JP2004001084A - ツインスポットレーザ溶接方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】屋根型プリズムを有するツインスポット光学系を用いたレーザ溶接とアーク溶接とを複合させる、もしくは、屋根型プリズムを連続回転させることにより、施工裕度を広げ、深い溶け込みを得るツインスポットレーザ溶接方法及び装置を提供する。
【解決手段】レーザ溶接を行うツインスポット光学系1と、MIG溶接を行うMIGトーチ2とからなり、ツインスポット光学系1に備えられた屋根型プリズム6を回転駆動機構20によって連続回転させる。
【選択図】 図2
【解決手段】レーザ溶接を行うツインスポット光学系1と、MIG溶接を行うMIGトーチ2とからなり、ツインスポット光学系1に備えられた屋根型プリズム6を回転駆動機構20によって連続回転させる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光により溶接を行うレーザ溶接技術に係わり、特に、被溶接部材に2つの集光スポットを照射する機能を有するツインスポットレーザ溶接方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、レーザ光により金属部材を溶接するレーザ溶接装置が各種提供されている。しかしながら、単一のレーザ光によるレーザ溶接では、深い溶け込みや高速溶接等の利点がある一方、被溶接部へ照射される集光スポットの照射範囲が狭いことに起因して、被溶接部の狙い位置と集光スポットにズレが発生する可能性があり、さらに、例えば、突き合わせ溶接の場合に、2つの被溶接部材間の開先に隙間が存在すると、レーザ光が隙間を通過してしまい安定した施工を行うことができないという欠点があった。
【0003】
これに対して、レーザ発振器から光ファイバを通してレーザ光を導入し、被溶接部材に照射する光学系において、レーザ光を2つに分割して被溶接部材に2つの集光スポットを照射する、いわゆるツインスポット光学系が提案されている。
【0004】
例えば、特開2001−47272号公報には、レーザ溶接加工方法が開示されており、ツインスポット光学系は、レーザ発振器からレーザ光を受光する受光部と、受光したレーザ光を2つに分割するための屋根型プリズムと該屋根型プリズムをレーザ光の光軸に対して直角な方向に可動な状態で保持している保持部とを含んで受光したレーザ光を可変分割比で分割するビーム分割手段と、分割されたレーザ光をスポット光として異なる位置に照射する加工レンズとからなる。
【0005】
上記の構成によれば、屋根型プリズムを移動させることによりレーザ光の分割比を1:1から1:0の範囲で任意に設定でき、また、屋根型プリズムを変更させて傾斜部の傾斜角度を変更することにより2つのスポット光の中心間隔(スポット間隔)が変更され、2つのスポット光の適切な出力比率とスポット間隔が特定されている。
【0006】
また、上述のツインスポット光学系のレーザ溶接に対して、広い溶接範囲において深い溶け込みが得られるように、単一のレーザ光によるレーザ溶接と、さらに従来から汎用されているTIG溶接等のアーク溶接とを同一の溶接部に対して同時に行う複合溶接の研究がなされている。
【0007】
例えば、特開平9−122950号公報には、複合溶接ヘッドが開示されている。複合溶接ヘッドは、電極ホルダーに備えられたタングステン電極と、前記電極ホルダーの外周面に嵌装された集光レンズ光学系とからなり、タングステン電極と母材間に電圧を印加し、アークを発生させた状態で不活性ガスを送ってTIG溶接を行う。同時に、集光レンズ光学系を通してレーザ光を母材上に集光してレーザ溶接を行うので、レーザ溶接とTIG溶接を同一部分に正確に一致させた複合溶接がなされる。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−122950号公報
【0009】
【特許文献2】
特開2001−47272号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなツインスポット光学系の従来技術においては、施工裕度が拡大するものの、レーザ光のエネルギー密度の低下により、溶け込み深さや加工速度が減少するという問題があった。
また、複合溶接の従来技術においては、レーザ光の照射によってアークの集中性が増加し、高速・高溶着量、かつ、深い溶け込みが得られるものの、広い施工裕度を得ることが難しいという問題があった。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、屋根型プリズムを有するツインスポット光学系を用いたレーザ溶接とアーク溶接とを複合させる、もしくは、屋根型プリズムを連続回転させることにより、施工裕度を広げ、深い溶け込みを得るツインスポットレーザ溶接方法及び装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、レーザ光を2つに分割して被溶接部材に2つの集光スポットを形成させる屋根型プリズムを有するツインスポット光学系と、アークトーチとを用いて、前記被溶接部材の同一被溶接部に対して、前記ツインスポット光学系によるレーザ溶接と、前記アークトーチによるアーク溶接とを同時に実施することを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接方法によれば、被溶接部材の同一被溶接部に対して、ツインスポット光学系によるレーザ溶接と、アークトーチによるアーク溶接とが同時に実施される。
【0013】
請求項2に記載した発明は、前記アーク溶接は、MIG溶接であることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接方法によれば、アーク溶接として、MIG溶接が採用される。
【0014】
請求項3に記載した発明は、前記レーザ光に対する溶接進行方向の前方と後方との2カ所に前記アークトーチを用い、2カ所の前記アークトーチにより2方向からアーク溶接を実施することを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接方法によれば、2カ所のアークトーチにより2方向からアーク溶接が実施される。
【0015】
請求項4に記載した発明は、前記アーク溶接は、プラズマアーク溶接であることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接方法によれば、アーク溶接として、プラズマアーク溶接が採用される。
【0016】
請求項5に記載した発明は、前記屋根型プリズムを、前記レーザ光の光軸に対する平行軸を中心として回転させることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接方法によれば、屋根型プリズムは、レーザ光の光軸に対する平行軸を中心として回転される。
【0017】
請求項6に記載した発明は、レーザ光を2つに分割して被溶接部材に2つの集光スポットを形成させる屋根型プリズムを有するツインスポット光学系を用いて、前記屋根型プリズムを、前記レーザ光の光軸に対する平行軸を中心として回転させることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接方法によれば、屋根型プリズムは、レーザ光の光軸に対する平行軸を中心として回転される。
【0018】
