JP2003052361A - 接着依存性細胞の外形制御集合体形成用基板および細胞培養方法 - Google Patents
接着依存性細胞の外形制御集合体形成用基板および細胞培養方法Info
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- JP2003052361A JP2003052361A JP2001243948A JP2001243948A JP2003052361A JP 2003052361 A JP2003052361 A JP 2003052361A JP 2001243948 A JP2001243948 A JP 2001243948A JP 2001243948 A JP2001243948 A JP 2001243948A JP 2003052361 A JP2003052361 A JP 2003052361A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 培養液上で浮遊状態であっても、細胞同士が
接着して互いに足場を供給することで長期間生育ができ
る培養細胞を得ることができる接着依存性細胞の外形制
御集合体形成用基板を提供する。 【解決手段】 本発明に係る基板11は、培養すべき細
胞が接着しない、非細胞接着性の材料からなり、播種さ
れた細胞同士が接着して形成される細胞集合体の外形を
規制する凹部13を有することを特徴としている。
接着して互いに足場を供給することで長期間生育ができ
る培養細胞を得ることができる接着依存性細胞の外形制
御集合体形成用基板を提供する。 【解決手段】 本発明に係る基板11は、培養すべき細
胞が接着しない、非細胞接着性の材料からなり、播種さ
れた細胞同士が接着して形成される細胞集合体の外形を
規制する凹部13を有することを特徴としている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は接着依存性細胞の外
形制御集合体形成用基板および細胞培養方法に関する。
形制御集合体形成用基板および細胞培養方法に関する。
【0002】
【従来技術】新薬開発の際、一つの市販製品(新薬)を
開発するために、数百億円とも言われる費用が投入され
る。その費用の多くは、動物実験を中心とした薬物候補
物質の毒性評価試験に用いられている。そもそも、新薬
開発とは、薬効が認められたある一つの化学物質に化学
的修飾を施し、薬効が最大で、かつ副作用が最低となる
分子構造を発見する作業である。この際、開発初期にお
いては、多種多様に化学修飾を施した新薬候補物質一つ
一つに対し、それぞれ動物実験による毒性試験等を行っ
て、毒性の強い薬品のスクリーニングを行うが、新薬候
補物質の数が非常に多いため、極めて多数の実験動物を
死なせてしまうことになる。これら動物が非常に高価で
あることから、創薬早期における毒性評価のための動物
実験にかかる費用は莫大なものとなる。また、動物愛護
上の観点から、動物実験に対する国際的な批判が増して
きており、動物実験を代替しうる、もしくは大幅に減少
させうる創薬ツールの開発が急がれている。近年、この
創薬ツールとして注目を集め、一部実用化されているの
は、生体外で細胞を培養、生育させた培養細胞である。
これを用いて新規薬剤の生理活性や毒性を試験すること
が行われている。しかしながら、実用化されているのは
主に培養・増殖が容易な皮膚細胞であり、創薬ツールと
して真に望まれている、生体内で薬物代謝を担う細胞
(例:肝細胞、腎細胞)を用いた培養細胞は、体外では
その機能を十分発揮する培養系が存在しないため、いま
だ実用化には至っていない。上記のような培養細胞を得
るには、現在のところ、次のような方法が主に用いられ
ている。最も一般的な方法は、培養皿にコラーゲン等の
細胞接着性のタンパク質を担体として均一にコートし、
培養液を供給し、細胞を播種して、細胞を担体に接着せ
しめ、生育を行う方法である。あるいは、細胞の接着の
容易さが異なるような表面パターンに形成した基板を用
い、この基板表面で細胞培養を行い、接着の容易な部位
にのみ細胞を接着させることにより、基板上に細胞を配
列させる技術も開発されてきている。さらに、特定の細
胞では細胞非接着性基板上に細胞を播種した場合にお互
いに接着し合い、球状のスフェロイドと呼ばれる細胞集
合体を形成する場合がある。この場合は、細胞は基盤に
接着せずともお互いに足場を供給しあうことによって生
