[go: up one dir, main page]

JP2003086950A - プリント配線板 - Google Patents

プリント配線板

Info

Publication number
JP2003086950A
JP2003086950A JP2002188626A JP2002188626A JP2003086950A JP 2003086950 A JP2003086950 A JP 2003086950A JP 2002188626 A JP2002188626 A JP 2002188626A JP 2002188626 A JP2002188626 A JP 2002188626A JP 2003086950 A JP2003086950 A JP 2003086950A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
capacitor
printed wiring
wiring board
electronic device
dielectric
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002188626A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Tominaga
弘幸 冨永
Yukio Matsushita
幸生 松下
Shinya Sasaki
晋哉 佐々木
Toru Nakashiba
徹 中芝
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Works Ltd filed Critical Matsushita Electric Works Ltd
Priority to JP2002188626A priority Critical patent/JP2003086950A/ja
Publication of JP2003086950A publication Critical patent/JP2003086950A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた加工性と高い誘電率を併せ持つコンデ
ンサ積層体を内部に備えたプリント配線板を提供する。 【解決手段】 熱硬化性樹脂と、平均粒径が0.01〜
5μm、誘電率が50〜10000である無機充填材と
を、厚さが5〜40μm、誘電率が5〜30である基材
に含浸し、この基材を1枚又は複数枚積層することによ
って、厚さが10μm〜1.0mm、表面の平均粗さが
1〜7μm、誘電率が10〜100である誘電体5を形
成する。この誘電体5の両側に導電層を設けることによ
って形成されたコンデンサ積層体10を、内部に備える
と共に、このコンデンサ積層体10の両側の導電層をそ
れぞれ電源層3及び接地層4とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内部にコンデンサ
積層体を備えて形成されるプリント配線板に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】これまで、プリント配線板における電源
層と接地層(グラウンド層)との間で生じるノイズを減
少させるためには、プリント配線板の外面にコンデンサ
を実装する方法が採られてきた。そしてこのコンデンサ
は、ある場合には、電子デバイスと表面配線によって直
接接続されるように配置されたり、また他の場合には、
選択した電子デバイスの近くに配置されると共にスルー
ホールによって電源層と接地層に接続されたりしている
ものである。
【0003】このように、一般にコンデンサの電気容量
によって、上述したノイズ成分が減衰することはよく知
られている。しかし一方では、コンデンサと電子デバイ
スとを接続する配線や、コンデンサと電源層及び接地層
とを接続するスルーホール等の、導体に流れる電流によ
ってインダクタンスが生じ、ノイズ抑制の効果が減少す
ることもよく知られている。またコンデンサは、電気容
量だけではなく誘電性値も有しているため、コンデンサ
自体が電子デバイスの信号信頼性に影響を与えるという
傾向もある。
【0004】さらに、電子デバイスがプリント配線板に
おいてノイズを発生させる主要因となっていることか
ら、プリント配線板において電子デバイスを適切に配列
するだけではなく、異なる速度や周波数で動作している
電子デバイスの特性に対応して、この電子デバイスに関
連するコンデンサに、高速と低速の両方の動作において
ノイズ抑制の機能を持たせる必要がある。
【0005】そして、これらの問題を解決するため、プ
リント配線板の設計や電子デバイスの配列の方法が検討
されているが、上記のようにプリント配線板の外面にコ
ンデンサを実装するのは、信号信頼性に当初望んでいな
かった影響を与えるだけでなく、プリント配線板を複雑
にしたり、製造コストを増加させたりするものであっ
た。
【0006】かかる状況下、特許第2738590号に
記載されているように、シスレーは、プリント配線板自
体に容量成分を持つコンデンサ積層体を形成し、プリン
ト配線板の外面に実装される多くのコンデンサを除去す
ることによって、上述したような問題を克服した。詳述
すると、シスレーの考えは、1つ又は複数のコンデンサ
積層体をプリント配線板の内部に形成すると共に、プリ
ント配線板内の各コンデンサ積層体の両側の導電層が、
それぞれ電源層と接地層であるというものである。
【0007】このようにして、プリント配線板の外面に
実装された個々の電子デバイスは、一対の配線によって
電源層と接地層に接続されることにより、プリント配線
板内部のコンデンサ積層体に接続されることになり、電
源層と接地層との間で生じるノイズを減少させることが
できると共に、プリント配線板の外面にコンデンサを実
装していたときの問題を克服することができたのであ
る。
【0008】このため、プリント配線板の外面に実装さ
れるコンデンサは、全てではないにしても、ほとんどそ
の必要性が失われた。よって、プリント配線板の外面か
らコンデンサを除去することにより、プリント配線板の
外面に実装される電子デバイスを、より効率よく配置す
ることができ、より高密度に実装することが可能となっ
た。さらに、プリント配線板の内部に電源層と接地層と
を有するコンデンサ積層体を設けることによって、配線
又はスルーホールの数や長さが減少し、プリント配線板
の製造を容易にしたり、コストを最小にしたりするだけ
でなく、信号信頼性をも大きく改善することができたの
である。
【0009】そして、上述したような全ての効果を高く
得るためには、上述の特許第2738590号にも記載
されているように、シスレーは、個々のデバイス及び/
又は集積回路のそれぞれに、内部キャパシタンス層の局
部的な面積や部分を指定しまたは割り当てる必要性を考
えている。つまり、シスレーは、プリント配線板におけ
るコンデンサ積層体の使用法として、個々の電子デバイ
スのそれぞれに対し、局所的にコンデンサ積層体を使用
する方法を提案している。しかし、このシスレーの設計
によれば、誘電体と導電層とを有するコンデンサ積層体
としては、特に現在の技術水準を超えるほどの、薄い厚
さと高い誘電率を持つ誘電材料が必要とされているもの
である。
【0010】ところで、一般的にマイクロファラデーで
表される電気容量Cは、誘電材料の絶対誘電率をε、コ
ンデンサ積層体の面積をA、誘電体の厚さをtとする
と、C=εA/t…(1)で近似的に計算することがで
きる。この式(1)によれば、電気容量Cを増加させる
場合には、コンデンサ積層体の面積Aを広げたり、絶対
誘電率εのより高い誘電材料を用いたり、又は誘電体の
厚さtをより薄くしたりする必要があることが分かる。
ここで、真空の誘電率をε=8.854×10 −12
(F/m)、誘電材料の比誘電率をεとすると、上記
の絶対誘電率εはε=ε×εと表される。なお、誘
電率といえば慣用的には比誘電率εを意味するもので
あり、本明細書においても同様とする。図6に単位面積
あたりの電気容量Cを上記の近似式(1)で計算した結
果を示す。
【0011】そしてシスレーは、必要とする電気容量を
得るための多くの手法を考えており、例えば上述したよ
うに、個々のデバイス等のそれぞれに、内部キャパシタ
ンス層の局部的な面積や部分を指定しまたは割り当てる
必要性を考えているが、この場合はコンデンサ積層体の
面積はある一定量に限定される。このように面積が限定
されたコンデンサ積層体において、シスレーが考える電
気容量を得るためには、図6の破線で囲った部分(シス
レー)に示すように、誘電率が200の誘電材料を用
い、厚さがわずかに12.7μm程度の非常に薄い誘電
体が必要とされるものである。しかし、上記のように誘
電率が200であるような誘電材料は現在の技術水準に
おいては入手することはできない。さらに言えば、入手
できたとしても、厚さが上記のように12.7μmであ
る誘電体を有するコンデンサ積層体を製造するのは、現
在不可能である。また仮に、このような誘電体を得るこ
とができても、この誘電体は上述の通り、極薄のもので
あって脆く、強度が不十分であり、作業が困難となるも
のである。
【0012】このような点から、シスレーが要求するほ
どの高い誘電率(200)を有していなくても、現在の
技術水準で実現可能な誘電率を有している誘電体を用い
て、同様の効果が得られるプリント配線板が望まれてい
たものである。
【0013】これに対し、ハワードは、上述の特許第2
738590号において、「借りキャパシタンス」とい
