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JP2003034829A - 積層板用銅合金箔 - Google Patents

積層板用銅合金箔

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Publication number
JP2003034829A
JP2003034829A JP2001222781A JP2001222781A JP2003034829A JP 2003034829 A JP2003034829 A JP 2003034829A JP 2001222781 A JP2001222781 A JP 2001222781A JP 2001222781 A JP2001222781 A JP 2001222781A JP 2003034829 A JP2003034829 A JP 2003034829A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copper
mass
surface roughness
foil
tensile strength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001222781A
Other languages
English (en)
Inventor
Toubun Nagai
燈文 永井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Mining Holdings Inc
Original Assignee
Nippon Mining and Metals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Mining and Metals Co Ltd filed Critical Nippon Mining and Metals Co Ltd
Priority to JP2001222781A priority Critical patent/JP2003034829A/ja
Publication of JP2003034829A publication Critical patent/JP2003034829A/ja
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  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ポリイミドを樹脂基板とするプリント配線板
において、粗化めっき処理を施さずにポリイミドとの直
接接合が可能な表面粗さの小さい積層板用の銅合金箔を
提供すること。 【解決手段】鉄、ニッケル、コバルト元素を総和で1重
量%以内およびPを総和で0.2重量%以内含有した銅
合金により、引張強さが500N/mm以上、導電率
が60%IACS以上であり、表面粗さが十点平均表面
粗さ(Rz)で2μm以下とすることにより、粗化めっ
き処理を施さずにポリイミドフィルムと直接に接合した
ときの180゜ピール強度が8.0N/cm以上であ
る、積層板用の銅合金箔を提供する。固溶強化効果を有
する元素を2.5重量%以内含有することも可能。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプリント配線板用の積層
板に用いる銅合金箔に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子機器の電子回路にはプリント配線板
が多く用いられる。 プリント配線板は基材となる樹脂
の種類によって、ガラスエポキシ基板および紙フェノー
ル基板を構成材料とする硬質積層板(リジット基板)
と、ポリイミド基板およびポリエステル基板を構成材料
とする可撓性積層板(フレキシブル基板)とに大別され
る。
【0003】上記プリント配線板のうち、フレキシブル
基板は可撓性を持つことを特徴とし、可動部の配線に用
いられる他に、電子機器内で折り曲げた状態で収納する
ことも可能であるために、省スペース配線材料としても
用いられている。 また、基板自体が薄いことから、半
導体パッケージのインターポーザー用途あるいは液晶デ
ィスプレイのICテープキャリアとしても用いられてい
る。 フレキシブル基板は樹脂基板と銅箔とを接着剤を
