JP2004007925A - 超音波モータ - Google Patents
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Abstract
【課題】圧電素子を弾性体に接合して振動子を構成する超音波モータにおいて、該モータの使用環境温度が大きく変化しても、安定した出力特性が得られる超音波モータを提供する。
【解決手段】分極処理を施された圧電素子を弾性体に接合してなる振動子と、該振動子の一方の面に接触し、該振動子の振動により相対的に駆動される移動子とからなる超音波モータにおいて、該モータはモータ周辺の環境温度を検出する手段と、該検出温度に対応して、前記圧電素子にDCバイアス電界を印加する電源と、該電界の強度を該検出温度から算出する演算手段とを有しており、環境温度が変化したとき、前記圧電素子と弾性体との線膨張係数差に起因する振動子の熱変形を前記DCバイアス電界で圧電素子の歪みをコントロールすることによりうち消す構成としている。
【選択図】図1
【解決手段】分極処理を施された圧電素子を弾性体に接合してなる振動子と、該振動子の一方の面に接触し、該振動子の振動により相対的に駆動される移動子とからなる超音波モータにおいて、該モータはモータ周辺の環境温度を検出する手段と、該検出温度に対応して、前記圧電素子にDCバイアス電界を印加する電源と、該電界の強度を該検出温度から算出する演算手段とを有しており、環境温度が変化したとき、前記圧電素子と弾性体との線膨張係数差に起因する振動子の熱変形を前記DCバイアス電界で圧電素子の歪みをコントロールすることによりうち消す構成としている。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波モータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来提案されている超音波モータの代表的な例として図7及び図8に示す様なリング型のモータがある。
【0003】
本図において、弾性体1には電気−機械変換素子2が接着されておりステータを構成している。
【0004】
一方、ロータ3は、一方の摺動面が前記ステータの摺動面と接触し、他方の面は、ゴム4を介して上部構造部材により支持されているロータ受台5に固定されている。その結果ロータ3は中心軸l回りの回転自由度以外の自由度が拘束されている。
【0005】
また、前記ステータは、前記ロータと反対側の面から、フェルト6、フェルト台7を介して、バネ8により加圧力が付加されており、前記ロータとの間に適切な摩擦力が発生する様、予めバネ力が設定されている。バネ押え9は、このバネ加圧力を設定するために、前記バネ8のバネ定数及び加圧力に応じてバネ8のたわみ量が確保できる様設けられている。
【0006】
本モータの駆動原理については、従来の考案等で既知であるため、ここでは、詳しい説明は省略するが、不図示の給電手段から印加された交流電界により前記ステータに進行性振動波が励振され、この進行波とロータとの摩擦力により、ロータ3、ゴム4、ロータ受け台5がともに進行波の進行方向と逆向きに回転するものである。
【0007】
ここで、前記振動体に発生する進行波の振動振幅は、モータの回転数や進行波の波数(振動モードの次数)等により異なるが、サブミクロンからせいぜい10μmp−pくらいであり、通常は、1〜3μmp−p程度で使うのが一般的である。そのため、ステータ及びロータの摺動面の平面度及び面粗さが悪いと、モード性能が極端に悪くなるため、これらの精度は通常数μm以下に管理し、安定したモータ出力が得られる様にしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この様な構造の超音波モータでは、環境温度が変化した場合、モータ性能が著しく悪化するという問題がある。
【0009】
この問題の原因は、いくつか考えられるが、その中で最も大きな要因と考えられるのは、ステータが温度変化により変形し、摺動面の平面度が悪化してしまうことである。
【0010】
ステータは、前に述べた様に金属の弾性体1と電気−機械エネルギー変換素子2とが接着剤等で接合されている。
【0011】
