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JP2004007094A - 弾性表面波装置 - Google Patents

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JP2004007094A
JP2004007094A JP2002158259A JP2002158259A JP2004007094A JP 2004007094 A JP2004007094 A JP 2004007094A JP 2002158259 A JP2002158259 A JP 2002158259A JP 2002158259 A JP2002158259 A JP 2002158259A JP 2004007094 A JP2004007094 A JP 2004007094A
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parallel arm
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JP2002158259A
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Hiroaki Maehara
前原 宏明
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Kyocera Corp
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Kyocera Corp
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Abstract

【課題】挿入損失を増大させること無く、減衰量が大きい周波数領域を拡大した弾性表面波装置を提供する。
【解決手段】入力端子INと出力端子OUTとの間の直列に接続配置した複数の直列腕共振器54〜56と、直列とグランド端子GNDとの間の複数の並列に配置した複数の並列腕共振器57〜60とを有するとともに、全ての並列腕共振器57〜60の反共振周波数を略一致させ、かつ、一部の並列腕共振器57、60の共振周波数と他の並列腕共振器58、59の共振周波数とを異ならせる。
【選択図】図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体通信機器等の無線通信回路の帯域通過フィルタに用いられる弾性表面波装置に関するものであり、特に複数の弾性表面波共振器を梯子型に接続してラダー型フィルタを構成した弾性表面波装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、移動体通信機器において高周波用の帯域フィルタと用いられる弾性表面波装置が知られている。例えば、特公昭56−19765号公報には、圧電基板上に複数の弾性表面波共振器を形成してラダー型フィルタ回路を構成して成る弾性表面波装置が開示されている。
【0003】
図9に上述の先行技術に代表される一般的な弾性表面波装置の回路構成を示す。弾性表面波装置510は、弾性表面波共振器530、540、550、525、535、545、555がラダー(梯子)型に互いに接続されている。また、この共振器530、540・・・の具体的な電極構造を図10に示す。
【0004】
図10は1ポート型の弾性表面波共振器700の電極部分のみを模式的に示した平面図である。共振器700は中央に配置されたインターデジタルトランスデューサ(以下、IDT)710の両側に反射器720、730を配置した構造を有する。IDT710は、櫛歯状電極710aと、櫛歯状電極710bとが互いに噛み合う構造を有する。このような構造の共振器700のIDT710で励振された表面波が、反射器720、730で反射されて定在波が発生し、反射器720、730間にこの定在波が閉じ込められ共振器700は高いQ値を有する共振器として動作する。この共振器700のインピーダンス特性においては、周知のように、インピーダンスが非常に低くなる共振周波数と、インピーダンスが非常に高くなる反共振周波数が存在する。
【0005】
