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JP2003255104A - 透明積層フィルム及びその製造方法 - Google Patents

透明積層フィルム及びその製造方法

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Publication number
JP2003255104A
JP2003255104A JP2002058269A JP2002058269A JP2003255104A JP 2003255104 A JP2003255104 A JP 2003255104A JP 2002058269 A JP2002058269 A JP 2002058269A JP 2002058269 A JP2002058269 A JP 2002058269A JP 2003255104 A JP2003255104 A JP 2003255104A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
layer
transparent
ito
metal oxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002058269A
Other languages
English (en)
Inventor
Osamu Sakakura
治 坂倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2002058269A priority Critical patent/JP2003255104A/ja
Publication of JP2003255104A publication Critical patent/JP2003255104A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスティックフィルムからなる基材上、若
しくは炭素を含む酸化物薄膜を介した上に、ITO(イ
ンジウム錫酸化物)層を設けた透明積層フィルムにおい
て、外光反射を十分に低減した反射防止機能を備え、且
つITO層の黄色味を減らして、可視光透過性(視感度
透過率)を向上した透明積層フィルム及びその製造方法
を提供することを目的とする。 【解決手段】 透明積層フィルム1は、基材2上、若し
くは炭素を含む酸化物薄膜を介した上に、透明な金属酸
化物膜3を有する積層体で、該金属酸化物膜3は屈折率
が1.9〜2.1(波長λ=550nm)且つ膜厚が1
0〜200nmであるITO層3であり、該金属酸化物
膜3は、複数回の繰返し成膜を行なって、下地層の含有
炭素成分がITO層内への混入を抑制し、透過色相をL
**色座標において、a*=−2.0〜1.0、b*
−1.0〜3.0とすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスティックフ
ィルムからなる基材上、若しくは炭素を含む酸化物薄膜
を介した上に、透明な金属酸化物膜を有する透明積層フ
ィルムに関するもので、特に基材上に少なくとも透明な
金属酸化物膜を有する反射防止膜を設けた反射防止フィ
ルムに関する。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイ、プラズマディスプレ
イ、CRTなどのコンピューター、ワープロ、テレビ、
表示板等に使用される各種ディスプレイや、計器等の表
示体、バックミラー、ゴーグル、窓ガラスなどには、ガ
ラスやプラスチックなどの透明な基板が使用されてい
る。そして、それらの透明な基板を通して、文字や図形
その他の情報を読み取るため、透明な基板の表面で光が
反射すると、それらの情報が読み取り難くなるという欠
点がある。
【0003】それに対して、現在は、上記欠点を解決す
るために、基材と、ハードコート層と、互いに、屈折率
の異なる複数の薄層を積層することにより形成される積
層体から成る反射防止フィルムを用い、該反射防止フィ
ルムを前記透明な基板表面に貼ることにより、光の反射
を防止することが行なわれている。その反射防止フィル
ムの代表的な構成は、透明基材フィルム上に、帯電防止
等のために酸化インジウム錫(錫をドープしたIn23
で、ITOと呼ばれる)等の透明導電性薄膜を積層し、
さらにその上に反射防止のために透明導電性薄膜よりも
屈折率の低い、低屈折率薄膜、例えばSiO2の薄膜を
形成したものが挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
透明基材フィルム上に、すなわちプラスティックフィル
ム上に、若しくは炭素を含有する酸化物薄膜(SiO2
薄膜)を介して、ITO層を形成した場合に、ITO層
の下地となるプラスティックフィルム、若しくは炭素を
含有する酸化物薄膜(SiO2薄膜)から、遊離した炭
素がITO層に混入して、黄変することで、可視光の透
過性が低下するという問題がある。それに対し、ITO
層を真空蒸着法やスパッタリング法、プラズマCVD
法、熱CVD法、光CVD法等の化学気相蒸着法(Ch
emical VaporDeposition法、C
VD法)を形成する際に、印加電力を下げたり、酸素流
量を増加させたりする手法が用いられていた。ところ
が、上記の手法では、製造条件における制約となり、効
率的に製造できなく、また安定した品質を有する反射防
止膜が形成できない問題がある。
【0005】したがって、本発明は、上記の課題を解決
すべく、プラスティックフィルムからなる基材上、若し
くは炭素を含む酸化物薄膜を介した上に、ITO(イン
ジウム錫酸化物)層を設けた透明積層フィルムにおい
て、外光反射を十分に低減した反射防止機能を備え、且
つITO層の黄色味を減らして、可視光透過性(視感度
透過率)を向上した透明積層フィルム及びその製造方法
を提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の透明積層フィル
ムは、上記の課題を解決するために、請求項1におい
て、プラスティックフィルムからなる基材上、若しくは
炭素を含む酸化物薄膜を介した上に、透明な金属酸化物
膜を有する構造であり、該金属酸化物膜は屈折率が1.
