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JP2003113091A - 胆汁酸特異的認識ポリマー及びコレステロール低下剤 - Google Patents

胆汁酸特異的認識ポリマー及びコレステロール低下剤

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Publication number
JP2003113091A
JP2003113091A JP2001306606A JP2001306606A JP2003113091A JP 2003113091 A JP2003113091 A JP 2003113091A JP 2001306606 A JP2001306606 A JP 2001306606A JP 2001306606 A JP2001306606 A JP 2001306606A JP 2003113091 A JP2003113091 A JP 2003113091A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bile acid
specific recognition
micelle
general formula
polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001306606A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichiro Kitahara
慎一郎 北原
Takayuki Oka
孝之 岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2001306606A priority Critical patent/JP2003113091A/ja
Publication of JP2003113091A publication Critical patent/JP2003113091A/ja
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  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 より選択的に胆汁酸のみを吸着することがで
きるポリマー及びコンプライアンスの優れたコレステロ
ール低下剤を提供する。 【解決手段】 少なくとも一種の胆汁酸、または少なく
とも一種の胆汁酸及び該胆汁酸とミセル形成可能な化合
物からなる胆汁酸複合ミセルに対する、分子インプリン
ティング法により形成された特異的認識部位を有する胆
汁酸特異的認識ポリマーであって、イミダゾール類とエ
ピハロヒドリン類との共重合体を架橋した構造であるこ
とを特徴とする胆汁酸特異的認識ポリマー、及びそれを
主成分とするコレステロール低下剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、胆汁酸特異的認識
ポリマー、その製造方法及び胆汁酸特異的認識ポリマー
を主成分とするコレステロール低下剤に関する。さらに
詳しくは、分子インプリンティング法によって胆汁酸特
異的認識部位が形成された胆汁酸特異的認識ポリマー、
その製造方法及びそのポリマーを利用したコレステロー
ル低下剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、多くの疫学調査から高脂血症、特
にLDLコレステロール血症と冠動脈疾患の発生率に正
の相関が認められることが明らかとなった。また、高脂
血症治療薬による大規模臨床試験から、血清コレステロ
ール値を低下させることが動脈硬化(冠動脈疾患)の発
症予防に効果的であることが示されてきた。
【0003】一方、ある種の陰イオン交換樹脂を、血清
コレステロールを低下させるためのコレステロール低下
剤として応用できることは公知である。この陰イオン交
換樹脂によるコレステロール低下の作用機序は次のよう
に考えられている。経口摂取した陰イオン交換樹脂は、
腸管内で胆汁酸を吸着することにより胆汁酸の再吸収
(腸肝循環)を阻害する。その結果、肝臓でのコレステ
ロールから胆汁酸への異化が促進され、肝臓内コレステ
ロールの減少が生じる。その際、これを補うために血中
のLDLの取り込みが増えて、血清コレステロールが低
下する。
【0004】上記した胆汁酸の陰イオン交換樹脂への吸
着は、陰イオン交換樹脂はカチオン性官能基を有する架
橋ポリマーであり、胆汁酸はアニオン性基を有する化合
物であるため、両者間の静電的相互作用を主要因とする
ものである。
【0005】従来、コレステロール低下剤として用いら
れている陰イオン交換樹脂は、カチオン性官能基として
第四級アンモニウム塩を含んでおり、ポリ(スチリルメ
