電素子は電界に比例した機械的変位を出力する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、問題となるのが電極に対する電圧供給用ケーブルの接続方法である。最も一般的で安価な接続方法としては、半田による接合があげられるが、現在主流の無鉛半田の融点は280℃であり、この半田による接合を確実に行うには、300℃以上に加熱する必要がある。
従って、この必要な加熱温度が上述した圧電素子のキューリー点を超えてしまい、圧電素子の特性を下げてしまうといった問題があった。
従来は、接続に使用する電気供給ラインを細くするとともに、半田の量を極力少なくし、圧電素子に対する熱の影響を小さくしようとしていた。しかし、半田を使った接合では、微小な半田量を正確にコントロールすることが難しく、素子に対して与える熱量にバラツキが生じ、圧電素子の特性が安定しないという問題があった。
そこで本発明は上記課題を解消し、微小な半田量を用いるだけで、熱的な負荷をかけずに圧電素子の陽極部と陰極部に対して配線基板を電気的に確実に接続することができる圧電素子の製造方法および圧電素子を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、圧電セラミックプレートと、前記圧電セラミックプレートの一方の面に配置された陽極部と、前記圧電セラミックプレートの他方の面に配置された陰極部とを有し、前記陽極部と前記陰極部に対して配線基板を電気的に接続する圧電素子の製造方法であり、前記配線基板に形成されているスルーホール内に半田を配置する半田配置ステップと、前記スルーホール内に配置された前記半田を局所加熱して前記半田を溶融することで前記陽極部と前記配線基板の導体部とを電気的に接続し、前記スルーホール内に配置された前記半田を局所加熱して前記半田を溶融することで前記陰極部と前記配線基板の導体部とを電気的に接続する接続ステップと、を含むことを特徴とする圧電素子の製造方法である。
【0007】
請求項1では、半田配置ステップにおいては、配線基板に形成されているスルーホール内に半田を配置する。
接続ステップでは、スルーホール内に配置された半田を局所加熱して半田を溶融することで、陽極部と配線基板の導体部とを電気的に接続するとともに、陰極部と配線基板の導体部とを電気的に接続する。
これにより、スルーホール内に所定の微小量の半田を供給するだけで、この微小量の半田を局所加熱すれば良いので、圧電素子側に対して熱的な負荷をかけずに、陽極部と配線基板の導体部との電気的接続および陰極部と配線基板の導体部との電気的接続を、確実に行うことができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の圧電素子の製造方法において、前記半田は半田ボールであり、前記半田配置ステップにおいて、前記配線基板が前記陽極部と前記陰極部に接着された後に、前記半田ボールが前記スルーホール内に配置される。
【0009】
請求項2では、用いる半田は所定量の半田ボールであり、半田配置ステップにおいては、配線基板が陽極部と陰極部に接着された後に、半田ボールがスルーホール内に配置される。これにより、半田ボールはスルーホール内において確実に保持することができ、半田ボールの位置決めが確実に行え、半田付け作業が確実になる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1に記載の圧電素子の製造方法において、前記半田はクリーム半田であり、前記半田配置ステップにおいて、前記クリーム半田は前記スルーホール内に充填され、その後前記配線基板が前記陽極部と前記陰極部に接着される。
【0011】
請求項3では、半田はクリーム半田であり、半田配置ステップにおいては、半田クリームはスルーホール内に充填される。これによりクリーム半田はスルーホール内において微小量を確実に充填することができる。そして配線基板が陽極部と陰極部に接着することにより、スルーホール内のクリーム半田は陽極部と陰極部に対してそれぞれ確実に配置することができるのである。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1に記載の圧電素子の製造方法において、前記配線基板はフレキシブル配線板であり、前記スルーホールを形成している周囲部と前記導体部が電気的に接続されている。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1に記載の圧電素子の製造方法において、前記局所加熱するのはレーザ光である。
【0014】
請求項6の発明は、圧電セラミックプレートと、前記圧電セラミックプレートの一方の面に配置された陽極部と、前記圧電セラミックプレートの他方の面に配置された陰極部とを有する圧電素子であり、前記陽極部と前記陰極部に対して電気的に接続される配線基板と、前記配線基板に形成されているスルーホール内に配置された半田と、を備え、前記スルーホール内に配置された前記半田が局所加熱されて溶融されることで、前記陽極部と前記配線基板の導体部とが電気的に接続され、前記スルーホール内に配置された前記半田が局所加熱されて前記半田が溶融されることで、前記陰極部と前記配線基板の導体部とが電気的に接続されていることを特徴とする圧電素子である。
【0015】
請求項6では、半田配置ステップにおいては、配線基板に形成されているスルーホールに半田を配置する。
接続ステップでは、スルーホール内に配置された半田を局所加熱して半田を溶融することで、陽極部と配線基板の導体部とを電気的に接続するとともに、陰極部と配線基板の導体部とを電気的に接続する。
これにより、スルーホール内に所定の微小量の半田を供給するだけで、この微小量の半田を局所加熱すれば良いので、圧電素子側に対して熱的な負荷をかけずに、陽極部と配線基板の導体部との電気的接続および陰極部と配線基板の導体部との電気的接続を、確実に行うことができる。
【0016】
請求項7の発明は、請求項6に記載の圧電素子において、前記半田は半田ボールであり、前記半田配置ステップにおいて、前記配線基板が前記陽極部と前記陰極部に接着された後に、前記半田ボールが前記スルーホール内に配置される。
【0017】
請求項7では、用いる半田は所定量の半田ボールであり、半田配置ステップにおいては、配線基板が陽極部と陰極部に接着された後に、半田ボールがスルーホール内に配置される。これにより、半田ボールはスルーホール内において確実に保持することができ、半田ボールの位置決めが確実に行え、半田付け作業が確実になる。
