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JP2003191659A - 平版印刷版用アルミニウム支持体とその製造方法、および平版印刷原版 - Google Patents

平版印刷版用アルミニウム支持体とその製造方法、および平版印刷原版

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Publication number
JP2003191659A
JP2003191659A JP2001392501A JP2001392501A JP2003191659A JP 2003191659 A JP2003191659 A JP 2003191659A JP 2001392501 A JP2001392501 A JP 2001392501A JP 2001392501 A JP2001392501 A JP 2001392501A JP 2003191659 A JP2003191659 A JP 2003191659A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
treatment
plate
lithographic printing
aluminum
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001392501A
Other languages
English (en)
Inventor
Akio Uesugi
彰男 上杉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2001392501A priority Critical patent/JP2003191659A/ja
Publication of JP2003191659A publication Critical patent/JP2003191659A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
  • ing And Chemical Polishing (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐刷性と汚れ性能とが高いレベルで両立し
た平版印刷原版および前記平版印刷原版を製造できる平
版印刷版用アルミニウム支持体とその製造方法の提供。 【解決手段】アルミニウム板の少なくとも一方の面に、
機械的に粗面化する機械的粗面化処理(a)、アルカリエ
ッチング処理(b)、デスマット処理(c)、硝酸水溶液中で
の電解粗面化処理(d)、アルカリエッチング処理(e)、デ
スマット処理(f)、塩酸水溶液中での電解粗面化処理
(g)、アルカリエッチング処理(h)、およびデスマット処
理(I)を、それぞれ特定の条件で順次施し、陽極酸化被
膜量が1g/m2以上になり、陽極酸化被膜のポアが特
定のポア径分布になるように陽極酸化処理をした平版印
刷版用アルミニウム支持体、その製造方法、平版印刷原
版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版用アル
ミニウム支持体とその製造方法、および平版印刷原版に
関し、特に、コンピュータの印刷データに基き、レーザ
光により、印刷画像を直接に書き込んで製版する所謂デ
ジタル刷版として好適な支持体が得られる平版印刷版用
アルミニウム支持体とその製造方法、および前記平版印
刷版用アルミニウム支持体の粗面化面に製版層を形成し
た平版印刷原版に関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷版用アルミニウム支持体は、一
般には、アルミニウム板の少なくとも一方の面に、機械
的粗面化、酸又はアルカリ溶液中での化学的エッチン
グ、酸性水溶液中でのデスマット処理、電気化学的な粗
面化である電解粗面化処理、酸性水溶液中での陽極酸化
処理、親水化処理、および封孔処理などから選択される
1つ以上の処理を組み合わせて粗面化処理することによ
り製造される。
【0003】とくに、前記電解粗面化処理は、均一な凹
凸を得やすいことから、平版印刷版用アルミニウム支持
体の粗面化方法として一般的に用いられてきた。前記電
解粗面化処理としては、とくに、塩酸または硝酸水溶液
中での電解粗面化処理が主に行なわれてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】赤外線レーザ用感光性
画像形成材料で形成された製版層を有するダイレクト製
版用の平版印刷原版、または従来のポジまたはネガ型フ
ィルムを用いる平版印刷原版に使用されるアルミニウム
支持体としては、印刷枚数(耐刷力)と汚れ性能とを高
いレベルで両立させたものが望まれていた。特に、オフ
セット印刷機に装着して印刷を行い、その後印刷を休止
して長時間放置したときに製版面が汚れ難いこと、およ
び損紙の枚数に大きく影響する払い枚数が少ないことが
強く要求されるようになってきた。しかしながら、従来
の平版印刷版用アルミニウム支持体は、これらの点で十
分ではなかった。
【0005】本発明は、耐刷性と汚れ性能とが高いレベ
ルで両立した平版印刷版用アルミニウム支持体を製造で
きる平版印刷版用アルミニウム支持体とその製造方法、
および前記平版印刷版用アルミニウム支持体において粗
面化処理された粗面化面に製版層を積層した平版印刷原
版を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、アルミニウム板の少なくとも一方の面に、(1)平均
粒径が1〜60μmであり、珪素またはアルミナを含有
する研磨材を用いて、毛径0.05〜0.8mmのロー
ラ状ブラシにより、機械的に粗面化する機械的粗面化処
理(a)、(2)水酸化ナトリウム濃度が15〜30重量
%の水酸化ナトリウムを主体とするアルカリ溶液をスプ
レーし、エッチング量が2〜15g/m2になるように
エッチングするアルカリエッチング処理(b)、(3)酸
性溶液中でデスマット処理するデスマット処理(c)、
(4)硝酸濃度が0.2〜2重量%であり、液温が20〜
70℃の硝酸水溶液中で、交流にて、5〜40A/dm
2の電流密度で、アノード時の電流密度が30〜300
C/dm2になるように電解粗面化処理を行なう電解粗
面化処理(d)、(5)水酸化ナトリウム濃度が15〜3
0重量%の水酸化ナトリウムを主体とするアルカリ溶液
をスプレーし、エッチング量が0.1〜6g/m2にな
るようにエッチングするアルカリエッチング処理
(e)、(6)酸性溶液中でデスマット処理するデスマッ
ト処理(f)、(7)塩酸濃度が0.1〜2重量%であ
り、液温が20〜70℃の塩酸水溶液中で、交流にて、
5〜40A/dm2の電流密度で、アノード時の電流密
度が3〜75C/dm2になるように電解粗面化処理を
行なう電解粗面化処理(g)、(8)水酸化ナトリウム濃
度が0.1〜10重量%の水酸化ナトリウムを主体とす
るアルカリ溶液をスプレーし、エッチング量が0.01
〜1g/m2になるようにエッチングするアルカリエッ
チング処理(h)、および(9)酸性溶液中でデスマット
処理するデスマット処理(i)を順次施し、次いで、陽
極酸化被膜量が1g/m2以上になるように、酸性電解
液中で陽極酸化処理を施してなる平版印刷版用アルミニ
ウム支持体であって、前記陽極酸化被膜におけるポア径
分布が、ポア半径3〜7nmの範囲にピークを有し、半
径10nm以上のポアの個数が、全ポアの個数の20%
以下であることを特徴とする平版印刷版用アルミニウム
支持体に関する。
【0007】前記平版印刷版用アルミニウム支持体の粗
面化面には、機械的粗面化処理(a)により、大きさが
10〜20μm程度の凹凸である大波が主に形成され、
電解粗面化処理(d)において硝酸水溶液中で粗面化処
理することにより、大きさが0.8〜6μm程度の凹凸
であるハニカムピットが主に形成される。そして、アル
カリエッチング処理(e)により、粗面化面を滑らかに
しつつ、前記ハニカムピットの大きさを6〜8μm程度
にする。さらに、電解粗面化処理(g)において塩酸水
溶液中で電解粗面化処理することにより、ファセット状
のピットであって直径が0.01〜0.6μm程度の微
小波が主に形成されると考えられる。電解粗面化処理
(g)に引き続くアルカリエッチング処理(h)によ
り、粗面化面を滑らかにしつつ、前記ピット径を0.0
3〜0.9μm程度にする。
【0008】したがって、前記粗面化処理により、前記
平版印刷版用アルミニウム支持体の粗面化面には、前記
大波に前記ハニカムピットと前記微小波とが重畳された
構造の粗面化面が形成される。その後、引き続いて陽極
酸化処理を行い、粗面化面に、前述のポア径分布を有す
る陽極酸化被膜を形成する。
【0009】前記製造方法は、材料として使用できるア
ルミニウム板の組成幅が広いから、圧延アルミニウム板
や再生アルミニウム板のように厳密な組成管理が成され
ていなかったり不純物が多かったりするアルミニウム板
からも、外観上の不良がなく、耐刷性に優れるだけでな
く、汚れ性能にも優れ、印刷紙面に汚れを発生させるこ
とのない平版印刷原版が得られる。
【0010】また、機械的粗面化処理(a)において使
用される研磨材は、酸化珪素またはアルミナの含有量が
多いので硬度が高い。したがって、アルミニウム板の表
面を効率良く粗面化できる。
【0011】請求項2に記載の発明は、前記陽極酸化被
膜における単位面積あたりの全ポアの個数が200〜1
500個/μm2である平版印刷版用アルミニウム支持
体に関する。
【0012】前記平版印刷版用アルミニウム支持体は、
陽極酸化皮膜と製版層との間の密着性に優れ、また、現
像後において、非画像部に製版層が残り難いから、画質
に優れた印刷物が得られる。
【0013】請求項3に記載の発明は、電解粗面化処理
(g)におけるアノード時の電流密度が3〜24C/d
2である平版印刷版用アルミニウム支持体に関する。
【0014】前記平版印刷版用アルミニウム支持体にお
いては均一な微小波が形成されるから、耐刷性、保水
性、および耐汚れ性の何れにも優れている。
【0015】請求項4に記載の発明は、前記機械的粗面
化処理(a)において、珪素およびアルミナの少なくと
も一方を65〜90重量%含有する研磨材を使用する平
版印刷版用アルミニウム支持体に関する。
【0016】前記平版印刷版用アルミニウム支持体は、
大波とハニカムピットと小波とが特にバランス良く形成
されているから、耐汚れ性と保水性とに特に優れてい
る。
【0017】請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の
何れか1項に記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の
粗面化面に製版層を形成してなる平版印刷原版に関す
る。
【0018】前記平版印刷原版を露光し、製版した印刷
版は、耐刷性に優れるだけでなく、汚れ性能にも優れ、
印刷紙面に汚れを発生させることのない点で好ましい。
【0019】請求項6に記載の発明は、アルミニウム板
の少なくとも一方の面に、(1)平均粒径が1〜60μm
であり、珪素またはアルミナを含有する研磨材を用い
て、毛径0.05〜0.8mmのローラ状ブラシによ
り、機械的に粗面化する機械的粗面化処理(a)、(2)
水酸化ナトリウム濃度が15〜30重量%の水酸化ナト
リウムを主体とするアルカリ溶液をスプレーし、エッチ
ング量が2〜15g/m2になるようにエッチングする
アルカリエッチング処理(b)、(3)酸性溶液中でデス
マット処理するデスマット処理(c)、(4)硝酸濃度が
0.2〜2重量%であり、液温が20〜70℃の硝酸水
溶液中で、交流にて、5〜40A/dm2の電流密度
で、アノード時の電流密度が30〜300C/dm2
なるように電解粗面化処理を行なう電解粗面化処理
(d)、(5)水酸化ナトリウム濃度が15〜30重量%
の水酸化ナトリウムを主体とするアルカリ溶液をスプレ
ーし、エッチング量が0.1〜6g/m2になるように
エッチングするアルカリエッチング処理(e)、(6)酸
性溶液中でデスマット処理するデスマット処理(f)、
(7)塩酸濃度が0.1〜2重量%であり、液温が20〜
70℃の塩酸水溶液中で、交流にて、5〜40A/dm
2の電流密度で、アノード時の電流密度が3〜75C/
dm2になるように電解粗面化処理を行なう電解粗面化
処理(g)、(8)水酸化ナトリウム濃度が0.1〜10
重量%の水酸化ナトリウムを主体とするアルカリ溶液を
スプレーし、エッチング量が0.01〜1g/m2にな
るようにエッチングするアルカリエッチング処理
(h)、および(9)酸性溶液中でデスマット処理するデ
スマット処理(i)を順次施し、次いで、陽極酸化被膜
量が1g/m2以上であり、前記陽極酸化被膜における
ポア径分布がポア半径3〜7nmの範囲にピークを有
し、半径10nm以上のポアの個数が全ポアの個数の2
0%以下になるように、酸性電解液中で陽極酸化処理を
施すことを特徴とする平版印刷版用アルミニウム支持体
の製造方法に関する。
【0020】前記製造方法により製造した平版印刷版用
アルミニウム支持体は、外観上の不良がなく、耐刷性に
優れるだけでなく、汚れ性能にも優れ、印刷紙面に汚れ
を発生させることがない。
【0021】
【発明の実施の形態】1.アルミニウム板 本発明に使用されるアルミニウム板は、純アルミニウム
板、アルミニウムを主成分として各種微量元素を含むア
ルミニウム合金板、およびアルミニウムがラミネートま
たは蒸着されたプラスチックフィルムの中から選ばれ
る。
【0022】前記アルミニウム板の形態は、帯状に連続
するアルミニウムウェブが一般的であるが、少量多品種
生産を行う場合には、予め所定の寸法に裁断されたシー
ト状のアルミニウム板も使用できる。
【0023】前記アルミニウム合金板の含有する微量元
素としては、たとえば珪素、鉄、ニッケル、マンガン、
銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、チタン、
およびバナジウムなどがある。
【0024】珪素が多く含まれると、粗面化処理後に陽
極酸化処理を施したときに、陽極酸化皮膜の欠陥とな
り、欠陥部分の保水性が劣り、印刷時に紙が汚れやすく
なる。また、銅が多く含まれると、ハニカムピットが生
成しない部分の面積が多くなり外観故障の原因になる。
したがって、硝酸水溶液および塩酸水溶液中での電気化
学的粗面化処理において均一なハニカムピットを生成さ
せる点からは、前記微量元素の量は、0.001重量%
〜1.5重量%の範囲が好ましい。
【0025】前記アルミニウム板に使用される純アルミ
ニウムおよびアルミニウム合金としては、通常は、アル
ミニウムハンドブック第4版(1990、軽金属協会)
に記載の、例えばJIS A 1050材、JIS A
3103材、JIS A3005材、JIS A 1
100材、JIS A 3004材、および引っ張り強
度を増す目的でこれらに5重量%以下のマグネシウムを
添加した合金など、公知のアルミニウム材を用いること
ができる。
【0026】また、本発明においては、再生アルミニウ
ム板も使用できる。
【0027】1−1 アルミニウム合金の説明 本発明でアルミニウム板の材料として使用できるアルミ
ニウム合金としては、具体的には以下のものが挙げられ
る。
【0028】(1)AL1 必須成分として、FeをO.2〜1重量%、Siを0.
05〜0.20重量%、Cuを0.006〜0.40重
量%含有し、任意成分としてMgを0,001〜0.0
3重量%、Tiを0.001〜0.04重量%含み、残
部がAlと不可避不純物とからなるアルミニウム合金で
ある。
【0029】前記アルミニウム合金は、JlS A 1
050材に分類され、特に、電気化学的粗面化処理にお
けるピット径と深さとを大きくできるから、汚れ性と耐
刷性とのバランスを重視した平版印刷版用支持体に適し
ている。
【0030】(2)AL2 必須成分としてFeを0.1〜0.5重慮%、Siを
0.02−0.10重量%を含有し、任意成分として、
Cuを0.005重量%以下、Mgを0.001〜0.
