JP2003270220A - 高温部材の寿命予測方法 - Google Patents
高温部材の寿命予測方法Info
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Classifications
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N2291/00—Indexing codes associated with group G01N29/00
- G01N2291/26—Scanned objects
- G01N2291/269—Various geometry objects
- G01N2291/2693—Rotor or turbine parts
Landscapes
- Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 高温部材の残用寿命を非破壊的に予測するこ
と。 【解決手段】 実機蒸気タービンロータに超音波を照射
してタービンロータの音速値を測定し、タービンロータ
の音速値と未使用材の音速値との比および無負荷加熱材
の音速値と未使用材の音速値との比をそれぞれ測定時間
を合わせて算出し、同一測定時間における各算出値の差
から音速比増加量Vaを求め、この音速比増加量Vaを
音速比増加量とクリープ損傷率との関係を示す線図に当
てはめてクリープ損傷率φcを求め、クリープ損傷率φ
cからタービンロータの残余寿命を算出する。
と。 【解決手段】 実機蒸気タービンロータに超音波を照射
してタービンロータの音速値を測定し、タービンロータ
の音速値と未使用材の音速値との比および無負荷加熱材
の音速値と未使用材の音速値との比をそれぞれ測定時間
を合わせて算出し、同一測定時間における各算出値の差
から音速比増加量Vaを求め、この音速比増加量Vaを
音速比増加量とクリープ損傷率との関係を示す線図に当
てはめてクリープ損傷率φcを求め、クリープ損傷率φ
cからタービンロータの残余寿命を算出する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温部材の寿命予
測方法に係り、特に、蒸気タービンなどに用いられて高
温の雰囲気中で長時間の稼働によって生じる材料の劣化
状態を非破壊的に検出し、検出した劣化状態から高温部
材の寿命を予測するに好適な高温部材の寿命予測方法に
関する。
測方法に係り、特に、蒸気タービンなどに用いられて高
温の雰囲気中で長時間の稼働によって生じる材料の劣化
状態を非破壊的に検出し、検出した劣化状態から高温部
材の寿命を予測するに好適な高温部材の寿命予測方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】蒸気タービンを構成するロータシャフト
やケーシングなどは、高温部材として、例えば、CrM
oV系低合金鋼や12Cr系フェライト系ステンレス鋼
などによって製造されている。この種の高温部材は、一
般に、300〜600℃の雰囲気中に長時間さらされる
と、靱性および延性が低下する脆化現象が生じる。すな
わち上記高温部材は、脆化温度領域に長時間に渡ってさ
らされると、冶金的に結晶粒界および粒内に炭化物が析
出したり、粒界にボイドが生成したいり、あるいは不純
物元素量が増加したりして、結晶粒界内および粒界が脆
弱となって脆化することが知られている。
やケーシングなどは、高温部材として、例えば、CrM
oV系低合金鋼や12Cr系フェライト系ステンレス鋼
などによって製造されている。この種の高温部材は、一
般に、300〜600℃の雰囲気中に長時間さらされる
と、靱性および延性が低下する脆化現象が生じる。すな
わち上記高温部材は、脆化温度領域に長時間に渡ってさ
らされると、冶金的に結晶粒界および粒内に炭化物が析
出したり、粒界にボイドが生成したいり、あるいは不純
物元素量が増加したりして、結晶粒界内および粒界が脆
弱となって脆化することが知られている。
【0003】このため、蒸気タービン用ロータシャフト
やケーシングなどを脆化温度領域で使用すると、高温の
雰囲気中で長時間に渡って稼働することになるので、脆
化が蓄積され、さらに作用応力によって亀裂が発生する
可能性があるとともに、破壊事故に進展する可能性もあ
る。
やケーシングなどを脆化温度領域で使用すると、高温の
雰囲気中で長時間に渡って稼働することになるので、脆
化が蓄積され、さらに作用応力によって亀裂が発生する
可能性があるとともに、破壊事故に進展する可能性もあ
る。
【0004】そこで、高温の雰囲気中に長時間に渡って
さらされる機器の脆化状態を調べる方法として、従来
は、実際使用されている高温部材から直接試験片を切り
出し、切り出された試験片に対して破壊試験を行ってい
た。
さらされる機器の脆化状態を調べる方法として、従来
は、実際使用されている高温部材から直接試験片を切り
出し、切り出された試験片に対して破壊試験を行ってい
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来技術では、高温に
さらされる機器の脆化状態を調べるに際して、実際に使
用している高温部材からその一部を切り出して破壊試験
を行わなければならず、試験片を切り出したり、あるい
は試験片の切り出された部位の補修を行ったりするのに
手間がかかる。このため、実際に使用されているロータ
やケーシングなどの高温部材の脆化状況を非破壊的に検
出することが要求されており、このことは、実機の破壊
事故防止の点からも極めて重要である。
さらされる機器の脆化状態を調べるに際して、実際に使
用している高温部材からその一部を切り出して破壊試験
を行わなければならず、試験片を切り出したり、あるい
は試験片の切り出された部位の補修を行ったりするのに
手間がかかる。このため、実際に使用されているロータ
やケーシングなどの高温部材の脆化状況を非破壊的に検
出することが要求されており、このことは、実機の破壊
事故防止の点からも極めて重要である。
【0006】特に、我が国の火力発電プラントは、10
年以上稼働している機器が半数以上に達しており、プラ
ントの機器によっては寿命に達する可能性がある。プラ
ントの各種機器が寿命に達したときには機器を交換した
