JP2003286288A - 新規抗生物質sf2811物質、その製造法およびその用途 - Google Patents
新規抗生物質sf2811物質、その製造法およびその用途Info
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- JP2003286288A JP2003286288A JP2002085659A JP2002085659A JP2003286288A JP 2003286288 A JP2003286288 A JP 2003286288A JP 2002085659 A JP2002085659 A JP 2002085659A JP 2002085659 A JP2002085659 A JP 2002085659A JP 2003286288 A JP2003286288 A JP 2003286288A
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- substance
- strain
- formula
- bacteria
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- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 各種細菌に対して抗菌活性を有し、特に医療
上問題となっている多剤耐性菌を含むグラム陽性菌に対
して強い抗菌活性を示し、多剤耐性菌を含むグラム陽性
菌などを起因菌とする細菌感染症の治療に有用な抗菌剤
を提供すること。 【解決手段】 式(1)で表わされる新規抗生物質SF2811物
質、または薬理学的に許容される塩、およびそれらの製
造法、ならびにそれらの医薬組成物を提供する。 【化1】
上問題となっている多剤耐性菌を含むグラム陽性菌に対
して強い抗菌活性を示し、多剤耐性菌を含むグラム陽性
菌などを起因菌とする細菌感染症の治療に有用な抗菌剤
を提供すること。 【解決手段】 式(1)で表わされる新規抗生物質SF2811物
質、または薬理学的に許容される塩、およびそれらの製
造法、ならびにそれらの医薬組成物を提供する。 【化1】
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規抗生物質SF2811
物質およびその製造法に関するものである。
物質およびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】抗菌剤としてペニシリンGの実用化がな
された1940年代以降、抗生物質に関する研究開発の急速
な進歩により、細菌感染症に対する多くの治療薬が開発
されてきた。当初はグラム陽性菌に対しては有効である
がグラム陰性菌に対する活性が弱い薬剤が多かったが、
近年ではグラム陰性菌にも有効な幅広い抗菌スペクトル
を有する薬剤が開発され臨床に用いられるようになり、
細菌感染症の克服が可能になると思われていた。しかし
ながら、これら薬剤の頻用により、耐性菌の出現や菌交
代現象などが見られるという臨床上の問題が生じてお
り、新たな抗菌剤が望まれている。
された1940年代以降、抗生物質に関する研究開発の急速
な進歩により、細菌感染症に対する多くの治療薬が開発
されてきた。当初はグラム陽性菌に対しては有効である
がグラム陰性菌に対する活性が弱い薬剤が多かったが、
近年ではグラム陰性菌にも有効な幅広い抗菌スペクトル
を有する薬剤が開発され臨床に用いられるようになり、
細菌感染症の克服が可能になると思われていた。しかし
ながら、これら薬剤の頻用により、耐性菌の出現や菌交
代現象などが見られるという臨床上の問題が生じてお
り、新たな抗菌剤が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】現在使用されている主
な抗菌剤としては、各種β−ラクタム系、アミノグリコ
シド系、マクロライド系およびテトラサイクリン系薬剤
などがあり、他にも合成抗菌薬としてフルオロキノロン
系およびオキサゾリジノン系などが用いられている。抗
菌剤の開発当初はグラム陰性菌に対する活性が弱い薬剤
が多かったが、改良により幅広い抗菌スペクトルを有
し、さらに強い抗菌力を示す薬剤が登場し、頻用される
ようになってきた。細菌はこれら薬剤に対して、薬剤の
不活性化、作用点の変異、透過性の変化といった機序な
どにより耐性を獲得し、近年ではメチシリン耐性黄色ブ
ドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VR
E)、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)、多剤耐性緑膿
菌(MDRP)およびβ-ラクタマーゼ非産生アンピシリン
耐性インフルエンザ菌(BLNAR)などの耐性菌の出現が
報告され、臨床上問題となっている。そして、これら耐
性菌に対して有効な薬剤が少ないため、新たな抗菌剤が
望まれている。本発明は、多剤耐性菌を含むグラム陽性
菌などを起因菌とする細菌感染症の治療に有用な抗生物
質SF2811物質を提供することを目的とする。
な抗菌剤としては、各種β−ラクタム系、アミノグリコ
シド系、マクロライド系およびテトラサイクリン系薬剤
などがあり、他にも合成抗菌薬としてフルオロキノロン
系およびオキサゾリジノン系などが用いられている。抗
菌剤の開発当初はグラム陰性菌に対する活性が弱い薬剤
が多かったが、改良により幅広い抗菌スペクトルを有
し、さらに強い抗菌力を示す薬剤が登場し、頻用される
ようになってきた。細菌はこれら薬剤に対して、薬剤の
不活性化、作用点の変異、透過性の変化といった機序な
どにより耐性を獲得し、近年ではメチシリン耐性黄色ブ
ドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VR
E)、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)、多剤耐性緑膿
菌(MDRP)およびβ-ラクタマーゼ非産生アンピシリン
耐性インフルエンザ菌(BLNAR)などの耐性菌の出現が
報告され、臨床上問題となっている。そして、これら耐
性菌に対して有効な薬剤が少ないため、新たな抗菌剤が
望まれている。本発明は、多剤耐性菌を含むグラム陽性
菌などを起因菌とする細菌感染症の治療に有用な抗生物
質SF2811物質を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、新規抗生
物質を見出すべく、微生物産物をソースに新規化合物の
探索を行った。そして本発明者らが土壌試料より分離し
たSF2811株と命名した放線菌ミクロモノスポラ属の一菌
