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JP2003064247A - ポリカーボネート樹脂組成物およびディスク基板 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物およびディスク基板

Info

Publication number
JP2003064247A
JP2003064247A JP2001259350A JP2001259350A JP2003064247A JP 2003064247 A JP2003064247 A JP 2003064247A JP 2001259350 A JP2001259350 A JP 2001259350A JP 2001259350 A JP2001259350 A JP 2001259350A JP 2003064247 A JP2003064247 A JP 2003064247A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polycarbonate resin
resin composition
carbon atoms
compound
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001259350A
Other languages
English (en)
Inventor
Takanori Miyoshi
孝則 三好
Yuichi Kageyama
裕一 影山
Wataru Funakoshi
渉 船越
Katsuji Sasaki
勝司 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP2001259350A priority Critical patent/JP2003064247A/ja
Publication of JP2003064247A publication Critical patent/JP2003064247A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 粘度平均分子量10000〜20000の芳
香族ポリカーボネート(A)および有機スルホン酸系化
合物(B)よりなる品質安定性に優れており、各種光記
録媒体に好適な芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得
る。 【解決手段】 該芳香族ポリカーボネート樹脂組成物よ
りなるディスク基板が、温度80℃、相対湿度80%で
7日間保持したとき5μm以上、40μm以下の偏光異
常点が直径120ミリの基板10枚中2個以下であり、
かつ40μm以上の偏光異常点が存在しないことを特徴
とするポリカーボネート樹脂組成物。 該アルカリ金属
化合物触媒と該有機スルホン酸系化合物の反応により生
じる塩の融点または軟化点が300℃以下であるか、ま
たは塩の有機スルホン酸アニオン(S-)とアルカリ金
属カチオン(M+)の分子量比(S-/M+)が5〜30
であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、長期保存安定性
に優れるディスク基板に用いられるポリカーボネート樹
脂組成物、および該ポリカーボネート樹脂組成物よりな
るディスク基板に関する。なかでも、光ディスク基板、と
りわけレーザー光等の光によって情報の記録、再生、ある
いは消去等を行う光記録媒体に好適なディスク基板に用
いられるポリカーボネート樹脂組成物、および該樹脂組
成物よりなるディスク基板に関する。
【0002】
【従来の技術】光記録媒体は、高密度、大容量でかつ、再
生あるいは記録ヘッドと非接触という特徴を有し、再生
専用のコンパクトディスクやビデオディスク、追記可能
な光ディスク、さらには記録、再生、消去可能な光磁気デ
ィスク、相変化ディスク等が開発され、実用化されてい
る。
【0003】このような光記録媒体の基板は、大量生産
可能なポリカーボネート等の光学特性に優れた有機樹脂
を用いて射出成型、射出圧縮成型等の手法により成型さ
れる。光記録媒体はこの基板上に、記録層、反射層、光干渉
の誘電体層、さらには有機層等をスパッタリング、蒸着、
コーティング等により積層することにより製造される。
【0004】ポリカーボネートの製造方法としては、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以
下、ビスフェノールAと略す。)などの芳香族ジヒドロ
キシ化合物とホスゲンとを直接反応させる方法(界面
法)、あるいはビスフェノールAなどの芳香族ジヒドロ
キシ化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエス
テルとを溶融重縮合反応(エステル交換反応)させる方
法(溶融重縮合法)などが知られている。
【0005】このうち、現在、ホスゲンを用いる界面法
が一般に実施されている。一方、溶融重縮合法は、界面
法と比較して安価にポリカーボネートを製造することが
