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JP2003163418A - 窒化ガリウム系化合物半導体レーザ - Google Patents

窒化ガリウム系化合物半導体レーザ

Info

Publication number
JP2003163418A
JP2003163418A JP2001364052A JP2001364052A JP2003163418A JP 2003163418 A JP2003163418 A JP 2003163418A JP 2001364052 A JP2001364052 A JP 2001364052A JP 2001364052 A JP2001364052 A JP 2001364052A JP 2003163418 A JP2003163418 A JP 2003163418A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
compound semiconductor
gallium nitride
based compound
semiconductor laser
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001364052A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomoya Yanagimoto
友弥 柳本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nichia Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Nichia Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nichia Chemical Industries Ltd filed Critical Nichia Chemical Industries Ltd
Priority to JP2001364052A priority Critical patent/JP2003163418A/ja
Publication of JP2003163418A publication Critical patent/JP2003163418A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 窒化ガリウム系化合物半導体レーザのうち、
青緑色や緑色の短波長レーザでは、光閉じ込めが悪いた
めに閾値電圧が高くなる。 【解決手段】 本発明の窒化ガリウム系化合物半導体
レーザは、窒化ガリウム系化合物半導体からなる活性層
と窒化ガリウム系化合物半導体からなるクラッド層の間
に、前記クラッド層より屈折率が大きくかつ前記活性層
よりもバンドギャップが大きな窒化ガリウム系化合物半
導体から成り、前記活性層と共に光導波路を形成する光
ガイド層を有する分離閉じ込め型窒化ガリウム系化合物
半導体レーザであって、前記光ガイド層は、成長中に導
電率を上昇させる不純物がドープされているが、前記光
ガイド層のうち、活性層側の端面から少なくとも0.0
5μm以上は、前記不純物をドープせずに成長されてい
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は窒化ガリウム系半導
体化合物レーザに関し、特に量子井戸型活性層と光ガイ
ド層を有する分離閉じ込め型の窒化ガリウム系化合物半
導体レーザに関する。
【0002】
【従来の技術】今日、窒化物半導体を用いた半導体レー
ザは、DVDなど大容量・高密度の情報記録・再生が可
能な光ディスクシステムへの利用に対する要求が高くな
っている。特に、デジタル画像データを扱う次世代DV
Dには、波長の短かい青色のレーザが必要不可欠と考え
られている。青色半導体レーザとしては、窒化ガリウム
系半導体化合物レーザが最も有力で、その開発が進んで
いる。
【0003】レーザ発振において重要な要素の1つは、
光を増幅する領域である光導波路への効率よい光閉じ込
めである。ここに光がよく閉じ込められないと、閾値電
流の上昇、発光効率の低下等の素子特性の不良が生じ
る。元来は活性層がそのまま光導波路であったが、活性
層が量子井戸型構造と移行してゆき活性層の厚みが薄く
なったため、活性層のみで光を閉じ込めることは難しく
なった。そこで、活性層の片側もしくは両側に、活性層
よりバンドギャップの大きい光ガイド層を配置した分離
光閉じ込め型(SCH)が採用されるようになってい
る。基本的なSCHにおいては、光導波路は活性層と光
ガイド層とで構成され、光は、クラッド層と光ガイド層
との間に屈折率差をつけることにより、この光導波路内
部に閉じ込められる。光導波路の応用形には、活性層と
光ガイド層の他に、電子閉じ込め層などの層を含むもの
もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、窒化ガリウム
系化合物半導体レーザのうち、青緑色や緑色の短波長レ
ーザでは、光ガイド層とクラッド層との屈折率差が小さ
くなり、光導波路内への光閉じ込めが十分でなくなり、
閾値電圧が高くなる。これは、材料の屈折率が光の波長
に依存して変化することによる。
【0005】光閉じ込めをよくするには、クラッド層の
Alの組成比を多くして、光ガイド層とクラッド層との
屈折率差を大きくする方法が考えられる。しかし、クラ
ッド層のAl組成比を増加させるとクラッド層の結晶性
が悪くなり、場合によってはクラックを発生することも
あるため、あまり好ましくない。
【0006】他方、光ガイド層を厚膜化すれば、Al組
成比をあまり増加させることなく光閉じ込めを改善する
ことができるが、光ガイド層における電圧損が大きく
る。このため、単純に光ガイド層を厚膜化する方法では
閾値電圧の増加を十分に抑制することができない。そこ
で本発明は、青緑色や緑色のような短波長においても低
い閾値電圧を実現できる窒化ガリウム系化合物半導体レ
ーザを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の窒化ガリウム系
化合物半導体レーザは、窒化ガリウム系化合物半導体か
らなる活性層と窒化ガリウム系化合物半導体からなるク
