JP2004016675A - 血液透析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、血液透析処理において、血液からの水分の引き出しと透析液の血液への押し込みの両操作を交互に行った場合でも、返血流量が大きく変化することがないような血液透析装置を提供することである。
【解決手段】血液の浄化を行う透析器と、血液を透析器に導く血液ポンプを有する第1の血液回路と、透析器からの血液を生体に導く第2の血液回路と、透析液供給ポンプを有する透析液供給回路と、透析液排出ポンプを有する透析液排出回路とを備えた血液透析濾過装置において、前記透析液供給回路の透析液供給ポンプ設置部に該ポンプとは異なる送液ポンプを有するバイパス回路を設け、バイパス回路に設けた送液ポンプと前記血液ポンプとはいずれも正逆回転可能なポンプである血液透析濾過装置。
【選択図】 図1
【解決手段】血液の浄化を行う透析器と、血液を透析器に導く血液ポンプを有する第1の血液回路と、透析器からの血液を生体に導く第2の血液回路と、透析液供給ポンプを有する透析液供給回路と、透析液排出ポンプを有する透析液排出回路とを備えた血液透析濾過装置において、前記透析液供給回路の透析液供給ポンプ設置部に該ポンプとは異なる送液ポンプを有するバイパス回路を設け、バイパス回路に設けた送液ポンプと前記血液ポンプとはいずれも正逆回転可能なポンプである血液透析濾過装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液透析器において血液側と透析液側の圧力差を正から負に、負から正へと交互に変化させて、血液からの水分の引き出しや透析液の血液への押し込みを行えるようにした血液透析濾過装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
腎不全患者の治療のために、従来より透析器を利用した血液浄化が行われている。これには大きく分けて2種類の方法がある。1つは、血液透析と呼ばれる方法であり、半透膜を介して血液と透析液を接触させ、血液中の尿素や尿酸などの老廃物を透析液中に拡散により移行させるとともに、血液側の圧力を透析液側よりも高くすることによって、血液中の水分を透析液に移行させるものである。
【0003】
もう1つは、血液濾過と呼ばれる方法であり、血液透析よりもやや孔径の大きい半透膜を利用して濾過作用により、血液中の低分子量物質と中分子量物質を除去し、それによって失われる有用成分を補充するために、有用成分を含んだ液を補給してやる方法である。一般に広く行われているのは血液透析であるが、血液透析の適用が困難な患者には血液濾過を行うなど、患者の状態によって2つの方法が使い分けられている。
【0004】
血液濾過の場合、有用成分を含んだ液を多量に補給する必要があるが、この液は所定の成分を含んだ無菌の液であるので、血液濾過のコストを高価なものにしている。また、水分調節のために、液の補給量を濾過量よりもやや少なくする必要があるが、その調節には精度の高い制御が要求されるため、血液濾過の普及を妨げている。
【0005】
一方、血液透析濾過(ヘモダイアフィルトレーション)と呼ばれる血液透析と血液濾過の両方を兼ねた方法も提案されている。この方法は、特公昭58−14223号公報などに開示されているように、透析器における血液側と透析液側との差圧を正から負に、負から正にと交互に変化させることにより、血液側から透析液側への水分の引き出しと透析液の血液中への押し込みを交互に行う方法である。
【0006】
この方法によれば、血液濾過の場合のような血液中への液の補給を必要とすることなく、効率のよい血液浄化を行うことができるが、従来の血液透析濾過法では、血液中からの水分の引き出しと透析液の押し込みが交互に行われる結果、患者に返される血液の流量が周期的に大きく変化する。ところが、このような変化は患者に好ましくない影響を与える。
【0007】
そこで、返血回路の途中を分岐させて血液を一時的に貯溜するバッグを設け、透析液の押し込み時には押し込み量と略等しい量の血液を返血回路からバッグに貯溜し、血液からの水分の引き出し時にはバッグの血液を回路に戻して、常に流量をほぼ一定にする方法が提案されている。
【0008】