できるという利点を有し、さらにまたホスゲンのような
毒性物質を使用しないため、ポリカーボネートの製造方
法として大きく期待されている。
【0006】光記録媒体の基板にポリカーボネートを用
いるためには、高品質のポリカーボネートが必要である。
ポリカーボネートの品質を向上する方法として、例えば
特開平8−245465号公報では、芳香族ジヒドロキ
シ化合物であるビスフェノールA中の有機不純物2,
4’−ビスフェノール類、トリスフェノール類およびア
ルキル置換4,4’−ビスフェノール類を規定すること
で芳香族ポリカーボネートの色相を改善する方法が提案
されている。しかしながら、最近では光ディスク基板を各
種環境下に保持したときの品質安定性に対する要求が益
々高まっており、特に湿熱条件下での品質安定性が求め
られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本願発明はかかる課題
を解決して、品質に優れた記録媒体用基板に用いられる
ポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とす
る。また、本願発明の別の目的は品質に優れた記録媒体
用基板を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願発明は、ア)芳香族
ジヒドロキシ化合物1モル当たり10〜1000μ化学
当量の含窒素塩基性化合物および/または含リン塩基性
化合物、およびイ)芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当
たり0.05〜5μ化学当量のアルカリ金属化合物を含
有する触媒の存在下、芳香族ジヒドロキシ化合物と、炭
酸ジエステルとを重縮合させて得られる、下記式(1)
【0009】
【化3】
【0010】[式中のR1、R2、R3及びR4は、それぞ
れ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の
アルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基又は炭素数
6〜20のアリール基であり、Wは炭素数2〜10のア
ルキリデン基、炭素数1〜15のアルキレン基、炭素数
7〜20のアリール置換アルキレン基、炭素数3〜15
のシクロアルキリデン基、炭素数3〜15のシクロアル
キレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基又はス
ルホン基である。]で表される繰り返し単位から実質的
になる芳香族ポリカーボネート(A)およびスルホン酸
系化合物(B)よりなる芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物において、該芳香族ポリカーボネート樹脂組成物よ
りなるディスク基板が、温度80℃、相対湿度80%で
7日間保持したとき5μm以上、40μm以下の偏光異
常点が基板10枚中2個以下であり、40μm以上の偏
光異常点が存在しないことを特徴とするポリカーボネー
ト樹脂組成物である。
【0011】また、本願発明は該ポリカーボネート樹脂
組成物よりなるディスク基板である。以下、さらに詳細
に本発明を説明する。
【0012】本発明において用いられるポリカーボネー
トは、下記式(1)
【0013】
【化4】
【0014】[式中のR1、R2、R3及びR4は、それぞ
れ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の
アルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基又は炭素数
6〜20のアリール基であり、Wは炭素数2〜10のア
ルキリデン基、炭素数1〜15のアルキレン基、炭素数
7〜20のアリール置換アルキレン基、炭素数3〜15
のシクロアルキリデン基、炭素数3〜15のシクロアル
キレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基又はス
ルホン基である。]で表される繰り返し単位から実質的
になる。
【0015】本発明において用いられるポリカーボネー
トは、下記式(2)−1〜(2)−3
【0016】
【化5】
【0017】[式中のR1,R2,R3,R4,Wは、上記
式(1)と同じ。]で表される成分を合計量で、上記式
(1)で表される繰り返し単位に対し0.0001〜
1.0モル%含有するのが好ましい。上記式(2)−1
〜(2)−3で表される成分の合計含有量が0.000
1モル%より少ないと、ディスク基板成型時転写性が悪
くなる場合があり、好ましくない。また、1.0モル%よ
り多いと、ディスク基板成型時に基板がそることがあり、
好ましくない。より好ましい含有量は0.0005〜
0.5モル%である。
【0018】該ポリカーボネートは、ア)芳香族ジヒド
ロキシ化合物1モル当たり10〜1000μ化学当量の
含窒素塩基性化合物および/または含リン塩基性化合
物、およびイ)芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当たり
