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JP2004002929A - 銀合金、スパッタリングターゲット、反射型lcd用反射板、反射配線電極、薄膜、その製造方法、光学記録媒体、電磁波遮蔽体、電子部品用金属材料、配線材料、電子部品、電子機器、金属膜の加工方法、電子光学部品、積層体及び建材ガラス - Google Patents

銀合金、スパッタリングターゲット、反射型lcd用反射板、反射配線電極、薄膜、その製造方法、光学記録媒体、電磁波遮蔽体、電子部品用金属材料、配線材料、電子部品、電子機器、金属膜の加工方法、電子光学部品、積層体及び建材ガラス Download PDF

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JP2004002929A
JP2004002929A JP2002160051A JP2002160051A JP2004002929A JP 2004002929 A JP2004002929 A JP 2004002929A JP 2002160051 A JP2002160051 A JP 2002160051A JP 2002160051 A JP2002160051 A JP 2002160051A JP 2004002929 A JP2004002929 A JP 2004002929A
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less
electromagnetic wave
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Application number
JP2002160051A
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English (en)
Inventor
Atsushi Watanabe
渡邊 篤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furuya Metal Co Ltd
Original Assignee
Furuya Metal Co Ltd
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Publication date
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    • G11B7/2403Layers; Shape, structure or physical properties thereof
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  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)
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Abstract

【課題】優れた耐食性、高い反射率、電気的に低抵抗及び優れた耐熱性の特性を有する銀合金、スパッタリングターゲットを提供する。
【解決手段】本発明に係る銀合金は、優れた耐食性を有する銀合金であって、Agを主成分とし、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Au、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge及びSnからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有するものである。前記少なくとも1種類の各元素の含有量は0.1at%以上8.0at%以下であることが好ましい。また、本発明に係るスパッタリングターゲットは前記銀合金からなる。前記スパッタリングターゲットは、反射光の黄色化を抑制した反射型LCD用反射板又は反射配線電極を製造するものであることも可能である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた耐食性、高反射率、電気的に低抵抗及び優れた耐熱性の特性を有する銀合金、スパッタリングターゲット、反射型LCD用反射板、反射配線電極、薄膜、その製造方法、光学記録媒体、電磁波遮蔽体、電子部品用金属材料、配線材料、電子部品、電子機器、金属膜の加工方法、電子光学部品、積層体及び建材ガラスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の反射型液晶表示パネルにおいては、液晶セルの透過光を反射する高反射率層が必要とされ、このような高反射率層に、または配線パターン、電極とで高反射率層を兼用するようにしてこれらの部品に、純アルミニウム(以下、Al)、Alを主成分とする合金、純銀(以下、Ag)、Agを主成分とする合金、金(以下、Au)等が用いられている。
【0003】
また、光源からの光を反射させて、バックライトとして有効利用するための光学部材である反射型LCD用反射板として、従来は純Al又はAlを主成分とする合金が用いられている。
【0004】
しかしながら、前記従来の反射型液晶表示パネルにおいて純Al又はAlを主成分とする合金を用いると、反射型LCD用反射板の製造時又は使用時において、大気中の硫黄、酸素、水分等と反応することがある。これにより、反射特性が劣化し、反射光の色度が変化し、黄色に変色してしまうという黄色化の問題が発生する。
【0005】
次に、従来の光学記録媒体について説明する。
CD(Compact Disc)やDVD(Digital VersatileDisc)等の光ディスク、または、MD(Mini Disc)やMO(MagnetoOpticalDisc)等の光磁気ディスク、あるいは相変化型光ディスク等の書換え可能な光学記録媒体、これら光学記録媒体に適用する反射膜の材料としては、AlやAl合金が一般的に知られている。
【0006】
このAlやAl合金は、前記の種々の光学記録媒体において、記録情報の再生を行う際に、特定光学波長領域中で、一定以上の反射率が得られ、かつ、熱伝導特性に優れている。
【0007】
また、光学記録媒体に形成されている微細凹凸の溝に対して、安定した被覆性を得られ、さらに、光学記録媒体製品となった場合に、空気中に含有されている非金属元素に対する耐候性にも優れていて、長期間に渡って経時変化が極めて少ないという利点を有する。
【0008】
しかしながら、AlあるいはAl合金により形成した薄膜の反射率は、例えば波長が800nmである光に対しては、80%程度であり、光学記録媒体の用途によっては、いまだ充分な反射率が得られているとはいえない。
【0009】
次に、他の従来の光学記録媒体について説明する。
DVD(Digital Versatile Disc)などに見られる光ディスクは、厚さが0.6mmの透明プラストマー基板2枚を、これら基板に形成された凹凸のピットからなる情報層がその接着面となるように貼り合わされることにより作製されている。いくつかの種類がある再生専用DVDの中には、前記2枚の基板にそれぞれ異なる情報があらかじめ記憶されている、いわゆる2層ディスクと呼ばれるタイプのディスクがある。
【0010】
この2層ディスクの再生を行うときは、いずれか一方のディスク表面から再生光を入射させて行うので、2つの異なる情報層を短時間にアクセスできるという利点がある。再生光入射側の第1の情報層の反射膜は、入射光のうち、その一部を反射し、他の一部を透過させるように設計されている。そのため、光入射側から見て奥に位置する第2の情報層にも再生光が到達でき、そこでの反射光が再び第1の情報層の反射膜を透過できて、第2の情報層の再生を可能としている。
【0011】
第1の情報層と第2の情報層とは、透明なスペーサーと呼ばれる接着材料により、お互いの再生信号が干渉しない距離だけ離れているため、対物レンズのフォーカス位置を各々の情報層に対応した位置に合わせることにより、それぞれの層の情報を高品質に再生することが可能である。このような再生方式を実現する上では第1の情報層の反射膜設計が極めて重要となる。この反射膜を、以降、一部の光を透過させるという意味から半透明反射膜と呼ぶことにする。
【0012】
従来、半透明反射膜の材料としてAuあるいはケイ素(以下、Si)が、所望の反射率、透過率などの光学特性を満足するうえ、スパッタリング法などにより容易に薄膜を形成できるということから一般に用いられていた。また、情報層に形成される微細な凹凸ピットに対し、安定した被覆性が得られ、さらに光学記録媒体としての耐候性にも優れているという長所をも有している。
【0013】
しかしながら、Auは材料コストが高いという問題がある。一方、Siは相対的に安価な材料であるが、透明接着剤あるいはプラストマー材料基板との接着力が弱いため、曲げ、反り、あるいは吸湿などに対する信頼性が十分ではない。さらに、Si膜は、金属に比較して、スパッタリング室内に付着した膜が剥がれ易いため、スパッタリングプロセス装置内で発生するパーティクルが多く、エラーレートの悪化を招くという問題もある。
【0014】
これらの問題を解決するために、最近ではAuやSiの代替材料としてAgが検討されている。しかしながら、Agは塩素、硫黄、及びそれらの化合物やイオンとの反応性に富むため、例えば海水や汗などが基板を通して侵入することによって容易に腐食されるという問題を有している。
【0015】
これらに対し、特開昭57−186244号公報、特開平7−3363号公報及び特開平9−156224号公報には、Agに所定の不純物を添加することにより、耐候性を向上させる技術が開示されている。
【0016】
すなわち、特開昭57−186244号公報には銀−銅合金(以下、Ag‐Cu合金)(Agの含有量が40原子パーセント以上)について、特開平7−3363号公報には銀−マグネシウム合金(以下、Ag‐Mg合金)(Mgの含有量が1〜10原子%以上)について、特開平9−156224号公報にはAgに錫(以下、Sn)、パラジウム(以下、Pd)、白金(以下、Pt)を0.1〜10原子パーセント(以下、at%)添加し、酸素(以下、O)を10〜40at%添加した合金についての技術が開示されている。
【0017】
しかしながら、これらの合金材料においても、耐候性や、薄膜を形成した場合の反射率、透過率についての究明は必ずしも十分になされていない。特に、半透明反射膜として用いられる膜厚の薄い領域についての検討は未だなされていない。
【0018】
次に、従来の電磁波遮蔽体について説明する。
近年の情報化社会において、衛星放送システムや携帯型情報端末機器等の移動通信の発達に見られるように、電磁波環境は多様化・複雑化の度合いを深めており、それらがもたらす利点と共に弊害も明らかになりつつある。例えば屋外(外部)からの外部電磁波が電子機器等に進入してノイズ弊害等につながった例や、また、ノートブック型パソコンや携帯電話機等で代表される携帯型情報端末機器等からの漏洩電磁波が人体に悪影響を及ぼす可能性の指摘例等から懸念されている。
【0019】
EMC(ElectroMagneticCompatibility)、即ち電磁適合性(電磁両立性と称される場合もある)とは、電磁波に起因する工学的な諸問題を解決する要素である。
【0020】
従来、外部電磁波やパソコン等からの漏洩電磁波を遮蔽する目的としたEMC材料としては、金属がほとんどを占めていた(以下、「前者」と称する)。
また、エラストマー材料においては、金属粉やカーボンブラックを配合して導電性を得る試みも従来から行われていた(以下、「後者」と称する)。
【0021】
しかしながら、前者のEMC材料は、近年のEMC技術を必要とする製品・要素の多様化が急速に進み、金属だけでは求められない種々の機能に対して対応不可能になり始めている。例えば、複雑な形状への折り曲げ追随性や非定常空間の充填性、軽量化、錆等に対する耐腐食性の課題に対しては、その適用が困難となることが多い等の種々の問題が発生している。
【0022】
一方、後者の金属粉を充填したエラストマー材料においては、金属酸化を主とする経時変化や、エラストマー材料自体の弾性、強度等の機械的特性が失われる等のデメリットが多く、EMC素材として広く普及した材料とは言い難いものである。
【0023】
また、カーボンブラックを充填したエラストマー材料においては、導電性ローラーやラバーコンタクト等に多様化されてはいるが、得られる導電性に制限があるため、やはりEMC素材として用いられることは殆どない。
【0024】
また、プラストマー材料における電磁波遮蔽体は、ディスプレイ前面から発生する電磁波に対して、電磁波遮蔽性の他、赤外線遮蔽性、透明性、非視認性、耐腐食性、耐候性や耐摩耗性等が求められるが、従来の導電材料を積層するだけでは、前記特性を十分に満たしていない。
【0025】
このように従来の電磁波遮蔽体で、エラストマー材料においては、複雑な形状への折り曲げ追随性、耐腐食性、耐候性や耐摩耗性等にも問題があることから、EMC素材として十分に満たされていない等の問題が生じていた。
【0026】
又、従来の電磁波遮蔽体で、プラストマー材料においては、電磁波遮蔽性、赤外線遮蔽性、透明性、非視認性、耐腐食性、耐候性や耐摩耗性等にも問題があることから、EMC素材として十分に満たされていない等の問題が生じていた。
【0027】
次に、従来の電子機器、電子部品などについて説明する。
電子機器、電子部品においては、配線材料、電極材料、接点材料に銅(以下、Cu)、Al、モリブデン(以下、Mo)、タンタル(以下、Ta)、タングステン(以下、W)、クロム(以下、Cr)等の純金属による金属材料、アルミニウム‐銅合金(以下、Al‐Cu)、アルミニウム‐銅‐ケイ素合金(以下、Al‐Cu‐Si)、アルミニウム‐パラジウム合金(以下、Al‐Pd)、ケイ化タンタル(以下、TaSi)、二ケイ化タングステン(以下、WSi)等の合金による金属材料を用いて配線パターンを形成するようになされている。
【0028】
例えばフラットパネルディスプレイを構成する透過型液晶表示パネルにおいては、一般に、エッチング性に優れ、電気抵抗が低い純Alが配線材料として使用される。しかしながら純Alは、融点が660℃と低く、液晶表示パネルの配線材料として使用した場合には、配線膜形成後の化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)プロセス等における300〜400℃程度の熱処理工程においてヒロック、ウイスカー等の欠陥が発生する恐れがある。このため液晶表示パネルにおいては、高温で安定な高融点材料であるTa、Mo、Cr、W等を純Alに代えて配線材料として使用することにより、このような欠陥の発生を防止するようになされたものもある。
【0029】
また、反射型液晶表示パネルにおいては、液晶セルの透過光を反射する高反射率層が必要とされ、このような高反射率層に、または配線パターン、電極とで高反射率層を兼用するようにしてこれらの部材に、純Al、Alを主成分とする合金、純Ag、Agを主成分とする合金、Au等が用いられるようになされている。また、シリコンチップ上に微小ミラーを並べて配置し、各ミラーによる光変調により画像表示するようになされた電子光学部品(以下、微小ミラーによる電子光学部品と呼ぶ)においては、そのミラーとなる部材に純Alが用いられるようになされている。
【0030】
ところで、従来の電子機器に使用される金属材料に比して、電気抵抗が低く、安定かつ加工性に優れた金属材料を得ることができれば、各種電子部品に適用して性能を向上し、さらには製造プロセスを簡略化できることが考えられる。
【0031】
すなわち、透過型液晶表示パネルにおいて、欠陥の発生を防止する目的で純Alに代えて使用されるTa、Mo、Cr、W等は、純Alに比して抵抗率が大きい欠陥がある。これにより透過型液晶表示パネルにあっては、大型化、高精細化により配線パターンの配線長が増大し、また配線パターンが微細化すると、簡易かつ確実に駆動することが困難になる問題がある。これにより透過型液晶表示パネルにおいては、配線材料として好適な材料が存在しないのが実情であった。
【0032】
また、反射型液晶表示パネル、微小ミラーによる電子光学部品のように配線、電極により高反射率層を兼用する場合には、透過型液晶表示パネルの配線材料に要求される特性に高反射率層としての要求が加重されることになる。
【0033】
この場合、高反射率層として、入射光を効率良く反射する観点からは、可視光波長域において最も反射率の高い純Agが高反射率層の材料に適しているものの、純Agにあっては耐候性が劣ることにより配線、電極材料としては適切なものとは言えない。これらにより反射型液晶表示パネル、微小ミラーによる電子光学部品にあっても、必ずしも適切な配線材料が存在しないのが実情であった。
【0034】
なお、反射型液晶表示パネルにおいては、これらのことから高反射膜及び配線電極層の上に、又は反射膜及び配線電極層の上下にバリア層を形成して耐候性を向上するようになされているものの、バリア層の作成工程の増大によりその分製造プロセスが複雑化し、またこのようにバリア層を作成しても高温での信頼性に未だ不十分な問題がある。
【0035】
因みに、電気的に低抵抗値の配線材料について検討してみると、Alより電気的に抵抗率が低い材料としては、Au、Cu、Agがあるが、Auは、容易に入手することが困難な材料である。またCuは、耐候性に劣り、エッチングによる加工性が悪く、さらには微細加工が困難な問題を有している。またAgは、塩化物、硫黄、硫化物などに対して敏感に反応し、微細加工性、耐候性に問題を有している。
【0036】
なお、Agが敏感に反応する例をあげると、塩素を含むエッチングガスによるドライエッチングプロセスにおいて、Agは、エッチングの進行によりエッチングガス中の塩素と反応して配線パターンの境界面に塩化銀(以下、AgCl)が生成され、このAgClにより導電性、熱伝導性が損なわれる。
【0037】
また、Agが耐候性に問題を有する例としては、反射型液晶表示パネルに適用した場合に、透明導電膜と直接接触することによる界面の酸素、又は微量な硫黄等と反応する可能性が大きく、これによりAlと同様にバリア層を下地層に形成し、又は上下をバリア層で挟んでサンドイッチ構造にしなければいけないという問題があげられる。
【0038】
また、これら液晶表示パネルにおいては、駆動デバイスとしてアモルファスシリコン又は多結晶シリコンによるTFT(ThinFilmTransistor)が多く使用されるが、この駆動デバイス側から見た電極材料としても適切なものが存在しないのが実情である。
すなわち、これらの駆動デバイスにおいては、電極の金属材料を酸化させて、この電極とシリコン能動素子との間にゲート絶縁膜を形成することにより、製造プロセスを簡略化するようになされたものがある(すなわち陽極酸化法である)。
【0039】
【表1】
Figure 2004002929
【0040】
従来の配線材料における電気的な抵抗率を表1に示す。
この表1に示されている配線材料のうち、このようなゲート絶縁膜を形成することが可能な配線材料としては、Al、Taがあり、特にTaの場合には、ピンホール等の欠陥が少なく、歩留りの高い酸化絶縁膜を形成することができる。しかしながらTaにあっては、電気的に抵抗率が高いことにより、このような陽極酸化法による場合には、電気的に抵抗率の低いAlを用いた2層配線による電極構造とする必要があり、結局製造プロセスを増加させることとなっていた。なおこの2層配線による場合、結局、配線パターンの電気的な抵抗率は、Alにより決まる抵抗率となる。
【0041】
前述のディスプレイデバイスへの応用以外にも、DRAM、フラッシュメモリ、CPU、MPU、ASIC等の半導体デバイスにおいては、高集積化のため配線の幅が狭くなり、またチップサイズの大型化、多層配線等の複雑化に伴い配線パターンの配線長が増大する傾向にあり、これによりこれらの半導体デバイスにあっても、電気的に低抵抗率で安定かつ加工性に優れた配線材料が望まれている。
【0042】
すなわち、このような配線幅の減少、配線長の増大は、配線における抵抗の増大を招き、この抵抗の増大により配線における電圧降下が増大して素子の駆動電圧が低下するようになり、また消費電力が増大し、さらには配線による信号伝達に遅延が発生するようになる。
【0043】
また、このような半導体デバイス以外の、例えばプリント配線基板、チップコンデンサ、リレー等の電子部品にあっては、配線材料、電極材料、接点材料にCu、Agなどが用いられているが、これらの材料についても耐候性が実用上未だ不十分な問題があり、またリサイクルが困難な問題があった。
【0044】
また、従来から、建材ガラス用熱線反射膜にはAl又はAl合金、或いはAg及びAg−Pdに代表されるAg合金等の様々な材料が使用されている。また、膜の積層によって高い反射率に加えて機能性を向上させる等の検討がなされている。それを実現した製品が既に大変多くの分野や多種多様な方面に用いられてきている。
【0045】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の金属材料では、優れた耐食性、高反射率、電気的に低抵抗、優れた耐熱性を有する材料に対する開発が必ずしも十分ではなかった。
【0046】
また、従来の反射型液晶表示パネルでは、反射型LCD用反射板の製造時又は使用時において、大気中の硫黄、酸素、水分等と反応することがあり、それにより、反射特性が劣化し、反射光の色度が変化し、黄色に変色してしまうという黄色化の問題があった。
【0047】
また、AlあるいはAl合金により形成した薄膜では、光学記録媒体の用途によってはいまだ充分な反射率が得られているとはいえない。また、耐候性や、薄膜を形成した場合の反射率、透過率について十分な特性を有する合金材料の開発は未だなされていない。
【0048】
また、前記従来のエラストマー材料を用いた電磁波遮蔽体では、複雑な形状への折り曲げ追随性、耐腐食性、耐候性や耐摩耗性等にも問題があり、EMC素材として全く採用(適用)されない等の問題があった。
【0049】
また、前記従来のプラストマー材料基板を用いた電磁波遮蔽体では、電磁波遮蔽性、赤外線遮蔽性、透明性、非視認性、耐腐食性、耐候性や耐摩耗性等が十分に満たされてなく、EMC素材として全く採用(適用)されない等の問題があった。
【0050】
また、従来の電子機器、電子部品では、電気的な低抵抗率が十分でなく、加工性に優れた配線材料、電極材料、接点材料が開発されていなかった。
【0051】
また、建材ガラス用赤外線及び熱線を反射する反射膜としては、AgやAl若しくはこれらのうちいずれかの元素を主成分とする合金材料から形成された反射膜が幅広く知られている。しかし、これらの反射膜は耐熱性に対して決して優れているとは言えない。
【0052】
例えばAgやAlは熱に対しての耐熱性が高くなく、特定温度では表面部が拡散し易いために、例えば液晶表示素子用の反射板を製作する場合には、製作プロセス中での温度雰囲気が制限される。更に、建材ガラス用の赤外線及び熱線反射膜に至っては、大気中で夏季に高温に曝されると、反射膜自体が化学的に変異(変色)してしまう等、熱に対しての品質の安定性に問題があった。
【0053】
また、反射率が高い材料としては、AgやAl以外にAuが知られているが、Auは価格的に大変高価であるため、建材窓ガラス用反射膜に用いるにはコスト的な面から実用性が乏しいと判断されている。
【0054】
また、反射率が高く、コスト的な面からも大変安価で、実用性が高いとされるAlについては、PMMA、シリコーン樹脂等の樹脂基板等を用いた場合に、樹脂基板から析出されるガス成分に対して化学反応を起こす虞れがある。このことから、ガスの放出作用が低い材料からなる基板にのみ有効となって、基板材料が制限されてしまうばかりか、樹脂とのコンタクトを図る場合には材料の化学的な安定性が懸念されてしまう等の不安、課題が残る。
【0055】