チルトリメチルアンモニウムクロリド)を主成分とする
コレスチラミン製剤などが公知となっている(米国特許
第3,499,960号、同3,780,171号公報
参照)。しかしながら、このコレスチラミン製剤は、服
用量が多く、さらに、水に懸濁させる必要があるためコ
ンプライアンスに問題がある。また、コレスチラミン製
剤よりも有効性の高いコレスチミド製剤なども知られて
いる(特開昭60−209523号公報参照)。
【0006】しかしながら、腸管内では、目的とする胆
汁酸以外にも食物由来の酸性タンパク質、アミノ酸、脂
肪酸などや胆汁に含まれるビリルビンなどアニオン性基
を有する物質が混在しているため、陰イオン交換樹脂は
それらの物質も吸着していると考えられる。すなわち、
陰イオン交換樹脂は胆汁酸に対する選択吸着性能を有し
ていないため、腸管内における胆汁酸の吸着量は必ずし
も大きくはない。また、腸管内は、高粘度の液状であ
り、かつ、共存物質が多く存在しているため陰イオン交
換樹脂と胆汁酸との接触機会が少なく、胆汁酸の吸着量
は必ずしも大きくはない。
【0007】このように陰イオン交換樹脂の活性が低く
吸着量が十分でないことは、患者の服用量(1日8〜1
6g)の増大を余儀なくするものであり、患者に大きな
負担を与えることになる。従来、コレステロール低下剤
として用いられている陰イオン交換樹脂では、上述のよ
うにコンプライアンスの問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、胆汁酸を効果
的に吸着するためには、共存する他のアニオン性基を有
する物質等の中から胆汁酸のみを選択的に吸着するよう
にポリマーを設計する必要がある。
【0009】近年、分子インプリンティング(molecula
r imprinting)法という技術が開発され、天然の抗体を
模倣した人工の分子認識物質が調製できるようになった
(例えば、Wulff, G.: Angew. Chem. Int. Ed. Engl.,
34, 1812-1832 (1995)等参照)。この分子インプリンテ
ィング法で得られる分子認識物質(以後、MIPと省略
する)は、官能基を有する重合可能なモノマーをプリン
ト分子の存在下で重合させ、次いで、前記プリント分子
を取り除くことにより、プリント分子に相補的な特異的
結合部位を有する特徴をもつ。この人工の分子認識物質
の製造方法と使用に関しては既に特表平8−50632
0号公報で開示されている。
【0010】このMIPは、現在まで生物抗体の代替と
して、例えば、医薬物質のクロマトグラフィー分離、イ
ムノアッセイでの人工抗体、構造特異性検出用のバイオ
センサ用デバイスへの適用などが検討されている。
【0011】ところで、上述したコレスチミド製剤は、
イミダゾール類とエピハロヒドリン類との共重合体から
なる陰イオン交換樹脂であるが、胆汁酸に対して特異的
に吸着する部位を有していないため、上述のように食物
由来のアニオン性基を有する化合物群まで吸着してしま
う欠点を有している。そこで、この欠点を解消するため
に本発明者らは、MIPの分子認識能に着目し、従来の
陰イオン交換樹脂からなるコレステロール低下剤への適
用を試み、本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明はモノマーであるイミダ
ゾール類とエピハロヒドリン類等との共重合時に分子イ
ンプリンティング法を利用することで、より選択的に胆
汁酸のみを吸着することができるポリマーを提供するこ
とを目的とする。これにより、従来の陰イオン交換樹脂
からなるコレステロール低下剤において患者の大きな負
担となっていた服用量の問題を解決し、コンプライアン
スに優れたコレステロール低下剤を提供することが可能
となる。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明1は、少なくとも
一種の胆汁酸、または少なくとも一種の胆汁酸及び該胆
汁酸とミセル形成可能な化合物からなる胆汁酸複合ミセ
ルに対する、分子インプリンティング法により形成され
た特異的認識部位を有する胆汁酸特異的認識ポリマーで
あって、下記の一般式(1)で表される化合物と、下記
の一般式(2)で表される化合物との共重合体を架橋し
た構造であることを特徴とする胆汁酸特異的認識ポリマ
ーである。
【0014】
【化5】 但し、一般式(1)において、R1は水素原子、炭素数
1〜17のアルキル基または炭素数6〜8のアリール基
を、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子または炭素
数1〜3のアルキル基を表す。
【0015】
【化6】 但し、一般式(2)において、R4は水素原子またはメ
チル基を、Xはハロゲン化物イオン、水酸化物イオンま
