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JP2003272453A - 半導電性無機フィラー及びその製造方法ならびに半導電性樹脂組成物 - Google Patents

半導電性無機フィラー及びその製造方法ならびに半導電性樹脂組成物

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Publication number
JP2003272453A
JP2003272453A JP2002069279A JP2002069279A JP2003272453A JP 2003272453 A JP2003272453 A JP 2003272453A JP 2002069279 A JP2002069279 A JP 2002069279A JP 2002069279 A JP2002069279 A JP 2002069279A JP 2003272453 A JP2003272453 A JP 2003272453A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
inorganic filler
semiconductive
carbon
resistance value
resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002069279A
Other languages
English (en)
Inventor
Taiji Nishikawa
泰司 西川
Hitoshi Nojiri
仁志 野尻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2002069279A priority Critical patent/JP2003272453A/ja
Publication of JP2003272453A publication Critical patent/JP2003272453A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 体積抵抗値が1×102〜1×1010Ω・c
mの中抵抗領域を有する種々の半導電性無機フィラーを
バラツキなく製造する。また、この半導電性無機フィラ
ーを樹脂に配合し、添加量変化、電圧変化、環境変化に
よる抵抗値の変動が少ない樹脂組成物を調整する。 【解決手段】表面にカーボン導電層を有する無機フィラ
ーを酸化性ガス雰囲気中で加熱焼成することを特徴とす
る半導電性無機フィラーの製造方法により上記課題が解
決する。本発明の製造方法は、前記表面にカーボン導電
層を有する無機フィラーの体積抵抗値を増大させて前記
半導電性無機フィラーを得る際に特に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導電性無機フィ
ラー及びその製造方法ならびに半導電性樹脂組成物に関
するものである。本発明の半導電性無機フィラーは、機
能性複合材料用素材として有用なものであり、半導電性
塗料、インキ、電気メッキ用複合材料、静電気帯電防止
用材料、静電記録材料、電磁波シールド材料等の各種の
導電性複合材料に適用することができるものである。
【0002】
【従来の技術】化学技術の発達とニーズの多様化に伴
い、高性能、多機能素材の開発が活発に行われ、プラス
チック業界にあっても半導電性樹脂組成物の開発が種々
試みられている。特に、電子写真方式やインクジェット
方式等の記録技術装置においては、画像の形成部材や媒
体搬送部材に各種半導電性樹脂組成物が使用されてい
る。
【0003】具体的には、樹脂に低電気抵抗の導電性材
料を添加することがよく行われており、低電気抵抗の粒
子状導電性充填剤としては、カーボン粒子、または銅、
銀、金、アンチモンドープの酸化錫等の金属粉が使用さ
れ、低電気抵抗の繊維状導電性充填材としては、カーボ
ン繊維、表面にカーボンや導電性金属酸化物で導電性層
を形成した無機フィラー等が用いられている。
【0004】しかしながら、これら低電気抵抗材料を樹
脂に添加して半導電性(1×106〜1×1013Ω・c
m)樹脂組成物を調整すると、添加量のわずかな違いに
よる抵抗のバラツキが大きかったり、絶縁性を大幅に悪
化させたりする。また、抵抗の電圧依存性や環境依存性
も大きくなり、これら全ての特性を満足させることは非
常に困難である。
【0005】また、金属粉を充填剤に用いた場合、金属
独自の色調を有することから、その用途に制約がある。
またカーボン繊維は、補強性を有する導電性充填剤では
あるが、繊維長を均一に揃えるのが困難であり、アスペ
クト比が不揃いとなるため、成形加工性が悪く、また成
形品の表面平滑性において劣る。
【0006】また、特開昭58−135129号公報に
おいては、チタン酸アルカリと炭素物質からなる混合物
を還元または不活性雰囲気中で昇温し、加熱焼成するこ
とにより、導電性を有する還元チタン酸アルカリを製造
する方法が提案されている。また、特開昭63−127
59号公報においては、チタン酸アルカリの表面にカー
ボン被覆を施すことにより、繊維長の揃った繊維状導電
性充填剤を製造することが提案されている。
【0007】しかし、これら材料もまた抵抗は非常に低
く、樹脂に配合した複合材料は抵抗値のバラツキが大き
く、絶縁性、抵抗の電圧依存性、環境依存性に非常に劣
る。
【0008】以上に示した導電制御材料には白色や淡色
ものがあり、これらを含む複合材料は白色もしくは淡色
