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JP2004000253A - 粉末状食品およびその製造法 - Google Patents

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JP2004000253A JP2003271647A JP2003271647A JP2004000253A JP 2004000253 A JP2004000253 A JP 2004000253A JP 2003271647 A JP2003271647 A JP 2003271647A JP 2003271647 A JP2003271647 A JP 2003271647A JP 2004000253 A JP2004000253 A JP 2004000253A
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Abstract

【課題】溶解性が良く、風味に優れ、ザラツキ感のない食感を有し、カレー、ハヤシ、シチューなどのソース類やおでん、うどんなどの各種スープ類などに用いられる粉末状食品およびその製造法の提供。
【解決手段】あらかじめ水分を調製して低水分含有量とした小麦粉および/または澱粉の表面に複数の油脂膜を有する粉末状食品1であって、前記小麦粉および/または澱粉2の表面に形成された常温で液状の油脂からなる第1油脂膜3と、第1油脂膜3の上に形成された乳化剤膜4と、この乳化剤膜4の上に形成された常温で固体の油脂からなる第2油脂膜5とを有し、さらにその上に粉末油脂15の層を有する。
【選択図】   図1

Description

 本発明は粉末状食品およびその製造法に関するものであり、さらに詳しくは、カレー、ハヤシ、シチューなどのソース類やおでん、うどんなどの各種スープ類などに用いられる粉末状食品およびこの粉末状食品を効率的に製造する方法に関するものである。
 従来、カレー、ハヤシ、シチューなどに用いる固形食品は、家庭用にも業務用にも簡単に利用でき便利であるので大量に消費されている。このような固形食品は、小麦粉若しくは澱粉と油脂を約110〜130℃位に加熱混合後、加熱しながら乳化剤、砂糖、塩、グルタミン酸ソーダなどの調味料、香辛料、その他を添加して攪拌混合して製造されるので、食品の風味の飛酸や変質が起こるという問題があった。
 一方、各種スープ類、各種調味料類などは、澱粉類および粉乳、食塩、砂糖、化学調味料、香辛料などの適宜材料と、さらに、食用油脂より成る原料の水分含量を8〜13質量%に調整し、これを押し出し型の造粒機にかけて造粒した後、熱風乾燥により5〜9質量%の水分を蒸発させ、冷却、篩別する顆粒状食品の製造法(特許文献1参照)が知られている。しかし、熱風乾燥するので熱風乾燥による食品風味の飛散、変質という問題がある。
 また、食品原料中にショ糖脂肪酸エステルを混和し、これを板状に圧延成形し、顆粒化する顆粒状食品の製造法が記載されている(特許文献2参照)。かかる製造法においては、食品原料に加水していないため、上記湿式造粒法における食品風味の飛散、変質という問題は解消できる。しかし、食品原料が、例えば小麦粉を主原料とするものである場合、かなりの高圧でなければ圧延成形処理を行うことができず、得られた顆粒状食品の溶解性が悪くなる、という問題が生じる。
 また、主原料として澱粉を含み、油脂を0〜6重量%、水分を4〜12重量%の割合で含有する加圧成形品を粉砕整粒してなる顆粒状食品(特許文献3参照)や、加水することなく押し出し造粒した澱粉顆粒と、澱粉以外の原料を加圧成形し、粉砕整粒したその他原料顆粒とを含有する顆粒状食品(特許文献4参照)が提案されているが、加圧成形、粉砕整粒、押し出し造粒などの多くの工程を要する問題がある。
特公昭53−45380号公報 特開昭59−45835号公報 特開2000−125783号公報 特開2000−125784号公報
 本発明の第1の目的は、上記従来の技術における問題の全てを解消し、溶解性が良く、風味に優れ、ザラツキ感のない食感を有し、カレー、ハヤシ、シチューなどのソース類やおでん、うどんなどの各種スープ類などに用いられる粉末状食品を提供することであり、本発明の第2の目的は、このような粉末状食品を少ない工程数で容易に製造できる省エネルギー型の製造法を提供することである。
 本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、あらかじめ低水分含有量に調製した小麦粉および/または澱粉の表面にスプレー、混合などの方法により、特定の複数の油脂膜を形成してなる粉末状食品にさらにその上に粉末油脂を混合したことにより、上記目的を達成することができることを知見し、本発明を完成するに至ったのである。
 すなわち、本発明の請求項1記載の粉末状食品は、あらかじめ水分を調製して低水分含有量とした小麦粉および/または澱粉の表面に複数の油脂膜を有する粉末状食品であって、
前記小麦粉および/または澱粉の表面に形成された常温で液状の油脂からなる第1油脂膜と、
第1油脂膜の上に形成された乳化剤膜と、
この乳化剤膜の上に形成された常温で固体の油脂からなる第2油脂膜とを有し、
さらにその上に粉末油脂の層を有することを特徴とする。
 本発明の請求項2記載の粉末状食品は、請求項1記載の粉末状食品において、水分含有量を2〜6質量%に調製した小麦粉および/または澱粉を用いることを特徴とする。