う原理を提案し、複数のデバイスがコンデンサ積層体の
同じコンデンサ面積を事実上使用できるようにしてい
る。この原理によれば、複数のデバイスがコンデンサ積
層体の互いに異なる部分に接続されることになり、コン
デンサ積層体を広く用いることができるものである。従
って、上記の原理によって、実在する誘電材料を用いる
と共に、現在の技術水準で製造可能な厚さであっても、
面積をより広く取ることができるため、コンデンサ積層
体として、必要な電気容量を満たすことが可能となるも
のである。具体的にハワードは、コンデンサ積層体の条
件としては、図6の破線で囲った部分(ハワード)に示
すように、その当時実在した誘電材料、すなわち誘電率
が4〜5(図中のものは誘電率4.7)、将来的には誘
電率が10までのものを用い、厚さが12.7μm〜
0.1016mm、最も好ましくは25.4〜38.1
μmである誘電体が必要であるとしていた。
【0014】このように、ハワードはコンデンサ積層体
を広い面積で使用することができるようにはしたもの
の、このコンデンサ積層体における誘電体の誘電率は、
実際には4〜5程度であり、電気容量を高く得るために
は、可能な限り誘電体の厚さを薄くしなければならない
ものであった。しかし、誘電体の厚さが薄くなればなる
ほど、以下のような問題が生じるものであった。
【0015】すなわち現在、一般的に流通している誘電
体の厚さは、0.10mm程度であり、現在の技術で約
60μm以下の誘電体を製造するにあたって、誘電体の
厚さが薄くなればなるほど、その製造には高度な技術が
要求されると共に生産効率が悪くなるおそれがある。ま
た、誘電体が薄くなることにより、コンデンサ積層体の
両側の導電層間において短絡が生じやすくなったり、導
電層間の印加電圧による絶縁破壊が生じやすくなったり
するおそれがある。
【0016】一方、プリント配線板自体の強度をある程
度維持するためには、プリント配線板には、ある一定量
の厚さが要求される。そうすると、プリント配線板の内
部におけるコンデンサ積層体の厚さが極端に薄くなった
場合、この薄くなった分だけ他の層の間隔を広げて、プ
リント配線板全体の厚さを一定に保たなければならなく
なる。
【0017】この影響は、プリント配線板が多層構造で
あるほど少なくなるが、現在広く普及している4層又は
6層等の、少ない層構成を有するプリント配線板である
ほど、上記の影響は大きくなる。そして、他層との間隔
が広くなることにより、他層に配線されている配線のイ
ンピーダンス整合を取る必要性から、配線幅を太くしな
ければならなくなるものである。
【0018】従って、プリント配線板において単位面積
当たりの配線密度が低下し、プリント配線板の設計の自
由度が小さくなり、より複雑になるものである。また、
多層構造のプリント配線板ほど高価であり、これに対
し、4層又は6層構造のプリント配線板は廉価であるこ
とから、上記のような影響を軽減するためには、より高
いコストが必要とされるものである。
【0019】そして一般に、エポキシ樹脂やポリイミド
樹脂等の有機物で形成される有機基板の誘電率は5程度
であるのに対し、アルミナや窒化アルミニウム等の無機
物で形成されるセラミック基板の誘電率は10程度であ
るため、このセラミック基板がこれまで高誘電率を有す
る誘電体として用いられてきた。
【0020】しかしながら、セラミック基板は上記のよ
うに高誘電率を有するものの、加工性が有機基板よりも
悪く、実際には利用することが困難であった。このため
コンデンサ積層体を含め、プリント配線板の材料として
は、有機基板並の加工性とセラミック基板並あるいはこ
れを超えるような高誘電率を併せ持つ誘電体の開発が望
まれていたものである。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に鑑
みてなされたものであり、優れた加工性と高い誘電率を
併せ持つコンデンサ積層体を内部に備えたプリント配線
板を提供することを目的とするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
プリント配線板は、熱硬化性樹脂と、平均粒径が0.0
1〜5μm、誘電率が50〜10000である無機充填
材とを、厚さが5〜40μm、誘電率が5〜30である
基材に含浸し、この基材を1枚又は複数枚積層すること
によって、厚さが10μm〜1.0mm、表面の平均粗
さが1〜7μm、誘電率が10〜100である誘電体を
形成し、この誘電体の両側に導電層を設けることによっ
て形成されたコンデンサ積層体を、内部に備えると共
に、このコンデンサ積層体の両側の導電層をそれぞれ電
源層及び接地層として成ることを特徴とするものであ
る。
【0023】また請求項2の発明は、請求項1におい
て、表面に複数の電子デバイスを設けると共に、内部に
複数のコンデンサ積層体を備え、各電子デバイスをそれ
ぞれ対応するコンデンサ積層体に割り当てて電気的に接
続して成ることを特徴とするものである。
【0024】また請求項3の発明は、請求項2におい
て、容量特性の異なるコンデンサ積層体を複数備えて成
ることを特徴とするものである。
【0025】また請求項4の発明は、請求項2又は3に
おいて、低周波用のコンデンサ積層体よりも高周波用の
コンデンサ積層体を電子デバイスの近傍に配置して成る
ことを特徴とするものである。
【0026】また請求項5の発明は、請求項1乃至4の
いずれかにおいて、表面に複数の電子デバイスを設ける
と共に、各電子デバイスを同一のコンデンサ積層体のそ
れぞれ異なる部分に電気的に接続して成ることを特徴と
するものである。
【0027】また請求項6の発明は、請求項1乃至5の
いずれかにおいて、コンデンサ積層体における誘電体の
厚さが10〜60μmであることを特徴とするものであ
る。
【0028】また請求項7の発明は、請求項2乃至6の
いずれかにおいて、複数のコンデンサ積層体を直列に接
続して成ることを特徴とするものである。
【0029】また請求項8の発明は、請求項2乃至6の
いずれかにおいて、複数のコンデンサ積層体を並列に接
続して成ることを特徴とするものである。
【0030】また請求項9の発明は、請求項1乃至8の
いずれかにおいて、1つのコンデンサ積層体の電源層を
複数の電源層に分割し、電子デバイスと電源層を接続す
る配線及び電子デバイスと接地層を接続する配線の1対
の配線によって、1つの電子デバイスに対して上記複数
の電源層ごとにコンデンサ積層体のそれぞれ異なる部分
を電気的に接続して成ることを特徴とするものである。
【0031】また請求項10の発明は、請求項2乃至9
のいずれかにおいて、電子デバイスの動作電圧に応じて
複数のコンデンサ積層体に電圧を印加できるようにして
成ることを特徴とするものである。
【0032】また請求項11の発明は、請求項10にお
いて、複数のコンデンサ積層体の間に容量特性を持たせ
て成ることを特徴とするものである。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0034】図1は、本発明のプリント配線板1の実施
の形態の一例を示すものであり、このプリント配線板1
の内部には、誘電体5の両側に導電層を設けることによ
って形成されたコンデンサ積層体10が設けられてい
る。そしてこのコンデンサ積層体10は、以下に示すよ
うな基材、熱硬化性樹脂、無機充填材を用いて製造する
ことができる。
【0035】すなわち基材としては、厚さが5〜40μ
m、誘電率が5〜30のものであれば特に制限されるも
のではなく、例えば、ガラスクロス、ガラスマット、ガ
ラスペーパー等のガラス基材や、リンター紙、クラフト
紙等の紙基材を用いることができる。基材の厚さが5μ
m未満であると、取扱いが困難となるものであり、逆に
40μmを超えると、薄型化が困難となり、製造される
コンデンサ積層体10の電気容量が小さくなるものであ
る。また誘電率が5〜30の範囲において、より高い誘
電率を有する基材を用いると、熱硬化性樹脂に添加する
無機充填材の量を低減することが可能となり、熱硬化性
樹脂本来の特性を損なうことなくコンデンサ積層体10
を製造することができるものである。しかし基材の誘電
率が30を超えると、基材に高誘電率の無機充填材を混
入又は付着させておく必要が生じ、基材が非常に脆くな
り取扱い性が困難となるものであり、逆に基材の誘電率
が5未満であると、熱硬化性樹脂に添加する無機充填材
の量を増加させる必要が生じ、熱硬化性樹脂本来の特性
を損なうものである。
【0036】また熱硬化性樹脂としては、特に制限され
るものではなく、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹
脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂(PPO樹脂)、ポ
リフェニレンエーテル樹脂、ビスマレイミド・トリアジ
ン樹脂(BT樹脂)、ポリブタジエン樹脂等を用いるこ
とができ、これらのうちの1種を単独で用いたり、2種
以上を混合して用いたりすることができる。好ましい熱
硬化性樹脂としては、臭素化ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のエポ
キシ樹脂であり、このようなエポキシ樹脂を用いると、
無機充填材が添加されることによって、誘電率や電気容
量を一層高めることができると共に、その他の熱硬化性
樹脂を用いた場合よりも密着性の良好なコンデンサ積層
体10を製造することができるものである。
【0037】また無機充填材としては、平均粒径が0.