たは1/2硫酸イオンを表す。
【0016】また、本発明1においては、前記特異的認
識部位が、少なくとも一種の胆汁酸、または少なくとも
一種の胆汁酸及び該胆汁酸とミセル形成可能な化合物か
らなる胆汁酸複合ミセルにより部分的に分子インプリン
ティングされており、かつ該胆汁酸と部分的に結合でき
ることを特徴とする胆汁酸特異的認識ポリマーであって
もよい。
【0017】本発明2は、本発明1のポリマーの製造方
法の一つであり、水性溶媒中で上記一般式(1)で表さ
れる化合物と、上記一般式(2)で表される化合物とを
共重合させて得られた未架橋共重合体を、少なくとも一
種の胆汁酸、または少なくとも一種の胆汁酸及び該胆汁
酸とミセル形成可能な化合物からなる胆汁酸複合ミセル
の共存下で架橋させて架橋共重合体を得る工程と、該架
橋共重合体から胆汁酸、または胆汁酸及び該胆汁酸とミ
セル形成可能な化合物を遊離除去させ、胆汁酸または胆
汁酸複合ミセルに対する特異的認識部位を形成させる工
程とからなることを特徴とする胆汁酸特異的認識ポリマ
ーの製造方法である。
【0018】本発明3は、上記本発明1の胆汁酸特異的
認識ポリマー、あるいは上記本発明2により得られた胆
汁酸特異的認識ポリマーを主成分とすることを特徴とす
るコレステロール低下剤である。以下に、本発明1〜3
(以下、単に本発明ともいう。)について詳説する。
【0019】本発明において認識対象となる胆汁酸とし
ては、コール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコー
ル酸、リトコール酸などが挙げられる。また、これらの
物質がグリシン又はタウリンとアミド状に結合した、抱
合胆汁酸も含まれ、例えば、グリココール酸、タウロコ
ール酸、グリコケノデオキシコール酸、タウロケノデオ
キシコール酸、グリコデオキシコール酸、タウロデオキ
シコール酸などが挙げられる。さらにこれらのナトリウ
ム、カリウム塩等も含まれる。
【0020】また、上記胆汁酸とミセル形成可能な化合
物としては、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、リノール酸、リノレン酸などの脂肪酸及びその塩;
レシチン、リゾレシチンなどのリン脂質;モノグリセリ
ド、ジグリセリドなどの両親媒性物質、及び、ミセル内
部に取り込まれるトリグリセリド、コレステロール、脂
溶性ビタミンなどの不溶性物質などが挙げられる。
【0021】胆汁酸は、図1に示すように嵩高い疎水性
のステロイド環の片側に水酸基やカルボキシル基などの
親水基を有する構造を持っている。その為、胆汁酸は水
性溶媒中で一般の界面活性剤とは異なる略円柱形状の特
殊なミセル形態をとる。生体内では、図2に示すよう
に、脂肪酸、リン脂質、トリグリセリド、モノグリセリ
ド及びコレステロールなどとの複合ミセルを形成してい
る。本発明では、上述のミセルを胆汁酸複合ミセルと称
する。図2において、半月状の部分は胆汁酸のステロイ
ド骨格を表している。このように、胆汁酸は、胆汁酸複
合ミセルの表面に存在していることがわかっている。
【0022】本発明1の胆汁酸特異的認識ポリマー(以
下、単に本発明1のポリマーともいう。)は、少なくと
も一種の胆汁酸に対する特異的認識部位、または少なく
とも一種の胆汁酸複合ミセルに対する特異的認識部位を
有する。認識対象となる胆汁酸の種類は一種である必要
はなく、2種以上の胆汁酸を同時に認識対象とすること
もできる。
【0023】上記特異的認識部位とは、認識対象たる胆
汁酸、あるいは胆汁酸複合ミセルの『鋳型』に相当する
部位であり、認識対象となる胆汁酸、あるいは胆汁酸複
合ミセルに相補的な孔状部のことをいう。認識対象であ
る胆汁酸、あるいは胆汁酸複合ミセルは、この特異的認
識部位との相互作用により、本発明1のポリマーに認識
(吸着)される。
【0024】本発明1のポリマーにおける特異的認識部
位は、分子インプリンティング法により形成されるもの
である。この分子インプリンティング法とは、上述した
通り、官能基を有する重合可能なモノマーをプリント分
子の存在下で重合させ、次いで、プリント分子を取り除
くことにより、プリント分子に相補的な特異的結合部位
を有するポリマーを調製する方法である。本発明におい
ては、このプリント分子が胆汁酸、または胆汁酸複合ミ
セル、より詳細には胆汁酸複合ミセルを形成しその表面
に存在している胆汁酸に相当する。なお特異的認識部位
は、認識対象となる胆汁酸の種類に応じて、それぞれの
特定種の胆汁酸に対応した認識部位が形成される。
【0025】本発明1の胆汁酸特異的認識ポリマーは、
下記の一般式(1)で表される化合物と、下記の一般式
(2)で表される化合物との共重合体を架橋した構造を
有する。
【0026】
【化7】 但し、一般式(1)において、R1は水素原子、炭素数