ラッド層の間に、前記クラッド層より屈折率が大きくか
つ前記活性層よりもバンドギャップが大きな窒化ガリウ
ム系化合物半導体から成り、前記活性層と共に光導波路
を形成する光ガイド層を有する分離閉じ込め型窒化ガリ
ウム系化合物半導体レーザであって、前記光ガイド層
は、成長中に導電率を上昇させる不純物がドープされて
いるが、前記光ガイド層のうち、活性層側の端面から少
なくとも0.05μm以上は、前記不純物をドープせず
に成長されていることを特徴とする。
【0008】光ガイド層に不純物をドープして導電性を
上昇させることにより、光ガイド層を厚膜に形成した時
の光ガイド層における電圧損の増加を抑制することがで
きる。したがって、光ガイド層の電圧損を増加させるこ
となく光閉じ込め能を改善して、レーザの閾値電圧を低
下させることができる。。しかし、光ガイド層に不純物
をドープすると、光ガイド層自身の光吸収係数が上昇し
て活性層の発光を吸収してしまう、光ガイド層の結晶性
が低下する結果活性層の結晶性も低下する、熱拡散によ
り光ガイド層から活性層へ不純物が拡散して活性層のバ
ンド端発光を阻害する、といった問題点が発生する。そ
こで、本発明では、光ガイド層のうち、活性層側の端面
から少なくとも0.05μm、好ましくは0.1μmの
範囲はドープしないで成長させる。
【0009】尚、光ガイド層のうちドープしないで成長
させる範囲は、あまり大き過ぎては電圧損が大きくなる
ため、活性層側の端面から0.3μm以下、より好まし
くは0.15μm以下にすることが望ましい。
【0010】また、光ガイド層の膜厚はp側、n側がお
のおの0.15μm以上0.5μm以下で形成されてい
ると、光閉じ込めの効果が顕著に現れるので好ましく、
特に0.2μ以上0.3μm以下で形成されていると好
ましい。
【0011】光ガイド層に不純物をドープして導電性を
高くするとき、そのドープの状態は特に限定されず、ド
ープ量が均一でも不均一でもよい。形成の簡便さからす
ればドープ量が均一な一層で形成されていると好ましい
が、不純物ドープ量が不均一であっても何ら問題はな
い。例えば、ドープ量は、濃度変化の境界がないように
微量づつ増減させても、濃度の異なる複数の層を積層す
ることで濃度変化の境界が明瞭であってもよい。また、
活性層から離れるほどドープ量が多くなっていると、活
性層をピークとした発光強度分布と、ドープによる光吸
収率の変化との兼ね合いにより、強い光がより吸収され
にくい構成となるので好ましい。
【0012】光ガイド層のドープ領域に不純物をドープ
するとき、不純物濃度が1×10 /cm以上1×
1020/cm以下となるように成長させると、導電
性は十分に得られ、さらに不純物ドープによる結晶性の
悪化が許容範囲内に押さえられるので好ましい。
【0013】光ガイド層のうち活性層から0.05〜
0.3μmはアンドープで形成されているが、不純物ド
ープして形成した層と隣接して形成されるときには、窒
化ガリウム系化合物半導体の積層時の温度によって、隣
接層から不純物が侵入することがある。光ガイド層の活
性層側に、不純物ドープした層が隣接すると、アンドー
プで成長されている光ガイド層の活性層側に、不純物が
ドープされた状態になる。そのときにドープされる不純
物濃度は隣接層の2分の1以下になり、また不純物の侵
入深さは0.02μm以下になると見積もられる。熱拡
散によって不純物がドープされたことにより、アンドー
プ領域も光を吸収するが、その吸収量は、レーザ発振中
の光導波による損失と比べて小さいため、大きな問題と
はならない。
【0014】光ガイド層の、アンドープで成長させた領
域とドープして成長させた領域とは順次積層されるため
隣接しており、アンドープで成長させた領域のクラッド
層側に熱拡散によって不純物が導入されることがある。
しかし、熱拡散で不純物が導入される位置は、アンドー
プ領域のうちで最も活性層から離れており、さらに侵入
深さが0.02μm以下と見積もられるため、光の吸収
に与える影響は微小で、他の損失と比べて非常に小さ
く、ほとんど問題とはならない。
【0015】本発明の窒化ガリウム系化合物半導体レー
ザでは、光ガイド層がGaNから形成されていると好ま
しい。光ガイド層は活性層の近傍に形成されるため、そ
の結晶性はよいことが望ましく、結晶性が劣る3元系の
窒化ガリウム系化合物半導体よりは、結晶性のよい2元
系のGaNが好ましい。
【0016】本発明の窒化ガリウム系化合物半導体レー
ザの活性層は、InGa1−xN(0<x≦1)で形
成されているのが好ましい。本発明のレーザは、特に青
色〜純緑色レーザに適した構造となっているため、活性
層には青色〜純緑色に発光する物質が使用されるとよ
い。InGa1−xNでは、xの値を変えることによ
り発光する色を青色〜純緑色の範囲で変えることが可能
である。さらに、InGa1−xN(0<x≦1)の
井戸層に有する量子井戸構造とすると、高性能のレーザ
となるので好ましい。
【0017】また、クラッド層は、光導波路内に光を閉
じ込めるために、光ガイド層より低屈折率を有する物質
で形成されているとよい。光ガイド層をGaNで形成す
る場合には、クラッド層はAlGa1−yN(0≦y
≦1)を含む窒化物半導体で形成されると、GaNより
屈折率が低くなるので好ましい。このとき、yの値が大
きい方が、屈折率が下がる傾向にある。
【0018】しかし、AlGa1−yNは、yの値を
大きくすると結晶性が悪化し、特に厚膜に形成するとク
ラックが入りやすくなる。そこで、クラッド層は、Al
Ga1−yN(0<y≦1)とGaNとを交互に積層
した超格子構造として、Al Ga1−yN層の膜厚を
クラック形成の限界厚より薄膜に形成すると共に、結晶
性のよいGaNで挟み込むことでクラック形成を防止す
ると好ましい。
【0019】p側に形成されている光ガイド層のドープ
領域およびクラッド層に導入されている不純物元素が、
p型ドーパントのMgであると好ましい。また、p側光
ガイド層のドープ領域のMgドープ量が、p側クラッド
層のMgの平均ドープ量以下であるとよく、さらに好ま
しくは、p側クラッド層のMgの平均ドープ量の1/2
以下となっていることである。
【0020】n側に形成されている光ガイド層のドープ
領域およびクラッド層に導入されている不純物元素が、
n型ドーパントのSiであると好ましい。また、n側光