存を長期に保持することが知られている。
開発するために、数百億円とも言われる費用が投入され
る。その費用の多くは、動物実験を中心とした薬物候補
物質の毒性評価試験に用いられている。そもそも、新薬
開発とは、薬効が認められたある一つの化学物質に化学
的修飾を施し、薬効が最大で、かつ副作用が最低となる
分子構造を発見する作業である。この際、開発初期にお
いては、多種多様に化学修飾を施した新薬候補物質一つ
一つに対し、それぞれ動物実験による毒性試験等を行っ
て、毒性の強い薬品のスクリーニングを行うが、新薬候
補物質の数が非常に多いため、極めて多数の実験動物を
死なせてしまうことになる。これら動物が非常に高価で
あることから、創薬早期における毒性評価のための動物
実験にかかる費用は莫大なものとなる。また、動物愛護
上の観点から、動物実験に対する国際的な批判が増して
きており、動物実験を代替しうる、もしくは大幅に減少
させうる創薬ツールの開発が急がれている。近年、この
創薬ツールとして注目を集め、一部実用化されているの
は、生体外で細胞を培養、生育させた培養細胞である。
これを用いて新規薬剤の生理活性や毒性を試験すること
が行われている。しかしながら、実用化されているのは
主に培養・増殖が容易な皮膚細胞であり、創薬ツールと
して真に望まれている、生体内で薬物代謝を担う細胞
(例:肝細胞、腎細胞)を用いた培養細胞は、体外では
その機能を十分発揮する培養系が存在しないため、いま
だ実用化には至っていない。上記のような培養細胞を得
るには、現在のところ、次のような方法が主に用いられ
ている。最も一般的な方法は、培養皿にコラーゲン等の
細胞接着性のタンパク質を担体として均一にコートし、
培養液を供給し、細胞を播種して、細胞を担体に接着せ
しめ、生育を行う方法である。あるいは、細胞の接着の
容易さが異なるような表面パターンに形成した基板を用
い、この基板表面で細胞培養を行い、接着の容易な部位
にのみ細胞を接着させることにより、基板上に細胞を配
列させる技術も開発されてきている。さらに、特定の細
胞では細胞非接着性基板上に細胞を播種した場合にお互
いに接着し合い、球状のスフェロイドと呼ばれる細胞集
合体を形成する場合がある。この場合は、細胞は基盤に
接着せずともお互いに足場を供給しあうことによって生
存を長期に保持することが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】生体内で薬物代謝にか
かわる細胞が、生体外で培養された場合にその本来の機
能を発揮できない主な理由は、細胞同士の三次元的配列
が体外で再現できないためであると考えられている。体
外での細胞培養では、主に細胞を平面上に播種する方法
が用いられるが、この状態は生体内における細胞の状態
とはかけ離れていると言わざるを得ない。さらに、上記
の一般的細胞培養方法を用いて細胞を培養し、培養基板
に細胞が接着してしまうと、細胞にダメージを与えずに
別の部位に移植することが非常に困難であるという課題
もある。スフェロイドを形成する場合には、基板に接着
していないので別の部位への移植は比較的容易だが、形
状・大きさの制御が困難であり、特に大きさが大きくな
りすぎてしまうと、スフェロイドの中心部に存在する細
胞では老廃物の排泄、栄養や酸素の取り込みがうまく機
能せず、中心部から集合体が死亡してしまうことが明ら
かになっている。そこで、上記の問題点を解決するため
には、細胞同士の位置や、細胞が集合した場合の形状を
制御しうる培養系を確立することが大きな課題である。
かわる細胞が、生体外で培養された場合にその本来の機
能を発揮できない主な理由は、細胞同士の三次元的配列
が体外で再現できないためであると考えられている。体
外での細胞培養では、主に細胞を平面上に播種する方法
が用いられるが、この状態は生体内における細胞の状態
とはかけ離れていると言わざるを得ない。さらに、上記
の一般的細胞培養方法を用いて細胞を培養し、培養基板
に細胞が接着してしまうと、細胞にダメージを与えずに
別の部位に移植することが非常に困難であるという課題
もある。スフェロイドを形成する場合には、基板に接着
していないので別の部位への移植は比較的容易だが、形
状・大きさの制御が困難であり、特に大きさが大きくな
りすぎてしまうと、スフェロイドの中心部に存在する細
胞では老廃物の排泄、栄養や酸素の取り込みがうまく機
能せず、中心部から集合体が死亡してしまうことが明ら
