JP2003305557A - 内部に管路構造を有するアルミニウム基複合材料構造体 - Google Patents
内部に管路構造を有するアルミニウム基複合材料構造体Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】内部に管路構造を有するアルミニウム基複合材
料構造体を低コスト、高信頼性にて提供すること。 【解決手段】セラミックスの多孔体のプリフォームに予
め溝加工を施し、このプリフォーム5にマトリクスとな
るアルミニウムまたはアルミニウム合金を含ませる。プ
リフォーム表面に所定の厚さでアルミニウムまたはアル
ミニウム合金の層を残して、余分なアルミニウムまたは
アルミニウム合金を機械加工により切削除去し、必要と
される複合材料の最終加工形状を得る。複合材料の溝の
うえにアルミニウム合金製の蓋を気密接合することによ
り、内部に管路構造を有するアルミニウム基複合材料構
造体を得る。
料構造体を低コスト、高信頼性にて提供すること。 【解決手段】セラミックスの多孔体のプリフォームに予
め溝加工を施し、このプリフォーム5にマトリクスとな
るアルミニウムまたはアルミニウム合金を含ませる。プ
リフォーム表面に所定の厚さでアルミニウムまたはアル
ミニウム合金の層を残して、余分なアルミニウムまたは
アルミニウム合金を機械加工により切削除去し、必要と
される複合材料の最終加工形状を得る。複合材料の溝の
うえにアルミニウム合金製の蓋を気密接合することによ
り、内部に管路構造を有するアルミニウム基複合材料構
造体を得る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウムまたはア
ルミニウム合金をマトリクスとし、多孔質セラミックス
をプリフォームとするアルミニウム基複合材料からな
り、内部に管路構造を有するアルミニウム基複合材料構
造体に関する。
ルミニウム合金をマトリクスとし、多孔質セラミックス
をプリフォームとするアルミニウム基複合材料からな
り、内部に管路構造を有するアルミニウム基複合材料構
造体に関する。
【0002】
【従来の技術】現在様々な工業分野において、アルミニ
ウムまたはアルミニウム合金をマトリクスとし、セラミ
ックスをプリフォームとするアルミニウム基複合材料が
使用されている。特に近年は、半導体製造装置の構造部
品として使用される例が多く、例えば特開平11−61
448に述べられたように反応室として用いられたり、
あるいは特開平11−121598に述べられたように
ウエハーステージとして用いられたりしている。
ウムまたはアルミニウム合金をマトリクスとし、セラミ
ックスをプリフォームとするアルミニウム基複合材料が
使用されている。特に近年は、半導体製造装置の構造部
品として使用される例が多く、例えば特開平11−61
448に述べられたように反応室として用いられたり、
あるいは特開平11−121598に述べられたように
ウエハーステージとして用いられたりしている。
【0003】これらの部材はその使用において温度制御
を必要とする場合が多く、そのため構造体内部には、そ
れ自身を温調するためにヒーターや熱媒体を流すための
パイプが埋め込まれることがある。
を必要とする場合が多く、そのため構造体内部には、そ
れ自身を温調するためにヒーターや熱媒体を流すための
パイプが埋め込まれることがある。
【0004】あるいは、これらヒーターやパイプの代わ
って、特開2001−329350に述べられたように
構造体内部に管路構造をもったものもある。これは、例
えば複合材料製円盤の片面に溝を設けておき、この面に
別の複合材料製円盤を接合することにより管路を構成す
るものである。この管路内に熱媒体を通すことによっ
て、この接合体を温調ジャケットとして機能させること
ができる。
って、特開2001−329350に述べられたように
構造体内部に管路構造をもったものもある。これは、例
えば複合材料製円盤の片面に溝を設けておき、この面に
別の複合材料製円盤を接合することにより管路を構成す
るものである。この管路内に熱媒体を通すことによっ
