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JP2003048430A - 車両用ドアのインナパネルの製造方法、および車両用ドアのインナパネル - Google Patents

車両用ドアのインナパネルの製造方法、および車両用ドアのインナパネル

Info

Publication number
JP2003048430A
JP2003048430A JP2001238436A JP2001238436A JP2003048430A JP 2003048430 A JP2003048430 A JP 2003048430A JP 2001238436 A JP2001238436 A JP 2001238436A JP 2001238436 A JP2001238436 A JP 2001238436A JP 2003048430 A JP2003048430 A JP 2003048430A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
inner panel
steel plate
mounting
mounting frame
frame body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001238436A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Kasami
真司 賀佐見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DaikyoNishikawa Corp
Original Assignee
GP Daikyo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by GP Daikyo Corp filed Critical GP Daikyo Corp
Priority to JP2001238436A priority Critical patent/JP2003048430A/ja
Publication of JP2003048430A publication Critical patent/JP2003048430A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Automobile Manufacture Line, Endless Track Vehicle, Trailer (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アウタパネルとドアトリムとが取付枠体に取
り付けられ、インナパネルが取付枠体の開口部を覆って
構成される車両用ドアにおいて、剛性があり軽量で安価
なインナパネルを提供する。 【解決手段】 プレス成形工程(S1)において、鋼鈑
をプレス成形することによって、取付枠体3の開口部3
1を形成するとともに、開口部31から打ち抜いた鋼鈑
片であるインナパネル鋼鈑部50を得る。この時、イン
ナパネル鋼鈑部50の内方側の凹凸部、および取付座面
60との接続部に設けられる抜け防止形状59も形成す
る。次に、射出成形工程(S2)において、インナパネ
ル鋼鈑部50を取付枠体3に取り付けるための取付座面
60を、インナパネル鋼鈑部50の周縁部に樹脂により
形成する。この時、インナパネル鋼鈑部50の内方側
に、ドア機能部品を取り付けるためのドア機能部品取付
部も形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用ドアのイン
ナパネル製造方法、および車両用ドアのインナパネルに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】図15は、従来の技術に係る車両用ドア
100の斜視図である。なお、本図はドアトリム102
(後述)が組付けられてはいない状態を示す。また、図
16は、上記車両用ドア100の断面図である。
【0003】図15に示すように、車両用ドア100に
は、アウタパネル101、インナパネル103および取
付枠体104が組付けられている。なお、図15におい
て、インナパネル103の内方側形状は省略してある。
【0004】図16に示すように、車両用ドア100
は、車両の外側に位置するアウタパネル101と、室内
側に位置するドアトリム102との間にインナパネル1
03が設けられている。さらに、このアウタパネル10
1とドアトリム102とが取り付けられる取付枠体10
4が設けられている。インナパネル103は、この取付
枠体104に設けられた開口部105を覆うようにし
て、取付枠体104に取り付けられる。
【0005】よって、図15に示すように、インナパネ
ル103は、取付枠体104に設けられた開口部105
よりも一回り大きな形状を有しており、取付枠体104
に取り付けるための取付孔106を周縁部に有してい
る。
【0006】また、図16に示すように、インナパネル
103には各種部品として、パワーウインドー装置10
7、パワーウインドー昇降用モータ109、スピーカ
ー、ドアロック装置等の電気部品や、これらを接続する
ためのワイヤーハーネス108等の配線などのドア機能
部品、さらには収納用のドアポケット等のドア構成部品
が搭載されている(本発明の説明図である図2参照)。
【0007】このインナパネル103には、上記各種部
品を搭載するための取付孔、および組み付け作業時用の
作業孔など多数の孔が設けられている。さらに、このイ
ンナパネル103には、ドアポケットの奥行きとなるた
めの深い窪みや各種部品を搭載するための複雑な凹凸の
取付座面が設けられている(本発明の説明図である図2
および図7参照)。
【0008】なお、このようなインナパネル103を設
けることによって、車両用ドア100の内部に組付けら
れる各種部品を、インナパネル103に搭載した状態で
組付けることができ、車両用ドア100の組付けの作業
性に大変優れている。
【0009】これと同時に、インナパネル103は、ド
ア構成部材であるので適度な強度を必要とし、側面衝突
時の衝撃を和らげる構造を有する必要もある。
【0010】以上のような理由により、インナパネル
は、非常に複雑な形状を有している。
【0011】ここで従来、このようなインナパネルとし
て、鋼鈑をプレス成形により形成した鋼鈑インナパネ
ル、または軽量化のために樹脂により一体成形したオー
ル樹脂製の樹脂インナパネルが用いられていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
鋼鈑インナパネルでは、取付枠体の開口部よりも一回り
大きな形状を有し、全面が鋼鈑製であるため、かなり重
くなり、組付け時の作業が困難であった。さらに、取付
枠体の取付面に合わせて、インナパネルの取付面の形状
に高い面精度を出してプレス成形する必要があったの
で、高コストとなっていた。また、プレス成形では形成
困難な複雑な凹凸部や深いカバー形状を、形成する必要
がある時には、別工程でインナパネルに樹脂製部品を形
成する必要があった。
【0013】一方、上記従来の樹脂インナパネルは、軽
量ではあるが、取付枠体の開口部全面を覆う形状である
ため、非常に大型であるので、型閉め力の大きな射出成
形機が必要となり、成形コストが高くなっていた。ま
た、成形収縮、熱膨張対策を必要とするともに、機械的
強度を増す必要があるため、ガラス繊維強化樹脂のよう
なグレードの高い樹脂を用いる必要があり、材料コスト
が高くついていた。さらに、補強リブ等により剛性アッ
プを図る必要もあり、材料コストがさらに高くついてい
た。
【0014】本発明は、上記の問題点を解決するために
なされたもので、その目的は、剛性があり軽量で安価な