9〜2.1(波長λ=550nm)且つ膜厚が10〜2
00nmであるITO(インジウム錫酸化物)層である
ことを特徴とする。また、請求項2として、請求項1に
記載する金属酸化物薄膜は、複数回の繰返し成膜を行な
い、下地層の含有炭素成分がITO(インジウム錫酸化
物)層内への混入を抑制し、透明積層フィルムにおける
透過色相がLa**色座標において、a*=−2.0〜
1.0、b*=−1.0〜3.0となることを特徴とす
る。
【0007】請求項3として、前記請求項1または2に
記載する基材上に屈折率が1.5〜1.8(波長λ=5
50nm)且つ膜厚が10〜200nmである酸化シリ
コン層である酸化物薄膜を介して、金属酸化物膜、屈折
率が1.4〜1.6(波長λ=550nm)且つ膜厚が
10〜200nmである酸化シリコン層をこの順に積層
したことを特徴とする。また請求項4として、前記請求
項1または2に記載する基材上に、金属酸化物膜、屈折
率が1.4〜1.6(波長λ=550nm)且つ膜厚が
10〜200nmである酸化シリコン層の順に積層し
た、或いは基材上に、上記金属酸化物膜、酸化シリコン
層、金属酸化物膜、酸化シリコン層をこの順に積層した
ことを特徴とする。
【0008】請求項5として、前記請求項1〜4のいず
れか一つに記載する基材と、該基材上に設けた層、すな
わち反射防止膜との間にハードコート層が形成されてい
ることを特徴とする。請求項6として、前記請求項1〜
5のいずれか一つに記載する透明積層フィルムの反射防
止膜の最表面に防汚層が形成されていることを特徴とす
る。また、請求項7として、前記請求項1〜6のいずれ
か一つに記載する基材が一軸または二軸延伸ポリエステ
ルフィルム、或いはトリアセチルセルロースフィルムで
あることを特徴とする。
【0009】請求項8として、本発明の透明積層フィル
ムの製造方法は、プラスティックフィルムからなる基材
上、若しくは炭素を含む酸化物薄膜を介した上に、透明
な金属酸化物膜を有する透明積層フィルムの製造方法に
おいて、該金属酸化物膜は屈折率が1.9〜2.1(波
長λ=550nm)且つ膜厚が10〜200nmである
ITO(インジウム錫酸化物)層であり、該金属酸化物
膜は、複数回の繰返し成膜を行なって、下地層の含有炭
素成分がITO(インジウム錫酸化物)層内への混入を
抑制し、透明積層フィルムにおける透過色相をLa**
色座標において、a*=−2.0〜1.0、b*=−1.
0〜3.0とすることを特徴とする。
【0010】上記に製造方法により得られる透明積層フ
ィルムは、プラスティックフィルムからなる基材上、若
しくは炭素を含む酸化物薄膜を介した上に、透明な金属
酸化物膜として、屈折率が1.9〜2.1(波長λ=5
50nm)且つ膜厚が10〜200nmであるITO層
を形成する時、ITO層を2層以上の多層とすること
で、複数回の繰返し成膜を行なって、下地層の含有炭素
成分がITO(インジウム錫酸化物)層内への混入を抑
制できる。すなわち、下地層と隣接したITO層には、
下地層の含有炭素成分が混入してくるが、その混入した
層の上に、別のITO層があり、膜として別になってい
るため、炭素成分が上に積層したITO層には移行しに
くい。これによって、下地層から遊離した炭素がITO
層に混入して、黄変することを抑制でき、得られる透明
積層フィルムにおける透過色相をLa**色座標におい
て、a*=−2.0〜1.0、b*=−1.0〜3.0の
範囲に収められ、外光反射を十分に低減した反射防止機
能を備え、且つ可視光透過性(視感度透過率)を向上し
た透明積層フィルム、つまり反射防止フィルムを安定し
た品質を維持して、製造することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、詳細に説
明する。図1は、本発明の透明積層フィルム1である一
つの実施形態を示し、プラスティックフィルムからなる
基材2上に、透明な金属酸化物膜であるITO(インジ
ウム錫酸化物)層3を設けたものである。また図2は本
発明の透明積層フィルム1である他の実施形態を示し、
プラスティックフィルムからなる基材2上に、炭素を含
む酸化物薄膜4を設け、さらに酸化物薄膜4の上に、透
明な金属酸化物膜であるITO層3を設けたものであ
る。図1では、基材2上に、ITO層3のみの透明積層
膜5が形成されているが、図2では基材2上に、酸化物
薄膜4とITO層3からなる透明積層膜5が設けられて
いる。
【0012】また、図3は本発明の透明積層フィルム1
である他の実施形態を示し、プラスティックフィルムか
らなる基材2上に、透明な金属酸化物膜であるITO
(インジウム錫酸化物)層3を3層重ねて積層したもの
であり、この場合、ITO層31、ITO層32、IT
O層33と、3回繰返し成膜を行なって、ITO層を3
層構成にして、下地層(基材2)の含有炭素成分がIT
O層3内、特にITO層32、ITO層33への混入を
抑制したものである。この例では、ITO層を3層構成
にしたが、これに限定されない。図4は、本発明の透明
積層フィルム1である他の実施形態を示し、プラスティ
ックフィルムからなる基材2上に、炭素を含む酸化物薄
膜4としての酸化シリコン層、透明な金属酸化物膜であ
るITO層3、酸化シリコン層41を順次積層した構成
である。この構成は、基材2上に、酸化シリコン層4、
ITO層3、酸化シリコン層41からなる反射防止膜5
が形成されたものである。
