JP2003530946A - 骨表面または内部でのインプラント固定用装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 この装置（１０）は、骨の表面または内部でインプラントを固定するのに役立つ。この装置が中実または中空の縦長コア（１）を有し、このコアが長手軸線（２）とそこから半径方向に突出する若干数の翼（３）とを備えており、装置が、包絡面を形成し外径Ｄ＝２Ｓ＋ｄと同一の長手軸線（２）とを有する直線的円柱内にあり、ｄがコア（１）内に設けられる任意のコア穴（９）の直径に一致し、Ｓが３〜５０ｍｍの値を有する。長手軸線（２）に直角な平面（６）で、装置の長手軸線（２）に関して力伝達に役立つ形材の部分のインプラント断面積Ａ＝Ａ_a ＋Ａ_i のうち、長手軸線（２）に同心な直径Ｄ＝２Ｓ＋ｄの円と直径ｄ_i ＝Ｓ＋ｄの円との差としての環形（７）内にある外側面積部分Ａ_a と、長手軸線（２）に同心な直径ｄ_i の円と直径ｄの円の差としての長手軸線（２）に同心な環形（８）内にある内側面積部分Ａ_i との比Ａ_a ／Ａ_i が、少なくとも３：１である。本発明によって達成される利点は、実質的に、本発明による装置によって骨膜や海綿質構造の損傷が最小となり、骨内でインプラントの固定向上が達成されることにある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 （技術分野） 本発明は、請求項１の前文に記載された骨の表面または内部でインプラントを
固定するための装置に関する。

【０００２】 （背景技術） 従来、インプラントは骨内で一般にねじで−最近では角度安定的に固定される
単皮質骨ねじでも−固定されている。これらのねじは、形状に関して健康な骨用
に設計されている。皮質骨ねじと皮質厚との間には、発生する荷重の伝達に関し
最適な比が存在する。これらの角度安定ねじは、古典的意味の引張ねじとして働
くのではなく、ボルトとして働く。ただし、このために従来は−健康な骨用に最
適化された−ねじ寸法が利用された。その結果、使用される角度安定ねじはコア
径と外径との比が縮小され、引抜強さおよび故障荷重が小さくなった。

【０００３】 この点で本発明は救済策を提供せんとするものである。本発明の課題は、一層
少ないインプラント体積で一層大きな骨・インプラント表面積を生じ、主負荷方
向でかなり増大された投影面を生成することである。

【０００４】 本発明はこの課題を、請求項１の特徴を有する装置で解決する。本発明で達成
される利点は、実質的に、本発明による装置によって骨膜や海綿質構造の損傷が
最小となり、骨内でインプラントの固定向上が達成されることにある。 本発明のその他の有利な諸構成は従属請求項に明示されている。

【０００５】 好ましい一実施形態では、本発明による装置の断面形材に対応した骨板本体の
凹部（穴）によって骨板内で装置の角度安定的固定を達成することができる。

【０００６】 他の実施形態では、本発明による装置の翼の周辺肉厚部によって、同じまたは
一層小さなインプラント体積、同じ材料をもって、そして軸方向でかなり増大さ
れた投影面をもって、一層大きな曲げ・捩り剛性が達成される。

【０００７】 他の実施形態では、形材が螺旋状に、好ましくは長さ８〜１２ｍｍで１００〜
１４０°、捩られており、これが軸方向引抜きに対抗する。

【０００８】 装置の形材を受容するインプラント（骨板）は、形材肉厚部に対応した凹部を
有し、この凹部はその形状によって形材の内方（骨方向）への移動を防止する。

【０００９】 閉鎖機構は、装置の形材が受容個所から外れるのを防止し、形材の長手軸線上
の力を吸収する。これは、公知の形状または摩擦嵌合式の着脱自在な回転機構、
摺動機構または爪止め機構によって実現することができる。