【0018】
請求項8の発明は、請求項6に記載の圧電素子において、前記半田はクリーム半田であり、前記半田配置ステップにおいて、前記クリーム半田は前記スルーホール内に充填され、その後前記配線基板が前記陽極部と前記陰極部に接着される。
【0019】
請求項8では、半田はクリーム半田であり、半田配置ステップにおいては、半田クリームはスルーホール内に充填される。これによりクリーム半田はスルーホール内において微小量を確実に充填することができる。そして配線基板が陽極部と陰極部に接着することにより、スルーホール内のクリーム半田は陽極部と陰極部に対してそれぞれ確実に配置することができるのである。
【0020】
請求項9の発明は、請求項6に記載の圧電素子において、前記配線基板はフレキシブル配線板であり、前記スルーホールを形成している周囲部と前記導体部が電気的に接続されている。
【0021】
請求項10の発明は、請求項6に記載の圧電素子において、前記局所加熱するのはレーザ光である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0023】
図1と図2は、本発明の圧電素子の好ましい実施の形態を示している。
図1に示す圧電素子10は、電圧をかけていない静止状態を示しており、図2は、圧電素子に電圧を与えて変形させた状態を示している。図1と図2に示す圧電素子10の構造は次のようになっている。
この圧電素子10は、いわゆるバイモルフ型圧電アクチュエータとも呼んでおり、圧電セラミックアクチュエータなどとも呼んでいる。
圧電素子10は、マイクロアクチュエータの一種であり、電子機器あるいは機械装置に装着される。
【0024】
この圧電素子10は、図1と図2の例では、2枚の圧電セラミックプレート12,14、陽極部16,18および陰極部20、そして電気接続配線部30を有している。
圧電セラミックプレート12,14は、同じ板厚のセラミックプレートである。圧電セラミックプレート12,14の材質は、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)等のようなセラミック材料を採用することができる。
【0025】
一方の圧電セラミックプレート12の一方の面12Aには、陽極部16が形成されている。この陽極部16は金属メッキである。
圧電セラミックプレート14の一方の面14Aには、陽極部18が形成されている。この陽極部18も金属メッキである。陽極部16,18の金属メッキとしては、銀等の金属材料を用いている。
【0026】
圧電セラミックプレート12の他方の面12Bと圧電セラミックプレート14の他方の面14Bの間には、陰極部20が貼り合わせてある。すなわち陰極部20は他方の面12B,14Bの間に挟まれた状態で保持されている。
陰極部20は、金属プレートであり、例えばステンレス等の金属材料を採用することができる。
陽極部16,18は、電気接続配線部30とスイッチ34を介して、電源33に対して電気的に接続されている。
図1と図2に示す圧電セラミックプレート12,14は、いわゆる二層構造のものであるが、これに限らずセラミックプレートの三層構造以上の構成としても勿論構わない。
【0027】
次に、電気接続配線部30について説明する。
電気接続配線部30は、配線基板40,41,42および半田59Aを有している。
配線基板40,41,42は、例えば好ましくはフレキシブル配線板を用いることができる。このフレキシブル配線板は、絶縁材に対して導体部を形成した通常用いられているフレキシブルプリント基板である。絶縁材としては例えばポリイミドを採用することができ、そのポリイミド内に配置される導体部(導体パターンともいう)は例えば銅により作られている。
【0028】
配線基板40は、陽極部16に対して半田59Aを用いて電気的に接続されている。配線基板41は、半田59Aを用いて陽極部18に対して電気的に接続されている。配線基板42は、半田59Aを用いて陰極部20に対して電気的に接続されている。
陽極部16は、半田59A、配線基板40の導体部50およびスイッチ34を介して電源33の陽極に電気的に接続されている。陽極部18は、半田59A、配線基板40の導体部51およびスイッチ34を介して電源33の陽極に電気的に接続されている。
陰極部20は、半田59Aと配線基板42の導体部52を介して電源33の陰極に電気的に接続されている。
【0029】
次に、この電気接続配線部30の配線基板40,41,42について更に詳しく説明する。
図3乃至図6は、配線基板40の半田59Aの付近を代表して示している。配線基板40の半田59Aの付近の領域の構造は、配線基板41の半田59Aの付近の領域の構造と、配線基板42の半田59Aの付近の領域の構造と同じであるので、図3乃至図6においては、配線基板40の半田59Aの付近の領域の構造を代表して説明する。
【0030】
図5と図6は配線基板40の構造をより詳しく示している。
配線基板40の絶縁材51には既に述べた導体部50が形成されている。この導体部50は、直線状の導体パターン部分60と円形状の導体パターン部分61を有している。円形状の導体パターン部分61に対応して、配線基板40はスルーホール70を有している。スルーホール70は、配線基板40の端部71側に形成されており、配線基板40を貫通している。図3と図4は、この配線基板40の端部71付近を示している。
【0031】
図3の円形状の導体パターン部分61は、スルーホール70の内周縁に沿って、しかも絶縁材51の一方の面と他方の面にかけてほぼ断面U字型に形成されている。配線基板40の絶縁材51の下面74側は、接着剤75により陽極部16の表面16Aに対して接着されている。この接着剤75は、例えば電気絶縁性の市販の両面テープ、市販のエポキシ接着剤、市販の瞬間接着剤等を採用することができる。
【0032】
図3のように、スルーホール70は、円形状の導体パターン部分61の中には、所定量の容量を有する球状の半田ボール80を配置することができる。この状態では、半田ボール80は、円形状の導体パターン部分61によりX方向における移動が阻止されるとともに、半田ボール80は陽極部16の表面16Aに保持される。このことから半田ボール80はZ1方向に対しても保持される。従って半田ボール80は円形状の導体パターン部分61と表面16Aにより移動しないように確実に位置決めして配置することができるのである。