しかし、この方法では複雑な制御機構が必要になるとともに、回路にバッグを取りつける必要もあり、装置も血液回路もコストが大幅に高くなるという問題がある。また、複雑な制御が必要な故に、透析液の押し込み流量を患者の状態に応じて変化させるようなことは困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、血液透析処理において、血液側と透析液側の圧力差を正から負に、負から正へと交互に変化させて血液からの水分の引き出しと透析液の血液への押し込みの両操作を交互に行った場合でも、返血流量が大きく変化することがないような血液透析装置を提供することである。さらに、患者への返血量の変化を抑制する装置や回路において、簡単な構成で安価に製造できる血液透析装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、半透膜を介して血液と透析液とを接触させて血液の浄化を行う透析器と、生体から取り出した血液を透析器に導く血液ポンプを有する第1の血液回路と、透析器より流出する血液を生体に導く手段を有する第2の血液回路と、透析液を透析器に導く透析液供給ポンプを有する透析液供給回路と、透析器から流出した透析液を排出する透析液排出ポンプを有する透析液排出回路とを備えた血液透析濾過装置において、前記透析液供給回路の透析液供給ポンプ設置部、あるいは透析液排出回路の透析液排出ポンプ設置部のいずれか一方、又は両方に該ポンプとは異なる送液ポンプを有するバイパス回路を設け、該バイパス回路に設けた送液ポンプと前記血液ポンプとはいずれも正逆回転可能なポンプであることを特徴とする血液透析濾過装置によって、上記課題を解決した。
【0011】
そして、前記血液ポンプと(バイパス回路に設けた)前記送液ポンプとが制御装置によって連絡され、且つ該制御装置は前記送液ポンプの送液量が血液ポンプの送液量変化(送液の増減量)と等しくなるように連動制御する血液透析濾過装置によって、さらに簡便且つ確実に、患者への返血量の変化を抑制することができる。前記送液ポンプは、既述したように透析液供給ポンプ設置部に設けた補液(目的の)ポンプであっても良いし、或いは透析液排出回路の透析液排出ポンプ設置部に設けた除水ポンプであっても良い。さらに、それらの両方のポンプを備えていても良い。
【0012】
本発明の構成において、透析液供給回路に設けた送液ポンプによって、透析器(の透析膜)を介して、血液側回路に液を押込んだり、逆に引き出したりすることができる。従って、この送液ポンプによって、血液側回路に液を押込んだ場合には、血液ポンプはその液量(押込み量)だけ、(患者からの脱血量を)少なく送液することによって、患者への返血量を同じにすることができる。
【0013】
逆に、前記送液ポンプで血液回路側から液を引き出した場合には、血液ポンプの送液量を引出し量だけ増やすことによって、前記返血量を不変とすることができる。このように、透析液供給回路の送液ポンプと血液ポンプとの送液量を連動制御することによって、患者への返血量を大きく変化させないようにすることが可能となる。
【0014】
そして、前記両ポンプを連動制御するために、特別な装置や手段は必要でなく、両ポンプを連動制御するための制御装置に連絡することで可能となる。また、制御装置においては、送液量は同じにするだけで良く、送液方向のみ規制すれば良いので、簡単に実現することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態の一例を図と共に示す。本発明の血液透析濾過装置において、透析器4には、基本的には透析液供給ポンプP5を備えた透析液供給回路5および透析液排出ポンプP4を備えた透析液排出回路6が接続され、透析液はポンプP5によって透析器4に供給され、ポンプP4によって排出され、一般的には、この2つのポンプの流量を等しくする。
【0016】
そして、透析液供給回路5および透析液排出回路6には、透析液の供給および除水を精度よく流量をコントロールして行うために、前者には送液ポンプP6および除水ポンプP3がさらに設けられている。
【0017】
本発明では、前記ポンプP6と血液回路1の血液ポンプP1とを正逆回転可能なものとし、さらに、これらの両ポンプ(送液ポンプP6,血液ポンプP1)を制御装置11によって、連動して操作できるようにすることにより、透析液の押し込み時、または引出し時に返血流量が大きく変化する、という従来技術の問題点を解消することができた。
【0018】
