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JP2003226669A - (メタ)アクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸エステルの製造方法

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Publication number
JP2003226669A
JP2003226669A JP2002341092A JP2002341092A JP2003226669A JP 2003226669 A JP2003226669 A JP 2003226669A JP 2002341092 A JP2002341092 A JP 2002341092A JP 2002341092 A JP2002341092 A JP 2002341092A JP 2003226669 A JP2003226669 A JP 2003226669A
Authority
JP
Japan
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meth
acrylic acid
acid ester
producing
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002341092A
Other languages
English (en)
Inventor
Shuhei Yada
修平 矢田
Kenji Takasaki
研二 高崎
Yasuyuki Ogawa
寧之 小川
Yoshiro Suzuki
芳郎 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2002341092A priority Critical patent/JP2003226669A/ja
Publication of JP2003226669A publication Critical patent/JP2003226669A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (メタ)アクリル酸エステルの製造工程で副
生するミカエル付加反応生成物等の副生物を熱分解して
(メタ)アクリル酸エステルを回収する方法において、
高い回収率を安定して得ることができる方法を提供する
ことを目的とする。 【解決手段】 (メタ)アクリル酸エステル生成反応工
程と、(メタ)アクリル酸エステル生成反応工程からの
(メタ)アクリル酸エステルを含む反応混合物から(メ
タ)アクリル酸エステルを分離する精製工程と、精製工
程から分離される副生物を熱分解して(メタ)アクリル
酸エステルを回収する工程とを有する(メタ)アクリル
酸エステルの製造方法において、熱分解反応を実質的に
液相で行い、熱分解反応生成物の少なくとも一部を精製
工程に戻す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、(メタ)アクリル
酸エステルの製造方法に係り、特に(メタ)アクリル酸
エステル生成反応の副生物を分解して(メタ)アクリル
酸エステル等を回収する工程を有した(メタ)アクリル
酸エステルの製造方法に関する。
【0002】なお、本明細書において、(メタ)アクリ
ル酸は、アクリル酸とメタクリル酸との総称であり、そ
のいずれか一方でもよく双方でもよい。
【0003】
【従来の技術】周知の通り、アクリル酸エステルを製造
するためのアクリル酸生成反応として、プロピレンの気
相酸化法がある。このプロピレンを酸化してアクリル酸
を得る方法には、アクロレインまでの酸化と次の段階の
アクリル酸までの酸化の条件が異なるため、それぞれを
別の反応器で行う二段酸化プロセスと、一段酸化で直接
アクリル酸まで酸化するプロセスとがある。
【0004】図2は二段酸化によりアクリル酸を生成さ
せ、次いでエステル化反応させてアクリル酸エステルを
製造する工程図であり、プロピレン、水蒸気及び空気が
モリブデン系触媒等が充填された第一反応器及び第二反
応器を経て二段酸化されてアクリル酸含有ガスとなる。
このアクリル酸含有ガスを凝縮塔にて水と接触させてア
クリル酸水溶液とし、これに適当な抽出溶剤を加えて抽
出塔にて抽出し、溶剤分離塔にて該抽出溶剤を分離す
る。次いで、酢酸分離塔にて酢酸を分離して粗アクリル
酸とし、この粗アクリル酸から精留塔にて副生物を分離