株(Micromonospora sp. SF2811)の培養物中に抗菌活
性を示す物質が生産、蓄積されることを見出した。さら
にこの活性物質が上記の式(1)で表される化学構造を
有することを見出し、新規な化合物であることを確認し
て、本物質をSF2811物質と命名した。
物質を見出すべく、微生物産物をソースに新規化合物の
探索を行った。そして本発明者らが土壌試料より分離し
たSF2811株と命名した放線菌ミクロモノスポラ属の一菌
株(Micromonospora sp. SF2811)の培養物中に抗菌活
性を示す物質が生産、蓄積されることを見出した。さら
にこの活性物質が上記の式(1)で表される化学構造を
有することを見出し、新規な化合物であることを確認し
て、本物質をSF2811物質と命名した。
【0005】本発明の第1の要旨とするところは、式
(1)で表され、ナトリウム塩において下記の理化学的
性状を有する新規抗生物質SF2811物質にある。
(1)で表され、ナトリウム塩において下記の理化学的
性状を有する新規抗生物質SF2811物質にある。
【0006】1. SF2811物質ナトリウム塩の理化学的性
状 (1) 色および性状:白色粉末 (2) 分子式:C42H62ClNaO12 (3) マススペクトル (HRFAB-MS):実測値 817.3895 (M
+H)+ 計算値 817.3906 (4) 融点:>300℃ (5) 比旋光度:[α]D 25 = +2.4°(c 1.0, CHCl3) (6) 紫外線吸収スペクトル[λmax nm (ε)] MeOH : 210 (13400), 226 (7940), 292 (2190) MeOH+1N HCl : 210 (13000), 226 (6990), 292 (2010),
315 (1110) MeOH+1N NaOH: 210 (14200), 238 (6280), 309 (2290) (7) 赤外線吸収スペクトル[νmax cm-1 (KBr)]:3453,
2955, 2934, 2878, 1727, 1456, 1381, 1283, 1105, 1
061, 959 (8) 1H-NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3) δ(ppm):0.77 (3H, d, J= 7.1 Hz), 0.80 (3H, d, J=
6.4 Hz), 0.94 (3H,d, J= 6.8 Hz), 1.00 (1H, m), 1.0
6 (3H, d, J=7.3 Hz), 1.11 (2H, m), 1.14(1H, m), 1.
19 (3H, s), 1.26 (1H, s), 1.31 (3H, d, J= 6.6 Hz),
1.36 (1H,m), 1.48 (1H, m), 1.53 (1H, m), 1.65 (1
H, m), 1.65 (3H, s), 1.69 (2H, m), 1.86 (1H, m),
1.87 (1H, m), 2.01 (1H, m), 2.04 (1H, m), 2.13 (1
H, m),2.13 (1H, m), 2.16 (1H, m), 2.26 (3H, s), 2.
30 (1H, m), 2.60 (1H, dd, J= 15.6, 1.5 Hz), 3.23
(3H, s), 3.27 (3H, s), 3 .44 (1H, m), 3.54 (1H, t,
J= 5.1 Hz), 3.57 (1H, m), 3.80 (1H, dt, J= 13.2,
4.6 Hz), 3.85 (1H, t,J= 4.4 Hz), 4.15(1H, d, J= 4.
9 Hz), 4.17 (1H, dt, J= 5.6, 1.5 Hz), 4.70(1H, dt,
J= 11.2, 2.7 Hz), 5.38 (1H, dq, J= 6.6, 1.5 Hz),
6.95 (1H, d, J= 9.0 Hz), 7.12 (1H, d, J= 9.0 Hz) (9) 13C-NMRスペクトル(100 MHz, CDCl3) δ(ppm):178.3, 168.7, 156.1, 132.5, 130.7, 123.8,
122.3, 117.2, 108.0, 87.5, 84.8, 83.2, 82.3, 81.
5, 80.7, 78.4, 72.9, 72.0, 69.1, 60.3, 57.6, 57.0,
41.9, 41.4, 39.3, 37.0, 35.8, 35.3, 33.7, 33.2, 3
1.3, 29.7, 29.4, 28.9, 27.0, 23.3, 18.5, 17.6, 17.
1, 16.7, 13.0, 12.6 (10) 溶解性:クロロホルム、メタノールに可溶、水に
難溶。
状 (1) 色および性状:白色粉末 (2) 分子式:C42H62ClNaO12 (3) マススペクトル (HRFAB-MS):実測値 817.3895 (M
+H)+ 計算値 817.3906 (4) 融点:>300℃ (5) 比旋光度:[α]D 25 = +2.4°(c 1.0, CHCl3) (6) 紫外線吸収スペクトル[λmax nm (ε)] MeOH : 210 (13400), 226 (7940), 292 (2190) MeOH+1N HCl : 210 (13000), 226 (6990), 292 (2010),
315 (1110) MeOH+1N NaOH: 210 (14200), 238 (6280), 309 (2290) (7) 赤外線吸収スペクトル[νmax cm-1 (KBr)]:3453,
2955, 2934, 2878, 1727, 1456, 1381, 1283, 1105, 1
061, 959 (8) 1H-NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3) δ(ppm):0.77 (3H, d, J= 7.1 Hz), 0.80 (3H, d, J=
6.4 Hz), 0.94 (3H,d, J= 6.8 Hz), 1.00 (1H, m), 1.0
6 (3H, d, J=7.3 Hz), 1.11 (2H, m), 1.14(1H, m), 1.
19 (3H, s), 1.26 (1H, s), 1.31 (3H, d, J= 6.6 Hz),
1.36 (1H,m), 1.48 (1H, m), 1.53 (1H, m), 1.65 (1
H, m), 1.65 (3H, s), 1.69 (2H, m), 1.86 (1H, m),
1.87 (1H, m), 2.01 (1H, m), 2.04 (1H, m), 2.13 (1
H, m),2.13 (1H, m), 2.16 (1H, m), 2.26 (3H, s), 2.