これら2つの部材は通常、熱膨張係数(線膨張係数)が異なるため、周りの環境温度(T)が、上記ステータ製造時(接着時)の温度Toと異なると、弾性体1と電気−機械エネルギー変換素子2との熱膨張率が異なるため、バイメタルの原理でステータが変形する。この変形量は、(T−To)の絶対値が大きい程大きく、また、2つの部材の熱膨張係数の差が大きい程大きくなる。
【0012】
このため、ステータの材料選定をする際には、弾性体1の材料と電気−機械エネルギー変換素子2の材料の熱膨張係数がなるべく近い値になる様に選ぶのが好ましく、この様な発明も以前になされている。
【0013】
しかし、現実的には、ステータに要求される性能(弾性体1では、機械的品質係数Q値が高いこと、電気−機械エネルギー変換素子では、同様にQ値が高いこと、及び、圧電定数などエネルギー変換効率が良いこと)やコスト(加工しやすさ、及び、材料の流通性)などを加味して材料を選定するため、熱膨張による変形を小さくするという観点では必ずしも有利な選択をされるわけではない。
【0014】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、圧電素子を弾性体に接合して振動子を構成する超音波モータにおいて、該モータの使用環境温度が大きく変化しても、安定した出力特性が得られるモータを提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
以上の様な課題に対し、本発明では、金属などの弾性体1に、電気−機械変換素子2を接合してなるステータと該ステータに接触し、該ステータに発生する進行性振動波により、回転するロータとを有する超音波モータにおいて、該モータの環境温度を検出する手段と、該ステータに交流電界を印加する手段及び直流バイアス電界を印加する手段を有し、環境温度が変化すると、予め設定された基準温度との差から弾性体1と電気−機械エネルギー変換素子2との熱歪み量の差を算出し、その歪の差分をキャンセルする様に電気−機械エネルギー変換素子に直流バイアス電界を重畳させて印加することで、環境温度の変化により該ステータが変形することを防止し、モータ性能の悪化を防止したことを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明における第1の実施例を図1−(a)及び(b)に示す。本発明におけるモータの構成は、図7の従来例と同じなので構成図は省略し、特に関係のある電気−機械エネルギー変換素子(本実施例ではPZT)の構成と駆動ブロック図を図1に示した。
【0017】
本図において、PZT2は8波の振動モード用に電極が分割されている。
【0018】
右側A1〜A7と左側B1〜B7はλ/2(λは波長)ピッチでそれぞれ電極が分割されており、C電極、λ/4とD:3/4λをはさんで対称にパターン化されている。
【0019】
電極上の+はこの電極部分の分極方向を示している。
【0020】
図1に示した様に本実施例では全ての電極が同極性(+)に分極されており、A1、A3、A5、A7のA1グループとA2、A4、A6のA2グループおよびB1、B3、B5、B7のB1グループとB2、B4、B6のB2グループは、それぞれ不図示の導電性連結部材(フレキシブルプリント基板などにより独立に電気的に接続されている。
【0021】
このPZTは接着剤などの接合手段により、弾性体に接合されてステータを構成し、例えばA1グループ(A1、A3、A5、A7)にV1sinωt、A2グループ(A2、A4、A6)に−V1 sinωtを印加し、かつ、B1グループ(B1、B3、B5、B7)にV1cosωt、B2グループ(B2、B4、B6)に−V1cosωtなる電界を印加することにより該ステータに進行性振動波が励振され、超音波モータのステータとして機能する。
【0022】
ここで、A1からB2グループすべてに、+V2のDC電圧を印加したときのステータの変形について考えてみる(図2)。
【0023】
前に述べた様にこのPZTは、全電極同方向に分極されているので、+V2のDC電圧を印加するとPZTは図1の面内方向に伸びて径が大きくなるため、これと接合された弾性体は、PZTから接合面を径方向に拡大する様な力を受け、ステータは図2−(A)に示す様に、摺動面が中凹になる様な変形をする。
【0024】
