[go: up one dir, main page]

JP2003204799A - 白血球含有試料からの核酸分離方法 - Google Patents

白血球含有試料からの核酸分離方法

Info

Publication number
JP2003204799A
JP2003204799A JP2002004913A JP2002004913A JP2003204799A JP 2003204799 A JP2003204799 A JP 2003204799A JP 2002004913 A JP2002004913 A JP 2002004913A JP 2002004913 A JP2002004913 A JP 2002004913A JP 2003204799 A JP2003204799 A JP 2003204799A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nucleic acid
phase carrier
sample
water
leukocyte
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002004913A
Other languages
English (en)
Inventor
Kakun Han
可君 范
Ikuno Higa
郁乃 比嘉
Mikio Hikata
幹雄 日方
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSR Corp filed Critical JSR Corp
Priority to JP2002004913A priority Critical patent/JP2003204799A/ja
Publication of JP2003204799A publication Critical patent/JP2003204799A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】白血球を含む試料から、核酸(DNA、RNA
など)を短時間、簡便、低コストで核酸を抽出し高純
度、大量に精製する方法ならびに当該方法を実施するキ
ットを提供すること。 【解決手段】本発明による方法は、 1)白血球含有試料と、少なくとも細胞分解酵素および界
面活性剤を含むライシス溶液とを接触させる工程、 2)次いで水溶性有機溶媒の存在下、該白血球含有試料
と、ストークス直径が0.01〜50mmであって最大高さ法で
表した場合の表面粗さが0.005〜100μmである凹凸を表
面に有する水不溶性固相担体とを接触させて、該試料中
の核酸を該固相担体表面に吸着させる工程、ならびに 3) 次いで該固相担体を洗浄し、必要に応じてさらに核
酸を溶離する工程 からなることを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、核酸を含む試料から、核
酸を分離する方法およびその方法の実施に用いられるキ
ットに関する。さらに詳しくは、白血球などを含有する
試料から酵素処理、固相担体への吸着により核酸を抽出
分離して精製する方法およびその方法を実施するための
キットに関する。
【0002】
【発明の技術的背景】近年、核酸分析の用途は、科学研
究、医療、産業界など様々な分野に広がりつつあり、多
様な試料から効率的かつ好収率に核酸を抽出、精製でき
る方法が求められている。核酸を含有する試料から核酸
を得る方法としてはフェノール・クロロホルム抽出法が
古くから利用されてきた。この方法はフェノール・クロ
ロホルムを用いてタンパク質、脂質などの水難溶性の検
体成分を変性、溶解または沈殿させる一方、核酸を水相
に溶解するという溶解度の違いを利用する。かかる有毒
な溶媒を使用しない代替方法として、カオトロピック溶
液を利用してタンパク質、脂質等の夾雑物を水相に可溶
化し、核酸をシリカビーズに吸着させて固相で回収後、
核酸を再び水相に溶解するBoom法(Boom et al. J. Cli
n. Microbiol. 28:495-503 (1990))などがある。しか
し、それらの方法では、抽出された核酸をポリメラーゼ
連鎖反応(PCR)の鋳型として使用するか、または制
限酵素で消化する場合には、核酸溶液に残存するフェノ
ール、クロロホルム、カオトロピックイオンにより酵素
反応が阻害されることがある。これを回避しようとする
とエタノール沈殿、限外ろ過、カラムクロマトグラフィ
ーなどにより核酸を再度精製する操作を施す必要があっ
て煩雑を極める。また有毒なフェノール、クロロホルム
を用いることによる使用場所、実験設備の制限があり、
加えて複数回の遠心分離操作があるため、機械化による
対応、すなわち自動処理化も事実上困難である。
【0003】また、カオトロピック溶液とシリカ担体を
使用する方法では、処理できる検体量が1ml未満であ
り、検体容量が増えると回収される核酸純度が著しく低
下する傾向にある。このことは、使用するシリカ担体の
吸着能に起因するものである。シリカ担体の使用量を増
やせば、固液分離におけるカオトロピック塩の残存量も
使用担体量に比例したデッドボリュームにより増えるこ
ととなる。これには洗浄回数を増やすことによって対処
できるが、結果的には操作時間の増大、操作工程の複雑
化となるため有効な解決策とはならない。
【0004】一方、核酸含有溶液をエタノール溶液で沈
殿し、ガラス棒で巻き取る方法も古くから知られている
(たとえば、阿南功一編「基礎生化学実験法2」丸善、1
974)。この手法はガラスと核酸との親和性に基づく側
面もあるが、核酸沈殿物のガラス棒への物理的または幾
何学的な絡み合いの要素が強い。なぜならば核酸の沈殿
量が少ないか、または沈殿するほどの核酸量がない場合
には、同じエタノール溶液に沈殿があってもガラス棒に
よる核酸の巻き取りはできないからである。この方法
は、核酸以外の高分子の混入も見られ回収核酸の純度が
低くなることもあって実用的な応用は限られている。
【0005】このように、生物起源の様々な核酸含有試
料から、有毒溶媒または腐食性試薬を使用することな
く、簡便かつ迅速に核酸を高純度に抽出精製でき、しか
も自動化の途も開けている方法が切望されている。この
ような事情に鑑み、本発明者らは、鋭意研究を進めた結
果、試料中の核酸を、表面に適切な凹凸を有する水不溶
性の固相担体に吸着させることにより上記問題点を解決
することができることを見出し、本発明を完成するに至
った。本発明による方法に基づいて、血液検体から核酸