1〜17のアルキル基または炭素数6〜8のアリール基
を、R2は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基
を、R3は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を
表す。
【0027】
【化8】 但し、一般式(2)において、R4は水素原子またはメ
チル基を、Xはハロゲン化物イオン、水酸化物イオンま
たは1/2硫酸イオンを表す。
【0028】上記R1における炭素数1〜17のアルキ
ル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、
イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブ
チル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ウンデシル
基、ヘプタデシル基等の直鎖状、分枝状または環状のア
ルキル基が挙げられる。また、炭素数6〜8のアリール
基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基等が挙
げられる。上記R2及びR3における炭素数1〜3のアル
キル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、シクロプロピル基等が挙げられ
る。
【0029】上記一般式(1)で表される化合物の具体
例としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、
2−エチルイミダゾール、2−n−プロピルイミダゾー
ル、2−イソプロピルイミダゾール、2−ウンデシルイ
ミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェ
ニルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2
−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4
−メチルイミダゾール等が挙げられる。これらの物質
は、単独で用いられても複数種を組み合わせて用いられ
てもよい。また、かかる物質の中でも特に好適に用いら
れる物質は、2−メチルイミダゾールである。
【0030】上記Xのハロゲン化物イオンとしては、塩
化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げら
れる。
【0031】上記一般式(2)で表される化合物の具体
例としては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリ
ン、β−メチルエピクロロヒドリン等が挙げられる。こ
れらの物質は、単独で用いられても複数種を組み合わせ
て用いられてもよい。また、かかる物質の中でも特に好
適に用いられる物質は、エピクロロヒドリンである。
【0032】上記一般式(1)で表される化合物と、上
記一般式(2)で表される化合物との共重合開始時のモ
ル比は、一般式(1)で表される化合物1モルに対して
一般式(2)で表される化合物0.9〜1.5モルが好
ましく、より好ましくは一般式(2)で表される化合物
0.95〜1.05モルである。
【0033】重合溶媒としては、水性溶媒を用いるのが
好ましい。水性溶媒は、重合反応を損なわず、上記一般
式(1)及び(2)で表される単量体を十分溶解できる
ものであれば特に限定されるものではない。かかる水性
溶媒として、例えば、水、メタノール・エタノール等の
低級アルコール、または塩化ナトリウム、塩化カリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸水素ナトリ
ウム、リン酸水素カリウム等の無機塩水溶液などが挙げ
られ、好ましくは水が用いられる。また、これらの水性
溶媒は、単独で用いても複数種を組み合わせて用いても
よい。
【0034】上記一般式(1)及び(2)で表される単
量体の混合時の条件としては、一般式(1)で表される
化合物の溶液に、一般式(2)で表される化合物を50
〜80℃の温度条件下で滴下し、滴下終了後に重合反応
温度まで昇温するのが好ましい。この重合反応温度は、
30〜150℃が好ましく、より好ましくは80〜10
0℃である。また重合反応時間は、2〜30時間が好適
で、より好ましくは10〜20時間である。
【0035】上記重合反応終了後、得られた共重合体に
さらに上記一般式(2)で表される化合物を添加して反
応させた後、アルカリ処理を行うことで、共重合体の一
部にエポキシ基が形成される。この際の一般式(2)で
表される化合物の添加量は、共重合体中のイミダゾール
基1モルに対して、0.18〜0.32モルの比率であ