となる。しかし、プリンターのような光学機器を含み、
光学処理及び光学色補整をする部分に使用される部品は
光を反射しないように有色、特に黒色であることが望ま
れ、導電制御材料そのものが黒色もしくは濃色であるこ
とが望まれる。
【0009】上記課題の中でも、半導電性樹脂組成物の
抵抗値の電圧依存性を小さくすることは非常に難しい課
題である。一般に樹脂に高電圧(例えば厚み100μm
に対して1kV以上の電圧)を印加した場合、樹脂は絶
縁破壊に近づき、抵抗値の電圧依存性は急激に悪化す
る。つまり、破壊直前には大電流が流れる。このことか
ら抵抗値の電圧依存性は、樹脂に高電圧がかかることで
樹脂が破壊に近づくために生じる現象と考えられる。し
かし、中抵抗材料を添加した系では、カーボンブラック
のような低抵抗材料を添加した場合に比べて、樹脂部分
に局所的に高電圧がかかることを防ぐことができ、抵抗
値の電圧依存性が改善できると考えられる。
【0010】以上のことから、抵抗値の電圧依存性の小
さい樹脂組成物を得るためには、中抵抗値を有する無機
フィラーを使用すればよいとなるが、例えば、中抵抗材
料として、アルミナ、酸化亜鉛等といった材料は、特定
の抵抗値しか有しておらず、これらを用いて様々な抵抗
の複合材料を得る場合、異なる抵抗値を有する2種以上
のフィラーを混合したり、配合部数を変更したりする必
要があり、各フィラーに応じた分散性の制御や配合調整
に大変な労力を要する。また、配合量の変更により機械
特性が損なわれることにもなる。
【0011】したがって、理想的には、形状等は全く同
じであるが各種抵抗値を有する抵抗制御材料があればよ
い。そうなれば、配合量が全く同じで、異なる抵抗値を
有する樹脂組成物を作成することができ、機械特性や分
散性を変えることなく導電性を制御できる。また、同一
の無機フィラーの機械特性、分散性といった基本特性は
同一であるため、製品種類の変更による洗浄作業や切り
替え作業も非常に容易になる。
【0012】したがって、抵抗値を広い範囲で制御し、
抵抗のバラツキのない(半)導電性無機フィラーを得る
製造方法の開発は非常に重要である。
【0013】この場合、有効な製造手段として無機フィ
ラーの表面を導電処理することが考えられ、導電処理方
法の一つとして以下に示すカーボン被覆方法が有効と考
えられる。
【0014】カーボンで被覆された無機フィラーの製造
方法としては、特開昭63−12759号公報、特開平
9−59428号公報、特開平10−226759号公
報に示されたように、無機フィラーを、炭化水素雰囲気
又は炭化水素と還元性ガス及び/又は不活性ガスとの混
合ガス雰囲気中で加熱焼成することにより、無機フィラ
ーの表面にカーボン導電層を形成する方法が知られてい
る。この方法を用いれば、カーボン源の種類、量、形成
方法によって様々な抵抗の材料を調整することができ、
各種抵抗値を得る方法として非常に有効と考えられる。
【0015】しかし、前記出願特許によって製造される
無機フィラーはいずれも抵抗の低いものしか得られてい
ない。というのは、中抵抗を有するカーボン被覆無機フ
ィラーを得るためには、カーボン源の添加量を減らす必
要がある。しかし、原料投入量を減らすと、原料の純度
や温度のわずかなバラツキにより、被覆カーボン量が大
幅に変化し、中抵抗値の無機フィラーが得られたとして
もサンプルにバラツキが生じることがわかった。したが
って、通常、抵抗のバラツキが少ないカーボン被覆無機
フィラーを得る場合には、被覆量よりも過剰に原料を投
入して、無機フィラーを完全にカーボン層で覆い、抵抗
の低い領域でサンプル間のバラツキを無くして製造して
いるのが実態である。すなわち、「中抵抗値制御」と
「バラツキが少ないこと」は相反する特性であり、カー
ボンの被覆量を調整し、中抵抗レベルで、バラツキの少
ない無機フィラーを安定的に得ることは困難な課題であ
る。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
のような従来の問題点を解消し、出発物質として同一の
無機フィラーを用いても、種々の中抵抗値を有し、バラ
ツキの小さい半導電性無機フィラー及びその製造方法を
提供することにある。また、そのようにして得た半導電
性無機フィラーを樹脂に配合し、抵抗値のバラツキが少
なく、電圧依存性の小さい半導電樹脂組成物を提供する
ことにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
大きなバラツキなく中抵抗値を有するカーボン被覆無機
フィラーを安定的に入手する方法として、(1)まず、
無機フィラーを、炭化水素雰囲気中、または炭化水素と
還元性ガス及び/または不活性ガスとの混合ガス雰囲気
中で加熱焼成することにより、前記無機フィラーの表面
にカーボン導電層を形成した後、(2)酸化性ガス雰囲
気中で加熱することで、種々の中抵抗値を有する半導電
性無機フィラーを安定的に製造する方法を見出した。
【0018】以上の検討を実施した結果、以下に示す本
発明を完成するに至った。
【0019】すなわち、本発明の第1は、表面にカーボ
ン導電層を有する無機フィラーを酸化性ガス雰囲気中で
加熱焼成することを特徴とする半導電性無機フィラーの
製造方法を提供する。
【0020】本発明の製造方法は、前記表面にカーボン
導電層を有する無機フィラーの体積抵抗値を増大させて
前記半導電性無機フィラーを得る際に特に有用である。
【0021】前記酸化性ガスは、酸素または二酸化炭素
の少なくとも1種を含むことが好ましい。また、前記酸
化性ガス雰囲気中で加熱焼成する温度は、50℃以上5