【００１０】 （発明を実施するための最良の形態） 以下、複数の実施形態の部分略図に基づいて、本発明と本発明の諸構成がなお
詳しく説明される。

【００１１】 図１に示す本発明による装置の形材は、実質的に、長手軸線２（図示面に垂直
に延びる）を備えた中空コア１からなり、周辺肉厚部５を備えた三つの翼３がコ
アから半径方向で突出している。コア１と翼３と肉厚部５は、外径Ｄ＝２Ｓ＋ｄ
と同一の長手軸線２とを備えた直線的円柱（図示面に垂直に延びる）の内部に含
まれる。コア１内に形成されたコア穴９の直径ｄが好ましくは２ｍｍであるのに
対して、値Ｓは３ｍｍ〜５０ｍｍ、好ましくは５ｍｍ〜３０ｍｍの値である。

【００１２】 長手軸線２に直角に延び、図示平面に一致する平面６内で考えて、装置の長手
軸線２に関して形材の力伝達部におけるインプラント断面積Ａ＝Ａ_a ＋Ａ_i のう
ち、長手軸線２に同心な直径Ｄ＝２Ｓ＋ｄの円と直径ｄ_i ＝Ｓ＋ｄの円との差と
しての環形７内にある外側面積部分Ａ_a と、長手軸線２に同心な直径ｄ_i の円と
直径ｄの円の差としての長手軸線２に同心な環形８内にある内側面積部分Ａ_i と
の比Ａ_a ／Ａ_i が、少なくとも３：１である。代表的にはこの比Ａ_a ／Ａ_i は３
．０：１と３．５：１との間である。

【００１３】 図２は四翼形材をＸＹ座標系で示しており、これを基に断面二次モーメントＩ_x 、Ｉ_y 、及びＩ_z の計算が説明されている。最大断面二次モーメントと最小断
面二次モーメントとの比Ｉ_max ／Ｉ_min は、５：１の値、好ましくは４：１の値
を超えてはならないであろう。

【００１４】 図３〜図５は断面形材のその他の変種を肉厚部５付きで示している。図３と図
４は他の四翼形材を示しており、図５は六翼形材を示している。図３において、
肉厚部５は、円柱状ではなく楕円形筒として形成されている。図４は、図３と同
様な、しかし非点対称な形材を示している。それらが上記幾何学条件に従う限り
、その他の形材も応用分野に応じて使用することができる。

【００１５】 図６は骨ねじの形態のコア１と翼３とからなる捩り形材を有する本発明による
装置１０を示しており、複数の板穴２１を有する骨板２０にこれが挿入されてい
る。装置１０は、このため一方の末端に頭部２２を有し、この頭部が板穴２１に
嵌まり込む。頭部２２がさらに六角穴２３を有し、装置１０を骨にねじ込み得る
ように、この六角穴は、相応する六角頭ねじ回しを受容することができる。

【００１６】 図７は図６と同じ装置１０を示しており、この装置が骨板２０に挿入されてい
るが、この骨板は−図６に示すのとは違い−円柱状板穴を有しておらず、装置１
０の断面形材に合わせて特殊形成された貫通穴２４を有する。この実施形態にお
いて、三方放射状に構成された貫通穴２４が骨板２０の表面２５にくぼませて配
置されており、装置１０の頭部２２は、骨板２０の円柱状に形成されたくぼみ２
６内に完全に沈めることができ、頭部２２が表面２５から張り出すことはない。
これにより、装置１０と骨板２０との間に形状嵌合式結合が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による装置の横断面図である。

【図２】 ＸＹ座標系における四翼形材の横断面とさまざまな断面二次モー
メントの式を示す。

【図３】 本発明による装置の断面形材の変種を示す。

【図４】 本発明による装置の断面形材の変種を示す。

【図５】 本発明による装置の断面形材の変種を示す。

【図６】 骨板に挿入された本発明による装置の斜視図である。

【図７】 骨板に挿入された本発明による装置の部分断面斜視図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ゼーベック ジョルン スイス国、ツェーハー−7260 ダフォス、 ザルツガーバシュトラーセ ２ Ｆターム(参考） 4C060 LL14 LL15 【要約の続き】 ある。