また、400〜4000nmの可視及び赤外域と称される光学波長領域中で、Agは数多くの金属元素中で最も光学反射率が高いために、高反射率を特徴とする膜としては優れた特性を保持しているものと検討されている。しかし、熱に対しての自己拡散エネルギーが活発であるために、熱が加えられた場合に経時変化が生じるという問題がある。そのため、一時的であっても100℃前後の熱が加えられた場合には表面部に拡散現象が起こり、Ag本来が保有する光沢を失って白濁化してしまう。換言すれば、反射率が高いというAg本来の特性が大幅に低減してしまう。
【0056】
また、ガラスや樹脂製の基板上に反射膜を形成した際には、Agは大気中に放置されると、大気中の湿気(主として水分)を吸収して黄色化してしまうため、反射率が高いというAg本来の特性が損なわれてしまう等の問題が生じる。従って、高反射率であるという本来の特性を保持することができず、耐候性に対しても決して優れているとは言えない。
【0057】
本発明は前記諸問題を考慮してなされたものであり、その目的は、優れた耐食性を有する銀合金を提供することにある。また、本発明の他の目的は、高い反射率を有する銀合金を提供することにある。また、本発明の他の目的は、電気的に低抵抗の特性を有する銀合金を提供することにある。また、本発明の他の目的は、優れた耐熱性を有する銀合金を提供することにある。
【0058】
また、本発明の他の目的は、反射光の黄色化を抑制したスパッタリングターゲット、反射型LCD用反射板、反射配線電極、薄膜及びその製造方法を提供することにある。
【0059】
また、本発明の他の目的は、Agと比較した場合に高反射率を維持し、耐候性を改善した光学記録媒体を提供することにある。
【0060】
また、本発明の他の目的は、半透明反射膜の耐候性が改善され、より高い信頼性が得られる光学記録媒体を提供することにある。
【0061】
また、本発明の他の目的は、柔軟性、形状自在性(複雑な形状への折り曲げ追随性)を備え、主にEMC対策材料として応用展開が広く、また、高温高湿の環境下においても高い電磁波遮蔽能力が継続的に保持されるといった耐候性の材料的な安定性が格段に改善され、しかも、エラストマー材料基板との接合性(密着性)がより一層効果的に強化され、より高い信頼性が得られる電磁波遮蔽体を提供することにある。
【0062】
また、本発明の他の目的は、電磁波遮蔽性と赤外線遮蔽性、透明性、非視認性、耐腐食性、耐候性や耐摩耗性等を備え、主にEMC対策材料として応用展開が広く、また、高温高湿の環境下においても高い電磁波遮蔽能力が継続的に保持されるといった耐候性の材料的な安定性が格段に改善され、しかも、プラストマー材料基板との接合性(密着性)がより一層効果的に強化され、より高い信頼性が得られる電磁波遮蔽体を提供することにある。
【0063】
また、本発明の他の目的は、従来に比して電気的に低抵抗率であって、安定かつ加工性に優れた電子部品用金属材料、配線材料、銀合金を使用した電子部品、電子機器、金属膜の加工方法、電子光学部品を提供することにある。
【0064】
また、本発明の他の目的は、Ag自体の保有する高い光学特性が保持され、更にはAgの材料的な安定性が格段に改善されるとともに、信頼性の高い高耐熱性反射膜を用いた積層体及び建材ガラスを提供することにある。
【0065】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明に係る銀合金は、優れた耐食性を有する銀合金であって、Agを主成分とし、チタン(以下、Ti)、ジルコニウム(以下、Zr)、ハフニウム(以下、Hf)、バナジウム(以下、V)、ニオブ(以下、Nb)、Ta、Cr、Mo、W、鉄(以下、Fe)、ルテニウム(以下、Ru)、コバルト(以下、Co)、ロジウム(以下、Rh)、イリジウム(以下、Ir)、ニッケル(以下、Ni)、Pd、Pt、Cu、Au、亜鉛(以下、Zn)、Al、ガリウム(以下、Ga)、インジウム(以下、In)、Si、ゲルマニウム(以下、Ge)及びSnからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする。
【0066】
本発明に係る銀合金は、高反射率の特性を有する銀合金であって、Agを主成分とし、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Au、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge及びSnからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする。
【0067】
本発明に係る銀合金は、電気的に低抵抗の特性を有する銀合金であって、Agを主成分とし、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Au、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge及びSnからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする。
【0068】
本発明に係る銀合金は、優れた耐熱性を有する銀合金であって、Agを主成分とし、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Au、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge及びSnからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする。
【0069】
また、本発明に係る銀合金において、前記少なくとも1種類の各元素の含有量は0.1at%以上8.0at%以下であることが好ましい。
【0070】
本発明に係る銀合金は、優れた耐食性を有する銀合金であって、Agを主成分とし、Zn、Ni、Sn及びInからなる群から選ばれた1種類の元素を含有し、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Au、Al、Ga、Si及びGeからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする。
【0071】
本発明に係る銀合金は、高反射率の特性を有する銀合金であって、Agを主成分とし、Zn、Ni、Sn及びInからなる群から選ばれた1種類の元素を含有し、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Au、Al、Ga、Si及びGeからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする。
【0072】
本発明に係る銀合金は、電気的に低抵抗の特性を有する銀合金であって、Agを主成分とし、Zn、Ni、Sn及びInからなる群から選ばれた1種類の元素を含有し、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Au、Al、Ga、Si及びGeからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする。
【0073】
本発明に係る銀合金は、優れた耐熱性を有する銀合金であって、Agを主成分とし、Zn、Ni、Sn及びInからなる群から選ばれた1種類の元素を含有し、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Au、Al、Ga、Si及びGeからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする。
【0074】
また、本発明に係る銀合金において、前記1種類の元素の含有量は0.1at%以上8.0at%以下であり、前記少なくとも1種類の各元素の含有量は0.1at%以上8.0at%以下であることが好ましい。
【0075】
本発明に係る銀合金は、優れた耐熱性を有する銀合金であって、
銀を主成分とし、亜鉛又はインジウムを0.1at%以上8.0at%以下含有し、銅を0.1at%以上8.0at%以下含有し、更にパラジウムを0.1at%以上8.0at%以下含有することを特徴とする。
【0076】
本発明に係る銀合金は、高反射率の特性を有する銀合金であって、
銀を主成分とし、亜鉛又はインジウムを0.1at%以上8.0at%以下含有し、銅を0.1at%以上8.0at%以下含有し、更にパラジウムを0.1at%以上8.0at%以下含有することを特徴とする。
【0077】
本発明に係る銀合金は、電気的に低抵抗の特性を有する銀合金であって、
銀を主成分とし、亜鉛又はインジウムを0.1at%以上8.0at%以下含有し、銅を0.1at%以上8.0at%以下含有し、更にパラジウムを0.1at%以上8.0at%以下含有することを特徴とする。
【0078】
本発明に係る銀合金は、優れた耐食性を有する銀合金であって、
銀を主成分とし、亜鉛又はインジウムを0.1at%以上8.0at%以下含有し、銅を0.1at%以上8.0at%以下含有し、更にパラジウムを0.1at%以上8.0at%以下含有することを特徴とする。
【0079】
本発明に係る銀合金は、優れた耐熱性を有する銀合金であって、
銀を主成分とし、亜鉛を3.0at%以上8.0at%以下含有し、銅を0.3at%以上1.7at%以下含有し、更にパラジウムを0.2at%以上3.0at%以下含有することを特徴とする。
【0080】
上記銀合金によれば、亜鉛を3.0at%以上8.0at%以下含有し、銅を0.3at%以上1.7at%以下含有させることにより、優れた耐熱性を有する銀合金とすることができる。
【0081】
また、耐熱性に特に優れた銀合金は、銀を主成分とし亜鉛を3.0at%以上8.0at%以下含有し、銅を0.3at%以上0.5at%以下含有し、更にパラジウムを0.2at%以上3.0at%以下含有するものである。
【0082】
本発明に係る銀合金は、優れた耐食性を有する銀合金であって、
銀を主成分とし、亜鉛を0.1at%以上8.0at%以下含有し、銅を0.1at%以上含有し、更にパラジウムを0.2at%以上含有することを特徴とする。
【0083】
上記銀合金によれば、銅を0.1at%以上含有させ、パラジウムを0.2at%以上含有させることにより、優れた耐食性を有する銀合金とすることができる。
【0084】
本発明に係る銀合金は、優れた耐熱性及び耐食性を有する銀合金であって、
銀を主成分とし、亜鉛を3.0at%以上8.0at%以下含有し、銅を0.3at%以上1.7at%以下含有し、更にパラジウムを0.2at%以上含有することを特徴とする。
また、耐熱性に特に優れた銀合金にするためには、銅の含有量を0.3at%以上0.5at%以下とすることが好ましい。
【0085】
本発明に係るスパッタリングターゲットは、前記銀合金からなることを特徴とする。
【0086】
また、本発明に係るスパッタリングターゲットは、反射光の黄色化を抑制した反射型LCD用反射板又は反射配線電極を製造するものであることも可能である。
【0087】
本発明に係る反射型LCD用反射板においては、反射光の黄色化を抑制した反射型LCD用反射板であって、前記銀合金からなることを特徴とする。
【0088】
前記反射型LCD用反射板によれば、前述した銀合金からなるため、反射型LCD用反射板の製造時又は使用時において、大気中の硫黄、酸素、水分等と反応することを抑制できる。従って、反射光の色度が変化し、黄色に変色してしまうという黄色化を抑制することができる。
【0089】
本発明に係る反射配線電極は、反射光を高反射率化し且つ反射光の黄色化を抑制した反射配線電極であって、前記銀合金からなることを特徴とする。
【0090】
本発明に係る薄膜は、銀合金からなることを特徴とする。
【0091】
本発明に係る薄膜の製造方法は、前記スパッタリングターゲットを用いてスパッタリング法により薄膜を製造することを特徴とする。
【0092】
また、本発明に係る光学記録媒体は、前記薄膜を有することを特徴とする。
前記光学記録媒体によれば、Agの耐水素性、耐酸素性やZn、In、Sn及びNiの脱酸素効果(酸化防止)、塩化、硫化防止の相互作用により、塩素、水素、酸素、硫黄という大気中あるいは特殊環境中で接触する非金属元素による汚染や光学記録媒体に採用される際に要求される環境や雰囲気下での高い耐候性の向上を図ることができる。
【0093】
本発明に係る光学記録媒体は、半透明反射膜を有する情報層と反射膜を有する情報層が合わせて2層以上積層され、共通の方向からの光照射によって、情報の記録若しくは再生の少なくとも一方がなされる光学記録媒体であって、前記半透明反射膜が前述した銀合金の薄膜からなることを特徴とする。
【0094】
前記光学記録媒体によれば、半透明反射膜を前述した銀合金の薄膜からなるもので形成している。これにより、高温高湿の雰囲気においても透過率の増加といった光学特性が変化することを防止でき、さらに、塩水に浸漬された場合においても膜が白濁化することを防止できる。
【0095】
本発明に係る電磁波遮蔽体は、エラストマー材料からなる基板と、この基板上に形成された電磁波遮蔽膜と、を備えた電磁波遮蔽体であって、前記電磁波遮蔽膜が前記銀合金からなることを特徴とする。
【0096】
前記電磁波遮蔽体によれば、前記銀合金からなる電磁波遮蔽膜を、エラストマー材料からなる基板の表面に形成することにより、可撓性に優れた遮蔽体とすることができる。この電磁波遮蔽体は柔軟性、形状自在性(複雑な形状への折り曲げ追随性)を備え、主にEMC対策材料として応用展開が広く、また、高温高湿の環境下においても高い電磁波遮蔽能力を継続的に保持でき、耐候性の材料的な安定性を格段に改善できる。
【0097】
なお、電磁波遮蔽膜の厚さは、複雑な形状への折り曲げ追随性を考慮すると、例えば10〜500nm程度が好ましい。また、エラストマー材料としては、シリコーンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム又はEPDM(エチレン・プロピレンとジエンとのゴム状三元共重合体)等を用いることも可能である。
【0098】
本発明に係る電磁波遮蔽体は、プラストマー材料からなる基板と、この基板上に形成された電磁波遮蔽膜と、を備えた電磁波遮蔽体であって、前記電磁波遮蔽膜が前記銀合金からなることを特徴とする。
【0099】
前記電磁波遮蔽体によれば、前記銀合金からなる電磁波遮蔽膜を、プラストマー材料からなる基板の表面に形成することにより、電磁波遮蔽性、赤外線遮蔽性、透明性、非視認性、耐腐食性、耐候性や耐摩耗性等を備えた電磁波遮蔽体を形成し、主にEMC対策材料として応用展開が広く、また、高温高湿の環境下においても高い電磁波遮蔽能力を継続的に保持でき、耐候性の材料的な安定性を格段に改善できる。
【0100】
なお、電磁波遮蔽膜の厚さは、電磁波遮蔽性、赤外線遮蔽性、透明性、非視認性、耐腐食性、耐候性や耐摩耗性等を考慮すると、例えば5nm〜30nm程度が好ましい。また、プラストマー材料としては、特に限定されるものではないが、例としてプラスチックフィルムやエンジニアリングプラスチック等が挙げられ、主な種類として、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、或いはポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル等を用いることも可能である。
【0101】
また、本発明に係る電磁波遮蔽体においては、前記電磁波遮蔽膜が1の膜又は複数の膜からなることも可能である。これにより、温度や化学的に安定であり、様々な用途に適用できる。
【0102】
また、本発明に係る電磁波遮蔽体において、前記電磁波遮蔽膜は、前記銀合金からなるスパッタリングターゲット材料を用いたスパッタリング法により基板上に成膜して形成されたものであることも可能である。
【0103】
また、本発明に係る電磁波遮蔽体においては、前記電磁波遮蔽膜上に形成された、耐食性及び耐候性に優れた保護膜をさらに含むことも可能である。また、前記電磁波遮蔽膜上に形成された、耐摩耗性に優れた保護膜をさらに含むことも可能である。
【0104】
また、本発明に係る電磁波遮蔽体においては、前記基板と前記電磁波遮蔽膜との間に配置された、密着性を助長する下地膜をさらに含むことも可能である。これにより、エラストマー材料基板あるいはプラストマー材料基板との接合性(密着性)をより一層効果的に強化でき、より高い信頼性を得ることができる。
【0105】
また、本発明に係る電磁波遮蔽体においては、前記下地膜が、インジウム・錫酸化物(以下、ITO)、酸化イリジウム(以下、IrO)、酸化亜鉛(以下、ZnO)、二酸化ケイ素(以下、SiO)、酸化チタン(以下、TiO)、五酸化タンタル(以下、Ta)、酸化ジルコニウム(以下、ZrO)、Si、Ta、Ti、Mo、Cr、Alからなる群から選ばれた1又は複数の材料、若しくは、該1又は複数の材料を少なくとも主成分として含む材料を用いて形成したものであることが好ましい。
【0106】
本発明に係る電子部品用金属材料は、前記銀合金からなることを特徴とする。この電子部品用金属材料は、従来に比して電気的に低抵抗率で、耐熱性、耐候性に優れ、安定かつ加工性に優れている。
【0107】
また、このような銀合金にあっては、純Agの優れた熱伝導性を維持し、さらにスパッタリング法、蒸着法、CVD法、メッキ法等の従来の成膜プロセスに適応でき、さらにはウエットエッチング手法及びドライエッチング手法で容易にパターンニング加工することができ、また高温にあっても安定な状態を維持することができる。従って、従来に比して電気的に低抵抗率であって、安定かつ加工性に優れた電子部品用金属材料を得ることができる。
【0108】
本発明に係る配線材料は、前記銀合金からなることを特徴とする。
また、前記電子部品用金属材料を電極材料として用いることも可能である。
また、前記電子部品用金属材料を接点材料として用いることも可能である。
【0109】
本発明に係る電子部品は、前記銀合金により形成された配線パターン、電極及び接点のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする。
【0110】
本発明に係る電子部品は、前記配線パターン、電極及び接点それぞれは、溶液によるエッチングにより形成されものであることも可能である。
【0111】
本発明に係る電子部品は、前記配線パターン、電極及び接点それぞれは、ガス雰囲気中でのエッチングにより形成されたものであることも可能である。
【0112】
また、本発明に係る電子部品は、前記配線パターン、電極及び接点それぞれが、300℃以上750℃以下の温度範囲により加熱処理されて形成されたものであることも可能である。
【0113】
また、本発明に係る電子部品においては、前記配線パターン、電極及び接点それぞれが、W、Ta、Mo、酸化インジウム(以下、In)、酸化錫(以下、SnO)、窒化チタン(以下、TiN)、SiO、窒化シリコン(以下、Si)、TiO、酸化ニオブ(以下、Nb)の何れか1種類もしくは複数で混合されて形成された下地の上に形成されたものであることも可能である。
【0114】
また、本発明に係る電子部品においては、前記配線パターン、電極及び接点それぞれが、ガラス又はプラストマー材料基板上に直接形成されたものであることも可能である。
【0115】
本発明に係る電子機器は、前記電子部品を用いて構成されることを特徴とする。
【0116】
本発明に係る金属膜の加工方法は、前記銀合金からなる金属膜を、配線パターン、電極及び接点のうちの少なくとも1つを形成することを特徴とする。
【0117】
前記金属膜の加工方法によれば、このような銀合金にあっては、例えば、燐酸系のエッチング液であるHPO+HNO+CHCOOH等によってもエッチング加工することができ、これにより、従来のパターンニングの手法に加えて、この種の金属膜に適用して好適なパターンニングの手法を得ることができる。
【0118】
又、前記金属膜の加工方法によれば、このような銀合金にあっては、例えば、塩素を含むガス雰囲気中でのドライエッチングが可能で、Cl、CCl、BCl、SiCl等の塩素を含むガス雰囲気中でのRIE(Reactive Ion Etching)、プラズマエッチングなどによる処理が可能である。これにより、従来のパターンニングの手法に加えてこの種の金属膜に適用して好適なパターンニングの手法を得ることができる。
【0119】
本発明に係る金属膜の加工方法は、前記銀合金からなる金属膜を300℃以上750℃以下の温度範囲で加熱処理することにより、配線パターン、電極及び接点のうちの少なくとも1つを形成することを特徴とする。
【0120】
前記金属膜の加工方法によれば、金属膜の加工方法に適用して、例えば蒸着、CVD等によりこの合金の組成による堆積層等を形成した後において、これらを合金化することができ、また高温における安定性に優れることにより、各種成膜法により成膜した後の高温度のプロセスにおいても、安定な状態を維持でき、これらにより高温プロセスが必要な各種デバイスに適用して安定かつ加工性に優れた配線パターン等を得ることができる。
【0121】
本発明に係る金属膜の加工方法は、前記銀合金からなる金属膜を、W、Ta、Mo、In、SnO、ITO、TiN、SiO、Siの何れかによる下地の上に形成することにより、配線パターン、電極及び接点のうちの少なくとも1つを形成することを特徴とする。
【0122】
前記金属膜の加工方法によれば、金属膜の加工方法に適用して、この種の合金からなる配線パターン、電極又は接点を、W、Ta、Mo、InO、SnO、TiN、SiO、Si、TiO、Nbの何れか1種類もしくは複数で混合されて形成された下地の上に形成して、従来の加工プロセスを適用して充分な密着性を確保し、電気的に低抵抗率であって、安定かつ加工性に優れた配線パターン等を得ることができる。
【0123】
本発明に係る金属膜の加工方法は、前記銀合金からなる金属膜をガラス又はプラストマー材料基板上に直接形成することにより、配線パターン、電極及び接点のうちの少なくとも1つを形成することを特徴とする。
【0124】
前記金属膜の加工方法によれば、金属材料の加工方法に適用して、これらの合金からなる配線パターン、電極又は接点を、ガラス又はプラストマー材料基板上に直接形成すれば、この合金にあっては酸素の影響が少ないことにより、例えばAlのように電気的に抵抗率の増加が低減され、これにより簡易な製造プロセスにより低抵抗率の配線パターン等を簡易に作成することができる。
【0125】
本発明に係る電子光学部品は、前記銀合金により形成された反射膜、配線パターン及び電極のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする。これにより、電気的に低抵抗率であって、安定かつ加工性に優れた、かつ反射率に優れた金属材料を反射膜、配線パターン又は電極に適用した電子光学部品を得ることができる。
【0126】
本発明に係る積層体は、少なくとも一層以上の層からなる高耐熱性反射膜を用いた積層体であって、上記高耐熱性反射膜は、請求項4に記載の銀合金から形成したものであることを特徴とする。
【0127】
また、本発明に係る積層体において、前記銀合金は、少なくとも1種類の各元素の含有量が0.1at%以上8.0at%以下であることが好ましい。
【0128】
本発明に係る積層体は、少なくとも一層以上の層からなる高耐熱性反射膜を用いた積層体であって、上記高耐熱性反射膜は、請求項9に記載の銀合金から形成したものであることを特徴とする。
【0129】
また、本発明に係る積層体において、前記銀合金は、前記1種類の元素の含有量が0.1at%以上8.0at%以下であり、前記少なくとも1種類の各元素の含有量が0.1at%以上8.0at%以下であることが好ましい。
【0130】
本発明に係る積層体は、少なくとも一層以上の層からなる高耐熱性反射膜を用いた積層体であって、上記高耐熱性反射膜は、請求項11、15、17のうちいずれか1項に記載の銀合金から形成したものであることを特徴とする。
【0131】
本発明に係る積層体は、基板と、
この基板上に形成された高耐熱性反射膜と、
を備えた積層体であって、
上記高耐熱性反射膜は、請求項4に記載の銀合金から形成したものであることを特徴とする。
【0132】
また、本発明に係る積層体において、前記銀合金は、少なくとも1種類の各元素の含有量が0.1at%以上8.0at%以下であることが好ましい。
【0133】
本発明に係る積層体は、基板と、