 本発明の請求項3記載の粉末状食品は、請求項1あるいは請求項2記載の粉末状食品において、常温で液状の油脂が植物油であることを特徴とする。
 本発明の請求項4記載の粉末状食品は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の粉末状食品において、HLB5〜9の乳化剤を用いたことを特徴とする。
 本発明の請求項5記載の粉末状食品は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の粉末状食品において、前記小麦粉および/または澱粉に対して、第1油脂膜形成に用いた油脂が1〜15質量%であることを特徴とする。
 本発明の請求項6記載の粉末状食品は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の粉末状食品において、前記小麦粉および/または澱粉および調味料その他の粉末原料に対して、第2油脂膜形成に用いた油脂が1〜15質量%であることを特徴とする。
 本発明の請求項7記載の粉末状食品は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の粉末状食品において、第2油脂膜形成に用いた油脂が常温で固体の硬化油脂であることを特徴とする。
 本発明の請求項8記載の粉末状食品は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の粉末状食品において、食品全体に対して、第1油脂膜形成に用いた油脂と第2油脂膜形成に用いた油脂と粉末油脂との合計が1〜30質量%であることを特徴とする。
 本発明の請求項9は、下記の工程(1)〜(5)から成ることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の粉末状食品の製造法である。
(1)乳化剤と、常温で液状の油脂とを常温で混合する工程。
(2)工程(1)で得られた液状の混合物を、あらかじめ水分を調製して低水分含有量とした小麦粉および/または澱粉に、常温で噴霧しながら均一に混合し、前記小麦粉および/または澱粉の表面に常温で液状の前記油脂からなる第1油脂膜と、第1油脂膜の上に形成された乳化剤膜とを形成する工程。
(3)工程(2)で得られた粉末状の混合物に、常温で固体の油脂を溶融して噴霧しながら、調味料や香辛料その他の粉末原料も配合して常温で均一に混合し、前記混合物の表面に常温で固体の前記油脂からなる第2油脂膜を形成する工程。
(4)工程(3)で得られた粉末状の混合物に粉末油脂を常温で均一に混合する工程。
(5)工程(4)で得られた粉末状の混合物を、必要に応じて検査後、袋、瓶などに充填する工程。
 本発明の請求項1記載の粉末状食品は、下記の(1)〜(7)のような顕著な効果を奏する。
(1)お湯への溶解性が良く、風味に優れ、ザラツキ感のない食感を有し、カレー、ハヤシ、シチューなどのソース類や、おでん、うどんなどの各種スープ類に好適に用いられる。
(2)非加熱で製造されるため、熱ダメージを受けず、カレーなどの場合、香辛料の低沸点部分のフレーバーが飛散せず、クリームシチューなどの場合は乳感を残し易い特徴があるとともに、ビタミン、ミネラルなどの熱ダメージを受け易い成分を配合することが可能である。
(3)従来の固形食品、フレーク状食品、顆粒状食品などよりも油脂分を低減できるので、低油脂、低カロリーの製品を供給できる。
(4)従来の固形食品は割り部を手で割るので手が汚れるが、本発明の粉末状食品は粉末であるので割り部を設ける必要がなく、したがって手が汚れない。
(5)従来の固形食品の場合、5皿、4皿を2個、10皿などの形態でパックされているが、本発明の粉末状食品は粉末であるので、軽量し易く、例えば1人前パックなども可能である。
(6)本発明の粉末状食品は、通常の味付けに用いる他、とろ味の足りないような場合、適当量簡単に出して使用することが可能である。
(7)深みの有る味をだしたり、コクをさらにだすことができる。
 本発明の請求項2記載の粉末状食品は、水分含有量を2〜6質量%に調製した小麦粉および/または澱粉を用いたので、製品粉末状食品のケーキング、品質劣化を防止できるという顕著な効果を奏する。
 本発明の請求項3記載の粉末状食品に用いた常温で液状の植物油は入手も容易である上、製品のケーキング、品質劣化を防止できるという顕著な効果を奏する。
 本発明の請求項4記載の粉末状食品は、HLB6〜10の乳化剤を用いたので水に対する相溶性がよく、分散性や溶解性に優れ、お湯にいれた際にダマやままこにならないという顕著な効果を奏する。
 本発明の請求項5記載の粉末状食品は小麦粉および/または澱粉に対して、第1油脂膜形成に用いた油脂が1〜15質量%であるので、小麦粉および/または澱粉の表面を覆う均一な第1油脂膜が形成されるという顕著な効果を奏する。
 本発明の請求項6記載の粉末状食品は、小麦粉および/または澱粉および調味料その他の粉末原料に対して、第2油脂膜形成に用いた油脂が1〜15質量%であるので、小麦粉および/または澱粉の表面を覆う均一な第2油脂膜が形成されるという顕著な効果を奏する。
 本発明の請求項7記載の粉末状食品は、第2油脂膜形成に用いた油脂が常温で固体の硬化油脂であるので、製品の品質を向上でき、また品質劣化をより防止できるという顕著な効果を奏する。