【0033】
半田ボール80は、例えば無鉛半田を用いることができる。この半田ボール80は、図3から図4に示すように溶融されることにより、半田59Aになる。この半田59Aは、円形状の導体パターン部分61と陽極部16の表面16Aを電気的に確実に接続することができる。
この半田ボール80を溶融するために、半田ボール80を局所加熱する。この局所加熱を行うことで、圧電素子の圧電セラミックプレート側に熱的ダメージを与えないようにするのである。しかも非常に小さい半田ボール80を用いることにより、所定量の微小な半田量を正確に表面16A側に供給することができるので、熱的なダメージは最小限に小さくできる。
【0034】
半田ボール80を図3に示すように局所加熱するためには、例えばレーザ光を用いる。このレーザ光Lは、例えば半導体レーザやエキシマレーザ等のレーザ光を用いることができるが、いずれにしても半田ボール80を溶融できるものであればどのような種類のレーザ光を用いても構わない。
図3のようにこの半田ボール80に対してレーザ光Lを照射することで、半田ボール80は図3の球形の状態から図4のように溶融した半田59Aの状態に変化する。これによって、半田59Aは、円形状の導体パターン部分61と陽極部16の表面16Aが電気的に接続することができる。
しかも接着剤75を用いて配線基板40と陽極部16の表面16Aが接着されているので、この状態における機械的な強度も確実に確保することができる。
【0035】
次に、図7を参照しながら上述した圧電素子10の製造方法について説明する。
まず図7の半田配置ステップST1では、図6と図3に示すように、陽極部16の表面16Aに対して配線基板40の下面74を接着剤75を用いて接着する。これによって、スルーホール70および円形状の導体パターン部分61は、表面16Aに対面した位置に位置決めされる。この場合に配線基板40の端部71は陽極部16の端部側に配置される。
このように配線基板40が陽極部16に対して接着された後に、半田ボール80が図6と図3に示すように円形状の導体パターン部分61の中に配置される。これによって、半田ボール80は円形状の導体パターン部分61と表面16AによりX方向及びZ1方向に関して位置決めされる。
【0036】
次に図7の接続ステップST2に移る。
この接続ステップST2では、図3に示すレーザ光Lが半田ボール80に対して照射される。これにより半田ボール80は局所加熱されて溶融し、図4に示すように導体パターン部分61と陽極部16の表面16Aを電気的に接続することになる。
このようにして、配線基板40の導体部50と陽極部16の表面16Aは、半田59Aを用いて電気的に確実に接続することができるのである。
このような図7に示す半田配置ステップST1と接続ステップST2は、図1と図2に示す陽極部18の表面18Aと陰極部20の表面20Aに対して配線基板41,42の導体部51,52をそれぞれ電気的に接続する場合も同様に行えるのである。
【0037】
上述したように電気的に接続することにより、陽極部16,18および陰極部20は、電源33に対して電気的に接続される。図1のスイッチ34をオンにすることにより、図2に示すように圧電素子10はD方向に変位する。このD方向に変位する圧電素子10の変位量は、陽極部16,18および陰極部20に対して与える電圧値により変えることができる。
【0038】
上述した例では、半田59Aを設けるために半田ボール80を用いている。
図7と図8の別の実施の形態では、半田ボール80に代えてクリーム半田100を用いた例を示している。
クリーム半田100は、例えばやはり無鉛半田である。
図7と図8の図示例では、やはり図1の陽極部16およびそれに対応する配線基板40を例に説明している。しかし図7と図8に示す実施の形態は、図1に示す配線基板41および42に対しても同様に適用することができるものである。
【0039】
図8と図9に示す配線基板40の構造は、図3と図4に示す配線基板40の構造と同じものである。図8と図9に示す圧電素子の製造方法は、図10に示している。
図10の半田配置ステップST10では、図8(A)に示すようにクリーム半田100が配線基板40の導体パターン部61内のスルーホール70に対して充填される。この際にクリーム半田100は例えば図示しないスキージを用いて充填することができる。クリーム半田100はこのスルーホール70内において所定量かつ微小な量だけ充填することができる。
【0040】
次に、図10のリフロー炉での予備加熱ステップST11においては、図8(B)に示すように配線基板40をリフロー炉に入れて、スルーホール70内のクリーム半田100を予備加熱する。
次に、図10の接続ステップST12では、図9(A)に示すように、配線基板40が接着剤75を用いて陽極部16の表面16Aに対して接着される。その後、レーザ光Lがクリーム半田100に対して照射される。
これによってクリーム半田100は局部加熱されて図9(B)に示すように溶融された半田59Aになる。この半田59Aは、導体パターン部61と陽極部16の表面16Aを電気的に確実に接続することができる。しかも接着剤75が、配線基板40を陽極部16の表面16Aに対して機械的に確実に接続している。
【0041】
このように図10のリフロー炉での予備加熱ステップST11において、予めクリーム半田100に対して予備加熱するのは次のような理由からである。すなわち図9(A)に示すように、クリーム半田100に対して予備加熱することなく直接レーザ光Lを照射してクリーム半田100を溶融させると、クリーム半田100の添加材の気化のために、半田が飛散してしまう恐れがあるからである。このために、予めリフロー炉内において図8(B)に示すようにクリーム半田100に対して予備加熱をして半田を予備溶融させておく。この予備加熱する際の温度は、例えばクリーム半田が十分に溶融する300℃である。
【0042】
本発明の実施の形態では、熱に弱い圧電素子を使用した製品において、圧電素子の電極に電圧供給用ケーブル等を接続する際に、接合に使用する半田を微小かつ正確な量で供給し、レーザ等により局所的に加熱して接合を行う。こうすることによって、圧電素子に対して、その特性を損なうことのない生産が可能となる。
接合部を局所的に加熱、もしくは活性化させて接合するため、仮に圧電素子に対する熱ダメージがあった場合でも、それを局所的にし、圧電素子の性能として問題の無いレベルにすることができる。
