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JP2003255416A - 非線形光学素子 - Google Patents

非線形光学素子

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Publication number
JP2003255416A
JP2003255416A JP2002053748A JP2002053748A JP2003255416A JP 2003255416 A JP2003255416 A JP 2003255416A JP 2002053748 A JP2002053748 A JP 2002053748A JP 2002053748 A JP2002053748 A JP 2002053748A JP 2003255416 A JP2003255416 A JP 2003255416A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
opening
ultraviolet light
openings
optical element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002053748A
Other languages
English (en)
Inventor
Ryosuke Namiki
亮介 並木
Kiichi Yoshiara
喜市 吉新
Sadayuki Matsumoto
貞行 松本
Junichiro Hoshizaki
潤一郎 星崎
Masakazu Takabayashi
正和 高林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2002053748A priority Critical patent/JP2003255416A/ja
Publication of JP2003255416A publication Critical patent/JP2003255416A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極形成のために特殊な精密加工を必要とせ
ず、紫外光を照射することのできる紫外光ポーリング用
の非線形光学素子を提供する。 【解決手段】 この非線形光学素子10は、互いに対向
する平板状の第1及び第2の電極1、5と、前記2つの
電極の間に挟み込まれており、コア部3と該コア部を収
容するクラッド部とからなる光導波路2とを備え、少な
くとも一方の前記電極は、前記コア部に光を照射可能な
位置に開口部6を有する。開口部は、複数の開口部から
なることが好ましい。さらに好ましくは、前記開口部を
有する電極と前記光導波路の前記コア部の中心との距離
dは、前記開口部の幅Wと、開口部間の電極5aの幅Z
とによって規定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石英系光導波路を
用いた非線形光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】長距離大容量光通信に用いる光材料の中
にガラスがある。ガラスには、高透明度、高透過波長
域、賦形性といった特徴がある。このガラス材料はその
反転対称性のために、2次の光非線形性を本来持たな
い。2次の光非線形性としては、例えば、第2高調波発
生(Second Harmonic Generat
ion:SHG)や電気光学(Electro−Opt
ic:EO)効果などがあり、光スイッチや光変調器、
あるいは紫外域などの短波長光源として、光波制御に重
要な役割を果たしている。このため、従来、2次光非線
形性を持たないガラス材料の用途は受動的な分野に限ら
れ、2次光非線形性の利用は主にニオブ酸リチウムなど
に代表される単結晶材料がその候補と考えられてきた。
しかし、上記の単結晶材料による結晶デバイスには、ガ
ラス光ファイバ伝送網への異種材料導入に伴う接続性の
困難さ、限られた透過波長域、高コストなど欠点が多
く、ニオブ酸リチウム等の単結晶材料に代わる新材料の
研究開発に対する期待は大きい。
【0003】そこで、結晶レベルの2次光非線形性と、
ガラス本来の高機能特性を併せ持つ光非線形ガラス材料
の創製が試みられている。例えば、本来2次光非線形性
を持たないガラス材料に、2次光非線形性を発現させる
方法としてポーリングと呼ばれる方法がある。ポーリン
グとは、ガラスを励起させた状態で直流電界を加えるこ
とによって、ガラス中の電気双極子集団の配列に巨視的
な異方性を誘起させ、かつ構造中に凍結させることで、
ガラス中に光学的異方性領域をもたせるものである。こ
のポーリングを行う方法として、現在まで種々の方法が
提案されており、その1つは、熱励起と同時に電界を印
加し、ガラス材料に2次非線形性を持たせる熱ポーリン
グである。また別の方法として、紫外光励起と同時に電
界を印加し、ガラス材料に2次非線形性を持たせる紫外
光ポーリングがある。
【0004】まず、熱ポーリング法による非線形光学素
子としては、例えば、X.−C.LongらによってI
EEE Photonics Technology
Letters.,vol.9,No.6,pp.76
7−769,JUNE 1997に示されている熱ポー
リング用非線形光学素子がある。この熱ポーリング用非
線形光学素子60は、図31に示すように、互いに対向
するシリコン基板51と金属薄膜電極55と、このシリ
コン基板51と金属薄膜電極55との間に挟み込んだ光
ファイバ52とを備える。光ファイバ52は、コア部と
該コア部を収容するクラッド部を備え、コア部を挟み、
互いに対向するクラッド部の平坦面でシリコン基板51
と金属薄膜電極52とに当接させている。また、光ファ
イバ52の両側方部分はポリイミド樹脂54が埋め込ま
れている。さらに、金属薄膜電極55はシリコン基板5
1と幅13μmの間隔で平行に配置されており、シリコ
ン基板51は半導体であるため、金属薄膜電極55とシ
リコン基板51とによって電極対を形成することができ
る。なお、光ファイバ52の両側に絶縁層であるポリイ
ミド樹脂54を埋め込むことで、シリコン基板51と金
属薄膜電極55の間に絶縁破壊を起こすことなく6kV
まで直流電圧を印加することが可能である。
【0005】次に、この熱ポーリング用非線形光学素子
60への光非線形性の付与について説明する。光非線形
性の付与の一例について説明すると、例えば、熱ポーリ
ング用非線形光学素子60を温度255℃で加熱しなが
ら、シリコン基板51と金属薄膜電極55の間に直流電
圧5kVを10分間印加することによって行なわれる。
その後に、直流電圧を印加しながら非線形光学素子51
を室温まで冷やす。この熱ポーリングにより、光ファイ
バ52のコア部に電気光学定数0.3pm/Vの非線形
光学領域を形成できる。
【0006】また、紫外光ポーリングによる非線形光学
素子としては、例えば、分光研究第45巻 第6号 2
92頁〜304頁 1996に示されている紫外光ポー
リング用非線形光学素子がある。この紫外光ポーリング
用非線形光学素子70は、図32に示すように、光ファ
イバ62で構成されている。この光ファイバ62のコア
部を挟んで両側には、直径約40μmの穴64が開けら
れ、その穴64には直径約25μmの金属細線電極65
が挿入されている。なお、光ファイバ62のコア部の両
側にあけられた穴64に金属細線電極65を挿入するこ
とで、金属細線電極65が絶縁体である光ファイバ62
のガラス材料に囲まれる構造になり、これによって2本
の金属細線電極65の間に絶縁破壊を起こすことなく1
04V/cm以上の高電界を印加することが容易にでき
る。
【0007】次に、この紫外光ポーリング用の非線形光
学素子70への光非線形性の付与について説明する。光
非線形性の付与の一例について説明すると、例えば、光
ファイバ62の側面に波長0.193μmのArFエキ
シマレーザーをパルスエネルギー密度36mJ/c
、10パルス/秒の照射条件で10分間照射しなが
ら、2本の金属細線電極65の間に直流電圧(100V
〜800V)を印加することによって行なわれる。この
紫外光ポーリングにより、光ファイバ62のコア部に電
気光学定数6pm/Vの非線形光学領域を形成できる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、結晶レ
ベルの2次光非線形性と、ガラス本来の高機能特性を併
せ持つ光非線形ガラス材料は、低損失、高透過波長域、
さらにファイバ化の容易さなど従来にはない優れた特徴
を有する新しい光非線形フォトニクス材料として大いに
期待されている。
【0009】しかし、上記熱ポーリング用非線形光学素
子60では、電気光学定数が低く十分ではない。また、
上記構成のままで紫外光ポーリングを行おうとすると、
光ファイバ52の上下両面はシリコン基板51と金属薄
膜電極55とに覆われており、光ファイバ62に紫外光
を照射できない。また、上記紫外光ポーリング用非線形
光学素子70では、光ファイバ62のコア部の両側にあ
けられた穴64に金属細線電極65を挿入して高電圧を
印加している。しかし、光ファイバ62のコア部の両側
