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JP2003327565A - β−アミノ酸の合成方法 - Google Patents

β−アミノ酸の合成方法

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JP2003327565A
JP2003327565A JP2002136352A JP2002136352A JP2003327565A JP 2003327565 A JP2003327565 A JP 2003327565A JP 2002136352 A JP2002136352 A JP 2002136352A JP 2002136352 A JP2002136352 A JP 2002136352A JP 2003327565 A JP2003327565 A JP 2003327565A
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lactone
amino acid
reaction
pressure water
ammonia
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Kiyotaka Hatada
清隆 畑田
Osamu Sato
佐藤  修
Yutaka Ikushima
豊 生島
Kazuo Torii
一雄 鳥居
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高圧水下でのアミノ基あるいはアルキルアミ
ノ基の導入法、β−アミノ酸の合成方法及びβ−アミノ
酸の製造方法を提供する。 【解決手段】 高圧水条件下でβ−ラクトンとアンモニ
アあるいはアミンを反応させることによりβ−ラクトン
にアミノ基あるいはアルキルアミノ基を導入する方法、
高圧水条件下でβ−ラクトンとアンモニアあるいはアミ
ンを反応させ、β−ラクトンにアミノ基あるいはアルキ
ルアミノ基を導入してβ−アミノ酸を合成する方法、高
圧水条件下でβ−ラクトンとアンモニアあるいはアミン
を反応させ、β−ラクトンにアミノ基あるいはアルキル
アミノ基を導入してβ−アミノ酸を合成し、次いで、イ
オン交換樹脂で分離精製するβ−アミノ酸の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高圧下でβ−ラク
トンにアミノ基を導入する方法及びそれによってβ−ア
ミノ酸を合成する方法に関するものであり、更に詳しく
は、高圧水条件下でβ−ラクトンとアンモニア、アンモ
ニウム塩化合物あるいはアミンを反応させることによる
β−ラクトンへのアミノ基導入方法、及び上記方法によ
ってβ−ラクトンからβ−アミノ酸を合成する方法に関
するものである。本発明は、β−ラクトンとアンモニ
ア、アンモニウム塩化合物あるいはアミンを反応基質と
して用い、合成過程に有機溶媒、触媒を関与させること
無しに、連続的に、あるいはバッチ方式によって、高圧
下でβ−アミノ酸を製造することを可能とするものであ
り、産業技術として好適、かつ有用な方法を提供するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、一般的に、アミノ酸は、発酵法、
加水分解法、有機合成法等の多様な方法により製造され
ているが、それらの方法のうち、例えば、β−アラニン
の合成については、下記の化学式によるβ−プロピオラ
クトンからのβ−アラニン合成法(Ford,Org.
Sys.Coll.Vol.3,34(1955))が
報告されている。この合成方法において、β−アラニン
(β−alanine)は、アセトニトリル溶媒中でβ
−プロピオラクトン(β−propiolacton
e)にアンモニアを反応させることで合成されている。
【0003】
【化1】
【0004】このように、従来の化学合成方法では、合
成反応に使用した毒性の高い有機溶媒の処理や発生する
副生成物の人体に対する有害性等に対する対策や、それ
らの使用にあたっての安全性等に対する配慮等が必要と
なっている。また、合成規模が大きくなればなるほど、
それらのウエートが増してくる。従って、使用した有毒
性の有機溶媒等の処理が必要とされている。そのため、
有毒基質物質、有機溶媒、触媒等を使用しない全く新し
い合成方法を開発できれば、上記諸問題の根本的な解決
策となり得る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、高圧水条件
下でのβ−ラクトン対するアミノ基導入方法について種
々研究を進める過程で、高圧水条件下でβ−ラクトンと
アンモニア、アンモニウム塩化合物あるいはアミンを反
応させることによりβ−ラクトンにアミノ基あるいはア
ルキルアミノ基を導入することができ、これによって、
β−ラクトンからβ−アミノ酸を合成できることを見出
し、かかる知見に基づいて更に研究を重ねて、本発明を
完成させるに至った。
【0006】即ち、本発明は、高圧水条件下でβ−ラク
トンにアンモニア、アンモニウム塩化合物あるいはアミ
ンを反応させてアミノ基あるいはアルキルアミノ基を導
入する新規のアミノ基導入方法及びアルキルアミノ基導
入方法を提供することを目的とするものである。また、
本発明は、上記アミノ基導入方法により、β−ラクトン
にアンモニア、アンモニウム塩化合物あるいはアミンを
反応させてβ−アミノ酸を合成する新規のβ−アミノ酸
の製造方法を提供することを目的とするものである。ま
た、本発明は、上記アミノ基導入方法により、例えば、
β−プロピオンラクトンとアンモニアあるいはアンモニ
ウム塩化合物からβ−アラニン等を製造する新規なβ−
アミノ酸合成方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0007】更に、本発明は、高圧水条件下で、β−ラ
クトンにアンモニア、アンモニウム塩化合物あるいはア
ミンを反応器に導入し、連続的にβ−アミノ酸を合成す
るβ−アミノ酸連続合成方法を提供することを目的とす
るものである。そして、本発明は、上記アミノ基導入方
法により、β−ラクトンにアンモニア、アンモニウム塩