そして、図9に示すように弾性表面波装置510の共振器530、540・・・の接続は、入力端子570と出力端子580との間の直列に共振器530、540、550が互いに直列に接続されている(以下、この共振器のそれぞれを「直列腕共振器」という)。また、その直列とグランド端子との間の並列に、共振器525、535、545、555が並列に接続されている(以下、この共振器のそれぞれを「並列腕共振器」という)。なお、直列腕共振器530、540、550と並列腕共振器と525、535、545、555とは、入出力間において、それぞれ交互に接続配置されている。この直列腕共振器530と並列腕共振器525の1組で1段のSAWフィルタを構成している。
【0006】
直列腕共振器530、540、550、並列腕共振器525、535、545、555共に前述のような所定のインピーダンス特性を有するため、直列腕共振器530、540、550の共振周波数と、並列腕共振器525、535、545、555の反共振周波数と略一致させることにより、入出力インピーダンスを特性インピーダンスと整合させて通過帯域を構成している。
【0007】
また、並列腕共振器525、535、545、555の共振周波数付近では非常に低いインピーダンスとなって通過帯域より低周波側の減衰極が形成され、逆に直列腕共振器530、540、550の反共振周波数付近では非常に高いインピーダンスとなって通過帯域より高周波側の減衰極が形成される。図11(a)に直列腕共振器530、540、550、及び並列腕共振器525、535、545、555のインピーダンス特性を、図11(b)にこれらの組み合わせで得られるフィルタの伝送特性を示す。
【0008】
しかし、このようなラダー型フィルタにおいては、減衰極における減衰量は大きいものの減衰極から離れると急速に減衰量が小さくなり、減衰量が大きい周波数領域が狭い為、改善が求められている。
【0009】
この問題を改善する方法として、通過帯域より低周波側の阻止域において減衰量が大きい領域を拡大する為には、一部の並列腕共振器の電極指ピッチを他の並列腕共振器と異ならせ、通過帯域より高周波側の阻止域において減衰量が大きい領域を拡大する為には、一部の直列腕共振器の電極指ピッチを他の直列腕共振器と異ならせ、それぞれ減衰極を分散させる方法がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、図9の弾性表面波装置510において、複数の並列腕共振器525〜555のうち、2つの並列腕共振器525、555の電極指ピッチを他の並列腕共振器535、545の電極指ピッチより広くすることで、図12に示すように並列腕共振器525、555の共振周波数frを他の並列腕共振器535、545の共振周波数frより低周波側にシフトさせ、それによりフィルタの伝送特性上の通過帯域より低周波側に存在する減衰極を分散させ、減衰量が大きい周波数領域を広げることができる。しかし、それに伴って並列腕共振器525、555の反共振周波数faも同時に他の並列腕共振器535、545の反共振周波数faから低周波側にシフトするため、図4の比較例に示すように、通過帯域の挿入損失が増大するという問題が生じる。この例では図4(b)から判るように、通過帯域の高周波側の挿入損失が顕著に悪化している。
【0011】
同様に、直列腕共振器530〜550において一部の直列腕共振器の電極指ピッチを他の直列腕共振器の電極指ピッチより広く又は狭くすることにより、一部の直列腕共振器の反共振周波数を他の直列腕共振器の反共振周波数と異ならせることにより、フィルタの伝送特性上の通過帯域より高周波側に存在する減衰極を分散させ、減衰量が大きい領域を広げることができるが、同時に共振周波数も変化する為、やはり通過帯域の挿入損失が悪化する問題が生じる。
【0012】
この問題を解決する為、特開平11−55067号公報には、一部の並列腕共振器において、並列腕共振器を基準電位に接続する為のワイヤの長さを、他の並列腕共振器と異ならせることによりワイヤ自体のもつインダクタンス値を異ならせ、通過帯域より低周波側の阻止域の減衰極を分散させて減衰量の大きい周波数領域を広げる手法が開示されている。これによれば並列腕共振器の反共振周波数を変化させずに共振周波数のみを変化させる為、通過帯域の挿入損失を悪化させること無く、通過帯域より低周波側の阻止域に存在する減衰極を分散させて、減衰量が大きい周波数領域を広げることが出来る。
【0013】
