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JP2004013127A - プライマー組成物及びプラスチックレンズ - Google Patents

プライマー組成物及びプラスチックレンズ Download PDF

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JP2004013127A
JP2004013127A JP2002170636A JP2002170636A JP2004013127A JP 2004013127 A JP2004013127 A JP 2004013127A JP 2002170636 A JP2002170636 A JP 2002170636A JP 2002170636 A JP2002170636 A JP 2002170636A JP 2004013127 A JP2004013127 A JP 2004013127A
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plastic lens
primer
fine particles
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primer layer
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JP2002170636A
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Mitsuhiro Toda
戸田 光洋
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Publication date
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Abstract

【課題】優れた外観、耐衝撃性、耐水性、耐候性を与える水系樹脂のプライマー層を有するプラスチックレンズを提供する。
【解決手段】プラスチックレンズ基材と、前記プラスチックレンズ基材上に形成されたプライマー層と、前記プライマー層上に形成されたハードコート層とを有するプラスチックレンズにおいて、水性化アクリル−ウレタン樹脂と、表面改質された酸化物微粒子を主成分とすることを特徴とするプライマー組成物。およびかかるプライマー層を有するプラスチックレンズ。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックレンズに関し、特に、優れた耐衝撃性、耐水性、耐光性等を有する高屈折率プラスチックレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックレンズはガラスレンズに比べ軽量で、成形性、加工性、染色性が良く、割れにくく安全性も高いため、眼鏡レンズの分野で広く用いられている。
【0003】
しかし、プラスチックレンズは軟質で非常に傷つきやすい為、プラスチックレンズの表面に硬度の高いハードコート層をもうけ、耐擦傷性の向上をはかっている。また表面反射を防止する目的でハードコート層の表面に無機物質を蒸着した反射防止膜をもうけている場合もある。さらには水やけ防止、汚れ防止を目的として、反射防止膜の表面に有機ケイ素化合物、またはフッ素含有炭化水素系化合物からなる撥水膜をもうけている場合もある。こうしたプラスチックレンズの表面処理層により、プラスチックレンズの品質は高いものとなっている。
【0004】
しかしながら、ハードコート層や反射防止膜の表面処理を施したプラスチックレンズは、いっさい表面処理層を有さないプラスチックレンズに比較して、耐衝撃性が低下するという欠点がある。特にレンズの中心厚が薄いマイナス度数レンズの場合は耐衝撃性が著しく低下し、割れやすいという欠点をもつ。これを改善するために中心厚を厚くすると、レンズの周辺部の厚さ(コバ厚)は非常に厚くなり、外観上好ましくない。またレンズの重量も重くなり、眼鏡の使用感は低下し、実用上好ましくない。
【0005】
近年は屈折率の高いプラスチックレンズ基材の開発が進み、これによりレンズの中心厚、コバ厚を薄くすることが可能であるが、屈折率の高いプラスチックレンズ基材は耐衝撃性が低く、割れやすいという欠点をもつ。
【0006】
さらに高屈折率のプラスチックレンズ基材の場合には、プライマー層及びハードコート層の屈折率とプラスチックレンズ基材の屈折率の差が大きい場合には、干渉縞が発生し、外観上好ましくない。
【0007】
これらの課題を解決するために、特開昭61−114203号公報では、基材上にアクリルポリオールと多官能性有機イソシアネート化合物からなるプライマー組成物を塗布することによって、表面処理層の基材に対する密着性を改善し、耐衝撃性、耐候性、耐熱水性を改善できることが開示されている。また、特開昭63−87223号公報、特開昭63−141001号公報には、特定のポリアルコールとイソシアネートからなるウレタン樹脂のプライマー層を、プラスチックレンズ基材とハードコート層の間にもうける方法が開示されている。また同様に特開平3−109502号公報にはポリアルコールとブロック型イソシアネートからなるウレタン樹脂のプライマー層を用いる方法が開示されている。もともとプライマー層はプラスチックレンズ基材とハードコート層の密着性を改善することを目的とする層であるが、このプライマー層に特定のウレタン樹脂を選択することにより、プラスチックレンズの耐衝撃性を改善することができる。
【0008】
さらに高屈折率のプラスチックレンズ基材の場合、特開平6−337376号公報にはポリウレタン樹脂と無機微粒子からなるプライマー層を用いる方法が開示されている。また同様に特開平6−82604号公報にはポリウレタン樹脂と無機微粒子とオルガノアルコキシシランの加水分解物からなるプライマー層を用いる方法が開示されている。これらのプライマー層を用いることにより、プライマー層の屈折率とプラスチックレンズ基材の屈折率の差を小さくすることで、干渉縞の発生を少なくし、外観を改善することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プライマー層を形成するコーティング液では、従来有機溶剤系樹脂が主流であったが、近年、大気汚染問題、作業環境の改善などの理由から水系樹脂に置換されつつあるのが現状である。プライマー層を形成するためのプライマー液においても、同様に水系樹脂が望ましい。また、従来のウレタン樹脂をプライマー層に用いた場合、耐衝撃性を改善できるものの、耐水性、耐候性が劣る場合があり、このようなウレタン樹脂をプライマー層として用いたプラスチックレンズは、使用するに従って黄変したり、白濁してプラスチックレンズの外観が悪くなるという問題がある。
【0010】
