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JP2004002923A - ニッケル粉末の製造方法、及びニッケル粉末 - Google Patents

ニッケル粉末の製造方法、及びニッケル粉末 Download PDF

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JP2004002923A
JP2004002923A JP2002159585A JP2002159585A JP2004002923A JP 2004002923 A JP2004002923 A JP 2004002923A JP 2002159585 A JP2002159585 A JP 2002159585A JP 2002159585 A JP2002159585 A JP 2002159585A JP 2004002923 A JP2004002923 A JP 2004002923A
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powder
heat treatment
organometallic compound
particles
mol
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Application number
JP2002159585A
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English (en)
Inventor
Yoshihiro Goto
後藤 賀弘
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Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】優れた耐酸化性及び焼結抑制作用を有し、積層型電子部品の内部電極用導電性ペーストに使用した場合であっても内部電極の連続性低下やデラミネーションの発生を防止することができるようにする。
【解決手段】Ni粒子、オクチル酸ジスプロシウム溶液等の有機金属化合物溶液を有機溶剤下で混合し、有機溶剤を蒸発させ解砕した後、200〜300℃で大気雰囲気下、熱処理を行って有機成分を蒸発揮散させ、その後ジェット粉砕し、炭素含有量が0.5wt%以下とする。また。有機金属化合物溶液の添加量は金属換算でNi100モルに対し0.10〜1.0モルとする。これにより、Ni粒子1の表面に1nm以下の炭素薄膜2が形成され、炭素薄膜2上の表面に金属粒子3が均一に分散して形成された微細なNi粉末が製造される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はニッケル粉末の製造方法及びニッケル粉末に関し、より詳しくは積層コンデンサ等の積層型電子部品の内部電極用導電性ペーストに使用されるニッケル粉末の製造方法、及び該製造方法を使用して製造されたニッケル粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、積層コンデンサ等の積層型電子部品に使用される内部電極用導電性ペーストとして、低コスト化の要請から、白金(Pt)やパラジウム(Pd)等の貴金属に代えてニッケル(Ni)等の卑金属が使用されてきている。
【0003】
この種の積層型電子部品は、薄層のセラミックシートの表面に導電性ペーストを印刷した後、これらセラミックシートを積層・圧着させて積層体を形成し、該積層体に焼成処理を施すことにより製造される。
【0004】
しかしながら、卑金属の収縮開始温度はセラミックの収縮開始温度(約900℃)に比べて低く、卑金属とセラミックとでは焼結時の収縮挙動が異なる。したがって、Ni等の卑金属を導電性ペーストに使用した場合、前記収縮挙動の相違からセラミック層と内部電極層との間で接着不良が生じ、所謂デラミネーション(層間剥離)等の構造欠陥を招来する虞がある。
【0005】
また、内部電極は、導体粒子が焼結して形成されるが、上述したように卑金属はセラミックより低い温度で焼結が開始し進行するため、導体粒子が収縮し過ぎて内部電極が網目状又は島状に途切れた状態となり、内部電極の連続性が低下し、静電容量等の電気特性の低下を招来する虞がある。
【0006】
さらに、Ni等の卑金属は耐熱性が低く酸化しやすいため、焼成処理時に酸化による体積変化が生じ、しかもNiが酸化してしまうと電極としての作用を果たさなくなるため、還元性雰囲気で焼成処理を行う必要がある。
【0007】
そこで、このような欠点を解消する方策の一つとして、例えば、金属粉末(Ni粉末)、タングステンレジネート等の有機レジネート、及び所定の有機溶剤とを混合分散媒体を使用いて混合した後、前記有機溶剤を蒸発揮散させた技術が提案されている(特開平7−197103号公報)。
【0008】
