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JP2003096176A - ポリエステル重合触媒およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル重合触媒およびその製造方法

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Publication number
JP2003096176A
JP2003096176A JP2001285696A JP2001285696A JP2003096176A JP 2003096176 A JP2003096176 A JP 2003096176A JP 2001285696 A JP2001285696 A JP 2001285696A JP 2001285696 A JP2001285696 A JP 2001285696A JP 2003096176 A JP2003096176 A JP 2003096176A
Authority
JP
Japan
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polyester
acid
aluminum
catalyst
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001285696A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiro Nakajima
孝宏 中嶋
Kenichi Tsukamoto
健一 塚本
Shoichi Gyobu
祥一 形舞
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2001285696A priority Critical patent/JP2003096176A/ja
Publication of JP2003096176A publication Critical patent/JP2003096176A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】アンチモン化合物又はゲルマニウム化合物を触
媒主成分として含まず、アルミニウムおよびコバルトを
主たる金属成分とし、安価で、触媒活性に優れ、装置へ
の腐食が少なく、さらにはポリエステルに不溶性の異物
の生成が低減したポリエステルを与えるポリエステル重
合触媒およびその製造方法を提供する。 【解決手段】コバルトおよびその化合物からなる群より
選ばれる少なくとも1種と、水および/または有機溶媒
にカルボン酸アルミニウム塩からなる群より選ばれる少
なくとも1種を溶解した溶液とからなるポリエステル重
合触媒。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステル重合触
媒及びその製造方法に関するものであり、さらに該重合
触媒を用いて製造されたポリエステル、並びにポリエス
テルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエ
チレンナフタレート(PEN)等に代表されるポリエス
テルは、機械的特性、及び化学的特性に優れており、そ
れぞれのポリエステルの特性に応じて、例えば衣料用や
産業資材用の繊維、包装用や磁気テープ用などのフィル
ムやシート、中空成形品であるボトル、電気・電子部品
のケーシング、その他エンジニアリングプラスチック成
形品等の広範な分野において使用されている。
【0003】代表的なポリエステルである芳香族ジカル
ボン酸とアルキレングリコールを主構成成分とするポリ
エステルは、例えばポリエチレンテレフタレート(PE
T)の場合には、テレフタル酸もしくはテレフタル酸ジ
メチルとエチレングリコールとのエステル化もしくはエ
ステル交換によってビス(2−ヒドロキシエチル)テレ
フタレートを製造し、これを高温、真空下で触媒を用い
て重縮合する重縮合法等により、工業的に製造されてい
る。
【0004】従来から、このようなポリエステルの重縮
合時に用いられるポリエステル重合触媒としては、三酸
化アンチモンが広く用いられている。三酸化アンチモン
は、安価で、かつ優れた触媒活性をもつ触媒であるが、
これを主成分、即ち、実用的な重合速度が発揮される程
度の添加量にて使用すると、重縮合時に金属アンチモン
が析出するため、ポリエステルに黒ずみや異物が発生す
るという問題点を有している。このような経緯で、アン
チモンを全く含まないか或いはアンチモンを触媒主成分
として含まないポリエステルが望まれている。
【0005】なおポリエステル中の上記の異物は以下の
ような問題を起こす。 (1)フィルム用のポリエステルにおいては、金属アン
チモンの析出は、ポリエステル中の異物となり、溶融押
し出し時の口金汚れの原因になるだけでなく、フィルム
の表面欠点の原因にもなる。また、中空の成形品等の原
料とした場合には、透明性の優れた中空成形品を得るこ
とが困難である。 (2)繊維用のポリエステル中の異物は、繊維中に強度
低下をもたらす異物となり、製糸時の口金汚れの原因と
なる。ポリエステル繊維の製造においては、主に操業性
の観点から、異物の発生のないポリエステル重合触媒が
求められる。
【0006】上記の問題を解決する方法として、触媒と
して三酸化アンチモンを用いて、かつPETの黒ずみや
異物の発生を抑制する試みが行われている。例えば、特
許第2666502号においては、重縮合触媒として三
酸化アンチモンとビスマス及びセレンの化合物を用いる
ことで、PET中の黒色異物の生成を抑制している。ま
た、特開平9−291141号においては、重縮合触媒
としてナトリウム及び鉄の酸化物を含有する三酸化アン
チモンを用いると、金属アンチモンの析出が抑制される
ことを述べている。ところが、これらの重縮合触媒で
は、結局ポリエステル中のアンチモンの含有量を低減す
るという目的は達成できない。
【0007】PETボトル等の透明性が要求される用途
について、アンチモン触媒の有する問題点を解決する方
法として、例えば特開平6−279579号公報では、
アンチモン化合物とリン化合物の使用量比を規定するこ
とにより透明性を改良される方法が開示されている。し
かしながら、この方法で得られたポリエステルからの中
空成形品は透明性が十分なものとはいえない。
【0008】また、特開平10−36495号公報に
は、三酸化アンチモン、リン酸及びスルホン酸化合物を
使用して透明性に優れたポリエステルの連続製造法が開
示されている。しかしながら、このような方法で得られ
たポリエステルは熱安定性が悪く、得られた中空成形品
のアセトアルデヒド含量が高くなるという問題を有して
いる。
【0009】三酸化アンチモン等のアンチモン系触媒に