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(3H, s), 3.27 (3H, s), 3 .44 (1H, m), 3.54 (1H, t,
J= 5.1 Hz), 3.57 (1H, m), 3.80 (1H, dt, J= 13.2,
4.6 Hz), 3.85 (1H, t,J= 4.4 Hz), 4.15(1H, d, J= 4.
9 Hz), 4.17 (1H, dt, J= 5.6, 1.5 Hz), 4.70(1H, dt,
J= 11.2, 2.7 Hz), 5.38 (1H, dq, J= 6.6, 1.5 Hz),
6.95 (1H, d, J= 9.0 Hz), 7.12 (1H, d, J= 9.0 Hz) (9) 13C-NMRスペクトル(100 MHz, CDCl3) δ(ppm):178.3, 168.7, 156.1, 132.5, 130.7, 123.8,
122.3, 117.2, 108.0, 87.5, 84.8, 83.2, 82.3, 81.
5, 80.7, 78.4, 72.9, 72.0, 69.1, 60.3, 57.6, 57.0,
41.9, 41.4, 39.3, 37.0, 35.8, 35.3, 33.7, 33.2, 3
1.3, 29.7, 29.4, 28.9, 27.0, 23.3, 18.5, 17.6, 17.
1, 16.7, 13.0, 12.6 (10) 溶解性:クロロホルム、メタノールに可溶、水に
難溶。
【0007】本発明化合物は、塩として存在することが
でき、そのような塩としては例えばナトリウム、カリウ
ムなどのアルカリ金属やカルシウム、バリウムなどのア
ルカリ土類金属など無機塩基との塩、またはエタノール
アミン、トリエチルアミンなど有機塩基との塩などが挙
げられる。
でき、そのような塩としては例えばナトリウム、カリウ
ムなどのアルカリ金属やカルシウム、バリウムなどのア
ルカリ土類金属など無機塩基との塩、またはエタノール
アミン、トリエチルアミンなど有機塩基との塩などが挙
げられる。
【0008】本発明の第2の要旨とするところは、上記
の式(1)に示されるSF2811物質を生産するミクロモノス
ポラ属に属する菌を培養し、その培養物からSF2811物質
を採取することを特徴とする、SF2811物質の製造法であ
る。
の式(1)に示されるSF2811物質を生産するミクロモノス
ポラ属に属する菌を培養し、その培養物からSF2811物質
を採取することを特徴とする、SF2811物質の製造法であ
る。
【0009】上記のSF2811物質生産菌としては、例えば
本発明者らが土壌試料から新たに分離したミクロモノス
ポラ属に属するSF2811株が挙げられる。なお、本発明で
用いられるSF2811物質生産菌は、本明細書に記載の特定
の微生物に限定されるものではない。SF2811物質を生産
する能力を有している菌であればSF2811物質生産菌とし
ていずれを用いてもよい。使用できる微生物の例として
は、SF2811株、あるいはこれらの菌株の継代培養物、人
工変異株並びに自然変異株、遺伝子組換え株などが挙げ
られる。SF2811株の菌学的性状は以下の通りである。
本発明者らが土壌試料から新たに分離したミクロモノス
ポラ属に属するSF2811株が挙げられる。なお、本発明で
用いられるSF2811物質生産菌は、本明細書に記載の特定
の微生物に限定されるものではない。SF2811物質を生産
する能力を有している菌であればSF2811物質生産菌とし
ていずれを用いてもよい。使用できる微生物の例として
は、SF2811株、あるいはこれらの菌株の継代培養物、人
工変異株並びに自然変異株、遺伝子組換え株などが挙げ
られる。SF2811株の菌学的性状は以下の通りである。
【0010】2. SF2811株の分類学的性質
SF2811株の形態的性質、培養的性質、生理学的性質、化
学分類学的性質および16S rRNA遺伝子などの分類学的解
析は、『放線菌の分類と同定』(日本放線菌学会編、日
本学会事務センター刊、2001年)に記載された方法に従
った。
学分類学的性質および16S rRNA遺伝子などの分類学的解
析は、『放線菌の分類と同定』(日本放線菌学会編、日
本学会事務センター刊、2001年)に記載された方法に従
った。
【0011】(a)形態的性質
SF2811株を酵母エキス・でんぷん寒天培地(酵母エキス
0.2%、でんぷん1.0%、寒天18 g、精製水1L、pH 7.
0)で28℃、14日間培養し、光学顕微鏡並びに走査型電
子顕微鏡で観察した。栄養菌糸は直径0.2〜0.3 μmでよ
く発達し、不規則に分岐するが、分断はしない。気菌糸
の形成は観察されない。栄養菌糸には単独で球状の胞子
が多数形成され、これらの直径は0.8〜1.0 μmで、表面
はやや粗面である。
0.2%、でんぷん1.0%、寒天18 g、精製水1L、pH 7.