本発明においては、装置自体を簡単化できるだけでなく、血液ポンプP1とポンプP6の流量を巾広い範囲で設定でき、返血流量のバラツキを更に正確に、かつ簡単に解消することができる。「血液からの水分の引き出し工程」においては、送液ポンプP6は透析液供給ポンプP5とは逆の方向に送液され、血液ポンプP1は、図1に示すA方向、すなわち正回転(動脈側→静脈側)で送液される。一方、「透析液の血液への押し込み工程」においては、ポンプP6はポンプP5と同方向に送液され、血液ポンプP1は図1に示すB方向、すなわち逆回転(静脈側→動脈側)で送液される。
【0019】
また、血液ポンプP1の送液量変化(送液における増減量)とP6の送液量は等しいのが好ましいが、全く同一である必要はなく、例えば返血流量のバラツキが許容される範囲内のものであれば、両者(P1の送液量変化とP6の送液量)は必ずしも同一でなくてもよい。前記のようなポンプP1とP6とを連動して制御することは、図1に示すようにそれぞれのポンプ(P1とP6)とを連絡手段12を介して、制御装置11に連絡してやれば、容易に実現できる。
【0020】
【実施例】
次に図1に基づいて本発明の血液透析濾過装置の構成およびその動作の実施例を具体的に説明する。但し、本発明の血液透析濾過装置は以下の実施例のものに限定されるものではない。
【0021】
<実施例1>
図1において、4は血液浄化装置としての透析器であり、内部にフイルム状、チューブ状あるいは中空繊維状の半透膜を収容した函体より構成されている。該透析器4には、患者の体内から血液を導くための第1の血液回路1と透析器4から浄化され取り出された血液を患者に戻すための第2の血液回路2が接続されている。また、第1の血液回路1には、正逆回転可能な血液ポンプP1が設けられ、患者から取り出された血液は、ポンプP1によって第1の血液回路1を通って透析器4に送られ、第2の血液回路2を通って再び患者に返される。
【0022】
一方、透析器には、透析液を供給するための透析液供給回路5と排出するための透析液排出回路6が連結され、それぞれの回路5,6には透析液供給ポンプP4と透析液排出ポンプP5が設けられている。さらに、透析液供給回路5にはバイパス回路8が併設され、バイパス回路8には送液ポンプP6が設けられている。同じく、透析液供給回路6にはバイパス回路9が併設され、バイパス回路9には除水ポンプP3が設けられている。そして、既述したように送液ポンプP6の送液量が血液ポンプP1の送液量変化と(実質的に)同じになるように、前記両ポンプは制御装置11によって、連絡されている。或いは、除水ポンプP3を通常の回転とは逆に回転することで、透析器を介して血液回路側に液を押込むことができるが、その場合には、除水ポンプP3の送液量が血液ポンプP1の送液量変化と(実質的に)同じになるように、制御装置11によって制御する。
【0023】
<実施例2>
〈実施例2〉前記透析装置により、以下のようにして透析操作を行った。本実施例において、透析器における血液側と透析液側の圧力差を正から負に、負から正へと交互に変化させて血液からの水分の引き出しと透析液の血液への押し込みを交互に行うことは、透析器への透析液の単位時間あたりの流入量と該透析器からの単位時間あたりの流出量との差を負より正へ、次いで正より負へと交互に変化せしめて行う。血液中からの水分の引き出し工程と透析液の押し込み工程は、各工程を1分毎に交互に切り換えて、4時間の処理を行った。〔血液からの水分の引き出し工程〕では、送液ポンプP6および血液ポンプP1とをA方向に回転させた。各ポンプの流量を以下のとおりとした。
【0024】
ポンプP1の流量 250ml/分(200ml/分+50ml/分)
ポンプP3の流量 30ml/分
ポンプP4の流量 500ml/分
ポンプP5の流量 500ml/分
ポンプP6の流量 50ml/分
血液の取り出し流量は、P1=250ml/分、
返血流量は、P1−P3−P6=250−30−50=170ml/分となる。
【0025】
〔透析液の血液への押し込み工程〕P1とP6とをB方向に回転して送液を行う。各ポンプの流量の例を以下のとおりとした。
P1 150ml/分 (逆)[200ml/分−50ml/分]
P3 30ml/分
P4 500ml/分
P5 500ml/分
P6 50ml/分 (逆)
血液の取り出し流量は、P1=150ml/分、
返血流量は、P1−P3+P6=150−30+50=170ml/分となる。