インナパネルおよびその製造方法を提供することにあ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の車両用ドアのイ
ンナパネルの製造方法は、上記の課題を解決するため
に、車両外側のアウタパネルに取付枠体が取り付けら
れ、上記取付枠体の開口部を覆って上記取付枠体に取り
付けられる車両用ドアのインナパネルの製造方法におい
て、鋼鈑をプレス成形することによって、上記取付枠体
の開口部を形成するとともに、上記開口部から打ち抜い
た鋼鈑片であるインナパネル鋼鈑部を得るプレス成形工
程と、上記インナパネル鋼鈑部を上記取付枠体に取り付
けるためのインナパネル取付部を、上記インナパネル鋼
鈑部の周縁部に樹脂により形成する樹脂成形工程と、を
含むことを特徴としている。
【0016】上記の方法により、取付枠体を鋼鈑からプ
レス成形する時に発生する取付枠体の開口部から打ち抜
いた鋼鈑片を、インナパネル鋼鈑部として成形する。よ
って、プレス成形において発生する取付枠体の開口部に
おける鋼鈑片を、廃棄せず無駄なくインナパネル鋼鈑部
として用いることができるので、従来の鋼鈑インナパネ
ルに比べて、材料コストを削減できる。
【0017】また、インナパネル鋼鈑部の周縁部に、取
付枠体に取り付けるためのインナパネル取付部を樹脂に
より形成している。よって、従来の鋼鈑インナパネルの
ように、取付枠体の取付面に合わせて、インナパネルの
取付面の形状に、プレス成形時に高い面精度を出す必要
がなくなるので、プレス成形工程のコストを下げること
ができる。
【0018】また、インナパネルの大部分をインナパネ
ル鋼鈑部が占めるので、樹脂インナパネル比べて、樹脂
部は非常に少ない。よって、例えば、射出成形により樹
脂部を形成する場合、射出投影面積が大幅に少なくなる
ために大きな型閉め力の射出成形機等を必要とせず、成
形コストを抑えることができる。
【0019】また、成形収縮、熱膨張対策を行う必要が
なくなり、かつインナパネルの大部分を占める鋼鈑製の
インナパネル鋼鈑部により機械的強度を確保できるの
で、高価な樹脂を使用する必要はなく、材料コストを削
減できる。
【0020】また、従来の鋼鈑インナパネルに対して、
インナパネルのインナパネル取付部を樹脂製とすること
により、軽量化が可能となり、組付け作業時の困難性が
軽減できる。また、取付枠体の取付面との隙間合わせ
や、剛性向上のための肉厚アップや補強リブの追加が容
易となるなど、インナパネル取付部の設計自由度が高く
なるため、鋼鈑のプレス成形における調整よりも、設計
上遙かに簡単な調整となる。
【0021】また、インナパネルの大部分に鋼鈑製のイ
ンナパネル鋼鈑部を用いているので、従来の樹脂インナ
パネルに比べて、剛性および寸法精度を確保できる。
【0022】なお、インナパネルを取付枠体に取り付け
るための樹脂製のインナパネル取付部は種々の形状が可
能である。例えば、一定幅を有してインナパネル鋼鈑部
の外周全周から延出され、取付枠体の取付孔に対応する
取付孔を備えた取付部を有していてもよい。また、取付
枠体の取付孔に対応する取付孔の周りにのみ樹脂製のイ
ンナパネル取付部を形成してもよい。さらには、樹脂製
インナパネル取付部の取付部略面一であってもよいし、
取付枠体の取付面の形状・高低に対応して、取付部の座
高、すなわち取付部の厚さを変えたり、取付部が傾斜し
ていてもよい。
【0023】なお、樹脂成形工程は、射出成形によるも
のに限定されず、注入成形、発泡成形、圧縮成形などに
よるものでもよい。
【0024】さらに、本発明の車両用ドアのインナパネ
ルの製造方法は、上記プレス成形工程において、上記イ
ンナパネル鋼鈑部の内方部の形状を形成することを特徴
としている。
【0025】上記の方法により、さらに、同じプレス成
形工程で、取付枠体とインナパネル鋼鈑部の内方部の形
状とを同時にプレス成形して形成できるため、プレス成
形工程を統合でき、加工コストを大幅に下げることがで
きる。
【0026】さらに、本発明の車両用ドアのインナパネ
ルの製造方法は、上記樹脂成形工程において、上記イン
ナパネル鋼鈑部の内方部に、上記車両用ドアのドア機能
部品を取り付けるためのドア機能部品取付部を形成する
ことを特徴としている。
【0027】上記の方法により、さらに、樹脂成形工程
において、同時にインナパネル鋼鈑部の内方部に樹脂製
のドア機能部品取付部を同時に成形できるので、余分な
成形工程を必要としない。また、この時、プレス成形で
は形成困難な複雑な凹凸部や深いカバー形状を、樹脂に
て同時に成形することも可能になる。なお、樹脂成形工
程において、樹脂製のドア構成部品を同時に設けてもよ
い。
【0028】ここで、ドア機能部品とは、取付座などの
取付部を介してインナパネルに取り付けられる部品であ
り、ガラス昇降用レール、パワーウインドー昇降用モー
タ、スピーカー、ハンドルレバー、ハーネス等が挙げら
れる。一方、ドア構成部品とは、インナパネルに直接取
り付けられる部品であり、カバー、ブラケット、防水カ
バー等が挙げられる。
【0029】さらに、本発明の車両用ドアのインナパネ
ルの製造方法は、上記インナパネルを上記取付枠体に取
り付けたとき、上記インナパネルが上記取付枠体の開口
部を完全に覆うように、上記樹脂成形工程において、上
記インナパネル鋼鈑部の周縁部より延設された覆い部を
形成することを特徴としている。
【0030】上記の方法により、さらに、インナパネル
と取付枠体の開口部との間に生じる開口を覆う覆い部
を、インナパネル鋼鈑部の周縁部より延設されて樹脂に
より形成することにより、取付枠体とインナパネル鋼鈑
部とを一部重ねて取り付けることができる。これは、イ
ンナパネル鋼鈑部を、元の取付枠体の開口部の位置から
ずらせて、回転させて、もしくは裏返して、インナパネ
ルを取付枠体に取り付けることを意味する。これによ
り、重なり部分にて、鋼鈑同士を接続することで強固な
接続が得ることができ、高い応力が発生する部位に対す
る強度を選択的に向上させることができる。
【0031】なお、インナパネル鋼鈑部の取付孔を用い
て、インナパネルと取付枠体に取り付ける時、インナパ
ネル鋼鈑部と取付枠体とを直接接触させて取り付けても
よいし、インナパネルに形成された樹脂製の座面を介し
て取り付けてもよい。
【0032】本発明の車両用ドアのインナパネルは、上
記の課題を解決するために、車両外側のアウタパネルに
取付枠体が取り付けられ、上記取付枠体の開口部を覆っ
て上記取付枠体に取り付けられる車両用ドアのインナパ
ネルにおいて、上記取付枠体の開口部と外周略同形状の
鋼鈑よりなるインナパネル鋼鈑部と、上記取付枠体に取
り付けるために、上記インナパネル鋼鈑部の周縁部に設
けられた樹脂よりなるインナパネル取付部と、を備える
ことを特徴としている。
【0033】上記の構成により、インナパネル鋼鈑部の
周縁部に、取付枠体に取り付けるためにインナパネル取
付部を樹脂により設けている。よって、従来の鋼鈑イン
ナパネルのように、取付枠体の取付面に合わせて、イン
ナパネルの取付面の形状に、プレス成形時に高い面精度
を出す必要がなくなるので、プレス成形工程のコストを
下げることができる。
【0034】また、インナパネルの大部分をインナパネ
ル鋼鈑部が占めるので、樹脂インナパネル比べて、樹脂
部は非常に少ない。よって、例えば、射出成形により樹
脂部を形成する場合、射出投影面積が大幅に少なくなる
ために大きな型閉め力の射出成形機等を必要とせず、成
形コストが抑えることができる。
【0035】よって、成形収縮、熱膨張対策を行う必要
がなくなり、かつインナパネルの大部分を占める鋼鈑製
のインナパネル鋼鈑部により機械的強度を確保できるの
で、高価な樹脂を使用する必要はなく、材料コストを削
減できる。
【0036】また、従来の鋼鈑インナパネルに対して、
インナパネルのインナパネル取付部を樹脂製とすること
により、軽量化が可能となり、組付け作業時の困難性が
軽減できる。また、取付枠体の取付面との隙間合わせ
