JP2004021327A - タッチセンサ付き表示装置および位置データ生成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも視差が小さく、且つ、複雑な回路構成を必要としないタッチセンサ付き表示装置、および、位置データ生成方法を提供する。
【解決手段】本発明のタッチセンサ付き表示装置20は、電極5を備える表示パネル10と、位置検出用透明導電膜7と、検出回路とを有している。このタッチセンサ付き表示装置では、電極5に周期的に変化する振動電圧を印加することによって位置検出用透明導電膜7に誘起電圧を発生させて、位置検出用透明導電膜7に電界を生成し、位置検出用透明導電膜7に接触点を形成することによって生じる電流変化に基づいて、接触点の位置データを生成する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明のタッチセンサ付き表示装置20は、電極5を備える表示パネル10と、位置検出用透明導電膜7と、検出回路とを有している。このタッチセンサ付き表示装置では、電極5に周期的に変化する振動電圧を印加することによって位置検出用透明導電膜7に誘起電圧を発生させて、位置検出用透明導電膜7に電界を生成し、位置検出用透明導電膜7に接触点を形成することによって生じる電流変化に基づいて、接触点の位置データを生成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示面におけるペンや指などによって接触された位置を検出することのできるタッチセンサ付き表示装置、および位置データ生成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タッチセンサは、指やペンなどによる接触が行われた場所の位置検出を行うための入力装置である。位置検出の方式としては、静電容量結合方式、抵抗膜方式、赤外線方式、超音波方式、および電磁誘導/結合方式などが知られている。
【0003】
タッチセンサを表示装置と一体的に使用する場合、例えば、液晶パネルなどの画像表示部の前面(観察者側)にタッチセンサを配置することになる。この場合、タッチセンサが画像表示部からのノイズを受け、タッチセンサの位置検出精度が低下することが問題になっている。画像表示部からのノイズには、例えば、液晶パネルが備える対向電極に印加される共通電圧に起因して、タッチセンサが備える位置検出用透明導電膜に発生する誘起電圧が含まれる。このノイズを除去するために、接触位置を検出するための検出回路において、検出された信号から、誘起電圧に対応する信号を差し引いた上で、接触位置を算出している。
【0004】
特表昭56−500230号公報は、静電容量結合方式のタッチセンサを開示している。従来、液晶パネルに静電容量結合方式のタッチセンサを配置する場合、タッチセンサが備える位置検出用透明導電膜と液晶パネルとの間にシールド層を配置し、このシールド層により、タッチセンサが液晶パネルからのノイズによって悪影響を受けるのを抑制していた。さらに、タッチセンサの位置検出用透明導電膜を液晶パネルから十分遠ざけて配置し、これによっても液晶パネルからのノイズによる影響を抑制していた。
【0005】
特開平9−128146号公報は、抵抗膜方式のタッチセンサを備えた表示装置を開示している。この公報では、タッチセンサから出力データを取り込むタイミングを変化させることにより、出力データに液晶パネルから発生するノイズが混入しないようにしている。
【0006】
また、表示信号に起因するノイズを回避する方法として、表示信号のないブランキング期間に、接触が行われた場所の位置検出を行う方法も用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、タッチセンサと液晶パネルとの間にシールド層を設けた場合、および/または、タッチセンサの位置検出用透明導電膜を液晶パネルから十分遠ざけて配置した場合、視差が大きくなるという問題がある。また、液晶パネルの表示面から観察者までの間に存在するものの透過率が低下する場合がある。さらに、タッチセンサを設けた表示装置が大型化し、薄型化が困難になるという問題もある。
【0008】
また、特開平9−128146号公報の表示装置では、タッチセンサのサンプリングクロックの間隔が一定でなくなり、入力/表示の間隔がまちまちとなる。従って、タッチセンサの使用者が、違和感を感じることになる。
【0009】
また、ブランキング期間に位置検出を行うことによってノイズの影響を回避する場合、水平ブランキング期間は、ノイズ回避のための処理を行うのに時間が十分でないため、垂直ブランキング期間に検出を行う必要がある。垂直ブランキング期間に位置検出を行うには、液晶を、例えば、60Hzで駆動している場合、サンプリング間隔は16.7msとなる。この間隔では、タッチセンサの使用者がスムーズに接触位置を入力するのには遅すぎる。また、このブランキング期間に位置検出を行う方法を実現するためには、液晶パネルの駆動タイミングを知る必要があるため、タイミング信号を得るための回路が別途必要となる。従って、装置の回路が複雑化するという問題が生じる。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、従来よりも視差が小さく、且つ、複雑な回路構成を必要としないタッチセンサ付き表示装置、および、位置データ生成方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のタッチセンサ付き表示装置は、表示媒体層と、前記表示媒体層の観察者側に配置され、かつ、前記表示媒体層を駆動するための電極と、前記電極の観察者側に配置された絶縁層とを有する表示パネルと、前記絶縁層を介して、前記電極に対向するように配置された位置検出用透明導電膜と、前記位置検出用透明導電膜の複数の箇所から流れる電流変化を検出する検出回路とを備え、前記電極に周期的に変化する振動電圧を印加することによって前記位置検出用透明導電膜に誘起電圧を発生させて、前記位置検出用透明導電膜に電界を生成し、前記位置検出用透明導電膜に接触点を形成することによって生じる前記電流変化に基づいて、前記接触点の位置データを生成し、これにより上記課題を解決する。
【0012】
前記誘起電圧は、極大値および/または極小値を周期的に有するパルス波であることが好ましい。
【0013】
前記振動電圧は、前記表示媒体層を駆動するために用いられる電圧であることが好ましい。
【0014】
前記表示パネルは液晶パネルであって、前記振動電圧は、極性が周期的に反転する電圧であってもよい。
【0015】
前記液晶パネルはアクティブマトリクス型液晶パネルであって、前記電極は透明対向電極であってもよい。
【0016】
前記電極と前記位置検出用透明導電膜との間の距離は、約1mm以下であってもよい。
【0017】
前記パルス波の周波数は約40kHzであってもよい。
【0018】
本発明の接触点の位置データを生成する方法は、絶縁層を介して電極と対向するように配置された位置検出用透明導電膜に対する接触点の位置データを生成する方法であり、前記電極に周期的に変化する振動電圧を印加することによって、前記位置検出用透明導電膜に誘起電圧を発生させて、前記位置検出用透明導電膜に電界を生成する工程と、前記位置検出用透明導電膜に接触点を形成することによって生じる前記電流変化に基づいて、前記接触点の位置データを生成する工程とを含み、これにより、上記課題を解決する。
【0019】
前記電極として、表示パネルが有する表示媒体層を駆動するために用いられる電極を用いることが好ましい。
【0020】
前記振動電圧は、表示パネルが有する表示媒体層を駆動するために用いられる電圧であることが好ましい。
【0021】
以下、本発明の作用を説明する。
【0022】
本発明のタッチセンサ付き表示装置は、電極を備える表示パネルと、位置検出用透明導電膜と、検出回路とを有している。本発明のタッチセンサ付き表示装置では、電極に周期的に変化する振動電圧を印加することによって位置検出用透明導電膜に誘起電圧を発生させて、位置検出用透明導電膜に電界を生成し、位置検出用透明導電膜に接触点を形成することによって生じる電流変化に基づいて、接触点の位置データを生成することを特徴としている。
【0023】