請求項7に記載した発明は、一方の集光スポットが他方の集光スポットを中心として公転するように屋根型プリズムの形状を設定することを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載した発明は、レーザ光の光軸に対する屋根型プリズムの位置を調節することにより2つの集光スポットの光量比を可変することを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載した発明は、レーザ光を2つに分割して被溶接部材に2つの集光スポットを形成させる屋根型プリズムを有するツインスポット光学系を備えたツインスポットレーザ溶接装置であって、前記被溶接部材の被溶接部に対して、前記ツインスポット光学系によるレーザ溶接に加えて、前記被溶接部にアーク溶接を同時に実施するアークトーチを備えることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接装置によれば、被溶接部材の同一被溶接部に対して、ツインスポット光学系によるレーザ溶接と、アークトーチによるアーク溶接とが同時に実施される。
【0021】
請求項10に記載した発明は、前記アークトーチは、MIGトーチであることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接装置によれば、アークトーチとして、MIGトーチが採用される。
【0022】
請求項11に記載した発明は、前記アークトーチは、前記レーザ光に対する溶接進行方向の前方に備えることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接装置によれば、アークトーチは、レーザ光に対する溶接進行方向の前方に設置される。
【0023】
請求項12に記載した発明は、前記アークトーチは、前記レーザ光に対する溶接進行方向の前方と後方との2カ所に備えることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接装置によれば、アークトーチは、レーザ光に対する溶接進行方向の前方と後方との2カ所に設置される。
【0024】
請求項13に記載した発明は、前記アークトーチは、プラズマアークトーチであることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接装置によれば、アークトーチとして、プラズマアークトーチが採用される。
【0025】
請求項14に記載した発明は、前記アークトーチは、前記レーザ光に対する溶接進行方向の前方、もしくは後方のいずれか一方に備えることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接装置によれば、アークトーチは、前記レーザ光に対する溶接進行方向の前方、もしくは後方のいずれか一方に設置される。
【0026】
請求項15に記載した発明は、前記ツインスポット光学系には、前記屋根型プリズムを前記レーザ光の光軸に対する平行軸を中心として回転させる回転駆動機構を備えることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接装置によれば、回転駆動機構によって、屋根型プリズムが回転される。
【0027】
請求項16に記載した発明は、レーザ光を2つに分割して被溶接部材に2つの集光スポットを形成させる屋根型プリズムを有するツインスポット光学系を備えたツインスポットレーザ溶接装置であって、前記ツインスポット光学系には、前記屋根型プリズムを前記レーザ光の光軸に対する平行軸を中心として回転させる回転駆動機構を備えることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接装置によれば、回転駆動機構によって、屋根型プリズムが回転される。
【0028】
請求項17に記載した発明は、前記回転駆動機構は、前記屋根型プリズムを保持し、かつ従動プーリを有して回転自在なプリズム支持部と、駆動プーリが接続されたモータと、前記駆動プーリの回転力を前記従動プーリへ伝達するベルトとを備えることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接装置によれば、モータの駆動によって駆動プーリが回転し、ベルトを介して駆動プーリの回転力を従動プーリに伝達し、従動プーリに連設されたプリズム支持部が回転することにより、屋根型プリズムが回転される。
【0029】
請求項18に記載した発明は、一方の集光スポットが他方の集光スポットを中心として公転するように屋根型プリズムの形状を設定することを特徴とする。
【0030】
請求項19に記載した発明は、レーザ光の光軸に対する屋根型プリズムの位置を調節することにより2つの集光スポットの光量比を可変することを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施形態について図示例に基づいて説明する。
図1に示すように、ツインスポットレーザ溶接装置は、レーザ溶接を行うツインスポット光学系1と、MIG溶接を行うMIGトーチ2とからなる。
【0032】
ツインスポット光学系1は、不図示のYAGレーザ発振器から発振されるレーザ光を伝送させる光ファイバ3と、該光ファイバ3の出射端面から拡大するレーザ光を平行光に変換するコリメートレンズ4と、該コリメートレンズ4からの平行光を集光させて被溶接部材100上に集光スポットを形成させる対物レンズ5と、前記集光スポットを2つに分割する屋根型プリズム6とを備えている。また、レンズ等の汚れを防止するために、光ファイバ3の出射端面とコリメートレンズ4との間に第1保護レンズ7が配設され、屋根型プリズム6と被溶接部材100との間に第2保護レンズ8が配設されている。屋根型プリズム6は、図中下側に左右に傾斜した対称的出射面を有する。
【0033】
上記ツインスポット光学系1を構成する各部材は、被溶接部材100の被溶接部に対して垂直方向に設けられた加工ヘッド10に備えられている。加工ヘッド10は、光ファイバ3のレーザ光出射部と第1保護ガラス7とコリメートレンズ4、及び対物レンズ5とをそれぞれ支持する上部ケース11と、屋根型プリズム6を着脱自在に支持する中間ケース12と、第2保護レンズ8を支持し被溶接部材100へのレーザ光の出力部となる先端部13とからなる。
【0034】
上部ケース11と中間ケース12、及び先端部13は、それぞれ不図示のボルト等の締結手段によって着脱自在に接続されている。上部ケース11には、不図示であるが、対物レンズ5の支持位置を昇降させる第1の可動機構を有する。さらに、中間ケース12には、不図示であるが、屋根型プリズム6の支持位置をレーザ光の光軸に対して直角方向に移動させる第2の可動機構を有する。
【0035】
MIGトーチ2は、アーク電極15を備えてなり、不図示のMIG溶接装置に接続されている。また、MIGトーチ2は、垂直方向上方から被溶接部にレーザ光を照射させる加工ヘッド10に対して、溶接方向の前方に設置されると共に、アーク電極15が前記被溶接部に向けてアークを発生させることが可能な角度θの傾斜角を有するように設置される。
【0036】
次に、上記図示例の作用について説明する。
不図示のレーザ発振器で発振されたレーザ光は、光ファイバ3により伝送され、光ファイバ3の出射端面から図中下方へ出射される。光ファイバ3の出射端面から発散したレーザ光は、第1保護ガラス7を通過した後、コリメートレンズ4によってコリメートされて平行光束となり、該平行光束は、直進して対物レンズ5に入射する。入射したレーザ光は、対物レンズ5によって集光されて、第2保護ガラス8を通過した後、被溶接部材100の被溶接部上に集光スポットを形成するが、対物レンズ5と被溶接部材100との間に配設された屋根型プリズム6によって、レーザ光は2つに分割され、被溶接部材100の被溶接部上には2つの集光スポットが形成され、レーザ溶接が開始される。レーザ溶接が開始されると同時に、MIGトーチ2より前記被溶接部に向けてアークが発生させられ、MIG溶接が開始される。
【0037】
スポット間隔dは、通常使用時は被溶接部材100上にて約0.8mmであるが、屋根型プリズム6を傾斜角度の異なる屋根型プリズムに交換する、もしくは、不図示の第1の可動機構によって対物レンズ5の焦点距離(バックフォーカス)を変更することによって、約0.4〜1.2mmの間で調整される。また、パワー分割比は、不図示の第2の可動機構によって屋根型プリズム6の位置を移動させることにより調整される。スポット径は、約0.6mmであり、前記パワー分割比によらず一定である。
