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JP2003272439A - 複合高分子電解質、並びにこれを用いた電気化学デバイス及び燃料電池 - Google Patents

複合高分子電解質、並びにこれを用いた電気化学デバイス及び燃料電池

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JP2003272439A
JP2003272439A JP2002077808A JP2002077808A JP2003272439A JP 2003272439 A JP2003272439 A JP 2003272439A JP 2002077808 A JP2002077808 A JP 2002077808A JP 2002077808 A JP2002077808 A JP 2002077808A JP 2003272439 A JP2003272439 A JP 2003272439A
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JP
Japan
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polymer electrolyte
solid polymer
clay mineral
electrolyte
dispersed
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Application number
JP2002077808A
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Inventor
Naoki Hasegawa
直樹 長谷川
Masaya Kawakado
昌弥 川角
Arimitsu Usuki
有光 臼杵
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Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
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Publication of JP2003272439A publication Critical patent/JP2003272439A/ja
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 剛性、強度及び耐熱性に優れ、マイクロショ
ート及びガスリークを効率よく抑制することが可能な複
合化高分子電解質を提供すること。 【解決手段】 本発明に係る複合高分子電解質10は、
固体高分子電解質12と、固体高分子電解質12内に分
散させた粘土鉱物14とを備えている。粘土鉱物14
は、層状粘土鉱物が好ましい。また、層状粘土鉱物は、
その層面が互いに平行になるように固体高分子電解質1
2内に分散していることが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合高分子電解
質、並びにこれを用いた電気化学デバイス及び燃料電池
に関し、さらに詳しくは、燃料電池、水電解装置、ハロ
ゲン化水素酸電解装置、食塩電解装置、水素及び/又は
酸素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等の各種電気化学
デバイスに用いられる電解質膜等として好適な複合高分
子電解質、並びにこれを用いた電気化学デバイス及び燃
料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】固体高分子電解質は、高分子鎖中にスル
ホン酸基等の電解質基を有する固体高分子材料であり、
特定のイオンと強固に結合したり、陽イオン又は陰イオ
ンを選択的に透過する性質を有していることから、粒
子、繊維、あるいは膜状に成形し、各種の用途に利用さ
れている。
【0003】例えば、固体高分子型燃料電池は、連続的
に供給される燃料が酸化する際に発生する化学エネルギ
ーを直接、電気エネルギーとして取り出す電池であり、
電解質膜として、プロトン伝導性を有する固体高分子電
解質膜が用いられている。
【0004】また、SPE電解法は、水を電気分解する
ことにより水素と酸素を製造する方法であり、電解質と
して、従来のアルカリ水溶液に代えて、プロトン伝導性
を有する固体高分子電解質膜が用いられている。
【0005】このような用途に用いられる固体高分子電
解質としては、例えば、ナフィオン(登録商標、デュポ
ン社製)に代表される非架橋のパーフルオロ系電解質や
各種の炭化水素系電解質が知られている。特に、パーフ
ルオロ系電解質は、化学的安定性が非常に高いことか
ら、燃料電池、SPE電解装置等、過酷な条件下で使用
される各種電気化学デバイス用の電解質膜として賞用さ
れているものである。
【0006】ところで、各種電気化学デバイスに用いら
れる電解質には、剛性、強度、耐熱性、電気伝導性等の
複数の特性について高い値が要求されるのが一般的であ
る。また、電気化学デバイスの使用条件が過酷になるほ
ど、これらの複数の特性がより高いレベルで両立するこ
とが要求される。しかしながら、固体高分子電解質その
ものを改良することによって、これらの複数の特性を同
時に向上させるには限界がある。そこでこの問題を解決
するために、従来から、固体高分子電解質と他の物質と
を複合化させる種々の方法が提案されている。
【0007】例えば、K.A.Mauritz et al., Macromolec
ules 1989, vol.22, 1730-1734には、テトラエトキシシ