て、この接合体を温調ジャケットとして機能させること
ができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の技術に
おいては次に述べるような問題があった。まず、構造体
内部にヒーターやパイプを埋設する方法における問題点
について説明する。埋設されるヒーターのシース材料
は、ほとんどの場合がステンレス製であり、またパイプ
の材料もステンレスや銅合金が使用されているが、当然
のことながらこれらの材料と複合材料とでは熱膨張係数
が大きく異なる。また、これらヒーターやパイプは、埋
設時に高温・高圧の溶融アルミニウムに触れることによ
る潰れや破れを避けるため、厚肉のシースやパイプが使
用される。このことは、埋設物の剛性が高いことを意味
し、つまりは複合材料と埋設物との間に大きな熱応力を
発生させる要因となっているのである。そして、この熱
応力によってヒーターやパープと複合材の間が剥離し、
界面に隙間があいてしまったり、熱応力により複合材料
構造物が変形してしまったりすることがある。
おいては次に述べるような問題があった。まず、構造体
内部にヒーターやパイプを埋設する方法における問題点
について説明する。埋設されるヒーターのシース材料
は、ほとんどの場合がステンレス製であり、またパイプ
の材料もステンレスや銅合金が使用されているが、当然
のことながらこれらの材料と複合材料とでは熱膨張係数
が大きく異なる。また、これらヒーターやパイプは、埋
設時に高温・高圧の溶融アルミニウムに触れることによ
る潰れや破れを避けるため、厚肉のシースやパイプが使
用される。このことは、埋設物の剛性が高いことを意味
し、つまりは複合材料と埋設物との間に大きな熱応力を
発生させる要因となっているのである。そして、この熱
応力によってヒーターやパープと複合材の間が剥離し、
界面に隙間があいてしまったり、熱応力により複合材料
構造物が変形してしまったりすることがある。
【0006】次に、構造体内部に管路構造を有するもの
について説明する。例えば図1の(a)〜(c)に示す
ように複合材料製円盤1の片面に溝3を設けておき、こ
の面に別の複合材料製円盤2を接合することにより管路
4を構成することが出来る。このとき複合材料に対して
溝加工や外形加工、あるいは穴加工などをおこなうので
あるが、硬いセラミックスと柔らかいアルミニウムが混
在するアルミニウム合金基複合材料は、エンドミルなど
の刃具による切削加工は不可能であるため、研削砥石に
よる研削加工がおこなわれる。ところが、この研削加工
においてはマトリクスであるアルミニウムまたはアルミ
ニウム合金が研削砥石に目詰まりを生じさせるため、通
常のセラミックス加工に比べてはるかに緩やかな加工条
件で加工し、かつ頻繁に砥石交換をおこなわなければな
らず、当然これに伴い加工コストも高いものとなってい
る。
について説明する。例えば図1の(a)〜(c)に示す
ように複合材料製円盤1の片面に溝3を設けておき、こ
の面に別の複合材料製円盤2を接合することにより管路
4を構成することが出来る。このとき複合材料に対して
溝加工や外形加工、あるいは穴加工などをおこなうので
あるが、硬いセラミックスと柔らかいアルミニウムが混
在するアルミニウム合金基複合材料は、エンドミルなど
の刃具による切削加工は不可能であるため、研削砥石に
よる研削加工がおこなわれる。ところが、この研削加工
においてはマトリクスであるアルミニウムまたはアルミ
ニウム合金が研削砥石に目詰まりを生じさせるため、通
常のセラミックス加工に比べてはるかに緩やかな加工条
件で加工し、かつ頻繁に砥石交換をおこなわなければな
らず、当然これに伴い加工コストも高いものとなってい
る。
【0007】また、複合材料の接合面は微視的に見ると
アルミニウム、またはアルミニウム合金とセラミックス
が混在している面である。この面同士を気密接合するに
は、アルミニウムの融点以下の温度にて、アルミニウム
とセラミックスの両方に対して濡れ性が得られなければ
ならないが、低温接合でセラミックスに対して十分に濡
れを得ることは技術的難度が高く、信頼性の高い接合材