代わる重縮合触媒の検討も行われており、テトラアルコ
キシチタネートに代表されるチタン化合物やスズ化合物
がすでに提案されているが、これらを用いて製造された
ポリエステルは溶融成形時に熱劣化を受けやすく、また
ポリエステルが著しく着色するという問題点を有する。
【0010】このような、チタン化合物を重縮合触媒と
して用いたときの問題点を克服する試みとして、例え
ば、特開昭55−116722号では、テトラアルコキ
シチタネートをコバルト塩及びカルシウム塩と同時に用
いる方法が提案されている。また、特開平8−7358
1号によると、重縮合触媒としてテトラアルコキシチタ
ネートをコバルト化合物と同時に用い、かつ蛍光増白剤
を用いる方法が提案されている。ところが、これらの技
術では、テトラアルコキシチタネートを重縮合触媒とし
て用いたときのPETの着色は低減されるものの、PE
Tの熱分解を効果的に抑制することは達成されていな
い。
【0011】チタン化合物を触媒として用いて重合した
ポリエステルの溶融成形時の熱劣化を抑制する他の試み
として、例えば、特開平10−259296号では、チ
タン化合物を触媒としてポリエステルを重合した後にリ
ン系化合物を添加する方法が開示されている。しかし、
重合後のポリマーに添加剤を効果的に混ぜ込むことは技
術的に困難であるばかりでなく、コストアップにもつな
がり実用化されていないのが現状である。
【0012】アンチモン化合物以外で優れた触媒活性を
有しかつ熱安定性に優れたポリエステルを与える触媒と
しては、ゲルマニウム化合物がすでに実用化されている
が、この触媒は非常に高価であるという問題点や、重合
中に反応系から外へ留出しやすいため反応系の触媒濃度
が変化し重合の制御が困難になるという課題を有してお
り、触媒主成分として使用することには問題がある。
【0013】また、ポリエステルの溶融成形時の熱劣化
を抑制する方法として、ポリエステルから触媒を除去す
る方法も挙げられる。ポリエステルから触媒を除去する
方法としては、例えば特開平10−251394号公報
には、酸性物質の存在下にポリエステル樹脂と超臨界流
体である抽出剤とを接触させる方法が開示されている。
しかし、このような超臨界流体を用いる方法は技術的に
困難である上にコストアップにもつながるので好ましく
ない。
【0014】以上のような経緯で、アンチモン及びゲル
マニウム以外の金属成分を触媒の主たる金属成分とする
重合触媒であり、触媒活性に優れかつ溶融成形時に熱劣
化をほとんど起こさない熱安定性に優れたポリエステル
を与える重合触媒が望まれている。
【0015】一方、特開平10―324741号や特表
平11−507694号などではアルミニウム化合物と
コバルト化合物を併用した触媒が提案されている。アル
ミニウム化合物としては、アルミニウムアセチルアセト
ネート等のアルミニウムのキレート化合物、塩化アルミ
ニウムや水酸化アルミニウム等の無機酸塩、カルボン酸
のアルミニウム塩、あるいはアルミニウムアルコキサイ
ドなどが例示されている。このうち、アルミニウムアセ
チルアセトネート等のアルミニウムのキレート化合物は
一般に高価であり、かつ化合物中のアルミニウム含有量
が低いためコストアップにつながるという問題やエチレ
ングリコール等の溶媒に対する溶解度が低く添加方法が
制限されるという問題を有している。水酸化アルミニウ
ムやアルミニウムアルコキサイドは系への溶解性が低く
触媒活性が低いという問題やポリエステル中に不溶性の
異物が発生するという問題を有している。塩化アルミニ
ウム等の塩素を含有する無機酸塩は触媒活性には比較的
優れるが、装置に対する腐食性が高いという問題や得ら
れるポリマーの着色が大きいという問題を有する。
【0016】一方、カルボン酸のアルミニウム塩として
は、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、乳酸
アルミニウム、安息香酸アルミニウムなどが例示されて
おり、これらは、一般に安価で装置に対する腐食性は低
いが、ポリエステルに対する溶解性が低いため、触媒活
性に劣るとともに、得られるポリエステルに濁りが生じ
るといった問題を有しており触媒として使用するには問
題があった。例えば、特開平10−324741号で
は、酢酸アルミニウムを触媒として用いたポリエステル
は不溶性の異物を形成しやすく、製糸性に劣るといった
問題が生じることが記載されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アンチモン
化合物又はゲルマニウム化合物を触媒主成分として含ま
ず、アルミニウムおよびコバルトを主たる金属成分と
し、安価で、触媒活性に優れ、装置への腐食が少なく、
さらにはポリエステルに不溶性の異物の生成が低減した
ポリエステルを与えるポリエステル重合触媒およびその
製造方法を提供する。本発明はまた、前記触媒を使用し
たポリエステルの製造方法ならびにポリエステルを提供
する。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の筆者らは、カル
ボン酸のアルミニウム塩とコバルト化合物とからなる触
媒の活性を向上することを目指して鋭意検討を重ねた結
果、カルボン酸アルミニウム塩を予め水や有機溶媒に溶
解したものをコバルト化合物と併用したものを触媒とし
て用いることで触媒活性が向上することを見いだし本発
明を提案するに到った。すなわち、本発明は上記課題の
解決方法として、コバルトおよびその化合物からなる群
より選ばれる少なくとも1種と、水および/または有機
溶媒にカルボン酸アルミニウム塩からなる群より選ばれ
る少なくとも1種を溶解した溶液からなるポリエステル
重合触媒ならびに該溶液の製造方法を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明のカルボン酸アルミニウム
塩としては、具体的には、ギ酸アルミニウム、酢酸アル
ミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、プロピオン酸アル
ミニウム、シュウ酸アルミニウム、アクリル酸アルミニ
ウム ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニ
ウム、安息香酸アルミニウム、トリクロロ酢酸アルミニ
ウム、乳酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、酒石
酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウムなどが挙げら
れるが、これらのうち酢酸アルミニウム、塩基性酢酸ア
ルミニウム等の酢酸のアルミニウム塩の構造を有するも
のや乳酸アルミニウムが系への溶解性や触媒活性の観点
から好ましい。