りあるいは新たなプラントを新設したりすることが必要
であるが、新たなプラントを構築するには膨大な費用が
必要である。したがって、寿命に達しつつある機器の余
寿命(残余寿命)を高精度で測定できることができる極
めて重要であり、機器の余寿命が分かれば、機器を交換
する時期を正確に把握することができるとともに、交換
時期まで機器を有効に使用することができ、そのメリッ
トは非常に大きい。
年以上稼働している機器が半数以上に達しており、プラ
ントの機器によっては寿命に達する可能性がある。プラ
ントの各種機器が寿命に達したときには機器を交換した
りあるいは新たなプラントを新設したりすることが必要
であるが、新たなプラントを構築するには膨大な費用が
必要である。したがって、寿命に達しつつある機器の余
寿命(残余寿命)を高精度で測定できることができる極
めて重要であり、機器の余寿命が分かれば、機器を交換
する時期を正確に把握することができるとともに、交換
時期まで機器を有効に使用することができ、そのメリッ
トは非常に大きい。
【0007】本発明の課題は、高温部材の残用寿命を非
破壊的に予測することができる高温部材の寿命予測方法
を提供することにある。
破壊的に予測することができる高温部材の寿命予測方法
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を達成するため
に、本発明は、高温の雰囲気中にあって金属を含む高温
部材に超音波を照射して前記高温部材を伝播する超音波
の速度を前記高温部材の音速値として測定する音速値測
定工程と、前記高温部材と同じ材質の未使用材を伝播す
る超音波の速度として測定された未使用材の音速値と前
記高温部材の音速値との比および前記高温部材と同じ材
質で高温の雰囲気中にあった無負荷加熱材を伝播する超
音波の速度として測定された無負荷加熱材の音速値と前
記未使用材の音速値との比を算出し、前記高温部材及び
無負荷加熱部材の同一加熱時間における各算出値の差か
ら音速比増加量を算出する音速比増加量算出工程と、音
速比増加量とクリープ損傷率との関係を示す線図に前記
音速比増加量算出工程で算出された音速比増加量を当て
はめて前記高温部材の残余寿命を算出する残余寿命算出
工程とを含む高温部材の寿命予測方法を採用したもので
ある。
に、本発明は、高温の雰囲気中にあって金属を含む高温
部材に超音波を照射して前記高温部材を伝播する超音波
の速度を前記高温部材の音速値として測定する音速値測
定工程と、前記高温部材と同じ材質の未使用材を伝播す
る超音波の速度として測定された未使用材の音速値と前
記高温部材の音速値との比および前記高温部材と同じ材
質で高温の雰囲気中にあった無負荷加熱材を伝播する超
音波の速度として測定された無負荷加熱材の音速値と前
記未使用材の音速値との比を算出し、前記高温部材及び
無負荷加熱部材の同一加熱時間における各算出値の差か
ら音速比増加量を算出する音速比増加量算出工程と、音
速比増加量とクリープ損傷率との関係を示す線図に前記
音速比増加量算出工程で算出された音速比増加量を当て
はめて前記高温部材の残余寿命を算出する残余寿命算出
工程とを含む高温部材の寿命予測方法を採用したもので
ある。
【0009】前記した手段によれば、高温の雰囲気、例
えば、300〜600℃の雰囲気中にあって実際に使用
されている高温部材に対して、例えば、超音波探傷装置
の超音波探触子から高温部材に超音波を照射して高温部
材の音速値を求め、高温部材の音速値と未使用材の音速
値との比および無負荷加熱材の音速値と未使用材の音速
値との比をそれぞれ算出し、同一測定時間における各算
出値の差から音速比増加量(音速比増加量=(高温部材
の音速値)/(未使用材の音速値)−(無負荷加熱材の
音速値)/(未使用材の音速値))を算出し、音速比増
加量とクリープ損傷率との関係を示す線図、例えば、音
速比増加量とクリープ損傷率とが互いに比例関係にある
線図に、前記算出された音速比増加量を当てはめて高温
部材の残余寿命を算出するようにしているため、高温部
材を破壊することなく高温部材の残余寿命を予測するこ
とができる。そしてこの残余寿命から高温部材を構成す
る機器を交換することで、高温部材によって構成された
機器の破壊事故を未然に防止することができる。
えば、300〜600℃の雰囲気中にあって実際に使用
されている高温部材に対して、例えば、超音波探傷装置
の超音波探触子から高温部材に超音波を照射して高温部
材の音速値を求め、高温部材の音速値と未使用材の音速
値との比および無負荷加熱材の音速値と未使用材の音速
値との比をそれぞれ算出し、同一測定時間における各算
出値の差から音速比増加量(音速比増加量=(高温部材
の音速値)/(未使用材の音速値)−(無負荷加熱材の
音速値)/(未使用材の音速値))を算出し、音速比増
加量とクリープ損傷率との関係を示す線図、例えば、音
速比増加量とクリープ損傷率とが互いに比例関係にある
線図に、前記算出された音速比増加量を当てはめて高温
部材の残余寿命を算出するようにしているため、高温部
材を破壊することなく高温部材の残余寿命を予測するこ
とができる。そしてこの残余寿命から高温部材を構成す
る機器を交換することで、高温部材によって構成された
機器の破壊事故を未然に防止することができる。
【0010】ここで、高温部材の残余寿命を算出するに
際しては、算出された音速比増加量を、図1に示すよう
に、音速比増加量とクリープ損傷率との関係を示す線図
に当てはめることで可能となる。
際しては、算出された音速比増加量を、図1に示すよう
に、音速比増加量とクリープ損傷率との関係を示す線図
に当てはめることで可能となる。
【0011】例えば、蒸気タービンなどのロータシャフ
トやケーシングなどに用いられる高温部材の音速比増加
量がVaであった場合、図1からクリープ損傷率φc=
0.25が求められる。この場合の残余寿命t2は、次
の(1)式から求められる。
トやケーシングなどに用いられる高温部材の音速比増加
量がVaであった場合、図1からクリープ損傷率φc=
0.25が求められる。この場合の残余寿命t2は、次
の(1)式から求められる。
【0012】
【数1】t2=t1(1/φc−1)・・・(1)
ここで、t1;高温部材の使用時間(h)
φc;クリープ損傷率
例えば、t1=3000h、クリープ損傷率φc=0.