03重量%、Tiを0,001−0.04重量%、Ni
を0.002〜0.005重量%、Vを0.01〜O、0
5重量%含有し、残部がAlと不可避不純物とからなる
アルミニウム合金である。
【0031】前記アルミニウム合金は、JlS A 1
050材〜J1S A 1070材に分類される合金で
あって、特に、電気化学的粗面化処理におけるピット径
を小さくすることにより、汚れ性を向上させることがで
き、非シリケート現像と組み合わせることにより、汚れ
性と耐刷性のバランスを両立した平版印刷版を作製する
ことができる。
【0032】(3)AL3 アルミニウムの含有量が95−99.4重量%であり、
次の元素のうち、5種類以上を以下の範囲で含むアルミ
ニウム合金板である。
【0033】 Fe:0.3〜1重量% Si:0.15〜1重量% Cu:0.1〜1重量% Mg:0.1〜1.5重量% Mn:0.1〜1.5重量% Zn:0.1〜0.5重量% Cr:0.01〜0.1重量% Ti:0.03〜0.5重量% 前記アルミニウム合金は、スクラップ材を主原料として
使用できるから、原料コストが安価である。また、前記
アルミニウム合金は、アルミニウム合金AL1およびA
L2に比ベて機械強度が優れる。したがって、アルミニ
ウム合金AL3を使用することにより、原材料コストが
安く、かつ機械強度の優れた高強度型の平版印刷原版が
製造できる。
【0034】(4)AL4 必須成分として、Mnを0.1−1.5重量%、および
/またはMgを0.1〜1.5重量%含有するアルミニ
ウム合金である。
【0035】前記アルミニウム合金は、機械強度が優れ
ると共に、AL3に比べて、粗面化処理の安定性に更に
優れ、より均一な粗面化面が優れると共に、AL1より
も更に深いピットを生成させやすい。したがって、アル
ミニウム合金AL4を用いることにより、汚れ性と耐刷
生とのバランスが取れ、特に耐刷性に優れ、言い換えれ
ば印刷性能が高く、しかも機械強度の優れた高強度型の
平版印刷原版が得られる。
【0036】1−2 微量元素についての説明 前記アルミニウム合金に含まれる微量元素については、
以下の通りである。 Fe:Feは、新地金においても0.1〜0.2重量
%前後含有される元素であり、アルミニウム中に固溶す
る量は少なく、殆どが金属間化合物として残存する。
【0037】Feは、機械強度を高める作用があるが、
1.0重量%より多いと圧延途中に割れが発生しやすく
なる。一方、Feの含有量を0.1重量%以下にするこ
とは現実的ではない。
【0038】前記金属間化合物としては、A13Fe、
A16Fe、AlFeSi系化合物、およびAlFeS
iMn系化含物などが代表的である。 Si:Siは、新地金においても0.03〜0.1重
量%前麦含有される元素で、アルミニウム製品のスクラ
ップの中にも多く含まれ、アルミニウム中に固溶した状
態、金属間化合物、および単独の析出物として存在す
る。また、平版印刷版用支持体の製造過程で加熱される
と、固溶していたSiが単体Siとして析出することが
ある。
【0039】単体Siが過剰の場合、過酷インキ汚れが
低下することが知られている。また、電気化学的粗面化
性に影響する。
【0040】前記金属間化合物としては、AlFeSi
系化合物、AlFeSiMn系化合物、およびMg2
iなどが代表的である。 Cu:Cuは、新地金の中にも極微量含まれる。ま
た、JlS A 2000系およびJIS A 400
0系アルミニウム材のスクラップに多く含まれる元素で
あり、比較的アルミニウムに中に固溶しやすい。Cu
は、電気化学的粗面化性に大きな影響を及ぼす元素であ
る。 Mg:Mgは、新馳金の中には極微量含まれる。ま
た、JlS A 2000系、3000系、5000
系、および7000系材料のスクラップに多く含まれる
元素である。特に缶エンド材に多く含まれるため、スク
ラツプ材に含まれる主要な不純物金属の1つである。
【0041】Mgを添加する事で、耐熱軟化性、機械強
度を向上できる。比較的アルミニウム中に固溶しやす
く、Siと金属間化合物を形成することも知られてい
る。 Mn:Mnは、新地金の中には極微量含まれるが、J
lS A 3000系材料のスクラップに多く含まれる
元素である。特に缶ボディ材に多く含まれるため、スク
ラップ材に含まれる主要な不純物金属の1つである。
【0042】Mnも比較的アルミニウム中に固溶しやす
く、Al、Fe、Si等と金属間化合物を形成する。M
nは、アルミニウム合金の機械強度を向上させるが、電
気化学的粗面化性に影響を及ぼす。 Zn:Znは、新地金の中には極微量含まれるが、J
lS A 7000系材料のスクラップに多く含まれる
元素である。比較的アルミニウム中に固溶しやすい。電
気化学的粗面化性に影響を及ぼす。 Cr:Crは、新地金の中にも極微量含まれることが
あり、JlS A 5000系、6000系、および7
000系材料のスクラップに少量含まれることもある。 Ti:Tiは、結晶微細化剤として通常0.01〜
0.04重量%添加される元素である。主として、Al
との金属間化合物、あるいはTiB2の形で添加され
る。JlS A 5000系、6000系、および70
00系材料のスクラップには不純物金属として比較的多
めに含まれる。過剰に含まれると、電気化学的粗面化性
に影響することがある。
【0043】1−3 金属間化合物の説明 アルミ原材料に含まれる元素やアルミ溶湯に添加された
元素は、鋳造工程で凝固する際、一部はアルミ中にとけ
込み(固溶)、残りは金属間化合物、または単独の晶出物
・析出物として存在する。前記元素が金属間化含物また
は単独の晶出物・析出物として残る割合は、凝固速度の
影響を大きく受ける。たとえば、前記元素は、ローラ式
連続鋳造を採った場合のように急速疑固する場合には大
部分が固溶し、DC鋳造法のように疑固速度が遅い鋳造
法を採った場合には、比較的金属間化合物または単独の
晶出物・析出物として残り易い。
【0044】その後、均熱、焼鈍などの熱処理工程や熱
間圧延工程中に、前記元素の多くは、アルミニウムに再
固溶したり、より安定な金属間化合物に変化したりする
が、厚さ0.1−0.7mm程度の平版印刷版用のアル
ミニウム板になった時点で、前記アルミニウム板の表面
や内部に、金属間化合物または単独の晶出物・析出物と
して存在することが多い。たとえば、DC鋳造法で前記
アルミニウム板を製造した場合においてアルミニウム合
金として前記AL1合金を使用した場合には、得られる
アルミニウム板には、500−20000個/mm2
度の密度で、金属間化含物または単独の晶出物および析
出物が存在する。一方、アルミニウム合金として前記A
L2合金を使用した場合には、得られるアルミニウム板
には、100−10000個/mm2程度の密度で金属
間化合物または単独の晶出物・析出物が存在する。AL
3合金またはAL4合金を使用した場合には、得られる
アルミニウム板には、5000−50000個/mm2
の範囲の金属間化合物または単独の晶出物・析出物が存
在する。
【0045】1−4 アルミニウム板の製造方法 前記アルミニウム板は、DC鋳造法、連続鋳造法、DC
鋳造法から中間焼鈍処理および均熱処理の何れかまたは
両方を省略した製造方法、および連続鋳造法から中間焼
鈍処理を省略した製造方法の何れかにより製造できる。
【0046】2.粗面化処理 本発明の平版印刷版用アルミニウム支持体は、本明細書
の請求項1に記載のように、前記アルミニウム板に、 (1) 機械的粗面化処理(a) (2) アルカリエッチング処理(b) (3) デスマット処理(c) (4) 電解粗面化処理(d) (5) アルカリエッチング処理(e) (6) デスマット処理(f) (7) 電解粗面化処理(g) (8) アルカリエッチング処理(h)および (9) デスマット処理(i) からなる粗面化処理を施し、次いで (10)陽極酸化処理 を施して製造される。
【0047】以下、前記機械的粗面化処理〜陽極酸化処
理のそれぞれについて説明する。
【0048】2−1 機械的粗面化処理(a) 機械的粗面化処理(a)においては、前記アルミニウム
板の少なくとも一方の面に、ローラ状ブラシで擦って粗
面化するブラシグレイニングを施す。
【0049】前記機械的粗面化処理は、処理後の粗面化
面の中心線平均粗さ(Ra)は0.3〜0.6μmの範
囲になるように行うことが好ましい。
【0050】以下、ブラシグレイニングについて説明す
る。
【0051】前記ブラシグレイニングを行なうに先立
ち、必要に応じて、前記アルミニウム板の表面に付着し
た圧延油を除去するための脱脂処理を行うことができ
る。前記脱脂処理としては、例えば界面活性剤による処
理、有機溶剤による処理、およびアルカリ性水溶液によ
る処理などを行うことができる。但し、圧延油の付着が
少い場合は、前記脱脂処理を省略することができる。
【0052】引き続いて、研磨材スラリーを前記アルミ
ニウム板表面に供給しながら、1種類、または毛径が異
なる2種類以上のローラ状ブラシを用いてブラシグレイ
ニングを行う。
【0053】前記ブラシグレイニングは、特開平6−1
35175、特公昭50−40047に詳しく記載され
ているように、粗面化しようとするアルミニウム板を挟
んで上方にローラ状ブラシを配置して下方に支持ローラ
を配置し、前記アルミニウム板を一定速度で搬送しつ
つ、前記ローラ状ブラシと前記アルミニウム板との間に
研磨材スラリーを供給しながら前記ローラ状ブラシを回
転させることにより、行うことができる。
【0054】前記支持ローラは、前記ローラ状ブラシ1
本につき、2本づつ配置することができる。前記ローラ
状ブラシの下方に位置する1対の支持ローラは、外面の
最短距離がローラ状ブラシの外径より小さくなるように
配置することが好ましい。
【0055】前記ブラシグレイニング時においては、前
記アルミニウム板を、前記ローラ状ブラシにより、前記
2本の支持ローラの間に押し入れるように加圧すること
が好ましい。
【0056】本発明に用いられるローラ状ブラシは、ナ
イロン、ポリプロピレン、動物毛、あるいはスチールワ
イヤなどから形成したブラシ毛を均一な毛長及び植毛分
布で円筒状の胴の側面全体に植設したもの、前記胴の表
面全体に多数の小穴を開け、前記ブラシ毛の束であるブ
ラシ毛束を前記小穴のそれぞれに植設したもの、および
チャンネルローラ型のものなどが好ましく用いられる。
【0057】前記ブラシ毛の毛径は0.05mm〜0.
8mmであり、好ましくは0.15mm〜0.5mmで
ある。ブラシ毛の断面形状は円が好ましい。毛径が0.
05mm以上であれば、得られる平版印刷版のシャドウ
部での汚れ性能が良好であり、0.8mm以下であれ
ば、ブランケット汚れの生じ難い平版印刷版が得られ
る。
【0058】前記ブラシ毛の植毛後の毛長は、10〜2
00mmが好ましく、特に25〜100mmが好まし
い。なおローラ状ブラシに植え込む際の植毛密度は1c
2当り30〜1000本が好ましく、さらに好ましく
は50〜300本である。
【0059】前記ブラシ毛の材質は、ナイロンが好まし
く、特にナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・1
0などが好ましいが、引っ張り強さ、耐摩耗性、吸水に
よる寸法安定性、曲げ強さ、耐熱性、回復性などに優れ
ている点から、ナイロン6・10が最も好ましい。
【0060】ローラ状ブラシの本数は、好ましくは1本
以上10本以下であり、更に好ましくは1本以上6本以
下であり、最も好ましくは3本または4本である。特開
平6−135175号公報に記載されているように、ブ
ラシ毛の毛径が異なる2以上のローラ状ブラシを組み合
わせてもよい。
【0061】ローラ状ブラシの回転数は、100〜50
0rpmの範囲が好ましい。ローラ状ブラシは、アルミ
ニウム板の搬送方向と同じ方向に回転(順転)させるこ
とが好ましいが、ローラ状ブラシが多数本の場合には、
一部のローラ状ブラシを、アルミニウム板の搬送方向と
は反対の方向に回転(逆転)させてもよい。前記ローラ
状ブラシを3本用いるときは、アルミニウム板の搬送方
向に対して最も上流側に位置するローラ状ブラシを順転
させ、中央のローラ状ブラシを逆転させ、アルミニウム
板の搬送方向に対して最も下流側に位置するローラ状ブ
ラシを順転させることが特に好ましい。ローラ状ブラシ
を4本用いるときには、前記4本のローラ状ブラシの回
転方向は、アルミニウム板の搬送方向に対して上流側
(以下、単に「上流側」という。)からアルミニウム板
の搬送方向に対して下流側(以下、単に「下流側」とい
う。)に向かって、順転、逆転、順転、順転が好まし
い。
【0062】また、前記ローラ状ブラシを、アルミニウ
ム板の搬送方向に対して直角の方向に沿って0.000
1−1Hzの周期および10〜200mmの振幅でオシ
レートさせることにより、処理ムラのない表面を有する
平版印刷版用アルミニウム支持体が得られる。
【0063】ローラ状ブラシの押し込み量は、前記モー
タの消費電力が、1.0〜15kw、更に好ましくは2
〜10kwになるように、前記ローラ状ブラシを回転さ
せるモーターの負荷に基いて管理することが好ましい。
【0064】前記ブラシグレイニングにおいて、太いブ
ラシ毛を植毛したローラ状ブラシで粗面化した後、細い
ブラシ毛を植毛したローラ状ブラシで処理することによ
り、親水性、保水性及び密着性のすべてを兼ね備えた平
版印刷原版が得られるから好ましい。前記平版印刷原版
は、湿し水が少ない場合のシャドー部のつぶれがないた
め、水幅が広く、地汚れが発生しにくく、さらに製版層
との密着劣化がないという特長を有する。
【0065】本発明に用いられる研磨材は、酸化珪素ま
たはアルミナを含有する研磨材であり、具体的には、珪
砂およびアルミナ粉などが挙げられる。前記珪砂および
アルミナ紛は、水酸化アルミニウム、火山灰、パミス粉
末、カーボランダム、金剛砂等と併用してもよいが、酸
化珪素またはアルミナの重量割合は、特に60重量%〜
95重量%の範囲が好ましい。
【0066】前記研磨材は、比重1.05〜1.3とな
るような範囲で水に分散させた研磨材スラリーとして使
用することが好ましい。
【0067】前記研磨材のの平均粒子径は、1〜60μ
mであり、好ましくは3〜50μmであり、更に好まし
くは10〜30μmの範囲である。前記平均粒子径は、
スラリー液中に含まれる全研磨材の体積に対し、各径の
粒子の占める割合の累積度数をとったとき、前記累積割
合が50%となる粒子径として求められる。
【0068】前記ブラシグレイニングにおいては、前記
範囲の中心線平均粗さ(Ra)が得られるように、ロー
ラ状ブラシの押し込み量、回転数、回転方向の組み合わ
せ、ローラ状ブラシの本数、それぞれのローラ状ブラシ
の直径、ブラシ毛の密度、アルミニウム板に加える張
力、前記研磨材スラリーに配合する研磨材の種類、平均
粒子径、粒度分布、および前記研磨材スラリーをアルミ
ニウム板に吹きつける流量・方向・角度などを選択する
ことが好ましい。
【0069】前記機械的粗面化処理においては、前記ブ
ラシグレイニングのほか、側面に研磨面を設けた研磨ロ
ーラで擦って粗面化するローラ研磨、研磨材スラリーを
吹き付ける方式、ワイヤーブラシによる粗面化、凹凸を
付けた圧延ローラの表面形状をアルミニウム板に転写す
る方式などを用いても良い。その他の方式としては、特
開昭55−074898、特開昭61ー162351、
特開昭63−104889等に記載された方式が挙げら
れる。
【0070】2−2 アルカリエッチング処理 機械的粗面化処理(a)の後にアルカリエッチング処理
を行うことにより、前記アルミニウム板の表面に食い込
んだ研磨材やアルミニウム屑などが除去され、その後に
施される電解粗面化処理を、より均一に、しかも効果的
に行うことができる。また、電解粗面化処理(d)およ
び(g)の後にアルカリエッチング処理を行うことによ
り、電解粗面化処理(d)および(g)においてアルミ
ニウム板の表面に生じた水酸化アルミニウムの被膜を除
去できる。
【0071】前記アルカリエッチング処理においては、
アルカリ溶液を前記アルミニウム板にスプレーすること
により、エッチング処理を行なう。
【0072】前記アルカリエッチング処理におけるアル
ミニウム板の溶解量、換言すればエッチング量は、機械
的粗面化処理(a)に引き続いて行なうアルカリエッチ
ング処理(b)においては2〜15g/m2であり、3
−10g/m2の範囲が好ましい。電解粗面化処理
(d)に引き続いて行なうアルカリエッチング処理
(e)においては、エッチング量は0.1〜6g/m2
であり、0.2〜5.0g/m2の範囲が好ましい。そ
して、電解粗面化処理(g)に引き続いて行なうアルカ
リエッチング処理(h)においては、エッチング量は
0.01〜1g/m2であり、0.05〜0.6g/m2
の範囲が好ましい。
【0073】前記アルカリ溶液は、水酸化ナトリウムを
主体とし、言い替えれば、主要な溶質が水酸化ナトリウ
ムである。水酸化ナトリウムの濃度は、アルカリエッチ
ング処理(b)およびアルカリエッチング処理(e)に
おいては、15〜30重量%であり、アルカリエッチン
グ処理(h)においては、0.1〜10重量%である。
【0074】前記アルカリ溶液は、水酸化ナトリウムの
ほか、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムなどの苛性
アルカリ、並びに各種アルカリ金属塩を含んでいてもよ
い。
【0075】前記アルカリ金属塩としては、メタ珪酸ナ
トリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、および
珪酸カリウム等のアルカリ金属珪酸塩、炭酸ナトリウム
および炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、アルミン
酸ナトリウムおよびアルミン酸カリウム等のアルカリ金
属アルミン酸塩、グルコン酸ナトリウムおよびグルコン
酸カリウム等のアルカリ金属アルドン酸塩、並びに第二
燐酸ナトリウム、第二燐酸カリウム、第三燐酸ナトリウ
ム、および第三燐酸カリウム等のアルカリ金属燐酸水素
塩等が挙げられる。
【0076】前記アルカリ溶液は、アルミニウムイオン
を含んでいてもよいが、アルミニウムイオンの濃度は、
アルカリエッチング処理(b)および(e)においては
3〜9重量%の範囲が好ましく、アルカリエッチング処
理(h)においては0.3〜5重量%の範囲が好まし
い。
【0077】前記アルカリエッチング処理は、アルミニ
ウム板のエッチング処理に通常に使用されるエッチング
装置を用いて行うことができる。前記エッチング装置と
しては、スプレーノズルを有し、前記スプレーノズルか
ら前記アルミニウム板に向って前記アルカリ溶液を吹き
付ける形態のものが挙げられる。前記エッチング装置
は、バッチ式であっても連続式であってもよい。
【0078】前記アルカリエッチング処理が終了した後
には、処理液を次工程に持ち込まないためにニップロー
ラーによる液切りとスプレーによる水洗を行うことが好
ましい。
