JP2003340518A - 圧潰強度に優れたuoe鋼管の製造方法 - Google Patents
圧潰強度に優れたuoe鋼管の製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 UOE方式によるラインパイプ用鋼管におい
て、外圧負荷時の圧潰強度を改善できる鋼管の製造方法
を提供する。 【解決手段】 鋼板を順にC成形、U成形、O成形し、
鋼板の端部同士をシーム溶接後、拡管するUOE鋼管の
製造方法において、O成形時のアプセット率αと拡管時
の拡管率βの比をα/β≧0.35にすることを特徴と
する圧潰強度に優れた鋼管の製造方法。拡管時の拡管率
を2%以上としても良い。
て、外圧負荷時の圧潰強度を改善できる鋼管の製造方法
を提供する。 【解決手段】 鋼板を順にC成形、U成形、O成形し、
鋼板の端部同士をシーム溶接後、拡管するUOE鋼管の
製造方法において、O成形時のアプセット率αと拡管時
の拡管率βの比をα/β≧0.35にすることを特徴と
する圧潰強度に優れた鋼管の製造方法。拡管時の拡管率
を2%以上としても良い。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はラインパイプ等に使
用される鋼管をUOE製造法で成形する方法において、
圧潰特性を改善するための方法に関する。
用される鋼管をUOE製造法で成形する方法において、
圧潰特性を改善するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、原油・天然ガスの長距離輸送方法
としてラインパイプの重要性が高まっており、なかでも
海洋を渡る海底ラインパイプは3000mにおよぶ深度
にまで達してきた。一般にパイプラインの設計では、ま
ず鋼管内径が流体輸送量より決定され、続いて肉厚、材
質が、内圧負荷時の周方向応力を一定値に押さえるべく
亀裂伝播特性、腐食減量を考慮し、決定されている。し
かし、深海化に伴って水圧が高まり、従来はあまり重要
視されなかった圧潰強度が問題になりつつある。圧潰強
度は外径と肉厚の比に相関があり、鋼管の圧潰強度を高
めることによって大径化及び薄肉化が可能になる。従っ
て、圧潰強度が鋼管サイズを決定する主な設計因子とな
りはじめた。
としてラインパイプの重要性が高まっており、なかでも
海洋を渡る海底ラインパイプは3000mにおよぶ深度
にまで達してきた。一般にパイプラインの設計では、ま
ず鋼管内径が流体輸送量より決定され、続いて肉厚、材
質が、内圧負荷時の周方向応力を一定値に押さえるべく
亀裂伝播特性、腐食減量を考慮し、決定されている。し
かし、深海化に伴って水圧が高まり、従来はあまり重要
視されなかった圧潰強度が問題になりつつある。圧潰強
度は外径と肉厚の比に相関があり、鋼管の圧潰強度を高
めることによって大径化及び薄肉化が可能になる。従っ
て、圧潰強度が鋼管サイズを決定する主な設計因子とな
りはじめた。
【0003】ところで、鋼管の圧潰強度は油井管におい
ては古くから研究されており、統計的にも数多くの実験
式が提案されてきた。その中で外径/肉厚比、降伏強
度、真円度、偏肉度、残留応力がその主な支配因子とさ
れた。これらの研究は材質が均質なシームレス鋼管につ
いて主に行われたものであるため、材料の異方性につい
ては多くを論じる必要はなかった。
ては古くから研究されており、統計的にも数多くの実験
式が提案されてきた。その中で外径/肉厚比、降伏強
度、真円度、偏肉度、残留応力がその主な支配因子とさ
れた。これらの研究は材質が均質なシームレス鋼管につ
いて主に行われたものであるため、材料の異方性につい
ては多くを論じる必要はなかった。
【0004】しかし、長距離輸送に使用される幹線ライ
ンパイプでは大径であるため、UOE方式の製造法によ
る鋼管が使用される。UOE方式による鋼管の製造工程
は、図1に示すようにC成形(プレス)、U成形(プレ
ス)、O成形(プレス)、シーム溶接及び拡管する工程
からなる。さらに、O成形においては、図2に示すよう
にO金型によって縮径され、これはO成形のアプセット