【0013】図5は本発明の透明積層フィルム1である
他の実施形態を示し、プラスティックフィルムからなる
基材2上に、ハードコート層6、透明な金属酸化物膜で
あるITO層3、炭素を含む酸化物薄膜としての酸化シ
リコン層41を順次形成した構成で、言い換えれば、基
材2上に、ハードコート層6を介して、ITO層3と酸
化シリコン層41からなる反射防止膜5を設けた透明積
層フィルム1である。図6は、本発明の透明積層フィル
ム1である他の実施形態を示し、プラスティックフィル
ムからなる基材2上に、ITO層3、酸化シリコン層4
1、ITO層3、酸化シリコン層42、防汚層7を順次
形成したもので、基材2上に、ITO層3、酸化シリコ
ン層41、ITO層3、酸化シリコン層42からなる反
射防止膜5と防汚層7を順次設けたものである。
【0014】まず、本発明の透明積層フィルムを構成す
る各層について、説明する。 (基材)本発明の透明積層フィルムの基材2は、プラス
ティックフィルムが用いられ、透明性が必要であるが、
例えば、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチル
セルロースフィルム、アセテートブチレートセルロース
フィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリアクリ
ル系フィルム、ポリウレタン系フィルム、ポリエステル
フィルム、ポリカーボネイトフィルム、ポリスルホンフ
ィルム、ポリエーテルフィルム、トリメチルペンテンフ
ィルム、ポリエーテルケトンフィルム、アクリロニトリ
ルフィルム、メタクリロニトリルフィルム等が挙げられ
る。さらには、無色透明のフィルムがより好ましく使用
できる。中でも、一軸または二軸延伸ポリエステルフィ
ルムが透明性、耐熱性に優れ、好適に用いられ、光学異
方性のない点でトリアセチルセルロースも好適に用いら
れる。プラスティックフィルムの厚みは、通常は6μm
〜188μm程度のものが好適に用いられる。
【0015】(金属酸化物膜)本発明の透明積層フィル
ムは、上記基材上に、透明な金属酸化物膜3を有する構
造であり、該金属酸化物膜は波長λ=550nmにおけ
る屈折率が1.9〜2.1であり、且つその膜厚が10
〜200nmであるITO(インジウム錫酸化物)層で
ある。金属酸化物薄膜は、インジウム錫酸化物の材料
を、複数回の繰返し成膜により、2層以上、好ましくは
2層以上4層以下で、ITO層を重ねて積層することが
望ましい。それは、ITO層の下地層であるプラスティ
ックフィルム基材、あるいは酸化物薄膜(酸化シリコン
層)に含有する炭素成分がITO層内へ混入してくるこ
とを抑制する。すなわち、下地層と隣接したITO層に
は、下地層の含有炭素成分が混入してくるが、その混入
した層の上に、別のITO層があり、膜として別になっ
ているため、炭素成分が上に積層したITO層には移行
しにくいからである。上記のように、下地層から遊離し
た炭素がITO層に混入して、ITO層全体が黄変する
ことなく、得られる透明積層フィルムにおける透過色相
をLa**色座標において、a*=−2.0〜1.0、
*=−1.0〜3.0の範囲に収められ、可視光透過
性(視感度透過率)を向上したものとなる。
【0016】透明な金属酸化物膜であるITO層は、試
料温度を25℃として、波長λ=550nmにおける屈
折率をJIS K 7105に基づいて測定し、それが
1.9〜2.1である。屈折率が1.9〜2.1の範囲
は、一般的に高屈折率であり、後で説明する低屈折率で
ある酸化シリコン層と組み合わせて、透明積層フィルム
を構成することができる。ITO層は、プラスティック
フィルム基材上に、上記のように屈折率と膜厚を所定の
範囲に収めるように、形成できれば、その薄膜の形成方
法は特に限定するものではない。例えば、真空蒸着法や
スパッタリング法、プラズマCVD法、熱CVD法、光
CVD法等の化学気相蒸着法(Chemical Va
por Deposition法、CVD法)や、ゾル
ゲル法等のウェットコーティング等の方法を用いること
ができる。但し、プラスティックフィルム基材上に、I
TO層を2層以上積層できるものが望ましい。
【0017】多層からなるITO層の膜厚は、多層の全
部合計した状態におけるITO層で10〜200nmで
あるが、多層を構成するITO層の個別の1つ、1つの
ITO層は平均的な膜厚が好ましく、例えば3層から成
るITO層では、各ITO層の個別の膜厚は、総合厚み
の約3分の1ずつに分けて形成することが好ましい。上
記ITO層の膜厚が、少なすぎると、多層を均一に形成
することが困難となり、また一方で膜厚が多すぎると、
層の圧力により基材変形や層剥がれの発生する場合があ
り好ましくない。
【0018】(酸化物薄膜)本発明の透明積層フィルム
は、プラスティックフィルムからなる基材上で、炭素を
含む酸化物薄膜4を介した上に、ITO層を設けること
ができる。この酸化物薄膜は、プラスティック基材と透
明な金属酸化物膜のITO層との密着性を高めたり、基
材側の表面性を制御することができる。この酸化物薄膜
として利用できるものは、酸化シリコン層、酸フッ化ケ
イ素層、炭素含有酸化シリコン層や、Al23、Si
N、SiONや、ZrO2、SiO2、ZnO2の微粒子
を酸化シリコン層に分散したもの等を挙げることができ
る。また、酸化物薄膜は必ずしも一層である必要もなく
複数の異なった層を積層して全体として、屈折率を1.