ラン(TEOS)を含む溶液にナフィオン膜を浸漬し、
膜内でゾルゲル反応を起こさせることにより得られる、
シリカを複合化した電解質膜が開示されている。
【0008】また、特表2000−516014号公報
には、メタノールを燃料として用いた燃料電池において
メタノールのクロスオーバーを抑制するために、ナフィ
オン等のカチオン交換基を有するポリマに、リン酸ジル
コニウム等の無機充填材を分散させた膜が開示されてい
る。
【0009】さらに、特開2001−3509号公報に
は、水が存在しない場合であってもプロトン伝導性を示
し、かつ耐熱性を向上させるために、末端トリエトキシ
シリルポリテトラメチレンオキシド等の有機重合体と、
12タングストリン酸等の三次元架橋構造体とを有する
膜内に、炭酸プロピレン等の比誘電率が20以上である
イオン伝達物質を含ませたイオン伝導性膜が開示されて
いる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ナフィオンに代表され
る従来のパーフルオロ系電解質は、耐酸化性に優れてい
るが、非架橋であるために耐熱性が低く、ガラス転移温
度近傍である130℃以上でクリープするという性質が
ある。そのため、従来のパーフルオロ系電解質は、一酸
化炭素による電極触媒の被毒の防止や効率の点で有利な
高温で使用できないという問題がある。
【0011】一方、固体高分子電解質に対してシリカ、
リン酸ジルコニウム等の不定形の無機充填材を複合化さ
せると、剛性、強度及び耐熱性が向上する。そのため、
これを用いた電気化学デバイスは、従来より作動温度を
高くすることができる。しかしながら、電気化学デバイ
スの特性をさらに向上させるためには、他の特性を犠牲
にすることなく、剛性、強度及び耐熱性をさらに向上さ
せることが望まれる。
【0012】また、燃料電池、SPE電解装置等におい
て、固体高分子電解質は、極めて薄い膜状に成形され、
その両面に電極を接合した膜電極接合体(MEA)とし
て使用される。MEAは、通常、カーボン布、カーボン
紙等からなる多孔質の拡散層の表面に、触媒を担持させ
たカーボン及び電解質の混合物を塗布し、これと固体高
分子電解質膜とをホットプレスすることにより製造され
ている。
【0013】この時、固体高分子電解質膜の厚さが極め
て薄いために、MEA製造時又は運転時に電極間が接触
する、いわゆるマイクロショートが発生する場合があ
る。マイクロショートの発生箇所が増大すると、電極間
に直接流れる電流量が増大するので、電気化学デバイス
の出力を低下させる原因となる。
【0014】一方、固体高分子電解質膜に対してシリ
カ、リン酸ジルコニウム等の不定形の無機充填材を複合
化させると、膜の剛性、強度及び耐熱性が向上する。そ
のため、このような膜を用いてMEAを作製すると、マ
イクロショートを抑制することができる。しかしなが
ら、電気化学デバイスの性能をさらに向上させるために
は、マイクロショートの発生量をさらに抑制することが
望まれる。
【0015】さらに、水素を含む燃料ガス及び酸素を含
む酸化剤ガスを用いた固体高分子型燃料電池において
は、一方の電極側に供給された反応ガスが他方の電極側
に拡散する、いわゆるクロスオーバーが発生することが
知られている。クロスオーバーする量が増大すると、電
気化学反応に消費されない燃料が増大するので、燃料の
利用率(燃費)や出力を低下させる原因となる。しかし
ながら、固体高分子電解質を不定形の無機充填材で補強
する方法では、ガスのクロスオーバーを効率よく抑制す
ることは困難である。
【0016】本発明が解決しようとする課題は、剛性、
強度及び耐熱性に優れた複合高分子電解質を提供するこ
とにある。また、本発明が解決しようとする他の課題
は、MEA製造時又は運転時におけるマイクロショート
を低減することが可能な複合高分子電解質を提供するこ
とにある。さらに、本発明が解決しようとする他の課題
は、ガスのクロスオーバーを低減することが可能な複合
高分子電解質を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明に係る複合高分子電解質は、固体高分子電解質
と、該固体高分子電解質内に分散させた粘土鉱物とを備
えていることを要旨とする。この場合、前記粘土鉱物
は、層状粘土鉱物が好ましい。また、該層状粘土鉱物
は、その層面が互いに平行となるように前記固体高分子
電解質内に分散していることが好ましい。
【0018】また、本発明に係る複合高分子電解質の2
番目は、固体高分子電解質と、該固体高分子電解質内に
分散させた無機絶縁材料からなる板状粉末とを備えてい
ることを要旨とする。さらに、本発明に係る電気化学デ
バイス及び燃料電池は、本発明に係る複合高分子電解質
を用いたことを要旨とするものである。
【0019】本発明に係る複合高分子電解質は、固体高
分子電解質に対して、粘土鉱物又は無機材料からなる板
状粉末が複合化されているので、剛性、強度及び耐熱性
が向上する。また、層状粘土鉱物又は無機材料からなる
板状粉末と複合化させた場合には、MEA製造時又は運
転時におけるマイクロショートの発生を効率よく抑制す
ることができ、しかも、その物理的遮蔽効果により、ガ
スのクロスオーバーを効率よく抑制することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明の第1の実施の形態に係る複
合高分子電解質は、固体高分子電解質と、固体高分子電
解質内に分散させた粘土鉱物とを備えている。
【0021】初めに、固体高分子電解質について説明す
る。固体高分子電解質とは、固体高分子化合物のいずれ
かに電解質基が結合しているものをいう。本発明におい
て、固体高分子電解質の種類は特に限定されるものでは