と呼ばれる。また、拡管は、図3に示すように、金属セ
グメントで内側から押し拡げることにより真円度を矯正
する工程であり、周方向の引張応力が加えられて塑性変
形する。これらの曲げ、圧縮及び引張の、いずれの成形
も冷間で行われるため、最終製品、すなわち鋼管は、加
工硬化とバウシンガー効果の複合により機械的性質に異
方性を生じることになる。なお、バウシンガー効果とは
材料に塑性歪みを与えた後、それとは逆方向の降伏強度
が低下する現象である。従って、周方向に引張方向の塑
性歪みを与えたUOE鋼管は、周方向の圧縮降伏強度、
すなわち外圧負荷に対する降伏強度がバウシンガー効果
によって低下する。
ンパイプでは大径であるため、UOE方式の製造法によ
る鋼管が使用される。UOE方式による鋼管の製造工程
は、図1に示すようにC成形(プレス)、U成形(プレ
ス)、O成形(プレス)、シーム溶接及び拡管する工程
からなる。さらに、O成形においては、図2に示すよう
にO金型によって縮径され、これはO成形のアプセット
と呼ばれる。また、拡管は、図3に示すように、金属セ
グメントで内側から押し拡げることにより真円度を矯正
する工程であり、周方向の引張応力が加えられて塑性変
形する。これらの曲げ、圧縮及び引張の、いずれの成形
も冷間で行われるため、最終製品、すなわち鋼管は、加
工硬化とバウシンガー効果の複合により機械的性質に異
方性を生じることになる。なお、バウシンガー効果とは
材料に塑性歪みを与えた後、それとは逆方向の降伏強度
が低下する現象である。従って、周方向に引張方向の塑
性歪みを与えたUOE鋼管は、周方向の圧縮降伏強度、
すなわち外圧負荷に対する降伏強度がバウシンガー効果
によって低下する。
【0005】一方、軸方向の荷重負荷に対しては成形時
の主歪みに荷重方向が直交するため、軸方向の引張及び
圧縮負荷ではその応力挙動に差を生じにくい。また、周
方向の荷重負荷が引張応力である場合、すなわち内圧負
荷に対しては全厚引張試験から得られる値を基準に強度
設計を行えば問題が生じることはない。
の主歪みに荷重方向が直交するため、軸方向の引張及び
圧縮負荷ではその応力挙動に差を生じにくい。また、周
方向の荷重負荷が引張応力である場合、すなわち内圧負
荷に対しては全厚引張試験から得られる値を基準に強度
設計を行えば問題が生じることはない。
【0006】しかし、近年では深海用ラインパイプに適
用し得るUOE鋼管の需要が高まり、外圧による鋼管の
圧潰強度が問題になり始めた。圧潰は外圧により鋼管が
潰れる現象であり、座屈の一つであるため、圧縮の降伏
強度が圧潰強度を決定することとなる。従って、圧潰強
度が要求されるラインパイプにUOE鋼管を適用する際
には、バウシンガー効果による周方向の圧縮強度の低下
が問題になる。
用し得るUOE鋼管の需要が高まり、外圧による鋼管の
圧潰強度が問題になり始めた。圧潰は外圧により鋼管が
潰れる現象であり、座屈の一つであるため、圧縮の降伏
強度が圧潰強度を決定することとなる。従って、圧潰強
度が要求されるラインパイプにUOE鋼管を適用する際
には、バウシンガー効果による周方向の圧縮強度の低下
が問題になる。
【0007】このような問題に対し、低下した圧縮降伏
強度を熱処理によって回復させる方法が、特開平9−3
545号公報及び特開平9−49025号公報に開示さ
れており、また、多くの研究論文に報告されている。こ
れらの方法では、成形により低下したUOE鋼管の圧縮
降伏強度は成形前の鋼板レベルにまで回復し、圧潰強度
はある程度改善される。
強度を熱処理によって回復させる方法が、特開平9−3
545号公報及び特開平9−49025号公報に開示さ
れており、また、多くの研究論文に報告されている。こ
れらの方法では、成形により低下したUOE鋼管の圧縮
降伏強度は成形前の鋼板レベルにまで回復し、圧潰強度
はある程度改善される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、熱処理による
圧潰強度の改善では、加熱工程が追加させるため、著し