【0038】
このように、本実施形態によれば、ツインスポット光学系1を採用することにより施工裕度が拡大するので、被溶接部の開先が開いた場合においてもレーザ光が開先に照射すると共に、MIGトーチ2からのアークが2つの集光スポットへ集中する効果によって安定した溶接を行うことが可能となる。
【0039】
図2は、本発明の第2の実施形態を示す図であり、本図中において、図1と同一構成のものには、同一の符号を付している。
本実施形態におけるツインスポットレーザ溶接装置では、ツインスポット光学系1の基本構成とMIGトーチ2の構成は、図1に示す第1の実施の形態と同様であるが、屋根型プリズム6をレーザ光の光軸に対する平行軸を中心として連続回転させる回転駆動機構20を有することを特徴とする。
【0040】
回転駆動機構20は、屋根型プリズム6を保持し、かつ従動プーリ21を有して回転自在なプリズム支持部22と、駆動プーリ23が接続されたモータ24と、駆動プーリ23の回転力を従動プーリ21へ伝達するベルト25とからなる。
【0041】
プリズム支持部22は、円筒状の回転体であり、内周部上方には屋根型プリズム6が着脱自在に保持されており、外周部上方には従動プーリ21が連設されている。また、プリズム支持部22は、回転部ケース26内にベアリング27を介して保持されており、さらに、回転部ケース26は、上部ケース11と先端部13との間に、不図示の締結手段によって接続されている。
【0042】
回転部ケース26の側面には、モータ24を保持する駆動部ケース28が、不図示の締結手段によって接続されている。モータ24の駆動軸29は、カップリング30に嵌装され、さらに、対向側には回転軸31が嵌装される。回転軸31は、ベアリング32を介して駆動部ケース28に支持されており、回転軸31には駆動プーリ23が嵌合されている。
【0043】
上記図示例によれば、ツインスポット光学系1によるレーザ溶接とMIG溶接の複合溶接中に、モータ24を駆動させることによって、ベルト25を介して回転力がプリズム支持部22に伝達し、屋根型プリズム6が連続回転するので、被溶接部上に照射される2つの集光スポットも回転されるという作用を奏する。
【0044】
このように、本実施形態によれば、ツインスポット光学系1を採用することにより施工裕度が拡大するので、被溶接部の開先が開いた場合においてもレーザ光が開先に照射すると共に、MIGトーチ2からのアークが集光スポットへ集中する効果によって安定した溶接を行うことが可能となる。さらに、2つの集光スポットが回転して溶融池が撹拌されるので、深い溶け込みが得られ、アークの集中性を維持することが可能となる。
また、回転力伝達機構としてベルト25が採用されるので、回転時において屋根型プリズム6に伝達する振動を抑えることが可能となる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更も加え得ることは勿論である。
例えば、以下のような変形が考えられる。
【0046】
(1)記各実施形態では、ツインスポット光学系1の構成としては、図中上部から被溶接部材100に向かって、コリメートレンズ4と、対物レンズ5と、屋根型プリズム6とを備えるものとしたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、図中上部より、コリメートレンズ、屋根型プリズム、対物レンズと設置する構成もあり、同様に、図中上部より、屋根型プリズム、コリメートレンズ、対物レンズと設置する構成もあり得る。
【0047】
(2)上記各実施形態では、レーザ装置としてYAGレーザ発振器を採用したが、本発明は、これに限定されるものではなく、他のタイプのレーザ装置を用いても良い。例えば、他のタイプのレーザ装置を用いた場合には、レーザ光の伝送装置として光ファイバ3の代わりに反射鏡等を使用する構成もあり得る。
【0048】
(3)上記各実施形態では、MIGトーチ2を垂直方向上方から被溶接部にレーザ光を照射させる加工ヘッド10に対して、溶接方向の前方に設置する構成としたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、MIGトーチ2を前記レーザ光に対する溶接進行方向の前方と後方との2カ所に備える構成もあり得る。本実施形態によると、施工裕度が確保されると共に、溶着量を大幅に拡大させることが可能となる。また、屋根型プリズム6の回転駆動機構20を有するツインスポット光学系1によるレーザ溶接と組み合わせた場合は、さらに深い溶け込みが得られ、アークの集中性が増すことによって、溶接速度を増加させることが可能となる。
【0049】
(4)上記各実施形態では、ツインスポット光学系1によるレーザ溶接と、MIG溶接との複合溶接となっているが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、MIGトーチ2の代わりとして、レーザ光に対する溶接進行方向の前方、もしくは後方のいずれかにプラズマアークトーチを備える構成もあり得る。本実施形態によると、深い溶け込みの溶接を安定して行うことが可能となる。また、屋根型プリズム6の回転駆動機構20を有するツインスポット光学系1によるレーザ溶接と組み合わせた場合は、さらに深い溶け込みが得られ、アークの集中性が増すことによって、溶接速度を増加させることが可能となる。
【0050】
(5)上記第2の実施形態では、屋根型プリズム6の回転駆動機構20を有するツインスポット光学系1によるレーザ溶接と、MIG溶接との複合溶接となっているが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、MIG溶接を行わずに、屋根型プリズム6の回転駆動機構20を有するツインスポット光学系1によるレーザ溶接のみとする構成もあり得る。本実施形態によっても、施工裕度が拡大し、溶融池が撹拌されるので、被溶接部の開先が開いた場合においてもレーザ光が開先に照射すると共に、深い溶け込みを得ることが可能となる。
【0051】
〔追加事項〕
ところで、上記第2の実施形態は、屋根型プリズム6を用いて2つの集光スポットを生成すると共に、回転駆動機構20によって屋根型プリズム6をレーザ光の光軸に対する平行軸を中心として回転させることによって2つの集光スポットを被溶接部上で連続的に回転させるものである。図2に示されているように屋根型プリズム6における2つの出射面(つまり光軸に直交する入射面に対して所定角度で傾斜した傾斜面)の合わせ部(つまり頂部)がレーザ光の光軸上に位置する場合、2つの集光スポットは、光軸から一定距離離間した位置に形成されると共に、この光軸を中心として公転運動する。
【0052】
これに対して、図3(a)に示すように、2つの出射面6a,6bのいずれが一方の出射面6bが入射面6cに平行に設定された屋根型プリズム6A、あるいは図3(b)に示すように屋根型プリズム6において一方の出射面6bに相当する部位が欠落した形状の屋根型プリズム6Bを用いた場合には、図3(c)に示すように、出射面6bあるいは欠落した部位を通過したレーザ光によって形成される集光スポット(中心集光スポット)の周囲を出射面6aを通過したレーザ光によって形成される集光スポット(公転集光スポット)が公転運動する。
【0053】
また、出射面6bあるいは欠落した部位を通過したレーザ光と出射面6aを通過するレーザ光との比率を調整することにより、上記中心集光スポットと公転集光スポットとの光量比率を調節することができる。すなわち、屋根型プリズム6A,6Bのレーザ光の光軸に対する位置を調節することによって中心集光スポットと公転集光スポットとの光量比率を調節することができる。
【0054】
