[go: up one dir, main page]

JP2003183320A - 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法および装置 - Google Patents

塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法および装置

Info

Publication number
JP2003183320A
JP2003183320A JP2001385066A JP2001385066A JP2003183320A JP 2003183320 A JP2003183320 A JP 2003183320A JP 2001385066 A JP2001385066 A JP 2001385066A JP 2001385066 A JP2001385066 A JP 2001385066A JP 2003183320 A JP2003183320 A JP 2003183320A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
vinyl chloride
chloride resin
reaction
chlorine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001385066A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Uejima
健二 上島
Takashi Wachi
俊 和地
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2001385066A priority Critical patent/JP2003183320A/ja
Publication of JP2003183320A publication Critical patent/JP2003183320A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Gas Separation By Absorption (AREA)
  • Drying Of Gases (AREA)
  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 気固接触場を反応場とする塩化ビニル系樹脂
の後塩素化反応において、反応生成物である塩化水素と
未反応の塩素からなる排出ガスから未反応の塩素のみ分
離して再利用する。 【解決手段】 塩化ビニル系樹脂と塩素とを気固接触反
応場で反応させ、反応ガスの一部又は全部を反応器の外
部に排出し、排出ガスと水とを接触させることにより、
排出ガス中の塩化水素ガスを水に吸収させて脱塩化水素
ガスを得た後に、該脱塩化水素ガスを反応器内に環流、
導入し、塩化ビニル系樹脂の塩素化反応に利用する塩素
化塩化ビニル系樹脂の製造方法およびその装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩素と塩化ビニル
系樹脂とを気固接触場において反応させた場合に発生す
る排出ガスから、含有される塩化水素ガスを除去し、未
反応の塩素ガスを再利用することにより、塩素ガスを無
駄なく反応に利用しながら、洗浄、乾燥、廃液処理等の
後処理が簡便な塩素化塩化ビニル系樹脂を製造する技術
に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂を後塩素化して得られ
る塩素化塩化ビニル系樹脂は、優れた耐熱性、難燃性、
機械強度、電気特性を有しており、様々な産業で利用さ
れている。例えば、通常の塩化ビニル系樹脂のガラス転
移温度は80℃程度であるが、塩素化塩化ビニル系樹脂
のガラス転移温度は、塩素含有量の増加と共に上昇し、
120〜130℃に達する。また、ビカット軟化温度も
同様に120℃程度の高い値を示す。この様な高い耐熱
性を有することから、塩素化塩化ビニル系樹脂は、耐熱
パイプ、耐熱継ぎ手、耐熱バルブ、耐熱シートなどに利
用されている。
【0003】塩素化塩化ビニル系樹脂の工業的な生産方
法は、塩化ビニル系単量体を重合して塩化ビニル系樹脂
を得る工程と、塩化ビニル系樹脂を後塩素化する工程の
2つの工程からなる。
【0004】従来の技術では、後段の後塩素化工程で
は、主に水懸濁塩素化法が用いられてきた。水懸濁塩素
化法は、固形分濃度が数%〜数十%である塩化ビニル系
樹脂の水懸濁液を反応器内に充填し、水懸濁液を攪拌し
ながら塩素を供給して反応を行う方法である。更に、こ
れだけでは塩素化反応が全く進行しないか、極めて遅い
ので、水懸濁液に反応促進のための光、熱、触媒などが
加えられる。水懸濁塩素化法には、粒子の攪拌や混合が
容易であること、水に溶解した低濃度の塩素を使用する
ため反応制御が容易であること、塩化ビニル系樹脂が水
により可塑化されて塩素が樹脂内部まで浸透しやすいこ
と等の様々な利点がある。この為、これまでに実用化さ
れている塩素化塩化ビニル系樹脂の製造設備の多くは水
懸濁塩素化法が採用されてきた。
【0005】ところが、水懸濁塩素化法は本質的に解決
不可能な問題点を有している。塩化ビニル系樹脂と塩素
から塩素化塩化ビニル系樹脂が生成する反応では、式
(1)に示すように塩化水素が発生する。したがって、
反応中および反応終了後の塩素化塩化ビニル系樹脂は高
濃度の塩酸溶液に懸濁した状態になる。
【0006】 (CH2−CHCl)n+mCl2→(CH2−CHCl)n-m (CHCl−CHCl )m+mHCl ・・・(1) 塩素化塩化ビニル系樹脂の最終的な出荷形態は粉体状態
である必要があるし、不純物となる塩化水素を除去する
必要があるので、塩素化反応後の塩素化塩化ビニル系樹
脂の水懸濁液は脱水・水洗・乾燥される必要がある。こ
の為、水懸濁塩素化法のプロセスは後処理工程に大きな
設備費が必要である上に、乾燥、水洗に伴うランニング
コストが増大する。しかも、水と塩化水素は共沸状態に
なるので、最終的には完全に乾燥状態にするまで、塩化
水素を製品から除去することは出来ない。
【0007】また、水懸濁塩素化法では、反応終了時に
は反応溶液が10重量%程度の高濃度の塩酸溶液にな
る。この為、水懸濁塩素化法では、反応器にはチタン系
やチタンパラジウム系の高価な耐食性金属材料を利用す
るか、グラスライニング、フッ素ライニング等の表面処
理を施した装置を利用する必要がある。更に、高濃度の
塩酸である反応溶液は前述の後処理工程に持ち込まれる
為、後処理工程にも高価な耐食材料を使用する必要があ
る。
【0008】この様に、水懸濁塩素化法の反応器は、そ
れ自体は比較的単純であり、制御が容易な装置である
が、後処理工程まで含めたプロセス全体を考慮すると、
設備コスト及びランニングコストに大きな負荷が掛かる
と言う欠点を有する装置であった。
【0009】一方、この様な水懸濁塩素化法の欠点を補
う為に、塩化ビニル系樹脂の粉体粒子と塩素との気固接
触場を反応場とする気固接触塩素化法による塩素化塩化
ビニル系樹脂の合成方法も提案されている。例えば、特
開昭59−24705は、塩素中に少量の酸素を混入し
た塩素ガスと塩化ビニル系樹脂を気固接触場で反応させ
る事により、光の不在下で塩化ビニル系樹脂の塩素化を
進行させる方法である。また、特公昭60−2322
は、高圧低温下で塩化ビニル系樹脂に塩素を含浸させた
後に、加熱する事により、塩化ビニル系樹脂内において
熱ラジカルを発生させ、気固接触場での反応で塩素化塩
化ビニル系樹脂を得る方法である。更に、光をラジカル
発生源として用いる方法においても、塩素化塩化ビニル
系樹脂の品質を改善するための方法は提案されている。
特公昭54−39878や特公昭52−15638で
は、流動層型反応器内の粉体層中に光源を挿入し、粉体
層を塩素ガスで流動化させることにより、塩化ビニル系
樹脂と塩素とを気固接触場において反応させる方法が記
載されている。
【0010】気固接触塩素化法では、発生した塩化水素
は気体として系内から排出されるので、反応終了後に残
存する塩化水素は、粉体粒子の隙間に存在するものと粉
体粒子表面に吸着している塩化水素のみである。この様
な残存塩化水素は、系内を真空脱気するか、空気や窒素
等のガスを流通して気流洗浄することにより、容易に除
去することができる。したがって、気固接触塩素化法の
後処理工程には、水洗・脱水・乾燥などの複雑な工程を
経由せず、不純物である残留塩化水素の含有量が低い製
品を得ることができる。
【0011】更に、気固接触塩素化法では、通常、反応
系内に水が存在しないか、若しくは微量の水分が粉体粒
子に吸着している状態で反応を実施する。この様な無水
若しくは微水の系では、金属材料に対する塩素および塩
化水素の腐食性は弱く、反応器にはニッケル系、ステン
レス系、鉄系の比較的安価な金属材料を使用することが
できる。更には、後処理工程に持ち込まれる粉体粒子に