【0020】カルボン酸のアルミニウム塩をポリエステ
ル重合触媒として用いた例としては、酢酸アルミニウ
ム、塩基性酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、安息
香酸アルミニウムなどがこれまでに例示されているが、
これらはいずれもポリエステルに対する溶解性が低いた
め、触媒活性に劣るとともに、得られるポリエステルに
不溶性の異物が生成するといった問題を有しており、こ
れらの化合物をそのまま触媒として使用するには問題が
あった。本発明では、これらを水および/または有機溶
媒に予め溶解したものをコバルト化合物と組み合わせて
触媒として用いることで十分な触媒活性を持たせること
ができることを見いだしたことに特徴を有する。
【0021】本発明のカルボン酸アルミニウム塩は、ポ
リエステルの重合系に添加する前に、予め水および/ま
たは有機溶媒に溶解した状態にして、重合系に添加しな
ければならない。有機溶媒としては、グリコール類の使
用が好ましく、PETを製造する場合は、エチレングリ
コールを用いることが好ましい。上記のカルボン酸アル
ミニウム塩の溶液とコバルト化合物は、予め混合したも
のを重合系へ添加してもよいし、両者を別々に添加して
もよい。カルボン酸アルミニウム塩の溶液とコバルト化
合物を混合したものを重合系へ添加する場合は、予め調
製したアルミニウム化合物の溶液にコバルト化合物を添
加してもよいし、予め調製したコバルト化合物の溶液に
アルミニウム化合物を溶解してもよい。あるいは、両者
の溶液を混合して調製してもよいし、両者を同時に溶剤
に溶解してもよい。カルボン酸アルミニウム塩の溶液と
コバルト化合物を別々に重合系へ添加する場合、コバル
ト化合物は、粉末状ないしはニート状での添加であって
もよいし、エチレングリコールなどの溶媒のスラリー状
もしくは溶液状での添加であってもよく、特に限定され
ない。
【0022】酢酸のアルミニウム塩の構造を有するもの
としては、塩基性酢酸アルミニウム、トリ酢酸アルミニ
ウム、酢酸アルミニウム溶液などが挙げられるが、これ
らの中でも、溶解性および溶液の安定性の観点から、塩
基性酢酸アルミニウムの使用が好ましい。塩基性酢酸ア
ルミニウムの中でも、モノ酢酸アルミニウム、あるいは
ジ酢酸アルミニウムの使用が好ましい。いずれの塩基性
酢酸アルミニウムも水および/または有機溶剤に溶解し
たものを触媒として用いることが必要である。かかる構
成の触媒を使用することにより、触媒活性に優れ、品質
に優れたポリエステルを得ることが可能になる。溶剤と
しては、水やジオール類の使用が好ましく、PETを製
造する場合は、水および/またはエチレングリコールの
使用が好ましい。
【0023】また別の本発明では、カルボン酸アルミニ
ウム塩が、ホウ酸等で安定化されたものをコバルト化合
物と併用したものを触媒として用いると、溶解性や溶液
の安定性が優れ、触媒活性に優れるとともに、品質に優
れたポリエステルが得られることを見いだしたことに特
徴を有する。カルボン酸アルミニウム塩としては、酢酸
のアルミニウム塩の構造を有するものが好ましく、その
中でも塩基性酢酸アルミニウムの使用が好ましい。安定
剤としては、ホウ酸以外に尿素、チオ尿素などが挙げら
れるが、ホウ酸の使用が好ましい。ホウ酸で安定化され
たものを用いる場合、アルミニウムに対して等モル以下
の量のホウ酸で安定化されたものを用いることが好まし
く、とくに1/2〜1/3モル量のホウ酸で安定化され
たアルミニウム化合物の使用が好ましい。カルボン酸ア
ルミニウム塩がホウ酸等で安定化されたものをコバルト
化合物と併用して触媒として用いる場合、これらを予め
水および/または有機溶剤に溶解した状態にして重合系
に添加することが、触媒活性およびポリエステルの品質
の観点から好ましい。有機溶媒としては、グリコール類
の使用が好ましく、PETを製造する場合は、エチレン
グリコールを用いることが好ましい。
【0024】本発明のカルボン酸アルミニウム塩を水お
よび/または有機溶媒に溶解した溶液を製造するため
に、カルボン酸アルミニウム塩を予め水に溶解した溶液
を用いることが好ましい。該水溶液に必要に応じてジオ
ール類等の有機溶剤を加えることが好ましい。該水溶液
をそのまま重合系に添加してもよいが、添加時のヒート
ショックをやわらげる為に、該水溶液をエチレングリコ
ール等のジオール類で希釈したものを重合系に添加する
か、あるいは、ジオール類で希釈した溶液を液―液置換
することで水を留去したものを重合系に添加することが
好ましい。
【0025】カルボン酸アルミニウム塩の水溶液をエチ
レングリコール等のジオール類で希釈する場合、水に対
して容量比で0.5〜50倍量のジオール類で希釈する
ことが好ましい。また、重合系に添加するカルボン酸ア
ルミニウム塩の溶液の濃度としては、アルミニウム原子
換算で0.01〜1モル/リットルとすると、得られる
ポリエステル中に不溶性の異物の生成がとくに抑制され
るため好ましい。
【0026】カルボン酸アルミニウム塩を水および/ま
たは有機溶剤に溶解する際、あるいは溶解した溶液に、
ホウ酸等の安定剤やくえん酸、乳酸、蓚酸等の酸を添加
することで溶解性や溶液の安定性が高まるため好まし
い。
【0027】以下に、本発明で用いられる塩基性酢酸ア
ルミニウムを水および/または有機溶剤に溶解した溶液
の調製方法の具体例を示す。 (1)塩基性酢酸アルミニウムの水溶液の調製例 塩基性酢酸アルミニウムに水を加え室温で数時間以上攪
拌する。攪拌時間は、12時間以上であることが好まし
い。その後、60℃以上で数時間以上攪拌を行う。この
場合の温度は、60〜80℃の範囲であることが好まし
い。攪拌時間は、3時間以上であることが好ましい。水
溶液の濃度は、5g/l〜100g/lが好ましく、とくに1
0g/l〜30g/lが好ましい。 (2)塩基性酢酸アルミニウムのエチレングリコール溶
液の調製例 上述の水溶液に対してエチレングリコールを加える。エ
チレングリコールの添加量は水溶液に対して容量比で1
〜5倍量が好ましい。より好ましくは2〜3倍量であ
る。該溶液を数時間常温で攪拌することで均一な水/エ
チレングリコール混合溶液を得る。その後、該溶液を加
熱し、水を留去することでエチレングリコール溶液を得
ることができる。温度は80℃以上が好ましく、120
℃以下が好ましい。より好ましくは90〜110℃で数
時間攪拌して水を留去することが好ましい。
【0028】以下に、本発明で用いられる乳酸アルミニ
ウムのエチレングリコール溶液の調製方法の具体例を示
す。乳酸アルミニウムの水溶液を調製する。調製は室温
下でも加熱下でもよいが室温下が好ましい。水溶液の濃
度は20g/l〜100g/lが好ましく、50〜80
g/lがとくに好ましい。該水溶液にエチレングリコー
ルを加える。エチレングリコールの添加量は水溶液に対