本発明のタッチセンサ付き表示装置は、従来ノイズであると考えられていた誘起電圧を積極的に利用して、位置検出用透明導電膜に対する接触点の位置データを生成する。具体的には、電極に周期的に変化する振動電圧を印加することによって位置検出用透明導電膜に誘起電圧を発生させて、位置検出用透明導電膜に電界を生成する。位置検出用透明導電膜に接触点を形成することによって生じる電流変化に基づいて、接触点の位置データを生成する。
【0024】
従って、位置検出用透明導電膜と電極との間隔を大きく取る必要がない。また、表示パネルと位置検出用透明導電膜との間にシールド層を設ける必要がない。結果として、薄型化が可能で、視差の小さいタッチセンサ付き表示装置を提供することができる。さらに、接触位置を検出するために、位置検出用透明導電膜に特別に印加された電圧を用いるのではなく、電極に印加する周期的に変化する振動電圧によって発生する誘起電圧を利用するので、複雑な回路を必要とせず、消費電力を増大させることがない。また、このような振動電圧として、表示媒体層を駆動させるために表示パネルが本体的に有している電圧を利用することができる。さらに、位置検出用透明導電膜に、別途、交流電圧を印加する必要もなくなるので、省電力化が可能になる。
【0025】
【発明の実施形態】
以下、図面を参照しながら、本発明のタッチセンサ付き表示装置の実施形態を説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係るタッチセンサ付き表示装置20の構成を模式的に示している。
【0027】
タッチセンサ付き表示装置20は、表示パネル10と、位置検出用透明導電膜7と、検出回路(図1では不図示)とを有している。
【0028】
表示パネル10は少なくとも、表示媒体層4と、表示媒体層4の観察者側に配置され、かつ、表示媒体層4を駆動するための透明対向電極5と、透明対向電極5の観察者側に配置された絶縁層(誘電体層)6とを有している。位置検出用透明導電膜7は、この表示パネル10が備える絶縁層6を介して、透明対向電極5に対向するように配置されている。検出回路は、位置検出用透明導電膜7の複数の箇所から流れる電流変化を検出する。
【0029】
タッチセンサ付き表示装置20は、透明対向電極5に周期的に変化する振動電圧を印加することによって、位置検出用透明導電膜7に誘起電圧を発生させて、位置検出用透明導電膜に電界を生成し、位置検出用透明導電膜に接触点を形成することによって生じる電流変化に基づいて、接触点の位置データを生成することを主な特徴としている。
【0030】
従来のタッチセンサ付き表示装置では、透明対向電極に共通電圧を印加することによって位置検出用透明導電膜に生じる誘起電圧は、タッチセンサにとって、ノイズであると考えられていた。従って、誘起電圧が位置検出用透明導電膜に発生するのを抑制するために、位置検出用透明導電膜と透明対向電極との間隔を十分に取っていた。あるいは、位置検出用透明導電膜と透明対向電極との間に、シールド層を配置していた。あるいは、上述したように、接触位置を検出するための検出回路において、検出された信号から、上記誘起電圧に対応する信号を差し引いた上で、接触位置を算出していた。
【0031】
これに対して本実施形態のタッチセンサ付き表示装置20では、従来ノイズであると考えられていた誘起電圧を積極的に利用して、位置検出用透明導電膜7に対する接触点の位置データを生成する。従って、位置検出用透明導電膜7と透明対向電極5との間隔を大きく取る必要がない。また、表示パネル10と位置検出用透明導電膜7との間にシールド層を設ける必要がない。結果として、薄型化が可能で、視差の小さいタッチセンサ付き表示装置を提供することができる。
【0032】
また、接触位置を検出するために、位置検出用透明導電膜7に特別に印加された電圧を用いるのではなく、透明対向電極5に印加する周期的に変化する振動電圧によって発生する誘起電圧を利用する。従って、複雑な回路を必要とせず、消費電力を増大させることがない。また、このような振動電圧として、表示媒体層を駆動させるために表示パネルが本体的に有している電圧を利用することができる。さらに、位置検出用透明導電膜7に、別途、交流電圧を印加する必要もなくなる。
【0033】
以下、図1を参照しながら、タッチセンサ付き表示装置20の具体例を説明する。以下の説明では、表示パネル10に液晶パネルを用いた場合を例示する。
【0034】
表示パネル10に液晶パネルを用いた場合、例えば、図1に示すように表示パネル10は、絶縁層6と、透明対向電極5と、液晶材料を含む表示媒体層4とに加えて、さらに、表示媒体層4を挟んで透明対向電極5と対向するように配置された、アクティブマトリクス基板8および、第1偏光板1をさらに備えている。アクティブマトリクス基板8は、ガラスまたはプラスチックなどの透明材料から形成された基板2の主面に、TFTアレイ3が形成され、画素電極(不図示)がマトリクス状に配列されている。
【0035】
絶縁層6は、例えば、ガラス基板またはプラスチック基板などの対向基板であり、さらに、必要に応じて、カラーフィルタ、および、第2偏光板を有しても良い。また、上記カラーフィルタ、および、第2偏光板は、位置検出用透明電極7の観察者側に配置されていても良い。絶縁層6の好ましい厚さは、位置検出用透明電極7に十分な大きさの誘起電圧を発生させることができる程度であればよい。
【0036】
具体的な絶縁層6の好ましい厚さは、絶縁層に含まれる材料の誘電率に依存する。後述するが、位置検出用透明電極7に十分な大きさの誘起電圧を発生するには、位置検出用透明導電膜7と対向透明電極5とこれらの間の絶縁層から形成されるコンデンサの容量が、約200pF以上であることが好ましい。従って、例えば3.7型の液晶パネルの絶縁層にガラス基板を用いる場合、ガラス基板の厚さは0mm超、1.1mm以下の範囲に設定することが好ましい。なお、現状では、0.4mm厚以上のガラス基板が用いられている。液晶パネルのサイズが3.7型よりも大きい場合、ガラス基板の厚さを1.1mmよりも大きくしても、コンデンサの容量を約200pF以上にすることができる。
【0037】
また、表示装置20の観察者側の最表面に、保護層を形成してもよい。
【0038】
液晶パネルは、一般に、交流駆動される。これは、液晶層に直流電圧が印加されると、液晶層の寿命が短くなる等の理由によるものである。従って、透明対向電極5には共通電圧として、正と負の極性が周期的に反転する電圧が印加される。
【0039】
図2(a)は、表示パネル10の透明対向電極5に印加される共通電圧の時間変化の一例を示す図である。縦軸は透明対向電極5の電位、横軸は時間を示している。ここでは、ライン反転駆動の場合を例示するが、本発明はこれに限定されない。
【0040】
図2(a)に示すように、共通電圧は、1水平期間毎に正および負の極性が反転し、かつ、正極性の電圧値の絶対値は、負極性の電圧値の絶対値と等しい。タッチセンサ付き表示装置20では、この共通電圧が、位置検出用透明導電膜7に誘起電圧を発生させるための振動電圧となる。
【0041】
図2(b)は、透明対向電極5に図2(a)に示す共通電圧が印加された場合の位置検出用透明導電膜7に発生する誘起電圧の時間変化を示す。縦軸は位置検出用透明導電膜7の電位、横軸は時間を示している。この誘起電圧は、図2(a)に示した透明対向電極5の電圧変化に同期しており、1水平期間毎に極大値または極小値を有するパルス波である。上記極大値または極小値は、例えば、約40kHzの周期で現れる。なお、図2(b)に示した誘起電圧は、例えば、アクティブマトリクス基板8に供給される表示信号電圧などによって生じる誘起電圧に比べて、十分大きい。
【0042】
図2(b)に示す誘起電圧が位置検出用透明導電膜7に生成されることにより、位置検出用透明導電膜7内で勾配の小さな電界が略均一に形成される。
【0043】
位置検出用透明導電膜7には、例えば、位置検出用の電極が4隅に形成されている。タッチセンサ付き表示装置20の観察者側の最表面に保護層が設けられている場合、この保護層の表面がペンや指などによって触れられることによって、位置検出用透明導電膜7に接触点が形成される。位置検出用透明導電膜7に接触点が形成されると、位置検出用透明導電膜7がグランド(接地面)と容量的に結合される。この容量とは、例えば、保護層と位置検出用透明導電膜7との間の容量、および、人と地面との間に存在する容量の合計である。
【0044】