にミクロン単位の径の穴64を開けるには特殊な精密加
工技術を必要とする。
【0010】そこで、本発明の目的は、紫外光ポーリン
グのための電極形成において特殊な精密加工を必要せ
ず、しかもコア部に高効率に紫外光を照射することので
きる紫外光ポーリング用の非線形光学素子を提供するこ
とである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る非線形光学
素子は、互いに対向する平板状の第1及び第2の電極
と、前記2つの電極の間に挟み込まれており、コア部と
該コア部を収容するクラッド部とからなる光導波路とを
備え、少なくとも一方の前記電極は、前記コア部に光を
照射可能な位置に設けられた開口部を有することを特徴
とする。
【0012】また、本発明に係る非線形光学素子は、前
記非線形光学素子であって、前記開口部は、複数の開口
部からなることを特徴とする。
【0013】さらに、本発明に係る非線形光学素子は、
前記非線形光学素子であって、前記光導波路の前記クラ
ッド部は、前記コア部を挟んで互いに平行な第1及び第
2の平坦面を備え、前記第1平坦面の上に前記第1電極
が配置され、前記第2平坦面の上に前記第2電極が配置
されることを特徴とする。
【0014】またさらに、本発明に係る非線形光学素子
は、前記非線形光学素子であって、前記開口部を有する
電極と前記光導波路の前記コア部の中心との距離は、前
記開口部の幅と、開口部間の電極の幅とによって規定さ
れることを特徴とする。
【0015】また、本発明に係る非線形光学素子は、前
記非線形光学素子であって、前記開口部を有する電極と
前記光導波路の前記コア部の中心との距離d(μm)
は、前記開口部の幅W(μm)と、開口部間の電極の幅
Z(μm)と、前記コア部に照射する紫外光の波長λ
(μm)とによって記述される下記の関係式で規定され
ることを特徴とする。 d≧2.895WZ/λ
【0016】さらに、本発明に係る非線形光学素子は、
前記非線形光学素子であって、前記第1及び第2電極
は、互いに平行であって、それぞれ複数の開口部を含む
第1及び第2の開口部を有し、前記第1開口部と第2開
口部とを互いに射影した場合に、前記第1及び第2開口
部の中心は、互いの間に距離を有することを特徴とす
る。
【0017】またさらに、本発明に係る非線形光学素子
は、前記非線形光学素子であって、前記第1開口部と前
記第2開口部とを互いに射影した場合に前記第1及び第
2開口部の中心間の距離は、前記第1及び第2の開口部
と前記光導波路の前記コア部の中心からの距離と、前記
第1及び第2の開口部における開口部の幅及び開口部間
の電極の幅とによって規定されることを特徴とする。
【0018】また、本発明に係る非線形光学素子は、前
記非線形光学素子であって、前記第1開口部の中心と前
記第2開口部の中心との距離hは、前記第1及び第2の
開口部と前記光導波路の前記コア部の中心との距離d、
前記第1及び第2の開口部における開口部の幅W及び開
口部間の電極の幅Zとによって記述される下記の関係式
によって規定されることを特徴とする。 d<3.861×W×Z÷λの場合、 h=(W+Z)÷4 d≧3.861×W×Z÷λの場合、 h=(W+Z)÷2
【0019】さらに、本発明に係る非線形光学素子は、
前記非線形光学素子であって、前記第1電極を支持する
紫外光について透明な平板状の基板をさらに備え、前記
基板と前記光導波路との間に前記第1電極を挟持するこ
とを特徴とする。
【0020】またさらに、本発明に係る非線形光学素子
は、前記非線形光学素子であって、前記光導波路の前記
コア部は、2次光非線形性を有する非線形光学領域を備
えることを特徴とする。
【0021】また、本発明に係る非線形光学素子は、前
記非線形光学素子であって、前記光導波路は、光ファイ
バであることを特徴とする。
【0022】さらに、本発明に係る非線形光学素子は、
前記非線形光学素子であって、前記光導波路は、平面光
波回路であることを特徴とする。
【0023】本発明に係る非線形光学素子の製造方法
は、平板状の第1電極を用意する工程と、前記第1電極
の上に、コア部と該コア部を収容するクラッド部とから
なり、互いに平行な前記クラッド部の第1及び第2平坦
面を有する光導波路を、前記第1平坦面を前記第1電極
に対面させて配置する工程と、前記光導波路の前記クラ
ッド部の第2平坦面の上に平板状の第2電極を形成する
工程と、前記第2電極の上面に、前記光導波路の前記コ
ア部に紫外光を照射可能な位置に開口部を形成する工程
と、前記開口部を介して前記光導波路のコア部に紫外光
を照射しながら、前記第1及び第2の電極との間に電圧
を印加して、前記コア部に光非線形性を有する非線形光
学領域を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0024】本発明に係る非線形光学素子の製造方法
は、紫外光に透明な平板状の基板を用意する工程と、前
記基板の上に平板状の第1電極を形成する工程と、前記
第1電極に第1開口部を形成する工程と、前記第1電極
の上に、コア部と該コア部を収容するクラッド部とから
なる光導波路を、前記クラッド部の第1平坦面を前記第
1電極に対面させて配置する工程と、前記光導波路の前
記クラッド部の第2平坦面の上に平板状の第2電極を形
成する工程と、前記第2電極の上面に第2開口部を形成
する工程と、前記第1及び第2の開口部を介して前記光
導波路のコア部にそれぞれ紫外光を照射しながら、前記
第1及び第2の電極との間に電圧を印加して、前記コア
部に光非線形性を有する非線形光学領域を形成する工程
とを含むことを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態に係る非線形
光学素子について、添付図面を用いて説明する。なお、
実質的に同一の部材には同一の符号を付している。
【0026】実施の形態1.本発明の実施の形態1に係
る非線形光学素子について、図1から図9を用いて説明
する。この非線形光学素子10は、図1の断面図に示す
ように、互いに対向させた平板状の第1及び第2電極
1、5間に光ファイバ2を挟み込んでおり、高電界を効
率的に印加することができる。また、一方の電極5の上
面には、外部から紫外光を光ファイバ2のコア部3に照
射できる位置に開口部6が設けられている。これによ
り、光ファイバ2のコア部3に電界を印加しながら、紫
外光を照射する紫外光ポーリングによって、光非線形性
を有する光学的異方性領域を形成することができる。こ
の非線形光学素子10は、図32に示す紫外光ポーリン
グ用非線形光学素子と比較すると、コア部3を挟む平板
状の第1及び第2電極を通常の薄膜電極と同様に形成で
きるので、特殊な精密加工を必要としない点で優れてい
る。さらに、平板状の電極1、5間にコア部3を挟み込
んでいるので、安定して効率的に高電界を印加できる点
で優れている。
【0027】この非線形性光学素子10の詳細な構成に
ついて説明する。この非線形光学素子10は、平板状の
シリコン基板1と、該シリコン基板1と平行に対向させ
て配置された平板状の金属薄膜電極5と、該シリコン基
板1と薄膜電極5との間に挟みこまれた光ファイバ2と
を備える。この光ファイバ2は、コア部3を挟んで互い
に平行な2つの平坦面を有しており、それぞれの平坦面
でシリコン基板1及び薄膜電極5と当接している。この
平坦面は、コア部3とシリコン基板1の表面までの距離
が5μmになるように、そして、全体の厚さが20μm
になるまでクラッド部の一部が平滑に研磨されている。
さらに、薄膜電極5の上面には、光ファイバ2のコア3
の長手方向に平行に延在する2本の開口部6が形成され
ている。また、この2本の開口部の間に電極5aが画成
されている。なお、光ファイバ2は、シリコン基板1の
上面にポリイミド樹脂4aを用いて取り付けられ、さら
に、両側面に埋め込まれたポリイミド樹脂4によって固
定されている。
【0028】この非線形光学素子10は、平板状の金属
薄膜電極5の上面に紫外光をコア部3に照射可能な位置
に開口部6を設けているので、紫外光ポーリングを行う
ことができる。この開口部の配置について概説する。こ
の非線形光学素子10では、金属薄膜電極5の上面にコ
ア部3に紫外光を照射可能な位置に2つの開口部6を形
成している。開口部6の形状はスリット状であるが、こ
れに限られない。また、この2つの開口部6の間に電極
5aを画成している。なお、この電極5aの位置は、コ
ア部3を挟んでシリコン基板1と対向する位置としてい
る。この非線形光学素子10では、互いに対向するシリ
コン基板1と電極5aとの間にコア部3を挟んでいるの
で、コア部3に高電界を効率的に印加することができ
る。この2つの開口部6を介して紫外光を光ファイバ2
に照射すると、光ファイバ2の内部で紫外光は干渉し、
干渉紫外光を光ファイバ2のコア部3に照射することが
できる。このように開口部6を形成した金属薄膜電極5
の外側から紫外光を光ファイバ2のコア部3に照射しな
がら、シリコン基板1と金属薄膜電極5の間に直流電圧
を印加することで、光ファイバ2のコア内に光非線形性
を有する光学的異方性領域(非線形光学領域)を形成で
きる。
【0029】次に、この非線形光学素子10の製造方法
を、図2を用いて以下に説明する。 (a)まず、平板状のシリコン基板1の上面に光ファイ