また高屈折率のプラスチックレンズ基材の場合、水系樹脂に酸化物微粒子を配合してプライマー層の屈折率を向上させ、干渉縞の発生を防止することができるが、水系樹脂に酸化物微粒子を配合すると、プライマー液がゲル化したり、沈殿が生じたりしてしまう場合が多い。また均一に配合できた場合にも、プライマー層にくもりが発生しやすく、白濁してプラスチックレンズの外観が悪くなるという問題がある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、優れた耐衝撃性、耐水性、耐候性、外観を与える水系樹脂のプライマー層を有する高屈折率のプラスチックレンズを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、水性化アクリル−ウレタン樹脂と酸化物微粒子を主成分としたプライマー組成物は、プライマー液がゲル化したり、沈殿が生じたりする事もなく、高屈折率のプラスチックレンズ基材上にプライマー層を形成した場合にも、ウレタン樹脂の耐衝撃性の改善効果に加えて耐水性、耐候性が良好であり、くもりや干渉縞が少なく、外観の経時変化の少ない優れたプラスチックレンズであることを見い出した。
【0013】
請求項1記載の発明は、プラスチックレンズ基材と、前記プラスチックレンズ基材上に形成されたプライマー層と、前記プライマー層上に形成されたハードコート層とを有するプラスチックレンズにおいて、前記プライマー層を形成するための組成物であり、水性化アクリル−ウレタン樹脂と、酸化物微粒子を主成分とすることを特徴とするプライマー組成物である。水性化アクリル−ウレタン樹脂と酸化物微粒子は相溶性がよく、このためプライマー液がゲル化したり、沈殿が生じたりする事を防止する効果を有する。
【0014】
ここで、水性化アクリル−ウレタン樹脂とは、アクリルポリオールと多官能性イソシアネート化合物との共重合体、又はアクリルポリオールと水性化ポリウレタン樹脂との複合体であり、水に分散されたものである。また、アクリルポリオールとは、水酸基をもつアクリルモノマーとこの水酸基をもつアクリルモノマーと共重合可能なモノマーとの共重合アクリル樹脂である。更に、水性化ポリウレタン樹脂は、多官能イソシアネート化合物とポリオールとの反応によって得られたウレタン樹脂が水溶液中にエマルジョンとして分散されているものである。
【0015】
また、水性化アクリル−ウレタン樹脂そのものの屈折率は約1.5程度であるため、そのまま高屈折率のプラスチックレンズ基材にプライマー層として用いると、干渉縞が発生する場合がある。そのため、酸化物微粒子をプライマー層に配合することによって、プライマー層の屈折率を向上させ干渉縞の発生を防止する効果を有する。
【0016】
また酸化物微粒子は、相溶性の観点から、Si,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In,Tiから選ばれる金属の1種又は2種以上の酸化物微粒子又は複合微粒子であることが好ましい(請求項2)。
【0017】
さらにはSi,Sb,Fe,Zr,Tiから選ばれる金属の1種又は2種以上の酸化物微粒子又は複合微粒子であることが、プラスチックレンズを形成したときの耐候性が良好であり、より好ましい。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のプライマー組成物において、前記酸化物微粒子が、有機ケイ素化合物で表面改質されたものであることを特徴とするプライマー組成物である。酸化物微粒子を有機ケイ素化合物で表面改質することにより、水性化アクリル−ウレタン樹脂と酸化物微粒子の相溶性はさらに向上し、酸化物微粒子を多く配合した場合においても、プライマー液がゲル化したり、沈殿が生じたりする事を防止する効果を有する。
【0019】
また有機ケイ素化合物としては、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランから選ばれる1種又は2種以上であることが相溶性の観点から好ましい(請求項4)。
【0020】
請求項5に記載の発明は、プラスチックレンズ基材と、前記プラスチックレンズ基材上に形成されたプライマー層と、前記プライマー層上に形成されたハードコート層とを有するプラスチックレンズにおいて、プライマー層が請求項1〜4いずれかに記載のプライマー組成物より形成されることを特徴とするプラスチックレンズを提供する。これにより、優れた耐衝撃性、耐水性、耐候性、外観を与えるプラスチックレンズを提供することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項5記載のプラスチックレンズにおいて、前記ハードコート層上に反射防止膜を有することを特徴とするプラスチックレンズを提供する。これにより、さらに表面反射を防止したプラスチックレンズを提供することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項6記載のプラスチックレンズにおいて、前記反射防止膜上に撥水膜を有することを特徴とするプラスチックレンズを提供する。これにより、さらに水やけの防止、および汚れの付着を防止したプラスチックレンズを提供することができる。
【0023】
本発明のプライマー組成物は、上述したように、プラスチックレンズ基材と、前記プラスチックレンズ基材上に形成されたプライマー層と、前記プライマー層上に形成されたハードコート層とを有するプラスチックレンズにおいて、前記プライマー層を形成するための組成物が、水性化アクリル−ウレタン樹脂と、酸化物微粒子を主成分とすることを特徴とするプライマー組成物である。
【0024】
プラスチックレンズ基材としては、特に制限されないが、(メタ)アクリル樹脂をはじめとしてスチレン樹脂、カーボネート樹脂、アリル樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)等のアリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、イソシアネート化合物とジエチレングリコールなどのヒドロキシ化合物との反応で得られたウレタン樹脂、イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する重合性組成物を硬化して得られる透明樹脂等を例示することができる。これらのプラスチックレンズ基材のうち、イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する重合性組成物を硬化して得られる透明樹脂が高屈折率のプラスチックレンズ基材として好ましい。イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂の具体例として、例えばセイコースーパーソブリン(セイコーエプソン株式会社製、商品名、屈折率1.67)に用いられているプラスチックレンズ基材、セイコースーパールーシャス(セイコーエプソン株式会社製、商品名、屈折率1.60)に用いられているプラスチックレンズ基材を例示することができる。また分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する重合性組成物を硬化して得られる透明樹脂の具体例として、例えばセイコープレステージ(セイコーエプソン株式会社製、商品名、屈折率1.74)用のプラスチックレンズ基材を例示することができる。
【0025】