25の場合には、残余寿命t2=90000hとなる。
つまり、高温部材が破壊するまでには90000hの残
余寿命があることを推定できる。
25の場合には、残余寿命t2=90000hとなる。
つまり、高温部材が破壊するまでには90000hの残
余寿命があることを推定できる。
【0013】高温部材の寿命を予測するに際しては、以
下に示すように、高温部材と無負荷加熱材および未使用
材の音速値をそれぞれ測定する方法を採用することもで
きる。
下に示すように、高温部材と無負荷加熱材および未使用
材の音速値をそれぞれ測定する方法を採用することもで
きる。
【0014】高温の雰囲気中にあって金属を含む高温部
材に超音波を照射して前記高温部材を伝播する超音波の
速度を前記高温部材の音速値として測定する第1の音速
値測定工程と、無負荷状態でかつ前記高温部材と同じ材
質で高温の雰囲気中にあった無負荷加熱材に超音波を照
射して前記無負荷加熱材を伝播する超音波の速度を前記
無負荷加熱材の音速値として測定する第2の音速値測定
工程と、前記高温部材と同じ材質の未使用材に超音波を
照射して前記未使用材を伝播する超音波の速度を前記未
使用材の音速値として測定する第3の音速値測定工程
と、前記高温部材の音速値と前記未使用材の音速値との
比および前記無負荷加熱材の音速値と前記未使用材の音
速値との比を算出し、前記高温部材及び無負荷加熱部材
の同一加熱時間における各算出値の差から音速比増加量
を算出する音速比増加量算出工程と、音速比増加量とク
リープ損傷率との関係を示す線図に前記音速比増加量算
出工程で算出された音速比増加量を当てはめて前記高温
部材の残余寿命を算出する残余寿命算出工程とを含む高
温部材の寿命予測方法。
材に超音波を照射して前記高温部材を伝播する超音波の
速度を前記高温部材の音速値として測定する第1の音速
値測定工程と、無負荷状態でかつ前記高温部材と同じ材
質で高温の雰囲気中にあった無負荷加熱材に超音波を照
射して前記無負荷加熱材を伝播する超音波の速度を前記
無負荷加熱材の音速値として測定する第2の音速値測定
工程と、前記高温部材と同じ材質の未使用材に超音波を
照射して前記未使用材を伝播する超音波の速度を前記未
使用材の音速値として測定する第3の音速値測定工程
と、前記高温部材の音速値と前記未使用材の音速値との
比および前記無負荷加熱材の音速値と前記未使用材の音
速値との比を算出し、前記高温部材及び無負荷加熱部材
の同一加熱時間における各算出値の差から音速比増加量
を算出する音速比増加量算出工程と、音速比増加量とク
リープ損傷率との関係を示す線図に前記音速比増加量算
出工程で算出された音速比増加量を当てはめて前記高温
部材の残余寿命を算出する残余寿命算出工程とを含む高
温部材の寿命予測方法。
【0015】クリープ損傷率と音速比増加量との関係を
示す線図を生成するに際しては、以下の方法を採用する
ことができる。
示す線図を生成するに際しては、以下の方法を採用する
ことができる。
【0016】前記高温部材と同じ金属を含む複数の試験
体に対して、高温の雰囲気中で一方の試験体には無負荷
加熱試験を行い、他方の試験体には高温の雰囲気中でク
リープ試験を行う試験工程と、前記他方の試験体のクリ
ープ試験に要する試験時間と前記他方の試験体が破断す
るまでの時間を示すクリープ破断時間との比からクリー
プ損傷率を算出するクリープ損傷率算出工程と、前記一
方の試験体を無負荷試験体としてこの無負荷試験体に超
音波を照射して前記無負荷試験体を伝播する超音波の速
度を前記無負荷試験体の音速値として測定する第4の音
速値測定工程と、前記他方の試験体をクリープ損傷試験
体としてこのクリープ損傷試験体に超音波を照射して前
記クリープ損傷試験体を伝播する超音波の速度を前記ク
リープ損傷試験体の音速値として測定する第5の音速値
測定工程と、前記クリープ損傷試験体の音速値と前記未
使用材の音速値との比および前記無負荷試験体の音速値
と前記未使用材の音速値との比をそれぞれ前記クリープ
損傷試験及び無負荷試験体の加熱試験時間を合わせて算
出し、同一加熱試験時間における各算出値の差から音速
比増加量を算出する試験体用音速比増加量算出工程と、
クリープ損傷率と前記音速比増加量とから前記クリープ
損傷率と前記音速比増加量との関係を示す線図を生成す
る線図生成工程とを含む高温部材の寿命予測方法。
体に対して、高温の雰囲気中で一方の試験体には無負荷
加熱試験を行い、他方の試験体には高温の雰囲気中でク
リープ試験を行う試験工程と、前記他方の試験体のクリ
ープ試験に要する試験時間と前記他方の試験体が破断す
るまでの時間を示すクリープ破断時間との比からクリー
プ損傷率を算出するクリープ損傷率算出工程と、前記一
方の試験体を無負荷試験体としてこの無負荷試験体に超
音波を照射して前記無負荷試験体を伝播する超音波の速
度を前記無負荷試験体の音速値として測定する第4の音
速値測定工程と、前記他方の試験体をクリープ損傷試験
体としてこのクリープ損傷試験体に超音波を照射して前
記クリープ損傷試験体を伝播する超音波の速度を前記ク
リープ損傷試験体の音速値として測定する第5の音速値
測定工程と、前記クリープ損傷試験体の音速値と前記未
使用材の音速値との比および前記無負荷試験体の音速値
と前記未使用材の音速値との比をそれぞれ前記クリープ
損傷試験及び無負荷試験体の加熱試験時間を合わせて算
出し、同一加熱試験時間における各算出値の差から音速
比増加量を算出する試験体用音速比増加量算出工程と、
クリープ損傷率と前記音速比増加量とから前記クリープ
損傷率と前記音速比増加量との関係を示す線図を生成す
る線図生成工程とを含む高温部材の寿命予測方法。
【0017】また、高温部材としては以下のものを用い
ることができる。
ることができる。
【0018】(1)前記高温部材は、蒸気タービンのロ