5〜1.8程度となるような層構成とすることにより当
該積層膜を酸化物薄膜とすることも可能である。ITO
層の下地層となる酸化物薄膜は、特に酸化シリコン層を
用いることが好ましく、酸化シリコン層の組成は単純に
SiOxであるよりも、炭素を含有する酸化シリコン層
となるSiOxCyを用いる。それは、酸化シリコン層
に炭素を含有させることにより、屈折率を1.5〜1.
8のように、屈折率を所望の範囲に調整することが容易
にできるからである。
【0019】酸化物薄膜は、プラスティックフィルム基
材上に、形成できれば、その薄膜の形成方法は特に限定
するものではない。例えば、真空蒸着法やスパッタリン
グ法、プラズマCVD法、熱CVD法、光CVD法等の
化学気相蒸着法(Chemical Vapor De
position法、CVD法)や、ゾルゲル法等のウ
ェットコーティング等の方法を用いることができ、その
膜厚は10〜200nm程度である。その膜厚が少なす
ぎると、プラスティックフィルム基材とITO層との密
着性を向上させる効果がほとんど期待できなくなり、ま
た膜厚が多すぎると、層の圧力により基材変形や層剥が
れの発生する場合があり好ましくない。
【0020】(酸化シリコン層)上記に基材と直接に接
する酸化物薄膜の説明を行なったが、透明積層フィルム
の基材側から見て、ITO層の外側に、屈折率が1.4
〜1.6(波長λ=550nm)且つ膜厚が10〜20
0nmである酸化シリコン層41、42を設けることが
望ましい。この酸化シリコン層の低屈折率(1.4〜
1.6)を生かして、高屈折率のITO層との組み合わ
せにより、外光反射を十分に低減した反射防止機能を備
えた積層フィルムを構成できる。尚、酸化シリコン層の
形成方法、その膜厚については、上記の酸化物薄膜の場
合と同様である。この酸化シリコン層として、利用でき
るものは、酸化シリコン層(酸化シリコン以外の不純物
が少ない)、フッ化マグネシウム層、酸フッ化ケイ素層
等を挙げることができる。
【0021】(ハードコート層)ハードコート層6は、
本発明の透明積層フィルムに強度をもたせることを目的
として形成される。ハードコート層を形成するための材
料は、プラスティックフィルム基材と同様に可視光域で
透明な材料であって、透明積層フィルムに強度をもたせ
ることができるものが必要であり、その強度としては、
JIS K5400で示す鉛筆硬度試験で「H」以上の
硬度を示すことが好ましい。
【0022】具体的には、熱硬化型樹脂及び/又は電離
放射線硬化型樹脂を用いることが好ましく、さらに具体
的には、アクリレート系の官能基をもつもの、例えば、
比較的低分子量のポリエステル、ポリエーテル、アクリ
ル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、アルキッド樹
脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン、ポリチオ
ールポリエン系樹脂、多価アルコール等の多官能化合物
の(メタ)アクリレート(以下、アクリレートとメタア
クリレートとを(メタ)アクリレートと記載する。)等
のオリゴマー又はプレポリマー及び反応性の希釈剤であ
るエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、N−ビ
ニルピロリドン等の単官能モノマー、並びに多官能モノ
マー、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、へキサンジオール(メタ)アクリレート、ト
リプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリ
スリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサ
ンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリ
コールジ(メタ)アクリレート等を比較的多量に含むも
のが使用される。
【0023】更に、上記の電離放射線硬化型樹脂を紫外
線硬化型樹脂として使用するときは、これらの中に光重
合開始剤として、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフ
ェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミ
ロキシムエステル、チオキサントン類や、光増感剤とし
てn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブ
チルホスフィン等を混合して使用することが好ましい。
【0024】上記の電離放射線硬化型樹脂には、一般式
RmSi(OR′)nで表される反応性有機ケイ素化合物
(式中のR、R′は炭素数1〜10のアルキル基を表
し、m+n=4であり、そしてm及びnはそれぞれ整数
である。)を含ませることもできる。このようなケイ素
化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テト
ラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラ
ン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブト
キシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ
−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシ
ラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テト
ラペンタ−n−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−
ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラ
ン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチル
トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチ
ルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラ
ン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラ
ン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラ
ン、へキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0025】以上のようなハードコート層の膜厚は、通
常1〜30μmの範囲であり、その形成方法は、通常の
コーティング方法を用いることが可能であり、特に限定
されるものではない。ハードコート層の厚みが薄すぎる
と、その上に形成する各層の硬度を維持できなくなり、
また厚すぎると、透明積層フィルム全体のフレキシブル
さを低下させ、また、硬化に時間がかかる等、生産効率
の低下をまねく。
【0026】(防汚層)本発明の透明積層フィルムに
は、最上層に、反射防止フィルムの上面の汚染を防止す
るための防汚層7を設けてよい。防汚層は、ディスプレ
イパネルの前面に配置した反射防止フィルムにごみや汚
れが付着するのを防止し、あるいは付着しても除去しや
すくするために形成される。具体的には、反射防止機能
を低下させない範囲で、フッ素系界面活性剤等の界面活
性剤、フッ素系樹脂を含む塗料、シリコーンオイル等の
剥離剤、もしくはワックス等をごく薄く塗布し、余剰分
を拭い除去しておく。防汚層は、恒久的な層として形成
してもよいが、必要の都度、塗布して形成してもよい。
防汚層の厚みは、1〜10nm程度が好ましい。その形
成方法は、通常のコーティング方法を用いることが可能
であり、特に限定されるものではない。
【0027】本発明の透明積層フィルムは、プラスティ
ックフィルムからなる基材上、若しくは炭素を含む酸化
物薄膜を介した上に、透明な金属酸化物膜を有する構造
であり、該金属酸化物膜は屈折率が1.9〜2.1(波
長λ=550nm)且つ膜厚が10〜200nmである
ITO(インジウム錫酸化物)層であり、また上記金属
酸化物薄膜は、複数回の繰返し成膜を行なって、下地層
の含有炭素成分がITO(インジウム錫酸化物)層内へ
の混入を抑制し、透明積層フィルムにおける透過色相が
La**色座標において、a*=−2.0〜1.0、b*
=−1.0〜3.0の範囲に収める。
【0028】上記のLa**色座標における色相a*
び色相b*は、JIS−Z−8729(JISハンドブ
ック33「色彩−1996」日本規格協会編集)にて規
定されている指標である。それは、L、a*及びb*の3
つの値によって、測定対象物の色調が表される。Lは明
度を表し、この数値が大きいほど明度が高いことを示
す。また、a*は赤みを表し数値が大きいほど赤味が強
いことを示し、−(マイナス)になると赤味が不足して
いること、言い換えれば緑色味が強いことを示す。さら
に、b*値は黄色味の指標であり、この数値が大きい場
合は黄色味が強いことを示し、−(マイナス)になると
黄色味が不足して青くなることを示している。そして、
*、b*のいずれも0の場合は、無色を意味している。
したがって、上記の、透明積層フィルムにおける透過色
相がLa**色座標におけるa*=−2.0〜1.0、
*=−1.0〜3.0の範囲は、透過色相において赤
味や緑色味が少なく、かつ黄色味や青味も少なく、無色
透明性を有する状態である。
【0029】(透明積層フィルムの製造方法)本発明の
透明積層フィルムの製造方法は、プラスティックフィル
ムからなる基材上、若しくは炭素を含む酸化物薄膜を介
した上に、透明な金属酸化物膜を有する透明積層フィル
ムを製造する方法において、該金属酸化物膜は屈折率が
1.9〜2.1(波長λ=550nm)且つ膜厚が10
〜200nmであるITO(インジウム錫酸化物)層で
あり、該金属酸化物膜自体を、複数回の繰返し成膜を行
なって、下地層の含有炭素成分がITO(インジウム錫
酸化物)層内への混入を抑制し、透明積層フィルムにお
ける透過色相をLa**色座標において、a*=−2.
0〜1.0、b*=−1.0〜3.0の範囲にするもの
である。本発明では、プラスティックフィルムからなる
基材上に、透明な金属酸化物膜であるITO層や酸化物
薄膜(酸化シリコン層)と組み合わせて成る反射防止膜
を形成し、ITO層を2層以上の複数層とすることが望
ましい。
【0030】また、本発明の透明積層フィルムでは、図
4〜図6に示すように、基材側から見て、ITO層の外
側に、炭素を含む酸化シリコン層(酸化物薄膜)を設け
る場合、その酸化シリコン層と接するITO層に遊離し
た炭素が混入しても、また基材側から見て、ITO層の
内側に位置する下地層(酸化物薄膜又は基材)に含有す
る炭素成分が、その下地層と隣接するITO層に混入し
ても、ITO層全体として、炭素混入による黄変の影響
が大きく出ないように、ITO層は少なくと3層設ける
ことが望ましい。ITO層を挟んで、上下に炭素を含む
層が接しているから、炭素混入がそのITO層の最上層
と最下層だけに止め、複数層のITO層の中間位置にあ
る層には炭素の混入を防止できるからである。
【0031】図6に示した透明積層フィルムでは、反射
防止膜5として、基材2側からITO層3、酸化シリコ
ン層41、ITO層3、酸化シリコン層42が設けられ
ていて、基材上に高屈折率のITO層と低屈折率である
酸化シリコン層の単位を2回繰り返して形成したもので
ある。この高屈折率のITO層と低屈折率である酸化シ