 本発明の請求項8記載の粉末状食品は、粉末状食品全体に対して、第1油脂膜形成に用いた油脂と第2油脂膜形成に用いた油脂と粉末油脂との合計が1〜30質量%であるので、表面を覆う均一な第1および第2油脂膜が形成され、お湯への溶解性がよく、溶解した際にダマになったり結着しないという顕著な効果を奏する。
 本発明の請求項9記載の粉末状食品の製造法により、本発明の粉末状食品を少ない工程数で容易に製造できるので、省エネルギーを図ることができるという顕著な効果を奏する。
 以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
 図1は、本発明の粉末状食品の断面を模式的に説明する説明図である。
 図1に示すように、本発明の粉末状食品1は、あらかじめ水分を調製して低水分含有量とした小麦粉および/または澱粉2の表面に常温で液状の油脂からなる第1油脂膜3と、第1油脂膜3の上に形成された乳化剤膜4と、乳化剤膜4の上に形成された常温で固体の油脂からなる第2油脂膜5からなる複数の油脂膜を有している。そしてさらにその上に粉末油脂15から成る層が形成されている。小麦粉および/または澱粉2は、単独粒子であってもよく、あるいは2個以上の複数の粒子あるいはこれらの組み合わせでもよい。しかし澱粉2は通常1〜数個の粒子からなる。
 本発明の粉末状食品は、湯に溶かして用いるもので、例えば、カレー、シチュー、パスタソース、中華調理用ソース、トマトソース・ブイヤベースのような洋風煮込みソース等のソース類、おでん、うどん等の各種スープ・汁類、各種調味料等を粉末状にした食品である。
 本発明においては、小麦粉、澱澱を主原料とするものであるが、小麦粉の種類に関しては特に限定されず、例えば、薄力粉、中力粉、強力粉などを使用する例を挙げることができる。澱粉としては、例えば、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉等が用いられる。小麦粉と澱粉は単独で用いることも、任意の割合で混合して用いることもできる。
 本発明で用いる小麦粉および/または澱粉は通常水分を約10〜15質量%程度含有するので、粉末状になりにくく、かつ保存性が悪く、製品粉末状食品が生っぽい臭いがしたり、粉っぽさがでる。そこで、良好な粉末状としてかつ保存性を向上させ、良好な製品を得るために、焙煎、熱風乾燥などの公知の方法によりあらかじめ水分を調製して、例えば、約2〜6質量%程度、好ましくは約3〜5質量%の低水分含有量とすることが肝要である。2質量%未満では、乾燥に時間がかかるばかりでなく、変質の恐れがあり、また温水に溶かした際にダマができる恐れがあり、6質量%を超えると、製品のケーキング、品質劣化を防止できない恐れがあり、また温水に溶かした際にダマができる恐れがあるのでいずれも好ましくない。あらかじめ水分を調製して低水分含有量とした小麦粉および/または澱粉を用いると、製品のケーキング、品質劣化を防止できる。
 しかし、このようなあらかじめ水分を調製して低水分含有量とした小麦粉および/または澱粉を用いても、このまま放置すると元の水分含有量約10〜15質量%程度に戻ってしまう。そのためあらかじめ水分を調製して低水分含有量とした小麦粉および/または澱粉の表面に常温で液状の油脂からなる第1油脂膜を形成することが考えられる。しかし、第1油脂膜を形成した粉末は粉末同士が第1油脂膜を介して粘着、付着し易く、圧力がかかると結着する欠点がある。
 そこで本発明においては、水に対して相溶性の優れた適切なHLBを有する乳化剤と、常温で液状の油脂とを常温で混合した混合物を作り、この液状の混合物を、あらかじめ水分を調製して低水分含有量とした小麦粉および/または澱粉に、常温で噴霧しながら均一に混合する。
 このようにすると、常温で液状の油脂は小麦粉および/または澱粉の内部に浸透するとともに小麦粉および/または澱粉の表面にこの油脂からなる第1油脂膜を形成し、そして大部分の乳化剤は第1油脂膜の上に乳化剤膜を形成する。第1油脂膜の上に乳化剤膜を形成したこれらの粉末は粉末同士が粘着したり、付着したりせず、圧力がかかっても結着しない。
 第1油脂膜を形成する常温で液状の油脂は特に限定されるものではない。具体的には、例えば菜種、大豆、ヒマワリ種子、綿実、落花生、米糠、コーン、サフラワー、オリーブ、胡麻、カカオ、ヤシ、アブラヤシなどから採取した油脂のうち常温で液状の植物性油脂並びに乳や魚、鯨などから採取した油脂のうち常温で液状の液状の動物性油脂、これらの油脂類の単独または混合油あるいはそれらの分別、エステル交換などを施した加工油脂などを挙げることができる。しかし、本発明においては常温で液状の植物性油脂を好ましく使用できる。
 本発明においては公知の乳化剤(例えば特開平4−330258号公報、特開平9−222号公報などに記載の乳化剤)としてカゼインナトリウム、リゾレシチン、ポリグリセリン酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステルなどを適当な配合割合で添加して用いることができる。その他に必要に応じてリン酸塩、クエン酸塩などの乳化安定剤、pH調整剤などを適宜添加することができる。
 本発明において用いる乳化剤のHLBは約5〜9が好ましく、約6〜8がさらに好ましい。5未満では水に対する相溶性が低く、分散性や溶解性に劣りお湯にいれた際にダマやままこになる恐れがあり、9を超えるとお湯にいれた際にダマができる恐れがあり、また第1油脂膜との相溶性が劣り良好な乳化剤膜が形成されない恐れがある。