ータまたはケーシングとして構成され、前記ロータを構
成する高温部材は、CrMoV鍛鋼であり、前記ケーシ
ングを構成する高温部材は、CrMoV鍛鋼または鋳鋼
である。
ータまたはケーシングとして構成され、前記ロータを構
成する高温部材は、CrMoV鍛鋼であり、前記ケーシ
ングを構成する高温部材は、CrMoV鍛鋼または鋳鋼
である。
【0019】(2)前記高温部材は、C:0.01〜
0.4%、Ni:3%以上、Cr:8〜13%以下、
V:1%以下、Nb:0.5%以下、N:0.1%以下
のものを有するとともに、Mo:3%以下、W:1%以
下のうち少なくともいずれか一方を含むことを特徴と
し、または、Ni:3%以下、Cr:8〜13%以下、
V:1%以下、Nb:0.5%以下、N:0.1%以下
のものを有するとともに、Mo:3%以下、W:10%
以下のうち少なくともいずれか一方を含むことを特徴と
する。
0.4%、Ni:3%以上、Cr:8〜13%以下、
V:1%以下、Nb:0.5%以下、N:0.1%以下
のものを有するとともに、Mo:3%以下、W:1%以
下のうち少なくともいずれか一方を含むことを特徴と
し、または、Ni:3%以下、Cr:8〜13%以下、
V:1%以下、Nb:0.5%以下、N:0.1%以下
のものを有するとともに、Mo:3%以下、W:10%
以下のうち少なくともいずれか一方を含むことを特徴と
する。
【0020】なお、図1における線図は、音速比増加量
がクリープ損傷率の増加とともに直線的に増加するもの
を示している。これは、本発明で適用した高温部材の材
料がクリープボイドの生じ難いためである。これに対し
て、低合金鋼を用いた場合、破断寿命の1/2以後(ク
リープ損傷率=0.5)より、クリープボイドが発生
し、さらに時間が長くなるにつれて増加する。これに対
して、音速はクリープボイドの発生に伴って低下する。
したがって、クリープボイドの発生する材料を適用して
音速値を図1に当てはめてみると、音速比増加量はクリ
ープボイドの発生時点から増加傾向が少なくなる。すな
わち、クリープボイドの発生傾向は、材料ごとに異なる
ので、材料ごとのクリープ損傷率と音速比増加量との関
係を示す線図を基準データとして予め取得しておく必要
がある。
がクリープ損傷率の増加とともに直線的に増加するもの
を示している。これは、本発明で適用した高温部材の材
料がクリープボイドの生じ難いためである。これに対し
て、低合金鋼を用いた場合、破断寿命の1/2以後(ク
リープ損傷率=0.5)より、クリープボイドが発生
し、さらに時間が長くなるにつれて増加する。これに対
して、音速はクリープボイドの発生に伴って低下する。
したがって、クリープボイドの発生する材料を適用して
音速値を図1に当てはめてみると、音速比増加量はクリ
ープボイドの発生時点から増加傾向が少なくなる。すな
わち、クリープボイドの発生傾向は、材料ごとに異なる
ので、材料ごとのクリープ損傷率と音速比増加量との関
係を示す線図を基準データとして予め取得しておく必要
がある。
【0021】また、高温部材の音速値は、その保持時間
が同じでも加熱温度によって異なる場合がある。特に、
蒸気タービンのロータシャフトやケーシングなどの大型
加熱部材の場合は、温度分布が異なる個所がある。した
がって、実機音速値測定位置と同一の加熱温度との関係
を示すデータをマスタカーブとして作成し、このマスタ
カーブを使用することが望ましい。
が同じでも加熱温度によって異なる場合がある。特に、
蒸気タービンのロータシャフトやケーシングなどの大型
加熱部材の場合は、温度分布が異なる個所がある。した
がって、実機音速値測定位置と同一の加熱温度との関係
を示すデータをマスタカーブとして作成し、このマスタ
カーブを使用することが望ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。
に基づいて説明する。
【0023】本実施形態においては、高温部材、例え
ば、蒸気タービンのロータ(ロータシャフト)やケーシ
ングの寿命を予測するに先立って、クリープ損傷率と音
速比増加量との関係を示す線図(マスタカーブ)を生成
するまでの処理を説明する。
ば、蒸気タービンのロータ(ロータシャフト)やケーシ
ングの寿命を予測するに先立って、クリープ損傷率と音
速比増加量との関係を示す線図(マスタカーブ)を生成
するまでの処理を説明する。
【0024】まず、蒸気タービンのロータから複数の試
験体として、クリープ試験片(クリープ試験体)および
無負荷加熱試験片(無負荷加熱試験体)を採取し、クリ
ープ試験片については高温の雰囲気、例えば、600℃
の雰囲気中でクリープ試験を行い、無負荷加熱試験片に
対しては、クリープ試験と同様に600℃の雰囲気中で
無負荷加熱試験(負荷をかけずに加熱のみを行う試験)
を行った。両者の試験片の採取方向はロータ半径方向お
よび軸方向である。
験体として、クリープ試験片(クリープ試験体)および
無負荷加熱試験片(無負荷加熱試験体)を採取し、クリ
ープ試験片については高温の雰囲気、例えば、600℃
の雰囲気中でクリープ試験を行い、無負荷加熱試験片に
対しては、クリープ試験と同様に600℃の雰囲気中で
無負荷加熱試験(負荷をかけずに加熱のみを行う試験)
を行った。両者の試験片の採取方向はロータ半径方向お
よび軸方向である。
【0025】次の表1に、供試母材として適用した、蒸
気タービンロータ12Cr鋼未使用材の主な化学組成
(重量%)を示す。
気タービンロータ12Cr鋼未使用材の主な化学組成
(重量%)を示す。
【0026】
【表1】
クリープ試験片よりの音速値測定用試験片の採取位置
は、試験片平行部であり、クリープ試験片の形状は、平
行部の直径10mm、平行部の長さ50mmである。ま
た無負荷加熱試験片の形状は、10mm角、長さ75m