0.05〜5μ化学当量のアルカリ金属化合物を含有す
る触媒の存在下、芳香族ジヒドロキシ化合物と、炭酸ジ
エステルとを重縮合させて得られる。
【0019】本願発明で使用される芳香族ジヒドロキシ
化合物としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン(以下ビスフェノールAと略
す。)、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホン等およびその芳香環に例えばアルキル基、
アリール基等が置換されたものがあげられ、なかでもコ
スト面からビスフェノールAが特に好ましい。これらは
単独で用いても2種以上併用しても良い。
【0020】また、炭酸ジエステルとしては例えばジフ
ェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス
(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、
ジブチルカーボネート等が挙げられ、なかでもコスト面
からジフェニルカーボネートが好ましい。
【0021】このような芳香族ジヒドロキシ化合物と炭
酸ジエステルに不純物として含まれる微量金属元素は、
存在化学種の明確な化学構造、寄与形式は不明だが、製
造されるポリカーボネートの耐久性、色調、透明性に悪
影響を与えるため、微量に制御しておくのが好ましい。
【0022】溶融重縮合法は常圧および/または減圧窒
素雰囲気下で芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステ
ルとを加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまた
は芳香族モノヒドロキシ化合物を留出させることで行わ
れる。その反応温度は生成物の沸点等により異なるが、
反応により生成するアルコールまたは芳香族モノヒドロ
キシ化合物を除去するため通常120〜350℃の範囲
であり、好ましくは良好な色相や熱安定性が得られる理
由で180〜300℃の範囲である。
【0023】反応後期には系を減圧にして生成するアル
コールまたは芳香族モノヒドロキシ化合物の留出を容易
にさせる。反応後期の内圧は、好ましくは1333Pa
(10Torr)以下であり、より好ましくは667P
a(5Torr)以下である。
【0024】本願発明においては、特定種類の触媒とし
て、含窒素塩基性化合物および/または含リン塩基性化
合物(以下NCBAと略称することがある)およびアル
カリ金属化合物を使用する。
【0025】NCBAの具体例としては、例えば含窒素
塩基性触媒としては、テトラメチルアンモニウムヒドロ
キシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド
などの、アルキル、アリール、アルキルアリール基など
を有するアンモニウムヒドロキシド類、テトラメチルア
ンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムフェ
ノキシド、ビス(テトラブチルアンモニウム)炭酸塩、
ベンジルトリメチルアンモニウム安息香酸塩、テトラメ
チルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアン
モニウムボロハイドライド、テトラメチルアンモニウム
テトラフェニルボレートなどのアルキル、アリール、ア
ルキルアリール基などを有する塩基性アンモニウム塩、
トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、などの第
三級アミンなどを挙げることができる。
【0026】また、含リン塩基性化合物の具体例として
は例えばテトラブチルホスホニウムヒドロキシド、テト
ラエチルホスホニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチ
ルホスホニウムヒドロキシドなどのアルキル、アリー
ル、アルキルアリール基などを有するホスホニウムヒド
ロキシド類、あるいはテトラメチルホスホニウムボロハ
イドライド、テトラブチルホスホニウムボロハイドライ
ド、テトラメチルホスホニウムテトラフェニルボレート
などの塩基性塩などを挙げることができる。
【0027】上記NCBAは、塩基性窒素原子あるいは
塩基性リン原子が芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対
し、10〜1000μ化学当量となる割合で用いられ
る。10μ化学当量より少ないと反応が遅くなり好まし
くなく、1000μ化学当量より多いと着色が激しくな
り好ましくない。より好ましい使用範囲は同じ基準に対
し、20〜500μ化学当量となる割合である。特に好
ましい割合は同じ基準に対し50〜500μ化学当量と
なる割合である。
【0028】さらに本願発明においては、触媒として上
記NCBAとともにアルカリ金属化合物を併用する。か
かるアルカリ金属化合物は、芳香族ジヒドロキシ化合物
1モルに対し、0.05〜5μ化学当量の範囲で使用さ