 本発明において小麦粉および/または澱粉に対する第1油脂膜形成に用いる油脂の量は特に限定されない。しかし、小麦粉および/または澱粉に対する第1油脂膜形成に用いる油脂は約1〜15質量%であることが好ましく、約1〜12質量%がさらに好ましい。1質量%未満では澱粉表面を覆う均一な第1油脂膜が形成されない恐れがあり、また温水に溶かした際にダマができる恐れがあり、15質量%を超えると多すぎて油脂が垂れ流れる恐れがあり、また温水に溶かした際にダマができる恐れがある。
 第1油脂膜の上に乳化剤膜を形成した粉末混合物は前記のように粉末同士が粘着したり、付着したりせず、圧力がかかっても結着しない特性を有するが、空気中の水分を吸着・吸収し易く、また、製品とした際のコクが不足する問題がある。
 そこで本発明においては、このようにして第1油脂膜の上に乳化剤膜を形成した粉末混合物に対して、常温で固体の油脂を溶融して噴霧しながら、砂糖、塩などの調味料や、デキストリン、乳糖、香辛料、カレー粉、エキス類、乳製品などを配合して常温で均一に混合して、前記混合物の表面に常温で固体の前記油脂からなる第2油脂膜を形成する。
 これらの調味料や香辛料などは粉末混合物の粒子間に存在したり、形成された第2油脂膜中に存在したり、あるいは粒子間と第2油脂膜中に存在したりするが、いずれに存在してもよい。第2油脂膜を形成することにより空気中の水分を吸着・吸収するのを防止するとともに製品とした際のコク不足の問題を改善できる。
 またキサンタンガム、カラギーナン、ジェランガム、タマリンドガム、カラヤガム、グアガム、ローカストビーンガムなどの増粘多糖類を適宜加えてもよい。
 本発明において小麦粉および/または澱粉などに対する第2油脂膜形成に用いる油脂の量は特に限定されない。しかし、小麦粉および/または澱粉および調味料その他の粉末原料の合計に対して、第2油脂膜形成に用いた油脂が1〜15質量%であることが好ましく、約1〜12質量%がさらに好ましい。1質量%未満では表面を覆う均一な第2油脂膜が形成されない恐れがあり、また温水に溶かした際にダマができる恐れがあり、15質量%を超えると多すぎて噴霧できない恐れがあり、また温水に溶かした際にダマができる恐れがある。
 第2油脂膜を形成する常温で固体の油脂は特に限定されるものではない。具体的には、例えば菜種、大豆、ヒマワリ種子、綿実、落花生、米糠、コーン、サフラワー、オリーブ、胡麻、カカオ、ヤシ、アブラヤシなどから採取した油脂、あるいは必要に応じて分別、エステル交換などを施した加工油などの常温で固体の植物性油脂並びに乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油などの内の常温で固体の動物性油脂、これらの油脂類の単独または混合油を挙げることができる。
 また、本発明においては前記油脂を硬化処理した常温で固体の油脂を好ましく使用できる。常温で固体の硬化植物性油脂を特に好ましく使用できる。
 常温で固体の油脂の融点は特に限定されないが、約35〜55℃が好ましく、より好ましくは約40〜50℃である。35℃未満では、店頭などにおいて粉末状食品が軟化することが懸念され、そして、室温に放置すると結着する恐れがあり、逆に55℃を超えると使用時に粉末状食品が溶けにくく、温水に溶かした際にダマができる恐れがあり、またワキシーな食感となるなどいずれも好ましくない。
 本発明においては、深みの有る味をだしたり、コクをさらにだすなどのため、さらに粉末油脂を混合する。粉末油脂は特に限定されないが、上記の第2油脂膜を形成するために用いる常温で固体の動物性油脂や植物性油脂や常温で固体の硬化動物性油脂や硬化植物性油脂、あるいは2種以上のこれらの混合物を好ましく用できる。
 粉末油脂をさらに用いる場合、粉末状食品全体に対して、第1油脂膜形成に用いた油脂と第2油脂膜形成に用いた油脂と粉末油脂との合計が1〜30質量%であることが好ましい。両者の合計が1質量%未満では表面を覆う均一な第1および第2油脂膜が形成されない恐れがあり、また温水に溶かした際にダマができる恐れがあり、また室温に放置すると決着する恐れがあり、30質量%を超えると多すぎてお湯への溶解性が悪くなり、溶解した際にダマになる恐れがあり、また結着する恐れがある。
 本発明の粉末状食品中の各成分の配合割合は目的とする食品の特性に応じて適宜決められるものである。例えば、カレー、ハヤシ、シチューなどのソース類の場合、一般的に小麦粉や澱粉の含量が少なくなりすぎると、スープ様となり好ましくない。反対に、小麦粉や澱粉の含量が多くなりすぎると、一般的に粘性が高くなりすぎる。また、油脂の含量が少なくなりすぎると、一般的に粉臭くなったり、風味があっさりしすぎてしまう。反対に、油脂の含量が多くなりすぎると、一般的に風味的にも油っぽくなる傾向があるので好ましくない。
 図2は、本発明の粉末状食品を製造する方法の一実施態様を説明する説明図である。
 先ず工程(1)において乳化剤6と、常温で液状の液状油脂7とを常温で混合する。
 次いで、工程(2)において、混合機[1]にあらかじめ水分を調製して低水分含有量とした焙煎小麦粉あるいは澱粉2を入れて、工程(1)で得られた液状の混合物を常温で噴霧しながら均一に混合する。
 そして図1に示したように焙煎小麦粉あるいは澱粉2の表面に常温で液状の前記液状油脂7からなる第1油脂膜3を形成するとともに、この第1油脂膜3の上に乳化剤膜4を形成する。