して容量比で1〜5倍量が好ましい。より好ましくは2
〜3倍量である。該溶液を常温で攪拌し均一な水/エチ
レングリコール混合溶液を得た後、該溶液を加熱し、水
を留去することでエチレングリコール溶液を得ることが
できる。温度は80℃以上が好ましく、120℃以下が
好ましい。より好ましくは90〜110℃で数時間攪拌
して水を留去することが好ましい。
【0029】本発明の方法に従ってポリエステルを製造
する際の、アルミニウム化合物の使用量としては、得ら
れるポリエステルのジカルボン酸や多価カルボン酸など
のカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対してア
ルミニウム原子として0.001〜0.05モル%が好
ましく、更に好ましくは0.005〜0.02モル%で
ある。使用量が0.001モル%未満であると触媒活性
が十分に発揮されない場合があり、使用量が0.05モ
ル%より多いと、熱安定性や熱酸化安定性の低下、アル
ミニウムに起因する異物の発生や着色の増加が問題にな
る場合が発生する。
【0030】本発明の方法に従ってポリエステルを製造
する際の、コバルト化合物の使用量としては、得られる
ポリエステルに対してコバルト原子として1〜50pp
mの範囲であることが好ましく、5〜40ppmの範囲
であることが更に好ましい。使用量が50ppmを越え
ると、得られるポリエステルの熱安定性や色調が悪化す
る傾向があるため好ましくない。使用量が1ppm未満
だと触媒活性が十分に発揮されない場合がある。
【0031】本発明の方法に従ってポリエステルを製造
する際の、アルミニウム化合物とコバルト化合物の添加
量の比は、アルミ原子/コバルト原子のモル比が0.1
〜100となるようにすると得られるポリエステルの色
調や熱安定性が優れるため好ましい。より好ましくは
0.5〜50、さらに好ましくは1〜20である。
【0032】本発明で用いられるコバルト化合物として
は特に限定はないが、具体的には例えば、酢酸コバル
ト、硝酸コバルト、塩化コバルト、コバルトアセチルア
セトネート、ナフテン酸コバルトおよびそれらの水和物
等が挙げられる。その中でも特に酢酸コバルト四水和物
が好ましい。
【0033】本発明によるポリエステルの製造は、触媒
として本発明のポリエステル重合触媒を用いる点以外は
従来公知の工程を備えた方法で行うことができる。例え
ば、PETを製造する場合は、テレフタル酸とエチレン
グリコ−ル及び必要により他の共重合成分を直接反応さ
せて水を留去しエステル化した後、減圧下に重縮合を行
う直接エステル化法、または、テレフタル酸ジメチルと
エチレングリコ−ル及び必要により他の共重合成分を反
応させてメチルアルコ−ルを留去しエステル交換させた
後、減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造さ
れる。さらに必要に応じて極限粘度を増大させる為に固
相重合を行ってもよい。固相重合前の結晶化促進のた
め、溶融重合ポリエステルを吸湿させたあと加熱結晶化
させたり、また水蒸気を直接ポリエステルチップに吹き
つけて加熱結晶化させたりしてもよい。
【0034】前記溶融重縮合反応は、回分式反応装置で
行っても良いし、また連続式反応装置で行っても良い。
これらいずれの方式においても、エステル化反応、ある
いはエステル交換反応は1段階で行っても良いし、また
多段階に分けて行っても良い。溶融重縮合反応も1段階
で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。
固相重合反応は、溶融重縮合反応と同様、回分式装置や
連続式装置で行うことが出来る。溶融重縮合と固相重合
は連続で行っても良いし、分割して行ってもよい。
【0035】本発明の触媒は、重縮合反応のみならずエ
ステル化反応及びエステル交換反応にも触媒活性を有す
る。例えば、テレフタル酸ジメチルなどのジカルボン酸
のアルキルエステルとエチレングリコールなどのグリコ
ールとのエステル交換反応による重合は、通常チタン化
合物や亜鉛化合物などのエステル交換触媒の存在下で行
われるが、これらの触媒に代えて、もしくはこれらの触
媒に共存させて本発明の触媒を用いることもできる。ま
た、本発明の触媒は、溶融重合のみならず固相重合や溶
液重合においても触媒活性を有しており、いずれの方法
によってもポリエステルを製造することが可能である。
【0036】本発明の触媒は、重合反応の任意の段階、
例えばエステル化反応もしくはエステル交換反応の開始
前及び反応途中の任意の段階もしくは重縮合反応の開始
直前あるいは反応途中に反応系へ添加することができ
る。本発明の触媒を構成するアルミニウム化合物の溶液
とコバルト化合物を同じ添加時期に重合系に添加しても
よいし、それぞれを別々の添加時期に添加してもよい。
とくに、アルミニウム化合物は重縮合反応の開始直前に
添加することが好ましい。また、触媒の全量を一度に添
加しても、複数回に分けて添加してもよい。
【0037】本発明において、アルミニウム化合物およ
びコバルト化合物以外の化合物の添加方法は、粉末状な
いしはニート状での添加であってもよいし、エチレング
リコールなどの溶媒のスラリー状もしくは溶液状での添
加であってもよく、特に限定されない。また、本発明の
アルミニウム化合物の触媒溶液とその他の化合物とを予
め混合した混合物として添加してもよいし、これらを別
々に添加してもよい。また本発明のアルミニウム化合物
の触媒溶液とその他の化合物とを同じ添加時期に重合系
に添加してもよく、それぞれの成分を別々の添加時期に
添加してもよい。
【0038】本発明の方法に従ってポリエステルを製造
する際は、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チ
タン化合物などの他の重縮合触媒を、これらの成分の添
加が前述のようなポリエステルの特性、加工性、色調等
製品に問題を生じない添加量の範囲内において共存させ
て用いることは、重合時間の短縮による生産性を向上さ
せる際に有効であり、好ましい。
【0039】アンチモン化合物は、重合して得られるポ
リエステルに対してアンチモン原子として50ppm以
下の量で添加することが好ましい。より好ましい添加量
は、30ppm以下である。アンチモンの添加量を50
ppm以上にすると、金属アンチモンの析出が起こり、
ポリエステルに黒ずみや異物が発生するため好ましくな
い。
【0040】ゲルマニウム化合物は、重合して得られる
ポリエステルに対してゲルマニウム原子として20pp
m以下の量で添加することが好ましい。より好ましい添
加量は10ppm以下である。ゲルマニウムの添加量を
20ppm以上にすると、コスト的に不利になるため好
ましくない。
【0041】チタン化合物は、重合して得られるポリエ
ステルに対してチタン原子として5ppm以下の量で添