バ2を接着するためのポリイミド樹脂4aをスピンコー
トにより塗布する(図2(a))。 (b)その後、研磨機を用いてクラッド部を削って平坦
部を形成し、断面形状をD字型にした光ファイバ2を、
該平坦部をシリコン基板1の上面に接着する(図2
(b))。 (c)120℃と170℃でそれぞれ5分ずつ加熱する
ことによってポリイミド樹脂4aを硬化させる。 (d)次に、光ファイバ2の両側を埋め込むためのポリ
イミド樹脂4をスピンコートにより塗布する(図2
(c))。 (e)120℃と170℃でそれぞれ10分ずつに加熱
してポリイミド樹脂4を硬化させる。さらに、非線形光
学素子1を350℃で1時間加熱してポリイミド樹脂4
を硬化させる。 (f)次に、光ファイバ2とポリイミド樹脂4とを研磨
する(図2(d))。 (g)そして、金属蒸着装置で平板状の金属薄膜電極5
を光ファイバ2の上面に形成する(図2(e))。 (h)最後に、写真製版技術を用いて金属薄膜電極5に
2本の開口部6を形成し、開口部6の間に電極5aを画
成させる。この電極5aの位置は、コア部3を挟んでシ
リコン基板と対向する位置とする(図2(f))。
【0030】なお、ポリイミド4a、4をスピンコート
により塗布したが、へらで塗布してもよい。また、光フ
ァイバ2をシリコン基板1に接着するためにポリイミド
樹脂4aを用いたが、絶縁物であれば別の接着剤を用い
てもよい。さらに、光ファイバ2の両側を埋め込むため
にポリイミド樹脂4を用いたが、絶縁物であれば別の樹
脂を用いてもよい。なお、光ファイバ2のクラッド層を
研磨して平坦面を形成する場合には研磨しすぎて光ファ
イバ2のコア部3を削らないように注意する必要があ
る。
【0031】次に、この非線形光学素子10に紫外光ポ
ーリングによって光非線形性を付与する方法について説
明する。この非線形光学素子10への非線形性の付与
は、コア部3を挟んでいる平板状のシリコン基板1と金
属薄膜電極5の間に直流電圧を印加しながら、金属薄膜
電極5に形成した開口部6を介して紫外光レーザである
ArFレーザーをコア部3に照射する紫外光ポーリング
により行った。ここで、ArFレーザーの波長を0.1
93μm、繰り返し周波数を10Hz、入射パワーを3
60mJ/cmとした。また、照射時間を15分間と
し、シリコン基板1と金属薄膜電極5の間の印加電圧を
5kVとした。なお、シリコン基板1と金属薄膜電極5
の間に電圧を6kV印加した時に、初めて絶縁破壊が起
こった。
【0032】さらに、作製した非線形光学素子10への
紫外光ポーリングにより発現する2次非線形性を定量的
に評価する評価方法について説明する。この非線形光学
素子10の2次非線形性の評価として、図3に示す測定
系を用いて電気光学効果であるポッケルス効果の測定を
行った。この測定系は、He−Neレーザ(波長λ
pt=633nm)を用いたマッハ・ツェンダ光学干渉
計である。まず概略を説明すると、レーザ光を2分割し
た2つの光路の一方に非線形光学素子10を配置し、通
過する光を2次非線形性に起因する電気光学効果により
変調させ、その後、2分割した他方の光と干渉させて干
渉光の強度から電気光学効果を測定する。そして、その
結果から2次光非線形性を評価する。さらに詳細に説明
すると、この測定系では、He−Neレーザ(波長λ
opt=633nm)光源31から出射したレーザ光
は、偏光子32で偏光面を直線にされ、次いで、ビーム
スプリッタ33で2分割される。2分割された光のう
ち、一方はレンズ34で集光され、上記非線形光学素子
10の光ファイバ2を通る。この時、非線形光学素子1
0の上部の電極5,5aとシリコン基板1とを互いに対
向する電極として電源35により電圧を印加する。これ
によって非線形光学素子10の光ファイバ2を通過する
光を変調する。その後、非線形光学素子10を出射した
光を焦点を広げるレンズ36を介してミラー37aで光
路を変化させ、ビームスプリッタ38に導く。2分割さ
れた他方の光は、ミラー37bで光路を変化させた後、
ビームスプリッタ38で分割された一方の光と干渉させ
てパワーメータ39に導き、干渉光の光強度を測定す
る。
【0033】この非線形光学素子10における光非線形
性の評価のための電気光学定数の測定結果について説明
する。この非線形光学素子10では、図3の測定系にお
いて、光ファイバ2の上下面の距離t=20μm、光フ
ァイバ2の長さL=4cmの時に、TEモードの入射光
に対し、π位相差を与える電圧Vπは9.5Vであっ
た。この場合、2つの光路間で生じる位相差Γは、光路
長をL、屈折率変化をΔnとした場合に下記式(1)で
表わされる。 Γ=(2π/λ)ΔnL (1) また、この場合にポッケルス効果によって生じる屈折率
変化Δnは、変化前の屈折率n、電気光学定数r、外部
電界E(0)により、下記式(2)で表わされる。 Δn=−(1/2)nrE(0) (2) となる。このnは光ファイバ2の屈折率で、n=1.4
58である。そこで、Γ=π、外部電界E(0)=Vπ
/tであるので、電気光学定数rは、下記式(3)で表
わされる。電気光学定数rは、上記式によって算出さ
れ、その結果、電気光学定数rは10.7pm/Vであ
った。 r=(λopt×t)/(n×L×Vπ) (3)
【0034】次に、この非線形光学素子10の金属薄膜
電極5に設ける開口部6に関する詳細な設計について、
図4から図9を用いて説明する。まず、図4の部分断面
図に示すように、この非線形光学素子では、開口部6を
介して紫外光をコア部3に照射して紫外光ポーリングを
行う。また、上述の通り、コア部3の中心の真上に電極
5aを配置している。これによってコア部3を挟んで電
極5aとシリコン基板1とを配置でき、コア部3に電圧
を効果的に印加できる。この場合に複数の開口部から入
射した紫外光は、光ファイバ2内で互いに干渉し合い、
干渉した紫外光がコア部3に照射される。この開口部6
は、2つの開口部に限られず2以上の開口部を設けても
よい。例えば、図4に示すように、6つの開口部を設け
てもよい。この図4では、金属薄膜電極5の面に沿って
x軸をとり、コア部3の真上をx=0とし、右方向をx
軸の正方向とする。また、金属薄膜電極5からコア部3
の中心方向に向ってy軸をとり、金属薄膜電極5の面を
y=0の面とし、コア部3の中心への方向をy軸の正方
向とする。開口部6の幅をW、電極5aの幅をZとす
る。さらに、金属薄膜電極5と光ファイバ2のコア部3
の中心との距離をdとする。
【0035】さらに、図4の開口部6のパターンの場合
にコア部で得られる紫外光強度の分布について説明す
る。まず、図4の開口部パターンの場合に、紫外光を開
口部6を介して入射させた直後の紫外光強度分布の一例
を図5に示した。この場合、開口部6の数を6個とし、
開口部6の幅W=1μm、開口部間の電極の幅Z=1μ
m、金属薄膜電極5とコア部3の中心との間の距離d=
15μm、紫外光波長λ=0.193μmとする。複数
の開口部6に入射直後の紫外光は、図5に示すように、
開口部の間隔に応じた光強度分布を有し、6本のピーク
を有している。
【0036】次に、図4の開口部パターンの場合に、紫
外光が開口部6に入射後、コア部の中心を含む面におけ
る紫外光強度分布を図6に示した。開口部6から入射し
た紫外光は干渉し合い、コア部の中心を含む面(y=
d)では、光強度は11本のピークを有する。また、図
6で、x=0のとき、すなわち、電極5aの中心の真下
にある光ファイバ2のコア部3の中心に照射される紫外
光強度と、x=Wのとき、すなわち、光ファイバ2のコ
ア部3で、開口部の中心の真下の部分に照射される紫外
光強度はほぼ同一の値を示している。したがって、光フ
ァイバ2のコア部3に照射される出力光強度は、若干の
山谷差を含むが、ほぼ均一な値とすることができる。ま
た、電極5aの中心の真下にあるコア部3の中心にも紫
外光が照射されるので、シリコン基板1と電極5aの間
の印加電界分布と紫外光強度分布とを重ねることがで
き、高効率の紫外光ポーリングができる。ここでは、紫
外光強度分布の幅は10μm程度であるが、紫外光強度
分布の幅を光ファイバ2のコア幅より大きくとり、コア
部3を覆うように開口部6のパターンを設計することが
望ましい。
【0037】そこで、上記の結果に基いて、図4の開口
部6のパターンに対する金属薄膜電極5と光ファイバ2
のコア部の中心の距離dとの詳細な条件について検討す
る。まず、コア部3の中心を含む面、すなわちy=dの
面において、コア部3の中心(x=0)での紫外光強度
が、x=Wの箇所の紫外光強度以上の値をとる距離dの
範囲をシミュレーション計算を行なった。その結果、紫
外光波長λを一定にしたときの、コア部3中心(x=
0)のときの紫外光強度とx=Wの箇所の紫外光強度が
一致する距離dは、図7に示すように、(開口部の幅
W)×(電極5aの幅Z)についてほぼ比例している。
距離dがこの直線より大きくなると、コア部中心(x=
0)のときの紫外光強度は、x=Wの箇所の紫外光強度
より大きくなる。したがって、コア部中心(x=0)で
の紫外光強度がx=Wの箇所に比べてそれ以上となる距
離dの範囲は、比例直線の傾きをpとして、dと(W×
Z)の関係を表すと、下記式(4)で表わされる。 d≧p×W×Z (4)
【0038】上記式(4)で、紫外光波長がλ=0.1
93μmの場合、比例定数はp=15となり、λ=0.
