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JP2003329678A - 生化学的検査用の検査基板および固相担体 - Google Patents

生化学的検査用の検査基板および固相担体

Info

Publication number
JP2003329678A
JP2003329678A JP2002133153A JP2002133153A JP2003329678A JP 2003329678 A JP2003329678 A JP 2003329678A JP 2002133153 A JP2002133153 A JP 2002133153A JP 2002133153 A JP2002133153 A JP 2002133153A JP 2003329678 A JP2003329678 A JP 2003329678A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase carrier
inspection
biochemical
biochemical substance
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002133153A
Other languages
English (en)
Inventor
Saburo Nagano
三郎 永野
Yoshihei Tachibana
善平 橘
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2002133153A priority Critical patent/JP2003329678A/ja
Publication of JP2003329678A publication Critical patent/JP2003329678A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】核酸、核酸誘導体、タンパク質、糖質、細胞、
細胞断片などの生化学物質を含む生化学的検査に使用す
るための検査基板を提供する。 【解決手段】生化学物質を固定面に固定した分割可能な
固相担体を分割して検査基板を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、核酸、核酸誘導
体、タンパク質などの生化学物質を含む生化学的検査に
使用するための検査基板とそれを製造するための固相担
体に関する。
【0002】
【従来の技術】遺伝子操作技術の分野では、多彩な生物
の全遺伝子機能や僅かなヌクレオチド多型の差、あるい
はタンパク質の多様性などを効率的に解析するための技
術開発が進んでいる。この代表であるDNAチップは、
スライドガラス等の固相担体に多数のオリゴヌクレオチ
ド又はDNA分子を整列させたマイクロアレイである。
DNAチップを用いる生体物質解析技術は、タンパク質
などのDNA以外の生体分子や化学物質にも適用可能で
あり、創薬研究、疾病の診断や予防法の開発、エネルギ
ーや環境問題対策等の研究開発に新しい手段を提供する
ものとして期待されている。
【0003】DNAチップ技術が具体化してきたのは、
DNAの塩基配列をオリゴヌクレオチドやDNA断片と
のハイブリダイゼーションによって決定出来るという発
見に始まった。DNAチップ、マイクロアレイ作製技術
が開発され、(多数の)遺伝子発現を対象としてその変
異や多型等を短時間で効率よく調べることが可能となっ
た。DNAチップは、種々遺伝子に対応した多数のオリ
ゴヌクレオチドまたはDNAの断片(プローブともい
う)を固相表面に整列させて固定化し、固定した多数の
プローブをマトリックスに形成した素子である。通常、
1枚のDNAチップ上には、数千から数万のオリゴヌク
レオチドが固定化されていた。DNAチップを用いる方
法では、複製連鎖反応を用いて、試料としてのmRNA
(メッセンジャーRNA)のcDNA(相補的なDN
A)を合成し、断片化した後に各断片に蛍光標識をつけ
て標識断片とする。これらの標識断片をDNAチップに
接触させ、固定化させてあるオリゴヌクレオチドまたは
DNA断片にハイブリダイゼーションさせる。標識断片
は塩基配列が相補的なオリゴヌクレオチドまたはDNA
断片に保持され、過剰量の標識断片は洗浄操作で除去さ
れる。その後、蛍光測定によって保持された標識断片の
量及び位置を検出し、対応するオリゴヌクレオチドまた