を高純度に分離する操作を自動処理化することも可能と
なる。
【0006】
【発明の目的】本発明は、従来のフェノール、クロロホ
ルムのような有毒溶媒を使用せず、また、カオトロピッ
ク物質のような腐食性試薬も使用せず、酵素処理で核酸
以外の生体高分子を低分子化することで核酸のみを抽出
して迅速、簡便に分離する新しい方法であって、核酸を
白血球含有試料から大量に抽出し高純度に精製でき、か
つ自動化できる方法およびそのための手段を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【発明の概要】本発明は、白血球含有試料から核酸を分
離する方法であって、 1)白血球含有試料と、少なくとも細胞分解酵素および界
面活性剤を含むライシス溶液とを接触させる工程、 2)次いで水溶性有機溶媒の存在下、該白血球含有試料
と、ストークス直径が0.01〜50mmであって最大高さ法で
表した場合の表面粗さが0.005〜100μmである凹凸を表
面に有する水不溶性固相担体とを接触させて、該試料中
の核酸を該固相担体表面に吸着させる工程、ならびに 3) 該固相担体を洗浄し、必要に応じてさらに核酸を溶
離する工程からなる核酸分離方法である。
【0008】上記核酸分離方法において、細胞分解酵素
は、アミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、ヌクレアー
ゼよりなる群から選択される、少なくとも1つ以上の酵
素を含むことを特徴としている。また前記水溶性有機溶
媒は、ブタノール、2-ブタノール、ペンタノール、2−
ペンタノール、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノールよりなる群より選択される、少な
くとも1つ以上の有機溶媒を含むことを特徴としてい
る。
【0009】さらに前記固相担体の表面は合成高分子、
無機物質、ガラスよりなる群から選択されるものからな
ることを特徴としている。さらに本発明による核酸分離
用キットは、上記方法を実施するためのもので白血球含
有試料から核酸を分離する手段として、少なくとも(a)
白血球含有試料と接触させる、少なくとも細胞分解酵素
および界面活性剤を含むライシス溶液、(b)ストークス
直径が0.01〜50mmであって、最大高さ法で表した場合の
表面粗さが0.005〜100μmである凹凸を表面に有する水
不溶性固相担体、(c)水溶性有機溶媒、(d)該固相担体を
洗浄するための洗浄液、および所望により該固相担体に
吸着された核酸を回収するための溶離液、とからなるこ
とを特徴としている。
【0010】
【発明の具体的説明】本発明による核酸分離方法は、白
血球含有試料から核酸を分離する方法であって、 1)白血球含有試料と、少なくとも細胞分解酵素および界
面活性剤を含むライシス溶液とを接触させる工程、 2)次いで水溶性有機溶媒の存在下、該白血球含有試料
と、ストークス直径が0.01〜50mmであって最大高さ法で
表した場合の表面粗さが0.005〜100μmである凹凸を表
面に有する水不溶性固相担体とを接触させて、該試料中
の核酸を該固相担体表面に吸着させる工程、ならびに 3) 次いで該固相担体を洗浄し、必要に応じてさらに核
酸を溶離する工程からなることを特徴としている。
【0011】以下、本方法を、実施するための手段とと
もに説明する。なお、本明細書において「核酸」とは、
二本鎖(ds)核酸、一本鎖(ss)核酸、またはその組み
合わせ(部分的なdsまたはss)としてのDNA、RN
A、cDNAなどを意味する。 ・対象 本発明の方法が適用される対象は、白血球を含有する試
料であれば特に限定されない。具体的には血液または細
胞培養液などである。
【0012】血液は、通常の末梢血、動脈血、静脈血ま
たはこれらに遠心処理等を施してから採取した有形成
分、バフィコート(血液の炎症性痂皮、白血球フラクシ
ョン)であってもよい。全血、血液の有形成分を対象と
する場合、以下に示す溶血操作、続いて白血球分離操作
の工程が必要となる。本発明において採血管の種類には
特にこだわるものではなく、ヘパリン採血管、EDTA
採血管、クエン酸採血管などのいずれを使用してもよ
い。さらに本発明において処理できる血液量に関しては
特に限定する要因はなく、数μL〜数百Lと極めて広範
囲の血液量に対応することができる。
【0013】なお、細胞溶解、核酸吸着(および溶出)
の操作において、温度および時間などは、無用な副反
応、白血球または核酸の傷害を防止する観点から所定の
条件に従うことが望ましい。 ・溶血および白血球分離の工程 血液の核酸量は、主に白血球細胞中の核酸により決定さ
れる。このため溶血操作は、核を有しないが血液中に多
量に存在する赤血球を破壊することにより(すなわち、
溶血を起こし)、その後の遠心分離による白血球の分離
を容易にする目的のもとに行われる。溶血方法は特に限
定されず、たとえば攪拌、通常の室温または低温の溶血
なども可能であるが、溶血剤を血液試料に作用させるこ
とによる方法が好ましい。公知の溶血剤には、塩化アン
モニウム、シュウ酸アンモニウム、サポニンなどが挙げ
られる。このうちで温和な条件で著しい溶血効果を発揮
する溶血剤として、少なくとも0.01〜0.5M塩化アンモ
ニウムを含むものが好適である。さらに必要に応じてト
リス緩衝液、リン酸緩衝液のようなpHをコントロール
するための緩衝液、浸透圧を調節するための塩化ナトリ
ウム、塩化カリウムなどの塩、白血球の破壊を防止する
ためのマグネシウム塩、DNA分解を阻止するためのE
DTAなどのキレート剤あるいはサッカロースなどの糖
類などを添加してもよい。なお、緩衝液を併用する場
合、その濃度は数mMから数百mMの範囲で適宜選択で
きる。
【0014】上記溶血剤は、通常、血液検体(全血の場
合は、遠心分離により血球と血漿もしくは血清とを分離
しておく)1容量に対して好ましくは0.1〜30倍容量分、
より好ましくは2〜10倍容量分を加える。0.1容量未満の
使用量では、溶血効果が希薄となるため実効性に乏し
い。逆に30倍容量を超えると、操作容量が大量となり遠
心分離操作の効率も含め、全体の処理効率は著しく低下
する。効果的な赤血球の溶解のために、30〜85℃、好ま
しくは40〜70℃に加温してある0.01〜0.5M塩化アンモ
ニウムを含む溶血剤を使用することが望ましい。30℃未
満では、溶血効果が低く、85℃を超える加温では、血液
中の変性タンパク質量が急増し、遠心分離の際に目的の
白血球とともに沈殿してくるため白血球の純度が低下す