【0026】
以上の結果から、返血流量は水分引き出し工程と透析液押し込み工程では、共に170ml/分であり全く変わらない。上記の実施例では、ポンプP4とP5の流量が等しくなるようにし、ポンプP3で血液からの除水を行うようにしたが、ポンプP4の流量をポンプP5よりも除水量分だけ多くなるように制御することにより、ポンプP3を省略することもできる。また、図1のものでは透析器の直前の透析液供給回路に除菌フィルター10を設けているが、このフィルターは必須のものではない。しかし、透析液は無菌が保証されていないので、除菌フィルターを設けて、血液中に細菌が侵入するのを防止するのが好ましい。
【0027】
【発明の効果】
本発明の血液透析濾過装置を使用して血液を処理すれば、血液からの水分の引き出しと透析液の血液への押し込みの両操作時の返血流量が大きく変化することがないので、安全性の点で優れている。そして、透析液の押し込み流量を自由に変化させることができ、幅広い処方に容易に対応できる。また、装置は既存の血液透析装置に送液ポンプP6を付加し、また送液ポンプP6の送液量と血液ポンプP1の送液量変化が等しくなるように、前記の両ポンプを制御装置に連動制御できるようにしただけの単純な構成であるので安価である。血液回路や透析液回路も複雑な構成や特別の高価な部品を必要としないので、ランニング・コストも低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の血液透析濾過装置の系統図である。
【符号の説明】
1.第1の血液回路
2.第2の血液回路
3.患者
4.透析器
5.透析液供給回路
6.透析液排出回路
8.バイパス回路(透析液供給回路)
9.バイパス回路(透析液排出回路)
P1.血液ポンプ
P3.送液ポンプ(除水用ポンプ)
P4.ポンプ
P5.ポンプ
P6.送液ポンプ(補液用)
10.除菌フィルター
11.制御装置
12.連絡手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液透析器において血液側と透析液側の圧力差を正から負に、負から正へと交互に変化させて、血液からの水分の引き出しや透析液の血液への押し込みを行えるようにした血液透析濾過装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
腎不全患者の治療のために、従来より透析器を利用した血液浄化が行われている。これには大きく分けて2種類の方法がある。1つは、血液透析と呼ばれる方法であり、半透膜を介して血液と透析液を接触させ、血液中の尿素や尿酸などの老廃物を透析液中に拡散により移行させるとともに、血液側の圧力を透析液側よりも高くすることによって、血液中の水分を透析液に移行させるものである。
【0003】
もう1つは、血液濾過と呼ばれる方法であり、血液透析よりもやや孔径の大きい半透膜を利用して濾過作用により、血液中の低分子量物質と中分子量物質を除去し、それによって失われる有用成分を補充するために、有用成分を含んだ液を補給してやる方法である。一般に広く行われているのは血液透析であるが、血液透析の適用が困難な患者には血液濾過を行うなど、患者の状態によって2つの方法が使い分けられている。
【0004】
血液濾過の場合、有用成分を含んだ液を多量に補給する必要があるが、この液は所定の成分を含んだ無菌の液であるので、血液濾過のコストを高価なものにしている。また、水分調節のために、液の補給量を濾過量よりもやや少なくする必要があるが、その調節には精度の高い制御が要求されるため、血液濾過の普及を妨げている。
【0005】
一方、血液透析濾過(ヘモダイアフィルトレーション)と呼ばれる血液透析と血液濾過の両方を兼ねた方法も提案されている。この方法は、特公昭58−14223号公報などに開示されているように、透析器における血液側と透析液側との差圧を正から負に、負から正にと交互に変化させることにより、血液側から透析液側への水分の引き出しと透析液の血液中への押し込みを交互に行う方法である。
【0006】
この方法によれば、血液濾過の場合のような血液中への液の補給を必要とすることなく、効率のよい血液浄化を行うことができるが、従来の血液透析濾過法では、血液中からの水分の引き出しと透析液の押し込みが交互に行われる結果、患者に返される血液の流量が周期的に大きく変化する。ところが、このような変化は患者に好ましくない影響を与える。