化合物あるいはアミンを反応させてβ−ラクトンからβ
−アミノ酸を合成し、得られた反応溶液に対してイオン
交換樹脂を用いてβ−アミノ酸を分離精製することを特
徴とする高純度のβ−アミノ酸の製造方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、以下の技術的手段から構成される。 (1)高圧水条件下でβ−ラクトンをアンモニアあるい
はアンモニウム塩化合物と反応させてβ−ラクトンにア
ミノ基を導入することを特徴とするアミノ基の導入方
法。 (2)高圧水条件下でβ−ラクトンをアミンと反応させ
てβ−ラクトンにアルキルアミノ基を導入することを特
徴とするアルキルアミノ基の導入方法。 (3)10MPa以上の圧力範囲である高圧水条件下で
反応させてβ−ラクトンにアミノ基又はアルキルアミノ
基を導入することを特徴とする上記(1)又は(2)に
記載のアミノ基又はアルキルアミノ基の導入方法。 (4)高圧水条件下でβ−ラクトンをアンモニアあるい
はアンモニウム塩化合物と反応させてβ−アミノ酸を合
成することを特徴とするβ−アミノ酸の合成方法。 (5)高圧水条件下でβ−ラクトンをアミンと反応させ
てβ−アミノ酸を合成することを特徴とするβ−アミノ
酸の合成方法。 (6)10MPa以上の圧力範囲である高圧水条件下で
β−ラクトンを反応させてβ−アミノ酸を合成すること
を特徴とする上記(4)又は(5)に記載のβ−アミノ
酸の合成方法。 (7)β−ラクトンとしてβ−プロピオラクトンを用い
ることを特徴とする上記(4)から(6)のいずれかに
記載のβ−アミノ酸の合成方法。 (8)β−ラクトンを高圧水条件下の反応器に連続的に
導入して反応させることを特徴とする上記(4)から
(7)のいずれかに記載のβ−アミノ酸の合成方法。 (9)β−アミノ酸を高圧水条件下の流通式反応器に連
続的に導入して0.001秒から30分で反応させるこ
とを特徴とする上記(4)から(8)のいずれかに記載
のβ−アミノ酸の合成方法。 (10)高圧水条件下でβ−ラクトンとアンモニア、ア
ンモニウム塩化合物あるいはアミンを反応基質として用
い、β−アミノ酸を製造する方法であって、β−ラクト
ンを10MPa以上の圧力範囲である高圧水条件下の反
応器に連続的に導入して反応させ、必要に応じて冷却
し、得られた反応液をカラム分離剤で分離精製し、濃縮
後、乾燥してβ−アミノ酸を得ることを特徴とするβ−
アミノ酸の製造方法。 (11)カラム分離剤としてイオン交換樹脂を用いるこ
と特徴とする上記(10)に記載のβ−アミノ酸の製造
方法。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明について更に詳細に
説明する。本発明の説明を容易にするために、以下、β
−プロピオンラクトンとアンモニア水溶液を高圧下で反
応させて、例えば、β−アミノ酸であるβ−アラニンを
合成した場合を例にとって詳細に説明するが、本発明
は、これらの例に限定されるものではない。本発明者ら
が、種々の実験を経て開発した本発明の合成法の代表的
な例として、例えば、β−プロピオンラクトンとアンモ
ニア水溶液を高圧水条件下の反応器に導入して高速で通
過させることにより、β−アラニンを合成する方法が例
示される。本発明の合成方法で使用する原料試薬は、β
−ラクトンとアンモニア、アンモニウム塩化合物あるい
はアミンだけである。本発明では、高圧水を反応場ある
いは反応溶媒として用いており、有害な有機溶媒あるい
は触媒は使用しないし、また、特に使用する必要はな
い。
【0010】従って、本発明の方法を用いれば、廃溶媒
や廃触媒といった類の処理を必要とする廃棄物はほとん
ど排出されない。また、未反応の、β−ラクトン及びア
ンモニア、アンモニウム塩化合物あるいはアミンや使用
水は本発明の反応に再使用することが可能である。更
に、本発明の方法は、有用なβ−アミノ酸等のアミノ酸
化合物製品を連続的に高速で合成できることから、それ
らの製造方法の手段として最も好適な方法であると考え
られる。なお、この反応はバッチ型反応器においても実
施できる。
【0011】本発明のβ−アミノ酸の製造方法につい
て、以下に詳しく説明する。本発明では、例えば、高圧
水条件下でβ−ラクトンとアンモニア、アンモニウム塩
化合物あるいはアミンを反応させ、β−ラクトンにアミ
ノ基あるいはアルキルアミノ基を導入することによりβ
−アミノ酸を合成することができる。本発明に用いられ
るβ−ラクトンは下記の一般式で示され、式中、R1
2 、R3 及びR4 はアルキル基又は水素である。アル
キル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基等の炭素数1〜20のものはいずれも使用するこ
とができる。β−ラクトンを例示すれば、例えば、β−
プロピルラクトンを挙げることができるが、本発明は、
これに限定されるものではない。
【0012】
【化2】
【0013】本発明の高圧水条件下で上記のβ−ラクト
ンとアンモニアを反応させた場合、得られるβ−アミノ
酸は、下記の一般式で表され、式中、R1 、R2 、R3
及びR4 はアルキル基又は水素である。アルキル基とし
ては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の
炭素数1〜20のものはいずれも使用することができ
る。β−アミノ酸を例示すれば、例えば、β−アラニン
を挙げることができるが、本発明は、これに限定される
ものではない。
【0014】
【化3】
【0015】本発明の高圧水条件下では生成した上記の
β−アミノ酸は、更に脱水して環化反応を起こして、β
−ラクタムが副生する場合がある。得られるβ−ラクタ
ムは、下記の一般式で表され、式中、R1 、R2 、R3
及びR4 はアルキル基又は水素である。アルキル基とし
ては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の
炭素数1〜20のものはいずれも使用することができ
る。β−ラクタムを例示すれば、例えば、β−プロピオ
ンラクタムを挙げることができるが、本発明は、これに
限定されるものではない。