本発明のプライマー組成物は、水性化アクリル−ウレタン樹脂を成分の一つとする。水性化アクリル−ウレタン樹脂とは、アクリルポリオールを主成分として用いたポリオール化合物と多官能イソシアネート化合物とを共重合させて得られた共重合体、又はアクリルポリオールと水性化ポリウレタン樹脂との複合体であり、水に分散されたものである。アクリルポリオールは、水酸基をもつアクリルモノマーとこの水酸基をもつアクリルモノマーとアクリル酸エステル等の共重合可能なモノマーとの共重合アクリル樹脂である。水性化ポリウレタン樹脂は、水性ウレタン樹脂又は水分散型ポリウレタンともよばれ、多官能イソシアネート化合物とポリオールとの反応によって得られたウレタン樹脂が水溶液中にエマルジョンとして分散されているものである。
【0026】
アクリルポリオールの原料である水酸基をもつアクリルモノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、5,6−ジヒドロキシヘキシルメタクリレートなどが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
また、水酸基をもつアクリルモノマーと共重合可能なモノマーとしては、メチル(メタ)クリレート、エチル(メタ)クリレート、n−プロピル(メタ)クリレート、n−ブチル(メタ)クリレート、イソプロピル(メタ)クリレート、イソブチル(メタ)クリレート、n−アミル(メタ)クリレート、n−ヘキシル(メタ)クリレート、イソアミル(メタ)クリレート、トリフルオロエチル(メタ)クリレート、ベンジル(メタ)クリレート、2−n−ブトキシエチル(メタ)クリレート、2−クロロエチル(メタ)クリレート、sec−ブチル(メタ)クリレート、tert−ブチル(メタ)クリレート、2−エチルブチル(メタ)クリレート、シンナミル(メタ)クリレート、シクロヘキシル(メタ)クリレート、シクロペンチル(メタ)クリレート、2−エトキシエチル(メタ)クリレート、フルフリル(メタ)クリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)クリレート、3−メトキシブチル(メタ)クリレート、2−メトキシブチル(メタ)クリレート、2−ニトロ−2−メチルプロピル(メタ)クリレート、n−オクチル(メタ)クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)クリレート、2−フェノキシエチル(メタ)クリレート、2−フェニルエチル(メタ)クリレート、フェニル(メタ)クリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)クリレート、テトラピラニル(メタ)クリレート、アクリル酸、メタクリル酸などのアクリル系単量体、さらにはアクリロニトリル、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、メチルクロトナート、無水マレイン酸、スチレン、α−メチルスチレンなどのエチレン性単量体などが例示できる。なお、(メタ)クリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0028】
アクリルポリオールは、これらの水酸基をもつアクリルモノマーとこれと共重合可能なモノマーとを塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法等の公知の重合法で重合させることにより得ることができる。とりわけ、乳化重合法は、水性化アクリルポリオールを直接製造できることに加え、溶液重合では製造が困難な巨大分子量のものが得られる点で好ましい。
【0029】
また、自己乳化型の水性化ポリウレタン樹脂を得るために、アクリルポリオールと共に、分子中にカルボキシル基と少くとも2個の活性水素とを有する化合物を用いることが好ましい。このような化合物としては、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸、ジオキシマレイン酸、2,2−ジメチロールブタン酸などを挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
一方、多官能イソシアネート化合物としては、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボランジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、t−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等のジイソシアネートと、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、リジンエステルトリイソシアネート、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等のトリイソシアネートがあげられる。さらにこれらジイソシアネート、トリイソシアネートから得られるウレタン変性体が使用可能である。ウレタン変性体としては、アダクト体、ウレチジオン体(二量体)、イソシアヌレート体(三量体)、カルボジイミド、アロハネート変性体、ウレア変性ポリイソシアネート、ビュレット変性ポリイソシアネート、イソシアネートプレポリマー(セミプレポリマー)があげられる。さらにこれらポリイソシアネートをアセチルアセトン、ジメチルマロネート、ジエチルマロネート、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、プクノンオキシム、カプロラクタムなどのブロッキング剤でブロックしたブロックイソシアネートがあげられる。
【0031】
これらの中でも、脂肪族ジイソシアネート化合物及び脂環式ジイソシアネートが耐候性の面から好ましく、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボランジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
【0032】
水性化アクリル−ウレタン樹脂を得る方法としては、例えば、アクリルポリオール、必要によりその他のポリオール、上記カルボキシル基と少なくとも2個の活性水素とを有する化合物、多官能イソシアネート化合物及び触媒を水酸基に対して化学量論的に過剰の多官能イソシアネート化合物を用いて有機溶媒中で反応させてカルボキシル基を有し、末端にイソシアネート基を有するアクリル変性ウレタンプレポリマーを製造した後、中和剤で中和して水性化し、この水性化ウレタンプレポリマーを水に分散させ、更に鎖伸長剤で高分子化して自己乳化型の水性化アクリル−ウレタン共重合組成物を得る方法がある。
【0033】
アクリルポリオール以外のポリオールとしては、例えばポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール及びポリエーテル系ポリオールを挙げることができ、これらのポリオールの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