はDNA断片の種類を調べる。この方法は配列既知の遺
伝子の発現をモニタするのに適している。
【0004】cDNAの代わりにゲノムDNAの断片を
標識して同様にプローブとのホモロジーを調べることも
出来る。
【0005】DNAチップの製造方法は、大別して次の
3種類がある。第1の方法では、光化学的に除去できる
保護基で修飾した複数のリンカーを、アミノ基などを介
して、固相表面に結合させて配列しておく。フォトリソ
グラフィー技術は半導体製造技術で開発されたものであ
るが、この技術を応用して、所望のリンカー固定位置の
みを照射できるマスクを介して光照射し、保護基を除去
する。次に、光化学的に除去できる保護基をもつ単量体
を導入して脱保護された部位に限って最初のカップリン
グ反応を行なう。これによって、その部分だけオリゴヌ
クレオチドが伸長される。フォトリソグラフィー及び単
量体の導入を繰り返すことにより、所望のオリゴヌクレ
オチドマトリックスを形成する。
【0006】これとは別に狙った部位にモノヌクレオチ
ド誘導体を次々とインクジェット法などで吹き付けて重
合させ、それぞれの部位に異なったオリゴヌクレオチド
等を合成する方法もある。
【0007】第2の方法は、予め準備された固定化する
オリゴヌクレオチドやDNA断片をガラスやポリマー膜
などの固相表面に微量滴下し、その位置に共有結合によ
って固定化する。例えば、固相表面にイソチオシアネー
ト基を導入しておき、オリゴヌクレオチドの末端をアミ
ノ基にしておけば、イソチオシアネート基固定位置にオ
リゴヌクレオチドを共有結合によって容易に固定化する
ことができる。
【0008】第3の方法では、固定化するオリゴヌクレ
オチドまたはDNA断片を予め準備し、それをガラスや
ポリマー膜などの固相表面に微量滴下し、その滴下位置
に吸着作用等によって固定化する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のような方法で作
製されるDNAチップは、多数のプローブが同一基板に
固定されており、遺伝子解析などの研究分野においては
非常に有用なものである。検査の際には、症状および検
査目的に応じて多数の組み合わせがあり、適宜それぞれ
に応じたDNA配列が用意されるべきであるが、これに
は製造コストが多くかかるために、数千から数万のオリ
ゴヌクレオチドが固定化されている汎用的なDNA識別
用基板が用いられている。しかしながら、このような非
常に多種のDNAについて相補的な結合が行われるため
に、被検査DNAの多数の複製培養、及びそれぞれに蛍
光体等の識別官能基を付与する必要があるために、結果
として被検査DNAの相補結合の量は少なくなり、相補
速度が遅くなり、結果を得るまでに長時間を要し且つ費
用がかかるという課題がある。
【0010】また、上述のような基板型チップでは、多
数の固定されたポイントでの反応を座標で読取るという
方法で統計的に結果判定する方法が取られており、デー
タの解析も検査費用を高める原因となっている。さら
に、DNA検査は個人のプライバシーが関連する事項で
あり、個人個人が必要とする検査のみ行う必要に答える
ことが出なかった。
【0011】上述したような多数のDNAを固定した基
板型チップとは異なり、ビーズタイプのチップも使われ
ている。1つのビーズに1種のDNAが固定されたもの
で、目的とする検査に必要なDNAを固定したビーズを
集めて使うことは可能である。しかしながら、その形状
から、個々のビーズに識別符号を付与し識別することは
難しく、ビーズに着色したり、サイズや形状を変えるこ
とで対応している。従って、検査の際は、集合体として
色の分布や、レーザーで読取ったサイズや形状の分布で
統計的な手法で判定がなされている。
【0012】本発明は、核酸、核酸誘導体、タンパク質
などの生化学物質を検査するための検査基板を小型化
し、被検査物質の量を削減すると供に、反応した結果を
統計的手法を用いず直接に判定できる検査基板を提供す
るものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の検査基板は、生
化学物質を用いて生化学的検査を行なうための検査基板
であって、その特徴は、検査基板が、生化学物質を固定
面に固定した分割可能な固相担体から分割して得られた
ものである。
【0014】また、本発明は、生化学物質固定面が溝に
より分割されており、分割された各固定面には1種類の
生化学物質のみを固定したことを特徴とする。さらにそ
のように分割して得られた短冊状の検査基板であること