00℃以下であることが好ましい。
【0022】前記表面にカーボン導電層を有する無機フ
ィラーを得る方法としては、炭化水素雰囲気中、または
炭化水素と還元性ガス及び/または不活性ガスとの混合
ガス雰囲気中で無機フィラーを加熱焼成する方法があげ
られる。
【0023】ここで、前記炭化水素は、脂肪族炭化水素
または芳香族炭化水素の少なくとも1種を含むことが好
ましい。また、前記還元性ガスは、水素ガス、一酸化炭
素ガスおよびアンモニアガスから選択される少なくとも
1種を含むことが好ましい。
【0024】本発明の第2は、上記の方法により製造さ
れた体積抵抗値が1×102〜1×1010Ω・cmであ
ることを特徴とする半導電性無機フィラーを提供する。
【0025】さらに、本発明の第3は、前記半導電性無
機フィラーまたは前記方法により製造された半導電性無
機フィラーを樹脂中に配合してなる半導電性樹脂組成物
を提供する。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の半導電性無機フィラー
は、カーボン導電層で被覆されており、体積抵抗値が1
×102〜1×1010Ω・cmであり、さらに好ましく
は1×103〜1×109Ω・cmであることを特徴とし
ている。抵抗がこの範囲よりも低いと、樹脂に配合後、
抵抗値が低下しすぎる。また、中抵抗値に制御できたと
しても絶縁性が悪く、抵抗の電圧依存性の悪いものしか
得られない。また、抵抗値がこの範囲よりも高いと、樹
脂に配合しても抵抗は高すぎ、狙いの中抵抗値を有する
樹脂組成物を得ることが困難になる。
【0027】本発明の半導電性無機フィラーにおいて、
カーボン導電層の被覆量は、全体の0.001〜1重量
%、好ましくは0.001〜0.5重量%、さらに好ま
しくは0.001〜0.1重量%である。カーボン導電
層の被覆量が少なすぎると、十分な導電性を付与するこ
とができず、カーボン導電層の被覆量が多いと、導電性
が高くなりすぎ、樹脂中に配合した場合に、樹脂組成物
の抵抗値を安定性的に制御しにくくなるし、多すぎる被
覆量は経済的に不利なものとなる。
【0028】本発明において芯材となる無機フィラーと
しては、銀、銅、アルミといった金属や各種無機酸化
物、無機窒化物、無機炭化物といった無機セラミックス
のことを指し、例えば、亜鉛、酸化亜鉛、アルミニウ
ム、アルミナ、水酸化アルミニウム、カルシウム、炭酸
カルシウム、銀、酸化クロム、ケイ素、シリカ、ガラ
ス、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、鉄、
酸化鉄、銅、酸化銅、炭酸バリウム、水酸化バリウム、
炭酸バリウム、マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭
化タングステン、炭化チタン、窒化アルミニウム、窒化
ゲルマニウム、窒化タンタル、窒化チタン、窒化ホウ
素、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、チ
タン酸金属塩、チタン酸アルミン酸塩、塩基性硫酸マグ
ネシウム、ケイ酸カルシウム、マグネシア、硫酸カルシ
ウム、リン酸カルシウムナトリウム、ホウ酸マグネシウ
ム、二ホウ化チタン、ウォラストナイト、クリソタイ
ル、マイカ、タルク、粘土鉱物、ケイ酸塩およびカオリ
ン挙げられる。
【0029】特に、本発明に用いられる無機フィラーの
屈折率は小さいことが好ましい。屈折率としては2.0
以下、好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.7
以下である。これら範囲内では、無機フィラーが無色に
近づき、黒色導電性物質で被覆した際に、着色しやすい
ために好ましいからである。さらに他の着色剤を添加す
ることによって任意の色調が得ることが出来るために好
ましい。例えば、アルミナ、硫酸バリウム、ホウ酸アル
ミニウム、ケイ酸塩、ケイ酸カルシウム、マイカは屈折
率が小さいので好ましい。またシリカ、ガラス、アルミ
ナ、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、タルク、カオ
リンも比較的屈折率が低く、着色しやすいために好まし
い。
【0030】本発明に用いられる無機フィラーの遊離金
属成分は少ないほど好ましい。遊離金属成分としては1
00ppm以下、好ましくは80ppm以下、さらに好
ましくは50ppm以下である。これら範囲内では、遊
離金属成分が少ないために、樹脂後の抵抗値の湿度依存
性が小さくなるために好ましい。また、絶縁破壊電圧も
小さくなるために好ましい。
【0031】本発明に用いる無機フィラーの形状として
は、粒状、針状、鱗片状等があり、いずれの構造であっ
ても中抵抗領域に制御することができる。中でも針状や
鱗片状のものは、互いに接触しやすく樹脂組成物に対す
る配合量が少なくても中抵抗領域への抵抗制御が可能と
なるために好ましい。また樹脂組成物の機械強度増加や
線膨張係数、吸湿膨張係数低減の効果が高く、引き裂き
等による断裂や張力による寸法変化を防ぎ、高耐久かつ
高寸法安定性の成型品を得ることができる。また、高い
平面平滑性を有する成型品を得ることができる。粒状、
針状、鱗片状のいかなる形状であれ、粒径は3μm以
下、好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以
下である。ここで言う粒径とは、粒状の場合においては
平均粒径のことを指し、針状、鱗片状の場合においては