逆に−V2のDC電圧を印加した場合はPZTは径が小さくなる様に変形するので、ステータも図2(B)に示す様に摺動面が中凸に変形する。
【0025】
これは、前に述べた温度環境下(低温又は高温)におけるステータの変形と同じ原理であるので、このPZTに印加するDC電圧をコントロールしてやることで、温度環境下における弾性体とPZTの相対歪差をキャンセルすることが可能であり、その結果温度下におけるステータの熱変形をなくすことができる。
【0026】
本実施例では、弾性体にSUS420J2(線膨張係数β1=10.8×10−6)を使用し、PZTは高Q材のもの(β2≒6×10−6/℃)を使用している。PZTの接合は常温Toで行っているので、Toよりも低温側では、弾性体に対しPZTの収縮が小さいので、相対的にPZTが膨張した時と同じ変形(中凹)をする。そこで、この変形をキャンセルするためにPZTに負のDC電圧を印加し、PZTのトータルの収縮量が弾性体のそれと一致する様調節した。こうすることにより、このステータが低温環境下に置かれた場合でも、ステータはあたかも同一部材で構成される如く作用し、熱による変形を生じない為、モータの特性低下を防止することが可能になる。
【0027】
同様に、高温の場合は、弾性体の伸びの方がPZTのそれよりも大きい為、相対的にPZTが収縮した状態になるので、これをキャンセルする為正(+)のバイアス電圧を印加する。
【0028】
このバイアス電圧を決定する為に、モータの温度検出部と検出された温度によりバイアス電圧の値を演算し発振器又はDC電源等の電圧出力部に電圧の指令を出す指令手段としてのコントロール部を有している。
【0029】
第2の実施例を図3に示す。本発明においてはPZTの電極パターンを図の様に+、−交互に配置し、A、B相の+電極同志(A1、A3、A5、A7)、(B1、B3、B5、B7)及び−電極同志(A2、A4、A6)、(B2、B4、B6)の4グループ内をそれぞれ導電材で電気的に接続し、各グループ間は絶縁している。
【0030】
このパターンの場合は、+、−電極が混在しているので、+電極と−電極群では、逆のバイアス電圧を印加する。
【0031】
例えば環境温度がPZT接着温度より高温側の場合PZTリングの径を大きくする方向に膨張させなければならないので、+電極には、+V、−電極には−Vを印加する。
【0032】
この様にして、PZTリング本体の径を環境温度により膨張又は収縮した弾性体と同等に合わせることによりステータの変形を防ぐことができる。
【0033】
尚、本実施例では、電極パターンが+、−交互に形成されているので、弾性体に進行波を励振するためには、A1グループとA2グループにV1 sinωt、B1グループとB2グループにV1cosωtなる交流電界を印加すればよいことは言うまでもない。
【0034】
次に第3及び第4の実施例を図4及び図5に示す。
【0035】
本実施例は、リング型定在波駆動のモータに同原理を応用した例である。定在波駆動の原理については、以前より多くの提案がなされているので、ここでは説明を省略する。
【0036】
図4は全電極同方向(+)分極を施した例、図5は隣同志を+、−交互に分極した例であり、電極はそれぞれ第1及び第2の2グループにまとめられている。
【0037】
DCバイアス電界は第1、第2の実施例と同様に分極方向が同じ電極グループには互いに同方向のDC電界を印加し、逆方向の電極グループには逆のDC電界を印加する。
【0038】
図6には図5の実施例として、電極パターンが1/4λパターンになっている例を示す。本実施例では全電極+方向分極であるが、+、−交互のパターンでも同様に本発明が応用できる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、金属などの弾性体に電気−機械変換素子を接合してなるステータと該ステータに接触し、該ステータに発生する進行性振動波により回転するロータとを有する超音波モータにおいて、該モータの環境温度を検出する手段と、該ステータに交流電界を印加する手段及び直流バイアス電界を印加する手段を有し、該超音波モータの環境温度が変化すると、予め設定された基準温度との差から弾性体と電気−機械変換素子との熱歪み量の差分を算出し、その歪の差分をキャンセルする様に電気−機械変換素子に直流バイアス電界を印加することにより、環境温度が変化してもステータが変形して、前記ステータとロータとの接触状態が悪くなり、モータの特性が悪化してしまうことを防止できるので安定した出力が得られる様になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第1の実施例。