れる。これはアルカリ金属元素として0.05〜5μ化
学当量の範囲で使用されることを意味している。かかる
量比の触媒を使用することにより、重縮合反応速度を損
なうことなく重縮合反応中に生成しやすい分岐反応、主
鎖開裂反応や、成形加工時における装置内での異物の生
成、焼けといった好ましくない現象を効果的に抑止でき
る。
【0029】上記範囲を逸脱すると、得られるポリカー
ボネートの諸物性に悪影響を及ぼしたり、またエステル
交換反応が十分に進行せず、高分子量のポリカーボネー
トが得られない等の問題があり得るため、好ましくな
い。
【0030】本願発明に使用されるアルカリ金属化合物
としては、例えばアルカリ金属の水酸化物、炭化水素化
合物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、
シアン酸塩、チオシアン酸塩、ステアリン酸塩、水素化
硼素塩、安息香酸塩、燐酸水素化合物、ビスフェノー
ル、フェノールの塩等が挙げられる。
【0031】具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸
化リチウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、炭酸
水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭
酸セシウム、炭酸ルビジウム、酢酸リチウム、亜硝酸ナ
トリウム、亜硫酸ナトリウム、シアン酸ナトリウム、シ
アン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン
酸カリウム、チオシアン酸セシウム、ステアリン酸ナト
リウム、水素化硼素ナトリウム、水素化硼素カリウム、
水素化硼素リチウム、フェニル化硼素ナトリウム、安息
香酸ナトリウム、燐酸水素ジナトリウム、燐酸水素ジカ
リウム、ビスフェノールAのジナトリウム塩、ジルビジ
ウム塩、ジセシウム塩、モノカリウム塩、ナトリウムカ
リウム塩、ナトリウムリチウム塩、フェノールのナトリ
ウム塩、カリウム塩、セシウム塩、およびルビジウム
塩、等が挙げられる。
【0032】アルカリ金属化合物としては原子番号37
以上のアルカリ金属を含有することが好ましく、特にル
ビジウム化合物、セシウム化合物を少なくとも1種は含
有することが、最終的に得られるポリカーボネート組成
物の耐久性、色調、透明性が優れるため好ましい。
【0033】本願発明のポリカーボネートにおいては、
溶融粘度安定化剤として有機スルホン酸系化合物を用い
る。有機スルホン酸系化合物を用いることにより、ディ
スク基板成形時のポリカーボネートの劣化が抑制され
る。
【0034】かかる有機スルホン酸系化合物としては、
有機スルホン酸のホスホニウム塩やアンモニウム塩など
の有機スルホン酸塩や有機スルホン酸等を挙げることが
できる。これら有機スルホン酸系化合物は組み合わせて
用いることができる。
【0035】上記有機スルホン酸塩の具体的な例として
は、たとえば、オクチルスルホン酸テトラブチルホスホ
ニウム塩、デシルスルホン酸テトラメチルホスホニウム
塩、メタンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ベ
ンゼンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、ベンゼ
ンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ド
デシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム
塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホ
ニウム塩、デシルスルホン酸テトラメチルアンモニウム
塩、ベンゼンスルホン酸テトラエチルアンモニウム塩、
ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルアンモニウム
塩を挙げることができる。
【0036】上記有機スルホン酸の具体的な例として
は、たとえば、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスル
ホン酸、ドデシルスルホン酸、ヘキサデシルスルホン
酸、ノニルスルホン酸、等が例示できる。好ましくは有
機スルホン酸塩化合物が使用される。
【0037】かかる有機スルホン酸系化合物は、アルカ
リ金属化合物を含有する触媒のアルカリ金属元素の1化
学当量あたり、0.7〜100化学当量使用することが
好ましい。
【0038】本願発明のポリカーボネート樹脂組成物
は、かかる有機スルホン酸系化合物と該アルカリ金属化
合物とが反応して生じる塩の融点または軟化点が300
℃以下であることが好ましい。あるいは、かかる有機ス
ルホン酸系化合物と該アルカリ金属化合物とが反応して
生じる塩の有機スルホン酸アニオン(S-)とアルカリ
金属カチオン(M+)の分子量比(S-/M+)が5〜3
0であることが好ましい。その効果の理由は不明である
が、ディスクの偏光異常点生成にかかる塩が寄与してい