を特徴とする。
【0015】さらに、本発明は、生化学物質を固定面に
固定し、複数の検査基板に分割するための溝を備えてな
る固相担体を特徴とする。
【0016】ここで生化学物質とは、核酸、核酸誘導
体、タンパク質、糖質を含む。また、生化学的物質に
は、細胞、細胞断片および、細胞構成物質を含むものと
する。
【0017】本発明の検査基板は、このような生化学物
質が表面に固定された分割可能な固相担体が予め準備さ
れ、生化学的検査の要求により、必要な生化学物質が固
定された部分のみを選択して分割して取出し、検査に提
供され、必要な検査のみ迅速且つ低額で実施することが
可能になる。分割して得られる検査基板の形態として
は、固定されている化学物質の並びにもよるが、短冊状
であることが取扱い上望ましい。
【0018】ここに、生化学的検査とは、上記の生化学
的物質を利用する全ての検査、試験、実験、その他の操
作が含まれる。生化学的検査には、核酸、核酸誘導体、
タンパク質、糖質、細胞、細胞断片又は化学物質を用い
て、これら化学物質を検出、分別する過程を含む。この
ような検査は、例示すれば、遺伝子の発現、変異、多型
等の同時解析、および創薬研究、疾病の診断や予防法の
開発、エネルギーや環境問題対策等の研究開発に新しい
手段を提供するものとして非常に期待される核酸、核酸
誘導体、タンパク質、糖質、細胞および化学物質を検
出、定量するために用いる基板に関する。
【0019】本発明において、生化学物質が固定された
基板裏面には、固定物質を識別するための標識、即ち識
別用の符号が付されているのが好ましい。このような識
別符号は、予め、固相担体に書き込まれており、その後
の生化学物質の固定操作、分割操作、及び所要の検査工
程で、読取りながら、コンピューター制御の下で、誤操
作の防止を図り、自動機械による処理を効率的に実施す
ることが出来る。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の検査基板は、予め生化学
物質が固定された固相担体から分割して得られるので、
生化学物質が固定される固相担体は分割が容易なように
分割溝が施されていることが好ましく、生化学物質の固
定は、この分割溝により区分けされた固定面になされ
る。固相担体の分割溝は縦横方向に格子状に施されてい
るもの、1方向のものが必要に応じて使われる。
【0021】これらの分割溝は、固相担体を作製する工
程で施される。また、固相担体が完成した段階でレーザ
ーで溝を切ることもある。また、固定面は生化学的物質
の固定および検査工程での精度を得る為に平滑な平面で
あることが好ましい。
【0022】分割溝により分割された各固定面に、それ
ぞれ異なる特定の生化学物質が固定された固相担体の状
態で備蓄されている。検査に際しては、これらの生化学
物質の中で検査目的に必要な物質を固定した部分のみを
固相担体から分割して取出し検査基板として提供する。
【0023】例えば、固相担体において、縦横100本
の分割溝に区分けされた基板の各固定面に、行方向にそ
れぞれ異なる生化学物質が固定されており、ある検査に
必要な生化学物質が10行から40行に渡って含まれて
いるのであれば、この基板を列ごとに分割して短冊状の
検査基板として使うことが出来る。精度を高める為に、
数列をまとめて使うことも可能である。また、列分割し
た後に、10行から40行の部分のみを分割して目的と
する検査に関する物だけを使うことも可能である。
【0024】このような使い方により、検査目的とは異
なる余分な生化学物質の使用量を減らすことで、迅速な
検査および検査経費低減が可能となる。更にはプライバ
シーの保護の観点でも、検査目的以外の余計な情報を断
つことになる。
【0025】検査基板の1つの例として、図1に、1列
に分割した基板を示す。
【0026】この検査基板1は、1列に分割した短冊状
のもので、複数の分割溝5に隔てられた固定面2aに生
化学物質6を固定したものである。このような短冊状と
することで、検査に必要な生化学物質6が一列に整列し
た検査基板2となり、取り扱い性も良く、検査時間が短
縮される。この検査基板1は、図2(A)に示すような
複数の分割溝5を備えた固相担体2を1列に分割するこ
とで得られる。
【0027】分割可能な固相担体2の生化学物質の固定
面2aは、表面粗さRaが0.5μm以下の平滑面であ
ることが好ましい。この表面粗さは、特に、検査過程で
生化学物質6の蛍光標識を利用して蛍光判定が使用され