することによりアクリル酸精製物が得られる。このアク
リル酸(精製物)がエステル化反応塔にてエステル化反
応した後、抽出塔及び軽質分離塔を経て粗アクリル酸エ
ステルとされ、この粗アクリル酸エステルが精留塔にて
副生物(高沸点物)が分離されてアクリル酸エステル精
製物となる。
【0005】アクリル酸エステルの種類によっては、図
3のプロセスが採用されることがある。この場合、副生
物はアクリル酸分離塔の缶出液として得られる。
【0006】図3のアクリル酸エステル製造プロセスに
おいては、アクリル酸、アルコール、回収アクリル酸、
回収アルコールをそれぞれエステル化反応器に供給す
る。このエステル化反応器には強酸性イオン交換樹脂な
どの触媒が充填されている。この反応器から取り出され
た生成エステル、未反応アクリル酸、未反応アルコール
及び生成水等からなるエステル化反応混合物はアクリル
酸分離塔に供給される。
【0007】このアクリル酸分離塔の塔底から未反応ア
クリル酸を含む塔底液を抜き出し、エステル化反応器へ
循環させる。該塔底液の一部は高沸分解反応器に供給
し、分解する。分解により生じた有価物を含む分解生成
物はプロセスに循環される。循環されるプロセス内の場
所は、プロセス条件によって異なる。重合物などの高沸
点不純物は高沸分解反応器から系外へ除去する。
【0008】このアクリル酸分離塔の塔頂からは、アク
リル酸エステル、未反応アルコール及び生成水が留出す
る。留出物の一部は還流液としてアクリル酸分離塔に循
環され、残りは抽出塔に供給される。
【0009】この抽出塔にはアルコール抽出のための水
が供給される。塔底から流出するアルコールを含む水は
アルコール回収塔に供給される。蒸留されたアルコール
はエステル化反応器に循環される。
【0010】抽出塔の塔頂から流出した粗アクリル酸エ
ステルは軽沸分離塔へ供給され、その塔頂から軽沸物が
抜き出され、プロセス内へ循環される。循環されるプロ
セス内の場所は、プロセス条件によって異なる。軽沸物
を除去された粗アクリル酸エステルはアクリル酸エステ
ル製品精製塔へ供給され、塔頂より高純度アクリル酸エ
ステルが得られる。塔底液はアクリル酸を多く含むの
で、プロセス内へ循環される。循環されるプロセス内の
場所はプロセス条件によって異なる。
【0011】なお、近年では、上記のアクリル酸水溶液
からのアクリル酸の回収を、抽出溶剤を用いて行う溶剤
抽出法の代りに、水と共沸溶剤を用いて蒸留し、共沸分
離塔の塔頂からは水と共沸溶剤との共沸混合物を留出さ
せ、塔底からアクリル酸を回収する共沸分離法も行われ
ている。
【0012】メタクリル酸エステルの合成の場合は、プ
ロピレンの代りにイソブチレンもしくはt−ブチルアル
コールを用い、同様の酸化プロセス及びその後のエステ
ル化プロセスを経てメタクリル酸エステル精製物が得ら
れる。
【0013】なお、(メタ)アクリル酸エステル(アク
リル酸エステル、メタクリル酸エステル)を生成させる
方法としては、低級アルコールの(メタ)アクリル酸エ
ステルと高級アルコールとを酸等を触媒としてトランス
エステル化反応させ、高級アルコールの(メタ)アクリ
ル酸エステルを製造する方法も行われている。このトラ
ンスエステル化反応で得られた粗(メタ)アクリル酸エ
ステルは、触媒分離、濃縮、精留等の工程を経て精製
(メタ)アクリル酸エステルとされる。
【0014】上記の粗アクリル酸エステル、粗メタクリ
ル酸エステルを蒸留して分離された留分中には、ミカエ
ル付加物などの有用な副生物が含まれているので、これ
を分解して(メタ)アクリル酸やそのエステル、アルコ
ール等を回収することが行われている。
【0015】アクリル酸エステルのミカエル付加物の分
解方法としては、ルイス酸もしくはルイス塩基の存在下
に加熱して分解する方法が採用されている(特開昭49
−55614号公報、特開平09−110791号公
報)。また、ミカエル付加物の分解反応を行いながら、
目的とする分解反応生成物を蒸留により留去する方法も
公知である(特開平9−110791号公報、特開平9
−124551号公報、特開平8−225486号公
報)。
【0016】
【特許文献1】特開昭49−55614号公報
【特許文献2】特開平09−110791号公報
【特許文献3】特開平9−110791号公報
【特許文献4】特開平9−124551号公報、
【特許文献5】特開平8−225486号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】(メタ)アクリル酸エ
ステルの製造工程で副生するミカエル付加反応生成物