該従来技術では、Ni粒子の表面に有機金属化合物を均一に被覆することによって、導電性ペーストの収縮開始温度をセラミックの収縮開始温度に近づけ、これによりデラミネーション等の構造欠陥が発生するのを回避せんとしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では、内部電極が有機金属化合物で被覆されたNi粒子を主成分としているため、内部電極に含有される有機成分が多くなり、このため焼成処理前に行われる脱バインダ工程で炭素含有量が増加し、焼成処理に悪影響を及ぼすという問題点があった。すなわち、脱バインダ工程では熱処理してセラミック中のバインダを除去しようとしているが、バインダ中の炭素成分が残留して炭素含有量が増加する。このため粉末には粘りが生じ、その結果粉末同士が固着・凝集(以下、「凝集等」という)して粗粒が生成され、セラミックとの密着力が低下し、デラミネーションを引き起こすという問題点があった。
【0010】
また、上記従来技術では、上述したように内部電極に含有される有機成分が多くなるため、導体であるNiの密度が低下する。したがって、特に薄層化、多層化された積層型電子部品を製造する場合、薄くて均一な電極の形成が困難となり、電極の連続性が低下して静電容量等の電気特性が劣化するという問題点があった。
【0011】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであって、優れた耐酸化性及び焼結抑制作用を有し、積層型電子部品の内部電極用導電性ペーストに使用した場合であってもデラミネーションの発生や内部電極の連続性低下を防止することができるNi粉末の製造方法、及びNi粉末を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
Ni粉末の耐酸化性やセラミックとの収縮挙動の相違を解消させるためには、上記従来技術のように、Ni粒子に耐酸化性や焼結抑制作用を付与する有機金属化合物でNi粒子を被覆し、その後、熱処理を施して有機成分を蒸発揮散することが望ましいと考えられる。
【0013】
しかしながら、有機成分の蒸発揮散が不十分でNi粉末に大量の炭素成分が残留すると、〔発明が解決しようとする課題〕の項でも述べたように、粗粒が生成され、デラミネーションや電極の連続性低下を招来する。
【0014】
そこで、本発明者が鋭意研究したところ、炭素含有量が0.5wt%以下となるように熱処理を施すことにより、Ni粉末の凝集等に起因した粗粒の生成を阻止することができ、これによりデラミネーションの発生や内部電極の連続性低下を防止することができるという知見を得た。
【0015】
本発明は斯かる知見に基づきなされたものであって、本発明に係るNi粉末の製造方法は、Ni粒子の表面を有機金属化合物で被覆する被覆工程と、該被覆工程により有機金属化合物で被覆された被覆Ni粒子に熱処理を施し、炭素含有量を重量%で0.5%以下とする熱処理工程とを含むことを特徴としている。
【0016】
上記製造方法によれば、Ni粉末の炭素含有量が0.5wt%以下であるので、有機金属化合物中の有機成分の蒸発揮散が十分になされ、粉体に粘りが生じることもなく、したがって粉末が凝集等せず粗粒が新たに生成されることもない。
【0017】
また、Ni粉末が凝集等して粗粒が生成されるのを確実に防止する観点からは、熱処理工程後にジェット粉砕等を行ってNi粒子を解砕するのが好ましい。
【0018】
すなわち、本発明のNi粉末の製造方法は、前記熱処理工程で熱処理された被覆Ni粒子を解砕処理する解砕工程を含むことを特徴としている。
【0019】
そして、本発明者の鋭意研究により、炭素含有量を0.5wt%以下とし、且つ粉末同士の凝集等を回避するためには、大気雰囲気中、温度200℃〜300℃で熱処理を施す必要のあることが判った。
【0020】
そこで、本発明のNi粉末の製造方法は、前記熱処理工程は、大気雰囲気中、温度200℃〜300℃で行なうことを特徴としている。
【0021】
また、前記有機金属化合物は、耐熱性、耐酸化性、及び焼結抑制作用を付与するものとして、本発明では、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、イットリウム(Y)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及びランタノイドの中から選択された少なくとも1種以上の金属種を含有していることを特徴としている。
【0022】
さらに、本発明者の鋭意研究の結果、熱処理で炭素含有量の増加を防ぎつつ、Ni粉末に所望の耐酸化性及び焼結抑制作用を付与するためには、有機金属化合物の含有量は、Ni100モルに対し、金属元素に換算して0.10〜1.0モルが好ましい。
【0023】
すなわち、本発明は、前記有機金属化合物の含有量は、Ni100モルに対し、金属元素に換算して0.10〜1.0モルであることを特徴としている。
【0024】
また、前記有機金属化合物に含有される有機成分としては、カルボン酸を使用することができるが、前記熱処理工程後における炭素含有量を極力低減する観点からは、前記有機金属化合物は炭素数の少ないオクチル酸(炭素数8)を使用するのが好ましい。
【0025】
すなわち、本発明は、前記有機金属化合物に含有される有機成分はカルボン酸であることを特徴としている。
【0026】
さらに、前記被覆工程は、具体的には、前記Ni粒子と前記有機金属化合物とを前記有機金属化合物を溶解する溶媒中で混合し、この後、該溶媒を除去することを特徴としている。
【0027】
また、本発明に係るNi粉末は、上述したNi粉末の製造方法を使用して製造されたことを特徴としている。
【0028】