容量結合した接触部分と位置検出用透明導電膜7の4隅の電極との間における電気抵抗値は、接触部分と各電極との間の距離に比例する。従って、位置検出用透明導電膜7の4隅の電極を介して、接触部分と各電極との間の距離に比例した電流が流れることになる。これらの電流の大きさを検出すれば、接触部分の位置座標を求めることができる。
【0045】
従来のタッチセンサ付き表示装置では、発振回路を用いて位置検出用透明導電膜に所定の交流電圧を印加することによって、位置検出用透明導電膜内に勾配の小さな電界を略均一に形成し、接触位置の検出を行っていた。これに対して本実施形態のタッチセンサ付き表示装置20では、上述したように、透明対向電極5に印加する振動電圧によって位置検出用透明導電膜7に発生する誘起電圧を用いて、位置検出用透明導電膜7内に勾配の小さな電界を略均一に形成させる。さらに、位置検出用透明導電膜7に生じる電界の変化から生成される電流の変化に基づいて、接触点の位置データを生成する。
【0046】
すなわちタッチセンサ付き表示装置20では、従来有効利用されることがなかった誘起電圧を用いて接触点の位置データを生成する。従って、従来、位置検出用透明導電膜7に交流電圧を印加するために必要とされていた発振回路が必要とされなくなるため、従来に比べて省電力化が可能である。また、従来、上述した誘起電圧はノイズであると考えられていたので、この誘起電圧の発生を抑制するために、透明対向電極5と位置検出用透明導電膜7との間にシールド層を設け、および/または透明対向電極5と位置検出用透明導電膜7との間の距離を大きくとっていたが、タッチセンサ付き表示装置20ではその必要がない。
【0047】
タッチセンサ付き表示装置では、位置検出用透明導電膜7と対向透明電極5との間に、ガラス基板および空気層などを絶縁層(誘電体層)として、擬似的なコンデンサが形成される。上述したように本実施形態では誘起電圧を位置検出のために利用するため、例えば、表示パネルが3.7型(表示面の対角長さが3.7インチ)である場合、十分な大きさの誘起電圧を発生させるために、上記コンデンサの容量は200pF以上であることが好ましい。
【0048】
例えば、液晶パネル10が3.7型であるとし、透明対向電極5と位置検出用透明導電膜7との間に厚さ0.7mmのガラス基板を配置し、ガラス基板と位置検出用透明導電膜7との間に厚さ0.1mmの空気層の隙間を設けた場合、透明対向電極5と位置検出用透明導電膜7との間の距離は0.8mmであり、上記コンデンサの容量は192pFである。
【0049】
透明対向電極5と位置検出用透明導電膜7との間の距離を上述した0.8mmとし、例えば振幅が4.9Vの図2(a)に示す電圧を透明対向電極5に印加した場合、位置検出用透明導電膜7には、振幅が0.65Vの図2(b)に示す誘起電圧が発生することが実測された。この誘起電圧の大きさは、本実施形態の位置検出を行うのに十分である。
【0050】
これに対して従来のタッチセンサ付き表示装置では、上記誘起電圧の発生を抑制するために、上記コンデンサの容量が小さくなるように、透明対向電極と位置検出用透明導電膜との間の距離を大きくとっていた。
【0051】
例えば、液晶パネルが3.7型であるとし、透明対向電極と位置検出用透明導電膜との間に0.7mmのガラス基板を配置し、ガラス基板と位置検出用透明導電膜7との間に厚さ0.5mmの空気層の隙間を設けた場合、透明対向電極と位置検出用透明導電膜との間の距離は1.2mmであり、上記コンデンサの容量は62.5pFである。この透明対向電極と位置検出用透明導電膜との間の距離と同程度の距離が、従来の抵抗膜方式のタッチセンサ付き表示装置の抵抗膜と対向透明電極との間に必要とされていた。
【0052】
以上説明したように、タッチセンサ付き表示装置20では、対向透明電極5と位置検出用透明導電膜7との間の距離を、例えば、1mm以下にすることができるので、従来よりも対向透明電極5と位置検出用透明導電膜7とを近付けることができるので、視差を小さくすることができる。
【0053】
上述の説明では、対向透明電極5に印加される共通電圧を用いて誘起電圧を発生させる場合を例示したが、誘起電圧を発生させるために対向透明電極5に印加する電圧はこれに限られない。
【0054】
例えば、位置検出用透明導電膜7に誘起電圧を発生させるための振動電圧を共通電圧とは別に、対向透明電極5に印加しても良い。図2(c)に、この具体例を示す。縦軸は対向透明電極5の電位、横軸は時間を示している。図2(c)に示す対向透明電極5の電位の1周期は、期間T1と期間T2とを含んでいる。
【0055】
図2(c)の場合、対向透明電極5を表示用共通電極として用いる期間(表示モード)と、位置検出用透明導電膜7に誘起電圧を発生させるための電極として用いる期間(位置検出モード)とが切り替えられる。期間T1と期間T2とは、それぞれ、位置検出モードと表示モードとに対応する。
【0056】
位置検出用透明導電膜7の4隅の電極は、それぞれ、トランジスタやダイオードなどから構成されたスイッチング回路を用いて、後述する検出回路に接続されている。期間T1と期間T2とは、例えばこのスイッチング回路を用いることによって、交互に切り替えられる。期間T1の間は、位置検出用透明導電膜7の4隅の電極はそれぞれ検出回路に接続され、期間T2の間は、位置検出用透明導電膜7の4隅の電極は検出回路に接続されない。
【0057】
まず、期間T1の位置検出モードでは、所定の振幅を有する振動電圧を対向透明電極5に印加し、位置検出用透明導電膜7に所定の振幅を有する誘起電圧を生成させる。この期間T1の間は、位置検出用透明導電膜7の4隅の電極が、それぞれ、後述する検出回路に接続されるので、この検出回路により、接触点の位置データが生成される。
【0058】
一方、期間T2の表示モードでは、所定の大きさの共通電圧が印加され、共通電圧が前述したように振動する場合には、位置検出用透明導電膜7に誘起電圧が発生するが、期間T2の間は、位置検出用透明導電膜7の4隅の電極が検出回路に接続されないので、誘起電圧が接触位置の検出精度に影響を与えることがない。なお、図2(c)に示すように、期間T2の間に、対向透明電極5に一定電圧を印加する場合には、位置検出用透明導電膜7に誘起電圧が発生しないので、上記スイッチング回路を省略することができる。
【0059】
次に、図3を参照しながら、本発明で採用する静電容量結合方式による位置検出方法の基本原理を簡単に説明する。図3に示すように、位置検出用透明導電膜7の4隅の電極には、同相同電位の交流電圧が印加され、指などの接触によって位置検出用透明導電膜7の4隅を流れる電流のそれぞれをi1、i2、i3、およびi4とする。
【0060】
なお、図3では、位置検出用透明導電膜7の4隅の電極から同相同電位の交流電圧を印加しているが、本実施形態では、上記交流電圧は位置検出用透明導電膜7に発振回路などによって印加されたものではなく、透明対向電極5に印加された振動電圧によって発生した誘起電圧である。
【0061】
位置検出用透明導電膜7に対する接触位置のX座標およびY座標は、次式に基づいて決定することができる。
【0062】
X=k1+k2・(i2+i3)/(i1+i2+i3+i4) (式1)
Y=k1+k2・(i1+i2)/(i1+i2+i3+i4) (式2)
【0063】
ここで、Xは位置検出用透明導電膜7上における接触位置のX座標、Yは位置検出用透明導電膜7上における接触位置のY座標である。また、k1はオフセット、k2は倍率である。k1およびk2は、人のインピーダンスに依存しない定数である。
【0064】
従って、位置検出用透明導電膜7に対する接触位置は、4つの電極を流れるi1、i2、i3、およびi4の測定値から求めることが可能である。
【0065】
上述の説明では、表示パネル10が液晶パネルであり、特に、この液晶パネルがアクティブマトリクス型液晶パネルである場合を例示したが、本実施形態に使用される表示パネル10はこれに限定されない。表示パネルが備える透明対向電極に、周期的に変化する振動電圧が印加されるものであれば、任意の表示パネルが利用可能である。ここで、透明対向電極に印加される振動電圧は、表示媒体層を駆動するために用いられる電圧であることが好ましい。振動電圧は、位置検出用透明導電膜に誘起電圧を発生させるために必要とされるが、この振動電圧が表示媒体層を駆動するために用いられる共通電圧であれば、透明対向電極に共通電圧に加えて、誘起電圧発生のための電圧を別途印加する必要がない。従って、従来の表示装置と比較して電源回路が複雑な構成になることを抑制でき、また、消費電力が増大するのを抑制できる。