リコン層の単位は基材上に、1回、あるいは、2回繰り
返して形成し、3回以上繰り返して形成した場合、各層
の膜厚条件によって、異なるが、反射防止機能が低下し
やすく、好ましくない。また、本発明では基材上に設け
る反射防止膜は、ITO層と酸化シリコン層の単位を1
〜2単位程度で形成することに、限定されず、例えば基
材上に、屈折率が1.6〜1.8(波長λ=550n
m)程度の中間的な屈折率を有する薄膜(中屈折率層)
を形成し、その中屈折率層の上に、ITO層(高屈折率
層)、酸化シリコン層(低屈折率層)を順次形成したり
することができる。本発明の透明積層フィルムでは、基
材上に光学特性(特に屈折率)がそれぞれ異なる薄層が
積層され、積層体の全体として、効果的に反射防止機能
を発揮できれば、積層体の構造は適宜変更することがで
きる。
【0032】上記の中屈折率層としては、可視光域で透
明であり、かつ屈折率が1.6〜1.8程度(波長λ=
550nm)の範囲内となる物質で形成された層であれ
ば特に限定されるものではない。具体的な中屈折率層と
しては、例えば、炭素含有酸化シリコン層や、Al
23、SiN、SiONや、ZrO2、SiO2、ZnO
2の微粒子を酸化シリコン層に分散したもの等が好適に
用いられる。また、中屈折率層は必ずしも一層である必
要もなく複数の異なった層を積層して全体として上記の
屈折率となるような層構成とすることにより当該積層膜
を中屈折率層とすることも可能である。中屈折率層の膜
厚は10〜200nm程度であり、その形成方法につい
ては、上記の酸化物薄膜の場合と同様である。
【0033】
【実施例】本発明を実施例により更に詳細に説明する。 (比較例1)基材のプラスティックフィルムである厚さ
75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィ
ルム上に、プラズマCVD法を用いて、シリカ層を80
nmの膜厚で形成し、その後スパッタ法により、シリカ
層の上にITO層を形成した。その使用したスパッタ装
置の概略を図7に示し、AC電源を用いた。また、連続
成膜時の基材となるプラスチックフィルムの送り速度
は、0.1m/minである。その他の条件は、以下の
通りである。
【0034】<成膜条件:CVDシリカ> 印加電力 1.0kW HMDSO 1.0slm 酸素 3.0slm
【0035】<成膜条件:ITO> 印加電力 1.0kW 酸素ガス流量 27sccm 前記ガス流量単位sccmは、standard cu
bic cm perminuteのことである。
【0036】以上の条件でポリエチレンテレフタレート
フィルム上に形成したITO層の膜厚、屈折率、視感度
透過率等の測定結果を以下に示す。 <ITO層測定結果> 膜厚 55nm 成膜速度 5.5nm・m/min 屈折率(λ=550nm) 2.0 視感度透過率 87.0% 表面組成(相対原子数比) In:100、Sn:11、O:312、 C:856
【0037】<ITO層測定に使用した装置> 膜厚測定 エリプソメーター 型番 UVISELTM メーカー JOBIN YVO
N 屈折率測定 エリプソメーター 型番 UVISELTM メーカー JOBIN YVO
N 透過色相測定 分光光度計 型番 UV−3100PC メーカー 島津製作所 組成分析光電子分光 型番 ESCALAB220i−XL
【0038】以上に示したITO層の作製結果の如く、
成膜温度30℃において、屈折率2.0のITO層が成
膜速度5.5nm・m/minで、ポリエチレンテレフ
タレートフィルム上に形成できた。しかし、このITO
層は分光器による測定から透過色相が黄色みを帯びてい
ることが分かった。
【0039】(実施例1)図7の装置を使用して、基材
のプラスティックフィルムである厚さ75μmのポリエ
チレンテレフタレート(PET)フィルム上にプラズマ
CVD法を用いてシリカ層を80nmの膜厚で形成し、
その後スパッタ法により、シリカ層の上に、ITO層を
形成した。また、連続成膜時の基材となるプラスティッ
クフィルムの送り速度は、0.1m/minであり、こ
のITO層の成膜を計3回繰り返した。プラズマCVD
法によるシリカ層の形成条件は比較例1と同様であり、
その他の条件は、以下の通りである。
【0040】<成膜条件:ITO> 印加電力 1.0kW 酸素ガス流量 16sccm
【0041】以上の条件でポリエチレンテレフタレート
フィルム上に形成したITO層の膜厚、屈折率、視感度
透過率等の測定結果を以下に示す。
【0042】 <ITO層測定結果> 膜厚 80nm(3層重ねた状態の合計の膜厚) 成膜速度 8.0nm・m/min 屈折率(λ=550nm) 2.0 視感度透過率 94.4% 表面組成(相対原子数比) In:100、Sn:11、O:223、 C:290
【0043】<ITO層測定に使用した装置> 膜厚測定 エリプソメーター 型番 UVISELTM メーカー JOBIN YVO
N 屈折率測定 エリプソメーター 型番 UVISELTM メーカー JOBIN YVO
N 透過色相測定 分光光度計 型番 UV−3100PC メーカー 島津製作所 組成分析光電子分光 型番 ESCALAB220i−XL
【0044】以上に示したITO層の作製結果の如く、
成膜温度30℃において、屈折率2.0の均質で、且つ
絶縁性の高いITO膜が成膜速度8.0nm・m/mi
nで、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成で
きた。また、シリカ層、ITO層成膜後の、ポリエチレ
ンテレフタレートフィルムは、わずかな伸び、変形も無
く良好な状態であった。また、上記のポリエチレンテレ
フタレートフィルム基材上に、シリカ層、ITO層を設
けた透明積層フィルムは、分光器による測定から透過色
相が、La**色座標において、a*=−2.0〜1.