上記Ni粉末によれば、炭素含有量が少なく、粒径も微細であり、積層型電子部品の内部電極用導電性ペーストに使用した場合であってもデラミネーションの発生や内部電極の連続性低下を防止することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳説する。
【0030】
図1は本発明の製造方法で製造されたNi粉末を模式的に示した断面図である。
【0031】
1は、平均粒径が0.15〜0.3μmのNi粒子であって、該Ni粒子1の表面には膜厚1nm以下の炭素薄膜2が被覆形成され、さらに該炭素薄膜2の表面には平均粒径2〜10nmの多数の金属粒子3が前記Ni粒子1を覆うように均一に分散して固着されている。
【0032】
以下、上記Ni粉末の製造方法について詳述する。
【0033】
まず、平均粒径が0.15〜0.3μmのNi粒子と有機金属化合物溶液とを有機溶剤と共に混合媒体の内有されたボールミルに投入し、所定時間混合処理を行なう。
【0034】
有機金属化合物の金属種としては、優れた耐熱性、耐酸化性を有し、且つNi粉末に対し焼結抑制作用を付与するものであれば特に限定されるものではなく、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Ti、Zr、又はランタノイドの中から少なくとも1種以上を使用することができるが、より優れた耐酸化性及び焼結抑制作用を得る観点からはランタノイドを使用するのが好ましい。
【0035】
また、有機金属化合物の有機成分としては、オクチル酸、ナフテン酸、アビエチン酸等のカルボン酸を使用することができるが、熱処理後の炭素含有量を効率よく低減させる観点からは、炭素数の少ないオクチル酸(炭素数8)を使用するのが好ましい。
【0036】
尚、有機金属化合物は、キシレンやトルエンに溶かして使用され、例えば10wt%程度に希釈された有機金属化合物溶液として使用される。
【0037】
また、前記有機溶剤としては、有機金属化合物溶液が可溶であれば特に限定されるものではなく、例えば、トルエンやエチルアルコール、或いはこれらの混合溶液を使用することができる。
【0038】
また、有機金属化合物の添加量は、本実施の形態では、Ni100モルに対し、金属元素に換算して0.1〜1.0モルに設定されている。
【0039】
すなわち、有機金属化合物の添加量が、Ni100モルに対し金属元素に換算して0.10モル未満の場合は、十分な耐酸化性や焼結抑制作用をNi粉末に付与することができず、Niが容易に酸化したり、また焼結収縮挙動の相違からデラミネーションや電極の連続性低下を招来する虞がある。
【0040】
一方、有機金属化合物の添加量が、Ni100モルに対し金属元素に換算して1.0モルを超えると、後述する熱処理を行っても有機成分(例えば、オクチル酸)が十分に蒸発揮散し切れず、炭素成分として残留し、このため炭素含有量を0.5wt%以下に抑制することができない。その結果、粉末に粘りが生じてNi粒子同士が固着したり強固に凝集し、新たに粗粒が生成される。そして、斯かる粗粒を含有したNiペーストを積層電子部品の内部電極用材料に使用した場合、薄くて均一な電極層を形成するのが困難となる。しかも、前記炭素成分は焼成時に揮発ガスとなって応力を発生し、セラミック素体との密着力低下を招来してデラミネーションの発生原因ともなる。
【0041】
そこで、本実施の形態では、有機金属化合物の添加量を、Ni100モルに対し金属元素に換算して0.10〜1.0モルに設定している。
【0042】
次に、このようにしてボールミルで混合した後、混合媒体と分離してスラリーを取り出し、ロータリーエバポレータ等の蒸発装置を使用して有機溶剤を蒸発させた後、所定目開き(例えば、500μm以下)のフルイを通過させることにより前記スラリーを解砕し、有機金属化合物で被覆された被覆Ni粉末を作製する。
【0043】
次に、前記被覆Ni粉末を炭素含有量が0.5wt%以下となるように大気中で温度200℃〜300℃の熱処理条件で熱処理を施す。
【0044】
すなわち、炭素含有量が0.5wt%を超えると、上述したようにデラミネーションの発生等積層型電子部品の性能・信頼性に悪影響を及ぼすため、炭素含有量が0.5wt%以下となるように熱処理を施す。
【0045】
そして、熱処理条件を、上述のように温度200〜300℃の大気雰囲気で行うこととしたのは以下の理由による。
【0046】
Ni粒子を有機金属化合物で被覆した後、熱処理を行わなければ被覆Ni粉末に粘りが生じて凝集等するため、熱処理を行なって有機成分を蒸発揮散させる必要がある。
【0047】
しかし、熱処理温度が300℃を超えると、Niが酸化し始めるため、却って凝集が生じ易くなる。一方、熱処理温度が200℃未満の場合は有機成分の蒸発揮散が進まず、粉末に粘りが生じて凝集する。
【0048】
そこで、本実施の形態では、熱処理温度を200〜300℃に設定して行うこととした。
【0049】
また、窒素雰囲気等の還元雰囲気ではなく大気雰囲気で行うこととしたのは以下の理由による。
【0050】
還元雰囲気では有機成分の酸化・分解等による蒸発揮散が促進されず、炭素含有量を0.5wt%以下に低減するためには高温度で行わなければならないが、斯かる高温度で熱処理を行うとNi粉末同士が凝集等し、粗粒が生成されてしまう。また、還元雰囲気では温度を300℃に設定して熱処理を行っても燃焼反応が生じず、熱分解反応が起こるのみであり、したがって有機成分が蒸発揮散されずに0.5wt%を超える炭素が残留してしまう。