や、剛性向上のための肉厚アップや補強リブの追加が容
易となるなど、インナパネル取付部の設計自由度が高く
なるため、鋼鈑のプレス成形における調整よりも、設計
上遙かに簡単な調整となる。
【0037】また、インナパネルの大部分に鋼鈑製のイ
ンナパネル鋼鈑部を用いているので、従来の樹脂インナ
パネルに比べて、剛性および寸法精度を確保できる。
【0038】さらに、本発明の車両用ドアのインナパネ
ルは、上記インナパネルを上記取付枠体に取り付けたと
き、上記インナパネルが上記取付枠体の開口部を完全に
覆うように、上記インナパネル取付部は、上記インナパ
ネル鋼鈑部の周縁部より延設された覆い部を含むことを
特徴としている。
【0039】上記の構成により、インナパネルと取付枠
体の開口部との間に生じる開口を覆う覆い部を、インナ
パネル鋼鈑部の周縁部より延設されて樹脂により形成す
ることにより、取付枠体とインナパネル鋼鈑部とを一部
重ねて取り付けることができる。これは、インナパネル
鋼鈑部を、元の取付枠体の開口部の位置からずらせて、
回転させて、もしくは裏返して、インナパネルを取付枠
体に取り付けることを意味する。これにより、重なり部
分にて、鋼鈑同士を接続することで強固な接続が得るこ
とができ、高い応力が発生する部位に対する強度を選択
的に向上させることができる。
【0040】なお、インナパネル鋼鈑部の取付孔を用い
て、インナパネルと取付枠体に取り付ける時、インナパ
ネル鋼鈑部と取付枠体とを直接接触させて取り付けても
よいし、インナパネルに形成された樹脂製の座面を介し
て取り付けてもよい。
【0041】さらに、本発明の車両用ドアのインナパネ
ルは、上記インナパネル取付部は、上記インナパネル鋼
鈑部の周縁部より略同一面内で延設された座面部を含
み、該座面部には上記取付枠体に固定するための取付孔
が設けられていることを特徴としている。
【0042】上記の構成により、さらに、取付枠体に固
定するための取付孔が設けられた座面部がインナパネル
鋼鈑部の周縁部より略同一面内で延設されることによっ
て、インナパネルと取付枠体との安定した取付けが、ボ
ルトなどの締結具により簡便に得られる。
【0043】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について図
1から図14に基づいて説明すれば、以下のとおりであ
る。
【0044】まず、本発明の実施の一形態に係る車両用
ドア1の構造について図2から図5に基づいて説明す
る。
【0045】図2は、各種部品が取り付けられた車両用
ドア1を示す斜視図である。ただし、ドアトリム4、ハ
ーネス79やコネクタ等は図示していない。また、図3
はドアトリム4の斜視図である。図4はアウタパネル2
と取付枠体3とが組付けられた状態を示す斜視図であ
る。図5は車両用ドア1の断面図である。
【0046】図5に示すように、車両用ドア1の外側
(車外側)にはアウタパネル2が位置し、内側(室内
側)にはドアトリム4が位置している。アウタパネル2
は、車両の外側を形成する部品である。ドアトリム4は
室内側を形成し、図3に示すように、パワーウインドー
やドアロック等のスイッチ41が配置され、室内側に突
出するドアポケット42等を有している。
【0047】図5に示すように、アウタパネル2および
ドアトリム4は取付枠体3に組付けらている。インナパ
ネル5は、取付枠体3の開口部31を覆うように取り付
けられる。この取り付けに関しては、後に詳述する。
【0048】つぎに、上記車両用ドア1のインナパネル
5の構造について図6、図7(a)および図7(b)に
基づいて説明する。
【0049】図7(a)はインナパネル5の平面図であ
り、図7(b)は図7(a)のA−A線における断面図
である。図6は、インナパネル5のインナパネル鋼鈑部
50の平面図である。
【0050】図7(a)に示すように、インナパネル5
は、鋼鈑部分であるインナパネル鋼鈑部50、インナパ
ネル鋼鈑部50の周縁部に形成された樹脂製の取付座面
(インナパネル取付部)60、およびインナパネル鋼鈑
部50の内方側に形成された樹脂製部品から構成されて
いる。
【0051】図7(b)に示すように、取付座面60
は、インナパネル鋼鈑部50との接続部65、および取
付枠体3への取付のための取付部(座面部)66を有
し、これら接続部65と取付部66とは一体化してい
る。
【0052】まず、インナパネル5のインナパネル鋼鈑
部50について説明する。
【0053】図2および図4に示すように、インナパネ
ル鋼鈑部50の外周形状は、取付枠体3の開口部31の
開口形状と略同一である。これは、後述するように、イ
ンナパネル鋼鈑部50は取付枠体3の開口部31から打
ち抜いた鋼鈑片を用いて、プレス成形工程時(図1のS
1)に取付枠体3と同時に形成されるからである。
【0054】また、インナパネル鋼鈑部50は内方部
に、凹凸形状として、例えばドアポケットの奥行き部分
である凹部51、52やドアトリム4の支えとなる凸部
53等を有している。
【0055】また、インナパネル鋼鈑部50は内方部
に、開口として、例えば、車外から車両用ドア1を閉開
するハンドルレバーを組付けるための作業孔54、ウイ
ンドーガラス71を手動により昇降するウインドーガラ
ス手動昇降ハンドルの取付孔55、パワーウインドー昇
降用モータ取付孔56、スピーカー取付孔57、ウイン
ドーガラス取付作業孔58や組付部品の干渉を避けるた
めの開口等を有している。
【0056】また、インナパネル鋼鈑部50は、その周
縁部に位置する樹脂製の取付座面60の接続部65に覆
われる(挟まれる)接続部分(重複部分)に設けられ、
インナパネル鋼鈑部50からの取付座面60の抜けを防
止するための抜け防止形状59を所定の位置に有してい
る。
【0057】この抜け防止形状59について図8から図
10に基づいて説明する。
【0058】図8から図10は、インナパネル鋼鈑部5
0に設けられた抜け防止形状59(59a、59b、5
9c)の各種態様を示す切断斜視図である。
【0059】この抜け防止形状59は、インナパネル鋼
鈑部50の周縁部であって、当該周縁部を挟むように成
形される樹脂製の取付座面60の接続部65との接続部
分に形成されている。
【0060】抜け防止形状59としては、例えば、図8
(a)、(b)に示すように、貫通孔59aを断続的に
穿設してもよい。これにより、貫通孔59aを通して樹
脂を連続に成形できる。また、図9(a)、(b)に示
すように、一体に設けられた溝59b、または図10
(a)、(b)に示すように、断続的に配設された窪み
59cを設けてもよい。さらに、抜け防止形状59とし
て、凹部、柱状陥没部、深孔等を断続的に列設したり、
窪み、凹部等を一体または連続的に設けてもよい。
【0061】これらの抜け防止形状59により、取付座
面60がインナパネル鋼鈑部50の周縁部から抜けて外
れることを防止できる。なお、図6、図7(a)および
図7(b)に示したインナパネル鋼鈑部50には、貫通
孔59a(図8(a)、(b))が周縁部に断続的に穿
設されている。
【0062】このように、インナパネル鋼鈑部50が、
樹脂製の取付座面60の接続部65との接続部分に、抜
け防止形状59を有することにより、接続が強化され、
側面衝突時などの時においても、樹脂製の取付座面60
のインナパネル鋼鈑部50からの抜けが防止できる。
【0063】さらに、インナパネル鋼鈑部50は、図示
しないが、後述する射出成形工程(S2)時の金型への
位置決めに用いる位置決め孔を有している。
【0064】つぎに、インナパネル5の樹脂製の取付座
面60について説明する。
【0065】図7に示すように、この樹脂製の取付座面
60は、インナパネル鋼鈑部50の周縁部に位置し、イ
ンナパネル鋼鈑部50を挟む(上下から覆う)ように設
けらた接続部65により、インナパネル鋼鈑部50に接
続され、抜け防止形状59により抜けが防止されてい