ガイド層のドープ領域のSiドープ量が、n側クラッド
層のSiの平均ドープ量以下であるとよく、さらに好ま
しくは、n側クラッド層のSiの平均ドープ量の1/2
以下となっていることである。
【0021】また、本発明は、窒化ガリウム系化合物半
導体からなる活性層106と窒化ガリウム系化合物半導
体からなるクラッド層106、109の間に、クラッド
層より屈折率が大きくかつ活性層よりもバンドギャップ
が大きな窒化ガリウム系化合物半導体から成り、活性層
と共に光導波路を形成する光ガイド層を有する分離閉じ
込め型窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法
で、光ガイド層のうち、活性層から0.05μm以上
0.3μm以下の範囲はアンドープで成長させることを
特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方
法である。活性層の近傍をアンドープで成長させること
で、強度の強い光が吸収されないようにしている。
【0022】
【発明の実施の形態】実施の形態 1.本発明の窒化ガ
リウム系化合物半導体レーザに用いる窒化ガリウム系化
合物半導体としては、GaN、AlN、もしくはIn
N、又はこれらの混晶である窒化ガリウム系化合物半導
体(InAlGa1−x−yN、0≦x、0≦y、
x+y≦1)がある。その他に前記窒化ガリウム系化合
物半導体の一部を、B、Pで置換した、混晶でもよい。
【0023】図4は、本発明に係る窒化ガリウム系化合
物半導体レーザの一例を示す断面図である。GaN基板
101上には、InGa1-xN(0≦x<1)から成
る活性層107が、GaN層からなるn側光ガイド層1
06とGaN層からなるp側光ガイド層109とに挟ま
れて光導波路を形成し、さらにその両側をn側Al
1−yN(0≦y<1)層103〜107(各層毎に
yの値は異なる)と、p側AlGa1−zN(0≦z
<1)層110及び111(各層毎にzの値は異なる)
によって挟まれており、いわゆる光−キャリア分離型閉
じ込めヘテロ構造が形成されている。
【0024】図1は、図4に示した半導体レーザの積層
構造のうち、光導波路およびクラッド層の積層部分を抽
出して図示したものである。光ガイド層106及び10
9は、アンドープ領域6a、9aとドープ領域6b、9
bとを図のように積層して形成されている。
【0025】ノンドープの窒化ガリウム系化合物半導体
は導電性が低いので、光導波路を厚くするために光ガイ
ド層を厚膜に形成すると光ガイド層106、109の抵
抗が高くなる。よって光導波路を厚くして光閉じ込め能
を向上させるためには、厚膜で、かつ導電性のよい光ガ
イド層を形成するのが好ましい。そこで光ガイド層10
6、109に不純物をドープして導電性を上昇させる。
【0026】不純物をドープすると光吸収係数が高くな
るので、光の吸収量を減らすためには光導波路内にドー
プするのは望ましくないが、光閉じ込め能との兼ね合い
から、光ガイド層にドープして厚膜の光導波路を形成す
るほうがレーザの性能が向上することがわかった。そこ
で、0.05μm以上0.3μm以下のアンドープ領域
6a、9aを活性層側に成長させ、ドープ領域9bをク
ラッド側に成長させることで、活性層近傍の強度の強い
光は吸収せず、光ガイド層106、109の導電性が向
上することができる。さらに、アンドープ領域6a、9
aは0.1μm以上0.15μm以下で成長させるとよ
り好ましい。
【0027】また、青色〜純緑色光を効率よく光閉じ込
めするためには、p側及びn側に形成されるおのおのの
光ガイド層106、109の膜厚は0.15μm以上
0.5μm以下で形成されていると好ましく、特に0.
2μ以上0.3μm以下で形成されていると好ましい。
【0028】光ガイド層106、109のどこにドープ
領域を形成しても導電性向上の効果は同じなので、光吸
収によって生じる光の吸収が少ない位置にドープすると
よい。レーザ発振時、活性層が最強の光強度となり、活
性層から離れるに従って光の強度は弱くなる。既に強度
が弱くなっている光を吸収される方が、強度の強い光を
吸収されるよりは吸収量が少なく済むので、光ガイド層
106、109のうち活性層から離れた位置にドープ領
域6b、9bを形成すると好ましい。
【0029】光ガイド層のドープ領域6b、9bは導電
性が高くなっていればよく、ドープ領域6b、9bにお
けるドープ量は、意図的に変えても変えなくてもどちら
でもよい。ドープ量を変えないように成長させるなら、
不純物の濃度の調節が容易なので形成が簡易となり、好
ましい。一方、光の強度分布に対応して活性層から離れ
るほどドープ量多くするように、意図的にドープ量を変
えて成長させてもよく、そのように形成すると、より光
の吸収量を軽減することができるので好ましい。
【0030】光ガイド層のドープ領域6b、9bにおい
て不純物ドープ量を意図的に変化させる場合、層の成長
方向における不純物濃度がなめらかに変化する形態と、
段階的に変化する形態がある。段階的に変化する形態と
は、具体的には、おのおのの不純物ドープ量が異なって
いる複数の層を積層して、ドープ領域6b、9bを形成
するものがあげられる。どちらの濃度変化であっても、
本発明に適用可能である。
【0031】不純物のドープによる導電性上昇と、結晶
性悪化とのバランスを考慮すると、光ガイド層106、
109に不純物をドープして成長させるとき、その成長
部分の不純物濃度が1×1015/cm〜1×10
20/cmとなるようにドープされていると好まし
い。この範囲であれば、光導波路を厚膜に形成しても抵
抗の急激な上昇はなく、光導波路として要求される結晶
性を有することが可能であるので、好ましい。
【0032】光ガイド層106、109のうち活性層か
ら0.05μm以上0.3μm以下はのアンドープ領域
6a,9aとしてドープせずに成長させるが、隣接層に
不純物がドープされていると、素子成長時の温度によっ
て隣接層の不純物が熱拡散してアンドープ領域6a,9
aに侵入することがある。光ガイド層の活性層側に、不
純物ドープした層が隣接すると、アンドープで成長され
ている光ガイド層の活性層側に、不純物がドープされた
状態になる。そのときにドープされる不純物濃度は隣接
層の2分の1以下になり、また不純物の侵入深さは0.