mである。そしてクリープ試験では、各種クリープ損傷
率が異なる試験片を得るために、クリープ試験を中断さ
せて試験片を作成した。また無負荷加熱試験片の加熱時
間はクリープ試験の中断試験時間と同一にした。そし
て、クリープ試験片に対するクリープ試験および無負荷
加熱試験片に対する無負荷加熱試験を行っている過程で
は、クリープ試験片(クリープ損傷試験体)および無負
荷加熱試験片(無負荷試験体)の音速値を順次測定し
た。また、音速値を測定するための試験片の形状は、ク
リープ損傷材(クリープ損傷試験体)は直径10mm×
長さ10mmであり、無負荷加熱材は10mm角×長さ
10mmである。そしてクリープ試験によってクリープ
損傷材が破断したときには、クリープ損傷材が破断する
までの時間を示すクリープ破断時間(クリープ損傷率φ
c=1)とクリープ試験に要する試験時間との比からク
リープ損傷率φcを算出するとともに、試験の開始から
任意の時間にクリープ損傷材と無負荷加熱材の音速値を
測定した。
は、試験片平行部であり、クリープ試験片の形状は、平
行部の直径10mm、平行部の長さ50mmである。ま
た無負荷加熱試験片の形状は、10mm角、長さ75m
mである。そしてクリープ試験では、各種クリープ損傷
率が異なる試験片を得るために、クリープ試験を中断さ
せて試験片を作成した。また無負荷加熱試験片の加熱時
間はクリープ試験の中断試験時間と同一にした。そし
て、クリープ試験片に対するクリープ試験および無負荷
加熱試験片に対する無負荷加熱試験を行っている過程で
は、クリープ試験片(クリープ損傷試験体)および無負
荷加熱試験片(無負荷試験体)の音速値を順次測定し
た。また、音速値を測定するための試験片の形状は、ク
リープ損傷材(クリープ損傷試験体)は直径10mm×
長さ10mmであり、無負荷加熱材は10mm角×長さ
10mmである。そしてクリープ試験によってクリープ
損傷材が破断したときには、クリープ損傷材が破断する
までの時間を示すクリープ破断時間(クリープ損傷率φ
c=1)とクリープ試験に要する試験時間との比からク
リープ損傷率φcを算出するとともに、試験の開始から
任意の時間にクリープ損傷材と無負荷加熱材の音速値を
測定した。
【0027】音速値を測定するに際しては、容器の中に
水を満たし、各試験片としてのクリープ損傷材と無負荷
加熱材を浸水させるとともに超音波探傷装置の超音波探
触子を浸水させる方式を適用した。そして本実施形態で
は、各試験片と超音波探触子とは直接接触させずに、水
を接触媒体として、各試験片と超音波探触子との間を一
定の間隔に保った。そして両者の間隔は、超音波探触子
の発信焦点が各試験片の肉圧中央部になるように調整し
た。また超音波探触子の特性は低周波狭帯域で7MHz
である。位置調整した後、超音波探触子から各試験片に
向けて超音波を照射し、超音波が照射されたときから反
射波が入射されるまでの時間を求め、各試験片を伝播す
る音波の音速として各試験片の音速値を測定する。
水を満たし、各試験片としてのクリープ損傷材と無負荷
加熱材を浸水させるとともに超音波探傷装置の超音波探
触子を浸水させる方式を適用した。そして本実施形態で
は、各試験片と超音波探触子とは直接接触させずに、水
を接触媒体として、各試験片と超音波探触子との間を一
定の間隔に保った。そして両者の間隔は、超音波探触子
の発信焦点が各試験片の肉圧中央部になるように調整し
た。また超音波探触子の特性は低周波狭帯域で7MHz
である。位置調整した後、超音波探触子から各試験片に
向けて超音波を照射し、超音波が照射されたときから反
射波が入射されるまでの時間を求め、各試験片を伝播す
る音波の音速として各試験片の音速値を測定する。
【0028】さらに本実施形態のおいては、各試験片の
音速値を未使用材の音速値で無次元化するために、各試
験片と同一の材料(化学組成および組織が同一)で構成
された未使用材に対する音速値も測定する。この後、ク
リープ損傷材の音速値と未使用材の音速値との比および
無負荷加熱材の音速値と未使用材の音速値との比をそれ
ぞれ測定時間を合わせて算出した。このときの測定結果
を図2および図3に示す。
音速値を未使用材の音速値で無次元化するために、各試
験片と同一の材料(化学組成および組織が同一)で構成
された未使用材に対する音速値も測定する。この後、ク
リープ損傷材の音速値と未使用材の音速値との比および
無負荷加熱材の音速値と未使用材の音速値との比をそれ
ぞれ測定時間を合わせて算出した。このときの測定結果
を図2および図3に示す。
【0029】図2は、ロータ半径方向より採取したクリ
ープ損傷試験片の測定方向が応力方向の音速値と未使用
材の音速値との比および無負荷加熱材の音速値と未使用
材の音速値との比とクリープ損傷率の関係を示す。
ープ損傷試験片の測定方向が応力方向の音速値と未使用
材の音速値との比および無負荷加熱材の音速値と未使用
材の音速値との比とクリープ損傷率の関係を示す。
【0030】図2から、無負荷加熱材の音速比は、クリ
ープ損傷率φc=0.2で一旦増加し、それ以上では減
少する傾向にある。一方、クリープ損傷材では、前者と
は逆にクリープ損傷率φc=0.2まで一旦減少し、そ
れ以上では少しずつ増加する傾向にあることが分かる。
ープ損傷率φc=0.2で一旦増加し、それ以上では減
少する傾向にある。一方、クリープ損傷材では、前者と
は逆にクリープ損傷率φc=0.2まで一旦減少し、そ
れ以上では少しずつ増加する傾向にあることが分かる。
【0031】図3は、ロータ軸方向より採取したクリー
プ損傷試験片の測定方向が応力方向とは直交する方向
(応力直角方向)の音速値と未使用材の音速値との比お
よび無負荷加熱材の音速値と未使用材の音速値との比と
クリープ損傷率の関係を示す。