01〜5μm、誘電率が50〜10000のものであれ
ば制限されるものではないが、特にチタン酸ジルコン酸
バリウム系セラミック、二酸化チタン系セラミック、チ
タン酸バリウム系セラミック、チタン酸鉛系セラミッ
ク、チタン酸ストロンチウム系セラミック、チタン酸カ
ルシウム系セラミック、チタン酸ビスマス系セラミッ
ク、チタン酸マグネシウム系セラミック、ジルコン酸系
セラミックを用いるのが好ましく、これらのうちの1種
を単独で用いたり、2種以上を混合して用いたりするこ
とができる。上記の無機充填材を用いると、その他の無
機充填材を用いた場合よりも高誘電率や高電気容量のコ
ンデンサ積層体10を製造することができるものであ
る。なお、無機充填材の平均粒径が0.01μm未満で
あると、無機充填材を熱硬化性樹脂と混合しワニスを調
製する際に、ワニスの粘度が増加し基材へのワニスの含
浸が妨げられると共に、ワニスを含浸した基材を積層成
形する際に、ワニスの溶融粘度が増加し成形性が悪くな
るものであり、逆に平均粒径が5μmを超えると、コン
デンサ積層体10の薄型化が困難となるものである。ま
た誘電率が50〜10000の範囲において、より高い
誘電率を有する無機充填材を用いると、添加する無機充
填材の総量を低減することができ、熱硬化性樹脂本来の
特性を損なうことなくコンデンサ積層体10を製造する
ことができるものである。しかし無機充填材の誘電率が
10000を超えると、誘電率の温度による変化が大き
くなり、誘電体材料として好ましくなく、逆に誘電率が
50未満であると、無機充填材の添加量を多くする必要
があり、熱硬化性樹脂本来の特性を損なうものである。
【0038】そして、上記の熱硬化性樹脂に無機充填材
を添加すると共に、ジシアンジアミド等の硬化剤やトリ
アリルイソシアヌレート等の架橋性モノマーを添加する
ことによって熱硬化性樹脂組成物を調製することができ
る。このとき熱硬化性樹脂に添加した無機充填材の全量
に対して、カップリング剤を0.5〜3.0質量%添加
しておくのが好ましく、これによって無機充填材が熱硬
化性樹脂中に分散し易くなるものである。なお、カップ
リング剤の添加量が0.5質量%未満であると、無機充
填材の分散性を高めることができないおそれがあり、逆
に添加量が3.0質量%を超えると、製造されるコンデ
ンサ積層体10やこれを加工して得られるプリント配線
板1の電気特性が劣化するおそれがあるものである。ま
たカップリング剤としては、制限されるものではない
が、特にエポキシシラン、アミノシラン、メルカプトシ
ランを用いるのが好ましく、これらのうちの1種を単独
で用いたり、2種以上を混合して用いたりすることがで
き、これによって無機充填材を一層分散し易くすること
ができるものである。
【0039】また上記の熱硬化性樹脂組成物には、必要
に応じて2−エチル−4−メチルイミダゾール等の硬化
促進剤やジクミルパーオキサイド等の重合開始剤を添加
することができる。
【0040】上記のようにして調製した熱硬化性樹脂組
成物を溶剤に溶解して希釈することによって、ワニスを
調製することができる。ここで、溶剤としては特に制限
されるものではなく、例えば、メチルエチルケトン、メ
チルセロソロブ、N,N−ジメチルホルムアミド、N−
メチルピロリドン、トルエン等を用いることができ、こ
れらのうちの1種を単独で用いたり、2種以上を混合し
て用いたりすることができる。そしてこのワニスを前述
した基材に含浸し、乾燥機中で120〜160℃程度の
温度で2〜10分間程度乾燥することによって、熱硬化
性樹脂を半硬化状態(B−ステージ)にしたプリプレグ
を作製することができる。
【0041】次に、上記のようにして作製したプリプレ
グを所要枚数重ねると共に、この片側若しくは両側に金
属箔を重ね、これを170〜220℃、2〜5MPa、
50〜90分の条件で加熱加圧して積層成形することに
よって、プリント配線板1に内蔵するためのコンデンサ
積層体10を製造することができる。なお、このコンデ
ンサ積層体10にあって、プリプレグは複数枚積層せず
に1枚のみでも良い。また金属箔としては、特に制限さ
れるものではなく、例えば、銅箔、銀箔、アルミニウム
箔、ステンレス箔等を用いることができる。好ましくは
このような金属箔において、プリプレグに重ねる側の表
面を前述したカップリング剤を用いて処理しておくもの
であり、これによって金属箔とプリプレグとの密着性を
高めることができるものである。
【0042】ここで、上記のようにして製造されるコン
デンサ積層体10にあって、1枚又は複数枚のプリプレ
グを積層することによって、誘電体5である絶縁層が形
成されており、この絶縁層を以下では特に断らない限り
誘電体5という。一方、金属箔によって導電層が形成さ
れているものである。なお、この導電層は誘電体5の表
面にめっき処理等を施すことによって形成しても良い。
そして、上記のコンデンサ積層体10は、その誘電率す
なわち誘電体5の誘電率が10〜100となるように形
成されている。コンデンサ積層体10の誘電率が10未
満であると、高誘電率を有し、かつ高電気容量を有する
コンデンサ積層体10を得ることができないものであ
り、逆に誘電率が100を超えると、熱硬化性樹脂に添
加する無機充填材の量を増加しなければならなくなり、
熱硬化性樹脂本来の特性を損なうものである。
【0043】また上記のコンデンサ積層体10における
誘電体5は、表面の平均粗さが1〜7μmとなるように
形成されているものである。この表面の平均粗さが1μ
m未満であると、導電層との密着性が低下するものであ
り、逆に表面の平均粗さが7μmを超えると、絶縁性が
低下するものである。
【0044】また、単位面積当たりのコンデンサ積層体
10の電気容量、すなわち単位面積当たりの誘電体5の
電気容量は0.04〜3.10nF/cmであること
が好ましい。このように、単位面積当たりの電気容量が
高いコンデンサ積層体10であると、このコンデンサ積
層体10をプリント配線板1において広範囲にわたって
使用する場合、電気容量を高く得ることができ、幅広い
周波数成分を有するノイズ成分を抑制することができる
ものである。しかし、単位面積当たりの電気容量が0.
04nF/cm未満であると、小さ過ぎて、コンデン
サ積層体10を広い面積で利用しても、必要とする電気
容量を確保するのが困難となるおそれがあり、逆に3.
10nF/cmを超えると、樹脂中の無機充填材の量
を増加させ、誘電体の厚みを薄くする必要が生じ、脆く
なって取扱い性に劣るものとなるおそれがある。なお、
単位面積当たりのコンデンサ積層体10の電気容量は
0.155〜3.10nF/cmであることが、より
好ましい。その理由は、単位面積当たりの電気容量が
0.155nF/cm未満であると、従来材料とあま
り変わらない電気容量となるおそれがあるためである。
【0045】また上記のコンデンサ積層体10における
誘電体5の厚さは10μm〜1.0mmであり、好まし
くは10〜60μmである。特に誘電体5の厚さが10
〜60μmである場合は、上記のような、単位面積当た
りの電気容量が0.155〜3.10nF/cmであ
るコンデンサ積層体10を得るのが容易となり、従って
このコンデンサ積層体10を備えたプリント配線板1を
実現することができる。一方、誘電体5の厚さが60μ
mより厚く、1.0mm以下である場合は、コンデンサ
積層体10において、従来材料と同等以上の単位面積当
たりの電気容量条件を満たしながら、誘電体5の厚さを
厚くすることができる。このため、誘電体5を挟んでい
る導電層間の短絡が生じにくくなるだけでなく、コンデ
ンサ積層体10の製造が容易になり、生産効率を高める
ことができるものである。しかも、導電層間の印加電圧
による絶縁破壊も生じにくくなり、これによって、4層
又は6層構造のように、あまり多層化されていない廉価
なプリント配線板1を製造するにあたって、配線パター
ン20を太くする必要がなくなるものである。
【0046】なお、誘電体5の厚さが60μm以下であ
ると、誘電体5の厚さを厚くするメリットが少なくなる
おそれがあり、逆に誘電体5の厚さが60μmを超える
と、コンデンサ積層体10の電気容量が低下するおそれ
があるが、この点については、必要とするプリント配線
板1の特性に応じて、誘電体5の厚さを10〜60μm
にしたり、あるいは60μmより厚く1.0mm以下と
なるようにしたりすることができるものである。そし
て、いずれの場合であっても、誘電率が10未満である
ような従来材料を用いて製造されるコンデンサ積層体1
0と同じ電気容量を得ようとする際には、本発明におい
ては、誘電体5の厚さをより厚くすることができ、また
面積を広狭にする自由度が高まり、プリント配線板1の
設計をより容易に行うことができるものである。しか
し、誘電体5の厚さが10μm未満であると、コンデン
サ積層体10の取扱いが困難となるおそれがあって好ま
しくなく、逆に誘電体5の厚さが1.0mmを超える
と、単一層の厚さとして実用性が少なくなり、つまり、
一般に使用されているプリント配線板1の厚さは1.0
mm前後であるので、コンデンサ積層体10がプリント
配線板1より厚くなると実用性がなくなるおそれがあっ
て好ましくない。
【0047】また上記のコンデンサ積層体10における
誘電体5において、誘電体5の全体積に対して基材の体
積分率は10〜25体積%、無機充填材の体積分率は2
5〜50体積%であることが好ましい。基材の体積分率
が10体積%未満であると、コンデンサ積層体10が脆
くなり、取扱いが困難となるおそれがあり、逆に25体
積%を超えると、コンデンサ積層体10の誘電率が低下
するおそれがある。また無機充填材の体積分率が25体
積%未満であると、誘電率の低下を招くおそれがあり、
逆に50体積%を超えると、樹脂特性の劣化を招くおそ
れがある。