0、b*=−1.0〜3.0の範囲に入っていて、可視
光の透過性が高い。
【0045】(比較例2)下記のプラスティックフィル
ム基材上にハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、
低屈折率層を形成し、透明積層フィルム、すなわち反射
防止フィルムを作成した。各層の形成条件は以下の通り
である。
【0046】<プラスティックフィルム> トリアセチルセルロース 厚さ80μm
【0047】<ハードコート層> 紫外線硬化型樹脂 PET−D31(大日精化工業(株)
製) 塗工により形成した。 紫外線硬化条件 480mJ 厚さ 6μm
【0048】<中屈折率層>炭素含有酸化シリコン層を
プラズマCVD法により形成した。屈折率が1.6〜
1.8(波長λ=550nm)
【0049】<高屈折率層>比較例1における、ITO
層形成条件と同様の条件で形成した。
【0050】<低屈折率層>酸化シリコン層をプラズマ
CVD法で形成した。
【0051】上記条件で形成した透明積層フィルムは、
プラスティックフィルムのわずかな伸び、変形も無かっ
た。上記条件で作成した透明積層フィルムの反射分光特
性を見ると、人間が感知し易い550nm近傍での反射
率が低く、反射防止効果が良好であった。また、下記に
示すように、上記の透明積層フィルムでは、視感度反射
率は、0.3%と反射防止フィルムとして十分な値を示
した。しかし、透過色相が、La**色座標において、
*値は−2.0〜1.0の範囲内であるが、、b*
は、−1.0〜3.0の範囲から外れ、高い数値となっ
ていて、反射防止フィルムとして、黄色みを帯び、可視
光の透過性が低下している。
【0052】 視感度反射率 0.3% 透過色相 a*=−1.07、b*=3.50
【0053】分光反射率及び透過色相は、以下の装置で
測定した。 分光反射率測定 分光光度計 型番 UV−3100PC メーカー 島津製作所
【0054】なお、上記の比較例2及び下記の実施例2
において形成された積層膜の膜厚は、各層の光学特性を
考慮して視感度反射率が最小になるように設定した。例
えば、実施例2に示す高屈折率層や低屈折率層において
は、図7に示す装置を用いて各層を形成する際にフィル
ム送り速度の調整により所望の膜厚を得ている。
【0055】(実施例2)下記のプラスティックフィル
ム基材上にハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、
低屈折率層を形成し、透明積層フィルム、すなわち反射
防止フィルムを作成した。各層の形成条件は以下の通り
である。
【0056】<プラスティックフィルム> トリアセチルセルロース 厚さ80μm
【0057】<ハードコート層> 紫外線硬化型樹脂 PET−D31(大日精化工業(株)
製) 塗工により形成した。 紫外線硬化条件 480mJ 厚さ 6μm
【0058】<中屈折率層>炭素含有酸化シリコン層を
プラズマCVD法により形成した。屈折率が1.6〜
1.8(波長λ=550nm)
【0059】<高屈折率層>実施例1における、ITO
層形成条件と同様の条件で形成した。
【0060】<低屈折率層>酸化シリコン層をプラズマ
CVD法で形成した。
【0061】上記条件で形成した透明積層フィルムは、
プラスティックフィルムのわずかな伸び、変形も無く、
良好な状態であった。上記条件で作成した透明積層フィ
ルムの反射分光特性を図8に、また同透明積層フィルム
の透過分光特性を図9に示す。図8より、人間が感知し
易い550nm近傍での反射率が低く、反射防止効果が
良好であった。また、下記に示すように、上記の透明積
層フィルムでは、視感度反射率は、0.3%と反射防止
フィルムとして十分な値を示した。透過色相は、La*
*色座標において、a*値は−2.0〜1.0の範囲内
であり、またb*値は、−1.0〜3.0の範囲内であ
り、反射防止フィルムとして、比較例2の場合よりも黄
色みが低減している。したがって、外光反射を十分に低
減した反射防止機能を備え、且つ可視光の透過性が高
く、反射防止膜として優れている。
【0062】 視感度反射率 0.3% 透過色相 a*=−1.18、b*=1.22
【0063】分光反射率及び透過色相は、以下の装置で
測定した。 分光反射率測定 分光光度計 型番 UV−3100PC メーカー 島津製作所
【0064】
【発明の効果】本発明の透明積層フィルムは、プラステ
ィックフィルムからなる基材上、若しくは炭素を含む酸
化物薄膜を介した上に、透明な金属酸化物膜を有する積
層体で、該金属酸化物膜は屈折率が1.9〜2.1(波
長λ=550nm)且つ膜厚が10〜200nmである
ITO(インジウム錫酸化物)層であり、該金属酸化物
膜は、複数回の繰返し成膜を行なって、下地層の含有炭
素成分がITO(インジウム錫酸化物)層内への混入を
抑制し、透明積層フィルムにおける透過色相をLa**
色座標において、a*=−2.0〜1.0、b*=−1.