ポリエステル系ポリオールとして、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリジエチレンアジペート、ポリエチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンイソフタレートアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンセバケート、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリ−3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート、1,6−ヘキサンジオールとダイマー酸の重縮合物などが挙げられる。
【0035】
また、ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えばポリヘキサメチレンカーボネートジオールなどを挙げることができる。
【0036】
さらに、ポリエーテル系ポリオールとして、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの単独重合体、ブロック共重合体、及びランダム共重体などが挙げられる。
【0037】
上記触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチル錫−2−エチルヘキソエート、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリンなどの1種又は2種以上を用いることができる。
【0038】
また、中和剤としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニアを例示することができる。
【0039】
また、鎖伸長剤としては、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの低分子量多官能アルコール、さらには、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの低分子量ポリアミンなどが挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
カルボキシル基と少なくとも2個の活性水素とを有する化合物の配合量は、カルボキシル基の樹脂中の含有量が、0.3〜5重量%、特に0.5〜1.5重量%の範囲が好ましい。
【0041】
自己乳化型の水性化アクリル−ウレタン樹脂の市販品として、例えばネオステッカー400、ネオステッカー700、X−7200(いずれも日華化学株式会社製、商品名)を例示することができる。この水分散型ポリウレタンは、カルボキシル基と反応する水系オキサゾリン系架橋剤、水系(ポリ)カルボジイミド系架橋剤、水系エポキシ樹脂系架橋剤などの架橋剤を添加することにより、更に耐水性が向上する。
【0042】
また、カルボキシル基と少なくとも2個の活性水素を有する化合物を用いずに、アクリルポリオール、必要によりその他のポリオール、多官能イソシアネート化合物及び触媒を水酸基に対して化学量論的に過剰の多官能イソシアネート化合物を用いて有機溶媒中で反応させて末端にイソシアネート基を有するアクリル変性ウレタンプレポリマーを製造した後、このウレタンプレポリマーを界面活性剤を用いて水に分散させ、更に鎖伸長剤で高分子化して強制乳化型の水性化アクリル−ウレタン共重合組成物を得る方法がある。
【0043】
更に、水性化アクリル−ウレタン樹脂を得る他の方法としては、上記カルボキシル基と少なくとも2個の活性水素を有する化合物を上記割合で含むアクリルポリオールと多官能イソシアネート化合物とをイソシアネート基と活性水素基の当量比を0.8/1〜1.2/1の割合で反応させ、カルボキシル基を上記中和剤で中和した後、ポリウレタンを水分散化する方法がある。
【0044】
また、カルボキシル基と少なくとも2個の活性水素を有する化合物を用いずに、アクリルポリオールと多官能イソシアネート化合物とをイソシアネート基と活性水素基の当量比を0.8/1〜1.2/1の割合で反応させた後、得られたポリウレタン樹脂を界面活性剤を用いて水に分散させて水性化アクリル−ウレタン樹脂を得る方法がある。
【0045】
更にまた、例えば、水性化ポリウレタン樹脂の存在下でアクリルモノマーを乳化重合させてコア−シェル構造のアクリルポリオールと水性化ポリウレタン樹脂との複合体である複合エマルジョンを得る方法がある。
【0046】
この方法は、例えば上記カルボキシル基と少なくとも2個の活性水素を有する化合物を上記割合で含むポリオールと多官能イソシアネート化合物とをイソシアネート基と活性水素基の当量比を0.8/1〜1.2/1の割合で反応させ、カルボキシル基を上記中和剤で中和した後、ポリウレタンを水分散化する。この水分散化ポリウレタンの存在する水性媒体中にアクリルモノマーを混合し、重合開始剤によって重合させてコア−シェル構造の水性化アクリル−ウレタン樹脂を得ることができる。
【0047】
更に、水性化ポリウレタン樹脂と乳化重合法によって得られたアクリルポリオールエマルジョンとを単に混合することによっても水性化アクリル−ウレタン樹脂を得ることができる。
【0048】
本発明のプライマー組成物は、酸化物微粒子を成分の一つとする。近年のプラスチックレンズ基材の高屈折率化により、屈折率が1.75〜1.59のプラスチックレンズ基材には、干渉縞を低減するために、酸化物微粒子をプライマー層に配合して屈折率を調整することが好ましい。本発明のプライマー組成物に使用する酸化物微粒子は水性化アクリル−ウレタン樹脂との相溶性が良好であることが好ましい。このような酸化物微粒子としては、 Si,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In,Tiから選ばれる金属の1種又は2種以上の酸化物微粒子又は複合微粒子を例示することができる。具体的には、SiO,SnO,Sb,CeO,ZrO,TiOの酸化物微粒子を、分散媒たとえば水、アルコール系もしくはその他の有機溶媒にコロイド状に分散させたもの、または、Si,A1,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In,Tiから選ばれる金属の酸化物の2種以上によって構成される複合微粒子を水、アルコール系もしくはその他の有機溶媒にコロイド状に分散したものを例示することができる。いずれも粒子径は約1〜300ミリミクロンが好適である。酸化物微粒子のプライマー液中の固形分に占める割合として、0〜80重量%、特に65重量%以下であることが望ましい。80重量%を超えると、プライマー層が白濁し外観が悪化する場合がある。
【0049】
さらにコーティング液中での分散安定性を高めるためにこれらの微粒子表面を有機ケイ素化合物またはアミン系化合物で処理したものを使用することも可能であるが、本発明のプライマー組成物に使用する酸化物微粒子は、水性化アクリル−ウレタン樹脂との相溶性および親和性の観点から、微粒子表面を有機ケイ素化合物で処理したものであることが好ましい。この際用いられる有機ケイ素化合物としては、単官能性シラン、あるいは二官能性シラン、三官能性シラン、四官能性シラン等がある。処理に際しては加水分解性基を未処理で行ってもあるいは加水分解して行ってもよい。また処理後は、加水分解性基が微粒子の−OH基と反応した状態が好ましいが、一部残存した状態でも安定性には何ら問題がない。
【0050】