微小な半田の量を正確にコントロールすることによって、接合に必要なエネルギーを小さく一定にし、電気的接合部における圧電素子に対する熱的なダメージを微小かつ一定にすることができる。従って、生産工程において、製品の圧電特性を損なうことなく、特性バラツキの少ない生産が可能となる。
【0043】
上述した実施の形態では、図1と図2に示すように配線基板40,41,42は、フレキシブル配線板を用いている。このフレキシブル配線板は、非常に薄くて柔軟性があり電圧供給用のケーブルとしては有用である。
このような柔軟性のあるフレキシブル配線板は、図1に示すように予め接着剤75により陽極部16の表面16Aあるいは陽極部18の表面18Aあるいは陰極部20の表面20Aに対して貼り付けて仮の位置決めをすることができる。このことから柔軟性のあるフレキシブルプリント配線板であっても、確実に位置決めを行うことができるのである。
【0044】
図3に示すように半田ボール80に対してレーザ光Lを照射する際には、レーザ照射機は半田ボール80に対して局所加熱することができる。このために半田を溶かす際の熱負荷が圧電素子の圧電セラミックプレート12,14に対して加わりにくく、圧電素子10の特性を低下させることが無い。
図1に示すように配線基板40,41,42は、接着剤75を用いているが、これに限らず接着剤を用いずに保持用の保持冶具を利用する方法により配線基板を陽極部や陰極部の所定位置に保持するようにしても勿論構わない。
配線基板40は、フレキシブルプリント配線板に限らず通常の銅線あるいは硬い基板であっても薄ければ特に問題は無い。
【0045】
本発明の圧電素子は、圧電アクチュエータとして用いる例を示している。しかしこの圧電素子10は、超音波モータや圧電センサあるいはその他の用途に適用することができるものである。
また圧電セラミックプレートの枚数は2枚に限らず3枚以上であっても勿論構わない。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、微小な半田量を用いるだけで、熱的な負荷をかけずに圧電素子の陽極部と陰極部に対して配線基板を電気的に確実に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電素子を示しており、電圧が供給されていない状態を示す図。
【図2】図1の圧電素子に対して電圧が供給されて変形した状態を示す図。
【図3】圧電素子の陽極部と陰極部に対して配線基板が位置決めされて、半田ボールが配置された状態を示す図。
【図4】レーザ光により半田ボールが溶融された状態を示す図。
【図5】配線基板の一例を示す平面図。
【図6】配線基板等を示す斜視図。
【図7】半田ボールを用いた場合の圧電素子の製造方法を示す図。
【図8】半田ボールに代えてクリーム半田を用いた実施の形態を示す図。
【図9】図8の実施の形態において、クリーム半田がレーザ光により溶融された状態を示す図。
【図10】クリーム半田を用いた場合の圧電素子の製造方法を示す図。
【図11】従来の一般的な圧電素子の構造を示す図。
【符号の説明】
10・・・圧電素子、12,14・・・圧電セラミックプレート、16,18・・・陽極部、20・・・陰極部、30・・・電気接続配線部、40,41,42・・・配線基板、50,51,52・・・配線基板の導体部、59A・・・半田、80・・・半田ボール、100・・・クリーム半田
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電素子の製造方法および圧電素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば電子機器に用いられるマイクロアクチュエータのひとつとして、圧電素子がある。この圧電素子は、マイクロアクチュエータとして用いることにより、電子機器の小型化に寄与するものである。
圧電素子の材料特性の1つにキューリー点がある。キューリー点とは素子が特性を失ってしまう限界温度を示す。キューリー点は圧電素子の種類により異なるが、140℃〜300℃のものが多い。そして、圧電素子を加工して組立てをするために熱を加えなければならない場合、圧電素子の特性に影響を与えないためには、加熱温度はキューリー点より更に数10℃低い温度にする必要がある。
【0003】
図11は、一般的な圧電素子を示している。この圧電素子は圧電アクチュエーターとも呼んでいるが、複数枚の圧電セラミックプレート1000,1001の間には、陰極用の陰極プレート1003が挟まれている。圧電セラミックプレート1000の面には、陽極用の金属メッキ1004が施されており、圧電セラミックプレート1001の面には陽極用の金属メッキ1005が施されている。
【0004】
もし陽極用に金属プレートを使うと、この部分の延び縮みができなくなり、圧電素子が曲がらなくなってしまうので、陽極にはメッキ処理などの曲げ、延びに対して柔軟な電極の構造が必要である。
ここで陽極と陰極の両極間に電圧を加えると、圧電セラミックプレート1000,1001の内部に電界が発生し、図11(A)の状態から図11(B)に示すように、片方の圧電セラミックプレート1001が縮み、もう一方の圧電セラミックプレート1000が延びるため、圧電素子は電界に比例した機械的変位を出力する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、問題となるのが電極に対する電圧供給用ケーブルの接続方法である。最も一般的で安価な接続方法としては、半田による接合があげられるが、現在主流の無鉛半田の融点は280℃であり、この半田による接合を確実に行うには、300℃以上に加熱する必要がある。
従って、この必要な加熱温度が上述した圧電素子のキューリー点を超えてしまい、圧電素子の特性を下げてしまうといった問題があった。
従来は、接続に使用する電気供給ラインを細くするとともに、半田の量を極力少なくし、圧電素子に対する熱の影響を小さくしようとしていた。しかし、半田を使った接合では、微小な半田量を正確にコントロールすることが難しく、素子に対して与える熱量にバラツキが生じ、圧電素子の特性が安定しないという問題があった。