加することが好ましい。より好ましい添加量は3ppm
以下であり、さらに好ましくは1ppm以下である。チ
タンの添加量を5ppm以上にすると、得られるポリエ
ステルの着色が顕著になり、さらに熱安定性が顕著に低
下するため好ましくない。
【0042】本発明において使用可能なアンチモン化合
物としては、特に限定はされないが、好適な化合物とし
て三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモ
ン、アンチモングリコキサイドなどが挙げられ、特に三
酸化アンチモンの使用が好ましい。また、ゲルマニウム
化合物としては、特に限定はされないが、二酸化ゲルマ
ニウム、四塩化ゲルマニウムなどが挙げられ、特に二酸
化ゲルマニウムが好ましい。二酸化ゲルマニウムとして
は結晶性のものと非晶性のものの両方が使用できる。
【0043】本発明において使用可能なチタン化合物と
しては特に限定はされないが、テトラ−n−プロピルチ
タネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n
−ブチルチタネート、テトライソブチルチタネート、テ
トラ−tert−ブチルチタネート、テトラシクロヘキ
シルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベ
ンジルチタネート、蓚酸チタン酸リチウム、蓚酸チタン
酸カリウム、蓚酸チタン酸アンモニウム、酸化チタン、
チタンとケイ素やジルコニウムやアルカリ金属やアルカ
リ土類金属などとの複合酸化物、チタンのオルトエステ
ルまたは縮合オルトエステル、チタンのオルトエステル
または縮合オルトエステルとヒドロキシカルボン酸から
なる反応生成物、チタンのオルトエステルまたは縮合オ
ルトエステルとヒドロキシカルボン酸とリン化合物から
なる反応生成物、チタンのオルトエステルまたは縮合オ
ルトエステルと少なくとも2個のヒドロキシル基を有す
る多価アルコール、2−ヒドロキシカルボン酸および塩
基からなる反応生成物などが挙げられ、このうちチタン
とケイ素の複合酸化物、チタンとマグネシウムの複合酸
化物、チタンのオルトエステルまたは縮合オルトエステ
ルとヒドロキシカルボン酸とリン化合物からなる反応生
成物が好ましい。
【0044】またスズ化合物としては、ジブチルスズオ
キサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テトラエチ
ルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、トリエチルス
ズハイドロオキサイド、モノブチルヒドロキシスズオキ
サイド、トリイソブチルスズアセテート、ジフェニルス
ズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、ジブ
チルスズサルファイド、ジブチルヒドロキシスズオキサ
イド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸などが
挙げられ、特にモノブチルヒドロキシスズオキサイドの
使用が好ましい。
【0045】本発明に言うポリエステルとは、ジカルボ
ン酸を合む多価カルボン酸及びこれらのエステル形成性
誘導体から選ばれる一種又は二種以上とグリコールを合
む多価アルコールから選ばれる一種又は二種以上とから
成るもの、又はヒドロキシカルボン酸及びこれらのエス
テル形成性誘導体から成るもの、又は環状エステルから
成るものをいう。
【0046】ジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、
コハク酸、グルタル酸、アジビン酸、ビメリン酸、スベ
リン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン
酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン
酸、ヘキサデカンジカルボン酸、3−シクロブタンジカ
ルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,
2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキ
サンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、2,5−ノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸な
どに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエ
ステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコン
酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸又はこれ
らのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸、ジフェニン酸、1,3−ナフタレ
ンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、
1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,
4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニル
スルホンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテル
ジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−
p,p’−ジカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジ
カルボン酸などに例示される芳香族ジカルボン酸又はこ
れらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0047】上記のジカルボン酸のなかでも、特に、テ
レフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸の
使用が、得られるポリエステルの物理特性等の点で好ま
しく、必要に応じて他のジカルボン酸を構成成分とす
る。
【0048】これらジカルボン酸以外の多価カルボン酸
として、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン
酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメ
リット酸、トリメシン酸、3,4,3’,4’−ビフェ
ニルテトラカルボン酸、及びこれらのエステル形成性誘