を、ルイス酸やルイス塩基を触媒として分解反応を行
い、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル
およびアルコールを回収する方法にあっては、これら
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、ア
ルコールの高い回収率を得るような分解反応条件を採用
すると、分解生成物に重質分が濃縮して粘度が上昇し、
流動性が低下したり、配管が閉塞することがある。
【0018】本発明は、上記従来の問題点を解決し、
(メタ)アクリル酸エステルの製造工程で副生するミカ
エル付加反応生成物等の副生物を熱分解して(メタ)ア
クリル酸エステルを回収する方法において、高い回収率
を安定して得ることができる方法を提供することを目的
とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の(メタ)アクリ
ル酸エステルの製造方法は、(メタ)アクリル酸エステ
ル生成反応工程と、該(メタ)アクリル酸エステル生成
反応工程からの(メタ)アクリル酸エステルを含む反応
混合物から(メタ)アクリル酸エステルを分離する精製
工程と、該精製工程から分離される副生物を熱分解して
(メタ)アクリル酸エステルを回収する工程とを有する
(メタ)アクリル酸エステルの製造方法において、該熱
分解反応を実質的に液相で行い、熱分解反応生成物の少
なくとも一部を前記精製工程に戻すことを特徴とするも
のである。
【0020】このようにミカエル付加物等の副生物の熱
分解を液相で行い、且つこの熱分解反応生成物の少なく
とも一部をリサイクルすることにより、(メタ)アクリ
ル酸エステルを高率にて回収することができ、しかもプ
ロセスの閉塞等も防止される。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に、本発明をさらに詳しく説
明する。
【0022】本発明の(メタ)アクリル酸エステルとし
ては、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n
−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)ア
クリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソ
ノニル、(メタ)アクリル酸イソデシル等が例示され
る。
【0023】ミカエル付加物は、(メタ)アクリル酸エ
ステルを製造する場合に、反応工程や精製工程で生成す
る副生物であり、これらの製造過程で存在する(メタ)
アクリロイル基を持つ化合物の(メタ)アクリロイル基
のα位もしくはβ位に、(メタ)アクリル酸、またはア
ルコール、または水、または酢酸がミカエル付加した化
合物である。製造過程で存在する(メタ)アクリロイル
基を持つ化合物には、原料の(メタ)アクリル酸、(メ
タ)アクリル酸エステルおよびその(メタ)アクリル酸
に(メタ)アクリル酸がミカエル付加したβ−アクリロ
キシプロピオン酸又はβ−メタクリロキシイソ酪酸(以
下、ダイマー)、さらにこのダイマーに(メタ)アクリ
ル酸がミカエル付加した(メタ)アクリル酸3量体(以
下、トリマー)、さらにこのトリマーに(メタ)アクリ
ル酸がミカエル付加した(メタ)アクリル酸4量体(以
下、テトラマー)等の(メタ)アクリロイル基を有する
カルボン酸、および、これらの(メタ)アクリロイル基
を有するカルボン酸がアルコールでエステル化された対
応する(メタ)アクリル酸エステルがある。本発明のミ
カエル付加物として具体的には、β−アクリロキシプロ
ピオン酸ならびにβ−メタクリロキシイソ酪酸およびそ
のエステル、β−アルコキシプロピオン酸又はβ−アル
コキシイソ酪酸およびそのエステル、β−ヒドロキシプ
ロピオン酸もしくはイソ酪酸およびそのエステル、さら
にはダイマー、トリマー、テトラマー等、およびそれら
のエステル、およびそれらのβ−アクリロキシ体、β−
ヒドロキシ体などがある。
【0024】本発明において、(メタ)アクリル酸エス
テルを製造するための(メタ)アクリル酸は、好ましく
はプロパン、プロピレン、アクロレイン、イソブチレ
ン、t−ブチルアルコール等の接触気相酸化反応で得ら
れるものであり、ガス状酸化反応生成物を急冷、水でク
エンチ後、水とアクリル酸との分離を、共沸溶媒を用い
る共沸蒸留法、または溶媒を用いる抽出法で行い、さら
に酢酸などの低沸点化合物を分離した後、ミカエル付加