ることが推察される。
【0039】本発明に用いられるポリカーボネートの粘
度平均分子量は10000〜25000である。ここ
で、芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量は、塩化
メチレン中、20℃ウベローデ粘度管にて測定した固有
粘度より、粘度平均分子量は次式より計算した。
【0040】〔η〕=1.23×10-4×MW0.83 芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量が10000
より小さいと、力学物性、特に耐衝撃性が低すぎるため
好ましくない。また、25000より大きいとき、得ら
れる芳香族ポリカーボネートの溶融粘度が高くなり、特
に光学、情報用ディスクなど成型時に流動性が求められ
る用途に用いる際、好ましくない。より好ましい粘度平
均分子量は11000〜20000である。
【0041】本願発明のポリカーボネート組成物には、
更に必要に応じて従来公知の耐熱安定剤、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、離型剤等を添加し
ても良い。
【0042】耐熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、
亜ホスホン酸、ホスホン酸、およびこれらのエステル等
が挙げられる。かかる耐熱安定剤としては例えば、トリ
スノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−
tert−ブチルフェニル)ホスファイト、4,4’−
ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−
tert−ブチルフェニル)、トリメチルホスフェート
およびベンゼンホスホン酸ジメチルが挙げられる。これ
らの熱安定剤は、単独でも2種以上混合して用いても良
い。かかる熱安定剤の配合量は、本発明によって得られ
る芳香族ポリカーボネート100重量部に対して0.0
001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重
量部がより好ましく、0.001〜0.1重量部が更に
好ましい。
【0043】また、本願発明のポリカーボネート樹脂組
成物には溶融成型時の金型からの離型性をより向上させ
るために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配
合することが好ましい。かかる離型剤としては、オレフ
ィン系ワックス、カルボキシル基および/またはカルボ
ン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコ
ーンオイル、オルガノポリシロキサン、一価または多価
アルコールの高級脂肪酸エステル、パラフィンワック
ス、蜜蝋等が挙げられ、これらのうち脂肪酸エステルが
好ましい。かかる離型剤の配合量は、本願発明の芳香族
ポリカーボネート100重量部に対し0.01〜5重量
部が好ましい。
【0044】更に所望により、従来公知のベンゾトリア
ゾール系光安定剤、ベンゾフェノン系光安定剤、シアノ
アクリレート系光安定剤、第4級アンモニウム塩系、ア
ルキルホスフェート系の帯電防止剤等を使用しても良
い。
【0045】本願発明のポリカーボネート樹脂組成物よ
りなるディスク基板を成型するための成型装置、成型条
件としては、従来公知の装置、成型条件を利用できる。
【0046】本願発明のポリカーボネート樹脂組成物よ
りなるディスク基板は、温度80℃、相対湿度80%で
7日間保持したとき5μm以上、40μm以下の偏光異
常点が直径120ミリの基板10枚中2個以下であり、
40μm以上の偏光異常点が存在しない。本願発明で言
う偏光異常点とは、偏光を入射したとき透過光の振動方
向を変化させる部位のことであり、偏光子と検光子の振
動方向を90°ずれるようにしたとき偏光顕微鏡で点と
して観察される。偏光異常点が10枚中2個以上あった
り、40μmより大きい偏光異常点が存在すると、ディ
スクの信頼性が低下し、好ましくないことが知られてい
る。偏光異常点の個数は基板10枚当り1個以下が好ま
しく、大きさは30μm以下が好ましい。
【0047】本願発明のポリカーボネート樹脂組成物よ
りなるディスク基板は光記録媒体に用いられる。光記録
媒体とは、レーザー光などの光によって情報の記録、再
生および/または消去を行う記録媒体のことである。具体
的には再生専用のコンパクトディスクやビデオディス
ク、追記可能な光ディスク、書き換え可能な光磁気ディ
スク、相変化ディスクなどを包含する。
【0048】本願発明は現在の光記録媒体の主流である
1.2mmの厚さの基板に用いられるのは言うまでもな
いが、その他の厚みの基板にも有効に適用できる。
【0049】
【実施例】以下本発明を実施例により説明するが、本発
明は、これらの実施例に限定されるものではない。各物
性項目の評価は、以下の方法で測定した。
【0050】1)ポリカーボネートの粘度平均分子量;
ポリカーボネートの塩化メチレン溶液を20℃でウベロ