は、微量の塩素と塩化水素が残留しているのみであるの
で、後処理工程にも安価な金属材料を利用することがで
きる。
【0012】以上の様に、塩化ビニル系樹脂の粉体層と
塩素を反応させる気固接触塩素化法は、設備コスト、廃
水処理、安全性の面から優れた特徴を有する。
【0013】しかしながら、気固接触反応法において
は、反応の進行に伴い、塩素が消費され、同モル数即ち
同体積の塩化水素が生成する為、反応ガス中の塩素が塩
化水素により希釈されてゆくと言う問題がある。目的と
する塩素含有量の塩素化塩化ビニル系樹脂目を得るため
に必要な塩素を全て反応器内に充填しておけば良いので
はあるが、例えば通常の塩素化塩化ビニル系樹脂製品で
ある塩素含有量68重量%の樹脂を得る為には、原料の
塩化ビニル系樹脂1トン当たり180m3の塩素ガスが
必要であり、巨大な反応器や高圧反応器を要し、現実的
ではない。実用的な方法としては、反応器にガスの出入
り口を設け、塩素ガスを流通させることにより、反応生
成物である塩化水素を反応器外部に搬出する塩素流通法
がある。特公昭54−39878や特公昭52−156
38は、塩素流通法を利用している。
【0014】塩素流通法では、反応生成物である塩化水
素と未反応塩素が混合した状態で、排出ガスとして反応
器外に搬出されてしまうため、未反応の塩素ガスが無駄
に廃棄されてしまう。特開昭57−98507では、未
反応の塩素を含む排出ガスを他のプロセスで利用するか
循環利用することが記載されているが、具体的手法につ
いては一切記述がない。特公昭52−15638では、
反応器を複数段設け、塩化水素と未反応塩素の混合ガス
である排出ガスを別の反応器内で反応させ、未反応塩素
ガスを再利用する方法が記載されている。しかし、この
様な方法においても、塩素を完全に再利用することは困
難であるし、排出ガスを導入する反応器内では塩素濃度
が低くなり、反応速度が低下する。液体塩素と窒素の混
合雰囲気において塩化ビニル系樹脂を塩素化する技術が
開示されている特表昭57−501184では、塩素、
塩化水素、窒素の混合ガスである排出ガスから低温コン
デンサーを用いて塩素を凝縮分離した後、塩化水素と窒
素を分離し、窒素と液体塩素を反応に再利用する技術が
実施例として記載されている。しかし、この技術は、気
固接触場で反応を行う本発明とは技術思想が異なる上
に、塩素の凝縮温度(−34.1℃)以下に低下させる
為の冷凍機が必須である為に設備コストが高く、窒素と
塩化水素を分離する技術については全く記載されていな
い。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、後処
理の簡便性と設備コスト性に優れた気固接触反応法にお
いて、未反応の塩素ガスを循環利用し、塩素の利用率を
向上させる方法および装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は、塩化ビニル
系樹脂と塩素を気固接触場で反応させる方法において、
工業的に実用可能な未反応塩素ガスと塩化水素ガスの分
離法を研究した。その結果、未反応塩素ガスと塩化水素
ガスの混合ガスである排出ガスを水と接触させることに
より、排出ガスから塩化水素のみを除去し、得られた未
反応塩素ガスを再度、塩素化反応に循環利用できること
を見い出し、本発明を完成した。
【0017】即ち、本発明は、(1)塩化ビニル系樹脂
を後塩素化反応させて塩素化塩化ビニル系樹脂を製造す
る方法において、塩化ビニル系樹脂と塩素とを気固接触
反応場で反応させ、反応ガスの一部又は全部を反応器の
外部に排出し、排出ガスと水とを接触させることによ
り、排出ガス中の塩化水素ガスを水に吸収させて脱塩化
水素ガスを得た後に、脱塩化水素ガスを反応器内に環
流、導入し、塩化ビニル系樹脂の塩素化反応に利用する
ことを特徴とする塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
(請求項1)、(2)脱塩化水素ガスと接触させる水
が、循環水及び/又は貯水である請求項1に記載の塩素
化塩化ビニル系樹脂の製造方法(請求項2)、(3)脱
塩化水素ガスと接触させる水が、零℃を越え、40℃以
下の範囲の温度の水である請求項1及び2に記載の塩素
化塩化ビニル系樹脂の製造方法(請求項3)、(4)脱
塩化水素ガスを脱水した後に、再び反応器に導入し、塩
化ビニル系樹脂の塩素化反応に利用する請求項1、2お
よび3に記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法(請
求項4)、(5)脱塩化水素ガスを5℃以下、零下10
1℃以上の範囲の温度に冷却した後に、脱水ガスとして
再び反応器に導入し、塩化ビニル系樹脂の塩素化反応に
利用する請求項4に記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製
造方法(請求項5)、(6)脱塩化水素ガスを零下13
℃以下、零下101℃以上の範囲の温度に冷却した後
に、脱水ガスとして再び反応器に導入し、塩化ビニル系
樹脂の塩素化反応に利用する請求項4に記載の塩素化塩
化ビニル系樹脂の製造方法(請求項6)、(7)脱塩化
水素ガスを零下36℃以下、零下101℃以上の範囲の
温度に冷却して液化し、液化した塩素を再び気化させた
後に、脱水ガスとして再び反応器に導入し、塩化ビニル
系樹脂の塩素化反応に利用する請求項4に記載の塩素化
塩化ビニル系樹脂の製造方法(請求項7)、(8)脱塩
化水素ガスを硫酸、塩化カルシウム、ゼオライト、モレ
キュラーシーブス、五酸化二燐から選択される少なくと
も1種と接触させた後に、脱水ガスとして再び反応器に
導入し、塩化ビニル系樹脂の塩素化反応に利用する請求
項4に記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法(請求
項8)、(9)脱塩化水素ガスを5℃以下に冷却し、冷
却と同時に又は冷却後に硫酸、塩化カルシウム、ゼオラ
イト、モレキュラーシーブス、五酸化二燐から選択され
る少なくとも1種と接触させた後に、脱水ガスとして再
び反応器に導入し、塩化ビニル系樹脂の塩素化反応に利
用する請求項4に記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造
方法(請求項9)、(10)脱水ガスの含水量が50重
量ppm以下である請求項7〜9に記載の塩素化塩化ビ
ニル系樹脂の製造方法(10)、(11)水に吸収され
た塩化水素と等量のモル数の塩素を、脱塩化水素ガス又
は脱水ガスと共に反応器内に供給する請求項1〜10に
記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法(請求項1
1)、(12)反応器、脱塩化水素器、脱水器から成る
装置を密閉型装置とし、密閉型装置内部の圧力を一定に
保つ為に必要な塩素を、密閉型装置内部に供給する請求
項1〜11に記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
(請求項12)、(13)塩素化反応の反応促進の為に
光を使用する、請求項1〜12に記載の塩素化塩化ビニ
ル系樹脂の製造方法(請求項13)、(14)反応促進
の為の光の光源が、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水
銀灯、メタルハライドランプから選択される少なくとも
一種である請求項13に記載の塩素化塩化ビニル系樹脂
の製造方法(請求項14)、(15)塩化ビニル系樹脂
粉体と塩素ガスを気固接触反応場で反応させる反応器、
該反応器から反応ガスを排出する排出ガス管、該排出管
に接続された脱塩化水素器、および該脱塩化水素器から
の塩素ガスを含む脱塩化水素ガスを反応器に環流するた
めの導入ガス管を備えてなる塩化ビニル系樹脂を後塩素
化反応させて塩素化塩化ビニル系樹脂を製造する装置
(請求項15)、(16)脱塩化水素器が反応ガスと水
を接触させ、反応ガス中の塩化水素ガスを水に吸収させ
る装置である請求項15記載の装置(請求項16)、
(17)脱塩化水素ガスと接触させる水が、零℃を越
え、40℃以下の範囲の温度の水である請求項15及び
16に記載の装置(請求項17)、(18)脱塩化水素
ガスを脱水した後に、反応器に導入する請求項15、1
6および17に記載の装置(請求項18)、(19)脱
塩化水素ガスを5℃以下、零下101℃以上の範囲の温
度に冷却した後に、脱水ガスとして再び反応器に導入
し、塩化ビニル系樹脂の塩素化反応に利用する請求項1
8に記載の装置(請求項19)、(20)脱塩化水素ガ
スを零下13℃以下、零下101℃以上の範囲の温度に
冷却した後に、脱水ガスとして再び反応器に導入し、塩
化ビニル系樹脂の塩素化反応に利用する請求項18に記
載の装置(請求項20)、(21)脱塩化水素ガスを零
下36℃以下、零下101℃以上の範囲の温度に冷却し
て液化し、液化した塩素を再び気化させた後に、脱水ガ
スとして再び反応器に導入し、塩化ビニル系樹脂の塩素