いコスト増加を招くことになる。本発明は熱処理を伴わ
なくともUOE製造工程を最適化することで鋼管の圧潰
強度を改善することを目的とする。
圧潰強度の改善では、加熱工程が追加させるため、著し
いコスト増加を招くことになる。本発明は熱処理を伴わ
なくともUOE製造工程を最適化することで鋼管の圧潰
強度を改善することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らはUOE鋼管
の内表面から肉厚中心部(以下、内表面側)に圧縮塑性
歪みを与えることで圧潰強度が向上することに着目し、
O成形時のアプセット率と拡管時の拡管率の比を最適化
することによって、内表面側に圧縮塑性歪みを与え、圧
縮降伏応力の低下を最小限に留めることに成功した。一
方、拡管率が2%以上になると、O成形のアプセット率
に関わらず、拡管率とともに圧潰強度が向上することを
見出した。
の内表面から肉厚中心部(以下、内表面側)に圧縮塑性
歪みを与えることで圧潰強度が向上することに着目し、
O成形時のアプセット率と拡管時の拡管率の比を最適化
することによって、内表面側に圧縮塑性歪みを与え、圧
縮降伏応力の低下を最小限に留めることに成功した。一
方、拡管率が2%以上になると、O成形のアプセット率
に関わらず、拡管率とともに圧潰強度が向上することを
見出した。
【0010】すなわち、本発明の要旨とするところは、
以下の通りである。 (1)鋼板を順にC成形、U成形、O成形し、鋼板の端
部同士をシーム溶接後、拡管するUOE鋼管の製造方法
において、O成形時のアプセット率αと拡管時の拡管率
βの比を α/β≧0.35 とすることを特徴とする圧潰強度に優れたUOE鋼管の
製造方法。 (2)鋼板を順にC成形、U成形、O成形し、鋼板の端
部同士をシーム溶接後、拡管するUOE鋼管の製造方法
において、拡管時の拡管率を2%以上とすることを特徴
とする圧潰強度に優れたUOE鋼管の製造方法である。
以下の通りである。 (1)鋼板を順にC成形、U成形、O成形し、鋼板の端
部同士をシーム溶接後、拡管するUOE鋼管の製造方法
において、O成形時のアプセット率αと拡管時の拡管率
βの比を α/β≧0.35 とすることを特徴とする圧潰強度に優れたUOE鋼管の
製造方法。 (2)鋼板を順にC成形、U成形、O成形し、鋼板の端
部同士をシーム溶接後、拡管するUOE鋼管の製造方法
において、拡管時の拡管率を2%以上とすることを特徴
とする圧潰強度に優れたUOE鋼管の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明者らはUOE方式で製造し
た鋼管の断面において、鋼板の外表面から肉厚中心部
(以下、外表面側)の周方向の圧縮降伏強度を、周方向
における採取位置を変化させて詳細に調査した。試験片
は直径6mm、長さ15mmの円柱で、周方向を長手と
した。その結果を図4に示すが、横軸は、鋼管のシーム
溶接部の軸対称部を0゜とする反時計回りの角度であ
り、シーム溶接部は180゜である。縦軸の圧縮降伏強
度維持率は、鋼管の圧縮降伏強度を成形前の鋼板の圧縮
強度で除した値の百分率である。このように鋼管の外表
面側の圧縮降伏強度は、鋼板の圧縮降伏強度の80〜9
0%に低下していることがわかった。そこで図1に示し
たC成形、U成形、O成形、拡管の各工程での歪み挙動
を解析した結果、外表面側では、U成形で最も大きな引
張塑性歪みが生じ、O成形のアプセット時には圧縮降伏
強度をわずかに超える圧縮応力による圧縮塑性歪みが生
じ、拡管時には再び引張降伏強度を超える引張応力によ
る引張塑性歪みが生じることがわかった。
た鋼管の断面において、鋼板の外表面から肉厚中心部
(以下、外表面側)の周方向の圧縮降伏強度を、周方向
における採取位置を変化させて詳細に調査した。試験片
は直径6mm、長さ15mmの円柱で、周方向を長手と
した。その結果を図4に示すが、横軸は、鋼管のシーム
溶接部の軸対称部を0゜とする反時計回りの角度であ
り、シーム溶接部は180゜である。縦軸の圧縮降伏強
度維持率は、鋼管の圧縮降伏強度を成形前の鋼板の圧縮