それぞれ短軸径、厚みのことを指す。100μm以下と
いった厚みが薄い成形体においては、3μmよりも大き
い材料の場合、分散不良による局部的な凝集によって絶
縁破壊が起こる虞があり好ましくない。一方3μm以下
であれば、多少の凝集であっても絶縁性が悪化しないた
めに好ましい。粒状の場合、粒径は3μm以下、好まし
くは1μm以下のものが良い。径がこの範囲を外れると
樹脂組成物の抵抗値と機械的強度のバランスがとりにく
くなる。針状の場合、短軸径は3μm以下、好ましくは
1μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下、且つ長
軸径は50μm以下、好ましくは10μm以下、更には
1μm以下のものを用いるのが好ましい。短軸径と長軸
径がこの範囲を外れると樹脂組成物の抵抗値と機械的強
度のバランスがとりにくくなる。鱗片状の場合、厚みは
3μm以下、好ましくは2μm以下、さらに好ましくは
1μm以下、特に好ましくは0.5μm以下、且つ長さ
は50μm以下、好ましくは10μm以下、更には1μ
m以下のものを用いるのが好ましい。厚みと長さがこの
範囲を外れると樹脂組成物の絶縁性、抵抗値、機械的強
度のバランスがとりにくくなる。
【0032】特に、針状無機フィラーとしては、ホウ酸
アルミニウムウィスカー、炭化ケイ素ウィスカー、窒化
ケイ素ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、チタ
ン酸金属塩ウィスカー、チタン酸アルミン酸塩ウィスカ
ー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、ケイ酸カルシ
ウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、マグネシアウィ
スカー、硫酸カルシウムウィスカー、リン酸カルシウム
ナトリウムウィスカー、ホウ酸マグネシウムウィスカ
ー、二ホウ化チタンウィスカー、アルミナウィスカー、
クリソタイルウィスカー、ワラストナイトウィスカー、
ガラス繊維、チラノ繊維、炭化ケイ素繊維、ジルコニア
繊維、アルミナ繊維、炭素繊維等を使用したものがよ
い。また、鱗片状無機フィラーとしてはマイカ、タル
ク、粘土鉱物、ケイ酸塩、カオリン等使用したものがよ
い。着色したい際にはホウ酸アルミニウム、マイカ、タ
ルク、粘土鉱物を使用するとよい。
【0033】ホウ酸アルミニウムは、比重が小さいため
に、添加量が少なくても、効果的に抵抗を下げることが
出来るために好ましい。また、チタン酸アルカリ金属よ
りも耐酸性に優れ、導電性物質を被覆する際に、酸によ
り金属成分が溶出せず、折損、微細化、多孔質化せず、
少量の導電性物質での被覆が可能となるので好ましい。
また、式KXAlYTi8-X16(0.8≦X≦2.5、
Yは正の実数)で示される組成を有するチタン酸アルミ
ン酸カリウム繊維、式A1 V2 W1 X2 YTi8- Z
16(式中、A1はアルカリ金属より選ばれる少なくとも
一種を、A2はBaを、M1はMg、Co、Ni、Zn、
Cu及びMnより選ばれる少なくとも一種を、M2はA
l、Sc、Cr、Fe及びGaより選ばれる少なくとも
一種を、それぞれ示す。V、W、X、Y及びZは、0.
5≦2X+Y≦2.5、2X+Y=V+2W、Z=X+
Yを、満足する実数である。但し、W及びXが共に0で
あり、A1がKであり且つM2がAlである場合を除
く。)で示される組成を有するチタン酸塩も遊離金属成
分が少なく、耐薬品性、耐熱性にも優れるために好まし
い。
【0034】本発明に用いる無機フィラーは、内部に気
孔を有していてもよい。気孔の存在量としては10〜7
0体積%の範囲にあるのがよい。気孔を有するために、
かさ比重が小さくなり、少量の添加で抵抗を下げること
ができるために好ましい。
【0035】次に上記の無機フィラーにカーボンを被覆
して半導電性無機フィラーを製造する方法を以下に説明
する。
【0036】本発明の半導電性無機フィラーの製造方法
は、上記本発明の半導電性無機フィラーを製造すること
ができる方法であり、表面にカーボン導電層を有する無
機フィラーを形成した後、酸化性ガス雰囲気中で加熱焼
成することにより抵抗を制御することを特徴としてい
る。
【0037】まず、無機フィラーの表面にカーボン導電
層を形成する好ましいとして、無機フィラーを、炭化水
素雰囲気中、または炭化水素と還元性ガス及び/または
不活性ガスとの混合ガス雰囲気中で加熱焼成すること方
法が挙げられる。使用される炭化水素としては、脂肪族
炭化水素及び芳香族炭化水素のいずれも使用することが
できる。脂肪族炭化水素としては、炭素数1〜20の飽
和炭化水素、エチレン系炭化水素、アセチレン系炭化水
素等が挙げられる。また芳香族炭化水素としては、例え
ばベンゼン、トルエン、キシレン等とその同族体、ナフ
タレン、アントラセンなどの多核芳香族炭化水素及び上
記各種炭化水素のハロゲン化物等を挙げられる。これら
の炭化水素類は、一種単独で又は二種以上混合して使用
することができる。
【0038】上記炭化水素の雰囲気中、あるいは上記炭
化水素と還元ガス及び/又は不活性ガスとの混合ガス雰
囲気中で無機フィラーを加熱焼成することにより、表面
にカーボン導電層を有する無機フィラーが得られる。
【0039】還元ガスとしては、例えば水素ガス、一酸
化水素ガス、アンモニアガスが好ましい。また不活性ガ
スとしては、例えば窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウム
ガス、キセノンガス、炭酸ガスなどが挙げられる。本発