そこで本発明は上記課題を解消し、微小な半田量を用いるだけで、熱的な負荷をかけずに圧電素子の陽極部と陰極部に対して配線基板を電気的に確実に接続することができる圧電素子の製造方法および圧電素子を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、圧電セラミックプレートと、前記圧電セラミックプレートの一方の面に配置された陽極部と、前記圧電セラミックプレートの他方の面に配置された陰極部とを有し、前記陽極部と前記陰極部に対して配線基板を電気的に接続する圧電素子の製造方法であり、前記配線基板に形成されているスルーホール内に半田を配置する半田配置ステップと、前記スルーホール内に配置された前記半田を局所加熱して前記半田を溶融することで前記陽極部と前記配線基板の導体部とを電気的に接続し、前記スルーホール内に配置された前記半田を局所加熱して前記半田を溶融することで前記陰極部と前記配線基板の導体部とを電気的に接続する接続ステップと、を含むことを特徴とする圧電素子の製造方法である。
【0007】
請求項1では、半田配置ステップにおいては、配線基板に形成されているスルーホール内に半田を配置する。
接続ステップでは、スルーホール内に配置された半田を局所加熱して半田を溶融することで、陽極部と配線基板の導体部とを電気的に接続するとともに、陰極部と配線基板の導体部とを電気的に接続する。
これにより、スルーホール内に所定の微小量の半田を供給するだけで、この微小量の半田を局所加熱すれば良いので、圧電素子側に対して熱的な負荷をかけずに、陽極部と配線基板の導体部との電気的接続および陰極部と配線基板の導体部との電気的接続を、確実に行うことができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の圧電素子の製造方法において、前記半田は半田ボールであり、前記半田配置ステップにおいて、前記配線基板が前記陽極部と前記陰極部に接着された後に、前記半田ボールが前記スルーホール内に配置される。
【0009】
請求項2では、用いる半田は所定量の半田ボールであり、半田配置ステップにおいては、配線基板が陽極部と陰極部に接着された後に、半田ボールがスルーホール内に配置される。これにより、半田ボールはスルーホール内において確実に保持することができ、半田ボールの位置決めが確実に行え、半田付け作業が確実になる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1に記載の圧電素子の製造方法において、前記半田はクリーム半田であり、前記半田配置ステップにおいて、前記クリーム半田は前記スルーホール内に充填され、その後前記配線基板が前記陽極部と前記陰極部に接着される。
【0011】
請求項3では、半田はクリーム半田であり、半田配置ステップにおいては、半田クリームはスルーホール内に充填される。これによりクリーム半田はスルーホール内において微小量を確実に充填することができる。そして配線基板が陽極部と陰極部に接着することにより、スルーホール内のクリーム半田は陽極部と陰極部に対してそれぞれ確実に配置することができるのである。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1に記載の圧電素子の製造方法において、前記配線基板はフレキシブル配線板であり、前記スルーホールを形成している周囲部と前記導体部が電気的に接続されている。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1に記載の圧電素子の製造方法において、前記局所加熱するのはレーザ光である。
【0014】
請求項6の発明は、圧電セラミックプレートと、前記圧電セラミックプレートの一方の面に配置された陽極部と、前記圧電セラミックプレートの他方の面に配置された陰極部とを有する圧電素子であり、前記陽極部と前記陰極部に対して電気的に接続される配線基板と、前記配線基板に形成されているスルーホール内に配置された半田と、を備え、前記スルーホール内に配置された前記半田が局所加熱されて溶融されることで、前記陽極部と前記配線基板の導体部とが電気的に接続され、前記スルーホール内に配置された前記半田が局所加熱されて前記半田が溶融されることで、前記陰極部と前記配線基板の導体部とが電気的に接続されていることを特徴とする圧電素子である。
【0015】
請求項6では、半田配置ステップにおいては、配線基板に形成されているスルーホールに半田を配置する。
接続ステップでは、スルーホール内に配置された半田を局所加熱して半田を溶融することで、陽極部と配線基板の導体部とを電気的に接続するとともに、陰極部と配線基板の導体部とを電気的に接続する。
これにより、スルーホール内に所定の微小量の半田を供給するだけで、この微小量の半田を局所加熱すれば良いので、圧電素子側に対して熱的な負荷をかけずに、陽極部と配線基板の導体部との電気的接続および陰極部と配線基板の導体部との電気的接続を、確実に行うことができる。
【0016】
請求項7の発明は、請求項6に記載の圧電素子において、前記半田は半田ボールであり、前記半田配置ステップにおいて、前記配線基板が前記陽極部と前記陰極部に接着された後に、前記半田ボールが前記スルーホール内に配置される。
【0017】
請求項7では、用いる半田は所定量の半田ボールであり、半田配置ステップにおいては、配線基板が陽極部と陰極部に接着された後に、半田ボールがスルーホール内に配置される。これにより、半田ボールはスルーホール内において確実に保持することができ、半田ボールの位置決めが確実に行え、半田付け作業が確実になる。
【0018】
請求項8の発明は、請求項6に記載の圧電素子において、前記半田はクリーム半田であり、前記半田配置ステップにおいて、前記クリーム半田は前記スルーホール内に充填され、その後前記配線基板が前記陽極部と前記陰極部に接着される。
【0019】
請求項8では、半田はクリーム半田であり、半田配置ステップにおいては、半田クリームはスルーホール内に充填される。これによりクリーム半田はスルーホール内において微小量を確実に充填することができる。そして配線基板が陽極部と陰極部に接着することにより、スルーホール内のクリーム半田は陽極部と陰極部に対してそれぞれ確実に配置することができるのである。
【0020】
請求項9の発明は、請求項6に記載の圧電素子において、前記配線基板はフレキシブル配線板であり、前記スルーホールを形成している周囲部と前記導体部が電気的に接続されている。
【0021】
請求項10の発明は、請求項6に記載の圧電素子において、前記局所加熱するのはレーザ光である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0023】