強度で除した値の百分率である。このように鋼管の外表
面側の圧縮降伏強度は、鋼板の圧縮降伏強度の80〜9
0%に低下していることがわかった。そこで図1に示し
たC成形、U成形、O成形、拡管の各工程での歪み挙動
を解析した結果、外表面側では、U成形で最も大きな引
張塑性歪みが生じ、O成形のアプセット時には圧縮降伏
強度をわずかに超える圧縮応力による圧縮塑性歪みが生
じ、拡管時には再び引張降伏強度を超える引張応力によ
る引張塑性歪みが生じることがわかった。
【0012】そこでO成形のアプセット時の圧縮塑性歪
みと拡管時の引張塑性歪みのバランスを制御すること
で、外表面側の圧縮降伏応力の低下を抑制し得る可能性
に着目した。バウシンガー効果は塑性歪みとは逆方向の
降伏強度が低下する現象であることから、アプセット率
を大きくして圧縮塑性歪みをより多く加え、拡管率を小
さくして引張予歪みを少なくすることにより、外表面側
における圧縮降伏応力の低下の抑制を図った。
みと拡管時の引張塑性歪みのバランスを制御すること
で、外表面側の圧縮降伏応力の低下を抑制し得る可能性
に着目した。バウシンガー効果は塑性歪みとは逆方向の
降伏強度が低下する現象であることから、アプセット率
を大きくして圧縮塑性歪みをより多く加え、拡管率を小
さくして引張予歪みを少なくすることにより、外表面側
における圧縮降伏応力の低下の抑制を図った。
【0013】試験は外径/肉厚が18.7の鋼管をO成
形のアプセット率αと拡管率βの比を変化させて製造
し、溶接部と軸対称部の外表面より1/4全厚部を中心
に圧縮試験片を採取して行った。結果をα/βに対する
圧縮降伏強度維持率の変化として図5に示す。ここでア
プセット率と拡管率はそれぞれ、次の定義による。
形のアプセット率αと拡管率βの比を変化させて製造
し、溶接部と軸対称部の外表面より1/4全厚部を中心
に圧縮試験片を採取して行った。結果をα/βに対する
圧縮降伏強度維持率の変化として図5に示す。ここでア
プセット率と拡管率はそれぞれ、次の定義による。
【0014】これよりα/β≧0.35とすることで圧
縮降伏強度維持率が90%に達することを明らかにし、
α/βの下限を0.35とした。α/βの上限は、後述
するαの上限とβの下限の好ましい範囲及び最適な範囲
に依存し、好ましい範囲は1以下であり、最適な範囲は
0.6以下である。αの下限は図6及び7に示したよう
な溶接前のシームギャップの最小化及び溶接部ピーキン
グ低減から0.3%以上であることが望ましい。αの上
限については、大きくなるほど圧縮降伏強度の低減を妨
げることができるが、O成形時に図8に示すような開先
部のオーバーラップ又はバックリングが発生し易くなる
ため、外径/肉厚との関係にもよるが、0.5%以下に
することが好ましい。なお、開先部のオーバーラップ及
びバックリングを防止するには図9に示すようなO成形
の金型内面のシーム溶接部に相当する部位に軸中心に向
けて拡がるテーパーを有した突起形状を設けることが有
効である。
縮降伏強度維持率が90%に達することを明らかにし、
α/βの下限を0.35とした。α/βの上限は、後述
するαの上限とβの下限の好ましい範囲及び最適な範囲
に依存し、好ましい範囲は1以下であり、最適な範囲は
0.6以下である。αの下限は図6及び7に示したよう
な溶接前のシームギャップの最小化及び溶接部ピーキン
グ低減から0.3%以上であることが望ましい。αの上
限については、大きくなるほど圧縮降伏強度の低減を妨
げることができるが、O成形時に図8に示すような開先
部のオーバーラップ又はバックリングが発生し易くなる
ため、外径/肉厚との関係にもよるが、0.5%以下に
することが好ましい。なお、開先部のオーバーラップ及
びバックリングを防止するには図9に示すようなO成形
の金型内面のシーム溶接部に相当する部位に軸中心に向
けて拡がるテーパーを有した突起形状を設けることが有
効である。
【0015】発明者らは、さらに圧縮降伏強度維持率に
及ぼす拡管率の影響について検討を行った。その結果を
図10に示すが、拡管率が2%を超えると圧縮降伏強度