は未だ見いだされていない。一見、接合されているよう
に見えても、実際にはマトリクスであるアルミニウムま
たはアルミニウム合金の部分だけが接合されており、接
合材とセラミックスの部分では濡れが得られずに接触し
ているだけの状態になっている場合が多いのである。特
に複合材中のセラミックスの含有率が高い場合には、接
合界面に存在するアルミニウムまたはアルミニウム合金
の割合が低くなるため必然的に接合率も低くなり、結果
として接合界面における気密性低下を招いてしまう。
アルミニウム、またはアルミニウム合金とセラミックス
が混在している面である。この面同士を気密接合するに
は、アルミニウムの融点以下の温度にて、アルミニウム
とセラミックスの両方に対して濡れ性が得られなければ
ならないが、低温接合でセラミックスに対して十分に濡
れを得ることは技術的難度が高く、信頼性の高い接合材
は未だ見いだされていない。一見、接合されているよう
に見えても、実際にはマトリクスであるアルミニウムま
たはアルミニウム合金の部分だけが接合されており、接
合材とセラミックスの部分では濡れが得られずに接触し
ているだけの状態になっている場合が多いのである。特
に複合材中のセラミックスの含有率が高い場合には、接
合界面に存在するアルミニウムまたはアルミニウム合金
の割合が低くなるため必然的に接合率も低くなり、結果
として接合界面における気密性低下を招いてしまう。
【0008】次にアルミニウム基複合材料の表面処理性
についての問題点について述べる。複合材料の表面保護
のためには陽極酸化処理やセラミックス溶射を施すこと
が有効であると考えられる。しかし、複合材料の接合面
は微視的に見るとアルミニウム、またはアルミニウム合
金とセラミックスが混在している面であるため、これに
陽極酸化処理をおこなう場合、複合材料の表面ではマト
リクスとセラミックスのミクロな境界部において酸化膜
が十分に成長できず、その結果、微小欠陥を生じること
がある。そして、この微小欠陥は、絶縁抵抗の低下や部
分的耐食性の低下の原因となる。
についての問題点について述べる。複合材料の表面保護
のためには陽極酸化処理やセラミックス溶射を施すこと
が有効であると考えられる。しかし、複合材料の接合面
は微視的に見るとアルミニウム、またはアルミニウム合
金とセラミックスが混在している面であるため、これに
陽極酸化処理をおこなう場合、複合材料の表面ではマト
リクスとセラミックスのミクロな境界部において酸化膜
が十分に成長できず、その結果、微小欠陥を生じること
がある。そして、この微小欠陥は、絶縁抵抗の低下や部
分的耐食性の低下の原因となる。
【0009】また複合材料の表面にセラミックス溶射加
工を施す場合、溶射膜−マトリクス間の密着強度に比べ
て溶射膜−セラミックス間の密着力の方が小さい。この
ことは複合材料中のセラミックス含有率が高いほど、複
合材料表面に対する溶射膜の密着力が低くなってしまう
ことを意味するが、この事はセラミックス溶射皮膜と複
合材料の間に発生する熱応力を低減するためには、複合
材料のセラミックス含有率を高くしなければならないと
いう事に矛盾する。すなわち、従来技術では複合材料表
面に強固な密着力をもつ溶射膜を形成することは困難な
ことであった。
工を施す場合、溶射膜−マトリクス間の密着強度に比べ
て溶射膜−セラミックス間の密着力の方が小さい。この
ことは複合材料中のセラミックス含有率が高いほど、複
合材料表面に対する溶射膜の密着力が低くなってしまう
ことを意味するが、この事はセラミックス溶射皮膜と複
合材料の間に発生する熱応力を低減するためには、複合
材料のセラミックス含有率を高くしなければならないと
いう事に矛盾する。すなわち、従来技術では複合材料表
面に強固な密着力をもつ溶射膜を形成することは困難な
ことであった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
問題点を解決するために考案されたものであり、次のよ
うな技術的手段により構成される。まず、図2の(a)
〜(c)に示すようにセラミックスの多孔体をプリフォ