なく、種々の組成を有する固体高分子電解質、あるいは
直鎖状、分枝状等、種々の分子構造を備えた固体高分子
電解質に対して本発明を適用することができる。
【0022】すなわち、固体高分子電解質は、高分子鎖
中にC−F結合を含む固体高分子化合物のいずれかに電
解質基が結合しているもの(以下、これを「フッ素系電
解質」という。)であっても良く、あるいは、高分子鎖
中にC−H結合のみを含む固体高分子化合物のいずれか
に電解質基が結合しているもの(以下、これを「炭化水
素系電解質」という。)であっても良い。
【0023】また、フッ素系電解質は、高分子鎖中にC
−F結合及びC−H結合の双方を有する固体高分子化合
物のいずれかに電解質基が結合しているもの(以下、こ
れを「フッ素・炭化水素系電解質」という。)であって
も良く、あるいは、高分子鎖中にC−F結合を含み、か
つC−H結合を含まない固体高分子化合物のいずれかに
電解質基が結合しているもの(以下、これを「パーフル
オロ系電解質」という。)であっても良い。なお、フッ
素系電解質には、C−F結合の他、C−Cl結合やその
他の結合(例えば、−O−、−S−、−C(=O)−、−
N(R)−等)が含まれていても良い。
【0024】また、炭化水素系電解質は、高分子鎖中に
芳香環を有しない固体高分子化合物のいずれかに電解質
基が結合しているもの(以下、これを「脂肪族炭化水素
系電解質」という。)であってもよく、あるいは、高分
子鎖のいずれかに芳香環を有する固体高分子化合物のい
ずれかに電解質基が結合しているもの(以下、これを
「芳香族炭化水素系電解質」という。)であっても良
い。
【0025】さらに、芳香族炭化水素系電解質は、結合
連鎖の一部にアルキレン鎖(−(CH−、n≧
1)や分岐炭素構造(例えば、−CHCH−、−C
(CH−等)を含む固体高分子化合物のいずれか
に電解質基が結合しているもの(以下、これを「部分芳
香族炭化水素系電解質」という。)であっても良く、あ
るいは、結合連鎖の中にアルキレン鎖や分岐炭素構造を
含まない固体高分子化合物のいずれかに電解質基が結合
しているもの(以下、これを「全芳香族炭化水素系電解
質」という。)でも良い。
【0026】固体高分子電解質に備えられる電解質基の
種類についても、特に限定されるものではない。電解質
基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸
基、スルホンイミド基等が好適な一例として挙げられ
る。
【0027】また、固体高分子電解質には、これらの電
解質基の内、いずれか1種類のみが含まれていても良
く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。さら
に、電解質基が結合している位置についても、特に限定
されるものではない。すなわち、電解質基は、直鎖状固
体高分子化合物に直接結合していても良く、あるいは、
分枝状固体高分子化合物の主鎖又は側鎖のいずれかに結
合していても良い。
【0028】パーフルオロ系電解質としては、具体的に
は、デュポン社製ナフィオン(登録商標)、旭化成
(株)製アシプレックス(登録商標)、旭硝子(株)製
フレミオン(登録商標)等、及びこれらの誘導体が好適
な一例として挙げられる。
【0029】また、フッ素・炭化水素系電解質として
は、具体的には、高分子鎖のいずれかにスルホン酸基等
の電解質基が導入されたポリスチレン−グラフト−エチ
レンテトラフルオロエチレン共重合体(以下、これを
「PS−g−ETFE」という。)、ポリスチレン−グ
ラフト−ポリテトラフルオロエチレン等、及びこれらの
誘導体が好適な一例として挙げられる。
【0030】また、脂肪族炭化水素系電解質としては、
具体的には、高分子鎖のいずれかにスルホン酸基等の電
解質基が導入されたポリアミド、ポリアセタール、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、ポリエス
テル、ポリサルホン、ポリエーテル等、及びこれらの誘
導体が好適な一例として挙げられる。
【0031】また、部分芳香族炭化水素系電解質として
は、具体的には、高分子鎖のいずれかにスルホン酸基等
の電解質基が導入されたポリスチレン、芳香環を有する
ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエス
テル、ポリサルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテ
ルスルホン、ポリカーボネート等、及びこれらの誘導体
が好適な一例として挙げられる。
【0032】また、全芳香族炭化水素系電解質として
は、具体的には、高分子鎖のいずれかにスルホン酸基等
の電解質基が導入されたポリエーテルエーテルケトン、
ポリエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサル
ホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレ
ン、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリ
アミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリフェニ
レンサルファイド等、及びこれらの誘導体が好適な一例
として挙げられる。
【0033】これらの中でも、フッ素系電解質、特にパ
ーフルオロ系電解質は、高分子鎖内にC−F結合を有し
ているので、これに対して本発明を適用すれば、耐熱性
及び耐酸化性に優れた複合高分子電解質が得られる。ま
た、芳香族炭化水素系電解質、特に全芳香族炭化水素系
電解質は、酸基の導入が比較的容易であるので、これに
対して本発明を適用すれば、高い電気伝導度を有する複