かになっている。そこで、上記の問題点を解決するため
には、細胞同士の位置や、細胞が集合した場合の形状を
制御しうる培養系を確立することが大きな課題である。
【0004】本発明者は、上記課題に鑑み、鋭意研究を
重ねた結果、驚くべきことに、凹部を持ったアガロース
ゲル基板を培養用基板として用いることで、細胞を浮遊
させたまま細胞集合体を形成させ、かつその形状を制御
しうることを見出し、本発明を完成させた。
重ねた結果、驚くべきことに、凹部を持ったアガロース
ゲル基板を培養用基板として用いることで、細胞を浮遊
させたまま細胞集合体を形成させ、かつその形状を制御
しうることを見出し、本発明を完成させた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る接着依存性
細胞の外形制御集合体形成用基板は、培養される細胞が
接着しない、非細胞接着性の材料からなり、播種された
細胞同士が接着して形成される細胞集合体の外形を規制
する凹部を有することを特徴としている。非接着性の材
料にアガロースゲルを用いることができる。アガロース
は、多糖類であり、水酸基を多く有していて親水性をも
つ。アガロースゲルには、ほとんど細胞が接着しないこ
とはよく知られている。このアガロースゲルはゲル化し
た後は保形性を有するので、成形型を用いて必要な形状
に容易に成形することができる。なお、細胞非接着性材
料はアガロースゲルに限定されることはなく、成形性が
あり、なおかつ細胞接着性のない素材であればいかなる
素材でもよい。
細胞の外形制御集合体形成用基板は、培養される細胞が
接着しない、非細胞接着性の材料からなり、播種された
細胞同士が接着して形成される細胞集合体の外形を規制
する凹部を有することを特徴としている。非接着性の材
料にアガロースゲルを用いることができる。アガロース
は、多糖類であり、水酸基を多く有していて親水性をも
つ。アガロースゲルには、ほとんど細胞が接着しないこ
とはよく知られている。このアガロースゲルはゲル化し
た後は保形性を有するので、成形型を用いて必要な形状
に容易に成形することができる。なお、細胞非接着性材
料はアガロースゲルに限定されることはなく、成形性が
あり、なおかつ細胞接着性のない素材であればいかなる
素材でもよい。
【0006】また本発明に係る細胞培養方法は、上記の
接着依存性細胞の外形制御集合体形成用基板を培養容器
に収容し、該基板上に培養液を供給し、前記基板凹部内
に多数の細胞を播種し、所要条件に維持して、基盤凹部
底部に沈殿した細胞同士を互いに接着させて、多数の細
胞が接着した細胞集合体の外形がほぼ凹部の形状に沿う
ように凹部壁面で規制しつつ、生育させることを特徴と
するものである。
接着依存性細胞の外形制御集合体形成用基板を培養容器
に収容し、該基板上に培養液を供給し、前記基板凹部内
に多数の細胞を播種し、所要条件に維持して、基盤凹部
底部に沈殿した細胞同士を互いに接着させて、多数の細
胞が接着した細胞集合体の外形がほぼ凹部の形状に沿う
ように凹部壁面で規制しつつ、生育させることを特徴と
するものである。
【0007】播種された細胞は、培養初期は粒状で互い
に独立しているが、やがて隣接する細胞同士互いに接触
して、細胞集合体を形成する。接触部位は互いに接着
し、接着した部位が足場となって、接着依存性を有する
細胞であっても長期間生存が可能であることが確認され
た。さらに、驚くべきことに集合体の外形(輪郭)は凹
部の形状に規制され、従来の球状とは異なった形の細胞
集合体が得られることが明らかになった。凹部の形状は
その整形型の形状に応じて任意であり、したがって整形
型が加工可能な形状である限り、任意の形状の細胞集合
体とすることができる。例えば肝実質細胞の培養をする
とき、生体内の肝実質細胞が棒状に平行に並んだ形態を
とっていることを模倣し、凹部を平行な溝形状に形成す
ることにより、生体内とよく似た線状肝実質細胞集合体
とすることができる。培養液や、培養、生育条件は特に
特別なものを必要とせず、通常の培養液、条件で行うこ
とができる。
に独立しているが、やがて隣接する細胞同士互いに接触
して、細胞集合体を形成する。接触部位は互いに接着
し、接着した部位が足場となって、接着依存性を有する
細胞であっても長期間生存が可能であることが確認され
た。さらに、驚くべきことに集合体の外形(輪郭)は凹
部の形状に規制され、従来の球状とは異なった形の細胞