る検査基板1には、特に好ましい。即ち、表面粗さRa
0.5μmを越える表面粗さであると、検査過程で蛍光
により検査を行なう際、蛍光発色のための励起光が表面
で散乱されて、蛍光判定が困難になるからである。ま
た、固定面2aが平面であることは、検査精度を向上さ
せる。特に、表面粗さRa0.2μm以下の平滑面であ
ることが好ましい。
【0028】固相担体2としては、ポリマー、セラミッ
クス、金属シリコン等から形成することができる。これ
らの材料は、特に、疎水性であるか、又は親水性に乏し
いことが好ましい。
【0029】ポリマーを例示すれば、酢酸セルロース
系、ポリビニール系、ポリエステル系ポリマーなどが利
用できる。ポリビニール系ポリマーには、例えば、ポリ
スチレン、ポリメチルメタクリレートがある。ポリエス
テル系ポリマーには、例えば、ポリエチレンテレフタレ
ートやビスフェノールAのポリカーボネートがある。
【0030】セラミックスには、酸化物焼結体を含み、
例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、ム
ライト、サファイアなどが利用でき、更に、非酸化物セ
ラミックスである炭化珪素等も利用できる。セラミック
スにはガラスを含み、例えば、珪酸系ガラス、硼珪酸系
ガラスが利用できる。ガラス層を表面コーティングした
セラミックスも好ましく用いられる。
【0031】固相担体の材料には、金属、特に、不活性
で耐食性の高い金属ないし亜金属、これらの合金を含
む。例えば、シリコンその他の半導体材料が利用され
る。
【0032】これらの中でも特に、ガラス、シリコンお
よびセラミックスが利用され、これらの材料は、上記の
如く平滑にする表面処理が容易であり、蛍光スキャニン
グ装置による解析の容易となる利点がある。
【0033】固相担体2は、このような材料から、固定
面2aに平滑な平面を有し、形状は特に問わないが、通
常は、角板状の薄板を利用することができる。外形寸法
は、例示すれば、縦横の長さが50〜60mmで、その
厚さが0.1〜2mmの範囲のものが利用できる。
【0034】固相担体2には分割用の溝5が設けられて
いる。溝5を付加する作製方法として、上記の角板状の
薄板を形成する工程において、その表面に格子状の割り
溝を設ける。または、角板状の薄板を作製後にレーザー
で割り溝を切り込むなどの方法が用いられる。セラミッ
クスの場合を例として説明する。
【0035】薄板状のアルミナセラミック基板は一般に
テープ法により作製される。アルミナ原料および焼結助
剤粉末とを溶媒を用いてボールミルで粉砕混合を行な
い、更に有機バインダーを溶解して泥しょうとする。脱
泡処理の後、ドクターブレード法で離型紙の上に泥しょ
うを流し、温風で溶媒を飛ばし、乾燥の後、離型紙から
剥がして厚みの均一な生テープを作製する。この生テー
プに溝用の歯を持った金型を押しつけ溝をテープ表面に
付加する。同時に、所定の寸法型により生テープを打ち
抜く。
【0036】このようにして得られた溝付き生テープ
は、所定の温度で焼成され、分割溝を有したセラミック
基板が得られる。また、生テープに溝を付加せずに所定
寸法に打ち抜いた状態で焼成し、その後にレーザーで分
割溝を付加することもなされている。
【0037】割り溝による分割は、シリカガラス、サフ
ァイア、シリコンやセラミックスなどの比較的脆性的な
材料には好ましく適用することができる。
【0038】検査基板1は上述した分割用の溝5を有し
た固相担体2に生化学物質6を固定した後、分割して得
られる。生化学物質6を固定する操作の前に、固相担体
2には後述する識別記号3の付記や、生化学物質を固定
するために必要な表面処理などを施す。
【0039】分割可能な固相担体2は、固定すべき生化
学物質6に応じて、予め、固相担体の固定面2aに形成
した表面層4を含むものが好ましい。図2(C)は、上
記分割可能な固相担体2の全面に表面層4を形成した例
を示す。表面層4は、生化学物質6を固相担体2の固定
面上に確実に固定するための結合層として利用するもの
である。固相担体2の材料が疎水性であるかまたは親水
性に乏しいものであるときは、上記表面層4は、核酸、
核酸誘導体、タンパク質、糖質、細胞、細胞断片ないし
その他の化学物質などの固定されるべき物質と、静電結
合や共有結合により結合して、固相担体上の固定を確実
にするものである。
【0040】固定面上の表面層4には、金やポリ−L−
リシン、ポリエチレンイミンなどのポリ陽イオン物質の
薄膜を利用できる。固相担体2を表面処理して薄膜を形