【図2】本発明における第1の実施例の説明図。
【図3】本発明における第2の実施例。
【図4】本発明における第3の実施例。
【図5】本発明における第4の実施例。
【図6】本発明における第5の実施例。
【図7】従来例におけるモータ構成図。
【図8】従来例における電気−機械変換素子のパターン図。
【符号の説明】
1 弾性体
2 電気−機械エネルギー変換素子
3 ロータ
4 ゴム
5 ロータ受台
6 フェルト
7 フェルト台
8 加圧バネ
9 バネ押え
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波モータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来提案されている超音波モータの代表的な例として図7及び図8に示す様なリング型のモータがある。
【0003】
本図において、弾性体1には電気−機械変換素子2が接着されておりステータを構成している。
【0004】
一方、ロータ3は、一方の摺動面が前記ステータの摺動面と接触し、他方の面は、ゴム4を介して上部構造部材により支持されているロータ受台5に固定されている。その結果ロータ3は中心軸l回りの回転自由度以外の自由度が拘束されている。
【0005】
また、前記ステータは、前記ロータと反対側の面から、フェルト6、フェルト台7を介して、バネ8により加圧力が付加されており、前記ロータとの間に適切な摩擦力が発生する様、予めバネ力が設定されている。バネ押え9は、このバネ加圧力を設定するために、前記バネ8のバネ定数及び加圧力に応じてバネ8のたわみ量が確保できる様設けられている。
【0006】
本モータの駆動原理については、従来の考案等で既知であるため、ここでは、詳しい説明は省略するが、不図示の給電手段から印加された交流電界により前記ステータに進行性振動波が励振され、この進行波とロータとの摩擦力により、ロータ3、ゴム4、ロータ受け台5がともに進行波の進行方向と逆向きに回転するものである。
【0007】
ここで、前記振動体に発生する進行波の振動振幅は、モータの回転数や進行波の波数(振動モードの次数)等により異なるが、サブミクロンからせいぜい10μmp−pくらいであり、通常は、1〜3μmp−p程度で使うのが一般的である。そのため、ステータ及びロータの摺動面の平面度及び面粗さが悪いと、モード性能が極端に悪くなるため、これらの精度は通常数μm以下に管理し、安定したモータ出力が得られる様にしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この様な構造の超音波モータでは、環境温度が変化した場合、モータ性能が著しく悪化するという問題がある。
【0009】
この問題の原因は、いくつか考えられるが、その中で最も大きな要因と考えられるのは、ステータが温度変化により変形し、摺動面の平面度が悪化してしまうことである。
【0010】
ステータは、前に述べた様に金属の弾性体1と電気−機械エネルギー変換素子2とが接着剤等で接合されている。
【0011】
これら2つの部材は通常、熱膨張係数(線膨張係数)が異なるため、周りの環境温度(T)が、上記ステータ製造時(接着時)の温度Toと異なると、弾性体1と電気−機械エネルギー変換素子2との熱膨張率が異なるため、バイメタルの原理でステータが変形する。この変形量は、(T−To)の絶対値が大きい程大きく、また、2つの部材の熱膨張係数の差が大きい程大きくなる。
【0012】
このため、ステータの材料選定をする際には、弾性体1の材料と電気−機械エネルギー変換素子2の材料の熱膨張係数がなるべく近い値になる様に選ぶのが好ましく、この様な発明も以前になされている。
【0013】