このような屋根型プリズム6A,6Bを屋根型プリズム6に代えて用いることにより、屋根型プリズム6A,6Bを回転させても被溶接部上で移動しない中心集光スポットによって基本的な溶け込みを得るようにし、屋根型プリズム6A,6Bを回転に伴って中心集光スポットの周りを公転運動する公転集光スポットによって溶融池の撹拌を行うことが可能である。また、公転集光スポットと中心集光スポットとの光量比を調節することにより、被溶接部の溶込み深さと施工裕度とを容易に調節することが可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載した発明によれば、被溶接部材の同一被溶接部に対して、ツインスポット光学系によるレーザ溶接と、アークトーチによるアーク溶接とが同時に実施されるので、施工裕度が拡大し、被溶接部の開先が開いた場合においてもレーザ光が開先に照射すると共に、アークが2つの集光スポットへ集中する効果によって安定した溶接を行うことが可能となる。
【0056】
請求項2に記載した発明によれば、アーク溶接として、MIG溶接が採用されるので、安定した溶接を行うことが可能となる。
【0057】
請求項3に記載した発明によれば、2カ所のアークトーチにより2方向からアーク溶接が実施されるので、溶着量を大幅に拡大させることが可能となる。
【0058】
請求項4に記載した発明によれば、アーク溶接として、プラズマアーク溶接が採用されるので、深い溶け込みの溶接を安定して行うことが可能となる。
【0059】
請求項5及び6に記載した発明によれば、屋根型プリズムは、レーザ光の光軸に対する平行軸を中心として回転されるので、2つの集光スポットが回転して溶融池が撹拌され、深い溶け込みが得られると共に、アーク溶接を複合させた場合は、アークの集中性を維持することが可能となる。
【0060】
請求項7に記載した発明によれば、一方の集光スポットが他方の集光スポットを中心として公転するように屋根型プリズムの形状を設定するので、屋根型プリズムを回転させても被溶接部上で移動しない他方の集光スポットによって基本的な溶け込み深さを得るようにし、屋根型プリズムを回転に伴って他方の集光スポットの周りを公転運動する一方の公転集光スポットによって溶融池の撹拌を行うことが可能である。
【0061】
請求項8に記載した発明によれば、レーザ光の光軸に対する屋根型プリズムの位置を調節することにより2つの集光スポットの光量比を可変するので、一方の集光スポットと他方の集光スポットとの光量比を調節することにより、被溶接部の溶込み深さと施工裕度とを容易に調節することが可能である。
【0062】
請求項9に記載した発明によれば、被溶接部材の同一被溶接部に対して、ツインスポット光学系によるレーザ溶接と、アークトーチによるアーク溶接とが同時に実施されるので、施工裕度が拡大し、被溶接部の開先が開いた場合においてもレーザ光が開先に照射すると共に、アークが2つの集光スポットへ集中する効果によって安定した溶接を行うことが可能となる。
【0063】
請求項10に記載した発明によれば、アークトーチとして、MIGトーチが採用されるので、安定した溶接を行うことが可能となる。
【0064】
請求項11に記載した発明によれば、アークトーチは、レーザ光に対する溶接進行方向の前方に設置されるので、集光スポットにアークを効率良く照射させることが可能となる。
【0065】
請求項12に記載した発明によれば、アークトーチは、レーザ光に対する溶接進行方向の前方と後方との2カ所に設置されるので、集光スポットにアークを効率良く照射させると共に、溶着量を大幅に拡大させることが可能となる。
【0066】
請求項13に記載した発明によれば、アークトーチとして、プラズマアークトーチが採用されるので、深い溶け込みの溶接を安定して行うことが可能となる。
【0067】
請求項14に記載した発明によれば、アークトーチは、前記レーザ光に対する溶接進行方向の前方、もしくは後方のいずれか一方に設置されるので、集光スポットにアークを効率良く照射させることが可能となる。
【0068】
請求項15及び16に記載した発明によれば、回転駆動機構によって、屋根型プリズムが回転されるので、2つの集光スポットが回転して溶融池が撹拌され、深い溶け込みが得られると共に、アーク溶接を複合させた場合は、アークの集中性を維持することが可能となる。
【0069】
請求項17に記載した発明によれば、モータの駆動によって駆動プーリが回転し、ベルトを介して駆動プーリの回転力を従動プーリに伝達し、従動プーリに連設されたプリズム支持部が回転することにより、屋根型プリズムが回転されるので、特に、ベルトの採用によって、回転時において屋根型プリズに伝達する振動を抑えることが可能となる。
【0070】
請求項18に記載した発明によれば、一方の集光スポットが他方の集光スポットを中心として公転するように屋根型プリズムの形状を設定するので、屋根型プリズムを回転させても被溶接部上で移動しない他方の集光スポットによって基本的な溶け込み深さを得るようにし、屋根型プリズムを回転に伴って他方の集光スポットの周りを公転運動する一方の公転集光スポットによって溶融池の撹拌を行うことが可能である。
【0071】
請求項19に記載した発明によれば、レーザ光の光軸に対する屋根型プリズムの位置を調節することにより2つの集光スポットの光量比を可変するので、一方の集光スポットと他方の集光スポットとの光量比を調節することにより、被溶接部の溶込み深さと施工裕度とを容易に調節することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のツインスポットレーザ溶接装置の第1の実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明のツインスポットレーザ溶接装置の第2の実施形態を示す概略図である。
【図3】本発明のツインスポットレーザ溶接装置の追加事項を示す要部概略図である。
【符号の説明】
1……ツインスポット光学系
2……アークトーチ
6,6A,6B……屋根型プリズム
20……回転駆動機構
21……従動プーリ
22……プリズム支持部
23……駆動プーリ
24……モータ
25……ベルト
100……被溶接部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光により溶接を行うレーザ溶接技術に係わり、特に、被溶接部材に2つの集光スポットを照射する機能を有するツインスポットレーザ溶接方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、レーザ光により金属部材を溶接するレーザ溶接装置が各種提供されている。しかしながら、単一のレーザ光によるレーザ溶接では、深い溶け込みや高速溶接等の利点がある一方、被溶接部へ照射される集光スポットの照射範囲が狭いことに起因して、被溶接部の狙い位置と集光スポットにズレが発生する可能性があり、さらに、例えば、突き合わせ溶接の場合に、2つの被溶接部材間の開先に隙間が存在すると、レーザ光が隙間を通過してしまい安定した施工を行うことができないという欠点があった。
【0003】
これに対して、レーザ発振器から光ファイバを通してレーザ光を導入し、被溶接部材に照射する光学系において、レーザ光を2つに分割して被溶接部材に2つの集光スポットを照射する、いわゆるツインスポット光学系が提案されている。
【0004】
例えば、特開2001−47272号公報には、レーザ溶接加工方法が開示されており、ツインスポット光学系は、レーザ発振器からレーザ光を受光する受光部と、受光したレーザ光を2つに分割するための屋根型プリズムと該屋根型プリズムをレーザ光の光軸に対して直角な方向に可動な状態で保持している保持部とを含んで受光したレーザ光を可変分割比で分割するビーム分割手段と、分割されたレーザ光をスポット光として異なる位置に照射する加工レンズとからなる。
【0005】