【0051】
これに対して大気雰囲気で熱処理を行う場合は温度を200〜300℃に設定することにより、酸素が供給されて燃焼反応が起こり、熱分解反応と相俟って有機成分の蒸発揮散が促進され、炭素含有量が0.5wt%以下に抑制されてNi粉末の凝集等が生じることもなく、デラミネーションの発生を効果的に防止することができる。
【0052】
そこで、本実施の形態では熱処理を大気雰囲気中で行うこととした。
【0053】
そしてその後、ジェットミル等で粉砕処理して粒子を解砕し、これにより粗粒が生成されることなく、図1に示すようなNi粉末が製造される。
【0054】
このように本実施の形態によれば、Ni粒子の表面を有機金属化合物で被覆し、その後熱処理を施して炭素含有量を0.5wt%以下としているので、Ni粉末には耐酸化性及び焼結抑制作用が付与されると共に、有機金属化合物に含有される有機成分が十分に蒸発揮散され、粗粒が生じたり焼成時に蒸発揮散ガスが発生するのを極力防止することができる。
【0055】
しかも、大気雰囲気中、200〜300℃で熱処理を行った後、ジェット粉砕して解砕処理を行なっているので、Ni粉末が凝集等して再度粗粒が生成されることもなく所望の微細なNi粉末を得ることができる。
【0056】
このように本Ni粉末は、耐熱性、耐酸化性及び焼結抑制作用に優れた微細なNi粉末を得ることができ、内部電極用導電性ペーストに使用した場合であってもデラミネーションの発生や内部電極の連続性低下を防止することができる信頼性に優れた積層型コンデンサ等の電子部品を得ることができる。
【0057】
【実施例】
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0058】
(第1の実施例)
本発明者は、有機金属化合物としてオクチル酸ジスプロシウム(Dy(C15COO))を使用してNi粉末を作製した。
【0059】
すなわち、ランタノイドに属する平均粒径2〜10nmのジスプロシウム(Dy)をオクチル酸(C15COOH)と化学結合させてオクチル酸ジスプロシウムを生成し、Dyの含有量が10wt%となるようにオクチル酸ジスプロシウムをキシレンに溶解させてオクチル酸ジスプロシウム溶液を作製した。
【0060】
次いで、平均粒径0.2μmのNi粒子を50g、前記オクチル酸ジスプロシウム溶液、トルエンとエチルアルコールとを体積比で4:1に調合した有機溶剤を40g、及び混合媒体として直径2mmのPSZ製(Partially Stabilized Zirconia;部分安定化ジルコニア)玉石を300g使用し、これらをボールミルに投入し、4時間混合した。
【0061】
また、オクチル酸ジスプロシウム溶液は、金属成分であるDyがNi100モルに対し、0.10、0.25、0.5、及び1.0モルとなるように夫々添加した。
【0062】
尚、前記有機溶剤はオクチル酸ジスプロシウム溶液に対して可溶なものとして選択した。
【0063】
次に、上述の如く混合処理をした後、玉石と分離させてスラリーをボールミルから取り出し、その後ロータリーエバポレータを使用して有機溶剤であるトルエン及びエタノールを蒸発させ、さらに、目開き500μm以下のフルイを通過させることによって解砕処理を施し、オクチル酸ジスプロシウムで被覆された被覆Ni粉末を作製した。
【0064】
次に、この被覆Ni粉末を、大気雰囲気下、260℃まで3℃/minの昇温速度で温度を上昇させ、260℃に達した後は、該260℃で6時間保持して熱処理を施し、オクチル酸を蒸発揮散させた。
【0065】
そしてこの後、ジェットミル(日本ニューマチック社製PJM−100SP)を使用し、ノズル径2mm、空気圧5.9×10Pa(≒6kgf/cm)の条件下、解砕処理を行ない、オクチル酸ジスプロシウム溶液の添加量が異なる4種類のNi粉末を作製した。
【0066】
また、本発明者は、Ni粒子を有機金属化合物で被覆することなく、上記熱処理及びジェット粉砕を施した試験片を作製した(比較例1)。
【0067】
さらに、本発明者は、オクチル酸ジスプロシウム溶液を、Dy換算でNi100モルに対し1.5モル添加したNi粉末を、上述と同様の方法で作製した(比較例2)。
【0068】
次に、本発明者は、各実施例及び比較例について耐酸化性、粒度分布として累積50%粒度D50、及び累積90%粒度D90、炭素含有量、Niペーストとした時の収縮開始温度、積層コンデンサとした時のデラミネーション発生率を夫々測定し、算出した。
【0069】
ここで、耐酸化性は、熱分析装置(TG−DTA;Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を使用し、大気中にて室温(25℃)から800℃まで試験片を加熱していき、図2に示す熱重量分析曲線(TG曲線)から耐酸化性を評価した。
【0070】
すなわち、図2において、横軸が温度T(℃)、縦軸が重量増加率ΔW(%)を示しており、各試験片を25℃〜800℃の間で漸次加熱してゆくと酸化による発熱で250℃付近から重量増加が生じ、500℃付近で平衡に達する。
【0071】
そして、本第1の実施例では重量増加速度最大点Cで接線を引き、横軸との交点を酸化開始温度T1、重量増加終了点から横軸に平行に引いた線との交点を酸化終了温度T2とし、酸化開始温度T1及び酸化終了温度T2を計測し、耐酸化性を評価した。
【0072】