明の製造方法においては、これらの還元性ガス及び不活
性ガスを一種単独で使用してもよいし、二種以上混合し
て使用してもよい。
【0040】炭化水素に還元性ガスを混合して用いる場
合には、還元性ガスと炭化水素の混合体積比率は、通
常、90:10〜10:90の範囲が好ましく、カーボ
ン析出量を考慮すれば50:50程度が好ましい。
【0041】加熱焼成の温度としては、使用する炭化水
素の分解、すなわちカーボン析出の温度以上で、130
0℃以下の範囲内の温度が好ましい。加熱焼成の温度が
低すぎると、カーボン導電層を無機フィラー表面に形成
することができず、また加熱焼成温度が高すぎると、芯
材としての無機フィラーの形状が崩壊するおそれがあ
る。
【0042】炭化水素の分解温度は、使用する炭化水素
により異なり、例えばメタンの場合はカーボンの析出温
度範囲は約900〜950℃であり、n−プロパンの場
合は約950〜1000℃である。ベンゼンの場合は温
度が低く、約750〜800℃でカーボンが析出する。
【0043】析出するカーボン導電層の導電性の点から
はできるだけ高い温度、例えば1150〜1300℃で
処理することが望ましい。なお、加熱焼成の雰囲気にお
いては、必ずしも還元ガスを必要とせず、例えば窒素ガ
スなどの不活性ガスの気流下に約500〜1000℃で
炭化水素を導入し炭化水素を分解することにより、カー
ボン層を析出させることもできる。
【0044】上記手順によって、無機フィラーの表面に
カーボン導電層が形成される。このようにして得られた
カーボン被覆無機フィラーは、本発明が目的とする抵抗
値よりも低い。抵抗値を上げ、目的の中抵抗値を有する
半導電性無機フィラーを得るためには、加熱焼成するこ
とで調整する。加熱の具体的方法は、カーボン層を酸化
性ガス雰囲気中で加熱焼成することことで実現できる。
加熱により抵抗値が変化する原因としては、形成された
カーボン層が、改質、燃焼等されるためだと考えられ、
本明細書においては燃焼しているものとして説明する。
加熱により抵抗を調整する際、加熱する前の無機フィラ
ーの抵抗は、目的の抵抗値に近いほど良い。というの
は、目的の抵抗値に近いほど、カーボン層を燃焼させる
ための処理時間を短く、温度を低くすることができ生産
効率やエネルギーコスト的に有利であるからである。
【0045】カーボン層を酸化性ガス雰囲気中で加熱焼
成する手順としては、大きく分けて二通りある。一つ
は、無機フィラーの表面にカーボン導電層を析出させた
後、室温まで温度を降下させる途中のまだ高温状態にあ
る際に、酸化性ガスを導入し、無機フィラーの表面に付
着したカーボン導電層の抵抗を調整し、目的の抵抗値を
有する半導電性無機フィラーを得る方法である。また別
の方法としては次のものがある。無機フィラーの表面に
カーボン導電層を析出させた後、いったん室温まで降下
させる。この温度降下の際も、不活性ガス、水素ガスま
たは炭化水素ガスあるいはこれらの混合ガスを流しなが
ら温度を降下させると、抵抗値が低い無機フィラーが得
られる。ついで、これを再度加熱し、酸化性ガスを導入
し、無機フィラーの表面に付着したカーボン導電層を燃
焼させ、カーボン層の抵抗を調整すると、目的の中抵抗
値を有する半導電性無機フィラーを得ることができる。
【0046】本発明において使用される酸化性ガスとし
ては、酸素、二酸化炭素が挙げられ、これらを含むガス
であればいずれでも良く、これらのガスは、一種単独又
は二種以上混合して使用することができる。また、酸化
性ガスの一部には不活性ガスを含んでいても良い。従っ
て、空気も酸化性ガスの一つとして挙げられる。
【0047】加熱焼成の温度としては、50〜750
℃、好ましくは75〜500℃、さらに好ましくは10
0〜400℃の範囲内の温度が良い。加熱焼成の温度が
低すぎると、無機フィラー表面のカーボン導電層の抵抗
を調整するのに時間がかかる。また加熱焼成の温度が高
すぎると、カーボン導電層の燃焼速度が速すぎ、抵抗値
の制御が困難となる。一般に、カーボン被覆無機フィラ
ーは製造中に1000℃以上の加熱で作製されているた
め、400℃以下の加熱で抵抗が変化することは知られ
ていなかった。しかし、本発明においては、400℃以
下という低温で抵抗を調整できる方法を見出した。
【0048】本発明の製造方法において、加熱焼成は、
例えば、トンネルキルン、電気炉、ロータリーキルン又
は流動焼成法等を用いて行える。
【0049】以上のようにして得た無機フィラーの色
は、有色から黒色を有しており、芯材の屈折率が小さい
ものほど黒色となり、樹脂に配合後も黒色に近づく。
【0050】本発明の半導電性樹脂組成物は、上記本発
明の半導電性無機フィラーまたは上記本発明の製造方法
で製造された半導電性無機フィラーと樹脂からなること
を特徴としている。樹脂は、その用途や目的に応じて、
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の合成高分子化合物、天
然樹脂及びその誘導体、カップリング剤、無機系樹脂、
有機高分子化合物のエマルジョン等から適宜選択して使
用される。
【0051】熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリ塩化ビニル樹脂等の汎用プラスチッ
クの他、ポリアミド、ABS樹脂、熱可塑性ポリエステ
ル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレ
ンサルフェイド、ポリフェニレンエーテル、ポリサルフ
ォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、
ポリエーテルエーテルケトン等の全てのエンジニアリン
グプラスチックを挙げることができる。
【0052】熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不
飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール樹脂、
アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート
ホモポリマー、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリア
ミド、ポリイミド、尿素、及びメラミン含有樹脂、及び
ポリウレタン等を挙げることができる。ポリイミド樹脂
は耐熱性、機械特性に優れ、半導電性無機フィラーと強
固な結合を形成しやすく、半導電性無機フィラーを添加
しても非常に優れた機械特性を有するので好ましい。
【0053】これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種
以上を組み合わせて併用してもよい。さらに、いわゆる
ポリマーアロイとして、ポリカーボネートとABS樹
脂、ポリフェニレンエーテルとポリスチレンなど、数種
類の異なった樹脂を予め複合したものを用いてもよい。
【0054】天然樹脂としては、具体的にはバルサムゴ
ム樹脂等を例示することができる。天然樹脂の誘導体と
しては、具体的には天然樹脂変性フェノール樹脂等を例
示することができる。カップリング剤としては、シラン
系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系、
ジルコアルミニウム系、クロム系、ボロム系、リン系、
及びアミノ酸系カップリング剤等の全てのものを挙げる
ことができ、特に限定されるものではない。無機系樹脂
としては、具体的には、水ガラス、シリカゾル、アルミ
ナゾル、アルミナ−シリカゾル等を例示することができ
る。また有機高分子化合物のエマルジョンとしては、具
体的にはポリ酢酸ビニルエマルジョン、酢酸ビニル共重
合体エマルジョン、アクリル酸エステル共重合体エマル
ジョン、塩化ビニリデン共重合体エマルジョン、ポリエ
チレンエマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン等を例
示することができる。
【0055】また、本発明の半導電性樹脂組成物には、
必要に応じて、タルク、マイカ、ワラストナイト、炭酸
カルシウム等の充填剤、ガラス繊維、カーボン繊維等の
補強材、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、熱安定
剤、難燃剤等を適宜添加してもよい。
【0056】本発明の半導電性樹脂組成物の製造におい
ては、通常の混合操作、例えばバンバリミキサー法、イ
ンターナルミキサー法、押出造粒法等の混合方法を適宜
採用することができる。
【0057】本発明の導電性樹脂組成物における半導電
性無機フィラーの配合量は、半導電性を付与する目的及
び用途に応じて適宜設定されるものであるが、一般に
は、5〜70重量%が好ましく、さらに好ましくは、1
5〜60重量%である。配合量が少なすぎると、導電性
樹脂組成物に十分な半導電性を付与することができず、
また配合量が多すぎると、成形性が悪くなり好ましくな
い。
【0058】本発明の導電性樹脂組成物は、例えば、導
電性塗料、インキ、電気メッキ用複合材料、静電気帯電
防止用材料、静電記録材料、電磁波シールド材料等の各
種導電性複合材料に好適に使用され得るものである。
【0059】
【実施例】以下、実施例により、本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例によって限定されるもの
ではない。
【0060】(物性評価方法)カーボン導電層で被覆さ
れた無機フィラーと半導電性樹脂組成物の物性評価方法
について説明する。
【0061】カーボン導電層で被覆された無機フィラー
とフィルム状半導電性樹脂組成物の抵抗値測定は、次の
ように実施した。評価サンプルには、カーボン導電層で
被覆された無機フィラーの場合には、無機フィラーを1
0cm×10cm×0.5mmに圧縮したものを、半導
電性樹脂組成物についてはフィルム状に成形し、10c
m×10cmに切り取ったものを使用した。これらサン
プルを温度23℃、湿度55%Rhの環境(NN)下、
温度10℃、湿度15%Rhの環境(LL)下および温
度30℃、湿度80%Rhの環境(HH)24時間放置
し、該環境下にて、アドバンテスト(株)製デジタル超
高抵抗/微小電流計R8340と三菱化学(株)製HR
プローブを用い100Vにおける体積抵抗値と表面抵抗
を測定した。
【0062】フィルム厚み方向の絶縁性測定は、次のよ
うに実施した。 このフィルムを温度23℃、湿度55
%Rhの環境(NN)下に48時間放置し、該環境下に
て、安田精機製作所製のYSS式耐電破壊試験機におけ
る絶縁性を測定した。取り出しから測定までの時間は3
分以内である。
【0063】フィルム状サンプルの引張弾性率、引張伸
びの測定は、ASTM D882に準拠して実施した。
フィルム状サンプルの引裂伝播強度測定は、ASTM
D1938に準拠して実施した。
【0064】次に、実施例と比較例について説明する。
【0065】(比較例1)導電性チタン酸カリウム繊維
(デントールBK400:大塚化学(株)製:比重3.