386μmの場合、比例定数はp=10となり、λ=
0.579μmの場合、比例定数はp=5となる。
【0039】さらに、図7の比例定数pの紫外光波長λ
に対する関係を図8に示す。図8から、比例定数pとλ
は反比例の関係にあり、下記式(5)で表される。 p=2.895÷λ (5)
【0040】以上の結果から、式(5)を式(4)に代
入することで、電極5と光ファイバ2のコア部3との中
心の距離d(μm)は、開口部の幅W(μm)と、電極
5aの幅Z(μm)、そして紫外光波長をλ(μm)に
対して、下記式(6)で表わされる。 d≧2.895×W×Z÷λ (6)
【0041】この式(4)を満たす距離dの範囲におい
て、電極5aの中心の真下にある光ファイバ2のコア部
3の中心に紫外光を照射することができる。これによっ
て、シリコン基板1と電極5aの間の印加電界分布と紫
外光強度分布を重ねることができ、高効率の紫外光ポー
リングができる。
【0042】さらに、式(6)について、距離dは光フ
ァイバ2のコア部3の中心からクラッド部の外側表面ま
での距離R(μm)より小さいので、下記式(7)のよ
うに距離dには上限R(μm)が規定される。この式
(7)で規定される範囲が距離dの最適範囲である。 R≧d≧2.895×W×Z÷λ (7)
【0043】しかし、電極5aと光ファイバ2のコア部
の中心の距離dが大きくなると、シリコン基板1と金属
薄膜電極5の間に印加される電界(V/d)が小さくな
るので、dは、式(7)の範囲内でなるべく小さくする
ことが望ましい。そこで、式(7)を変形して、下記式
(8)を得る。この式(8)は開口部の幅Wと、開口部
間の電極の幅Zとについて条件と考えることができる。 W×Z≦3.45×10−1×R×λ (8)
【0044】次に、上記式(6)について、検証を行な
った結果について説明する。まず、開口部の幅はW=1
μm、開口部間の電極の幅はZ=1μmにそれぞれ固定
し、距離dについて、d=5μm、10μm、15μm
の3通りの非線形光学素子10を作製した。この非線形
光学素子10を用いて、シリコン基板1と金属薄膜電極
5の間に直流電圧を印加しながら、ArFレーザーを照
射して、紫外光ポーリングを行った。ここで、紫外光レ
ーザーの波長λを0.193μm、繰り返し周波数を1
0Hz、入射パワーを100mJ/cmとした。紫外
光の照射時間を15分間とし、同時にシリコン基板1と
金属薄膜電極5の間の印加電圧を5kVとした。
【0045】さらに、上記紫外光ポーリングにより発現
する2次の光非線形性を定量的に評価するために、図3
に示す測定系を用いて上述のように電気光学効果の測定
を行った。得られた電気光学定数と、金属薄膜電極5と
光ファイバ2のコア部の中心の距離dとの関係を図9に
示す。TEモードの入射光に対し、距離d=5μmの場
合、電気光学定数は3.95pm/Vであるのに対し、
距離d=15μmの場合には電気光学定数は10.7p
m/Vになり、d=5μmの場合と比較して約2.71
倍の値が得られた。この距離d=15μmの場合には、
図7に示すように、コア部3の中心(x=0)でx=W
の箇所と同じ光強度となる。さらに、距離d=18μm
の場合には、電機光学定数は12.0pm/Vが得られ
た。なお、得られる電気光学定数の値は距離dが大きく
なるにつれて増加しているが、増加率は次第に減少して
いる。
【0046】この非線形光学素子10によって、以下の
効果が得られる。即ち、この非線形光学素子10では、
光ファイバ2のコア部3を挟んで互いに対向する第1及
び第2電極1、5を配置しているので、コア部3に高電
界を印加することができる。また、第2電極5に設けた
開口部6を介して紫外光をコア部3に照射することがで
きる。この複数の開口部6から入射させた紫外光は光フ
ァイバ2の内部で干渉し、電極5aの真下のコア部3の
中心に紫外光を照射することができる。これにより、光
ファイバ2のコア部3に紫外光を集光でき、紫外光の直
接照射と比較して、ほぼ同等の強度の紫外光照射ができ
る。さらに、上下の第1及び第2電極1、5の間で光フ
ァイバ2の側面に埋め込まれたポリイミド樹脂4によ
り、高電界印加時の絶縁破壊がなくなり、最大6kVま
で印加することができる。
【0047】実施の形態2.本発明の実施の形態2に係
る非線形光学素子について、図10から図26を用いて
説明する。この非線形光学素子20は、実施の形態1に
係る非線形光学素子と比較すると、図10の斜視図に示
すように、第1電極7を支持する紫外光に透明な基板2
1をさらに備え、該基板21と光ファイバ2との間に第
1電極7を挟持している点で相違する。また、第1及び
第2電極7、5は、それぞれ第1及び第2開口部8、6
を有し、第1開口部8と第2開口部6のそれぞれの開口
部パターンとを互いに射影した場合にずれを有する点に
おいても相違する。換言すれば、第1及び第2開口部
8、6を互いに射影した場合に、開口部の中心が一致せ
ず、一定の距離を有する。これによって、第1電極7に
設けられた第1開口部8を介して入射された紫外光と、
第2電極5の第2開口部6を介して入射された紫外光と
を互いに干渉させてコア部3の中心を含む面でほぼ均一
な光強度の紫外光を照射させることができる。
【0048】この非線形光学素子20について、さらに
具体的な構成について説明する。この非線形光学素子2
0では、実施の形態1に係るシリコン基板に代えて紫外
光に透明な基板21と金属薄膜電極7とによって光ファ
イバ2を支持している。即ち、この非線形光学素子20
は、石英基板21と、この石英基板21の上面に形成さ
れた第1電極である金属薄膜電極7と、該金属薄膜電極
7の上に貼り付けられた光ファイバ2と、該光ファイバ
2の上に形成された第2電極である金属薄膜電極5とを
備える。第1電極である金属薄膜電極7は、第1開口部
8が設けられ、開口部間に電極7aが画成される。ま
た、第2電極である金属薄膜電極5は、第2開口部6が
設けられ、開口部間に電極5aが画成される。第1及び
第2開口部8、6は、いずれも光ファイバ2の長手方向
に延在させている。さらに、光ファイバ2は、側面部を
ポリイミド樹脂を埋め込まれ、第1及び第2電極8、6
間に固定され、電極間の絶縁性を確保している。また、
第1及び第2開口部8、6の開口部のパターンについ
て、互いに射影した場合に、所定距離のずれを有してい
る。なお、第1開口部8及び第2開口部6の開口部パタ
ーンについての詳細な検討については後述する。
【0049】次に、非線形光学素子20の製造方法につ
いて、図11を用いて説明する。 (a)まず、石英基板21の上面に金属蒸着装置で第1
電極となる金属薄膜電極7を形成する(図11
(a))。 (b)次に、写真製版技術を用いて金属薄膜電極7に電
極7aと開口部8を形成する(図11(b))。 (c)その次に、光ファイバ2を接着するためのポリイ
ミド樹脂4aをスピンコートにより金属薄膜電極7の上
面に塗布する。その後の工程は、以下に示すように実施
の形態1に係る非線形光学素子の場合と同じである。 (d)その後、研磨機を用いてクラッド部を削って平坦
部を形成し、断面形状をD字型にした光ファイバ2を、
該平坦部で金属薄膜電極7の上面に接着する(図11
(c))。 (e)120℃と170℃でそれぞれ5分ずつ加熱する
ことによってポリイミド樹脂4aを硬化させる。 (f)次に、光ファイバ2の両側を埋め込むためのポリ
イミド樹脂4をスピンコートにより塗布する(図11
(d))。 (g)120℃と170℃でそれぞれ10分ずつに加熱
することでポリイミド樹脂4を硬化させる。さらに、非
線形光学素子1を350℃で1時間加熱することで、ポ
リイミド樹脂4を硬化させる。 (h)次に、光ファイバ2とポリイミド樹脂4とを研磨
する(図11(e))。 (i)そして、金属蒸着装置で第2電極となる金属薄膜
電極5を光ファイバ2の上面に形成する(図11
(f))。 (j)最後に、写真製版技術を用いて金属薄膜電極5に
2本の開口部6を形成し、開口部6の間に電極5aを画
成する。この電極5aがコア部3の直上に位置するよう
に開口部6を形成する(図11(g))。
【0050】なお、ポリイミド樹脂4a、4をスピンコ
ートにより塗布したが、これに限られず、例えば、へら
で塗布してもよい。また、光ファイバ2をシリコン基板
1に接着するためにポリイミド樹脂4aを用いたが、絶