ーム5とし、これの表面に溝6や穴7を設けるなどして
所定の形状に加工し、これを金型8内に置き、このプリ
フォーム5に対し非加圧浸透法、または加圧含浸法によ
ってマトリクスとなるアルミニウムまたはアルミニウム
合金9を含ませる。プリフォーム5の寸法は、必要とさ
れる複合材料の最終加工形状に対して、各部分がアルミ
ニウムまたはアルミニウム合金層の肉厚分だけ小さくな
るように決められている。プリフォームは多孔性セラミ
ックスのバルクを機械加工してもよく、あるいは焼結前
の前駆体を機械加工し、これを焼結してセラミック多孔
体を得てもよいが、いずれの場合もプリフォームにマト
リクスを含浸させた後の複合材料に機械加工を施すこと
よりもはるかに容易である。
問題点を解決するために考案されたものであり、次のよ
うな技術的手段により構成される。まず、図2の(a)
〜(c)に示すようにセラミックスの多孔体をプリフォ
ーム5とし、これの表面に溝6や穴7を設けるなどして
所定の形状に加工し、これを金型8内に置き、このプリ
フォーム5に対し非加圧浸透法、または加圧含浸法によ
ってマトリクスとなるアルミニウムまたはアルミニウム
合金9を含ませる。プリフォーム5の寸法は、必要とさ
れる複合材料の最終加工形状に対して、各部分がアルミ
ニウムまたはアルミニウム合金層の肉厚分だけ小さくな
るように決められている。プリフォームは多孔性セラミ
ックスのバルクを機械加工してもよく、あるいは焼結前
の前駆体を機械加工し、これを焼結してセラミック多孔
体を得てもよいが、いずれの場合もプリフォームにマト
リクスを含浸させた後の複合材料に機械加工を施すこと
よりもはるかに容易である。
【0010】また、図3(a)に示すとおり、金型8は
必要とされる複合材料の最終形状寸法10、10′に機
械加工取りしろ11、11′の分を加えた大きさに作ら
れており、プリフォーム5を置いた金型8内にアルミニ
ウムまたはアルミニウム合金9を充填することにより、
プリフォーム5全体をアルミニウムまたはアルミニウム
合金9が鋳ぐるんだ図3(b)に示す複合材料12が形
成される。この時、プリフォームに設けられた溝6や穴
7にもマトリクスであるアルミニウムまたはアルミニウ
ム合金9が充填されるが、この部分の加工は一般的なエ
ンドミル等の刃具を使った切削加工が可能である。つま
り普通のアルミニウム合金を加工するのと全く同じこと
になるので、バルク状の複合材料を加工することに比べ
てはるかに容易に加工できるので、加工コストを安価に
することができる。また図4に示すように、金型8′の
形状がプリフォーム5の溝6や穴7に対して相似形状に
設定されているならば、得られた複合材料に対する機械
加工取りしろは非常に少なくて済むので、量産における
加工コスト低減効果は絶大である。
必要とされる複合材料の最終形状寸法10、10′に機
械加工取りしろ11、11′の分を加えた大きさに作ら
れており、プリフォーム5を置いた金型8内にアルミニ
ウムまたはアルミニウム合金9を充填することにより、
プリフォーム5全体をアルミニウムまたはアルミニウム
合金9が鋳ぐるんだ図3(b)に示す複合材料12が形
成される。この時、プリフォームに設けられた溝6や穴
7にもマトリクスであるアルミニウムまたはアルミニウ
ム合金9が充填されるが、この部分の加工は一般的なエ
ンドミル等の刃具を使った切削加工が可能である。つま
り普通のアルミニウム合金を加工するのと全く同じこと
になるので、バルク状の複合材料を加工することに比べ
てはるかに容易に加工できるので、加工コストを安価に
することができる。また図4に示すように、金型8′の
形状がプリフォーム5の溝6や穴7に対して相似形状に
設定されているならば、得られた複合材料に対する機械
加工取りしろは非常に少なくて済むので、量産における
加工コスト低減効果は絶大である。
【0011】このようにして得られた複合材料表面の過
剰なアルミニウムまたはアルミニウム合金を機械加工に
より切削除去し、必要とされる複合材料の最終加工形状
12を得る。この機械加工においては、溝加工のみなら