用いて積層し、その後に接着剤を加熱加圧により硬化し
て形成される三層フレキシブル基板と、接着剤を用いず
に樹脂基板と銅箔とを加熱加圧により直接に積層する二
層フレキシブル基板がある。 三層フレキシブル基板
は、樹脂基板にはポリイミド樹脂フィルムやポリエステ
ルが用いられ、接着剤にはエポキシ樹脂やアクリル樹脂
などが広く用いられている。 一方、二層フレキシブル
基板は樹脂基板にポリイミド樹脂が一般に用いられてい
る。近年、環境への影響から鉛フリーはんだの使用が広
まっているが、従来の鉛はんだと比較して融点が高くな
るために、フレキシブル基板への耐熱性の要求が厳しく
なっている。
【0004】プリント配線板は銅張積層板の銅箔をエッ
チングして種々の配線パターンを形成し、電子部品をハ
ンダで接続して実装していく。 プリント配線板用の材
料にはこのような高温下に繰り返して晒されるため、耐
熱性が要求される。 近年は環境への配慮から鉛フリー
ハンダが用いられるようになったが、そのために従来の
鉛ハンダと比較して融点が高くなり、プリント配線板に
は高い耐熱性が求められるようになった。 このため、
二層フレキシブル基板は有機材料に耐熱性に優れたポリ
イミド樹脂だけを使用しているので、三層フレキシブル
基板よりも耐熱性の改善が容易であり、その使用量が増
加している。
【0005】プリント配線板の導電材としては主として
銅箔が使用されているが、銅箔はその製造方法の違いに
より電解銅箔と圧延銅箔に分類される。 電解銅箔は硫
酸銅めっき浴からチタンやステンレスのドラム上に銅を
電解析出して製造される。圧延銅箔は圧延ロールにより
塑性加工して製造されるので、圧延ロールの表面形態が
箔の表面に転写し、平滑な表面が得られることが特徴で
ある。 フレキシブル基板の導電材に用いられる銅箔と
しては、可撓性が良好であることから、主に圧延銅箔が
用いられている。 プリント配線板に使われる銅箔は樹
脂との接着性を改善するために、銅箔に表面に銅の粒子
を電気めっきで形成する粗化めっき処理が施されてい
る。 これは、銅箔の表面に凹凸を形成して、樹脂に銅
箔を食い込ませて機械的な接着強度を得る、いわゆるア
ンカー効果で接着性を改善するものである。 また三層
フレキシブル基板では金属である銅箔と有機物である接
着剤の接着強度を改善するためにシランカップリング剤
等を銅箔に塗布する試みがなされている。 しかし、二
層フレキシブル基板の圧着温度は300℃〜400℃と
三層フレキシブル基板の100〜200℃と比較して高
温であることから、カップリング剤の熱分解が起こりや
すく、接着性が改善されていない。 なお、箔とは一般
に100μm以下の厚さの薄板をいう。
【0006】近年の電子機器の小型化、軽量化、高機能
化に伴ってプリント配線板に対して高密度実装の要求が
高まっている。 フレキシブル基板は省スペース配線材
料、半導体パッケージのインターポーザー用途あるいは
液晶ディスプレイのICテープキャリアとしても用いら
れているが、特にこれらの用途では高密度実装の要求か
ら電子回路の配線幅と配線間隔を小さくしたファインピ
ッチ化が進んでいる。表面粗さが大きい銅箔や粗化めっ
き処理で凹凸を形成した銅箔は、エッチングで回路を形
成する際に、樹脂に銅が残るエッチング残が生じたり、
エッチング直線性が低下して回路幅が不均一になりやす
い。 このため、電子回路をファインピッチ化するため
には、銅箔の表面粗さの小さいことが好ましく、粗化め
っき処理を施さない表面粗さの小さい銅箔を樹脂フィル
ムと貼り合わせることが望ましい
【0007】また、パソコンや移動体通信等の電子機器
では電気信号が高周波化しているが、電気信号の周波数
が1GHz以上になると、電流が導体の表面にだけ流れ
る表皮効果の影響が顕著になる。 銅箔に粗化めっき処
理を施して表面に凹凸を形成して表面を粗くしている
が、1GHz以上の高周波になるとこの表面の凹凸で伝
送経路が変化する影響が無視できなくなる。 これに対
応するために粗化めっき処理を施さずに接着強度を確保
することが必要である。 この場合も粗化めっき処理を
施さない表面粗さの小さい銅箔を樹脂フィルムと貼り合
わせることが望ましい。
【0008】エッチングで微細な回路が形成するために
は、銅箔の表面粗さが小さいこと以外に銅箔の厚さを薄
くすることが必要である。 銅箔が薄くなるほど、厚み
方向への回路幅の差異が小さくなるので、微細な回路を