しかしながら、この手法ではワイヤの長さを長くすることや電極面積を大きくする必要があり、小型・低背化が強く要求される移動体通信機用のSAWフィルタには適用が難しい。また現在では小型化の要求に対応するべく弾性表面波素子をパッケージにフリップチップ実装した弾性表面波フィルタが主流になっているが、これには前記公報の技術を適用することは不可能である。
【0014】
本発明は上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、通過帯域における挿入損失を維持したままで、通過帯域より低周波側と高周波側の阻止域において、減衰量が大きい周波数領域を広くする事ができ、同時に小型化にも対応可能な弾性表面波装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために請求項1に記載の発明では、圧電基板上に、共通電極と複数の電極指とからなる2つの櫛歯状電極を前記複数の電極指が互いにかみ合うように配置してなるインターデジタルトランスデューサと該インターデジタルトランスデューサを挟み込むように形成された1対の反射器とよりなる複数の弾性表面波共振器と、入力端子と、出力端子と、グランド端子と、これらを接続する配線パターンとを有する弾性表面波装置であって、
前記複数の弾性表面波共振器は、入力端子と出力端子との間に直列的に接続配置した複数の直列腕共振器と、各直列腕共振器の入力端子側あるいは出力端子側とグランド端子との間に配置した複数の並列腕共振器とから成り、前記全ての並列腕共振器の反共振周波数を略一致させながら、前記複数の並列腕共振器うち、少なくとも1つの並列腕共振器の共振周波数が、他の並列腕共振器の共振周波数と異なっていることを特徴とする弾性表面波装置を提供する。
【0016】
また、請求項2に記載の発明では、全ての並列腕共振器の反共振周波数を略一致させながら、前記並列腕共振器のうち、少なくとも1つの並列腕共振器の共振周波数が、他の並列腕共振器の共振周波数と異なっており、且つ、全ての直列腕共振器の共振周波数を略一致させながら、前記直列腕共振器のうち、少なくとも1つの直列腕共振器の反共振周波数が、他の直列腕共振器の反共振周波数と異なっていることを特徴とする弾性表面波装置を提供する。
【0017】
また、請求項3に記載の発明では、全ての直列腕共振器の共振周波数を略一致させながら、前記直列腕共振器のうち、少なくとも1つの直列腕共振器の反共振周波数が、他の直列腕共振器の反共振周波数と異なっていることを特徴とする弾性表面波装置弾性表面波装置を提供する。
【0018】
また、請求項4、5に記載の発明では、前記弾性表面波共振器の前記電極指幅をL、隣り合う電極指の間隔をSとして、式(D=L/(L+S))から導かれるメタライゼーション比Dが、前記少なくとも一つの並列腕共振器と前記他の並列腕共振器との間で異なっているか、及び/または、少なくとも一つの直列腕共振器と前記他の直列腕共振器との間で異なっていることを特徴とする弾性表面波装置を提供する。
【0019】
また、請求項6、7に記載の発明では、前記弾性表面波共振器の電極指の厚みを異ならせることで、前記少なくとも一つの並列腕共振器と前記他の並列腕共振器との間で異なっているか、及び/または、少なくとも一つの直列腕共振器と前記他の直列腕共振器との間で異なっていることを特徴とする弾性表面波装置を提供する。
【作用】
本発明の構成によれば、全ての並列腕共振器の反共振周波数を略一致させながら、前記複数の並列腕共振器うち、少なくとも1つの並列腕共振器の共振周波数が、他の並列腕共振器の共振周波数と異なっていることにより、フィルタの伝送特性で、通過帯域における挿入損失を増加させずに、通過帯域より低周波側の阻止域に存在する減衰極を分散させ、減衰量が大きい周波数領域を広げることができる。
【0020】
また同様にして、本発明によれば、全ての直列腕共振器の共振周波数を略一致させながら、前記複数の直列腕共振器のうち、少なくとも1つの直列腕共振器の反共振周波数が、他の直列腕共振器の反共振周波数と異なっていることにより、フィルタの伝送特性で、通過帯域における挿入損失を増加させずに、通過帯域より高周波側の阻止域に存在する減衰極を分散させ、減衰量が大きい周波数領域を広げることができる。
【0021】