【0016】
【化4】
【0017】本発明で用いられるアミンは、アンモニア
の水素原子をアルキル基で置換した化合物であり、置換
された水素原子の数が1個、2個及び3個の場合をそれ
ぞれ一級アミン、二級アミン及び三級アミンと称してお
り、いずれも、本発明に有効に用いることができる。本
発明で好適に用いられる一級アミンはRNH2 で示すこ
とができ、Rはアルキル基であり、アルキル基として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭
素数1〜20のものはいずれも使用することができる。
【0018】本発明の高圧水条件下で上記のβ−ラクト
ンと、例えば、R5 NH2 で示される一級アミンを反応
させた場合、得られるβ−アミノ酸は、下記の一般式で
表され、式中、R1 、R2 、R3 及びR4 はアルキル基
又は水素であり、及びR5 はアルキル基である。アルキ
ル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基等の炭素数1〜20のものはいずれも使用すること
ができる。β−アミノ酸を例示すれば、例えば、N−メ
チルβ−アラニン、N−エチルβ−アラニン等を挙げる
ことができるが、本発明は、これらに限定されるもので
はない。
【0019】
【化5】
【0020】本発明の高圧水条件下では生成した上記の
β−アミノ酸は、更に脱水して環化反応を起こして、β
−ラクタムが副生する場合がある。得られるβ−ラクタ
ムは、下記の一般式で表され、式中、R1 、R2 、R3
及びR4 はアルキル基又は水素であり、及びR5 はアル
キル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜20のものは
いずれも使用することができる。
【0021】
【化6】
【0022】本発明の方法において、高圧水は反応器の
外からヒーターや溶融塩等を用いて温度を制御すること
が可能であり、あるいは反応器内で内熱方式で温度制御
することも可能である。また、予め適切な温度設定した
高圧水を製造しておき、外部から反応器内に注入して反
応させることもできる。温度圧力条件の異なる2種類以
上の高圧水を反応系に供給して反応条件を制御すること
も可能である。反応容器内での圧力は流通式であれば圧
力調整弁で制御することができる。また、バッチ方式に
よる反応圧力は、例えば、使用温度における自生圧力を
計算することができる。更に、窒素ガスなどの他の気体
を注入することによって圧力をコントロールすることも
できる。一般的には、使用する圧力は使用温度における
自生圧力以上であればよい。
【0023】基本的には、室温以上の温度及び10MP
a以上の圧力に設定された高圧水条件下であれば本発明
は達成されるが、温度50℃以上及び圧力10MPa以
上の高圧水条件下では、より好適に本発明を達成でき
る。更に、50〜450℃の温度範囲及び10〜50M
Paの圧力範囲の高圧水条件を選択すれば最も好適に本
発明は達成される。最適の温度条件は処理時間によって
も変化するが、一般に、好適には50℃から450℃の
温度範囲を選択できる。また、処理量や反応装置によっ
て適宜の温度及び圧力条件を採用すればよい。反応装置
としては、例えば、高圧反応装置が使用されるが、これ
に限らず、高圧水条件下の反応系を設定できる装置であ
れば、その種類は制限されない。ここで、好適な反応装
置として、例えば、本発明で使用した流通式の高圧反応
装置が例示される。市販のオートクレーブは好適に用い
られる。
【0024】本発明の方法において、反応条件は、使用
するβ−ラクトンの種類及び濃度、アンモニア、アンモ
ニウム塩化合物やアミンの種類及び濃度、反応時間、高
温高圧水条件によっても変化する。本発明では、反応基
質のβ−ラクトンとしては、例えば、β−プロピオンラ
クトンが例示される。本発明では、反応に用いるβ−ラ
クトンは1種類に限定されるものでなく、2種類以上の
混合物を用いても反応は好適に進行する。
【0025】流通方式の装置を用いる場合は、例えば、
キャリヤー水として用いる5〜300℃の高い温度に設
定した高圧水の流速及び反応基質であるβ−ラクトン、
アンモニア、アンモニウム塩化合物やアミンの導入流速
を制御することによって反応器に導入するβ−ラクトン
の濃度をコントロールできる。β−ラクトンやアンモニ
ア、アンモニウム塩化合物あるいはアミンの基質溶液を
作製してキャリヤー水中で反応させるが、β−ラクトン
とアンモニア、アンモニウム塩化合物あるいはアミンは
同時に、あるいは別個にキャリヤー水中に導入して反応
させることができる。β−ラクトンとアンモニア、アン
モニウム塩化合物あるいはアミンは、予めキャリヤー水
中に溶解して反応に供してもよい。
【0026】通常、反応器に導入するβ−ラクトンの基
質濃度としては1mMから20Mの濃度範囲で選択でき
る。好適には5mMから20Mの間の適宜な濃度の値を
選択でき、最も好適には10mMから10Mの間の適宜
な濃度の値が選択されるが、本発明は、これらの濃度の
値に限定されるものではない。バッチ法の場合は、単に
仕込みのβ−ラクトンの濃度を制御すればよい。反応器
内のβ−ラクトンの濃度は、反応に関与する高圧水の密
度によって変化する。本発明では、β−ラクトンの種類
に応じて、反応系の温度、圧力、反応時間、反応基質の
濃度とアンモニア、アンモニウム塩化合物あるいはアミ
ンの濃度を調節することによって、β−ラクトンに対す
るアミノ基あるいはアルキルアミノ基の導入量、β−ア
ミノ酸の生成種、生成量あるいは収率を操作することが
できる。
【0027】反応に用いるアンモニアとしては、通常、
例えば、濃度28%のアンモニア水ないし液化アンモニ
アが好適に用いられるが、気体状のアンモニアを高温高
圧水に導入しても反応は進行する。アンモニウム塩化合
物としては、例えば、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニ
ウム、ギ酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アン
モニウム等が好適に用いられる。
【0028】反応に用いるアミンとして、一級アミン、