02μm以下になると見積もられる。熱拡散によって不
純物がドープされたことにより、アンドープ領域も光を
吸収するが、その吸収量は、レーザ発振中の光導波によ
る損失と比べて小さいため、大きな問題とはならない。
【0033】光ガイド層の、アンドープで成長させた領
域とドープして成長させた領域とは順次積層されるため
隣接しており、アンドープで成長させた領域のクラッド
層側に熱拡散によって不純物が導入されることがある。
しかし、熱拡散で不純物が導入される位置は、アンドー
プ領域のうちで最も活性層から離れており、さらに侵入
深さが0.02μm以下と見積もられるため、光の吸収
に与える影響は微小で、他の損失と比べて非常に小さ
く、ほとんど問題とはならない。
【0034】本発明の窒化ガリウム系化合物半導体レー
ザでは、光ガイド層106、109が、窒化ガリウム系
化合物半導体のうちでもGaNからなると好ましい。光
ガイド層106、109は、活性層の近傍に形成される
こと、そして光導波路の1部分であるので、その結晶性
がよいことが好ましい。よって、光ガイド層は、窒化ガ
リウム系化合物のなかでも結晶性のよいGaNで形成さ
れているのが好ましい。
【0035】本発明の窒化ガリウム系化合物半導体レー
ザの活性層107は、InGa −xN(0<x≦
1)で形成されているのが好ましい。本発明のレーザ
は、特に青色〜純緑色レーザに適した構造となっている
ため、活性層107には青色〜純緑色に発光する物質が
使用されるとよい。InGa1−xNでは、xの値を
変えることにより発光する色を青色〜純緑色の範囲で変
えることが可能である。さらに、InGa1−x
(0<x≦1)の井戸層に有する量子井戸構造とする
と、閾値電流が低く高性能のレーザとなることが期待で
きるため好ましい。
【0036】また、クラッド層105、110は、光導
波路内に光を閉じ込めるために、光ガイド層より低屈折
率を有する物質で形成される。光ガイド層106、10
9をGaNで形成する場合には、クラッド層105、1
10はAlGa1−yN(0≦y≦1)を含む窒化物
半導体で形成されると、GaNより屈折率が低くできる
ので好ましい。yの値を大きくすると屈折率が下がるの
で光閉じ込め能がよくなる。
【0037】AlGa1−yNはGaNと比べると結
晶性が悪く、特にyの値が大きくして厚膜に形成すると
クラックが入りやすくなる。そこで、クラッド層10
5,110は、AlGa1−yN(0<y≦1)とG
aNとを交互に積層した超格子構造として、AlGa
1−yN層の膜厚をクラック形成の限界厚より薄膜に形
成し、さらに結晶性のよいGaNで挟み込むことでクラ
ック形成を防止すると好ましい。クラッド層105、1
10をこのような超格子構造で形成すると、クラックを
発生させることなくAlGa1−yN層のyの値を大
きくできるため、クラッド層全体の平均Al含有量は増
加し、屈折率を低下させることが可能となる。
【0038】p側に形成されている光ガイド層109お
よびクラッド層110に導入されている不純物元素が、
p型ドーパントのMgであると好ましい。また、p側光
ガイド層109のMgドープ量が、p側のクラッド層1
10のMgの平均ドープ量以下であるとよく、さらに好
ましくは、p側のクラッド層110のMgの平均ドープ
量の1/2以下となっていることである。
【0039】n側に形成されている光ガイド層106お
よびクラッド層105に導入されている不純物元素が、
n型ドーパントのSiであると好ましい。また、n側光
ガイド層106のSiドープ量が、n側のクラッド層1
05のSiの平均ドープ量以下であるとよく、さらに好
ましくは、n側のクラッド層105のSiの平均ドープ
量の1/2以下となっていることである。
【0040】以下、図4に示す窒化ガリウム系化合物半
導体レーザについて、構造の詳細について説明する。基
板101としては、GaNを用いることが好ましいが、
窒化ガリウム系化合物半導体と異なる異種基板を用いて
も良い。異種基板としては、例えば、C面、R面、及び
A面のいずれかを主面とするサファイア、スピネル(M
gA124のような絶縁性基板、SiC(6H、4H、
3Cを含む)、ZnS、ZnO、GaAs、Si、及び
窒化ガリウム系化合物半導体と格子整合する酸化物基板
等、窒化ガリウム系化合物半導体を成長させることが可
能で従来から知られており、窒化ガリウム系化合物半導
体と異なる基板材料を用いることができる。好ましい異
種基板としては、サファイア、スピネルが挙げられる。
また、異種基板は、オフアングルしていてもよく、この
場合ステップ状にオフアングルしたものを用いると窒化
ガリウムからなる下地層が結晶性よく成長するため好ま
しい。更に、異種基板を用いる場合には、異種基板上に
レーザ構造形成前の下地層となる窒化ガリウム系化合物
半導体を成長させた後、異種基板を研磨などの方法によ
り除去して、窒化ガリウム系化合物半導体の単体基板と
してレーザ構造を形成してもよく、また、レーザ構造形
成後に、異種基板を除去する方法でも良い。
【0041】異種基板を用いる場合には、バッファ層
(低温成長層)、窒化ガリウム系化合物半導体(好まし
くはGaN)からなる下地層を介して、レーザ構造を形
成すると、窒化ガリウム系化合物半導体の成長が良好な
ものとなる。また、異種基板上に設ける下地層(成長基
板)として、その他に、ELOG(Epitaxially Laterally O
vergrowth)成長させた窒化ガリウム系化合物半導体を用
いると結晶性が良好な成長基板が得られる。ELOG成長層
の具体例としては、異種基板上に、窒化ガリウム系化合
物半導体層を成長させ、その表面に窒化ガリウム系化合
物半導体の成長が困難な保護膜を設けるなどして形成し
たマスク領域と、窒化ガリウム系化合物半導体を成長さ
せる非マスク領域を、ストライプ状に設け、その非マス
ク領域から窒化ガリウム系化合物半導体を成長させるこ
とで、膜厚方向への成長に加えて、横方向への成長が成
されることにより、マスク領域にも窒化ガリウム系化合
物半導体が成長して成膜された層などがある。その他の