る傾向が顕著となる。上記の条件で溶血操作を行うと赤
血球のみを完全に破壊し、白血球が損傷を受けることな
く回収できる。
【0015】溶血した上記試料から白血球を分離するに
は、通常使用されている遠心分離が好適である。回転
数、時間、温度などの遠心分離の条件は、試料の状態な
どに応じて適宜選択すればよい。 ・細胞溶解の工程 白血球の溶解操作は、細胞膜、核膜、タンパク質などを
分解して、細胞核内から溶解液中へ核酸を遊離させるた
めに公知の方法を用いることができる。そのための方法
として、たとえば浸透圧、ずり応力、凍結破砕、摩砕剤
による機械的な力などを利用する細胞膜の破壊方法、物
理的なエネルギーを利用する超音波法、各種の界面活性
剤、変性剤もしくは酵素類を利用する化学的方法あるい
はこれらを組み合わせた方式などが挙げられる。
【0016】本発明の方法において好ましい操作は、分
離した白血球から目的の核酸を含む細胞内容物を得るた
めに、白血球を酵素消化するものである。その酵素消化
は、白血球を含む試料に次のライシス溶液を加えて行
う。ライシス溶液 細胞溶解用溶液、すなわちライシス(lysis solutio
n)溶液に、少なくとも細胞分解酵素を0.1〜50 mg/ml
含むことが必要である。本発明にいう細胞分解酵素と
は、アミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、ヌクレアー
ゼよりなる群から選択される少なくとも1つ以上の酵素
である。
【0017】アミラーゼは、デンプンを加水分解する酵
素の総称であり、酵素分類法に従って3.2に属するグリ
コシル化合物を分解する酵素である。具体的には、αア
ミラーゼ、βミラーゼ、グルコアミラーゼ、イソアミラ
ーゼなどが例示される。これらは、単独であるいは組み
合わせて使用してもよい。リパーゼは酵素分類法に従っ
て3.1に属するエステル分解酵素である。
【0018】プロテアーゼは酵素分類法に従って3.4に
属し、ペプチド結合を特異的に加水分解する酵素の総称
であり、通常プロティナーゼ、ペプチドヒドロナーゼ、
ペプチダーゼ、プロナーゼなどがある。このようなタン
パク質分解酵素を含めることにより、核酸とタンパク質
との分離度を上げることができる。プロテアーゼの具体
例として、トリプシン、キモトリプシン、ペプシン、プ
ロテアーゼK、プロナーゼ、パパインおよびこれらの類
似型、サブ系などが挙げられる。これらは、単独である
いは組み合わせて使用してもよい。
【0019】ヌクレアーゼは酵素分類法に従って3.1に
分類され、DNA、RNAのポリヌクレオチド鎖を加水
分解する酵素群の総称である。本発明による方法では、
DNAおよびRNAのいずれも抽出することができる。
回収する核酸がDNAの場合、RNAヌクレアーゼを使
用し、RNAを回収する場合にはDNAヌクレアーゼを
使用すれば、これらの核酸の抽出分離が促進される。
【0020】これらの細胞分解酵素は生物体から抽出し
たものであってもよいし、遺伝子組み換え技術により調
製される酵素であってもよい。また、これらの多くの酵
素は、市場入手が可能である。上記ライシス溶液に使用
する界面活性剤として、アニオン、カチオン、ノニオン
性界面活性剤などが挙げられる。これらのうち白血球膜
の破壊効率および後続の酵素反応効率を促進する観点か
ら、アニオン性界面活性剤を用いることが望ましい。具
体的には、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリ
ウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、硫酸ナ
トリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫
酸アンモニウムなどが好ましい。これらは、単独である
いは組み合わせて使用してもよい。ライシス溶液におけ
る界面活性剤濃度は、好ましくは、0.01〜15%(w/
v)、より好ましくは0.25〜10%(w/v)である。
【0021】さらに必要に応じてトリス緩衝液、リン酸
緩衝液、クエン酸緩衝液のようなpHをコントロールす
るための緩衝液(pH5〜9)、塩化ナトリウム、塩化カ
リウム塩化リチウム、酢酸ナトリウムなどの塩などを添
加してもよい。なお、緩衝液を併用する場合、その濃度
は数mMから数百mMの範囲で適宜選択できる。酵素消化による細胞の溶解操作 本発明において、前記の複数種類の酵素をライシス溶液
に共存させ、同時に添加して白血球を処理してもよく、
あるいは前後に順序をつけて酵素を添加して処理しても
よい。複数の酵素を使用するとき、それぞれの酵素濃度
を0.05〜50mg/ml、好ましくは0.5〜10mg/mlの
範囲で調整することが好ましい。これらの酵素を使用す
る際、酵素活性を最大に引き上げるために使用する酵素
の種類に応じて、緩衝液、塩、イオン種、界面活性剤な
どを適宜調整することはいうまでもない。
【0022】本発明において、酵素処理の条件は、35〜
85℃、好ましくは40〜60℃で0.1〜10時間攪拌しながら
加温すればよい。特に白血球の多い検体に対しては、反
応系の粘度を低下させるため、より強い攪拌が好まし
い。酵素処理の温度は35℃未満になると処理時間が徒に
長くなるため不都合である。85℃を超えると酵素自体の
変性が起こりやすくなるため好ましくない。 ・固相担体への吸着工程 通常は、上記細胞溶解処理を終えた細胞内容物を含む試
料から核酸を、以下に開示する特別な固相担体を含む水
溶性有機溶媒を含有する溶液に接触させることにより該
固相担体に吸着させて他の高分子夾雑物と分離する。固相担体 本発明において、目的とする核酸を吸着させるために使
用される固相担体は、表面に凹凸を有する非多孔質、水
不溶性の担体である。
【0023】上記水不溶性固相担体を形成する材料は水
に不溶であればよい。ここでいう水不溶性とは、具体的
に水、他のいかなる水可溶性組成を含む水溶液に溶解し
ない固相を意味する。具体的に無機化合物、金属、金属
酸化物、有機化合物またはこれらを組み合わせた複合材
料を含む。具体的に固相担体として使用される材料は、
特に限定されるものではないが、一般にポリスチレン、
ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリメチルメタク
リレート、ポリエチレン、ポリアミドなどのような合成
有機高分子、ガラス、シリカ、二酸化珪素、窒化珪素、
酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ナトリウ
ム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛など
の無機物またはステンレス、ジルコニアなどの金属であ
ってもよい。これらのなかで有機ポリマー、特にポリス
チレンが好ましい。
【0024】本発明に使用される固相担体の表面を構成
する材料の組成は特に限定されるものではないが、上記
の材料が例示される。前記固相担体の表面は、特に合成
高分子、無機物質、ガラスよりなる群から選択されるも
のからなることが好ましい。本発明の固相担体の特徴
は、その表面における微視的な形状にある。具体的には
固相担体表面に適切な凹凸が存在することであり、この
ような凹凸の存在により、固相担体と目的の核酸との相
互作用が有効に起こり、またその表面積が増える利点も
ある。この凹凸は均一的であることは特に要求されな
い。すなわち一般的に成形加工などの製造プロセスの中
で形成されるものであってもよいし、凹凸を得るために
表面研磨を施すことにより付与したものであってもよ
い。
【0025】上記固相担体の表面凹凸をさらに詳細に説
明すると、固相担体の凹凸が最大高さ法で表した場合の
表面粗さで0.005〜100μm、より好ましくは0.01〜10μm
であることが望ましい。表面凹凸がこのようなミクロン
オーダーの範囲にあれば、核酸の初期析出物のサイズに
適合する場合が多い。その結果、核酸分子と上記固相担
体とのミクロ的な接触相互作用が著しく促進されること
となり、効率的な核酸抽出が実現される。上記表面凹凸
が0.005μm未満になると、担体表面が滑らかになりすぎ
て核酸分子が結合しにくいため好ましくない。また凹凸
が100μmを超えると、ミクロ的に見れば、滑らかな局所
が多くなるために同様の理由から本発明に使用すること
は必ずしも好ましいとはいえない。結局、本発明の方法
の条件において、水溶性有機溶媒中にある核酸と核酸以
外の成分との析出速度の違い、析出物の形成速度の違い
を効果的に利用し、核酸の初期析出物を上記固相担体表
面に有効に吸着させ、他成分との効率的な分離を可能と
している。
【0026】本発明における固相担体についての表面粗
さの計測値である最大高さとは、JIS規格(B0601)
で定義されている表面粗さの表現方法である。具体的に
は、触針法で固相担体表面の粗さを測定し、得られた凹
凸表面曲線の一部基準長さを選択し、その部分の最大凹
凸部を含むように平行な2直線を引き、この2直線の間
隔を最大高さの値とするものである。表面粗さの測定に
は、たとえば膜厚計を使用することができる。
【0027】本発明の固相担体は、使用する素材により
表面凹凸レベルの調整方法は異なってくる。無機材料、
たとえばガラスの場合には曇りガラスの製造法であるフ
ッ酸処理をそのまま転用することができる。有機ポリマ
ー素材の場合、成形されたポリマーをサンドペーパーで
研磨する方法、または研磨機にかける方法などを利用で
きる。
【0028】本発明の固相担体の形状は特に限定される
ものではない。その形状として粒子、チューブ、プレー
ト、管、容器などが挙げられるが、通常は粒子であるこ
とが望ましい。粒子の形状としては、たとえば球形、楕
円体形、錐体、立方形、直方体形などが考えられる。こ
のうち球形粒子の担体は製造がしやすく、使用時に、固
相担体の回転攪拌がしやすいことからも好ましい。この
ような球状担体について、そのストークス直径は0.01〜
50mmの範囲であることが好ましく、0.1〜10mmの範囲で
あることがより好ましい。該直径が0.01mm未満になる
と、重力による粒子回収に時間がかかることおよび再分
散するときの粒子衝突が強すぎて核酸鎖を物理的に切断
して細分化を招く。また該直径が50mmを超えると、通常
数mlの血液検体からの核酸抽出に占める容積が大き過ぎ
て、操作しづらくなる。とりわけ現行機器での対応によ
る自動化の場合には、ハンドリングがその障害となるこ
とある。なお、本発明にいう「ストークス直径」とは、
固相担体が粒子の場合の有効径であり、球状以外の形状
を有する固相担体のサイズは、ストークス法則に従って
求められた直径を、同一ストークス直径を有する球状担
体の直径とみなすことができる。
【0029】上記固相担体は、その表面も含めた担体全
体が同一の材料から構成されている場合のほかに、必要
に応じて複数の素材から構成されるハイブリット体であ
ってもよい。この場合でも固相担体の表面を構成する素
材は合成高分子、無機物質、ガラスよりなる群から選択
されるものであり、その表面の凹凸が最大高さ法で表し
た場合の表面粗さで0.005〜100μm、より好ましくは0.0
1〜10μmであることが望ましい。より具体的には、自動
化機器に対応することができるために、コア部分は酸化
鉄、または酸化クロムのような磁気応答性材料で作ら
れ、その表面を有機合成ポリマーで被覆された複合ボー
ル形状のものが挙げられる。このような磁気応答性ボー
ルの球状担体は、ロボットを使用して操作するときに特
に有利である。水溶性有機溶媒 本発明に使用する水溶性有機溶媒として、アルコール基
を含む水に可溶な溶媒が挙げられ、特にアルコールが好
ましい。具体的には、そのアルコールとして、ブタノー
ル、2-ブタノール、ペンタノール、2−ペンタノール、
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノ
ールよりなる群より少なくとも1つ以上選択される。水
溶性有機溶媒は1種の溶媒を単独で使用してもよいし2
種以上を併用してもよい。これらのうちで、特にエタノ
ール、イソプロパノールが好ましい。
【0030】これらの水溶性有機溶媒を用い場合の核酸
抽出時のその最終濃度は、25〜100容量%、好ましくは4
0〜100容量%である。通常細胞や宿主から遊離された核
酸は上記有機溶媒の濃度で、核酸のみが固相担体表面に
析出、吸着される。必要に応じて上記水溶性有機溶媒に
塩、界面活性剤を添加してもよい。たとえばナトリウム
塩、カリウム塩、マグネシウム塩またはドデシルスルホ
ン酸ナトリウムなどが挙げられる。添加する塩の該溶媒
液での最終濃度は、好ましくは0.1〜50mM、さらに好ま
しくは0.5〜10mMである。塩濃度が0.1mM未満では添
加する塩による核酸析出効果が小さいため好ましくな
い。逆に50mMを超える塩濃度では、核酸以外の親水性
タンパク質などの析出も引き起こすようになるため、核
酸のみの塩析効果が減殺される。同様に界面活性剤の該