【0079】2−3 デスマット処理 前記アルカリエッチング処理(1)、(2)、および
(3)においては、前記アルミニウム板をアルカリ溶液
で処理するので、表面にスマットが生成する。
【0080】そこで、前記アルカリエッチング処理
(1)、(2)、および(3)が終了する毎に、前記ア
ルミニウム板を酸性溶液に接触させてデスマット処理
し、表面のスマットを除去する。
【0081】前記デスマット処理は、前記アルミニウム
板を酸性溶液中に浸漬するか、酸性溶液中を通過させる
かして行なうことができ、また、前記酸性溶液を、スプ
レーノズルを用いて吹付けるスプレー処理により行うこ
とができるが、前記スプレー処理が好ましい。
【0082】酸性溶液としては、主要な酸成分として、
硝酸、硫酸、塩酸、およびクロム酸から選択される1種
または2種以上の酸を含有する溶液が挙げられる。前記
酸性溶液における前記酸性分の濃度は0.5〜60重量
%が好ましい。前記酸性溶液中には、アルミニウムイオ
ン、および前記微量元素のうち前記アルミニウム板を形
成するアルミニウム合金中に含まれるもののイオンが0
〜5重量%溶解していても良い。具体的には、アルカリ
エッチング処理(b)の後に行なうデスマット処理
(c)においては、前記酸性溶液としては、硝酸を5〜
15g/リットル含有する硝酸水溶液または硫酸を80
〜300g/リットル含有する硫酸溶液が好ましく、前
記アルカリエッチング処理(e)の後に行なうデスマッ
ト処理(f)および前記アルカリエッチング処理(h)
の後に行なうデスマット処理(i)においては、前記酸
性溶液としては、硫酸を80〜500g/リットル含有
する硫酸溶液が好ましい。
【0083】また、前記デスマット処理(c)および
(f)においては、前記酸性溶液として、後述する電解
粗面化処理(d)または後述する陽極酸化処理で排出さ
れる廃液を使用すれば、前記電解粗面化処理(d)およ
び前記陽極酸化処理において排出される廃液の量を削減
できるから好ましい。また、前記デスマット処理(i)
においては、前記酸性溶液として、前記陽極酸化処理で
排出される廃液を使用すれば、廃液の量を大幅に削減で
きるだけでなく、前記デスマット処理(i)後に前記ア
ルミニウム板を洗浄することなく、直ちに前記陽極酸化
処理に移行できるから、デスマット処理装置と陽極酸化
処理装置との間の洗浄設備を省略できる点でも好まし
い。
【0084】前記酸性溶液の液温は、前記デスマット処
理(c)、(f)、および(i)の何れにおいても、常
温〜95℃の範囲が好ましく、特に、25〜80℃の範
囲が好ましい。
【0085】処理時間は1〜30秒が好ましく、特に1
−5秒が好ましい。
【0086】デスマット処理が終了した後には、処理液
を次工程に持ち込まないためにニップローラーによる液
切りとスプレーによる水洗を行うことが好ましいが、酸
性溶液として、次の工程で用いる液と同じ種類・組成の
液、または次の工程で排出される廃液を使用する場合に
は、廃液量を少なくすべく、前記液切りおよび水洗を省
略することができる。
【0087】2−4 電解粗面化処理 前述のように、最初の電解粗面化処理である電解粗面化
処理(d)においては、硝酸水溶液内で電解粗面化処理
を行ない、第2回目の電解粗面化処理である電解粗面化
処理(g)においては塩酸水溶液中で電解粗面化処理を
行なう。
【0088】(1)硝酸を主体とする水溶液 電解粗面化処理(d)で使用される硝酸水溶液中の硝酸
の濃度は、0.2〜2重量%である。
【0089】前記硝酸水溶液には、更に、硝酸アルミニ
ウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸塩、
および塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモ
ニウム等の塩酸塩から選択される1種以上の塩を、1g
/リットル〜飽和濃度の範囲で添加することができる。
前記硝酸水溶液には、銅と錯体を形成する化合物を1〜
200g/リットルの濃度になるように添加することも
できる。前記硝酸水溶液中には、さらに、鉄、銅、マン
ガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等の前
記アルミニウム板を形成するアルミニウム合金中に含ま
れる微量元素が溶解していてもよい。加えて、次亜塩素
酸または過酸化水素を1〜100g/リットルの濃度で
含有していてもよい。
【0090】前記硝酸水溶液としては、硝酸を5〜15
g/リットル含有する希硝酸に、硝酸アルミニウムなど
のアルミニウム塩を添加してアルミニウムイオンの濃度
を2〜7g/リットルに調整した溶液が特に好ましい。
【0091】また、硝酸水溶液中で電解粗面化処理を行
っていると、還元反応により、前記硝酸水溶液中にアン
モニウムイオンが生成するので、前記硝酸水溶液中に、
アンモニウムイオン濃度が50−150ppmになるよ
うに、予め硝酸アンモニウムを添加することがとくに好
ましい。
【0092】前記硝酸水溶液の液温は、20〜70℃で
あり、35〜60℃が好ましい。
【0093】(2)塩酸を主体とする水溶液 電解粗面化処理(g)においては、塩酸水溶液として
は、塩酸濃度が0.1〜2重量%、言い替えれば塩酸を
1〜20g/リットル含有する塩酸水溶液が使用され
る。
【0094】前記塩酸水溶液には、塩化アルミニウム、
塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等の塩酸塩、および
硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム
等の硝酸塩から選択された1種以上の塩を、1g/リッ
トル〜飽和濃度の範囲で添加してもよい。
【0095】前記塩酸水溶液には、また、銅と錯体を形
成する化合物を1〜200g/リットルの濃度になるよ
うに添加することもできる。前記塩酸水溶液中には、
鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、
珪素等の前記アルミニウム板を形成するアルミニウム合
金中に含まれる微量元素が溶解していてもよい。加え
て、次亜塩素酸や過酸化水素を1〜100g/リットル
の濃度で含有していてもよい。
【0096】前記塩酸水溶液としては、塩酸を2〜15
g/リットル含有する希塩酸に塩化アルミニウムなどの
アルミニウム塩を添加してアルミニウムイオンの濃度を
2〜15g/リットルに調整した溶液が特に好ましい。
【0097】前記塩酸水溶液の液温は、20〜70℃で
あり、25〜45℃の範囲が好ましい。
【0098】(3)電解粗面化処理の条件 電解粗面化処理(d)および(g)の何れにおいても、
交流を印加する。
【0099】電解粗面化処理(d)においては、前記ア
ルミニウム板がアノード反応にあずかるときの電気量、
即ちアノード時の電気量が30〜300C/dm2、好
ましくは60〜200C/dm2になるように前記交流
を印加する。一方、電解粗面化処理(g)においては、
アノード時の電気量が3〜75C/dm2、好ましくは
3〜24C/dm2になるように前記交流を印加する。
電解粗面化処理(g)においてアノード時の電気量が3
〜24C/dm2になるように前記交流を印加した平版
印刷版用アルミニウム支持体の粗面化面に製版層を形成
した平版印刷原版は、特に耐汚れ性に優れるから好まし
い。
【0100】前記交流としては、サイン波電流、矩形波
電流、台形波電流、および三角波電流など、各種の波形
を有する交流電流を用いることができるが、矩形波電流
および台形波電流が好ましく、台形波電流が特に好まし
い。
【0101】前記交流の周波数は、0.1〜500Hz
が好ましい。
【0102】前記台形波の一例を図1に示す。図1に示
す台形波を用いる場合は、電流が0からピークに達する
までの立上り時間tp(tpaまたはtpc)は0.1〜1
0msecの範囲が好ましく、0.5〜2msecの範
囲がとくに好ましい。立上り時間tpが0.1以上であ
れば、電源回路のインピーダンスの影響が小さいので、
電流波形の立ち上がり時に大きな電源電圧が不要である
から、電源回路が安価に構成できる。また、立上り時間
pが10msec以下であれば、電解粗面化処理
(1)および(2)の何れにおいても、硝酸水溶液また
は塩酸水溶液中の微量成分の影響を受け難いから、均一
な粗面化がおこなわれる。
【0103】電気化学的な粗面化に用いる交流の1サイ
クルの条件が、アルミニウム板のアノード反応時間ta
が交流の周期Tに占める割合ta/Tは、0.33−
0.66が好ましく、0.45−0.55が更に好まし
く、0.5が特に好ましい。
【0104】主極に対向するアルミニウム板に加わる電
気量は、アルミニウム板がカソード反応時の電気量Qc
とアノード反応時の電気量Qaの比Qc/Qaが0.9〜
1の範囲にあることが好ましい。前記電気量比は、電源
が発生する電圧を制御しておこなうことができる。図2
に示す電解槽を用いるときは、サイリスタThの点弧角
を制御して前記電気量比を調整する。
【0105】電解粗面化処理(d)および(g)におい
ては、電流密度は台形波のピーク値で電流のアノードサ
イクル側Ia、カソードサイクル側Icともに5〜40A
/dm2である。
【0106】電解粗面化処理(d)および(g)の何れ
においても、電解槽としては、縦型、フラット型、ラジ
アル型などの公知の電解槽が使用できる。
【0107】図2に、前記ラジアル型電解槽の一例を示
す。
【0108】前記ラジアル型電解槽104は、図2に示
すように、硝酸水溶液または塩酸水溶液が貯留される電
解槽42と、電解槽42内部に、水平方向に伸びる軸線
の周りに回転可能に配設され、帯状に連続した薄板であ
るアルミニウムウェブWを矢印aの方向、即ち図2にお
ける右方から左方に向かって送る送りローラ44とを備
えている。
【0109】電解槽42の内壁面は、送りローラ44を
囲むように略円筒状に形成され、前記内壁面上には、半
円筒状の対極46Aおよび46Bが送りローラ44を挟
んで設けられている。対極46Aおよび46Bは、複数
の電極に分割され、それぞれの電極の間には、絶縁性の
スペーサーが介装されている。前記電極は、例えば、グ
ラファイトや金属などを用いて形成でき、前記スペーサ
ーは、例えば塩化ビニル樹脂などにより形成できる。前
記スペーサーの厚さは、1〜10mmが好ましい。ま
た、図2では省略されているが、対極46Aおよび46
Bの何れにおいても、前記スペーサーにより分割された
前記電極のそれぞれが交流電源ACに接続されている。
【0110】電解槽42の上部には、交流電解粗面化処
理時において、アルミニウムウェブWが導入・導出され
る開口部42Aが形成されている。電解槽42における
開口部42Aの近傍および対極46Aと主極46Bとの
間には、それぞれ電解槽42に硝酸水溶液または塩酸水
溶液を補充する酸性電解液補充流路48Aおよび48B
が設けらている。
【0111】電解槽42の上方における開口部42A近
傍には、アルミニウムウェブWを電解槽42内部に案内
する上流側案内ローラ50Bと、電解槽42内で電解処
理されたアルミニウム板Wを電解槽42の外部に案内す
る一群の下流側案内ローラ50Aとが配設されている。
【0112】ラジアル型電解槽104には、電解槽42
の上流側に隣接して溢流槽52が設けられている。溢流
槽52は、電解槽42から溢流した硝酸水溶液または塩
酸水溶液を一時貯留し、電解槽42における硝酸水溶液
の液面高さを一定に保持する機能を有する。
【0113】ラジアル型電解槽104においては、更
に、電解槽42の上流側に隣接して補助電解槽54が設
けられている。
【0114】補助電解槽54は、電解槽42よりも浅
く、底面54Aが平面状に形成され、底面54A上に
は、棒状の補助電極56が複数本設けられている。
【0115】補助電極56は、白金などの高耐食性の金
属またはフェライトなどから形成されたものが好まし
く、また、板状であってもよい。
【0116】補助電極56は、交流電源ACにおける主
極46Bが接続される側に、主極46Bに対して並列に
接続され、中間には、サイリスタTh1が、点弧時にお
いて、交流電源ACにおける前記側から補助電極56に
向う方向に電流が流れるように接続されている。
【0117】また、交流電源ACにおける対極46Aが
接続された側も、サイリスタTh2を介して補助電極5
6に接続されている。サイリスタTh2は、点弧時に交
流電源ACにおける前記側から補助電極56に向う方向
に電流が流れるように接続されている。
【0118】サイリスタTh1およびTh2の何れを点
弧したときも、補助電極56にはアノード電流が流れ
る。したがって、サイリスタTh1およびTh2を位相
制御することにより、補助電極56に流れるアノード電
流の電流値を制御でき、したがって、Qc/Qaも制御
できる。
【0119】図2に示すラジアル型電解槽104の作用
について以下に説明する。
【0120】図2における右方から矢印aに沿ってラジ
アル型電解槽104に案内されたアルミニウム板Wは、
まず、補助電解槽54に導入され、次いで、上流側案内
ローラ50によって電解槽42に案内される。そして、
送りローラ44によって図1における右方から左方に向
って送られ、下流側案内ローラ50Aによって電解槽4
2の外に導かれる。
【0121】電解層42および補助電解槽54の内部に
おいて、アルミニウム板Wは、対極46Aおよび46B
に印加された交流電流、および補助電極56に印加され
たアノード電流により、対極46Aおよび46Bに向い
た側の面が粗面化される。
【0122】電解槽は、1槽のみ使用してもよく、2槽
以上を直列に使用してもよいが、電解粗面化処理(d)
においては、1槽〜3槽を直列に使用することが特に好
ましく、電解粗面化処理(g)においては、1槽でおこ
なうことが特に好ましい。電解粗面化処理(d)におい
て電解槽を2層使用するときは、第1槽目の電解槽にお
ける電流密度および電気量を第2槽目の電解槽における
電流密度および電気量よりも高くすることが特に好まし
い。また、全ての電解槽に同一の波形の交流を印加して
もよく、電解槽毎に異なる波形の交流を印加してもよ
い。どの電解槽にどのような波形の交流を印加するか
は、所望のピット形状に応じて決定できる。
【0123】前記電解槽の内部には、前記アルミニウム
板に交流を印加する主電極が設けられる。
【0124】前記電解槽においては、内部を搬送される
アルミニウム板と前記主電極との距離が5〜100m
m、好ましくは8〜15mmになるように前記アルミニ
ウム板の走路および主電極を配置することが望ましい。
前記主電極はカーボンで形成することが好ましい。
【0125】前記電解槽内を搬送されるアルミニウム板
と前記電解槽の内部を流通する硝酸水溶液または塩酸水
溶液との平均相対流速は、1〜1000m/minの範
囲が好ましく、15〜300m/minの範囲が特に好
ましい。前記平均相対流速が前記範囲内である限り、前
記硝酸水溶液または塩酸水溶液の流通方向は、前記アル
ミニウム板の搬送方向と同方向および逆方向の何れの方
向であってもよい。
【0126】また、前記アルミニウム板の走路と前記主
電極との距離、および前記硝酸水溶液および塩酸水溶液
の流速は一定に保持されていることが、均一な電解粗面
化を行う上で望ましい。
【0127】フラット型および縦型の電解槽において
は、特公昭61−30036号公報に記載されているよ
うに、走行するアルミニウム板が摺動できるように形成
された面を内部に設け、静圧を利用して前記アルミニウ
ム板を圧接させつつ走行させることにより、前記主電極
とアルミニウム板との距離を一定に保つことができる。
また、ラジアル型の電解槽においては、特開平8−30
0843号公報に記載されているように、内部に、前記
アルミニウム板を搬送する直径の大きなローラを設け、
前記ローラを取り囲むように、複数の主電極を円周上に
配設し、前記主電極とアルミニウム板との距離を一定に
保つことができる。
【0128】また、前記硝酸水溶液および塩酸水溶液の
流速を一定にするには、電解槽の内部に液溜り室を設
け、内部を走行するアルミニウム板の巾方向に沿って幅
1〜5mmの液吹き出し用のスリットを設けた給液ノズル
を用いて前記硝酸水溶液および塩酸水溶液を供給すれば
よい。また、複数の液溜り室を設け、それぞれの液溜り
室を、バルブと流量計とを備える管路で接続し、前記給
液ノズルのそれぞれのスリットから吹き出す液量を調整
してもよい。
【0129】前記電解槽内部を走行するアルミニウム板
への給電方式としては、たとえばコンダクタローラを用
いる直接給電方式と、前記コンダクタローラを用いない
液給電方式、換言すれば間接給電方式とがある。
【0130】前記電解槽において、間接給電方式を用い
る場合は、変圧器および可変式誘導電圧調整器などを用
いて電流値を制御できる。
【0131】また、前記電解槽の内部に前記主電極のほ
かに、直流を印加する補助陽極を設け、前記補助電極に
流れる直流電流の強さを制御することにより、アルミニ
ウム板に加わる陽極時の電気量と陰極時の電気量の比を
調整することができる。前記補助電極は、フェライト等
により形成できる。
【0132】補助陽極に流れる電流を制御する方法とし
ては、特公平6−37716号公報および特公平5−4
2520号公報に記載されているように、サイリスタお
よびGTOなどの制御整流器による位相制御、およびダ
イオードと可変抵抗器とによる制御などが挙げられる。
前記方法により、前記補助陽極に流れる電流を制御すれ
ば、変圧器の偏磁の影響を小さくすることができ、ま
た、電源装置を安価に製作できるから、コスト的に非常
に有利である。
【0133】直接給電方式を用いる場合は、コンダクタ
ローラとしては、特開昭58−177441号公報に記
載されているように、工業用アルミニウムを用いて鋳造
し、高温均質化処理を施して表面部分のAl−Fe系昌
出物をAl3Feの単一相に変化させて耐食性を向上さ
せたコンダクタローラを用いることができる。また、特
開昭56−123400に記載されているように、フラ
ット型または縦型の電解槽におけるアルミニウム板の導
入部、または前記導入部と前記アルミニウム板の導出部
との両方に前記コンダクタローラを配設した電解槽を使
用することができる。
【0134】前記電解槽においては、コンダクタローラ
は、アルミニウム板の上面または下面に接触するように
設けることが可能であるが、アルミニウム板の上面に接
触するように設け、ニップ装置にてアルミニウム板に押
しつけるようにするのが特に好ましい。アルミニウム板
がコンダクタローラに接する長さは、アルミ進行方向に
対して1mm〜300mmが好ましい。アルミニウム板
を挟んでコンダクタローラに対向するパスローラはゴム
製の胴を有するゴムローラが好ましい。前記コンダクタ
ローラの押しつけ圧、およびゴムローラの胴の硬度は、
前記コンダクタローラと前記アルミニウム板との接する
箇所においてアークスポットが発生しない条件で任意に