この基板上に形成された高耐熱性反射膜と、
を備えた積層体であって、
上記高耐熱性反射膜は、請求項9に記載の銀合金から形成したものであることを特徴とする。
【0134】
また、本発明に係る積層体において、前記銀合金は、前記1種類の元素の含有量が0.1at%以上8.0at%以下であり、前記少なくとも1種類の各元素の含有量が0.1at%以上8.0at%以下であることが好ましい。
【0135】
本発明に係る積層体は、基板と、
この基板上に形成された高耐熱性反射膜と、
を備えた積層体であって、
上記高耐熱性反射膜は、請求項11、15、17のうちいずれか1項に記載の銀合金から形成したものであることを特徴とする。
【0136】
また、本発明に係る積層体において、前記基板が樹脂基板又はガラス基板であることが好ましい。
また、本発明に係る積層体においては、前記基板と前記高耐熱性反射膜との間に配置された、密着性を助長する下地膜をさらに含むことも可能である。
【0137】
また、本発明に係る積層体においては、前記下地膜が、ITO、IrO、ZnO、SiO、TiO、Ta、ZrO、Si、Ta、Ti、Mo、Cr、Alからなる群から選ばれた1又は複数の材料、若しくは、該1又は複数の材料を少なくとも主成分として含む材料を用いて形成したものであることが好ましい。
【0138】
本発明に係る建材ガラスは、基板と、
この基板上に形成された高耐熱性反射膜と、
を備えた積層体からなる建材ガラスであって、
前記高耐熱性反射膜は、請求項4に記載の銀合金から形成したものであることを特徴とする。
【0139】
また、本発明に係る建材ガラスにおいて、前記銀合金は、少なくとも1種類の各元素の含有量が0.1at%以上8.0at%以下であることが好ましい。
【0140】
本発明に係る建材ガラスは、基板と、
この基板上に形成された高耐熱性反射膜と、
を備えた積層体からなる建材ガラスであって、
前記高耐熱性反射膜は、請求項9に記載の銀合金から形成したものであることを特徴とする。
【0141】
また、本発明に係る建材ガラスにおいて、前記銀合金は、前記1種類の元素の含有量が0.1at%以上8.0at%以下であり、前記少なくとも1種類の各元素の含有量が0.1at%以上8.0at%以下であることが好ましい。
【0142】
本発明に係る建材ガラスは、基板と、
この基板上に形成された高耐熱性反射膜と、
を備えた積層体からなる建材ガラスであって、
前記高耐熱性反射膜は、請求項11、15、17のうちいずれか1項に記載の銀合金から形成したものであることを特徴とする。
【0143】
【発明の実施の形態】
本発明に係る第1の実施の形態による銀合金について説明する。
第1の銀合金は、優れた耐食性、高反射率、電気的に低抵抗及び優れた耐熱性のうちの少なくとも1つの特性を有する銀合金であって、Agを主成分とし、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Au、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge及びSnからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有する合金である。
【0144】
なお、前記少なくとも1種類の各元素の含有量は0.1at%以上8.0at%以下であることが好ましい。より好ましくは、前記少なくとも1種類の各元素の含有量が0.3at%以上6.0at%以下であり、さらに好ましくは、前記少なくとも1種類の各元素の含有量が0.5at%以上5.0at%以下である。
【0145】
第2の銀合金は、優れた耐食性、高反射率、電気的に低抵抗及び優れた耐熱性のうちの少なくとも1つの特性を有する銀合金であって、Agを主成分とし、Zn、Ni、Sn及びInからなる群から選ばれた1種類の元素を含有し、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Au、Al、Ga、Si及びGeからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有する合金である。
【0146】
なお、前記1種類の元素の含有量は0.1at%以上8.0at%以下であり、前記少なくとも1種類の各元素の含有量は0.1at%以上8.0at%以下であることが好ましい。より好ましくは、前記1種類の元素の含有量が0.3at%以上6.0at%以下であり、前記少なくとも1種類の各元素の含有量が0.3at%以上6.0at%以下である。さらに好ましくは、前記1種類の元素の含有量が0.5at%以上5.0at%以下であり、前記少なくとも1種類の各元素の含有量が0.5at%以上5.0at%以下である。
【0147】
第3の銀合金は、優れた耐食性、高反射率、電気的に低抵抗及び優れた耐熱性のうちの少なくとも1つの特性を有する銀合金であって、Ag主成分とし、Znを0.1at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.1at%以上8.0at%以下含有し、更にPdを0.1at%以上8.0at%以下含有する合金である。また、より好ましくは、Znの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Cuの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Pdの含有量が0.1at%以上5.0at%以下である。
【0148】
第4の銀合金は、優れた耐食性、高反射率、電気的に低抵抗及び優れた耐熱性のうちの少なくとも1つの特性を有する銀合金であって、Ag主成分とし、Inを0.1at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.1at%以上8.0at%以下含有し、更にPdを0.1at%以上8.0at%以下含有する合金である。また、より好ましくは、Inの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Cuの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Pdの含有量が0.1at%以上5.0at%以下である。
【0149】
第5の銀合金は、優れた耐熱性を有する銀合金であって、Agを主成分とし、Znを3.0at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.3at%以上1.7at%以下含有し、更にPdを0.2at%以上3.0at%以下含有する合金である。また、特に好ましい耐熱性を有する銀合金中のCuの含有量は0.3at%以上0.5at%以下である。
【0150】
第6の銀合金は、優れた耐食性を有する銀合金であって、Agを主成分とし、Znを0.1at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.1at%以上含有し、更にPdを0.2at%以上含有する合金である。
【0151】
第7の銀合金は、優れた耐熱性及び耐食性を有する銀合金であって、Agを主成分とし、Znを3.0at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.3at%以上1.7at%以下含有し、更にPdを0.2at%以上含有する合金である。また、特に好ましい耐熱性を有する銀合金中のCuの含有量は0.3at%以上0.5at%以下である。
【0152】
Zn、Ni、Sn及びInを含有させるのは、塩化、硫化防止及び脱酸素効果(酸化防止)、マイグレーション防止(イオン化防止)のためであり、Pdを含有させたのはAgに対して共晶合金を作る為に耐食性がさらに上がると考察される為である。また、前記少なくとも1種類の各元素で、例えばCuを含有させるのは、電気抵抗を下げること、Ag合金の加工性を上げること、マイグレーション防止等を目的としている。
【0153】
前記第1の実施の形態による第1及び第2の銀合金によれば、後述する塩化試験において表6〜表17に示すように塩化ナトリウム(以下、NaCl)に対して良好な結果が得られているので、耐食性に優れた銀合金であることが確認されている。また、第3及び第4の銀合金によれば、後述する塩化試験において図12に示すようにNaClに対して良好な結果が得られているので、耐食性に優れた銀合金であることが確認されている。
【0154】
また、第1及び第2の銀合金では、後述する反射率の測定において表2、表3に示すように実用上高い反射率が得られることが確認されている。また、第3及び第4の銀合金では、後述する反射率の測定において表4に示すように実用上高い反射率が得られることが確認されている。また、第1及び第2の銀合金では、後述する抵抗値の測定において表22、表23に示すように電気的に低抵抗化が実現できることが確認されている。また、第3及び第4の銀合金では、後述する抵抗値の測定において表24に示すように電気的に低抵抗化が実現できることが確認されている。
【0155】
また、第1及び第2の銀合金では、後述する250℃、1時間の熱処理後の反射率測定において表2、表3に示すように実用上高い反射率が得られることが確認されている。また、第3及び第4の銀合金では、後述する250℃、1時間の熱処理後の反射率測定において表5に示すように実用上高い反射率が得られることが確認されている。
【0156】
また、第5の銀合金では、後述する耐熱性試験において表26、表27に示すようにアニール後の反射率の減少が少ないという耐熱性に優れているといった結果が得られているので、耐熱性に優れた銀合金であることが確認されている。
【0157】
また、第6の銀合金では、後述する耐食性試験(5%NaCl浸水試験)において表18〜表21に示すようにNaClに対して良好な結果が得られているので、耐食性に優れた銀合金であることが確認されている。
【0158】
また、第7の銀合金では、後述する耐熱性試験において表26、表27に示すようにアニール後の反射率の減少が少ないという耐熱性に優れているといった結果が得られており、更に耐食性試験において表18〜表21に示すようにNaClに対して良好な結果が得られているので、耐熱性及び耐食性に優れた銀合金であることが確認されている。
【0159】
次に、本発明に係る第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態によるスパッタリングターゲットは、反射光の黄色化を抑制した反射型LCD用反射板を製造するためのものであり、また、反射光を高反射率化し(即ち反射光の反射率を向上し)且つ反射光の黄色化を抑制した反射配線電極を製造するためのものである。
【0160】
本実施の形態による第1のスパッタリングターゲットは、Agを主成分とし、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Au、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge及びSnからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有する銀合金により構成されている。前記少なくとも1種類の各元素の含有量は0.1at%以上8.0at%以下であることが好ましく、より好ましくは0.3at%以上6.0at%以下であり、さらに好ましくは0.5at%以上5.0at%以下である。
【0161】
本実施の形態による第2のスパッタリングターゲットは、Agを主成分とし、Zn、Ni、Sn及びInからなる群から選ばれた1種類の元素を含有し、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Au、Al、Ga、Si及びGeからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有する銀合金により構成されている。前記1種類の元素の含有量は、0.1at%以上8.0at%以下であることが好ましく、より好ましくは0.3at%以上6.0at%以下であり、さらに好ましくは0.5at%以上5.0at%以下である。前記少なくとも1種類の各元素の含有量は0.1at%以上8.0at%以下であることが好ましく、より好ましくは0.3at%以上6.0at%以下であり、さらに好ましくは0.5at%以上5.0at%以下である。
【0162】
本実施の形態による第3のスパッタリングターゲットは、Ag主成分とし、Znを0.1at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.1at%以上8.0at%以下含有し、更にPdを0.1at%以上8.0at%以下含有する合金である。また、より好ましくは、Znの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Cuの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Pdの含有量が0.1at%以上5.0at%以下である。
【0163】
本実施の形態による第4のスパッタリングターゲットは、Ag主成分とし、Inを0.1at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.1at%以上8.0at%以下含有し、更にPdを0.1at%以上8.0at%以下含有する合金である。また、より好ましくは、Inの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Cuの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Pdの含有量が0.1at%以上5.0at%以下である。
【0164】
本実施の形態による第5のスパッタリングターゲットは、Agを主成分とし、Znを3.0at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.3at%以上1.7at%以下含有し、更にPdを0.2at%以上3.0at%以下含有する合金である。また、特に好ましい耐熱性を有する銀合金からなるスパッタリングターゲット中のCuの含有量は0.3at%以上0.5at%以下である。
【0165】
本実施の形態による第6のスパッタリングターゲットは、Agを主成分とし、Znを0.1at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.1at%以上含有し、更にPdを0.2at%以上含有する合金である。
【0166】
本実施の形態による第7のスパッタリングターゲットは、Agを主成分とし、Znを3.0at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.3at%以上1.7at%以下含有し、更にPdを0.2at%以上含有する合金である。また、特に好ましい耐熱性を有する銀合金からなるスパッタリングターゲット中のCuの含有量は0.3at%以上0.5at%以下である。
【0167】
次に、前記第1〜第7のスパッタリングターゲットの製造方法について説明する。
第1のスパッタリングターゲットの場合、前述した銀合金、即ちAgを主成分とし、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Au、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge及びSnからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有する銀合金からなるインゴットを鋳造法により製造する。そして、そのインゴットを加工することにより、スパッタリングターゲットを製作する。このスパッタリングターゲットは微視的に均一に見えた。
【0168】
第2のスパッタリングターゲットの場合、前述した銀合金、即ちAgを主成分とし、Zn、Ni、Sn及びInからなる群から選ばれた1種類の元素を含有し、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Au、Al、Ga、Si及びGeからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有する銀合金からなるインゴットを鋳造法により製造する。そして、そのインゴットを加工することにより、スパッタリングターゲットを製作する。このスパッタリングターゲットは微視的に均一に見えた。
【0169】
第3のスパッタリングターゲットの場合、前述した銀合金からなるインゴットを鋳造法により製造する。そして、そのインゴットを加工することにより、スパッタリングターゲットを製作する。このスパッタリングターゲットは微視的に均一に見えた。
【0170】
第4のスパッタリングターゲットの場合、前述した銀合金からなるインゴットを鋳造法により製造する。そして、そのインゴットを加工することにより、スパッタリングターゲットを製作する。このスパッタリングターゲットは微視的に均一に見えた。
【0171】
第5のスパッタリングターゲットの場合、前述した銀合金からなるインゴットを鋳造法により製造する。そして、そのインゴットを加工することにより、スパッタリングターゲットを製作する。このスパッタリングターゲットは微視的に均一に見えた。
【0172】
第6のスパッタリングターゲットの場合、前述した銀合金からなるインゴットを鋳造法により製造する。そして、そのインゴットを加工することにより、スパッタリングターゲットを製作する。このスパッタリングターゲットは微視的に均一に見えた。
【0173】
第7のスパッタリングターゲットの場合、前述した銀合金からなるインゴットを鋳造法により製造する。そして、そのインゴットを加工することにより、スパッタリングターゲットを製作する。このスパッタリングターゲットは微視的に均一に見えた。
【0174】
また、スパッタリングターゲットの他の製造方法について説明する。
スパッタリングターゲット材の製造方法としては、大気雰囲気中の溶解法、あるいは真空中での溶融法が挙げられる。
前述した銀合金を溶融法で製造する場合には、先ず、基となる母合金を作製し、これにAgを追加で混入して、Agが規定量になるように合金に含有される金属の含有量を整えるものとする。
【0175】
大気中で行う場合について説明する。
先ず、アルゴン(以下、Ar)雰囲気(400〜600Torr)中で、前述した銀合金をアーク溶解にて溶融混合することにより、母合金を作製する。
【0176】
次に、高周波溶融炉において、Agの溶解を行う。このときのAgの量は、全体溶解量から母合金中のAgの量を差し引いた量とする。この際の溶融温度は、例えば1000〜1500℃として、例えば、0.1〜0.2リットルの並型黒鉛坩堝を用いる。
【0177】
完全に溶融した後、酸化防止材を投入し、溶融中の酸素との固溶を抑制、防止する。酸化防止材としては、ホウ砂、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸リチウム、カーボン等を用いることができる。
【0178】
完全に溶融した状態で、約1時間放置し、前記の母合金を添加してさらに0.5〜1時間溶融させる。この際の溶融温度は、例えば1050〜2000℃とする。
【0179】
次に、例えばアルミナ、あるいはタルクを内面に塗布してあるFeの鋳型に溶融物を注湯する。Feの鋳型は、引け巣を防止するため、予め電気炉等で300〜500℃程度に熱しておく。
【0180】
鋳型内の溶融物を冷却、凝固し、インゴットを鋳型から取り出して、常温まで冷却する。次に、インゴットの最上部の押湯部を切断除去し、インゴットを圧延機により圧延し、90mm×90mm×8.1mmの板状の合金を作製する。
【0181】
その後、例えば400〜500℃の温度で電気炉内にArガスを封入した状態で、1〜1.5時間程度、熱処理し、その後さらにプレス機によりそり修正を行う。
【0182】
その後、製品形状にワイヤーカットし、耐水研磨紙を用いて製品全面を研磨し、表面粗度を調整し、最終的にAg合金のスパッタリングターゲット材を作製することができる。
【0183】
以上、大気中での溶解法について説明したが、その他の溶解法を用いることも可能であり、以下、Ar雰囲気中で行う溶解の場合について説明する。
先ず、Ar雰囲気(400〜600Torr)中で、前述した銀合金をアーク溶解にて溶融混合し、母合金を作製する。
【0184】
次に、高周波溶融炉において、前記の母合金とAgの溶解を行う。このときのAgの量は、全体溶解量から母合金中のAgの量を差し引いた量とする。
母合金とAgを入れた坩堝を高周波溶融炉に入れ、真空引きを行う。酸素を巻き込まない程度に真空に引いた後、溶融炉をAr雰囲気(100〜600Torr)にしてから溶融を開始する。
この際の溶融温度は、例えば、1050〜1400℃とし、坩堝は、例えば、0.1〜0.2リットルの並型黒鉛坩堝を用いる。
【0185】
次に、例えばアルミナ、あるいはタルクを内面に塗布してあるFeの鋳型に溶融物を注湯する。
Feの鋳型は、引け巣を防止するため、予め電気炉等で300〜500℃程度に熱しておく。
【0186】
鋳型内の溶融物を、冷却、凝固し、インゴットを鋳型から取り出して、常温まで冷却する。
次に、インゴットの最上部の押湯部を切断除去し、インゴットを圧延機により圧延し、90mm×90mm×8.1mmの板状の合金を作製する。
【0187】
その後、例えば電気炉で400〜500℃によりArガスを封入した状態で、1〜1.5時間程度、熱処理し、その後さらにプレス機によりそり修正を行う。
【0188】
その後、製品形状にワイヤーカットし、耐水研磨紙を用いて製品全面を研磨し、表面粗度を調整し、最終的に本発明の銀合金のスパッタリングターゲット材を作製することができる。
【0189】
前述のように、本発明の銀合金のスパッタリングターゲット材を作製する場合において、Agに対してZn及びその他の元素Xを添加して溶融する場合においても、従来行われている容易な方法を適用することができ、価格的にも製法的にもメリットが大きい。
【0190】
次に、本発明に係る第3の実施の形態による反射型LCD用反射板及びその製造方法について説明する。
【0191】
反射型LCD用反射板は第1〜第7の薄膜のいずれかからなるものである。第1の薄膜は、Agを主成分とし、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Au、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge及びSnからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を0.1at%以上8.0at%以下(好ましくは0.3at%以上6.0at%以下、さらに好ましくは0.5at%以上5.0at%以下)含有する銀合金により構成されている。例えば、前記群から選ばれた少なくとも1種類の元素がZnとNiの2種類であった場合は、Znが0.1at%以上8.0at%以下(好ましくは0.3at%以上6.0at%以下、さらに好ましくは0.5at%以上5.0at%以下)含有すると共にNiが0.1at%以上8.0at%以下(好ましくは0.3at%以上6.0at%以下、さらに好ましくは0.5at%以上5.0at%以下)含有する銀合金である。
【0192】
第2の薄膜は、Agを主成分とし、Zn、Ni、Sn及びInからなる群から選ばれた1種類の元素を0.1at%以上8.0at%以下(好ましくは0.3at%以上6.0at%以下、さらに好ましくは0.5at%以上5.0at%以下)含有し、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Au、Al、Ga、Si及びGeからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を0.1at%以上8.0at%以下(好ましくは0.3at%以上6.0at%以下、さらに好ましくは0.5at%以上5.0at%以下)以下含有する銀合金により構成されている。例えば、前記群から選ばれた1種類の元素がZnで、前記群から選ばれた少なくとも1種類の元素がCuとAuの2種類であった場合は、Znが0.1at%以上8.0at%以下(好ましくは0.3at%以上6.0at%以下、さらに好ましくは0.5at%以上5.0at%以下)含有し、Cuが0.1at%以上8.0at%以下(好ましくは0.3at%以上6.0at%以下、さらに好ましくは0.5at%以上5.0at%以下)含有し、Auが0.1at%以上8.0at%以下(好ましくは0.3at%以上6.0at%以下、さらに好ましくは0.5at%以上5.0at%以下)含有する銀合金である。