溶媒液での最終濃度は、0.01〜15%(w/v)が好まし
く、さらに0.05〜0.5%(w/v)がより好ましい。当該最
終濃度が0.01%未満では疎水性タンパク質のミセル効果
が弱く、15%を超えると界面活性剤の析出を招くためい
ずれも好ましくない。吸着操作 本発明では水溶性有機溶媒の存在下、核酸を含む試料と
固相担体とを接触させることにより、核酸が固相担体の
固体相に吸着される。ライシス溶液、固相担体および水
溶性有機溶媒の順については限定されない。すなわち、
溶解処理に際して固相担体を同時に添加しておいてもよ
く、溶解処理後に固相単体を添加してもよく、あるいは
固相担体と試料とを直接接触させた後にライシス溶液を
添加してもよい。ただし、固相担体と試料を先に接触さ
せる場合には、すぐにライシス溶液を添加するのがよ
い。より好ましくは、溶解処理後に固相担体を添加して
試料と接触させるが、この場合、固相担体は水溶性有機
溶媒と一緒に加えてもあるいは別個に加えてもよい。
【0031】固相担体はその形状および表面粗さによっ
て異なるが、ビーズ状の場合、一般に試料5mlにつき
1〜20個程度使用することができる。核酸の固相担体
への吸着に要する時間は、水溶性有機溶媒、核酸含有試
料および固相担体を混合後、通常0.5〜20分、好まし
くは5〜15分である。特にゲノムのような長い核酸を抽
出する場合、吸着工程時間を長くすることが好ましい。
また吸着温度は10〜60℃、好ましくは15〜40℃である。
【0032】吸着工程において反応液を攪拌する場合に
は、通常0.5〜20回転/分、好ましくは1〜5回転/分の速
度である。 ・洗浄および溶出工程 固体担体への核酸の吸着工程が終了後、反応液から固相
担体を分離して分離した固相担体を洗浄する。洗浄液と
しては、固体担体に結合した核酸を溶離させないもので
あれば、吸着工程で使用した水溶性有機溶媒と同じ溶媒
であっても、その他の水溶性溶媒であってもよい。また
核酸の固相担体への吸着が維持できるならば必要に応じ
て水溶性有機溶媒の濃度を低くしてもよい。
【0033】固相担体に吸着した核酸は前記洗浄後、乾
燥して次のステップに用いてもよい。乾燥方法は限定さ
れず、減圧乾燥、加熱乾燥、通風乾燥などが用いられ
る。特に乾燥としては風乾が望ましい。乾燥温度は通常
室温ないし60℃が好ましく、乾燥時間は5〜20分間であ
ることが好ましい。こうして得られる核酸が吸着された
固相担体は使用目的により、そのまま次の操作、たとえ
ばPCR法による増幅や制限酵素処理など各種の核酸分析
に供することができる。あるいは乾燥した固相担体に滅
菌蒸留水、トリス塩酸/EDTA緩衝液(TE)を加えて攪
拌することにより固相担体に吸着した核酸を液層に溶出
してもよい。
【0034】固相担体から核酸を溶出するには、低イオ
ン強度の溶媒、緩衝液を固相担体に作用させ、必要なら
加温する。核酸溶出のための温度は、好ましくは50〜
90℃、より好ましくは70〜80℃である。このよう
な溶離液としては、水、トリス塩酸緩衝液、リン酸緩衝
液などが例示される。溶出された核酸は、遠心分離、ろ
過、デカンテーションなどの操作により担体を除去して
回収される。 ・核酸分離方法の実施態様 本発明による方法の実施については、特に限定されるも
のはなく、試料および目的に応じた多様な実施の形態を
とることができる。
【0035】本発明の実施において核酸量が少ない場合
にはバッチ法の実施が好ましいが、核酸量が多い場合、
核酸抽出率を上げるためにカラム方式が好ましい。使用
する固相担体の粒径は実施形態により選ぶことができ
る。好ましい実施形態の一具体例として、全血を出発試
料に用いる例を示すと、 1)血液1容量を、予め30〜85℃に加熱してあり、
少なくとも0.01〜0.5Mの塩化アンモニウムを含む溶血
剤0.1〜30倍容量と混合させ、遠心分離で白血球を分
離する工程、 2)白血球を少なくとも0.01〜15%(w/v)界面活性
剤、0.05〜50mg/ml細胞分解酵素(アミラーゼ、リパ
ーゼ、プロテアーゼ、ヌクレアーゼ、からなる群から選
択される少なくとも一つ以上の酵素を含む)を含むライ
シス溶液0.01〜10倍容量と接触させ、35〜85℃で0.1〜1
0時間攪拌、加熱する工程、 3)ストークス直径が0.01mm〜50mmで、表面に凹凸があ
り、最大高さ法で表した場合の表面粗さが0.005〜100μ
mの固相担体を少なくとも1個以上、アルコール(ブタ
ノール、2−ブタノール、ペンタノール、2-ペンタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノールから
なる群から選択される)を少なくとも50%(v/v)以
上含有する溶液、1〜10倍容量を前記2)の試料と接
触させ、回転攪拌させてから、血液中の核酸を固相担体
表面に吸着させる工程からなる方法である。
【0036】本発明による方法は、被験者から極めて容
易に採取できる血液試料より核酸を抽出精製するため、
核酸に関するデータを臨床分野で利用する目的には特に
好ましく適用できる。本発明の方法により、DNAおよ
びRNAのいずれも分離でき、しかも得られる核酸はさ
らに精製する必要はなく、そのままPCR法、各種分析
に供することができるためである。
【0037】本発明の核酸分離方法は、全手順を単一の
反応容器中で実施することも可能であり、これは以下の
利点をもたらす。一つは、方法の一段階で、核酸含有試
料から遊離した核酸が後続の精製過程において少なくと
も固相の大部分に結合するため、汚染の危険を極めて低
くすることができる。病原菌への汚染は、ウィルスまた
は細菌などの病原菌に感染している可能性のある検体の
処理に伴う人体への危険は、サンプルを反応容器に入れ
る分離段階の第1段階にほぼ限定される。初期の処理に
おいてウィルスまたは細菌は有効に不活性化される。も
う一つの汚染として、多数の検体を同時的に処理する場
合の、相互汚染の問題である。これも単純な工程と操作
とあいまって、単一の反応容器で行うことによって、こ
のリスクを回避できる。
【0038】もう一つは、処理の自動化を実現するのに
好都合であることである。自動化 核酸の抽出および調製の自動化は、操作の熟練、高度の
知識を必要とせずに、迅速に大量の検体を処理すること
も可能とする。したがって、核酸調製の自動化は遺伝子
工学、遺伝学的診断をはじめとして核酸分析を必要とす
る各分野において広範な利用、用途を有するため、極め
て重要な意義をもつ。
【0039】本発明の方法は、上述したその特質から、
多数のサンプルより機械的に核酸を迅速に分離する目