形成できるようになる。 銅張積層板に用いる銅箔の厚
さを薄くすることによって、あるいは銅張積層板の銅箔
をエッチングによって減肉化することによって、微細な
回路を形成できるようにしている。 銅は導電性に優れ
た材料であり、導電性が重視される上記の分野では純度
99.9%以上の純銅が用いられるのが一般的である。
しかし、銅は純度を上げると強度が低下するので、銅
箔が薄くなるとハンドリング性が悪くなる。 また、銅
箔の厚みをエッチングによって減肉化することは製造工
程が増加する問題がある。 したがって、回路材料に適
した導電性を有すると同時に、強度が大きい銅箔を積層
板に用いることが好ましい。また、二層フレキシブル基
板は積層する際に300℃〜400℃と高温で10分か
ら1時間程度の加熱処理が必要であることから、銅箔が
軟化してハンドリング性が悪くなるため、300℃で1
時間程度の加熱処理で軟化しないことが好ましい。
【0009】このような状況の中で、導電材に適した純
度の高い無酸素銅を圧延した銅箔を、粗化めっき処理を
施していない表面が平滑な状態で、樹脂基板となるポリ
イミドフィルムを、接着剤を用いずに接着させて二層フ
レキシブル基板を作製することを試みた。 この結果、
ポリイミドフィルムと純銅の圧延銅箔との接着性が悪
く、剥離しやすいことが判明した。 このため粗化めっ
き処理を施さない表面粗さの小さい銅箔を、二層フレキ
シブル基板の導電材に用いることは、銅箔の剥離が生じ
やすく、断線などの欠陥となる問題が生じるやすいこと
が判明した。 このため、高い導電性と高い強度を有
し、かつ粗化めっき処理を施さなくともポリイミド樹脂
との接着性に優れた表面粗さの小さい銅箔が求められて
いる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】プリント配線板で必要
な接着強度は電子機器の製造条件や使用環境によっても
異なるが、一般に180゜ピール強度が8.0N/cm
以上であれば実用上の支障がないとされている。 本発
明では、表面粗さがRzで2μm以下の銅箔で、粗化め
っき処理のような特別な処理を施さずに、接着強度が1
80゜ピール強度で8.0N/cm以上とすることを目
標とした。 また、ハンドリング性を考慮して加熱前の
引張強さを500N/mm以上であること、導電性の
目標値は60%IACS以上であることを目標とした。
本発明の目的は、表面粗さが小さく、かつポリイミド
との接着性に優れた積層板用の銅箔を提供することであ
る。
【0011】
【課題を改善するための手段】本発明者らは、ポリイミ
ドとの接着性が、導電性の優れる純銅をベースにして、
少量の添加元素を加えた銅合金によって改善されること
を見いだした。 具体的には、ポリイミドとの接着性、
強度および導電性に対する各種の添加元素の影響につい
て研究を重ねた結果、本発明は、 (1) 加元素の成分を重量割合にてFeが0.02質
量%〜0.5質量%、Niが0.04質量%〜1.0質
量%、Coが0.04質量%〜1.0質量%のうち1種
以上を合計して1.0質量%を超えない範囲で含むと共
に、Fe、NiおよびCoの合計量に対して0.05〜
0.2倍の重量のPを含み、残部を銅及び不可避不純物
とすることにより、引張強さが500N/mm以上、
導電率が60%IACS以上であり、表面粗さが十点平
均表面粗さ(Rz)で2μm以下であって、粗化めっき
処理を施さずにポリイミドフィルムと直接に接合したと
きの180゜ピール強度が8.0N/cm以上であるこ
とを特徴とする、積層板用銅合金箔 (2) 1時間の加熱を行ったときの引張強さが、加熱
前の引張強さと軟化したときの引張強さの中間となる温
度が300℃以上であることを特徴とする(1)に記載
の積層板用銅合金箔を提供するものである。
【0012】また、本発明は、Ag、Al、Be、M
g、Mn、Pb、Sn、TiおよびZnはいずれも主と
して固溶強化により銅合金の強度を高める効果を有して
おり、必要に応じて1種以上の元素を添加することが可
能である。 その含有量が総量で0.005質量%未満
であると上記の作用に所望の効果が得られず、一方で総
量で2.5質量%を越える場合には導電性、ハンダ付け
性、加工性を著しく劣化させるので、Ag、Al、B
e、Mg、Mn、Pb、Sn、TiおよびZnの含有量
の範囲は総量で0.005〜2.5質量%が好ましい。
本発明は銅合金箔の表面粗さを十点平均表面粗さ(R