図1と図2は、本発明の圧電素子の好ましい実施の形態を示している。
図1に示す圧電素子10は、電圧をかけていない静止状態を示しており、図2は、圧電素子に電圧を与えて変形させた状態を示している。図1と図2に示す圧電素子10の構造は次のようになっている。
この圧電素子10は、いわゆるバイモルフ型圧電アクチュエータとも呼んでおり、圧電セラミックアクチュエータなどとも呼んでいる。
圧電素子10は、マイクロアクチュエータの一種であり、電子機器あるいは機械装置に装着される。
【0024】
この圧電素子10は、図1と図2の例では、2枚の圧電セラミックプレート12,14、陽極部16,18および陰極部20、そして電気接続配線部30を有している。
圧電セラミックプレート12,14は、同じ板厚のセラミックプレートである。圧電セラミックプレート12,14の材質は、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)等のようなセラミック材料を採用することができる。
【0025】
一方の圧電セラミックプレート12の一方の面12Aには、陽極部16が形成されている。この陽極部16は金属メッキである。
圧電セラミックプレート14の一方の面14Aには、陽極部18が形成されている。この陽極部18も金属メッキである。陽極部16,18の金属メッキとしては、銀等の金属材料を用いている。
【0026】
圧電セラミックプレート12の他方の面12Bと圧電セラミックプレート14の他方の面14Bの間には、陰極部20が貼り合わせてある。すなわち陰極部20は他方の面12B,14Bの間に挟まれた状態で保持されている。
陰極部20は、金属プレートであり、例えばステンレス等の金属材料を採用することができる。
陽極部16,18は、電気接続配線部30とスイッチ34を介して、電源33に対して電気的に接続されている。
図1と図2に示す圧電セラミックプレート12,14は、いわゆる二層構造のものであるが、これに限らずセラミックプレートの三層構造以上の構成としても勿論構わない。
【0027】
次に、電気接続配線部30について説明する。
電気接続配線部30は、配線基板40,41,42および半田59Aを有している。
配線基板40,41,42は、例えば好ましくはフレキシブル配線板を用いることができる。このフレキシブル配線板は、絶縁材に対して導体部を形成した通常用いられているフレキシブルプリント基板である。絶縁材としては例えばポリイミドを採用することができ、そのポリイミド内に配置される導体部(導体パターンともいう)は例えば銅により作られている。
【0028】
配線基板40は、陽極部16に対して半田59Aを用いて電気的に接続されている。配線基板41は、半田59Aを用いて陽極部18に対して電気的に接続されている。配線基板42は、半田59Aを用いて陰極部20に対して電気的に接続されている。
陽極部16は、半田59A、配線基板40の導体部50およびスイッチ34を介して電源33の陽極に電気的に接続されている。陽極部18は、半田59A、配線基板40の導体部51およびスイッチ34を介して電源33の陽極に電気的に接続されている。
陰極部20は、半田59Aと配線基板42の導体部52を介して電源33の陰極に電気的に接続されている。
【0029】
次に、この電気接続配線部30の配線基板40,41,42について更に詳しく説明する。
図3乃至図6は、配線基板40の半田59Aの付近を代表して示している。配線基板40の半田59Aの付近の領域の構造は、配線基板41の半田59Aの付近の領域の構造と、配線基板42の半田59Aの付近の領域の構造と同じであるので、図3乃至図6においては、配線基板40の半田59Aの付近の領域の構造を代表して説明する。
【0030】
図5と図6は配線基板40の構造をより詳しく示している。
配線基板40の絶縁材51には既に述べた導体部50が形成されている。この導体部50は、直線状の導体パターン部分60と円形状の導体パターン部分61を有している。円形状の導体パターン部分61に対応して、配線基板40はスルーホール70を有している。スルーホール70は、配線基板40の端部71側に形成されており、配線基板40を貫通している。図3と図4は、この配線基板40の端部71付近を示している。
【0031】
図3の円形状の導体パターン部分61は、スルーホール70の内周縁に沿って、しかも絶縁材51の一方の面と他方の面にかけてほぼ断面U字型に形成されている。配線基板40の絶縁材51の下面74側は、接着剤75により陽極部16の表面16Aに対して接着されている。この接着剤75は、例えば電気絶縁性の市販の両面テープ、市販のエポキシ接着剤、市販の瞬間接着剤等を採用することができる。
【0032】
図3のように、スルーホール70は、円形状の導体パターン部分61の中には、所定量の容量を有する球状の半田ボール80を配置することができる。この状態では、半田ボール80は、円形状の導体パターン部分61によりX方向における移動が阻止されるとともに、半田ボール80は陽極部16の表面16Aに保持される。このことから半田ボール80はZ1方向に対しても保持される。従って半田ボール80は円形状の導体パターン部分61と表面16Aにより移動しないように確実に位置決めして配置することができるのである。
【0033】
半田ボール80は、例えば無鉛半田を用いることができる。この半田ボール80は、図3から図4に示すように溶融されることにより、半田59Aになる。この半田59Aは、円形状の導体パターン部分61と陽極部16の表面16Aを電気的に確実に接続することができる。
この半田ボール80を溶融するために、半田ボール80を局所加熱する。この局所加熱を行うことで、圧電素子の圧電セラミックプレート側に熱的ダメージを与えないようにするのである。しかも非常に小さい半田ボール80を用いることにより、所定量の微小な半田量を正確に表面16A側に供給することができるので、熱的なダメージは最小限に小さくできる。
【0034】
半田ボール80を図3に示すように局所加熱するためには、例えばレーザ光を用いる。このレーザ光Lは、例えば半導体レーザやエキシマレーザ等のレーザ光を用いることができるが、いずれにしても半田ボール80を溶融できるものであればどのような種類のレーザ光を用いても構わない。