【0007】
そこで、返血回路の途中を分岐させて血液を一時的に貯溜するバッグを設け、透析液の押し込み時には押し込み量と略等しい量の血液を返血回路からバッグに貯溜し、血液からの水分の引き出し時にはバッグの血液を回路に戻して、常に流量をほぼ一定にする方法が提案されている。
【0008】
しかし、この方法では複雑な制御機構が必要になるとともに、回路にバッグを取りつける必要もあり、装置も血液回路もコストが大幅に高くなるという問題がある。また、複雑な制御が必要な故に、透析液の押し込み流量を患者の状態に応じて変化させるようなことは困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、血液透析処理において、血液側と透析液側の圧力差を正から負に、負から正へと交互に変化させて血液からの水分の引き出しと透析液の血液への押し込みの両操作を交互に行った場合でも、返血流量が大きく変化することがないような血液透析装置を提供することである。さらに、患者への返血量の変化を抑制する装置や回路において、簡単な構成で安価に製造できる血液透析装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、半透膜を介して血液と透析液とを接触させて血液の浄化を行う透析器と、生体から取り出した血液を透析器に導く血液ポンプを有する第1の血液回路と、透析器より流出する血液を生体に導く手段を有する第2の血液回路と、透析液を透析器に導く透析液供給ポンプを有する透析液供給回路と、透析器から流出した透析液を排出する透析液排出ポンプを有する透析液排出回路とを備えた血液透析濾過装置において、前記透析液供給回路の透析液供給ポンプ設置部、あるいは透析液排出回路の透析液排出ポンプ設置部のいずれか一方、又は両方に該ポンプとは異なる送液ポンプを有するバイパス回路を設け、該バイパス回路に設けた送液ポンプと前記血液ポンプとはいずれも正逆回転可能なポンプであることを特徴とする血液透析濾過装置によって、上記課題を解決した。
【0011】
そして、前記血液ポンプと(バイパス回路に設けた)前記送液ポンプとが制御装置によって連絡され、且つ該制御装置は前記送液ポンプの送液量が血液ポンプの送液量変化(送液の増減量)と等しくなるように連動制御する血液透析濾過装置によって、さらに簡便且つ確実に、患者への返血量の変化を抑制することができる。前記送液ポンプは、既述したように透析液供給ポンプ設置部に設けた補液(目的の)ポンプであっても良いし、或いは透析液排出回路の透析液排出ポンプ設置部に設けた除水ポンプであっても良い。さらに、それらの両方のポンプを備えていても良い。
【0012】
本発明の構成において、透析液供給回路に設けた送液ポンプによって、透析器(の透析膜)を介して、血液側回路に液を押込んだり、逆に引き出したりすることができる。従って、この送液ポンプによって、血液側回路に液を押込んだ場合には、血液ポンプはその液量(押込み量)だけ、(患者からの脱血量を)少なく送液することによって、患者への返血量を同じにすることができる。
【0013】
逆に、前記送液ポンプで血液回路側から液を引き出した場合には、血液ポンプの送液量を引出し量だけ増やすことによって、前記返血量を不変とすることができる。このように、透析液供給回路の送液ポンプと血液ポンプとの送液量を連動制御することによって、患者への返血量を大きく変化させないようにすることが可能となる。
【0014】
そして、前記両ポンプを連動制御するために、特別な装置や手段は必要でなく、両ポンプを連動制御するための制御装置に連絡することで可能となる。また、制御装置においては、送液量は同じにするだけで良く、送液方向のみ規制すれば良いので、簡単に実現することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態の一例を図と共に示す。本発明の血液透析濾過装置において、透析器4には、基本的には透析液供給ポンプP5を備えた透析液供給回路5および透析液排出ポンプP4を備えた透析液排出回路6が接続され、透析液はポンプP5によって透析器4に供給され、ポンプP4によって排出され、一般的には、この2つのポンプの流量を等しくする。
【0016】