ーデ粘度管にて測定した固有粘度より、粘度平均分子量
は下記式(4)より計算した。 〔η〕=1.23×10-4×MW0.83 (4)
【0051】2)分岐成分の含有量;ポリカーボネート
0.1gを精秤後、テトラヒドロフラン5mlに溶解
し、5N水酸化ナトリウムメタノール溶液1mlを添加
した。これを室温で2時間攪拌し加水分解した。次いで
濃硫酸0.6mlを加え、逆相液体クロマトグラフィー
により定量した。
【0052】3)偏光異常点の個数、大きさ;成型した
ディスク基板10枚を温度80℃、相対湿度80%で7
日間保持したのち、該基板を偏光顕微鏡(ニコンOPTIPHO
T-2)にて観察した。偏光異常点を観察し、その個数を数
えた。また、各偏光異常点の最大幅の平均を偏光異常点
の大きさとした。
【0053】[参考合成例1]ビスフェノールA228重
量部、ジフェニルカーボネート223重量部及びテトラ
メチルアンモニウムヒドロキシド0.009重量部及び
水酸化ナトリウム0.00002重量部を攪拌装置、減
圧装置、蒸留塔などを具備した反応装置に仕込み、18
0℃窒素雰囲気下で30分攪拌し溶解した。次いで同温
度で、13.3kPa(100Torr)の減圧下、3
0分間フェノールを留出しつつ反応させた。さらに22
0℃に昇温しつつ3.99kPa(30Torr)に減
圧し、同温同圧で30分間反応させた。更に反応系を更
に徐々に昇温、減圧し、最終的に270℃、133Pa
(1Torr)とし、ポリカーボネート樹脂を得た。さ
らに得られた樹脂100重量部に対して、ドデシルベン
ゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を0.00
06重量部添加し20分間混合した。得られた樹脂の粘
度平均分子量は15300であった。分岐成分合計含有
量は0.03モル%であった。
【0054】ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩
の融点または軟化点は300℃以上であり、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸アニオンとナトリウムカチオンの分子
量比は14である。
【0055】[参考合成例2]ドデシルベンゼンスルホン
酸テトラブチルホスホニウム塩の代わりにp−トルエン
スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩0.0004部
を用いた以外は参考合成例1と同様にした。得られた樹
脂の粘度平均分子量は15300であった。分岐成分合
計含有量は0.04モル%であった。
【0056】p−トルエンスルホン酸ナトリウム塩の融
点または軟化点は300℃以上であり、p−トルエンス
ルホン酸アニオンとナトリウムカチオンの分子量比は7
である。
【0057】[参考合成例3]ドデシルベンゼンスルホン
酸テトラブチルホスホニウム塩の代わりにメタンスルホ
ン酸テトラブチルホスホニウム塩0.0004部を用い
た以外は参考合成例1と同様にした。得られた樹脂の粘
度平均分子量は15300であった。分岐成分合計含有
量は0.05モル%であった。
【0058】メタンスルホン酸ナトリウム塩の融点は3
00℃以上であり、メタンスルホン酸アニオンとナトリ
ウムカチオンの分子量比は4である。
【0059】[参考合成例4]ビスフェノールAジナトリ
ウム塩の代わりに水酸化セシウム0.00004部を用
いた以外は参考合成例3と同様にした。得られた樹脂の
粘度平均分子量は15200であった。分岐成分合計含
有量は0.06モル%であった。
【0060】メタンスルホン酸セシウム塩の融点は26
3℃であり、メタンスルホン酸アニオンとセシウムカチ
オンの分子量比は0.7である。
【0061】[実施例1〜3比較例1]上記参考例のポリ
カーボネート100重量部に、グリセリンモノステアレ
ート0.035重量部、トリス(2,4−ジ―t−ブチ
ルフェニル)フォスファイト0.005重量部、リン酸
トリメチル0.005をタンブラーを使用して均一に混
合した後、30mmφベント付き二軸押出機(神戸製鋼
(株)製KTX−30)により、シリンダー温度290
℃、1.33kPa(10Torr)の真空度で脱揮し
ながら溶融混練し、ペレットを製造した。
【0062】得られたペレットを、日精樹脂工業(株)
製射出成型機(型名MO40D3H)でニッケル製スタ
ンパーを用い、シリンダー温度340℃、金型温度80
℃、1サイクル7秒の条件で、φ120のコンパクトデ
ィスク基板を成型した。
【0063】得られた結果を表1中に記載する。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】本願発明のポリカーボネート樹脂組成物
よりなるディスク基板は、品質安定性に優れており、各