るのが好ましい。また、この際の反応温度は40〜70
℃が好ましく、より好ましくは45〜55℃である。ま
た反応時間は、0.5〜5時間が好ましい。
【0036】上記アルカリ処理に用いられるアルカリと
しては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カ
ルシウム等の水溶液が好ましく、より好ましくは水酸化
ナトリウム水溶液である。この際のアルカリの添加量
は、共重合体にさらに添加される上記一般式(2)の化
合物1モルに対して、0.9〜1.1モルの比率である
のが好ましい。また、処理温度は20〜30℃が好まし
く、処理時間は1〜4時間が好ましい。このようにし
て、共重合体の一部にエポキシ基が形成される。
【0037】上記のようにして得られた部分的にエポキ
シ基が存在する未架橋の共重合体に、胆汁酸水溶液、ま
たは胆汁酸や脂肪酸などが溶解した胆汁酸複合ミセル水
溶液を添加すると、未架橋共重合体と胆汁酸または胆汁
酸複合ミセルとが相互作用する。この相互作用として
は、静電的相互作用(イオン結合)、分子間相互作用
(水素結合、ファンデルワールス力)などが考えられ
る。
【0038】この後、架橋共重合体を得るには、上記胆
汁酸または胆汁酸複合ミセルと相互作用した未架橋共重
合体を、60〜150℃に昇温し、2〜15時間架橋反
応させる。より好ましくは、上記により得られた胆汁酸
または胆汁酸複合ミセルと相互作用した未架橋共重合体
を適当な液状媒体に懸濁させ、架橋させることにより、
取り扱いの容易な粒子状の架橋共重合体を得ることがで
きる。懸濁時の液滴の大きさは0.05〜2mmが好まし
い。さらに、安定した懸濁状態を形成し維持するために
は、当業者に周知の懸濁安定剤を液状媒体中に存在させ
ておくのが好ましい。また、液状媒体は未架橋共重合体
の1〜10重量倍用いるのがよい。このようにして胆汁
酸または胆汁酸複合ミセルを含有した架橋共重合体を得
ることができる。
【0039】さらに、上記架橋共重合体から胆汁酸、ま
たは胆汁酸及び該胆汁酸とミセル形成可能な化合物とを
遊離除去させ、胆汁酸または胆汁酸複合ミセルに対する
特異的認識部位を形成させることにより、本発明1のポ
リマーを得ることができる。胆汁酸、または、胆汁酸及
び該胆汁酸とミセル形成可能な化合物を遊離除去するに
は、例えば親水性溶媒で洗浄する方法が挙げられ、親水
性溶媒としては、希塩酸、酢酸、メタノール、エタノー
ル、アセトン、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独
で用いても複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0040】得られた胆汁酸特異的認識ポリマーは、そ
のまま用いてもよいし、粉砕後、篩などで特定の大きさ
のものだけを回収して用いてもよい。
【0041】本発明1のポリマーにおいては、特異的認
識部位が、少なくとも一種の胆汁酸、または、少なくと
も一種の胆汁酸及び該胆汁酸とミセル形成可能な化合物
からなる胆汁酸複合ミセルにより部分的に分子インプリ
ンティングされており、かつ該胆汁酸と部分的に結合で
きるのがより好ましい。
【0042】本発明3のコレステロール低下剤は、請求
項1または2に記載の胆汁酸特異的認識ポリマー(本発
明1)、あるいは請求項3に記載の製造方法(本発明
2)により得られた胆汁酸特異的認識ポリマーを主成分
とするものであり、その製剤化に当たっては、製剤学上
の技術分野における周知の技術によって、カプセル、錠
剤、顆粒剤、散剤などに調製できる。また、物理的及び
化学的に適合し得る一種以上の添加剤と混合した製剤と
することも可能である。
【0043】(作用)本発明の胆汁酸特異的認識ポリマ
ーは、胆汁酸または胆汁酸複合ミセルに対する特異的認
識部位が分子インプリンティング法により形成されてい
る。この胆汁酸または胆汁酸複合ミセルに対する特異的
認識部位は、アニオン性基を有する物質の中でも胆汁
酸、特に、胆汁酸複合ミセルを形成している胆汁酸に対
する親和性が高く、特異的な胆汁酸認識能を発現するこ
とができる。
【0044】
【実施例】以下の実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるも
のではない。
【0045】[実施例1]温度計、還流冷却管、攪拌
機、窒素ガス入口を設けた4口セパラブルフラスコに、
2−メチルイミダゾール41.1g(0.5mol)と水60mLを添
加して均一溶液とした。窒素雰囲気下にした後、溶液温
度を58℃に保ち、攪拌しながらエピクロロヒドリン46.3
g(0.5mol)を約1時間かけて滴下した。滴下終了後、
溶液温度を85℃に上昇させ、このまま15時間攪拌を続け
て共重合体を生成させた。次いで溶液温度を48℃まで冷