成することができる。また、薄膜は、アミノ基、アルデ
ヒド基、エポキシ基などのアルキル基を有するシランカ
ップリング剤によってその表面処理して形成することも
できる。ポリ−L−リシン等を用いる処理に、シランカ
ップリング剤による処理を組み合わせて行なってもよ
い。
【0041】固定面2a又はその上に形成した上記薄膜
上に、さらに表面層4を形成することもできる。このよ
うな表面層4は、電荷を有する親水性の高分子物質を含
む層や架橋剤からなる層を含む。
【0042】この実施形態の固相担体2には、予め、識
別符号3が付与されている。識別符号3は、検査基板表
面に固定された生化学物質6を表示するもので、識別符
号3を検出してデータと照合して解読することにより、
固定された物質を識別するものである。
【0043】識別符号3は、公知のものが利用でき、基
板の底面に標記して、文字、数字、記号、その他の符号
や、光学的又は磁気的に読取り可能なコード情報、例え
ば、二次元的、三次元的なバーコード、ないしドットコ
ードなどがある。特に分割用の溝5で囲まれた固定面2
aが小さいものであるから、識別符号3は、微細な形態
にして光学的に又は磁気的に検出可能なものが好まし
い。図2(B)には、二次元的コードからなる識別符号
3を、固相担体2の底面2bに形成した例を示してい
る。
【0044】識別符号3は、インクや塗料などにより文
字、数字、記号や上記のバーコードを印刷することによ
り表示することができる。この場合に使用するインクや
塗料は、検査工程で生化学的物質試料を溶解または懸濁
させる溶媒に対する耐薬品性・耐食性がある塗料材料か
ら選ぶのが好ましい。好ましくは、紫外線硬化型樹脂含
有インクを塗膜して、識別符号を表した紫外線パターン
を照射するか、あるいはレーザー走査して印刷すること
もできる。
【0045】また、識別符号は、インクなどによる印刷
以外に、光学的に検出可能なものとして、レーザー照射
により基板の底面に直接描くことも利用できる。図2
(B)の例は、レーザービームにより、パターン化した
ドット符号の配列を固相担体2の底面2bに彫り込んだ
例を示している。
【0046】さらに、磁気的に検出可能な識別符号とし
ては、基板上に磁気層を形成し、磁気ヘッドにより磁化
させて記号化し、読取り可能にしたものも採用できる。
【0047】レーザー照射により表示する識別符号3
は、照射面に走査レーザービームの熱により固相担体表
面を部分的に溶解して、所要のマークを彫刻して描くも
のが、耐薬品性を考慮しなくて良いので、好都合であ
る。
【0048】他方、レーザー照射による識別符号の場合
には、彫り込まれた符号のエッジ部が盛り上がる現象が
見られる。図2(B)においては彫り込まれたドット符
号の周り、即ち、エッジ部が環状に隆起する。この盛り
上がりは5μm以下が好ましく、更には1μm以下がよ
り好ましい。エッジ部の高さ5μm以上の盛り上がりが
あると、識別符号3が彫り込まれた固相担体2に後述す
る生化学物質6を載せる操作を行う際に、固相担体2を
作業テーブルに安定して載置できず、分割用の溝5に沿
って基板を割ってしまう恐れがあるからである。
【0049】図2(D)は、固相担体2の固定面2a上
の表面層4上に、生化学物質6が固定された分割可能な
固相担体2を模式的に示している。固定に際しては、種
々の方法が利用され、フォトリソグラフィック技術を用
いて任意の塩基配列をもつオリゴヌクレチドを合成する
アフィメトリックス法や、予め調整した生化学物質を基
板の上に滴下して固定する方法がある。後者のスポッテ
ィング法は、ピンの先に生化学物質6を含む液を担時さ
せ、その液滴を固相担体の表面にスポットしていくので
あるが、 ピンの先端の形状によりスリット方式、ピン
&リング方式というようなスタンプピンを用いる方法や
インクジェット法による方法などがある。
【0050】固相担体2上への固定に先だって、生化学
物質6を処理して、その分子末端に、基板表面の薄膜な
いしは表面層4と静電結合または共有結合するように、
相互作用に関与しうる官能基を予め導入しておくことが
好ましい。そのような官能基は、チオニール基、アミノ
基、アルデヒド基、カルボン酸基、ビオチンを挙げるこ
とができる。特に、官能基は、チオニール基、アミノ基
が好ましい。
【0051】以上の如く固定化調整した固相担体2に
は、図2(D)に示すように、分割溝5で囲まれた固定
面2aの表面上に、核酸などの上記生化学物資6が固定
される。また、その底面2bには固定化した生化学物質