上記の構成によれば、屋根型プリズムを移動させることによりレーザ光の分割比を1:1から1:0の範囲で任意に設定でき、また、屋根型プリズムを変更させて傾斜部の傾斜角度を変更することにより2つのスポット光の中心間隔(スポット間隔)が変更され、2つのスポット光の適切な出力比率とスポット間隔が特定されている。
【0006】
また、上述のツインスポット光学系のレーザ溶接に対して、広い溶接範囲において深い溶け込みが得られるように、単一のレーザ光によるレーザ溶接と、さらに従来から汎用されているTIG溶接等のアーク溶接とを同一の溶接部に対して同時に行う複合溶接の研究がなされている。
【0007】
例えば、特開平9−122950号公報には、複合溶接ヘッドが開示されている。複合溶接ヘッドは、電極ホルダーに備えられたタングステン電極と、前記電極ホルダーの外周面に嵌装された集光レンズ光学系とからなり、タングステン電極と母材間に電圧を印加し、アークを発生させた状態で不活性ガスを送ってTIG溶接を行う。同時に、集光レンズ光学系を通してレーザ光を母材上に集光してレーザ溶接を行うので、レーザ溶接とTIG溶接を同一部分に正確に一致させた複合溶接がなされる。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−122950号公報
【0009】
【特許文献2】
特開2001−47272号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなツインスポット光学系の従来技術においては、施工裕度が拡大するものの、レーザ光のエネルギー密度の低下により、溶け込み深さや加工速度が減少するという問題があった。
また、複合溶接の従来技術においては、レーザ光の照射によってアークの集中性が増加し、高速・高溶着量、かつ、深い溶け込みが得られるものの、広い施工裕度を得ることが難しいという問題があった。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、屋根型プリズムを有するツインスポット光学系を用いたレーザ溶接とアーク溶接とを複合させる、もしくは、屋根型プリズムを連続回転させることにより、施工裕度を広げ、深い溶け込みを得るツインスポットレーザ溶接方法及び装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、レーザ光を2つに分割して被溶接部材に2つの集光スポットを形成させる屋根型プリズムを有するツインスポット光学系と、アークトーチとを用いて、前記被溶接部材の同一被溶接部に対して、前記ツインスポット光学系によるレーザ溶接と、前記アークトーチによるアーク溶接とを同時に実施することを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接方法によれば、被溶接部材の同一被溶接部に対して、ツインスポット光学系によるレーザ溶接と、アークトーチによるアーク溶接とが同時に実施される。
【0013】
請求項2に記載した発明は、前記アーク溶接は、MIG溶接であることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接方法によれば、アーク溶接として、MIG溶接が採用される。
【0014】
請求項3に記載した発明は、前記レーザ光に対する溶接進行方向の前方と後方との2カ所に前記アークトーチを用い、2カ所の前記アークトーチにより2方向からアーク溶接を実施することを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接方法によれば、2カ所のアークトーチにより2方向からアーク溶接が実施される。
【0015】
請求項4に記載した発明は、前記アーク溶接は、プラズマアーク溶接であることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接方法によれば、アーク溶接として、プラズマアーク溶接が採用される。
【0016】
請求項5に記載した発明は、前記屋根型プリズムを、前記レーザ光の光軸に対する平行軸を中心として回転させることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接方法によれば、屋根型プリズムは、レーザ光の光軸に対する平行軸を中心として回転される。
【0017】
請求項6に記載した発明は、レーザ光を2つに分割して被溶接部材に2つの集光スポットを形成させる屋根型プリズムを有するツインスポット光学系を用いて、前記屋根型プリズムを、前記レーザ光の光軸に対する平行軸を中心として回転させることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接方法によれば、屋根型プリズムは、レーザ光の光軸に対する平行軸を中心として回転される。
【0018】
請求項7に記載した発明は、一方の集光スポットが他方の集光スポットを中心として公転するように屋根型プリズムの形状を設定することを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載した発明は、レーザ光の光軸に対する屋根型プリズムの位置を調節することにより2つの集光スポットの光量比を可変することを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載した発明は、レーザ光を2つに分割して被溶接部材に2つの集光スポットを形成させる屋根型プリズムを有するツインスポット光学系を備えたツインスポットレーザ溶接装置であって、前記被溶接部材の被溶接部に対して、前記ツインスポット光学系によるレーザ溶接に加えて、前記被溶接部にアーク溶接を同時に実施するアークトーチを備えることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接装置によれば、被溶接部材の同一被溶接部に対して、ツインスポット光学系によるレーザ溶接と、アークトーチによるアーク溶接とが同時に実施される。
【0021】
請求項10に記載した発明は、前記アークトーチは、MIGトーチであることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接装置によれば、アークトーチとして、MIGトーチが採用される。
【0022】
請求項11に記載した発明は、前記アークトーチは、前記レーザ光に対する溶接進行方向の前方に備えることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接装置によれば、アークトーチは、レーザ光に対する溶接進行方向の前方に設置される。
【0023】
請求項12に記載した発明は、前記アークトーチは、前記レーザ光に対する溶接進行方向の前方と後方との2カ所に備えることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接装置によれば、アークトーチは、レーザ光に対する溶接進行方向の前方と後方との2カ所に設置される。
【0024】
請求項13に記載した発明は、前記アークトーチは、プラズマアークトーチであることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接装置によれば、アークトーチとして、プラズマアークトーチが採用される。
【0025】
請求項14に記載した発明は、前記アークトーチは、前記レーザ光に対する溶接進行方向の前方、もしくは後方のいずれか一方に備えることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接装置によれば、アークトーチは、前記レーザ光に対する溶接進行方向の前方、もしくは後方のいずれか一方に設置される。
【0026】