0)で28℃、14日間培養し、光学顕微鏡並びに走査型電
子顕微鏡で観察した。栄養菌糸は直径0.2〜0.3 μmでよ
く発達し、不規則に分岐するが、分断はしない。気菌糸
の形成は観察されない。栄養菌糸には単独で球状の胞子
が多数形成され、これらの直径は0.8〜1.0 μmで、表面
はやや粗面である。
【0012】(b)培養的性質
28℃で14日間培養後のSF2811株の生育、コロニーの裏面
の色、可溶性色素の有無とその色調は以下の通りであ
る。なお、気菌糸の形成は全ての培地で認められなかっ
た。色の表示はColor Harmony Manual(Container Corp
oration of America, 1958)に従った。 (1)イースト・麦芽寒天培地(ISP-2); コロニーの
生育は普通〜やや貧弱で、裏面は黄土色を呈する。可溶
性色素は産生しない。 (2)オートミール寒天培地(ISP-3); 生育は普通
で、裏面はこげ茶色を呈する。可溶性色素は産生しな
い。 (3)スターチ・無機塩寒天培地(ISP-4); 生育は良
好で、裏面はキャラメル色を呈する。可溶性色素は産生
しない。 (4)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP-5);
生育は普通で、裏面は茶褐色を呈する。淡紅色の可溶性
色素を弱く産生する。 (5)ぺプトン・イースト・鉄寒天培地(ISP-6); 生
育は貧弱で、裏面は黄土色を呈する。可溶性色素は産生
しない。 (6)チロシン寒天培地(ISP-7); 生育は普通で、裏
面は茶色を呈する。可溶性色素は産生しない。 (7)スターチ・イースト寒天培地; 生育は良好で、裏
面は黄土色を呈する。可溶性色素は産生しない。 (8)栄養寒天培地; 生育は貧弱で、裏面は黄褐色を呈
する。可溶性色素は産生しない。
の色、可溶性色素の有無とその色調は以下の通りであ
る。なお、気菌糸の形成は全ての培地で認められなかっ
た。色の表示はColor Harmony Manual(Container Corp
oration of America, 1958)に従った。 (1)イースト・麦芽寒天培地(ISP-2); コロニーの
生育は普通〜やや貧弱で、裏面は黄土色を呈する。可溶
性色素は産生しない。 (2)オートミール寒天培地(ISP-3); 生育は普通
で、裏面はこげ茶色を呈する。可溶性色素は産生しな
い。 (3)スターチ・無機塩寒天培地(ISP-4); 生育は良
好で、裏面はキャラメル色を呈する。可溶性色素は産生
しない。 (4)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP-5);
生育は普通で、裏面は茶褐色を呈する。淡紅色の可溶性
色素を弱く産生する。 (5)ぺプトン・イースト・鉄寒天培地(ISP-6); 生
育は貧弱で、裏面は黄土色を呈する。可溶性色素は産生
しない。 (6)チロシン寒天培地(ISP-7); 生育は普通で、裏
面は茶色を呈する。可溶性色素は産生しない。 (7)スターチ・イースト寒天培地; 生育は良好で、裏
面は黄土色を呈する。可溶性色素は産生しない。 (8)栄養寒天培地; 生育は貧弱で、裏面は黄褐色を呈
する。可溶性色素は産生しない。
【0013】(c)生理学的性質
(1)メラニン様色素の生成;ペプトン・イースト・鉄
寒天培地(ISP-6)およびチロシン寒天培地(ISP-7)で
メラニン様色素を生成しない。 (2)ゼラチンの液化;ゼラチンを液化しない。 (3)ミルクの凝固・ペプトン化;スキムミルクのペプ
トン化および凝固は認められない。 (4)スターチの加水分解;スターチを加水分解する。 (5)硝酸塩の還元;硝酸塩を還元しない。 (6)生育温度範囲;28℃〜37℃で生育するが15℃およ
び42℃で生育しない。生育至適温度は28℃近辺である。 (7)耐塩性;酵母エキス・でんぷん寒天培地を基礎培
地とした場合、食塩濃度2%で生育するが3%で生育しな
い。 (8)炭素源の利用;D-グルコース、L-アラビノース、
D-キシロース、D-フルクトース、D-マンニトール、L-ラ
ムノース、シュクロース、ガラクトースを利用するが、
ラフィノース、myo-イノシトールは利用しない。
寒天培地(ISP-6)およびチロシン寒天培地(ISP-7)で
メラニン様色素を生成しない。 (2)ゼラチンの液化;ゼラチンを液化しない。 (3)ミルクの凝固・ペプトン化;スキムミルクのペプ
トン化および凝固は認められない。 (4)スターチの加水分解;スターチを加水分解する。 (5)硝酸塩の還元;硝酸塩を還元しない。 (6)生育温度範囲;28℃〜37℃で生育するが15℃およ
び42℃で生育しない。生育至適温度は28℃近辺である。 (7)耐塩性;酵母エキス・でんぷん寒天培地を基礎培
地とした場合、食塩濃度2%で生育するが3%で生育しな
い。 (8)炭素源の利用;D-グルコース、L-アラビノース、
D-キシロース、D-フルクトース、D-マンニトール、L-ラ
ムノース、シュクロース、ガラクトースを利用するが、
ラフィノース、myo-イノシトールは利用しない。
【0014】(d)化学分類学的性質
細胞壁には、メソ・ジアミノピメリン酸およびグリシン
の存在が確認され、また全菌体の加水分解物中には、ア
ラビノースとキシロースが検出されたことから、SF2811
株はルシェバリエなどの分類による細胞壁化学型IID型
と分類された。また、ペプチドグリカンのアシル型はグ
リコレート型で、ミコール酸は検出されなかった。主要
なメナキノンは、MK-10(H4)およびMK-10(H6)が共に
35%程度で最も多く、MK-10(H8, H2)を合わせると、9
0%以上を占めた。菌体脂肪酸はiso-C16:0, anteiso-C1
7:0の分枝酸が主体であり両者で約70%を占め、10メチ
ル脂肪酸やハイドロキシ脂肪酸を含まなかった。これら
の形態的性質と化学分類学的性質から、SF2811株はミク