縁物であれば別の接着剤を用いてもよい。さらに、光フ
ァイバ2の両側を埋め込むためにポリイミド樹脂4a、
4を用いたが、絶縁物であれば別の樹脂を用いてもよ
い。
【0051】次に、この非線形光学素子20に紫外光ポ
ーリングを行って光非線形性を付与する手順について説
明する。まず、この非線形光学素子20の光ファイバ2
を上下で挟んでいる第1及び第2電極7、5に形成され
た第1開口部8と第2開口部6を通して互いに反対方向
からコア部3に紫外光を照射しながら、コア部3を挟み
込んでいる第1及び第2電極7、5間に直流電圧を印加
して、紫外光ポーリングを行う。この場合に、第1開口
部8と第2開口部6とを互いに射影した場合にそれぞれ
の開口部の中心は、互いに所定距離のずれを有する。そ
こで、互いに反対方向から照射する紫外光について、光
ファイバ2のコア部3の径にわたる紫外光の光強度の山
谷を互いに相殺させることができる。これによって、紫
外光ポーリングによってコア部3の径にわたって形成さ
れる光非線形性を表わす電気光学定数分布の山谷を相殺
し、光ファイバ2のコア部3の電気光学定数分布を平坦
にすることができる。すなわち、コア部の径にわたって
均一な光非線形性を付与することができる。
【0052】さらに、この非線形光学素子20の紫外光
ポーリングについて説明する。この紫外光ポーリングで
は、第1及び第2開口部8、6を介して互いに反対方向
から紫外光を照射して、光ファイバ2のコア部3の径に
わたって紫外光の光強度の山谷を相殺させている。この
非線形光学素子20の紫外光ポーリングのモデルを図1
2に示す。この場合、第1及び第2開口部8、6の開口
部の数はそれぞれ6個とし、開口部の幅Wと、開口部間
に画成される電極7a,5aの幅Zはそれぞれ同一とす
る。また、それぞれ、W=1μm、Z=1μmとし、紫
外光の波長をλ=0.193μmとする。図12に示す
例において、第2開口部6を介して紫外光をコア部3に
照射する場合に、第2開口部6に入射直後の紫外光強度
分布を図13に示す。また、コア部3の中心を含む面
(y=d)において、第2開口部6を介して入射した紫
外光の光強度分布を図14に示す。この図13及び図1
4は、実質的に図5及び図6の光強度分布と同じであ
る。
【0053】一方、石英基板21の裏面から第1開口部
8を介して紫外光をコア部3に照射する場合に、第1開
口部8に入射直後の紫外光強度分布を図15に示す。ま
た、コア部3の中心を含む面(y=d)において、第1
開口部8を介して入射した紫外光の光強度分布を図16
に示す。この第1開口部8の中心と第2開口部6の中心
とは距離hだけずれている。ここでは、h=0.5μm
である。そのため、この図15及び図16は、図13及
び図14の光強度分布と距離hだけずれている以外は同
一形状を有している。
【0054】そこで、第1及び第2開口部8、6を介し
て互いに反対方向から紫外光を照射した場合には、コア
部3の中心を含む面(y=d)で得られる紫外光の光強
度分布は、図17に示すように、図14の光強度分布と
図16の光強度分布とを重ね合わせて得られる。この図
17と図14とを比較すると、図17の方がコア部3の
径方向にわたってより平坦な光強度分布を示している。
したがって、紫外光を第1及び第2開口部8、6を介し
て互いに反対方向から紫外光を照射する方が、光ファイ
バ2のコア部3の径方向にわたってより均一な非線形光
学領域を形成することができる。
【0055】さらに、第1及び第2開口部8、6の開口
部パターンの詳細な条件について説明する。具体的に
は、第2開口部6によって画成される電極5aの中心と
第1開口部8によって画成される電極7aの中心との距
離hと、電極7a、5aと光ファイバ2のコア部3の中
心との距離d(μm)との関係について検討する。電極
7a、5aの幅Zと開口部の幅Wが一定であっても、電
極7a、5aと光ファイバ2のコア部3の中心との距離
d(μm)によって、紫外光強度分布が異なる。そのた
め、電極5aと第2開口部6のパターンに対する第1開
口部8のパターン中心と、開口部6の中心との距離hを
距離dに応じて変えなくてはならない。まず、図12の
構成と比較すると、開口部8、6を構成する開口部の数
を4個とする点で異なる。それ以外の構成は、開口部の
幅W、電極7a,5aの幅ZのそれぞれをW=Z=1μ
mとし、紫外光波長λ=193nmとしている点で図1
2の構成と同一である。また、距離dについては、d=
15μmとd=30μmの2通りの場合を考える。ま
ず、紫外光を第2開口部6に入射直後の紫外光強度分布
を図18に示す。また、紫外光を第2開口部6に入射し
た場合に、コア部3の中心を含む面(y=d)に現れる
紫外光強度分布を距離dのそれぞれについて図19に示
す。
【0056】また、電極5aとコア部3の中心との距離
dについて、コア部の中心を含む面(y=d)で現れる
紫外光の光強度分布について検討する。まず、第1開口
部6に入射直後では、図18に示すように、入力光強度
の谷はx=2×nの位置に現れる。一方、コア部の中心
を含む面(y=d)では、図19に示すように、出力光
強度の谷がx=n+0.5(d=15μmの場合)、x
=2×n+1(d=30μmの場合)の位置にそれぞれ
現れる(nは整数)。したがって、d=15μmの時は
出力光強度の谷が1μm周期で現れるのに対して、d=
30μmの時は出力光強度の谷が2μm周期で現れる。
光ファイバ2のコアに形成される電気光学定数分布の山
谷比を相殺させるためには、第1及び第2開口部8、6
の開口部のパターンを四半周期分、あるいは半周期分ず
らせておくことが必要となる。そこで、d=15μmの
場合には第1開口部8によって画成される電極7aの中
心と第2開口部6の開口部で画成される電極5aの中心
との距離をh=0.5μmとする必要がある。一方、d
=30μmの場合には第1開口部8の開口部で画成され
る電極7aの中心と第2開口部6の開口部で画成される
電極5aとの距離をh=1μmとする必要がある。
【0057】次に、第2開口部8と第1開口部6とを互
いに射影した場合に、開口部の中心間の距離hをh=
0.5μmとした場合に、紫外光を第2開口部8に入射
した場合、コア部3の中心を含む面(y=d=15)に
現れる紫外光強度分布を図20に示す。第1開口部を介
して入射した紫外光の場合、図19のd=15μmの場
合に示すように、x=n+0.5の位置に出力光強度の
谷が現れている。一方、図20では、x=n+0.5の
位置に出力光強度の山が現れている。したがって、図1
9のd=15μmの時の紫外光強度分布と図20の紫外
光強度分布は半周期ずれているため、光ファイバ2の上
下に形成された第1開口部8と第2開口部6を通して紫
外光を照射することで、光ファイバ2のコア部3に形成
される電気光学定数分布の山谷比を相殺することができ
る。そこで、図19の出力光強度分布と図20の出力光
強度分布とを重ね合わせた、コア部3の中心を含む面
(y=d=15)における紫外光強度分布を図21に示
す。この場合には、図21に示すように、図19におけ
る出力光強度の谷と、図20における出力光強度の山が
相殺し、ほぼ平坦な出力光強度分布が得られている。
【0058】さらに、第1及び第2開口部8、6の条件
等を変えた変形例について、図22から図26を用いて
説明する。この変形例では、第1及び第2開口部8、6
の開口部の数を相違させるとともに、第1及び第2電極
7、5とコア部3との距離dを30μmとしている。具
体的には、第1開口部6の開口部の数を5個とし、第2
開口部の開口部の数を4個としている。第1開口部8の
中心と第2開口部6の中心との距離h=1μmとし、紫
外光を第1開口部8に入射した時に、コア部3を含む面
(y=d=30)に現れる紫外光強度分布を図22に示
す。なお、第2開口部6を介して入射した紫外光のコア
部3を含む面(y=d=30)に現れる紫外光強度分布
は、図19でd=30μmで表わされている。図19の
d=30μmの場合には、x=2×n+1に出力光強度
の谷が現れているのに対して、図22では、x=2×n
+1に出力光強度の山が現れている。すなわち、図19
のd=30μmの場合の紫外光強度分布と図22の紫外
光強度分布は半周期ずれている。そこで、光ファイバ2
の上下に形成された第1開口部8と第2開口部6を通し
て照射することで、光ファイバ2のコアに形成される電