る。また、インナパネル5を取付枠体3に取り付けるた
めの取付孔63を有する取付部66を備えている。
【0066】取付座面60の接続部65は、インナパネ
ル鋼鈑部50に設けられた抜け防止形状59を含む周縁
部の全周にわたって、インナパネル鋼鈑部50を挟む
(上下から覆う)ように設けられ、インナパネル鋼鈑部
50の周縁端部を取り囲んでいる。
【0067】また、取付座面60の取付部66は、取付
枠体3側の取付け面形状に合わせた、取付け面形状を有
している。本実施の形態では、取付枠体3側の取付け面
は面一であるので、取付座面60の取付部66の取付け
面も面一である。さらに、取付座面60の取付部66
は、取付枠体3側のウエルド・ナットを備えた取付孔3
2に対応する取付孔63を有している。この取付孔63
を用いてボルトにより、インナパネル5を取付枠体3に
取り付ける。よって、ボルトヘッドに当接する取付座面
60の取付部66は、平坦になっている。なお、取付孔
63にグロメットを嵌合しておいて、取付座面60の取
付部66側からタッピングスクリューで螺合して、イン
ナパネル5を取付枠体3に取り付けてもよい。
【0068】本実施の形態では、この取付座面60の形
状は、インナパネル鋼鈑部50の周縁部全周にわたり、
かつほぼ一定の長さだけ外側に延出した形状である。し
かし、取付座面60の形状はこれに限らない。例えば、
取付枠体3の取付孔32に対応する取付孔63の周囲部
のみに延出した耳状の突起部が間欠、もしくは一部連続
して設けられた形状であってもよい。
【0069】なお、取付座面60の外側端面とインナパ
ネル鋼鈑部50の外側端面との距離、すなわち取付座面
60の外側端面と取付枠体3の開口部31面との距離で
あるラップ量は、一般の乗用車用のドアの場合、20〜
30mmが好ましく、25mmが適当である。
【0070】なお、従来の鋼鈑インナパネルにおいて
は、取付枠体3との取付面の形状に、プレス成形時に高
い面精度を必要としていた。しかし、このインナパネル
5は、取付枠体3との取付面が樹脂製の取付座面60で
あるので、後述するプレス成形工程(図1のS1)時に
高い面精度を出す必要がなくなり、プレス成形工程のコ
ストを下げることができる。
【0071】また、従来の樹脂インナパネルに比べて、
樹脂部が非常に少ない。よって、射出投影面積が大幅に
少なくなるため、大きな型閉め力の射出成形機等を必要
とせず、成形コストが抑えることができる。さらに、こ
のことによって、成形収縮、熱膨張対策を行う必要がな
くなり、かつインナパネル5の大部分を占める鋼鈑製の
インナパネル鋼鈑部50により機械的強度を確保できる
ので、高価な樹脂を使用する必要はなく、材料コストを
削減できる。
【0072】ここで、インナパネル5の樹脂部の成形材
料としては、熱可塑性樹脂が一般的であるが、熱硬化性
樹脂でも良い。熱可塑樹脂としては、例えば、ポリプロ
ピレン(PP)+ガラス繊維、ポリカーボネイト(P
C)+アロイ材、ポリアミド(PA)+ガラス繊維、A
BS樹脂等がある。熱硬化性樹脂として、例えば、不飽
和ポリエステル、エポキシ樹脂等がある。
【0073】また、インナパネル5の大部分に鋼鈑製の
インナパネル鋼鈑部50を用いているので、従来の樹脂
インナパネルに比べて、剛性および寸法精度を確保でき
る。
【0074】また、従来の全面が鋼鈑製であるインナパ
ネルに対して、インナパネル5の周縁部のインナパネル
取付部を樹脂製とすることにより、軽量化が可能とな
り、組付け作業時の困難性が軽減できる。
【0075】また、取付枠体の取付面との隙間合わせ
や、剛性向上のための肉厚アップや補強リブの追加が容
易となるなど、インナパネル取付部の設計自由度が高く
なるため、鋼鈑のプレス成形における調整よりも、設計
上遙かに簡単な調整となる。
【0076】さらに、取付座面60の取付枠体3と接す
る面には、防水用のシール材を埋め込むための凹状のシ
ール材用溝64が全周にわたって設けられている。この
シール材用溝64は、取付孔63に対して、図5に示す
ように外側に位置していても、図7に示すように内側に
位置していてもよい。さらに、このシール材用溝64
は、一部がインナパネル鋼鈑部50に設けられていても
よい。
【0077】さらに、取付座面60の取付孔63周りに
補強リブを設けることもできる。補強リブは例えばレー
ル状や、格子状に形成可能である。リブを設けるという
簡単な構成により、側面衝突時の衝撃を一時的に受け止
めることができる。
【0078】最後に、図2を参照しながら、インナパネ
ル鋼鈑部50の内方側に位置する、インナパネル5の樹
脂製部品について説明する。
【0079】このインナパネル5の樹脂製部品には、ド
ア機能部品取付部とドア構成部品とがある。
【0080】まず、インナパネル5は、ハンドルレバ
ー、ハーネス、スピーカー77、ドアハンドル等のドア
機能部品を取り付けるためのドア機能部品取付部を有し
ている。例えば、このドア機能部品取付部には、室内か
ら車両用ドア1を閉開するハンドルレバーを取り付ける
ためのハンドルレバー取付座61、ハーネスクリップ6
2等のドア機能部品取付座、およびスピーカー77(図
2)や車外から車両用ドア1を閉開するドアハンドル等
のドア機能部品を取り付けるために、孔の淵に設けられ
る取付座面等が含まれる。
【0081】さらに、インナパネル5は、カバー、ブラ
ケットや防水カバー等のドア構成部品を有していてい
る。例えば、このドア構成部品には、ドアポケットの奥
行き部分である凹部51、52やドアトリム4の支えと
なる凸部53等が含まれる。
【0082】つづいて、図2および図5を用いて、イン
ナパネル5に搭載する主な部品について説明する。
【0083】まず、パワーウインドー機構関連の部品に
ついて、説明する。ウインドーガラス71はガラス止め
板72に係止されており、このガラス止め板72はガラ
ス昇降用レール73にガイドされながら、パワーウイン
ドー昇降用モータ74に繋がれたワイヤー75によって
昇降する。ガラス昇降用レール73は、図5に示すよう
に、インナパネル5にネジ等の締結具76により、室内
側から固定されている。
【0084】他に、インナパネル5には、スピーカー7
7や、ハンドルレバー取付座61に取り付けられるハン
ドルレバー等も搭載される。
【0085】次に、図1、図6、図7に基づいて、この
ようなインナパネル5の製造方法について説明する。
【0086】図1は、インナパネル5の製造方法を示す
フローチャートである。
【0087】まず、第一にプレス成形工程(S1)を行
う。このプレス成形工程では、1枚の鋼鈑から、取付枠
体3(図4)と、インナパネル5の鋼鈑部分であるイン
ナパネル鋼鈑部50(図6)とをプレス成形により同時
に成形する。この時、インナパネル鋼鈑部50は、取付
枠体3の開口部31から打ち抜く部分の鋼鈑を用いて形
成される。よって、インナパネル5が覆う取付枠体3の
開口部31の開口形状と、インナパネル鋼鈑部50の外
周形状は略同一となる。
【0088】このプレス成形工程時に、前述したインナ
パネル鋼鈑部50の内方側の凹凸部51〜53および孔
54〜58等も同時に設ける。
【0089】また、このプレス成形工程時に、後述する
射出成形工程(S2)時の金型への位置決めに用いる位
置決め孔(図示せず)、および樹脂製の取付座面60と
の接続部に設けられる抜け防止形状59(図8〜図1
0)が、それぞれインナパネル鋼鈑部50の所定の位置
に形成される。
【0090】よって、プレス成形工程時に発生する取付
枠体3の開口部31における鋼鈑を、廃棄せず無駄なく
インナパネル鋼鈑部50として用いることができる。よ
って、従来の鋼鈑インナパネルに比べて、通常の乗用車
用のドアの場合、15〜25%歩留りを向上させること
ができ、材料コストを削減できる。また、一つのプレス
成形工程で取付枠体3とインナパネル鋼鈑部50とを同
時にプレス成形して形成できるため、プレス成形工程を