また、各試験片の炭素含有量は、炭素硫黄分析計(CS計)で測定した。
【0073】
さらに、各試験片のD50値及びD90値は、粒度分布測定装置(マイクロトラック社製)を使用し、分散媒をエチルアルコールとしてレーザ回折散乱法で測定した。
【0074】
ペースト時の収縮開始温度は、各試験粉末に有機バインダ、溶剤、分散剤を加えて3本ロールミルで分散させ、これによりNiペーストを作製し、次いでNiペーストをガラス基板にスクリーン印刷して塗膜を形成し、乾燥後、掻き落として圧粉体とし、熱機械分析装置(TMA:Thermomechanical Analysis)で収縮開始温度を測定した。該収縮開始温度は、10℃/minの昇温速度で温度を1300℃まで上昇させ、各圧粉体が収縮を開始するときの温度を測定した。
【0075】
また、デラミネーション発生率は、以下のようにして測定した。
【0076】
焼成後の誘電体層が3μmとなるように形成されたチタン酸バリウムを主成分とするセラミックシートを作製し、焼成後の電極層が1.5μmとなるように上述のNiペーストを前記セラミックシート上にスクリーン印刷し、次いで、このようにしてNiペーストの印刷されたセラミックシートを350層積層して圧着し、大気雰囲気下、270℃で脱バインダ処理を行った後、還元雰囲気下1250℃で焼成処理を行ない、縦3.2mm、横1.6mm、厚み1.6mmの積層セラミックコンデンサを作製した。
【0077】
このようにして各試験片毎に300個の積層セラミックコンデンサを作製し、超音波探傷装置でデラミネーションの発生率を測定した。
【0078】
表1はこれらの測定結果を示している。
【0079】
【表1】
Figure 2004002923
この表1から明らかなように、比較例1ではNi粒子がDyで被覆されていないため、酸化開始温度T1が335℃、酸化終了温度T2が478℃と低く耐酸化性に劣り、Ni粉末が容易に酸化してしまうことが分かった。また、Dy粒子が被覆されていないため、収縮開始温度も750℃と低く、約900℃で焼結収縮が開始するセラミック材料との間で収縮挙動の相違が顕著であり、デラミネーション発生率が50%と高いことが確認された。また前記収縮挙動が相違することから、電極の連続性が低下するものと推認される。
【0080】
比較例2は、被覆金属であるDy粒子の含有量が1.5モルと多いため、熱処理でオクチル酸を十分に蒸発揮散することができず、このため炭素含有量が0.55wt%と多く、粉末に粘りが生じて熱処理時に凝集等が生じ、このためジェット粉砕をしても粉砕しきれなく、その結果、D90が1.92μmと大きくなってNi粉末が粗粒化し、デラミネーションの発生率が5%となった。また、炭素含有量が0.55wt%と多いことから、Ni密度が低下して電極の連続性低下を招来するものと推認される。
【0081】
これに対して実施例1〜4は、Ni粒子をDyで被覆しているので、酸化開始温度T1が351〜413℃、酸化終了温度T2が490〜525℃、ペースト時の収縮開始温度が800〜850℃となり、比較例1と比べて耐酸化性及び焼結抑制作用が付与されていることが分かった。また、Dyの含有量が0.10〜1.0モルの範囲内であり、熱処理で炭素含有量を0.5wt%以下に抑制することができ、しかも熱処理後にジェット粉砕して解砕処理を行なっているので、Ni粉末が凝集等することもなく、デラミネーションの発生を防止することのできることが確認された。
【0082】
また、上述したように焼結抑制作用が付与されているためNiペーストとセラミックとの間の収縮挙動が略一致し、また炭素含有量が0.5wt%以下に抑制されていることからNi密度が過度に低下することもなく、電極の連続性は確保されていると推認される。
【0083】
尚、実施例1〜4から明らかなようにDy含有量が増加するに伴い、酸化開始温度T1、酸化終了温度T2、及び収縮開始温度の上昇することが確認され、Dyを含有させることにより耐酸化性及び焼結抑制作用の付与されることが確認された。
【0084】
また、本発明者は、Dy含有量が0.25モル、0.50モルについて熱処理後のジェット粉砕を省略した試験片を作製し、D50値、D90値を比較したところ、ジェット粉砕を省略した場合は0.25モルのときはD50値が1.29μm、D90値が7.70μm、0.50モルのときはD50値が1.80μm、D90値は12.99μmといずれもジェット粉砕をした場合(実施例2、3)に比べて粒度が粗い。すなわち、熱処理後にジェット粉砕を行うことにより、凝集等に起因した粗粒が生成されるのを効果的に阻止することができ、電極層の膜厚が2μm以下の薄層の積層コンデンサ用内部電極にも対処できることが分かった。
【0085】
最後に、本発明者は、実施例3の試験粒子を超薄切片法で輪切りにし、透過電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、Ni粒子の周囲を炭素成分が覆い、該炭素成分の周囲をDy粒子が囲んでいることが確認された。この内、炭素成分はオクチル酸が分解・蒸発揮散した後に残留したものであり、膜厚1nm以下で焼成工程に影響を及ぼすものでないと考えられる。また、Dy粒子は2〜10nmで、Ni粒子(0.2μm)に比べて十分に小さく、Ni粒子を略均一に被覆していることが分かった。すなわち、オクチル酸がNi粒子の表面を濡らし、Dyを略均一に分散させて該Ni粒子を被覆していることが確認された。