しかし、現実的には、ステータに要求される性能(弾性体1では、機械的品質係数Q値が高いこと、電気−機械エネルギー変換素子では、同様にQ値が高いこと、及び、圧電定数などエネルギー変換効率が良いこと)やコスト(加工しやすさ、及び、材料の流通性)などを加味して材料を選定するため、熱膨張による変形を小さくするという観点では必ずしも有利な選択をされるわけではない。
【0014】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、圧電素子を弾性体に接合して振動子を構成する超音波モータにおいて、該モータの使用環境温度が大きく変化しても、安定した出力特性が得られるモータを提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
以上の様な課題に対し、本発明では、金属などの弾性体1に、電気−機械変換素子2を接合してなるステータと該ステータに接触し、該ステータに発生する進行性振動波により、回転するロータとを有する超音波モータにおいて、該モータの環境温度を検出する手段と、該ステータに交流電界を印加する手段及び直流バイアス電界を印加する手段を有し、環境温度が変化すると、予め設定された基準温度との差から弾性体1と電気−機械エネルギー変換素子2との熱歪み量の差を算出し、その歪の差分をキャンセルする様に電気−機械エネルギー変換素子に直流バイアス電界を重畳させて印加することで、環境温度の変化により該ステータが変形することを防止し、モータ性能の悪化を防止したことを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明における第1の実施例を図1−(a)及び(b)に示す。本発明におけるモータの構成は、図7の従来例と同じなので構成図は省略し、特に関係のある電気−機械エネルギー変換素子(本実施例ではPZT)の構成と駆動ブロック図を図1に示した。
【0017】
本図において、PZT2は8波の振動モード用に電極が分割されている。
【0018】
右側A1〜A7と左側B1〜B7はλ/2(λは波長)ピッチでそれぞれ電極が分割されており、C電極、λ/4とD:3/4λをはさんで対称にパターン化されている。
【0019】
電極上の+はこの電極部分の分極方向を示している。
【0020】
図1に示した様に本実施例では全ての電極が同極性(+)に分極されており、A1、A3、A5、A7のA1グループとA2、A4、A6のA2グループおよびB1、B3、B5、B7のB1グループとB2、B4、B6のB2グループは、それぞれ不図示の導電性連結部材(フレキシブルプリント基板などにより独立に電気的に接続されている。
【0021】
このPZTは接着剤などの接合手段により、弾性体に接合されてステータを構成し、例えばA1グループ(A1、A3、A5、A7)にV1sinωt、A2グループ(A2、A4、A6)に−V1 sinωtを印加し、かつ、B1グループ(B1、B3、B5、B7)にV1cosωt、B2グループ(B2、B4、B6)に−V1cosωtなる電界を印加することにより該ステータに進行性振動波が励振され、超音波モータのステータとして機能する。
【0022】
ここで、A1からB2グループすべてに、+V2のDC電圧を印加したときのステータの変形について考えてみる(図2)。
【0023】
前に述べた様にこのPZTは、全電極同方向に分極されているので、+V2のDC電圧を印加するとPZTは図1の面内方向に伸びて径が大きくなるため、これと接合された弾性体は、PZTから接合面を径方向に拡大する様な力を受け、ステータは図2−(A)に示す様に、摺動面が中凹になる様な変形をする。
【0024】
逆に−V2のDC電圧を印加した場合はPZTは径が小さくなる様に変形するので、ステータも図2(B)に示す様に摺動面が中凸に変形する。
【0025】
これは、前に述べた温度環境下(低温又は高温)におけるステータの変形と同じ原理であるので、このPZTに印加するDC電圧をコントロールしてやることで、温度環境下における弾性体とPZTの相対歪差をキャンセルすることが可能であり、その結果温度下におけるステータの熱変形をなくすことができる。
【0026】