統合でき、加工コストを大幅に下げることができる。
【0091】なお、プレス成形工程後に、錆止め剤を塗
布する錆止め工程や、樹脂の接着を良くするために、プ
ライマーを塗布したり表面を荒らす表面処理工程を行っ
てもよい。
【0092】第二に、射出成形工程(樹脂部成形工程)
(S2)を行う。インナパネル鋼鈑部50の周縁部に位
置する樹脂製の取付座面60、およびの内方側に位置す
る樹脂製部品を射出成形(インサート成形)により形成
し、図7に示すインナパネル5を完成させる。
【0093】射出成形工程(S2)においては、まず、
プレス成形工程(S1)時に形成された位置決め孔を用
いて位置決めを行い、インナパネル鋼鈑部50を金型に
セットして固定する。つぎに、金型を閉じてできたキャ
ビティー(隙間)に溶解合成樹脂を射出成形することに
より、インナパネル鋼鈑部50と一体化した取付座面6
0および樹脂製部品を形成する。
【0094】すなわち、インナパネル鋼鈑部50の抜け
防止形状59と一体した接続部65と、および取付枠体
3への取付けのための座面と取付孔63を備えた取付部
66とが一体化した取付座面60が形成される。また、
この取付座面60の取付部66の取付枠体3に接する面
には、全周にわたって凹状のシール材用溝64も同時に
形成する。さらに、取付座面60の取付部66の取付孔
63周りに補強リブを同時に設けることもできる。
【0095】また、この射出成形工程においては、イン
ナパネル鋼鈑部50の周縁部に設けられた取付枠体3と
の取付座面60の他に、ハンドルレバー取付座61、ハ
ーネスクリップ62等のドア機能部品取付座を同時に形
成する。
【0096】また、この射出成形工程時に、スピーカー
77やドアハンドル等のドア機能部品を取り付けるため
の孔の淵に設けられる取付座面や、カバーやブラケット
等のドア構成部品を形成する。
【0097】次に、完成したインナパネル5を用いての
車両用ドア1の組み立て工程の概略について図5に基づ
いて説明する。
【0098】まず、インナパネル5のハーネスクリップ
62を用いて、ハーネス79をインナパネル5に組み付
ける。次に、ガラス昇降用レール73をネジ等の締結具
76を用いて、インナパネル5に固定する。
【0099】インナパネル5の取付枠体3への取り付け
前に、取付座面60のシール材用溝64に、例えば、弾
性体であるシリコーン系もしくはウレタン系のシール材
を予め埋め込んでおく。このシール材によって、取付枠
体3とインナパネル5とが密着し、防水効果が発揮され
る。
【0100】そして、取付枠体3の開口部31を覆うよ
うに、インナパネル5を取付枠体3に取り付ける。この
時、インナパネル鋼鈑部50の外周形状が取付枠体3の
開口部31の形状に略一致するように取り付ける。すな
わち、取付枠体3の開口部31における鋼鈑により作製
されたインナパネル鋼鈑部50を、その元の部材そのま
まの位置に厚み方向にオフセットさせて取り付ける。
【0101】次に、インナパネル5の取付座面60の取
付孔63と、取付枠体3の取付孔32にボルト等の締結
具78で取り付ける。この時、図5に示すように、取付
枠体3の開口部31から、インナパネル5に固定された
ガラス昇降用レール73は立てた状態では入らない。よ
って、一度90度回転させ、横にした状態で、ガラス昇
降用レール73を取付枠体3とアウタパネル2との間に
位置する状態とする。この状態で、再度90度回転させ
てガラス昇降用レール73を立てた状態に戻して、取付
枠体3にインナパネル5を上述したようにして取り付け
る。
【0102】更に、アウタパネル2と取付枠体3が形成
する上部の開口11からウインドーガラス71を入れ、
ガラス昇降用レール73上のガラス止め板72に係止す
る。この係止作業は、インナパネル5に設けられたウイ
ンドーガラス取付作業孔58(図6)を利用して行われ
る。
【0103】最後に、ハーネスクリップ62によりイン
ナパネル5に取付けられたハーネス79を、ドアトリム
4に設けられたコネクタを介してスイッチ41と接続し
た後、ドアトリム4を取付枠体3に組付けることによ
り、車両用ドア1が概略完成する。
【0104】なお、以上の説明においては、取付枠体3
の開口部31における鋼鈑からインナパネル鋼鈑部50
をプレス成形工程にて同時に形成し、インナパネル鋼鈑
部50に樹脂部を成形することによりインナパネル5を
形成し、元の開口部31の位置に対して厚み方向にのみ
オフセットさせて、取付枠体3に取り付けていた。
【0105】しかし、取り付けはこれによるものに限ら
ない。例えば、インナパネル鋼鈑部50を、元の開口部
31に対して、上下方向や左右方向にずらしたり、回転
させたり、裏返したりして、取付枠体3に取り付けても
よい。このように取り付けることにより、インナパネル
鋼鈑部50と取付枠体3との重なり部分にて、鋼鈑同士
を接続することにより強固な接続を得ることができ、高
い応力が発生する部位に対する強度を選択的に向上させ
ることができる。
【0106】ここでは、インナパネル鋼鈑部を、元の開
口部に対して、車体後方にずらせた例を図11〜図14
に基づいて説明する。
【0107】図11は、取付枠体80を示す平面模式図
であり、図12は、インナパネル鋼鈑部91を示す平面
模式図である。また、図13は、インナパネル90を示
す平面模式図であり、図14は、室内側から見た取付枠
体80とインナパネル90との組付けを示す平面模式図
である。
【0108】プレス成形工程(図1のS1)において、
図12に示すインナパネル鋼鈑部91は、図11に示す
取付枠体80と同時に形成されており、インナパネル鋼
鈑部91の外周形状は、取付枠体80の開口部81の形
状に略一致している。なお、このプレス成形工程時に、
取付枠体80には、開口部81の周縁部に配設された取
付孔82と、開口部81の上下中央部から突出する耳部
83に設けられた取付孔84が同時に形成されている。
一方、インナパネル鋼鈑部91には、取付孔82に対応
する取付孔93が、取付孔84に対応する取付孔94が
同時に形成されている。
【0109】次に、射出成形工程(図1のS2)におい
て、樹脂製の取付座面92およびドア機能部品取付部9
5がインナパネル鋼鈑部91に形成され、図13に示す
インナパネル90が完成される。
【0110】図2に示すように、上述したインナパネル
5では、インナパネル鋼鈑部50を、取付枠体3の開口
部31に対して、同じ位置で厚み方向にのみオフセット
させて、インナパネル5を取付枠体3に組付けていた。
よって、インナパネル鋼鈑部50と元の開口部31との
間に、開口(隙間)はほぼ存在しなかった。
【0111】一方、これに対して、図14に示すよう
に、インナパネル鋼鈑部91を元の開口部81に対し
て、車体後方にずらせて組付けることにより、インナパ
ネル鋼鈑部91と元の開口部81との間に、開口(隙
間)が発生する。この開口を覆うべく、インナパネル9
0には、車両前方側に樹脂製の覆い部96が形成されて
いる。逆に、車両後方側には、インナパネル鋼鈑部91
と取付枠体80との重なり部分が生じ、この重なり部分
には樹脂製の取付座面92がインナパネル90に形成さ
れていない。
【0112】また、インナパネル5では、樹脂製の取付
座面60の全周にわたってシール材用溝64が形成され
ていた(図7参照)。一方、このインナパネル90にお
いては、車両後方側のシール材用溝97はインナパネル
鋼鈑部91に形成され、他の三方のシール材用溝98は
樹脂製の取付座面92に形成されている。インナパネル
鋼鈑部91に形成されたシール材用溝97は、プレス成
形工程時に形成される。なお、シール材用溝97とシー
ル材用溝98は、繋がるように形成することが望まし
い。インナパネル90を取付枠体80に取り付けるとき
に、これらのシール材用溝97、98に、シール材を埋
めておき、発泡させて防水の役割を効果的に果たさせる
ためである。
【0113】ここで、図14に示すように、ガラス昇降