15g/cm3、イオン溶出量500〜10000pp
m、短軸0.3〜0.6μm、長軸10〜20μm)の
体積抵抗値は42Ω・cmであり、狙いの中抵抗値(1
×102〜1×1010Ω・cm)よりも低かった。
【0066】(実施例1〜6)チタン酸カリウム繊維
(体積抵抗値3.0×106Ω・cm、比重3.15g
/cm3、イオン溶出量500〜10000ppm、短
軸0.3〜0.6μm、長軸10〜20μm:屈折率2
以上)、アルミナ繊維(体積抵抗値2.6×10 10Ω・
cm、比重3.8g/cm3、イオン溶出量500pp
m以下、短軸約1μm、長軸約10μm:屈折率1.8
以下)を、白金製るつぼに入れ、シリコニット製の管状
電気炉内に設置し、窒素ガス置換を2度繰り返し行った
後、窒素ガスを流量で導入しながら、室温から500℃
まで昇温速度で加熱した。次いで、導入するガスをプロ
パンガスに切り換え、プロパンガスを導入しながら、8
50℃、1100℃または1200℃までそれぞれ昇温
させ、それぞれの温度で30分間保持した後、プロパン
ガスを切り、窒素ガスを流しながら室温まで炉冷した。
その後炉外に取り出した。以上のようにして、黒色に帯
色した導電性を有するチタン酸カリウム繊維、アルミナ
繊維を得た。特性値は表1に示す。
【0067】以上のようにして得たカーボン被覆チタン
酸カリウム繊維、カーボン被覆アルミナ繊維の体積抵抗
値は590Ω・cm、70Ω・cmであった。
【0068】以上のようにして得たカーボン被覆チタン
酸カリウム繊維を白金製るつぼに入れ、空気中で260
℃・1時間、2時間、400℃・10分の4つ条件で焼
成を行い、実施例1〜3の半導電性チタン酸カリウム繊
維を得た。特性値は表1に示す。
【0069】以上のようにして得たカーボン被覆アルミ
ナ繊維を白金製るつぼに入れ、空気中で260℃・1時
間、2時間、400℃・10分の4つ条件で焼成を行
い、実施例4〜6の半導電性アルミナ繊維を得た。特性
値は表1に示す。
【0070】以上のようにして得た実施例1〜6の半導
電性チタン酸カリウム繊維、半導電性アルミナ繊維の体
積抵抗値は、表1に示したように比較例1よりも高く、
中抵抗値(1×102〜1×1010Ω・cm)を示し
た。
【0071】
【表1】
【0072】(比較例2)芳香族ジアミンとして4,
4′−ジアミノジフェニルエーテルを、芳香族テトラカ
ルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物を用い
て得られたポリアミド酸のDMF溶液(固形分濃度1
8.5%、溶液粘度3,000poise)を75g準
備した。一方、DMF21gに比較例1記載の導電性チ
タン酸カリウム繊維3.45gを分散させた液を調整し
た。
【0073】これらポリアミド酸溶液と導電性無機フィ
ラーの分散液を添加し混練した。得られたドープを管状
フィルム状にキャストする前に、無水酢酸/イソキノリ
ン/DMFを9.03g/11.4g/15.6gから
なる溶液を添加混合し、次いでSUSにキャストし、1
40℃/240秒、275℃/40秒、400℃/93
秒熱処理して約50μmのポリイミドフィルムを得た。
本フィルム中のフィラー量はポリイミド固形分100重
量部に対して40重量部である。特性値を表2に示す。
【0074】このようにして重合したポリイミドフィル
ム単体の線膨張係数21ppm、吸湿膨張係数16pp
m、引張弾性率2.9GPa、伸び70%、引き裂き伝
播強度450g/mm、吸水率2.5%であった。
【0075】以上のようにして得られた比較例3の半導
電性樹脂組成物は狙い通りに中抵抗領域に調整されてい
たが、HHでは非常に抵抗値が低く、絶縁破壊した。ま
たフィラーの添加部数の差(5部)による体積抵抗値の
比は3倍以上あり、体積抵抗値の添加部数依存性は大き
かった。またNNとHHの体積抵抗値の比は1000倍
以上であり、体積抵抗値の環境依存性は非常に大きかっ
た。また、100Vと1000Vで測定した体積抵抗値
の比は100倍以上あり、体積抵抗値の電圧依存性は大
きかった。また上記と同様の操作で作製した5点のサン
プルについて、500Vにおける体積抵抗値測定を行っ
た結果、最大値と最小値の差は3倍以上あり、サンプル
間のばらつきも非常に大きかった。同一サンプル内のば
らつきも3倍以上あり、非常に大きかった。
【0076】(実施例7〜12)DMF21gに実施例
1〜3で得た半導電性無機フィラー8.1gを分散させ
た液、DMF21gに実施例4〜6で得た半導電性無機
フィラー7.25gを分散させた液を調整した以外は、
比較例2と同様にしてポリイミドフィルムを得た。本フ
ィルム中のフィラー量はポリイミド固形分100重量部
に対して実施例1〜3では58部、実施例4〜6では5
2部である。特性値を表2に示す。
【0077】以上のようにして得られた実施例7〜12
のポリイミド樹脂のNNとHHの体積抵抗値は1×10
8〜1×1010Ω・cmで中抵抗領域に調整されてお
り、絶縁性も5kV/mm以上と優れていた。またフィ
ラーの添加部数の差(5部)による体積抵抗値の比は3
倍以下であり、体積抵抗値の添加部数依存性は小さかっ
た。またNNとHHの体積抵抗値の比は30倍以下であ
り、体積抵抗値の環境依存性は小さかった。また、10
0Vと1000Vで測定した体積抵抗値の比は30倍以
下であり、体積抵抗値の電圧依存性は小さかった。また
上記と同様の操作で作製した5点のサンプルについて、
500Vにおける体積抵抗値測定を行った結果、最大値
と最小値の差は3倍以下であり、サンプル間のばらつき
も非常に小さかった。同一サンプル内のばらつきも3倍
以下であり、非常に小さかった。
【0078】フィルムの引張弾性率はフィラー未添加品
に比べて優れており、伸びは50%以上、引裂伝播強度
は75%以上を保持していた。線膨張係数、吸湿膨張係
数もフィラー未添加品よりも数ppm低下していた。
【0079】カーボン被覆アルミナ繊維配合品の方がカ
ーボン被覆チタン酸カリウム繊維配合品よりも抵抗の環