維持率は80%を安定的に超え、拡管率とともに増加す
ることがわかる。従って、厚肉材でO成形成形機のプレ
ス能力不足等の理由により、アプセット率が十分に取れ
ない場合でも拡管率を2%以上とすることで圧縮降伏強
度維持率を85%以上にすることができることがわかっ
た。拡管率を増加させると、圧縮降伏強度維持率は向上
するが、より多くの塑性歪みを与えることになるため降
伏比の増加、一様伸びの低下、衝撃値の低下などが現れ
る。これらの機械的性質の劣化から最大拡管率は5%以
下とすることが好ましい。また、拡管率を低下させると
真円度が確保できなくなるため、0.5%以上とするこ
とが好ましく、最適な範囲は0.6%以上である。な
お、バウシンガー効果による外面側の圧縮降伏強度低下
率は拡管時の引張塑性歪みの大きさ及び肉厚によって変
化する造管時の曲げ加工による引張塑性歪みには大きく
依存しない。一方、内面側の圧縮降伏強度の上昇は、O
プレス時の圧縮歪みの大きさ及び肉厚によって変化する
加工硬化の度合いに依存する。従って、肉厚が厚くなる
と外面側の圧縮降伏強度は変化せず、内面側の圧縮降伏
強度が大きくなる。本発明の効果は、少なくとも肉厚、
20〜42mmの範囲についてはその効果が確認され
た。
及ぼす拡管率の影響について検討を行った。その結果を
図10に示すが、拡管率が2%を超えると圧縮降伏強度
維持率は80%を安定的に超え、拡管率とともに増加す
ることがわかる。従って、厚肉材でO成形成形機のプレ
ス能力不足等の理由により、アプセット率が十分に取れ
ない場合でも拡管率を2%以上とすることで圧縮降伏強
度維持率を85%以上にすることができることがわかっ
た。拡管率を増加させると、圧縮降伏強度維持率は向上
するが、より多くの塑性歪みを与えることになるため降
伏比の増加、一様伸びの低下、衝撃値の低下などが現れ
る。これらの機械的性質の劣化から最大拡管率は5%以
下とすることが好ましい。また、拡管率を低下させると
真円度が確保できなくなるため、0.5%以上とするこ
とが好ましく、最適な範囲は0.6%以上である。な
お、バウシンガー効果による外面側の圧縮降伏強度低下
率は拡管時の引張塑性歪みの大きさ及び肉厚によって変
化する造管時の曲げ加工による引張塑性歪みには大きく
依存しない。一方、内面側の圧縮降伏強度の上昇は、O
プレス時の圧縮歪みの大きさ及び肉厚によって変化する
加工硬化の度合いに依存する。従って、肉厚が厚くなる
と外面側の圧縮降伏強度は変化せず、内面側の圧縮降伏
強度が大きくなる。本発明の効果は、少なくとも肉厚、
20〜42mmの範囲についてはその効果が確認され
た。
【0016】
【実施例】材質がX−65及びX80であり、外径及び
肉厚が、それぞれ660〜711mm及び25〜38m
mの範囲であるUOE鋼管を、表1に示した外径/肉厚
比、アプセット率及び拡管率で製造した。この鋼管から
直径6mm、長さ15mmの円柱で、周方向を長手とし
た圧縮試験片を切り出して圧縮降伏強度を測定し、圧縮
降伏強度維持率として示した。また一部の鋼管では長さ
5mの鋼管を圧潰試験体とし、圧力容器内に設置して鋼
管に軸力が発生しないように水圧を負荷する単軸圧潰試
験を行い、圧潰強度を測定した。結果を表1に示す。
肉厚が、それぞれ660〜711mm及び25〜38m
mの範囲であるUOE鋼管を、表1に示した外径/肉厚
比、アプセット率及び拡管率で製造した。この鋼管から
直径6mm、長さ15mmの円柱で、周方向を長手とし
た圧縮試験片を切り出して圧縮降伏強度を測定し、圧縮
降伏強度維持率として示した。また一部の鋼管では長さ
5mの鋼管を圧潰試験体とし、圧力容器内に設置して鋼
管に軸力が発生しないように水圧を負荷する単軸圧潰試
験を行い、圧潰強度を測定した。結果を表1に示す。
【0017】製造No.1〜4は、アプセット率と拡管
率の比が本発明の範囲内にあり、材質及び外径/肉厚比
が同一でα/β比が0.35に満たない製造No.14
〜17よりも圧縮降伏強度維持率が大きい。また、製造
No.1、2及び14の鋼管に対して圧潰試験を行った