用レール99がインナパネル90に斜めに取り付けられ
ている。このガラス昇降用レール99にはウインドーガ
ラスの昇降時に力がかかる。よって、ガラス昇降用レー
ル99が取り付けられているインナパネル90にも力が
かかることになる。この力は、開口部81に対して、車
両後方側にかかるので、これに対応して、インナパネル
鋼鈑部91を、元の開口部81に対して、車体後方にず
らせ、インナパネル鋼鈑部91の取付孔93と取付枠体
80の取付孔82、およびインナパネル鋼鈑部91の取
付孔94と取付枠体80の取付孔84とがボルト等の締
結具により、鋼鈑同士を締め付けることにより、強固な
締結力が得られるので、上記の力に対抗し得る。
【0114】上記の車両用ドアのインナパネルの製造方
法は、上記プレス成形工程において、上記取付枠体と上
記インナパネル鋼鈑部とを同時にプレス成形して形成し
てもよい。
【0115】これにより、一回のプレス成形工程で、取
付枠体とインナパネル鋼鈑部とを同時にプレス成形して
形成できるため、プレス成形工程を統合でき、加工コス
トを大幅に下げることができる。
【0116】本発明の車両用ドアのインナパネルは、ま
た、上記インナパネル鋼鈑部と上記取付枠体とに重なり
部分が生じること無く、上記インナパネルが上記取付枠
体に取り付けられてもよい。
【0117】これにより、インナパネル鋼鈑部と取付枠
体とに重なり部分が生じること無く、インナパネルが取
付枠体に取り付けられる。よって、インナパネル鋼鈑部
と取付枠体とが互いに干渉することがなく、インナパネ
ル鋼鈑部と樹脂製のインナパネル取付部との接続部分を
除いて、インナパネル鋼鈑部の内方部に自由に凹凸部を
設けることができ、設計の自由度が高まる。
【0118】本発明の車両用ドアのインナパネルの製造
方法は、上記樹脂成形工程において、上記インナパネル
が上記取付枠体に取り付けられる際に、上記インナパネ
ル鋼鈑部と上記取付枠体の開口部との間に生じる開口を
覆う覆い部を、樹脂により形成してもよい。
【0119】これにより、インナパネル鋼鈑部と取付枠
体の開口部との間に生じる開口を覆う覆い部を、樹脂に
より形成することにより、取付枠体とインナパネル鋼鈑
部とを一部重ねて取り付けることができる。これは、イ
ンナパネル鋼鈑部を、元の取付枠体の開口部の位置から
ずらせて、回転させて、もしくは裏返して、インナパネ
ルを取付枠体に取り付けることを意味する。これによ
り、重なり部分にて、鋼鈑同士を接続することで強固な
接続が得ることができ、高い応力が発生する部位に対す
る強度を選択的に向上させることができる。
【0120】なお、インナパネル鋼鈑部の取付孔を用い
て、インナパネルと取付枠体に取り付ける時、インナパ
ネル鋼鈑部と取付枠体とを直接接触させて取り付けても
よいし、インナパネルに形成された樹脂製の座面を介し
て取り付けてもよい。
【0121】本発明の車両用ドアのインナパネルの製造
方法は、上記樹脂成形工程において、上記インナパネル
鋼鈑部にドア機能部品を搭載するための機能部品取付
部、およびドア構成部品の少なくとも何れか一方を樹脂
により形成してもよい。
【0122】これにより、取付部形成工程において、同
時にインナパネル鋼鈑部に樹脂製の機能部品取付部、お
よび樹脂製のドア構成部品を同時に設けるので、余分な
工程を必要としない。
【0123】本発明の車両用ドアのインナパネルは、上
記インナパネル鋼鈑部が、周縁部に上記インナパネル取
付部が上記インナパネル鋼鈑部から抜けることを防止す
る抜け防止形状を含んでいてもよい。
【0124】これにより、インナパネル鋼鈑部が抜け防
止形状を有することにより、側面衝突時などの時におい
ても、インナパネル鋼鈑部と樹脂製インナパネル取付部
との抜けが防止される。なお、この抜け防止構造は、例
えば、インナパネル鋼鈑部のインナパネル取付部との接
続部分(重複部分)に、断続するまたは連続する孔、
溝、窪みなどを設け、鋼鈑を挟む(上下から覆う)よう
にして樹脂製のインナパネル取付部を形成することによ
り構成される。
【0125】本発明の車両用ドアのインナパネルは、さ
らに、上記インナパネル取付部が、上記取付枠体との取
付面にシール材を埋め込むためのシール材用溝を含んで
いてもよい。
【0126】これにより、インナパネルの樹脂製のイン
ナパネル取付部と取付枠体との取付隙間が、溝に埋め込
んだシール材が発砲することにより塞がれ、防水の役割
を果たすことができる。
【0127】本発明の車両用ドアのインナパネルは、ま
た、上記インナパネルが上記取付枠体との取付面にシー
ル材を埋め込むためのシール材用溝を含んでいてもよ
い。
【0128】これにより、インナパネルと取付枠体との
取付隙間が、溝に埋め込んだシール材が発砲することに
より塞がれ、防水の役割を果たすことができる。
【0129】本発明の車両用ドアは、上記構成の車両用
ドアのインナパネルが上記取付枠体へ取り付けられても
よい。
【0130】これにより、上記構成のインナパネルを有
する車両用ドアが得られる。よって、剛性があり軽量で
安価な車両用ドアが得られる。
【0131】また、従来のインナパネルに対する形状上
の互換性の制約は、本発明の車両用ドアのインナパネル
においては、インナパネル鋼鈑部とインナパネル取付部
との接続部分のみである。よって、従来のインナパネル
に対して非常に互換性の高いインナパネルが得られるの
で、従来の車両用ドアの構造を全くもしくはほとんど変
える必要がない。
【0132】本発明の車両用ドアの構造は、また、車両
用ドアの外側を形成するアウタパネルと、取付枠体とが
組み付けられた後、内側を形成するドアトリムが組み付
けられるドアの構造において、前記取付枠体と前記ドア
トリムとの間に設けられるインナパネルがあって、該イ
ンナパネルは、前記取付枠体の開口形状と略同形状の鋼
鈑の外周に該取付枠体に取付けるための樹脂製取付座面
を一体的に設けたインナパネルが組込まれる構成であっ
てもよい。
【0133】これにより、樹脂製取付座面を外周に設け
ることによって、インナパネル本体形状を従来鋼鈑オン
リーのインナパネルのサイズと比較して、本発明のサイ
ズがより一回り小さいサイズにすることができるので、
鋼鈑材料の歩留まり向上となる(15〜25%の向
上)。また、インナパネルの大部分を鋼鈑にすることに
より、剛性及び寸法精度が十分に確保できるので、優れ
ている。また、鋼鈑インナパネルでは、取付枠体の取付
面に合わせて取付面の形状をプレス成形時に面精度を出
しておかなければならないが、本発明では、取付座面が
樹脂で成形できるために、更に剛性がアップするのでそ
りや変形の心配が無い。また、取付枠体の取付面との隙
間合わせや、剛性向上のための肉厚アップや補強リブの
追加が容易となるなど、インナパネル取付部の設計自由
度が高くなるため、鋼鈑のプレス成形における調整より
も、設計上遙かに簡単な調整となる。
【0134】これにより、さらに、補強用インナパネル
に樹脂製インナパネルを被覆したインナパネルに比較し
て、本発明の方が射出成形の投影面積が狭いので、型閉
め力の小さい成形機で成形できるため成形コストを下げ
ることができる。
【0135】さらに、上記の車両用ドアの構造は、上記
インナパネルは、上記取付枠体を製作するために、鋼鈑
をプレス成形で打抜いた時に発生した開口部の鋼鈑を用
いて外周に該取付枠体に取付けるための樹脂製取付座面
を一体的に設けてもよい。
【0136】これにより、インナパネル本体は、取付枠
体開口部を打抜いたときの開口部の部材を用いることが
できるので、剛性があってインナパネルのコストをかな
り安くすることができる。
【0137】さらに、上記の車両用ドアの構造は、前記
鋼鈑に組み付けられる部品の取り付け座面を、外周に該
取付枠体に取付けるための樹脂製取付座面を射出成形法
などで一体的に設ける時に同時に設けてもよい。
【0138】これにより、スピーカーなどの取付部品に