物などの重質分と分離して高純度(メタ)アクリル酸が
製造される。なお、水と酢酸を同時に共沸剤を用いて分
離してもよい。
【0025】本発明において、(メタ)アクリル酸エス
テルを製造する方法としては、(メタ)アクリル酸にア
ルコールをエステル化反応させる方法でもよく、低級ア
ルコールのアクリル酸エステルと高級アルコールをトラ
ンスエステル化反応させ、高級アルコールのアクリル酸
エステルを製造する方法でもよい。また、製造プロセス
としては回分式、連続式いずれも可能である。これらの
エステル化、トランスエステル化の触媒としては酸触媒
が一般的に使用される。
【0026】(メタ)アクリル酸エステル製造プロセス
は、好ましくは、反応工程と、この反応工程で得られた
粗アクリル酸エステル液を触媒分離、濃縮・精製等を行
う為の洗浄、抽出、蒸発、蒸留等を行う精製工程よりな
る。反応工程での(メタ)アクリル酸または(メタ)ア
クリル酸エステルとアルコールの原料モル比、反応に用
いる触媒種および量、反応方式、反応条件等は、用いる
アルコールの原料種によって適宜選定される。
【0027】エステル化反応工程で主として副生するミ
カエル付加物は、有効成分を回収する蒸留塔(図1の場
合であれば、アクリル酸エステルの精留塔)の塔底に重
質分として濃縮される。この塔底液には、先に述べたミ
カエル付加物が濃縮されているが、この他に、アクリル
酸及び/又はアクリル酸エステルが相当量含有され、さ
らに、プロセスで使用した重合禁止剤、プロセスで発生
したオリゴマーや重合物、原料中の高沸点不純物又はそ
れらの反応生成物などの重質物質が含有される。さらに
は、エステル化又はトランスエステル化工程で使用した
触媒を含む場合もある。
【0028】この塔底液をルイス酸、もしくはルイス塩
基の存在下に加熱して分解し、得られた有効成分を反応
工程または精製工程に回収する。重質分を分離する蒸留
塔は、アクリル酸と重質分を分離する蒸留塔、アクリル
酸エステルと重質分を分離する蒸留塔、アクリル酸及び
アルコール及びアクリル酸エステルと重質分を分離する
蒸留塔等のいずれでもよい。
【0029】この蒸留塔には再沸器(リボイラ)が設け
られていることが好ましい。この再沸器としては、塔底
液の粘性が高く、かつ重合性を有しているところから、
薄膜式蒸発器が好ましい。薄膜式蒸発器の形式には特に
制限はない。なお、再沸器としては、サーモサイホン
型、強制循環型などの再沸器を備えることもでき、これ
らのいずれかに、薄膜式蒸発器を補助的に使用してもよ
い。
【0030】本発明において、ミカエル付加物の分解反
応を実施する反応プロセスには、連続式、回分式、半回
分式あるいは間歇抜き出し方式等いかなる方式も採用さ
れ得るが、連続式が好ましい。反応器の形式にも特に制
限はなく、流通式管式反応器、完全混合槽型攪拌槽反応
器、循環型完全混合槽反応器、単なる空洞の反応器等の
いずれの形式も採用できる。
【0031】ミカエル付加物の熱分解反応は、反応蒸留
形式ではなく、実質的に液相を保つ条件で行われる。熱
分解のための触媒は必ずしも必要ではないが、ルイス酸
又はルイス塩基触媒が使用できる。
【0032】分解反応温度は120〜280℃特に14
0〜240℃が好ましい。抜き出し液基準の液滞留時間
は0.5〜50時間特に1〜10時間が好ましい。な
お、分解反応を連続反応で行う場合、反応時間は抜き出
し液で換算した液滞留時間を反応時間とみなすことがで
きる。例えば、反応器内の液容量が500L、抜き出し
液量が100L/Hの場合、滞留時間は5時間となる。
【0033】本発明では、熱分解反応生成物の少なくと
も一部、好ましくは50%以上を精製工程にリサイクル
する。残りの一部は分解残渣として抜き出され、廃棄物
あるいは燃料となる。熱分解反応生成物のリサイクル先
は特に限定されないが、重質分分離塔の塔底または重質
分分離塔の再沸器である薄膜式蒸発器にフィードするこ
とが好ましい。リサイクルの比率は高い方が残渣の排出
量が減少するため好ましい。具体的には熱分解反応生成
物の80%以上をリサイクルすることが好ましい。リサ
イクル比率を高める程回収率は高くなり、残渣の粘度が
上昇し、流動性が悪化するので、上限は連続運転可能な
範囲で適宜選定される。
【0034】
【実施例】以下に、本発明を具体的に説明するために、
実施例および比較例を挙げて詳細に説明する。
【0035】実施例1 図1に示すようにアクリル酸メチルエステル製造工程の
再沸器として薄膜式蒸発器を具備した重質分分離塔の塔
底液を原料として分解反応を実施した。塔底液の組成