また同様にしてこれらを組合わせることにより、通過帯域より低周波側の阻止域に存在する減衰極を分散させ、同時に高周波側の阻止域に存在する減衰極を分散させ、減衰量が大きい周波数領域を広げることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の弾性表面波装置を図面に基づいて詳説する。
図1は本発明の実施の形態に係る弾性表面波装置の構造を示す図であり、図2は本発明の特徴部分を説明するための並列腕共振器の拡大図である。
【0023】
図1において、弾性表面波装置Aは入力端子(IN)と出力端子(OUT)との間の直列に複数の直列腕共振器54、55、56が直列に接続され、前記直列とグランド端子(GND)との間の複数の並列に、並列腕共振器57、58、59、60がそれぞれ並列に接続されている。
【0024】
直列腕共振器54、55、56及び並列腕共振器57、58、59、60は、圧電基板1の主面に何れも中央にIDT54a〜60aを有し、その両側に反射器54b、54c、55b、55c・・・60b、60cを形成した構造を有する。
【0025】
圧電基板1は所定カット角、所定伝搬方向となるように矩形状に切断処理された水晶、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、四ホウ酸リチウム等から成る。
また、IDT54a〜60a及びその両側の反射器54b〜60cは、例えば、アルミニウム薄膜からなり、その厚みは0.2μm程度で所定のパターンに被着形成されている。また、IDT54a〜60a及びその両側の反射器54b〜60cの電極指幅及び電極指間隔は、例えば、弾性表面波の波長λに対して略1/4λとなっている。
【0026】
そして、入力端子(IN)から直列にIDT54a〜56aが接続され出力端子(OUT)につながって直列を形成している。また、IDT57a〜60aの一方側が各反射器57b、58c、59c、60bを通じて直列に接続されており、他方側が各反射器57c、58b、59b、60cによりグランド端子(GND)に接続されて各並列を形成している。
【0027】
そして、本実施の形態では並列腕共振器57〜60のうち、並列腕共振器57、60の共振周波数と反共振周波数との差が他の並列腕共振器58、59の共振周波数と反共振周波数との差と相違している。
以下にIDT54a〜60aの電極構造を説明する。図2(a)(b)に並列腕共振器57〜60のIDT57a〜60aの構造を示す。図2において(a)はIDT58a、59aの要部拡大図、(b)はIDT57a、60aの要部拡大図である。特に図2では、電極指幅をL、電極指間隔をS、電極指幅Lと電極指間隔Sとを合わせた長さを電極指ピッチPとして記載している。
【0028】
本実施の形態において、特徴的なところは、全ての並列腕共振器の反共振周波数を略一致させながら、複数の並列腕共振器うち、少なくとも1つの並列腕共振器の共振周波数が、他の並列腕共振器の共振周波数と異なっていることにある。
【0029】
具体的な手段として、例えば、電極指ピッチPはそのままで、電極指ピッチPに対する電極指幅Lの比であるメタライゼーション比Dを変化させている。このメタライゼーション比は以下の式で表される。
D=L/(L+S)
図のIDT58a、59aは(a)に示すようにメタライゼーション比を0.35に設計している。また、IDT57a、60aは、(b)に示すように、メタライゼーション比を0.65に設計している。なお、IDT54a〜60aの厚みは一定の厚さに設計されている。
【0030】
このように、一部の並列腕共振器57、60のメタライゼーション比Dを他の並列腕共振器58、59のメタライゼーション比Dと異ならせることによって、一部の並列腕共振器57、60の共振周波数と反共振周波数との差を他の並列腕共振器58、59の共振周波数と反共振周波数との差と異ならせ、次にメタライゼーション比Dは変えずに一部の並列腕共振器57、60の電極指ピッチを大きく(または小さく)することによって一部の並列腕共振器57、60のインピーダンス特性を周波数軸上で低周波側に(または高周波側に)シフトさせ、一部の並列腕共振器57、60の反共振周波数を他の並列腕共振器58、59の反共振周波数と略一致させる。こうして全ての並列腕共振器57〜60の反共振周波数を略一致させながら、一部の並列腕共振器の共振周波数を、他の並列腕共振器の共振周波数と異ならせることができるものである。これにより、フィルタの伝送特性において通過帯域における挿入損失を増加させること無く、通過帯域より低周波側の阻止域に存在する減衰極を分散させ、減衰量が大きい周波数領域を広げることができる。