無機酸化物微粒子および複合無機酸化物微粒子の表面を有機ケイ素化合物で改質すると、プライマー液中の樹脂成分との相溶性、および親和性を向上させることができる。このような有機ケイ素化合物として具体的には、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランであることが相溶性の観点から、より好ましい。
【0051】
無機酸化物微粒子および複合無機酸化物微粒子の表面改質は、たとえば上記有機ケイ素化合物のアルコール溶液中に無機酸化物微粒子を一定時間浸漬させた後に溶媒を除去するか、あるいは有機ケイ素化合物のアルコール溶液と無機酸化物微粒子ゾルとを混合し、一定時間の後に限外ろ過などの方法で混合溶液中の水を分離、濃縮する等の方法で行われる。用いられる有機ケイ素化合物の量は、無機酸化物微粒子の表面に存在する水酸基の量などに応じて適宜設定される。
【0052】
これら有機ケイ素化合物の添加量は無機酸化物微粒子の重量に対して1〜25%程度の範囲内で加えることが好ましい。
【0053】
プライマー組成物を調製する方法は、例えば水性化アクリル−ウレタン樹脂を含む水溶液に無機酸化物微粒子を配合し、必要により溶剤に希釈してプライマー液を調製して用いることができる。溶剤としては、水、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族類等の溶剤が用いられる。プライマー液中の各成分の安定性、相溶性、および親和性から、水、アルコール類が好ましい。
【0054】
調製したプライマー液はスピンコート、ディッピングなどの方法でプラスチック基材に塗布し、乾燥後、加熱硬化させる方法によりプラスチックレンズ基材上にプライマー層を形成することができる。
【0055】
プライマー層の膜厚は0.01〜50μmが好ましい。さらに好ましくは0.1〜5μmが好ましい。プライマー層が薄すぎると耐衝撃性の改善効果は少なく、逆に厚すぎると、面精度が低下する。また本発明のプライマー組成物には、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの従来公知の各種添加剤を含むことが可能である。
【0056】
本発明のプラスチックレンズは、かかるプライマー層の上にハードコート層が形成され、耐擦傷性が付与されている。プライマー層表面に設けるハードコート膜としては、特に限定はないが、下記酸化物微粒子および有機ケイ素化合物を主成分とする組成物を塗布、加熱硬化して得ることができる。
【0057】
ハードコート膜に用いる酸化物微粒子としては、Si,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In,Tiから選ばれる金属の1種又は2種以上の酸化物微粒子又は複合微粒子を例示することができる。具体的には、SiO,SnO,Sb,CeO,ZrO,TiOの酸化物微粒子を、分散媒たとえば水、アルコール系もしくはその他の有機溶媒にコロイド状に分散させたもの、または、Si,A1,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In,Tiから選ばれる金属の酸化物の2種以上によって構成される複合微粒子を水、アルコール系もしくはその他の有機溶媒にコロイド状に分散したものを例示することができる。いずれも粒子径は約1〜300ミリミクロンが好適である。
【0058】
さらにコーティング液中での分散安定性を高めるためにこれらの微粒子表面を有機ケイ素化合物またはアミン系化合物で処理したものを使用することも可能である。この際用いられる有機ケイ素化合物としては、単官能性シラン、あるいは二官能性シラン、三官能性シラン、四官能性シラン等がある。処理に際しては加水分解性基を未処理で行ってもあるいは加水分解して行ってもよい。また処理後は、加水分解性基が微粒子の−OH基と反応した状態が好ましいが、一部残存した状態でも安定性には何ら問題がない。
【0059】
またアミン系化合物としてはアンモニウムまたはエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン等のアルキルアミン、ベンジルアミン等のアラルキルアミン、ピペリジン等の脂環式アミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンがある。
【0060】
これら有機ケイ素化合物とアミン化合物の添加量は無機酸化物微粒子の重量に対して1〜25%程度の範囲内で加えることが好ましい。
【0061】
ハードコート膜に用いる有機ケイ素化合物としては、下記一般式で表される有機ケイ素化合物があげられる。
【0062】
一般式
【化1】
Figure 2004013127
【0063】
(式中、R は重合可能な反応基を有する有機基、R は炭素数1〜6の炭化水素基である。X は加水分解性基であり、nは0または1である。)これら有機ケイ素化合物はシランカップリング剤とも呼ばれ、ハードコート層のマトリックスを形成する為の成分である。またその種類、量により耐擦傷性を調節することが可能である。また表面処理層全体の密着性を向上させることが可能である。R は重合可能な反応基を有する有機基であり、ビニル基,アリル基,アクリル基,メタクリル基,エポキシ基,メルカプト基,シアノ基,イソシアノ基,アミノ基等の重合可能な反応基である。R は炭素数1〜6の炭化水素基であるが、その具体的例としては、メチル基,エチル基,ブチル基,ビニル基,フェニル基等が挙げられる。またX は加水分解可能な官能基でありその具体的なものとして、メトキシ基,エトキシ基,メトキシエトキシ基等のアルコキシ基、クロロ基,ブロモ基等のハロゲン基、アシルオキシ基等が挙げられる。
【0064】
この有機ケイ素化合物の具体例として、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、アリルトリアルコキシシラン、アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルジアルコキシメチルシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリアルコキシシラン、メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジアルコキシシラン等がある。これらを2種以上混合して用いてもかまわない。この有機ケイ素化合物の使用量は、ハードコート組成物の15〜80重量%であるこが望ましい。すなわち、15重量%未満であると、無機蒸着膜との密着性が不充分となりやすい。また80重量%を越えると、硬化被膜にクラックを生じさせる原因となり好ましくない。
【0065】
また同様にハードコート層のマトリックスを形成する為の成分として下記一般式で表される有機ケイ素化合物があげられる。
【0066】
一般式
【化2】
Figure 2004013127
【0067】
具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラアリロキシシラン、テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルヘキシロキシ)シラン等があげられる。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。また、これら有機ケイ素化合物は無溶媒下または水、アルコール等の溶媒中で、触媒として酸を添加し加水分解して使用する方が好ましい。