 次いで、工程(3)において、工程(2)で得られた粉末状の混合物を混合機[2]に移送し、砂糖、塩などの調味料8、デキストリン、乳糖、エキス類、その他より適宜選択される原料群9、およびカレー粉、香辛料、乳製品などより適宜選択される原料群10を配合して、常温で固体の硬化油脂11を溶融して噴霧しながら常温で均一に混合する。砂糖、塩などの調味料8は好ましくは粉砕して焙煎小麦粉あるいは澱粉2と同じ粒度としたものを使用することが好ましく、また、原料群料9、原料群10も篩で篩別して焙煎小麦粉あるいは澱粉2と同じ粒度としたものを使用することが好ましい。
 そして前記混合物の表面に硬化油脂11からなる第2油脂膜5を形成する。
 次いで、工程(3)で得られた粉末状の混合物を混合機[2]から出して、エアー輸送により配管12中を移送して貯槽13に入れる。工程(4)で貯槽13に入れた粉末状の混合物を篩14で篩別して適当な粒度としたものを、混合機[3]に供給するとともに粉末油脂15を混合機[3]に供給し、常温で均一に混合する。
 篩14で篩別された粒度の大きいものは図中破線で示したように例えば粉砕するなどしてリサイクルして貯槽13に戻すようになっている。
 次いで、工程(4)で得られた本発明の粉末状食品を混合機[3]から出して、(5)工程で、充填ラインへ送り、袋、瓶などに充填し、密封シールし、包装して商品とする。
 以下、実施例および比較例により本発明の内容をさらに具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
 工程(1)で、乳化剤(藷糖脂肪酸エステル、HLB=7)と、常温で液状の油脂(コーン油)とを常温で混合し、得られた液状の混合物を、工程(2)で、あらかじめ水分を調製して低水分含有量(5質量%)とした小麦粉と馬鈴薯澱粉に、常温で噴霧しながら均一に混合した後、得られた粉末状の混合物に、工程(3)で、常温で固体の油脂(綿実硬化油:融点45℃)を溶融して噴霧しながら、砂糖、食塩、グルタミン酸ソーダ、リボヌクレオチドソーダ、ブイヨンなどの調味料や、香辛料、デキストリン、乳糖、乳原料(クリーム、粉乳)エキスパウダー(かつお、こんぶ、しいたけ)などの粉末原料を配合して常温で均一に混合し、得られた粉末状の混合物に、工程(4)で、粉末油脂(牛脂加工油:融点50℃)を常温で均一に混合して本発明の粉末状食品(クリームシチュー)を製造した。
 原料配合割合(質量%)(全体100質量%)を次に示す。
原料配合割合:
小麦粉                         10%
馬鈴薯澱粉                       10%
液状油脂(コーン油)                   1%
固形油脂(綿実硬化油:融点45℃)            4%
粉末油脂(牛脂加工油:融点50℃)           10%
食塩                          10%
砂糖                           8%
デキストリン、乳糖                   35%
乳原料(クリーム、粉乳)                 5%
グルタミン酸ソーダ、リボヌクレオチドソーダ、ブイヨン   5%
香辛料                          2%
乳化剤(藷糖脂肪酸エステル、HLB=7) 液状油脂に対して10%
 得られた本発明の粉末状食品20gを200mlの60℃、80℃の温水に溶解したところ、いずれの温水にもきれいに分散し、軽くかきまぜただけで、容易に溶解した。舌触りがなめらかで、クリーム感が充分残り、味も良好であった。
(実施例2)
 工程(1)で、乳化剤(藷糖脂肪酸エステル、HLB=8)と、常温で液状の油脂(菜種油)とを常温で混合し、得られた液状の混合物を、工程(2)で、あらかじめ水分を調製して低水分含有量(5質量%)とした小麦粉と馬鈴薯澱粉およびコーンスターチに、常温で噴霧しながら均一に混合した後、得られた粉末状の混合物に、工程(3)で、常温で固体の油脂(綿実硬化油:融点45℃)を溶融して噴霧しながら、砂糖、食塩、グルタミン酸ソーダ、リボヌクレオチドソーダ、ブイヨンなどの調味料や、香辛料、デキストリン、カレー粉などの粉末原料を配合して常温で均一に混合し、得られた粉末状の混合物に、工程(4)で、粉末油脂(豚油硬化油:融点45℃)を常温で均一に混合して本発明の粉末状食品(カレールウ)を製造した。
 原料配合割合(質量%)(全体100質量%)を次に示す。
原料配合割合:
小麦粉                         10%
馬鈴薯澱粉                       10%
コーンスターチ                     15%
液状油脂(菜種油)                    1%
固形油脂(綿実硬化油:融点45℃)            8%
粉末油脂(豚油硬化油:融点45℃)            1%
食塩                          10%
砂糖                           8%
デキストリン、乳糖                   23%
グルタミン酸ソーダ、リボヌクレオチドソーダ、ブイヨン   5%
香辛料、カレー粉                     9%
乳化剤(藷糖脂肪酸エステル、HLB=8) 液状油脂に対して10%
 得られた本発明の粉末状食品20gを200mlの60℃、80℃の温水に溶解したところ、いずれの温水にもきれいに分散し、軽くかきまぜただけで、容易に溶解した。舌触りがなめらかで、味も良好であった。
(比較例1)
 特公昭53−45380号公報の実施例1に記載されている方法に従って下記の原料配合割合の顆粒状のインスタントシチューを製造した。