【0048】上記のようにして得られたコンデンサ積層
体10は、絶縁層が有機基板で形成されているので、セ
ラミック基板よりも加工性に優れているものであり、し
かも基材や無機充填材として所定のものを用いて誘電体
5が形成されているので、誘電率及び電気容量のいずれ
もが高くなるものである。
【0049】そして、本発明に係るプリント配線板1を
製造するにあたっては、上記のコンデンサ積層体10を
内層基材として使用するだけで、従来と同様の方法によ
って行うことができる。冒頭に述べたように、図1は本
発明のプリント配線板1の一例を示すものであり、この
プリント配線板1にあっては、コンデンサ積層体10は
プリント配線板1の内部に1つ設けられているが、これ
に限定されるものではなく、複数設けることもできる。
またプリント配線板1を製造する際には、コンデンサ積
層体10の面積は、プリント配線板1の面積を最大限と
して、必要に応じて、広げたり狭めたりすることができ
るものである。ここで、プリント配線板1の内部に複数
のコンデンサ積層体10を設ける場合には、それぞれの
コンデンサ積層体10について、その面積を広げたり狭
めたりすることができるものである。
【0050】そして、請求項1の発明では、上記のコン
デンサ積層体10を、この両側の導電層をそれぞれ電源
層3及び接地層4として、プリント配線板1の内部に設
けることによって、このコンデンサ積層体10にいわゆ
るバイパスコンデンサの機能を持たせ、電源層3と接地
層4との間に発生するノイズ成分を除去することができ
るものである。しかも、上記のコンデンサ積層体10
は、有機基材によって優れた加工性を有していると共
に、誘電率が10〜100である誘電体5を用いて製造
されているため、熱硬化性樹脂本来の特性を損なうこと
なく、高誘電率を得ることができるものであり、誘電率
が10未満であるような従来材料を用いて製造されるコ
ンデンサ積層体10よりも、高い電気容量を設定するこ
とができるものである。さらに、本発明に係るプリント
配線板1においては、従来材料と同様の電気容量を得よ
うとする場合であっても、コンデンサ積層体10におけ
る誘電体5の厚さをより厚くすることができて導電層間
の短絡を防止することができ、また、それぞれのコンデ
ンサ積層体10の面積をより狭くすることができて配線
パターン20の自由度を高めることができるものであ
る。
【0051】図4は、本発明のプリント配線板1の実施
の形態の他例を示すものであり、詳しくは、プリント配
線板1の内部に設けられたコンデンサ積層体15に、バ
イパスコンデンサの役目を持たせるための、より具体的
な例を示すものである。このプリント配線板1は、以下
のようにして製造することができる。まず、上記のよう
にして製造したコンデンサ積層体15の外側の導電層に
サブトラクティブ法等を行うことによって配線パターン
20を形成する。この際、コンデンサ積層体15におけ
る誘電体5は前述したように高誘電率(10〜100)
を有するものであり、ここではこの誘電体5によって高
誘電率層が形成されている。次にこのコンデンサ積層体
15を内層基材とし、配線パターン20を形成した面に
高誘電率層よりも低い誘電率を有する熱硬化性樹脂組成
物を塗布・乾燥することによって、低誘電率層9を形成
している。さらにこの低誘電率層9の表面に、めっき処
理その他の手段によって導電層(図示省略)を設けて外
層基材とし、これに配線パターン20を形成すると共
に、スルーホール6,7等を形成することによって内層
基材と外層基材との導通を取り、また図2に示すよう
に、外層基材の表面にICチップ等の電子デバイス2を
搭載することによって、図4に示すような多層のプリン
ト配線板1を製造することができる。このようにして製
造したプリント配線板1にあっては、表面に設けられた
電子デバイス2と、内部に設けられたコンデンサ積層体
15とが、一対のスルーホール6,7によって電気的に
接続されている。すなわち、コンデンサ積層体15の両
側の導電層をそれぞれ電源層3及び接地層4として、一
方のスルーホール6によって電子デバイス2と電源層3
とを、他方のスルーホール7によって電子デバイス2と
接地層4とを、それぞれ接続している。なお、8は信号
線である。そして、プリント配線板1の内部に設けられ
たコンデンサ積層体15が、プリント配線板1の表面に
設けられた電子デバイス2に、この電子デバイス2が必
要とする電気容量を与えることができるものであるが、
予め、この電子デバイス2に対応した電気容量を与える
ことができるように、例えば、図6に示した結果をもと
に、誘電材料の誘電率、面積、誘電体の厚さを適宜選択
して、コンデンサ積層体15を製造しておくものであ
る。
【0052】また、電子デバイス2としては、特に限定
されるものではないが、例えば、集積回路やトランジス
タ等の能動デバイスや、コンデンサ、抵抗器のような受
動デバイスを使用することができ、これらの電子デバイ
ス2は、プリント配線板1の片側だけではなく、両側に
も配置することができる。また、上記の低誘電率層9を
形成するための樹脂組成物としては、エポキシ樹脂、ポ
リフェニレンオキサイド樹脂(PPO樹脂)あるいは少
なくともポリフェニレンオキサイド(PPO樹脂)を含
有する樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル
樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂(BT樹脂)、
ポリブタジエン樹脂、フッ素樹脂等から選ばれるものを
樹脂成分とし、ジシアンジアミド等の硬化剤やトリアリ
ルイソシアヌレート等の架橋性モノマーを添加すること
によって調製されたものを用いることができる。なお、
高誘電率層と低誘電率層9とは、いずれもエポキシ樹脂
を用いて形成することができるが、この場合は無機充填
材の添加の有無やその配合量を調整することで、高誘電
率層と低誘電率層9との誘電率の差を調節することがで
きるものである。
【0053】上記のようにして得られたプリント配線板
1は、高誘電率層と低誘電率層9とが多層化された構造
を有し、この構造において高誘電率層を挟持するように
導電層を形成することによって、バイパスコンデンサー
が形成されているものである。従って、低誘電率層9に
よって高速信号伝達に対応することができると共に、高
誘電率層で形成されるバイパスコンデンサーによって高
速信号伝達に伴うノイズを除去することができ、安定し
た電源電圧供給ができるものである。
【0054】次に、請求項2の発明は、プリント配線板
1において、表面に複数の電子デバイス2を設けると共
に、内部に複数のコンデンサ積層体11,12,13,
14を備え、各電子デバイス2をそれぞれ対応するコン
デンサ積層体11,12,13,14に割り当てて電気
的に接続するようにしている。つまり、現在の技術水準
で実現可能な誘電率10〜100を有する誘電体5を用
いてコンデンサ積層体11,12,13,14を製造
し、個々の電子デバイス2のそれぞれに対して、プリン
ト配線板1の内部において、上記のコンデンサ積層体1
1,12,13,14を局所的に利用するようにしたも
のであり、このことによって各電子デバイス2ごとに適
した電気容量にすることができるものである。
【0055】すなわち図3は、請求項2の発明のプリン
ト配線板1を示すものであり、このプリント配線板1に
あっては、個々の電子デバイス2のそれぞれに、プリン
ト配線板1の内部に設けた複数のコンデンサ積層体1
1,12,13,14を、割り当てるようにした構成を
有している。そして、それぞれのコンデンサ積層体1
1,12,13,14は、上述したように、誘電体5と
この両側を挟む電源層3と接地層4とを有する構造とな
っており、プリント配線板1の表面に配置された各電子
デバイス2に必要とされる電気容量を有しており、一般
にスルーホール6,7によって、コンデンサ積層体1
1,12,13,14の電源層3及び接地層4と各電子
デバイス2とが接続されるようにしたものである。な
お、1つの電子デバイス2に電気的に接続されるコンデ
ンサ積層体の数は1つに限定されるものではなく、図3
に示すように2つであっても、あるいはそれ以上であっ
てもよい。
【0056】また、上記のようにコンデンサ積層体1
1,12,13,14は、プリント配線板1において局
所的に用いられることを意図しているが、これに限定さ
れるものではなく、ある特定の電子デバイスのためだけ
にコンデンサ積層体を利用する場合は、プリント配線板
1の全体に広げて用いるようにする構成も含むことがで
きる。
【0057】そして、個々の電子デバイス2のそれぞれ
に、コンデンサ積層体11,12,13,14を割り当
てて用いるようにしたプリント配線板1は、これまで、
シスレーの概念では誘電率が200である、現在の技術
水準においては入手できない誘電材料を用いることが要
求されていた。
【0058】しかしながら、実際にプリント配線板1に
おいてコンデンサ積層体11,12,13,14を局部
的に使用する全ての場合について、必ずしもシスレーの
概念で要求されるのと同等の単位面積当たりの電気容量
を実現させる必要はない。この際、コンデンサ積層体1
1,12,13,14の電気容量の範囲が多少限定され
はするものの、シスレーの概念で要求されるものよりも
低い、単位面積当たりの電気容量で対応することは可能
である。つまり、本発明のように誘電率10〜100を
有する実在する誘電材料を用いることによって、単位面
積当たりの電気容量が0.04〜3.10nF/cm
であるような、コンデンサ積層体11,12,13,1
4を備えたプリント配線板1を実現することが可能とな
る。
【0059】次に、請求項3の発明は、請求項2の発明
のプリント配線板1において、容量特性(電気容量)の