二級アミン、三級アミンあるいはアルキル第四級アンモ
ニウム塩はいずれも本発明に用いることができる。アル
キル基としては、炭素数1〜20のものであれば好適に
使用できる。これらのアミンとして、例えば、メチルア
ミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、メチル第四
級アンモニウム塩、ジメチル第四級アンモニウム塩、ト
リメチル第四級アンモニウム塩、エチルアミン、ジエチ
ルアミン、メチルエチルアミン、トリエチルアミン、プ
ロピルアミン、ブチルアミンなどを例示することができ
るが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0029】アンモニア、アンモニウム塩化合物やアミ
ンは、通常、反応基質であるβ−ラクトンと混合して反
応器内に導入される場合が多い。その際、アンモニア、
アンモニウム塩化合物やアミンは、通常、水溶液として
用いられ、また、液化アンモニアを用いた場合も最終的
には水溶液となり、反応濃度は、β−ラクトンの基質の
1〜1000倍の濃度範囲の適宜な値から選択できる。
好適にはβ−ラクトンの基質の1〜100倍の濃度範囲
の適宜な値から選択できる。最も好適にはβ−ラクトン
の基質の1〜50倍の濃度範囲の適宜な値から選択でき
る。
【0030】例えば、アンモニア水溶液、アンモニウム
塩化合物水溶液あるいはアミン水溶液の濃度は、1mM
から30M、好適には5mMから30Mの値を選択でき
る。最も好適には10mMから20Mの間の適宜な値を
選択できるが、本発明は、これらの濃度の値に限定され
るものではない。なお、β−ラクトンとアンモニア、ア
ンモニウム塩化合物やアミンは同一の基質溶液として反
応させてもよいが、別々に反応器に導入しても、また、
キャリヤー水に直接混合して使用しても本発明の反応は
進行する。また、アンモニアとアンモニウム塩あるいは
アミンを適宜に混合して用いても本発明の反応は達成さ
れる。
【0031】本発明では、キャリヤー流体と基質流体の
混合割合の設定が反応温度を決定するのに重要であり、
更に通常は、キャリヤー流体と基質流体の送液速度をコ
ントロールすることによって混合比を制御することがで
きる。キャリヤー流体の流速を1とした場合、通常、基
質流体の流速は0.001〜100の範囲の値を適宜選
択できるが、好適には0.01〜50、より好適には
0.05〜50及び最も好適には0.1〜50の範囲の
値を選択するのがよい。
【0032】同じ流速を用いても、反応容器の大きさ、
断面積、長さ等によって使用する流量が変動するので、
流速の代わりに線速度を用いることができる。本発明で
は、キャリヤー流体や基質流体の流量は、通常、10-4
〜104 m/secの線速度の流量を用いることができ
る。好適には10-3〜103 m/secの線速度の流量
を、より好適には10-3〜102 m/secの線速度の
流量を、及び最も好適には10-2〜102 m/secの
線速度の流量を用いるのが望ましい。また、キャリヤー
流体と基質流体の混合比は線速度の比で表すこともでき
る。キャリヤー流体の線速度を1とした場合、通常、基
質流体の線速度は0. 001〜100の範囲の値を適宜
選択できるが、好適には0.01〜50、より好適には
0.05〜50及び最も好適には0.1〜50の範囲の
値を選択するのがよい。
【0033】本発明の反応系は、室温以上の温度、及び
10MPa以上の圧力の高圧水中に上記反応基質のβ−
ラクトンとアンモニア、アンモニウム塩化合物あるいは
アミンを存在させればよく、その際、例えば、金属イオ
ン、酸、あるいは塩基等のような水溶性の触媒、金属担
持触媒、固体酸、固体塩基等の固体触媒あるいは酵素等
は、特に添加する必要がなく、また、有機溶媒を使用す
る必要もない。
【0034】本発明は、基本的には、高圧水中に上記反
応基質を存在させて、無触媒条件下で、あるいは有機溶
媒を反応に関与させることなく、β−ラクトンとアンモ
ニア、アンモニウム塩化合物あるいはアミンを反応させ
てβ−ラクトンにアミノ基あるいはアルキルアミノ基を
導入すること、及びそれによりβ−アミノ酸を合成する
ことを最大の特徴としているが、必要により、メタノー
ル、エタノール、エチレングリコール等の有機溶媒、金
属イオン、酸、あるいは塩基等のような水溶性の触媒、
金属担持触媒、固体酸、固体塩基等の固体触媒あるいは
酵素を添加して反応させても一向にさしつかえない。
【0035】本発明では、上記反応系により、例えば、
反応時間0.001秒から30分程度の時間でβ−ラク
トンにアミノ基あるいはアルキルアミノ基が導入され、
それによってβ−アミノ酸が合成される。例えば、流通
式反応装置を用いる場合、反応時間は、反応温度、反応
圧力、高圧水の流速、反応基質の導入流速、反応器の大
きさ、反応器の流通経路の長さ等を制御することによっ
て反応時間をコントロールできる。好適には反応時間は
0.01秒から20分の範囲の値を選択でき、最も好適
には0.01秒から10分の範囲の値を選択できるが、
本発明は、これらの値に限定されるものではない。
【0036】本発明者らは、後記する実施例に示される
ように、高温高圧水条件下では、短時間(例えば、反応
時間0.1秒前後)でβ−ラクトンへのアミノ基あるい
はアルキルアミノ基の導入が可能であることを、高速液
体クロマトグラフィー質量分析装置(LC−MS装置)
やフリエー赤外分光光度計(FTIR装置)を用いて確
認している。更に、LC−MS装置を用いることによ
り、β−ラクトンやβ−アミノ酸の種類を分離して同定
でき、それらの含有量を正確に定量できる。また、連続
的に得られるβ−アミノ酸をイオン交換樹脂等を用いて
分離精製して、FTIR装置により赤外線吸収スペクト
ルを計測し、純度の高い特級試薬製品のそれと比較する
ことにより、β−アミノ酸の種類や純度を正確に知るこ
とができる。同様に、NMR測定によってもβ−アミノ
酸の種類や純度を確認できる。例えば、流通式装置を用
いて66〜400℃、圧力15〜40MPa及び反応時
間0.02〜0.38秒の条件下で、34〜447mM
濃度のβ−プロピオンラクトンとアンモニア水から2.