気光学定数分布の山谷比を相殺することができる。この
場合のコア部3を含む面(y=d=30)に現れる紫外
光強度分布は、図23に示すように、図19のd=30
μmの時の出力光強度と図20の出力光強度を重ね合わ
せたものである。図23では、図19のd=30μmの
時の出力光強度の谷と、図22の出力光強度の山が相殺
し、ほぼ平坦な出力光強度分布が得られている。
【0059】そこで、第1及び第2開口部8、6を互い
に射影した場合に、それぞれの開口部の中心間の最適な
距離hについて、図24から図26を用いて検討する。
上記の2つの例では、距離dに応じて第1及び第2開口
部8、6の中心間の最適な距離hはそれぞれ異なる値を
とる。即ち、距離d=15μmの場合、開口部の中心間
距離h=0.5μm、距離d=30μmの場合、開口部
の中心間距離h=1.0μmである。この場合、開口部
8、6の開口部の幅Wと、開口部間の電極7a,5aの
幅Zは、それぞれW=Z=1μmなので、hの値として
は、 h=(W+Z)÷4 h=(W+Z)÷2 の2通りに記述できる。そこで、任意のdの値に対し
て、光ファイバ2のコア部3の中心を含む面(y=d)
における紫外光強度分布の山谷差を最も小さくする開口
部8の中心と開口部6の中心との距離hを導出する。図
12で、開口部の幅Wと開口部間に画成される電極の幅
Zについて、W=Z=1μmとし、紫外光波長λ=0.
193μmとした場合について検討する。この場合に、
開口部の中心間の距離hを、h=(W+Z)÷4=0.
5μmと、h=(W+Z)÷2=1μmとの2つの場合
における、紫外光強度の山谷差のdに対する依存性を図
24に示す。図24から、d≦18μmの範囲ではh=
0.5μmの方が山谷差が小さいのに対して、d≧19
μmの範囲ではh=1μmの方が山谷差が小さい。この
時、h=(W+Z)÷4の山谷差とh=(W+Z)÷2
の山谷差が等しくなるdをdとする。
【0060】次に、開口部の幅Wと開口部間の電極の幅
Zを変化させた場合において、h=(W+Z)÷4の山
谷差とh=(W+Z)÷2の山谷差が等しくなるd
ついて検討する。紫外光波長λを一定にしたときの、d
の(W×Z)に対する依存性を図25に示す。図25
から、dと(W×Z)はほぼ比例関係にあることがわ
かる。この直線の傾きをqとして、dと(W×Z)の関
係を表すと、下記式(9)で表わされる。 d=q×W×Z (9) この式(9)で、λ=0.193μmの場合、q=20
となり、λ=0.386μmの時q=10となり、λ=
0.579μmの時p=6.667となる。さらに、図
25の直線の傾きqの紫外光波長λに対する依存性を図
26に示す。図26から、比例直線の傾きqとλは反比
例関係にあることがわかる。この傾きqとλとの関係
は、下記式(10)で表される。 q=3.861÷λ (10) そこで、式(10)を式(9)に代入して下記式(1
1)が得られる。 d=3.861×W×Z÷λ (11)
【0061】この式(11)は、開口部の中心間の最適
な距離hを場合分けする距離dを表わしている。即
ち、距離dが、この式(11)で表されるdの値より
小さい場合には、開口部の中心間の距離hが(W+Z)
/4の場合に山谷差がより小さくなる。一方、距離dが
以上の場合には、開口部の中心間の距離hが(W+
Z)/2の場合に山谷差がより小さくなる。そこで、開
口部の中心間の最適な距離hは、dの値に応じて場合分
けされ、下記式(12)又は式(13)で表わされる。 d<3.861×W×Z÷λの場合 h=(W+Z)÷4 (12) d≧3.861×W×Z÷λの場合 h=(W+Z)÷2 (13) このように第1及び第2開口部8、6の中心を最適な距
離hに配置することで、コア部3の中心を含む面(y=
d)の光強度分布における山谷差を相殺し、平坦な光強
度分布とすることができる。
【0062】実際に、紫外光ポーリングを行った非線形
光学素子20の第1電極である金属薄膜電極7aと第2
電極である金属薄膜電極7aとの間に変調電圧をかけな
がら、光ファイバ2のコア部3の屈折率測定を行った。
なお、開口部の幅W及び開口部間の電極の幅ZとをW=
Z=1μmに固定した。その結果、式(12)、(1
3)を満たさない(d,h)=(15,1)(30,
0.5)の場合には、光ファイバ2のコア部3の屈折率
分布は不均一になる。一方、式(12)、(13)を満
たす(d,h)=(15,0.5)(30,1)の場合
には、光ファイバ2のコア部の電気光学定数分布は平坦
になった。以上のように、第1開口部8の中心と第2開
口部6の中心とを上記式(12)又は(13)を満たす
所定距離hに配置しておき、この第1及び第2開口部
8、6を介して互いに反対方向から紫外光を照射するこ
とによって、光ファイバ2のコア部3の径方向にわたっ
て電気光学定数分布を平坦にすることができる。
【0063】実施の形態3.本発明の実施の形態3に係
る非線形光学素子について図27及び図28を用いて説
明する。図27に記載の非線形光学素子10aは、実施
の形態1に係る非線形光学素子と比較すると、開口部6
の複数の開口部を光ファイバ2の長手方向に沿って配列
し、それぞれの開口部は光ファイバ2の長手方向に垂直
な方向にわたって延在させている点で相違する。この場
合にも実施の形態1に係る非線形光学素子と同様の効果
が得られる。また、図28に記載の非線形光学素子10
bは、実施の形態1に係る非線形光学素子と比較する
と、電極5aと開口部6とが市松模様を構成している点
で相違する。このように開口部6を市松模様に形成して
も実施の形態1と同様の効果を奏する。さらに、開口部
6を市松模様にすることで、光ファイバ2の長手方向と
垂直方向の両方向における電気光学定数分布を一定にす
ることができる。
【0064】実施の形態4.本発明の実施の形態4に係
る非線形光学素子について図29を用いて説明する。こ
の非線形光学素子30は、実施の形態1から3に係る非
線形光学素子と比較すると、光導波路として、光ファイ
バではなく、平面光波回路(PlanarLightw
ave Circuit)を用いている点で相違する。
このように平面光波回路を用いた場合でも実施の形態1
に係る非線形光学素子の場合と同様の効果を奏する。具
体的には、この非線形光学素子30は、シリコン基板1
と、該シリコン基板1上に形成された下部クラッド層4
1と、下部クラッド層41上に形成されたコア部42
と、コア部42上に形成された上部クラッド層43と、
上部クラッド層43の上に形成された金属薄膜電極5と
を備える。この金属薄膜電極5には、コア部42の長手
方向に沿って平行に延在する2本の開口部を有する開口
部6を備える。2本の開口部の間には電極5aがコア部
42の真上に配置されている。
【0065】次に、この平面光波回路を用いた非線形光
学素子30の製造方法を図30を用いて説明する。 (a)シリコン基板1の上面にプラズマ化学気相成長法
を用いてアンダークラッド膜41を形成する(図30
(a))。 (b)次に、アンダークラッド膜41の上面にプラズマ
化学気相成長法を用いてコア膜42を形成する(図30
(b))。 (c)さらに、エッチング法を用いてコア膜42を導波
路形状に形成する(図30(c))。 (d)次いで、プラズマ化学気相成長法を用いてアンダ
ークラッド膜41とコア部42の上面にオーバークラッ
ド膜43を形成する(図30(d))。 (e)また、金属蒸着装置で金属薄膜電極5をコア42
を有する石英薄膜の上面に形成する(図30(e))。 (f)最後に、写真製版技術を用いて金属薄膜電極5
に、コア42の上部に電極5aを残存させるように、コ
ア部42の長手方向に平行に延在する2本の開口部6を
形成する(図30(f))。この製造方法によれば、光
ファイバを用いる場合と比較して、光ファイバの両端に
ポリイミド樹脂を埋め込む工程を設ける必要がないの
で、容易に非線形光学素子30を作製できるという効果
がある。
【0066】なお、この非線形光学素子では、実施の形
態1と同様に、電圧5Vを印加しながら、波長193n
mの紫外光レーザーを、繰り返し周波数を10Hz、入
射パワーを360mJ/cmで15分間照射して紫外
光ポーリングを行った場合、10.71pm/Vの電気
光学定数が得られた。
【0067】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係る非線