化反応に利用する請求項18に記載の装置(請求項2
1)、(22)脱塩化水素ガスを硫酸、塩化カルシウ
ム、ゼオライト、モレキュラーシーブス、五酸化二燐か
ら選択される少なくとも1種と接触させた後に、脱水ガ
スとして再び反応器に導入し、塩化ビニル系樹脂の塩素
化反応に利用する請求項18に記載の装置(請求項2
2)、(23)脱塩化水素ガスを5℃以下に冷却し、冷
却と同時に又は冷却後に硫酸、塩化カルシウム、ゼオラ
イト、モレキュラーシーブス、五酸化二燐から選択され
る少なくとも1種と接触させた後に、脱水ガスとして再
び反応器に導入し、塩化ビニル系樹脂の塩素化反応に利
用する請求項18に記載の装置(請求項23)、(2
4)脱水ガスの含水量が50重量ppm以下である請求
項21〜23に記載の装置(請求項24)、(25)水
に吸収された塩化水素と等量のモル数の塩素を、脱塩化
水素ガス又は脱水ガスと共に反応器内に供給する請求項
15〜24に記載の装置(請求項25)、(26)反応
器、塩化水素吸収器、脱水器から成る装置を密閉型装置
とし、密閉型装置内部の圧力を一定に保つ為に必要な塩
素を、密閉型装置内部に供給する請求項15〜24に記
載の装置(請求項26)、(27)塩素化反応の反応促
進の為に光を使用する、請求項15〜26に記載の装置
(請求項27)、および(28)反応促進の為の光の光
源が、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタル
ハライドランプから選択される少なくとも一種である請
求項27に記載の装置(請求項28)、に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明で用いる塩化ビニル系樹脂
は、塩化ビニル系樹脂が樹脂の内部まで均一に塩素化さ
せ反応効率を高める観点などから、粉体状であることが
好ましい。本発明で言う粉体とは、前述の様に気相中に
おいて単独に移動可能な粒子の集合体であり、各粒子の
粒径の目安としては、およそ10μm以上2000μm
以下(平均粒径が50〜500μm)の範囲にある。本
発明では、気相中において単独で移動可能な粒子の一つ
一つを粉体粒子、粉体粒子の集合体を粉体層と呼び区別
する。
【0019】粉体粒子の粒径分布は、粉体の流動性を高
める観点、および反応を均一に進行させると言う観点か
ら、均一であることが好ましいことから本発明における
塩化ビニル系樹脂の粉体層は、50μm以上、500μ
m以下の粒子径が主体となる粉体粒子(平均粒径が10
0〜300μm)の集合体であることが好ましい。個々
の粉体粒子は、塩化ビニル系樹脂の連続相からなってい
ても良いし、より小さな一次粒子の集合体であっても良
い。
【0020】塩化ビニル系樹脂の製造方法は、懸濁重合
法、塊状重合法、気相重合法、乳化重合法等の様々な方
法があるが、本発明で用いる塩化ビニル系樹脂はいずれ
の方法で得られたものでも使用できる。また、塩化ビニ
ルと反応可能な、例えば酢酸ビニル等の不飽和炭化水素
化合物との共重合体を用いても良い。重合反応後に得ら
れた塩化ビニル系樹脂が水懸濁液で有れば、乾燥して粉
体とする。塊状であれば粉砕等の操作が必要である。し
かし、塊状重合で得られる塩化ビニル系樹脂は、粉砕工
程に困難がある。気相重合による塩化ビニル系樹脂は通
常、入手が難しい。また、乳化重合法で得られる塩化ビ
ニル系樹脂は乳化剤が多量に混入している。これらのこ
とから、本発明に用いられる塩化ビニル系樹脂として
は、懸濁重合法で得られるものが好ましい。
【0021】本発明では、塩化ビニル系樹脂が流動可能
な粉体層であれば、水分が含まれていても使用できる
が、含水量が多すぎると、反応により発生する塩化水素
が樹脂中から除去し難くなる。したがって、粉体層中の
含水量が5重量%未満であることが好ましい。なお、静
電気による粉体粒子の凝集や容器への付着を防止するた
めに、塩化ビニル系樹脂の粉体に意図的に5重量%未満
の水分を含ませることは可能である。
【0022】懸濁重合法や乳化重合法により塩化ビニル
系樹脂を合成した場合には、塩化ビニル系樹脂の微粒子
が水に分散した状態であるので、乾燥するだけで粉体粒
子を得られる。しかし、この場合、粉体粒子表面にスキ
ン層と呼ばれる連続層が形成され、塩素ガスの内部への
浸透を阻害し、反応速度が遅くなったり、反応率が粉体
粒子の半径方向に不均一になる場合がある。したがっ
て、本発明で用いる塩化ビニル系樹脂の粉体粒子は、塩
素化反応前に予め粉砕し、スキン層を破壊して用いるこ
とも有効である。
【0023】本発明で用いる塩素は、一般に工業的に用
いられている塩素であれば、特に制限はない。但し、塩
素中に酸素が含まれると、得られる塩素化塩化ビニル系
樹脂の熱安定性や成型時、着色の原因になることから、
塩素中に含まれる酸素濃度は100重量ppm以下であ
ることが好ましく、20重量ppm以下であることが更
に好ましい。また、塩素中に水分が含まれると、反応に
より発生する塩化水素が樹脂中から除去し難くなった
り、装置の腐食を引き起こすことがあるので、塩素ガス
中の含水量は500重量ppm以下であることが好まし
く、50重量ppm以下で有ることが更に好ましい。ま
た、反応速度や反応温度を調節するために、塩素を窒素
やアルゴン等の不活性ガスで希釈しても良い。この場合
においても、希釈後のガス中の酸素濃度は100ppm
以下であることが好ましく、20ppm以下であること
が更に好ましい。また、希釈後のガス中の含水量は50
0重量ppm以下であることが好ましく、50重量pp
m以下で有ることが最も好ましい。
【0024】本発明で使用する装置の例を図1に示し、
それぞれ部分におけるガスの組成と定義を説明する。ボ
ンベや容器から新規に反応器に供給される塩素ガス(及
び不活性ガス)については、供給ガス(1)と呼ぶ。反
応器から排出された直後の未反応の塩素ガス、塩化水素
ガス、(及び不活性ガス)からなる混合ガスを、排出ガ
ス(2)と呼ぶ。排出ガスを水と接触させ、塩化水素を
除去した後の塩素ガス(及び不活性ガス)を、脱塩化水
素ガス(3)と呼び、更に脱塩化水素ガスに含まれる水
分を除去した後の塩素ガス(及び不活性ガス)を、脱水
ガス(4)と呼ぶ。反応器に再び導入する脱水ガス、若
しくは脱水ガスと供給ガスの混合ガスを、導入ガス
(5)と呼ぶ。
【0025】本発明における反応ガスの収支について説
明する。気固接触反応においては、式(1)に示すよう
に1分子の塩素ガスと塩化ビニル系樹脂が反応し、1分
子の塩化水素ガスが発生する。反応前のガス組成は塩素
ガス単独、若しくは塩素ガスと不活性ガスの混合ガスで
あり、反応後のガス組成は塩素ガスと塩化水素ガスの混
合ガス、若しくは塩素ガス、塩化水素ガス、不活性ガス
の混合ガスである。反応の前後では気相部の圧および体
積は変化しない為、反応器を密閉型にしてしまうと、反
応器を巨大にするか、高圧反応器を利用する必要があ
り、現実的ではない。反応器をガス流通式にして新しい
塩素ガス反応器内に供給し、同時に塩化水素を反応器外
に排出すれば、内圧を上げることなく、反応に必要な塩
素を連続的に供給することが可能であるが、未反応の塩
素も一緒に排出されてしまい、塩素の利用効率が低下し
てしまう。ガス流通量を極めて低量に設定すれば、塩素
の利用率を向上させることは可能であるが、反応器内部
の塩素濃度が低下して塩素化塩化ビニル系樹脂の生成速
度が遅くなる。また、反応器内部の塩素濃度が低下する
と、脱塩化水素反応等の副反応が進行する割合が増加す
るため、得られる塩素化塩化ビニル系樹脂の品質が低下
する。そこで、反応器から排出されるガスから塩化水素
のみを除去し、塩素濃度を高めたガスを再び反応に利用
すれば、反応速度と品質を保つために必要な塩素を供給
しながら、塩素の利用効率を高めることができる。
【0026】塩素と塩化水素の分離方法について説明す
る。本発明では、塩素と塩化水素の水への溶解度が大き
く異なる性質を利用して塩素と塩化水素とを分離する。
理化学事典(岩波書店)によれば、水100gに対する
溶解量は、塩素は0.641g(25℃)のみである
が、塩化水素は71.9g(20℃)にのぼる。塩素の
溶解度は、塩化水素が共存すると更に低下することも知
られている。したがって、反応器からの排出ガスを水と
接触させることにより、排出ガス中の塩化水素を水に溶
解させて除去することができる。この時、塩素や希釈用
の不活性ガスは水に殆ど溶解しないため、排出ガスから
塩化水素のみをほぼ完全に除去した脱塩化水素ガスを得
ることができる。
【0027】排出ガスと水を接触させる方法および装置
は、公知の技術を使用することができ、特に制限はな
い。一般的な装置としては、スクラバーや気泡塔を使用
すると良い。スクラバーを使用する場合には、複数の水
滴を降らせた空間中に排出ガスを通過させても良いし、
スクラバー内に設置した充填物に水を注ぎながら充填物
の空間に排出ガスを通過させると接触効率を高めること
ができて良い。脱塩化水素に使用する水は、塩化水素吸