的、すなわち自動処理化にも極めて好適である。本発明
の方法が水/フェノールの二相抽出を必要とせず、遠心
分離の操作も白血球を分離する段階を除けば、基本的に
は不要であることから機械化の障害は特にないからであ
る。核酸分離キット 本発明は、白血球含有試料から核酸を単離するための方
法のみならず、そのための手段の組み合わせにも係る。
その組み合わせの具体的な態様であるキットとして、少
なくとも(a)白血球含有試料と接触させる、少なくとも
細胞分解酵素および界面活性剤を含むライシス溶液、
(b)ストークス直径が0.01〜50mmであって、最大高さ法
で表した場合の表面粗さが0.005〜100μmである凹凸を
表面に有する水不溶性固相担体、(c)水溶性有機溶媒、
(d)該固相担体を洗浄するための洗浄液、および所望に
より該固相担体に吸着された核酸を回収するための溶離
液、とからなることを特徴としている。
【0040】「ライシス溶液」、「水不溶性の固相担
体」、「水溶性有機溶媒」については上記に説明したも
のがいずれも好適に用いられる。「洗浄液」、「溶離
液」については、吸着工程で使用した水溶性有機溶媒と
同じ溶媒、またはその他の水溶性溶媒、リン酸緩衝液、
トリス塩酸緩衝液などを例示することができる。両者は
同一系の緩衝液であってもよく、緩衝液の液性を変更す
る、具体的にはイオン強度、pH、含有する塩類の種類
を変化させることにより、洗浄用および溶離の作用を実
現させることができる。
【0041】これらのキットを構成する各成分は、別個
に用意されてもよく、あるいは、支障がない限り一緒に
してもよい。さらに必要に応じて、本キットは補助剤、
専用容器、その他の必要なアクセサリーなどを含んでも
よい。
【0042】
【実施例】以下、実施例を挙げて具体的に本発明を説明
するが、本発明はこれら実施例により限定されるもので
はない。
【0043】
【実施例1】ヘパリン入りの全血1mlに70℃に加温した
溶血剤、すなわち50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.6)
中に0.15M NH4Cl、20mM MgCl2および20mM
CaCl2を含有する溶液、4mlを加えて上下攪拌後、
遠心分離(3000rpm×5分間)して、上清を除去した。
【0044】ペレットにトリプシン(5 mg/ml)、RN
Aヌクレアーゼ(2 mg/ml)、リパーゼ(2 mg/ml)、ア
ミラーゼ(1 mg/ml)、0.5%(w/v)ラウリル酸ナトリ
ウムを含む200mM塩化カリウム溶液0.5mlを加え、50℃
で0.5時間加熱した。反応終了後、ストークス直径6mmの
ポリスチレンボール(表面粗さの最大高さ5μm、Sloan
社膜厚計Dektak3030により測定)を1個、イソプロピル
アルコール1mlを加えて、試験管を上下3回攪拌して、上
澄みを除去した。20mMトリス緩衝液(pH7.6)1mlで2
回洗浄後、TE、0.5mlを加えて60℃、30分間攪拌しな
がら加熱した。続いて上記ポリスチレンボールを試験管
から除去し、上澄みを回収した。
【0045】回収された上記上澄み液中に含まれるDN
Aを吸光度測定により定量した。回収されたDNA量を
260nmの紫外吸光度(A260)から算出し、その純度は吸
光度の比260nm、280nm、230nm、320nm(A260/A280、A26
0/A320、A260/A230)および0.8%アガロース電気泳動で
ゲノムDNAの長さ、バンドの均一性を確認した。回収
したDNA、1μgを0.2単位の制限酵素、Hind IIIによ
る消化、酵素処理後の消化結果を電気泳動で確認した。
さらに1fgDNAを鋳型にグロブリン遺伝子の増幅も施
し、その結果を電気泳動で確認した。
【0046】
【実施例2】実施例1に使用したポリスチレンボールの
代わりに、内部に径2mmの鉄球を含有するガラスボール
(直径6mm、表面粗さ10μm)を使用した以外は実施例1
と同様な操作を行った。
【0047】
【実施例3】実施例1に使用した酵素トリプシンの代わ
りに、トリプシンと同濃度のペプシンを使用した以外は
実施例1と同様な操作を行った。
【0048】
【実施例4】実施例1に使用した酵素トリプシンの代わ
りに、トリプシンと同濃度のペプチターゼを使用した以
外は実施例1と同様な操作を行った。
【0049】
【実施例5】実施例1に使用したイソプロピルアルコー
ルの代わりに、エタノールを使用した以外は実施例1と
同様な操作を行った。
【0050】
【実施例6】EDTA採血管より採取した血液10mlに、
40℃に加熱した0.15M NH4Cl、 60mlを加え、上下攪
拌後、3000回転x5分で遠心し、上澄みを除去し
た。ペレットにペプチターゼ(5mg/ml)、リパーゼ(2m
g/ml)、0.5%(w/v)ドデシル硫酸ナトリウムを含有す
る200mMKCl溶液0.5mlを加え、50℃で1.5時間加熱し
た。反応終了後、ストークス直径10mmのポリプロピレ
ンボール(表面粗さの最大高さ10μm)を2個、1m
lエタノールを加え、試験管を上下3回攪拌後、上澄み
を除去した。20mM トリス緩衝液(pH7.6) 1mlで2回洗
浄後、0.5mlのTEを加え、70℃で30分攪拌しなが
ら加熱した。続いて、ポリプロピレンボールを試験管か
ら除去し、上澄みを回収した。
【0051】
【比較例1】参照実験として実施例1で得た白血球沈殿
をフェノール・クロロホルム法で抽出した。抽出法は、
「分子クローニング」(J.Sambrook、1982、 CSH出版)
に従った。実施例及び比較例の結果を、下記の表1に示
す。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】本発明の核酸抽出方法及びその試薬を用
いることにより、血液から短時間、簡便、低コストで核
酸を高純度、大量に精製することができる。かつ、有毒
溶媒、腐食性溶媒を使用せず、作業環境、作業者にとっ
ても優しい方法の確立により、遺伝子工学、遺伝子診
断、遺伝子治療、ゲノム化学、ゲノム創薬等の分野に広
く応用ができる。また処理の自動化も可能な方法であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日方 幹雄 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 4B024 AA20 CA01 CA11 HA03 4B064 AF23 CA21 CC03 CD21 CE09 DA01 DA16