【0066】
位置検出用透明導電膜7に誘起電圧を発生させる電極は、上述した透明対向電極5に限定されない。但し、位置検出用透明導電膜7に互いに異なる振動電圧が印加される複数の電極が対向すると、これらの電極と位置検出用透明導電膜7との間の電界が不均一になり、位置検出精度が低下することがある。従って、誘起電圧を発生させるための電極と位置検出用透明導電膜7との間に均一な電界を発生させることができるように、少なくとも接触位置を検出する位置検出用透明導電膜7の領域全体に亘って、この位置検出用透明導電膜7と誘起電圧を発生させるための電極とが互いに対向するように設けることが好ましい。
【0067】
次に、タッチセンサ付き表示装置20が備える検出回路の構成を説明する。検出回路は、位置検出用透明導電膜7の複数の箇所から流れる電流の変化を検出し、検出された電流の変化に基づいて位置検出用透明導電膜7に対する接触点の位置データを生成する。
【0068】
図4は、検出回路50の一例を示すブロック図である。図4に例示する検出回路50は、4つの電流変化検出回路31を備えており、この4つの電流変化検出回路31は、それぞれ、位置検出用透明導電膜7の4隅の電極に接続されている。なお、位置検出用透明導電膜7に設ける電極の数およびその配置は、これに限定されない。
【0069】
電流変化検出回路31は、位置検出用透明導電膜7の4つの電極の各々とグランドとの間を流れる電流を測定する。位置検出用透明導電膜7には、上述した誘起電圧が印加されているため、指などの接触によって各電極を流れる電流は交流成分を有している。
【0070】
電流変化検出回路31の出力は、アナログ信号処理回路32によって、増幅およびバンドパスフィルタリングの処理を受ける。アナログ信号処理回路32の出力は、検波フィルタリング回路33によって検波される。
【0071】
検波フィルタリング回路33では、受け取った信号に含まれている様々なノイズを削除するために、フィルタリングを行う。従来は、透明対向電極に印加された電圧によって位置検出用透明導電膜に生じる誘起電圧(例えば図2(b))もノイズであると考えられていた。従って検波フィルタリング回路で削除するノイズの中に、上記誘起電圧に対応する信号も含まれていた。
【0072】
これに対して本実施形態の検出回路では、接触点の位置検出のために上記誘起電圧を積極的に利用するため、検波フィルタリング回路33で、上記誘起電圧に対応する信号を削除しない。従って、本実施形態の検波フィルタリング回路33には、上記誘起電圧に対応する信号を削除するための回路が含まれていない。
【0073】
検波フィルタリング回路33による出力は、ノイズ消去直流化回路34に入力される。ノイズ消去直流回路34は、検波フィルタリング回路33の出力を直流化し、各電極を流れる電流に比例した値をもつ信号を生成する。なお、ノイズ消去直流回路34は、検出した電流値を電圧値に変換し、増幅して、上記信号を生成し、アナログマルチプレクサ35を介してA/D変換器36に送る。
【0074】
従来のノイズ消去直流回路では、検波フィルタリング回路から受け取った信号(電圧値)は、誘起電圧に対応する信号が削除されていた。従って、検波フィルタリング回路から受け取った信号には、例えば図2(b)に示した誘起電圧が重畳されておらず、時間に対して連続的に変化する波形を有していた。よって、従来のノイズ消去直流回路は、上記連続的に変化する波形を有する電圧値を、連続的に、アナログマルチプレクサを介してA/D変換器に入力していた。
【0075】
これに対して、本実施形態では、検波フィルタリング回路33から受け取った信号(電圧値)は、例えば図2(b)に示した誘起電圧が重畳されており、図6(a)に示すような不連続な波形を有している。このため、従来と同様にノイズ消去直流回路によって検出された信号を、連続的にアナログマルチプレクサを介してA/D変換器に入力した場合、接触位置が入力されない場合であっても、信号が変動するため、接触位置を正確に検出できない。なお、図6(a)は、ノイズ消去直流回路34が検波フィルタリング回路33から受け取った信号(電圧値)の時間変化の一例を示す図である。縦軸は電位、横軸は時間を示している。
【0076】
そこで本実施形態の検出回路50では図5に示すように、ノイズ消去直流化回路34に含まれる増幅回路にコンデンサを設けている。例えば、誘起電圧が、周期40kHzで極大値または極小値を有するパルス波である場合、静電容量が数百nFのコンデンサを設けることが好ましい。コンデンサを設けることで、図6(b)に示すように、誘起電圧が存在しているときに検出される電流値と、誘起電圧が存在しないときに検出される電流値とを平均し、A/D変換器36に直流電圧を与える。位置検出用透明導電膜7に接触点が形成されていないときに得られる直流電圧の値と、接触点が形成されたときに得られる直流電圧の値との差に基づいて、接触点の位置が求められる。
【0077】
上記信号をノイズ消去直流化回路34から受け取ったアナログマルチプレクサ35は、4つの電極からの出力をA/D変換器36に送出する。A/D変換器36は、デジタル化された位置信号(位置データ)を生成し、処理装置37に送出する。ここでいう位置データは、上述した式1および式2のi1、i2、i3、およびi4を直流電圧値に変換し、これらをさらにデジタル化したものを指す。処理装置37は、これらの値を用いて、式1および式2に基づいて座標X、Yを求め、接触点を形成した操作者による入力命令を判断し、所定のデータ処理などを行う。処理装置37は、例えば、図1の表示装置を備えた携帯型情報端末(PDA)、ATM、券売機、または各種コンピュータ内部に搭載され、データ処理を実行するものである。
【0078】
なお、検出回路50が生成する位置データは上記の例に限られない。検出回路50が、例えば、上記デジタル化された直流電圧値を用いてXY座標を求めて、これを位置データとして出力しても良い。
【0079】
【発明の効果】
本発明により、薄型で視差が小さく、かつ、複雑な回路構成を必要としないタッチセンサ付き表示装置、および、位置データ生成方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るタッチセンサ付き表示装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】(a)は、表示パネルの透明対向電極に印加される共通電圧の時間変化の一例を示す図であり、(b)は、透明対向電極に図2(a)に示す共通電圧が印加された場合の位置検出用透明導電膜に発生する誘起電圧の時間変化を示す図であり、 (c)は、透明対向電極に印加される共通電圧が一定である場合の透明対向電極に印加される電圧の時間変化の一例を示す図である。
【図3】本発明で採用する静電容量結合方式による位置検出方法の基本原理を簡単に説明するための図である。
【図4】検出回路の一例を示すブロック図である。
【図5】ノイズ消去直流化回路に含まれる増幅回路を示す図である。
【図6】(a)は、ノイズ消去直流回路が検波フィルタリング回路から受け取った信号の時間変化の一例を示す図であり、(b)は、A/D変換器与えられる直流電圧の時間変化の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 第1偏光板
2 ガラス基板
3 TFTアレイ
4 表示媒体層
5 透明対向電極
6 絶縁層
7 位置検出用透明導電膜
8 アクティブマトリクス基板
10 表示パネル
20 タッチセンサ付き表示装置
31 電流変化検出回路
32 アナログ信号処理回路
33 検波フィルタリング回路
34 ノイズ消去直流化回路
35 アナログマルチプレクサ
36 A/D変換器
37 処理装置
50 検出回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示面におけるペンや指などによって接触された位置を検出することのできるタッチセンサ付き表示装置、および位置データ生成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タッチセンサは、指やペンなどによる接触が行われた場所の位置検出を行うための入力装置である。位置検出の方式としては、静電容量結合方式、抵抗膜方式、赤外線方式、超音波方式、および電磁誘導/結合方式などが知られている。