図3のようにこの半田ボール80に対してレーザ光Lを照射することで、半田ボール80は図3の球形の状態から図4のように溶融した半田59Aの状態に変化する。これによって、半田59Aは、円形状の導体パターン部分61と陽極部16の表面16Aが電気的に接続することができる。
しかも接着剤75を用いて配線基板40と陽極部16の表面16Aが接着されているので、この状態における機械的な強度も確実に確保することができる。
【0035】
次に、図7を参照しながら上述した圧電素子10の製造方法について説明する。
まず図7の半田配置ステップST1では、図6と図3に示すように、陽極部16の表面16Aに対して配線基板40の下面74を接着剤75を用いて接着する。これによって、スルーホール70および円形状の導体パターン部分61は、表面16Aに対面した位置に位置決めされる。この場合に配線基板40の端部71は陽極部16の端部側に配置される。
このように配線基板40が陽極部16に対して接着された後に、半田ボール80が図6と図3に示すように円形状の導体パターン部分61の中に配置される。これによって、半田ボール80は円形状の導体パターン部分61と表面16AによりX方向及びZ1方向に関して位置決めされる。
【0036】
次に図7の接続ステップST2に移る。
この接続ステップST2では、図3に示すレーザ光Lが半田ボール80に対して照射される。これにより半田ボール80は局所加熱されて溶融し、図4に示すように導体パターン部分61と陽極部16の表面16Aを電気的に接続することになる。
このようにして、配線基板40の導体部50と陽極部16の表面16Aは、半田59Aを用いて電気的に確実に接続することができるのである。
このような図7に示す半田配置ステップST1と接続ステップST2は、図1と図2に示す陽極部18の表面18Aと陰極部20の表面20Aに対して配線基板41,42の導体部51,52をそれぞれ電気的に接続する場合も同様に行えるのである。
【0037】
上述したように電気的に接続することにより、陽極部16,18および陰極部20は、電源33に対して電気的に接続される。図1のスイッチ34をオンにすることにより、図2に示すように圧電素子10はD方向に変位する。このD方向に変位する圧電素子10の変位量は、陽極部16,18および陰極部20に対して与える電圧値により変えることができる。
【0038】
上述した例では、半田59Aを設けるために半田ボール80を用いている。
図7と図8の別の実施の形態では、半田ボール80に代えてクリーム半田100を用いた例を示している。
クリーム半田100は、例えばやはり無鉛半田である。
図7と図8の図示例では、やはり図1の陽極部16およびそれに対応する配線基板40を例に説明している。しかし図7と図8に示す実施の形態は、図1に示す配線基板41および42に対しても同様に適用することができるものである。
【0039】
図8と図9に示す配線基板40の構造は、図3と図4に示す配線基板40の構造と同じものである。図8と図9に示す圧電素子の製造方法は、図10に示している。
図10の半田配置ステップST10では、図8(A)に示すようにクリーム半田100が配線基板40の導体パターン部61内のスルーホール70に対して充填される。この際にクリーム半田100は例えば図示しないスキージを用いて充填することができる。クリーム半田100はこのスルーホール70内において所定量かつ微小な量だけ充填することができる。
【0040】
次に、図10のリフロー炉での予備加熱ステップST11においては、図8(B)に示すように配線基板40をリフロー炉に入れて、スルーホール70内のクリーム半田100を予備加熱する。
次に、図10の接続ステップST12では、図9(A)に示すように、配線基板40が接着剤75を用いて陽極部16の表面16Aに対して接着される。その後、レーザ光Lがクリーム半田100に対して照射される。
これによってクリーム半田100は局部加熱されて図9(B)に示すように溶融された半田59Aになる。この半田59Aは、導体パターン部61と陽極部16の表面16Aを電気的に確実に接続することができる。しかも接着剤75が、配線基板40を陽極部16の表面16Aに対して機械的に確実に接続している。
【0041】
このように図10のリフロー炉での予備加熱ステップST11において、予めクリーム半田100に対して予備加熱するのは次のような理由からである。すなわち図9(A)に示すように、クリーム半田100に対して予備加熱することなく直接レーザ光Lを照射してクリーム半田100を溶融させると、クリーム半田100の添加材の気化のために、半田が飛散してしまう恐れがあるからである。このために、予めリフロー炉内において図8(B)に示すようにクリーム半田100に対して予備加熱をして半田を予備溶融させておく。この予備加熱する際の温度は、例えばクリーム半田が十分に溶融する300℃である。
【0042】
本発明の実施の形態では、熱に弱い圧電素子を使用した製品において、圧電素子の電極に電圧供給用ケーブル等を接続する際に、接合に使用する半田を微小かつ正確な量で供給し、レーザ等により局所的に加熱して接合を行う。こうすることによって、圧電素子に対して、その特性を損なうことのない生産が可能となる。
接合部を局所的に加熱、もしくは活性化させて接合するため、仮に圧電素子に対する熱ダメージがあった場合でも、それを局所的にし、圧電素子の性能として問題の無いレベルにすることができる。
微小な半田の量を正確にコントロールすることによって、接合に必要なエネルギーを小さく一定にし、電気的接合部における圧電素子に対する熱的なダメージを微小かつ一定にすることができる。従って、生産工程において、製品の圧電特性を損なうことなく、特性バラツキの少ない生産が可能となる。
【0043】
上述した実施の形態では、図1と図2に示すように配線基板40,41,42は、フレキシブル配線板を用いている。このフレキシブル配線板は、非常に薄くて柔軟性があり電圧供給用のケーブルとしては有用である。
このような柔軟性のあるフレキシブル配線板は、図1に示すように予め接着剤75により陽極部16の表面16Aあるいは陽極部18の表面18Aあるいは陰極部20の表面20Aに対して貼り付けて仮の位置決めをすることができる。このことから柔軟性のあるフレキシブルプリント配線板であっても、確実に位置決めを行うことができるのである。
【0044】
図3に示すように半田ボール80に対してレーザ光Lを照射する際には、レーザ照射機は半田ボール80に対して局所加熱することができる。このために半田を溶かす際の熱負荷が圧電素子の圧電セラミックプレート12,14に対して加わりにくく、圧電素子10の特性を低下させることが無い。