ず、穴あけ加工やその他の外形加工などについても普通
のアルミニウム合金と同等の切削加工ができるため、バ
ルク状の複合材料を加工することに比べてはるかに加工
コストが低くなる。
剰なアルミニウムまたはアルミニウム合金を機械加工に
より切削除去し、必要とされる複合材料の最終加工形状
12を得る。この機械加工においては、溝加工のみなら
ず、穴あけ加工やその他の外形加工などについても普通
のアルミニウム合金と同等の切削加工ができるため、バ
ルク状の複合材料を加工することに比べてはるかに加工
コストが低くなる。
【0012】プリフォームを被うアルミニウムまたはア
ルミニウム合金の肉厚が0.2mmより薄い場合は、機
械加工の誤差によりプリフォームが表面に露出する危険
性があり、また5mmよりも厚い場合は、熱膨張差によ
ってプリフォームとの間の熱応力が大きくなり、ヒート
サイクルによって界面剥離を生じる可能性がある。よっ
てプリフォームを被うアルミニウム、またはアルミニウ
ム合金の厚さは0.2mm〜5mmであるのが好まし
い。
ルミニウム合金の肉厚が0.2mmより薄い場合は、機
械加工の誤差によりプリフォームが表面に露出する危険
性があり、また5mmよりも厚い場合は、熱膨張差によ
ってプリフォームとの間の熱応力が大きくなり、ヒート
サイクルによって界面剥離を生じる可能性がある。よっ
てプリフォームを被うアルミニウム、またはアルミニウ
ム合金の厚さは0.2mm〜5mmであるのが好まし
い。
【0013】次に図5に示すように、複合材料表面に設
けられた溝形状12に相対する蓋13をアルミニウムま
たはアルミニウム合金で製作し、これを溝12にはめ込
んだうえで界部を気密接合すると、内部に管路構造を有
するアルミニウム基複合材料構造体14が形成される。
溝と蓋との接合方法としては電子ビーム溶接、TIG溶
接、またはろう付けを用いることができる。この時、接
合界面はアルミニウムまたはアルミニウム合金同士の接
合となるため、複合材料同士の接合に比較して溶接性や
ろう付け性が飛躍的に向上し、その結果、アルミニウム
合金同士の接合と同等の高い接合強度や機密性を有する
接合構造体を得ることができる。
けられた溝形状12に相対する蓋13をアルミニウムま
たはアルミニウム合金で製作し、これを溝12にはめ込
んだうえで界部を気密接合すると、内部に管路構造を有
するアルミニウム基複合材料構造体14が形成される。
溝と蓋との接合方法としては電子ビーム溶接、TIG溶
接、またはろう付けを用いることができる。この時、接
合界面はアルミニウムまたはアルミニウム合金同士の接
合となるため、複合材料同士の接合に比較して溶接性や
ろう付け性が飛躍的に向上し、その結果、アルミニウム
合金同士の接合と同等の高い接合強度や機密性を有する
接合構造体を得ることができる。
【0014】さらに図6に示す通り、アルミニウム基複
合材料15に陽極酸化処理を施す場合、本発明における
複合材料はその表面がアルミニウム、またはアルミニウ
ム合金16で被われているので欠陥の無い均一な陽極酸
化膜17の形成が可能である。この陽極酸化膜17の厚
さは、5〜100μmであるのが好ましく、成膜手段は
硫酸陽極酸化、シュウ酸陽極酸化、混酸陽極酸化を用い
ることができる。
合材料15に陽極酸化処理を施す場合、本発明における
複合材料はその表面がアルミニウム、またはアルミニウ
ム合金16で被われているので欠陥の無い均一な陽極酸
化膜17の形成が可能である。この陽極酸化膜17の厚
さは、5〜100μmであるのが好ましく、成膜手段は
硫酸陽極酸化、シュウ酸陽極酸化、混酸陽極酸化を用い
ることができる。
【0015】また図7に示す通り、アルミニウム基複合
材料15に表面にセラミックス溶射膜18を設ける場合
は、表面がアルミニウムまたはアルミニウム合金16で
被われていることから、全ての面においてアルミニウム
またはアルミニウム合金上に形成された溶射膜と同等の
密着強度を得ることができる。ただし、プリフォームを
被うアルミニウムまたはアルミニウム合金16の厚さは
1mm以下であることが好ましい。これは表面のアルミ