本実施例では、弾性体にSUS420J2(線膨張係数β1=10.8×10−6)を使用し、PZTは高Q材のもの(β2≒6×10−6/℃)を使用している。PZTの接合は常温Toで行っているので、Toよりも低温側では、弾性体に対しPZTの収縮が小さいので、相対的にPZTが膨張した時と同じ変形(中凹)をする。そこで、この変形をキャンセルするためにPZTに負のDC電圧を印加し、PZTのトータルの収縮量が弾性体のそれと一致する様調節した。こうすることにより、このステータが低温環境下に置かれた場合でも、ステータはあたかも同一部材で構成される如く作用し、熱による変形を生じない為、モータの特性低下を防止することが可能になる。
【0027】
同様に、高温の場合は、弾性体の伸びの方がPZTのそれよりも大きい為、相対的にPZTが収縮した状態になるので、これをキャンセルする為正(+)のバイアス電圧を印加する。
【0028】
このバイアス電圧を決定する為に、モータの温度検出部と検出された温度によりバイアス電圧の値を演算し発振器又はDC電源等の電圧出力部に電圧の指令を出す指令手段としてのコントロール部を有している。
【0029】
第2の実施例を図3に示す。本発明においてはPZTの電極パターンを図の様に+、−交互に配置し、A、B相の+電極同志(A1、A3、A5、A7)、(B1、B3、B5、B7)及び−電極同志(A2、A4、A6)、(B2、B4、B6)の4グループ内をそれぞれ導電材で電気的に接続し、各グループ間は絶縁している。
【0030】
このパターンの場合は、+、−電極が混在しているので、+電極と−電極群では、逆のバイアス電圧を印加する。
【0031】
例えば環境温度がPZT接着温度より高温側の場合PZTリングの径を大きくする方向に膨張させなければならないので、+電極には、+V、−電極には−Vを印加する。
【0032】
この様にして、PZTリング本体の径を環境温度により膨張又は収縮した弾性体と同等に合わせることによりステータの変形を防ぐことができる。
【0033】
尚、本実施例では、電極パターンが+、−交互に形成されているので、弾性体に進行波を励振するためには、A1グループとA2グループにV1 sinωt、B1グループとB2グループにV1cosωtなる交流電界を印加すればよいことは言うまでもない。
【0034】
次に第3及び第4の実施例を図4及び図5に示す。
【0035】
本実施例は、リング型定在波駆動のモータに同原理を応用した例である。定在波駆動の原理については、以前より多くの提案がなされているので、ここでは説明を省略する。
【0036】
図4は全電極同方向(+)分極を施した例、図5は隣同志を+、−交互に分極した例であり、電極はそれぞれ第1及び第2の2グループにまとめられている。
【0037】
DCバイアス電界は第1、第2の実施例と同様に分極方向が同じ電極グループには互いに同方向のDC電界を印加し、逆方向の電極グループには逆のDC電界を印加する。
【0038】
図6には図5の実施例として、電極パターンが1/4λパターンになっている例を示す。本実施例では全電極+方向分極であるが、+、−交互のパターンでも同様に本発明が応用できる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、金属などの弾性体に電気−機械変換素子を接合してなるステータと該ステータに接触し、該ステータに発生する進行性振動波により回転するロータとを有する超音波モータにおいて、該モータの環境温度を検出する手段と、該ステータに交流電界を印加する手段及び直流バイアス電界を印加する手段を有し、該超音波モータの環境温度が変化すると、予め設定された基準温度との差から弾性体と電気−機械変換素子との熱歪み量の差分を算出し、その歪の差分をキャンセルする様に電気−機械変換素子に直流バイアス電界を印加することにより、環境温度が変化してもステータが変形して、前記ステータとロータとの接触状態が悪くなり、モータの特性が悪化してしまうことを防止できるので安定した出力が得られる様になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第1の実施例。
【図2】本発明における第1の実施例の説明図。
【図3】本発明における第2の実施例。
【図4】本発明における第3の実施例。
【図5】本発明における第4の実施例。
【図6】本発明における第5の実施例。
【図7】従来例におけるモータ構成図。
【図8】従来例における電気−機械変換素子のパターン図。
【符号の説明】
1 弾性体