形光学素子によれば、互いに対向する第1及び第2電極に
光導波路を挟み込み、2つの電極の少なくとも一方に開
口部を設けている。この構成によって、開口部を介して
光導波路のコア部に紫外光を照射しながら、第1及び第
2電極の間に電圧を印加して紫外光ポーリングを行なう
ことができる。また、光ファイバのコア部を挟んで互い
に対向する電極を配置しているので、コア部に高電界を
印加することができる。
【0068】また、本発明に係る非線形光学素子によれ
ば、開口部は複数の開口部を備えているので、コア部の
真上に位置する電極を開口部間に画成することができ
る。これによって、コア部を上下に挟んで高電界を印加
することができる。また、複数の開口部から紫外光を入
射させ、干渉させることで電極の真下のコア部にも紫外
光を照射することができる。
【0069】さらに、本発明に係る非線形光学素子によ
れば、光導波路の互いに平行な2つの平坦面でそれぞれ
第1及び第2電極と当接させている。これにより、光導
波路を安定して支持することができるとともに、開口部
を介して光導波路の内部に直接に紫外光を入射すること
ができる。
【0070】またさらに、本発明に係る非線形光学素子
によれば、開口部を有する電極とコア部の中心との距離
は、開口部の幅と開口部間の電極の幅とによって規定さ
れる。この電極とコア部との距離を所定範囲にすること
によってコア部の中心を含む面において、コア部の中心
の紫外光強度を大きくすることができる。
【0071】また、本発明に係る非線形光学素子によれ
ば、開口部を有する電極とコア部の中心との距離dは、
開口部の幅Wと開口部間の電極の幅Zとによって記述さ
れる所定の関係式で規定される。この電極とコア部との
距離dを所定範囲にすることによってコア部の中心を含
む面において、コア部の中心の紫外光強度を大きくする
ことができる。
【0072】さらに、本発明に係る非線形光学素子によ
れば、第1及び第2電極はそれぞれ第1及び第2開口部
を有し、それぞれの開口部を互いに射影した場合に、そ
れぞれの開口部の中心は距離を有する。このようにそれ
ぞれの開口部のパターンをずらせておくことにより、第
1及び第2開口部を介して互いに反対方向から紫外光を
入射した場合に、コア部の中心を含む面で紫外光強度の
山谷を互いに相殺させることができる。これによって、
紫外光強度分布を平坦にすることができる。
【0073】またさらに、本発明に係る非線形光学素子
によれば、第1及び第2の開口部の中心間の距離は、開
口部とコア部の中心との距離、開口部の幅及び開口部間
の電極の幅とによって規定される。第1及び第2の開口
部の中心を上記規定される距離に配置しておくことによ
り、コア部の中心を含む面で紫外光強度分布の山谷差を
相殺することができる。これによって、紫外光強度分布
を平坦にすることができる。
【0074】また、本発明に係る非線形光学素子によれ
ば、第1及び第2の開口部の中心間の距離hは、開口部
とコア部の中心との距離d、開口部の幅W及び開口部間
の電極の幅Zとによって記述される所定の関係式で規定
される。第1及び第2の開口部の中心を上記規定される
距離に配置しておくことにより、コア部の中心を含む面
で紫外光強度分布の山谷差を相殺することができる。こ
れによって、紫外光強度分布を平坦にすることができ
る。
【0075】さらに、本発明に係る非線形光学素子によ
れば、第1電極を支持する紫外光について透明な基板を
さらに備えている。この紫外光に透明な基板の裏面から
第1開口部を介して紫外光を照射することができる。
【0076】またさらに、本発明に係る非線形光学素子
によれば、コア部は2次光非線形性を有する非線形光学
領域を備えているので、上下から挟み込んでいる第1及
び第2電極の間に電圧を印加することで電気光学効果を
生じさせることができる。
【0077】また、本発明に係る非線形光学素子によれ
ば、光導波路に光ファイバを用いているので、容易に構
成することができる。
【0078】さらに、本発明に係る非線形光学素子によ
れば、光導波路に平面光波回路を用いているので、光フ
ァイバのクラッド部を研磨する必要もなく、また、光フ
ァイバを固定する樹脂を用いる必要がないので、さらに
容易に構成することができる。
【0079】本発明に係る非線形光学素子の製造方法に
よれば、第2電極に開口部を設け、該開口部を介して紫
外光を照射しながら、第1及び第2電極の間に電圧を印
加して紫外光ポーリングを行っている。これによってコ
ア部に高効率に非線形光学領域を形成することができ
る。
【0080】本発明に係る非線形光学素子の製造方法に
よれば、第1及び第2電極にそれぞれ第1及び第2開口
部を設け、該第1及び第2開口部を介して紫外光を入射
しながら第1及び第2電極の間に電圧を印加して紫外光
ポーリングを行っている。これによってコア部の中心を
含む面における紫外光強度分布の山谷を相殺し、平坦に
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係る非線形光学素子
10を示す断面図である。
【図2】 (a)〜(f)は、本発明の実施の形態1に
係る非線形光学素子10の製造方法の各工程を示す断面
図である。
【図3】 マッハ・ツェンダ型干渉計を用いた電気光学
定数の測定系を示すブロック図である。
【図4】 紫外光が開口部6を通り光ファイバ2のコア
部で干渉するモデルを示した図である。
【図5】 紫外光を開口部6に入射した直後の紫外光強
度分布の一例を示すグラフである。
【図6】 図5に示す紫外光強度分布をもつ紫外光が開
口部6に入射した時の、コア部の中心を含む面(y=
d)における紫外光強度分布を示すグラフである。
【図7】 紫外光波長λを一定にしたときの、コア部の
中心を含む面(y=d)において、x=0のときの紫外
光強度とx=Wのときの紫外光強度とが互いに一致する
dの(開口部6の幅W)×(電極5aの幅Z)に対する
依存性を示したグラフである。
【図8】 図7の比例直線の傾きpの紫外光波長λに対
する依存性を示すグラフである。
【図9】 電気光学定数の金属薄膜電極5と光ファイバ
2のコア部の中心との距離dに対する依存性を示したグ
ラフである。
【図10】 本発明の実施の形態2に係る非線形光学素
子の構成を示す斜視図である。
【図11】 (a)〜(g)は、本発明の実施の形態2
に係る非線形光学素子の製造方法の各工程を示した断面
図である。
【図12】 紫外光が開口部6を通り光ファイバ2のコ
ア部で干渉するモデルを示す部分断面図である。
【図13】 紫外光を第2開口部6に入射直後の紫外光
強度分布の一例を示すグラフである。
【図14】 図12に示す開口部の開口部パターンにつ
いて、紫外光を入射した時に、コア部の中心を含む面
(y=d)上に現れる紫外光強度分布を示したグラフで
ある。
【図15】 紫外光を第1開口部8に入射直後の紫外光
強度分布の一例を示したグラフである。
【図16】 図12の構成により、紫外光強度分布をも
つ紫外光を入射した時に、図12のコア部の中心を含む
面(y=d)の上に現れる紫外光強度分布を示したグラ
フである。
【図17】 図14の光強度分布と図16の光強度分布
とを重ね合わせたグラフである。
【図18】 紫外光を開口部6に入射した直後の紫外光
強度分布を示したグラフである。
【図19】 図18に示す紫外光強度分布をもつ紫外光
を入射した場合に、図12でコア部の中心を含む面(y
=d)の上に現れる紫外光強度分布を示したグラフであ
る。
【図20】 第1開口部8の中心と第2開口部6の中心
との距離h=0.5μmとして、紫外光を第1開口部8
に入射した場合に、コア部の中心を含む面(y=d=1
5)の上に現れる紫外光強度分布を示した図である。
【図21】 図19のd=15μmの場合の出力光強度
分布と、図20の出力光強度分布とを重ね合わせた出力
光強度を示した図である。
【図22】 第1開口部8と第2開口部6の中心間距離
h=1μm、第1開口部8の数を5個として、紫外光を
開口部8に入射した時に、y=30平面上に現れる紫外
光強度分布を示した図である。
【図23】 図19のd=30μmの時の出力光強度と
図20の出力光強度とを重ね合わせた紫外光強度分布を
示した図である。
【図24】 紫外光強度の山谷差のdに対する依存性を
示したグラフである。
【図25】 紫外光波長λを一定にしたときの、d0の