ロモノスポラ(Micromonospora)属に所属することが強
く示唆された。
の存在が確認され、また全菌体の加水分解物中には、ア
ラビノースとキシロースが検出されたことから、SF2811
株はルシェバリエなどの分類による細胞壁化学型IID型
と分類された。また、ペプチドグリカンのアシル型はグ
リコレート型で、ミコール酸は検出されなかった。主要
なメナキノンは、MK-10(H4)およびMK-10(H6)が共に
35%程度で最も多く、MK-10(H8, H2)を合わせると、9
0%以上を占めた。菌体脂肪酸はiso-C16:0, anteiso-C1
7:0の分枝酸が主体であり両者で約70%を占め、10メチ
ル脂肪酸やハイドロキシ脂肪酸を含まなかった。これら
の形態的性質と化学分類学的性質から、SF2811株はミク
ロモノスポラ(Micromonospora)属に所属することが強
く示唆された。
【0015】(e)16S rRNA遺伝子解析
SF2811株の16S rRNA遺伝子の部分塩基配列(1446bp)を
解読しデータベース検索を行った結果、SF2811株はミク
ロモノスポラ科(family Micromonosporaceae)のクラ
スターに収容され、最も高い類似性を示した16S rRNA遺
伝子の塩基配列としては、Catellatospora ferruginea
AF152108およびMicromonospora olivasterospora X9261
3と96%の相同性を示した。しかし、形態的性質と化学
分類学的性質から想定されたミクロモノスポラ(Microm
onospora)属のクラスターには含まれず、その他既知の
いかなる属のクラスターにも含まれなかった。
解読しデータベース検索を行った結果、SF2811株はミク
ロモノスポラ科(family Micromonosporaceae)のクラ
スターに収容され、最も高い類似性を示した16S rRNA遺
伝子の塩基配列としては、Catellatospora ferruginea
AF152108およびMicromonospora olivasterospora X9261
3と96%の相同性を示した。しかし、形態的性質と化学
分類学的性質から想定されたミクロモノスポラ(Microm
onospora)属のクラスターには含まれず、その他既知の
いかなる属のクラスターにも含まれなかった。
【0016】以上のことから、本菌株はミクロモノスポ
ラ科の新属に所属させるのが妥当と考えられるが、現状
ではミクロモノスポラ属と明瞭に区別される表現形が明
らかになっておらず、しかもSF2811株1株しか分離され
ていないため新属の提案には納得性が得られない。従っ
て、本菌株を便宜的にミクロモノスポラ・エスピー(Mic
romonospora sp.)SF2811と呼称することとした。な
お、本菌株は、平成14年1月18日付けで受託番号FERM P-
18684として独立行政法人産業技術総合研究所特許生物
寄託センターに寄託されている。
ラ科の新属に所属させるのが妥当と考えられるが、現状
ではミクロモノスポラ属と明瞭に区別される表現形が明
らかになっておらず、しかもSF2811株1株しか分離され
ていないため新属の提案には納得性が得られない。従っ
て、本菌株を便宜的にミクロモノスポラ・エスピー(Mic
romonospora sp.)SF2811と呼称することとした。な
お、本菌株は、平成14年1月18日付けで受託番号FERM P-
18684として独立行政法人産業技術総合研究所特許生物
寄託センターに寄託されている。
【0017】3. SF2811物質生産菌の培養
本発明の方法では、SF2811物質生産菌、例えばSF2811株
を適当な炭素源および窒素源を含む栄養培地で培養す
る。使用される培地は天然培地、合成培地のいずれでも
よい。炭素源としては、グルコース、フラクトース、シ
ュクロース、糖蜜、でんぷんあるいはでんぷん加水分解
物などの炭水化物、プロピオン酸などの有機酸類が用い
られる。一方、窒素源としては、通常ペプトン、肉エキ
ス、酵母エキス、コーンスチープリカー、オートミー
ル、小麦胚芽、カゼイン加水分解物、大豆粕および大豆
粕加水分解物などを使用するが、アンモニウム塩(例え
ば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモ
ニウム、リン酸アンモニウムなど)、尿素、アミノ酸な
どの無機および有機の窒素化合物も有効である。なおこ
れらの炭素源及び窒素源はそれぞれ併用することができ
る。
を適当な炭素源および窒素源を含む栄養培地で培養す
る。使用される培地は天然培地、合成培地のいずれでも
よい。炭素源としては、グルコース、フラクトース、シ
ュクロース、糖蜜、でんぷんあるいはでんぷん加水分解
物などの炭水化物、プロピオン酸などの有機酸類が用い
られる。一方、窒素源としては、通常ペプトン、肉エキ
ス、酵母エキス、コーンスチープリカー、オートミー
ル、小麦胚芽、カゼイン加水分解物、大豆粕および大豆
粕加水分解物などを使用するが、アンモニウム塩(例え
ば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモ
ニウム、リン酸アンモニウムなど)、尿素、アミノ酸な
どの無機および有機の窒素化合物も有効である。なおこ
れらの炭素源及び窒素源はそれぞれ併用することができ
る。
【0018】必要ある場合には、リン酸第一カリウム、
リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネ
シウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、
硫酸銅、炭酸カルシウムまたはその他の無機塩類を培地
に添加してもよい。また培地が発泡する場合には、液体
パラフィン、動物油、植物油、鉱物油またはシリコンな
どを添加することができる。
リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネ
シウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、
硫酸銅、炭酸カルシウムまたはその他の無機塩類を培地
に添加してもよい。また培地が発泡する場合には、液体
パラフィン、動物油、植物油、鉱物油またはシリコンな
どを添加することができる。
【0019】SF2811物質生産菌の培養は、振盪培養また
は深部通気撹拌培養などにより好気的条件下で行う。培
養温度は、SF2811物質生産菌が目的物質を生産する範囲
内で適宜変更しうるが、好ましくは25〜37℃がよい。培
養時間は通常1〜14日間である。
は深部通気撹拌培養などにより好気的条件下で行う。培
養温度は、SF2811物質生産菌が目的物質を生産する範囲
内で適宜変更しうるが、好ましくは25〜37℃がよい。培
養時間は通常1〜14日間である。
【0020】4. SF2811物質の精製法
本発明によって得られるSF2811物質は、その性状に従っ
て培養物から精製することが可能である。即ち、有機溶
媒を用いた溶媒抽出法、吸着剤を用いた吸脱着法、ゲル
濾過剤を用いた分子分配法、適当な溶剤からの再結晶法
などを単独もしくは適宜組み合わせることにより精製で
きる。
て培養物から精製することが可能である。即ち、有機溶
媒を用いた溶媒抽出法、吸着剤を用いた吸脱着法、ゲル
濾過剤を用いた分子分配法、適当な溶剤からの再結晶法
などを単独もしくは適宜組み合わせることにより精製で
きる。
【0021】例えば、SF2811物質を含む培養物から酢酸
エチルにより抽出し、酢酸エチル層を減圧濃縮する。こ
の抽出物を少量のクロロホルム、メタノールなどの有機
溶媒に溶解してシリカゲルカラムに付し、クロロホルム
/メタノール、ヘキサン/酢酸エチルなどの溶媒系でク
ロマトグラフィーを行う。その後、メタノールなどの展
開溶媒を用いたセファデックスLH-20(ファルマシアフ
ァインケミカルズ社製)などのゲル濾過を行い、最後に
クロロホルム/メタノール、ヘキサン/酢酸エチルなど
の溶媒系で分取薄層クロマトグラフィーを行うことによ
りSF2811物質を単離することができる。さらに、エーテ
ル、ヘキサン、アセトン、メタノール、水などの溶剤を
用いることで再結晶化することが可能である。
エチルにより抽出し、酢酸エチル層を減圧濃縮する。こ
の抽出物を少量のクロロホルム、メタノールなどの有機
溶媒に溶解してシリカゲルカラムに付し、クロロホルム
/メタノール、ヘキサン/酢酸エチルなどの溶媒系でク
ロマトグラフィーを行う。その後、メタノールなどの展
開溶媒を用いたセファデックスLH-20(ファルマシアフ
ァインケミカルズ社製)などのゲル濾過を行い、最後に
クロロホルム/メタノール、ヘキサン/酢酸エチルなど
の溶媒系で分取薄層クロマトグラフィーを行うことによ
りSF2811物質を単離することができる。さらに、エーテ
ル、ヘキサン、アセトン、メタノール、水などの溶剤を
用いることで再結晶化することが可能である。
【0022】本発明の第3の要旨とするところは、上記
の式(1)で表わされるSF2811物質または薬理学的に許
容されるその塩を含有する医薬にある。本発明のSF2811
物質は、試験例に示すように細菌に対して発育阻害活性
を有し、ヒトを含む動物に医薬として投与することが有
用である。具体的には、抗菌剤として有効である。
の式(1)で表わされるSF2811物質または薬理学的に許
容されるその塩を含有する医薬にある。本発明のSF2811
物質は、試験例に示すように細菌に対して発育阻害活性
を有し、ヒトを含む動物に医薬として投与することが有
用である。具体的には、抗菌剤として有効である。
【0023】本発明のSF2811物質を医薬品として投与す
る場合、種々の投与形態または使用形態に合わせて、常
法に従い製剤化することができる。
る場合、種々の投与形態または使用形態に合わせて、常
法に従い製剤化することができる。
【0024】経口投与のための製剤としては、錠剤、丸
剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤、シロッ
プ剤、舌下剤などが挙げられる。また非経口投与のため
の製剤としては、注射剤、経皮吸収剤、吸入剤、座剤な
どが挙げられる。製剤化に際しては、界面活性剤、賦形
剤、安定化剤、湿潤剤、崩壊剤、溶解補助剤、等張剤、
緩衝剤、着色剤、着香料などの医薬用添加剤を適宜使用
する。
剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤、シロッ
プ剤、舌下剤などが挙げられる。また非経口投与のため
の製剤としては、注射剤、経皮吸収剤、吸入剤、座剤な
どが挙げられる。製剤化に際しては、界面活性剤、賦形
剤、安定化剤、湿潤剤、崩壊剤、溶解補助剤、等張剤、
緩衝剤、着色剤、着香料などの医薬用添加剤を適宜使用
する。
【0025】医薬としての投与量は、患者の年齢、体
重、疾病の種類や程度、投与経路によって異なるがヒト
に経口投与する場合には、成人一人当たり一日に0.02〜
200 mg/kg、静脈投与の場合には同じく0.01〜100 mg/
kgの範囲内で投与する。
重、疾病の種類や程度、投与経路によって異なるがヒト
に経口投与する場合には、成人一人当たり一日に0.02〜
200 mg/kg、静脈投与の場合には同じく0.01〜100 mg/
kgの範囲内で投与する。
【0026】
【実施例】以下に本発明の実施例および試験例を示す
が、本発明はこれに限定されるものではなく、ここに示
さなかった変法あるいは修飾手段の全てを包括する。
が、本発明はこれに限定されるものではなく、ここに示
さなかった変法あるいは修飾手段の全てを包括する。
【0027】実施例
1. SF2811物質生産菌の培養
グルコース1.0%、可溶性でんぷん2.0%、酵母エキス0.