合高分子電解質が得られる。
【0034】次に、粘土鉱物について説明する。粘土鉱
物とは、適当な水分が加わると粘着性及び可塑性を示す
微細な鉱物をいい、その組成や結晶構造などに応じて、
層状、筒状、粒子状等、種々の粒子形態をとる。本発明
においては、いずれの粒子形態を備えた粘土鉱物であっ
ても使用することができる。これらの中でも、層状の粒
子形態を備えた粘土鉱物(以下、これを「層状粘土鉱
物」という。)は、ガスの遮蔽効果とマイクロショート
の抑制効果に優れているので、固体高分子電解質内に分
散させるための粘土鉱物として特に好適である。
【0035】また、粘土鉱物の大部分は、Si−O四面
体が底面酸素を共有することによって2次元的につなが
った四面体シートと、Al3+、Mg2+、Fe2+
の中型の陽イオンを6個のOH又はO2−が囲んだ八
面体が稜を共有することによって2次元的につながった
八面体シートとが、種々の周期で積み重なった層状珪酸
塩である。層状珪酸塩は、フィロ珪酸塩とも呼ばれてい
る。層状珪酸塩の底面間隔(層面に垂直な方向の周期)
は、通常、7〜12Åである。
【0036】層状珪酸塩は、後述するように、水等の所
定の溶媒により容易に膨潤し、四面体シート及び八面体
シートからなる単位層が十〜数十層積層した層状の粒子
形態として分散させるのが容易である。そのため、層状
珪酸塩は、固体高分子電解質内に分散させるための粘土
鉱物として特に好適である。
【0037】層状珪酸塩としては、具体的には、モンモ
リロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライ
ト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイ
ト系の層状珪酸塩や、バーミキュライト、ハロイサイ
ト、タルク、膨潤マイカ等が好適な一例として挙げられ
る。また、これらは、天然のものでも、合成されたもの
でも用いることができる。
【0038】また、層状珪酸塩は、層内の陽イオンが電
荷の異なる他の陽イオンで置換されることによって、負
の層電荷を持っている場合がある。この場合、層間にL
i、Na、K等のアルカリ金属イオンや、Ca等のアル
カリ土類金属イオンが入ることによって電荷のバランス
が保たれる。本発明においては、負の層電荷一価当たり
の層表面の占有面積が25Å以上200Å以下であ
る層状珪酸塩を用いるのが好ましい。
【0039】適切な層電荷(すなわち、占有面積)を有
する層状珪酸塩は、水等の所定の溶媒によって容易に膨
潤するので、固体高分子電解質内部に層状の粒子形態
で、微細かつ均一に分散させることができる。一方、層
電荷が過剰である場合(すなわち、占有面積が25Å
未満である場合)、あるいは層電荷が過小である場合
(すなわち、占有面積が200Åを越える場合)に
は、いずれも、層状珪酸塩が水等の所定の溶媒により膨
潤しにくくなり、固体高分子電解質内部に均一かつ微細
に分散させるのが困難となる。占有面積は、さらに好ま
しくは、25Å以上180Å以下、さらに好ましく
は、50Å以上180Å以下である。
【0040】固体高分子電解質内に分散させる粘土鉱物
の平均粒径は、10μm以下が好ましい。微細な粘土鉱
物を固体高分子電解質内部に均一に分散させることによ
って、電気伝導度を犠牲にすることなく、剛性、強度及
び耐熱性に優れた複合高分子電解質を得ることができ
る。粘土鉱物の平均粒径は、さらに好ましくは、5μm
以下である。
【0041】また、粘土鉱物が層状粘土鉱物である場
合、その平均粒径(=最大寸法の平均値)は、5μm以
下が好ましく、さらに好ましくは、1μm以下である。
また、層状粘土鉱物の平均アスペクト比(=最大寸法/
最小寸法の平均値)は、10以上が好ましく、さらに好
ましくは、20以上、さらに好ましくは、40以上であ
る。層状粘土鉱物の平均アスペクト比は、その結晶構造
を維持できる限り、大きい程良い。
【0042】さらに、粘土鉱物が層状粘土鉱物である場
合、各層状粘土鉱物の層面(最も広い面積を占める面)
が互いに平行になるように、固体高分子電解質内に分散
させるのが好ましい。また、本実施の形態に係る複合高
分子電解質を膜状に成形する場合、層状粘土鉱物の層面
が膜面に対して平行になるように、層状粘土鉱物を分散
させるのが好ましい。その層面が電解質膜の膜面に対し
て平行となるように層状粘土鉱物を分散させると、ガス
のクロスオーバーやマイクロショートを効率的に抑制す
ることができる。
【0043】なお、本発明において、「層状粘土鉱物が
互いに平行に分散している」とは、すべての層状粘土鉱
物が固体高分子電解質内部において完全に平行に配列し
ている場合に限らず、層状粘土鉱物の全部又は一部が若
干の傾きをもって分散している場合も含まれる。
【0044】複合高分子電解質に含まれる粘土鉱物の含
有量は、複合高分子電解質の総重量に対して、0.1w
t%以上30wt%以下が好ましい。粘土鉱物の含有量
が0.1wt%未満になると、剛性、強度、耐熱性、ガ
ス遮蔽性及び耐マイクロショート性に優れた複合高分子
電解質が得られない。一方、粘土鉱物の含有量が30w
t%を越えると、複合高分子電解質のガス遮蔽性及び耐
マイクロショート性は向上するが、複合高分子電解質が
脆化したり、電気伝導性が低下するので好ましくない。
粘土鉱物の含有量は、さらに好ましくは、1wt%以上
30wt%以下、さらに好ましくは、1wt%以上15
wt%以下である。
【0045】次に、本実施の形態に係る複合高分子電解
質の作用について説明する。固体高分子電解質内に所定
量の粘土鉱物を分散させると、電気伝導度を大幅に低下
させることなく、剛性、強度、及び耐熱性を向上させる
ことができる。そのため、これを用いて各種電気化学デ