原料配合割合:(重量部)
小麦粉                         40.0
牛脂                          17.5
コーンスターチ                      3.0
脱脂粉乳                         3.7
砂糖                           7.5
食塩                          10.0
グルタミン酸ソーダ                   少量
乳化剤                         少量
オニオンパウダー                    少量
酵母エキス                       少量
有機酸                         少量
香辛料                         少量
 牛脂以外の原料をミキサーで混合し、これに70℃前後の液状の牛脂を加えて加熱混合した後、冷却し、水8重量部を加えて水分含有量を約12%とし、得られた原料混合物をニーダーで3分間捏和し、その後、押し出し型造粒機にかけて造粒し、得られた造粒物を流動層乾燥機に入れ、100℃の温度で12〜13分間乾燥して約%の水分量を蒸発させ、冷風を送って冷却し、不定形で流動性に優れた顆粒状のインスタントシチューを製造した。
 得られた顆粒状のインスタントシチュー20gを200mlの60℃、80℃の温水に溶解したところ、80℃の温水では数分間激しく攪拌すると溶解した。しかし、60℃の温水では数分間激しく攪拌してもダマが残った。
(実施例3〜7)
 実施例1〜2と同様にして、小麦粉および馬鈴薯澱粉の水分含有量を2、3、4、5、6質量%と変えて、下記の原料配合割合で本発明の粉末状食品を製造した。得られた本発明の粉末状食品20gを200mlの60℃の温水に溶解して溶解性を試験した結果を表1に示す。
 原料配合割合(質量%)(全体100質量%)を次に示す。
原料配合割合:
小麦粉                         20%
馬鈴薯澱粉                        5%
液状油脂(サフラワー油)                 2%
固形油脂(綿実硬化油:融点45℃)            8%
調味料・香辛料                     65%
乳化剤(藷糖脂肪酸エステル、HLB=7) 液状油脂に対して10%
(比較例2〜3)
 実施例3〜7と同様にして、小麦粉および馬鈴薯澱粉の水分含有量を1、7質量%と変えて、上記の原料配合割合で比較のための粉末状食品を製造した。得られた粉末状食品20gを200mlの60℃の温水に溶解して溶解性を試験した結果を表1に示す。
Figure 2004000253
 表1から、実施例3〜7の本発明の粉末状食品は60℃の温水に対する溶解性がよいことが判る。
 それに対して、比較例2〜3の粉末状食品は60℃の温水に対する溶解性が悪いことが判る。
(実施例8〜12)
 実施例1〜2と同様にして、乳化剤のHLBを5、6、7、8、9と変えて、下記の原料配合割合で本発明の粉末状食品を製造した。得られた本発明の粉末状食品20gを200mlの60℃の温水に溶解して溶解性を試験した結果を表2に示す。
 原料配合割合(質量%)(全体100質量%)を次に示す。
原料配合割合:
小麦粉(水分含有量4質量%)              20%
馬鈴薯澱粉                        5%
液状油脂(コーン油)                   2%
固形油脂(大豆硬化油:融点45℃)            8%
調味料・香辛料                     65%
乳化剤(藷糖脂肪酸エステル)       液状油脂に対して10%
(比較例4〜5)
 実施例8〜12と同様にして、乳化剤のHLBを4、10と変えて、上記の原料配合割合で比較のための粉末状食品を製造した。得られた粉末状食品20gを200mlの60℃の温水に溶解して溶解性を試験した結果を表2に示す。
Figure 2004000253
 表2から、実施例8〜12の本発明の粉末状食品は60℃の温水に対する溶解性がよいことが判る。
 それに対して、比較例4〜5の粉末状食品は60℃の温水に対する溶解性が悪いことが判る。
(実施例13〜17)
 実施例1〜2と同様にして、液状油脂に対する乳化剤の配合割合(質量%)を0.5、5、15、30、50と変えて、下記の原料配合割合で本発明の粉末状食品を製造した。得られた本発明の粉末状食品20gを200mlの60℃の温水に溶解して溶解性を試験した結果を表3に示す。
 原料配合割合(質量%)(全体100質量%)を次に示す。
原料配合割合:
小麦粉(水分含有量4質量%)              20%
馬鈴薯澱粉                        5%
液状油脂(コーン油)                   2%
固形油脂(大豆硬化油:融点45℃)            8%
調味料・香辛料                     65%
乳化剤(藷糖脂肪酸エステル、HLB=6)
(比較例6〜7)
 実施例13〜17と同様にして、液状油脂に対する乳化剤の配合割合(質量%)を0.3、60と変えて、上記の原料配合割合で比較のための粉末状食品を製造した。得られた粉末状食品20gを200mlの60℃の温水に溶解して溶解性を試験した結果を表3に示す。