【0193】
第3の薄膜は、Ag主成分とし、Znを0.1at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.1at%以上8.0at%以下含有し、更にPdを0.1at%以上8.0at%以下含有する合金により構成されている。また、より好ましくは、Znの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Cuの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Pdの含有量が0.1at%以上5.0at%以下である。
【0194】
第4の薄膜は、Ag主成分とし、Znを0.1at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.1at%以上8.0at%以下含有し、更にPdを0.1at%以上8.0at%以下含有する合金により構成されている。また、より好ましくは、Znの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Cuの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Pdの含有量が0.1at%以上5.0at%以下である。
【0195】
第5の薄膜は、Agを主成分とし、Znを3.0at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.3at%以上1.7at%以下含有し、更にPdを0.2at%以上3.0at%以下含有する合金により構成されている。また、特に好ましい耐熱性を有する銀合金中のCuの含有量は0.3at%以上0.5at%以下である。
【0196】
第6の薄膜は、Agを主成分とし、Znを0.1at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.1at%以上含有し、更にPdを0.2at%以上含有する合金により構成されている。
【0197】
第7の薄膜は、Agを主成分とし、Znを3.0at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.3at%以上1.7at%以下含有し、更にPdを0.2at%以上含有する合金により構成されている。また、特に好ましい耐熱性を有する銀合金中のCuの含有量は0.3at%以上0.5at%以下である。
【0198】
前記第1〜第7の薄膜は、前記スパッタリングターゲットを用いたスパッタ装置において例えばRF(交流)マグネトロンスパッタリング法により形成される。従って、第1〜第7の薄膜のいずれかからなる反射型LCD用反射板は、微視的にみても均一な特性を安定に提供することができる。
【0199】
前記第3の実施の形態によれば、前述した銀合金からなる第1〜第7の薄膜などによって反射型LCD用反射板を形成している。このため、この反射型LCD用反射板の製造時又は使用時において、大気中の硫黄、酸素、水分等と反応することを抑制できる。従って、反射光の色度が変化し、黄色に変色してしまうという黄色化を抑制することができる。また、反射光を高反射率化(即ち反射光の反射率を向上)することができ、安定的に高い反射率を確保することができる。
【0200】
次に、本発明に係る第4の実施の形態による反射配線電極及びその製造方法について説明する。
反射配線電極は前記第1〜第7の薄膜のいずれかからなるものである。
【0201】
前記第1〜第7の薄膜は、前記スパッタリングターゲットを用いたスパッタ装置においてRF(交流)マグネトロンスパッタリング法により成膜され、その後、エッチングにより所定形状に加工される。この薄膜からなる反射配線電極は、微視的にみても均一な特性を安定に提供することができる。また、前記第1〜第7の薄膜は、例えば、燐酸を含有するエッチング液でエッチング加工することが可能である。燐酸系のエッチング液としては、例えばHPO+HNO+CHCOOHを用いることが可能である。
【0202】
前記第4の実施の形態によれば、前述した銀合金からなる第1〜第7の薄膜などによって反射配線電極を形成している。このため、この反射配線電極の製造時又は使用時において、大気中の硫黄、酸素、水分等と反応することを抑制できる。従って、反射光の色度が変化し、黄色に変色してしまうという黄色化を抑制することができる。また、反射光を高反射率化(即ち反射光の反射率を向上)することができ、安定的に高い反射率を確保することができる。
【0203】
また、前記第3の実施の形態による反射型LCD用反射板及び第4の実施の形態による反射配線電極それぞれは石英ガラス基板などの下地に対して十分な密着性を有するものである。
【0204】
尚、前記実施の形態では、薄膜をスパッタリング法により成膜しているが、薄膜を蒸着法、CVD法、メッキ法などの他の成膜法により成膜することも可能である。
【0205】
次に、本発明に係る第5の実施の形態について説明する。
以下に示す例においては、前述したスパッタリングターゲットを用いて形成されて成る薄膜及びこの薄膜を有する光学記録媒体について、2層の情報記録層を有する構造のディスク状、いわゆる円板状の光ディスクに適用する場合について説明する。ただし、本発明は、このような光ディスクや、その形状に限定されるものではなく、光磁気ディスク、相変化ディスク、その他のカード状、シート状等の情報層に金属薄膜を有する各種の光学記録媒体に適用することができる。
【0206】
以下の例において作製する光学記録媒体は、図1に示すように、第1の基板1と第2の基板2とが、例えば光透過性の光硬化性樹脂20を介して積層された2層構造の光学記録媒体とする。
【0207】
第1の基板1は、例えばポリカーボネート等の光透過性樹脂の射出成形により、一主面にデータ記録ピット、またはプリグルーブ等の第1の微細凹凸21を有し、これの上に半透明膜15を有し、第1の情報記録層11が形成されてなるものである。
【0208】
また、前述した第1の基板1と積層される第2の基板2は、第1の基板1と同様に、例えばポリカーボネート等の光透過性樹脂の射出成形によって、一主面にデータ記録ピット、またはプリグルーブ等の第2の微細凹凸22を有し、これの上に、本発明に係る銀合金を用いて形成した反射膜16を有し、第2の情報記録層12が形成されてなるものである。
この銀合金による反射膜16は、例えばRF(交流)マグネトロンスパッタリング法により成膜することができ、膜厚は、例えば50nm〜150nm程度に形成する。
【0209】
さらに、第2の情報記録層12上には、例えばアクリル系の紫外線硬化性樹脂よりなる保護膜30が形成されている。
【0210】
図1に示す2層構造の光学記録媒体において、第2の情報記録層12に記録された情報の再生を行うときには、波長800nmの光ビームを照射して第2の情報記録層12に焦点が結ばれるようにし、情報の再生を行うようにする。
一方、第1の情報記録層11に記録された情報の再生を行うときには、波長650nmの光ビームを照射して第1の情報記録層11に焦点が結ばれるようにし、情報の再生を行うようにする。
【0211】
以下、本実施の形態に係る銀合金及びこれを用いて作製した薄膜、すなわち図1に示した反射膜16について説明する。
【0212】
本実施の形態は、高反射率の維持、耐候性の改善、合金作製にあたっての製造容易さ、スパッタリングターゲットとして使用する場合のスパッタリング工程における安定性、簡易性の種々の問題について解決を図るべく、前述した銀合金からなるスパッタリングターゲット材、及び、これを用いて形成された薄膜と、この薄膜を有する光学記録媒体を得るものである。
【0213】
Agは、硫黄と結合しやすく、大気中に長時間放置すると、大気と接触する界面が硫黄と反応して、硫化銀(以下、AgS)となり、黒色化して反射特性が劣化してしまう。また、塩素とも激しく反応してAgClとなってしまい、白濁化して反射特性が劣化する。また、塩素との反応部が成長、拡大してしまい、白濁化した部分が広がり、さらに反射特性が劣化し、Agの物理的特性を損なってしまう。
【0214】
しかし、一方においてAgは、酸素や水素に対しては比較的安定な物質であり、特に水素に対しては非常に安定であり、酸素雰囲気下での長時間放置後の酸素との結合状態や、水中に浸水させて放置した後に水素との結合状態を確認しても、これらとの反応性が安定であることがわかる。このため、対酸素や水素へのバリア性を目的とした感光材用の添加材料や、高融点ロウ材等に適用されている。
【0215】
本実施の形態に係る銀合金のスパッタリングターゲット材料として、Znなどを選択したのは、Agは高温(100℃以上)ではかなりの酸素を吸収してしまい、酸素と結びつき合金を作るような性質がある為、高温領域での使用する際には、それを抑制する元素が必要不可欠である。そこで、Zn、Sn、In及びNi等は、酸化傾向が強い為、合金中の酸素と結合し酸化物となり、合金自体の酸化を防止することと、塩化、硫化を防ぐ効果がある為に耐候性に有用である。
【0216】
前記スパッタリングターゲット材によれば、Agの耐水素性、耐酸素性やZn、In、Sn及びNi等の脱酸素効果、硫化、塩化防止の相互作用により、塩素、水素、酸素、硫黄という大気中あるいは特殊環境中で検討される非金属元素による汚染や光学記録媒体に採用される際に要求される環境や雰囲気下でのAgと比較した場合の高い耐候性の向上の実現が可能になるのである。
【0217】
また、前記スパッタリングターゲット材を用いて光学記録媒体の薄膜を形成した場合においては、実用上望ましい高い反射率が得られること、即ち光学記録媒体の反射膜として優れた特性を有することが確認されている。
【0218】
また、光学記録媒体の反射膜を形成するための材料として、前記スパッタリングターゲット材を用いた場合に、光学記録媒体の反射膜として重要な耐候性に関しては、Agを単独で用いた場合に比較してさらに向上することが確認されている。
【0219】
次に、Agに所定量のZnを添加したAg−Zn合金により、光学記録媒体用の薄膜、すなわち、反射膜を形成して光学記録媒体を作製した場合の400nmの波長レーザー光に対する反射率を測定した。
この場合、Agに、Znが1.7at%〜8at%それぞれの量含有されてなるAg−Zn合金のスパッタリングターゲット材を用いて、光学記録媒体の薄膜、すなわち反射膜を形成し、光学記録媒体を作製し、波長400nmのレーザー光を照射したときの、それぞれの反射率を測定するものとし、この測定結果を表2に示す。比較例として純Agの薄膜とAgを主成分とし、Pdを0.91at%とCuを1.69at%含有したAg−0.91at%Pd‐1.69at%Cu合金(以下、APC)の薄膜についての反射率を測定した。
【0220】
【表2】
Figure 2004002929
【0221】
表2に示した測定結果より、AgにZnを含有しているAg−Zn合金のスパッタリングターゲット材を用いて、光学記録媒体の薄膜を形成した場合においては、実用上望ましい高い反射率が得られることがわかる。
すなわち、表2に示すように、AgにZnが1.7at%〜8at%含有されているAg−Zn合金のスパッタリングターゲット材を用いて、光学記録媒体の薄膜を形成した場合において、特に、Znが1.7at%、5at%それぞれの量含有した場合においては、89.91%(400nm)以上の高い反射率が得られ、光学記録媒体の反射膜として優れた特性を有するものであることがわかる。
【0222】
つまり、光学記録媒体の反射膜を形成するための材料として、AgにZnが1.7at%、5at%含有されているAg−Zn合金のスパッタリングターゲット材を用いた場合には、反射率が同波長領域中の測定で、APCを用いた場合に比較して良好である。さらに光学記録媒体の反射膜として重要な耐候性に関しては、APCと同程度が期待できる。
【0223】
図3は、Ag−Zn合金からなる薄膜について照射する光の波長とその光の反射率を示すグラフである。このグラフによれば、Zn含有量が1.7at%、5at%のとき、APCよりも良好である。
【0224】
次に、Agに所定量のZnとCuを添加したAg−Zn−Cu合金により、光学記録媒体用の薄膜、すなわち、反射膜を形成して光学記録媒体を作製した場合の400nmの波長レーザー光に対する反射率を測定した。
この場合、Agに、Zn、In、Sn及びNiが0.5at%〜5.0at%それぞれの量含有されてなるAg合金スパッタリングターゲット材を用いて、光学記録媒体の薄膜、すなわち反射膜を形成し、光学記録媒体を作製し、波長400nmのレーザー光を照射したときの、それぞれの反射率を測定するものとし、この測定結果を表3に示す。比較例として純Agの薄膜とAPCの薄膜についての反射率を測定した。
【0225】
【表3】
Figure 2004002929
【0226】
表3に示した測定結果より、AgにZnが0.5at%〜5.0at%、Cuが0.5at%〜5.0at%それぞれの量含有されてなるAg−Zn−Cu合金のスパッタリングターゲット材を用いて、光学記録媒体の薄膜を形成した場合においては、実用上望ましい高い反射率が得られることがわかる。
すなわち、表3に示すように、AgにZnが0.5at%〜5.0at%、Cuが0.5at%〜5.0at%それぞれの量含有されてなるAg−Zn−Cu合金のスパッタリングターゲット材を用いて、光学記録媒体の薄膜を形成した場合において、特に、Znが0.5at%〜4.0at%、Cuが0.5at%〜1.7at%それぞれの量含有した場合においては、89%(400nm)以上の高い反射率が得られ、光学記録媒体の反射膜として優れた特性を有するものであることがわかる。
【0227】
つまり、光学記録媒体の反射膜の形成するための材料として、AgにZnが0.5at%〜4.0at%、Cuが0.5at%〜1.7at%含有されているAg−Zn−Cu合金のスパッタリングターゲット材を用いた場合には、反射率が同波長領域中の測定で、APCを用いた場合に比較して良好である。さらに光学記録媒体の反射膜として重要な耐候性に関しては、APCと同程度が期待できる。
【0228】
なお、前記においては、Ag−Zn合金、Ag−Zn−Cu合金について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、これら以外の元素をAgに含有した前記スパッタリングターゲットを用いた場合についても高い反射率が得られ、光学記録媒体の反射膜として優れた特性を得ることができる。
また、AgにZnが0.1at%〜8.0at%(好ましくは0.3at%〜6.0at%)、Cuが0.1at%〜8.0at%(好ましくは0.3at%〜6.0at%)それぞれの量含有されてなるAg−Zn−Cu合金のスパッタリングターゲット材を用いて、光学記録媒体の薄膜を形成した場合においても、実用上望ましい高い反射率が得られることも確認されている。
【0229】
次に、Agに所定量のPd、Cu、Znを添加したAg−Pd−Cu−Zn合金、又は、Agに所定量のPd、Cu、Inを添加したAg−Pd−Cu−In合金により、光学記録媒体用の薄膜、すなわち、反射膜を形成して光学記録媒体を作製した場合の400nmの波長レーザー光に対する反射率、550nmの波長レーザー光に対する反射率を測定した。この場合の測定結果を表4に示す。比較例としてAgを主成分とし、Pdを0.5at%とCuを1.0at%含有したAg−0.5at%Pd‐1.0at%合金の薄膜についての反射率を測定した。
【0230】
【表4】
Figure 2004002929
【0231】
表4に示した測定結果より、AgにPd、Cu、Zn又はInを含有しているAg合金のスパッタリングターゲット材を用いて、光学記録媒体の薄膜を形成した場合においては、実用上望ましい高い反射率が得られることがわかる。
【0232】
次に、表4に示した薄膜を250℃の温度で1時間熱処理を施した後の400nmの波長レーザー光に対する反射率、550nmの波長レーザー光に対する反射率を測定した。この場合の測定結果を表5に示す。
【0233】
【表5】
Figure 2004002929
【0234】
表5に示した測定結果より、実用上望ましい高い反射率が得られることがわかる。
【0235】
次に、本発明に係る第6の実施の形態について説明する。
まず、第6の実施の形態による光学記録媒体の構成について説明する。
図2は、第6の実施の形態による光学記録媒体の一例を示した側面図である。この例による光学記録媒体6はDVDと呼ばれている高密度の光学記録媒体である。
【0236】
光学記録媒体6は、図面上で上方に透明な基板14を有し、また下方に透明ないし不透明な基板13を有している。これら基板14及び13は、例えばポリカーボネート等のプラストマー材料により作られている。
【0237】
基板14の片面には、第1の情報層9が設けられている。この第1の情報層9は、情報ピットと半透明反射膜3とにより構成されている。この情報ピットは、例えば情報に応じて凹凸パターンが形成されている。この半透明反射膜3は、前述した銀合金の薄膜からなるものである。
【0238】
また、基板13の片面には、基板14と同様に、第2の情報層17が設けられている。この第2の情報層17は、情報ピットと反射膜4とにより構成されている。
【0239】
基板14の第1の情報層9が形成された面と、基板13の第2の情報層17が形成された面とは、所定の厚さの透明接着剤5により貼り合わされている。これによって、2つの情報層9及び17を有する、一体の光学記録媒体が形成されることになる。この結果、再生光8が入射する側には第1の情報層9が配されることになり、さらに再生光8が入射する側とは反対側には第2の情報層17が配されることになる。
【0240】
次に、図2に示す光学記録媒体6についての信号の再生方法について説明する。
図2の光学記録媒体6において、第1の情報層9の信号の再生は、基板14側から入射する再生光8を第1の情報層9に集光させることにより行う。一方、第2の情報層17の信号の再生は、対物レンズ7の焦点位置を第2の情報層17に移動させ、第2の情報層17に再生光8を集光することにより行う。
【0241】
ここで、第2の情報層17の信号の再生にあたっては、再生光8が第1の情報層9を透過する必要がある。このため、第1の情報層9には、いわゆる半透明反射膜が用いられる。この半透明反射膜は、入射光のうち一部の光を反射させ、また他の一部の光を透過させる性質を持っている。
【0242】
第1の情報層9の半透明反射膜3は、作製の容易さ等からスパッタリング法、一般には、マグネトロンスパッタリング法により形成される。また、第2の情報層17の反射膜4は、従来の反射膜と同様に高反射率を有するAl、Au、Agあるいはそれらの合金により、前述のスパッタリング法により形成される。
【0243】
次に、第1の情報層9の半透明反射膜3について詳細に説明する。
半透明反射膜3を形成する場合、一般にその膜厚の増加とともに反射率R1(%)は高くなり、逆に透過率T1(%)は減少する。また、反射する光、及び透過する光の他に、膜に吸収される光がある。この吸収される光の割合を吸収率A1という。ここで、半透明反射膜3に入射する光量を100(%)とすると、次の式が成立する。
R1+T1+A1=100(%) (1)
【0244】
前述のような2つの情報層9及び17を有する光学記録媒体において、再生が良好であるための条件としては、第1の情報層9からの戻り光量S1(%)と、第2の情報層17からの戻り光量S2(%)とが十分に大きいことが必要である。これらの値S1及びS2は、それぞれの情報層9及び17での反射率R1及びR2に比例する。
【0245】
再生専用のいわゆるROM(readonlymemory)記録媒体の場合、反射率が約10%以上であれば再生が可能である。これは反射率が約10%以下になると、ディスク表面と空気との界面で生じる反射光と、情報層からの反射光とを識別することが困難となり、フォーカス制御ができなくなるからである。
【0246】
半透明反射膜3は、再生光8の入射側に配置されるため、戻り光量S1はそのまま半透明反射膜3の反射率R1に比例した量だけの信号となる。ここで、基板14での光の吸収は極めて小さいので、戻り光量S1=反射率R1としてよい。
【0247】
一方、戻り光量S2は、光路の途中に半透明反射膜3が存在するので、その影響のため多少複雑になる。そこで、戻り光量S2に対する、半透明反射膜3の影響を計算により求めてみる。
【0248】
まず、半透明反射膜3に入射する光量のうち、半透明反射膜3を透過して第2の情報層17に到達する光量の割合は、半透明反射膜3の透過率T1(=100−R1−A1)で表される。ついで、第2の情報層17に到達した光量のうち、第2の情報層17の反射膜4で反射される光量の割合は、反射膜4の反射率R2で表される。また、第2の情報層17の反射膜4で反射される光量のうち、半透明反射膜3を透過する光量の割合は、半透明反射膜3の透過率T1で表される。この第1の情報層9の半透明反射膜3を透過したものが戻り光量となる。
【0249】
したがって、戻り光量は(T1×R2×T1)/10000、あるいは(100−R1−A1)×R2/10000で表される。したがって、第2の情報層17からの戻り光量S2は、次式で表すことができる。
S2=(100−R1−A1)×R2/10000 (2)
【0250】
ここで、Agからなる半透明反射膜3を例として、上式について検討してみる。測定波長を650nmとし、半透明反射膜3の膜厚を10nmとすると、反射率R1=26%となり、吸収率A1=13%となる。また、第2の情報層10の反射膜4の反射率R2=80%とすると、戻り光量S2=30%となる。これらのことから、戻り光量S1=26%、戻り光量S2=30%となる。これにより戻り光量S1及びS2ともに10%以上となるので、十分な信号を得ることが可能となる。
【0251】
次に、光学記録媒体の半透明反射膜3について行った、耐候性の検討結果を説明する。
半透明反射膜3の膜厚は、従来の反射膜の膜厚と比較すると、極めて薄い領域にある。したがって、半透明反射膜3は十分な耐候性を有することが必要である。
【0252】
本実施の形態においては、まず、Zn等を添加したAg合金のスパッタリングターゲットを前述した方法により作製した。
次に、このスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリング法により、銀合金の薄膜からなる半透明反射膜を形成し、光学記録媒体を得た。
【0253】
ここで、銀合金からなるスパッタリングターゲット材料として、Znなどを特に選択した理由は、前述したものと同様である。
【0254】
また、Agは、硫黄と結合しやすいので大気中に長時間放置されると、AgSとなり黒色化する。この結果、Ag薄膜の光学特性が劣化する。また、Agは、塩素とも激しく反応してAgClとなり白濁化する。この結果、Ag薄膜の光学特性が劣化する。しかし、Agは、酸素、水素、あるいは水に対しては比較的安定な物質である。一方、Zn、In、Sn及びNiは、脱酸素効果(酸化防止)、硫化、塩化防止等の作用があり、硫黄や塩素に対して化学的に安定な物質である。
【0255】
前記Ag合金のスパッタリングターゲットによれば、塩素、水素、酸素、硫黄という、大気中、あるいは特殊環境中で検討される非金属元素による汚染や光学記録媒体に採用される際に要求される環境や雰囲気下での高い耐候性の向上の実現が可能になる。
【0256】
前記第6の実施の形態によれば、前述したAgをベース材料とした銀合金からなる薄膜を半透明反射膜3に用いることにより、耐候性を改善でき、かつ基板との接合性を強化でき、より高い信頼性を得ることができる。
【0257】
次に、耐候性の試験法について説明する。ここでは塩素試験を行った。
塩素試験のサンプルは、ポリカーボネート基板上に後述のAg合金を成膜したものを使用した。