2 電気−機械エネルギー変換素子
3 ロータ
4 ゴム
5 ロータ受台
6 フェルト
7 フェルト台
8 加圧バネ
9 バネ押え
Claims (8)
- 弾性体に電気−機械エネルギー変換素子を接合し、該電気−機械エネルギー変換素子に所定の高周波電界を印加することによって、該弾性体上に高周波振動を発生させる振動体と、該弾性体の1方の面に摩擦接触し、該弾性体の高周波振動によって該弾性体と相対的に回転するよう設けられた回転子とを有する超音波モータにおいて、
環境温度を検出する温度検出手段と、前記電気−機械エネルギー変換素子にDCバイアス電界を印加するDC電源と、前記温度検出手段により検出された環境温度に基づいて該電気−機械エネルギー変換素子に印加するDC電圧を演算し、該電圧を該電気−機械エネルギー変換に印加するよう指令を出す指令手段とを備えたことを特徴とする超音波モータ。 - 前記電気−機械エネルギー変換素子に設けられた複数の電極部の分極方向は全て同一方向であることを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。
- 前記電気−機械エネルギー変換素子の電極は1/2波長(λ)ピッチに形成されるとともに、それぞれ1つおきの電極同士が電気的に導通するようグループ化されており、一方のグループにV1sin(ωt)なる交流電界を印加し、他方のグループには−V1sin(ωt)なる電界を印加することにより前記弾性体に定在波振動を励振し、さらに環境温度に対応したDCバイアス電界を同じ極性で前記2グループ印加することを特徴とする請求項1または2に記載の超音波モータ。
- 前記電気−機械エネルギー変換素子の電極は1/2λピッチに形成された第一の電極群と、該第一の電極に対し1/4λの空間的位相差をもって1/2λピッチ形成された第二の電極群とを有し、第一および第二の電極群は、さらにそれぞれ1つおきの電極同士が電気的に導通した4つの電極群にグループ化されており、前記4つの電極グループにそれぞれV1sinωt、−V1sinωt、V1cosωt、−V1cosωtなる高周波電界を印加することにより前記弾性体に進行性振動波を励振する振動体であって、さらに環境温度に対応したDCバイアス電界は、全ての電極グループに対し同一の極性、同一の電界強度であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の超音波モータ。
- 前記電気−機械エネルギー変換素子に設けられた複数の電極部の分極方向は、隣同士がそれぞれ逆であることを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。
- 前記電気−機械エネルギー変換素子の電極は1/2λピッチに形成されるとともに、それぞれ1つおきの電極同士が電気的に導通するようグループ化されており、一方のグループにV1sin(ωt)なる交流電界を印加し、他方のグループには−V1sin(ωt)なる電界を印加することにより前記弾性体に定在波振動を励振し、さらに環境温度に対応した逆極性のDCバイアス電界を前記2グループに対して印加することを特徴とする請求項5に記載の超音波モータ。
- 前記電気−機械エネルギー変換素子の電極は1/2λピッチに形成された第一の電極群と、該第一の電極群に対して1/4λの空間的位相差をもって1/2λピッチで形成された第二の電極群とを有し、かつ、第一および第二の電極群は、さらにそれぞれ1つおきの電極同士が電気的に導通した4つの電極群にグループ化されており、前記4つの電極グループにそれぞれV1sinωt、−V1sinωt、V1cosωt、−V1cosωtなる高周波電界を印加することにより前記弾性体に進行性振動波を励振する振動体であって、さらに環境温度に対応したDCバイアス電界は、+側の電極グループと−側の電極グループとで逆の極性になるように印加されたことを特徴とする請求項5に記載の超音波モータ。
- 前記電気−機械エネルギー変換素子の電極は全てが1/4λピッチに分割されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の超音波モータ。
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