おいては、鋼鈑オンリーのインナパネルでは深絞りによ
る凹凸が鋼鈑では作成しにくいものがあり、組み付けら
れない、又は、別部品のカバーなどを付けていた。部品
取付部に穴をあけておいて、取付座面を成形するときに
樹脂製カバーや防水カバー等も一体に成形できるので余
分な組付け作業を減らすことができる。
【0139】また、本発明の車両用ドアのインナパネル
の製造方法は、車両外側のアウタパネルに取付枠体が取
り付けられ、上記取付枠体の開口部を覆って上記取付枠
体に取り付けられる車両用ドアのインナパネルの製造方
法において、鋼鈑をプレス成形することによって、上記
取付枠体の開口部を形成するとともに、上記開口部から
打ち抜いた鋼鈑片であるインナパネル鋼鈑部を得るプレ
ス成形工程と、上記インナパネル鋼鈑部を上記取付枠体
に取り付けるためのインナパネル取付部を、上記インナ
パネル鋼鈑部に形成する取付部形成工程と、を含む方法
であってもよい。
【0140】さらに、本発明の車両用ドアのインナパネ
ルの製造方法は、上記取付部形成工程が樹脂成形工程で
あって、上記インナパネル取付部を上記インナパネル鋼
鈑部の周縁部に樹脂により形成する方法であってもよ
い。
【0141】また、本発明の車両用ドアのインナパネル
は、車両外側のアウタパネルに取付枠体が取り付けら
れ、上記取付枠体の開口部を覆って上記取付枠体に取り
付けられる車両用ドアのインナパネルにおいて、上記取
付枠体の開口部と外周略同形状の鋼鈑よりなるインナパ
ネル鋼鈑部と、上記取付枠体に取り付けるためのインナ
パネル取付部と、を備える構成であってもよい。
【0142】さらに、本発明の車両用ドアのインナパネ
ルは、上記インナパネル取付部は、上記インナパネル鋼
鈑部の周縁部に樹脂によって設けられている構成であっ
てもよい。
【0143】また、本発明の車両用ドアの製造方法は、
鋼鈑をプレス成形することによって、取付枠体の開口部
を形成するとともに、上記開口部から打ち抜いた鋼鈑片
であるインナパネル鋼鈑部を得る工程と、車両外側のア
ウタパネルに取り付けられた上記取付枠体の開口部を覆
って、上記インナパネル鋼鈑部を上記取付枠体に取り付
ける工程と、を含む方法であってもよい。
【0144】また、本発明の車両用ドアは、車両外側の
アウタパネルに取り付けられた取付枠体の開口部を覆っ
て、当該開口部と外周略同形状の鋼鈑よりなるインナパ
ネル鋼鈑部が上記取付枠体に取り付けられている構成で
あってもよい。
【0145】
【発明の効果】以上のように、本発明の車両用ドアのイ
ンナパネルの製造方法は、鋼鈑をプレス成形することに
よって、取付枠体の開口部を形成するとともに、開口部
から打ち抜いた鋼鈑片であるインナパネル鋼鈑部を得る
プレス成形工程と、インナパネル鋼鈑部を取付枠体に取
り付けるためのインナパネル取付部を、インナパネル鋼
鈑部の周縁部に樹脂により形成する樹脂成形工程と、を
含む方法である。
【0146】それゆえ、プレス成形において発生する取
付枠体の開口部における鋼鈑片を、廃棄せず無駄なくイ
ンナパネル鋼鈑部として用いることができるので、従来
の鋼鈑インナパネルに比べて、材料コストを削減できる
という効果を奏する。
【0147】また、従来の鋼鈑インナパネルのように、
取付枠体の取付面に合わせて、インナパネルの取付面の
形状に、プレス成形時に高い面精度を出す必要がなくな
るので、プレス成形工程のコストを下げることができる
という効果を奏する。
【0148】また、インナパネルの大部分をインナパネ
ル鋼鈑部が占めるので、樹脂インナパネル比べて、樹脂
部は非常に少ない。よって、例えば、射出成形により樹
脂部を形成する場合、射出投影面積が大幅に少なくなる
ために大きな型閉め力の射出成形機等を必要とせず、成
形コストを抑えることができるという効果を奏する。
【0149】また、成形収縮、熱膨張対策を行う必要が
なくなり、かつ、インナパネルの大部分を占める鋼鈑製
のインナパネル鋼鈑部により機械的強度を確保できるの
で、高価な樹脂を使用する必要はなく、材料コストを削
減できるという効果を奏する。
【0150】また、従来の鋼鈑インナパネルに対して、
インナパネルのインナパネル取付部を樹脂製とすること
により、軽量化が可能となり、組付け作業時の困難性が
軽減できるという効果を奏する。また、取付枠体の取付
面との隙間合わせや、剛性向上のための肉厚アップや補
強リブの追加が容易となるなど、インナパネル取付部の
設計自由度が高くなるため、鋼鈑のプレス成形における
調整よりも、設計上遙かに簡単な調整となる。
【0151】また、インナパネルの大部分に鋼鈑製のイ
ンナパネル鋼鈑部を用いているので、従来の樹脂インナ
パネルに比べて、剛性および寸法精度を確保できるとい
う効果を奏する。
【0152】さらに、本発明の車両用ドアのインナパネ
ルの製造方法は、上記プレス成形工程において、上記イ
ンナパネル鋼鈑部の内方部の形状を形成する方法であ
る。
【0153】それゆえ、さらに、同じプレス成形工程
で、取付枠体とインナパネル鋼鈑部の内方部の形状とを
同時にプレス成形して形成できるため、プレス成形工程
を統合でき、加工コストを大幅に下げることができると
いう効果を奏する。
【0154】さらに、本発明の車両用ドアのインナパネ
ルの製造方法は、上記樹脂成形工程において、上記イン
ナパネル鋼鈑部の内方部に、上記車両用ドアのドア機能
部品を取り付けるためのドア機能部品取付部を形成する
方法である。
【0155】それゆえ、さらに、樹脂成形工程におい
て、同時にインナパネル鋼鈑部の内方部に樹脂製のドア
機能部品取付部を同時に設けるので、樹脂成形工程にお
いて、余分な成形工程を必要としないという効果を奏す
る。また、プレス成形では形成困難な複雑な凹凸部や深
いカバー形状を樹脂にて成形することも可能になるとい
う効果を奏する。
【0156】さらに、本発明の車両用ドアのインナパネ
ルの製造方法は、上記インナパネルを上記取付枠体に取
り付けたとき、上記インナパネルが上記取付枠体の開口
部を完全に覆うように、上記樹脂成形工程において、上
記インナパネル鋼鈑部の周縁部より延設された覆い部を
形成する方法である。
【0157】それゆえ、さらに、インナパネルと取付枠
体の開口部との間に生じる開口を覆う覆い部を、インナ
パネル鋼鈑部の周縁部より延設されて樹脂により形成す
ることにより、取付枠体とインナパネル鋼鈑部とを一部
重ねて取り付けることができる。これは、インナパネル
鋼鈑部を、元の取付枠体の開口部の位置からずらせて、
回転させて、もしくは裏返して、インナパネルを取付枠
体に取り付けることを意味する。これにより、重なり部
分にて、鋼鈑同士を接続することで強固な接続が得るこ
とができ、高い応力が発生する部位に対する強度を選択
的に向上させることができるという効果を奏する。
【0158】また、本発明の車両用ドアのインナパネル
は、取付枠体の開口部と外周略同形状の鋼鈑よりなるイ
ンナパネル鋼鈑部と、取付枠体に取り付けるために、イ
ンナパネル鋼鈑部の周縁部に設けられた樹脂よりなるイ
ンナパネル取付部と、を備える構成である。
【0159】それゆえ、従来の鋼鈑インナパネルのよう
に、取付枠体の取付面に合わせて、インナパネルの取付
面の形状に、プレス成形時に高い面精度を出す必要がな
くなるので、プレス成形工程のコストを下げることがで
きるという効果を奏する。
【0160】また、インナパネルの大部分をインナパネ
ル鋼鈑部が占めるので、樹脂インナパネル比べて、樹脂
部は非常に少ない。よって、例えば、射出成形により樹
脂部を形成する場合、射出投影面積が大幅に少なくなる
ために大きな型閉め力の射出成形機等を必要とせず、成
形コストが抑えることができるという効果を奏する。
【0161】また、成形収縮、熱膨張対策を行う必要が
なくなり、かつインナパネルの大部分を占める鋼鈑製の
インナパネル鋼鈑部により機械的強度を確保できるの
で、高価な樹脂を使用する必要はなく、材料コストを削
減できるという効果を奏する。