【0086】
(第2の実施例)
次に、本発明者は、熱処理条件と炭素含有量及び粉体状態について調べた。
【0087】
すなわち、まず、第1の実施例と同様、Ni粒子、オクチル酸ジスプロシウム溶液、有機溶剤(トルエン:エチルアルコール=4:1)、PSZ製玉石をボールミルに投入し、4時間混合した。
【0088】
尚、本第2の実施例では、オクチル酸ジスプロシウム溶液は、金属成分であるDyがNi100モルに対し、0.25モルとなるように添加した。
【0089】
次いで、第1の実施例と同様、有機溶剤を蒸発させた後、解砕して被覆Ni粉末を得、その後、大気雰囲気下、昇温速度3℃/minの昇温速度で熱処理温度が200℃、250℃、300℃になるまで夫々上昇させ、これらの熱処理温度で6時間保持して熱処理を施し、オクチル酸を蒸発揮散させた。
【0090】
そしてこの後、第1の実施例と同様、ジェットミルで粉砕処理を行ない、実施例11〜13のNi粉末を作製した。
【0091】
また、本発明者は、熱処理を窒素雰囲気中、温度300℃で行った試験粉末(比較例11)、大気雰囲気中、温度350℃で行った試験粉末(比較例12)、窒素雰囲気中、温度350℃で行った試験粉末(比較例13)を作製した。
【0092】
そして、本発明者は、第1の実施例と同様、炭素硫黄分析計で炭素含有量を測定し、また、目開き500μmのフルイを通過するか否かで凝集等の有無を判断した。
【0093】
表2は熱処理条件と測定結果を示している。
【0094】
【表2】
Figure 2004002923
この表2から明らかなように、比較例11は熱処理温度を300℃で行っているものの窒素雰囲気であるため、燃焼反応が起こらずに熱分解反応のみが生じ、このためオクチル酸の蒸発揮散が促進されず、炭素含有量が0.55%と多くなって粗粒が生じ易くなり、凝集等が生じることが確認された。
【0095】
また、比較例12は大気雰囲気下、350℃で熱処理を行っているため、オクチル酸の蒸発揮散は十分になされて炭素含有量は0.01wt%以下となるが、熱処理温度が高すぎるため、Ni粉末の凝集等が生じた。
【0096】
また、比較例13は窒素雰囲気下で、しかも350℃の高温で熱処理を行っているため、Ni粉末の凝集等が生じた。
【0097】
これに対し、実施例11〜13は大気雰囲気下、200〜300℃の温度で熱処理を行っているため、オクチル酸が十分に蒸発揮散されて炭素含有量も0.50wt%以下に抑制され、また凝集等も生じないことが確認された。
【0098】
(第3の実施例)
本発明者は、有機金属化合物としてオクチル酸ジルコニウム(Zr(C15COO))を使用し、Ni粉末を作製した。
【0099】
すなわち、平均粒径2〜10nmのジルコニウム(Zr)をオクチル酸(C15COOH)と化学結合させてオクチル酸ジルコニウムを生成し、Zrの含有量が10wt%となるようにオクチル酸ジルコニウムをキシレンに溶解させてオクチル酸ジルコニウム溶液を作製した。
【0100】
次いで、平均粒径0.2μmのNi粒子を50g、前記オクチル酸ジルコニウム、有機溶剤としてのトルエンを40g、及び混合媒体として直径2mmのPSZ製玉石を300g使用し、これらをボールミルに投入し、4時間混合した。
【0101】
また、オクチル酸ジルコニウム溶液は、ZrがNi100モルに対し、0.10、0.25、0.5、及び1.0モルとなるように夫々添加した。
【0102】
そしてこの後、第1の実施例と同様、トルエンを蒸発させた後、解砕処理を施し、次いで、熱処理及びジェット粉砕を行い、オクチル酸ジルコニウム溶液の添加量が異なる4種類のNi粉末を作製した(実施例21〜24)。
【0103】
次に、本発明者は、第1の実施例と同様の方法で、各実施例について耐酸化性、D50、D90、炭素含有量、Niペーストとした時の収縮開始温度、積層コンデンサとした時のデラミネーション発生率を夫々測定し、算出した。
【0104】
表3はこれらの測定結果を示している。
【0105】
【表3】
Figure 2004002923
この表3から明らかなように、実施例21〜24は、Ni粒子をZrで被覆しているので、酸化開始温度T1が338〜405℃、酸化終了温度T2が485〜514℃、ペースト時の収縮開始温度が820〜880℃であり、第1の実施例の比較例1(表1)と比較して耐酸化性及び焼結抑制作用が付与されていることが分かる。また、Zrの含有量が0.10〜1.0モルの範囲内であるので、所定の熱処理を行うことにより炭素含有量を容易に0.5wt%以下に抑制することができ、しかもNi粉末を熱処理後にジェット粉砕しているので、粉末の凝集等が生じることもなく、デラミネーションの発生を回避できることが分かった。
【0106】
また、第1の実施例と同様、焼結抑制作用が付与されているためNiペーストとセラミックとの間の収縮挙動が略一致し、また炭素含有量が0.5wt%以下に抑制されていることからNi密度が過度に低下することもなく、電極の連続性は確保されていると推認される。
【0107】
そして、第1の実施例との比較においては、Zrの場合は、Dyに比べて耐酸化性にやや劣るが、焼結抑制作用に優れることがわかる。このように使用する金属元素によって、耐酸化性や焼結抑制作用に優劣はあるものの、オクチル酸がNi微粉末を濡らして金属元素を被覆することにより、デラミネーション抑制に効果のあることが確認された。
【0108】
(第4の実施例)