は、アクリル酸19重量%、β−ヒドロキシプロピオン
酸1重量%、β−ヒドロキシプロピオン酸メチル7重量
%、β−アクリロキシプロピオン酸8重量%、β−アク
リロキシプロピオン酸メチル6重量%、β−メトキシプ
ロピオン酸40重量%、β−メトキシプロピオン酸メチ
ル11重量%、その他重質物等8重量%で、865kg
/hで分解反応器に供給した。分解反応器は、内径10
00mm、高さ2000mmのハステロイC製の攪拌槽
であり、外部ジャケットに熱媒体を供給して反応温度を
200℃に制御し、液滞留時間は分解反応器内の液面で
制御した。反応圧力は液相を保つ圧力である500kP
aに保った。抜き出し液基準の滞留時間が10時間とな
るように重質分分離塔の再沸器へのリサイクル量を80
0kg/h、残渣としての抜き出し量を65kg/hと
した。運転は配管の閉塞等もなく3ヶ月間安定に連続運
転ができた。残渣の組成をガスクロマトグラフィーで分
析した結果は、水0.6重量%、メタノール10重量
%、アクリル酸メチル11重量%、アクリル酸44重量
%、β−ヒドロキシプロピオン酸0.4重量%、β−ヒ
ドロキシプロピオン酸メチル4重量%、β−アクリロキ
シプロピオン酸2重量%、β−アクリロキシプロピオン
酸メチル1重量%、β−メトキシプロピオン酸14重量
%、β−メトキシプロピオン酸メチル4重量%、その他
重質物等9重量%であった。
【0036】比較例1 アクリル酸メチルエステル製造工程の再沸器として薄膜
式蒸発器を具備した重質分分離塔の塔底液を原料として
分解反応を実施した。塔底液の組成は、アクリル酸20
重量%、β−ヒドロキシプロピオン酸1重量%、β−ヒ
ドロキシプロピオン酸メチル8重量%、β−アクリロキ
シプロピオン酸8重量%、β−アクリロキシプロピオン
酸メチル7重量%、β−メトキシプロピオン酸41重量
%、β−メトキシプロピオン酸メチル12重量%、その
他重質物等3重量%で、150kg/hで分解反応器に
供給した。分解反応器は、内径1000mm、高さ20
00mmのハステロイC製の攪拌槽であり、外部ジャケ
ットに熱媒体を供給して反応温度を200℃に制御し、
反応圧力は130kPaに保った。また、攪拌槽反応器
上部には内径400mm、高さ4000mmで、充填剤
を2000mm充填した塔と、さらに凝縮器を接続し分
解反応を反応蒸留方式で実施した。液滞留時間は分解反
応器内の液面で制御し、抜き出し液基準の滞留時間が1
0時間となるようにした。その結果、1ヶ月の連続運転
後に抜き出し配管の下流での閉塞トラブルのため、運転
を停止した。この間の残渣の抜き出し量は平均76kg
/hで、残渣の組成をガスクロマトグラフィーで分析し
た結果は、水0.2重量%、メタノール0.2重量%、
アクリル酸メチル0.3重量%、アクリル酸39重量
%、β−ヒドロキシプロピオン酸重量0.3%、β−ヒ
ドロキシプロピオン酸メチル7重量%、β−アクリロキ
シプロピオン酸重量4%、β−アクリロキシプロピオン
酸メチル4重量%、β−メトキシプロピオン酸重量31
%、β−メトキシプロピオン酸メチル重量8%、その他
重質物等6重量%であった。
【0037】実施例と比較例の結果から明らかなよう
に、本発明の方法を用いると、従来の反応蒸留法と比較
して、有効成分の回収率が高くできるのみならず、残渣
中の軽質分が多くなることによって、残渣の流動性が増
し、閉塞トラブルも回避でき、安定に連続運転が達成で
きる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
(メタ)アクリル酸エステル製造工程で副生するミカエ
ル付加反応生成物を熱分解して(メタ)アクリル酸エス
テルを高率にて回収することができる。また、プロセス
に閉塞トラブルを生じさせることなく(メタ)アクリル
酸エステルを安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアクリル酸エステルの製造工程図であ
る。
【図2】従来法の工程図である。
【図3】別の従来法の工程図である。
フロントページの続き (72)発明者 小川 寧之 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社内 (72)発明者 鈴木 芳郎 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC26 AC41 AC43 AC46 AC48 AD11 AD30 BA28 BA32 BA36 BC53 BD34 BD40 BD53