【0003】
タッチセンサを表示装置と一体的に使用する場合、例えば、液晶パネルなどの画像表示部の前面(観察者側)にタッチセンサを配置することになる。この場合、タッチセンサが画像表示部からのノイズを受け、タッチセンサの位置検出精度が低下することが問題になっている。画像表示部からのノイズには、例えば、液晶パネルが備える対向電極に印加される共通電圧に起因して、タッチセンサが備える位置検出用透明導電膜に発生する誘起電圧が含まれる。このノイズを除去するために、接触位置を検出するための検出回路において、検出された信号から、誘起電圧に対応する信号を差し引いた上で、接触位置を算出している。
【0004】
特表昭56−500230号公報は、静電容量結合方式のタッチセンサを開示している。従来、液晶パネルに静電容量結合方式のタッチセンサを配置する場合、タッチセンサが備える位置検出用透明導電膜と液晶パネルとの間にシールド層を配置し、このシールド層により、タッチセンサが液晶パネルからのノイズによって悪影響を受けるのを抑制していた。さらに、タッチセンサの位置検出用透明導電膜を液晶パネルから十分遠ざけて配置し、これによっても液晶パネルからのノイズによる影響を抑制していた。
【0005】
特開平9−128146号公報は、抵抗膜方式のタッチセンサを備えた表示装置を開示している。この公報では、タッチセンサから出力データを取り込むタイミングを変化させることにより、出力データに液晶パネルから発生するノイズが混入しないようにしている。
【0006】
また、表示信号に起因するノイズを回避する方法として、表示信号のないブランキング期間に、接触が行われた場所の位置検出を行う方法も用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、タッチセンサと液晶パネルとの間にシールド層を設けた場合、および/または、タッチセンサの位置検出用透明導電膜を液晶パネルから十分遠ざけて配置した場合、視差が大きくなるという問題がある。また、液晶パネルの表示面から観察者までの間に存在するものの透過率が低下する場合がある。さらに、タッチセンサを設けた表示装置が大型化し、薄型化が困難になるという問題もある。
【0008】
また、特開平9−128146号公報の表示装置では、タッチセンサのサンプリングクロックの間隔が一定でなくなり、入力/表示の間隔がまちまちとなる。従って、タッチセンサの使用者が、違和感を感じることになる。
【0009】
また、ブランキング期間に位置検出を行うことによってノイズの影響を回避する場合、水平ブランキング期間は、ノイズ回避のための処理を行うのに時間が十分でないため、垂直ブランキング期間に検出を行う必要がある。垂直ブランキング期間に位置検出を行うには、液晶を、例えば、60Hzで駆動している場合、サンプリング間隔は16.7msとなる。この間隔では、タッチセンサの使用者がスムーズに接触位置を入力するのには遅すぎる。また、このブランキング期間に位置検出を行う方法を実現するためには、液晶パネルの駆動タイミングを知る必要があるため、タイミング信号を得るための回路が別途必要となる。従って、装置の回路が複雑化するという問題が生じる。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、従来よりも視差が小さく、且つ、複雑な回路構成を必要としないタッチセンサ付き表示装置、および、位置データ生成方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のタッチセンサ付き表示装置は、表示媒体層と、前記表示媒体層の観察者側に配置され、かつ、前記表示媒体層を駆動するための電極と、前記電極の観察者側に配置された絶縁層とを有する表示パネルと、前記絶縁層を介して、前記電極に対向するように配置された位置検出用透明導電膜と、前記位置検出用透明導電膜の複数の箇所から流れる電流変化を検出する検出回路とを備え、前記電極に周期的に変化する振動電圧を印加することによって前記位置検出用透明導電膜に誘起電圧を発生させて、前記位置検出用透明導電膜に電界を生成し、前記位置検出用透明導電膜に接触点を形成することによって生じる前記電流変化に基づいて、前記接触点の位置データを生成し、これにより上記課題を解決する。
【0012】
前記誘起電圧は、極大値および/または極小値を周期的に有するパルス波であることが好ましい。
【0013】
前記振動電圧は、前記表示媒体層を駆動するために用いられる電圧であることが好ましい。
【0014】
前記表示パネルは液晶パネルであって、前記振動電圧は、極性が周期的に反転する電圧であってもよい。
【0015】
前記液晶パネルはアクティブマトリクス型液晶パネルであって、前記電極は透明対向電極であってもよい。
【0016】
前記電極と前記位置検出用透明導電膜との間の距離は、約1mm以下であってもよい。
【0017】
前記パルス波の周波数は約40kHzであってもよい。
【0018】
本発明の接触点の位置データを生成する方法は、絶縁層を介して電極と対向するように配置された位置検出用透明導電膜に対する接触点の位置データを生成する方法であり、前記電極に周期的に変化する振動電圧を印加することによって、前記位置検出用透明導電膜に誘起電圧を発生させて、前記位置検出用透明導電膜に電界を生成する工程と、前記位置検出用透明導電膜に接触点を形成することによって生じる前記電流変化に基づいて、前記接触点の位置データを生成する工程とを含み、これにより、上記課題を解決する。
【0019】
前記電極として、表示パネルが有する表示媒体層を駆動するために用いられる電極を用いることが好ましい。
【0020】
前記振動電圧は、表示パネルが有する表示媒体層を駆動するために用いられる電圧であることが好ましい。
【0021】
以下、本発明の作用を説明する。
【0022】
本発明のタッチセンサ付き表示装置は、電極を備える表示パネルと、位置検出用透明導電膜と、検出回路とを有している。本発明のタッチセンサ付き表示装置では、電極に周期的に変化する振動電圧を印加することによって位置検出用透明導電膜に誘起電圧を発生させて、位置検出用透明導電膜に電界を生成し、位置検出用透明導電膜に接触点を形成することによって生じる電流変化に基づいて、接触点の位置データを生成することを特徴としている。
【0023】
本発明のタッチセンサ付き表示装置は、従来ノイズであると考えられていた誘起電圧を積極的に利用して、位置検出用透明導電膜に対する接触点の位置データを生成する。具体的には、電極に周期的に変化する振動電圧を印加することによって位置検出用透明導電膜に誘起電圧を発生させて、位置検出用透明導電膜に電界を生成する。位置検出用透明導電膜に接触点を形成することによって生じる電流変化に基づいて、接触点の位置データを生成する。
【0024】
従って、位置検出用透明導電膜と電極との間隔を大きく取る必要がない。また、表示パネルと位置検出用透明導電膜との間にシールド層を設ける必要がない。結果として、薄型化が可能で、視差の小さいタッチセンサ付き表示装置を提供することができる。さらに、接触位置を検出するために、位置検出用透明導電膜に特別に印加された電圧を用いるのではなく、電極に印加する周期的に変化する振動電圧によって発生する誘起電圧を利用するので、複雑な回路を必要とせず、消費電力を増大させることがない。また、このような振動電圧として、表示媒体層を駆動させるために表示パネルが本体的に有している電圧を利用することができる。さらに、位置検出用透明導電膜に、別途、交流電圧を印加する必要もなくなるので、省電力化が可能になる。
【0025】
【発明の実施形態】
以下、図面を参照しながら、本発明のタッチセンサ付き表示装置の実施形態を説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係るタッチセンサ付き表示装置20の構成を模式的に示している。
【0027】
タッチセンサ付き表示装置20は、表示パネル10と、位置検出用透明導電膜7と、検出回路(図1では不図示)とを有している。
【0028】
表示パネル10は少なくとも、表示媒体層4と、表示媒体層4の観察者側に配置され、かつ、表示媒体層4を駆動するための透明対向電極5と、透明対向電極5の観察者側に配置された絶縁層(誘電体層)6とを有している。位置検出用透明導電膜7は、この表示パネル10が備える絶縁層6を介して、透明対向電極5に対向するように配置されている。検出回路は、位置検出用透明導電膜7の複数の箇所から流れる電流変化を検出する。