本発明者は、有機金属化合物としてオクチル酸バリウム(Ba(C15COO))を使用し、Ni粉末を作製した。
【0109】
すなわち、平均粒径2〜10nmのバリウム(Ba)をオクチル酸(C15COOH)と化学結合させてオクチル酸バリウムを生成し、Baの含有量が10wt%となるようにオクチル酸バリウムをキシレンに溶解させてオクチル酸バリウム溶液を作製した。
【0110】
次いで、平均粒径0.2μmのNi粒子を50g、前記オクチル酸バリウム、有機溶剤としてのトルエンを40g、及び混合媒体として直径2mmのPSZ製玉石を300g使用し、これらをボールミルに投入し、4時間混合した。
【0111】
また、オクチル酸バリウム溶液は、BaがNi100モルに対し、0.25、0.5、及び1.0モルとなるように夫々添加した。
【0112】
そしてこの後、第1の実施例と同様、トルエンを蒸発させた後、解砕処理を施し、次いで、熱処理及びジェット粉砕を行い、オクチル酸ジルコニウム溶液の添加量が異なる3種類のNi粉末を作製した(実施例31〜33)。
【0113】
次に、本発明者は、第1の実施例と同様の方法で、各実施例について耐酸化性、D50、D90、炭素含有量、Niペーストとした時の収縮開始温度、積層コンデンサとした時のデラミネーション発生率を夫々測定し、算出した。
【0114】
表4はこれらの測定結果を示している。
【0115】
【表4】
Figure 2004002923
この表4から明らかなように、実施例31〜33はNi粒子をBaで被覆しているので、酸化開始温度T1が395〜406℃、酸化終了温度T2が499〜521℃、ペースト時の収縮開始温度が810〜860℃であり、第1の実施例の比較例1(表1)と比較して耐酸化性及び焼結抑制作用が付与されていることが分かる。また、Baの含有量が0.25〜1.0モルの範囲内であるので、所定の熱処理を行うことにより炭素含有量を容易に0.5wt%以下に抑制することができ、しかもNi粉末を熱処理後にジェット粉砕しているので、粉末の凝集等が生じることもなく、デラミネーションの発生を回避できることが確認された。
【0116】
また、第1の実施例と同様、焼結抑制作用が付与されているためNiペーストとセラミックとの間の収縮挙動が略一致し、また炭素含有量が0.5wt%以下に抑制されていることからNi密度が過度に低下することもなく、電極の連続性は確保されていると推認される。
【0117】
(第5の実施例)
(実施例41〜45)
本発明者は、有機金属化合物としてオクチル酸マグネシウム(Mg(C15COO))、オクチル酸カルシウム(Ca(C15COO))、オクチル酸ストロンチウム(Sr(C15COO))、オクチル酸イットリウム(Y(C15COO))、及びオクチル酸チタン(Ti(C15COO))を夫々使用し、Ni粉末を作製した。
【0118】
すなわち、平均粒径2〜10nmのMg、Ca、Sr、Y、及びTiの各金属を夫々オクチル酸(C15COOH)と化学結合させてオクチル酸金属を生成し、各金属の含有量が10wt%となるようにオクチル酸金属をトルエンに溶解させてオクチル酸金属溶液を作製した。
【0119】
次いで、平均粒径0.2μmのNi粒子を50g、前記オクチル酸金属溶液、有機溶剤としてのトルエンを40g、及び混合媒体として直径2mmのPSZ製玉石を300g使用し、これらをボールミルに投入し、4時間混合した。
【0120】
また、オクチル酸金属溶液は、各金属がNi100モルに対し、0.25モルとなるように添加した。
【0121】
そしてこの後、第1の実施例と同様、有機溶剤を蒸発させた後、解砕処理を施し、その後、熱処理及びジェット粉砕を行い、Ni粉末を作製した。
【0122】
(実施例46、47)
本発明者は、有機金属化合物としてオクチル酸イッテルビウム(Yb(C15COO))、オクチル酸ガドリニウム(Gd(C15COO))を夫々使用し、Ni粉末を作製した。
【0123】
すなわち、平均粒径2〜10nmのYb、Gdの各金属を夫々オクチル酸(C15COOH)と化学結合させてオクチル酸金属を生成し、各金属の含有量が10wt%となるようにオクチル酸金属をキシレンに溶解させてオクチル酸金属溶液を作製した。
【0124】
次いで、平均粒径0.2μmのNi粒子を50g、前記オクチル酸金属溶液、有機溶剤としてのトルエンを40g、及び混合媒体として直径2mmのPSZ製玉石を300g使用し、これらをボールミルに投入し、4時間混合した。
【0125】
また、オクチル酸金属溶液は、各金属がNi100モルに対し、0.25モルとなるように添加した。
【0126】
そしてこの後、第1の実施例と同様、有機溶剤を蒸発させた後、解砕処理を施し、その後、熱処理及びジェット粉砕を行い、Ni粉末を作製した。
【0127】
次に、本発明者は、第1の実施例と同様の方法で、各実施例41〜47について耐酸化性、D50、D90、炭素含有量、Niペーストとした時の収縮開始温度、積層コンデンサとした時のデラミネーション発生率を夫々測定し、算出した。
【0128】
表5はこれらの測定結果を示している。
【0129】
【表5】
Figure 2004002923