却させた後、エピクロロヒドリン9.3g(0.1mol)を1時
間かけて滴下し、そのまま2時間攪拌を行った。その
後、室温まで溶液を冷却し、20%水酸化ナトリウム水溶
液20g(0.1mol)を添加して共重合体溶液を得た。
【0046】水25mLにコール酸ナトリウム2.2g(5mmo
l)とオレイン酸ナトリウム2.1g(7mmol)を溶解させ、
複合ミセル溶液を調製した。この複合ミセル溶液を上記
共重合体溶液に添加し、この状態で2時間攪拌を行っ
た。その後、溶液温度を85℃に昇温し、水溶液が固化す
るまで攪拌を続けた。反応終了後、室温に戻し、水600m
Lを添加して共重合体を水和崩壊させ、固化した共重合
体が十分水和された後、吸引濾過しアセトンで洗浄を行
った。次いで真空乾燥を行い、小型ミルで微粉砕し、篩
を用いて212μm以下の粉砕物を回収した。
【0047】続いて、上記粉砕物を希塩酸(pH=2)でろ
液がpH=3になるまで洗浄し、その後アセトン:水=1:
1の溶液で2回洗浄した。ろ過回収後、真空下40℃にて
一晩乾燥し、本発明の胆汁酸特異的認識ポリマーを得
た。
【0048】[実施例2]オレイン酸ナトリウムを用い
ない、すなわち複合ミセル溶液の代わりに、コール酸ナ
トリウムのみの水溶液を共重合体溶液に添加したこと以
外は実施例1と同様にして、本発明の胆汁酸特異的認識
ポリマーを得た。
【0049】[実施例3]2−メチルイミダゾールの代
わりに2−エチルイミダゾールを、エピクロロヒドリン
の代わりにエピブロモヒドリンをそれぞれ同一のモル数
となるようにして用いたこと以外は実施例1と同様にし
て、本発明の胆汁酸特異的認識ポリマーを得た。なお、
2−エチルイミダゾール0.5mol、エピブロモヒドリン0.
5mol、エピブロモヒドリン0.1molは、それぞれ48.1g、6
8.5g、13.7gとなる。
【0050】[比較例1]コール酸ナトリウム及びオレ
イン酸ナトリウムを溶解させた複合ミセル溶液を、共重
合体溶液に添加しないこと以外は、実施例1と同様にし
てポリマー粒子を調製した。
【0051】[比較例2]コール酸ナトリウム及びオレ
イン酸ナトリウムを溶解させた複合ミセル溶液を、共重
合体溶液に添加しないこと以外は、実施例3と同様にし
てポリマー粒子を調製した。
【0052】[参考例]市販コレステロール低下剤・コ
レバイン錠(東京田辺製薬社製;主成分は、エピクロロ
ヒドリンとイミダゾールの共重合体)を小型ミルで微粉
砕し、篩を用いて粒径5〜200μmの粉砕物を分取した。
【0053】[コール酸吸着性能評価]コール酸ナトリ
ウムの濃度が3.0mM 、オレイン酸ナトリウムの濃度が
4.2mMになるように各々を人工腸液に溶解し、吸着性能
評価の試験液を調製した。なお、人工腸液は、日本薬局
方の崩壊試験法 試験液 第2液に従い、0.2mol/Lリン
酸二水素カリウム試液250mLに0.2mol/L水酸化ナトリウ
ム試液118mL 及び水を加えて1000mLとして調製した。
【0054】6本の50mL試験管に実施例、比較例及び参
考例の各ポリマー粒子10mgを入れ、これに上記試験液20
mLを添加した。37℃で60分間振とうしながらインキュベ
ートした後、0.45μmのフィルターで濾過して被検液を
得た。得られた被検液について、総胆汁酸−テストワコ
ー(和光純薬工業社製)を用いて、残存コール酸ナトリ
ウムを定量し、その結果からコール酸吸着量を算出し
た。結果を表1に示した。
【0055】
【表1】
【0056】表1から明らかなように、本発明の胆汁酸
特異的認識ポリマーは、同じ樹脂組成である比較例のポ
リマーに比べて胆汁酸の高い吸着性能を示した。
【0057】[コレステロール低下作用]6週齢のSD
系ラットに、1%コレステロール、0.5%胆汁末を含む
飼料を5日間与え、コレステロール食負荷開始日より毎
日、実施例1(第1群)、実施例2(第2群)、比較例
1(第3群)及び参考例(第4群)のポリマー粒子をそ
れぞれ300mg/kgを強制経口投与した(各n=6 )。実験終
了日の投与3時間後に腹部大静脈より採血し、血清中の
総コレステロール値を測定して、コレステロール低下作
用を評価した。また、対照群としてコレステロール食の
みを負荷した、および、普通食のみを負荷した群(各n=
6 )を作成し、同様の処置を行った。血清中の総コレス
テロール濃度の測定は、コレステロールC2テストワコ
ー(和光純薬工業社製)を用いて行った。
【0058】コレステロール低下作用は下式にしたがい
算出し、結果を表2に示した。 コレステロール低下作用(%)=(A−B)÷(A−
C)×100 A:対照群の総コレステロール濃度(mg/dl) B:各群の総コレステロール濃度(mg/dl) C:普通食群の総コレステロール濃度(mg/dl)
【0059】
【表2】
【0060】体重増加に関して被験群では、普通食群及