(W×Z)に対する依存性を示したグラフである。
【図26】 図25の比例直線の傾きqの紫外光波長λ
に対する依存性を示したグラフである。
【図27】 本発明の実施の形態3に係る非線形光学素
子の構成を示す斜視図である。
【図28】 本発明の実施の形態3に係る別の例の非線
形光学素子の構成を示す斜視図である。
【図29】 本発明の実施の形態4に係る非線形光学素
子の構成を示す斜視図である。
【図30】 (a)〜(f)は、本発明の実施の形態4
に係る非線形光学素子の製造方法の各工程を示す断面図
である。
【図31】 従来の熱ポーリング用の非線形光学素子の
構成を示す断面図である。
【図32】 従来の紫外光ポーリング用の非線形光学素
子の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板、2 光ファイバ、3 コア部、4、
4a ポリイミド樹脂、5,5a 薄膜電極、6、8
開口部(スリット)、7,7a 薄膜電極、10,10
a、10b、20、30 非線形光学素子、21 石英
基板、31 He−Neレーザー、32 偏光子、33
ビームスプリッタ、34 集光レンズ、35 電極、
36 レンズ、37a、37b ミラー、38 ビーム
スプリッタ、39 パワーメータ、41 下部クラッド
層、42 コア層、43 上部クラッド層、51 基
板、52 光ファイバ、54 ポリイミド樹脂、55
薄膜電極、60、70 光非線形素子、62 光ファイ
バ、64 穴、65 電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 貞行 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 星崎 潤一郎 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 高林 正和 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 2K002 AA02 AB09 AB12 CA15 DA10 EA08 FA27 HA14

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに対向する平板状の第1及び第2の
    電極と、 前記2つの電極の間に挟み込まれており、コア部と該コ
    ア部を収容するクラッド部とからなる光導波路とを備
    え、 少なくとも一方の前記電極は、前記コア部に光を照射可
    能な位置に設けられた開口部を有することを特徴とする
    非線形光学素子。
  2. 【請求項2】 前記開口部は、複数の開口部からなるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の非線形光学素子。
  3. 【請求項3】 前記光導波路の前記クラッド部は、前記
    コア部を挟んで互いに平行な第1及び第2の平坦面を備
    え、 前記第1平坦面の上に前記第1電極が配置され、前記第
    2平坦面の上に前記第2電極が配置されることを特徴と
    する請求項1又は2に記載の非線形光学素子。
  4. 【請求項4】 前記開口部を有する電極と前記光導波路
    の前記コア部の中心との距離は、前記開口部の幅と、開
    口部間の電極の幅とによって規定されることを特徴とす
    る請求項1から3のいずれか一項に記載の非線形光学素
    子。
  5. 【請求項5】 前記開口部を有する電極と前記光導波路
    の前記コア部の中心との距離d(μm)は、前記開口部
    の幅W(μm)と、開口部間の電極の幅Z(μm)と、
    前記コア部に照射する紫外光の波長λ(μm)とによっ
    て記述される下記の関係式で規定されることを特徴とす
    る請求項1から3のいずれか一項に記載の非線形光学素
    子。 d≧2.895WZ/λ
  6. 【請求項6】 前記第1及び第2電極は、互いに平行で
    あって、それぞれ複数の開口部を含む第1及び第2の開
    口部を有し、 前記第1開口部と第2開口部とを互いに射影した場合
    に、前記第1及び第2開口部の中心は、互いの間に距離
    を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一
    項に記載の非線形光学素子。
  7. 【請求項7】 前記第1開口部と前記第2開口部とを互
    いに射影した場合に前記第1及び第2開口部の中心間の
    距離は、前記第1及び第2の開口部と前記光導波路の前
    記コア部の中心からの距離と、前記第1及び第2の開口
    部における開口部の幅及び開口部間の電極の幅とによっ
    て規定されることを特徴とする請求項6に記載の非線形
    光学素子。
  8. 【請求項8】 前記第1開口部の中心と前記第2開口部
    の中心との距離hは、前記第1及び第2の開口部と前記
    光導波路の前記コア部の中心との距離d、前記第1及び
    第2の開口部における開口部の幅W及び開口部間の電極
    の幅Zとによって記述される下記の関係式によって規定
    されることを特徴とする請求項6に記載の非線形光学素
    子。 d<3.861×W×Z÷λの場合、 h=(W+Z)÷4 d≧3.861×W×Z÷λの場合、 h=(W+Z)÷2
  9. 【請求項9】 前記第1電極を支持する紫外光について
    透明な平板状の基板をさらに備え、 前記基板と前記光導波路との間に前記第1電極を挟持す
    ることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記
    載の非線形光学素子。
  10. 【請求項10】 前記光導波路の前記コア部は、2次光
    非線形性を有する非線形光学領域を備えることを特徴と
    する請求項1から9のいずれか一項に記載の非線形光学
    素子。
  11. 【請求項11】 前記光導波路は、光ファイバであるこ
    とを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載
    の非線形光学素子。
  12. 【請求項12】 前記光導波路は、平面光波回路である
    ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記
    載の非線形光学素子。
  13. 【請求項13】 平板状の第1電極を用意する工程と、 前記第1電極の上に、コア部と該コア部を収容するクラ
    ッド部とからなり、互いに平行な前記クラッド部の第1
    及び第2平坦面を有する光導波路を、前記第1平坦面を
    前記第1電極に対面させて配置する工程と、 前記光導波路の前記クラッド部の第2平坦面の上に平板
    状の第2電極を形成する工程と、 前記第2電極の上面に、前記光導波路の前記コア部に紫
    外光を照射可能な位置に開口部を形成する工程と、 前記開口部を介して前記光導波路のコア部に紫外光を照
    射しながら、前記第1及び第2の電極との間に電圧を印
    加して、前記コア部に光非線形性を有する非線形光学領
    域を形成する工程とを含む非線形光学素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 紫外光に透明な平板状の基板を用意す
    る工程と、 前記基板の上に平板状の第1電極を形成する工程と、 前記第1電極に第1開口部を形成する工程と、 前記第1電極の上に、コア部と該コア部を収容するクラ
    ッド部とからなる光導波路を、前記クラッド部の第1平
    坦面を前記第1電極に対面させて配置する工程と、 前記光導波路の前記クラッド部の第2平坦面の上に平板
    状の第2電極を形成する工程と、 前記第2電極の上面に第2開口部を形成する工程と、 前記第1及び第2の開口部を介して前記光導波路のコア
    部にそれぞれ紫外光を照射しながら、前記第1及び第2
    の電極との間に電圧を印加して、前記コア部に光非線形
    性を有する非線形光学領域を形成する工程とを含む非線
    形光学素子の製造方法。
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