【0068】
またハードコートの成分として下記一般式で表されるジシラン化合物を添加することも有用である。
【0069】
一般式
【化3】
Figure 2004013127
【0070】
(式中、R,Rは炭素数1〜6の炭化水素基である。X,Xは加水分解性基である。Yは、カーボネート基またはエポキシ基を含有する有機基であり、m,nは0または1である。)
これらのジシラン化合物は、従来公知の種々の方法で合成することができる。例えば、ジアリルカーボネートとトリクロロシラン等を付加反応させ、その後アルコキシ化させれば得ることができる。または、両末端に付加可能な置換基を持ち、更にその内部にエポキシ基あるいはエポキシ化可能な官能基を含む化合物に、トリクロロシラン等を付加反応させ、その後アルコキシ化させれば得ることができる。これらジシラン化合物は、無溶媒下または水、アルコール等の溶媒中で、触媒として酸を添加し加水分解して使用する方が好ましい。もしくは硬化した後の被膜に酸処理を行なうか、どちらかの方法を取った方がより有効である。
【0071】
またハードコートの成分として多官能性エポキシ化合物を添加することも有用である。多官能性エポキシ化合物とは、塗料、接着剤、注型用などに広く実用されているもので、例えば過酸化法で合成されるポリオレフィン系エポキシ樹脂、シクロペンタジエンオキシドやシクロヘキセンオキシドあるいはヘキサヒドロフタル酸とエピクロルヒドリンから得られるポリグリシジルエステルなどの脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールAやカテコール、レゾシノールなどの多官能フェノールあるいは(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、ソルビトールなどの多官能アルコールとエピクロルヒドリンから得られるポリグリシジルエーテル、エポキシ化植物油、ノボラック型フェノール樹脂とエピクロルヒドリンから得られるエポキシノボラック、フェノールフタレインとエピクロルヒドリンから得られるエポキシ樹脂、グリシジルメタクリレートとメチルメタクリレートアクリル系モノマーあるいはスチレンなどの共重合体、さらには上記エポキシ化合物とモノカルボン酸含有(メタ)アクリル酸とのグリシジル基開環反応により得られるエポキシアクリレートなどが挙げられる。多官能性エポキシ化合物の具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ノナプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールヒドロキシヒバリン酸エステルのジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールジグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリグリシジルエーテル、等の脂肪族エポキシ化合物、イソホロンジオールジグリシジルエーテル、ビス−2,2−ヒドロキシシクロヘキシルプロパンジグリシジルエーテル等の脂環族エポキシ化合物、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、オルトフタル酸ジグリシジルエステル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物等が挙げられる。上記した中でも、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物が特に好ましい。
【0072】
またハードコートを硬化させるための触媒として、過塩素酸,過塩素酸アンモニウム,過塩素酸マグネシウム等の過塩素酸類、Cu(II),Zn(II),Co(II),Ni(II),Be(II),Ce(III),Ta(III),Ti(III),Mn(III),La(III),Cr(III),V(III),Co(III),Fe(III),Al(III),Ce(IV),Zr(IV),V(IV)等を中心金属原子とするアセチルアセトネート、アミン,グリシン等のアミノ酸、ルイス酸、有機酸金属塩等が挙げられる。この中でも最も好ましい硬化触媒としては、過塩素酸マグネシウム、Al(III),Fe(III)のアセチルアセトネートが挙げられる。
【0073】
このようにして得られるハードコート用組成物は、必要に応じ、溶剤に希釈して用いることができる。溶剤としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族類等の溶剤が用いられる。
【0074】
ハードコート用組成物は、プライマー層上に、スピンコート、ディッピングなどの方法で塗布し、乾燥後、加熱硬化させる方法によりプライマー層上にハードコート層を形成することができる。
【0075】
ハードコート層の膜厚は0.01〜50μmが好ましい。さらに好ましくは0.1〜5μmが好ましい。ハードコート層が薄すぎると耐擦傷性の改善効果は少なく、逆に厚すぎると、面精度が低下する。またハードコート層には、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの従来公知の各種添加剤を含むことが可能である。
【0076】
本発明のプラスチックレンズは、かかるプライマー層の上にハードコート層が形成され、さらに表面反射を防止するための反射防止膜が形成される場合がある。この反射防止膜としては、特に限定はないが、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等で形成することができる。真空蒸着法においては、蒸着中にイオンビームを同時に照射するイオンビームアシスト法を用いてもよい。また、膜構成としては、単層反射防止膜もしくは多層反射防止膜のどちらを用いてもかまわない。使用できる蒸着物質としては、例えば、SiO、SiO、ZrO、TiO、TiO、Ti、Ti、Al、Ta、CeO、MgO、Y、SnO、MgF、WOなどを例示することができ、これらの無機物を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。特に、プラスチックレンズ用としては、蒸着温度を低くすることができるZrO、SiO、TiOが好ましく使用できる。
【0077】
本発明のプラスチックレンズは、かかるプライマー層の上にハードコート層、反射防止膜が形成され、さらに反射防止膜上に水やけの防止、および汚れの付着の防止を目的とした撥水膜が形成される場合がある。この撥水膜としては、特に限定はないが、ハロゲン化シラン化合物、フッ素基含有炭化水素系化合物、および疎水性の高い官能基(フェニル基、長鎖アルキル基等)をもつ有機シラン化合物等が用いられる。これらの物質は、溶媒を用いてスピンコート、ディッピングなどの方法で塗布し乾燥する方法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等で形成することができる。
【0078】