【0029】
タッチセンサ付き表示装置20は、透明対向電極5に周期的に変化する振動電圧を印加することによって、位置検出用透明導電膜7に誘起電圧を発生させて、位置検出用透明導電膜に電界を生成し、位置検出用透明導電膜に接触点を形成することによって生じる電流変化に基づいて、接触点の位置データを生成することを主な特徴としている。
【0030】
従来のタッチセンサ付き表示装置では、透明対向電極に共通電圧を印加することによって位置検出用透明導電膜に生じる誘起電圧は、タッチセンサにとって、ノイズであると考えられていた。従って、誘起電圧が位置検出用透明導電膜に発生するのを抑制するために、位置検出用透明導電膜と透明対向電極との間隔を十分に取っていた。あるいは、位置検出用透明導電膜と透明対向電極との間に、シールド層を配置していた。あるいは、上述したように、接触位置を検出するための検出回路において、検出された信号から、上記誘起電圧に対応する信号を差し引いた上で、接触位置を算出していた。
【0031】
これに対して本実施形態のタッチセンサ付き表示装置20では、従来ノイズであると考えられていた誘起電圧を積極的に利用して、位置検出用透明導電膜7に対する接触点の位置データを生成する。従って、位置検出用透明導電膜7と透明対向電極5との間隔を大きく取る必要がない。また、表示パネル10と位置検出用透明導電膜7との間にシールド層を設ける必要がない。結果として、薄型化が可能で、視差の小さいタッチセンサ付き表示装置を提供することができる。
【0032】
また、接触位置を検出するために、位置検出用透明導電膜7に特別に印加された電圧を用いるのではなく、透明対向電極5に印加する周期的に変化する振動電圧によって発生する誘起電圧を利用する。従って、複雑な回路を必要とせず、消費電力を増大させることがない。また、このような振動電圧として、表示媒体層を駆動させるために表示パネルが本体的に有している電圧を利用することができる。さらに、位置検出用透明導電膜7に、別途、交流電圧を印加する必要もなくなる。
【0033】
以下、図1を参照しながら、タッチセンサ付き表示装置20の具体例を説明する。以下の説明では、表示パネル10に液晶パネルを用いた場合を例示する。
【0034】
表示パネル10に液晶パネルを用いた場合、例えば、図1に示すように表示パネル10は、絶縁層6と、透明対向電極5と、液晶材料を含む表示媒体層4とに加えて、さらに、表示媒体層4を挟んで透明対向電極5と対向するように配置された、アクティブマトリクス基板8および、第1偏光板1をさらに備えている。アクティブマトリクス基板8は、ガラスまたはプラスチックなどの透明材料から形成された基板2の主面に、TFTアレイ3が形成され、画素電極(不図示)がマトリクス状に配列されている。
【0035】
絶縁層6は、例えば、ガラス基板またはプラスチック基板などの対向基板であり、さらに、必要に応じて、カラーフィルタ、および、第2偏光板を有しても良い。また、上記カラーフィルタ、および、第2偏光板は、位置検出用透明電極7の観察者側に配置されていても良い。絶縁層6の好ましい厚さは、位置検出用透明電極7に十分な大きさの誘起電圧を発生させることができる程度であればよい。
【0036】
具体的な絶縁層6の好ましい厚さは、絶縁層に含まれる材料の誘電率に依存する。後述するが、位置検出用透明電極7に十分な大きさの誘起電圧を発生するには、位置検出用透明導電膜7と対向透明電極5とこれらの間の絶縁層から形成されるコンデンサの容量が、約200pF以上であることが好ましい。従って、例えば3.7型の液晶パネルの絶縁層にガラス基板を用いる場合、ガラス基板の厚さは0mm超、1.1mm以下の範囲に設定することが好ましい。なお、現状では、0.4mm厚以上のガラス基板が用いられている。液晶パネルのサイズが3.7型よりも大きい場合、ガラス基板の厚さを1.1mmよりも大きくしても、コンデンサの容量を約200pF以上にすることができる。
【0037】
また、表示装置20の観察者側の最表面に、保護層を形成してもよい。
【0038】
液晶パネルは、一般に、交流駆動される。これは、液晶層に直流電圧が印加されると、液晶層の寿命が短くなる等の理由によるものである。従って、透明対向電極5には共通電圧として、正と負の極性が周期的に反転する電圧が印加される。
【0039】
図2(a)は、表示パネル10の透明対向電極5に印加される共通電圧の時間変化の一例を示す図である。縦軸は透明対向電極5の電位、横軸は時間を示している。ここでは、ライン反転駆動の場合を例示するが、本発明はこれに限定されない。
【0040】
図2(a)に示すように、共通電圧は、1水平期間毎に正および負の極性が反転し、かつ、正極性の電圧値の絶対値は、負極性の電圧値の絶対値と等しい。タッチセンサ付き表示装置20では、この共通電圧が、位置検出用透明導電膜7に誘起電圧を発生させるための振動電圧となる。
【0041】
図2(b)は、透明対向電極5に図2(a)に示す共通電圧が印加された場合の位置検出用透明導電膜7に発生する誘起電圧の時間変化を示す。縦軸は位置検出用透明導電膜7の電位、横軸は時間を示している。この誘起電圧は、図2(a)に示した透明対向電極5の電圧変化に同期しており、1水平期間毎に極大値または極小値を有するパルス波である。上記極大値または極小値は、例えば、約40kHzの周期で現れる。なお、図2(b)に示した誘起電圧は、例えば、アクティブマトリクス基板8に供給される表示信号電圧などによって生じる誘起電圧に比べて、十分大きい。
【0042】
図2(b)に示す誘起電圧が位置検出用透明導電膜7に生成されることにより、位置検出用透明導電膜7内で勾配の小さな電界が略均一に形成される。
【0043】
位置検出用透明導電膜7には、例えば、位置検出用の電極が4隅に形成されている。タッチセンサ付き表示装置20の観察者側の最表面に保護層が設けられている場合、この保護層の表面がペンや指などによって触れられることによって、位置検出用透明導電膜7に接触点が形成される。位置検出用透明導電膜7に接触点が形成されると、位置検出用透明導電膜7がグランド(接地面)と容量的に結合される。この容量とは、例えば、保護層と位置検出用透明導電膜7との間の容量、および、人と地面との間に存在する容量の合計である。
【0044】
容量結合した接触部分と位置検出用透明導電膜7の4隅の電極との間における電気抵抗値は、接触部分と各電極との間の距離に比例する。従って、位置検出用透明導電膜7の4隅の電極を介して、接触部分と各電極との間の距離に比例した電流が流れることになる。これらの電流の大きさを検出すれば、接触部分の位置座標を求めることができる。
【0045】
従来のタッチセンサ付き表示装置では、発振回路を用いて位置検出用透明導電膜に所定の交流電圧を印加することによって、位置検出用透明導電膜内に勾配の小さな電界を略均一に形成し、接触位置の検出を行っていた。これに対して本実施形態のタッチセンサ付き表示装置20では、上述したように、透明対向電極5に印加する振動電圧によって位置検出用透明導電膜7に発生する誘起電圧を用いて、位置検出用透明導電膜7内に勾配の小さな電界を略均一に形成させる。さらに、位置検出用透明導電膜7に生じる電界の変化から生成される電流の変化に基づいて、接触点の位置データを生成する。
【0046】
すなわちタッチセンサ付き表示装置20では、従来有効利用されることがなかった誘起電圧を用いて接触点の位置データを生成する。従って、従来、位置検出用透明導電膜7に交流電圧を印加するために必要とされていた発振回路が必要とされなくなるため、従来に比べて省電力化が可能である。また、従来、上述した誘起電圧はノイズであると考えられていたので、この誘起電圧の発生を抑制するために、透明対向電極5と位置検出用透明導電膜7との間にシールド層を設け、および/または透明対向電極5と位置検出用透明導電膜7との間の距離を大きくとっていたが、タッチセンサ付き表示装置20ではその必要がない。
【0047】
タッチセンサ付き表示装置では、位置検出用透明導電膜7と対向透明電極5との間に、ガラス基板および空気層などを絶縁層(誘電体層)として、擬似的なコンデンサが形成される。上述したように本実施形態では誘起電圧を位置検出のために利用するため、例えば、表示パネルが3.7型(表示面の対角長さが3.7インチ)である場合、十分な大きさの誘起電圧を発生させるために、上記コンデンサの容量は200pF以上であることが好ましい。