この表5から明らかなように、実施例41〜47はNi粒子をこれら金属で被覆しているので、酸化開始温度T1が388〜410℃、酸化終了温度T2が492〜517℃、ペースト時の収縮開始温度が800〜870℃であり、第1の実施例の比較例1(表1)と比較して耐酸化性及び焼結抑制作用が付与されていることが分かる。また、金属の含有量は0.25モルであり、所定の熱処理を行うことにより炭素含有量を0.5wt%以下に容易に抑制することができ、しかもNi粉末を熱処理後にジェット粉砕しているので、粉末の凝集等が生じることもなく、デラミネーションの発生を回避できる。
【0130】
また、第1の実施例と同様、焼結抑制作用が付与されているためNiペーストとセラミックとの間の収縮挙動が略一致し、また炭素含有量が0.5wt%以下に抑制されていることからNi密度が過度に低下することもなく、電極の連続性は確保されていると推認される。
【0131】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明に係るNi粉末の製造方法は、Ni粒子の表面を有機金属化合物で被覆する被覆工程と、該被覆工程により有機金属化合物で被覆された被覆Ni粒子に熱処理を施し、炭素含有量を重量%で0.5%以下とする熱処理工程とを含んでいるので、残留炭素に起因した粗粒の生成を回避することができ、積層型電子部品の内部電極用導電性ペーストに使用した場合であってもデラミネーションが生じることなく且つ電極の連続性を損なうことのないNi粉末を製造することができる。
【0132】
また、前記熱処理工程で熱処理された被覆Ni粒子をジェット粉砕等で解砕処理する解砕工程を含んでいるので、凝集等していない微粉末状のNi粉末を得ることができる。
【0133】
また、前記熱処理工程は、大気雰囲気中、温度200℃〜300℃で行なうので、粉末に粘りが生じることもなく、所望のNi粉末を得ることができる。
【0134】
また、前記有機金属化合物は、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Ti、Zr、及びランタノイドの中から選択された少なくとも1種以上の金属種を含有し、その含有量を、Ni100モルに対し、金属元素に換算して0.10〜1.0モルとすることにより、Ni粉末には耐酸化性及び焼結抑制作用を付与することができ、上述したデラミネーションの発生防止に寄与するNi粉末を得ることができる。
【0135】
また、前記有機金属化合物に含有される有機成分としては、カルボン酸、好ましくはオクチル酸を使用することにより、熱処理により有機成分を容易に蒸発揮散させることができ、低炭素含有量のNi粉末を容易に得ることができる。
【0136】
また、本発明に係るNi粉末は、前記Ni粉末の製造方法を使用して製造されているので、炭素含有量が少なく、粒径も細かく、したがって本Ni粉末を積層型電子部品の内部電極用導電性ペーストに使用した場合であってもデラミネーションが生じることなく、内部電極の連続性が低下するのを回避することができ、信頼性に優れた積層型電子部品の実現に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法を使用して製造されたNi粉末を模式的に示した断面図である。
【図2】Ni粉末の耐酸化性を示すTG曲線の一例を示した図である。
【符号の説明】
1 Ni粒子
2 炭素薄膜
3 金属粒子

Claims (8)

  1. ニッケル粒子の表面を有機金属化合物で被覆する被覆工程と、
    該被覆工程により有機金属化合物で被覆された被覆ニッケル粒子に熱処理を施し、炭素含有量を重量%で0.5%以下とする熱処理工程とを含むことを特徴とするニッケル粉末の製造方法。
  2. 前記熱処理工程で熱処理された被覆ニッケル粒子を解砕処理する解砕工程を含むことを特徴とする請求項1記載のニッケル粉末の製造方法。
  3. 前記熱処理工程は、大気雰囲気中、温度200℃〜300℃で行なうことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のニッケル粉末の製造方法。
  4. 前記有機金属化合物は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、及びランタノイドの中から選択された少なくとも1種以上の金属種を含有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のニッケル粉末の製造方法。
  5. 前記有機金属化合物の含有量は、ニッケル100モルに対し、金属元素に換算して0.10〜1.0モルであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のニッケル粉末の製造方法。
  6. 前記有機金属化合物に含有される有機成分はカルボン酸であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のニッケル粉末の製造方法。
  7. 前記被覆工程は、前記ニッケル粒子と前記有機金属化合物とを前記有機金属化合物を溶解する溶媒中で混合し、この後、該溶媒を除去することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のニッケル粉末の製造方法。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のニッケル粉末の製造方法を使用して製造されたことを特徴とするニッケル粉末。
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