塩素試験は、常温で、5%濃度の塩水にこのサンプルを一定時間浸漬した後、目視により確認したものである。
【0258】
表6〜表17は、Ag−Zn‐X合金、Ag‐In‐X合金、Ag−Sn‐X合金、Ag−Ni‐X合金の薄膜について行った塩化試験結果を示したものである。ここで、Xは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Au、Al、Ga、Si及びGeからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を示す。比較例として純AgとAPCについても行った。
【0259】
【表6】
Figure 2004002929
【0260】
【表7】
Figure 2004002929
【0261】
【表8】
Figure 2004002929
【0262】
【表9】
Figure 2004002929
【0263】
【表10】
Figure 2004002929
【0264】
【表11】
Figure 2004002929
【0265】
【表12】
Figure 2004002929
【0266】
【表13】
Figure 2004002929
【0267】
【表14】
Figure 2004002929
【0268】
【表15】
Figure 2004002929
【0269】
【表16】
Figure 2004002929
【0270】
【表17】
Figure 2004002929
【0271】
次に、塩化試験から得られた知見について説明する。
純Agの薄膜では、塩化によるものと思われる膜の白濁が認められた。
【0272】
これに対し、Ag−Zn‐X合金、Ag−In‐X合金、Ag−Sn‐X合金、Ag−Ni‐X合金薄膜では、5%NaCl水溶液にはAPCと同様、変化が見られなかった。
このように、第二元素としてZn、Sn、In及びNi等を添加することにより、耐候性が改善され、より高い信頼性が得られた。
【0273】
次に、前述した第4〜第7の薄膜についての耐食性試験(5%NaCl浸水試験)及びその結果について説明する。
5%NaCl浸水試験のサンプルは、ポリカーボネート基板上に表中に示す組成(at%表示)のAg合金を成膜したものを使用した。
5%NaCl浸水試験は、常温で、5%濃度の塩水にこのサンプルを浸漬した後、3分経過後、3時間経過後、24時間経過後に目視により確認したものである。
【0274】
表18〜表21は、表中に記載している組成(at%表示)のAg合金の薄膜について行った5%NaCl浸水試験の結果を示したものである。
【0275】
【表18】
Figure 2004002929
【0276】
【表19】
Figure 2004002929
【0277】
【表20】
Figure 2004002929
【0278】
【表21】
Figure 2004002929
【0279】
表18に示すように、Ag−Zn−Cu合金で表面の変化が無かったのはZnが3.6at%、Cuが0.5at%含有する合金のみであった。この事からAg−Zn−Cu合金では耐食性の良好な組成の範囲が非常に狭いことが確認された。これに対して、表19に示すように、Ag−Zn−Cu−Pd合金では、Pdを添加しているため耐食性の良好なZn、Cuの組成範囲を広くできることが確認された。したがって、スパッタ条件等のプロセス条件によりAg合金の組成にばらつきが生じた場合、Ag−Zn−Cu合金では耐食性が悪化することが予想されるが、Pdを添加することによりAg合金の組成がばらついたとしても耐食性が悪化することを防止できる。よって、信頼性を向上させることができる。
【0280】
表20に示すように、Ag−Zn−Cu−Pd合金中のPdの含有量が0.1at%の場合、24時間経過後に若干の白色が観察されたが、Pdの含有量が0.2at%以上の場合は24時間経過後も変化が無かった。したがって、耐食性を得るためにはPdの含有量を0.2at%以上とすれば良いことが確認された。
【0281】
表21に示すように、Ag−Zn−Cu−Pd合金中のCuの含有量を0at%〜5.0at%まで変えたサンプルで耐食性試験を行った場合、いずれのサンプルも24時間経過後の変化が観察されなかった。したがって、この合金ではCuの組成が耐食性に影響しないことが確認された。
【0282】
尚、前記第6の実施の形態では、優れた耐食性、耐候性を有するAg合金材料であることを説明し、2つの情報層を有する構造のディスク状、いわゆる円盤状の光ディスクについて説明したが、本発明はこのような光ディスクや形状に限られるものではなく、種々の製品に適用することが可能であり、例えば、単層又は3層以上の情報層を有する光ディスク、光磁気ディスク、相変化型光ディスク、その他カード状またはシート状の記録媒体等、情報層に金属薄膜を有する各種の光学記録媒体、その他、耐食性、耐候性を必要とする各種の製品に適用することが可能である。
【0283】
また、例えば2枚の透明基板上にそれぞれ2層以上の情報層を形成し、これら透明基板をその情報層を有する面をつき合わせ接合して形成し、両透明基板側から光照射を行うようにした構成とすることもできるなど種々の構造とすることが可能である。
【0284】
次に、本発明に係る第7の実施の形態による電磁波遮蔽体について説明する。
本実施の形態では、Agの保有する熱に対しての自己拡散エネルギーを緩和させて、任意で少なくとも100℃前後に加熱した場合に生じ易い表面拡散による白濁化という現象を抑制することが重要である。
【0285】
即ち、Agは最も電磁波の遮蔽能力については優れている材料であると知られているが、例えば熱に対しての自己拡散エネルギーが活発であるという問題が生じ易い。そのため、一時的であっても100℃前後の熱が加えられる場合には、表面部に拡散現象が起こり、Ag自体が保有する光沢を失って白濁化してしまい、換言すれば、電磁波の遮蔽能力に優れたAg自体の特性が低減し易いからである。
そして、Agは大変熱伝導率が良く、原子単位で熱を吸収・飽和させ易い特徴がある。
【0286】
図4は、本発明に係る第7の実施の形態による電磁波遮蔽体を示す断面図である。
この電磁波遮蔽体は、少なくとも導電性を有するエラストマー材料若しくはプラストマー材料からなる基板19を備えている。この基板19上には密着性を助長する下地膜23が配置されている。この密着助長下地膜23上には電磁波遮蔽膜18が形成されている。
【0287】
電磁波遮蔽膜18は、前述した銀合金から形成されたものであり、スパッタリング法により成膜されることが好ましい。なお、電磁波遮蔽膜18は複数の膜から構成されていても良い。
【0288】
基板19がエラストマー材料の時、その材料としては、シリコーンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム又はEPDM(エチレン・プロピレンとジエンとのゴム状三元共重合体)等が挙げられる。
【0289】
また、基板19がプラストマー材料の時、その材料としては、例としてプラスチックフィルムやエンジニアリングプラスチック等が挙げられ、主な種類として、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、或いはポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。
【0290】
密着助長下地膜23の材料としては、酸素や各種の材質からなる基板19に対して材料的に安定であり、前記基板と少なくとも前記銀合金からなる電磁波遮蔽膜18との密着性を考慮すると、Si、Ta、Ti、Mo、Cr、Al、ITO、IrO、ZnO、SiO、TiO、Ta、ZrO等からなる群から選ばれた1又は複数の材料、若しくは、該1又は複数の材料を少なくとも主成分として含む材料を用いて形成したものであることが好ましい。
【0291】
また、前述した銀合金は、シリコーンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム又はEPDM等の各種のエラストマー材料に対して化学的安定性が高く、エラストマー材料からなる基板材質に対して制限されないことも確認されている。
【0292】
また、前述した銀合金は、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、或いはポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル等の各種のプラストマー材料に対して化学的安定性が高く、プラストマー材料からなる基板材質に対して制限されないことも確認されている。
【0293】
また、各種のエラストマー材料からなる基板19の密着助長下地膜23としては、Si、Ta、Ti、Mo、Cr、Al、ITO、ZnO、SiO、TiO、Ta、ZrOが望ましい。
その理由としては、シリコーンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム又はEPDMからなる基板19は特定の純度や材質の場合にはガスの発生が大変多いこと、金属はその発生ガスと反応が強いこと、銀合金の薄膜と密着させる接合、界面に反応不動態被膜(例えば酸化膜等)を生じる可能性が高いこと等から適切であるとは言い難いからである。
【0294】
また、各種のプラストマー材料からなる基板19の密着助長下地膜23としては、Si、Ta、Ti、Mo、Cr、Al、ITO、ZnO、SiO、TiO、Ta、ZrOが望ましい。
その理由としては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、或いはポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル等からなるプラストマー材料基板19は、特定の純度や材質の場合により、基板の表面が平坦であるために、銀合金の薄膜を密着させるとき、状況によっては密着性が悪くなる可能性がある。
【0295】
前記第7の実施の形態によれば、前述した銀合金からなる薄膜を電磁波遮蔽膜18として用いる。これにより、耐熱性を大幅に向上させることができ、しかも、Ag自体の保有する電磁波遮蔽効果に対しての高い遮蔽能力を低下させることなく保持できる。
【0296】
つまり、前記電磁波遮蔽膜18は、従来多用されていたAu、Al、Cu及び純Ag等の材料からなる電磁波遮蔽膜では得ることができなかった電磁波遮蔽効果に対しての高い遮蔽能力を得られることが確認されている。また、図4に示す密着助長下地膜23を備えた電磁波遮蔽体においても、基板19と電磁波遮蔽膜18との間に密着助長下地膜23を形成しない場合と同様に高い電磁波遮蔽効果を有することが確認されている。この場合、ITO及びZnO等の導電性酸化物を密着助長下地膜23として用いる方が、SiOを下地膜23として用いる場合に比べて電磁波遮蔽効果が高いことも確認されている。
【0297】
ここで、電磁波遮蔽膜18の膜厚としては特に限定されるものではないが、電磁波遮蔽能力等を考慮するとたとえば5〜5000nm位が好ましい。そして、携帯電話や液晶ディスプレイの表示部等のように電磁波遮蔽能力に加えて更に透明性(透過性或いは透視性)等を考慮する場合は5〜30nm位が好ましい。又、プリント基板やコンピューター内部に設置されている機器類等のように透明性を考慮しない場合には30〜5000nm位が好ましい。
【0298】
また、第7の実施の形態では、基板1と電磁波遮蔽膜18との間に、両者間の密着性を助長する特定の密着助長下地膜23を中間下地として形成している。このため、基板19に対する電磁波遮蔽膜18と各種の材質からなる基板との接合性をより一層効果的に強化できる。
【0299】
また、密着助長下地膜23の材料としては、より低抵抗であることが望ましい。低抵抗であって、更に非磁性導電膜であることが望ましい。具体的には、ZnOよりもITOの方が電磁波遮蔽効果が高いことが確認されている。このようになる理由としては、電磁波遮蔽を目的として、この銀合金の膜と基板との間に特定の中間下地膜を設けて、その多層膜自体に電界を加えた場合、この多層膜の内部に導電電流が流れ、この電気エネルギーが熱エネルギーに変換され、更に、この熱エネルギーへの変換を行う発熱機構が主とした原因となって、電磁波が吸収されて導電損失が起こるからである。また、この導電損失は導電電流が抵抗少なく流れた分に依存して効果は高いために、電磁波遮蔽膜の抵抗が低ければ低いほど優位差が顕著にでる。
【0300】
しかし、AgやAl、Cuについては材料の原子自体の移動、つまり、エレクトロマイグレーション現象による電気エネルギーから熱エネルギーへの変換である発熱機構が、時間の経過と共に減衰してしまうために、少なくとも特定の膜厚を設けることで減衰作用を低減してきたが、前述した銀合金においては膜自体の金属原子間移動が活発でないため、減衰作用が著しく低下するということが確認されている。
【0301】
また、ITO、ZnOに代表される導電性酸化物ではなく、例えば絶縁であることを特徴とするSiO、TiO、Ta、ZrO等の誘電体を銀合金材料と基板との間に密着助長下地膜として介在させた場合、銀合金材料の保有する高い導電損失の効果に加え、誘電損失と呼ばれる高周波での電磁波エネルギーの吸収効果も行われて両者の相乗効果による電磁波の高遮蔽効果が得られるため、少なくとも密着助長下地膜として介在する金属酸化物としては導電性を有する材料に限定する必要はない。
【0302】
つまり、前述した銀合金材料により形成された電磁波遮蔽膜18においては、Si、Ta、Ti、Mo、Cr、Al等の金属膜、若しくはITO、ZnO、SiO、TiO、Ta、ZrO等の金属酸化物及び金属複合酸化物を用いた密着助長下地膜23を介在させた場合であっても、高い電磁波遮蔽効果があることが確認されている。
【0303】
また、密着助長下地膜23として例えばSi、Ta、Ti、Mo、Cr、Al等の金属膜を用いた場合、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法のいずれでも成膜が可能である。従って、汎用的な有用性は高いといえる。
【0304】
また、ITO、ZnO、SiO、TiO、Ta、ZrO等の金属酸化物薄膜においても、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法のいずれでも容易に成膜が可能である。例えばブラウン管モニターや液晶表示素子等の表面側に形成するAR(反射防止)コートについては、透明性が高い密着助長下地膜23を各種のエラストマー材料からなる基板19上に形成し、この密着助長下地膜上に厚さ5〜30nmの電磁波遮蔽膜を形成し、その上にARコートを形成することで、表示デバイス自体からの電磁波に対しての顕著な遮蔽効果を奏するものである。
【0305】
また、第7の実施の形態では、Ag自体の材料的な安定性を格段に改善でき、しかも、積層構造として用いる場合、基板の材質を問わずに積層可能で、且つ、基板との接合性(密着性)をより一層効果的に強化でき、より高い信頼性を得ることができる。
【0306】
また、電磁波遮蔽膜18の単膜の場合と図4に示す電磁波遮蔽体の場合の両方について、優れた耐熱性及び耐候性を有することが確認されている。また、例えば近年のEMC対策材料用の電磁波遮蔽体として応用展開が広い等の有用性が高いことが確認されている。
【0307】
また、前述した銀合金材料からなる電磁波遮蔽膜18を各種のエラストマー材料からなる基板19の表面に形成した電磁波遮蔽体は、従来のエラストマー材料に金属粉やカーボンブラックを配合したものと比べて、100MHzの低周波域から1GHz域における電界強度減衰率(dB)、電波吸収能力(dB)が優れ、しかも、可撓性(cm)においても優れていることが確認されている。
【0308】
また、前述した銀合金材料からなる電磁波遮蔽膜18を各種のプラストマー材料からなる基板19の表面に形成した電磁波遮蔽体は、従来のプラストマー材料に金属膜を積層したものと比べて、100MHzの低周波域から1GHz域における電界強度減衰率(dB)、電波吸収能力(dB)が優れていることが確認されている。
【0309】
ノートブック型パソコンや携帯電話機等に代表される携帯型情報端末機器等に、前述した各種のエラストマー材料からなる基板19の表面に前述した銀合金材料からなる電磁波遮蔽膜18を形成した電磁波遮蔽体を適用した場合、その電磁波遮蔽体を例えば外形に沿わせて折り曲げ付設することができる必要がある。これについて、電磁波遮蔽体は、それを90°に折り曲げても、その表面に亀裂等が全く発生しないので、複雑な形状への折り曲げ追随性(形状自在性)においても優れていることが確認されている。
【0310】
ノートブック型パソコンや携帯電話機等に代表される携帯型情報端末機器等に、前述した各種のプラストマー材料からなる基板19の表面に前述した銀合金材料からなる電磁波遮蔽膜18を形成した電磁波遮蔽体を適用した場合、電磁波遮蔽性、赤外線遮蔽性、透明性、非視認性、耐腐食性、耐候性や耐摩耗性等を備えた電磁波遮蔽体を形成し、その表面に亀裂等が全く発生しないので、高温高湿の環境下においても高い電磁波遮蔽能力を継続的に保持でき、耐候性の材料的な安定性があることが確認されている。
【0311】
また、銀合金材料からなる電磁波遮蔽膜18をエラストマー材料若しくはプラストマー材料からなる基板19の表面に成膜する場合、例えばスパッタリング法では従来に比して膜を形成する速度基準であるスパッタリングレートが高く、更に、前記銀合金材料は、その融点が960℃前後であるが、金属元素の中でも高い部類には属さないので、蒸着温度条件の汎用性等について従来に比して劣ることがない。従って、成膜方法としては、基板の材質によって任意に選択することが可能であるので、従来に比して顕著に成膜方法での生産についての優位性があることが分かっている。なお、成膜方法としては、RF又はDC電源を用いたスパッタリング法、真空蒸着法が望ましい。
【0312】
また、蒸着法はスパッタリング法よりも膜の緻密性が劣るため、一般に、蒸着法で薄膜を成膜する場合では、スパッタリング法で薄膜を成膜する場合と比較して厚い膜厚を要するとされる。しかし、前述した銀合金材料からなる電磁波遮蔽膜18においては電磁波遮蔽効果が低下することがないので、蒸着法でもスパッタリング法でも同じ膜厚で同様の電磁波遮蔽効果を得ることができる。
【0313】
図5は、本発明に係る第8の実施の形態による電磁波遮蔽体を示す断面図であり、図4と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0314】
携帯型情報端末機器等に電磁波遮蔽体を適用した場合、その携帯型情報端末機器に直接、人体の一部や何らかの物体が接触することが考えられる。この場合に、電磁波遮蔽体を形成する銀合金材料膜が露出する場合においては、少なくとも人体や物体の接触によって表面部が削られたり、或いは殺傷痕が残ることで導電損失効果が減少したり、特定の電磁波遮蔽効果に対する遮蔽能力が低下する可能性が考えられる。このため、表面接触による表面部の削れや殺傷痕の発生を抑制する目的で、電磁波遮蔽膜18の上に耐食性及び耐候性に優れ耐摩耗性に優れた保護膜24を形成している。それにより、露出する電磁波遮蔽膜18に何らかの接触によって発生する接触傷を防止することができる。
【0315】
また、保護膜24を形成した場合でも電磁波遮蔽能力の低下の抑制、基板19と電磁波遮蔽膜18との間に密着助長下地膜23を形成し、その上に保護膜24を形成した積層構造の電磁波遮蔽体においても、電磁波遮蔽能力が低下することがないことが確認されている。
【0316】
前記第8の実施の形態においても第7の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0317】
Agは大変熱伝導率が良く、原子単位で熱を吸収・飽和させ易い特徴があることから、熱伝導率を鈍化させて且つ原子間での活発な移動を抑制するために、Agに対してある一定の量が溶解するZnを1.7at%〜8at%の組成範囲で任意に振って添加して実験した。
【0318】
まず、スパッタリング装置にAgとZnのスパッタリングターゲットをそれぞれ装着して、特定のRFパワーでAg、Znの放電量を制御してArガスを0.1〜3.0Paの間で任意に設定して、2つの材料を同時にスパッタする。つまり、同時スパッタリング法で数種類Znの添加量を振って銀合金材料膜を形成した。
【0319】
この時の試験試料片としては、石英基板を用いてスパッタプロセス中の基板温度は常温(25℃前後)で、スパッタガスとしてはArガスのみを用いて、到達真空度としては5×10−4Pa真空雰囲気中で、膜厚を20nmで形成した。
【0320】
前記方法にて形成したAgを主成分として、それに数種類の材料組成でZnを添加した銀合金材料薄膜を、大気中でオーブンに入れ約1時間放置して抵抗値を測定した。この時のオーブンの加熱方法としては、抵抗加熱式を採用し、加熱温度を250℃、加熱速度を20℃/minに設定した。また、抵抗値の測定にあっては、4探針法により室温で測定した。その試験結果を表22に示す。
【0321】
【表22】
Figure 2004002929
【0322】
抵抗については、アニール前でZn含有量が1.7at%のものがAPCと同程度である。但し、アニール後に抵抗が上昇する傾向にある。再結晶化温度が高温側にシフトしていると思われる。
【0323】
また、前記方法にて形成したAgを主成分として、それに数種類の材料組成でZnとCuを添加した銀合金材料薄膜を、大気中でオーブンに入れ約1時間放置して反射率を測定した。その試験結果を表23に示す。
この時のオーブンの加熱方法としては、抵抗加熱式を採用し、加熱温度を250℃、加熱速度を20℃/minに設定した。また、目視にて、白濁が無きもの(光沢が保たれているもの)に関して反射率を測定した。その試験結果を表23に示す。
【0324】
【表23】
Figure 2004002929
【0325】
反射率については、Cuの添加によりアニール後に反射率が下がる効果が確認された。但し、ばらつきがある。
【0326】
次に、石英基板上にAgにPd、Cu、Znを含有した銀合金の薄膜をスパッタリングにより膜厚20nm形成し、4探針法により室温で抵抗値を測定した。次いで、この薄膜を大気中でオーブンに入れ約1時間放置して4探針法により室温で抵抗値を測定した。この時のオーブンの加熱方法としては、抵抗加熱式を採用し、加熱温度を250℃、加熱速度を20℃/minに設定した。その試験結果を表24に示す。
【0327】
【表24】
Figure 2004002929
【0328】
以上説明したように第7及び第8の実施の形態によれば、下記の作用効果を奏する。
前記実施の形態による銀合金材料を用いて電磁波遮蔽膜を基板上に成膜した電磁波遮蔽体は、従来の金属粉やカーボンブラックを配合してなるエラストマー材料と同等の柔軟性、形状自在性(複雑な形状への折り曲げ追随性)を備えた上で、当該エラストマー材料に比べて大変安定な電磁波遮蔽効果を保持し得る。従って、長期にわたり電磁波遮蔽効果を保持するために有用な導電損失による電磁波遮蔽能力の劣化を回避する高品質な電磁波遮蔽体を得ることができる。
【0329】
また、前記実施の形態による銀合金材料を用いて電磁波遮蔽膜を基板上に成膜した電磁波遮蔽体は、従来のプラストマー材料に金属膜を積層したときと比較して、電磁波遮蔽性、赤外線遮蔽性、透明性、非視認性、耐腐食性、耐候性や耐摩耗性等を備えた上で、当該プラストマー材料に比べて大変安定な電磁波遮蔽効果を保持し得る。従って、長期にわたり電磁波遮蔽効果を保持するために有用な導電損失による電磁波遮蔽能力の劣化を回避する高品質な電磁波遮蔽体を得ることができる。
【0330】
また、前記実施の形態による銀合金材料を用いて電磁波遮蔽膜を基板上に形成する場合では、スパッタリング法、蒸着法、CVD法のいずれの成膜方法を用いても、従来に比して安定した生産性、電磁波遮蔽効果を長期にわたり保持することができる。
【0331】
また、前記実施の形態による銀合金材料からなる電磁波遮蔽膜を用いて電磁波遮蔽体を製作する場合に、密着助長下地膜を基板と電磁波遮蔽膜との間に配置することにより、電磁波遮蔽効果を保持しつつ、電磁波遮蔽膜の基板に対する密着性を改善でき、両者の結合の強化を図ることができる。