【0048】
例えば、液晶パネル10が3.7型であるとし、透明対向電極5と位置検出用透明導電膜7との間に厚さ0.7mmのガラス基板を配置し、ガラス基板と位置検出用透明導電膜7との間に厚さ0.1mmの空気層の隙間を設けた場合、透明対向電極5と位置検出用透明導電膜7との間の距離は0.8mmであり、上記コンデンサの容量は192pFである。
【0049】
透明対向電極5と位置検出用透明導電膜7との間の距離を上述した0.8mmとし、例えば振幅が4.9Vの図2(a)に示す電圧を透明対向電極5に印加した場合、位置検出用透明導電膜7には、振幅が0.65Vの図2(b)に示す誘起電圧が発生することが実測された。この誘起電圧の大きさは、本実施形態の位置検出を行うのに十分である。
【0050】
これに対して従来のタッチセンサ付き表示装置では、上記誘起電圧の発生を抑制するために、上記コンデンサの容量が小さくなるように、透明対向電極と位置検出用透明導電膜との間の距離を大きくとっていた。
【0051】
例えば、液晶パネルが3.7型であるとし、透明対向電極と位置検出用透明導電膜との間に0.7mmのガラス基板を配置し、ガラス基板と位置検出用透明導電膜7との間に厚さ0.5mmの空気層の隙間を設けた場合、透明対向電極と位置検出用透明導電膜との間の距離は1.2mmであり、上記コンデンサの容量は62.5pFである。この透明対向電極と位置検出用透明導電膜との間の距離と同程度の距離が、従来の抵抗膜方式のタッチセンサ付き表示装置の抵抗膜と対向透明電極との間に必要とされていた。
【0052】
以上説明したように、タッチセンサ付き表示装置20では、対向透明電極5と位置検出用透明導電膜7との間の距離を、例えば、1mm以下にすることができるので、従来よりも対向透明電極5と位置検出用透明導電膜7とを近付けることができるので、視差を小さくすることができる。
【0053】
上述の説明では、対向透明電極5に印加される共通電圧を用いて誘起電圧を発生させる場合を例示したが、誘起電圧を発生させるために対向透明電極5に印加する電圧はこれに限られない。
【0054】
例えば、位置検出用透明導電膜7に誘起電圧を発生させるための振動電圧を共通電圧とは別に、対向透明電極5に印加しても良い。図2(c)に、この具体例を示す。縦軸は対向透明電極5の電位、横軸は時間を示している。図2(c)に示す対向透明電極5の電位の1周期は、期間T1と期間T2とを含んでいる。
【0055】
図2(c)の場合、対向透明電極5を表示用共通電極として用いる期間(表示モード)と、位置検出用透明導電膜7に誘起電圧を発生させるための電極として用いる期間(位置検出モード)とが切り替えられる。期間T1と期間T2とは、それぞれ、位置検出モードと表示モードとに対応する。
【0056】
位置検出用透明導電膜7の4隅の電極は、それぞれ、トランジスタやダイオードなどから構成されたスイッチング回路を用いて、後述する検出回路に接続されている。期間T1と期間T2とは、例えばこのスイッチング回路を用いることによって、交互に切り替えられる。期間T1の間は、位置検出用透明導電膜7の4隅の電極はそれぞれ検出回路に接続され、期間T2の間は、位置検出用透明導電膜7の4隅の電極は検出回路に接続されない。
【0057】
まず、期間T1の位置検出モードでは、所定の振幅を有する振動電圧を対向透明電極5に印加し、位置検出用透明導電膜7に所定の振幅を有する誘起電圧を生成させる。この期間T1の間は、位置検出用透明導電膜7の4隅の電極が、それぞれ、後述する検出回路に接続されるので、この検出回路により、接触点の位置データが生成される。
【0058】
一方、期間T2の表示モードでは、所定の大きさの共通電圧が印加され、共通電圧が前述したように振動する場合には、位置検出用透明導電膜7に誘起電圧が発生するが、期間T2の間は、位置検出用透明導電膜7の4隅の電極が検出回路に接続されないので、誘起電圧が接触位置の検出精度に影響を与えることがない。なお、図2(c)に示すように、期間T2の間に、対向透明電極5に一定電圧を印加する場合には、位置検出用透明導電膜7に誘起電圧が発生しないので、上記スイッチング回路を省略することができる。
【0059】
次に、図3を参照しながら、本発明で採用する静電容量結合方式による位置検出方法の基本原理を簡単に説明する。図3に示すように、位置検出用透明導電膜7の4隅の電極には、同相同電位の交流電圧が印加され、指などの接触によって位置検出用透明導電膜7の4隅を流れる電流のそれぞれをi1、i2、i3、およびi4とする。
【0060】
なお、図3では、位置検出用透明導電膜7の4隅の電極から同相同電位の交流電圧を印加しているが、本実施形態では、上記交流電圧は位置検出用透明導電膜7に発振回路などによって印加されたものではなく、透明対向電極5に印加された振動電圧によって発生した誘起電圧である。
【0061】
位置検出用透明導電膜7に対する接触位置のX座標およびY座標は、次式に基づいて決定することができる。
【0062】
X=k1+k2・(i2+i3)/(i1+i2+i3+i4) (式1)
Y=k1+k2・(i1+i2)/(i1+i2+i3+i4) (式2)
【0063】
ここで、Xは位置検出用透明導電膜7上における接触位置のX座標、Yは位置検出用透明導電膜7上における接触位置のY座標である。また、k1はオフセット、k2は倍率である。k1およびk2は、人のインピーダンスに依存しない定数である。
【0064】
従って、位置検出用透明導電膜7に対する接触位置は、4つの電極を流れるi1、i2、i3、およびi4の測定値から求めることが可能である。
【0065】
上述の説明では、表示パネル10が液晶パネルであり、特に、この液晶パネルがアクティブマトリクス型液晶パネルである場合を例示したが、本実施形態に使用される表示パネル10はこれに限定されない。表示パネルが備える透明対向電極に、周期的に変化する振動電圧が印加されるものであれば、任意の表示パネルが利用可能である。ここで、透明対向電極に印加される振動電圧は、表示媒体層を駆動するために用いられる電圧であることが好ましい。振動電圧は、位置検出用透明導電膜に誘起電圧を発生させるために必要とされるが、この振動電圧が表示媒体層を駆動するために用いられる共通電圧であれば、透明対向電極に共通電圧に加えて、誘起電圧発生のための電圧を別途印加する必要がない。従って、従来の表示装置と比較して電源回路が複雑な構成になることを抑制でき、また、消費電力が増大するのを抑制できる。
【0066】
位置検出用透明導電膜7に誘起電圧を発生させる電極は、上述した透明対向電極5に限定されない。但し、位置検出用透明導電膜7に互いに異なる振動電圧が印加される複数の電極が対向すると、これらの電極と位置検出用透明導電膜7との間の電界が不均一になり、位置検出精度が低下することがある。従って、誘起電圧を発生させるための電極と位置検出用透明導電膜7との間に均一な電界を発生させることができるように、少なくとも接触位置を検出する位置検出用透明導電膜7の領域全体に亘って、この位置検出用透明導電膜7と誘起電圧を発生させるための電極とが互いに対向するように設けることが好ましい。
【0067】
次に、タッチセンサ付き表示装置20が備える検出回路の構成を説明する。検出回路は、位置検出用透明導電膜7の複数の箇所から流れる電流の変化を検出し、検出された電流の変化に基づいて位置検出用透明導電膜7に対する接触点の位置データを生成する。
【0068】
図4は、検出回路50の一例を示すブロック図である。図4に例示する検出回路50は、4つの電流変化検出回路31を備えており、この4つの電流変化検出回路31は、それぞれ、位置検出用透明導電膜7の4隅の電極に接続されている。なお、位置検出用透明導電膜7に設ける電極の数およびその配置は、これに限定されない。
【0069】
電流変化検出回路31は、位置検出用透明導電膜7の4つの電極の各々とグランドとの間を流れる電流を測定する。位置検出用透明導電膜7には、上述した誘起電圧が印加されているため、指などの接触によって各電極を流れる電流は交流成分を有している。
【0070】
電流変化検出回路31の出力は、アナログ信号処理回路32によって、増幅およびバンドパスフィルタリングの処理を受ける。アナログ信号処理回路32の出力は、検波フィルタリング回路33によって検波される。