z)で2μm以下を有する箔でもある。
【0013】
【発明実施の形態】本発明において合金組成等を上記に
限定した理由を述べる。 (1)Fe、Ni、Co、P:Fe、Ni、Coは樹脂
を製造する際に、重合を促進する触媒としての作用が働
くことが知られている。 このため、Fe、Ni、Co
を銅に添加して合金箔とすることにより、ポリイミドと
の接着性を向上することが判明した。 その理由は、F
e、Ni、Coが金属と樹脂の結合を促進して、界面の
結合が強化されたためと考えられる。 これらの含有量
が少なすぎると触媒として十分な作用をしないため、金
属と樹脂の結合が十分に行われず、接着性の改善効果が
小さい。 また、Fe、Ni、Coは銅合金中で単体の
元素として銅中に固溶することで金属とポリイミド樹脂
の接着改善する作用を発現し、化合物を形成するとその
作用が小さくなることが判明した。 銅中に固溶するF
e、Ni、Coの量が多くなると、導電率を低下して回
路用の導電材料として適さなくなる。一方、PはFe、
Ni、CoとそれぞれFeP、NiP、CoPの
化合物を生成して、微細な粒子として析出する。 これ
らの微細析出物が転位や粒界の移動を抑制して、強度を
高めたり、加熱時の耐軟化性を改善するが、その生成量
が少ないと改善効果が小さい。 従って、強度を高めた
り、加熱時の耐軟化性を改善する作用と金属とポリイミ
ド樹脂の接着性を改善する作用を同時に発現するために
は、銅合金箔中にFe、Ni、CoがPと化合物を生成
すると共に、Fe、Ni、Coが単体の元素として固溶
することが必要である。 Fe、Ni、Coに対するP
の添加割合が多くなると化合物が増加するが、固溶する
Fe、Ni、Coが減少して金属とポリイミド樹脂の接
着性を改善する作用が減じる。また、析出物が多くなる
と銅合金の塑性加工性を損なわれる問題が生じる。 こ
れらの特性から適切な組成を検討した結果、プリント配
線板の積層板用銅合金箔として、合金成分の適正な含有
量の範囲は、重量比でFeが0.02〜0.5質量%、
より好ましくは0.05〜0.3質量%、Niが0.0
4〜1.0質量%、より好ましくは0.1〜0.5質量
%、Coが0.04〜1.0質量%、より好ましくは
0.1〜0.5質量%から1種以上を選び、かつFe、
NiおよびCoの合計量が1.0質量%を超えないこ
と、PはFe、Ni、Coの合計重量に対して0.05
〜0.2倍の重量、より好ましくは0.07〜0.15
倍の重量であると定めた。
【0014】(2)引張強さと導電性:一般に強度と導
電性は相反する関係にあり、高強度の材料ほど導電性が
低下する傾向がある。引張強さが500N/mmより
小さい場合、ハンドリング等の取り扱いでしわを発生し
やすく、また導電率が60%IACS以下では、積層板
用の導電材料として好ましくない。高強度でハンドリン
グ性に優れた積層板用の銅合金箔に適する条件として引
張強さが500N/mm 以上、導電率が60%IAC
S以上と定めた。 (3)180゜ピール強度:180゜ピール強度が小さ
い場合、積層板から剥離が生じる恐れがあるので、8.
0N/cm以上の接着強度が必要である。
【0015】(4)表面粗さ:銅箔の表面粗さが大きく
なると、電気信号の周波数が1GHz以上で電流が導体
の表面にだけ流れる表皮効果により、インピーダンスが
増大して高周波信号の伝送に影響する。 したがって、
高周波回路用途の導電材の用途では表面粗さが小さくる
ことが必要であり、表面粗さと高周波特性の関連を検討
した結果、プリント配線板の積層板用銅合金箔として、
表面粗さが十点平均表面粗さ(Rz)で2μm以下とす
ればよいことがわかった。 表面粗さを小さくする方法
は、圧延銅箔、電解銅箔の製造条件を適正化すること、
銅箔の表面を化学研磨あるいは電解研磨するといった手
法がある。 一般には圧延銅箔は容易に表面粗さを小さ
くすることが可能であり、圧延機のワークロールの表面
粗さを小さくして、銅箔に転写されるワークロールのプ
ロファイルを小さくすることができる。
【0016】本発明の銅合金箔は製造方法に限定される
ものではなく、例えば合金めっき法による電解銅箔ある
いは合金を溶解鋳造して圧延する圧延銅箔のような方法
で製造できる。以下に例として圧延による方法を述べ
る。 溶融した純銅に所定量の合金元素を添加して、鋳
型内に鋳造してインゴットとする。 インゴットは、熱
間圧延である程度の厚さまで薄くした後、皮削りを行