請求項15に記載した発明は、前記ツインスポット光学系には、前記屋根型プリズムを前記レーザ光の光軸に対する平行軸を中心として回転させる回転駆動機構を備えることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接装置によれば、回転駆動機構によって、屋根型プリズムが回転される。
【0027】
請求項16に記載した発明は、レーザ光を2つに分割して被溶接部材に2つの集光スポットを形成させる屋根型プリズムを有するツインスポット光学系を備えたツインスポットレーザ溶接装置であって、前記ツインスポット光学系には、前記屋根型プリズムを前記レーザ光の光軸に対する平行軸を中心として回転させる回転駆動機構を備えることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接装置によれば、回転駆動機構によって、屋根型プリズムが回転される。
【0028】
請求項17に記載した発明は、前記回転駆動機構は、前記屋根型プリズムを保持し、かつ従動プーリを有して回転自在なプリズム支持部と、駆動プーリが接続されたモータと、前記駆動プーリの回転力を前記従動プーリへ伝達するベルトとを備えることを特徴とする。
このツインスポットレーザ溶接装置によれば、モータの駆動によって駆動プーリが回転し、ベルトを介して駆動プーリの回転力を従動プーリに伝達し、従動プーリに連設されたプリズム支持部が回転することにより、屋根型プリズムが回転される。
【0029】
請求項18に記載した発明は、一方の集光スポットが他方の集光スポットを中心として公転するように屋根型プリズムの形状を設定することを特徴とする。
【0030】
請求項19に記載した発明は、レーザ光の光軸に対する屋根型プリズムの位置を調節することにより2つの集光スポットの光量比を可変することを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施形態について図示例に基づいて説明する。
図1に示すように、ツインスポットレーザ溶接装置は、レーザ溶接を行うツインスポット光学系1と、MIG溶接を行うMIGトーチ2とからなる。
【0032】
ツインスポット光学系1は、不図示のYAGレーザ発振器から発振されるレーザ光を伝送させる光ファイバ3と、該光ファイバ3の出射端面から拡大するレーザ光を平行光に変換するコリメートレンズ4と、該コリメートレンズ4からの平行光を集光させて被溶接部材100上に集光スポットを形成させる対物レンズ5と、前記集光スポットを2つに分割する屋根型プリズム6とを備えている。また、レンズ等の汚れを防止するために、光ファイバ3の出射端面とコリメートレンズ4との間に第1保護レンズ7が配設され、屋根型プリズム6と被溶接部材100との間に第2保護レンズ8が配設されている。屋根型プリズム6は、図中下側に左右に傾斜した対称的出射面を有する。
【0033】
上記ツインスポット光学系1を構成する各部材は、被溶接部材100の被溶接部に対して垂直方向に設けられた加工ヘッド10に備えられている。加工ヘッド10は、光ファイバ3のレーザ光出射部と第1保護ガラス7とコリメートレンズ4、及び対物レンズ5とをそれぞれ支持する上部ケース11と、屋根型プリズム6を着脱自在に支持する中間ケース12と、第2保護レンズ8を支持し被溶接部材100へのレーザ光の出力部となる先端部13とからなる。
【0034】
上部ケース11と中間ケース12、及び先端部13は、それぞれ不図示のボルト等の締結手段によって着脱自在に接続されている。上部ケース11には、不図示であるが、対物レンズ5の支持位置を昇降させる第1の可動機構を有する。さらに、中間ケース12には、不図示であるが、屋根型プリズム6の支持位置をレーザ光の光軸に対して直角方向に移動させる第2の可動機構を有する。
【0035】
MIGトーチ2は、アーク電極15を備えてなり、不図示のMIG溶接装置に接続されている。また、MIGトーチ2は、垂直方向上方から被溶接部にレーザ光を照射させる加工ヘッド10に対して、溶接方向の前方に設置されると共に、アーク電極15が前記被溶接部に向けてアークを発生させることが可能な角度θの傾斜角を有するように設置される。
【0036】
次に、上記図示例の作用について説明する。
不図示のレーザ発振器で発振されたレーザ光は、光ファイバ3により伝送され、光ファイバ3の出射端面から図中下方へ出射される。光ファイバ3の出射端面から発散したレーザ光は、第1保護ガラス7を通過した後、コリメートレンズ4によってコリメートされて平行光束となり、該平行光束は、直進して対物レンズ5に入射する。入射したレーザ光は、対物レンズ5によって集光されて、第2保護ガラス8を通過した後、被溶接部材100の被溶接部上に集光スポットを形成するが、対物レンズ5と被溶接部材100との間に配設された屋根型プリズム6によって、レーザ光は2つに分割され、被溶接部材100の被溶接部上には2つの集光スポットが形成され、レーザ溶接が開始される。レーザ溶接が開始されると同時に、MIGトーチ2より前記被溶接部に向けてアークが発生させられ、MIG溶接が開始される。
【0037】
スポット間隔dは、通常使用時は被溶接部材100上にて約0.8mmであるが、屋根型プリズム6を傾斜角度の異なる屋根型プリズムに交換する、もしくは、不図示の第1の可動機構によって対物レンズ5の焦点距離(バックフォーカス)を変更することによって、約0.4〜1.2mmの間で調整される。また、パワー分割比は、不図示の第2の可動機構によって屋根型プリズム6の位置を移動させることにより調整される。スポット径は、約0.6mmであり、前記パワー分割比によらず一定である。
【0038】
このように、本実施形態によれば、ツインスポット光学系1を採用することにより施工裕度が拡大するので、被溶接部の開先が開いた場合においてもレーザ光が開先に照射すると共に、MIGトーチ2からのアークが2つの集光スポットへ集中する効果によって安定した溶接を行うことが可能となる。
【0039】
図2は、本発明の第2の実施形態を示す図であり、本図中において、図1と同一構成のものには、同一の符号を付している。
本実施形態におけるツインスポットレーザ溶接装置では、ツインスポット光学系1の基本構成とMIGトーチ2の構成は、図1に示す第1の実施の形態と同様であるが、屋根型プリズム6をレーザ光の光軸に対する平行軸を中心として連続回転させる回転駆動機構20を有することを特徴とする。
【0040】
回転駆動機構20は、屋根型プリズム6を保持し、かつ従動プーリ21を有して回転自在なプリズム支持部22と、駆動プーリ23が接続されたモータ24と、駆動プーリ23の回転力を従動プーリ21へ伝達するベルト25とからなる。
【0041】
プリズム支持部22は、円筒状の回転体であり、内周部上方には屋根型プリズム6が着脱自在に保持されており、外周部上方には従動プーリ21が連設されている。また、プリズム支持部22は、回転部ケース26内にベアリング27を介して保持されており、さらに、回転部ケース26は、上部ケース11と先端部13との間に、不図示の締結手段によって接続されている。
【0042】
回転部ケース26の側面には、モータ24を保持する駆動部ケース28が、不図示の締結手段によって接続されている。モータ24の駆動軸29は、カップリング30に嵌装され、さらに、対向側には回転軸31が嵌装される。回転軸31は、ベアリング32を介して駆動部ケース28に支持されており、回転軸31には駆動プーリ23が嵌合されている。
【0043】
上記図示例によれば、ツインスポット光学系1によるレーザ溶接とMIG溶接の複合溶接中に、モータ24を駆動させることによって、ベルト25を介して回転力がプリズム支持部22に伝達し、屋根型プリズム6が連続回転するので、被溶接部上に照射される2つの集光スポットも回転されるという作用を奏する。
【0044】
このように、本実施形態によれば、ツインスポット光学系1を採用することにより施工裕度が拡大するので、被溶接部の開先が開いた場合においてもレーザ光が開先に照射すると共に、MIGトーチ2からのアークが集光スポットへ集中する効果によって安定した溶接を行うことが可能となる。さらに、2つの集光スポットが回転して溶融池が撹拌されるので、深い溶け込みが得られ、アークの集中性を維持することが可能となる。