ニウム層16が厚過ぎると、複合材料表面の熱膨張係数
においてはアルミニウムまたはアルミニウム合金層の影
響が支配的になり、複合材料としての低熱膨張性能が低
下し、その結果、溶射膜との間の熱応力が大きくなって
しまうからである。セラミックス溶射膜18の厚さは、
100〜500μmであることが好ましく、材質として
はアルミナ、またはアルミナとチタニアの混合物、また
はイットリアを選択することができる。
材料15に表面にセラミックス溶射膜18を設ける場合
は、表面がアルミニウムまたはアルミニウム合金16で
被われていることから、全ての面においてアルミニウム
またはアルミニウム合金上に形成された溶射膜と同等の
密着強度を得ることができる。ただし、プリフォームを
被うアルミニウムまたはアルミニウム合金16の厚さは
1mm以下であることが好ましい。これは表面のアルミ
ニウム層16が厚過ぎると、複合材料表面の熱膨張係数
においてはアルミニウムまたはアルミニウム合金層の影
響が支配的になり、複合材料としての低熱膨張性能が低
下し、その結果、溶射膜との間の熱応力が大きくなって
しまうからである。セラミックス溶射膜18の厚さは、
100〜500μmであることが好ましく、材質として
はアルミナ、またはアルミナとチタニアの混合物、また
はイットリアを選択することができる。
【0016】
【実施例1】本発明による実施例につき、図2にもとづ
いて説明する。直径250mm厚さ25mmのセラミッ
クスの多孔体をプリフォーム5とし、この表面に幅20
mm深さ15mmの溝6と直径20mmの貫通穴7を設
ける。このプリフォーム5を直径254mmの金型8内
に置き、加圧含浸法によってアルミニウム合金(A60
61)9をプリフォーム5内に含浸させる。
いて説明する。直径250mm厚さ25mmのセラミッ
クスの多孔体をプリフォーム5とし、この表面に幅20
mm深さ15mmの溝6と直径20mmの貫通穴7を設
ける。このプリフォーム5を直径254mmの金型8内
に置き、加圧含浸法によってアルミニウム合金(A60
61)9をプリフォーム5内に含浸させる。
【0017】本実施例においては、複合材料外形の機械
加工取りしろを片側1mmとし、プリフォーム5を被う
アルミ合金層の厚さを1mmと設定した。
加工取りしろを片側1mmとし、プリフォーム5を被う
アルミ合金層の厚さを1mmと設定した。
【0018】図3(b)に本実施例で得られた複合材料
12を示す。この複合材料12においては、プリフォー
ムの外側全体をアルミニウム合金9が被い、溝6や穴7
にもマトリクスであるアルミニウム合金9が充填されて
いる。
12を示す。この複合材料12においては、プリフォー
ムの外側全体をアルミニウム合金9が被い、溝6や穴7
にもマトリクスであるアルミニウム合金9が充填されて
いる。
【0019】この複合材料12に機械加工を施して図5
(a)に示すような機械加工終了状態の複合材料19を
得た。機械加工の手順はまず旋盤加工によって外形加工
をおこない直径252mm厚さ27mmの外形寸法に仕
上げ、プリフォームの溝に相当する部分をフライス盤に
よって加工し、18mm深さ15mmの溝12を設け、
さらにプリフォームの貫通穴に相当する部分にドリル加
工をおこなって直径18mmの貫通穴20を得た。
(a)に示すような機械加工終了状態の複合材料19を
得た。機械加工の手順はまず旋盤加工によって外形加工
をおこない直径252mm厚さ27mmの外形寸法に仕
上げ、プリフォームの溝に相当する部分をフライス盤に
よって加工し、18mm深さ15mmの溝12を設け、
さらにプリフォームの貫通穴に相当する部分にドリル加
工をおこなって直径18mmの貫通穴20を得た。
【0020】図5(a)に示す通り、複合材料表面に設
けられた溝形状12に相対するアルミニウム合金(A1
050)製で幅18mm厚さ2mmの蓋13を製作し、
これを溝12にはめ込み、さらに境界部を電子ビーム溶
接によって気密接合した。蓋13には冷却水の出入り口
となる貫通穴21、21′が設けられており、この蓋1
3が溝12を塞ぐことによって図5(b)に示すような