3%、ポリぺプトン0.5%、小麦胚芽0.6%、大豆粕0.2%
および炭酸カルシウム0.2%を含み、6N水酸化ナトリウ
ムでpH 7.0に調整した前培養培地を100 mL容エレンマイ
ヤーフラスコ5本に20mLずつ分注し、120℃で20分間滅菌
した。これに寒天平板培養のSF2811株(FERM P-18684)
を一白金耳ずつ植菌し、28℃で5日間振盪培養して種培
養液として用いた。
3%、ポリぺプトン0.5%、小麦胚芽0.6%、大豆粕0.2%
および炭酸カルシウム0.2%を含み、6N水酸化ナトリウ
ムでpH 7.0に調整した前培養培地を100 mL容エレンマイ
ヤーフラスコ5本に20mLずつ分注し、120℃で20分間滅菌
した。これに寒天平板培養のSF2811株(FERM P-18684)
を一白金耳ずつ植菌し、28℃で5日間振盪培養して種培
養液として用いた。
【0028】一方、水飴2.0%、大豆粕1.0%、ファーマ
メディア0.5%、サングレイン0.25%、サラダ油0.15
%、炭酸カルシウム0.1%、硫化鉄0.0005%、塩化ニッ
ケル0.00005%および塩化コバルト0.00005%を含み、6
N水酸化ナトリウムでpH 7.0に調整した生産用培地を500
mL容エレンマイヤーフラスコ30本に80 mLずつ分注し、
120℃で20分間滅菌した。その後、先に得た種培養液を2
%分ずつ無菌的に接種し、28℃で5日間、撹拌は200 rpm
で培養を行った。
メディア0.5%、サングレイン0.25%、サラダ油0.15
%、炭酸カルシウム0.1%、硫化鉄0.0005%、塩化ニッ
ケル0.00005%および塩化コバルト0.00005%を含み、6
N水酸化ナトリウムでpH 7.0に調整した生産用培地を500
mL容エレンマイヤーフラスコ30本に80 mLずつ分注し、
120℃で20分間滅菌した。その後、先に得た種培養液を2
%分ずつ無菌的に接種し、28℃で5日間、撹拌は200 rpm
で培養を行った。
【0029】2. SF2811物質の精製
得られた培養物(22 L)を1N塩酸でpH 2.0に調整後、酢
酸エチル(22 L)で抽出し、酢酸エチル層を減圧濃縮し
て約7.58 gの粗抽出物を得た。得られた粗抽出物をメタ
ノール約100 mLに溶解し、38.0 gのシリカゲル(ワコー
ゲル C-300、和光純薬社製)を加えた後、減圧下でメタ
ノールを留去し、粗抽出物をシリカゲルに均一に吸着さ
せた。これをグラスフィルター上のシリカゲル75.8 gに
重層し、クロロホルム/メタノール溶液(メタノール濃
度が0, 1, 3%をそれぞれ2.3 L)で溶出し、活性成分を
含む画分を集めて減圧濃縮し、2.59 gの油状物質を得
た。
酸エチル(22 L)で抽出し、酢酸エチル層を減圧濃縮し
て約7.58 gの粗抽出物を得た。得られた粗抽出物をメタ
ノール約100 mLに溶解し、38.0 gのシリカゲル(ワコー
ゲル C-300、和光純薬社製)を加えた後、減圧下でメタ
ノールを留去し、粗抽出物をシリカゲルに均一に吸着さ
せた。これをグラスフィルター上のシリカゲル75.8 gに
重層し、クロロホルム/メタノール溶液(メタノール濃
度が0, 1, 3%をそれぞれ2.3 L)で溶出し、活性成分を
含む画分を集めて減圧濃縮し、2.59 gの油状物質を得
た。
【0030】この油状物質を少量のメタノールに溶解さ
せ、あらかじめメタノールで充填したセファデックスLH
-20カラム(ファルマシアファインケミカルズ社製)に
供してメタノールで溶出した。次いで活性成分を含む画
分を集めて減圧濃縮し、512.7 mgの残渣を得た。
せ、あらかじめメタノールで充填したセファデックスLH
-20カラム(ファルマシアファインケミカルズ社製)に
供してメタノールで溶出した。次いで活性成分を含む画
分を集めて減圧濃縮し、512.7 mgの残渣を得た。
【0031】得られた残渣をクロロホルム/メタノール
(20:1)、次いでヘキサン/酢酸エチル(1:1)溶液を
展開溶媒とする分取薄層クロマトグラフィー(キーゼル
ゲル60、0.5 mm、メルク社製)を行い、白色粉末状のSF
2811物質を98.8 mg得た。
(20:1)、次いでヘキサン/酢酸エチル(1:1)溶液を
展開溶媒とする分取薄層クロマトグラフィー(キーゼル
ゲル60、0.5 mm、メルク社製)を行い、白色粉末状のSF
2811物質を98.8 mg得た。
【0032】得られたSF2811物質を50 mLのクロロホル
ムに溶解し、等量の0.1N塩酸で洗浄後、等量の1N水酸化
ナトリウムで洗浄し、クロロホルムを減圧濃縮すること
で白色粉末状のSF2811物質ナトリウム塩を100.6 mg得
た。その一部を用いてメタノール/水溶液での再結晶化
により、SF2811物質ナトリウム塩を無色柱状結晶として
得た。
ムに溶解し、等量の0.1N塩酸で洗浄後、等量の1N水酸化
ナトリウムで洗浄し、クロロホルムを減圧濃縮すること
で白色粉末状のSF2811物質ナトリウム塩を100.6 mg得
た。その一部を用いてメタノール/水溶液での再結晶化
により、SF2811物質ナトリウム塩を無色柱状結晶として
得た。
【0033】本発明により得られるSF2811物質ナトリウ
ム塩は各種細菌に対して発育阻害活性を有する。SF2811
物質ナトリウム塩の抗菌活性は次の試験例にしたがって
測定した。
ム塩は各種細菌に対して発育阻害活性を有する。SF2811
物質ナトリウム塩の抗菌活性は次の試験例にしたがって
測定した。
【0034】試験例 SF2811物質ナトリウム塩の抗菌活
性 1. 試験菌株 試験には、当研究所保存の菌株を使用した。 2. 接種菌液の調製 接種菌液は感性測定用ブイヨン(日水製薬)で35℃一夜
培養し、約106 cfu/mLの濃度になるように懸濁した。た
だし、栄養要求性の強いStreptococcus属、Haemophilus
属およびMoraxella catarrhalisの菌株では、5%馬脱繊
血(日本生物材料センター)、5 μg/mL hemin(和光純
薬工業)および15 μg/mL NAD(和光純薬工業)を含む
感性ディスク用培地-N(SDA 日水製薬)で培養した
後、約106cfu/mLの濃度になるように懸濁して用いた。 3. 薬剤感受性の測定 最小発育阻止濃度(MIC)は、SDAを用いた寒天平板希釈
法で測定した。また、Streptococcus属菌株、Haemophil
us属菌株およびMoraxella catarrhalisに対するMICの測
定には、5%馬脱繊血、5 μg/mL heminおよび15 μg/mL