導体などが挙げられる。
【0049】グリコールとしてはエチレングリコール、
1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレン
グリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブ
チレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペ
ンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2
−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジ
オール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シ
クロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジ
メタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、
1,4−シクロヘキサンジエタノール、1,10−デカ
メチレングリコール、1,12−ドデカンジオール、ポ
リエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、
ポリテトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族
グリコール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビ
スフェノ−ル、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキ
シ)ベンゼン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ
フェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)
エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,2−ビス
(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノール
A、ビスフェノールC、2,5−ナフタレンジオール、
これらのグリコールにエチレンオキシドが付加されたグ
リコール、などに例示される芳香族グリコールが挙げら
れる。
【0050】上記のグリコールのなかでも、特に、エチ
レングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,
4−ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメ
タノールを主成分として使用することが好適である。
【0051】これらグリコール以外の多価アルコールと
して、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリ
セロ−ル、ヘキサントリオールなどが挙げられる。
【0052】ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、ク
エン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3−ヒド
ロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒド
ロキシエトキシ)安息香酸、4−ヒドロキシシクロヘキ
サンカルボン酸、又はこれらのエステル形成性誘導体な
どが挙げられる。
【0053】環状エステルとしては、ε−カプロラクト
ン、β−プロピオラクトン、β−メチル−β−プロピオ
ラクトン、δ−バレロラクトン、グリコリド、ラクチド
などが挙げられる。
【0054】多価カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸の
エステル形成性誘導体としては、これらのアルキルエス
テル、酸クロライド、酸無水物などが例示される。
【0055】本発明で用いられるポリエステルは、主た
る酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導
体もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル
形成性誘導体であり、主たるグリコール成分がアルキレ
ングリコールであるポリエステルが好ましい。
【0056】主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエ
ステル形成性誘導体であるポリエステルとは、全酸成分
に対してテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体
を合計して70モル%以上含有するポリエステルである
ことが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有す
るポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以
上含有するポリエステルである。主たる酸成分がナフタ
レンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であ
るポリエステルも同様に、ナフタレンジカルボン酸また
はそのエステル形成性誘導体を合計して70モル%以上
含有するポリエステルであることが好ましく、より好ま
しくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さ
らに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルで
ある。
【0057】主たるグリコール成分がアルキレングリコ
ールであるポリエステルとは、全グリコール成分に対し
てアルキレングリコールを合計して70モル%以上含有
するポリエステルであることが好ましく、より好ましく
は80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに
好ましくは90モル%以上含有するポリエステルであ
る。ここで言うアルキレングリコールは、分子鎖中に置
換基や脂環構造を含んでいてもよい。
【0058】本発明で用いられるナフタレンジカルボン
酸またはそのエステル形成性誘導体としては、上述のジ
カルボン酸類に例示した1,3−ナフタレンジカルボン
酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタ
レンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