【0332】
また、前記実施の形態による電磁波遮蔽体では、電磁波遮蔽膜の表面に耐食性及び耐候性に優れた材料や耐摩耗性に優れた材料からなる保護膜を形成することにより、人体や物体の接触によって表面部が削られたり、殺傷痕が残ることで導電損失効果が減少したり、表面部の削れや殺傷痕に起因する特定の電磁波遮蔽効果に対する遮蔽能力が低下することを抑制することができる。
【0333】
したがって、前記実施の形態によれば、銀合金材料からなる電磁波遮蔽膜を、エラストマー材料からなる基板の表面に形成することにより、可撓性に優れた遮蔽体とすることができる。この電磁波遮蔽体は、柔軟性、形状自在性(複雑な形状への折り曲げ追随性)を備えた上で、Ag自体の保有する電磁波遮蔽効果に対しての高い遮蔽能力を保持でき、また、高温高湿の環境下においても高い電磁波遮蔽能力を継続的に保持でき、耐候性の材料的な安定性を格段に改善できる。しかも、エラストマー材料基板との接合性においても密着助長下地膜を介在させることにより基板との接合性(密着性)をより一層効果的に強化でき、より高い信頼性を得ることができ、EMC対策材料として応用展開が広く期待できる。
【0334】
また、前記実施の形態によれば、銀合金材料からなる電磁波遮蔽膜を、プラストマー材料からなる基板の表面に形成することにより、Ag自体の保有する電磁波遮蔽効果に対しての高い遮蔽能力を保持でき、また、高温高湿の環境下においても高い電磁波遮蔽能力を継続的に保持でき、耐候性の材料的な安定性を格段に改善できる。しかも、プラストマー材料基板との接合性においても密着助長下地膜を介在させることにより基板との接合性(密着性)をより一層効果的に強化でき、より高い信頼性を得ることができ、EMC対策材料として応用展開が広く期待できる。
【0335】
次に、本発明に係る第9の実施の形態について説明する。
この実施の形態においては、各種電子部品の金属材料に、前述した銀合金を適用する。なおここで各種の電子部品は、透過型液晶表示パネル、反射型液晶表示パネル、有機EL(ElectroLuminescence)パネル、プラズマディスプレイ、微小ミラーによる電子光学部品等のディスプレイ用デバイス、各種半導体デバイス、プリント配線基板、チップコンデンサ、リレー等であり、これらの配線パターンの配線材料、電極材料、高反射膜材料、接点材料等、さらにはこれらの配線等の作成に使用するスパッタリングのターゲット材にこれらの合金が適用される。
【0336】
前述したようにAgにZnを添加してAgの結晶内にZn、Sn、In及びNiを均質に置換、或いはその他の状態であっても均質に溶融させることにより、Ag全体の耐候性を向上することができる。さらにTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Au、Al、Ga、Si及びGeからなる群から選ばれた1つ又は複数の元素を添加すれば、電気的に抵抗率が低下し、又は抵抗率の増加を抑制することが可能となる。
【0337】
このようにして耐候性が改善されてなる銀合金にあっては、金属元素の中で最も優れた導電性、熱伝導性、高反射率を有する純Agの特性が維持され、これにより耐候性や耐熱性に優れ、電気的に低抵抗率で、高熱伝導性、かつ高反射率の金属材料を得ることができる。
【0338】
特に配線材料に適用する場合には、前述した範囲で添加する元素の選定により、3.5μΩcm以下の値を確保することができる。なお、配線材料としては、従来一般に用いられているAlSi合金の抵抗率以下であれば実用に供することができると考えられ、実験した結果によれば、1.6μΩcm以上の抵抗率であって、このAlSi合金の抵抗率である3.5μΩcm以下の抵抗率を必要に応じて確保することができる。
【0339】
また、このような銀合金は、いずれも溶融法にて混ざりあう合金材で形成する。従って、微視的にみても均一な特性を安定に提供することができる。また、これらの合金は、Agの展延性を維持しており、膜の応力による劣化等が小さいことにより、例えば1μmを超える厚い膜、あるいは圧延などによる板状のものであっても応力の発生が低減される。従って、従来材料であるAl、Mo、Cr、Ti、Ta、Cuと比較して、加工性に優れ、高温で安定で、かつ信頼性を向上することが可能となる。
【0340】
また、Agの加工方法としては、ドライエッチングにおいては、塩素系の複合ガスを用いる方法が知られており、ウエットエッチングにおいては、硝酸系のエッチング液を用いる方法が知られている。この実験の形態に係るAg合金においても、これらの方法にてエッチング加工することができ、従来のAg合金で蓄積された各種加工方法を適用することができる。
【0341】
なお、塩素を含むガスとしては、例えば、Cl、CCl、BCl、SiCl等であり、これらの雰囲気中でRIE、プラズマエッチングなどによりこの実施の形態に係るAg合金膜の加工が可能である。因みに、このような塩素を含むエッチングガスによるドライエッチングプロセスをAgによる配線パターンに適用すると、エッチングの進行によりガス中の塩素とAgとが反応して配線パターンの境界面にAgClが生成され、このAgClにより導電性、熱伝導性が損なわれるが、この実施の形態に係る銀合金膜にあっては、このような反応も何ら発生しないことを確認できた。
【0342】
これにより、この種の金属材料を使用した電子部品の作成工程においては、塩素系のガスの雰囲気によるエッチングにより、好適なパターンニングの手法を得ることができる。
【0343】
また、このような3元合金にあっては、フッ素を含み塩素を含まないガス雰囲気中でのドライエッチングが困難であり、これらのガスによっては損傷しない長所が見られる。例えば、CF、C、C、SF等のガス雰囲気中でのRIE、プラズマエッチングなどにより、このような3元合金に何ら影響を与えることなく、例えば、Si、多結晶Si、アモルファスSi、SiO、Si、Mo、W、Ta、Ti、Pt等の他の材料をエッチングすることができる。
【0344】
これらによりフッ素を含み塩素を含まないガス雰囲気中での処理により、このような3元合金以外の部位を選択的にエッチングして処理することができ、これによってもこの種の金属材料に適用して好適なパターンニングの手法を得ることができる。
【0345】
これに対して、現在、液晶ディスプレイ製造設備におけるウエットエッチングにおいては、燐酸を含有するエッチング液で純Al等をエッチングするようになされている。このような燐酸系のエッチング液としては、例えばHPO+HNO+CHCOOHがあり、従来の純Ag、Agを主成分とする2〜3元素にて構成される合金にあっては、このようなエッチング液によってはエッチングが困難であった。
【0346】
ところが、前述した銀合金にあっては、このような燐酸系の錯体を用いてエッチングできることが判った。これにより、Alによる従来のエッチング設備を有効に利用してエッチング加工することができる。因みに、従来と同様に、燐酸、硝酸、酢酸の他、水、硝酸セルウム、硝酸銀等を添加することにより、エッチングレートを制御することも可能である。
【0347】
なお、エッチング後の洗浄等の後工程においても、純Al、Al合金等と同じ工程を使用でき、またAl系をエッチング加工する場合に比して環境を汚染する可能性も低減することができる。
【0348】
これらによっても従来材料であるAl、Mo、Cr、Ti、Ta、Cuに比して、加工性に優れた金属材料とすることができる。
【0349】
さらに、この銀合金では、スパッタリング法、蒸着法、CVD法、メッキ法などの従来の成膜プロセスにより簡易かつ確実に成膜することができる。このスパッタリングにおいて、この銀合金は、Al系材料に比して約3倍の速度によりスパッタリングすることができ、スパッタリング法による薄膜形成速度が速い特徴がある。これにより成膜時間を短縮することができ、その分生産に要する時間を短縮することができる。また、主体材料であるAgにあっては、貴金属であり他の金属に比べて回収、リサイクルが容易である。
【0350】
なお、スパッタリング法、蒸着法等により成膜した場合には、加熱により合金化することが必要となり、この処理においては300℃以上、750℃以下の温度範囲により加熱処理して、電気的に低抵抗率であって、安定かつ加工性に優れた金属膜を作成することができる。
【0351】
さらに、加工プロセスとして重要な下地材料に対する密着性についても、下地にW、Ta、Mo、InO、SnO、TiN、SiO、Si、TiO、Nbの何れか1種類もしくは複数で混合されて形成される材料の何れかを適用することにより、良好な密着性が確保され、これにより各種半導体デバイス等において、従来のAl系の配線パターンと簡易に置き換えることができ、また良好な特性を確保することができる。
【0352】
Al系の場合には、例えば薄膜によりプラストマー材料、ガラス上に直接成膜すると、Alが酸素と反応すること等から、抵抗値がかなり大きくなり、バルク材料における抵抗値の2〜3倍の値となる。これに対してこの銀合金の場合、酸素の影響が少なく、プラストマー材料、ガラス上に直接薄膜を形成したことによる電気的な抵抗率の増加が低減される。これにより、プラストマー材料、ガラス上に直接成膜して配線パターン等を作成して、良好な特性による配線パターン等を作成することができ、簡易な製造プロセスにより電気的に低抵抗率の配線パターン等を作成することができる。
【0353】
これらにより、透過型液晶表示パネルにあっては、配線パターンに適用して、大画面化、高精彩化により配線長が増大し、また配線が微細化した場合も、簡易かつ確実に駆動することができ、また信頼性を向上し、さらには消費電力を軽減することができる。
【0354】
また、反射型液晶表示パネルにあっては、配線パターンに適用して、透過型液晶表示パネルの場合と同様の効果を得ることができ、また高反射膜に適用して安定に高い反射率を確保することができ、明るい表示画面を形成することができる。
【0355】
同様に、微小ミラーによる電子光学部品等の光変調デバイスの反射膜、電極又は配線パターンに適用して、反射効率が高く、電気的に低抵抗であるため、輝度が高く、かつ、高速動作が可能なデバイスを形成することができる。
【0356】
また、これら液晶表示パネル、各種半導体デバイスにおいて、Taを用いた陽極酸化法に適用して、例えばこの銀合金とTaによる2層構造として、充分に小さな抵抗値とすることができる。
【0357】
さらに、各種半導体デバイスにおいても、配線パターンに適用して、配線長の増大、配線の微細化による電気的な抵抗値の増大を防止でき、その分消費電力を軽減することができる。また、配線による電圧降下を防止でき、さらには信号の遅延を防止でき、これらにより各種特性を向上すると共に、信頼性を向上することができる。
【0358】
また、プリント配線基板の配線パターン、チップ部品の電極、リレーの接点等に適用して、好適な特性を確保して高い信頼性を確保することができる。
【0359】
また、前述したように前記銀合金からなる薄膜の抵抗値は低いものである。なお、スパッタリング法以外の成膜方法により成膜した場合の電気的な抵抗率を検討するために、蒸着法、メッキ法、CVD法によりそれぞれ銀合金の薄膜を作製し、前述した測定法により電気的な抵抗率を測定した。この測定結果によれば、蒸着法、メッキ法、CVD法のいずれの方法においても、成膜法を問わずほぼ同等の膜を作成できることが判った。
【0360】
また、成膜直後のアニール処理を施さない状態での電気的な抵抗率についても前述したように低いものである。
【0361】
また、前述したように本発明の銀合金は従来材料に比べて耐NaClに対して良好な結果が得られた。
また、前述したように本発明の銀合金は従来材料に比べて熱処理に対する安定性、長期信頼性が確認されている。
【0362】
また同材料は、高温多湿下においても安定であることが確認され、これにより配線材料等に適用して充分な信頼性を確保できることが判った。
【0363】
次に、本発明に係る第10の実施の形態について説明する。
第10の実施の形態による建材ガラスは、耐熱性のあるAg合金材料を用いたものの一例である。
【0364】
第10の実施の形態では、まずAgの保有する熱に対しての自己拡散エネルギーを緩和させて、任意で少なくとも100℃以上に加熱した場合に生じ易かった表面拡散による白濁化という現象を抑制するものである。
【0365】
第10の実施の形態による積層体は、基板を有し、この基板上にスパッタリング法により高耐熱性反射膜を成膜したものである。この高耐熱性反射膜は、Agを主成分とし、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Au、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge及びSnからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有するAg合金材料からなるものである。
【0366】
なお、前記少なくとも1種類の各元素の含有量は0.1at%以上8.0at%以下であることが好ましい。より好ましくは、前記少なくとも1種類の各元素の含有量が0.3at%以上6.0at%以下であり、さらに好ましくは、前記少なくとも1種類の各元素の含有量が0.5at%以上5.0at%以下である。
【0367】
また、前記高耐熱性反射膜は、Agを主成分とし、Zn、Ni、Sn及びInからなる群から選ばれた1種類の元素を含有し、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Au、Al、Ga、Si及びGeからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有するAg合金材料からなるものであっても良い。
【0368】
なお、前記1種類の元素の含有量は0.1at%以上8.0at%以下であり、前記少なくとも1種類の各元素の含有量は0.1at%以上8.0at%以下であることが好ましい。より好ましくは、前記1種類の元素の含有量が0.3at%以上6.0at%以下であり、前記少なくとも1種類の各元素の含有量が0.3at%以上6.0at%以下である。さらに好ましくは、前記1種類の元素の含有量が0.5at%以上5.0at%以下であり、前記少なくとも1種類の各元素の含有量が0.5at%以上5.0at%以下である。
【0369】
また、前記高耐熱性反射膜は、Ag主成分とし、Znを0.1at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.1at%以上8.0at%以下含有し、更にPdを0.1at%以上8.0at%以下含有する銀合金からなる膜であっても良い。また、より好ましくは、Znの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Cuの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Pdの含有量が0.1at%以上5.0at%以下である。
【0370】
また、前記高耐熱性反射膜は、Ag主成分とし、Inを0.1at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.1at%以上8.0at%以下含有し、更にPdを0.1at%以上8.0at%以下含有する銀合金からなる膜であっても良い。また、より好ましくは、Inの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Cuの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Pdの含有量が0.1at%以上5.0at%以下である。
【0371】
また、前記高耐熱性反射膜は、Agを主成分とし、Znを3.0at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.3at%以上1.7at%以下含有し、更にPdを0.2at%以上3.0at%以下含有する合金からなる膜であっても良い。また、特に好ましい耐熱性を有する銀合金中のCuの含有量は0.3at%以上0.5at%以下である。
【0372】
また、前記高耐熱性反射膜は、Agを主成分とし、Znを3.0at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.3at%以上1.7at%以下含有し、更にPdを0.2at%以上含有する合金からなる膜であっても良い。また、特に好ましい耐熱性を有する銀合金中のCuの含有量は0.3at%以上0.5at%以下である。
【0373】
高耐熱性反射膜を成膜する際に用いるスパッタリング装置には、Agと前記少なくとも1種類の各元素のスパッタリングターゲットをそれぞれ装着し、特定の高周波電力でAg等の放電量(電力量)を制御し、Arガスを0.1〜3.0Paの間で任意に設定した上で2つ以上の材料を同時にスパッタする。この時、前記基板としては例えば石英基板を用いる。スパッタ・プロセス中の基板温度は常温(25℃前後)で、スパッタガスとしてはArガスのみを用い、成膜室内をAr雰囲気にする前に十分に真空引きを行い、到達真空度としては3×10−6Pa程度の高真空とする。高真空まで真空引きを行う理由としては、不純物ガス等が合金膜の粒界に依存してしまうのを抑制して、緻密な膜を形成するためである。
【0374】
前記第10の実施の形態によれば、Ag自体の保有する高い光学反射率に対しての高い能力を保持でき、更にはAgの材料的な安定性を格段に改善でき、しかも、積層されて用いられた場合には下地層やガラス基板又は樹脂基板との接合性をより一層効果的に強化でき、より高い信頼性を得ることができる。
【0375】
また、上述したAg合金材料からなる高耐熱性反射膜では、耐熱性の改善、白濁化現象や高い反射率の低下が起こらないことが確認されている。
【0376】
また、窓ガラスを始めとする建材ガラスでは、太陽光から発せられる可視光、赤外線、紫外線の内で、明かりに直接関係の高い可視光を透過して、且つ熱の元になって夏季に室内に外部から進入する赤外線を反射する目的で、AgやAl、若しくはそれらの内、いずれかを主成分としたAg合金又はAl合金からスパッタリング法にて膜を形成して、赤外反射効果を実現してきた。しかし、いずれも大気中に直接暴露された場合には熱に対して経時変化が大きいために、そのまま大気中に放置することが困難とされており、一般的にはZnOやZnO−Al複合酸化物等の耐熱保護層を形成することで反射膜の材料的な安定性を確保してきた。
【0377】
従来、温暖地に使用される日射遮蔽型の熱線遮蔽ガラスとしては、透明基板/誘電体/Ag/誘電体の順に積層された膜構成となっており、必ずしも耐食性及び及び耐熱性に優れているとはいえない。
【0378】
そこで、本実施の形態による建材ガラスと従来のそれを比較するための実験を行ったので、この実験及び実験結果について説明する。
【0379】
まず、下記の膜構成からなる試料▲1▼〜▲4▼を作成した。
試料▲1▼は、TiO/Ag/Ti/TiOの順に積層された膜構成を有するものである。
試料▲2▼は、TiO/Ag−3.7at%Zn−0.5at%Cu/Ti/TiOの順に積層された膜構成を有するものである。
試料▲3▼は、Ti/ZnO/Ag/ZnOの順に積層された膜構成を有するものである。
試料▲4▼は、Ti/ZnO/Ag−3.7at%Zn−0.5at%Cu/ZnOの順に積層された膜構成を有するものである。
【0380】
その後、試料▲1▼〜▲4▼について高温多湿試験、250℃アニール試験を行った。
高温多湿試験は、湿度80%、温度70℃以上の環境下に試料▲1▼〜▲4▼を5時間保存処理する試験である。
250℃アニール試験は、250℃の温度に5時間の大気アニール処理を行う試験である。
【0381】
【表25】
Figure 2004002929
【0382】
表25及び図6〜図9は試験結果が示されている。
図6(a)は、試料▲1▼に高温多湿試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真であり、図6(b)は、試料▲2▼に高温多湿試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真である。
図7(a)は、試料▲3▼に高温多湿試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真であり、図7(b)は、試料▲4▼に高温多湿試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真である。
図6及び図7によれば、Ag−Zn−Cu合金を用いた試料▲2▼、▲4▼ではAgを用いた試料▲1▼、▲3▼に比べて耐食性に優れているという結果が得られた。
【0383】
図8(a)は、試料▲1▼に250℃アニール試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真であり、図8(b)は、試料▲2▼に250℃アニール試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真である。
図9(a)は、試料▲3▼に250℃アニール試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真であり、図9(b)は、試料▲4▼に250℃アニール試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真である。
図8及び図9によれば、Ag−Zn−Cu合金を用いた試料▲2▼、▲4▼ではAgを用いた試料▲1▼、▲3▼に比べて耐熱性に優れていることという結果が得られた。
【0384】
図10は、Ag−0.5at%Pd−1.0at%CuにZnを1.8〜7.3at%まで添加し、250℃で1時間のアニール試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真である。
図11は、Ag−0.5at%Pd−1.0at%CuにInを0.9〜1.9at%まで添加し、250℃で1時間のアニール試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真である。
図10によれば、Ag−Pd−CuにZnを添加することにより耐熱性が向上することを確認した。また、前述した表4、表5により耐熱性が向上するものは反射率の低下が少なかった。また、また、前述した表24により耐熱性が向上するものは抵抗値が減少することを確認した。
【0385】
図12は、Ag−0.5at%Pd−1.0at%CuにZn又はInを0.9〜7.3at%まで添加し、5重量パーセント(以下、wt%)のNaCl水に浸水させた後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真である。
図12によれば、Ag−Pd−CuにZn又はInを添加することによりさらに耐食性が向上することを確認した。
【0386】
図6〜図11に示す顕微鏡写真において、斑点(ヒロック)の発生は加熱による熱膨張や応力によって起こりうる現象である。Zn元素の添加によって銀合金の粒界での空孔を減少させることにより、粒界拡散を抑制することができ、それにより、斑点(ヒロック)の発生を抑えることができると考察される。
【0387】
これまで耐食性及び耐熱性に富んでいるAg合金としては、従来、Agに1〜3wt%のPdを添加してなるAg−Pd合金、若しくはAgに1〜10wt%のAuを添加してなるAg−Au合金が知られている。しかし、このAg−Pd合金とAg−Au合金のいずれの合金を用いた合金膜でも、高温高湿(多湿)環境下で耐候性試験を行った際には黒色の斑点が観察された。
【0388】
この黒色斑点物を光学顕微鏡で観察したところ、この黒色斑点物がPdのH2融解作用の固溶限界になり、黒色化して励起反応を起こして隆起物となっていることが確認できた。そのため、少なくとも建材ガラスとして用いる場合では、例えば雨季や冬季に室内外の温度差によって生じる水滴、或いは湿度の高い地域での長期信頼性に対しては安定性が欠けることが分かった。
【0389】