NADを含むSDA平板を使用した。各種の薬剤含有平板に
上記の接種菌液をミクロプランター(佐久間製作所)に
て接種し、35℃で約20時間培養後にMICを判定した。そ
の結果を表1に示す。
性 1. 試験菌株 試験には、当研究所保存の菌株を使用した。 2. 接種菌液の調製 接種菌液は感性測定用ブイヨン(日水製薬)で35℃一夜
培養し、約106 cfu/mLの濃度になるように懸濁した。た
だし、栄養要求性の強いStreptococcus属、Haemophilus
属およびMoraxella catarrhalisの菌株では、5%馬脱繊
血(日本生物材料センター)、5 μg/mL hemin(和光純
薬工業)および15 μg/mL NAD(和光純薬工業)を含む
感性ディスク用培地-N(SDA 日水製薬)で培養した
後、約106cfu/mLの濃度になるように懸濁して用いた。 3. 薬剤感受性の測定 最小発育阻止濃度(MIC)は、SDAを用いた寒天平板希釈
法で測定した。また、Streptococcus属菌株、Haemophil
us属菌株およびMoraxella catarrhalisに対するMICの測
定には、5%馬脱繊血、5 μg/mL heminおよび15 μg/mL
NADを含むSDA平板を使用した。各種の薬剤含有平板に
上記の接種菌液をミクロプランター(佐久間製作所)に
て接種し、35℃で約20時間培養後にMICを判定した。そ
の結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】本発明のSF2811物質のナトリウム塩は、表
1に示したように多剤耐性菌を含むグラム陽性菌に対し
て、強い抗菌活性を示した。
1に示したように多剤耐性菌を含むグラム陽性菌に対し
て、強い抗菌活性を示した。
【0037】
【発明の効果】本発明の新規抗生物質SF2811物質は、試
験例に示したように各種細菌に対して抗菌活性を有して
おり、特に医療上問題となっている多剤耐性菌を含むグ
ラム陽性菌に対して強い抗菌活性を示した。したがって
SF2811物質を有効成分とする抗菌剤は、多剤耐性菌を含
むグラム陽性菌などを起因菌とする細菌感染症の治療に
有用である。
験例に示したように各種細菌に対して抗菌活性を有して
おり、特に医療上問題となっている多剤耐性菌を含むグ
ラム陽性菌に対して強い抗菌活性を示した。したがって
SF2811物質を有効成分とする抗菌剤は、多剤耐性菌を含
むグラム陽性菌などを起因菌とする細菌感染症の治療に
有用である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
//(C12P 17/16 C12R 1:29
C12R 1:29)
Fターム(参考) 4B064 AE54 BC06 BG09 BH01 BH02
BH04 BH05 BH06 BH07 CA03
CE07 CE08 CE10 CE15 DA03
4B065 AA35X BA22 CA08 CA34
4C071 AA04 BB01 CC12 DD40 EE05
FF17 GG03 HH05 JJ01 JJ06
KK17 LL01
4C086 CA01 GA02 MA01 MA04 MA17
MA22 MA23 MA31 MA32 MA35
MA36 MA37 MA41 MA43 MA52
MA59 MA63 MA66 NA14 ZB35
Claims (6)
- 【請求項1】 式(1) 【化1】 で表わされるSF2811物質、または薬理学的に許容される
その塩。 - 【請求項2】 ミクロモノスポラ(Micromonospora)属
に属する菌を培養し、その培養物より請求項1記載の式
(1)で表わされるSF2811物質、または薬理学的に許容
されるその塩を採取することを特徴とするSF2811物質、
または薬理学的に許容されるその塩の製造法。 - 【請求項3】 ミクロモノスポラ(Micromonospora)属
に属する菌がミクロモノスポラ属の一菌株(Micromonos
pora sp. SF2811)(FERM P-18684)であることを特徴と
する請求項2記載の製造法。 - 【請求項4】 請求項1記載の式(1)で表わされるSF28
11物質、または薬理学的に許容されるその塩を有効成分
とする医薬。 - 【請求項5】 請求項1記載の式(1)で表わされるSF28
11物質、または薬理学的に許容されるその塩を有効成分
とする抗菌剤。 - 【請求項6】 請求項1記載の式(1)で表わされるSF28
11物質、または薬理学的に許容されるその塩を生産する
特性を有し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物
寄託センターに、受託番号FERM P-18684として寄託され
たSF2811株およびその変異株。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002085659A JP2003286288A (ja) | 2002-03-26 | 2002-03-26 | 新規抗生物質sf2811物質、その製造法およびその用途 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002085659A JP2003286288A (ja) | 2002-03-26 | 2002-03-26 | 新規抗生物質sf2811物質、その製造法およびその用途 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003286288A true JP2003286288A (ja) | 2003-10-10 |
Family
ID=29232538
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002085659A Pending JP2003286288A (ja) | 2002-03-26 | 2002-03-26 | 新規抗生物質sf2811物質、その製造法およびその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003286288A (ja) |
-
2002
- 2002-03-26 JP JP2002085659A patent/JP2003286288A/ja active Pending
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