2,7−ナフタレンジカルボン酸、またはこれらのエス
テル形成性誘導体が好ましい。
【0059】本発明で用いられるアルキレングリコール
としては、上述のグリコールとして例示したエチレング
リコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プ
ロピレングリコール、1,2−プチレングリコール、
1,3−プチレングリコール、2,3−プチレングリコ
ール、,4−プチレングリコール、1,5−ペンタンジ
オール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジ
オール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シ
クロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオー
ル、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シ
クロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール、
1,10−デカメチレングリコール、1,12−ドデカ
ンジオール等の使用が好適である。これらは同時に2種
以上を使用してもよい。
【0060】本発明のポリエステルとしては、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リプロピレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘ
キサンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフ
タレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレン
ナフタレート及びこれらの共重合体が好ましく、これら
のうち、ポリエチレンテレフタレート及びその共重合体
が特に好ましい。
【0061】また、本発明のポリエステルには公知のリ
ン系化合物を共重合成分として含むことができる。リン
系化合物としては二官能性リン系化合物が好ましく、例
えば(2−カルボキシルエチル)メチルホスフィン酸、
(2−カルボキシルエチル)フェニルホスフィン酸、
9,10−ジヒドロ−10−オキサ−(2,3−カルボ
キシプロピル)−10−ホスファフェナンスレン−10
−オキサイドなどが挙げられる。これらのリン系化合物
を共重合成分として含むことで、得られるポリエステル
の難燃性等を向上させることが可能である。
【0062】本発明のポリエステルの構成成分として、
ポリエステルを繊維として使用した場合の染色性改善の
ために、スルホン酸アルカリ金属塩基を有するポリカル
ボン酸を共重合成分とすることは好ましい態様である。
【0063】共重合モノマーとして用いる金属スルホネ
ート基含有化合物としては、特に限定されるものではな
いが、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリ
ウムスルホテレフタル酸、5−リチウムスルホイソフタ
ル酸、2−リチウムスルホテレフタル酸、5−カリウム
スルホイソフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル
酸、又はそれらの低級アルキルエステル誘導体などが挙
げられる。本発明では特に5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸又はそのエステル形成性誘導体の使用が好まし
い。
【0064】金属スルホネート基含有化合物の共重合量
はポリエステルを構成する酸成分に対して、0.3〜1
0.0モル%が好ましく、より好ましくは0.80〜
5.0モル%である。共重合量が少なすぎると塩基性染
料可染性に劣り、多すぎると繊維とした場合、製糸性に
劣るだけでなく、増粘現象により繊維として十分な強度
が得られなくなる。また、金属スルホネート基含有化合
物を2.0モル%以上共重合すると、得られた改質ポリ
エステル繊維に常圧可染性を付与することも可能であ
る。また適切な易染化モノマーを選択することで金属ス
ルホネート基含有化合物の使用量を適宜減少させること
は可能である。易染化モノマーとしては特に限定はしな
いが、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレング
リコールに代表される長鎖グリコール化合物やアジピン
酸、セバシン酸、アゼライン酸に代表される脂肪族ジカ
ルボン酸が挙げられる。
【0065】本発明の方法に従ってポリエステルを重合
した後に、このポリエステルから触媒を除去するか、又
はリン系化合物などの添加によって触媒を失活させるこ
とによって、ポリエステルの熱安定性をさらに高めるこ
とができる。
【0066】本発明のポリエステル中には、青み付け
剤、有機系、無機系、あるいは有機金属系の染料、顔
料、ならびに蛍光増白剤などを含むことができ、これら
を一種もしくは二種以上含有することによって、ポリエ
ステルの黄み等の着色を抑えることができる。また、他
の任意の重合体や制電剤、消泡剤、染色性改良剤、染
料、顔料、艶消剤、蛍光増白剤、安定剤、酸化防止剤、
その他の添加剤が含有されていてもよい。酸化防止剤と
しては、芳香族アミン系、フェノール系等の酸化防止剤
が使用可能であり、安定剤としては、リン酸やリン酸エ
ステル系等のリン系、硫黄系、アミン系等の安定剤が使
用可能である。
【0067】これらの添加剤は、ポリエステルの重合時
もしくは重合後、あるいはポリエステルの成形時の任意
の段階で添加することが可能であり、どの段階が好適か
は化合物の特性やポリエステル成形体の要求性能に応じ
てそれぞれ異なる。
【0068】
【実施例】以下、本発明の構成と効果を実施例に基づい
て説明するが、本発明は、もとよりこれらの実施例に限
定されるものではない。なお、各実施例においてポリエ
ステルの固有粘度(IV)は、ポリエステルをフェノー
ル/1,1,2,2−テトラクロロエタンの6/4(重
量比)混合溶媒を使用して溶解し、温度30℃にて測定
した。
【0069】(実施例1)
【0070】(塩基性酢酸アルミニウムの水/エチレン
グリコール混合溶液の調製例)塩基性酢酸アルミニウム
(ヒドロキシアルミニウムジアセテート;ALDRICH製)
1gに対して50mlの割合で脱イオン水を加え12時
間常温で攪拌した。その後、約70℃で6時間攪拌して
クリアーな水溶液を得た。この水溶液1に対して3倍量
(容量比)のエチレングリコールを添加して、室温で6
時間攪拌して触媒溶液を得た。
【0071】(ポリエステルの重合例)撹拌機付きの2
リッターステンレス製オートクレーブに高純度テレフタ
ル酸とその2倍モル量のエチレングリコールを仕込み、