6を特定する識別符号3が付記されている。検査、試
験、実験などの目的と仕様に応じて、必要な特定の種類
と量の生化学物質6を固定した部分だけを、この固相担
体2から分割して採取し、使用目的に提供される。固相
担体2の分割は、分割用の溝5に曲げ応力を作用させる
ことによりなされ、レーザーで底面の識別符号3を判別
しながら自動分割機にてなされる。
【0052】格子状の分割用の溝5が付されている固相
担体2の1列毎に、ある検査目的に必要な生化学物質6
が固定されている場合、検査の内容に応じて、列毎に分
割して短冊状の検査基板1として活用する。
【0053】この方法により、必要なものだけの検査が
可能となり、高価な生化学物質の消費が削減され、且つ
検査時間の短縮により、検査費用の削減を図ることがで
きる。また、検査目的以外の情報が無いことから、プラ
イバシーの保護にも役立つものである。
【0054】
【実施例】[実施例1]この実施例では、基板材料にア
ルミナセラミックスを選んで固相担体を調整した。アル
ミナ平板は寸法60×50mm、厚み0.15mmの外
形を有し、表裏両面には縦0.6mm間隔、横0.35
mm間隔で多数の直行する分割溝が形成されている。分
割溝の形成は、アルミナ生テープに金型プレスにより溝
を彫り込んだ後、焼成する方法を採用した。
【0055】アルミナ平板のサンドブラスト処理によ
り、面粗さRaが0.2μm、0.35μm、0.5μ
mおよび0.6μmのアルミナ平板を得た。
【0056】このアルミナ平板に対して、蛍光光度分析
装置を用いて励起波長532nmおよび630nmで、
バンド幅1.5nmの光を照射し、各波長の蛍光スペク
トルを測定した。面粗さRaが0.2nmのアルミナ平
板に対しては、DNA検査の際に蛍光標識として良く用
いられるCy3およびCy5の検出波長である570お
よび660nmには、吸収極大ピークは観察されず、こ
れら蛍光標識を用いて検査する基板として使用可能であ
ることが判った。表面粗さRaが大きくなると、励起波
長の反射光のバンド幅が広くなる傾向があり、表面粗さ
Raが0.6nmになると、反射光バンド幅は、蛍光検
出波長域まで広がり、検体から発せられる蛍光波長光が
基板からの反射光と重なってしまうことから、検査の精
度を低下させることが判った。
【0057】分割溝が施されたアルミナ平板底面にレー
ザービーム走査により識別符号を彫刻した。分割溝によ
り区画された領域の内側であって、0.55×0.25
mm面積の各領域に、数千種にもおよぶ生化学物質とそ
の他の検査体の種類を考慮し、YAGレーザービームを
走査して、2次元バーコードを彫り込んだ。掘り込んだ
2次元バーコードのレーザー読取りを確認して、0.5
秒以内で読取りが可能であり、識別符号として有効であ
った。
【0058】識別符号を彫り込んだ面を、表面形状顕微
鏡を用いて表面起伏を観察し、レーザービームを照射し
て表面に形成したスポット孔のエッジ部の盛り上がり量
ないし高さを測定した。レーザー照射出力を落とし、イ
メージセンサーで読取り可能な掘り込み深さを測定し
た。
【0059】ビームスポット孔周りのエッジ部の盛り上
がりは0.8μmであった。
【0060】アルミナ基板毎にレーザー照射出力を段階
的に上げていき、ビームスポット孔周りの盛り上がりが
異なる基板を作製した。この基板を生化学物質をスポテ
ィングする装置にセットして装置を稼動させたところ、
ビームスポット孔周りの盛り上がりが5μm以上あるも
のでは分割溝に沿って割れが発生する場合があり、安定
して生化学物質をスタンプするには、ビームスポット孔
周りの盛り上がりは5μm以下であることが必要なこと
が判った。
【0061】[実施例2]実施例1の知見を基にして、
表面粗さRa0.35μmの平面を有し、分割溝付きア
ルミナ平板の裏面にYAGレーザーにて識別符号を彫刻
したあと以下の処理を行なった。
【0062】20%水酸化ナトリウム水溶液と95%エ
タノールとの混合液中に、上記アルミナ平板を浸漬して
室温で2時間、次いで、蒸留水で洗浄した。
【0063】アルミナ平板に表面層を形成するために、
アミノプロピルトリメトシシランの2%エタノール溶液
に浸し、時折かき混ぜながら室温で1時間、その後取り
出して、エタノールで洗浄した。その後、乾燥機にて1
10℃で15分間、加温乾燥させ、シラノ化合物薄膜で
被覆した固相担体を得た。
【0064】この固相担体を活性エステル化した後、分
割溝に分割された固定面上に、塩基配列の異なるオリゴ