0〜3.0とすることができる。
【0065】つまり、プラスティックフィルム基材、若
しくは炭素を含む酸化物薄膜の含有する炭素が遊離し
て、その炭素がITO層に混入しても、その混入した層
の上に、別のITO層があり、膜として別になっている
ため、炭素成分が上に積層したITO層には移行しにく
い。これにより、下地層から遊離した炭素がITO層全
体に混入することなく、ITO層全体が黄変することを
抑制でき、上記のように、透明積層フィルムにおける透
過色相をLa**色座標において、一定の範囲に収める
ことができ、外光反射を十分に低減した反射防止機能を
備え、且つ可視光透過性(視感度透過率)を向上した透
明積層フィルムが得られる。また、透明積層フィルムを
安定した品質を維持して、製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明積層フィルムである一つの実施形
態を示す概略図である。
【図2】本発明の透明積層フィルムである他の実施形態
を示す概略図である。
【図3】本発明の透明積層フィルムである他の実施形態
を示す概略図である。
【図4】本発明の透明積層フィルムである他の実施形態
を示す概略図である。
【図5】本発明の透明積層フィルムである他の実施形態
を示す概略図である。
【図6】本発明の透明積層フィルムである他の実施形態
を示す概略図である。
【図7】スパッタ装置の概略図である。
【図8】実施例2の反射分光特性
【図9】実施例2の透過分光特性
【符号の説明】
1 透明積層フィルム 2 プラスティックフィルム基材 3 透明な金属酸化物膜(ITO層) 31、32、33 ITO層 4 酸化物薄膜 41、42 酸化シリコン層 5 反射防止膜または透明積層膜 6 ハードコート層 7 防汚層 8 スパッタ装置 9 基材巻き出し部 10 基材巻き取り部 11 成膜(層) 12 成膜対象物 13 成膜用ドラム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2K009 AA05 AA06 AA15 BB24 BB28 CC03 CC23 CC24 CC26 CC33 CC42 DD02 DD03 DD04 EE05 4F100 AA17B AA20B AA20D AA28C AA37B AJ04A AK01A AK41A AR00E BA03 BA04 BA05 BA07 BA10A BA10C CC00E EG00C EJ38A JL06E JM02B JN01 JN01C JN06 JN18B JN18C JN18D JN30C YY00B YY00C YY00D

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスティックフィルムからなる基材
    上、若しくは炭素を含む酸化物薄膜を介した上に、透明
    な金属酸化物膜を有する構造であり、該金属酸化物膜は
    屈折率が1.9〜2.1(波長λ=550nm)且つ膜
    厚が10〜200nmであるITO(インジウム錫酸化
    物)層であることを特徴とする透明積層フィルム。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載する金属酸化物薄膜は、
    複数回の繰返し成膜を行ない、下地層の含有炭素成分が
    ITO(インジウム錫酸化物)層内への混入を抑制し、
    透明積層フィルムにおける透過色相がLa**色座標に
    おいて、a*=−2.0〜1.0、b*=−1.0〜3.
    0となることを特徴とする透明積層フィルム。
  3. 【請求項3】 基材上に屈折率が1.5〜1.8(波長
    λ=550nm)且つ膜厚が10〜200nmである酸
    化シリコン層である酸化物薄膜を介して、金属酸化物
    膜、屈折率が1.4〜1.6(波長λ=550nm)且
    つ膜厚が10〜200nmである酸化シリコン層をこの
    順に積層したことを特徴とする請求項1または2に記載
    する透明積層フィルム。
  4. 【請求項4】 基材上に、金属酸化物膜、屈折率が1.
    4〜1.6(波長λ=550nm)且つ膜厚が10〜2
    00nmである酸化シリコン層の順に積層した、或いは
    基材上に、上記金属酸化物膜、酸化シリコン層、金属酸
    化物膜、酸化シリコン層をこの順に積層したことを特徴
    とする請求項1または2に記載する透明積層フィルム。
  5. 【請求項5】 基材と、該基材上に設けた層、すなわち
    反射防止膜との間にハードコート層が形成されているこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載する
    透明積層フィルム。
  6. 【請求項6】 前記透明積層フィルムの反射防止膜の最
    表面に防汚層が形成されていることを特徴とする請求項
    1〜5のいずれか一つに記載する透明積層フィルム。
  7. 【請求項7】 前記基材が一軸または二軸延伸ポリエス
    テルフィルム、或いはトリアセチルセルロースフィルム
    であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに
    記載する透明積層フィルム。
  8. 【請求項8】 プラスティックフィルムからなる基材
    上、若しくは炭素を含む酸化物薄膜を介した上に、透明
    な金属酸化物膜を有する透明積層フィルムの製造方法に
    おいて、該金属酸化物膜は屈折率が1.9〜2.1(波
    長λ=550nm)且つ膜厚が10〜200nmである
    ITO(インジウム錫酸化物)層であり、該金属酸化物
    膜は、複数回の繰返し成膜を行なって、下地層の含有炭
    素成分がITO(インジウム錫酸化物)層内への混入を
    抑制し、透明積層フィルムにおける透過色相をLa**
    色座標において、a*=−2.0〜1.0、b*=−1.
    0〜3.0とすることを特徴とする透明積層フィルムの
    製造方法。
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