また、AgとAuは完全固溶する安定な合金であることはよく知られているが、このAg−Au合金は塩素をはじめとする耐ハロゲン系元素性に決して富んではいないために、耐候性試験中に空気が混入しており、空気内に含有する塩素やヨウ素と原子的に結合したことでこの様な黒色斑点が得られたことが分かった。
【0390】
また、Ag−Auの2元合金は耐熱性が高くないために、外気の温度が高かったり、太陽光から集中する熱線に対して安定性に問題があることが確認されている。
【0391】
そこで、本実施の形態では耐熱性が高いことが確認されている前述した高耐熱性反射膜が高温高湿(多湿)の環境下での耐候性について、安定性が少なくともAg−Au合金と比較してどのような結果が得られるかを実験して見た。
【0392】
すると、前述したAg合金材料によって形成された反射膜単層の場合でも、Ag合金の下地にITO、ZnO、SiOを形成して積層体になった場合でも、Ag合金単層と比較して耐候性が高いことが確認できた。
【0393】
この結果として、前述した高耐熱性反射膜では、それを上層として基板との間に任意で酸化物を形成した場合でも下地に依存することなく、耐熱性が高く更には反射率や耐候性を保持できることが確認された。例えば窓ガラスをはじめとする建材ガラス用の赤外線反射膜、熱線反射膜としては従来のAg合金に比べて有用性が高いことが確認された。
【0394】
対照的に、従来から反射膜として広く用いられてきた従来のAlやAlを主成分とするAl合金、更にはAgやAg−Pd合金については、いずれも樹脂基板に対して化学的に不安定であるために、樹脂基板上で高温高湿環境下に放置すると、反射膜と樹脂基板との接着界面で化学反応を起こしてしまう。
【0395】
そこで、前述したAg合金材料の化学安定性を確認するために、PMMA、PET、PC、シリコーンなどの樹脂で構成される基板上に、三元同時スパッタリング法にて15nmの厚みの膜厚を形成して、高温多湿の環境下で24時間放置してその外観や反射特性の経時変化を観察した。
【0396】
様々な樹脂基板上に形成したAg合金材料からなる膜の反射率を、分光光度計を用いて観察してみたが、建材ガラス等で必要とされる400nm〜4μmの光学波長領域中で反射率が低下しないことが確認された。
このように、本発明によって得られたAg合金材料は、樹脂に対して化学的安定性が高く、従来と比して基板材質を制限しないことが分かった。
【0397】
従来、建材ガラス用の赤外線反射膜、及び熱線反射膜においては、Ag若しくはAl、更にはAgを主成分とするAg合金材料や、Alを主成分とするAl合金材料は、その材料を用いて薄膜を形成する際に、基板の材質によっては密着性が大変悪いため、薄膜を形成した直後、或いは薄膜を形成して長期間放置した時に、剥離等の問題が発生することが確認されている。
そのため、密着性を向上させるために様々な密着助長膜を反射膜と基板との中間に挟むことで、従来は密着性が弱いという問題に対する解決がなされてきた。
【0398】
そこで、本発明のAg合金材料の膜でも同様の問題が生じるかどうかを、PMMAなどの基板上にAg合金反射膜を形成した後に、反射膜にJIS規格のセロハンテープを貼り付け、特定の引っ張り力でセロハンテープを剥離して膜の剥離の有無を観察するというテープ試験を行うことで、基板とAg合金反射膜との中間に密着助長層の必要性の有無を確認して見た。
【0399】
すると、低アルカリガラス、無アルカリガラス、硼珪酸ガラスの基板と上述したAg合金反射膜とは、程度の差異こそ発見されるものの、密着性が決して良いとは言えず、部分的あるいは広域にわたって剥離現象が確認されて、ガラス基板との密着性が決して良好ではないことが確認された。
【0400】
そこで、低アルカリガラス、無アルカリガラス、硼珪酸ガラスなどのガラス基板との密着性を助長するために、ガラス基板と上述したAg合金反射膜との間に中間層(密着助長下地膜)を配置することが望ましい。ガラス基板の密着助長下地層としては、ITO、IrO、ZnO、SiO、TiO、Ta、ZrO、Si、Ta、Ti、Mo、Cr、Alからなる群から選ばれた1又は複数の材料、若しくは、該1又は複数の材料を少なくとも主成分として含む材料を用いて形成したものが好ましい。また、樹脂基板との密着助長下地膜としては、ITO、ZnO、SiO、TiO、Ta、ZrO、Nb、窒化珪素、窒化タンタル、窒化チタンから選ばれた1種類以上あるいは少なくとも1種類以上を組み合わせて形成される材料を用いて形成される薄膜が望ましい。
その理由としては、樹脂基板は特定の純度や材質の場合には、ガスの発生が大変多いこと、また、金属はその発生ガスと反応し易いこと、また、Ag合金と密着させる接合界面に反応不動態被膜(例えば酸化膜等)を生じる可能性が高いこと等から適切であるとは言い難いからである。
【0401】
そのために、樹脂基板上に下地層を形成する場合では、特に化学的な安定性が要求されるために、少なくとも金属に比して金属酸化物の方が還元反応を抑制し易い為に、本発明のAg合金との接合界面での化学的もしくは品質的な安定性は高い為に、樹脂基板を用いて、Agを主成分として三元素からなる前述したAg合金膜と基板との間で中間層として下地膜を形成する場合には、ITO、ZnO、SiO、TiO、Ta、ZrO、Nb、窒化珪素、窒化タンタル、窒化チタンから選ばれた1種類以上あるいは少なくとも1種類以上を組み合わせて形成される材料を用いることが適切である。
【0402】
中間層として検討する金属酸化物においては、例えば反射電極層等の電気的な特性の向上を兼ね備える場合には、ITO、ZrO等の導電性金属酸化物、若しくは複合酸化物を1〜100nm程度形成することが望ましい。
選択の理由としては、密着性の向上以外の効果として、例えば絶縁性の高い中間層を挟んだ場合には、本発明のAg合金と中間下地層の積層体自体の体積抵抗率が大幅に向上して、中間層によってAg合金の特性が損なわれる可能性が高いためである。
【0403】
また、中間下地層として金属酸化物を検討する場合においては、反射率や屈折率等の光学特性の低下抑制を検討する場合においては、SiO、TiO、Ta、ZrO等が望ましいと考えられる。
この理由としては、SiOは吸収が400〜4000nmの光学波長領域中では大変少ない為に、吸収率の増加による反射率の低下が抑制でき、更にTiO、Ta、ZrO、Nbについてはいずれも屈折率が高く吸収率が小さいために、屈折率の依存による光学特性の変異が抑制できることが確認できたためである。
【0404】
上記で述べた密着助長下地膜を樹脂基板に形成する場合は、スパッタ装置を用いると、前記樹脂基板を成膜室内に入れてから真空引きを行う際に、基板よりガスが発生するために、真空度が上がらず、更には樹脂基板と密着助長層との界面も不安定になり易いために、少なくとも本発明のAg合金を樹脂基板上に形成する場合においては、蒸着法による膜厚形成が望ましいと考えられる。
【0405】
但し、建材ガラス用のガラス基板に密着助長下地膜を形成する場合は、ガラスが大型であるということと、形成する膜の緻密さや膜の厚みの面内分布が大変重要であるために、成膜室内を高真空に真空引きした後にAr雰囲気で成膜を行えるスパッタリング法を用いて形成するほうが望ましいということが分かった。
【0406】
密着性を助長させることを目的とする中間下地膜を検討する上で重要な課題としては、容易に膜の形成が可能であるかどうかという点であるが、例えばSi、Ta、Ti、Mo、Cr、Al等の金属膜は、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法のいずれでも膜の製作が可能であるために、少なくともAg合金を製作する方法と連動することが可能であるために、汎用的な有用性は高いと検討することができる。
【0407】
また、ITO、ZnO、SiO、TiO、Ta、ZrO等の酸化物においても、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法で容易に形成することが可能であり、例えば窓ガラス等に赤外線を反射する赤外反射膜を形成する場合に、いずれの方法でも同じ反射特性を有する反射膜を形成することができた。
【0408】
次に、前述した第5〜第7の薄膜についての耐熱性試験及びその結果を説明する。
石英基板上にスパッタリング法により第5〜第7の薄膜を成膜したものを試験試料片として用いる。スパッタプロセス中の基板温度は常温(25℃前後)で、スパッタガスとしてはArガスのみを用いて、到達真空度としては5×10−4Pa真空雰囲気中で、膜厚を20nmで形成した。
【0409】
550nmの波長の光に対する反射率を前記試験試料片の薄膜(成膜直後のもの)で測定した。次に、この試験試料片を大気中でオーブンに入れ約1時間放置して550nmの波長の光に対する反射率を測定した。この時のオーブンの加熱方法としては、抵抗加熱式を採用し、加熱温度を250℃、加熱速度を20℃/minに設定した。そして、成膜直後の薄膜の反射率に対して1時間加熱した後の反射率の変化率を計算した。これらの試験結果を表26及び表27に示す。
【0410】
【表26】
Figure 2004002929
【0411】
【表27】
Figure 2004002929
【0412】
表26に示すように、Znを3.0at%以上8.0at%未満含有させたAg−Zn−Cu−Pd合金では、1時間加熱後に反射率の減少がほとんど無かったので耐熱性に優れていることが確認できた。したがって、耐熱性に優れたAg−Zn−Cu−Pd合金中のZn含有量は3.0at%以上8.0at%未満であるといえる。
【0413】
表27に示すように、Cuを0.3at%以上含有させたAg−Zn−Cu−Pd合金では、1時間加熱後に反射率の減少がほとんど無かったので耐熱性に優れていることが確認できた。したがって、耐熱性に優れたAg−Zn−Cu−Pd合金中のCuの含有量は0.3at%以上であるといえる。
【0414】
尚、本発明は前述した実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、本発明は、スパッタリング等による薄膜生成による場合に限らず、他の薄膜生成による場合、さらには厚膜生成による場合にも広く適用することができる。
【0415】
(実施例1)
次に、本発明の実施例1による光学記録媒体(反射)について説明する。
Agに所定量のZnを添加したAg−Zn合金により、光学記録媒体用の薄膜、すなわち、反射膜を形成して光学記録媒体を作製した場合の400nmの波長レーザー光に対する反射率を測定した。
【0416】
この場合、Agに、Znが1.7at%〜8at%それぞれの量含有されてなるAg−Zn合金のスパッタリングターゲット材を用いて、光学記録媒体の薄膜、すなわち反射膜を形成し、光学記録媒体を作製し、波長400nmのレーザー光を照射したときの、それぞれの反射率を測定するものとし、この測定結果は前述した表2に示されている。比較例として純Agの薄膜とAPCの薄膜についての反射率を測定した。
【0417】
前述した表2に示した測定結果より、AgにZnを含有しているAg−Zn合金のスパッタリングターゲット材を用いて、光学記録媒体の薄膜を形成した場合においては、実用上望ましい高い反射率が得られることがわかる。
すなわち、表2に示すように、AgにZnが1.7at%〜8at%含有されているAg−Zn合金のスパッタリングターゲット材を用いて、光学記録媒体の薄膜を形成した場合において、特に、Znが1.7at%、5at%それぞれの量含有した場合においては、89.91%(400nm)以上の高い反射率が得られ、光学記録媒体の反射膜として優れた特性を有するものであることがわかる。
【0418】
つまり、光学記録媒体の反射膜を形成するための材料として、AgにZnが1.7at%、5at%含有されているAg−Zn合金のスパッタリングターゲット材を用いた場合には、反射率が同波長領域中の測定で、APCを用いた場合に比較して良好である。さらに光学記録媒体の反射膜として重要な耐候性に関しては、APCと同程度が期待できる。
【0419】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2による光学記録媒体(反射)について図3を用いて説明する。図3は、前述したようにAg−Zn合金からなる薄膜について照射する光の波長とその光の反射率を示すグラフである。このグラフによれば、Zn含有量が1.7at%、5at%のとき、APCよりも良好である。
【0420】
(実施例3)
次に、本発明の実施例3による光学記録媒体(反射)について説明する。
Agに所定量のZnとCuを添加したAg−Zn−Cu合金により、光学記録媒体用の薄膜、すなわち、反射膜を形成して光学記録媒体を作製した場合の400nmの波長レーザー光に対する反射率を測定した。
【0421】
この場合、Agに、Zn、In、Sn及びNiが0.5at%〜5.0at%それぞれの量含有されてなるAg合金スパッタリングターゲット材を用いて、光学記録媒体の薄膜、すなわち反射膜を形成し、光学記録媒体を作製し、波長400nmのレーザー光を照射したときの、それぞれの反射率を測定するものとし、この測定結果は前述した表3に示されている。比較例として純Agの薄膜とAPCの薄膜についての反射率を測定した。
【0422】
表3に示した測定結果より、AgにZnが0.5at%〜5.0at%、Cuが0.5at%〜5.0at%それぞれの量含有されてなるAg−Zn−Cu合金のスパッタリングターゲット材を用いて、光学記録媒体の薄膜を形成した場合においては、実用上望ましい高い反射率が得られることがわかる。
すなわち、表3に示すように、AgにZnが0.5at%〜5.0at%、Cuが0.5at%〜5.0at%それぞれの量含有されてなるAg−Zn−Cu合金のスパッタリングターゲット材を用いて、光学記録媒体の薄膜を形成した場合において、特に、Znが0.5at%〜4.0at%、Cuが0.5at%〜1.7at%それぞれの量含有した場合においては、89%(400nm)以上の高い反射率が得られ、光学記録媒体の反射膜として優れた特性を有するものであることがわかる。
【0423】
つまり、光学記録媒体の反射膜の形成するための材料として、AgにZnが0.5at%〜4.0at%、Cuが0.5at%〜1.7at%含有されているAg−Zn−Cu合金のスパッタリングターゲット材を用いた場合には、反射率が同波長領域中の測定で、APCを用いた場合に比較して良好である。さらに光学記録媒体の反射膜として重要な耐候性に関しては、APCと同程度が期待できる。
【0424】
なお、前記においては、Ag−Zn合金、Ag−Zn−Cu合金について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、これら以外の元素をAgに含有した前記スパッタリングターゲットを用いた場合についても高い反射率が得られ、光学記録媒体の反射膜として優れた特性を得ることができる。
また、AgにZnが0.1at%〜8.0at%(好ましくは0.3at%〜6.0at%)、Cuが0.1at%〜8.0at%(好ましくは0.3at%〜6.0at%)それぞれの量含有されてなるAg−Zn−Cu合金のスパッタリングターゲット材を用いて、光学記録媒体の薄膜を形成した場合においても、実用上望ましい高い反射率が得られることも確認されている。
【0425】
(実施例4)
次に、本発明の実施例4による光学記録媒体(半透明反射)について説明する。
光学記録媒体の半透明反射膜3について行った、耐候性の検討結果を説明する。
半透明反射膜3の膜厚は、従来の反射膜の膜厚と比較すると、極めて薄い領域にある。したがって、半透明反射膜3は十分な耐候性を有することが必要である。
【0426】
本実施例においては、まず、Zn等を添加したAg合金のスパッタリングターゲットを前述した方法により作製した。
次に、このスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリング法により、銀合金の薄膜からなる半透明反射膜を形成し、光学記録媒体を得た。
【0427】
ここで、銀合金からなるスパッタリングターゲット材料として、Znなどを特に選択した理由は、前述したものと同様である。
【0428】
また、Agは、硫黄と結合しやすいので大気中に長時間放置されると、AgSとなり黒色化する。この結果、Ag薄膜の光学特性が劣化する。また、Agは、塩素とも激しく反応してAgClとなり白濁化する。この結果、Ag薄膜の光学特性が劣化する。しかし、Agは、酸素、水素、あるいは水に対しては比較的安定な物質である。一方、Zn、In、Sn及びNiは、脱酸素効果(酸化防止)、硫化、塩化防止等の作用があり、硫黄や塩素に対して化学的に安定な物質である。
【0429】
前記Ag合金のスパッタリングターゲットによれば、塩素、水素、酸素、硫黄という、大気中、あるいは特殊環境中で検討される非金属元素による汚染や光学記録媒体に採用される際に要求される環境や雰囲気下での高い耐候性の向上の実現が可能になる。
【0430】
前記実施例4によれば、前述したAgをベース材料とした銀合金からなる薄膜を半透明反射膜3に用いることにより、耐候性を改善でき、かつ基板との接合性を強化でき、より高い信頼性を得ることができる。
【0431】
次に、耐候性の試験法について説明する。ここでは塩素試験を行った。
塩素試験のサンプルは、ポリカーボネート基板上に後述のAg合金を成膜したものを使用した。
塩素試験は、常温で、5%濃度の塩水にこのサンプルを一定時間浸漬した後、目視により確認したものである。
【0432】
前述したように表6〜表17は、Ag−Zn‐X合金、Ag‐In‐X合金、Ag−Sn‐X合金、Ag−Ni‐X合金の薄膜について行った塩化試験結果を示したものである。ここで、Xは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Au、Al、Ga、Si及びGeからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を示す。比較例として純AgとAPCについても行った。
【0433】
次に、塩化試験から得られた知見について説明する。
純Agの薄膜では、塩化によるものと思われる膜の白濁が認められた。
【0434】
これに対し、Ag−Zn‐X合金、Ag−In‐X合金、Ag−Sn‐X合金、Ag−Ni‐X合金薄膜では、5%NaCl水溶液にはAPCと同様、変化が見られなかった。
このように、第二元素としてZn、Sn、In及びNi等を添加することにより、耐候性が改善され、より高い信頼性が得られた。
【0435】
尚、前記実施例4では、優れた耐食性、耐候性を有するAg合金材料であることを説明し、2つの情報層を有する構造のディスク状、いわゆる円盤状の光ディスクについて説明したが、本発明はこのような光ディスクや形状に限られるものではなく、種々の製品に適用することが可能であり、例えば、単層又は3層以上の情報層を有する光ディスク、光磁気ディスク、相変化型光ディスク、その他カード状またはシート状の記録媒体等、情報層に金属薄膜を有する各種の光学記録媒体、その他、耐食性、耐候性を必要とする各種の製品に適用することが可能である。
【0436】
また、例えば2枚の透明基板上にそれぞれ2層以上の情報層を形成し、これら透明基板をその情報層を有する面をつき合わせ接合して形成し、両透明基板側から光照射を行うようにした構成とすることもできるなど種々の構造とすることが可能である。
【0437】
(実施例5)
次に、本発明の実施例5による銀合金材料(抵抗)について説明する。
Agは大変熱伝導率が良く、原子単位で熱を吸収・飽和させ易い特徴があることから、熱伝導率を鈍化させて且つ原子間での活発な移動を抑制するために、Agに対してある一定の量が溶解するZnを1.7at%〜8at%の組成範囲で任意に振って添加して実験した。
【0438】
まず、スパッタリング装置にAgとZnのスパッタリングターゲットをそれぞれ装着して、特定のRFパワーでAg、Znの放電量を制御してArガスを0.1〜3.0Paの間で任意に設定して、2つの材料を同時にスパッタする。つまり、同時スパッタリング法で数種類Znの添加量を振って銀合金材料膜を形成した。
【0439】
この時の試験試料片としては、石英基板を用いてスパッタプロセス中の基板温度は常温(25℃前後)で、スパッタガスとしてはArガスのみを用いて、到達真空度としては5×10−4Pa真空雰囲気中で、膜厚を20nmで形成した。
【0440】
前記方法にて形成したAgを主成分として、それに数種類の材料組成でZnを添加した銀合金材料薄膜を、大気中でオーブンに入れ約1時間放置して抵抗値を測定した。この時のオーブンの加熱方法としては、抵抗加熱式を採用し、加熱温度を250℃、加熱速度を20℃/minに設定した。また、抵抗値の測定にあっては、4探針法により室温で測定した。その試験結果は前述した表22に示されている。
【0441】
抵抗については、アニール前でZn含有量が1.7at%のものがAPCと同程度である。但し、アニール後に抵抗が上昇する傾向にある。
【0442】
(実施例6)
次に、本発明の実施例6による銀合金材料(反射率)について説明する。
前記方法にて形成したAgを主成分として、それに数種類の材料組成でZnとCuを添加した銀合金材料薄膜を、大気中でオーブンに入れ約1時間放置して反射率を測定した。その試験結果は前述した表23に示されている。
この時のオーブンの加熱方法としては、抵抗加熱式を採用し、加熱温度を250℃、加熱速度を20℃/minに設定した。また、目視にて、白濁が無きもの(光沢が保たれているもの)に関して反射率を測定した。その試験結果は前述した表23に示されている。
【0443】
電気抵抗については、Cuの添加によりアニール後に反射率が下がる効果が確認された。但し、ばらつきがある。
【0444】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による銀合金によれば、Agを主成分とし、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Au、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge及びSnからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有する。従って、優れた耐食性を有する銀合金を提供することができ、また、熱処理前後において高い反射率を有する銀合金を提供することができ、また、電気的に低抵抗の特性を有する銀合金を提供することができる。また、優れた耐熱性を有する銀合金を提供することができる。
【0445】
また、本発明によれば、前記銀合金を用いるため、反射光の黄色化を抑制したスパッタリングターゲット、反射型LCD用反射板、反射配線電極、薄膜及びその製造方法を提供することができる。
【0446】
また、本発明によれば、Agの耐水素性、耐酸素性やZn、In、Sn及びNiの脱酸素効果(酸化防止)、塩化、硫化防止の相互作用により、Agと比較した場合に高反射率を維持し、耐候性を改善した光学記録媒体を提供することができる。
【0447】
また、本発明によれば、半透明反射膜の耐候性が改善され、より高い信頼性が得られる光学記録媒体を提供することができる。
【0448】
また、本発明によれば、柔軟性、形状自在性(複雑な形状への折り曲げ追随性)を備え、主にEMC対策材料として応用展開が広く、また、高温高湿の環境下においても高い電磁波遮蔽能力が継続的に保持されるといった耐候性の材料的な安定性が格段に改善され、しかも、エラストマー材料基板との接合性(密着性)がより一層効果的に強化され、より高い信頼性が得られる電磁波遮蔽体を提供することができる。
【0449】
また、本発明によれば、電磁波遮蔽性、赤外線遮蔽性、透明性、非視認性、耐腐食性、耐候性や耐摩耗性等を備え、主にEMC対策材料として応用展開が広く、また、高温高湿の環境下においても高い電磁波遮蔽能力が継続的に保持されるといった耐候性の材料的な安定性が格段に改善され、しかも、プラストマー材料基板との接合性(密着性)がより一層効果的に強化され、より高い信頼性が得られる電磁波遮蔽体を提供することができる。
【0450】
また、本発明によれば、従来に比して電気的に低抵抗率であって、安定かつ加工性に優れた電子部品用金属材料、配線材料、銀合金を使用した電子部品、電子機器、金属膜の加工方法、電子光学部品を提供することができる。