び対象群に比較するとやや鈍い増加傾向であったが、下
痢等の副作用は全群で認められなかった。表2から明ら
かなように、本発明の胆汁酸特異的認識ポリマーを用い
たコレステロール低下剤は、いずれも比較例1のポリマ
ー粒子及び参考例の市販薬と比較して高いコレステロー
ル低下作用を有することが確認された。
【0061】
【発明の効果】本発明の胆汁酸特異的認識ポリマーは、
胆汁酸または胆汁酸複合ミセルに対する親和性が高い特
異的認識部位を有しているため、従来の陰イオン交換樹
脂を凌駕する特異性の高い胆汁酸吸着性能を発現するこ
とができる。また、上記胆汁酸特異的認識ポリマーを主
成分とする本発明のコレステロール低下剤は、胆汁酸吸
着に際して競合物質の影響を受けにくく、腸管内で胆汁
酸吸着性能が低下しないため、服用量を低減することが
可能である。従って、従来のコレステロール低下剤に比
べてよりコンプライアンスに優れ、高脂血症の治療薬と
して極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 胆汁酸の構造式を示す図。
【図2】 胆汁酸複合ミセルのモデルを示す図であり、
(a)は正面図であり、(b)は上面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 AA03 AA04 FA03 MA01 MA04 MA52 NA14 ZA45 ZC33 4J043 PA01 QB17 QB51 RA41 SA31 TA38 UA381 UA622 ZB60

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一種の胆汁酸、または少なく
    とも一種の胆汁酸及び該胆汁酸とミセル形成可能な化合
    物からなる胆汁酸複合ミセルに対する、分子インプリン
    ティング法により形成された特異的認識部位を有する胆
    汁酸特異的認識ポリマーであって、 一般式(1)で表される化合物と、一般式(2)で表さ
    れる化合物との共重合体を架橋した構造であることを特
    徴とする胆汁酸特異的認識ポリマー。 【化1】 (但し、一般式(1)において、R1は水素原子、炭素
    数1〜17のアルキル基または炭素数6〜8のアリール
    基を、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子または炭
    素数1〜3のアルキル基を表す。) 【化2】 (但し、一般式(2)において、R4は水素原子または
    メチル基を、Xはハロゲン化物イオン、水酸化物イオン
    または1/2硫酸イオンを表す。)
  2. 【請求項2】 前記特異的認識部位が、少なくとも一種
    の胆汁酸、または少なくとも一種の胆汁酸及び該胆汁酸
    とミセル形成可能な化合物からなる胆汁酸複合ミセルに
    より部分的に分子インプリンティングされており、かつ
    該胆汁酸と部分的に結合できることを特徴とする請求項
    1に記載の胆汁酸特異的認識ポリマー。
  3. 【請求項3】 水性溶媒中で一般式(1)で表される化
    合物と、一般式(2)で表される化合物とを共重合させ
    て得られた未架橋共重合体を、少なくとも一種の胆汁
    酸、または少なくとも一種の胆汁酸及び該胆汁酸とミセ
    ル形成可能な化合物からなる胆汁酸複合ミセルの共存下
    で架橋させて架橋共重合体を得る工程と、該架橋共重合
    体から胆汁酸、または胆汁酸及び該胆汁酸とミセル形成
    可能な化合物を遊離除去させ、胆汁酸または胆汁酸複合
    ミセルに対する特異的認識部位を形成させる工程とから
    なることを特徴とする胆汁酸特異的認識ポリマーの製造
    方法。 【化3】 (但し、一般式(1)において、R1は水素原子、炭素
    数1〜17のアルキル基または炭素数6〜8のアリール
    基を、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子または炭
    素数1〜3のアルキル基を表す。) 【化4】 (但し、一般式(2)において、R4は水素原子または
    メチル基を、Xはハロゲン化物イオン、水酸化物イオン
    または1/2硫酸イオンを表す。)
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の胆汁酸特異的
    認識ポリマー、あるいは請求項3に記載の製造方法によ
    り得られた胆汁酸特異的認識ポリマーを主成分とするこ
    とを特徴とするコレステロール低下剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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