バイスを作製すれば、作動温度を高くすることができ、
効率を向上させることができる。
【0046】また、一般に、固体高分子電解質の一方の
面にガスを供給すると、ガスの一部は、固体高分子電解
質内に溶解する。溶解したガスは、固体高分子電解質内
を拡散して、他方の面から雰囲気中に排出される。例え
ば、燃料電池においてこのようなガスのクロスオーバー
が発生した場合には、燃料電池の出力や燃費を低下させ
る原因となる。
【0047】これに対し、固体高分子電解質内に所定量
の粘土鉱物を微細分散させると、粘土鉱物が物理的障害
となって、ガスのクロスオーバーが抑制される。また、
層状粘土鉱物を微細分散させた場合には、溶解したガス
は、層状粘土鉱物を大きく迂回しながら固体高分子電解
質内を拡散する頻度が増大するので、ガスのクロスオー
バーが効率よく抑制される。
【0048】特に、図1に示すように、膜状に成形され
た固体高分子電解質12の膜面に対して層状粘土鉱物1
4の層面が平行になるように、層状粘土鉱物14が微細
分散している複合高分子電解質10の場合には、層状粘
土鉱物14による物理的遮蔽効果がさらに増大し、ガス
のクロスオーバーがさらに効率よく抑制される。
【0049】また、MEA作製時において、拡散層の表
面に触媒を担持させたカーボン及び電解質の混合物を塗
布すると、拡散層の表面にはミクロな凹凸が発生する。
極めて厚さの薄い固体高分子電解質膜の両面にこのよう
な拡散層を配置し、ホットプレスを行うと、拡散層表面
の凸部が固体高分子電解質膜内部に深く潜り込む。その
結果、凸部の高さが特に高い部分において、マイクロシ
ョートが発生し、電気化学デバイスの出力を低下させる
原因となる。
【0050】これに対し、固体高分子電解質内に粘土鉱
物を分散させると、固体高分子電解質膜の剛性が増し、
固体高分子電解質膜内部への凸部の潜り込みが抑制され
る。また、層状粘土鉱物を微細分散させた場合には、対
向する電極間が層状粘土鉱物により遮蔽される割合が増
大し、マイクロショートが効率よく抑制される。
【0051】特に、図2に示すように、膜状に成形され
た固体高分子電解質12の膜面に対して層状粘土鉱物1
4の層面が平行になるように、層状粘土鉱物14が微細
分散している複合高分子電解質10の場合には、拡散層
(図示せず)に塗布されたカーボン16a…、16b…
の内、特に突出した部分が固体高分子電解質12内に潜
り込んでも、互いに平行に並んだ層状粘土鉱物14、1
4により対向するカーボン16a−カーボン16b間が
遮蔽されるので、マイクロショートがさらに効率よく抑
制される。
【0052】次に、本実施の形態に係る複合高分子電解
質の製造方法について説明する。本実施の形態に係る複
合高分子電解質は、種々の方法により製造することがで
きる。第1の方法は、溶媒中に固体高分子電解質又はそ
の前駆体及び粘土鉱物を添加した溶液を調整し、これを
固化させる方法である。
【0053】固体高分子電解質の前駆体とは、加水分
解、置換反応、付加反応等により固体高分子電解質とな
り得る固体高分子化合物をいう。また、溶媒には、固体
高分子電解質又はその前駆体を溶解させることができ、
かつ粘土鉱物を微細分散させることができるもの、すな
わち固体高分子電解質又はその前駆体と粘土鉱物の双方
に対して親和性を有するものを用いる。
【0054】例えば、スルホン酸基を備えたナフィオン
等の電解質基を備えた固体高分子電解質は、親水性であ
り、水に溶解する。一方、所定の占有面積を有する層状
珪酸塩は、水により容易に膨潤し、層状の粒子形態とな
って水中に微細分散する。従って、親水性の固体高分子
電解質内に層状珪酸塩を分散させる場合には、溶媒とし
て水を用いるのが好ましい。
【0055】なお、水以外であっても、相対的に極性の
大きい溶媒であれば、親水性の固体高分子電解質を溶解
させ、かつ層状珪酸塩を微細分散させることができる。
このような溶媒としては、具体的には、ジエチレングリ
コール、エチレングリコール、プロピレングリコール、
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリ
コールジエチルエーテル、エチレングリコールモノアセ
チレート、エチレングリコールジアセチレート、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、ジメチルスルホキシ
ド等が好適な一例として挙げられる。また、これらはそ
れぞれ単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み
合わせて用いても良い。
【0056】また、例えば、ナフィオンのフルオライド
体等のスルホニルフルオライド基を備えた固体高分子電
解質の前駆体は、疎水性であり、水には溶解しないが、
フッ素系溶媒には溶解する。一方、所定の占有面積を有
する層状珪酸塩は、水中では微細分散するが、フッ素系
溶媒中では微細分散しない。
【0057】しかしながら、層状珪酸塩の層間イオンを
所定の有機化合物で置換(有機化)すると、疎水性とな
り、フッ素系溶媒中に容易に微細分散させることができ
る。従って、この溶媒中に前駆体及び有機化された層状
珪酸塩を添加すれば、疎水性の前駆体内に有機化された
層状珪酸塩を層状の粒子形態で、均一かつ微細分散させ
ることができる。
【0058】有機化された層状珪酸塩(有機化クレイ)
は、まず有機化されていない層状珪酸塩(非有機化クレ
イ)を水中に分散させ、これに有機陽イオンを有する有
機化合物を加えることにより得られる。層状珪酸塩の有
機化に用いる有機化合物としては、具体的には、アンモ
ニウム塩、ピリジウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウ
ム塩等のオニウム塩が好適な一例として挙げられる。こ