境依存性が小さく、絶縁性にも優れていた。アルミナの
方がチタン酸カリウムよりも遊離金属成分が少ないため
だと考えられる。
【0080】(実施例13〜14)DMF21gに実施
例2で得た半導電性無機フィラー8.1gとカーボンブ
ラック(MA220:三菱化学(株))0.55gを分
散させた液、DMF21gに実施例5で得た半導電性無
機フィラー7.25gとカーボンブラック(MA22
0:三菱化学(株))0.55gを分散させた液を調整
した以外は、比較例1と同様にしてポリイミドフィルム
を得た。本フィルム中のフィラー量はポリイミド固形分
100重量部に対して62部と56部である。特性値を
表2に示す。
【0081】以上のように4部程度カーボンブラックを
添加すると、中抵抗値を保持したまま、黒色化が可能で
あることがわかった。
【0082】
【表2】
【0083】
【発明の効果】本発明の半導電性無機フィラーの製造方
法は、無機フィラーの表面にカーボン導電層を形成した
後、酸化性ガス雰囲気中で加熱焼成して抵抗を調整する
方法であるため、カーボン被覆量の制御が非常に容易と
なり、サンプル間のバラツキが少なく、安定的に種々の
中抵抗値の半導電性無機フィラーを調整することができ
る。
【0084】このようにして得た本発明の半導電性無機
フィラーは、カーボン導電層の被覆量を調整することに
より、1×102〜1×1010Ω・cmの中抵抗値を任
意に種々調整されている。
【0085】さらに、本発明の半導電性無機フィラーを
樹脂に配合してなる半導電性樹脂組成物は、中抵抗値を
有し、絶縁性と機械特性に優れ、電圧変化、環境変化に
よる抵抗値の変動が少なく、帯電防止性や電子写真機で
の転写性・定着性に優れる。さらに、光学系機器に隣接
しても画像形成に悪影響を及ぼさない有色もしくは黒色
の半導電性樹脂組成物を容易に得ることができる。
【0086】本発明の半導電性無機フィラーは、導電性
塗料、インキ、帯電防止用材料、静電記録材料、電磁波
シールド材料等の各種プラスチック成形品、シート、
紙、布巾、フィルム等の半導電性樹脂組成物に適用する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AC011 BB031 BB121 BD041 BF001 BF051 BH021 BN151 CB001 CC031 CC181 CC211 CD001 CF001 CF011 CF031 CF211 CG011 CH091 CK021 CL001 CM041 CN011 CN031 CP031 DA076 DA086 DA096 DA106 DA116 DB016 DE076 DE096 DE106 DE116 DE136 DE146 DE186 DE236 DF016 DG046 DH046 DJ006 DJ016 DJ036 DJ046 DJ056 DK006 DL006 DM006 FA046 FB076 FD016 FD116 GH00 GH01 GQ02 5G301 CA01 CD05 CD10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面にカーボン導電層を有する無機フィ
    ラーを酸化性ガス雰囲気中で加熱焼成することを特徴と
    する半導電性無機フィラーの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記半導電性無機フィラーの体積抵抗値
    を、前記表面にカーボン導電層を有する無機フィラーの
    体積抵抗値より増大させることを特徴とする請求項1に
    記載の半導電性無機フィラーの製造方法。
  3. 【請求項3】 炭化水素雰囲気中、または炭化水素と還
    元性ガス及び/または不活性ガスとの混合ガス雰囲気中
    で無機フィラーを加熱焼成することによって得られる、
    表面にカーボン導電層を有する無機フィラーを用いる、
    請求項1または2に記載の半導電性無機フィラーの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 前記炭化水素が、脂肪族炭化水素または
    芳香族炭化水素の少なくとも1種を含む、請求項3に記
    載の半導電性無機フィラーの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記還元性ガスが、水素ガス、一酸化炭
    素ガスおよびアンモニアガスから選択される少なくとも
    1種を含む、請求項3または4に記載の半導電性無機フ
    ィラーの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記酸化性ガスが、酸素または二酸化炭
    素の少なくとも1種を含む、請求項1〜5のいずれか1
    項に記載の半導電性無機フィラーの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記酸化性ガス雰囲気中で加熱焼成する
    温度が、50℃以上500℃以下であることを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導電性無機フ
    ィラーの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の方
    法により製造された体積抵抗値が1×102〜1×10
    10Ω・cmであることを特徴とする半導電性無機フィラ
    ー。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の半導電性無機フィラー
    または請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法により
    製造された半導電性無機フィラーを樹脂中に配合してな
    る半導電性樹脂組成物。
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