プ損傷試験片の測定方向が応力方向とは直交する方向
(応力直角方向)の音速値と未使用材の音速値との比お
よび無負荷加熱材の音速値と未使用材の音速値との比と
クリープ損傷率の関係を示す。
【0032】図3から、無負荷加熱材の音速比およびク
リープ損傷材の音速比は共にクリープ損傷率が大きくな
るにしたがって少しずつ上昇する傾向にあることが分か
る。
リープ損傷材の音速比は共にクリープ損傷率が大きくな
るにしたがって少しずつ上昇する傾向にあることが分か
る。
【0033】図2および図3の測定結果から分かるよう
に、各試験片の音速値と未使用材の音速値との比である
音速比を求めても、各線図はほぼ平坦な特性を示すた
め、ある音速比から単一のクリープ損傷率を一義的に求
めることは困難である。
に、各試験片の音速値と未使用材の音速値との比である
音速比を求めても、各線図はほぼ平坦な特性を示すた
め、ある音速比から単一のクリープ損傷率を一義的に求
めることは困難である。
【0034】そこで、本実施形態においては、クリープ
損傷試験片の音速値と未使用材の音速値との比である音
速比および無負荷加熱材の音速値と未使用材の音速値と
の比である音速比をそれぞれ測定時間を合わせて算出し
た後、同一測定時間における各算出値(音速比)の差か
ら音速比増加量を算出し、この算出結果とクリープ損傷
率との関係を求めることとした。このときの音速比増加
量とクリープ損傷率との関係を図4に示す。
損傷試験片の音速値と未使用材の音速値との比である音
速比および無負荷加熱材の音速値と未使用材の音速値と
の比である音速比をそれぞれ測定時間を合わせて算出し
た後、同一測定時間における各算出値(音速比)の差か
ら音速比増加量を算出し、この算出結果とクリープ損傷
率との関係を求めることとした。このときの音速比増加
量とクリープ損傷率との関係を図4に示す。
【0035】図4から、クリープ損傷試験片の測定方向
が応力方向および応力と直交する直交方向(応力直角方
向)とも、音速比増加量とクリープ損傷率とが互いに直
線的に増加する比例関係にあることが分かる。このた
め、音速比増加量を求めれば単一のクリープ損傷率を一
義的に求めることが可能になる。
が応力方向および応力と直交する直交方向(応力直角方
向)とも、音速比増加量とクリープ損傷率とが互いに直
線的に増加する比例関係にあることが分かる。このた
め、音速比増加量を求めれば単一のクリープ損傷率を一
義的に求めることが可能になる。
【0036】このため、本実施形態においては、図4に
示す測定結果を基に、クリープ損傷率と音速比増加量と
の関係を示す線図をマスタカーブとして生成した。図5
は、図4から得られたマスタカーブの特性を示す。
示す測定結果を基に、クリープ損傷率と音速比増加量と
の関係を示す線図をマスタカーブとして生成した。図5
は、図4から得られたマスタカーブの特性を示す。
【0037】マスタカーブが生成された後は、実機ター
ビンロータの余寿命を推定する。この場合、実機タービ
ンロータ(ロータシャフト)に向けて超音波を照射し、
タービンロータを伝播する超音波の速度をタービンロー
タの音速値として測定する。
ビンロータの余寿命を推定する。この場合、実機タービ
ンロータ(ロータシャフト)に向けて超音波を照射し、
タービンロータを伝播する超音波の速度をタービンロー
タの音速値として測定する。
【0038】この後、マスタカーブを生成する過程で測
定された音速値(未使用材の音速値と無負荷加熱材の音
速値)を基に、タービンロータの音速値と予め得られた
未使用材の音速値との比(音速比)および予め得られた
無負荷加熱材の音速値と未使用材の音速値との比(音速
比)をそれぞれ測定時間を合わせて算出し、同一測定時
間における各算出値(音速比)の差から音速比増加量を
算出する。
定された音速値(未使用材の音速値と無負荷加熱材の音
速値)を基に、タービンロータの音速値と予め得られた
未使用材の音速値との比(音速比)および予め得られた
無負荷加熱材の音速値と未使用材の音速値との比(音速
比)をそれぞれ測定時間を合わせて算出し、同一測定時
間における各算出値(音速比)の差から音速比増加量を
算出する。
【0039】ここで、例えば、600℃の雰囲気中で5
0000時間稼働した実機タービンロータの音速比増加
量がVaであったときには、この音速比増加量Vaを図
5のマスタカーブに当てはめることで、そのときのクリ
ープ損傷率として、φc=0.5が得られる。この結果
を、前述の(1)式に当てはめて計算すると、残余寿命
は50000時間が得られる。すなわち、本実施形態で
用いたタービンロータの推定残余寿命は50000時間
であることが推定できる。
0000時間稼働した実機タービンロータの音速比増加
量がVaであったときには、この音速比増加量Vaを図
5のマスタカーブに当てはめることで、そのときのクリ
ープ損傷率として、φc=0.5が得られる。この結果
を、前述の(1)式に当てはめて計算すると、残余寿命
は50000時間が得られる。すなわち、本実施形態で
用いたタービンロータの推定残余寿命は50000時間
であることが推定できる。
【0040】なお、前記実施形態で適用した供試材は、
クリープボイドの生成が極めて少ない材料である。この
ため、図4および図5の結果は、クリープボイドの影響
が含まれていない材料の結果であると言える。したがっ
て、前述のように、クリープボイドの生成される材料を
適用した場合には、図4および図5とは異なる傾向の線
図(マスタカーブ)が得られる。
クリープボイドの生成が極めて少ない材料である。この
ため、図4および図5の結果は、クリープボイドの影響
が含まれていない材料の結果であると言える。したがっ
て、前述のように、クリープボイドの生成される材料を
適用した場合には、図4および図5とは異なる傾向の線