【0031】
また、直列腕共振器54〜56中の一部の直列腕共振器におけるメタライゼーション比Dを異ならせた場合も同様の効果が得られる。例えば、一部の直列腕共振器55のメタライゼーション比Dを他の直列腕共振器54、56のメタライゼーション比Dと異ならせることによって一部の直列腕共振器55の共振周波数と反共振周波数との差を他の直列腕共振器54、56の共振周波数と反共振周波数との差と異ならせ、次にメタライゼーション比Dは変えずに一部の直列腕共振器55の電極指ピッチを大きく(または小さく)することによって一部の直列腕共振器55のインピーダンス特性を周波数軸上で低周波側に(または高周波側に)シフトさせ、一部の直列腕共振器55の共振周波数を他の直列腕共振器54、56の共振周波数と略一致させる。こうして全ての直列腕共振器54〜56の共振周波数を略一致させたままで、一部の直列腕共振器の反共振周波数を、他の直列腕共振器の反共振周波数と異ならせることができるものである。これによってフィルタの伝送特性において、通過帯域における挿入損失を増加させること無く、通過帯域より高周波側の阻止域に存在する減衰極を分散させ、減衰量が大きい周波数領域を広げることが出来る。
【0032】
また、これらを組み合わせることにより、通過帯域より低周波側の阻止域に存在する減衰極を分散させると同時に高周波側の阻止域に存在する減衰極を分散させ、低周波側と高周波側の両方の阻止域に於いて減衰量が大きい周波数領域を広げることができる。
【0033】
なお、上記実施の形態では、弾性表面波装置Aにおいて、一部の弾性表面波共振器の共振周波数と反共振周波数との差を他の弾性表面波共振器の共振周波数と反共振周波数との差と異ならせることを、弾性表面波共振器のメタライゼーション比を異ならせることで実現した。これは図7に示すように、電極指のメタライゼーション比を変化させることで弾性表面波共振器の共振周波数と反共振周波数の差である△fが変化する為である。しかしこれに限定されず、図8に示すように、弾性表面波共振器Aにおいて、一部の弾性表面波共振器の電極膜厚を変えることでも共振周波数と反共振周波数の差である△fが変化し、同様の効果を得ることが出来る。
【0034】
具体的には、一部の並列腕共振器の電極指の膜厚を他の並列腕共振器の電極指膜厚よりも厚くすることにより、一部の並列腕共振器の共振周波数と反共振周波数との差を他の並列腕共振器の共振周波数と反共振周波数との差と異ならせ、次にメタライゼーション比Dは変えずに一部の並列腕共振器の電極指ピッチを大きく(または小さく)することによって一部の並列腕共振器のインピーダンス特性を周波数軸上で低周波側に(または高周波側に)シフトさせ、一部の並列腕共振器の反共振周波数を他の並列腕共振器の反共振周波数と略一致させる。こうして全ての並列腕共振器の反共振周波数を略一致させながら、一部の並列腕共振器の共振周波数を、他の並列腕共振器の共振周波数と異ならせることができる。直列腕共振器においても同様の手法で共振周波数と反共振周波数との差を変化させることができる。
【0035】
さらに他の方法としては、一部の弾性表面波共振器の電極材料や圧電材料を他の弾性表面波共振器と相違させることでも、共振周波数と反共振周波数との差を他の弾性表面波共振器と相違させることができる。
【0036】
【実施例】
(実験例1)
本発明の効果を実証するのに、図1の弾性表面波装置Aを作製した。具体的には以下の寸法で作製した。図3には並列腕共振器57、60のメタライゼーション比を0.65、それ以外の並列腕共振器58、59のメタライゼーション比を0.35にし、直列腕共振器54〜56のメタライゼーション比を0.5に設定した場合の各共振器のインピーダンス特性を示す。なお、図3では縦軸はインピーダンス(Ω)であり、横軸は周波数(MHz)としている。
【0037】
図に示すように、並列腕共振器57、60と並列腕共振器58、59の反共振周波数faが略一致したままで、並列腕共振器57、60の共振周波数frと並列腕共振器58、59の共振周波数frとが異なっていることが判る。
(実験例2)