設定できる。コンダクタローラがアルミニウム板の上面
に接触するように設置することで、コンダクタローラの
交換作業・点検作業が簡単になる。コンダクタローラに
通電するには、前記コンダクタローラの端部に同心に回
転体を設け、給電ブラシを前記回転体に摺動させながら
通電するのが好ましい。
【0135】前記コンダクターローラは、アークスポッ
トの発生を防止するために、前記硝酸水溶液または塩酸
水溶液により常に冷却することが好ましい。
【0136】2−5 陽極酸化処理 アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる酸性電解液
としては、一般には硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、およ
びそれらの混合物を主要な酸成分とする酸性溶液が用い
られるが、陽極酸化処理により多孔質酸化皮膜を形成で
きる溶液であれば、前記の酸性溶液には限定されない。
【0137】陽極酸化の処理条件は、用いる酸性電解液
の組成によって変わるので、一概には特定できないが、
一般的には、前記酸成分の濃度が1〜80重量%であ
り、液温が5〜70℃であり、電流密度が1〜60A/
dm2であり、電圧が1〜100Vであり、処理時間が
10秒〜300秒の範囲が適当である。
【0138】陽極酸化皮膜の量は、1g/m2以上であ
り、1〜5g/m2の範囲が適当である。陽極酸化皮膜
の量が1g/m2以上であれば、充分な耐刷性が得ら
れ、平版印刷版の非画像部に傷が付き難く、したがっ
て、傷の部分にインキが付着する所謂きず汚れが生じ難
い。陽極酸化皮膜量が多くなると、アルミニウム板のエ
ッジ部分に酸化皮膜が集中しやすくなるが、陽極酸化皮
膜の量が5g/m2以下であれば、このような問題が生
じることはない。但し、アルミニウム板のエッジの部分
と中心部分の酸化皮膜量の差は1g/m2以下であるこ
とが好ましい。
【0139】前記陽極酸化被膜におけるポア径分布は、
ポアの半径が3〜7nmの範囲にピークを有し、半径1
0nm以上のポアの個数は、全ポアの個数の20%以下
である。ポアが前述のように分布していれば、耐刷性に
優れ、版面の非画像部に汚れが生じたり、長期間、湿し
水およびインキが付着した状態で長期間放置した後に印
刷を再開したときに、印刷紙面に汚れが生じたりするこ
とがなく、オフセット印刷機のブランケットロール上に
堆積した汚れにより、印刷紙面に着肉不良を生じさせる
こともない平版印刷版が得られる。
【0140】また、単位面積当りのポアの個数は、20
0〜1500個/μm2の範囲が好ましい。
【0141】ポア径分布およびポアの単位面積当り個数
は、たとえば、アルミニウム板に形成された陽極酸化被
膜の表面を電子顕微鏡で観察するか、または、陽極酸化
被膜の表面の電子顕微鏡写真を撮り、前記電子顕微鏡写
真に写ったポアの半径を適宜の測定手段で測定すること
により、求めることができる。
【0142】ポア径分布は、酸性電解液の組成、流速、
および前記アルミニウム板に印加する電圧と電流密度と
に大きく影響される。
【0143】前記酸性電解液として硫酸水溶液を用いる
場合には、通常は、前記アルミニウム板に直流電流を印
加して陽極酸化処理を行なう。
【0144】硫酸水溶液中で陽極酸化処理を行なう場合
には、特開昭54−128453号公報および特開昭4
8−45303号各公報に詳しく記載されているよう
に、硫酸濃度が10〜300g/リットルであり、アル
ミニウムイオンの濃度が1〜25g/リットルの硫酸水
溶液が好ましく、硫酸濃度が80〜200g/リットル
であり、アルミニウムイオンの濃度が2〜10g/リッ
トルである硫酸水溶液が特に好ましい。液温は30〜6
0℃が好ましく、特に30〜55℃の範囲が好ましい。
【0145】陽極酸化処理装置の一例を図3に示す。
【0146】前記陽極酸化処理装置は、図3に示すよう
に、硫酸水溶液を収容するとともに、アルミニウム板の
搬送方向bに沿って配列された2つの直方体状の電解槽
2Aおよび2Bと、搬送方向bに対して上流側に位置す
る電解槽2Aの底面近傍に水平に配置された電極4と、
搬送方向bに対して下流側に位置する電解槽2Bの底面
近傍に、搬送方向bに沿って水平に配置された3つの電
極6A、6B、および6Cと、電解槽2Aの内部におい
て、アルミニウム板Wを、電極4の上面に沿って案内す
る案内ローラ6Aおよび6Bと、電解槽2Bの内部にお
いて、アルミニウム板Wを、電極6A,6B、および6
Cの上面に沿って案内する案内ローラ8Aおよび8Bと
を有する。
【0147】電解槽2Aと電解槽2Bとの間には、電解
槽2Aから導出されたアルミニウム板Wを電解槽2Bに
導入する案内ローラ10が設けられている。
【0148】電極6A,6B、および6Cは、それぞれ
直流電源12A,12B、および12Cの負極に接続さ
れている。一方、直流電源12A,12B、および12
Cの正極は、何れも電極4に接続されている。
【0149】電解槽2Aに導入されたアルミニウム板W
は、電極4から正電圧を印加され、表面においてカソー
ド反応が進行する。アルミニウム板Wは、次に、電解槽
2Bに導入され、電極6A,6B,および6Cから負電
圧を印加され、表面においてアノード反応が進行して、
陽極酸化被膜が形成される。
【0150】直流を用いて陽極酸化処理を行なうとき
は、電流密度は、5〜30A/dm2の範囲が好まし
く、特に5〜40A/dm2の範囲が好ましい。アルミ
ニウム板を連続的に陽極酸化する場合は、アルミニウム
板の焼けと呼ばれる電流集中を防ぐために、最上流側に
おいては5〜10A/dm2の低電流密度で陽極酸化処
理をおこない、下流側に向かって徐々に電流密度を高
め、30〜50A/dm2またはそれよりも高い値にま
で電流密度を高くすることが好ましい。電流密度は、5
〜15ステップで徐々に上げることが好ましく、各ステ
ップごとに独立した電源装置を設けて前記電源装置のそ
れぞれにおいて電流密度を制御することにより、下流側
に向かって徐々に電流密度を高めることができる。前記
アルミニウム板への給電方法は、コンダクタローラを用
いない後述する液給電方式が好ましい。特開2001−
11698号公報にはその一例が示されている。
【0151】アルミニウム板への給電方式としては、前
記電解粗面化処理のときと同様に、直接給電方式と液給
電方式とが挙げられる。
【0152】直接給電方式は、高速・高電流密度になる
とコンダクタローラとアルミニウムウェブ間のスパーク
発生の問題が発生して不利なので、ライン速度が30m
/分以下の比較的低速・低電流密度の陽極酸化装置で用
いられることが多く、間接給電方式は、ライン速度が3
0m/minを越える高速・高電流密度の陽極酸化装置
で用いられることが多い。
【0153】間接給電方式を使用する場合には、連続表
面処理技術(総合技術センター、昭和61年9月30日
発行)の289頁にあるように、山越型またはストレー
ト型の槽レイアウトを用いることができる。
【0154】直接給電方式、間接給電方式ともに、アル
ミニウムウェブ内の電圧ドロップによるエネルギーロス
を少なくする目的で、陽極酸化処理工程は2つ以上に分
離し、それぞれの電解装置の給電槽と酸化槽、またはコ
ンダクタローラと酸化槽の間に直流電源を接続して用い
ることがとくに好ましい。
【0155】直接給電方式を用いる場合は、コンダクタ
ローラとしては、前記「2−4 電解粗面化処理」のと
ころで述べたコンダクタローラと同様のものを使用でき
る。
【0156】陽極酸化処理工程においては大電流を流す
ため、ブスバーに流れる電流により発生する磁界によ
り、アルミニウム板にローレンツ力が働く。その結果ウ
ェブが蛇行する問題が生じるため、特開昭57−512
90に記載のような方法を用いることが特に好ましい。
【0157】また、アルミニウム板には大電流が流れる
ため、アルミニウム板自身を流れる電流による磁界によ
り、アルミニウム板の幅方向において中央に向かってロ
ーレンツ力が働く。その結果アルミニウム板に折れが発
生しやすくなるため、陽極酸化処理槽内に直径100〜
200mmのパスローラーを100〜3000mmピッ
チで複数設け、1度から15度の角度でラップさせてロ
ーレンツ力による折れを防止する方法をとることが特に
好ましい。
【0158】また、陽極酸化被膜は、アルミニウム板の
エッジに近づくほど生成量が多くなり、厚さが厚くなる
から、巻き取り装置においてアルミニウム板をうまく巻
きとれないという問題が生じることがある。前記問題
は、特公昭62−30275公報および特公昭55−2
1840号公報に記載されているように、酸性電解液を
撹拌することにより解決できる。酸性電解液を攪拌して
も前記問題が十分に解決できない場合には、巻き取り装
置を0.1〜10Hzの周期で5〜50mmの振幅でア
ルミニウム板の幅方向にオシレートさせれば、前記アル
ミニウム板の巻取りの問題を解決できる。
【0159】アルミニウム板に電流を通電するための陽
極としては、鉛、酸化イリジウム、白金、フェライトな
どを用いることができるが、酸化イリジウムを主体とす
るものが特に好ましい。酸化イリジウムは熱処理により
基材に被覆できる。基材としてはチタン、タンタル、ニ
オブ、ジルコニウムなどの所謂バルブ金属が用いられる
が、チタンまたはニオブが特に好ましい。前記バルブ金
属は比較的電気抵抗が大きいため、芯材に銅を用い、そ
の周囲にバルブ金属をクラッドすることが特に好まし
い。銅の芯材にバルブ金属をクラッドする場合は、あま
り複雑な形状のものは作れないので、各パーツに分割し
て作成した電極部品を、酸化イリジウムを被覆した後に
ボルト・ナット等で希望の構造となるように組み立てる
のが一般的である。
【0160】2−6 封孔処理・親水化処理 陽極酸化処理されたアルミニウム板は、現像液への陽極
酸化皮膜の溶解および非画像部における製版層の残膜の
抑制、陽極酸化皮膜の強度、親水性、および製版層との
密着性の向上等を目的に、水洗処理した後、親水化処理
を施すことができる。
【0161】前記親水化処理としては陽極酸化皮膜をア
ルカリ金属珪酸塩の水溶液と接触させて処理するシリケ
ート処理があげられる。
【0162】前記シリケート処理は、アルカリ金属珪酸
塩濃度が通常0.1〜30重量%であり、好ましくは
0.5〜15重量%であり、25℃でのpHが10〜1
3.5であるアルカリ金属珪酸塩の水溶液に、前記アル
ミニウム板を、5〜80℃、好ましくは10〜70℃、
より好ましくは15〜50℃で0.5〜120秒間接触
させることにより、行なうことができる。
【0163】前記アルミニウム板を前記アルカリ金属珪
酸塩の水溶液に接触させる方法としては、浸漬およびス
プレーによる吹き付けなどが挙げられるが、これらの方
法には限定されない。
【0164】なお、アルカリ金属珪酸塩水溶液は、pH
が10より低いとゲル化し、13.5より高いと陽極酸
化皮膜が溶解されてしまうから、前記ゲル化および陽極
酸化皮膜の溶解の問題が生じないpH10〜13.5の
範囲が好ましい。
【0165】前記アルカリ金属珪酸塩としては、珪酸ナ
トリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウムなどが使用され
る。
【0166】アルカリ金属珪酸塩の水溶液のpH調整に
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ムなどのアルカリ金属水酸化物が使用される。
【0167】なお、前記水溶液には、アルカリ土類金属
塩または第IVB族金属塩を配合してもよい。
【0168】アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシ
ウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バ
リウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、燐酸塩、酢
酸塩、蓚酸酸塩、硼酸塩などの水溶性塩が挙げられる。
【0169】第IVB族金属塩としては、四塩化チタ
ン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、蓚酸チタン
カリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジル
コニウムなどが挙げられる。
【0170】アルカリ土類金属および第IVB族金属塩
は、単独でも、2種以上の組み合わせでも使用できる。
前記アルカリ土類金属および第IVB族金属塩の好まし
い配合量は、0.01〜10重量%であり、更に好まし
い配合量は、0.05〜5重量%である。
【0171】前記アルミニウム板には、前記親水化処理
に加え、封孔処理を施すこともできる。
【0172】前記封孔処理としては、水蒸気封孔、沸騰
水(熱水)封孔、金属塩封孔(クロム酸塩/重クロム酸
塩封孔、酢酸ニッケル封孔など)、油脂含浸封孔、合成
樹脂封孔、低温封孔(赤血塩やアルカリ土類塩などによ
る)など、陽極酸化皮膜の封孔処理として公知の処理が
挙げられるが、印刷版用支持体としての性能(製版層と
の密着性や親水性)、高速処理、低コスト、低公害性等
の面から、水蒸気封孔が好ましい。
【0173】水蒸気封孔としては、たとえば、加圧また
は常圧の水蒸気を連続または非連続的に、相対湿度70
%以上、蒸気温度95℃以上で2秒〜180秒程度陽極
酸化皮膜に接触させる特開平4−176690号公報に
開示された方法などが挙げられる。
【0174】他の封孔処理法としては、熱水またはアル
カリ水溶液への浸漬、熱水またはアルカリ吹き付け処
理、亜硝酸塩水溶液への浸漬、および亜硝酸塩水溶液の
吹き付け処理などが挙げられる。前記亜硝酸塩水溶液へ
の浸漬および噴き付け処理は、前記熱水またはアルカリ
水溶液への浸漬および吹き付け処理に代えて行なっても
よく、前記処理に引き続いて行なってもよい。
【0175】前記亜硝酸塩の例としては、周期律表のI
a、IIa 、IIb 、IIIb、IVb 、IVa 、VIa、VIIa、VIII族
の金属の亜硝酸塩である金属亜硝酸塩、および亜硝酸ア
ンモニウムが挙げられる。
【0176】前記金属亜硝酸塩としては、例えばLiN
2、NaNO2、KNO2、Mg(NO22、Ca(N
22 、Zn(NO22、Al(NO23、Zr(N
2 4、Sn(NO23、Cr(NO23、Co(NO
22、Mn(NO22、Ni(NO22等が好ましく、
特にアルカリ金属硝酸塩が好ましい。亜硝酸塩は2種以
併用することもできる。
【0177】処理条件は、前記アルミニウム板の状態お
よび亜硝酸塩の種類により異なるので一義的には決定で
きないが、例えば亜硝酸ナトリウムを用いた場合には、
濃度は一般的には0.001〜10重量%であり、より
好ましくは0.01〜2重量%である。浴温度は一般的
には室温から約100℃前後であり、より好ましくは6
0〜90℃である。処理時間は一般的には15〜300
秒であり、より好ましくは10〜180秒である。
【0178】亜硝酸塩水溶液のpHは8.0〜11.0
に調整されていることが好ましく、8.5〜9.5に調
整されていることが特に好ましい。亜硝酸塩水溶液のp
Hを上記の範囲に調製するには、例えばアルカリ緩衝液
等を用いて好適に調製することができる。該アルカリ緩
衝液としては、例えば炭酸水素ナトリウムと水酸化ナト
リウムの混合水溶液、炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウ
ムの混合水溶液、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウム
の混合水溶液、塩化ナトリウムと水酸化ナトリウムの混
合水溶液、塩酸と炭酸ナトリウムの混合水溶液、四ホウ
酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液等を好適
に用いることができるが、これらには限定されない。ま
た、上記アルカリ緩衝液はナトリウム以外のアルカリ金
属塩、例えばカリウム塩等も用いることができる。
【0179】前記親水化処理および封孔処理の少なくと
も一方を施した後、製版層との密着性をさらに向上させ
るために、特開平5−278362号公報に開示されて
いる酸性水溶液処理と親水性下塗りを行なってもよく、
特開平4−282637号公報や特願平6−10867
8号明細書に開示されている有機層を設けてもよい。
【0180】支持体表面に以上のような処理或いは、下
塗りなどが施された後、支持体の裏面には、必要に応じ
てバックコートが設けられる。このようなバックコート
としては特開平5−45885号公報記載の有機高分子
化合物および特願平4−189448号記載の有機また
は無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られ
る金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。前
記有機または無機金属化合物としては、Si(OC
34、Si(OC254、Si(OC374、Si
(OC494などの珪素アルコキシ化合物が安価で入
手し易く、耐現像液性に優れた金属酸化物の被覆層が容
易に形成できる故に、特に好ましい。
【0181】2−7 水洗処理 なお、前記処理のそれぞれにおいて使用された薬液や研
磨材をアルミニウム板表面から除去すべく、前記各処理
の間に、前記アルミニウム板を水洗処理する水洗工程を
設けてもよい。
【0182】前記水洗工程においては、水洗処理は、種
類および組成の異なる薬液を使用する処理槽の間におい
て行なうのが普通である。前記アルミニウム板が一の処
理槽から出て洗浄工程に入る時間、および前記洗浄工程
が終了してから前記一の洗浄槽に隣接する次の処理槽に
入るまでの時間は、10秒以下が好ましく、0.1〜1
0秒が特に好ましい。前記時間が10秒以下であれば、
前記アルミニウム板の表面の化学的な変性がそれほど進
まないから、処理ムラが発生し難い。また、前記一の処
理槽を出てから次の処理槽までのアルミニウム板の通過
時間は、15秒以下が好ましく、特に5秒以下が好まし
い。前記通過時間が15秒以下であれば、前記アルミニ
ウム板の表面の化学的な変性が進むことが殆どなく、次
工程で均一な粗面化処理を行うことができる。
【0183】前記アルミニウム板の水洗工程において
は、ニップローラーにて液切りした表面を、水洗槽にお
いて、スプレーチップから水を噴射して洗浄するのが一
般的である。水は下流に向かって45度〜90度の角度
で噴射することが好ましい。
【0184】水の噴射圧力は、噴射ノズル直前の圧力で
0.5〜5kg/cm2が好ましく、水温は10〜80
℃が好ましい。
【0185】前記アルミニウム板の搬送速度は20〜2
00m/minが好ましい。
【0186】アルミニウム板に吹き付ける洗浄水の量
は、洗浄工程1回当り0.1〜10リットル/m2が好
ましい。
【0187】前記水洗槽においては、アルミニウム板の
表面および裏面に、最低2本以上のスプレー管から洗浄