1〜10.3mM濃度のβ−アラニンが合成できた。
【0037】本発明では、β−ラクトンとアンモニア、
アンモニウム塩化合物あるいはアミンの反応によってβ
−アミノ酸が主成分として生成するが、反応条件によっ
てはβ−ラクタムが副生する場合がある。β−ラクタム
は、一般的には、200℃より低い温度の反応では副生
しないか、あるいは微量から少量の場合が多く、250
℃より高い温度では副生する量が増加する傾向が認めら
れる。恐らく、β−アミノ酸の環化反応によってβ−ラ
クタムが生成すると考えられる。
【0038】本発明で生成したアミノ酸の反応収率は、
温度、圧力等の反応条件、β−ラクトンの種類、β−ラ
クトンの濃度、アンモニア、アンモニウム化合物あるい
はアミンの濃度、反応装置の形態、反応器の大きさ等に
よって変動する。例えば、流通式装置を用いたβ−アラ
ニン合成の場合の反応収率は2.1%から6.0%であ
った。これらのβ−アラニンは、原料のβ−プロピオン
ラクトン等と混合して回収される。同様に、本発明によ
って種々のβ−ラクトンあるいはそれらの混合物から多
種のβ−アミノ酸が原料基質とともに回収されるが、反
応後、得られた反応液をイオン交換樹脂、例えば、陽イ
オン交換樹脂や陰イオン交換樹脂あるいはそれらの併用
によってβ−アミノ酸と原料基質を分離精製でき、更
に、β−アミノ酸同士の分離も可能であるので、β−ア
ミノ酸は、その種類毎に精製濃縮できる。
【0039】また、同時に回収された原料基質は、再度
原料として用いることができる。また、イオン交換樹脂
の代わりに、アルミナ、逆相用シリカゲル、ゼオライ
ト、セルロース、カーボン等の一般的な適宜のアミノ酸
分離用資材を利用してβ−アミノ酸を分離精製すること
もできる。従って、高圧水条件下で有機酸とアンモニ
ア、アンモニウム塩化合物あるいはアミンを反応させて
β−アミノ酸を合成し、得られた反応溶液に対してイオ
ン交換樹脂、アルミナ、逆相用シリカゲル、セルロース
等のアミノ酸分離材を用いてアミノ酸を分離精製して、
高純度のβ−アミノ酸を好適に製造できる。
【0040】
【作用】本発明では、高圧水条件下のキャリヤー水中
に、反応基質として所定の濃度のβ−ラクトンとアンモ
ニア、アンモニウム塩化合物あるいはアミンを存在させ
ることにより、例えば、β−プロピオンラクトン及びア
ンモニアからβ−アラニンが合成される。この場合、ア
ンモニアに代えて、例えば、メチルアミン、ジメチルア
ミン又はエチルアミンとβ−プロピオンラクトンをそれ
ぞれ反応させることによりアルキルアミノ基がβ−プロ
ピオンラクトンに導入され、N−メチルβ−アラニン、
N−ジメチルβ−アラニン又はN−エチルβ−アラニン
が合成される。
【0041】これらのことから、本発明は、上記反応系
において、反応条件、反応基質のβ−ラクトンの種類、
β−ラクトンの濃度及びアンモニア水溶液、アンモニウ
ム塩化合物あるいはアミンの濃度を調節することによ
り、β−ラクトンにアミノ基あるいはアルキルアミノ基
を導入すること、及びそれによりβ−アミノ酸を短時間
で合成することを可能とし、新規のアミノ基の導入方法
あるいはアルキルアミノ基の導入方法及びβ−アミノ酸
の製造方法として有用である。
【0042】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定され
るものではない。 実施例1 図1に示す連続式反応装置を用い、温度150℃、圧力
30MPa及び密度0.933g/cm3 の高圧水条件
下でβ−プロピオンラクトン(和光純薬社製特級試薬)
とアンモニア水(和光純薬社製特級試薬)を反応させ、
アミノ基の導入によるβ−アラニンの連続合成を試み
た。反応器材料は、合金C−276であり、反応器内
径:0.65mm及び反応器長さ:25cmであり、従
って、反応器容積は0.083cm3 と算出された。各
導入調製液は高圧送液ポンプで注入した。反応に使用し
た水は蒸留水を使用し、窒素ガスでバブリングして溶存
酸素を追い出したキャリヤー水を7.7ml/min
(線速度:0.39m/sec)の流速で通水した。同
様に処理した蒸留水を用い、0.500Mのβ−プロピ
オンラクトン及び2.31Mアンモニア水を含有した基
質溶液を調製し、この基質溶液を5.5ml/min
(線速度:0.28m/sec)の流速で反応器に導入
した。
【0043】高圧水の流速は13.2ml/min(線
速度:0.66m/sec)であった。反応器に入る前
の各基質濃度はβ−プロピオンラクトン:0.208M
及びアンモニア水:0.963Mであった。反応時間は
0.352秒であり、反応後の水溶液を高速液体クロマ
トグラフィー質量分析装置で調べた所、β−プロピオン
ラクトンにアミノ基が導入され、β−アラニンが生成し
ていることを確認した。β−アラニンの含有濃度は6.