図(マスタカーブ)が得られる。
【0041】しかし、試験体にクリープボイドが生成さ
れたとしても、予め同一材の音速比増加量とクリープ損
傷率との関係を基礎データとして取得し、この基礎デー
タにしたがってマスタカーブを形成し、このマスタカー
ブに実機の音速比増加量を当てはめることによって他の
材料を用いた場合でも残余寿命を容易に推定することが
できる。
れたとしても、予め同一材の音速比増加量とクリープ損
傷率との関係を基礎データとして取得し、この基礎デー
タにしたがってマスタカーブを形成し、このマスタカー
ブに実機の音速比増加量を当てはめることによって他の
材料を用いた場合でも残余寿命を容易に推定することが
できる。
【0042】以上のように、本実施形態によれば、実機
蒸気タービンロータやケーシングなどの高温部材の残余
寿命を容易に推定することができるため、この推定結果
から機器(実機)を交換することで、実機の破壊事故を
未然に防止することが可能になる。
蒸気タービンロータやケーシングなどの高温部材の残余
寿命を容易に推定することができるため、この推定結果
から機器(実機)を交換することで、実機の破壊事故を
未然に防止することが可能になる。
【0043】また、音速比増加量を求めるに際しては、
高温部材の音速値を求めるときに、無負荷状態で高温部
材と同じ材質で高温の雰囲気中にあった無負荷加熱材に
超音波を照射して無負荷加熱材を伝播する超音波の速度
を無負荷加熱材の音速値として測定するとともに、高温
部材と同じ材質の未使用材に超音波を照射して未使用材
を伝播する超音波の速度を未使用材の音速値として測定
することもできる。
高温部材の音速値を求めるときに、無負荷状態で高温部
材と同じ材質で高温の雰囲気中にあった無負荷加熱材に
超音波を照射して無負荷加熱材を伝播する超音波の速度
を無負荷加熱材の音速値として測定するとともに、高温
部材と同じ材質の未使用材に超音波を照射して未使用材
を伝播する超音波の速度を未使用材の音速値として測定
することもできる。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高温部材を破壊することなく高温部材の残余寿命を予測
することができるので、残余寿命から高温部材を構成す
る機器を交換することで、高温部材によって構成された
機器の破壊事故を未然に防止することが可能になる。
高温部材を破壊することなく高温部材の残余寿命を予測
することができるので、残余寿命から高温部材を構成す
る機器を交換することで、高温部材によって構成された
機器の破壊事故を未然に防止することが可能になる。
【図1】本発明に係る音速比増加量とクリープ損傷率と
の関係を示す線図である。
の関係を示す線図である。
【図2】ロータ半径方向におけるクリープ損傷材および
無負荷加熱材のクリープ損傷率と音速比との関係を示す
線図である。
無負荷加熱材のクリープ損傷率と音速比との関係を示す
線図である。
【図3】ロータ軸方向におけるクリープ損傷材および無
負荷加熱材のクリープ損傷率と音速比との関係を示す線
図である。
負荷加熱材のクリープ損傷率と音速比との関係を示す線
図である。
【図4】本発明に係る音速比増加量とクリープ損傷率と
の関係を示す線図である。
の関係を示す線図である。
【図5】マスタカーブから実機の残余寿命を推定する方
法を説明するための図である。
法を説明するための図である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 土井 裕之
茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株
式会社日立製作所日立研究所内
(72)発明者 中村 重義
茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株
式会社日立製作所日立研究所内
(72)発明者 新井 将彦
茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株
式会社日立製作所日立研究所内
(72)発明者 樋口 康二郎
宮城県仙台市青葉区一番町三丁目7番1号
東北電力株式会社内
(72)発明者 鈴木 康吏
宮城県仙台市青葉区一番町三丁目7番1号
東北電力株式会社内
(72)発明者 円山 政秀
宮城県仙台市青葉区一番町三丁目7番1号
東北電力株式会社内
(72)発明者 遠藤 正弘
宮城県仙台市青葉区一番町三丁目7番1号
東北電力株式会社内
Fターム(参考) 2G047 AA07 AC06 BC02 BC11 CA01
EA10 EA19 GG27 GG33
Claims (5)
- 【請求項1】 高温の雰囲気中にあって金属を含む高温
部材に超音波を照射して前記高温部材を伝播する超音波
の速度を前記高温部材の音速値として測定する音速値測
定工程と、前記高温部材と同じ材質の未使用材を伝播す
る超音波の速度として測定された未使用材の音速値と前
記高温部材の音速値との比および前記高温部材と同じ材
質で高温の雰囲気中にあった無負荷加熱材を伝播する超
音波の速度として測定された無負荷加熱材の音速値と前
記未使用材の音速値との比を算出し、前記高温部材及び
無負荷加熱部材の同一加熱時間における各算出値の差か
ら音速比増加量を算出する音速比増加量算出工程と、音
速比増加量とクリープ損傷率との関係を示す線図に前記
音速比増加量算出工程で算出された音速比増加量を当て
はめて前記高温部材の残余寿命を算出する残余寿命算出
工程とを含む高温部材の寿命予測方法。 - 【請求項2】 高温の雰囲気中にあって金属を含む高温
部材に超音波を照射して前記高温部材を伝播する超音波
の速度を前記高温部材の音速値として測定する第1の音
速値測定工程と、無負荷状態でかつ前記高温部材と同じ