このように、プラスチック基材上に、上記プライマー層、ハードコート層、反射防止膜、撥水膜を形成したプラスチックレンズは、ハードコート層によって耐擦傷性が付与され、反射防止膜によって光透過率の向上やゴースト等の除去が行われ、撥水膜によって水やけの防止および汚れの付着が防止され、さらにプライマー層によって、ハードコート層や反射防止膜のプラスチック基材への密着性が良好であると共に、ハードコート層と反射防止膜を設けたことにより本来低下する耐衝撃性が著しく改善され、干渉縞等の外観も良く、耐候性、耐水性が良好である高品質なプラスチックレンズである。
【0079】
また、プライマー層が水性化アクリル−ウレタン樹脂を成分としているため、プライマー層形成工程では有機溶剤の不要化が可能であり、作業環境を良好にすることができる。
【0080】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のプライマー組成物及びプラスチックレンズの実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0081】
(実施例1)
(1)プライマー用組成物の調製および塗布硬化
メタノール297gに水57gを加え、さらにメタノール分散金属酸化物ゾル(Zr−Ti−Si複合酸化物微粒子の表面グリシド処理品、触媒化成株式会社製、商品名「S−7,G」、固形分濃度30%)55gを加え攪拌し、さらに水性化アクリル−ウレタン樹脂「ネオステッカー700」(日華化学株式会社製、固形分濃度37%)91gとシリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7604」)0.1gを添加し3時間攪拌しプライマー組成物を得た。このプライマー組成物を、セイコースーパールーシャス(商品名)用プラスチックレンズ基材(セイコーエプソン株式会社製、屈折率1.60)上に浸漬法(引き上げ速度25cm/min)にて塗布した。塗布した基材レンズは80℃で20分間加熱硬化処理して基材上に膜厚1.0μm、屈折率1.60のプライマー層を形成させた。
【0082】
(2)ハードコート層の形成
ブチルセロソルブ42g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン72g、およびテトラメトキシシラン12gの混合液に0.1N塩酸水溶液27gを加え5時間攪拌した。さらにメタノール分散金属酸化物ゾル(Zr−Ti−Si複合酸化物微粒子、触媒化成株式会社製、商品名「1120Z(SE−1)」、固形分濃度20%)322g、イソプロピルアルコール分散コロイダルシリカ(触媒化成株式会社製、商品名「オスカル1432」、固形分濃度30%)23g、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.2g、およびFe(Cを0.7g添加し3時間攪拌しハードコート組成物を得た。この組成物を、(1)で得られたプライマー層を形成したプラスチックレンズ基材上に浸漬法(引き上げ速度25cm/min)にて塗布した。塗布したプラスチックレンズ基材は120℃で180分間加熱硬化処理して基材上に膜厚2.5μm、屈折率1.60のハードコート層を形成させた。
【0083】
(3)反射防止薄膜の形成
酸素ガスによるイオンビーム照射処理(加速電圧500V×60秒)を行なった後、基板から大気に向かって順に、SiO,ZrO,SiO,TiO,SiOの5層からなる反射防止多層膜を真空蒸着法(真空器械工業(株)製;BMC−1000)にて形成を行なった。その際4層目のTiOをイオンビームアシスト蒸着により成膜を行った。蒸着各層の光学的膜厚は、最初のSiO、次のZrOとSiOの等価膜層がλ/4,TiO層がλ/2、最上層のSiO層がλ/4となる様に形成した。なお、設計波長λは520nmとした。得られた多層膜の反射干渉色は緑色を呈し、全光線透過率は99%であった。
【0084】
(実施例2)
(1)プライマー用組成物の調製および塗布硬化
メタノール264gに水66gを加え、さらにメタノール分散金属酸化物ゾル(Ti−Sb−Si複合酸化物微粒子の表面グリシド処理品、触媒化成株式会社製、固形分濃度30%)102gを加え攪拌し、さらにpH調整剤として0.1Nトリエチルアミン水溶液15gを添加して攪拌した後、水性化アクリル−ウレタン樹脂「ネオステッカー700」(日華化学株式会社製、固形分濃度37%)53gとシリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7604」)0.1gを添加し3時間攪拌しプライマー組成物を得た。このプライマー組成物を、セイコースーパーソブリン(商品名)用プラスチックレンズ基材(セイコーエプソン株式会社製、屈折率1.67)上に浸漬法(引き上げ速度25cm/min)にて塗布した。塗布した基材レンズは80℃で20分間加熱硬化処理して基材上に膜厚1.0μm、屈折率1.67のプライマー層を形成させた。
【0085】
(2)ハードコート層の形成
ブチルセロソルブ50g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン78gを加え、さらに0.1N塩酸水溶液21gを加え5時間攪拌した。さらにメタノール分散金属酸化物ゾル(Zr−Ti−Si複合酸化物微粒子、触媒化成株式会社製、商品名「1120Z(U−25,A8)」、固形分濃度20%)349g、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.2g、およびFe(Cを0.1g添加し3時間攪拌しハードコート組成物を得た。この組成物を、(1)で得られたプライマー層を形成したプラスチックレンズ基材上に浸漬法(引き上げ速度25cm/min)にて塗布した。塗布したプラスチックレンズ基材は120℃で180分間加熱硬化処理して基材上に膜厚2.5μm、屈折率1.67のハードコート層を形成させた。
【0086】
(3)反射防止薄膜および撥水膜の形成
(2)で得られたプライマー層とハードコート層を形成したプラスチックレンズ基材上に反射防止膜を構築した。SiO層の成膜は、真空蒸着法(真空度2.0×10−4Pa)で行った。TiO層の成膜は、イオンアシスト蒸着法(真空度4.0×10−3Pa)で行った。TiO層をイオンアシスト蒸着で成膜するときのイオンアシスト条件は加速電圧520V、加速電流値270mAで、真空度は酸素を導入して4.0×10−3Paで保持するようにした。基材側から数えて、第1層は0.083λ0の光学膜厚を持つSiO層(屈折率1.45)、第2層は0.070λ0の光学膜厚を持つTiO層(屈折率2.36)、第3層は0.10λ0の光学膜厚を持つSiO層、第4層は0.18λ0の光学膜厚を持つTiO層、第5層は0.065λ0の光学膜厚を持つSiO層、第6層は0.14λ0の光学膜厚を持つTiO層、第7層は0.26λ0の光学膜厚を持つSiO層を順次積層してなる反射防止膜を構築した。さらにその上にハロゲン化シラン化合物よりなる撥水膜を真空蒸着法にて形成した。
【0087】
(実施例3)
(1)プライマー用組成物の調製および塗布硬化