異なるコンデンサ積層体を複数備えるようにしたもので
ある。具体的には、例えば、図3に示すプリント配線板
1においては、コンデンサ積層体11,12,13,1
4の容量特性をそれぞれ変化させることによって、各コ
ンデンサ積層体11,12,13,14の容量特性を相
互に異ならせている。容量特性を変化させるにあたって
は、各コンデンサ積層体11,12,13,14の誘電
体5の誘電率や誘電体5の厚さを変化させることによっ
て行うことができる。このようにコンデンサ積層体1
1,12,13,14の容量特性を異ならせておくと、
各電子デバイス2の種類に応じて、各電子デバイス2に
適した容量特性を有するコンデンサ積層体11,12,
13,14を選択して接続することによって、ノイズ抑
制効果を向上させることが可能となるものである。
【0060】次に、請求項4の発明は、請求項3の発明
のプリント配線板1において、高周波用のコンデンサ積
層体12と低周波用のコンデンサ積層体13の両方を用
いる場合に、低周波用のコンデンサ積層体13よりも高
周波用のコンデンサ積層体12を電子デバイス2の近傍
に配置するようにしたものである。具体的には、例え
ば、図3に示すプリント配線板1においては、表面に設
けられた電子デバイス2から近い層に高周波用のコンデ
ンサ積層体12を配置すると共に遠い層に低周波用のコ
ンデンサ積層体13を配置して、電子デバイス2、高周
波用のコンデンサ積層体12及び低周波用のコンデンサ
積層体13をスルーホール6,7による配線によって電
気的に接続している。ここで、コンデンサ積層体12,
13に高周波向けの特性又は低周波向けの特性を持たせ
るにあたっては、例えば、各コンデンサ積層体12,1
3の誘電体5の誘電率を変化させることによって行うこ
とができる。そして、上記のように低周波用のコンデン
サ積層体13よりも高周波用のコンデンサ積層体12を
電子デバイス2の近傍に配置すると、高周波用のコンデ
ンサ積層体12と電子デバイス2とを接続する配線の長
さを短縮することができ、それだけ誘導成分(インダク
タンス)を少なくすることが可能となって、確実にノイ
ズの影響を受けないようにすることができるものであ
る。
【0061】次に、請求項5の発明は、表面に複数の電
子デバイス2を設けると共に、各電子デバイス2を同一
のコンデンサ積層体16,17のそれぞれ異なる部分に
電気的に接続するようにしている。つまり、現在の技術
水準で実現可能な誘電率10〜100を有する誘電体5
を用いてコンデンサ積層体16,17を製造し、複数の
電子デバイス2をこのコンデンサ積層体16,17の互
いに異なる部分に接続し、プリント配線板1において、
比較的広い面積を有するコンデンサ積層体16,17を
内部に備えるようにしたものである。
【0062】すなわち図5は、請求項5の発明のプリン
ト配線板1を示すものであり、このプリント配線板1に
あっては、広い面積を有するコンデンサ積層体16,1
7をプリント配線板1の内部に設け、複数の電子デバイ
ス2をこのコンデンサ積層体16,17の互いに異なる
部分に接続するようにしている。そして、それぞれのコ
ンデンサ積層体16,17は、上述したように、誘電体
5とこの両側を挟む電源層3と接地層4とを有する構造
となっており、プリント配線板1の表面に配置された各
電子デバイス2に必要とされる電気容量を有しており、
一般にスルーホール6,7によって、コンデンサ積層体
16,17の電源層3及び接地層4と各電子デバイス2
とが接続されるようにしたものである。なお、複数の電
子デバイス2が電気的に接続される同一のコンデンサ積
層体の数は限定されるものではなく、図5に示すように
2つであっても、又は1つ若しくは3つ以上であっても
よい。
【0063】そしてここでは、プリント配線板1のほぼ
全面に広がるコンデンサ積層体16,17を意図してい
るが、ある特定範囲の広がりを持ち、複数の電子デバイ
ス2と異なる部分で接続するようにする構成も含むこと
ができる。そして、比較的広い面積を有するコンデンサ
積層体16,17をプリント配線板1の内部に設け、複
数の電子デバイス2をこのコンデンサ積層体16,17
の互いに異なる部分に接続するようにしたプリント配線
板1は、これまで、ハワードによる「借りキャパシタン
ス」の原理の提案では、誘電率が4〜5、将来的に10
までの誘電材料を用いることが要求されていた。
【0064】しかしながら、本発明では、より高い誘電
率10〜100を有する誘電材料を用いることにより、
コンデンサ積層体16,17について、従来材料とあま
り変わらない電気容量を必要とする場合には、誘電体5
の厚さをより厚くしたコンデンサ積層体16,17を実
現することができるものであり、あるいはより狭い面積
を有するコンデンサ積層体16,17を実現することが
できるものである。このように、誘電体5の厚さを厚く
することによって、コンデンサ積層体16,17を挟ん
でいる導電層間の短絡を生じにくくし、製造技術を容易
にし、同時に生産効率を良くすることができるものであ
り、また導電層間の印加電圧による絶縁破壊を生じにく
くし、4層又は6層構造のように、あまり多層化されて
いない廉価なプリント配線板1において、配線パターン
20を太くする必要がなくなるものである。また、誘電
体5の厚さやコンデンサ積層体16,17の面積の広狭
の自由度を高めたことにより、プリント配線板1の設計
がより容易になるものであり、しかも、従来材料より高
い電気容量を有するコンデンサ積層体16,17を実現
するのが容易であると共に、より広範囲の電気容量を有
するコンデンサ積層体16,17を備えるプリント配線
板1を実現することも容易となり、幅広い周波数成分を
有するノイズ成分を抑制することが可能となるものであ
る。
【0065】次に、請求項7の発明は、表面に1つ又は
複数の電子デバイス2を設けると共に、内部に複数のコ
ンデンサ積層体30,31を備えたプリント配線板1に
おいて、1つの電子デバイス2に対して複数のコンデン
サ積層体30,31を直列に接続するようにしたもので
ある。具体的には、例えば、図7に示すプリント配線板
1においては、コンデンサ積層体30,31を直列にし
て、これらと電子デバイス2とをスルーホール6,1
8,7による配線6a,18a,7aを介して電気的に
接続している。各コンデンサ積層体30,31の接地層
はスルーホール18による配線18aで共通している。
このとき、コンデンサ積層体30,31は直列に接続さ
れているので、電子デバイス2が要求する電気容量に応
じてコンデンサ積層体30,31を組み合わせることが
できる。1つのコンデンサ積層体30(31)による周
波数特性は限られているため、電子デバイス2の周波数
特性が広帯域になるとノイズの抑制が困難となる。しか
し、上記のように2つ以上のコンデンサ積層体30,3
1を1つの電子デバイス2に対して直列に接続すること
によって、ノイズの抑制に必要とされる電気容量をコン
デンサ積層体30,31の組み合わせによって確保する
ことができ、例えば、各コンデンサ積層体30,31の
周波数特性を重ね合わせることができ、広帯域のノイズ
低減特性を得ることが可能となるものである。
【0066】次に、請求項8の発明は、表面に1つ又は
複数の電子デバイス2を設けると共に、内部に複数のコ
ンデンサ積層体32,33を備えたプリント配線板1に
おいて、1つの電子デバイス2に対して複数のコンデン
サ積層体32,33を並列に接続するようにしたもので
ある。請求項7の発明と請求項8の発明の共通点は、1
つの電子デバイス2に対して複数のコンデンサ積層体3
0,31(32,33)を電気的に接続している点であ
るが、請求項7の発明における複数のコンデンサ積層体
30,31は直列に接続されているのに対し、請求項8
の発明における複数のコンデンサ積層体32,33は並
列に接続されているというところに両発明の相違点があ
る。すなわち、請求項7の発明では複数のコンデンサ積
層体30,31を配線6a,18a,7aを用いること
によって電子デバイス2に直列に接続しているのに対し
て、請求項8の発明では複数のコンデンサ積層体32,
33を複数対の配線6a,7a,6b,7bによって電
子デバイス2に並列に接続している点である。具体的に
は、例えば、図8に示すプリント配線板1においては、
内部に2つのコンデンサ積層体32,33を備えてお
り、電子デバイス2とコンデンサ積層体32との接続に
は1対のスルーホール6,7による配線6a,7aを用
いると共に、電子デバイス2とコンデンサ積層体33と
の接続にはもう1対のスルーホール6,7による配線6
b,7bを用いるようにしている。このとき、上記配線
6a,6bの一端はいずれも電子デバイス2に設けた同
一のデバイスピン40に接続してあり、上記配線6a,
6bの他端はそれぞれコンデンサ積層体32,33の電
源層3に接続してある。また、上記配線7a,7bの一
端はいずれも電子デバイス2に設けた同一のデバイスピ
ン41に接続してあり、上記配線7a,7bの他端はそ
れぞれコンデンサ積層体32,33の接地層4に接続し
てある。そして、コンデンサ積層体32,33は1つの
電子デバイス2に対してそれぞれ別々に接続されるよう
にしているので、電子デバイス2につながっている電気
容量はコンデンサ積層体32,33のそれぞれの電気容
量の和となる。1つのコンデンサ積層体32(33)に
よって実現できる電気容量には限界があるため、電子デ
バイス2が必要とする電気容量に満たない場合がある。
しかし、このように電気容量が不足する場合であって
も、上記のように2つ以上のコンデンサ積層体32,3
3を直列に接続することによって、1つのコンデンサ積
層体32(33)によって実現できる電気容量の限界に
かかわりなく、電子デバイス2が要求する電気容量を得
ることが可能となり、ノイズの抑制を強化することもで
きるものである。