そして、透析液供給回路5および透析液排出回路6には、透析液の供給および除水を精度よく流量をコントロールして行うために、前者には送液ポンプP6および除水ポンプP3がさらに設けられている。
【0017】
本発明では、前記ポンプP6と血液回路1の血液ポンプP1とを正逆回転可能なものとし、さらに、これらの両ポンプ(送液ポンプP6,血液ポンプP1)を制御装置11によって、連動して操作できるようにすることにより、透析液の押し込み時、または引出し時に返血流量が大きく変化する、という従来技術の問題点を解消することができた。
【0018】
本発明においては、装置自体を簡単化できるだけでなく、血液ポンプP1とポンプP6の流量を巾広い範囲で設定でき、返血流量のバラツキを更に正確に、かつ簡単に解消することができる。「血液からの水分の引き出し工程」においては、送液ポンプP6は透析液供給ポンプP5とは逆の方向に送液され、血液ポンプP1は、図1に示すA方向、すなわち正回転(動脈側→静脈側)で送液される。一方、「透析液の血液への押し込み工程」においては、ポンプP6はポンプP5と同方向に送液され、血液ポンプP1は図1に示すB方向、すなわち逆回転(静脈側→動脈側)で送液される。
【0019】
また、血液ポンプP1の送液量変化(送液における増減量)とP6の送液量は等しいのが好ましいが、全く同一である必要はなく、例えば返血流量のバラツキが許容される範囲内のものであれば、両者(P1の送液量変化とP6の送液量)は必ずしも同一でなくてもよい。前記のようなポンプP1とP6とを連動して制御することは、図1に示すようにそれぞれのポンプ(P1とP6)とを連絡手段12を介して、制御装置11に連絡してやれば、容易に実現できる。
【0020】
【実施例】
次に図1に基づいて本発明の血液透析濾過装置の構成およびその動作の実施例を具体的に説明する。但し、本発明の血液透析濾過装置は以下の実施例のものに限定されるものではない。
【0021】
<実施例1>
図1において、4は血液浄化装置としての透析器であり、内部にフイルム状、チューブ状あるいは中空繊維状の半透膜を収容した函体より構成されている。該透析器4には、患者の体内から血液を導くための第1の血液回路1と透析器4から浄化され取り出された血液を患者に戻すための第2の血液回路2が接続されている。また、第1の血液回路1には、正逆回転可能な血液ポンプP1が設けられ、患者から取り出された血液は、ポンプP1によって第1の血液回路1を通って透析器4に送られ、第2の血液回路2を通って再び患者に返される。
【0022】
一方、透析器には、透析液を供給するための透析液供給回路5と排出するための透析液排出回路6が連結され、それぞれの回路5,6には透析液供給ポンプP4と透析液排出ポンプP5が設けられている。さらに、透析液供給回路5にはバイパス回路8が併設され、バイパス回路8には送液ポンプP6が設けられている。同じく、透析液供給回路6にはバイパス回路9が併設され、バイパス回路9には除水ポンプP3が設けられている。そして、既述したように送液ポンプP6の送液量が血液ポンプP1の送液量変化と(実質的に)同じになるように、前記両ポンプは制御装置11によって、連絡されている。或いは、除水ポンプP3を通常の回転とは逆に回転することで、透析器を介して血液回路側に液を押込むことができるが、その場合には、除水ポンプP3の送液量が血液ポンプP1の送液量変化と(実質的に)同じになるように、制御装置11によって制御する。
【0023】
<実施例2>
〈実施例2〉前記透析装置により、以下のようにして透析操作を行った。本実施例において、透析器における血液側と透析液側の圧力差を正から負に、負から正へと交互に変化させて血液からの水分の引き出しと透析液の血液への押し込みを交互に行うことは、透析器への透析液の単位時間あたりの流入量と該透析器からの単位時間あたりの流出量との差を負より正へ、次いで正より負へと交互に変化せしめて行う。血液中からの水分の引き出し工程と透析液の押し込み工程は、各工程を1分毎に交互に切り換えて、4時間の処理を行った。〔血液からの水分の引き出し工程〕では、送液ポンプP6および血液ポンプP1とをA方向に回転させた。各ポンプの流量を以下のとおりとした。
【0024】
ポンプP1の流量 250ml/分(200ml/分+50ml/分)
ポンプP3の流量 30ml/分
ポンプP4の流量 500ml/分
ポンプP5の流量 500ml/分
ポンプP6の流量 50ml/分
血液の取り出し流量は、P1=250ml/分、