図4(a)に上述の直列腕共振器54〜56と並列腕共振器57〜60による図1の弾性表面波装置Aによるフィルタの伝送特性を示す。比較例として、図9の弾性表面波装置510の並列腕共振器525、555の電極指ピッチを他の並列腕共振器535、545の電極指ピッチに比べて大きすることにより通過帯域より低周波側の減衰極を分散させた場合の弾性表面波フィルタの伝送特性も同時に示す。図4(b)は図4(a)の通過帯域付近の拡大図である。なお、図の縦軸は減衰量(dB)であり、横軸は周波数(MHz)である。
【0038】
図4(a)によれば、本発明も比較例も通過帯域より低周波側の阻止域における減衰極を分散させることにより、減衰量が大きい周波数領域を広げることができているが、図4(b)を見ると、比較例は本発明に比べて通過帯域の高域側である1970〜1990MHz付近の挿入損失が増大し、挿入損失の規格を満足していないことが判る。
【0039】
この比較例では、一部の並列腕共振器525、555の電極指ピッチを広くすることによって図12に示すように共振周波数をfrからfrにシフトさせているが、これに伴って同じように反共振周波数がfaからfaにシフトしており、これによって通過帯域の挿入損失が増大してしまうのである。
【0040】
これに対して、本発明では図3に示すように、並列腕共振器57〜60全ての反共振周波数faを略一致させているために通過帯域の高周波側である1970〜1990MHz付近の挿入損失が増大することは無い。
(実験例3)
上記実験例1では並列腕共振器のメタライゼーション比を高くさせる例で示したが、直列腕共振器のメタライゼーション比を変化させた場合の共振器とフィルタの特性を図5、図6に示す。
【0041】
図1の弾性表面波装置Aにおいて、直列腕共振器55のメタライゼーション比を0.65、他の直列腕共振器54、56のメタライゼーション比を0.35とし、並列腕共振器のメタライゼーション比を全て0.5とした。図5は、それぞれの共振器の周波数特性であり、図6はその場合のフィルタの伝送特性である。図6には比較例として、図9の弾性表面波装置510において直列腕共振器540の電極指ピッチを他の直列腕共振器530、550の電極指ピッチより小さくすることにより、通過帯域より高周波側の減衰極を分散させた場合のフィルタの伝送特性も同時に示す。
【0042】
図5に示すように、直列腕共振器55のメタライゼーション比を0.65、他の直列腕共振器54、56のメタライゼーション比を0.35とすることにより、直列腕共振器55の共振周波数frと反共振周波数faの差を他の直列腕共振器54、56の共振周波数frと反共振周波数faの差と異ならせ、かつ共振周波数frを他の直列腕共振器と一致させることにより、共振周波数frを略一致させたままで直列腕共振器55の反共振周波数faと他の直列腕共振器54、56の反共振周波数faとを異ならせることができる。
【0043】
それによって図6に示すように、通過帯域より高周波側の阻止域の1930MHz付近に反共振周波数faに対応する減衰極が、1946MHz付近に反共振周波数faに対応する減衰極がそれぞれ形成され、このように減衰極を分散させることにより減衰量が大きい周波数領域を広げることが出来る。なお、全ての直列腕共振器の共振周波数は略一致しているので、比較例のように通過帯域の挿入損失が増加することも無い。
【0044】
【発明の効果】
本発明の構成によれば、全ての並列腕共振器の反共振周波数を略一致させたままで、少なくとも1つの並列腕共振器の共振周波数と他の並列腕共振器の共振周波数とを異ならせ、及び/または、全ての直列腕共振器の共振周波数を略一致させたままで、少なくとも1つの直列腕共振器の反共振周波数と他の直列腕共振器の反共振周波数とを異ならせることにより、フィルタの伝送特性において、通過帯域の挿入損失を増大させること無く、減衰極を分散させて減衰量が大きい周波数領域を広げることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の弾性表面波装置の平面図である。
【図2】(a)(b)は並列腕共振器のIDTの要部拡大図である。
【図3】本発明の弾性表面波共振器のインピーダンス特性を示す図である。
【図4】(a)は本発明と比較例の弾性表面波フィルタの伝送特性を示す図であり、(b)は(a)の通過帯域付近の拡大図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における各共振器のインピーダンス特性を示す図である。