【0067】次に、請求項9の発明は、1つの電子デバ
イス2に対して1つのコンデンサ積層体34のそれぞれ
異なる部分を電気的に接続するようにしたものである
が、上記のコンデンサ積層体34のそれぞれ異なる部分
に電圧を印加できるようにしたものである。このように
コンデンサ積層体34の異なる部分のそれぞれに電圧を
印加できるようにするために、コンデンサ積層体34の
電源層3は複数の電源層3a,3bに分割してある。具
体的には、例えば、図9に示すプリント配線板1におい
ては、表面に1つの電子デバイス2を設けると共に、内
部に1つのコンデンサ積層体34を備えており、このコ
ンデンサ積層体34の電源層3を2つの電源層3a,3
bに分割してある。そして、電子デバイス2とコンデン
サ積層体34とを電気的に接続するにあたっては、分割
した電源層3a,3bごとに1対のスルーホール6,7
による配線6a,7a(6b,7b)を用いるようにし
てある。すなわち、図9に示すプリント配線板1におい
ては、分割した一方の電源層3aと電子デバイス2とを
配線6aによって接続すると共に、接地層4と電子デバ
イス2とを配線7aによって接続してあり、また分割し
た他方の電源層3bと電子デバイス2とを配線6bによ
って接続すると共に、接地層4と電子デバイス2とを配
線7bによって接続してある。このように、1つの電子
デバイス2に対して1つのコンデンサ積層体34の2つ
の異なる部分を、各1対、合計2対の配線6a,7a,
6b,7bを用いて電気的に接続するようにしてあり、
この際、接地層4は図9に示すように2つの異なる部分
において共通している。
【0068】近年の電子デバイスは、複数の動作電圧
(電源電圧)を持ち、複数の電源供給経路を持つ場合が
多い。このような電子デバイスを用いる場合、通常はプ
リント配線板の内部に備えるコンデンサ積層体の数を増
加させて、各電源供給経路のノイズを抑制する必要があ
る。従ってプリント配線板の層数(導電層の層数)は、
増加させるコンデンサ積層体の数に応じて増加すること
となる。従来、複数の動作電圧を持つ電子デバイスを使
用するにあたって、プリント配線板の層数を拡張するこ
となく、各電源供給経路のノイズを抑制する有効な手段
はなかった。しかし、請求項9の発明のように、1つの
電子デバイス2に対して1つのコンデンサ積層体34の
それぞれ異なる部分を電気的に接続するようにして、コ
ンデンサ積層体34のそれぞれ異なる部分に電圧を印加
できるようにしてあると、複数の動作電圧を持つ電子デ
バイス2を用いる場合に、プリント配線板1の層数を拡
張することなく、すなわちプリント配線板1の内部にお
ける導電層の層数を増加させることなく、各電源供給経
路ごとのノイズを十分に抑制することができるものであ
る。
【0069】次に、請求項10の発明は、1つ又は複数
の電子デバイスの動作電圧に応じて複数のコンデンサ積
層体に電圧を印加できるようにしたものである。具体的
には、例えば、図10に示すプリント配線板1において
は、表面に1つの電子デバイス2を設けると共に、内部
に2つのコンデンサ積層体35,36を備えており、電
子デバイス2とコンデンサ積層体35との接続には1対
のスルーホール6,7による配線6a,7aを用いると
共に、電子デバイス2とコンデンサ積層体36との接続
にはもう1対のスルーホール6,7による配線6b,7
bを用いるようにしている。このようにしておくと、電
子デバイス2が複数の動作電圧を必要とする場合に、そ
の動作電圧に対応する電圧を2つのコンデンサ積層体3
5,36のそれぞれに印加することができるようにな
る。そうすると、1つの電子デバイス2が複数の動作電
圧を必要とする場合に、2つのコンデンサ積層体35,
36のそれぞれに各動作電圧に応じた電圧を印加するこ
とによって、複数の電源供給経路のノイズをそれぞれ抑
制することができるものである。なお、プリント配線板
1の表面に複数の電子デバイス2を設ける場合であって
も、各電子デバイス2について上記と同様の構成にする
ことによって、ノイズの抑制効果を得ることができるも
のである。
【0070】次に、請求項11の発明は、請求項10の
発明のプリント配線板1において、複数のコンデンサ積
層体35,36の間に容量特性を持たせるものである。
具体的には、例えば、図10に示すプリント配線板1に
おいては、2つのコンデンサ積層体35,36の間に誘
電体5aを設けることによって、2つのコンデンサ積層
体35,36の間にさらにもう1つコンデンサ積層体3
7を設けるようにしてある。コンデンサ積層体35の接
地層4とコンデンサ積層体36の電源層3との間隔を広
げたり狭めたりすることによって、必要とする容量特性
を得ることができるように、コンデンサ積層体37の電
気容量を調節することができる。上記のように2つのコ
ンデンサ積層体35,36の間に容量特性を持たせてお
くと、ノイズを抑制するために要求される電気容量を容
易に調節することができるものである。
【0071】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0072】(実施例1)熱硬化性樹脂組成物の各成分
及びその配合量は以下に示す通りである。 ・臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂 88質量部 (エポキシ当量500、東都化成社製「YDB−500」) ・クレゾールノボラック型エポキシ樹脂 9.7質量部 (エポキシ当量220、東都化成社製「YDCN−701」) ・ジシアンジアミド 2.3質量部 ・2−エチル−4−メチルイミダゾール 0.097質量部 ・エポキシシラン 3質量部 (日本ユニカー社製「A−187」) ・チタン酸バリウム(平均粒径:1.2μm、誘電率:5000)300質量部 上記の各成分を配合して得られたエポキシ樹脂組成物に
メチルセロソルブを50質量%、N,N−ジメチルホル
ムアミドを50質量%含有する溶剤を加えて、樹脂濃度
80質量%のワニスを調製した。
【0073】次に、基材としてガラスクロス(厚さ:3
0μm、誘電率:5.8)を用い、これに上記のワニス
の含浸を行った。含浸後の乾燥は160℃、4分間行っ
た。樹脂付着量は84質量%であった。一方、厚さ35
μmの両面粗化銅箔のS面(シャイニー面、光沢面)を
カップリング剤(エポキシシラン)を用いて処理し、こ
の面の側を上記のようにして得られたプリプレグ1枚の
両面に対向して重ね、これを170℃、3MPa、12
0分間の条件で加熱・加圧成形することによってコンデ
ンサ積層体15を得た。
【0074】そして、このコンデンサ積層体15を内層
基材とし、表面の銅箔に配線パターン20を形成した
後、一方の面に誘電率4.4〜4.7を有する熱硬化性
樹脂組成物を、他方の面に誘電率2.2〜3.9を有す
る熱硬化性樹脂組成物を塗布し、これを乾燥させた。さ
らに両側の面に、めっき処理によって導電層を設けて外
層基材とし、これに配線パターン20を形成すると共
に、スルーホール6,7を形成することによって内層基
材と外層基材との導通を取り、外層基材の表面にICチ
ップを搭載することによって、図4に示すような多層の
プリント配線板1を製造した。
【0075】(実施例2)カップリング剤として、アミ
ノシラン(日本ユニカー社製「A−1100」)を3質
量部用いた以外は、実施例1と同様にしてプリント配線
板1を得た。
【0076】(実施例3)カップリング剤として、メル
カプトシラン(信越化学工業社製「KBM803」)を
3質量部用いた以外は、実施例1と同様にしてプリント
配線板1を得た。
【0077】(実施例4)カップリング剤として、エポ
キシシランを4.5質量部、無機充填材として、チタン
酸バリウムを450質量部用いた以外は、実施例1と同
様にしてプリント配線板1を得た。
【0078】(実施例5)カップリング剤を添加せず、
カップリング剤によって処理していない銅箔を用いた以
外は、実施例1と同様にしてワニスを得た。
【0079】(実施例6)カップリング剤によって処理
していない銅箔を用いた以外は、実施例1と同様にして
プリント配線板1を得た。
【0080】(実施例7)カップリング剤として、エポ
キシシランを9質量部、無機充填材として、チタン酸バ
リウムを900質量部用いた以外は、実施例1と同様に
してワニスを得た。
【0081】(比較例1)カップリング剤及び無機充填
材を用いず、カップリング剤によって処理していない銅
箔を用いた以外は、実施例1と同様にしてプリント配線
板1を得た。
【0082】そして、上記の実施例1〜7及び比較例1
について、ワニス保存性を調べた。ワニス保存性は、ワ
ニス50cmをサンプル瓶に取り、これを25℃で4
日間放置し、ワニス底部にハードケーキが形成されたも
のを「有り」、ハードケーキが形成されなかったものを
「無し」として評価した。ここで、ワニス保存性はハー
ドケーキが形成されなかったもの、つまり「無し」が好
ましい。さらにIPC−TM−650に基づいて、プリ
ント配線板1におけるコンデンサ積層体15の誘電率、
電気容量、ピール強度を測定した。これらの結果を表1
及び表2に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】表1及び表2にみられるように、各実施例
のものは高誘電率及び高電気容量であり、しかも実施例
1〜4と実施例5,6とを比較すると、銅箔をカップリ
ング剤によって処理することにより、ピール強度が向上
することが確認される。
【0086】他方、比較例1のものは、ピール強度は良
好であるものの、誘電率及び電気容量のいずれもが各実
施例のものより小さいことが確認される。
【0087】なお、実施例7のものは、誘電体の厚さが
60μmであるため、従来材料と同等以上の単位面積当
たりの電気容量条件を満たしながら、誘電体の厚さを厚