水を噴射することが好ましい。一つのスプレー管にはピ
ッチ50mmから200mmの間隔でスプレーチップを
5〜30本設置することが好ましい。スプレーチップの
噴霧角度は10〜150度が好ましく、アルミニウム板
とスプレーチップ噴射面の間隔は10〜250mmが好
ましい。スプレーチップの噴霧の断面形状(スプレーパ
ターン)は環状、円形、楕円形、正方形、長方形などが
あるが、円形・惰円形または正方形・長方形が好まし
い。流量分布(アルミニウム板の表面における噴霧の水
量分配状態)は環状分布、均等分布、山型分布などがあ
るが、スプレーチップをスプレー管に複数並べて使用す
るときは、幅全域での均一な流量分布を容易にする山型
分布が好ましい。流量分布は噴霧圧力とスプレーチップ
とアルミニウム板の距離により変化する。噴霧の粒子径
はスプレーチップの構造、噴霧圧力、噴霧量によって変
わるが、10μm〜10000μmの範囲が好ましく、
とくに100μm〜1000μmの範囲が好ましい。ス
プレーノズルの材質は高速で流れる液体に対して耐摩耗
性があることが好ましく、真鍮、ステンレス、セラミッ
クなどが用いられるが、セラミックノズルが特に好まし
い。
【0188】スプレーチップを設置したスプレーノズル
は、アルミニウム板の進行方向に対して45〜90°の
角度で配置することができるが、スプレーパターンの中
心線のうち長さが長い方の中心線がアルミニウム板の進
行方向と直角になるようにすることが好ましい。
【0189】水洗処理の時間は、1回の水洗工程当り1
0秒以下が工業的に好ましく、特に0.5秒から5秒が
好ましい。
【0190】2−8 パスローラの材質 前記各処理を行なう処理槽および水洗槽においては、前
記アルミニウム板を搬送または支持するパスローラを設
けることができる。
【0191】前記パスローラとしては、鉄鋼ライン、メ
ッキライン、電解コンデンサ製造ライン、PS版製造ラ
インなどの連続生産ラインに用いる表面にメッキ処理ま
たはライニング処理された金属ローラ、樹脂ローラ、ゴ
ムローラ、不織布ローラなどを用いることができる。
【0192】前記パスローラの材質、表面の物性値は、
前記処理に使用される薬液やアルミニウム板の表面の状
態に応じて、要求される耐食性、耐摩耗性、耐熱性、耐
薬品性などを考慮して選定する。
【0193】金属ローラとしては、ハードクロムメッキ
ローラが一般的に用いられる。
【0194】ゴムローラとしては、天然ゴム、イソプレ
ンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブ
チルゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエ
チレン、ニトリルゴム、アクリルゴム、エピクローラヒ
ヒドリンゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム、フッ素ゴム
などのゴム類、および前記ゴム類に微量の添加物を添加
したものから製した胴を有するローラを用いることがで
きる。ゴムローラの胴の硬度は60〜90がとくに好ま
しい。
【0195】また、アルミニウム板が濡れて滑りやすい
箇所において、アルミニウムウェブの搬送速度を制御す
るときには、アルミニウムウェブが濡れた状態でもスリ
ップしにくい不織布ローラを用いることがとくに好まし
い。前記箇所においてゴムローラを用いるときは、ロー
ラに補助駆動用のモータを設けることがとくに好まし
い。
【0196】3.製版層 3−1 バックコート層 現像時の平版印刷版用アルミニウム支持体の溶解を防止
し、製版層と平版印刷版用アルミニウム支持体との擦れ
によるキズを無くす目的で、特開平6−32115に記
載されているように、有機高分子化合物ならびに界面活
性剤を含む厚さ0.01−8μmのバックコート層を設
けることができる。
【0197】このバックコート層の主成分としては、ガ
ラス転移点20℃以上の、飽和共重合ポリエステル樹
脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂及び塩
化ビニリデン共重合樹脂の群から選ばれる少なくとも一
種の樹脂が用いられる。
【0198】飽和共重合ポリエステル樹脂は、ジカルボ
ン酸ユニットとジオールユニットからなる。
【0199】本発明に用いられるポリエステルのジカル
ボン酸ユニットとしてはフタル酸、テレフタル酸、イソ
フタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル
酸などの芳香族ジカルボン酸、およびアジピン酸、アゼ
ライン酸、コハク酸、蓚酸、スベリン酸、セバチン酸、
マロン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの
飽和脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0200】バックコート層には更に、着色のための染
料や顔料、アルミニウム支持体との密着性向上のための
シランカップリング剤、ジアゾニウム塩からなるジアゾ
樹脂、有機ホスホン酸、有機燐酸およびカチオン性ポリ
マー等、更には滑り剤として通常用いられるワックス、
高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、ジメチルシロキサンよ
りなるシリコーン化合物、変性ジメチルシロキサン、ポ
リエチレン粉末等が適宜加えられる。
【0201】バックコート層をアルミニウム支持体の裏
面に被覆するには種々の方法が適用できる。このような
方法としては、たとえば、前記樹脂の溶液または乳化分
散液を塗布、乾燥する方法、予めフィルム状に成形した
前記樹脂を接着剤や熱でアルミニウム支持体に貼り合わ
せる方法、および溶融押し出し機で前記樹脂の溶融皮膜
を形成して支持体に貼り合わせる方法等が挙げられる
が、上記の塗布量を確保する上で最も好ましいのは、前
記樹脂の溶液または乳化分散液を塗布、乾燥する方法で
ある。
【0202】3−2 製版層 (1)可視光露光型製版層 前記可視光露光型製版層は、感光性樹脂および必要に応
じて着色剤などを含有する組成物により形成できる。
【0203】前記感光性樹脂としては、光が当たると現
像液に溶けるようになるポジ型感光性樹脂、および光が
当たると現像液に溶解しなくなるネガ型感光性樹脂が挙
げられる。
【0204】ポジ型感光性樹脂としては、キノンジアジ
ド化合物およびナフトキノンジアジド化合物等のジアジ
ド化合物と、フェノールノボラック樹脂およびクレゾー
ルノボラック樹脂等のフェノール樹脂との組み合わせ等
が挙げられる。
【0205】一方、ネガ型感光性樹脂としては、芳香族
ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド等のアルデヒド類と
の縮合物等のジアゾ樹脂、前記ジアゾ樹脂の無機酸塩、
および前記ジアゾ樹脂の有機酸塩等のジアゾ化合物と、
(メタ)アクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、およびポ
リウレタン等の結合剤との組み合わせ、並びに(メタ)
アクリレート樹脂およびポリスチレン樹脂等のビニルポ
リマーと、(メタ)アクリル酸エステルおよびスチレン
等のビニル重合性化合物と、ベンゾイン誘導体、ベンゾ
フェノン誘導体、およびチオキサントン誘導体等の光重
合開始剤との組み合わせ等が挙げられる。
【0206】前記着色剤としては、通常の色素のほか、
露光により発色する露光発色色素、および露光により殆
どまたは完全に無色になる露光消色色素等が使用でき
る。前記露光発色色素としては、たとえばロイコ色素等
が挙げられる。一方、前記露光消色色素としては、トリ
フェニルメタン系色素、ジフェニルメタン系色素、オキ
ザジン系色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン
系色素、アゾメチン系色素、およびアントラキノン系色
素等が挙げられる。
【0207】前記可視光露光型製版層は、前記感光性樹
脂と前記着色剤とを溶剤に配合した感光性樹脂溶液を塗
布して乾燥することにより形成できる。
【0208】前記感光性樹脂溶液に使用される溶剤とし
ては、前記感光性樹脂を溶解し、しかも、室温である程
度の揮発性を有する溶剤が挙げられ、具体的には、たと
えばアルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶
剤、エーテル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、アミ
ド系溶剤、および炭酸エステル系溶剤等が挙げられる。
【0209】アルコール系溶剤としては、エタノール、
プロパノール、およびブタノール等が挙げられる。ケト
ン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メ
チルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、およ
びジエチルケトン等が挙げられる。エステル系溶剤とし
ては、酢酸エチル、酢酸プロピル、蟻酸メチル、蟻酸エ
チル等が挙げられる。エーテル系溶剤としては、テトラ
ヒドロフランおよびジオキサン等が挙げられ、グリコー
ルエーテル系溶剤としては、エチルセロソルブ、メチル
セロソルブ、およびブチルセロソルブ等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、ジメチルホルムアミドおよびジ
メチルアセトアミド等が挙げられる。炭酸エステル系溶
剤としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエ
チル、および炭酸ジブチル等が挙げられる。 (2)レーザ露光型製版層 レーザ露光型製版層としては、露光・現像後に、レーザ
光を照射した部分が残存するネガ型レーザ製版層、レー
ザ光を照射した部分が除去されるポジ型レーザ製版層、
およびレーザ光を照射すると光重合する光重合型レーザ
製版層などが主なものとして挙げられる。
【0210】A.ネガ型レーザ製版層 前記ネガ型レーザ製版層は、(A)熱または光により分
解して酸を発生する酸前躯体、(B)前記酸前躯体
(A)が分解して発生した酸により架橋する酸架橋性化
合物、(C)アルカリ可溶性樹脂、(D)赤外線吸収
剤、および(E)フェノール性水酸基含有化合物を適宜
の溶剤に溶解または懸濁させたネガ型レーザ製版層形成
液から形成できる。
【0211】酸前躯体(A)としては、例えばイミノフ
ォスフェート化合物等のように、紫外光、可視光、また
は熱により分解してスルホン酸を発生する化合物が挙げ
られる。他には、光カチオン重合開始剤、光ラジカル重
合開始剤、または光変色剤などとして一般に使用されて
いる化合物も、酸前躯体(A)として使用できる。
【0212】酸架橋性化合物(B)としては、アルコキ
シメチル基およびヒドロキシル基の少なくとも一方を有
する芳香族化合物、N−ヒドロキシメチル基、N−アル
コキシメチル基、またはN−アシルオキシメチル基を有
する化合物、およびエポキシ化合物などが挙げられる。
【0213】アルカリ可溶性樹脂(C)としては、ノボ
ラック樹脂、およびポリ(ヒドロキシスチレン)などの
側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーなどが挙
げられる。
【0214】赤外線吸収剤(D)としては、760nm
〜1200nmの赤外線を吸収する染料および顔料が挙
げられ、具体的には、黒色顔料、赤色顔料、金属枌顔
料、フタロシアニン系顔料、および前記波長の赤外線を
吸収するアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニ
ン染料、シアニン色素などが挙げられる。
【0215】フェノール性水酸基含有化合物(E)とし
ては、一般式(R1−X)n−Ar−(OH)m(R1は、
炭素数6〜32のアルキル基またはアルケニル基であ
り、Xは、端結合、O、S、COO、またはCONHで
あり、Arは、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、
または複素環基であり、nおよびmは、何れも1〜3の
自然数である。)で示される化合物が挙げられる。前記
化合物としては、具体的にはノニルフェノールなどのア
ルキルフェノール類などが挙げられる。
【0216】前記ネガ型レーザ製版層形成液には、さら
に可塑剤なども配合できる。
【0217】B.ポジ型レーザ製版層 前記ポジ型レーザ製版層は、(F)アルカリ可溶性高分
子、(G)アルカリ溶解阻害剤、および(H)赤外線吸
収剤を適宜の溶剤に溶解または懸濁させたポジ型レーザ
製版層形成液により形成できる。
【0218】アルカリ可溶性高分子(F)としては、た
とえばフェノール樹脂、クレゾール樹脂、ノボラック樹
脂、ピロガロール樹脂、およびポリ(ヒドロキシスチレ
ン)などのフェノール性水酸基を有するフェノール系ポ
リマー、少なくとも一部のモノマー単位がスルホンアミ
ド基を有するポリマーであるスルホンアミド基含有ポリ
マー、N−(p−トルエンスルホニル)(メタ)アクリ
ルアミド基などの活性イミド基を有するモノマーの単独
重合または共重合により得られる活性イミド基含有ポリ
マーなどが使用できる。
【0219】アルカリ溶解阻害剤(G)としては、加熱
などによりアルカリ可溶性高分子(F)と反応してアル
カリ可溶性高分子(F)のアルカリ可溶性を低下させる
化合物が挙げられ、具体的には、スルホン化合物、アン
モニウム塩、スルホニウム塩、およびアミド化合物など
が挙げられる。たとえば、アルカリ可溶性高分子(F)
として前記ノボラック樹脂を用いる場合には、アルカリ
溶解阻害剤(G)としてスルホン化合物の一種であるシ
アニン色素が好ましい。
【0220】赤外線吸収剤(H)としては、スクワリリ
ウム色素、ピリリウム色素、カーボンブラック、不溶性
アゾ染料、アントラキノン系染料など、750〜120
0nmの赤外域に吸収領域があり、光/熱変換能を有す
る色素、染料、および顔料が挙げられる。
【0221】C.光重合型レーザ製版層 光重合型レーザ製版層は、(I)分子末端にエチレン性
不飽和結合を有するビニル重合性化合物を含有する光重
合型レーザ製版層形成液により形成できる。前記光重合
型レーザ製版層形成液には、必要に応じて、(J)光重
合開始剤、および(K)増感剤などを配合できる。
【0222】ビニル重合性化合物(I)としては、(メ
タ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などのエチレ
ン性不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエス
テルであるエチレン性不飽和カルボン酸多価エステル、
前記エチレン性不飽和カルボン酸と多価アミンとからな
るメチレンビス(メタ)アクリルアミド、キシリレン
(メタ)アクリルアミドなどのエチレン性不飽和カルボ
ン酸多価アミドなどが挙げられる。
【0223】ビニル重合性化合物(I)としては、他
に、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル
化合物、および(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸エチルなどのエチレン性不飽和カルボン酸モノ
エステルなども使用できる。
【0224】光重合開始剤(J)としては、ビニル系モ
ノマーの光重合に通常に使用される光重合開始剤が使用
できる。
【0225】増感剤(K)としては、チタノセン化合
物、トリアジン化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベン
ゾイミダゾール系化合物、シアニン色素、メロシアニン
色素、キサンテン色素、クマリン色素などが挙げられ
る。
【0226】前記ネガ型レーザ製版層形成液、ポジ型レ
ーザ製版層形成液、または光重合型レーザ製版層形成液
に使用される溶剤、および前記ネガ型レーザ製版層形成
液、ポジ型レーザ製版層形成液、または光重合型レーザ
製版層形成液の塗布方法については、「(1)可視光露
光型製版層」のところで述べた溶剤および塗布方法と同
様である。
【0227】なお、前記光重合型レーザ製版層を形成す
るときは、シラン化合物を水、アルコール、またはカル
ボン酸で部分分解して得られる部分分解型シラン化合物
などの反応性官能基を有するシリコーン化合物で平版印
刷版用アルミニウム支持体の粗面化面を予め処理する
と、平版印刷版用支持体と前記光重合型レーザ製版層と
の接着性が向上するから好ましい。
【0228】3−3 塗布方法 前記感光性樹脂溶液、ネガ型レーザ製版層形成液、ポジ
型レーザ製版層形成液、および光重合型レーザ製版層形
成液を前記平版印刷版用アルミニウム支持体の粗面化面
に塗布する方法としては、コーティングロッドを用いる
方法、エクストルージョン型コーターを用いる方法、ス
ライドビードコーターを用いる方法など、従来公知の方
法が使用でき、また公知の条件に従って行うことができ
る。
【0229】前記感光性樹脂溶液、ネガ型レーザ製版層
形成液、ポジ型レーザ製版層形成液、および光重合型レ
ーザ製版層形成液を塗布後のアルミニウム板を乾燥する
装置としては、特開平6−63487号公報に記載の、
乾燥装置内にパスロールを配置し、前記パスロールで搬
送しつつ乾燥するアーチ型ドライヤー、上下からノズル
によりエアーを供給し、ウェブを浮上させながら乾燥す
るエアードライヤー、高温に加熱された媒体からの輻射
熱で乾燥する輻射熱ドライヤー、およびローラを加熱
し、前記ローラとの接触による伝導伝熱により乾燥する
ローラドライヤー等がある。
【0230】
【実施例】以下、実施例を用い、本発明についてさらに
具体的に説明する。
【0231】(参考例) <1.粗面化処理>以下に述べる手順に従い、表1〜表
4に示す条件で、サンプル1−1〜1−14、およびサ
ンプル2−1〜2−14を作製した。それぞれの処理の
後には水洗処理をおこない、それぞれの処理及び水洗処
理の後にはニップローラに依る液切りをおこなった。但
し、一の処置に引き続いて行なう他の処理において、前
記一の処理で使用したのと同一の処理液を使用したとき
は、前記一の処理と前記他の処理との間においては、水
洗を省略した。
【0232】
【表1】
【0233】
【表2】
【0234】
【表3】
【0235】
【表4】 (1)機械的粗面化処理(a) 表1〜表4に示す組成の研磨材スラリーを、スプレー管
からアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するロ
ーラー状ブラシにより機械的な粗面化をおこなった。
【0236】ローラ状ブラシにおけるブラシ毛の材質は
6・10ナイロンであった。前記ブラシ毛は、直径30
0mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように
植毛した。ローラ状ブラシは3本、または4本使用し
た。前記ローラ状ブラシのそれぞれに2本の支持ローラ
を設けた。前記支持ローラの直径は200mmであり、
距離は300mmであった。
【0237】前記ローラ状ブラシの押し込み量は、前記
ローラ状ブラシを回転させる駆動モータの負荷の、前記
ローラ状ブラシを押し付ける前の前期駆動モータの負荷
に対する増大量が一定になり、粗面化後のアルミニウム
板の平均表面粗さが0.4〜0.5μmになるように制
御した。オシレートの振幅は100mmであった。
【0238】(2)アルカリエッチング処理(b) 機械的粗面化処理後のアルミニウム板に、スプレー管か
ら、表1〜表4に示すNaOH濃度を有し、アルミニウ
ムイオンを7.5重量%含有するアルカリ溶液を噴きつ
けて、粗面化面におけるアルミニウム溶解量が表1また
は表2に示す値になるようにアルカリエッチング処理を
行った。
【0239】(3)デスマット処理(c) 表1〜表4に示す組成および液温の酸性溶液を用いてデ
スマット処理を行った。
【0240】(4)電解粗面化処理(d) 表1〜表4に示す組成および液温の硝酸水溶液中で、図
2に示す電解槽を使用し、図1に示す波形の台形波電流
を印加して電解粗面化処理を行った。、前記台形波電流
の周波数は60Hzであり、前記アルミニウム板のアノ
ード反応時の電気量および電流密度は表1〜表4に示す
通りであった。交流のduty(ta/T)は0.5であ
り、立上り時間tpaおよびtpcは0.3msecであっ
た。カーボンの主極に対向する部分でのアルミニウム板
がアノード反応時の電気量の総和Q aとカソード反応時
の電気量総和Qcとの比Qc/Qaは0.95であった。
アルミニウム板に加わる電気量として、アルミニウム板
が電解槽を通過する間にアルミニウム板に加わった電気
量であって前記アルミニウム板がアノード反応した電気
量の総和を示した。
【0241】(5)アルカリエッチング処理(e) 機械的粗面化処理後のアルミニウム板に、スプレー管か
ら、表1〜表4に示すNaOH濃度を有し、アルミニウ
ムイオンを7.5重量%含有するアルカリ溶液を噴きつ
けて、粗面化面におけるアルミニウム溶解量が表1〜表
4に示す値になるようにアルカリエッチング処理を行っ
た。
【0242】(6)デスマット処理(f) 表1〜表4に示す組成および液温の酸性溶液を用いてデ
スマット処理を行った。
【0243】(7)電解粗面化処理(g) 表1〜表4に示す組成および液温の塩酸水溶液中で、図
2に示す電解槽を使用し、図1に示す波形の台形波電流
を印加して電解粗面化処理を行った。、前記台形波電流
の周波数は60Hzであり、前記アルミニウム板のアノ
ード反応時の電気量および電流密度は表1〜表4に示す
通りであった。交流のduty(ta/T)は0.5であ
り、立上り時間tpaおよびtpcは0.5msecであっ
た。カーボンの主極に対向する部分でのアルミニウム板
がアノード反応時の電気量の総和Q aとカソード反応時
の電気量総和Qcとの比Qc/Qaは0.95であった。
アルミニウム板に加わる電気量として、アルミニウム板
が電解槽を通過する間にアルミニウム板に加わった電気
量であって前記アルミニウム板がアノード反応した電気
量の総和を示した。
【0244】(8)アルカリエッチング処理(h) 機械的粗面化処理後のアルミニウム板に、スプレー管か
ら、表1〜表4に示すNaOH濃度のアルカリ溶液を噴
きつけて、粗面化面におけるアルミニウム溶解量が表1
または表2に示す値になるようにアルカリエッチング処
理を行った。
【0245】(9)デスマット処理(i) 表1〜表4に示す組成および液温の酸性溶液を用いてデ
スマット処理を行った。
【0246】<2.陽極酸化処理>サンプル1−1〜1
−14およびサンプル2−1〜2−14に、図3に示す
陽極酸化処理装置を用い、表5または表6に示す条件で
陽極酸化処理を施し、表面に陽極酸化被膜を形成した。
表5および表6において、「セクションa」、「セクシ
ョンb」、「セクションc」、および「セクションd」
は、それぞれ、図3に示す陽極酸化処理装置における電
極4、電極6A,電極6B,および電極6Cの近傍のセ
クションを示す。
【0247】前記陽極酸化被膜をFE−SEMで5万倍
で撮影し、この写真に写ったポアのうち、500個を無
作為に選び出し、選び出したポアの半径を日本ポラデジ
タル(株)製のマイクロアナライザーを用いて測定し、
ポア径分布のピークに対応するポアの半径であるピーク
半径、および半径10nm以上のポアの割合を求めた。
結果を表5または表6に示す。
【0248】
【表5】
【0249】
【表6】 (実施例A、比較例A)表5または表6に示す条件で陽
極酸化処理を施したサンプル1−1〜2−14に何らの
後処理を施すことなく、製版層形成例1〜10に従って
製版層を形成し、製版、および印刷を行なって耐刷性、
払い枚数、非画像部の汚れ、放置後の汚れ、およびブラ
ンケットローラ上の堆積物による着肉不良の有無につ
き、評価した。結果を表7および表8に示す。
【0250】
【表7】
【0251】
【表8】 耐刷性、払い枚数、非画像部の汚れ、放置後の汚れ、お
よび着肉不良は、以下の手順により評価した。
【0252】・耐刷性:印刷紙面にインキの擦れや地汚
れが目視で明確に認められるまでの印刷用紙の通し枚数
により評価した。前記通し枚数が5万枚以下の場合には
「不良」と評価し、前記通し枚数が5万枚を超える場合
には「良好」と評価した。
【0253】・払い枚数:非画像部にインキの載った印
刷物が、印刷開始後どれだけの枚数印刷した時点で発生
しなくなるかを、印刷物を目視で観察して調べ、前記印
刷物の枚数が少ないものを「良好」と評価し、前記印刷
物の枚数の多いものを「不良」と評価した。
【0254】・非画像部の汚れ:印刷時において、水を
絞った状態における印刷物の非画像部における汚れの状
態を目視で観察し、前記汚れの少ないものを「良好」と
評価し、前記汚れの多いものを「不良」と評価した。
【0255】・放置後の汚れ:一万枚印刷を行なった
後、そのままの状態で版を1時間放置し、その後印刷を
再開したときの非画像部の汚れの状態を目視で観察し、
「大変良好」、「良好」、「やや不良」、および「不
良」の4段階で評価した。
【0256】・着肉不良:オフセット輪転印刷機のブラ
ンケットローラ上の堆積物による着肉不良の発生し難さ
に基き、「大変良好」、「良好」、「やや不良」、およ
び「不良」の4段階で評価した。
【0257】(実施例B、比較例B)陽極酸化処理を施
したサンプル1−1〜1−14およびサンプル2−1〜
2−14を、液温が20℃の珪酸ナトリウム1重量%溶
液中に7秒間浸漬し、表面に4g/m2のシリケート被
膜を形成した。
【0258】前記シリケート被膜を形成したサンプル
に、製版層形成例1〜10に従って製版層を形成し、製
版、および印刷を行なって耐刷性、払い枚数、非画像部
の汚れ、放置後の汚れ、およびブランケットロール上の
堆積物による着肉不良の有無につき、評価した。結果を
表9および表10に示す。
【0259】
【表9】
【0260】
【表10】 (実施例C、比較例C)陽極酸化処理を施したサンプル
1−1〜1−14およびサンプル2−1〜2−14を、
100℃、1気圧において飽和した蒸気チャンバーの中
で10秒間処理して封孔処理を行ない、次いで、液温が
20℃の珪酸ナトリウム1重量%溶液中に7秒間浸漬
し、表面に4g/m2のシリケート被膜を形成した。
【0261】前記処理を施したサンプルに、製版層形成
例1〜10に従って製版層を形成し、製版、および印刷
を行なって耐刷性、払い枚数、非画像部の汚れ、放置後
の汚れ、およびブランケットロール上の堆積物による着
肉不良の有無につき、評価した。結果を表11および表
12に示す。
【0262】
【表11】
【0263】
【表12】 (実施例D、比較例D)陽極酸化処理を施したサンプル
1−1〜1−14およびサンプル2−1〜2−14を、
100℃、1気圧において飽和した蒸気チャンバーの中
で10秒間処理して封孔処理を行った。
【0264】前記封孔処理を施したサンプルに、製版層
形成例1〜10に従って製版層を形成し、製版、および
印刷を行なって耐刷性、払い枚数、非画像部の汚れ、放
置後の汚れ、およびブランケットロール上の堆積物によ
る着肉不良の有無につき、評価した。結果を表13およ
び表14に示す。
【0265】
【表13】
【0266】
【表14】 (製版層形成例1)前記各後処理を施したサンプル1−
1〜1−14およびサンプル2−1〜2−14に、下記
組成の下塗り液を塗布し、80℃で30秒間乾燥した。
乾燥後の被覆量は30mg/m2であった。
【0267】 [下塗り液] アミノエチルホスホン酸 0.10g フェニルホスホン酸 0.15g β−アラニン 0.10g メタノール 40g 純 水 60g 次に、前記平版印刷版用アルミニウム支持体に、以下の
組成を有する感光層形成液Aを、塗布量を変化させて塗
布し、110℃で1分間乾燥してポジ型感光性平版印刷
原版を得た。
【0268】 〔感光層形成液A〕 1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホニルクロリドとピロガロール−アセ トン樹脂とのエステル化物(米国特許第3,635,709号明細書の実施例1に記載さ れているもの) … 0.45g クレゾール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂(メタ/パラ比=6対4、重量 平均分子量3,000 、数平均分子量1,100、未反応のクレゾールを0.7%含有) … 1.1g m−クレゾール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂(重量平均分子量1,700 、 数平均分子量600、未反応のクレゾールを1%含有) … 0.3g N−(P−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド−ノルマルブチルアク リレート−ジエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート共重合体( 各モノマーの仕込モル比=40:40:20、重量平均分子量40,000、数平均分 子量20,000) … 0.2g P−ノルマルオクチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂(米国特許第4,123, 279 号明細書に記載されているもの) … 0.021g ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸クロライド …0.01g テトラヒドロ無水フタル酸 … 0.1g 安息香酸 … 0.02g 4−〔p−N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2 ,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン … 0.01g 4−〔P−N−(P−ヒドロキシベンゾイル)アミノフェニル〕−2,6−ビ ス(トリクロロメチル)−S−トリアジン … 0.02g 2−トリクロロメチル−5−(4−ヒドロキシスチリル)−1,3,4−オキ サジアゾール … 0.01g ビクトリアピュアブルーBOHの対アニオンを1−ナフタレンスルホン酸に置 換した染料 … 0.02g モディパーF−200(日本油脂(株)製フッ素系界面活性剤)を30重量% 含むメチルエチルケトンとメチルイソブチルケトン混合溶剤溶液 … 0.06g メガファックF177(大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性剤) を20重量%含むメチルイソブチルケトン溶液) … 0.02g メチルエチルケトン … 15g 1−メトキシ−2−プロパノール … 10g の組成を有するものを用いた。
【0269】前記感光層形成液Aを塗布して乾燥した製
版層の上に、メチルメタクリレートとエチルアクリレー
トとアクリル酸ソーダとを68/20/12の仕込モル
比で共重合した共重合体の水溶液を静電スプレーしてよ
りマット層を設けた。
【0270】得られた感光性平版印刷原版を、真空焼枠
中で、透明ポジティブフィルムを通し、1mの距離から
3kwのメタルハライドランプにより50秒間露光を行
なったのち、現像液としてSiO2/Na2Oのモル比が
1.74の珪酸ナトリウムの5.26%水溶液(pH=
12.7)を、リンス液として富士写真フィルム(株)
製FR−3(1:7)を仕込んだ富士写真フィルム
(株)製自動現像機スタブロン900Dに通して処理し
た。
【0271】得られた平版印刷版について印刷性能を評
価した。印刷機としてハイデルベルグ社製SOR−Mを
使用し、湿し水として富士写真フィルム(株)製EU−
3(1:100)にイソプロパノールを10%添加した
ものを使用し、インキとしては、東洋インキ(株)製マ
ークファイブニュー墨を用いて印刷を行なった。
【0272】(製版層形成例2)前記各後処理を施した
サンプル1−1〜1−14およびサンプル2−1〜2−
14に、以下の塗布液を2g/m2の塗布量で塗布して
乾燥し、下地層を形成した。
【0273】 [塗布液] 1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホニルクロリドと ピロガロール−アセトン樹脂のエステル化物 (重量平均分子量2500) 40重量部 フェノールホルムアルデヒド樹脂 (重量平均分子量10000,3核体以上の成分90%) 75重量部 アクリルポリマーI 35重量部 2−(p−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロ ロメチル)−s−トリアジン 3重量部 オイルブルー#603 (オリエント化学工業(株)製) 1.5重量部 メガファックF−176 (大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性剤) 0.3重量部 メチルエチルケトン 1000重量部 プロピレングリコールモノメチルエーテル 1000重量部 の組成を有するものを用いた。
【0274】前記アクリルポリマーIは、以下の手順で
合成した。
【0275】N−(p−トルエンスルホニル)メタクリ
ルアミド60.3g、アクリロニトリル10.0gおよ
びエチルアクリレート46.0gをジメチルホルムアミ
ド232.6gに溶解し、窒素気流下、2,2′−アゾ
ビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.224g
を重合開始剤として用い、65℃で7時間攪拌した。反
応液を放冷した後、水5リットル中に再沈した。析出し
たポリマーを濾取し、乾燥することでアクリルポリマー
Iを110.4g(収率95%、Mw52,000)を
得た。
【0276】さらに以下のマット形成樹脂液を吹きつけ
てマット層を形成した。マット層形成用樹脂液としてメ
チルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸
(仕込重量比65:20:15)共重合体の一部をナト
リウム塩とした12%水溶液を調製し、回転霧化静電塗
布機で霧化頭回転数25,000rpm、樹脂液の送液
量は40ml/分、霧化頭への印加電圧は−90kV、
塗布時の周囲温度は25℃、相対湿度は50%とし、塗
布後2.5秒で塗布面に蒸気を吹き付けて湿潤させ、つ
いで湿潤した3秒後に温度60℃、湿度10%の温風を
5秒間吹き付けて乾燥させた。
【0277】このようにした作製した平版印刷原版に原
稿フィルムを通して1mの距離から3kWのメタルハラ
イドランプを用いて、60秒間露光した。
【0278】 [現像液a(pH約12.4)] D−サッカロース 4.8 重量% 水酸化ナトリウム 0.34重量% 炭酸ナトリウム 0.70重量% テトラブチルアンモニウムブロマイド 0.03重量% 水 94.7 重量% の組成を有するものを用いた。
【0279】 [現像補充液a(pH約13.0)] D−サッカロース 9.7 重量% 水酸化ナトリウム 1.5 重量% 炭酸ナトリウム 1.0 重量% テトラブチルアンモニウムブロマイド 0.07重量% 水 残 部 の組成を有するものを用いた。
【0280】 〔フィニッシングガム液〕 アラビアガム 1.8 重量% 酵素変性馬鈴薯澱粉 18.3 重量% 酵素変性玉蜀黍澱粉 3.7 重量% 燐酸化ワキシー玉蜀黍澱粉 1.8 重量% ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 0.91重量% 第一燐酸アンモニウム 0.27重量% 燐酸(85%) 0.37重量% EDTA−四ナトリウム塩 0.27重量% エチレングリコール 1.8 重量% ベンジルアルコール 2.3 重量% デヒドロ酢酸ナトリウム 0.04重量% エマルジョン型シリコン消泡剤 0.02重量% 水 68.4 重量% の組成を有するものを用いた。
【0281】 〔リンス液〕 ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(40重量%水溶液) 6.7 重量% ヘキサメタ燐酸ナトリウム 0.8 重量% ベンジルアルコール 1.5 重量% ポリオキシエチレン(エチレンオキシド12モル付加)ノニルフェニルエーテ ル …1.5 重量% ジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム …1.4 重量% 燐酸(85重量%) …5.2 重量% 水酸化ナトリウム …2.0 重量% シリコン消泡剤 …0.01重量% 水 …80.89重量% の組成を有するものを用いた。
【0282】次に浸漬型現像槽を有する市販の自動現像
機PS−900D(富士写真フイルム(株)製)の現像
槽に、上記各現像液を20リットル仕込み、30℃に保
温した。PS−900Dの第二浴目には水道水を8リッ
トル、第三浴目にはフィニッシング液:水=1:1希釈
したフィニッシング液を8リットル仕込んだ。このPS
−900Dに前述の露光済みの平版印刷版を通し、現像
処理した。
【0283】現像後の平版印刷版を、製版層形成例1と
同様の手順で印刷性能について評価した。
【0284】(製版層形成例3)前記各後処理を施した
サンプル1−1〜1−14およびサンプル2−1〜2−
14に、下記組成Aの共重合体の1%水溶液を、ロール
コーターによつて塗布し、乾燥させて下塗り層を形成し
た。その乾燥後の塗布量は0.05g/m2であつた。
【0285】[組成A]メチルメタクリレート/エチル
アクリレート/2−アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸ナトリウム(仕込モル比=50:30:2
0)の共重合体(平均分子量約60000)。