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (メタ)アクリル酸エステル生成反応工
    程と、 該(メタ)アクリル酸エステル生成反応工程からの(メ
    タ)アクリル酸エステルを含む反応混合物から(メタ)
    アクリル酸エステルを分離する精製工程と、 該精製工程から分離される副生物を熱分解して(メタ)
    アクリル酸エステルを回収する工程とを有する(メタ)
    アクリル酸エステルの製造方法において、 該熱分解反応を実質的に液相で行い、 熱分解反応生成物の少なくとも一部を前記精製工程に戻
    すことを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、該熱分解反応生成物
    の50%以上を前記精製工程に戻すことを特徴とする
    (メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、前記副生物
    は、前記精製工程における重質分を分離する蒸留塔の塔
    底液であることを特徴とする(メタ)アクリル酸エステ
    ルの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、該蒸留塔が再沸器と
    して薄膜式蒸発器を備えていることを特徴とする(メ
    タ)アクリル酸エステルの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項におい
    て、前記(メタ)アクリル酸エステル生成反応は、(メ
    タ)アクリル酸とアルコールとのエステル化反応及び/
    又は(メタ)アクリル酸エステルとアルコールとのトラ
    ンスエステル化反応であることを特徴とする(メタ)ア
    クリル酸エステルの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5において、該アルコールがメタ
    ノール、エタノール又はブタノールであることを特徴と
    する(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項におい
    て、前記副生物は、ミカエル付加物を含有することを特
    徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7において、該ミカエル付加物は
    (メタ)アクリロイル基のα位もしくはβ位に水、アル
    コール、(メタ)アクリル酸又は酢酸が付加した化合物
    であることを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの
    製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれか1項におい
    て、前記熱分解反応温度が120〜280℃であること
    を特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし9のいずれか1項にお
    いて、前記熱分解反応時間が0.5〜50時間であるこ
    とを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方
    法。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし10のいずれか1項に
    おいて、前記熱分解反応生成物の80%以上を前記精製
    工程に戻すことを特徴とする(メタ)アクリル酸エステ
    ルの製造方法。
JP2002341092A 2001-11-28 2002-11-25 (メタ)アクリル酸エステルの製造方法 Pending JP2003226669A (ja)

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JP2014162765A (ja) * 2013-02-26 2014-09-08 Mitsubishi Chemicals Corp (メタ)アクリル酸エステルの製造方法
JP7620645B2 (ja) 2020-05-19 2025-01-23 アルケマ フランス 分縮を伴う熱クラッキングによってアクリル酸及び前記酸のエステルから重質副産物を回収する方法

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