れらの中でも、アンモニウム塩は、層間イオンとの交換
が容易であるので、有機化のための有機化合物として好
適である。
【0059】具体的には、オクタデシルアンモニウムイ
オン(CH(CH)17)、モノメチルオク
タデシルアンモニウムイオン(CH(CH)17
(CH))、ジメチルオクタデシルアンモニウムイ
オン(CH(CH)17 H(CH))、ドデシ
ルアンモニウムイオン(CH(CH)11
)、4−アミノ−n−酪酸イオン(H N(C
)COOH)、6−アミノ−n−カプロン酸イオ
ン(H N(CH)COOH)、8−アミノカプリ
ル酸イオン(H N(CH)COOH)、10−ア
ミノデカン酸イオン(H N(CH)COOH)、
12−アミノドデカン酸イオン(H N(CH) 11
COOH)、14−アミノテトラデカン酸イオン(H
N(CH)13COOH)、16−アミノヘキサデカ
ン酸イオン(H N(CH)15COOH)、18−
アミノオクタデカン酸イオン(H N(CH)17
OOH)等の有機陽イオンを有するアンモニウム塩が好
適である。
【0060】なお、フッ素系溶媒以外であっても、相対
的に極性の小さい溶媒であれば、疎水性の前駆体を溶解
させ、かつ有機化クレイを微細分散させることができ
る。このような溶媒としては、具体的には、N,N−ジ
メチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、アセトニト
リル、ベンゾニトリル等が好適な一例として挙げられ
る。また、これらはそれぞれ単独で用いても良く、ある
いは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0061】溶媒に対する固体高分子電解質又はその前
駆体と粘土鉱物の添加順序は、特に限定されるものでは
ない。すなわち、溶媒に対して両者を同時に添加しても
良く、あるいは、いずれか一方を先に添加しても良い。
また、両者を各別に溶媒に溶解又は分散させ、これらを
混合しても良い。
【0062】溶媒の総添加量は、「固体高分子電解質又
はその前駆体+粘土鉱物」1重量部に対して、0.3重
量部以上1000重量部以下が好ましい。溶媒の添加量
が0.3重量部未満であると、溶液中における粘土鉱物
の分散が不十分となる。一方、溶媒の添加量が1000
重量部を越えると、溶媒を蒸発させるために多くの熱量
が必要となり、高コストとなる。溶媒の総添加量は、さ
らに好ましくは、0.5重量部以上500重量部以下、
さらに好ましくは、0.5重量部以上100重量部以下
である。
【0063】所定量の粘土鉱物が分散した複合高分子電
解質が得られるように、固体高分子電解質又はその前駆
体及び粘土鉱物を秤量し、所定量の溶媒に対してこれら
を添加すると、これらが溶解又は分散した均一な溶液が
得られる。この溶液を、例えば基板表面にキャストして
溶媒を除去する等の固化手段を用いて固化すれば、所定
の形状を有する成形体が得られる。また、この成形体に
対し、必要に応じて、加水分解、洗浄等の処理を施す
と、所定量の粘土鉱物が均一に分散した複合高分子電解
質膜が得られる。
【0064】第1の方法は、固体高分子電解質又はその
前駆体と粘土鉱物の双方に対して親和性のある溶媒を用
いているので、比較的容易に、固体高分子電解質又はそ
の前駆体内に粘土鉱物を均一かつ微細に分散させること
ができる。また、粘土鉱物として層状珪酸塩を用いた場
合には、粘土鉱物を層状の粒子形態として分散させるこ
とができる。さらに、適切な条件下で溶液を固化すれ
ば、層状粘土鉱物が互いに平行に微細分散した複合高分
子電解質が得られる。
【0065】第2の方法は、溶融した固体高分子電解質
の前駆体に対して粘土鉱物を加えて混練し、混練物を所
定の形状に成形する方法である。固体高分子電解質は、
一般に溶融温度以下に分解温度を有するため溶融できな
いが、前駆体は、加熱することによって溶融する。その
ため、溶融した前駆体に粘土鉱物を添加すれば、前駆体
中に粘土鉱物を分散させることができる。
【0066】また、粘土鉱物として層状珪酸塩を用いる
場合において、溶融した前駆体と層状珪酸塩との親和性
が低いときには、これらを単に混練するだけでは、層状
珪酸塩を層状の粒子形態で前駆体中に均一かつ微細分散
させることは困難である。このような場合には、層状珪
酸塩を上述した有機化合物により有機化し、これを前駆
体に加えて混練するのが好ましい。この方法は、前駆体
の溶融温度が有機化合物の分解温度より低い場合に有効
な方法である。
【0067】あるいは、溶融した前駆体に対して、層状
珪酸塩及びこれを膨潤させることが可能な溶媒を加えて
混練しても良い。この方法は、有機化クレイ及び非有機
化クレイの双方に対して適用可能であるが、特に、前駆
体の溶融温度が有機化に用いられる有機化合物の分解温
度より高い場合、すなわち、有機化クレイを使用できな
い場合に有効な方法である。
【0068】この場合、層状珪酸塩を均一かつ微細に分
散させるためには、層状珪酸塩が膨潤した状態で、溶融
した前駆体と接触させれば良い。従って、溶媒は、溶融
状態の前駆体と層状珪酸塩とが接触した後又はそれ以前
のいずれのタイミングで添加しても良い。具体的には、
前駆体を溶融させ、これに対して溶媒で膨潤させた層状
珪酸塩を添加するのが好ましい。また、前駆体と層状珪
酸塩とを乾燥状態で混合し、次いで前駆体を溶融させて
十分に混練した後、これに対して溶媒を添加しても良
い。また、溶媒で膨潤させた層状珪酸塩と前駆体とを混
合し、次いで前駆体の溶融温度以上に加熱しても良い。
【0069】所定の溶媒が共存する状態で、層状珪酸塩
と溶融した前駆体とを接触させると、溶媒が層状珪酸塩
の層間の弱い化学結合を切断する。次いで、溶媒蒸気が
層状珪酸塩の層間から抜け出し、その代わりに溶融した