収後は塩酸になるが、塩化水素濃度が飽和状態の塩酸に
なるまで水を使用することが出来る。したがって、スク
ラバーを使用する場合には、スクラバー底部から回収さ
れた塩酸を上部汲み上げ再度、脱塩化水素の為に循環水
として使用することが好ましいが、水を循環することは
必須ではなく、一度だけ接触させて使用してもかまわな
い。気泡塔を使用する場合には塔内の貯水が飽和状態の
塩酸になるまで使用することができる。但し、塩酸を飽
和状態まで使用すると、塩化水素の吸収能力が低下する
恐れもあるので、塩酸濃度を35重量%以下にすること
が好ましく、20重量%以下にすることが更に好まし
い。水資源の節約と言う観点からは、脱塩化水素装置に
使用する水は、塩酸が望みの濃度に達するまで、循環再
利用することが好ましい。この様にして生成した塩酸中
には僅かな塩素が溶解しているが、空気や窒素でバブリ
ングする等の方法で塩素を除去することができ、塩酸と
して他のプロセスやその他工業用に使用することができ
る。
【0028】排出ガスと接触させる水の温度について説
明する。排出ガスと接触させる水の温度は、低温である
程、塩化水素の溶解度は高くなり、効率良く塩化水素を
吸収することができる。排出ガスと接触させる水の温度
が、40℃以下であると飽和塩酸の濃度を35重量%以
上(工業的に利用される濃塩酸濃度)にすることがで
き、好ましい。また、排出ガスと接触させる水の温度が
低いほど、脱塩化水素ガスに含有される水分が低下して
ガスの腐食性が低下するし、後段の脱水器への能力負荷
が減少する。例えば、5℃、15、℃、40℃の水の平
衡水蒸気圧は、それぞれ6.2mmHg 、12.8m
mHg 、55.3mmHgであり、含水量に換算する
と2068重量ppm、4270重量ppm 、184
67重量ppmとなる。ガスの腐食性の観点からは、排
出ガスと接触させる水の温度は、含水量が5000pp
m程度になる15℃以下であることがより好ましく、2
000ppm程度になる5℃以下であることが最も好ま
しい。
【0029】塩化水素が水に溶解する際には、水和熱が
発生する為、排出ガスと接触させる循環水や貯水を冷却
装置で除熱しながら、所定の温度に調整すると良い。
【0030】脱塩化水素ガス中の水の存在は、塩化ビニ
ル系樹脂の塩素化反応に対しては悪影響を及ぼさない
が、反応終了後の塩素化塩化ビニル系樹脂に吸着した塩
酸の除去を困難にする。また、水を含有する脱塩化水素
ガスを反応器に導入する場合には、反応器や配管に高価
な耐腐食材料を使用する必要がある。耐腐食材料として
は、チタン、チタン−パラジウム合金、ニッケル系合
金、グラスライニング、ゴムライニング、テフロン(登
録商標)ライニング、PVCライニング等の材料が上げ
られる。
【0031】後処理における塩化水素除去の容易化と装
置の腐食性に関する観点から、排出ガスと水を接触させ
て得た脱塩化水素ガスは、脱水してから反応器に導入す
ることが好ましい。具体的には、脱水ガス中の含水量を
500ppm以下にすると金属の腐食性を低下させるこ
とが出来る為に好ましく、50ppm以下にすると殆ど
の金属材料が長期に渡り腐食しない為、最も好ましい。
【0032】本発明で用いる脱水器は、従来工業的に用
いられる技術が使用でき、特に制限はない。工業的上、
一般的に、好ましい脱水方法として、冷却脱水法と脱水
剤を用いる方法がある。冷却脱水法は、脱塩化水素塩素
ガスを冷却して水蒸気圧を低下させ、水を凝縮させる方
法である。反応器や配管に耐腐食材料を用いる場合に
は、塩素化塩化ビニル系樹脂の表面への水の結露を防止
できれば良いので、5℃以下に冷却することが好まし
い。冷却脱水法では、望む含水量から水蒸気圧を逆算す
れば、脱水に必要な冷却温度を決定することが出来る。
例えば、含水量を500ppmまで低下させようとすれ
ば、零下13℃以下に冷却する必要があるし、50pp
mまで低下させようとすれば、零下36℃以下に冷却す
る必要がある。但し、零下101℃未満まで冷却する
と、塩素が固化してしまう為、冷却温度は零下101℃
以上である必要がある。
【0033】脱水剤を用いる場合には、塩素と反応しな
い脱水剤を用いる必要がある。例としては、硫酸、塩化
カルシウム、ゼオライト、モレキュラーシーブス、五酸
化二燐が上げられる。これらの脱水剤の内、硫酸は液体
である為、大量の取り扱いが容易であり、工業的に用い
る場合に好ましい。濃硫酸は強力な脱水剤であり、塩素
ガスの含水量を50ppm以下にすることができるが、
脱水が進むにつれて硫酸が水で希釈されて行き、脱水能
力が低下する。90重量%以上の濃度の硫酸と平衡状態
にある塩素の含水量は50重量ppm以下であるので、
脱水ガスは最終的に90重量%以上の濃度の硫酸と接触
させることが好ましい。
【0034】本発明における、より効果的な脱水方法
は、冷却脱水法と脱水剤法を併用する方法である。冷却
脱水法のみで、十分な脱水をするためには上述のように
極低温まで塩素を冷却する必要があり、設備費が増大す
る。したがって、冷却脱水法で脱塩化水素ガスから一部
の水を除去し、脱水剤で再度脱水することもできる。こ
の場合、冷却装置の能力を低く抑える観点から、冷却脱
水法での冷却温度を例えば、5℃以下に設定すると良
い。
【0035】本発明における反応器への塩素ガスの供給
方法について説明する。本発明においては、反応器内に
供給する塩素の状態は、気体でも液体でも良いし、上述
の様に不活性ガスで希釈した状態でも良い。但し、液体
塩素が直接塩化ビニル系樹脂に接触すると、塩化ビニル
系樹脂の表面構造及び内部構造が変化してしまう為、液
体塩素が反応器内で気化するより以前に塩化ビニル系樹
脂と接触しない工夫をする必要がある。例えば、工業的
に市販されている高圧ボンベに封入した液体塩素を使用
する場合には、液体塩素ボンベから取り出した液体塩素
を別の容器中で気化させた後に反応器に供給すれば良
い。液体塩素を反応器内に供給する場合には、液体塩素
ボンベから取り出した液体塩素を、反応器内で気化させ
れば良い。反応器内で塩素を気化させる方法は、気化熱
が反応熱を奪い反応器内の温度上昇を緩和する効果が有
り好ましい。
【0036】供給ガスの供給位置は、反応器、脱塩化水
素器、脱水器からなる装置全体の何れの場所でも良い。
脱塩化水素器や脱水器の負荷を低減すると言う観点か
ら、特に理由がなければ、脱水器の出口以降の位置から
脱水ガスと混合して反応器内に導入ガスとして導入して
も良いし、好ましくは、脱水ガスとは別に供給ガスを直
接反応器に供給するのがよい。
【0037】本発明では、未反応の塩素ガスが循環再利
用される為、反応器、脱塩化水素器、脱水器からなる全
装置を密閉系にすることが出来る。反応前には、全装置
の系内に塩素ガス(及び、不活性ガス)置換するまで塩
素ガスを供給し、反応開始後は、反応に利用された塩素
と等モル量の塩素を供給ガスとして供給すれば、塩素濃
度が一定の条件で反応を継続することが出来る。全装置
が密閉系の場合には、脱塩化水素器において塩化水素が
水に吸収されると内圧が低下する為、密閉系の全装置の
内圧を測定し、内圧が一定値になる様に塩素ガスを含む
供給ガスを供給すれば良い。
【0038】本発明で用いる塩素化反応の装置は塩素と
塩化ビニル系樹脂を気固接触場で反応させるものであれ
ば公知の方法、装置が使用しうる。塩化ビニル系樹脂が
樹脂の内部まで均一に塩素化させると言う観点、および
反応効率を高める観点からは、粉体状の塩化ビニル系樹
脂を流動化させながら塩素ガスと接触させる方法を用い
ることが好ましい。塩素化反応を推進するためには、塩
素ラジカルを発生させる必要がある。塩素ラジカルを発
生させる方法としては、触媒によりラジカルを発生させ
る方法、100℃以上の熱の作用により塩素ラジカルを
発生させる方法、光のエネルギーによりラジカル発生さ
せる方法、およびこれらの方法を併用する方法があげら
れる。反応制御の簡便さ、樹脂を熱劣化から保護すると
いう観点から、光ラジカル発生を利用することが好まし
い。
【0039】本発明で用いる粉体層の流動方法について
説明する。本発明で言う流動状態とは、粉体粒子が連続
的、又は断続的に、且つ継続的に運動若しくは移動して
いる状態の全てを指している。したがって、粉体層中に
気体を流通して粒子を運動させる流動層を用いての流動
状態のみに限定されるものではない。本発明での流動化
方法は、従来用いられる粉体の反応器にある方法を使用
しても良いし、混合装置、攪拌装置、燃焼装置、乾燥装
置、粉砕装置、造粒装置等に利用される方法を応用して
も良い。具体的には、水平円筒型、V型、二重円錐型、
揺動回転型の様な容器回転型装置や、単軸リボン型、複
軸パドル型、回転鋤形、二軸遊星攪拌型、円錐スクリュ
ー型等の様な機械攪拌型の装置を使用すると良い。これ
らの装置の具体的な形状については、化学工学便覧(化
学工学会編、改訂六版、876頁)に記載されている。
【0040】本発明で用いる光源の種類について説明す
る。本発明での光の役割は、塩素を励起して塩素ラジカ