い、その後冷間圧延と焼鈍を繰返し行い、最後に冷間圧
延を行って箔に仕上げる。 圧延上がりの材料は圧延油
が付着しているので、アセトンや石油系溶剤等で脱脂処
理をする。
【0017】焼鈍で酸化層が生じると後工程で支障が生
じるので、焼鈍は真空中あるいは不活性ガス雰囲気中で
行うか、焼鈍後に酸化層を除去することが必要である。
例えば、酸洗で酸化層を除去するには硫酸+過酸化水
素、硝酸+過酸化水素、または硫酸+過酸化水素+弗化
物を用いることが好ましい。
【0018】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。銅合金の
作製は、高周波真空誘導溶解炉を用いてAr雰囲気中に
て高純度黒鉛製るつぼ内で主原料の無酸素銅を溶解した
ところへ、副原料として銅鉄母合金、ニッケル、コバル
ト、銅リン母合金、銀、アルミニウム、銅ベリリウム母
合金、マグネシウム、マンガン、鉛、スズ、チタンおよ
び亜鉛から選ばれた添加元素を添加した後、鋳鉄製の鋳
型内に鋳造した。この方法で厚さ30mm、幅50m
m、長さ150mm、重さ約2kgの銅合金のインゴッ
トを得た。このインゴットを900℃に加熱して、熱間
圧延により厚さ8mmまで圧延して酸化スケールを除去
した後、冷間圧延と熱処理とを繰り返して厚さ35μm
の圧延上がりの銅合金箔を得た。
【0019】上記の方法で得られた厚さ35μmの銅合
金箔は圧延油が付着しているのでアセトン中に浸漬して
油分を除去した。 これを硫酸10重量%および過酸化
水素1重量%を含む水溶液に浸漬して表面の酸化層およ
び防錆皮膜を除去した。 これ以外に粗化めっき処理や
シランカップリング処理等の接着性を改善する特別な表
面処理を実施していない。 このようにして作製した銅
合金箔は平面加熱プレス機を用いてポリイミドフィルム
とを接着した。 接着条件は銅合金箔とポリイミドフィ
ルムとを重ねて、温度330℃に保持した平面加熱プレ
ス機上で5分間予熱した後、圧力490N/cmに加
圧して5分間保持後除荷して、冷却した。 ポリイミド
フィルムはピロメリット酸系、ビフェニルテトラカルボ
ン酸系、ベンゾフェノンテトラカルボン酸系等の種類が
あり、フレキシブル基板には厚みが10〜60μmのも
のが使われることが多い。 本発明の実施例は厚さ25
μmの図1に構造式を示すビフェニルテトラカルボン酸
系のものを使用したが、これに限定されるものではな
い。
【0020】このように得られた銅合金箔の「引張強
さ」、「導電率」、「耐熱性」、「表面粗さ」、「高周
波特性」、および銅合金箔をポリイミドと接着後の「接
着強度」を以下の方法で評価した。 (1)引張強さ:引張強さは引張試験で室温における引
張強さを測定した。測定試料は厚さ35μmに加工した
銅箔をプレシジョンカッターを用いて幅12.7mm、
長さ150mmの短冊状に切断した。 これを評点間距
離50mmで、引張速度50mm/分で測定した。 (2)導電率:導電率は20℃における電気抵抗をダブ
ルブリッジを用いた直流四端子法で求めた。測定試料は
厚さ35μmの箔に加工した銅箔を幅12.7mmに切
断した。 これを測定間長さ50mmの電気抵抗を測定
して導電率を求めた。 (3)耐熱性:耐熱性は1時間の加熱を行ったときの室
温で引張強さを測定し、加熱前の引張強さと軟化したと
きの引張強さの中間となるような加熱温度を軟化温度と
して評価した。 (4)表面粗さ:表面粗さは触針式表面粗さ計を用いて
圧延方向に対して直角方向に測定した。測定条件はJI
S B 0601に記載された方法に準拠して、十点平
均表面粗さ(Rz)で評価した。 (5)高周波特性:高周波特性は高周波電流を通電した
ときのインピーダンスで評価した。インピーダンスは厚
さ35μmの箔に加工した銅箔を幅1mmに加工し、1
0MHz、20mAの高周波電流を通電したときの電圧
降下を長さ100mmについて測定して求めた。 (6)接着強度:接着強度は180゜ピール強度をJI
S C 5016に記載された方法に準拠して実施し
た。 銅合金箔の成分によって強度が異なるので、測定
は銅合金箔を両面テープを用いて引張試験機側に固定し
て、ポリイミドを180゜方向に曲げて引き剥がした。
引き剥がし幅を5.0mmとして、引張速度50mm
/分で測定した。
【0021】表1に銅合金箔の組成および表2に銅合金
箔の特性評価結果を示す。 表中に「−」で示した部分
は測定を実施していないことを示す。 実施例のNo.