前駆体が層間に圧入される。特に、溶媒の蒸気で作り出
される高圧雰囲気下で層状珪酸塩と溶融した前駆体とを
接触させると、層間への前駆体の圧入がさらに促進され
る。そのため、層状珪酸塩と前駆体との親和性が低い場
合であっても、前駆体中に層状珪酸塩を層状の粒子形態
で均一かつ微細分散させることができる。
【0070】このような方法により得られた混練物を、
押出成形法、カレンダー成形法等の成形方法を用いて成
形すれば、所定の形状を有する成形体が得られる。ま
た、この成形体に対して、必要に応じて、加水分解、洗
浄等の処理を施すと、所定量の粘土鉱物が均一に分散し
た複合高分子電解質が得られる。さらに、成形方法及び
成形条件を最適化すれば、層状粘土鉱物が互いに平行に
分散した複合高分子電解質が得られる。
【0071】第3の方法は、固体高分子電解質又はその
前駆体に対して、水及び粘土鉱物の原料となる酸化物
(例えば、SiO、Al等)を添加し、所定の
温度及び圧力下で粘土鉱物を水熱合成する方法である。
このような方法によれば、固体高分子電解質又はその前
駆体内部において粘土鉱物をその場合成することができ
る。また、この時に合成条件を最適化すれば、粘土鉱物
の粒子形態を制御することができる。さらに、得られた
反応物を適切な条件下で成形すれば、粘土鉱物が微細分
散した複合高分子電解質、あるいは層状粘土鉱物が互い
に平行に分散した複合高分子電解質が得られる。
【0072】次に、本発明の第2の実施の形態に係る複
合高分子電解質について説明する。本実施の形態に係る
複合高分子電解質は、固体高分子電解質と、固体高分子
電解質内に分散させた無機絶縁材料からなる板状粉末と
を備えている。すなわち、粘土鉱物に代えて、無機材料
からなる板状粉末を用いた点が、第1の実施の形態とは
異なる。
【0073】このような無機材料としては、具体的に
は、アルミナ等のセラミック絶縁材料、C60等を加工
した炭素絶縁材料等が好適な一例として挙げられる。こ
れらの中でも、アルミナは、微細な板状粉末が得られ、
かつ固体高分子電解質内での分散が容易であるので、特
に好適である。その他の点については、第1の実施の形
態に係る複合高分子電解質と同様であるので、説明を省
略する。
【0074】本実施の形態に係る複合高分子電解質は、
固体高分子電解質又はその前駆体が溶解した溶液中に板
状粉末を分散させ、固化させる方法、溶融した前駆体に
対して板状粉末を加えて混練し、混練物を成形する方
法、あるいは、水熱法を用いて板状粉末をその場合成す
る方法等により製造することができる。また、この時に
成形方法、成形条件等を最適化すれば、板状粉末が互い
に平行に分散した複合高分子電解質が得られる。
【0075】本実施の形態に係る複合高分子電解質は、
板状粉末が均一に分散しているので、剛性、強度及び耐
熱性が向上する。また、板状粉末によって剛性が増すた
めに、MEA作製時又は運転時におけるマイクロショー
トが抑制される。さらに、板状粉末による物理的遮蔽効
果により、ガスのクロスオーバーが抑制される。特に、
本実施の形態に係る複合高分子電解質を膜状に成形する
場合において、板状粉末の最も広い面積を占める面が膜
面に対して平行となるよう、板状粉末を分散させると、
マイクロショートとクロスオーバーを効率よく抑制する
ことができる。
【0076】
【実施例】(実施例1)高純度Na−モンモリロナイト
(クニミネ工業(株)製、クニピア(登録商標)F)を
水に分散させ、0.2wt%の分散液Aを調整した。ま
た、市販のナフィオン溶液(アルドリッチ社製)を水で
希釈し、2wt%の溶液Bを調整した。次に、分散液A
25.6gを撹拌しながら、所定量の溶液Bを滴下混合
し、混合溶液を得た。この混合溶液を用いて、キャスト
法により膜を作製した。
【0077】次に、得られた膜を140℃にて真空加熱
処理し、水分を除去した。次いで、これを15%硝酸に
て2回洗浄後、蒸留水で2回洗浄し、ナフィオン−モン
モリロナイト複合膜を得た。本実施例で得られた複合膜
の破断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均粒
径1μm、厚さ5nmである層状の粘土鉱物粒子が膜面
に対して平行に分散していることが確認された。また、
得られた膜の厚さは26μm、モンモリロナイト含有量
は2.5wt%であった。
【0078】(実施例2)分散液Aの重量を52.6g
とした以外は、実施例1と同一の手順に従い、ナフィオ
ン−モンモリロナイト複合膜を得た。本実施例で得られ
た複合膜の厚さは25μm、モンモリロナイト含有量は
5.0wt%であった。
【0079】(実施例3)分散液Aの重量を111.1
gとした以外は、実施例1と同一の手順に従い、ナフィ
オン−モンモリロナイト複合膜を得た。本実施例で得ら
れた複合膜の厚さは26μm、モンモリロナイト含有量
は10.0wt%であった。
【0080】(実施例4)分散液Aの重量を428.6
gとした以外は、実施例1と同一の手順に従い、ナフィ
オン−モンモリロナイト複合膜を得た。本実施例で得ら
れた複合膜の厚さは24μm、モンモリロナイト含有量
は30.0wt%であった。
【0081】(比較例1)厚さ27μmのナフィオン1
11膜をそのまま実験に用いた。
【0082】実施例1〜4で得られた複合膜及び比較例
1で得られナフィオン111膜について、電気伝導度、
水素透過係数及び酸素透過係数を測定した。なお、電気
伝導度は、25℃の純水中において交流法(測定周波数
10kHz)により求めた膜抵抗と、膜厚から算出し
た。また、水素及び酸素の透過係数は、ヤマト科学
(株)製ガス透過装置を用いて測定した。なお、透過係
数の測定温度は25℃とし、被測定ガスはバブラを用い
て相対湿度40〜60%に加湿した状態で装置に供給し