返血流量は、P1−P3−P6=250−30−50=170ml/分となる。
【0025】
〔透析液の血液への押し込み工程〕P1とP6とをB方向に回転して送液を行う。各ポンプの流量の例を以下のとおりとした。
P1 150ml/分 (逆)[200ml/分−50ml/分]
P3 30ml/分
P4 500ml/分
P5 500ml/分
P6 50ml/分 (逆)
血液の取り出し流量は、P1=150ml/分、
返血流量は、P1−P3+P6=150−30+50=170ml/分となる。
【0026】
以上の結果から、返血流量は水分引き出し工程と透析液押し込み工程では、共に170ml/分であり全く変わらない。上記の実施例では、ポンプP4とP5の流量が等しくなるようにし、ポンプP3で血液からの除水を行うようにしたが、ポンプP4の流量をポンプP5よりも除水量分だけ多くなるように制御することにより、ポンプP3を省略することもできる。また、図1のものでは透析器の直前の透析液供給回路に除菌フィルター10を設けているが、このフィルターは必須のものではない。しかし、透析液は無菌が保証されていないので、除菌フィルターを設けて、血液中に細菌が侵入するのを防止するのが好ましい。
【0027】
【発明の効果】
本発明の血液透析濾過装置を使用して血液を処理すれば、血液からの水分の引き出しと透析液の血液への押し込みの両操作時の返血流量が大きく変化することがないので、安全性の点で優れている。そして、透析液の押し込み流量を自由に変化させることができ、幅広い処方に容易に対応できる。また、装置は既存の血液透析装置に送液ポンプP6を付加し、また送液ポンプP6の送液量と血液ポンプP1の送液量変化が等しくなるように、前記の両ポンプを制御装置に連動制御できるようにしただけの単純な構成であるので安価である。血液回路や透析液回路も複雑な構成や特別の高価な部品を必要としないので、ランニング・コストも低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の血液透析濾過装置の系統図である。
【符号の説明】
1.第1の血液回路
2.第2の血液回路
3.患者
4.透析器
5.透析液供給回路
6.透析液排出回路
8.バイパス回路(透析液供給回路)
9.バイパス回路(透析液排出回路)
P1.血液ポンプ
P3.送液ポンプ(除水用ポンプ)
P4.ポンプ
P5.ポンプ
P6.送液ポンプ(補液用)
10.除菌フィルター
11.制御装置
12.連絡手段
Claims (4)
- 半透膜を介して血液と透析液とを接触させて血液の浄化を行う透析器と、生体から取り出した血液を透析器に導く血液ポンプを有する第1の血液回路と、透析器より流出する血液を生体に導く手段を有する第2の血液回路と、透析液を透析器に導く透析液供給ポンプを有する透析液供給回路と、透析器から流出した透析液を排出する透析液排出ポンプを有する透析液排出回路とを備えた血液透析濾過装置において、前記透析液供給回路の透析液供給ポンプ設置部、あるいは透析液排出回路の透析液排出ポンプ設置部のいずれか一方、又は両方に該ポンプとは異なる送液ポンプを有するバイパス回路を設け、該バイパス回路に設けた送液ポンプと前記血液ポンプとはいずれも正逆回転可能なポンプであることを特徴とする血液透析濾過装置。
- 前記血液ポンプと(前記バイパス回路に設けた)前記送液ポンプとが制御装置によって連絡され、且つ該制御装置は前記送液ポンプの送液量が血液ポンプの送液量変化(送液の増減量)と等しくなるように連動制御するものである請求項1記載の血液透析濾過装置。
- 前記送液ポンプが、透析液排出回路の透析液排出ポンプ設置部に設けた除水ポンプである請求項1または2記載の血液透析濾過装置。
- 前記の血液ポンプ、および前記送液ポンプの各ポンプの送液量が0〜400ml/minである請求項1または2記載の血液透析濾過装置。
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-
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- 2002-06-19 JP JP2002179237A patent/JP2004016675A/ja active Pending
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