1〜No.9は本発明の銅合金箔の実施例である。 表
1に示すように、本発明の銅合金箔は導電率が60%I
ACS以上であり、引張強さが500N/mm以上で
あり、ポリイミドを接着したときの180゜ピール強度
が8.0N/cm以上であった。 優れた導電性と耐熱
性を有し、かつ高い接着強度を有していることがわか
る。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】一方、表1に示す比較例のNo.10は本
発明の合金成分を加えていない圧延銅箔である。 無酸
素銅をAr雰囲気中にて溶解鋳造したインゴットを箔に
加工して、ポリイミドと接着した。 素材が純銅である
ので導電性が大きいが、180゜ピール強度は7.3N
/cmと充分な接着強度が得られていないので、プリン
ト配線板としたときに剥離が生じる恐れがある。また張
強さが500N/mm 未満と小さいことから、ハンド
リング性が悪い。
【0025】比較例のNo.11〜No.14は、Fe
およびPを添加して実施例と同様の方法で箔に加工し
た。 No.11はFeの濃度に対してP濃度が少ない
ために、FePの析出量が少なくなり、耐熱性と引張
強さが小さい。一方、No.12はFe濃度に対してP
濃度が高いために、FePの析出量が多くなり、銅中
に固溶するFeの割合が小さくなった。 このため、引
張強さが630N/mm と大きいが、180゜ピール
強度が小さく、積層板に加工したときの剥離する恐れが
ある。またNo.13はFeの濃度が0.01質量%未
満であったために導電率は高いが、引張強さ、耐熱性お
よび接着性を改善する効果が十分でない。No.14は
Feの濃度が重量比で0.5質量%を超えて添加したた
めに、導電率が低くなり、プリント配線板の導電材とし
ては適さない。
【0026】比較例のNo.15はFe、Ni、Coお
よびPを添加して実施例と同様の方法で箔に加工した。
Fe、Ni、Coの濃度の合計が重量比で1.0質量
%を超えて添加したために、導電率が低くなり、プリン
ト配線板の導電材としては適さない。
【0027】比較例のNo.16はFeおよびPに加え
てTiを添加したが、Tiの濃度が重量比で2.5質量
%を超えて添加したために、導電率が小さく、プリント
配線板の導電材としては適さない。
【0028】比較例のNo.17は、実施例のNo.3
の合金箔を用いて、その表面をエメリー紙で軽く削り取
って表面を粗す処理を行った。その結果、表面粗さが大
きくなると高周波で通電した場合に表皮効果によってイ
ンピーダンスが増加するため、高周波回路の導電材用途
としては適さない。
【0029】
【発明の効果】本発明のポリイミドを基材とするプリン
ト配線板の積層板用に用いる銅合金箔は、基材樹脂と優
れた接着性を有し、かつ高い導電性と強度を有する。ま
た強度が大きく耐熱性が良好であることから、箔のハン
ドリング性に優れている。これによって、微細配線を必
要とする電子回路の導電材としての用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例および比較例で使用したポリイミドの構
造式の説明図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 添加元素の成分を重量割合にてFeが
    0.02質量%〜0.5質量%、Niが0.04質量%
    〜1.0質量%、Coが0.04質量%〜1.0質量%
    のうち1種以上を合計して1.0質量%を超えない範囲
    で含むと共に、Fe、NiおよびCoの合計量に対して
    0.05〜0.2倍の重量のPを含み、残部を銅及び不
    可避不純物とすることにより、引張強さが500N/m
    以上、導電率が60%IACS以上であり、表面粗
    さが十点平均表面粗さ(Rz)で2μm以下であって、
    粗化めっき処理を施さずにポリイミドフィルムと直接に
    接合したときの180゜ピール強度が8.0N/cm以
    上であることを特徴とする、積層板用銅合金箔。
  2. 【請求項2】 1時間の加熱を行ったときの引張強さ
    が、加熱前の引張強さと軟化したときの引張強さの中間
    となる温度が300℃以上であることを特徴とする請求
    項1に記載の積層板用銅合金箔。
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