形態では、異種基板上に成長させた窒化ガリウム系化合
物半導体層に開口部を設け、その開口部側面から横方向
への成長がなされて、成膜される層でもよい。
【0042】基板101上には、バッファ層102を介
して、n型窒化ガリウム系化合物半導体層であるn側コ
ンタクト層103、クラック防止層104、n側クラッ
ド層105、及びn側光ガイド層106が形成されてい
る。n側クラッド層105及びn側光ガイド層106を
除く他の層は、レーザによっては省略することもでき
る。n型窒化ガリウム系化合物半導体層は、少なくとも
活性層と接する部分において活性層よりも広いバンドギ
ャップを有することが必要であり、そのためにAlを含
む組成であることが好ましい。また、n側光ガイド層を
除く各層は、n型不純物をドープしながら成長させてn
側としても良いし、ノンドープのn側としても良い。
【0043】n型窒化ガリウム系化合物半導体層103
〜106の上には、活性層107が形成されている。活
性層107は、前述の通り、Inx1Ga1-x2N井戸
層(0<x<1)とInx2Ga1-x2N障壁層(0
≦x<1、x>x)が適当な回数だけ交互に繰り
返し積層されたMQW構造を有しており、活性層の両端
はいずれも障壁層となっている。井戸層は、アンドープ
で形成されており、全ての障壁層はSi、Sn等のn型
不純物が好ましくは1×1017〜1×10 cm
−3の濃度でドープして形成されている。
【0044】最終障壁層の上には、p型窒化ガリウム系
化合物半導体層として、p型電子閉じ込め層108、p
側光ガイド層109、p側クラッド層110、p側コン
タクト層111が形成されている。p側クラッド層11
0及びp側光ガイド層109を除く他の層は、レーザに
よっては省略することもできる。p型窒化ガリウム系化
合物半導体層は、少なくとも活性層と接する部分におい
て活性層よりも広いバンドギャップを有することが必要
であり、そのためにAlを含む組成であることが好まし
い。また、p側光ガイド層を除く各層は、p型不純物を
ドープしながら成長させてp側としても良いし、アンド
ープで成長させてから隣接する他の層からp型不純物が
拡散れた結果としてドープしたp側としてもよい。
【0045】p型電子閉じ込め層108は、p側クラッ
ド層110よりも高いAl混晶比を持つp型窒化ガリウ
ム系化合物半導体から成り、好ましくはAlGa1-x
N(0.1<x<0.5)なる組成を有する。また、M
g等のp型不純物が高濃度で、好ましくは5×1017
〜1×1019cm-3の濃度でドープされている。こ
れにより、p型電子閉じ込め層108は、電子を活性層
中に有効に閉じ込めることができ、レーザの閾値を低下
させる。
【0046】p型窒化ガリウム系化合物半導体層のう
ち、p側光ガイド層109の途中までリッジストライプ
が形成され、さらに、保護膜161、162、p型電極
120、n型電極121、pパット電極122、及びn
パット電極123が形成されて半導体レーザが構成され
ている。
【0047】実施の形態 2.実施の形態2を図2に示
す。活性層107とp側光ガイド層109との間に、p
側電子閉じ込め層108が形成されている以外は、実施
の形態1と同様に形成される。p側電子閉じ込め層10
8は、Mgを高濃度にドープして成長させる。
【0048】Mgは窒化ガリウム系化合物半導体中で移
動度が大きく、熱拡散が起こりやすいとされている。本
発明では各層を高温で積層させるが、アンドープの層と
Mgドープ層とが隣接している配置では、積層時の熱に
よってドープ層からアンドープ層へMgが熱拡散される
ことがある。その結果、アンドープで成長させた層であ
るにもかかわらず、素子形成後にはMgドープの状態と
なる。
【0049】本件発明で、アンドープで成長させたp側
光ガイド層のアンドープ領域9aも、その形成後になさ
れる他層の積層によってMgドープとなるが、その場合
のMgの分布状態は成長時Mgドープとは異なってい
る。実際に製造したレーザ素子を積層方向のMgの分布
状態について分析し、その特徴を説明する。
【0050】図3に、本発明の実施形態2で形成したレ
ーザのMgとAlの含有量を分析したグラフを示す。A
lは、n側クラッド層105、p側クラッド層110お
よび電子閉じ込め層108を成長する時にドープされて
おり、またAlは熱拡散が起こりにくいことから、素子
形成後の層境界を知る指標となる。Alの含有量変化
と、成長時に設定した層の厚さとから決定した各層の境
界線と対応する層構成も図3に示した。
【0051】p型光ガイド層のアンドープ領域9aのM
g濃度分布は、隣接層との境界において高濃度で、境界
から離れるにつれて濃度が低下する傾向を示す。また、
p型光ガイド層のアンドープ領域9aの層内に、Mg濃
度が最小値を示す鋭角のくぼみ(図中(X))を有するグ
ラフとなる。次いで、電子閉じ込め層108およびp型
光ガイド層のドープ領域9bのMg分布状態の特徴につ
いて述べる。どちらの層も意図的な濃度変化を行わずに
成長させているが、素子形成後には、p型光ガイド層の
アンドープ領域9aに近づくにつれてMg濃度が減少す
るような濃度変化を示す。
【0052】
【実施例】[実施例]以下、実施例として、図4に示す
ようなレーザ構造の窒化ガリウム系化合物半導体を用い
たレーザで、さらに図2に図示したクラッド層及び光導
波路を成長させて形成したレーザについて説明する。
【0053】(基板101)基板として、異種基板に成
長させた窒化ガリウム系化合物半導体、本実施例ではG
aNを厚膜(100μm)で成長させた後、異種基板を
除去して、80μmのGaNからなる窒化ガリウム系化
合物半導体基板を用いる。基板の詳しい形成方法は、以
下の通りである。2インチφ、C面を主面とするサファ
イアよりなる異種基板をMOVPE反応容器内にセット
し、温度を500℃にして、トリメチルガリウム(TM
G)、アンモニア(NH3)を用い、GaNよりなるバ
ッファ層を200Åの膜厚で成長させ、その後、温度を
上げて、アンドープのGaNを1.5μmの膜厚で成長
させて、下地層とする。次に、下地層表面にストライプ