【0451】
また、本発明の高耐熱性反射膜を用いて形成した積層体、例えば建材ガラス用熱線・赤外線反射膜においては、耐熱性が高く反射率も高く、更にアルカリ系の有機材料に対して安定で、更には樹脂基板を用いる場合、その基板からの脱ガスに対しても化学的に安定であるために、高品質な製品を形成することができる。
【0452】
また、本発明のAg合金膜を用いて高耐熱性反射膜を形成する場合に、例えば基板と反射膜との間に、密着性及び光学特性の向上を目的として下地層を形成して積層体となった場合でも、熱に対しての安定性が劣化することが無く、更には光学特性の著しい低下がないことから、積層構造とされた場合でも品質が劣化することがない。
【0453】
また、本発明のAg合金膜を形成する場合には、スパッタリング法及び蒸着法のいずれも場合であっても目的や用途、もしくは基板の種類に応じて安定して同じ特性を得ることがわかり、例えば膜の形成方法による品質の差異が生じない。
【0454】
従って、本発明によれば、Ag自体の保有する高い光学特性が保持され、更にはAgの材料的な安定性が格段に改善されるとともに、反射膜とガラス基板又は樹脂基板の間に下地層を形成すると、高耐熱性反射膜とガラス基板又は樹脂基板との接合性がより一層効果的に強化されるので、信頼性の高い建材ガラス用反射膜等の積層体等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第5の実施の形態によるスパッタリングターゲット材を用いて形成した薄膜を有する光学記録媒体の一例であって2層構造の光学記録媒体を示す概略断面図である。
【図2】本発明に係る第6の実施の形態による光学記録媒体の一例を示した側面図である。
【図3】Ag−Zn合金からなる薄膜について照射する光の波長とその光の反射率を示すグラフである。
【図4】本発明に係る第7の実施の形態による電磁波遮蔽体を示す断面図である。
【図5】本発明に係る第8の実施の形態による電磁波遮蔽体を示す断面図である。
【図6】(a)は、試料▲1▼に高温多湿試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真であり、(b)は、試料▲2▼に高温多湿試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真である。
【図7】(a)は、試料▲3▼に高温多湿試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真であり、(b)は、試料▲4▼に高温多湿試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真である。
【図8】(a)は、試料▲1▼に250℃アニール試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真であり、(b)は、試料▲2▼に250℃アニール試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真である。
【図9】(a)は、試料▲3▼に250℃アニール試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真であり、(b)は、試料▲4▼に250℃アニール試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真である。
【図10】Ag−0.5at%Pd−1.0at%CuにZnを1.8〜7.3at%まで添加し、250℃で1時間のアニール試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真である。
【図11】Ag−0.5at%Pd−1.0at%CuにInを0.9〜1.9at%まで添加し、250℃で1時間のアニール試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真である。
【図12】Ag−0.5at%Pd−1.0at%CuにZn又はInを0・9〜7.3at%まで添加し、5wt%のNaCl水に浸水させた後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真である。
【符号の説明】
1…第1の基板
2…第2の基板
3…半透明反射膜
4…反射膜
5…透明接着剤
6…光学記録媒体
7…対物レンズ
8…再生光
9…第1の情報層
10…光学記録媒体
11…第1の情報記録層
12…第2の情報記録層
13,14…基板
15…半透明膜
16…銀合金反射膜
17…第2の情報層
18…電磁波遮蔽膜
19…基板
20…光硬化性樹脂
21…第1の微細凹凸
22…第2の微細凹凸
23…密着助長下地膜
24,30…保護膜

Claims (66)

  1. 優れた耐食性を有する銀合金であって、
    銀を主成分とし、
    チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム及びスズからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金。
  2. 高反射率の特性を有する銀合金であって、
    銀を主成分とし、
    チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム及びスズからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金。
  3. 電気的に低抵抗の特性を有する銀合金であって、
    銀を主成分とし、
    チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム及びスズからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金。
  4. 優れた耐熱性を有する銀合金であって、
    銀を主成分とし、
    チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム及びスズからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか1項記載の銀合金は、少なくとも1種類の各元素の含有量が0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下であることを特徴とする銀合金。
  6. 優れた耐食性を有する銀合金であって、
    銀を主成分とし、
    亜鉛、ニッケル、錫及びインジウムからなる群から選ばれた1種類の元素を含有し、
    チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銅、金、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、及びゲルマニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金。
  7. 高反射率の特性を有する銀合金であって、
    銀を主成分とし、
    亜鉛、ニッケル、錫及びインジウムからなる群から選ばれた1種類の元素を含有し、
    チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銅、金、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、及びゲルマニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金。
  8. 電気的に低抵抗の特性を有する銀合金であって、
    銀を主成分とし、
    亜鉛、ニッケル、錫及びインジウムからなる群から選ばれた1種類の元素を含有し、
    チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銅、金、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、及びゲルマニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金。
  9. 優れた耐熱性を有する銀合金であって、
    銀を主成分とし、
    亜鉛、ニッケル、錫及びインジウムからなる群から選ばれた1種類の元素を含有し、
    チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銅、金、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、及びゲルマニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金。
  10. 請求項6〜9のうちいずれか1項記載の銀合金は、前記1種類の元素の含有量が0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下であり、前記少なくとも1種類の各元素の含有量が0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下であることを特徴とする銀合金。
  11. 優れた耐熱性を有する銀合金であって、
    銀を主成分とし、亜鉛又はインジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、銅を0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、更にパラジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有することを特徴とする銀合金。
  12. 高反射率の特性を有する銀合金であって、
    銀を主成分とし、亜鉛又はインジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、銅を0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、更にパラジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有することを特徴とする銀合金。
  13. 電気的に低抵抗の特性を有する銀合金であって、
    銀を主成分とし、亜鉛又はインジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、銅を0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、更にパラジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有することを特徴とする銀合金。
  14. 優れた耐食性を有する銀合金であって、
    銀を主成分とし、亜鉛又はインジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、銅を0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、更にパラジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有することを特徴とする銀合金。
  15. 優れた耐熱性を有する銀合金であって、
    銀を主成分とし、亜鉛を3.0原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、銅を0.3原子パーセント以上1.7原子パーセント以下含有し、更にパラジウムを0.2原子パーセント以上3.0原子パーセント以下含有することを特徴とする銀合金。
  16. 優れた耐食性を有する銀合金であって、
    銀を主成分とし、亜鉛を0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、銅を0.1原子パーセント以上含有し、更にパラジウムを0.2原子パーセント以上含有することを特徴とする銀合金。
  17. 優れた耐熱性及び耐食性を有する銀合金であって、
    銀を主成分とし、亜鉛を3.0原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、銅を0.3原子パーセント以上1.7原子パーセント以下含有し、更にパラジウムを0.2原子パーセント以上含有することを特徴とする銀合金。
  18. 請求項1〜17のうちいずれか1項記載の銀合金からなることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  19. 請求項18に記載のスパッタリングターゲットは、反射光の黄色化を抑制した反射型LCD用反射板又は反射配線電極を製造するものであることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  20. 反射光の黄色化を抑制した反射型LCD用反射板であって、請求項1〜17のうちいずれか1項記載の銀合金からなることを特徴とする反射型LCD用反射板。
  21. 反射光を高反射率化し且つ反射光の黄色化を抑制した反射配線電極であって、請求項1〜17のうちいずれか1項記載の銀合金からなることを特徴とする反射配線電極。
  22. 請求項1〜17のうちいずれか1項記載の銀合金からなることを特徴とする薄膜。
  23. 請求項18に記載のスパッタリングターゲットを用いてスパッタリング法により薄膜を製造することを特徴とする薄膜の製造方法。
  24. 請求項22に記載の薄膜を有することを特徴とする光学記録媒体。
  25. 半透明反射膜を有する情報層と反射膜を有する情報層が合わせて2層以上積層され、共通の方向からの光照射によって、情報の記録若しくは再生の少なくとも一方がなされる光学記録媒体であって、前記半透明反射膜が請求項22に記載の薄膜からなることを特徴とする光学記録媒体。
  26. エラストマー材料からなる基板と、この基板上に形成された電磁波遮蔽膜と、を備えた電磁波遮蔽体であって、前記電磁波遮蔽膜が請求項1〜17のうちいずれか1項記載の銀合金からなることを特徴とする電磁波遮蔽体。
  27. プラストマー材料からなる基板と、この基板上に形成された電磁波遮蔽膜と、を備えた電磁波遮蔽体であって、前記電磁波遮蔽膜が請求項1〜17のうちいずれか1項記載の銀合金からなることを特徴とする電磁波遮蔽体。
  28. 前記電磁波遮蔽膜が1の膜又は複数の膜からなることを特徴とする請求項26又は27に記載の電磁波遮蔽体。
  29. 前記電磁波遮蔽膜は、請求項18に記載の銀合金からなるスパッタリングターゲット材料を用いたスパッタリング法により基板上に成膜して形成されたことを特徴とする請求項26〜28のうちいずれか1項記載の電磁波遮蔽体。
  30. 請求項26〜29のうちいずれか1項記載の電磁波遮蔽体は、電磁波遮蔽膜上に形成された耐食性、耐候性及び耐摩耗性に優れた保護膜をさらに含むことを特徴とする電磁波遮蔽体。
  31. 請求項26〜30のうちいずれか1項記載の電磁波遮蔽体は、基板と電磁波遮蔽膜との間に配置された密着性を助長する下地膜をさらに含むことを特徴とする電磁波遮蔽体。
  32. 前記下地膜が、インジウム・錫酸化物、酸化イリジウム、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、酸化チタン、五酸化タンタル、酸化ジルコニウム、ケイ素、タンタル、チタン、モリブデン、クロム、アルミニウムからなる群から選ばれた1又は複数の材料、若しくは、該1又は複数の材料を少なくとも主成分として含む材料を用いて形成したものであることを特徴とする請求項31に記載の電磁波遮蔽体。
  33. 請求項1〜17のうちいずれか1項記載の銀合金からなることを特徴とする電子部品用金属材料。
  34. 請求項1〜17のうちいずれか1項記載の銀合金からなることを特徴とする配線材料。
  35. 請求項33に記載の電子部品用金属材料を電極材料として用いることを特徴とする電子部品用金属材料。
  36. 請求項33に記載の電子部品用金属材料を接点材料として用いることを特徴とする電子部品用金属材料。
  37. 請求項1〜17のうちいずれか1項記載の銀合金により形成された配線パターン、電極及び接点のうちの少なくとも一つを有することを特徴とする電子部品。
  38. 前記配線パターン、電極及び接点それぞれは、溶液によるエッチングにより形成されものであることを特徴とする請求項37に記載の電子部品。
  39. 前記配線パターン、電極及び接点それぞれは、ガス雰囲気中でのエッチングにより形成されたものであることを特徴とする請求項34に記載の電子部品。
  40. 前記配線パターン、電極及び接点それぞれが、300℃以上750℃以下の温度範囲により加熱処理されて形成されたものであることを特徴とする請求項37に記載の電子部品。
  41. 前記配線パターン、電極及び接点それぞれが、タングステン、タンタル、モリブデン、酸化インジウム、酸化錫、窒化チタン、二酸化ケイ素、窒化シリコン、酸化チタン、酸化ニオブの何れか1種類もしくは複数で混合されて形成された下地の上に形成されたものであることを特徴とする請求項37に記載の電子部品。
  42. 前記配線パターン、電極及び接点それぞれが、ガラス又はプラストマー材料の基板上に直接形成されたものであることを特徴とする請求項36に記載の電子部品。
  43. 請求項37〜42のうちいずれか1項記載の電子部品を用いて構成されることを特徴とする電子機器。
  44. 請求項1〜17のうちいずれか1項記載の銀合金からなる金属膜を用いて配線パターン、電極及び接点のうちの少なくとも1つを形成することを特徴とする金属膜の加工方法。
  45. 請求項1〜17のうちいずれか1項記載の銀合金からなる金属膜を300℃以上750℃以下の温度範囲で加熱処理することにより、配線パターン、電極及び接点のうちの少なくとも1つを形成することを特徴とする金属膜の加工方法。
  46. 請求項1〜17のうちいずれか1項記載の銀合金からなる金属膜を、タングステン、タンタル、モリブデン、インジウム・錫酸化物、窒化チタン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素の何れかによる下地の上に形成することにより、配線パターン、電極及び接点のうちの少なくとも1つを形成することを特徴とする金属膜の加工方法。
  47. 請求項1〜17のうちいずれか1項記載の銀合金からなる金属膜をガラス又はプラストマー材料の基板上に直接形成することにより、配線パターン、電極及び接点のうちの少なくとも1つを形成することを特徴とする金属膜の加工方法。
  48. 請求項1〜17のうちいずれか1項記載の銀合金により形成された反射膜、配線パターン及び電極のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする電子光学部品。
  49. 少なくとも一層以上の層からなる高耐熱性反射膜を用いた積層体であって、上記高耐熱性反射膜は、請求項4に記載の銀合金から形成したものであることを特徴とする積層体。
  50. 前記銀合金は、少なくとも1種類の各元素の含有量が0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下であることを特徴とする請求項49に記載の積層体。
  51. 少なくとも一層以上の層からなる高耐熱性反射膜を用いた積層体であって、上記高耐熱性反射膜は、請求項9に記載の銀合金から形成したものであることを特徴とする積層体。
  52. 前記銀合金は、前記1種類の元素の含有量が0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下であり、前記少なくとも1種類の各元素の含有量が0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下であることを特徴とする請求項51に記載の積層体。
  53. 少なくとも一層以上の層からなる高耐熱性反射膜を用いた積層体であって、上記高耐熱性反射膜は、請求項11、15、17のうちいずれか1項に記載の銀合金から形成したものであることを特徴とする積層体。
  54. 基板と、
    この基板上に形成された高耐熱性反射膜と、
    を備えた積層体であって、
    上記高耐熱性反射膜は、請求項4に記載の銀合金から形成したものであることを特徴とする積層体。
  55. 前記銀合金は、少なくとも1種類の各元素の含有量が0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下であることを特徴とする請求項54に記載の積層体。
  56. 基板と、
    この基板上に形成された高耐熱性反射膜と、
    を備えた積層体であって、
    上記高耐熱性反射膜は、請求項9に記載の銀合金から形成したものであることを特徴とする積層体。
  57. 前記銀合金は、前記1種類の元素の含有量が0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下であり、前記少なくとも1種類の各元素の含有量が0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下であることを特徴とする請求項56に記載の積層体。
  58. 基板と、
    この基板上に形成された高耐熱性反射膜と、
    を備えた積層体であって、
    上記高耐熱性反射膜は、請求項11、15、17のうちいずれか1項に記載の銀合金から形成したものであることを特徴とする積層体。
  59. 前記基板が樹脂基板又はガラス基板であることを特徴とする請求項54〜58のうちいずれか1項記載の積層体。
  60. 前記基板と前記高耐熱性反射膜との間に配置された、密着性を助長する下地膜をさらに含むことを特徴とする請求項54〜59のうちいずれか1項記載の積層体。
  61. 前記下地膜が、インジウム・錫酸化物、酸化イリジウム、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、酸化チタン、五酸化タンタル、酸化ジルコニウム、ケイ素、タンタル、チタン、モリブデン、クロム、アルミニウムからなる群から選ばれた1又は複数の材料、若しくは、該1又は複数の材料を少なくとも主成分として含む材料を用いて形成したものであることを特徴とする請求項60に記載の積層体。
  62. 基板と、
    この基板上に形成された高耐熱性反射膜と、
    を備えた積層体からなる建材ガラスであって、
    前記高耐熱性反射膜は、請求項4に記載の銀合金から形成したものであることを特徴とする建材ガラス。
  63. 前記銀合金は、少なくとも1種類の各元素の含有量が0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下であることを特徴とする請求項62に記載の建材ガラス。
  64. 基板と、
    この基板上に形成された高耐熱性反射膜と、
    を備えた積層体からなる建材ガラスであって、
    前記高耐熱性反射膜は、請求項9に記載の銀合金から形成したものであることを特徴とする建材ガラス。
  65. 前記銀合金は、前記1種類の元素の含有量が0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下であり、前記少なくとも1種類の各元素の含有量が0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下であることを特徴とする請求項64に記載の建材ガラス。
  66. 基板と、
    この基板上に形成された高耐熱性反射膜と、
    を備えた積層体からなる建材ガラスであって、
    前記高耐熱性反射膜は、請求項11、15、17のうちいずれか1項に記載の銀合金から形成したものであることを特徴とする建材ガラス。
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