6mMであり、その反応収率は3.2%であった。ま
た、副生成物として少量のβ−プロピオンラクタムが認
められた。β−プロピオンラクタムの含有濃度は0.1
mMであり、その反応収率は0.05%であった。
【0044】実施例2 実施例1と同様に反応させて、β−プロピオンラクトン
とアンモニア水からβ−アラニンの連続合成を試みた。
ただし、図2に示した連続反応装置を用い、別々に調製
した1.00Mβ−プロピオンラクトンと5.31Mア
ンモニア水溶液を異なった2つの送水ポンプで反応器に
注入し、反応条件を一部下記の様に変更して実施した。 (反応条件) 反応温度:100℃ 反応圧力:30MPa 高圧水密度:0.972g/cm3 キャリヤー水流速:4ml/min(線速度:0.20
m/sec) 基質溶液(1.00Mβ−プロピオンラクトン水溶液)
流速:4.4ml/min(線速度:0.22m/se
c) 基質溶液(5.31Mアンモニア水溶液)流速:4.4
ml/min(線速度:0.22m/sec) 高圧水流速:12.8ml/min(線速度:0.64
m/sec)
【0045】反応器に入る前の各基質濃度はβ−プロピ
オンラクトン:0.344M及びアンモニア水:1.8
25Mであった。反応時間は0.378秒であり、反応
後の水溶液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置
で調べた所、β−プロピオンラクトンにアミノ基が導入
され、β−アラニンが生成していることを確認した。β
−アラニンの含有濃度は9.3mMであり、その反応収
率は2.7%であった。また、副生成物として少量のβ
−プロピオンラクタムが認められた。β−プロピオンラ
クタムの含有濃度は0.2mMであり、その反応収率は
0.06%であった。
【0046】実施例3 実施例1と同様に反応させて、1.085Mのβ−プロ
ピオンラクトンと5.002Mのアンモニア水からβ−
アラニンの連続合成を試みた。ただし、反応条件を下記
の様に変更して実施した。 (反応条件) 反応温度:300℃ 反応圧力:30MPa 高圧水密度:0.751g/cm3 キャリヤー水流速:20ml/min(線速度:1.0
0m/sec) 基質溶液流速:5ml/min(線速度:0.25m/
sec) 高圧水流速:25ml/min(線速度:1.26m/
sec)
【0047】反応器に入る前の各基質濃度はβ−プロピ
オンラクトン:0.217M及びアンモニア水:1.0
04Mであった。反応時間は0.15秒であり、反応後
の水溶液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置で
調べた所、β−プロピオンラクトンだけが検出され、β
−アラニンの生成していることを確認した。β−アラニ
ンの含有濃度は8.6mMであり、その反応収率は4.
0%であった。また、副生成物として少量のβ−プロピ
オンラクタムが認められた。β−プロピオンラクタムの
含有濃度は0.7mMであり、その反応収率は0.3%
であった。
【0048】比較例 実施例1と同様の反応装置を使用して、0.5Mのβ−
プロピオンラクトンと2.306Mのアンモニア水から
β−アラニンの連続合成を試みた。ただし、キャリヤー
水を用いないで、基質溶液だけを送液し、反応条件を下
記の様に変更して実施した。 (反応条件) 反応温度:25℃ 反応圧力:0.1MPa 反応水溶液密度:1.0g/cm3 基質溶液流速:18.0ml/min(線速度:0.9
0m/sec)
【0049】反応器に入る前の各基質濃度はβ−プロピ
オンラクトン:0.5M及びアンモニア水:2.306
Mであった。反応時間は0.277秒であり、反応後の
水溶液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置で調
べた所、原料のβ−プロピオンラクトンだけが検出さ
れ、β−アラニンは全く得られなかった。
【0050】実施例4 実施例1と同様に反応させて、0.5Mβ−プロピオン
ラクトンと2.306Mアンモニア水からβ−アラニン
の連続合成を試みた。ただし、反応条件を一部下記の様
に変更して実施した。 (反応条件) 反応温度:66℃ 反応圧力:15MPa 高圧水密度:0.987g/cm3 キャリヤー水流速:3ml/min(線速度:0.15
m/sec) 基質溶液流速:15ml/min(線速度:0.75m
/sec) 高圧水流速:18ml/min(線速度:0.90m/
sec)
【0051】反応器に入る前の各基質濃度はβ−プロピ
オンラクトン:0.417M及びアンモニア水:1.9
22Mであった。反応時間は0.273秒であり、反応
後の水溶液を高速体クロマトグラフィー質量分析装置で
調べた所、β−プロピオンラクトンにアミノ基が導入さ
れ、β−アラニンが生成していることを確認した。β−
アラニンの含有濃度は8.7mMであり、その反応収率
は2.1%であった。また、副生成物として少量のβ−
プロピオンラクタムが認められた。β−プロピオンラク
タムの含有濃度は0.2mMであり、その反応収率は
0.05%であった。
【0052】実施例5 実施例4と全く同じ条件で2時間、連続してβ−プロピ
オンラクトンとアンモニア水を反応させた。得られた反
応溶液を陽イオン交換樹脂(ダウケミカル社製50W−
X8)カラムに通して原料のβ−プロピオンラクトンと
生成したβ−アラニンを分離し、β−アラニン含有溶液
を濃縮精製後、エタノールにて析出させ、濾過、乾燥し
て、本発明製品1.31gを得た。得られた本発明製品
は、純白の粉末状をしており、FTIR吸収スペクトル
結果及びNMR測定結果から不純物をほとんど含まない
高純度のβ−アラニンであることを確認した。
【0053】実施例6 実施例1と同様に反応させて、0.789Mのβ−プロ
ピオンラクトンと4.193Mのアンモニア水からβ−
アラニンの連続合成を試みた。ただし、反応条件を一部
下記の様に変更して実施した。 (反応条件) 反応温度:250℃ 反応圧力:40MPa 高圧水密度:0.84g/cm3 キャリヤー水流速:6.5ml/min(線速度:0.