ルを発生させ、塩化ビニル系樹脂への塩素付加反応を促
進させることにある。塩素は、可視域から紫外線までの
幅広い波長にエネルギー吸収帯域を有するので、本発明
では太陽光、人工光の様々な光源を使用することができ
る。塩素は波長が320〜360nmの紫外線に対して
最も強い吸収帯を有するので、この波長範囲を多く含む
光源を用いることが好ましい。具体的には、低圧水銀
灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ
等の紫外線を多く放出する光源が上げられる。光源の保
護、冷却などの目的に応じて、光源を透明のカバーで覆
う事もできる。この場合、透明カバーの材質は、石英、
PYREX(登録商標)、硬質ガラス、軟質ガラス管等
を使用することが出来るが、塩素化反応に効果的な紫外
線領域の波長を有効に利用する為には、石英若しくはP
YREX(登録商標)を用いることが好ましく、石英を
用いることが最も好ましい
【0041】
【実施例】次に本発明の方法の実施例をあげて具体的に
説明する。但し、本実施例は本発明を限定するものでは
ない。
【0042】(実施例1)図2に実施例に使用した塩素
化反応装置を示す。
【0043】反応器(容量が1500mlのPYREX
(登録商標)製ナス型フラスコ)には、塩化ビニル系樹
脂Aの粉体を充填し、温浴に浸して回転させながら粉体
層の温度を調節する。粉体層の温度は、粉体層内に差し
込んだ熱電対で測定できる。ガス循環・排気切換バルブ
には三方コックを用い、反応装置系内を窒素や塩素でガ
ス置換する場合には排気側に、反応装置系内を密閉して
塩素を循環利用する場合には循環側に切り替えることが
できる。塩素を循環利用する場合には、塩素ボンベに取
り付けられた圧力調整機を通して塩素が供給され、反応
系内の圧力が一定に保たれる。また、塩素が反応装置系
外に排出される場合には、排出ガスは排ガス処理装置へ
と導入される。脱塩化水素器(容量が1000mlのP
YREX(登録商標)製容器)には、水が充填されてお
り、排出ガスは水中に吹き込まれて塩化水素が吸収され
る。脱塩化水素器の底部にはコックが付いており、任意
の時間に塩化水素を吸収した水をサンプリング吸収液の
一部を分取して得た塩酸の中和滴定値から塩化水素発生
量および塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有量を継続的
に算出しすることが出来る。脱水器(容量が500ml
のPYREX(登録商標)製容器)は、氷温槽で0〜5
℃程度に冷却されており、必要に応じ、硫酸やモレキュ
ラーシーブス等の脱水剤を充填する。反応装置系内のガ
スを循環する場合には、循環ポンプを用い、図2の矢印
の方向にガスを循環させながら流量調整バルブを開閉し
て所定流量のガスを循環させる。
【0044】後塩素化反応に利用する塩化ビニル系樹脂
は以下の方法で作製した。攪拌翼を装備したステンレス
製オ−トクレ−ブに、イオン交換水400部、平均分子
量200万のポリエチレンオキサイドを0.005重量
部、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.04重
量部、濃度70%のジ−2−エチルヘキシルパ−オキシ
ジカ−ボネ−トのイソパラフィン溶液0.05重量部を
仕込み、オ−トクレ−ブ内を真空脱気した後、塩化ビニ
ル系単量体100重量部を仕込んだ。その後、攪拌下で
懸濁重合を行い、重合度が約1000である塩化ビニル
系樹脂を得た。塩化ビニル系樹脂の懸濁液を脱水、乾燥
し、粉体状の塩化ビニル系樹脂を得た。これを塩化ビニ
ル系樹脂A(嵩比重:0.5g/cm3、平均粒子径:
220μ)とした。
【0045】図2に示した反応器に塩化ビニル系樹脂A
の粉体を187.73g=3molを充填した。ガス循
環・排気切換バルブを排気状態に設定し、反応器を60
℃の温浴に浸して回転させながら、反応容器の空間部分
に200ml/分の流量で窒素ガスを60分間流通し、
更に200ml/分の流量で塩素ガスを30分間流通し
た。
【0046】ガス循環・排気切換バルブを循環状態に設
定して反応装置内を密閉状態にし、反応装置内部の圧力
が0.02MPaに達するまで圧力調整弁を通して塩素
を充填した。圧力調整弁は、反応装置内の圧力が0.0
2MPa以下に低下すると塩素ボンベから塩素を供給す
る様に設定された。その後、循環ポンプを作動させ、反
応器に導入されるガス量が600ml/分になるように
流量調節バルブを調節した。10分間程度ガスの循環状
態を継続した後、粉体層上面から35cm離した位置に
設置した400Wの高圧水銀灯を用いて、粉体層表面に
紫外線を照射した。水銀灯を点灯させると反応が開始
し、塩化水素と塩素の混合ガスが発生する。脱塩化水素
器から排出されたガスは脱水器に導入された。脱水器は
氷温浴で0℃に冷却されているのみで、内部には脱水剤
を充填しなかった。
【0047】粉体層中に熱電対を挿入し、粉体層の温度
を測定したところ、水銀灯の点灯後から反応が開始して
反応熱が発生するので、10分後には粉体層の温度が約
80℃に達した。反応時間が130分経過した時点で水
銀灯を消灯し、反応を終了させた。
【0048】反応終了後は、反応容器の温度を60℃に
保ちながら、反応容器内に600ml/分の流量で窒素
ガスを流通して残留する塩素および塩化水素を洗浄除去
した。窒素置換を100分間継続したものをサンプル1
とした。
【0049】反応に使用された塩素量およびサンプル1
の塩素含有量は、脱塩化水素器内に吸収された塩化水素
を中和滴定して算出された。即ち、式(1)より、塩化
ビニル系樹脂の塩素化反応においては塩素が1molが
消費されると、塩化水素が1mol生成するので、発生
した塩化水素量が分かれば、塩素化された塩化ビニル系
樹脂の量が計算できる。また、原料の塩化ビニル系樹脂
の塩素含有量を56.8重量%とし、発生した塩化水素
と同量のモル数の塩素と塩化ビニル系樹脂中の水素とが
置換したものと仮定して塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素
含有量を算出できる。その結果、反応に使用された塩素
量は、1.51molであり、塩素含有量は、66.2
重量%と計算された。また、反応前後の塩素ボンベの重
量変化から供給した塩素の総量を計算すると、1.62
molであった。従って、実施例1での塩素の利用率
(反応開始後)は、93.2%であることが判明した。
反応以外に消費された塩素は、脱塩化水素器中の水に溶
解した塩素および反応容器からの漏洩した塩素と推定さ
れる。
【0050】(実施例2)図2に示す反応装置を用い、
実施例1で用いたものと同じ塩化ビニル系樹脂Aの塩素
化反応を実施した。反応器に塩化ビニル系樹脂Aの粉体
を375g=6molを充填した。ガス循環・排気切換
バルブを排気状態に設定し、反応容器を60℃の温浴に
浸して回転させながら、反応容器の空間部分に200m
l/分の流量で窒素ガスを60分間流通し、更に塩素ガ
スを600ml/分の流量で10分間、200ml/分
の流量で20分間流通した。
【0051】ガス循環・排気切換バルブを循環状態に設
定して反応装置内を密閉状態にし、反応装置内部の圧力
が0.02MPaに達するまで圧力調整弁を通して塩素
を充填した。圧力調整弁は、反応装置内の圧力が0.0
2MPa以下に低下すると塩素ボンベから塩素を供給す
る様に設定された。その後、循環ポンプを作動させ、反
応器に導入されるガス量が1000ml/分になるよう
に流量調節バルブを調節した。10分間程度ガスの循環
状態を継続した後、粉体層上面から35cm離した位置
に設置した400Wの高圧水銀灯を用いて、粉体層表面
に紫外線を照射した。水銀灯を点灯させると反応が開始
し、塩化水素と塩素の混合ガスが発生する。脱塩化水素
器から排出されたガスは脱水器に導入された。脱水器は
氷温浴で0℃に冷却されており、底部にはモレキュラー
シーブスが充填されている。
【0052】粉体層中に熱電対を挿入し、粉体層の温度
を測定したところ、水銀灯の点灯後から反応が開始して
反応熱が発生するので、10分後には粉体層の温度が約
80℃に達した。反応時間が200分経過した時点で水
銀灯を消灯し、反応を終了させた。
【0053】反応終了後は、反応容器の温度を60℃に
保ちながら、反応容器内に600ml/分の流量で窒素
ガスを流通して残留する塩素および塩化水素を洗浄除去
した。窒素置換を100分間継続したものをサンプル2
とした。
【0054】反応に利用された塩素量とサンプル2の塩
素含有量を実施例1と同様の方法で算出した。その結
果、反応に利用された塩素は2.86molであり、サ
ンプル2の塩素含有量は、66.4重量%と計算され
た。また、反応前後の塩素ボンベの重量変化から供給し
た塩素の総量を計算すると、3.07molであった。
従って、実施例2での塩素の利用率は、93.2%であ
ることが判明した。
【0055】(実施例3)図2に示す反応装置を用い、