【0286】この下塗り層の上に下記組成の感光層形成
液を塗布し乾燥させて、感光性平版印刷原版を得た。こ
れを試料とする。
【0287】 [感光層形成液] 2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(米国特許第4123276号明細中 の実施例1に記載されているもの。) …0.87g p−ジアゾジフエニルアミンとパラホルムアルデヒドの縮合物の2−メトキシ −4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルベンゼンスルホン酸塩 …0.1g “オイルブル−#603”(オリエント化学工業(株)の青色染料) …0.03g メタノール …6g 2−メトキシエタノール …6g の組成を有するものを用いた。
【0288】製版層の乾燥塗布量は、2.0g/m2
あつた。
【0289】前記平版印刷原版に透明ネガ原画を真空密
着し、3kWのメタルハライド灯で1mの距離から60
秒間露光し、以下の組成を有する現像液に1分間浸漬
し、製版層の表面をスポンジで軽く擦つて現像し、市販
の不感脂化ガム液を塗布した。
【0290】[現像液] 亜硫酸ナトリウム 5g ベンジルアルコール 30g 炭酸ナトリウム 5g イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム12g 純水 1000g の組成を有するものを用いた。
【0291】この平版印刷版を用いて製版層形成例1と
同様の手順で印刷した。
【0292】(製版層形成例4) 〔カーボンブラック分散液の作製〕下記重量比による組
成物をガラスビーズにより10分間分散しカーボンブラ
ック分散液を得た。
【0293】 カーボンブラック 1重量部 ベンジルメタクリレートとメタクリル酸の共重合体(仕込モル比72:2 8、重量平均分子量7万) 1.6重量部 シクロヘキサノン 1.6重量部 メトキシプロピルアセテート 3.8重量部 〔ネガ型感光性平版印刷原版の作製〕前記各後処理を施
したサンプル1−1〜1−14およびサンプル2−1〜
2−14に、下記の感光層形成液を塗布し,100℃で
2分間乾燥をしてネガ型感光性平版印刷原版を得た。乾
燥後の被膜量は2.0g/m2であった。
【0294】[感光層形成液]前記感光層形成液として
は、 前記カーボンブラック分散液 10g 4ージアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒドの縮合物の六フッ化燐酸塩 0.5g メタクリル酸と2ーヒドロキシエチルアクリレートとベンジルメタクリレート とアクリロニトリルのラジカル共重合体(モノマー仕込モル比15:30:40 :15、重量平均分子量10万) 5g リンゴ酸 0.05g FCー430(米国3M社製フッ素系界面活性剤) 0.05g 1ーメトキシー2ープロパノール 80g 乳酸エチル 15g 水 5g の組成を有するものを用いた。
【0295】得られたネガ型感光性平版印刷原版を、版
面出力2Wに調節したYAGレーザで露光した後,富士
写真フィルム(株)製現像液,DN−3C(1:1),
ガム液FN−2(1:1)を仕込んだ自動現像機を通し
て処理したところ、ネガ画像が得られた。この平版印刷
版をハイデルSORーKZ機で印刷した。
【0296】(製版層形成例5)前記各後処理を施した
サンプル1−1〜1−14およびサンプル2−1〜2−
14に、下記の下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、温
風式乾燥装置を用いて90℃で30秒間乾燥した。乾燥
後の被膜量は20mg/m2であった。
【0297】 <下塗り液> ・メタクリロイルオキシエチルホスホン酸 0.2g ・メチルアクリレートとスチレンスルホン酸ナトリウム塩の仕込みモル比75 :15の共重合体 0.2g ・硝酸カルシウム 0.2g ・メタノール 20g ・イオン交換水 80g。 の組成を有するものを用いた。
【0298】[記録層の形成]前記下塗り層を形成した
支持体上に、下記の記録層塗布液[P−1]をワイヤー
バーで塗布し、温風式乾燥装置にて120℃で45秒間
乾燥して記録層を形成し、さらに、下記オーバーコート
層塗布液を、スライドホッパーを用いて塗布し、温風式
乾燥装置にて120℃で75秒間乾燥して平版印刷原版
[P−1]を得た。尚、記録層塗布液[P−1]の塗布
量は2.0g/m2であり、オーバーコート層塗布液の
塗布量は2.3g/m2であった。 <記録層用塗布液[P−1]> ・チタノセン型ラジカル発生剤 0.1g (CGI−784 、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) ・重合性化合物(RM−2) 0.60g ・重合性化合物(RM−3) 0.20g ・可視光吸収剤(VR−1) 0.10g ・ポリマー(PB−1) 1.20g ・銅フタロシアニン顔料 0.04g ・重合禁止剤 0.005g (クペロンAl、和光純薬(株)製) ・フッ素系界面活性剤 0.03g (メガファックKF309、大日本インキ化学工業(株)製) ・メチルエチルケトン 10g ・γ−ブチロラクトン 5g ・メタノール 7g ・1−メトキシ−2−プロパノール 5g の組成を有するものを用いた。
【0299】なお、記録層用塗布液[P−1]の調製に
用いた重合性化合物RM−2、重合性化合物RM−3、
および可視光吸収剤VR−1は、以下の構造を有してい
る。
【0300】
【化1】
【0301】
【化2】
【0302】
【化3】 また、ポリマー(PB−1)は、メタクリル酸、N−イ
ソプロピルアクリルアミドおよびエチルメタクリレート
の共重合体を合成した後、1,2−エポキシ−3−メタ
クリロイルオキシメチルシクロヘキサンと反応させるこ
とにより合成した。組成モル比は、15:30:20:
35であり、重量平均分子量は12万であった。ポリマ
ーPB−1の構造式は、以下の通りである。
【0303】
【化4】 <オーバーコート層用塗布液> ・ポリビニルアルコール 3.0g (ケン化度98.5モル%、重合度500) ・非イオン性界面活性剤 0.05g (EMAREX NP−10 日本エマルジョン社(株)製) ・イオン交換水 96.95g の組成を有するものを用いた。 [現像液組成物の評価]冨士写真フイルム(株)製自動
現像機(LP−850P2)の現像処理槽に、下記組成
の現像液組成物(V−2)を仕込み、30℃に保温し
た。自動現像機の第二浴目には、水道水を仕込み、第三
浴目には、FP−2W(富士写真フイルム(株)製):
水=1:1希釈したフィニッシングガム液を仕込んだ。
なお、現像液のpHは、8.1であった。
【0304】 <現像液組成物[V−2]> ・炭酸水素ナトリウム 26g ・エチレングリコールモノナフチルエーテル モノスルフェートのナトリウム塩 30g ・エチレングリコールモノドデシルエーテル 20g ・亜硫酸ナトリウム 3g ・エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム 1g ・水 920g の組成を有するものを用いた。
【0305】次に、サイズ1030×800mmの平版
印刷原版[P−1]20枚を、405nmの紫光を発す
る30mW半導体レーザを用い、レーザビーム径12μ
m、版面エネルギー50μJ/cm2の露光条件で走査
露光し、上記の自現機を用いて現像処理した。処理後、
自動現像液を3日間そのまま放置した。その後、平版印
刷原版[P−1]1枚を、同様にレーザ露光、引き続き
現像処理した。得られた平版印刷版[P−1]を、小森
コーポレーション(株)製印刷機リスロンを用いて印刷
した。
【0306】(製版層形成例6)前記各後処理を施した
サンプル1−1〜1−14およびサンプル2−1〜2−
14に、下記下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、温風
式乾燥装置を用いて90℃で30秒間乾燥した。乾燥後
の被膜量は20mg/m2であった。
【0307】 <下塗り液> ・4−ジアゾ−3メトキシジフェニルアミンとホルムアルデヒド の縮合物のジブチルナフタレンスルホン酸塩 0.3g ・2−アミノエチルホスホン酸のマグネシウム塩 0.1g ・塩化カルシウム 0.2g ・メタノール 20g ・イオン交換水 80g の組成を有するものを用いた。
【0308】[記録層の形成]下記記録層塗布液を前記
下塗り層を形成した支持体上に、ワイヤーバーで塗布
し、温風式乾燥装置にて120℃で45秒間乾燥して記
録層を形成し、実施例1の平版印刷原版[P−2]を得
た。乾燥後の塗布量は2.0g/m2であった。
【0309】 <記録層用塗布液[P−2]> ・オニウム塩(KO−1) 0.25g ・重合性化合物(RM−1) 0.60g ・赤外線吸収剤(IR−1) 0.06g ・ポリマー(PB−2) 1.40g ・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩 0.04g ・N−アリルステアリン酸アミド 0.01g ・重合禁止剤 0.005g (イルガノックス1010、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) ・フッ素系界面活性剤 0.03g (メガファックKF309、大日本インキ化学工業(株)製) ・メチルエチルケトン 10g ・γ−ブチロラクトン 5g ・メタノール 7g ・1−メトキシ−3−プロパノール 5g の組成を有するものを用いた。
【0310】なお、前記オニウム塩KO−1、重合性化
合物RM−1、および赤外線吸収剤IR−1の構造は、
以下に示す通りである。
【0311】
【化5】
【0312】
【化6】
【0313】
【化7】 また、ポリマー(PB−2)は、メタクリル酸、N−ア
クリロイルモルホリンおよびベンジルメタクリレートの
共重合体を合成した後、3−クロロ−2−ヒドロキシプ
ロピルメタクリレートと、塩基およびヨウ化カリウム存
在下で反応させることにより合成した。組成モル比は、
15:30:10:45であり、重量平均分子量は10
万であった。構造式は以下の通りである
【0314】
【化8】 [現像液組成物の評価]版材供給装置(SA−L800
0)、露光装置(Luxel T−9000CTP)、
コンベア(T−9000 Conveyor)、自動現
像機(LP−1310H)、ストッカー(ST−116
0)より成る冨士写真フイルム(株)CTP出力システ
ムを用いた。自動現像機の現像処理槽に、下記組成の現
像液組成物(V−1)を仕込み、30℃に保温した。自
動現像機の第二浴目には、水道水を仕込み、第三浴目に
は、FP−2W(富士写真フイルム(株)製):水=
1:1希釈したフィニッシングガム液を仕込んだ。な
お、現像液のpHは、8.0であった。
【0315】 <現像液組成物[V−1]> ・炭酸水素カリウム 20g ・ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム 30g ・エチレングリコールモノナフチルエーテル 20g ・亜硫酸ナトリウム 3g ・ヒドロキシエタンジホスホン酸カリウム 2g ・シリコーンSA730 0.1g (東芝シリコーン(株)製界面活性剤) ・水 924.9g の組成を有するものを用いた。
【0316】次に、平版印刷原版[P−2]サイズ10
30×800mmの30枚を、版材供給装置に装填し、
全自動で連続して、露光、現像処理し、ストッカーへ排
出した。処理後、自動現像液を3日間そのまま放置し
た。放置した後、平版印刷原版[P−2]1枚を、版材
供給装置に装填し、全自動で連続して、露光、現像処理
し、ストッカーへ排出した。得られた平版印刷版[P−
2]を、小森コーポレーション(株)製印刷機リスロン
を用いて印刷した。
【0317】(製版層形成例7)前記各後処理を施した
サンプル1−1〜1−14およびサンプル2−1〜2−
14に、下記組成の下塗り液を塗布し、80℃で15秒
間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は
15mg/m2であった。 <下塗り液組成> ・下記の化学式で示される高分子化合物 0.3g
【0318】
【化9】 ・メタノール 100 g ・水 1 g の組成を有するものを用いた。
【0319】[製版層の形成]更に、下記組成の感光層
塗布液1を調製し、前記平版印刷版用アルミニウム支持
体の前記下塗り液を塗布した側の面に、この感光層塗布
液1を、バーコーターを用いて、乾燥後の塗布量(製版
層塗布量)が1.0g/m2になるよう塗布し、乾燥し
て製版層を形成し、平版印刷原版を得た。
【0320】 <感光層塗布液1組成> ・カプリン酸 0.03 g ・共重合体1 0.75 g ・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量3,5 00 、未反応クレゾール0.5質量%含有) 0.25 g ・p−トルエンスルホン酸 0.003g ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.03 g ・下記構造式で表されるシアニン染料A 0.017g
【0321】
【化10】 ・ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを1−ナフタレンスルホン酸アニ オンにした染料 0.015g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業社製 ) 0.05 g ・γ−ブチルラクトン 10 g ・メチルエチルケトン 10 g ・1−メトキシ−2−プロパノール 1 g の組成を有するものを用いた。
【0322】<共重合体1>攪拌機、冷却管および滴下
ロートを備えた500mL容の三つ口フラスコに、メタ
クリル酸31.0g(0.36mol)、クロロギ酸エ
チル39.lg(0.36mol)およびアセトニトリ
ル200mLを入れ、氷水浴で冷却しながら混合物を攪
拌した。この混合物にトリエチルアミン36.4g
(0.36mol)を約1時間かけて滴下ロートにより
滴下した。滴下終了後、氷水浴を取り去り、室温下で3
0分間混合物を攪拌した。
【0323】この反応混合物に、p−アミノベンゼンス
ルホンアミド51.7g(0.30mol)を加え、油
浴にて70℃に温めながら混合物を1時間攪拌した。反
応終了後、この混合物を水1Lにこの水を攪拌しながら
投入し、30分間得られた混合物を攪拌した。この混合
物を濾過して析出物を取り出し、これを水500mLで
スラリーにした後、このスラリーを濾過し、得られた固
体を乾燥することによりN−(p−アミノスルホニルフ
ェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた(収量
46.9g)。
【0324】つぎに、攪拌機、冷却管および滴下ロート
を備えた20mL容の三つ口フラスコに、N−(p−ア
ミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.61g
(0.0192mol)、メタクリル酸エチル2.94
g(0.0258mol)、アクリロニトリル0.80
g(0.015mol)およびN,N−ジメチルアセト
アミド20gを入れ、湯水浴により65℃に加熱しなが
ら混合物を攪拌した。この混合物に「V−65」(和光
純薬社製)0.15gを加え、65℃°Cに保ちながら
窒素気流下で、混合物を2時間攪拌した。この反応混合
物に更にN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタク
リルアミド4.61g、メタクリル酸エチル2.94
g、アクリロニトリル0.80g、N,N−ジメチルア
セトアミドおよび「V−65」0.15gの混合物を2
時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後、更
に、得られた混合物を65℃で2時間攪拌した。反応終
了後、メタノール40gを混合物に加え、冷却し、得ら
れた混合物を水2Lにこの水を攪拌しながら投入し、3
0分混合物を攪拌した後、析出物を濾過により取り出
し、乾燥することにより15gの白色固体の特定の共重
合体1を得た。
【0325】得られた特定の共重合体1の重量平均分子
量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測
定したところ、53,000(ポリスチレン標準)であ
った。
【0326】上記のようにして得られた平版印刷原版を
出力500mW、波長830nm、ビーム径17μm
(1/e2 )の半導体レーザを用いて、主操作速度5m
/秒で露光した後、富士写真フイルム(株)製のPS版
用現像液DP−4(1:8)水希釈液を用いて30秒間
現像した。
【0327】この印刷版を用い、平版オフセット印刷を
行なった。
【0328】(製版層形成例8)前記各後処理を施した
サンプル1−1〜1−14およびサンプル2−1〜2−
14に、下記組成の下塗り液を塗布し、80℃で15秒
間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は
15mg/m2であった。
【0329】<下塗り液組成> ・下記構造を有する高分子化合物 0.3g
【0330】
【化11】 ・メタノール 100g ・水 1g の組成を有するものを用いた。
【0331】[製版層の形成]下記組成の感光層塗布液
1を調製し、前記下塗り液を塗布して下塗り層を形成し
た平版印刷版アルミニウム支持体に、この感光層塗布液
1を、バーコーターを用いて、乾燥後の塗布量が1.0
g/m2になるよう塗布し、乾燥して製版層を形成し、
平版印刷原版を得た。
【0332】 <感光層塗布液1組成> ・カプリン酸 0.03 g ・共重合体II 0.75 g ・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量3,5 00 、未反応クレゾール0.5質量%含有) 0.25 g ・p−トルエンスルホン酸 0.003g ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.03 g ・下記構造式で表されるシアニン染料A 0.017g
【0333】
【化12】 ・ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを1−ナフタレンスルホン酸アニオ ンにした染料 0.015g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業社製) 0.05g ・γ−ブチルラクトン 10 g ・メチルエチルケトン 10 g ・1−メトキシ−2−プロパノール 1 g <共重合体II>攪拌機、冷却管および滴下ロートを備え
た500mL容の三つ口フラスコに、メタクリル酸3
1.0g(0.36mol)、クロロギ酸エチル39.