状のマスクを複数形成して、マスク開口部(窓部)から
窒化ガリウム系化合物半導体、本実施例ではGaNを選
択成長させて、横方向の成長を伴った成長(ELOG)
により成膜された窒化ガリウム系化合物半導体層を、さ
らに厚膜で成長させて、異種基板、バッファ層、下地層
を除去して、窒化ガリウム系化合物半導体基板を得る。
この時、選択成長時のマスクは、SiO2からなり、マ
スク幅15μm、開口部(窓部)幅5μmとする。
【0054】(バッファ層102)窒化ガリウム系化合
物半導体基板の上に、バッファ層成長後、温度を105
0℃にして、TMG(トリメチルガリウム)、TMA
(トリメチルアルミニウム)、アンモニアを用い、Al
0.05Ga0.95Nよりなるバッファ層102を4μmの膜
厚で成長させる。この層は、AlGaNのn側コンタク
ト層と、GaNからなる窒化ガリウム系化合物半導体基
板との間で、バッファ層として機能する。次に、窒化ガ
リウム系化合物半導体からなる下地層の上に、レーザ構
造となる各層を積層する。
【0055】(n側コンタクト層103)次に得られた
バッファ層102上にTMG、TMA、アンモニア、不
純物ガスとしてシランガスを用い、1050℃でSiド
ープしたAl0.05Ga0.95Nよりなるn側コンタクト層
103を4μmの膜厚で成長させる。
【0056】(クラック防止層104)次に、TMG、
TMI(トリメチルインジウム)、アンモニアを用い、
温度を800℃にしてIn0.06Ga0.94Nよりなるクラ
ック防止層104を0.15μmの膜厚で成長させる。
なお、このクラック防止層は省略可能である。
【0057】(n側クラッド層105)次に、温度を1
050℃にして、原料ガスにTMA、TMG、アンモニ
ア及びシランガスを用い、Siを1×1019/cm
ドープしたAl0.08Ga0.92NよりなるA層を25Å
の膜厚で成長させ、続いて、TMAとシランガスを止
め、ノンドープのGaNよりなるB層を25Åの膜厚で
成長させる。そして、この操作を繰り返してA層とB層
の積層し、総膜厚1.2μmの多層膜(超格子構造)よ
りなるn側クラッド層105を成長させる。この時、S
iドープAlGaN層(A層)のAl混晶比としては、
0.05以上0.3以下の範囲であれば、十分にクラッ
ド層として機能する屈折率差を設けることができる。な
お、n側クラッド層を、バンドギャップエネルギーが異
なる窒化物半導体積層した超格子構造で形成する場合、
不純物は、いずれか一方の層に多くドープする、いわゆ
る変調ドープを行うと結晶性がよくなる傾向がある。
【0058】(n側光ガイド層106、6a、6b)1
050℃でTMA、TMG、アンモニア、シランガスを
流し、Siを2.5×1018/cmドープしたn型
GaNよりなるn側光ガイド層のドープ領域6bを0.
1μmの膜厚で成長させる。続いて、シランガスを止
め、1050℃でアンドープGaNよりなるn側光ガイ
ド層のアンドープ領域6aを0.15μmの膜厚で成長
させる。
【0059】(活性層107)次に温度を800℃にし
て、原料ガスにTMI、TMGを用い、アンドープのI
0.05Ga0.95Nよりなる障壁層、その上に、
アンドープのIn0. 32Ga0.68Nよりなる井戸
層を、障壁層/井戸層/障壁層/井戸層/障壁層の順に
積層する。このとき、障壁層の膜厚を130Åの膜厚
で、井戸層を25Åの膜厚で形成する。活性層は総膜厚
約440Åの多重量子井戸構造(MQW)となる。
【0060】(p側電子閉込め層108)次に、同様の
温度で、原料ガスにTMA、TMG及びアンモニアを用
い、不純物ガスとしてCpMg(シクロペンタジエニ
ルマグネシウム)を用い、Mgを1×1019/cm
ドープしたAl0.3Ga0.7Nよりなるp型電子閉込層1
08を100Åの膜厚で成長させる。この層は、特に設
けられていなくても良いが、設けることで電子閉込めと
して機能し、閾値の低下に寄与するものとなる。
【0061】(p側光ガイド層109、9a、9b)続
いてCpMg、TMAを止め、1050℃で、アンド
ープGaNよりなるp側光ガイド層のアンドープ領域9
aを0.15μmの膜厚で成長させる。続いてCp
gを流して、1050℃で、Mgを2.5×1019
cmドープしたGaNよりなるp側光ガイド層のドー
プ領域9bを0.1μmの膜厚で成長させる。
【0062】(p側クラッド層110)続いて、105
0℃でCp2Mgを用いて、Mgを1×1020/cm
ドープしたp型Al0.08Ga0.92Nよりなる層を25
Åの膜厚で成長させ、続いてTMAのみを止め、アンド
ープGaNよりなる層を25Åの膜厚で成長させ、総膜
厚0.6μmの超格子層よりなるp側クラッド層110
を成長させる。p側クラッド層は少なくとも一方がAl
を含む窒化ガリウム系化合物半導体層を含み、互いにバ
ンドギャップエネルギーが異なる窒化ガリウム系化合物
半導体層を積層した超格子で作製した場合、不純物はい
ずれか一方の層に多くドープして、いわゆる変調ドープ
を行うと結晶性が良くなる傾向にある。
【0063】(p側コンタクト層111)最後に、10
50℃で、p側クラッド層110の上に、Mgを1×1
20/cm 3ドープしたp型GaNよりなるp側コンタク
ト層111を150Åの膜厚で成長させる。p側コンタ
クト層111はp型のInXAlYGa1-X-YN(0≦X、
0≦Y、X+Y≦1)で構成することができ、好ましくは
MgをドープしたGaNとすれば、p電極120と最も
好ましいオーミック接触が得られる。コンタクト層11
1は電極を形成する層であるので、1×1017/cm3
上の高キャリア濃度とすることが望ましい。1×1017
/cm3よりも低いと電極と好ましいオーミックを得るの
が難しくなる傾向にある。さらにコンタクト層の組成を
GaNとすると、電極材料と好ましいオーミックが得ら
れやすくなる。反応終了後、反応容器内において、ウエ
ハを窒素雰囲気中、700℃でアニーリングを行い、p
型層を更に低抵抗化する。
【0064】以上のようにして窒化ガリウム系化合物半
導体を成長させ各層を積層した後、ウエハを反応容器か