くすることができると考えられる。
【0088】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係るプ
リント配線板は、熱硬化性樹脂と、平均粒径が0.01
〜5μm、誘電率が50〜10000である無機充填材
とを、厚さが5〜40μm、誘電率が5〜30である基
材に含浸し、この基材を1枚又は複数枚積層することに
よって、厚さが10μm〜1.0mm、表面の平均粗さ
が1〜7μm、誘電率が10〜100である誘電体を形
成し、この誘電体の両側に導電層を設けることによって
形成されたコンデンサ積層体を、内部に備えると共にコ
ンデンサ積層体の両側の導電層をそれぞれ電源層及び接
地層としているので、このコンデンサ積層体がバイパス
コンデンサとして機能し、電源層と接地層との間に発生
するノイズ成分を除去することができるものである。し
かも、上記のコンデンサ積層体は、有機基材によって優
れた加工性を有していると共に、誘電率が10〜100
である誘電体を用いて製造されているため、熱硬化性樹
脂本来の特性を損なうことなく、高誘電率を得ることが
できるものであり、誘電率が10未満の従来材料を用い
て製造されるコンデンサ積層体よりも、高い電気容量を
設定することができるものである。また、従来材料と同
様の電気容量を得る場合であっても、コンデンサ積層体
の面積をより狭くすることができるものである。さら
に、誘電率が10未満であるような従来材料を用いて製
造されるコンデンサ積層体と同じ電気容量を得ようとす
る際には、面積を広狭にする自由度を高めることがで
き、プリント配線板の設計をより容易に行うことができ
るものである。
【0089】また請求項2の発明は、表面に複数の電子
デバイスを設けると共に、内部に複数のコンデンサ積層
体を備え、各電子デバイスをそれぞれ対応するコンデン
サ積層体に割り当てて電気的に接続しているので、各電
子デバイスごとに適した電気容量にすることができるも
のであり、現在の技術水準で実現可能な誘電率10〜1
00を有する誘電材料を用いることによって、コンデン
サ積層体の電気容量の範囲は多少限定されはするもの
の、個々の電子デバイスのそれぞれに対してコンデンサ
積層体を局所的に利用することが可能となるものであ
る。
【0090】また請求項3の発明は、容量特性の異なる
コンデンサ積層体を複数備えているので、各電子デバイ
スの種類に応じて、各電子デバイスに適した容量特性を
有するコンデンサ積層体を選択して接続することによっ
て、ノイズ抑制効果を向上させることが可能となるもの
である。
【0091】また請求項4の発明は、低周波用のコンデ
ンサ積層体よりも高周波用のコンデンサ積層体を電子デ
バイスの近傍に配置しているので、高周波用のコンデン
サ積層体と電子デバイスとを接続する配線の長さを短縮
することができ、それだけ誘導成分(インダクタンス)
を少なくすることが可能となって、確実にノイズの影響
を受けないようにすることができるものである。
【0092】また請求項5の発明は、表面に複数の電子
デバイスを設けると共に、各電子デバイスを同一のコン
デンサ積層体のそれぞれ異なる部分に電気的に接続して
いるので、複数の電子デバイスに対して同一のコンデン
サ積層体を用いることによって、広い面積のコンデンサ
積層体を用いることができ、また現在の技術水準で実現
可能な誘電率10〜100を有する誘電材料を用いるこ
とによって、従来材料よりも誘電体の厚さを厚くするこ
とができ、また従来材料と同じ厚さであっても、より高
い電気容量を有するコンデンサ積層体を実現することが
できるものである。
【0093】また請求項6の発明は、コンデンサ積層体
における誘電体の厚さが10〜60μmであるので、単
位面積当たりの電気容量が高いコンデンサ積層体、具体
的には0.155〜3.10nF/cmであるコンデ
ンサ積層体を備えたプリント配線板を実現することがで
きるものである。従って、このようなコンデンサ積層体
をプリント配線板において広範囲にわたって使用する
と、電気容量を一層高く得ることができ、幅広い周波数
成分を有するノイズ成分を抑制することができるもので
ある。そして、誘電率が10未満であるような従来材料
を用いて製造されるコンデンサ積層体と同じ電気容量を
得ようとする際には、面積を広狭にする自由度を高める
ことができ、プリント配線板の設計をより容易に行うこ
とができるものである。
【0094】また請求項7の発明は、複数のコンデンサ
積層体を直列に接続しているので、ノイズの抑制に必要
とされる電気容量をコンデンサ積層体の組み合わせによ
って確保することができ、例えば、各コンデンサ積層体
の周波数特性を重ね合わせることができ、広帯域のノイ
ズ低減特性を得ることが可能となるものである。
【0095】また請求項8の発明は、複数のコンデンサ
積層体を並列に接続しているので、電気容量が不足する
場合であっても、1つのコンデンサ積層体によって実現
できる電気容量の限界にかかわりなく、電子デバイスが
要求する電気容量を得ることが可能となり、ノイズの抑
制を強化することもできるものである。
【0096】また請求項9の発明は、1つのコンデンサ
積層体の電源層を複数の電源層に分割し、電子デバイス
と電源層を接続する配線及び電子デバイスと接地層を接
続する配線の1対の配線によって、1つの電子デバイス
に対して上記複数の電源層ごとにコンデンサ積層体のそ
れぞれ異なる部分を電気的に接続しているので、複数の
動作電圧を持つ電子デバイスを用いる場合に、プリント
配線板の層数を拡張することなく、各電源供給経路ごと
のノイズを十分に抑制することができるものである。
【0097】また請求項10の発明は、電子デバイスの
動作電圧に応じて複数のコンデンサ積層体に電圧を印加
できるようにしているので、1つの電子デバイスの複数
の電源供給経路のノイズ又は複数の電子デバイスの電源
供給経路のノイズをそれぞれ抑制することができるもの
である。
【0098】また請求項11の発明は、複数のコンデン
サ積層体の間に容量特性を持たせているので、ノイズを
抑制するために要求される電気容量を容易に調節するこ
とができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す概略断面図で
ある。
【図2】本発明の実施の形態の他例を示す概略平面図で
ある。
【図3】本発明の実施の形態の他例を示す概略断面図で
ある。
【図4】本発明の実施の形態の他例を示す概略断面図で
ある。
【図5】本発明の実施の形態の他例を示す概略断面図で
ある。
【図6】誘電率の異なる誘電体の、厚さと単位面積当た
りの電気容量との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の実施の形態の他例を示す概略断面図で
ある。
【図8】本発明の実施の形態の他例を示す概略断面図で
ある。
【図9】本発明の実施の形態の他例を示す概略断面図で
ある。
【図10】本発明の実施の形態の他例を示す概略断面図
である。
【符号の説明】
1 プリント配線板 2 電子デバイス 3 電源層 4 接地層 5 誘電体 10 コンデンサ積層体 11 コンデンサ積層体 12 コンデンサ積層体 13 コンデンサ積層体 14 コンデンサ積層体 15 コンデンサ積層体 16 コンデンサ積層体 17 コンデンサ積層体 30 コンデンサ積層体 31 コンデンサ積層体 32 コンデンサ積層体 33 コンデンサ積層体 34 コンデンサ積層体 35 コンデンサ積層体 36 コンデンサ積層体 37 コンデンサ積層体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 晋哉 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 中芝 徹 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 Fターム(参考) 5E346 AA06 AA13 AA23 AA33 BB03 BB04 BB07 CC03 CC04 CC09 CC10 CC21 DD07 DD32 EE06 FF04 FF45 GG15 GG17 GG22 GG28 HH04 HH06 HH25 HH33

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂と、平均粒径が0.01〜
    5μm、誘電率が50〜10000である無機充填材と
    を、厚さが5〜40μm、誘電率が5〜30である基材
    に含浸し、この基材を1枚又は複数枚積層することによ
    って、厚さが10μm〜1.0mm、表面の平均粗さが
    1〜7μm、誘電率が10〜100である誘電体を形成
    し、この誘電体の両側に導電層を設けることによって形
    成されたコンデンサ積層体を、内部に備えると共に、こ
    のコンデンサ積層体の両側の導電層をそれぞれ電源層及
    び接地層として成ることを特徴とするプリント配線板。
  2. 【請求項2】 表面に複数の電子デバイスを設けると共
    に、内部に複数のコンデンサ積層体を備え、各電子デバ
    イスをそれぞれ対応するコンデンサ積層体に割り当てて
    電気的に接続して成ることを特徴とする請求項1に記載
    のプリント配線板。
  3. 【請求項3】 容量特性の異なるコンデンサ積層体を複
    数備えて成ることを特徴とする請求項2に記載のプリン
    ト配線板。
  4. 【請求項4】 低周波用のコンデンサ積層体よりも高周
    波用のコンデンサ積層体を電子デバイスの近傍に配置し
    て成ることを特徴とする請求項2又は3に記載のプリン
    ト配線板。
  5. 【請求項5】 表面に複数の電子デバイスを設けると共