Claims (12)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 骨表面または内部でのインプラント固定用装置（１０）であ
   って、中実または中空の縦長コア（１）を含み、このコアが長手軸線（２）とそ
   こから半径方向に突出する複数の翼（３）とを備えており、装置が包絡面を形成
   し外径Ｄ＝２Ｓ＋ｄと同一の長手軸線（２）とを有する直線的円柱の内部に含ま
   れており、ｄがコア（１）内に場合によって設けられるコア穴（９）の直径に一
   致し、Ｓが３ｍｍと５０ｍｍの間の値を有するものにおいて、長手軸線（２）に
   対し直交する平面（６）内で、装置の長手軸線（２）に関して力の伝達に役立つ
   形材の部分内に配置されるインプラントの断面積Ａ＝Ａ_a ＋Ａ_i のうち、長手軸
   線（２）に対し同心的に広がる直径Ｄ＝２Ｓ＋ｄの円と直径ｄ_i ＝Ｓ＋ｄの円と
   の差としての環形（７）内にある外側面積部分Ａ_a と、長手軸線（２）に対し同
   心的に広がる直径ｄ_i の円と直径ｄの円の差として長手軸線（２）に同心的に広
   がる環形（８）内にある内側面積部分Ａ_i との比Ａ_a ／Ａ_i が、少なくとも３：
   １であることを特徴とするインプラント固定用装置。
2. 【請求項２】 比Ａ_a ／Ａ_i が少なくとも３．５：１、好ましくは少なくと
   も４：１であることを特徴とする、請求項１記載の装置。
3. 【請求項３】 最大断面二次モーメントと最小断面二次モーメントとの比Ｉ_max ／Ｉ_min が５：１、好ましくは４：１の比を超えないことを特徴とする、請
   求項１または２記載の装置。
4. 【請求項４】 装置が一方の自由端に、好ましくは形材肉厚部の形態の結合
   子（４）を有し、この結合子が他のインプラントとの形状または摩擦嵌合式結合
   を可能とすることを特徴とする、請求項１〜３のいずれか１項記載の装置。
5. 【請求項５】 結合子（４）が、装置を着脱自在かつ摺動不可能に他のイン
   プラント内で固着可能とする手段を有することを特徴とする、請求項４記載の装
   置。
6. 【請求項６】 翼（３）の数が少なくとも二つ、好ましくは少なくとも三つ
   であることを特徴とする、請求項１〜５のいずれか１項記載の装置。
7. 【請求項７】 翼（３）がその自由端に周辺肉厚部（５）を有することを特
   徴とする、請求項１〜６のいずれか１項記載の装置。
8. 【請求項８】 長さ８〜１２ｍｍで断面形材が、長手軸線（２）に関して螺
   旋状に、好ましくは１００〜１４０°、捩られていることを特徴とする、請求項
   １〜７のいずれか１項記載の装置。
9. 【請求項９】 縦長コア（１）がコア穴（９）を備えていることを特徴とす
   る、請求項１〜８のいずれか１項記載の装置。
10. 【請求項１０】 コア径ｄと外径Ｄ＝２Ｓ＋ｄとの比ｄ／Ｄが０．５の値を
    超えないことを特徴とする、請求項１〜９のいずれか１項記載の装置。
11. 【請求項１１】 コア径ｄと外径Ｄ＝２Ｓ＋ｄとの比ｄ／Ｄが０．３３、好
    ましくは０．３０の値を超えないことを特徴とする、請求項１０記載の装置。
12. 【請求項１２】 請求項４〜１０のいずれか１項記載の装置（１０）を少な
    くとも二つ備えた骨板（２０）において、骨板が少なくとも二つの板穴（１１）
    を有し、板穴が、装置（１０）の結合子（４）を形状または摩擦嵌合式に受容で
    きるように形成されていることを特徴とする骨板。