集合体が得られることが明らかになった。凹部の形状は
その整形型の形状に応じて任意であり、したがって整形
型が加工可能な形状である限り、任意の形状の細胞集合
体とすることができる。例えば肝実質細胞の培養をする
とき、生体内の肝実質細胞が棒状に平行に並んだ形態を
とっていることを模倣し、凹部を平行な溝形状に形成す
ることにより、生体内とよく似た線状肝実質細胞集合体
とすることができる。培養液や、培養、生育条件は特に
特別なものを必要とせず、通常の培養液、条件で行うこ
とができる。
【0008】肝細胞以外にも、細胞同士が接着するタイ
プの細胞、例えば、筋肉細胞、神経細胞、血管内皮細
胞、内分泌系細胞、皮膚/粘膜細胞など、接着性を持つ
細胞の集合体を任意の形状で得ることができる。この細
胞集合体は、培養液上に浮遊しており、基板に接着して
いないから、ピペット(スポイトの一種)等で容易に吸
引、回収でき、細胞を破壊せずに他の部位に移植ができ
る。すなわち、任意の形状に整形を行った状態で種々の
用途に転用できることになる。
プの細胞、例えば、筋肉細胞、神経細胞、血管内皮細
胞、内分泌系細胞、皮膚/粘膜細胞など、接着性を持つ
細胞の集合体を任意の形状で得ることができる。この細
胞集合体は、培養液上に浮遊しており、基板に接着して
いないから、ピペット(スポイトの一種)等で容易に吸
引、回収でき、細胞を破壊せずに他の部位に移植ができ
る。すなわち、任意の形状に整形を行った状態で種々の
用途に転用できることになる。
【0009】例えば、生体内での細胞間の位置関係、集
合体形状を、上記のようにして体外の培養系で培養した
種々の培養細胞を移植して復元することにより、その細
胞間の直接接触による情報伝達や、形状に起因する機能
(筋肉の収縮機能など)の再生が行える。また、集合体
化した肝細胞を極性誘導が可能な材料を利用した基板上
に再播種することで、細胞が生体内でもっていた極性構
造の復活が期待できる。また、肝臓内での肝実質細胞
は、周りを種々の非実質細胞で囲まれた線状の形状をも
った集合体であり、上記のように作成が可能になった線
状肝細胞集合体を用いることで、人工肝臓への応用が期
待できる。
合体形状を、上記のようにして体外の培養系で培養した
種々の培養細胞を移植して復元することにより、その細
胞間の直接接触による情報伝達や、形状に起因する機能
(筋肉の収縮機能など)の再生が行える。また、集合体
化した肝細胞を極性誘導が可能な材料を利用した基板上
に再播種することで、細胞が生体内でもっていた極性構
造の復活が期待できる。また、肝臓内での肝実質細胞
は、周りを種々の非実質細胞で囲まれた線状の形状をも
った集合体であり、上記のように作成が可能になった線
状肝細胞集合体を用いることで、人工肝臓への応用が期
待できる。
【0010】
【実施例】図1はアガロースゲルを用いて作成した基板
11を示す。図のように、複数本の平行な溝(凹部、
谷)13が形成されている。基板11はアガロースゲル
単独で形成してもよいが、ガラス等の支持基体(図示せ
ず)上に支持させてもよい。基板11における溝13の
幅、深さ、山の幅は全て0.1mmとし、溝部が形成さ
れている部分の一辺は1cmの正方形とした。アガロー
スゲルは、アガロースの粉体6wt%を水に混合し、一
旦煮沸させて溶解し、冷却することでゲル状化させ、こ
れを成形型(図示せず)を用いて図に示す形状に成形し
て基板11を形成した。上記基板11を培養皿(培養容
器、図示せず)に収容し、培養皿中に、溝13内にまで
浸るように培養液を供給した。培養液は、PSN(Peni
cillin、Streptomycin、Neomycin:いずれも抗生物質)
が含有されたウイリアムズ メディウム E(Williams
, medium E)90vol%に10vol%のFBS(Fetal b
ovine serum:牛胎児血清)を添加した、一般的な培養液
を用いた。基板11上に、成熟マウス肝実質細胞を8万
個/cm2となるように播種した。この培養皿をインキ
ュベーター(図示せず)中に収容し、温度約37℃、炭
酸ガス濃度約5%の大気雰囲気中で、24時間、培養、
生育させた後の細胞の生育拡大写真を図2に示す。基板
11上に播種された細胞は重力により溝13内に落ち込
む。培養初期の段階では、肝細胞は個々に粒子状であっ
たものが、培養が進行するにつれ、培養液上に個々の細
胞が互いに接触して集合体を形成し始めた。そして、2
4時間経過後は、図2に示されるように、基板11の溝