lg(0.36mol)およびアセトニトリル200m
Lを入れ、氷水浴で冷却しながら混合物を攪拌した。こ
の混合物にトリエチルアミン36.4g(0.36mo
l)を約1時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下
終了後、氷水浴を取り去り、室温下で30分間混合物を
攪拌した。
【0334】この反応混合物に、p−アミノベンゼンス
ルホンアミド51.7g(0.30mol)を加え、油
浴にて70℃に温めながら混合物を1時間攪拌した。反
応終了後、この混合物を水1Lにこの水を攪拌しながら
投入し、30分間得られた混合物を攪拌した。この混合
物を濾過して析出物を取り出し、これを水500mLで
スラリーにした後、このスラリーを濾過し、得られた固
体を乾燥することによりN−(p−アミノスルホニルフ
ェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた(収量
46.9g)。
【0335】つぎに、攪拌機、冷却管および滴下ロート
を備えた20mL容の三つ口フラスコに、N−(p−ア
ミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.61g
(0.0192mol)、メタクリル酸エチル2.94
g(0.0258mol)、アクリロニトリル0.80
g(0.015mol)およびN,N−ジメチルアセト
アミド20gを入れ、湯水浴により65℃に加熱しなが
ら混合物を攪拌した。この混合物に「V−65」(和光
純薬社製)0.15gを加え、65℃°Cに保ちながら
窒素気流下で、混合物を2時間攪拌した。この反応混合
物に更にN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタク
リルアミド4.61g、メタクリル酸エチル2.94
g、アクリロニトリル0.80g、N,N−ジメチルア
セトアミドおよび「V−65」0.15gの混合物を2
時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後、更
に、得られた混合物を65℃で2時間攪拌した。反応終
了後、メタノール40gを混合物に加え、冷却し、得ら
れた混合物を水2Lにこの水を攪拌しながら投入し、3
0分混合物を攪拌した後、析出物を濾過により取り出
し、乾燥することにより15gの白色固体の特定の共重
合体1を得た。
【0336】得られた特定の共重合体1の重量平均分子
量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測
定したところ、53,000(ポリスチレン標準)であ
った。
【0337】上記のようにして得られた平版印刷原版を
出力500mW、波長830nm、ビーム径17μm
(1/e2 )の半導体レーザを用いて、主操作速度5m
/秒で露光した後、下記組成の非シリケート現像液を用
いて現像した。
【0338】〔現像液(非シリケート現像液)〕非還元
糖と塩基とを組み合わせたD−ソルビット/酸化カリウ
ム(K2O)よりなるカリウム塩45%水溶液1リット
ルに、両性界面活性剤パイオニンC−158G(竹本油
脂(株)製)20gと消泡剤オルフィンAK−02(日
信化学(株)製)2.0gを添加して濃縮液を作製し
た。この濃縮液を水で9倍に希釈したものを現像液とし
た。この現像液1の電導度は45mS/cmである。
【0339】この印刷版を用いて平版オフセット印刷を
行なった。
【0340】(製版層形成例9) 〔(A)成分共重合体の合成〕 (1)合成例1(共重合体1) 攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた500ml三ツ
口フラスコにメタクリル酸31.0g(0.36モ
ル)、クロロギ酸エチル39.1g(0.36モル)及
びアセトニトリル200mlを入れ、氷水浴で冷却しな
がら混合物を攪拌した。この混合物にトリエチルアミン
36.4g(0.36モル)を約1時間かけて滴下ロー
トにより滴下した。滴下終了後、氷水浴をとり去り、室
温下で30分間混合物を攪拌した。
【0341】この反応混合物に、p−アミノベンゼンス
ルホンアミド51.7g(0.30モル)を加え、油浴
にて70℃に温めながら混合物を1時間攪拌した。反応
終了後、この混合物を水1リットルにこの水を攪拌しな
がら投入し、30分間得られた混合物を攪拌した。この
混合物を濾過して析出物を取り出し、これを水500m
lでスラリーにした後、このスラリーを濾過し、得られ
た固体を乾燥することによりN−(p−アミノスルホニ
ルフェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた
(収量46.9g)。
【0342】次に攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備え
た100ml三ツ口フラスコに、N−(p−アミノスル
ホニルフェニル)メタクリルアミド5.04g(0.0
210モル)、メタクリル酸エチル2.05g(0.0
180モル)、アクリロニトリル1.11g(0.02
1モル)及びN,N−ジメチルアセトアミド20gを入
れ、湯水浴により65℃に加熱しながら混合物を攪拌し
た。この混合物に「V−65」(和光純薬(株)製)
0.15gを加え65℃に保ちながら窒素気流下2時間
混合物を攪拌した。この反応混合物にさらにN−(p−
アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド5.04
g、メタクリル酸エチル2.05g、アクリロニトリル
1.11g、N,N−ジメチルアセトアミド20g及び
「V−65」0.15gの混合物を2時間かけて滴下ロ
ートにより滴下した。滴下終了後さらに65℃で2時間
得られた混合物を攪拌した。反応終了後メタノール40
gを混合物に加え、冷却し、得られた混合物を水2リッ
トルにこの水を攪拌しながら投入し、30分混合物を攪
拌した後、析出物を濾過により取り出し、乾燥すること
により15gの白色固体を得た。ゲルパーミエーション
クロマトグラフィーによりこの共重合体1の重量平均分
子量(ポリスチレン標準)を測定したところ53,00
0であった。
【0343】(2)合成例2(共重合体2) 合成例1の重合反応において、N−(p−アミノスルホ
ニルフェニル)メタクリルアミド5.04g(0.02
10モル)をN−(p−ヒドロキシフェニル)メタクリ
ルアミド3.72g(0.0210モル)に変えた以外
は、合成例1と同様に重合反応を行い、重量平均分子量
(ポリスチレン標準)47,000の共重合体2を得
た。
【0344】[下塗り液の塗布]前記各後処理を施した
サンプル1−1〜1−14およびサンプル2−1〜2−
14に、下記下塗り液を塗布し、塗膜を90℃で1分乾
燥した。乾燥後の塗膜の塗布量は10mg/m2であっ
た。
【0345】<下塗り液> β−アラニン 0.5g メタノール 95g 水 5g [画像形成層の形成]前記平版印刷版用アルミニウム支
持体に、感光層形成液A1を塗布し、100℃で2分間
乾燥して、(A)層を形成した。乾燥後の塗布量は1.
4g/m2 であった。さらに、感光層形成液B1を塗布
し、100℃で2分間乾燥して、(B)層を形成し、平
版印刷原版を得た。乾燥後の感光層形成液A1およびB
1の合計塗布量は2.0g/m2であった。
【0346】 <感光層形成液A1> 共重合体1 0.75g シアニン染料A 0.04g p−トルエンスルホン酸 0.002g テトラヒドロ無水フタル酸 0.05g ビクトリアピュアブルー(BOHの対アニオンを1−ナフタレン スルホン酸アニオンに置換した染料)0.015g フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株) 製) 0.02g γ−ブチルラクトン 8g メチルエチルケトン 7g 1−メトキシ−2−プロパノール 7g <感光層形成液B1> m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量4000 ) 0.25g シアニン染料A 0.05g ステアリン酸n−ドデシル 0.02g フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株) 製) 0.05g メチルエチルケトン 7g 1−メトキシ−2−プロパノール 7g 〔平版印刷原版の性能評価〕前記のようにして作成した
平版印刷原版について、印刷性能評価を行った。
【0347】得られた平版印刷原版を、出力500m
W,波長830nm、ビーム径17μm(1/e2 )の
半導体レーザを用いて主走査速度5m/秒にて露光した
後、富士写真フイルム(株)製現像液、DP−4、リン
ス液FR−3(1:7)を仕込んだ自動現像機(富士写
真フイルム(株)製:「PSプロセッサー900V
R」)を用いて現像した。その際、DP−4は1:8で
希釈したものを用いた。
【0348】この平版印刷版をハイデルベルク社製のハ
イデルKOR−D機で上質紙に印刷した。
【0349】(製版層形成例10) [下塗り層の形成]前記各後処理を施したサンプル1−
1〜1−14およびサンプル2−1〜2−14に、下記
の下塗り液を塗布・乾燥し、下塗り層を形成した。
【0350】 <下塗り液> ・下記化合物 0.3g ・メタノール 100g ・水 1g 〔感熱層の形成〕得られた基板に、以下の下層用塗布液
を、塗布量が0.85g/m2になるよう塗布したの
ち、TABAI社製、PERFECT OVEN PH
200にてWind Controlを7に設定して1
40度で50秒間乾燥し、その後、感熱層用塗布液を塗
布量が0.15g/m2になるよう塗布したのち、12
0度で1分間乾燥し、平版印刷原版を得た。
【0351】 〔下層用塗布液〕 ・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/アクリロニトリ ル/メタクリル酸メチル36/34/30:重量平均分子量50000) 1.896g・クレゾールノボラック(m/p=6/4 重量平均分子量4 500、残存モノマー0.8wt%) 0.237g ・シアニン染料A(下記構造) 0.109g ・4,4’−ビズヒドロキシフェニルスルホン 0.063g ・無水テトラヒドロフタル酸 0.190g ・p−トルエンスルホン酸 0.008g ・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒイドロキシナフタレンスルホンに変 えたもの 0.05g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF176、大日本インキ工業(株)社製 ) 0.035g ・メチルエチルケトン 26.6g ・1−メトキシ−2−プロパノール 13.6g ・γ−ブチロラクトン 13.8g 〔感熱層用塗布液〕 ・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量450 0、未反応クレゾール0.8重量%含有) 0.237g ・シアニン染料A(上記構造) 0.047g ・ステアリン酸ドデシル 0.060g ・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミンヘキサフルオロホスフェート 0.030g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF176、大日本インキ化学工業(株) 製) 0.110g ・フッ素系界面活性剤〔メガファックMCF−312(30%)、大日本イン キ工業(株)社製〕 0.120g ・メチルエチルケトン 15.1 g ・1−メトキシ−2−プロパノール 7.7 g。
【0352】得られた平版印刷原版1をCreo社製T
rendsetterにてビーム強度9w、ドラム回転
速度150rpmでテストパターンを画像状に描き込み
を行った。
【0353】書き込みを行った平版印刷原版に対して、
現像に際し、下記組成の非シリケート現像液を用いて現
像した。
【0354】〔現像液(非シリケート現像液)〕非還元
糖と塩基とを組み合わせたD−ソルビット/酸化カリウ
ムよりなるカリウム塩45%水溶液1リットルに、両性
界面活性剤パイオニンC−158G(竹本油脂(株)
製)20gと消泡剤オルフィンAK−02(日信化学
(株)製)2.0gを添加して濃縮液を作製した。この
濃縮液を水で9倍に希釈したものを現像液とした。この
現像液1の電導度は45mS/cmである。
【0355】この印刷版を用いてオフセット印刷を行な
った。
【0356】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
耐刷力と汚れ性能とが高いレベルで両立した平版印刷版
用アルミニウム支持体が得られる平版印刷版用アルミニ
ウム支持体の製造方法、前記製造方法で製造した平版印
刷版用アルミニウム支持体、および前記平版印刷版用ア
ルミニウム支持体の粗面化面に製版層を積層した平版印
刷原版が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例において電解粗面化処理(d)
および(g)で印加した台形波電流の波形を示す波形図
である。
【図2】図2は、実施例において電解粗面化処理(d)
および(g)で使用した電解槽の構成の概略を示す断面
図である。
【図3】図3は、実施例において陽極酸化処理で使用し
た電解槽の構成の概略を示す断面図である。
【符号の説明】
40 電解槽 42 電解槽本体 44 送りローラ 46A 主極 46B 主極 48A 給液ノズル 48B 給液ノズル 54 補助電解槽 56 補助陽極 Th サイリスタ
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23F 1/00 104 C23F 1/00 104 4K057 1/36 1/36 C25D 11/04 302 C25D 11/04 302 11/16 301 11/16 301 C25F 3/04 C25F 3/04 B D G03F 7/00 503 G03F 7/00 503 7/09 501 7/09 501 // C22C 21/00 C22C 21/00 C Fターム(参考) 2H025 AA12 AC08 DA20 DA36 2H096 AA06 CA03 EA04 2H114 AA04 AA10 AA14 AA23 BA01 DA04 DA08 DA09 DA10 DA14 DA75 EA03 EA04 EA08 FA01 FA04 FA06 GA03 GA04 GA05 GA06 GA07 GA08 GA09 GA36 3C058 AA06 BC02 CB01 CB03 3C059 AA02 AB01 HA04 4K057 WA01 WA05 WB05 WC10 WD05 WD06 WE22 WG01 WG03 WG10 WK01 WN10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム板の少なくとも一方の面
    に、(1) 平均粒径が1〜60μmであり、酸化珪素また
    はアルミナを含有する研磨材を用いて、毛径0.05〜
    0.8mmのローラ状ブラシにより、機械的に粗面化す
    る機械的粗面化処理(a)、(2) 水酸化ナトリウム濃度
    が15〜30重量%の水酸化ナトリウムを主体とするア
    ルカリ溶液を用い、エッチング量が2〜15g/m2
    なるようにエッチングするアルカリエッチング処理
    (b)、(3) 酸性溶液中でデスマット処理するデスマッ
    ト処理(c)、(4) 硝酸濃度が0.2〜2重量%であ
    り、液温が20〜70℃の硝酸水溶液中で、交流にて、
    5〜40A/dm2の電流密度で、アノード時の電気量
    が30〜300C/dm2になるように電解粗面化処理
    を行なう電解粗面化処理(d)、(5) 水酸化ナトリウム
    濃度が15〜30重量%の水酸化ナトリウムを主体とす
    るアルカリ溶液を用い、エッチング量が0.1〜6g/
    2になるようにエッチングするアルカリエッチング処
    理(e)、(6) 酸性溶液中でデスマット処理するデスマ
    ット処理(f)、(7) 塩酸濃度が0.1〜2重量%であ
    り、液温が20〜70℃の塩酸水溶液中で、交流にて、
    5〜40A/dm2の電流密度で、アノード時の電気量
    が3〜75C/dm2になるように電解粗面化処理を行
    なう電解粗面化処理(g)、(8) 水酸化ナトリウム濃度
    が0.1〜10重量%の水酸化ナトリウムを主体とする
    アルカリ溶液を用い、エッチング量が0.01〜1g/
    2になるようにエッチングするアルカリエッチング処
    理(h)、および(9) 酸性溶液中でデスマット処理する
    デスマット処理(i)を順次施し、次いで、陽極酸化被
    膜量が1g/m2以上になるように、酸性電解液中で陽
    極酸化処理を施してなる平版印刷版用アルミニウム支持
    体であって、前記陽極酸化被膜におけるポア径分布は、
    ポア半径3〜7nmの範囲にピークを有し、半径10n
    m以上のポアの個数は、全ポアの個数の20%以下であ
    ることを特徴とする平版印刷版用アルミニウム支持体。
  2. 【請求項2】 前記陽極酸化被膜における単位面積あ
    たりの全ポアの個数は、200〜1500個/μm2
    ある請求項1に記載の平版印刷版用アルミニウム支持
    体。
  3. 【請求項3】 電解粗面化処理(g)におけるアノー
    ド時の電流密度が3〜24C/dm2である請求項1ま
    たは2に記載の平版印刷版用アルミニウム支持体。
  4. 【請求項4】 前記機械的粗面化処理(a)において
    は、珪素およびアルミナの少なくとも一方を60〜95
    重量%含有する研磨材を使用する請求項1〜3の何れか
    1項に記載の平版印刷版用アルミニウム支持体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れか1項に記載の平
    版印刷版用アルミニウム支持体の粗面化面に製版層を形
    成してなる平版印刷原版。
  6. 【請求項6】 アルミニウム板の少なくとも一方の面
    に、(1) 平均粒径が1〜60μmであり、珪素またはア
    ルミナを含有する研磨材を用いて、毛径0.05〜0.
    8mmのローラ状ブラシにより、機械的に粗面化する機
    械的粗面化処理(a)、(2) 水酸化ナトリウム濃度が1
    5〜30重量%の水酸化ナトリウムを主体とするアルカ
    リ溶液をスプレーし、エッチング量が2〜15g/m2
    になるようにエッチングするアルカリエッチング処理
    (b)、(3) 酸性溶液中でデスマット処理するデスマッ
    ト処理(c)、(4) 硝酸濃度が0.2〜2重量%であ
    り、液温が20〜70℃の硝酸水溶液中で、交流にて、
    5〜40A/dm2の電流密度で、アノード時の電流密
    度が30〜300C/dm2になるように電解粗面化処
    理を行なう電解粗面化処理(d)、(5) 水酸化ナトリウ
    ム濃度が15〜30重量%の水酸化ナトリウムを主体と
    するアルカリ溶液をスプレーし、エッチング量が0.1
    〜6g/m2になるようにエッチングするアルカリエッ
    チング処理(e)、(6) 酸性溶液中でデスマット処理す
    るデスマット処理(f)、(7) 塩酸濃度が0.1〜2重
    量%であり、液温が20〜70℃の塩酸水溶液中で、交
    流にて、5〜40A/dm2の電流密度で、アノード時
    の電流密度が3〜75C/dm2になるように電解粗面
    化処理を行なう電解粗面化処理(g)、(8) 水酸化ナト
    リウム濃度が0.1〜10重量%の水酸化ナトリウムを
    主体とするアルカリ溶液をスプレーし、エッチング量が
    0.01〜1g/m2になるようにエッチングするアル
    カリエッチング処理(h)、および(9) 酸性溶液中でデ
    スマット処理するデスマット処理(i)を順次施し、次
    いで、陽極酸化被膜量が1g/m2以上であり、前記陽
    極酸化被膜におけるポア径分布がポア半径3〜7nmの
    範囲にピークを有し、半径10nm以上のポアの個数が
    全ポアの個数の20%以下になるように、酸性電解液中
    で陽極酸化処理を施すことを特徴とする平版印刷版用ア
    ルミニウム支持体の製造方法。
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