33m/sec) 基質溶液流速:8.5ml/min(線速度:0.43
m/sec) 高圧水流速:15.0ml/min(線速度:0.75
m/sec)
【0054】反応器に入る前の各基質濃度はβ−プロピ
オンラクトン:0.447M及びアンモニア水:2.3
76Mであった。反応時間は0.279秒であり、反応
後の水溶液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置
で調べた所、β−プロピオンラクトンにアミノ基が導入
され、β−アラニンが生成していることを確認した。β
−アラニンの含有濃度は10.3mMであり、その反応
収率は2.3%であった。また、副生成物として少量の
β−プロピオンラクタムが認められた。β−プロピオン
ラクタムの含有濃度は0.9mMであり、その反応収率
は0.2%であった。
【0055】実施例7 実施例1と同様に反応させて、0.22Mのβ−プロピ
オンラクトンと5.002Mのアンモニア水からβ−ア
ラニンの連続合成を試みた。ただし、反応条件を一部下
記の様に変更して実施した。 (反応条件) 反応温度:374℃ 反応圧力:30MPa 高圧水密度:0.558g/cm3 キャリヤー水流速:10ml/min(線速度:0.5
0m/sec) 基質溶液流速:5ml/min(線速度:0.25m/
sec) 高圧水流速:15ml/min(線速度:0.75m/
sec)
【0056】反応器に入る前の各基質濃度はβ−プロピ
オンラクトン:0.073M及びアンモニア水:1.6
67Mであった。反応時間は0.185秒であり、反応
後の水溶液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置
で調べた所、β−プロピオンラクトンにアミノ基が導入
され、β−アラニンが生成していることを確認した。β
−アラニンの含有濃度は3.8mMであり、その反応収
率は5.2%であった。また、副生成物としてβ−プロ
ピオンラクタムが認められた。β−プロピオンラクタム
の含有濃度は1.5mMであり、その反応収率は2.1
%であった。
【0057】実施例8 実施例6と同様に反応させて、0.789Mのβ−プロ
ピオンラクトンと4.193Mのアンモニア水からβ−
アラニンの連続合成を試みた。ただし、反応条件を一部
下記の様に変更して実施した。 (反応条件) 反応温度:383℃ 反応圧力:15MPa 高圧水密度0.0683g/cm3 キャリヤー水流速:14.4ml/min(線速度:
0.72m/sec) 基質溶液流速:0.7ml/min(線速度:0.04
m/sec) 高圧水流速:15.1ml/min(線速度:0.76
m/sec)
【0058】反応器に入る前の各基質濃度はβ−プロピ
オンラクトン:0.034M及びアンモニア水:0.1
82Mであった。反応時間は0.023秒であり、反応
後の水溶液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置
で調べた所、β−プロピオンラクトンにアミノ基が導入
され、β−アラニンが生成していることを確認した。β
−アラニンの含有濃度は2.1mMであり、その反応収
率は6.0%であった。また、副生成物としてβ−プロ
ピオンラクタムが認められた。β−プロピオンラクタム
の含有濃度は0.7mMであり、その反応収率は2.1
%であった。
【0059】実施例9 実施例3と同様に反応させて、1.085Mのβ−プロ
ピオンラクトンと5.002Mのアンモニア水からβ−
アラニンの連続合成を試みた。ただし、反応条件を一部
下記の様に変更して実施した。 (反応条件) 反応温度:400℃ 反応圧力:30MPa 高圧水密度:0.358g/cm3 キャリヤー水流速:20ml/min(線速度:1.0
0m/sec) 基質溶液流速:5ml/min(線速度:0.25m/
sec) 高圧水流速:25ml/min(線速度:1.26m/
sec)
【0060】反応器に入る前の各基質濃度はβ−プロピ
オンラクトン:0.217M及びアンモニア水:1Mで
あった。反応時間は0.071秒であり、反応後の水溶
液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置で調べた
所、β−プロピオンラクトンにアミノ基が導入され、β
−アラニンが生成していることを確認した。β−アラニ
ンの含有濃度は6.5mMであり、その反応収率は3.
0%であった。また、副生成物としてβ−プロピオンラ
クタムが認められた。β−プロピオンラクタムの含有濃
度は1.2mMであり、その反応収率は0.6%であっ
た。
【0061】実施例10 実施例1と同様に反応させて、1.085Mのβ−プロ
ピオンラクトンと6.139Mの塩化アンモニア水溶液
からβ−アラニンの連続合成を試みた。ただし、反応条
件を一部下記の様に変更して実施した。 (反応条件) 反応温度:374℃ 反応圧力:30MPa 高圧水密度:0.558g/cm3 キャリヤー水流速:10ml/min(線速度:0.5
0m/sec) 基質溶液流速:5ml/min(線速度:0.25m/
sec) 高圧水流速:15ml/min(線速度:0.75m/
sec)
【0062】反応器に入る前の各基質濃度はβ−プロピ
オンラクトン:0.362M及び塩化アンモニウム水溶
液:1.667Mであった。反応時間は0.185秒で
あり、反応後の水溶液を高速液体クロマトグラフィー質
量分析装置で調べた所、β−プロピオンラクトンにアミ
ノ基が導入され、β−アラニンが生成していることを確
認した。β−アラニンの含有濃度は1.2mMであり、
その反応収率は0.33%であった。また、副生成物と
してβ−プロピオンラクタムが認められた。β−プロピ
オンラクタムの含有濃度は0.2mMであり、その反応
収率は0.06%であった。
【0063】実施例11 実施例1と同様に反応させて、1.085Mのβ−プロ
ピオンラクトンと4.198Mのメチルアミンを含有し
た基質溶液からN−メチルβ−アラニンの連続合成を試
みた。ただし、反応条件を一部下記の様に変更して実施
した。 (反応条件) 反応温度:374℃ 反応圧力:30MPa 高圧水密度:0.558g/cm3 キャリヤー水流速:10ml/min(線速度:0.5
0m/sec) 基質溶液流速:5ml/min(線速度:0.25m/
sec) 高圧水流速:15ml/min(線速度:0.75m/
sec)
【0064】反応器に入る前の各基質濃度はβ−プロピ
オンラクトン:0.362M及びメチルアミン:1.3
99Mであった。反応時間は0.185秒であり、反応
後の水溶液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置
で調べた所、β−プロピオンラクトンにメチルアミノ基
が導入され、N−メチルβ−アラニンが生成しているこ
とを確認した。N−メチルβ−アラニンの含有濃度は
0.41mMであり、その反応収率は0.11%であっ
た。また、副生成物としてβ−メチルプロピオンラクタ
ムが認められた。β−メチルプロピオンラクタムの含有
濃度は0.06mMであり、その反応収率は0.02%
であった。
【0065】実施例12 実施例1と同様に反応させて、1.085Mのβ−プロ
ピオンラクトンと5.061Mのエチルアミンを含有し
た基質溶液からN−エチルβ−アラニンの連続合成を試
みた。ただし、反応条件を一部下記の様に変更して実施
した。 (反応条件) 反応温度:374℃ 反応圧力:30MPa 高圧水密度:0.558g/cm3 キャリヤー水流速:10ml/min(線速度:0.5
0m/sec) 基質溶液流速:5ml/min(線速度:0.25m/
sec) 高圧水流速:15ml/min(線速度:0.75m/
sec)
【0066】反応器に入る前の各基質濃度はβ−プロピ
オンラクトン:0.362M及びエチルアミン水溶液:
1.687Mであった。反応時間は0.185秒であ
り、反応後の水溶液を高速液体クロマトグラフィー質量
分析装置で調べた所、β−プロピオンラクトンにエチル
アミノ基が導入され、N−エチルβ−アラニンが生成し
ていることを確認した。N−エチルβ−アラニンの含有
濃度は0.24mMであり、その反応収率は0.07%
であった。また、副生成物としてβ−エチルプロピオン
ラクタムが認められた。β−メチルプロピオンラクタム
の含有濃度は0.06mMであり、その反応収率は0.