また、回転力伝達機構としてベルト25が採用されるので、回転時において屋根型プリズム6に伝達する振動を抑えることが可能となる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更も加え得ることは勿論である。
例えば、以下のような変形が考えられる。
【0046】
(1)記各実施形態では、ツインスポット光学系1の構成としては、図中上部から被溶接部材100に向かって、コリメートレンズ4と、対物レンズ5と、屋根型プリズム6とを備えるものとしたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、図中上部より、コリメートレンズ、屋根型プリズム、対物レンズと設置する構成もあり、同様に、図中上部より、屋根型プリズム、コリメートレンズ、対物レンズと設置する構成もあり得る。
【0047】
(2)上記各実施形態では、レーザ装置としてYAGレーザ発振器を採用したが、本発明は、これに限定されるものではなく、他のタイプのレーザ装置を用いても良い。例えば、他のタイプのレーザ装置を用いた場合には、レーザ光の伝送装置として光ファイバ3の代わりに反射鏡等を使用する構成もあり得る。
【0048】
(3)上記各実施形態では、MIGトーチ2を垂直方向上方から被溶接部にレーザ光を照射させる加工ヘッド10に対して、溶接方向の前方に設置する構成としたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、MIGトーチ2を前記レーザ光に対する溶接進行方向の前方と後方との2カ所に備える構成もあり得る。本実施形態によると、施工裕度が確保されると共に、溶着量を大幅に拡大させることが可能となる。また、屋根型プリズム6の回転駆動機構20を有するツインスポット光学系1によるレーザ溶接と組み合わせた場合は、さらに深い溶け込みが得られ、アークの集中性が増すことによって、溶接速度を増加させることが可能となる。
【0049】
(4)上記各実施形態では、ツインスポット光学系1によるレーザ溶接と、MIG溶接との複合溶接となっているが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、MIGトーチ2の代わりとして、レーザ光に対する溶接進行方向の前方、もしくは後方のいずれかにプラズマアークトーチを備える構成もあり得る。本実施形態によると、深い溶け込みの溶接を安定して行うことが可能となる。また、屋根型プリズム6の回転駆動機構20を有するツインスポット光学系1によるレーザ溶接と組み合わせた場合は、さらに深い溶け込みが得られ、アークの集中性が増すことによって、溶接速度を増加させることが可能となる。
【0050】
(5)上記第2の実施形態では、屋根型プリズム6の回転駆動機構20を有するツインスポット光学系1によるレーザ溶接と、MIG溶接との複合溶接となっているが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、MIG溶接を行わずに、屋根型プリズム6の回転駆動機構20を有するツインスポット光学系1によるレーザ溶接のみとする構成もあり得る。本実施形態によっても、施工裕度が拡大し、溶融池が撹拌されるので、被溶接部の開先が開いた場合においてもレーザ光が開先に照射すると共に、深い溶け込みを得ることが可能となる。
【0051】
〔追加事項〕
ところで、上記第2の実施形態は、屋根型プリズム6を用いて2つの集光スポットを生成すると共に、回転駆動機構20によって屋根型プリズム6をレーザ光の光軸に対する平行軸を中心として回転させることによって2つの集光スポットを被溶接部上で連続的に回転させるものである。図2に示されているように屋根型プリズム6における2つの出射面(つまり光軸に直交する入射面に対して所定角度で傾斜した傾斜面)の合わせ部(つまり頂部)がレーザ光の光軸上に位置する場合、2つの集光スポットは、光軸から一定距離離間した位置に形成されると共に、この光軸を中心として公転運動する。
【0052】
これに対して、図3(a)に示すように、2つの出射面6a,6bのいずれが一方の出射面6bが入射面6cに平行に設定された屋根型プリズム6A、あるいは図3(b)に示すように屋根型プリズム6において一方の出射面6bに相当する部位が欠落した形状の屋根型プリズム6Bを用いた場合には、図3(c)に示すように、出射面6bあるいは欠落した部位を通過したレーザ光によって形成される集光スポット(中心集光スポット)の周囲を出射面6aを通過したレーザ光によって形成される集光スポット(公転集光スポット)が公転運動する。
【0053】
また、出射面6bあるいは欠落した部位を通過したレーザ光と出射面6aを通過するレーザ光との比率を調整することにより、上記中心集光スポットと公転集光スポットとの光量比率を調節することができる。すなわち、屋根型プリズム6A,6Bのレーザ光の光軸に対する位置を調節することによって中心集光スポットと公転集光スポットとの光量比率を調節することができる。
【0054】
このような屋根型プリズム6A,6Bを屋根型プリズム6に代えて用いることにより、屋根型プリズム6A,6Bを回転させても被溶接部上で移動しない中心集光スポットによって基本的な溶け込みを得るようにし、屋根型プリズム6A,6Bを回転に伴って中心集光スポットの周りを公転運動する公転集光スポットによって溶融池の撹拌を行うことが可能である。また、公転集光スポットと中心集光スポットとの光量比を調節することにより、被溶接部の溶込み深さと施工裕度とを容易に調節することが可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載した発明によれば、被溶接部材の同一被溶接部に対して、ツインスポット光学系によるレーザ溶接と、アークトーチによるアーク溶接とが同時に実施されるので、施工裕度が拡大し、被溶接部の開先が開いた場合においてもレーザ光が開先に照射すると共に、アークが2つの集光スポットへ集中する効果によって安定した溶接を行うことが可能となる。
【0056】
請求項2に記載した発明によれば、アーク溶接として、MIG溶接が採用されるので、安定した溶接を行うことが可能となる。
【0057】
請求項3に記載した発明によれば、2カ所のアークトーチにより2方向からアーク溶接が実施されるので、溶着量を大幅に拡大させることが可能となる。
【0058】
請求項4に記載した発明によれば、アーク溶接として、プラズマアーク溶接が採用されるので、深い溶け込みの溶接を安定して行うことが可能となる。
【0059】
請求項5及び6に記載した発明によれば、屋根型プリズムは、レーザ光の光軸に対する平行軸を中心として回転されるので、2つの集光スポットが回転して溶融池が撹拌され、深い溶け込みが得られると共に、アーク溶接を複合させた場合は、アークの集中性を維持することが可能となる。
【0060】
請求項7に記載した発明によれば、一方の集光スポットが他方の集光スポットを中心として公転するように屋根型プリズムの形状を設定するので、屋根型プリズムを回転させても被溶接部上で移動しない他方の集光スポットによって基本的な溶け込み深さを得るようにし、屋根型プリズムを回転に伴って他方の集光スポットの周りを公転運動する一方の公転集光スポットによって溶融池の撹拌を行うことが可能である。
【0061】
請求項8に記載した発明によれば、レーザ光の光軸に対する屋根型プリズムの位置を調節することにより2つの集光スポットの光量比を可変するので、一方の集光スポットと他方の集光スポットとの光量比を調節することにより、被溶接部の溶込み深さと施工裕度とを容易に調節することが可能である。
【0062】