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】白血球含有試料から核酸を分離する方法で
    あって、 1)白血球含有試料と、少なくとも細胞分解酵素および界
    面活性剤を含むライシス溶液とを接触させる工程、 2)次いで水溶性有機溶媒の存在下、該白血球含有試料
    と、ストークス直径が0.01〜50mmであって最大高さ法で
    表した場合の表面粗さが0.005〜100μmである凹凸を表
    面に有する水不溶性固相担体とを接触させて、該試料中
    の核酸を該固相担体表面に吸着させる工程、ならびに 3) 該固相担体を洗浄し、必要に応じてさらに核酸を溶
    離する工程からなる核酸分離方法。
  2. 【請求項2】前記細胞分解酵素が、アミラーゼ、リパー
    ゼ、プロテアーゼ、ヌクレアーゼよりなる群から選択さ
    れる、少なくとも1つ以上の酵素を含むことを特徴とす
    る請求項1に記載の核酸分離方法。
  3. 【請求項3】前記水溶性有機溶媒は、ブタノール、2-ブ
    タノール、ペンタノール、2−ペンタノール、メタノー
    ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノールより
    なる群より選択される、少なくとも1つ以上の有機溶媒
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の核酸分離方
    法。
  4. 【請求項4】前記固相担体の表面は、合成高分子、無機
    物質、ガラスよりなる群から選択されるものからなるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の核酸分離方法。
  5. 【請求項5】白血球含有試料から核酸を分離する手段と
    して、少なくとも (a)白血球含有試料と接触させる、少なくとも細胞分解
    酵素および界面活性剤を含むライシス溶液、 (b)ストークス直径が0.01〜50mmであって、最大高さ法
    で表した場合の表面粗さが0.005〜100μmである凹凸を
    表面に有する水不溶性固相担体、 (c)水溶性有機溶媒、 (d)該固相担体を洗浄するための洗浄液、および所望に
    より該固相担体に吸着された核酸を回収するための溶離
    液、 とからなることを特徴とする核酸分離用キット。
JP2002004913A 2002-01-11 2002-01-11 白血球含有試料からの核酸分離方法 Pending JP2003204799A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002004913A JP2003204799A (ja) 2002-01-11 2002-01-11 白血球含有試料からの核酸分離方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002004913A JP2003204799A (ja) 2002-01-11 2002-01-11 白血球含有試料からの核酸分離方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003204799A true JP2003204799A (ja) 2003-07-22