ら取り出し、最上層のp側コンタクト層の表面にSiO
2よりなる保護膜を形成して、RIE(反応性イオンエ
ッチング)を用いSiCl4ガスによりエッチングし、
図4に示すように、n電極を形成すべきn側コンタクト
層103の表面を露出させる。このように窒化ガリウム
系化合物半導体を深くエッチングするには保護膜として
SiO2が最適である。
【0065】次に上述したストライプ状の導波路領域と
して、リッジストライプを形成する。まず、最上層のp
側コンタクト層(上部コンタクト層)のほぼ全面に、P
VD装置により、Si酸化物(主として、SiO2)よ
りなる第1の保護膜161を0.5μmの膜厚で形成し
た後、第1の保護膜161の上に所定の形状のマスクを
かけ、RIE(反応性イオンエッチング)装置により、
CF4ガスを用い、フォトリソグラフィー技術によりス
トライプ幅1.6μmの第1の保護膜161とする。こ
の時、リッジストライプの高さ(エッチング深さ)は、
p側コンタクト層111、およびp側クラッド層10
9、p側光ガイド層110の一部をエッチングして、p
側光ガイド層109の膜厚が0.1μmとなる深さまで
エッチングして、形成する。
【0066】次に、第1の保護膜161の上から、Zr
酸化物(主としてZrO2)よりなる第2の保護膜16
2を、第1の保護膜161の上と、エッチングにより露
出されたp側光ガイド層109の上に0.5μmの膜厚
で連続して形成する。
【0067】第2の保護膜162形成後、ウエハを60
0℃で熱処理する。このようにSiO2以外の材料を第
2の保護膜として形成した場合、第2の保護膜成膜後
に、300℃以上、好ましくは400℃以上、窒化ガリ
ウム系化合物半導体の分解温度以下(1200℃)で熱
処理することにより、第2の保護膜が第1の保護膜の溶
解材料(フッ酸)に対して溶解しにくくなるため、この
工程を加えることがさらに望ましい。
【0068】次に、ウエハをフッ酸に浸漬し、第1の保
護膜161をリフトオフ法により除去する。このことに
より、p側コンタクト層111の上に設けられていた第
1の保護膜161が除去されて、p側コンタクト層が露
出される。以上のようにして、図4に示すように、リッ
ジストライプの側面、及びそれに連続する平面(p側光
ガイド層109の露出面)に第2の保護膜162が形成
される。
【0069】このように、p側コンタクト層112の上
に設けられた第1の保護膜161が、除去された後、図
4に示すように、その露出したp側コンタクト層111
の表面にNi/Auよりなるp電極120を形成する。
但しp電極120は100μmのストライプ幅として、
図4に示すように、第2の保護膜162の上に渡って形
成する。第2の保護膜162形成後、既に露出させたn
側コンタクト層103の表面にはTi/Alよりなるス
トライプ状のn電極121をストライプと平行な方向で
形成する。
【0070】次に、n電極を形成するためにエッチング
して露出された面でp,n電極に、取り出し電極を設け
るため所望の領域にマスクし、SiO2とTiO2よりな
る誘電体多層膜164を設けた後、p,n電極上にNi
−Ti−Au(1000Å−1000Å−8000Å)
よりなる取り出し(パット)電極122,123をそれ
ぞれ設けた。この時、活性層107の幅は、200μm
の幅(共振器方向に垂直な方向の幅)であり、共振器面
(反射面側)にもSiO2とTiO2よりなる誘電体多層
膜が設けられる。
【0071】以上のようにして、n電極とp電極とを形
成した後、ストライプ状の電極に垂直な方向で、窒化ガ
リウム系化合物半導体のM面(GaNのM面、(1 1- 0
0)など)でバー状に分割して、更にバー状のウエハを
分割してレーザを得る。この時、共振器長は、650μ
mである。
【0072】得られたレーザ素子は20mAにおいて、
閾値電圧は3.9Vで、閾値電流も比較例と比べて低下
し、発振波長が440nm付近(435nm〜445n
m)の連続発振が室温で観測された。また、垂直横モー
ドにおけるファーフィールドパターン(FFP)は図6
であり、比較例と比べてリップルの大幅な低減がみられ
た。
【0073】[比較例]実施例において、n側光ガイド
層106を、Si2.5×1018/cmドープのG
aNを0.1μmの膜厚で成長させ、またp側光ガイド
層を、アンドープのGaNを0.1μmの膜厚で成長さ
せる他は同様にして窒化ガリウム系化合物半導体レーザ
を作成した。得られたレーザ素子は20mAにおいて、
閾値電圧は4.5Vで、発振波長が440nm付近(4
35nm〜445nm)の連続発振が室温で観測され
た。また垂直横モードのFFPは図7であった。
【0074】
【発明の効果】本発明の分離閉じ込め型の窒化ガリウム
系化合物半導体レーザでは、光ガイド層において、活性
層側で少なくクラッド層側で多くなるように不純物をド
ープし、さらに光ガイド層を厚膜にすることによって、
光導波路への光閉じ込め能の向上、閾値電圧および閾値
電流の低下が両立される。さらに、光ガイド層のクラッ
ド層へ漏れ出す光が減るため、垂直横モードのFFPが
改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1のうち、光導波領域及び
その周辺の構成のみを抽出した図である。
【図2】 本発明の実施形態2のうち、光導波領域及び
その周辺の構成のみを抽出した図である。
【図3】 本発明の実施例で作成したレーザの、層の成
長方向における不純物濃度の分析結果を示すグラフであ
る。
【図4】 本発明の実施形態を説明する半導体レーザの
模式断面図である。
【図5】 本発明の実施例で作成したレーザの、垂直横
モードのFFPである。
【図6】 比較例で作成したレーザの、垂直横モードの
FFPである。
【符号の説明】
101・・・基板(GaN基板) 102・・・バッファ層 103・・・n側コンタクト層 104・・・クラック防止層 105・・・n側クラッド層 106・・・n側光ガイド層 6a・・・n側光ガイド層のアンドープ領域 6b・・・n側光ガイド層のドープ領域 107・・・活性層 108・・・p側電子閉込め層 109・・・p側光ガイド層 9a・・・p側光ガイド層のアンドープ領域 9b・・・p側光ガイド層のドープ領域 110・・・p側クラッド層 111・・・p側コンタクト層 120・・・p電極 121・・・n電極 122・・・pパッド電極 123・・・nパッド電極 163・・・第3の保護膜 164・・・絶縁膜