トリエチルアミンを酸成分に対して0.3mol%加え、0.25M
Paの加圧下245℃にて水を系外に留去しながらエステル
化反応を行いエステル化率が約95%のビス(2-ヒドロキ
シエチル)テレフタレート(BHET)およびオリゴマーの
混合物(以下、BHET混合物という)を得た。このBHET混
合物に対して、重縮合触媒として上記塩基性酢酸アルミ
ニウムの水/エチレングリコール混合溶液をポリエステ
ル中の酸成分に対してアルミニウム原子として0.03
mol%と酢酸コバルト・四水和物の20g/lエチレ
ングリコール溶液を酸成分に対してコバルト原子として
0.01mol%を加えて、窒素雰囲気下常圧にて245
℃で10分間攪拌した。次いで50分間を要して275℃まで
昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて66.5Pa(0.5Tor
r)としてさらに275℃、66.5Paで重縮合反応を行った。
IVが0.61dl/gのPETを得るのに要した重縮合時
間は105分であり、本触媒は実用的な触媒活性を有す
るものであった。
【0072】(比較例1)重縮合触媒として、塩基性酢
酸アルミニウム(ヒドロキシアルミニウムジアセテー
ト;ALDRICH製)の約10g/lエチレングリコールス
ラリーをポリエステル中の酸成分に対してアルミニウム
原子として0.03mol%と酢酸コバルト・四水和物
の20g/lエチレングリコール溶液を酸成分に対して
コバルト原子として0.01mol%を加えたこと以外
は実施例1と同様の操作を行った。重縮合反応を180
分間以上行ったが、IVが0.61dl/gまで到達しなか
った。
【0073】(実施例2)
【0074】(塩基性酢酸アルミニウムのエチレングリ
コール溶液の調製例)塩基性酢酸アルミニウム(CH3COO
Al(OH)2・1/3H3BO3;ALDRICH製)をエチレングリコール
中で約70℃で5時間攪拌し、約5g/l濃度のエチレング
リコール溶液を得た。
【0075】(ポリエステル重合例)高純度テレフタル
酸とエチレングリコールから常法に従って製造したビス
(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート及びオリゴマ
ーの混合物に対し、重縮合触媒として上記塩基性酢酸ア
ルミニウムの5g/lエチレングリコール溶液をポリエステ
ル中の酸成分に対してアルミニウム原子として0.01
5mol%と酢酸コバルト・四水和物の20g/lエチ
レングリコール溶液を酸成分に対してコバルト原子とし
て0.005mol%を加えて、窒素雰囲気下、常圧に
て245℃で10分間撹拌した。次いで50分間を要し
て275℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて
13.3Pa(0.1Torr)としてさらに275
℃、13.3Paで重縮合反応を行った。IVが0.6
0dl/gのPETを得るのに要した重縮合時間は150分
であり、本触媒は実用的な触媒活性を有するものであっ
た。
【0076】(評価結果)本発明の実施例および比較例
から、カルボン酸アルミニウム塩を予め水や有機溶媒に
溶解した溶液をコバルト化合物と併用したものを触媒と
して用いた場合はいずれも重合活性に優れるのに対し
て、カルボン酸アルミニウム塩を予め溶解せずにコバル
ト化合物と併用したものを触媒として用いた場合は重合
活性に劣る結果となる。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、アンチモン化合物又は
ゲルマニウム化合物を触媒主成分として含まず、アルミ
ニウムおよびコバルトを主たる金属成分とし、安価で、
触媒活性に優れ、装置への腐食が少なく、品質に優れた
ポリエステルを与えるポリエステル重合触媒およびその
製造方法が提供される。また、前記触媒を使用したポリ
エステルの製造方法ならびにポリエステルが提供され
る。本発明のポリエステルは、例えば、衣料用繊維、カ
ーテン、カーペット、ふとんわた等に代表されるインテ
リア・寝装用繊維、タイヤコード、ロープ等に代表され
る産業資材用繊維、各種織物、各種編物、短繊維不織
布、長繊維不織布等の繊維、包装用フィルム、工業用フ
ィルム、光学用フィルム、磁気テープ用フィルム、写真
用フィルム、缶ラミネート用フィルム、コンテンサ用フ
ィルム、熱収縮フィルム、ガスバリアフィルム、白色フ
ィルム、易カットフィルム等のフィルム、非耐熱延伸ボ
トル、耐熱延伸ボトル、ダイレクトブローボトル、ガス
バリアボトル、耐圧ボトル、耐熱圧ボトル等の中空成形
体、A−PETやC−PET等のシート、ガラス繊維強
化ポリエステル、エラストマー等に代表されるエンジニ
アリングプラスチックなどの各種成形物、および塗料や
接着剤などへの応用が可能である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AA01 AB04 AC01 JF221 JF571

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コバルトおよびその化合物からなる群より
    選ばれる少なくとも1種と、水および/または有機溶媒
    にカルボン酸アルミニウム塩からなる群より選ばれる少
    なくとも1種を溶解した溶液とからなるポリエステル重
    合触媒。
  2. 【請求項2】カルボン酸アルミニウム塩が酢酸のアルミ
    ニウム塩の構造を有する化合物からなる群より選ばれる
    少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の
    ポリエステル重合触媒。
  3. 【請求項3】カルボン酸アルミニウム塩が乳酸アルミニ
    ウムであることを特徴とする請求項1記載のポリエステ
    ル重合触媒。
  4. 【請求項4】カルボン酸アルミニウム塩からなる群より
    選ばれる少なくとも1種を予め水に溶解した溶液を用い
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポ
    リエステル重合触媒の製造方法。
  5. 【請求項5】ポリエステルを製造する際に、請求項1〜
    3のいずれかに記載のポリエステル重合触媒を用いるこ
    とを特徴とするポリエステルの製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜3のいずれかに記載のポリエス
    テル重合触媒を用いて製造されたポリエステル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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