13内にほぼ一杯になるように集合体が成長した。この
細胞集合体は基板11には接着しておらず、ピペットで
吸引して、容易に他の部位に移植できた。細胞集合体
は、個々の細胞が接着していて、2日間は生存している
ことが確認された。
11を示す。図のように、複数本の平行な溝(凹部、
谷)13が形成されている。基板11はアガロースゲル
単独で形成してもよいが、ガラス等の支持基体(図示せ
ず)上に支持させてもよい。基板11における溝13の
幅、深さ、山の幅は全て0.1mmとし、溝部が形成さ
れている部分の一辺は1cmの正方形とした。アガロー
スゲルは、アガロースの粉体6wt%を水に混合し、一
旦煮沸させて溶解し、冷却することでゲル状化させ、こ
れを成形型(図示せず)を用いて図に示す形状に成形し
て基板11を形成した。上記基板11を培養皿(培養容
器、図示せず)に収容し、培養皿中に、溝13内にまで
浸るように培養液を供給した。培養液は、PSN(Peni
cillin、Streptomycin、Neomycin:いずれも抗生物質)
が含有されたウイリアムズ メディウム E(Williams
, medium E)90vol%に10vol%のFBS(Fetal b
ovine serum:牛胎児血清)を添加した、一般的な培養液
を用いた。基板11上に、成熟マウス肝実質細胞を8万
個/cm2となるように播種した。この培養皿をインキ
ュベーター(図示せず)中に収容し、温度約37℃、炭
酸ガス濃度約5%の大気雰囲気中で、24時間、培養、
生育させた後の細胞の生育拡大写真を図2に示す。基板
11上に播種された細胞は重力により溝13内に落ち込
む。培養初期の段階では、肝細胞は個々に粒子状であっ
たものが、培養が進行するにつれ、培養液上に個々の細
胞が互いに接触して集合体を形成し始めた。そして、2
4時間経過後は、図2に示されるように、基板11の溝
13内にほぼ一杯になるように集合体が成長した。この
細胞集合体は基板11には接着しておらず、ピペットで
吸引して、容易に他の部位に移植できた。細胞集合体
は、個々の細胞が接着していて、2日間は生存している
ことが確認された。
【0011】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る接着依存性
細胞の外形制御集合体形成用基板および細胞培養方法に
よれば、生育した細胞がほぼ凹部の形状にならった外形
の細胞集合体を形成した。しかも、この細胞集合体は基
板に接着していないので、細胞にダメージを与えること
なく、容易に他の部位への移植が可能であり、毒性評価
以外にも、立体的に形状を制御された細胞集合体を必要
とする種々の用途に適用可能であるという効果を有す
る。
細胞の外形制御集合体形成用基板および細胞培養方法に
よれば、生育した細胞がほぼ凹部の形状にならった外形
の細胞集合体を形成した。しかも、この細胞集合体は基
板に接着していないので、細胞にダメージを与えること
なく、容易に他の部位への移植が可能であり、毒性評価
以外にも、立体的に形状を制御された細胞集合体を必要
とする種々の用途に適用可能であるという効果を有す
る。
【図1】基板の説明図である。
【図2】24時間培養、生育後の細胞集合体を示す写真
図である。
図である。
11 基板
13 溝(凹部)
Claims (2)
- 【請求項1】 培養される細胞が接着しない、非細胞接
着性の材料からなり、播種された細胞同士が接着して形
成される細胞集合体の外形を規制する凹部を有すること
を特徴とした接着依存性細胞の外形制御集合体形成用基
板。 - 【請求項2】 請求項1記載の接着依存性細胞の外形制
御集合体形成用基板を培養容器に収容し、該基板上に培
養液を供給し、前記基板凹部内に多数の細胞を播種し、
所要条件に維持して、基盤凹部底部に沈殿した細胞同士
を互いに接着させて、多数の細胞が接着した細胞集合体
の外形がほぼ凹部の形状に沿うように凹部壁面で規制し
つつ、生育させることを特徴とする細胞培養方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001243948A JP2003052361A (ja) | 2001-08-10 | 2001-08-10 | 接着依存性細胞の外形制御集合体形成用基板および細胞培養方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001243948A JP2003052361A (ja) | 2001-08-10 | 2001-08-10 | 接着依存性細胞の外形制御集合体形成用基板および細胞培養方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003052361A true JP2003052361A (ja) | 2003-02-25 |