内部に管路構造を有するアルミニウム基複合材料構造体
14が形成された。このアルミニウム基複合材料構造体
14の貫通穴21を気密閉塞し、21′にヘリウムリー
クディテクターを接続して溶接部の気密性を調べたとこ
ろ、リークレートは2E−10(Torr・L/se
c)であり、非常に高い気密性が得られている事が確認
された。
けられた溝形状12に相対するアルミニウム合金(A1
050)製で幅18mm厚さ2mmの蓋13を製作し、
これを溝12にはめ込み、さらに境界部を電子ビーム溶
接によって気密接合した。蓋13には冷却水の出入り口
となる貫通穴21、21′が設けられており、この蓋1
3が溝12を塞ぐことによって図5(b)に示すような
内部に管路構造を有するアルミニウム基複合材料構造体
14が形成された。このアルミニウム基複合材料構造体
14の貫通穴21を気密閉塞し、21′にヘリウムリー
クディテクターを接続して溶接部の気密性を調べたとこ
ろ、リークレートは2E−10(Torr・L/se
c)であり、非常に高い気密性が得られている事が確認
された。
【0021】さらに表面に保護膜をつける目的から、ア
ルミニウム基複合材料構造体14に硫酸陽極酸化処理を
施し、外面全体に厚さ50μmの陽極酸化膜を形成し
た。この陽極酸化膜の絶縁抵抗はDC1000Vに対し
て50MΩ以上で、厚さは50±5μmあり、絶縁抵抗
と膜厚均一性に優れた特性を示した。
ルミニウム基複合材料構造体14に硫酸陽極酸化処理を
施し、外面全体に厚さ50μmの陽極酸化膜を形成し
た。この陽極酸化膜の絶縁抵抗はDC1000Vに対し
て50MΩ以上で、厚さは50±5μmあり、絶縁抵抗
と膜厚均一性に優れた特性を示した。
【0022】
【発明の効果】本発明によると、予め形状加工が施され
たセラミックス多孔体からなるプリフォームにマトリク
スであるアルミニウムまたはアルミニウム合金を含浸さ
せた後、最終加工形状に機械加工を施すことにより、従
来技術に比べて加工コストが大幅に低くなった。また、
複合材料の表面をアルミニウムまたはアルミニウム合金
が被っているため、従来の技術に比べて接合性と表面処
理性が大きく向上した。すなわち、本発明によって内部
に管路構造を有するアルミニウム基複合材料構造体を安
価かつ高信頼性にて得ることができた。
たセラミックス多孔体からなるプリフォームにマトリク
スであるアルミニウムまたはアルミニウム合金を含浸さ
せた後、最終加工形状に機械加工を施すことにより、従
来技術に比べて加工コストが大幅に低くなった。また、
複合材料の表面をアルミニウムまたはアルミニウム合金
が被っているため、従来の技術に比べて接合性と表面処
理性が大きく向上した。すなわち、本発明によって内部
に管路構造を有するアルミニウム基複合材料構造体を安
価かつ高信頼性にて得ることができた。
【図1】従来技術による内部に管路構造を有するアルミ
ニウム基複合材料構造体の製造方法の概念図である。
ニウム基複合材料構造体の製造方法の概念図である。
【図2】本発明における複合材料の製造方法の概念図で
ある。
ある。
【図3】金型と複合材料の寸法関係、および金型から取
り出された複合材料の概念図である。
り出された複合材料の概念図である。
【図4】プリフォームの加工形状に合わせた金型を用い
た複合材料の製造方法の概念図である。
た複合材料の製造方法の概念図である。
【図5】複合材料の内部に管路構造をつくる方法の概念
図である。
図である。
【図6】表面に陽極酸化膜を有する複合材料の表面付近
の拡大概念図である。
の拡大概念図である。
【図7】表面にセラミックス溶射膜を有する複合材料の
表面付近の拡大概念である。
表面付近の拡大概念である。
1複合材料製円盤、2複合材料製円盤、3溝、4管路、
5プリフォーム、6溝、7穴、8金型、9アルミニウム
またはアルミニウム合金、10、10′複合材料の最終
形状寸法、11、11′機械加工取りしろ、12複合材
料の最終加工形状、13蓋、14内部に管路構造を有す
るアルミニウム基複合材料構造体、15アルミニウム基
複合材料、16アルミニウム合金、17陽極酸化膜、1