Figure 2004000253
 表3から、実施例13〜17の本発明の粉末状食品は60℃の温水に対する溶解性がよいことが判る。
 それに対して、比較例6〜7の粉末状食品は60℃の温水に対する溶解性が悪いことが判る。
(実施例18〜22)
 実施例1〜2と同様にして、小麦粉に対する液状油脂の配合割合(質量%)を1、5、9、12、15と変えて(製品全体に対する液状油脂の配合割合(質量%)0.25〜3.75)、下記の原料配合割合で本発明の粉末状食品を製造した。得られた本発明の粉末状食品20gを200mlの60℃の温水に溶解して溶解性を試験した結果を表4に示す。
 原料配合割合(質量%)(全体100質量%)を次に示す。
原料配合割合:
小麦粉(水分含有量4質量%)              25%
液状油脂(綿実油)                  表4に示す
固形油脂(大豆硬化油:融点45℃)           10%
調味料・香辛料                  60〜65%
乳化剤(藷糖脂肪酸エステル、液状油脂に対して10%、HLB=6)
(比較例8〜10)
 実施例19〜23と同様にして、小麦粉に対する液状油脂の配合割合(質量%)を0、0.5、20と変えて(製品全体に対する液状油脂の配合割合(質量%)0、0.125、5)、上記の原料配合割合で比較のための粉末状食品を製造した。得られた粉末状食品20gを200mlの60℃の温水に溶解して溶解性を試験した結果を表4に示す。
Figure 2004000253
 表4から、実施例18〜22の本発明の粉末状食品は60℃の温水に対する溶解性がよいことが判る。
 それに対して、比較例8〜10の粉末状食品は60℃の温水に対する溶解性が悪いことが判る。
(実施例23〜28)
 実施例1〜2と同様にして、粉末原料に対する固形油脂(菜種硬化油:融点45℃)の配合割合(質量%)を1、3、6、9、12、15と変えて(製品全体に対する固形油脂の配合割合(質量%)0.25〜12)、粉末油脂を表5に示す添加割合で添加して、下記の原料配合割合で本発明の粉末状食品を製造した。得られた本発明の粉末状食品20gを200mlの60℃の温水に溶解して溶解性を試験した結果を表5に示す。
 原料配合割合(質量%)(全体100質量%)を次に示す。
原料配合割合:
小麦粉(水分含有量4質量%)              20%
液状油脂(大豆油)                    2%
調味料・香辛料                     60%
乳化剤(藷糖脂肪酸エステル、液状油脂に対して10%、HLB=8)
(比較例11〜12)
 実施例24〜29と同様にして、粉末原料に対する固形油脂(菜種硬化油:融点45℃)の配合割合(質量%)を0、20と変えて(製品全体に対する固形油脂の配合割合(質量%)0、16)、粉末油脂を表5に示す添加割合で添加して、上記の原料配合割合で比較のための粉末状食品を製造した。得られた粉末状食品20gを200mlの60℃の温水に溶解して溶解性を試験した結果を表5に示す。
Figure 2004000253
 表5から、実施例23〜28の本発明の粉末状食品は60℃の温水に対する溶解性がよいことが判る。
 それに対して、比較例11〜12の粉末状食品は60℃の温水に対する溶解性が悪いことが判る。
(実施例29〜33)
 実施例1〜2と同様にして、固形油脂(菜種硬化油)の融点を35〜55℃と変えて、下記の原料配合割合で本発明の粉末状食品を製造した。得られた本発明の粉末状食品20gを200mlの60℃の温水に溶解して溶解性を試験した結果および得られた本発明の粉末状食品を常温で1日室内に放置した後の結着の有無を観察した結果を表6に示す。
 原料配合割合(質量%)(全体100質量%)を次に示す。
原料配合割合:
小麦粉(水分含有量4質量%)              20%
コーンスターチ(水分含有量4質量%)          10%
液状油脂(大豆油)                    2%
固形油脂(菜種硬化油)                 10%
調味料・香辛料                     58%
乳化剤(藷糖脂肪酸エステル、液状油脂に対して10%、HLB=6)
(比較例13〜14)
 実施例29〜33と同様にして、固形油脂(菜種硬化油)の融点を30℃、60℃と変えて、上記の原料配合割合で比較のための粉末状食品を製造した。得られた粉末状食品20gを200mlの60℃の温水に溶解して溶解性を試験した結果および得られた粉末状食品を常温で1日室内に放置した後の結着の有無を観察した結果を表6に示す。
Figure 2004000253
 表6から、実施例29〜33の本発明の粉末状食品は60℃の温水に対する溶解性がよく、常温で1日室内に放置しても結着しないことが判る。
 それに対して、比較例13〜14の粉末状食品は60℃の温水に対する溶解性が悪く、比較例13の粉末状食品は常温で1日室内に放置すると一部結着することが判る。
(実施例34〜39)
 実施例1〜2と同様にして、液状油脂(コーン油)、固形油脂(菜種硬化油:融点45℃)、粉末油脂(牛加工油脂:融点50℃)からなる油脂の総量(質量%)を1〜30%と変えて、下記の原料配合割合で本発明の粉末状食品を製造した。得られた本発明の粉末状食品20gを200mlの60℃の温水に溶解して溶解性を試験した結果および得られた本発明の粉末状食品を常温で1日室内に放置した後の結着の有無を観察した結果を表7に示す。