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化ガリウム系化合物半導体からなる活
    性層と窒化ガリウム系化合物半導体からなるクラッド層
    の間に、前記クラッド層より屈折率が大きくかつ前記活
    性層よりもバンドギャップが大きな窒化ガリウム系化合
    物半導体から成り、前記活性層と共に光導波路を形成す
    る光ガイド層を有する分離閉じ込め型窒化ガリウム系化
    合物半導体レーザであって、 前記光ガイド層は、成長中に導電率を上昇させる不純物
    がドープされているが、前記光ガイド層のうち、活性層
    側の端面から少なくとも0.05μmの範囲は、前記不
    純物をドープせずに成長されていることを特徴とする窒
    化ガリウム系化合物半導体レーザ。
  2. 【請求項2】 前記光ガイド層のうち、活性層の端面か
    ら少なくとも0.1μmの範囲は不純物をドープせずに
    成長されていることを特徴とする請求項1記載の窒化ガ
    リウム系化合物半導体レーザ。
  3. 【請求項3】 前記光ガイド層の膜厚が0.15μm以
    上0.5μm以下で形成されていることを特徴とする請
    求項1または2のいずれか1項に記載の窒化ガリウム系
    化合物半導体レーザ。
  4. 【請求項4】 前記光ガイド層の膜厚が0.2μm以上
    0.3μm以下で形成されていることを特徴とする請求
    項1ないし3のいずれか1項に記載の窒化ガリウム系化
    合物半導体レーザ。
  5. 【請求項5】 前記光ガイド層のうちドープして成長さ
    せた領域の不純物濃度は、1×1015/cm以上1
    ×1020/cm以下であることを特徴とする請求項
    1ないし4のいずれか1項に記載の窒化ガリウム系化合
    物半導体レーザ。
  6. 【請求項6】 前記光ガイド層のうちアンドープで成長
    させた領域が、隣接層からの不純物侵入による不純物を
    含んでおり、前記不純物侵入による不純物濃度が前記隣
    接層の不純物濃度より低くなっていることを特徴とする
    請求項1ないし5のいずれか1項に記載の窒化ガリウム
    系化合物半導体レーザ。
  7. 【請求項7】 前記光ガイド層がGaNからなることを
    特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の窒
    化ガリウム系化合物半導体レーザ。
  8. 【請求項8】 前記活性層が、InGa1−xN(0
    <x≦1)を井戸層に有する量子井戸構造を有し、前記
    クラッド層が、AlGa1−yN(0≦y≦1)を含
    む窒化物半導体から成ることを特徴とする請求項1ない
    し7のいずれか1項に記載の窒化ガリウム系化合物半導
    体レーザ。
  9. 【請求項9】 前記クラッド層は、AlGa1−y
    (0<y≦1)とGaNとを交互に積層した超格子構造
    を有することを特徴とする請求項8記載の窒化ガリウム
    系化合物半導体レーザ。
  10. 【請求項10】 p側に形成されている前記光ガイド層
    および前記クラッド層に導入されている不純物元素がM
    gであることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか
    1項に記載の窒化ガリウム系化合物半導体レーザ。
  11. 【請求項11】 前記p側の光ガイド層のMgドープ領
    域におけるMgドープ量が、前記p側のクラッド層のM
    gの平均ドープ量以下であることを特徴とする請求項1
    0記載の窒化ガリウム系化合物半導体レーザ。
  12. 【請求項12】 前記p側の光ガイド層の前記Mgドー
    プ領域におけるMgドープ量が、前記p側のクラッド層
    の平均Mgドープ量の1/2以下であることを特徴とす
    る請求項11記載の窒化ガリウム系化合物半導体レー
    ザ。
  13. 【請求項13】 n側に形成されている前記光ガイド層
    および前記クラッド層に導入されている不純物元素がS
    iであることを特徴とする請求項1ないし12のいずれ
    か1項に記載の窒化ガリウム系化合物半導体レーザ。
  14. 【請求項14】 前記n側の光ガイド層のSiドープ領
    域におけるSiドープ量が、前記n側のクラッド層のS
    iの平均ドープ量以下であることを特徴とする請求項1
    3記載の窒化ガリウム系化合物半導体レーザ。
  15. 【請求項15】 前記n側の光ガイド層のSiドープ領
    域におけるSiドープ量が、前記n側のクラッド層のS
    iの平均ドープ量の1/2以下であることを特徴とする
    請求項14記載の窒化ガリウム系化合物半導体レーザ。
  16. 【請求項16】 窒化ガリウム系化合物半導体からなる
    活性層と窒化ガリウム系化合物半導体からなるクラッド
    層の間に、前記クラッド層より屈折率が大きくかつ前記
    活性層よりもバンドギャップが大きな窒化ガリウム系化
    合物半導体から成り、前記活性層と共に光導波路を形成
    する光ガイド層を有する分離閉じ込め型窒化ガリウム系
    化合物半導体レーザの製造方法であって、 前記光ガイド層は、成長中に導電率を上昇させる不純物
    をドープするが、前記光ガイド層のうち、活性層側の端
    面から少なくとも0.05μm以上は、前記不純物をド
    ープせずに成長することを特徴とする窒化ガリウム系化
    合物半導体レーザの製造方法。
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