ところ、本発明の範囲内である製造No.1及び2の圧
潰強度は本発明の範囲外の製造No.14よりも高く、
本発明の効果が実証できた。また、製造No.5は、材
質及び外径/肉厚比が同一でα/β比が0.35に満た
ない製造No.18よりも板材降伏強度に対する鋼管圧
縮降伏強度比が大きい。
率の比が本発明の範囲内にあり、材質及び外径/肉厚比
が同一でα/β比が0.35に満たない製造No.14
〜17よりも圧縮降伏強度維持率が大きい。また、製造
No.1、2及び14の鋼管に対して圧潰試験を行った
ところ、本発明の範囲内である製造No.1及び2の圧
潰強度は本発明の範囲外の製造No.14よりも高く、
本発明の効果が実証できた。また、製造No.5は、材
質及び外径/肉厚比が同一でα/β比が0.35に満た
ない製造No.18よりも板材降伏強度に対する鋼管圧
縮降伏強度比が大きい。
【0018】製造No.6〜12は拡管率を2%以上と
したもので、α/β比に依らず、板材降伏強度に対する
鋼管圧縮降伏強度比が、材質及び外径/肉厚比が同一で
拡管率が2%未満の製造No.14〜17よりも良好で
ある。このうち、製造No.6について圧潰試験を行っ
たところ、製造No.14よりも高い圧潰強度を有する
ことが明らかになった。
したもので、α/β比に依らず、板材降伏強度に対する
鋼管圧縮降伏強度比が、材質及び外径/肉厚比が同一で
拡管率が2%未満の製造No.14〜17よりも良好で
ある。このうち、製造No.6について圧潰試験を行っ
たところ、製造No.14よりも高い圧潰強度を有する
ことが明らかになった。
【0019】製造No.13は拡管率を4%として製造
したもので、同サイズ、同鋼種の製造No.18に比べ
て圧縮降伏強度の低下が小さかった。
したもので、同サイズ、同鋼種の製造No.18に比べ
て圧縮降伏強度の低下が小さかった。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、UO
E方式で製造した鋼管のO成形時のアプセット率と拡管
時の拡管率の比を特定すること、及び拡管率を2%以上
とすることでより高い圧潰抵抗を付与することが可能で
あり、圧潰強度に優れたUOE鋼管を低コストで提供で
きる、これは、深海のような高い圧潰強度が要求される
環境においても、天然ガス、原油等の輸送用ラインパイ
プ等に使用することができ、産業上、極めて貢献度が高
いものである。
E方式で製造した鋼管のO成形時のアプセット率と拡管
時の拡管率の比を特定すること、及び拡管率を2%以上
とすることでより高い圧潰抵抗を付与することが可能で
あり、圧潰強度に優れたUOE鋼管を低コストで提供で
きる、これは、深海のような高い圧潰強度が要求される
環境においても、天然ガス、原油等の輸送用ラインパイ
プ等に使用することができ、産業上、極めて貢献度が高
いものである。
【図1】UOE方式による鋼管製造プロセスの模式図。
【図2】O成形の模式図。
【図3】拡管成形の模式図。
【図4】UOE鋼管の圧縮降伏強度維持率の分布。
【図5】アプセット率/拡管率比による圧縮降伏強度維
持率の変化。
持率の変化。
【図6】溶接部シームギャップの模式図。
【図7】溶接部ピーキングの模式図。
【図8】開先部のオーバーラップ及びバックリングの模
式図。
式図。
【図9】O成形金型突起形状の例。
【図10】拡管率による圧縮降伏強度維持率の変化。
Claims (2)
- 【請求項1】 鋼板を順にC成形、U成形、O成形し、
鋼板の端部同士をシーム溶接後、拡管するUOE鋼管の
製造方法において、O成形時のアプセット率αと拡管時
の拡管率βの比を α/β≧0.35 とすることを特徴とする圧潰強度に優れたUOE鋼管の
製造方法。 - 【請求項2】 鋼板を順にC成形、U成形、O成形し、
鋼板の端部同士をシーム溶接後、拡管するUOE鋼管の
製造方法において、拡管時の拡管率を2%以上とするこ
とを特徴とする圧潰強度に優れたUOE鋼管の製造方
法。
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