    に、各電子デバイスを同一のコンデンサ積層体のそれぞ
    れ異なる部分に電気的に接続して成ることを特徴とする
    請求項1乃至4のいずれかに記載のプリント配線板。
  6. 【請求項6】 コンデンサ積層体における誘電体の厚さ
    が10〜60μmであることを特徴とする請求項1乃至
    5のいずれかに記載のプリント配線板。
  7. 【請求項7】 複数のコンデンサ積層体を直列に接続し
    て成ることを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記
    載のプリント配線板。
  8. 【請求項8】 複数のコンデンサ積層体を並列に接続し
    て成ることを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記
    載のプリント配線板。
  9. 【請求項9】 1つのコンデンサ積層体の電源層を複数
    の電源層に分割し、電子デバイスと電源層を接続する配
    線及び電子デバイスと接地層を接続する配線の1対の配
    線によって、1つの電子デバイスに対して上記複数の電
    源層ごとにコンデンサ積層体のそれぞれ異なる部分を電
    気的に接続して成ることを特徴とする請求項1乃至8の
    いずれかに記載のプリント配線板。
  10. 【請求項10】 電子デバイスの動作電圧に応じて複数
    のコンデンサ積層体に電圧を印加できるようにして成る
    ことを特徴とする請求項2乃至9のいずれかに記載のプ
    リント配線板。
  11. 【請求項11】 複数のコンデンサ積層体の間に容量特
    性を持たせて成ることを特徴とする請求項10に記載の
    プリント配線板。
JP2002188626A 2001-07-06 2002-06-27 プリント配線板 Pending JP2003086950A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002188626A JP2003086950A (ja) 2001-07-06 2002-06-27 プリント配線板

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001206095 2001-07-06
JP2001-206095 2001-07-06
JP2002188626A JP2003086950A (ja) 2001-07-06 2002-06-27 プリント配線板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003086950A true JP2003086950A (ja) 2003-03-20

Family

ID=26618275

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002188626A Pending JP2003086950A (ja) 2001-07-06 2002-06-27 プリント配線板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003086950A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005051075A (ja) * 2003-07-29 2005-02-24 Matsushita Electric Ind Co Ltd 多層回路基板およびその製造方法
JP2006310822A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Samsung Electro Mech Co Ltd ハイブリッド材料を用いたキャパシタ内蔵型プリント基板およびその製造方法
JP2007165857A (ja) * 2005-11-18 2007-06-28 Nec System Technologies Ltd 多層配線基板およびその製造方法
JP2007318071A (ja) * 2006-04-28 2007-12-06 Hitachi Chem Co Ltd 絶縁性基板、金属箔付き基板、及びプリント配線板
JP2008177363A (ja) * 2007-01-18 2008-07-31 Toshiba Corp 多層プリント配線板
JP2010521074A (ja) * 2007-03-10 2010-06-17 サンミナ−エスシーアイ コーポレーション 内蔵型容量性積層体
US8796817B2 (en) 2012-12-13 2014-08-05 Mitsubishi Electric Corporation Semiconductor device

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005051075A (ja) * 2003-07-29 2005-02-24 Matsushita Electric Ind Co Ltd 多層回路基板およびその製造方法
JP2006310822A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Samsung Electro Mech Co Ltd ハイブリッド材料を用いたキャパシタ内蔵型プリント基板およびその製造方法
JP2007165857A (ja) * 2005-11-18 2007-06-28 Nec System Technologies Ltd 多層配線基板およびその製造方法
JP2007318071A (ja) * 2006-04-28 2007-12-06 Hitachi Chem Co Ltd 絶縁性基板、金属箔付き基板、及びプリント配線板
JP2008177363A (ja) * 2007-01-18 2008-07-31 Toshiba Corp 多層プリント配線板
JP2010521074A (ja) * 2007-03-10 2010-06-17 サンミナ−エスシーアイ コーポレーション 内蔵型容量性積層体
US8796817B2 (en) 2012-12-13 2014-08-05 Mitsubishi Electric Corporation Semiconductor device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100716824B1 (ko) 하이브리드 재료를 이용한 커패시터 내장형 인쇄회로기판및 그 제조방법
US7164197B2 (en) Dielectric composite material
US7672113B2 (en) Polymer-ceramic composites with excellent TCC
CN1105484C (zh) 电子电路组件中埋置的电容器的制造方法及电子电路组件
CN1239319C (zh) 电容器层形成用的双面覆铜箔层合板及其制造方法
US20090314419A1 (en) Printed circuit board material for embedded passive devices and preparing method thereof
CN114514798B (zh) 两面覆铜层叠板
US20070177331A1 (en) Non-flaking capacitor material, capacitive substrate having an internal capacitor therein including said non-flaking capacitor material, and method of making a capacitor member for use in a capacitive substrate
US7705691B2 (en) Capacitor interconnection
CN100413383C (zh) 多层配线板及其制造方法、以及半导体装置及无线电子装置
JP2003086950A (ja) プリント配線板
JP2002309200A (ja) 接着フィルム
JP2003023257A (ja) プリント配線板
JP2001347600A (ja) 積層板
CN108605416B (zh) 多层印刷线路板和多层覆金属层压板
JP2004319561A (ja) 素子内蔵基板及びその製造方法
JP4453325B2 (ja) 電子部品内蔵基板の製造方法
JP4075569B2 (ja) プリント配線板製造用材料及びプリント配線板及びその製造方法
JP4126753B2 (ja) 多層板
JP2006123232A (ja) 誘電体フィラー含有樹脂層付銅箔及びその誘電体フィラー含有樹脂層付銅箔を用いて得られたプリント配線板
JP2004311987A (ja) 多層基板
JP2004103615A (ja) 多層配線板、半導体装置、および無線電子装置
JP2004103617A (ja) 多層配線板、およびその製造方法、ならびに半導体装置および無線電子装置
JP2002158451A (ja) 多層配線基板
JP2002093954A (ja) 高誘電率複合材料及びそれを用いた高誘電体層並びにそれを用いた配線基板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050614

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070530

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070605

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20071120