実施例1で用いたものと同じ塩化ビニル系樹脂Aの塩素
化反応を実施した。反応器に塩化ビニル系樹脂Aの粉体
を187.47g=3molを充填した。ガス循環・排
気切換バルブを排気状態に設定し、反応容器を70℃の
温浴に浸して回転させながら、反応容器の空間部分に2
00ml/分の流量で窒素ガスを60分間流通し、更に
塩素ガスを600ml/分の流量で10分間、200m
l/分の流量で20分間流通した。
【0056】ガス循環・排気切換バルブを循環状態に設
定して反応装置内を密閉状態にし、反応装置内部の圧力
が0.02MPaに達するまで圧力調整弁を通して塩素
を充填した。圧力調整弁は、反応装置内の圧力が0.0
2MPa以下に低下すると塩素ボンベから塩素を供給す
る様に設定された。その後、循環ポンプを作動させ、反
応器に導入されるガス量が600ml/分になるように
流量調節バルブを調節した。10分間程度ガスの循環状
態を継続した後、粉体層上面から35cm離した位置に
設置した400Wの高圧水銀灯を用いて、粉体層表面に
紫外線を照射した。水銀灯を点灯させると反応が開始
し、塩化水素と塩素の混合ガスが発生する。脱塩化水素
器から排出されたガスは脱水器に導入された。脱水器は
氷温浴で0℃に冷却されており、脱水剤として98%の
濃硫酸が充填されている。
【0057】粉体層中に熱電対を挿入し、粉体層の温度
を測定したところ、水銀灯の点灯後から反応が開始して
反応熱が発生するので、10分後には粉体層の温度が約
90℃に達した。反応時間が110分経過した時点で水
銀灯を消灯し、反応を終了させた。
【0058】反応終了後は、反応容器の温度を60℃に
保ちながら、反応容器内に600ml/分の流量で窒素
ガスを流通して残留する塩素および塩化水素を洗浄除去
した。窒素置換を100分間継続したものをサンプル3
とした。
【0059】反応に利用された塩素量とサンプル3の塩
素含有量を実施例1と同様の方法で算出した。その結
果、反応に利用された塩素は1.45molであり、サ
ンプル3の塩素含有量は、65.9重量%と計算され
た。また、反応前後の塩素ボンベの重量変化から供給し
た塩素の総量を計算すると、1.53molであった。
従って、実施例3での塩素の利用率は、94.8%であ
ることが判明した。
【0060】(比較例1)図2に示す反応装置を用い、
実施例1で用いたものと同じ塩化ビニル系樹脂Aの塩素
化反応を実施した。反応器に塩化ビニル系樹脂Aの粉体
を187.73g=3molを充填した。ガス循環・排
気切換バルブを排気状態に設定し、反応容器を60℃の
温浴に浸して回転させながら、反応容器の空間部分に2
00ml/分の流量で窒素ガスを60分間流通し、更に
塩素ガスを200ml/分の流量で30分間流通した。
【0061】ガス量が600ml/分になるように流量
調節バルブを調節した後、粉体層上面から35cm離し
た位置に設置した400Wの高圧水銀灯を用いて、粉体
層表面に紫外線を照射した。水銀灯を点灯させると反応
が開始し、ガス排出口から排出された塩素と塩化水素の
混合ガスが脱塩化水素器に導入される。脱塩化水素器か
ら排出されたガスを脱水器を通過し、排ガス処理設備に
排出した。
【0062】粉体層中に熱電対を挿入し、粉体層の温度
を測定したところ、水銀灯の点灯後から反応が開始して
反応熱が発生するので、10分後には粉体層の温度が約
80℃に達した。反応時間が150分経過した時点で水
銀灯を消灯し、反応を終了させた。
【0063】反応終了後は、反応容器の温度を60℃に
保ちながら、反応容器内に600ml/分の流量で窒素
ガスを流通して残留する塩素および塩化水素を洗浄除去
した。窒素置換を100分間継続したものを比較サンプ
ル1とした。
【0064】反応に利用された塩素量と比較サンプル1
の塩素含有量を実施例1と同様の方法で算出した。その
結果、反応に利用された塩素は1.61molであり、
比較サンプル1の塩素含有量は、66.7重量%と計算
された。また、反応前後の塩素ボンベの重量変化から供
給した塩素の総量を計算すると、4.02molであっ
た。従って、比較例1での塩素の利用率は、40.0%
であることが判明した。
【0065】(比較例2)図2に示す反応装置を用い、
実施例1で用いたものと同じ塩化ビニル系樹脂Aの塩素
化反応を実施した。反応器に塩化ビニル系樹脂Aの粉体
を375.27g=6molを充填した。ガス循環・排
気切換バルブを排気状態に設定し、反応容器を60℃の
温浴に浸して回転させながら、反応容器の空間部分に2
00ml/分の流量で窒素ガスを30分間流通し、更に
塩素ガスを200ml/分の流量で30分間流通した。
更に、ガス量が1000ml/分になるように流量調節
バルブを調節した後、粉体層上面から35cm離した位
置に設置した400Wの高圧水銀灯を用いて、粉体層表
面に紫外線を照射した。水銀灯を点灯させると反応が開
始し、ガス排出口から排出された塩素と塩化水素の混合
ガスが脱塩化水素器に導入される。脱塩化水素器から排
出されたガスを脱水器を通過し、排ガス処理設備に排出
した。
【0066】粉体層中に熱電対を挿入し、粉体層の温度
を測定したところ、水銀灯の点灯後から反応が開始して
反応熱が発生するので、10分後には粉体層の温度が約
80℃に達した。反応時間が180分経過した時点で水
銀灯を消灯し、反応を終了させた。
【0067】反応終了後は、反応容器の温度を60℃に
保ちながら、反応容器内に600ml/分の流量で窒素
ガスを流通して残留する塩素および塩化水素を洗浄除去
した。窒素置換を100分間継続したものを比較サンプ
ル2とした。
【0068】反応に利用された塩素量と比較サンプル1
の塩素含有量を実施例1と同様の方法で算出した。その
結果、反応に利用された塩素は2.72molであり、
比較サンプル2の塩素含有量は、65.4重量%と計算
された。また、反応前後の塩素ボンベの重量変化から供
給した塩素の総量を計算すると、9.71molであっ
た。従って、比較例2での塩素の利用率は、28.0%
であることが判明した。
【0069】表1に実施例1〜3およぼ比較例1〜2の
結果をまとめる。表1の結果より、本発明の方法を用い
て塩素を再利用した実施例1〜3は、塩素利用率が90
%以上であることがわかる。これに対して、塩素の再利
用を行わない比較例1〜2の塩素の利用率は30〜40
%程度の低い水準であることがわかる。
【0070】
【表1】
【0071】
【発明の効果】本発明により、塩化ビニル系樹脂を後塩
素化反応させて塩素化塩化ビニル系樹脂を製造する気固
接触反応法において、その後処理の簡便性と設備コスト
性を生かし、かつ未反応の塩素ガスを循環利用して、塩
素の利用率を向上させることにより、気固接触反応法を
工業的に有利に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】塩素を再利用する装置の模式図である。
【図2】脱塩化水素器に貯水を使用し、脱水器に氷温冷
却とモレキュラーシーブス若しくは濃硫酸を用いた装置
の図である。
【符号の説明】
1 供給ガス 2 排出ガス 3 脱塩化水素ガス 4 脱水ガス 5 導入ガス 6 塩素供給源 7 反応器 8 脱塩化水素器 9 脱水機 10 ガス循環ポンプ 11 反応器 12 PVC樹脂 13 温浴 14 光源 15 脱塩化水素器 16 水 17 脱水器 18 氷温浴 19 モレキュラーシーブス若しくは濃硫酸 20 ガス流量計 21 圧力調整機 22 塩素ボンベ 23 ガス循環・排気切換バルブ 24 循環流量調節バルブ 25 流量調節バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 19/12 B01J 19/12 C C08F 14/06 C08F 14/06 Fターム(参考) 4D020 AA10 BA23 BC06 CB01 CB08 CD03 DA03 DB02 DB06 4D052 AA02 BA00 CE00 GA04 GB02 GB03 HA03 HA09 HA12 HA41 HB01 4G075 AA32 BA02 BD13 BD14 BD27 CA03 CA33 CA54 DA01 EA06 EB01 EB09 EB31 FB02 FB06 FB12 FB13 4J100 AC03P CA01 CA31 HA21 HB04 HE01 HE22 HF01

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル系樹脂を後塩素化反応させて
    塩素化塩化ビニル系樹脂を製造する方法において、塩化
    ビニル系樹脂と塩素とを気固接触反応場で反応させ、反
    応ガスの一部又は全部を反応器の外部に排出し、排出ガ
    スと水とを接触させることにより、排出ガス中の塩化水
    素ガスを水に吸収させて脱塩化水素ガスを得た後に、該
    脱塩化水素ガスを反応器内に環流、導入し、塩化ビニル
    系樹脂の塩素化反応に利用することを特徴とする塩素化
    塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 脱塩化水素ガスと接触させる水が、循環
    水及び/又は貯水である請求項1に記載の塩素化塩化ビ
    ニル系樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 脱塩化水素ガスと接触させる水が、零℃
    を越え、40℃以下の範囲の温度の水である請求項1及
    び2に記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 脱塩化水素ガスを脱水した後に、再び反
    応器に導入し、塩化ビニル系樹脂の塩素化反応に利用す
    る請求項1、2および3に記載の塩素化塩化ビニル系樹
    脂の製造方法。
  5. 【請求項5】 脱塩化水素ガスを5℃以下、零下101
    ℃以上の範囲の温度に冷却した後に、脱水ガスとして再
    び反応器に導入し、塩化ビニル系樹脂の塩素化反応に利
    用する請求項4に記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 脱塩化水素ガスを零下13℃以下、零下
    101℃以上の範囲の温度に冷却した後に、脱水ガスと
    して再び反応器に導入し、塩化ビニル系樹脂の塩素化反
    応に利用する請求項4に記載の塩素化塩化ビニル系樹脂
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 脱塩化水素ガスを零下36℃以下、零下
    101℃以上の範囲の温度に冷却して液化し、液化した
    塩素を再び気化させた後に、脱水ガスとして再び反応器
    に導入し、塩化ビニル系樹脂の塩素化反応に利用する請
    求項4に記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  8. 【請求項8】 脱塩化水素ガスを硫酸、塩化カルシウ
    ム、ゼオライト、モレキュラーシーブス、五酸化二燐か
    ら選択される少なくとも1種と接触させた後に、脱水ガ
    スとして再び反応器に導入し、塩化ビニル系樹脂の塩素
    化反応に利用する請求項4に記載の塩素化塩化ビニル系
    樹脂の製造方法。
  9. 【請求項9】 脱塩化水素ガスを5℃以下に冷却し、冷
    却と同時に又は冷却後に硫酸、塩化カルシウム、ゼオラ
    イト、モレキュラーシーブス、五酸化二燐から選択され
    る少なくとも1種と接触させた後に、脱水ガスとして再
    び反応器に導入し、塩化ビニル系樹脂の塩素化反応に利
    用する請求項4に記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 脱水ガスの含水量が50重量ppm以
    下である請求項7〜9に記載の塩素化塩化ビニル系樹脂
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 水に吸収された塩化水素と等量のモル
    数の塩素を、脱塩化水素ガス又は脱水ガスと共に反応器
    内に供給する請求項1〜10に記載の塩素化塩化ビニル
    系樹脂の製造方法。
  12. 【請求項12】 反応器、脱塩化水素器、脱水器から成
    る装置を密閉型装置とし、密閉型装置内部の圧力を一定
    に保つ為に必要な塩素を、密閉型装置内部に供給する請
    求項1〜11に記載の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 塩素化反応の反応促進の為に光を使用
    する、請求項1〜12に記載の塩素化塩化ビニル系樹脂
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 反応促進の為の光の光源が、低圧水銀
    灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ
    から選択される少なくとも一種である請求項13に記載
    の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  15. 【請求項15】 塩化ビニル系樹脂粉体と塩素ガスを気
    固接触反応場で反応させる反応器、該反応器から反応ガ
    スを排出する排出ガス管、該排出管に接続された脱塩化
    水素器、および該脱塩化水素器からの塩素ガスを含む脱
    塩化水素ガスを反応器に環流するための導入ガス管を備
    えてなる塩化ビニル系樹脂を後塩素化反応させて塩素化
    塩化ビニル系樹脂を製造する装置。
  16. 【請求項16】 脱塩化水素器が反応ガスと水を接触さ
    せ、反応ガス中の塩化水素ガスを水に吸収させる装置で
    ある請求項15記載の装置。
  17. 【請求項17】 脱塩化水素ガスと接触させる水が、零
    ℃を越え、40℃以下の範囲の温度の水である請求項1
    5及び16に記載の装置。
  18. 【請求項18】 脱塩化水素ガスを脱水した後に、反応
    器に導入する請求項15、16および17に記載の装
    置。
  19. 【請求項19】 脱塩化水素ガスを5℃以下、零下10
    1℃以上の範囲の温度に冷却した後に、脱水ガスとして
    再び反応器に導入し、塩化ビニル系樹脂の塩素化反応に
    利用する請求項18に記載の装置。
  20. 【請求項20】 脱塩化水素ガスを零下13℃以下、零
    下101℃以上の範囲の温度に冷却した後に、脱水ガス
    として再び反応器に導入し、塩化ビニル系樹脂の塩素化
    反応に利用する請求項18に記載の装置。
  21. 【請求項21】 脱塩化水素ガスを零下36℃以下、零
    下101℃以上の範囲の温度に冷却して液化し、液化し
    た塩素を再び気化させた後に、脱水ガスとして再び反応
    器に導入し、塩化ビニル系樹脂の塩素化反応に利用する
    請求項18に記載の装置。
  22. 【請求項22】 脱塩化水素ガスを硫酸、塩化カルシウ
    ム、ゼオライト、モレキュラーシーブス、五酸化二燐か
    ら選択される少なくとも1種と接触させた後に、脱水ガ
    スとして再び反応器に導入し、塩化ビニル系樹脂の塩素
    化反応に利用する請求項18に記載の装置。
  23. 【請求項23】 脱塩化水素ガスを5℃以下に冷却し、
    冷却と同時に又は冷却後に硫酸、塩化カルシウム、ゼオ
    ライト、モレキュラーシーブス、五酸化二燐から選択さ
    れる少なくとも1種と接触させた後に、脱水ガスとして
    再び反応器に導入し、塩化ビニル系樹脂の塩素化反応に
    利用する請求項18に記載の装置。
  24. 【請求項24】 脱水ガスの含水量が50重量ppm以
    下である請求項21〜23に記載の装置。
  25. 【請求項25】 水に吸収された塩化水素と等量のモル
    数の塩素を、脱塩化水素ガス又は脱水ガスと共に反応器
    内に供給する請求項15〜24に記載の装置。
  26. 【請求項26】 反応器、塩化水素吸収器、脱水器から
    成る装置を密閉型装置とし、密閉型装置内部の圧力を一
    定に保つ為に必要な塩素を、密閉型装置内部に供給する
    請求項15〜24に記載の装置。
  27. 【請求項27】 塩素化反応の反応促進の為に光を使用
    する、請求項15〜26に記載の装置。
  28. 【請求項28】 反応促進の為の光の光源が、低圧水銀
    灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ
    から選択される少なくとも一種である請求項27に記載
    の装置。
JP2001385066A 2001-12-18 2001-12-18 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法および装置 Pending JP2003183320A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001385066A JP2003183320A (ja) 2001-12-18 2001-12-18 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法および装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001385066A JP2003183320A (ja) 2001-12-18 2001-12-18 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法および装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003183320A true JP2003183320A (ja) 2003-07-03