材質で高温の雰囲気中にあった無負荷加熱材に超音波を
照射して前記無負荷加熱材を伝播する超音波の速度を前
記無負荷加熱材の音速値として測定する第2の音速値測
定工程と、前記高温部材と同じ材質の未使用材に超音波
を照射して前記未使用材を伝播する超音波の速度を前記
未使用材の音速値として測定する第3の音速値測定工程
と、前記高温部材の音速値と前記未使用材の音速値との
比および前記無負荷加熱材の音速値と前記未使用材の音
速値との比を算出し、前記高温部材及び無負荷加熱部材
の同一加熱時間における各算出値の差から音速比増加量
を算出する音速比増加量算出工程と、音速比増加量とク
リープ損傷率との関係を示す線図に前記音速比増加量算
出工程で算出された音速比増加量を当てはめて前記高温
部材の残余寿命を算出する残余寿命算出工程とを含む高
温部材の寿命予測方法。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載の高温部材の寿
命予測方法において、前記高温部材と同じ金属を含む複
数の試験体に対して、高温の雰囲気中で一方の試験体に
は無負荷加熱試験を行い、他方の試験体には高温の雰囲
気中でクリープ試験を行う試験工程と、前記他方の試験
体のクリープ試験に要する試験時間と前記他方の試験体
が破断するまでの時間を示すクリープ破断時間との比か
らクリープ損傷率を算出するクリープ損傷率算出工程
と、前記一方の試験体を無負荷試験体としてこの無負荷
試験体に超音波を照射して前記無負荷試験体を伝播する
超音波の速度を前記無負荷試験体の音速値として測定す
る第4の音速値測定工程と、前記他方の試験体をクリー
プ損傷試験体としてこのクリープ損傷試験体に超音波を
照射して前記クリープ損傷試験体を伝播する超音波の速
度を前記クリープ損傷試験体の音速値として測定する第
5の音速値測定工程と、前記クリープ損傷試験体の音速
値と前記未使用材の音速値との比および前記無負荷試験
体の音速値と前記未使用材の音速値との比をそれぞれ前
記クリープ損傷試験及び無負荷試験体の加熱試験時間を
合わせて算出し、同一加熱試験時間における各算出値の
差から音速比増加量を算出する試験体用音速比増加量算
出工程と、クリープ損傷率と前記音速比増加量とから前
記クリープ損傷率と前記音速比増加量との関係を示す線
図を生成する線図生成工程とを含むことを特徴とする高
温部材の寿命予測方法。 - 【請求項4】 請求項1、2または3に記載の高温部材
の寿命予測方法において、前記高温部材は、蒸気タービ
ンのロータまたはケーシングとして構成され、前記ロー
タを構成する高温部材は、CrMoV鍛鋼であり、前記
ケーシングを構成する高温部材は、CrMoV鍛鋼また
は鋳鋼であることを特徴とする高温部材の寿命予測方
法。 - 【請求項5】 請求項1、2、3または4のうちいずれ
か1項に記載の高温部材の寿命予測方法において、前記
高温部材は、C:0.01〜0.4%、Ni:3%以
上、Cr:8〜13%以下、V:1%以下、Nb:0.
5%以下、N:0.1%以下のものを有するとともに、
Mo:3%以下、W:1%以下のうち少なくともいずれ
か一方を含むことを特徴とし、または、Ni:3%以
下、Cr:8〜13%以下、V:1%以下、Nb:0.
5%以下、N:0.1%以下のものを有するとともに、
Mo:3%以下、W:10%以下のうち少なくともいず
れか一方を含むことを特徴とする高温部材の寿命予測方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002074507A JP2003270220A (ja) | 2002-03-18 | 2002-03-18 | 高温部材の寿命予測方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002074507A JP2003270220A (ja) | 2002-03-18 | 2002-03-18 | 高温部材の寿命予測方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003270220A true JP2003270220A (ja) | 2003-09-25 |
Family
ID=29203885
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002074507A Pending JP2003270220A (ja) | 2002-03-18 | 2002-03-18 | 高温部材の寿命予測方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003270220A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8225672B2 (en) | 2009-03-19 | 2012-07-24 | Hitachi, Ltd. | Method for assessing remaining lifespan of bolt used at high temperatures |
-
2002
- 2002-03-18 JP JP2002074507A patent/JP2003270220A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8225672B2 (en) | 2009-03-19 | 2012-07-24 | Hitachi, Ltd. | Method for assessing remaining lifespan of bolt used at high temperatures |
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