Family
ID=19073954
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001243948A Pending JP2003052361A (ja) | 2001-08-10 | 2001-08-10 | 接着依存性細胞の外形制御集合体形成用基板および細胞培養方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003052361A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8361781B2 (en) | 2006-01-24 | 2013-01-29 | Brown University | Cell aggregation and encapsulation device and method |
US8501476B2 (en) | 2009-10-07 | 2013-08-06 | Brown University | Assays and methods for fusing cell aggregates to form proto-tissues |
JP2014187971A (ja) * | 2013-03-28 | 2014-10-06 | Lsi Medience Corp | 肝細胞培養用基板及び肝細胞培養方法 |
JP2015511487A (ja) * | 2012-03-13 | 2015-04-20 | インスティテュート オブ ジェネティックス アンド ディベロップメンタル バイオロジー,チャイニーズ アカデミー オブ サイエンシズ | 3次元培養による細胞の再プログラミング |
US9243278B2 (en) | 2011-09-22 | 2016-01-26 | Brown University | Mechanotransduction by the synergistic action of heterotypic cell interactions |
US9468680B2 (en) | 2011-09-22 | 2016-10-18 | Brown University | Differential effects of drugs on transport in a multi-layer 3D spheroid model |
-
2001
- 2001-08-10 JP JP2001243948A patent/JP2003052361A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8361781B2 (en) | 2006-01-24 | 2013-01-29 | Brown University | Cell aggregation and encapsulation device and method |
US9587213B2 (en) | 2006-01-24 | 2017-03-07 | Brown University | Methods and devices for encapsulating cells |
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US9650602B2 (en) | 2012-03-13 | 2017-05-16 | Institute Of Genetics And Developmental Biology, Chinese Academy Of Sciences | Reprogramming cells by three-dimensional cultivation |
JP2014187971A (ja) * | 2013-03-28 | 2014-10-06 | Lsi Medience Corp | 肝細胞培養用基板及び肝細胞培養方法 |
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