02%であった。
【0067】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明は、高圧水条
件下でβ−ラクトンとアンモニア、アンモニウム塩化合
物あるいはアミンを反応させることにより、β−ラクト
ンにアミノ基あるいはアルキルアミノ基を導入すること
を特徴とするアミノ基及びアルキルアミノ基の導入方
法、高圧水条件下でβ−ラクトンとアンモニア、アンモ
ニウム塩化合物あるいはアミンを反応させ、β−ラクト
ンからβ−アミノ酸を合成することを特徴とするβ−ア
ミノ酸合成方法に係り、本発明により、1)高圧水条件
下での新規のアミノ基あるいはアルキルアミノ基の導入
方法を提供することができる、2)β−ラクトンとアン
モニア、アンモニウム塩化合物あるいはアミンを高圧水
条件下で反応させてβ−アミノ酸を合成することができ
る、3)上記アミノ基あるいはアルキルアミノ基の導入
方法を流通式に適用して、β−ラクトンからβ−アミノ
酸を連続的に高速で合成することができる、4)有機溶
媒、触媒を一切使用しないβ−アミノ酸合成方法を提供
することができる、5)高純度のβ−アミノ酸を製造す
ることができる、6)環境に優しい化学物質生産システ
ムとして有用である、という格別の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いた送水ポンプ2台付属の流通式反
応装置及び本発明のプロセスのフローを示す。
【図2】本発明に用いた送水ポンプ3台付属の流通式反
応装置及び本発明のプロセスのフローを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 生島 豊 宮城県仙台市青葉区水の森1丁目3番26号 (72)発明者 鳥居 一雄 宮城県仙台市太白区西中田1丁目19番13号 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC52 AD17 AD32 BB31 BC11 BC19 BD80 BE14 BS10 BU32

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高圧水条件下でβ−ラクトンをアンモニ
    アあるいはアンモニウム塩化合物と反応させてβ−ラク
    トンにアミノ基を導入することを特徴とするアミノ基の
    導入方法。
  2. 【請求項2】 高圧水条件下でβ−ラクトンをアミンと
    反応させてβ―ラクトンにアルキルアミノ基を導入する
    ことを特徴とするアルキルアミノ基の導入方法。
  3. 【請求項3】 10MPa以上の圧力範囲である高圧水
    条件下で反応させてβ−ラクトンにアミノ基又はアルキ
    ルアミノ基を導入することを特徴とする請求項1又は2
    に記載のアミノ基又はアルキルアミノ基の導入方法。
  4. 【請求項4】 高圧水条件下でβ−ラクトンをアンモニ
    アあるいはアンモニウム塩化合物と反応させてβ−アミ
    ノ酸を合成することを特徴とするβ−アミノ酸の合成方
    法。
  5. 【請求項5】 高圧水条件下でβ−ラクトンをアミンと
    反応させてβ−アミノ酸を合成することを特徴とするβ
    −アミノ酸の合成方法。
  6. 【請求項6】 10MPa以上の圧力範囲である高圧水
    条件下でβ−ラクトンを反応させてβ−アミノ酸を合成
    することを特徴とする請求項4又は5に記載のβ−アミ
    ノ酸の合成方法。
  7. 【請求項7】 β−ラクトンとしてβ−プロピオラクト
    ンを用いることを特徴とする請求項4から6のいずれか
    に記載のβ−アミノ酸の合成方法。
  8. 【請求項8】 β−ラクトンを高圧水条件下の反応器に
    連続的に導入して反応させることを特徴とする請求項4
    から7のいずれかに記載のβ−アミノ酸の合成方法。
  9. 【請求項9】 β−アミノ酸を高圧水条件下の流通式反
    応器に連続的に導入して0.001秒から30分で反応
    させることを特徴とする請求項4から8のいずれかに記
    載のβ−アミノ酸の合成方法。
  10. 【請求項10】 高圧水条件下でβ−ラクトンとアンモ
    ニア、アンモニウム塩化合物あるいはアミンを反応基質
    として用い、β−アミノ酸を製造する方法であって、β
    −ラクトンを10MPa以上の圧力範囲である高圧水条
    件下の反応器に連続的に導入して反応させ、必要に応じ
    て冷却し、得られた反応液をカラム分離剤で分離精製
    し、濃縮後、乾燥してβ−アミノ酸を得ることを特徴と
    するβ−アミノ酸の製造方法。
  11. 【請求項11】 カラム分離剤としてイオン交換樹脂を
    用いること特徴とする請求項10に記載のβ−アミノ酸
    の製造方法。
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