メタノール264gに水66gを加え、さらにメタノール分散金属酸化物ゾル(Zr−Ti−Si複合酸化物微粒子の表面グリシド処理品、触媒化成株式会社製、商品名「S−7,G」、固形分濃度30%)100gを加え攪拌し、水性化アクリル−ウレタン樹脂「ネオステッカー700」(日華化学株式会社製、固形分濃度37%)54gとシリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7604」)0.1gを添加し3時間攪拌しプライマー組成物を得た。このプライマー組成物を、セイコープレステージ(商品名)用プラスチックレンズ基材(セイコーエプソン株式会社製、屈折率1.74)上に浸漬法(引き上げ速度25cm/min)にて塗布した。塗布した基材レンズは80℃で20分間加熱硬化処理して基材上に膜厚1.0μm、屈折率1.72のプライマー層を形成させた。
【0088】
(2)ハードコート層の形成
実施例2と同様の方法でハードコート層の形成を行った。
【0089】
(3)反射防止薄膜および撥水膜の形成
実施例2と同様の方法で反射防止薄膜および撥水膜の形成を行った。
【0090】
(実施例4)
(1)プライマー用組成物の調製および塗布硬化
実施例1と同様の方法でプライマー層の形成を行った。
【0091】
(2)ハードコート層の形成
プロピレングリコールモノメチルエーテル221g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン45g、ビス[3−(ジエトキシメチルシリル)プロピル]カーボネート16gを加え、さらに0.1N塩酸水溶液16gを加え5時間攪拌した。さらにイソプロピルアルコール分散コロイダルシリカ(触媒化成株式会社製、商品名「オスカル1432」、固形分濃度30%)165g、グリセロールポリグリシジルエーテル34g、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.2g、および過塩素酸マグネシウム2g、Fe(Cを0.1g、Mn(Cを0.2g添加し3時間攪拌しハードコート組成物を得た。この組成物を、(1)で得られたプライマー層を形成したプラスチックレンズ基材上に浸漬法(引き上げ速度25cm/min)にて塗布した。塗布したプラスチックレンズ基材は120℃で180分間加熱硬化処理して基材上に膜厚2.0μm、屈折率1.50のハードコート層を形成させた。
【0092】
(比較例1)
実施例1においてメタノール分散金属酸化物ゾル(Zr−Ti−Si複合酸化物微粒子の表面グリシド処理品、触媒化成株式会社製、商品名「S−7,G」、固形分濃度30%)を用いずにプライマー組成物の調製を行った以外は、すべて実施例1と同様に処理を行いプラスチックレンズを作製した。
【0093】
(比較例2)
実施例1において水性化アクリル−ウレタン樹脂「ネオステッカー700」(日華化学株式会社製、固形分濃度37%)のかわりに水性エマルジョンポリウレタン「スーパーフレックス150」」(第一工業製薬株式会社製、固形分濃度30%)を用いてプライマー組成物の調製を行った以外は、すべて実施例1と同様に処理を行いプラスチックレンズを作製した。
【0094】
これらの実施例、比較例で得られたプラスチックレンズについて、次の評価方法を行った。
【0095】
(a)外観:暗箱中で黒色の背景を用いて蛍光灯を用いて、透過光、反射光で白濁と干渉縞と色調(色ムラ)について観察した。
(b)耐擦傷性:ボンスター#0000スチールウール(日本スチールウール(株)製)で1kgの荷重をかけ、10往復表面を摩擦し、傷ついた程度を目視で観察した。
(c)耐候性:キセノンランプによるサンシャインウェザーメーターに250時間暴露した後の表面状態に変化のないものを良とした。
(d)耐湿性:60℃×99%雰囲気に10日間放置した後、表面状態に変化のないものを良とした。
(e)表面処理層の密着性:レンズ基材と表面処理層(ハードコート層および反射防止膜)の密着性は(c)と(d)の試験を行なったものについて、JISD−0202に準じてクロスカットテープ試験によって行なった。即ち、ナイフを用い基材表面に1mm間隔に切れ目を入れ、1平方mmのマス目を100個形成させる。次に、その上ヘセロファン粘着テープ(ニチバン(株)製商品名「セロテープ(登録商標)」)を強く押し付けた後、表面から90度方向へ急に引っ張り剥離した後コート被層の残っているマス目を密着性指標として、目視で観察した。
(f)耐衝撃性:16.3gの硬球を127cmの高さからレンズの凸面中心に自然落下させ、レンズの割れを確認し、割れ及びひびのないものを良とした。なお本試験に使用したレンズの中心厚はすべて1.1mmのものとした。
結果を表1に示す。
【0096】
【表1】
Figure 2004013127
【0097】
実施例1〜実施例4のプラスチックレンズは、水性化アクリル−ウレタン樹脂と表面改質された酸化物微粒子を用いたプライマー層を有するため、外観、耐候性、耐湿性(耐水性)に優れ、耐衝撃性も良好である。
これに対して酸化物微粒子をもちいていない比較例1では、干渉縞が発生し外観が劣る。また表面改質された酸化物微粒子を用いても水性化アクリル−ウレタン樹脂の変わりに水性エマルジョンポリウレタンを用いた比較例2ではプライマー層が白濁し外観が劣る。またこれら比較例では実施例と比較して耐候性、耐湿性がやや劣る。
【0098】
【発明の効果】
本発明のプラスチックレンズは、特定のウレタン樹脂および特定の酸化物微粒子を用いたプライマー層を有するため、外観、耐衝撃性、耐候性、耐湿性に優れる。

Claims (7)

  1. プラスチックレンズ基材と、前記プラスチックレンズ基材上に形成されたプライマー層と、前記プライマー層上に形成されたハードコート層とを有するプラスチックレンズにおいて、前記プライマー層を形成するための組成物であり、水性化アクリル−ウレタン樹脂と、酸化物微粒子を主成分とすることを特徴とするプライマー組成物。
  2. 請求項1記載のプライマー組成物において、前記酸化物微粒子が、Si,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In,Tiから選ばれる金属の1種又は2種以上の酸化物微粒子又は複合微粒子であることを特徴とするプライマー組成物。
  3. 請求項1又は2記載のプライマー組成物において、前記酸化物微粒子が、有機ケイ素化合物で表面改質されたものであることを特徴とするプライマー組成物。
  4. 請求項3記載のプライマー組成物において、前記有機ケイ素化合物が、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とするプライマー組成物。
  5. プラスチックレンズ基材と、前記プラスチックレンズ基材上に形成されたプライマー層と、前記プライマー層上に形成されたハードコート層とを有するプラスチックレンズにおいて、プライマー層が請求項1〜4いずれかに記載のプライマー組成物より形成されることを特徴とするプラスチックレンズ。
  6. 請求項5記載のプラスチックレンズにおいて、前記ハードコート層上に反射防止膜を有することを特徴とするプラスチックレンズ。
  7. 請求項6記載のプラスチックレンズにおいて、前記反射防止膜上に撥水膜を有することを特徴とするプラスチックレンズ。
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