Family

ID=27644108

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002004913A Pending JP2003204799A (ja) 2002-01-11 2002-01-11 白血球含有試料からの核酸分離方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003204799A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005093052A1 (en) * 2004-03-26 2005-10-06 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method for selectively separating and purifying rna and method for separating and purifying nucleic acid
JP2006169153A (ja) * 2004-12-15 2006-06-29 Shinshu Univ 抗菌作用を有する米糖化液
JP2007089574A (ja) * 2005-08-30 2007-04-12 Fujifilm Corp Rna分離精製方法
JP2007512811A (ja) * 2003-11-10 2007-05-24 インベスチゲン, インコーポレイテッド 検出のための核酸を調製する方法
JP2007516712A (ja) * 2003-12-24 2007-06-28 アゴヴァ ゲゼルシャフト フュール モレクラルビオロギッシェ テクノロギー エムベーハー 生物材料からのdna含有構成成分を集積化および安定化する方法
JP2009507781A (ja) * 2005-08-24 2009-02-26 キアゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 血液から核酸を抽出する方法
WO2010082631A1 (ja) * 2009-01-16 2010-07-22 アークレイ株式会社 核酸試料の製造方法、および、それを用いた核酸増幅物の製造方法
JP2014030364A (ja) * 2012-08-01 2014-02-20 Seiko Epson Corp Dnaの抽出方法
CN108124454A (zh) * 2015-04-23 2018-06-05 Aj耶拿检疫有限公司 借助粗糙表面快速分离核酸的方法和试剂盒

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007512811A (ja) * 2003-11-10 2007-05-24 インベスチゲン, インコーポレイテッド 検出のための核酸を調製する方法
JP2007516712A (ja) * 2003-12-24 2007-06-28 アゴヴァ ゲゼルシャフト フュール モレクラルビオロギッシェ テクノロギー エムベーハー 生物材料からのdna含有構成成分を集積化および安定化する方法
WO2005093052A1 (en) * 2004-03-26 2005-10-06 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method for selectively separating and purifying rna and method for separating and purifying nucleic acid
US7824855B2 (en) 2004-03-26 2010-11-02 Fujifilm Corporation Method for selectively separating and purifying RNA and method for separating and purifying nucleic acid
JP2006169153A (ja) * 2004-12-15 2006-06-29 Shinshu Univ 抗菌作用を有する米糖化液
JP2009507781A (ja) * 2005-08-24 2009-02-26 キアゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 血液から核酸を抽出する方法
EP1920054A4 (en) * 2005-08-30 2009-08-26 Fujifilm Corp PROCESS FOR SEPARATING AND PURIFYING RNA
JP2007089574A (ja) * 2005-08-30 2007-04-12 Fujifilm Corp Rna分離精製方法
US7884201B2 (en) 2005-08-30 2011-02-08 Fujifilm Corporation Method for separating and purifying RNA
WO2010082631A1 (ja) * 2009-01-16 2010-07-22 アークレイ株式会社 核酸試料の製造方法、および、それを用いた核酸増幅物の製造方法
JP5570422B2 (ja) * 2009-01-16 2014-08-13 アークレイ株式会社 核酸試料の製造方法、および、それを用いた核酸増幅物の製造方法
KR101512709B1 (ko) 2009-01-16 2015-04-28 아크레이 가부시키가이샤 핵산 시료의 제조 방법, 및, 그것을 사용한 핵산 증폭물의 제조 방법
JP2014030364A (ja) * 2012-08-01 2014-02-20 Seiko Epson Corp Dnaの抽出方法
CN108124454A (zh) * 2015-04-23 2018-06-05 Aj耶拿检疫有限公司 借助粗糙表面快速分离核酸的方法和试剂盒
JP2018520696A (ja) * 2015-04-23 2018-08-02 エイ・ジェイ イヌスクリーン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングAJ Innuscreen GmbH 粗さのある表面による核酸の迅速な単離のための方法および試験キット

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5441290B2 (ja) 核酸精製システムの媒体上に核酸を保存するツールとして、化学物質を用いる方法および材料
JP4175670B2 (ja) 固体相核酸の単離
JP4594467B2 (ja) 常磁性粒子を用いた核酸の精製とその操作方法
CA2207608C (en) Isolation of nucleic acid
US5010183A (en) Process for purifying DNA and RNA using cationic detergents
US20070031880A1 (en) Chemical treatment of biological samples for nucleic acid extraction and kits therefor
US20080132694A1 (en) Method For Facilitating an Automated Isolation of a Biopolymer Using Magnetic Particles
EP1388588B1 (en) Nucleic acid-separating method and nucleic acid-extracting reagent
JPH0713077B2 (ja) 長鎖核酸を分離する方法
JP2013013416A (ja) Dnaを精製するための固相担体を使用するための組成物および方法
JPH09327291A (ja) Rnaの抽出精製方法
JP2003204799A (ja) 白血球含有試料からの核酸分離方法
CN101044248B (zh) 使用2价金属的核酸捕获方法
JP3082908B2 (ja) リボ核酸の単離方法
JP2003235555A (ja) 一本鎖核酸および/または二本鎖核酸の単離方法
JP4196185B2 (ja) 核酸分離方法
WO2024092946A1 (zh) 具有普适性的提取微生物dna的试剂盒及方法与应用
CN118995383B (zh) 一种磁珠法微生物基因组提取试剂盒及微生物基因组提取方法
US20030228600A1 (en) DNA isolation method and kit
JP2002212198A (ja) 核酸の分離方法および核酸分離用担体
EP1487977B1 (en) Method to isolate dna
JPH11178571A (ja) 核酸抽出方法およびそのための試薬

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040714

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071120

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080117

A02 Decision of refusal

Effective date: 20080318

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02