請求項9に記載した発明によれば、被溶接部材の同一被溶接部に対して、ツインスポット光学系によるレーザ溶接と、アークトーチによるアーク溶接とが同時に実施されるので、施工裕度が拡大し、被溶接部の開先が開いた場合においてもレーザ光が開先に照射すると共に、アークが2つの集光スポットへ集中する効果によって安定した溶接を行うことが可能となる。
【0063】
請求項10に記載した発明によれば、アークトーチとして、MIGトーチが採用されるので、安定した溶接を行うことが可能となる。
【0064】
請求項11に記載した発明によれば、アークトーチは、レーザ光に対する溶接進行方向の前方に設置されるので、集光スポットにアークを効率良く照射させることが可能となる。
【0065】
請求項12に記載した発明によれば、アークトーチは、レーザ光に対する溶接進行方向の前方と後方との2カ所に設置されるので、集光スポットにアークを効率良く照射させると共に、溶着量を大幅に拡大させることが可能となる。
【0066】
請求項13に記載した発明によれば、アークトーチとして、プラズマアークトーチが採用されるので、深い溶け込みの溶接を安定して行うことが可能となる。
【0067】
請求項14に記載した発明によれば、アークトーチは、前記レーザ光に対する溶接進行方向の前方、もしくは後方のいずれか一方に設置されるので、集光スポットにアークを効率良く照射させることが可能となる。
【0068】
請求項15及び16に記載した発明によれば、回転駆動機構によって、屋根型プリズムが回転されるので、2つの集光スポットが回転して溶融池が撹拌され、深い溶け込みが得られると共に、アーク溶接を複合させた場合は、アークの集中性を維持することが可能となる。
【0069】
請求項17に記載した発明によれば、モータの駆動によって駆動プーリが回転し、ベルトを介して駆動プーリの回転力を従動プーリに伝達し、従動プーリに連設されたプリズム支持部が回転することにより、屋根型プリズムが回転されるので、特に、ベルトの採用によって、回転時において屋根型プリズに伝達する振動を抑えることが可能となる。
【0070】
請求項18に記載した発明によれば、一方の集光スポットが他方の集光スポットを中心として公転するように屋根型プリズムの形状を設定するので、屋根型プリズムを回転させても被溶接部上で移動しない他方の集光スポットによって基本的な溶け込み深さを得るようにし、屋根型プリズムを回転に伴って他方の集光スポットの周りを公転運動する一方の公転集光スポットによって溶融池の撹拌を行うことが可能である。
【0071】
請求項19に記載した発明によれば、レーザ光の光軸に対する屋根型プリズムの位置を調節することにより2つの集光スポットの光量比を可変するので、一方の集光スポットと他方の集光スポットとの光量比を調節することにより、被溶接部の溶込み深さと施工裕度とを容易に調節することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のツインスポットレーザ溶接装置の第1の実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明のツインスポットレーザ溶接装置の第2の実施形態を示す概略図である。
【図3】本発明のツインスポットレーザ溶接装置の追加事項を示す要部概略図である。
【符号の説明】
1……ツインスポット光学系
2……アークトーチ
6,6A,6B……屋根型プリズム
20……回転駆動機構
21……従動プーリ
22……プリズム支持部
23……駆動プーリ
24……モータ
25……ベルト
100……被溶接部材
Claims (19)
- レーザ光を2つに分割して被溶接部材に2つの集光スポットを形成させる屋根型プリズムを有するツインスポット光学系と、アークトーチとを用いて、前記被溶接部材の同一被溶接部に対して、前記ツインスポット光学系によるレーザ溶接と、前記アークトーチによるアーク溶接とを同時に実施することを特徴とするツインスポットレーザ溶接方法。
- 前記アーク溶接は、MIG溶接であることを特徴とする請求項1記載のツインスポットレーザ溶接方法。
- 前記レーザ光に対する溶接進行方向の前方と後方との2カ所に前記アークトーチを用いて、2カ所の前記アークトーチにより2方向からアーク溶接を実施することを特徴とする請求項1または2に記載のツインスポットレーザ溶接方法。
- 前記アーク溶接は、プラズマアーク溶接であることを特徴とする請求項1記載のツインスポットレーザ溶接方法。
- 前記屋根型プリズムを、前記レーザ光の光軸に対する平行軸を中心として回転させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のツインスポットレーザ溶接方法。
- レーザ光を2つに分割して被溶接部材に2つの集光スポットを形成させる屋根型プリズムを有するツインスポット光学系を用いて、前記屋根型プリズムを、前記レーザ光の光軸に対する平行軸を中心として回転させることを特徴とするツインスポットレーザ溶接方法。
- 一方の集光スポットが他方の集光スポットを中心として公転するように屋根型プリズムの形状を設定することを特徴とする請求項5または6記載のツインスポットレーザ溶接方法。
- レーザ光の光軸に対する屋根型プリズムの位置を調節することにより2つの集光スポットの光量比を可変することを特徴とする請求項7記載のツインスポットレーザ溶接方法。
- レーザ光を2つに分割して被溶接部材に2つの集光スポットを形成させる屋根型プリズムを有するツインスポット光学系を備えたツインスポットレーザ溶接装置であって、
前記被溶接部材の被溶接部に対して、前記ツインスポット光学系によるレーザ溶接に加えて、前記被溶接部にアーク溶接を同時に実施するアークトーチを備えることを特徴とするツインスポットレーザ溶接装置。 - 前記アークトーチは、MIGトーチであることを特徴とする請求項9記載のツインスポットレーザ溶接装置。
- 前記アークトーチは、前記レーザ光に対する溶接進行方向の前方に備えることを特徴とする請求項9または10に記載のツインスポットレーザ溶接装置。
- 前記アークトーチは、前記レーザ光に対する溶接進行方向の前方と後方との2カ所に備えることを特徴とする請求項9または10に記載のツインスポットレーザ溶接装置。
- 前記アークトーチは、プラズマアークトーチであることを特徴とする請求項9記載のツインスポットレーザ溶接装置。
- 前記アークトーチは、前記レーザ光に対する溶接進行方向の前方、もしくは後方のいずれか一方に備えることを特徴とする請求項9または13に記載のツインスポットレーザ溶接装置。
- 前記ツインスポット光学系には、前記屋根型プリズムを前記レーザ光の光軸に対する平行軸を中心として回転させる回転駆動機構を備えることを特徴とする請求項9から14のいずれかに記載のツインスポットレーザ溶接装置。
- レーザ光を2つに分割して被溶接部材に2つの集光スポットを形成させる屋根型プリズムを有するツインスポット光学系を備えたツインスポットレーザ溶接装置であって、
前記ツインスポット光学系には、前記屋根型プリズムを前記レーザ光の光軸に対する平行軸を中心として回転させる回転駆動機構を備えることを特徴とするツインスポットレーザ溶接装置。 - 前記回転駆動機構は、前記屋根型プリズムを保持し、かつ従動プーリを有して回転自在なプリズム支持部と、駆動プーリが接続されたモータと、前記駆動プーリの回転力を前記従動プーリへ伝達するベルトとを備えることを特徴とする請求項9から16のいずれかに記載のツインスポットレーザ溶接装置。
- 一方の集光スポットが他方の集光スポットを中心として公転するように屋根型プリズムの形状を設定することを特徴とする請求項15から17いずれかに記載のツインスポットレーザ溶接装置。
- レーザ光の光軸に対する屋根型プリズムの位置を調節することにより2つの集光スポットの光量比を可変することを特徴とする請求項18記載のツインスポットレーザ溶接装置。
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