 原料配合割合(質量%)(全体100質量%)を次に示す。
原料配合割合:
小麦粉(水分含有量4質量%)              25%
コーンスターチ(水分含有量4質量%)        表7に記載
液状油脂(大豆油)                 表7に記載
固形油脂(菜種硬化油)               表7に記載
調味料・香辛料                  35〜74%
乳化剤(藷糖脂肪酸エステル、液状油脂に対して10%、HLB=7)
(比較例15〜16)
 実施例35〜40と同様にして、液状油脂(コーン油)、固形油脂(菜種硬化油:融点45℃)、粉末油脂(牛加工油脂:融点50℃)からなる油脂の総量(質量%)を0.5、40%と変えて、上記の原料配合割合で比較のための粉末状食品を製造した。得られた粉末状食品20gを200mlの60℃の温水に溶解して溶解性を試験した結果および得られた粉末状食品を常温で1日室内に放置した後の結着の有無を観察した結果を表7に示す。
Figure 2004000253
 表7から、実施例34〜39の本発明の粉末状食品は60℃の温水に対する溶解性がよく、常温で1日室内に放置しても結着しないことが判る。
 それに対して、比較例15〜16の粉末状食品は60℃の温水に対する溶解性が悪く、比較例15〜16の粉末状食品は常温で1日室内に放置すると一部結着することが判る。
 尚、前記混合機[1]〜[3]は、図中では○で囲んだ数字で示してある。
 本発明の粉末状食品は、溶解性が良く、風味に優れ、ザラツキ感のない食感を有し、カレー、ハヤシ、シチューなどのソース類やおでん、うどんなどの各種スープ類などに用いることができるので大いに役立つものであり、また本発明の製造法は省エネルギー型の製造法であり、このような粉末状食品を少ない工程数で容易に製造できるので、産業上の利用価値が高い。
本発明の粉末状食品の断面を模式的に説明する説明図である。 本発明の粉末状食品を製造する方法の一実施態様を説明する説明図である。
符号の説明
1 粉末状食品
2 小麦粉および/または澱粉
3 第1油脂膜
4 乳化剤膜
5 第2油脂膜
6 乳化剤
7 常温で液状の液状油脂
11 常温で固体の硬化油脂
15 粉末油脂

Claims (9)

  1. あらかじめ水分を調製して低水分含有量とした小麦粉および/または澱粉の表面に複数の油脂膜を有する粉末状食品であって、
    前記小麦粉および/または澱粉の表面に形成された常温で液状の油脂からなる第1油脂膜と、
    第1油脂膜の上に形成された乳化剤膜と、
    この乳化剤膜の上に形成された常温で固体の油脂からなる第2油脂膜とを有し、
    さらにその上に粉末油脂の層を有することを特徴とする粉末状食品。
  2. 水分含有量を2〜6質量%に調製した小麦粉および/または澱粉を用いることを特徴とする請求項1記載の粉末状食品。
  3. 常温で液状の油脂が植物油であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の粉末状食品。
  4. HLB5〜9の乳化剤を用いたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の粉末状食品。
  5. 前記小麦粉および/または澱粉に対して、第1油脂膜形成に用いた油脂が1〜15質量%であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の粉末状食品。
  6. 前記小麦粉および/または澱粉および調味料その他の粉末原料に対して、第2油脂膜形成に用いた油脂が1〜15質量%であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の粉末状食品。
  7. 第2油脂膜形成に用いた油脂が常温で固体の硬化油脂であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の粉末状食品。
  8. 食品全体に対して、第1油脂膜形成に用いた油脂と第2油脂膜形成に用いた油脂と粉末油脂との合計が1〜30質量%であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の粉末状食品。
  9. 下記の工程(1)〜(5)から成ることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の粉末状食品の製造法。
    (1)乳化剤と、常温で液状の油脂とを常温で混合する工程。
    (2)工程(1)で得られた液状の混合物を、あらかじめ水分を調製して低水分含有量とした小麦粉および/または澱粉に、常温で噴霧しながら均一に混合し、前記小麦粉および/または澱粉の表面に常温で液状の前記油脂からなる第1油脂膜と、第1油脂膜の上に形成された乳化剤膜とを形成する工程。
    (3)工程(2)で得られた粉末状の混合物に、常温で固体の油脂を溶融して噴霧しながら、調味料や香辛料その他の粉末原料も配合して常温で均一に混合し、前記混合物の表面に常温で固体の前記油脂からなる第2油脂膜を形成する工程。
    (4)工程(3)で得られた粉末状の混合物に粉末油脂を常温で均一に混合する工程。
    (5)工程(4)で得られた粉末状の混合物を、必要に応じて検査後、袋、瓶などに充填する工程。
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