図1に示すように配線基板40,41,42は、接着剤75を用いているが、これに限らず接着剤を用いずに保持用の保持冶具を利用する方法により配線基板を陽極部や陰極部の所定位置に保持するようにしても勿論構わない。
配線基板40は、フレキシブルプリント配線板に限らず通常の銅線あるいは硬い基板であっても薄ければ特に問題は無い。
【0045】
本発明の圧電素子は、圧電アクチュエータとして用いる例を示している。しかしこの圧電素子10は、超音波モータや圧電センサあるいはその他の用途に適用することができるものである。
また圧電セラミックプレートの枚数は2枚に限らず3枚以上であっても勿論構わない。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、微小な半田量を用いるだけで、熱的な負荷をかけずに圧電素子の陽極部と陰極部に対して配線基板を電気的に確実に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電素子を示しており、電圧が供給されていない状態を示す図。
【図2】図1の圧電素子に対して電圧が供給されて変形した状態を示す図。
【図3】圧電素子の陽極部と陰極部に対して配線基板が位置決めされて、半田ボールが配置された状態を示す図。
【図4】レーザ光により半田ボールが溶融された状態を示す図。
【図5】配線基板の一例を示す平面図。
【図6】配線基板等を示す斜視図。
【図7】半田ボールを用いた場合の圧電素子の製造方法を示す図。
【図8】半田ボールに代えてクリーム半田を用いた実施の形態を示す図。
【図9】図8の実施の形態において、クリーム半田がレーザ光により溶融された状態を示す図。
【図10】クリーム半田を用いた場合の圧電素子の製造方法を示す図。
【図11】従来の一般的な圧電素子の構造を示す図。
【符号の説明】
10・・・圧電素子、12,14・・・圧電セラミックプレート、16,18・・・陽極部、20・・・陰極部、30・・・電気接続配線部、40,41,42・・・配線基板、50,51,52・・・配線基板の導体部、59A・・・半田、80・・・半田ボール、100・・・クリーム半田
Claims (10)
- 圧電セラミックプレートと、前記圧電セラミックプレートの一方の面に配置された陽極部と、前記圧電セラミックプレートの他方の面に配置された陰極部とを有し、前記陽極部と前記陰極部に対して配線基板を電気的に接続する圧電素子の製造方法であり、
前記配線基板に形成されているスルーホール内に半田を配置する半田配置ステップと、
前記スルーホール内に配置された前記半田を局所加熱して前記半田を溶融することで前記陽極部と前記配線基板の導体部とを電気的に接続し、前記スルーホール内に配置された前記半田を局所加熱して前記半田を溶融することで前記陰極部と前記配線基板の導体部とを電気的に接続する接続ステップと、
を含むことを特徴とする圧電素子の製造方法。 - 前記半田は半田ボールであり、前記半田配置ステップにおいて、前記配線基板が前記陽極部と前記陰極部に接着された後に、前記半田ボールが前記スルーホール内に配置される請求項1に記載の圧電素子の製造方法。
- 前記半田はクリーム半田であり、前記半田配置ステップにおいて、前記クリーム半田は前記スルーホール内に充填され、その後前記配線基板が前記陽極部と前記陰極部に接着される請求項1に記載の圧電素子の製造方法。
- 前記配線基板はフレキシブル配線板であり、前記スルーホールを形成している周囲部と前記導体部が電気的に接続されている請求項1に記載の圧電素子の製造方法。
- 前記局所加熱するのはレーザ光である請求項1に記載の圧電素子の製造方法。
- 圧電セラミックプレートと、前記圧電セラミックプレートの一方の面に配置された陽極部と、前記圧電セラミックプレートの他方の面に配置された陰極部とを有する圧電素子であり、
前記陽極部と前記陰極部に対して電気的に接続される配線基板と、
前記配線基板に形成されているスルーホール内に配置された半田と、を備え、前記スルーホール内に配置された前記半田が局所加熱されて溶融されることで、前記陽極部と前記配線基板の導体部とが電気的に接続され、前記スルーホール内に配置された前記半田が局所加熱されて前記半田が溶融されることで、前記陰極部と前記配線基板の導体部とが電気的に接続されていることを特徴とする圧電素子。 - 前記半田は半田ボールであり、前記半田配置ステップにおいて、前記配線基板が前記陽極部と前記陰極部に接着された後に、前記半田ボールが前記スルーホール内に配置される請求項6に記載の圧電素子。
- 前記半田はクリーム半田であり、前記半田配置ステップにおいて、前記クリーム半田は前記スルーホール内に充填され、その後前記配線基板が前記陽極部と前記陰極部に接着される請求項6に記載の圧電素子。
- 前記配線基板はフレキシブル配線板であり、前記スルーホールを形成している周囲部と前記導体部が電気的に接続されている請求項6に記載の圧電素子。
- 前記局所加熱するのはレーザ光である請求項6に記載の圧電素子。
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JP2002180192A JP2004023067A (ja) | 2002-06-20 | 2002-06-20 | 圧電素子の製造方法および圧電素子 |
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JP2002180192A JP2004023067A (ja) | 2002-06-20 | 2002-06-20 | 圧電素子の製造方法および圧電素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005340631A (ja) * | 2004-05-28 | 2005-12-08 | Sony Corp | 圧電素子部品及び電子装置 |
KR101312424B1 (ko) | 2010-03-25 | 2013-09-27 | 주식회사 엘지화학 | 인쇄회로기판의 표면 실장 방법 |
-
2002
- 2002-06-20 JP JP2002180192A patent/JP2004023067A/ja active Pending
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