8セラミックス溶射膜、19機械加工終了状態の複合材
料、20貫通穴、21、21′冷却水の出入り口となる
貫通穴。
5プリフォーム、6溝、7穴、8金型、9アルミニウム
またはアルミニウム合金、10、10′複合材料の最終
形状寸法、11、11′機械加工取りしろ、12複合材
料の最終加工形状、13蓋、14内部に管路構造を有す
るアルミニウム基複合材料構造体、15アルミニウム基
複合材料、16アルミニウム合金、17陽極酸化膜、1
8セラミックス溶射膜、19機械加工終了状態の複合材
料、20貫通穴、21、21′冷却水の出入り口となる
貫通穴。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C25D 11/04 C25D 11/04 E
Claims (5)
- 【請求項1】アルミニウムまたはアルミニウム合金をマ
トリクスとし、セラミックスの多孔体をプリフォームと
するアルミニウム基複合材料製構造体であって、前記構
造体は予め表面に溝を設けたプリフォームにアルミニウ
ムまたはアルミニウム合金を浸透せしめたもので、前記
構造体表面はプリフォーム内部から連なるアルミニウム
またはアルミニウム合金で被われており、前記溝の上に
アルミニウムまたはアルミニウム合金製の蓋を接合して
なることを特徴とする内部に管路構造を有するアルミニ
ウム基複合材料構造体。 - 【請求項2】アルミニウム基複合材料構造体の表面を被
うアルミニウム、またはアルミニウム合金の厚さが0.
2mm〜5mmであることを特徴とする請求項1の内部
に管路構造を有するアルミニウム基複合材料構造体。 - 【請求項3】アルミニウム基複合材料構造体の溝と蓋と
の接合方法が溶接、またはろう付けであることを特徴と
する請求項1の内部に管路構造を有するアルミニウム基
複合材料構造体。 - 【請求項4】前記アルミニウム基複合材料構造体表面を
被うアルミニウム、またはアルミニウム合金表面に厚さ
5〜100μmの陽極酸化膜を有することを特徴とする
請求項1の内部に管路構造を有するアルミニウム基複合
材料構造体。 - 【請求項5】前記アルミニウム基複合材料構造体の表面
に厚さが100〜500μmであって、アルミナ、また
はアルミナとチタニアの混合物、またはイットリアから
なるセラミックス溶射膜を有することを特徴とする請求
項1の内部に管路構造を有するアルミニウム基複合材料
構造体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002143871A JP2003305557A (ja) | 2002-04-10 | 2002-04-10 | 内部に管路構造を有するアルミニウム基複合材料構造体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002143871A JP2003305557A (ja) | 2002-04-10 | 2002-04-10 | 内部に管路構造を有するアルミニウム基複合材料構造体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003305557A true JP2003305557A (ja) | 2003-10-28 |
Family
ID=29397724
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002143871A Pending JP2003305557A (ja) | 2002-04-10 | 2002-04-10 | 内部に管路構造を有するアルミニウム基複合材料構造体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003305557A (ja) |
-
2002
- 2002-04-10 JP JP2002143871A patent/JP2003305557A/ja active Pending
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