種光記録媒体に好適に用いることが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 船越 渉 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 (72)発明者 佐々木 勝司 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 Fターム(参考) 4J002 CG001 EV256 FD206 GS02 4J029 AA09 AB05 AC01 AD01 AE05 BB12A BB13A BB13B BD09A BG08X BH02 DB11 DB13 HA01 HC04A HC05A JA091 JA121 JA161 JA201 JA261 JA301 JB171 JB201 JC031 JC091 JC631 JC731 JF021 JF031 JF051 KD07 5D029 KA07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ア)芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当
    たり10〜1000μ化学当量の含窒素塩基性化合物お
    よび/または含リン塩基性化合物、およびイ)芳香族ジ
    ヒドロキシ化合物1モル当たり0.05〜5μ化学当量
    のアルカリ金属化合物を含有する触媒の存在下、芳香族
    ジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルとを重縮合させ
    て得られる、下記式(1) 【化1】 [式中のR1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水
    素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、
    炭素数7〜20のアラルキル基又は炭素数6〜20のア
    リール基であり、Wは炭素数2〜10のアルキリデン
    基、炭素数1〜15のアルキレン基、炭素数7〜20の
    アリール置換アルキレン基、炭素数3〜15のシクロア
    ルキリデン基、炭素数3〜15のシクロアルキレン基、
    酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基又はスルホン基で
    ある。]で表される繰り返し単位から実質的になる、粘
    度平均分子量10000〜20000の芳香族ポリカー
    ボネート(A)および有機スルホン酸系化合物(B)よ
    りなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において、該
    芳香族ポリカーボネート樹脂組成物よりなるディスク基
    板が、温度80℃、相対湿度80%で7日間保持したと
    き5μm以上、40μm以下の偏光異常点が直径120
    ミリの基板10枚中2個以下であり、かつ40μm以上
    の偏光異常点が存在しないことを特徴とするポリカーボ
    ネート樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 該アルカリ金属化合物触媒と該有機スル
    ホン酸系化合物の反応により生じる塩の融点または軟化
    点が300℃以下であることを特徴とする請求項1に記
    載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 該アルカリ金属化合物触媒と該有機スル
    ホン酸系化合物の反応により生じる塩の有機スルホン酸
    アニオン(S-)とアルカリ金属カチオン(M+)の分子
    量比(S-/M+)が5〜30であることを特徴とする請
    求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 芳香族ポリカーボネートが、下記式
    (2)−1〜(2)−3 【化2】 [式中のR1,R2,R3,R4,Wは、上記式(1)と同
    じ。]で表される成分を合計量で、上記式(1)で表さ
    れる繰り返し単位に対し0.0001〜1.0モル%含
    有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のポリカ
    ーボネート樹脂組成物よりなるディスク基板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012003505A3 (en) * 2010-07-02 2012-05-03 Donaldson Company, Inc. Low temperature catalyst for disk drives article and method
US8808944B2 (en) 2006-03-15 2014-08-19 General Electric Company Method for storing holographic data
US8842351B2 (en) 2005-03-16 2014-09-23 General Electric Company Data storage method and device

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