【0071】
検波フィルタリング回路33では、受け取った信号に含まれている様々なノイズを削除するために、フィルタリングを行う。従来は、透明対向電極に印加された電圧によって位置検出用透明導電膜に生じる誘起電圧(例えば図2(b))もノイズであると考えられていた。従って検波フィルタリング回路で削除するノイズの中に、上記誘起電圧に対応する信号も含まれていた。
【0072】
これに対して本実施形態の検出回路では、接触点の位置検出のために上記誘起電圧を積極的に利用するため、検波フィルタリング回路33で、上記誘起電圧に対応する信号を削除しない。従って、本実施形態の検波フィルタリング回路33には、上記誘起電圧に対応する信号を削除するための回路が含まれていない。
【0073】
検波フィルタリング回路33による出力は、ノイズ消去直流化回路34に入力される。ノイズ消去直流回路34は、検波フィルタリング回路33の出力を直流化し、各電極を流れる電流に比例した値をもつ信号を生成する。なお、ノイズ消去直流回路34は、検出した電流値を電圧値に変換し、増幅して、上記信号を生成し、アナログマルチプレクサ35を介してA/D変換器36に送る。
【0074】
従来のノイズ消去直流回路では、検波フィルタリング回路から受け取った信号(電圧値)は、誘起電圧に対応する信号が削除されていた。従って、検波フィルタリング回路から受け取った信号には、例えば図2(b)に示した誘起電圧が重畳されておらず、時間に対して連続的に変化する波形を有していた。よって、従来のノイズ消去直流回路は、上記連続的に変化する波形を有する電圧値を、連続的に、アナログマルチプレクサを介してA/D変換器に入力していた。
【0075】
これに対して、本実施形態では、検波フィルタリング回路33から受け取った信号(電圧値)は、例えば図2(b)に示した誘起電圧が重畳されており、図6(a)に示すような不連続な波形を有している。このため、従来と同様にノイズ消去直流回路によって検出された信号を、連続的にアナログマルチプレクサを介してA/D変換器に入力した場合、接触位置が入力されない場合であっても、信号が変動するため、接触位置を正確に検出できない。なお、図6(a)は、ノイズ消去直流回路34が検波フィルタリング回路33から受け取った信号(電圧値)の時間変化の一例を示す図である。縦軸は電位、横軸は時間を示している。
【0076】
そこで本実施形態の検出回路50では図5に示すように、ノイズ消去直流化回路34に含まれる増幅回路にコンデンサを設けている。例えば、誘起電圧が、周期40kHzで極大値または極小値を有するパルス波である場合、静電容量が数百nFのコンデンサを設けることが好ましい。コンデンサを設けることで、図6(b)に示すように、誘起電圧が存在しているときに検出される電流値と、誘起電圧が存在しないときに検出される電流値とを平均し、A/D変換器36に直流電圧を与える。位置検出用透明導電膜7に接触点が形成されていないときに得られる直流電圧の値と、接触点が形成されたときに得られる直流電圧の値との差に基づいて、接触点の位置が求められる。
【0077】
上記信号をノイズ消去直流化回路34から受け取ったアナログマルチプレクサ35は、4つの電極からの出力をA/D変換器36に送出する。A/D変換器36は、デジタル化された位置信号(位置データ)を生成し、処理装置37に送出する。ここでいう位置データは、上述した式1および式2のi1、i2、i3、およびi4を直流電圧値に変換し、これらをさらにデジタル化したものを指す。処理装置37は、これらの値を用いて、式1および式2に基づいて座標X、Yを求め、接触点を形成した操作者による入力命令を判断し、所定のデータ処理などを行う。処理装置37は、例えば、図1の表示装置を備えた携帯型情報端末(PDA)、ATM、券売機、または各種コンピュータ内部に搭載され、データ処理を実行するものである。
【0078】
なお、検出回路50が生成する位置データは上記の例に限られない。検出回路50が、例えば、上記デジタル化された直流電圧値を用いてXY座標を求めて、これを位置データとして出力しても良い。
【0079】
【発明の効果】
本発明により、薄型で視差が小さく、かつ、複雑な回路構成を必要としないタッチセンサ付き表示装置、および、位置データ生成方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るタッチセンサ付き表示装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】(a)は、表示パネルの透明対向電極に印加される共通電圧の時間変化の一例を示す図であり、(b)は、透明対向電極に図2(a)に示す共通電圧が印加された場合の位置検出用透明導電膜に発生する誘起電圧の時間変化を示す図であり、 (c)は、透明対向電極に印加される共通電圧が一定である場合の透明対向電極に印加される電圧の時間変化の一例を示す図である。
【図3】本発明で採用する静電容量結合方式による位置検出方法の基本原理を簡単に説明するための図である。
【図4】検出回路の一例を示すブロック図である。
【図5】ノイズ消去直流化回路に含まれる増幅回路を示す図である。
【図6】(a)は、ノイズ消去直流回路が検波フィルタリング回路から受け取った信号の時間変化の一例を示す図であり、(b)は、A/D変換器与えられる直流電圧の時間変化の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 第1偏光板
2 ガラス基板
3 TFTアレイ
4 表示媒体層
5 透明対向電極
6 絶縁層
7 位置検出用透明導電膜
8 アクティブマトリクス基板
10 表示パネル
20 タッチセンサ付き表示装置
31 電流変化検出回路
32 アナログ信号処理回路
33 検波フィルタリング回路
34 ノイズ消去直流化回路
35 アナログマルチプレクサ
36 A/D変換器
37 処理装置
50 検出回路
Claims (10)
- 表示媒体層と、前記表示媒体層の観察者側に配置され、かつ、前記表示媒体層を駆動するための電極と、前記電極の観察者側に配置された絶縁層とを有する表示パネルと、
前記絶縁層を介して、前記電極に対向するように配置された位置検出用透明導電膜と、
前記位置検出用透明導電膜の複数の箇所から流れる電流変化を検出する検出回路とを備え、
前記電極に周期的に変化する振動電圧を印加することによって前記位置検出用透明導電膜に誘起電圧を発生させて、前記位置検出用透明導電膜に電界を生成し、
前記位置検出用透明導電膜に接触点を形成することによって生じる前記電流変化に基づいて、前記接触点の位置データを生成する、タッチセンサ付き表示装置。 - 前記誘起電圧は、極大値および/または極小値を周期的に有するパルス波である、請求項1に記載のタッチセンサ付き表示装置。
- 前記振動電圧は、前記表示媒体層を駆動するために用いられる電圧である、請求項1または2に記載のタッチセンサ付き表示装置。
- 前記表示パネルは液晶パネルであって、前記振動電圧は、極性が周期的に反転する電圧である、請求項3に記載の表示装置。
- 前記液晶パネルはアクティブマトリクス型液晶パネルであって、前記電極は透明対向電極である、請求項4に記載の表示装置。
- 前記電極と前記位置検出用透明導電膜との間の距離が約1mm以下である、請求項1から5のいずれかに記載のタッチセンサ付き表示装置。
- 前記パルス波の周波数は約40kHzである、請求項2から6のいずれかに記載のタッチセンサ付き表示装置。
- 絶縁層を介して電極と対向するように配置された位置検出用透明導電膜に対する接触点の位置データを生成する方法であって、
前記電極に周期的に変化する振動電圧を印加することによって、前記位置検出用透明導電膜に誘起電圧を発生させて、前記位置検出用透明導電膜に電界を生成する工程と、
前記位置検出用透明導電膜に接触点を形成することによって生じる前記電流変化に基づいて、前記接触点の位置データを生成する工程とを含む、位置データ生成方法。 - 前記電極として、表示パネルが有する表示媒体層を駆動するために用いられる電極を用いる、請求項8に記載の位置データ生成方法。
- 前記振動電圧は、表示パネルが有する表示媒体層を駆動するために用いられる電圧である、請求項8または9に記載の位置データ生成方法。
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