【0162】また、従来の鋼鈑インナパネルに対して、
インナパネルのインナパネル取付部を樹脂製とすること
により、軽量化が可能となり、組付け作業時の困難性が
軽減できるという効果を奏する。また、取付枠体の取付
面との隙間合わせや、剛性向上のための肉厚アップや補
強リブの追加が容易となるなど、インナパネル取付部の
設計自由度が高くなるため、鋼鈑のプレス成形における
調整よりも、設計上遙かに簡単な調整となる。
【0163】また、インナパネルの大部分に鋼鈑製のイ
ンナパネル鋼鈑部を用いているので、従来の樹脂インナ
パネルに比べて、剛性および寸法精度を確保できるとい
う効果を奏する。
【0164】さらに、本発明の車両用ドアのインナパネ
ルは、上記インナパネルを上記取付枠体に取り付けたと
き、上記インナパネルが上記取付枠体の開口部を完全に
覆うように、上記インナパネル取付部は、上記インナパ
ネル鋼鈑部の周縁部より延設された覆い部を含む構成で
ある。
【0165】それゆえ、さらに、インナパネルと取付枠
体の開口部との間に生じる開口を覆う覆い部を、インナ
パネル鋼鈑部の周縁部より延設されて樹脂により形成す
ることにより、取付枠体とインナパネル鋼鈑部とを一部
重ねて取り付けることができる。これは、インナパネル
鋼鈑部を、元の取付枠体の開口部の位置からずらせて、
回転させて、もしくは裏返して、インナパネルを取付枠
体に取り付けることを意味する。これにより、重なり部
分にて、鋼鈑同士を接続することで強固な接続が得るこ
とができ、高い応力が発生する部位に対する強度を選択
的に向上させることができるという効果を奏する。
【0166】さらに、本発明の車両用ドアのインナパネ
ルは、上記インナパネル取付部は、上記インナパネル鋼
鈑部の周縁部より略同一面内で延設された座面部を含
み、該座面部には上記取付枠体に固定するための取付孔
が設けられている構成である。
【0167】それゆえ、さらに、取付枠体に固定するた
めの取付孔が設けられた座面部がインナパネル鋼鈑部の
周縁部より略同一面内で延設されることによって、イン
ナパネルと取付枠体との安定した取付けが、ボルトなど
の締結具により簡便に得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る車両用ドアのイン
ナパネルの製造方法を示すフローチャートである。
【図2】図7に示すインナパネルを取付枠体に取り付け
た状態の車両用ドアを示す斜視図である。
【図3】図2に示す車両用ドアに取り付けるドアトリム
を示す斜視図である。
【図4】図7に示すインナパネルを取り付ける取付枠体
およびアウタパネル示す斜視図である。
【図5】図7に示すインナパネルを有する車両用ドアの
断面図である。
【図6】図7に示すインナパネルのインナパネル鋼鈑部
の平面図である。
【図7】本発明の実施の一形態に係るインナパネルを示
す図であり、図7(a)は平面図、図7(b)は(a)
のA−A線における断面図である。
【図8】図8(a)は図7に示すインナパネルのインナ
パネル鋼鈑部に設けられた抜け防止形状を示す説明図で
あり、図8(b)はインナパネル鋼鈑部と取付座面との
接続状態を示す説明図である。
【図9】図8の変形例を示す図であり、図9(a)はイ
ンナパネルのインナパネル鋼鈑部に設けられた抜け防止
形状を示す説明図であり、図9(b)はインナパネル鋼
鈑部と取付座面との接続状態を示す説明図である。
【図10】図8の変形例を示す図であり、図10(a)
はインナパネルのインナパネル鋼鈑部に設けられた抜け
防止形状を示す説明図であり、図10(b)はインナパ
ネル鋼鈑部と取付座面との接続状態を示す説明図であ
る。
【図11】図13に示すインナパネルを取り付ける取付
枠体を示す平面模式図である。
【図12】図13に示すインナパネルのインナパネル鋼
鈑部を示す平面模式図である。
【図13】本発明の実施の他の形態に係るインナパネル
を示す平面模式図である。
【図14】図13に示すインナパネルを取付枠体に取り
付けた状態を示す平面模式図である。
【図15】従来の技術に係る車両用ドアのアウタパネ
ル、インナパネルおよび取付枠体とが組付けられた状態
を示す斜視図である。
【図16】従来の技術に係る車両用ドアの断面図であ
る。
【符号の説明】
1 車両用ドア 2 アウタパネル 3 取付枠体 5 インナパネル 31 開口部 50 インナパネル鋼鈑部 60 取付座面(インナパネル取付部) 61 ハンドルレバー取付座(ドア機能部品取付部) 62 ハーネスクリップ(ドア機能部品取付部) 63 取付孔 66 取付部(座面部) 77 スピーカー(ドア機能部品) 80 取付枠体 81 開口部 90 インナパネル 91 インナパネル鋼鈑部 92 取付座面(インナパネル取付部) 95 ドア機能部品取付部 96 覆い部 S1 プレス成形工程 S2 射出成形工程(樹脂成形工程)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両外側のアウタパネルに取付枠体が取り
    付けられ、上記取付枠体の開口部を覆って上記取付枠体
    に取り付けられる車両用ドアのインナパネルの製造方法
    において、 鋼鈑をプレス成形することによって、上記取付枠体の開
    口部を形成するとともに、上記開口部から打ち抜いた鋼
    鈑片であるインナパネル鋼鈑部を得るプレス成形工程
    と、 上記インナパネル鋼鈑部を上記取付枠体に取り付けるた
    めのインナパネル取付部を、上記インナパネル鋼鈑部の
    周縁部に樹脂により形成する樹脂成形工程と、を含むこ
    とを特徴とする車両用ドアのインナパネルの製造方法。
  2. 【請求項2】上記プレス成形工程において、上記インナ
    パネル鋼鈑部の内方部の形状を形成することを特徴とす
    る請求項1に記載の車両用ドアのインナパネルの製造方
    法。
  3. 【請求項3】上記樹脂成形工程において、上記インナパ
    ネル鋼鈑部の内方部に、上記車両用ドアのドア機能部品
    を取り付けるためのドア機能部品取付部を形成すること
    を特徴とする請求項1または2に記載の車両用ドアのイ
    ンナパネルの製造方法。
  4. 【請求項4】上記インナパネルを上記取付枠体に取り付
    けたとき、上記インナパネルが上記取付枠体の開口部を
    完全に覆うように、 上記樹脂成形工程において、上記インナパネル鋼鈑部の
    周縁部より延設された覆い部を形成することを特徴とす
    る請求項1から3の何れか1項に記載の車両用ドアのイ
    ンナパネルの製造方法。
  5. 【請求項5】車両外側のアウタパネルに取付枠体が取り
    付けられ、上記取付枠体の開口部を覆って上記取付枠体
    に取り付けられる車両用ドアのインナパネルにおいて、 上記取付枠体の開口部と外周略同形状の鋼鈑よりなるイ
    ンナパネル鋼鈑部と、 上記取付枠体に取り付けるために上記インナパネル鋼鈑
    部の周縁部に設けられた樹脂よりなるインナパネル取付
    部と、を備えることを特徴とする車両用ドアのインナパ
    ネル。
  6. 【請求項6】上記インナパネルを上記取付枠体に取り付
    けたとき、上記インナパネルが上記取付枠体の開口部を
    完全に覆うように、 上記インナパネル取付部は、上記インナパネル鋼鈑部の
    周縁部より延設された覆い部を含むことを特徴とする請
    求項5に記載の車両用ドアのインナパネル。
  7. 【請求項7】上記インナパネル取付部は、上記インナパ
    ネル鋼鈑部の周縁部より略同一面内で延設された座面部
    を含み、該座面部には上記取付枠体に固定するための取
    付孔が設けられていることを特徴とする請求項5または
    6に記載の車両用ドアのインナパネル。
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