Family

ID=27594630

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001385066A Pending JP2003183320A (ja) 2001-12-18 2001-12-18 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法および装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003183320A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006272241A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Kaneka Corp 塩化ビニル樹脂系壁紙からの紙成分および塩化ビニル成分の分離回収方法ならびに再生塩化ビニル樹脂
WO2014157346A1 (ja) * 2013-03-29 2014-10-02 株式会社カネカ 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法及び製造装置
WO2017065224A1 (ja) * 2015-10-15 2017-04-20 株式会社カネカ 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
WO2017145864A1 (ja) * 2016-02-25 2017-08-31 株式会社カネカ 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
CN108948238A (zh) * 2018-08-29 2018-12-07 江苏德邦工程有限公司 一种制备氯化聚氯乙烯的方法及其制备装置
CN110028604A (zh) * 2019-04-24 2019-07-19 杭州新元化工技术开发有限公司 一种氯化聚氯乙烯的制备方法
CN118022653A (zh) * 2024-04-15 2024-05-14 丹阳市助剂化工厂有限公司 一种氯化石蜡生产装置及其生产方法

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006272241A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Kaneka Corp 塩化ビニル樹脂系壁紙からの紙成分および塩化ビニル成分の分離回収方法ならびに再生塩化ビニル樹脂
WO2014157346A1 (ja) * 2013-03-29 2014-10-02 株式会社カネカ 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法及び製造装置
US9399687B2 (en) 2013-03-29 2016-07-26 Kaneka Corportion Method and apparatus for producing chlorinated vinyl chloride-based resin
JPWO2017065224A1 (ja) * 2015-10-15 2018-08-02 株式会社カネカ 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
WO2017065224A1 (ja) * 2015-10-15 2017-04-20 株式会社カネカ 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
CN108602911A (zh) * 2016-02-25 2018-09-28 株式会社钟化 氯化氯乙烯系树脂的制造方法
WO2017145864A1 (ja) * 2016-02-25 2017-08-31 株式会社カネカ 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
US10590210B2 (en) 2016-02-25 2020-03-17 Kaneka Corporation Method for producing chlorinated vinyl chloride resin
CN108948238A (zh) * 2018-08-29 2018-12-07 江苏德邦工程有限公司 一种制备氯化聚氯乙烯的方法及其制备装置
CN108948238B (zh) * 2018-08-29 2023-06-30 江苏德邦工程有限公司 一种制备氯化聚氯乙烯的方法及其制备装置
CN110028604A (zh) * 2019-04-24 2019-07-19 杭州新元化工技术开发有限公司 一种氯化聚氯乙烯的制备方法
CN118022653A (zh) * 2024-04-15 2024-05-14 丹阳市助剂化工厂有限公司 一种氯化石蜡生产装置及其生产方法
CN118022653B (zh) * 2024-04-15 2024-06-11 丹阳市助剂化工厂有限公司 一种氯化石蜡生产装置及其生产方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0618170B1 (en) Process for producing reagent grade hydrochloric acid from the manufacture of organic isocyanates
JP5419350B2 (ja) 直接塩素化により1,2−ジクロロエタンを製造する方法および装置
EP1116706A1 (en) Process for producing 1,1,1,3,3-pentafluoro-propane and/or 1-chloro-3,3,3-trifluoropropene
JP2008513325A (ja) シランを製造する装置および方法
TW200844128A (en) Process for the polyolefin finishing
EP3239098B1 (en) Method for catalytically oxidizing hydrogen chloride to prepare chlorine gas
KR20110082518A (ko) 초흡수성 중합체를 제조하기 위한 연속적 방법
JP2003183320A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法および装置
JP2010514872A (ja) ポリマーを乾燥するための方法及び装置
CA3008291A1 (en) Improved processes for preparing halogenated alkanes
JP4576312B2 (ja) 四フッ化ケイ素の製造方法、及びそれに用いる製造装置
JP5511826B2 (ja) 超吸収性ポリマーの製造のための方法
CN102531827A (zh) 干气直接氯化制备二氯乙烷的方法
JPS61145132A (ja) 1,2‐ジクロルエタンの製法
JP2000219672A (ja) ジメチルスルホキシドの製造方法
JPH08291086A (ja) 1,2−ジクロルエタンの製造方法
US10590210B2 (en) Method for producing chlorinated vinyl chloride resin
CN114057165B (zh) 一种分离回收氯代烯烃生产中的氯化氢气体的方法
JP2003277436A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法および装置
JP6800159B2 (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
CN107216234A (zh) 一种用偏氯乙烯催化氟化制备一氟二氯乙烷的方法
JPH0374242B2 (ja)
JP4932221B2 (ja) 使用済みイオン交換樹脂触媒の抜出方法
EP0100550B1 (en) Method for the purification of propylene polymers
US3059034A (en) Process of hydrohalogenation of acetylene

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041027

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060511

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060523

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20061003