た。
【0083】また、得られた膜に白金カーボン電極を接
合し、燃料電池を作製した。次いで、各燃料電池につい
て、表1に示す条件下で、開回路電圧(OCV)及び定
常運転(電流密度0.5A/cm)を行った時の出力
電圧を評価した。さらに、セルを完全にドライとし、セ
ル抵抗を測定した。表2にその結果を示す。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】複合膜の電気伝導度は、クレイ量を30w
t%とした実施例4を除き、ナフィオン111膜(比較
例1)とほぼ同等であった。また、複合膜を用いて作製
した燃料電池の出力電圧は、MEA作製時に膜が破損し
た実施例4を除き、比較例1とほぼ同等であった。すな
わち、固体高分子電解質内に粘土鉱物を分散させても、
出力特性に悪影響を及ぼすことはなかった。
【0087】これに対し、水素及び酸素透過係数は、い
ずれも、クレイ量が増加するほど小さくなった。また、
燃料電池の開回路電圧は、クレイ量が増加するほど大き
くなった。開回路電圧は、ガスリークの指標となるもの
であり、開回路電圧が大きいほど、ガスリークが少ない
ことを示している。
【0088】さらに、ドライ時のセル抵抗は、クレイ量
が増加するほど大きくなった。セル抵抗は、マイクロシ
ョートの量の目安となるものであり、セル抵抗が大きい
ほどマイクロショート量が少ないことを示している。
【0089】表2より、ナフィオン内部に適量の層状粘
土鉱物を分散させることによって、電気伝導度及び出力
電圧を犠牲にすることなく、水素及び酸素のクロスオー
バー、並びにマイクロショートを抑制できることがわか
る。
【0090】以上、本発明の実施の形態について詳細に
説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々
の改変が可能である。
【0091】例えば、上記実施の形態においては、固体
高分子電解質内に粘土鉱物又は無機材料からなる板状粉
末を分散させた例について説明したが、固体高分子電解
質内に粘土鉱物及び無機材料からなる板状粉末の双方を
分散させても良い。あるいは、固体高分子電解質内に、
粘土鉱物及び/又は無機材料からなる板状粉末を分散さ
せることに加えて、シリカ、リン酸ジルコニウム等の不
定形の無機材料をさらに分散させても良い。
【0092】また、上記実施例においては、固体高分子
型燃料電池に対して本発明に係る複合高分子電解質を適
用した例について説明したが、本発明の用途はこれに限
定されるものではなく、各種電解装置、水素及び/又は
酸素濃縮器、あるいは各種センサ等に対しても適用する
ことができる。
【0093】
【発明の効果】本発明に係る複合高分子電解質は、固体
高分子電解質内に粘土鉱物を分散させているので、剛
性、強度及び耐熱性が向上するという効果がある。ま
た、層状粘土鉱物を分散させた場合には、MEA作製時
及び運転時におけるマイクロショート及びガスリークを
効率よく抑制できるという効果がある。特に、その層面
が互いに平行となるように層状粘土鉱物を分散させた場
合には、その物理的遮蔽効果によって、マイクロショー
ト及びガスリークをさらに効率よく抑制できるという効
果がある。
【0094】また、本発明に係る複合高分子電解質の2
番目は、固体高分子電解質内に無機材料からなる板状粒
子を分散させているので、剛性、強度及び耐熱性が向上
するという効果がある。また、板状粉末の物理的遮蔽効
果によって、マイクロショート及びガスリークを効率よ
く抑制できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る複合高分子電解
質の断面模式図である。
【図2】 図1に示す複合高分子電解質を用いて作製し
たMEAの断面模式図である。
【符号の説明】
10 複合高分子電解質 12 固体高分子電解質 14 粘土鉱物(層状粘土鉱物)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 8/10 H01M 8/10 (72)発明者 臼杵 有光 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 4J002 AA041 BC121 BN201 CE001 CF001 CF141 CG001 CG021 CH071 CH091 CL001 CL071 CM041 CN011 CN031 DA016 DE140 DJ006 DJ036 DJ046 DJ056 FA016 FB086 FD111 GQ02 5G301 CA30 CD01 5H026 AA06 CX05 EE11 EE12 EE18

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体高分子電解質と、 該固体高分子電解質内に分散させた粘土鉱物とを備えた
    複合高分子電解質。
  2. 【請求項2】 前記粘土鉱物は、層状粘土鉱物である請
    求項1に記載の複合高分子電解質。
  3. 【請求項3】 前記層状粘土鉱物は、その層面が互いに
    平行となるように前記固体高分子電解質内に分散してい
    る請求項2に記載の複合高分子電解質。
  4. 【請求項4】 固体高分子電解質と、 該固体高分子電解質内に分散させた無機絶縁材料からな
    る板状粉末とを備えた複合高分子電解質。
  5. 【請求項5】 請求項1から4までのいずれかに記載の
    複合高分子電解質を用いた電気化学デバイス。
  6. 【請求項6】 請求項1から4までのいずれかに記載の
    複合高分子電解質を用いた燃料電池。
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