ヌクレチドを、底面の識別符号をイメージセンサーで読
取りながらピン&リング方式のピンを用いて点着した。
この操作によりオリゴヌクレチドを固定した固相担体を
得た。
【0065】この固相担体には、塩基配列が20から7
0のオリゴヌクレチドが平板の短辺方向(列)に2点づ
つ点着されており、各列同様な並びとなっている(長辺
方向(行)は、隣士同じ塩基配列のオリゴヌクレチドと
なっている)。
【0066】基板分割機を用いて、この固相担体を各列
毎に分割することにより、塩基配列が20から70のオ
リゴヌクレチドを2スポットづつ有する幅0.58m
m、長さ40mmの短冊状の検査基板を得ることが出来
た。
【0067】塩基数25のオリゴヌクレチドに相補的な
フルオレセイン結合オリゴヌクレチドを、この検査基板
上に添加してハイブリタイゼーションさせた後、余分な
フルオレセイン結合オリゴヌクレチドをエタノールで洗
い落とした。乾燥した後蛍光測定を行なった。塩基配列
20から70のオリゴヌクレチドを点着した上記検査基
板において、塩基数25のオリゴヌクレチドを点着した
2点において、波長473nmの明瞭な蛍光が認められ
た。また、底面に施した識別符号をイメージセンサーに
て読取り、蛍光が認められたスポットは塩基数25のオ
リゴヌクレチドであることが確認することができた。
【0068】固相担体の一列を分割した検査基板である
が、この検査基板を更に分割溝に沿って割り、検出目的
とする塩基数のオリゴヌクレチドの部分のみを取り出し
て使用できる。
【0069】
【発明の効果】本発明の検査基板は、分割可能な固相担
体に固定された生化学物質、例えば、核酸、核酸誘導
体、タンパク質、糖質、細胞、細胞断片などの内、検査
に必要な生化学物質が固定されている部分のみを選択的
に分割して得られるため、生化学物質を検出するために
用いる検査基板が少なくて済み、また、被検査物質の量
を削減するとともに、目的とする項目以外の発現がない
ことより検査時間および経費の削減が可能となる。
【0070】また、分割可能な固相担体の底面に、表面
に固定された生化学物資の識別符号を付すことによっ
て、検査に必要とする部位の確認や、その後の検査工程
を逐次検査識別符号を読取って、検査基板に固定された
生化学物資を特定して、誤操作を回避しながら、検査工
程を実施することができる。
【0071】さらに、検査目的以外の情報発現がないこ
とより、プライバシーの保護にも役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係わる検査基板の斜視図であ
る。
【図2】本発明の固相担体を示しており、(A)は斜視
図、(B)〜(D)は部分平面図である。
【符号の説明】
1 検査基板 2 固相担体 3 識別符号 4 表面層 5 溝 6 生化学物質

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生化学物質を用いて生化学的検査を行うた
    めの検査基板であって、生化学物質を固定面に固定した
    分割可能な固相担体を分割して得たことを特徴とする検
    査基板。
  2. 【請求項2】上記生化学物質固定面が溝により分割され
    ており、分割された各固定面には1種類の生化学物質の
    みを固定してある請求項1記載の検査基板。
  3. 【請求項3】上記生化学物質固定面が、表面粗さRa
    0.5μm以下である請求項1または2に記載の検査基
    板。
  4. 【請求項4】上記固相担体の底面に、固定される生化学
    物質を識別するための識別符号が付されている請求項1
    〜3のいずれかに記載の検査基板。
  5. 【請求項5】上記固相担体がセラミックスからなり、識
    別符号がレーザービーム照射によりセラミックス表面に
    掘り込まれてなる請求項4に記載の検査基板。
  6. 【請求項6】上記セラミックス表面に掘り込まれた識別
    符号のエッジ部の盛り上がりが5μm以下である請求項
    5に記載の検査基板。
  7. 【請求項7】上記検査基板が短冊状であることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれかに記載の検査基板。
  8. 【請求項8】生化学物質を固定面に固定し、複数の検査
    基板に分割するための溝を備えてなる固相担体。
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