【図6】(a)は本発明の第2の実施形態と比較例における弾性表面波フィルタの伝送特性を示す図であり、(b)は(a)の通過帯域付近の拡大図である。
【図7】弾性表面波共振器のメタライゼーション比の変化による△fの変化を示す図である。
【図8】弾性表面波共振器の電極膜厚の変化による△fの変化を示す図である。
【図9】従来の弾性表面波装置の回路構成を示す図である。
【図10】従来の弾性表面波共振器を説明するための模式図である。
【図11】(a)は従来の一般的な弾性表面波フィルタにおける各共振器のインピーダンス特性を示す図であり、(b)は従来の一般的な弾性表面波フィルタの伝送特性を示す図である。
【図12】従来の並列腕共振器のインピーダンス特性を示す図である。
【符号の説明】
A: 弾性表面波装置
1:圧電基板
54〜56: 直列腕共振器
57〜60: 並列腕共振器
61: 入力端子
62: 出力端子

Claims (7)

  1. 圧電基板上に、共通電極と複数の電極指とからなる2つの櫛歯状電極を前記複数の電極指が互いにかみ合うように配置してなるインターデジタルトランスデューサと該インターデジタルトランスデューサを挟み込むように形成された1対の反射器とよりなる複数の弾性表面波共振器と、入力端子と、出力端子と、グランド端子と、これらを接続する配線パターンとを有する弾性表面波装置であって、
    前記複数の弾性表面波共振器は、入力端子と出力端子との間に直列的に接続配置した複数の直列腕共振器と、各直列腕共振器の入力端子側あるいは出力端子側とグランド端子との間に配置した複数の並列腕共振器とから成り、前記全ての並列腕共振器の反共振周波数を略一致させながら、前記複数の並列腕共振器うち、少なくとも1つの並列腕共振器の共振周波数が、他の並列腕共振器の共振周波数と異なっていることを特徴とする弾性表面波装置。
  2. 前記全ての直列腕共振器の共振周波数を略一致させながら、前記直列腕共振器のうち、少なくとも1つの直列腕共振器の反共振周波数が、他の直列腕共振器の反共振周波数と異なっていることを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波装置。
  3. 圧電基板上に、共通電極と複数の電極指とからなる2つの櫛歯状電極を前記複数の電極指が互いにかみ合うように配置してなるインターデジタルトランスデューサと該インターデジタルトランスデューサを挟み込むように形成された1対の反射器とよりなる複数の弾性表面波共振器と、入力端子と、出力端子と、グランド端子と、これらを接続する配線パターンとを有する弾性表面波装置であって、
    前記複数の弾性表面波共振器は、入力端子と出力端子との間に直列的に接続配置した複数の直列腕共振器と、各直列腕共振器の入力端子側あるいは出力端子側とグランド端子との間に配置した複数の並列腕共振器とから成り、
    前記全ての直列腕共振器の共振周波数を略一致させながら、前記直列腕共振器のうち、少なくとも1つの直列腕共振器の反共振周波数が、他の直列腕共振器の反共振周波数と異なっていることを特徴とする弾性表面波装置。
  4. 前記弾性表面波共振器の前記電極指幅をL、隣り合う電極指の間隔をSとして、式(D=L/(L+S))から導かれるメタライゼーション比Dが、前記少なくとも一つの並列腕共振器と前記他の並列腕共振器との間で異なっていることを特徴とする請求項1又は2いずれかに記載の弾性表面波装置。
  5. 前記弾性表面波共振器の前記電極指幅をL、隣り合う電極指の間隔をSとして、式(D=L/(L+S))から導かれるメタライゼーション比Dが、前記少なくとも一つの直列腕共振器と前記他の直列腕共振器との間で異なっていることを特徴とする請求項2又は3いずれかに記載の弾性表面波装置。
  6. 前記弾性表面波共振器の電極指の厚みが、前記少なくとも一つの並列腕共振器と前記他の並列腕共振器との間で異なっていることを特徴とする請求項1又は2いずれかに記載の弾性表面波装置。
  7. 前記弾性表面波共振器の電極指の厚みが、前記少なくとも一つの直列腕共振器と前記他の直列腕共振器との間で異なっていることを特徴とする請求項2又は3いずれかに記載の弾性表面波装置。
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